【新刊】アリストテレス 生物学の創造 上下セット | アルマン・マリー・ルロワ, 森夏樹 訳

みすず書房 2019年
ハードカバー <上> 368ページ, <下> 344ページ
四六判

- 内容紹介 -
<上>
〈どのページも、アリストテレスの眼を通して見たこの世界の美しさを追体験させてくれる〉
──ネイチャー誌

アリストテレスは超一級の生物学者だった──しかも、史上一人目の。自身も進化と発生学の研究者である著者は、『動物誌』を中心にアリストテレスの生物学を調べあげ、2400年前の超人的先駆者の着眼と構想を掘り起こした。形態、発生、代謝、分類、老化、情報の継承まで──それは古くて新しい、ブリリアントな生物学だ。本書のどのページもアリストテレスのセンス・オブ・ワンダーと呼ぶべきものに満ちており、哲人を魅了した生物界の不思議さと精妙さに、読む者もまた魅入られてしまう。
知りうる限りの生物種について記述し、自ら動物の解剖を繰り返し、生物界の部分と全体をシステムとして分析したアリストテレス。彼が「仕事を終える頃には、素材、形、目的、変化などはもはや思弁哲学のおもちゃではなく、研究のプログラムとなっていた」。自然のありのままの体系に重ね合わせようと周到に編まれた理論には、生き物たちの多様さの中に張り巡らされたパターン性、生命の連続性と差異化についての深い洞察が織り込まれている。
本書はそんなアリストテレスの生物学的仕事の全貌を鮮やかに描き出すとともに、時代を超えて探求され続ける生物学の精髄を読み解く。

目次
《エラトー書店にて》
アリストテレスの生物学との遭遇。そして、本書のねらい。

《島》
アリストテレスはなぜ生物を研究しようと考えたのか。既存の自然哲学に不満を抱き、プラトンの観念論にも背を向けた彼は、レスボス島で理想的な研究フィールドに出会う。

《人智の及ぶところ》
動物の世界は広大だ。動物学をゼロから築き上げたアリストテレスは、生き物についての知識をいったいどこから得ていたのか。

《解剖》
アリストテレスの解剖学的記述には、後世の多くの解剖学者たちが魅了されてきた。同時に、驚くべき正確さの傍らに明らかな不正確さが共存するという問題や、彼の観察の膨大さに翻弄されてきた。

《自然》
古代ギリシア人にとっての「自然」(ピュシス)とは何か。アリストテレスは机上の哲学だったそれまでの体系を離れ、ピュシスを解明する遠大な「研究プログラム」に着手した。

《イルカのいびき》
プリニウス風の博物誌ともリンナエウス式の分類法とも本質的に違っていたアリストテレスの分類体系について。そして、そのねらい。

《道具》
アリストテレスは自然学を行なう方法論として、彼自身が「論証」と呼ぶ知的構造を用いる。彼の三段論法的推論の威力とその限界について。

《鳥の風》
動物の各部はなぜ必要かという問いの答えを、アリストテレスは比較生物学と目的論によって導き出そうとした。彼の見出した機能と構造の関係、および自然の経済性の原理について。

《コウイカの霊魂》
アリストテレスが生物と無生物を隔てるもの――霊魂――について語るとき、彼は生体内の機能、とりわけ生理機能とその自己制御について語っている。

《泡》
アリストテレスの発生生物学。一見して何ともつかない材料が、いかにしてすべての器官を備えた生き物に「なる」のか。

参考文献リスト
参考文献解題
用語集
I 専門用語/II 本書で言及された動物

<下>
「アリストテレスの科学の精巧なタペストリーに思いをいたし、それをわれわれの科学とくらべてみながら、われわれは今ようやく、彼の意図していたことや彼が成し遂げたことを、われわれ以前のどの時代よりもはっきりと見て取ることができるようになった。私はそう思っている。そしてもしそれが本当なら、それはわれわれがやっと、彼に追いつくことができたからなのだろう。」
(本文より)

