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アートとフェミニズムは誰のもの?|村上 由鶴
¥1,078
光文社 2023年 光文社新書 ソフトカバー 272ページ 新書判 - 内容紹介 - アートとフェミニズムは少なくない人びとからよく見えなくなっていて、その実態がよくわからなくなっている。いわば、アートとフェミニズムは入門したくてもできない「みんなのものではないもの」になっているのが実情だ。もともと、「みんなのもの」になろうとするエネルギーを持っているアートとフェミニズム。理解の断絶が進む現在の状況に風穴を開けるには――。フェミニズムを使ってアートを読み解く、あたらしい試み。
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蛇の棲む水たまり|梨木 香歩, 鹿児島 睦
¥2,200
ブルーシープ 2023年 ハードカバー 68ページ A5変 縦195mm 横153mm 厚さ11mm - 内容紹介 - 「陶芸家の鹿児島睦さんの展覧会が開かれます。新作の器を見て、そこからお話を作っていただけませんか」 依頼を受けた作家の梨木香歩さんは、色や形のさまざまな器に草花に馬や象、蛇などの生き物が描かれた200点の作品を1枚ずつ、何度も繰り返し見ながら物語を紡ぎました。梨木さんの物語を受け取った鹿児島睦さんは、何度も読んで反芻し、ラストシーンに新しい1枚を制作しました。 このようにして生まれた本です。水たまりを見つけのぞき込む馬のように、水たまりに棲む蛇に、会いにいってください。
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桂離宮のブルーノ・タウト ドイツ・ロマン主義と禅の精神世界|長谷川 章
¥3,960
工作舎 2022年 ハードカバー 304ページ A5判 - 内容紹介 - 亡命先の日本で桂離宮と運命的な出会いを果たし、その美しさを世界に伝えた建築家、ブルーノ・タウト。『画帖 桂離宮』 はタウトが毛筆で一気に描き上げた、二十六葉の桂離宮論=建築空間論である。ドイツ語で書かれた原文を丹念に読み解き、タウトが見出した 「関係性の芸術」 とその精神に迫る。 目次 まえがき 『画帖桂離宮』とは何か 第1章◉桂離宮―『画帖桂離宮』の誕生 第1節 桂離宮のブルーノ・タウト 第2章◉ 御庭―『画帖桂離宮』の前半の構成と主題 第2節 表紙 第3節 思惟するのは視覚である 第4節 御殿へのアプローチ 第5節 御庭の松琴亭へ 第6節 松琴亭から賞花亭へ 第7節 新御殿の御庭と伊勢 第8節 御庭から導き出された結論 第3章◉御殿―『画帖桂離宮』の後半の構成と主題 第9節 御殿の意匠 第10節 空間の軸と動線 第11節 建築家の三つの条件 第12節 芸術の精神への変換 第13節 惜別の辞 あとがき 関係性の美学から中動態の美学へ - 著者プロフィール - 長谷川 章 (ハセガワ アキラ) (著/文) 1954年東京生まれ。1979年早稲田大学大学院修士課程修了。1985年DAAD西ドイツ政府所給費留学(アーヘン工科大学)。『北ドイツ表現主義建築の研究』で工学博士(早稲田大学)。東京造形大学教授、早稲田大学非常勤講師。専門はドイツ近代建築史。2019年に『ブルーノ・タウト研究─ロマン主義から表現主義へ』(ブリュッケ、2017)で日本建築学会著作賞受賞。著書に『ドイツ表現主義の建築』(鹿島出版会、1989)『世紀末の都市と身体─芸術と空間あるいはユートピアの彼方へ』(ブリュッケ、2000)、『芸術と民族主義─ドイツ・モダニズムの源流』(ブリュッケ、2008)、『絵画と都市の境界─タブローとしての都市の記憶』(ブリュッケ、2014)、『分離派建築会─日本のモダニズム建築誕生』(共著、京都大学学術出版会、2020)、『田園都市と千年王国─宗教改革からブルーノ・タウトへ』(工作舎、2021)。建築設計に「横浜人形の家」(商業環境デザイン大賞、神奈川県建築コンクール優秀賞受賞、1986)、「渋谷東急百貨店東横店」(北米照明学会特別表彰受賞、1988)。
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椅子の神様 宮本茂紀の仕事 |佐藤 卓, 佐藤 岳利, 宮本 茂紀
¥1,980
