それ、フェミニズムに聞いてみない? 日々のもやもやを一緒に考えるフェミニスト・ガイド | タビ・ジャクソン・ジー, フレイヤ・ローズ, 惠 愛由(訳)
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明石書店 2024年
ソフトカバー 340ページ
B6変形判
- 内容紹介 -
現代の女性が直面する日常生活の疑問や課題をフェミニストの視点から掘り下げる、現代版フェミニズム案内書。恋愛や仕事、テクノロジーやメディアの性差別など、幅広いテーマを取り上げ、ベル・フックスからボーヴォワールまで、さまざまなフェミニストの考えを解説。時代とともに変化するフェミニズムの姿を通じて、自分の立場と考え方を見つめなおすための一助となる一冊。
- 目次 -
はじめに
第1章 政治と権力
・フェミニストって誰のこと?
・男性と同じ権利なんて、もうすでに持っているんじゃない?
・どうして選挙に行かなきゃだめなの? 私の生活は変わらないけどなあ。
・どうして見知らぬ男たちが私を「かわいこちゃん」とか「ハニー」と呼ぶんだろう?
・女性は男性よりも思いやりがあるって、なんで言っちゃだめなの?
・フェミニズムは白人女性だけのもの?
・どうしてフェミニズムはまだ平等を勝ち取っていないの?
第2章 恋愛と人間関係
・最近デートしてる人がなんでも奢ってくれようとするんだよね。これでいいのかな?
・自分を客体化することなく、マッチングアプリを使うってできるかな?
・ワンナイトして悪いの?
・イったふりをしてるってなんでパートナーに言えないんだろう?
・私は幸せで成功もしてる。パートナーっていなきゃだめなの?
・私のボーイフレンドもフェミニストになれるかな?
・ボーイフレンドにプロポーズしたいんだけど、どう思う?
第3章 結婚と家庭生活
・おとぎ話のような結婚式、おとぎ話のような結婚?
・結婚後、パートナーの姓を名乗るべき?
・夫も私も働いている。それなのに、なぜ私が家事をしなければならないの?
・私は子どもがほしいのだろうか?
・普通の家族ってなんだ?
・誰が育児休暇を取るべきなんだろう?
・娘は「プリンセス」と呼ばれたがっている。私はどこで間違ったのだろう?
第4章 仕事と賃金
・主婦になりたいんだけど、だめですか?
・なぜ私は彼より安い給料で働いているんだろう?
・ボスになるには私は優しすぎる?
・私が給料の交渉をしていたとき、上司は「こんなに数字の話をしたら君はくらくらするかもしれないけれど」と言った。どういう意味だろう?
・上司が仕事ではハイヒールを履けって言ってくる。これって合法?
・出世のためには男性の同僚と飲みに行かなきゃだめなの?
・女性は裸でなければメトロポリタン美術館に入れないのか?
第5章 メディアにおける女性
・オンラインで意見を交わす勇気はある?
・なぜ私は女性セレブの容姿にこだわるのか?
・思っていたほどストレートじゃないかも……
・なぜ新しい服を買うのをやめられないんだろう?
・映画界の女性たちはどこにいる?
・どうして女性誌が必要なんだろう?
・テクノロジーは性差別的なのか?
第6章 私の身体は私のもの
・どうしていつも太っているような気がするんだろう?
・もし男性が子どもを産めたら何もかも変わるのかな?
・つるつるじゃなきゃだめなの?
・もし私が妊娠したら、妊娠を続けるかどうかって決められるの?
・どうして道を歩くのが怖いんだろう?