下巻では遺伝や生活史の理論、ダーウィンとの比較のほか、自然発生説やコウイカ大論争といったテーマに端を発する近代以降の生物学のターニングポイントにもスポットライトを当て、その随所にアリストテレスの影を色濃く浮かびあがらせる。また、アリストテレスの生物学と哲学がどのように結びついていたか、それらがいかに現代の生物学の体系の中核に引き継がれているかについても掘り下げる。
科学革命以来の数百年間、ほとんど蔑ろにされ忘れられていた偉大な生物学者を、著者はダーウィンやリンナエウスと比肩する先達として見事に蘇らせている。

〈グールドの最良の著書にも匹敵する才筆。近年の生物系の著作の中では抜きん出て長く読まれる本になるだろう〉
──ニューサイエンティスト誌

目次
《ヒツジの谷》
遺伝や変異、性決定、先祖返りについてのアリストテレスの理論は、思弁的ではあったが、ありうべき血の通うシステムを精巧に描きだしていた。

《カキのレシピ》
アリストテレスが奇妙にも自然発生論をもちだして説明づけている生き物たちがいる。なぜ彼は自身の体系をねじ曲げて、一部の生物の自然発生を信じたのか。

《イチジク、蜜蜂、魚》
アリストテレスは生物の生活史を世界全体の動的平衡とサイクルの中に位置づけ、環境の要請と動物の体の要求を見事に関連づけていた。十分に説明がつかない生物種は、彼をもっとも悩ませ、かつ魅了した。

《石の森》
進化論を含まないアリストテレスの生物学は忘れられた。しかしその影響はリンナエウス、キュヴィエを通じてダーウィンへ、そして現代の生物学へと引き継がれている。

《宇宙》
アリストテレスの生物学には群集生態学が欠けているように見えて、そのことは彼の生物学と政治学、形而上学、倫理学などを結ぶ補助線でもある。その全体は壮大な「宇宙の目的論」のヴィジョンをなしている。

《ピュラー海峡》
彼の遺産はなぜかくも徹底的に忘れ去られたのか。一七世紀の科学革命にまでさかのぼり、アリストテレス評価の変遷とその妥当性を再考する。

補遺 
I アリストテレスの動物一二種と、六つの形態学的特徴のためのデータ・マトリクス
II 胎生四足類(哺乳類)の栄養(troph?)摂取とその配分経路
III 知覚と動作のCIOMモデル
IV アリストテレスの心臓―肺の体温調節サイクル
V アリストテレスの生活史データ――胎生四足類と鳥類
VI 生活史の特徴間の関係を現代のデータを使用して図示

謝辞
訳者あとがき

図版について
参考文献解題
索引

- 著者プロフィール -
アルマン・マリー・ルロワ (アルマンマリールロワ) (著/文)
インペリアル・カレッジ・ロンドン、進化発生生物学教授。1964年、ニュージーランド、ウェリントン生まれ。国籍はオランダ。ニュージーランド、南アフリカ、カナダで幼少年期を過ごす。ダルハウジー大学(ハリファックス、カナダ)で学士号を取得後、カリフォルニア大学アーバイン校(アメリカ)で博士号を取得。マイケル・ローズ博士のもとでショウジョウバエを対象に老化の進化生物学研究に携わる。ついでアルバート・アインシュタイン医科大学のスコット・エモンズ博士のもとでポストドクトラル・フェローを勤め、線虫の成長の研究を始める。1996年からインペリアル・カレッジ・ロンドンで講師、2001年から進化発生生物学部門リーダーを務める。

森夏樹 (モリナツキ) (翻訳)
1944年大阪生まれ。翻訳家。訳書に、フォックス『アレクサンドロス大王』(上下、2001)、ウィルソン『聖なる文字ヒエログリフ』(2004)、ケイヒル『ギリシア人が来た道』(2005)、ターク『縄文人は太平洋を渡ったか』(2006)、クラッセン『ユダの謎解き』(2007)、ダッドリー『数秘術大全』(2010)、ミズン『渇きの考古学』(2014)、ブランディング『古地図に憑かれた男』(2015)、アダムス『アトランティスへの旅』(2015)(以上、青土社)、ジャット『記憶の山荘■私の戦後史』(2011)、ルロワ『アリストテレス 生物学の創造』(全2巻、2019、以上みすず書房)、ほか。

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