LIXIL出版 2019年 LIXIL BOOKLET ソフトカバー 76ページ 20.5 x 21 x 0.8 cm - 内容紹介- 新しいことへの挑戦と実験。素材への探求心。過去、現在、未来をつなぐ椅子づくりとは―― カッシーナ、B&B、アルフレックス、梅田正徳、藤江和子、隈研吾、ザハ・ハディド……。彼らは、日本初の家具モデラー、宮本茂紀(1937-)がともに椅子づくりに携わってきたメーカーであり、デザイナーたちである。一流の面々がこぞって宮本を頼るのはなぜなのか。 2019年4月、数年越しに完成した佐藤卓デザインによる、自然素材と伝統技術に拘った最高級のソファ「SPRING」の開発に関わった宮本。本書はその「SPRING」を皮切りに、デザイナーと試作開発に取り組んだいくつかの事例から職人としての宮本茂紀の仕事に迫る。ものづくりの現場に約65年。後半では、歴史から椅子の構造の変遷や技術を学び、素材や座り心地を追求し続け、さらに次世代へと継承する宮本の仕事も紹介する。写真家、尾鷲陽介の撮下しによる豊富な図版とともに、新たな角度から椅子の奥深さ、魅力に触れることのできる一冊。
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椅子クラフトはなぜ生き残るのか | 坂井素思
¥2,200
左右社 2020年 ソフトカバー 256ページ 四六判 - 内容紹介 - 古代エジプト文明以来、人間とともにあり、 専門職人たちの手でつくられてきた椅子は、近代を迎えて大きな転機を迎える。 大量生産と機械化の時代を潜り抜け、手づくりの小規模生産が生き残るのはなぜか。 ものづくりの将来と日本の経済社会を見据え、クラフツ経済の現代的課題と強みをさぐる。 【図版多数掲載】 近年、他業種の傾向に反して木製家具製造業で、 従業員3人以下の事業所数シェアが増大しているのはなぜだろうか。 椅子という商品には、生産や流通をめぐる経済構造に特別な点があるのだろうか。 作り手そして購入者にとっての、椅子の魅力と特性とは何だろうか。 近代椅子の名作、現代日本の椅子作家の作品に触れながら、 職人たちの小規模生産が生き残る椅子づくりの世界に多角的にせまる。 目次 まえがき 第一章 なぜ椅子クラフツを取り上げるのか 第二章 椅子クラフツ生産はいかに行われているか 第三章 近代椅子はどのように変化してきたか 第四章 なぜ椅子をつくるのか 第五章 椅子に何を求めるか 第六章 生活文化の中の椅子 第七章 椅子の社会的ネットワークはどのようにして可能か 終 章 椅子からみる経済社会 あとがき
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奇妙なものとぞっとするもの──小説・映画・音楽、文化論集 | マーク・フィッシャー, 五井健太郎(翻訳)
¥2,750
Pヴァイン 2023年 ソフトカバー 240ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ16mm - 内容紹介 - それがなぜ「奇妙なもの」に見えるのか? ──マーク・フィッシャー生前最後の著作 H・P・ラヴクラフト、H・G・ウェルズ、フィリップ・K・ディック、デヴィッド・リンチ、スタンリー・キューブリック、クリストファー・ノーラン、ザ・フォール、ブライアン・イーノ……彼ら「奇妙」で「ぞっとする」表現者たちに、私たちがいままで世界を理解するために使ってきたカテゴリーが有効ではないとしたら、では、彼らから導き出せる思想とは…… 思想家マーク・フィッシャーの冴え渡る考察がスリリングに展開する、彼の文化論集にして、もう一冊の代表作。
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虫めづる美術家たち | 芸術新聞社
¥2,750
芸術新聞社 2023年 ハードカバー 164ページ A5変型判 - 内容紹介 - 虫好きの虫好きによる虫好きのための作品集、爆誕。 石彫や木彫、自在置物、木象嵌、竹細工、日本画などジャンルの垣根を越えて、 虫をモチーフに選んだ型破りな美術家20名が大集結! 昆虫学者・丸山宗利氏によるワンポイント解説も掲載! ▼掲載作家 宇田川誉仁、ウチダリナ、大竹亮峯、奥村巴菜、小島久典、 小島康加、小橋順明、小松孝英、齋藤徳幸、佐藤正和重孝、 新野洋、つのだゆき、外山諒、春田幸彦、樋口明宏、 福井敬貴、福田亨、堀貴春、満田晴穂、牟田陽日 ▼鼎談 虫を求めて美術史探訪 佐藤正和重孝×満田晴穂×福井敬貴 理想の蝶を追い求めて 外山諒×福田亨×工藤誠也 ▼コラム 昆虫×美術の最前線で何が起きたのか 下川拓郎 日本美術に描かれた虫たち 安村敏信