訳者あとがき
参考文献
索引
- はじめに -
給料が上がらないとか、オーガズムのこととか。「平等」ってどういうことなんだろうとか。あなたの悩みが何であれ、現代の私たちが抱える白黒はっきりしない疑問の多くを一緒に考えてくれるフェミニストたちがいます。『それ、フェミニズムに聞いてみない?』はそんな疑問を取り上げ、私たちが日々自分自身に問いかける言葉をつうじてさまざまなフェミニスト理論を学んでいく本です。
「最近デートしてる人がなんでも奢ってくれようとするんだよね。これでいいのかな?」「上司が仕事ではハイヒールを履けって言ってくる。これって合法?」─こんなふうに、名前のある一人の人が日々の中でふと浮かべるような問いを投げかけること。それがこの本のやりたいことです。こうした個人的なもやもやをひとつの出発点として、人種や階級、職業の異なる世界中のさまざまな女性たちが直面している社会の課題について話し、過去あるいは現代のフェミニストたちならそれらの問いにどう答えるだろう? と考えてみたいのです。
どうしてかって? それは、この本が取り組む議題は決して新しいものではないから。私たちが考えたいのは、「女性も、男性と同じ権利を持つべきだろうか?」という、何百年ものあいだずっと問われつづけてきた議題なのです。これまでの歴史においても、フェミニズムの波が勢いをつけ、多くの人の意識の中に入り込んだときには、この問いが大声で叫ばれることもありました。けれどたいていの場合、これは私たちが静かに、自分自身に対して問いかける言葉です。「女性も、男性と同じ権利を持つべきだろうか?」というだけじゃなく、「なぜ女性は男性と同じ権利を持てていないのだろう?」「私のまわりの人々は、男性に対してするのと同じように私に接しているだろうか?」「待って―私ってフェミニストなのか?」なんて問いもそう。
第一波から第四波までのフェミニズム運動や(世界中で獲得されつつある)選挙権の平等、経口避妊薬のような科学の分野における革命的進歩を経ても、女性たちはいまだに昔から変わらないクエスチョンマークを浮かべつづけ、それに対する満足のいく返答も得られずにいます。
けれど、フェミニズムはずっとそれらの問いに答えようとしてきました。そしてときには解決策を見出すこともありました。しかし抱えている困難の中身が変われば、それに対するフェミニストたちの返答も変わってきます。つまり、有名なフェミニストたち―たとえばベティ・フリーダンとベル・フックス、メアリ・ウルストンクラフトとシモーヌ・ド・ボーヴォワール、グロリア・スタイネムとケイト・ミレット―のあいだにも、興味深い違いが数多くあるのです。
こうした思想家たちはそれぞれ、私たちが暮らすこの世界に重要な変化をもたらしてきました。それぞれが、そのときどきで最も差し迫った問題について取り組んできました。でも驚くべきことに、溜め息が出てしまいそうだけれど、かれらが闘ったすべては依然として世界中の国々で闘われつづけている問題でもあります。それは選挙権の獲得だったり、男女間の賃金格差、男性による暴力に怯えながら暮らすことへの異議申し立てだったりします。
本書で紹介するフェミニストのうち誰が一番偉いとか、重要だとか言いたいのではありません。そうではなく、私たち自身の生活から浮かび上がるさまざまな疑問を通して思想家たちの考えを比較してみることによって、現代においてセックス[ここでは、出生時に身体的特徴から名指される性別のこと]やジェンダー[社会や文化の中で構築された性別。あるふるまいや役割が「男らしさ」「女らしさ」と結びつけられるときに働く分類の力]とはいったいどんな意味を持つのか、実感を伴って理解しようとする試みの場を持ちたいのです。オードリ・ロードの言葉を借りるなら、互いの違いを祝福することによって、女性たちはともに考え、解決策を見つけていけるから。『それ、フェミニズムに聞いてみない?』はさまざまな思想家たちの声と英智をひとところに集め、現代を生きる女性たちの疑問に対する返答を見つけようとする試みです。たとえば、「女性は男性よりも思いやりがあるって、なんで言っちゃだめなの?」「イったふりをしてるってなんでパートナーに言えないんだろう?」「テクノロジーは性差別的なのか?」「どうしていつも太っているような気がするんだろう?」なんて疑問への返答を。
もしかしたら、シュラミス・ファイアストーンのセックスについての考え方があなたのベッドでのふるまいを変えるかもしれない。ジャーメイン・グリアの考えにふれて結婚生活を思い直すかもしれない。ベル・フックスは男友だちをフェミニストにする方法を知っているし、シャーロット・ホーキンス・ブラウンはフェミニズムが白人女性だけのものに見えてはいけない理由を説明してくれる。ローザベス・カンターは職場においてもっと女性たちが敬意を払われ、正当な賃金が支払われるための助言を惜しまない。
ひとことで言えば、本書は女性が日常的に直面している多くの問題にふれ、これまでに積み重ねられた膨大なフェミニズム理論のグラデーションからそれぞれの解決案を見出そうとする本です。おなじみのあの思想家から、まだ広くは知られていないフェミニズム運動の貢献者たちまで。かれらだって意見がいつも合致するということはありません。それでも、専門家であるかれらの議論が、世界をまなざすあなたの目をほんの少しだけ変えるかもしれない。『それ、フェミニズムに聞いてみない?』は、あなたに贈る現代版フェミニズム案内です。あるいは雑誌の人生相談コーナーみたいな―その回答者があらゆる時代の偉大なフェミニストたちの知が組み合わさった、一人の頼れる女性のようだったなら?
-著者プロフィール -
タビ・ジャクソン・ジー (タビ ジャクソン ジー) (著)
ロンドンを拠点とするジャーナリスト。全国紙や、新しく出てきたさまざまな女性向けプラットフォームで執筆活動を行っている。ファッション、テクノロジー、旅行、そして最近ではガーデニングが好き。
フレイヤ・ローズ (フレイヤ ローズ) (著)
哲学者、作家、フェミニスト。社会科学に関する多くの書籍に貢献している。
惠 愛由 (メグミ アユ) (訳)
1996年生まれ、水瓶座。同志社大学文学研究科英文学専攻修了。BROTHER SUN SISTER MOON のベースとボーカルを担当。Podcast「Call If You Need Me」を配信するほか、書評やエッセイの執筆も。訳書に『99%のためのフェミニズム宣言』(人文書院、2020)など。
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