撤退学宣言 ホモ・サピエンスよ、その名に値するまであと一歩だ | 堀田 新五郎
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晶文社 2024年 犀の教室
ソフトカバー 260ページ
四六判
- 内容紹介 -
資本主義をさらに暴走させようとする加速主義の時代だからこそ、「ゲームの外側へと降り立つ手順」「世界外への離脱」を探求する撤退的知性が求められている。その鮮やかな実践。
──内田樹
行き過ぎた市場原理主義、環境破壊による地球温暖化、経済格差の拡大、出口の見えない戦争……多くの矛盾や暴力を生みつつも、疾走を続ける近代システム(民主主義+資本主義+テクノロジーの三位一体)。その先に待ち受けるカタストロフィーを回避するためには、撤退する知性が必要だ。人々の思考を「持続」へと方向づけるメカニズムを解明し、適切な局面で適切に撤退できることこそが知性であると説くマニフェスト。「近代の学問」と、仏道・茶道・華道などの「道」の知見を接合する、壮大な哲学的思索と問題提起の書。
"いま考えるべきは、次の処方箋や、個々の処方箋が効かない理由ではない。「惰性」それ自体である。これまでのやり方を停止し、撤退すべき場面にもかかわらず、次の処方箋、次の処方箋へと人々を押し流す「惰性・慣性」のメカニズムを解明し、撤退の条件を探ること、これがいま知性に求められる課題ではなかろうか。カタストロフィー前の方向転換、これが「撤退学」の目標にほかならない。"(本書より)
【目次】
序
■I部 撤退学宣言──ホモ・サピエンスよ、その名に値するまであと一歩だ
はじめに
1章 撤退学宣言 問題編──近代システムとはなにか?
1 近代システムとはなにか?
2 システムの暴走と「近代の超克」
3 「惰性・慣性の力」からは脱出不可能?
4 【問題】
2章 撤退学宣言 解決編──なぜ生物は3つ以上の眼を持たなかったのか?
1 撤退の困難、あるいは生物が3つ以上の眼をもたないわけ
2 人間の知的特性
3 【解答】
3章 撤退学宣言 展望編──テクノロジーは加速し、人類は愚行を繰り返す
1 テクノロジーは加速し、人類は愚行を繰り返す─よって主権者の顕現?
2 世界の彼方、存在の側へ──鬼退治
3 【展望1】 宗教と政治との新たな連関
4 【展望2】 学と道との新たな連関
■II部 補論 撤退の知性──イエスとソクラテスから
4章 補論1 イエス論──奇天烈の倫理
イエス論1 倫理とイエス
イエス論2 政治と文学、あるいはマキァヴェッリとイエス
5章 補論2 知性と反知性──ソクラテスを起点に
1 はじめに
2 知性の祖型:ソクラテスの無敵
3 反知性の典型:反ユダヤ主義者
4 問題提起:知性は自らを維持したまま、propertyの不条理な肯定が可能か?
5 回答:決断主義を超えて 完全性の反復
おわりに
- 著者プロフィール -
堀田新五郎 (ホッタシンゴロウ) (著/文)
神戸大学大学院法学研究科中退。現在、奈良県立大学教授(もうすぐ中退)。専門は政治思想史。『講義 政治思想と文学』(共編著、ナカニシヤ出版)、『撤退論』(分担執筆、晶文社)、『山岳新校、ひらきました──山中でこれからを生きる「知」を養う』(分担執筆、H.A.B)など。世のしがらみと組織の力学とやむにやまれぬ思いから、撤退学を始める。
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