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明日少女隊作品集|We can do it ! : アート×フェミニズム×アクティビズム | 明日少女隊, 由本みどり, 竹田恵子, 吉良智子, 嶋田美子, 山本浩貴
¥1,870
アートダイバー 2023年 ソフトカバー 156ページ B5判 - 内容紹介 - 「第4波フェミニズム」期のまっただなか、2015年に誕生した社会派アートグループ「明日少女隊」。これまでの作品や活動を網羅するだけでなく、ジェンダー学の基礎知識や時事問題をふんだんに盛り込み、「フェミニスト×アート」を実践的に学べる入門書決定版! 世界中に散らばる約50名の隊員で構成され、ピンクのマスクがトレードマークの匿名アーティスト集団「明日少女隊」。本書は、フェミニズムの旗を掲げ結成した2015年から、2023年の最新作までを収録した初の作品集です。フェミニズムに関わる社会の出来事を年表化しながら、それに応答してきた「明日少女隊」の活動を時系列に追いかけます。 明日少女隊の特徴は、アートとしてフェミニズム問題を表現するだけでなく、実際に社会への強い働きかけを行うところにあります。その活動範囲は広く、性犯罪に関わる刑法の改正、広辞苑のフェミニズムの定義の見直しのほか、「慰安婦」問題やトランスジェンダーの権利問題など多岐にわたります。 本書の特筆すべきポイントは、単に作品集であるだけでなく、女性の参政権獲得に始まるフェミニズムの歴史を解説するなど、フェミニズムの入門書としても使えるように基礎知識をわかりやすく説明しているところです。外部の有識者による寄稿や対談を盛り込み、また会話形式や吹き出しを多用することで、フェミニズムを身近に感じることができる一冊となっています。 フェミニズムは今日盛り上がりをみせていますが、美大などの専門の教育機関でさえ、アートとフェミニズムの両方を学ぶ機会は少ない現状にあります。本書は、こうした状況を打開すべく、フェミズム・アートを一から学びたい方のためにつくられており、それは、「全ての性の平等を願うフェミニズムの思想」を広める明日少女隊の活動そのものといえる書籍となっています。 - 目次 - 明日少女隊マニフェスト 明日少女隊とは? 明日少女隊と見るフェミニズム年表 2010年代から始まったフェミニズム「第4波」ってなに? 明日少女隊を通して考えるフェミニスト・アート入門 文・由本みどり 明日少女隊フェミニズム年表&アクション2015-2023 2015年 なれるものなら“Happy彼女” “Happyカップル”になるために、終わりにしよう!「デートDV」と「性的役割分業」 東の果ての少女 美しきシングルマザー フツーの家族 戦後女性感謝プロジェクト あきらめない! 選べる夫婦別姓 世界フェミCM大賞2015 2016年 隠れフェミニストへの感謝状 ガールズ・パワー・パレード Believe~わたしは知ってる~キャンペーン 性犯罪規定を見直す改正刑法が成立 ドラマや映画・本で性暴力を学ぼう! ビリーブ・キャンペーンのデザインについて 2017年 ウィメンズ・マーチ 女子力カフェ 明日少女隊と選挙 ジェンダー問題 21世紀の政治家失言集 メイデー・マーチ バックラッシュとポストフェミニズム 文・竹田恵子 広辞苑キャンペーン 2018年 忘却への抵抗inロサンゼルス 明日少女隊と考える慰安婦問題入門/「慰安婦」問題は、#MeTooだ アート界の#MeToo#私たちは驚きません 2019年 忘却への抵抗inソウル 忘却への抵抗in東京 エンパワメント・マーチ 2020-2023年 無意識に誰かを傷つけないために 明日少女隊のコロナ禍でのアクティビズム 男女二元論を超えて 私のことは私が決めるマーチ フェミニズムはトランスと共に ライフライン 対話・論考・資料 対談「碧志摩メグ」公認撤回運動の成果 吉良智子×明日少女隊 対談「慰安婦」問題とフェミニズム 嶋田美子×明日少女隊 変化すべき日本美術界における構造 文・竹田恵子 ソーシャリー・エンゲージド・アートとしての明日少女隊 文・山本浩貴 明日少女隊略歴 あとがき 隊員・協力者一覧
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芸術論 | 宮島達男
¥1,760
