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ニッポン獅子舞紀行 | 稲村 行真

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青弓社 2024年
ソフトカバー 224ページ
A5判 縦210mm 横148mm 厚さ16mm


- 内容紹介 -
日本最多の民俗芸能といわれる獅子舞。
特徴的な大きな頭と布でできた胴体。口をパカパカさせながら舞い踊る姿を正月のショッピングモールや各地のお祭り、行事などで多くの人が一度は目にしたことがあるだろう。その歴史は古く、西暦600年ごろの飛鳥時代に中国大陸から朝鮮半島を経て日本に伝わり、現在でもその歴史を受け継ぎながら、また社会状況にあわせてさまざまに形を変えながら親しまれている伝統芸能である。

獅子舞の最大の特徴はその「多様さ」だ。獅子舞の舞い方はもちろん、頭や体の形も大きさも地域によって異なり、おのずと獅子舞に込められる人々の願いや祈りも多種多様なものとなる。そこには各地の歴史と文化、そして日々の暮らしが息づいている。
東北地方の「権現舞」、関東の「三匹獅子舞」、北陸地方の「加賀獅子」、三重の「伊勢大神楽」、鳥取の「麒麟獅子舞」など、国の重要無形民俗文化財に指定され多くの人の目にふれるものもあれば、地域の人々の手によって脈々と継承されてきたものも多い。

そんな獅子舞に魅せられた若き著者が、北海道から沖縄まで500カ所以上に足を運び、取材してきたなかから厳選した獅子舞を歴史や風習、そして担い手の思いとともに紹介する。かつてない感染症の流行や地方の過疎化に負けない躍動感あふれる獅子舞たちとそれを守る人たちの生き生きとした姿を120点以上のフルカラー写真とともに収める日本を旅する獅子舞紀行。


- 目次 -
まえがき――なぜ獅子舞を取材するのか

第1章 そもそも獅子舞とは
 1 獅子舞の「獅子」とは何か
 2 最初期の獅子舞を想像する
 3 獅子舞はどのように日本全国に定着したのか
 4 日本全国に分布する獅子舞
 5 獅子頭の歴史と作り方
 6 胴幕の歴史と作り方
 7 獅子舞を継承する理由

Column 獅子舞に魅せられた人々①
 半世紀、獅子の胴幕を作り続けてきたおっちゃん――玉作栄一さん(獅子蚊帳職人)

Column 獅子舞に魅せられた人々②
 未来の獅子舞の姿を考えた地域住民――内堀泰行さん、茂木康生さん、須藤尚人さんほか(長野県北佐久郡御代田町塩野区役員)

第2章 獅子舞探訪記:北海道・東北篇
 1 故郷を思う開拓者の舞い「浦幌獅子舞」(北海道十勝郡浦幌町)
 2 鳥海修験とともに受け継がれる神遊び「本海獅子舞番楽」(秋田県由利本荘市)
 3 巡行地域の広さと歴史の重み「黒森神楽」(岩手県宮古市)
 4 人間と動物の境目を踊る「長野獅子踊り」(岩手県遠野市)
 5 獅子舞が虎舞に変化した「門中組虎舞」(岩手県大船渡市)
 6 大獅子パックン火伏せの厄祓い「酒田の大獅子」(山形県酒田市)
 7 大きな胴体は地域交流の証し「黒獅子」(山形県長井市)
 8 けんかを平和的に解決する「彼岸獅子」(福島県会津若松市)
 
Column 獅子舞に魅せられた人々③
 津波ですべて失われた虎舞を大復活させた――小原正人さん(鵜住居虎舞舞い手)

第3章 獅子舞探訪記:関東篇
 1 祭りのにぎわいと職人の技「石岡の獅子舞」(茨城県石岡市)
 2 方位、天体、季節……万物を体現するケモノ「浦山の獅子舞」(埼玉県秩父市)
 3 苔で覆われた雨乞いの獅子頭「椎名崎の獅子舞」(千葉県千葉市)
 4 演舞の途中で子どもが誕生!「誕生獅子」(東京都大田区)
 5 お湯を観客に振りまく「湯立獅子舞」(神奈川県足柄下郡箱根町)

Column 獅子舞に魅せられた人々④
 獅子舞を収集しつづけ「獅子博物館」を作った――髙橋裕一さん(獅子博物館館長)

第4章 獅子舞探訪記:中部篇
 1 子どもが貧困と敵討ちを動機に舞い始めた「角兵衛獅子」(新潟県新潟市)
 2 タイマツの火が獅子を奇襲する「新湊の獅子舞」(富山県射水市)
 3 棒振りが獅子殺しをする「橋立地区の獅子舞」(石川県加賀市)
 4 獅子頭をかぶらない獅子もある「奈川獅子」(長野県松本市)
 5 商店街復興と獅子の巨大化「飯田の獅子舞」(長野県飯田市)
 6 蛇をくわえて激しく振り回す「へんべとり」(岐阜県高山市)
 7 獅子が女性に扮して芝居に登場「獅子芝居」(岐阜県羽島郡岐南町)

Column 獅子舞に魅せられた人々⑤
 獅子舞調査と継承活動を両立する「獅子ペディア」――諏訪雄士さん(能登半島獅子舞研究者)

第5章 獅子舞探訪記:近畿篇
 1 獅子舞を仕事にする旅人たち「伊勢大神楽」(三重県桑名市)
 2 獅子舞の原型は農具だった「箕獅子」(三重県伊勢市)
 3 蜘蛛の巣を浴びるも打ち勝つ「六斎念仏の獅子舞」(京都府京都市)
 4 オニワニが獅子を退治する「顯國神社の三面獅子」(和歌山県有田郡湯浅町)

第6章 獅子舞探訪記:四国・中国篇
 1 かわいくもにらみを利かせる「猫獅子」(香川県高松市ほか)
 2 獅子舞カップルの嫉妬劇! 人形浄瑠璃の獅子舞「徳米座」(徳島県徳島市)
 3 まるで組み体操のように高く伸びる「継ぎ獅子」(愛媛県今治市)
 4 中国の霊獣・麒麟が登場「麒麟獅子舞」(鳥取県鳥取市ほか)

第7章 獅子舞探訪記:九州・沖縄篇
 1 持つだけで舞わない「祓い獅子」(福岡県福岡市)
 2 七十兆の細胞を震えさせる猪の舞い「銀鏡神楽」(宮崎県西都市)
 3 糸によって操られる「謝名のアヤチ獅子」(沖縄県国頭郡今帰仁村)
 4 アメリカから返還された獅子頭「首里真和志町の獅子舞」(沖縄県那覇市)

まとめ――獅子舞文化の多様性

引用・参考文献

あとがき――あらためて獅子舞とは何か


- 著者プロフィール -
稲村 行真 (イナムラ ユキマサ) (著)
1994年生まれ。中央大学法学部卒業、東京藝術大学大学院映像研究科修士課程在籍。獅子舞研究者、文筆家、美術家、加賀市獅子舞を応援する会顧問(石川県)、獅子舞ユニット「獅子の歯ブラシ」所属。埼玉県白岡市獅子博物館奨励賞受賞(2023年11月)。日本全国500件以上の獅子舞を取材して記事を執筆している。著書に『我らが守り神――石川県加賀市の獅子頭たち』(私家版)、『獅子舞生息可能性都市』(100BANCH)など。

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