アートダイバー 2017年 ソフトカバー 136ページ 四六判 - 内容紹介 - すべての人がアートと共に生きる世界をめざす「Art in You」 宮島達男の最新の芸術論が詰まった箴言集 1988年、最も権威ある国際美術展「ヴェネツィア・ビエンナーレ」の若手作家部門「アペルト88」にて世界の注目を浴びて以来、国際的な活躍を続ける宮島達男。1999年のヴェネツィア・ビエンナーレでは日本代表として参加し、その評価を確実なものにしました。これまでの作品発表は、世界30カ国250カ所以上に及びます。 2000年代に入ってからは、2006年~2016年に東北芸術工科大学副学長、2012年~2016年に京都造形芸術大学副学長と教育の現場に立ち、後進の指導にあたってきました。 とりわけ教育に関わったこの10年は、作品発表とは違って、「言葉」を用いてメッセージを伝えることが多く、それをまとめたいという想いからできあがったのが、この書籍です。 構成は、大きく3つの章にわかれています。 第Ⅰ章「哲学の深淵を語る」は、宮島が信頼を置く編集者・東晋平によるインタビューをもとに、新たに書き下ろされました。宮島の作品に通底する「3つのコンセプト」=〈それは、変化し続ける/それは、あらゆるものと関係を結ぶ/それは、永遠に続く〉の解説にとどまらず、さらにその深層にありながら、これまで発表されてこなかったフランス思想や仏教思想のルーツにまで迫った、まさにアーティスト宮島達男の核となるテキストです。 第Ⅱ章「日々の言葉」では、2010年~16年までの宮島のツイートから、「アーティストとしての心得」や「考えるためのヒント」などが平易な言葉で語られ、第Ⅲ章「芸術と平和」では、2001年~15年に新聞などに寄稿したテキストの数々などをまとめました。 また、作品制作の過程で生まれるアイデアスケッチやドローイングなど、書籍初収録となる貴重な図版も多数掲載し、言葉のみならずビジュアルでも、宮島芸術の根幹に触れることができる書籍となっています。 近年、宮島は前述の3つのコンプトに加え、「Art in You」という概念を提唱しています。これは、アーティストだけがアートの主体者ではなく、あらゆる人にアート的な感性があり表現が可能であるという意味であり、すべての人がアートを通じてよりよい人生を送ることを提示しているのです。この本を通じて、読者のみなさまがそれぞれの「Art in You」を体得するきっかけになりますように。 目次 Ⅰ 哲学の深淵を語る 「それ」とは何か 三つのコンセプト 作品(ドローイング) Ⅱ 日々の言葉 アーティストとして生きる君へ 創造の海 思考する石 Ⅲ 芸術と平和 被爆「柿の木」二世根づく 旭日興年 芸術と評価 卒業 子どもにもっと芸術を アーティストとして生きること 教育に携わる理由 作品の名前 マチュピチュと東北R計画 エイズ孤児と芸術の出会い 冬は必ず春となる Art in You 枯山水における「見立て」 芸術と平和学 ドローイングとデッサン 作品の永遠性と保存 アーティストの未来 作品リスト あとがき - 著者プロフィール - 宮島達男 (ミヤジマ タツオ) (著/文) 現代美術家 1986年東京藝術大学大学院修了。1988年ヴェネツィア・ビエンナーレ、新人部門に招待され、デジタル数字を用いた作品で国際的に注目を集める。以来、国内外で数多くの展覧会を開催。世界30カ国250カ所以上で作品を発表。最近の主な個展としては、「生と死─ 命の光」展(霧島アートの森、2015年)、「コネクト・ウィズ・エブリシング」(シドニー現代美術館、2016年)がある。1993年ジュネーブ大学コンペティション優勝。1998年第5回日本現代芸術振興賞受賞。1998年ロンドン芸術大学名誉博士授与。2006 -2016年東北芸術工科大学副学長。2012 -2016年京都造形芸術大学副学長。代表作に「メガ・デス」など。また、長崎で被爆した柿の木2世を世界の子どもたちに育ててもらう活動、「時の蘇生・柿の木プロジェクト」も推進している。
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近代美術史テキスト | 中ザワヒデキ
¥550
アートダイバー 1989年 ソフトカバー 44ページ 150×105mm - 内容紹介 - 1989年に発行されて以来、すでに24刷(2022年9月)となるベストセラー。A6判変(150×105mm)、44ページというポケットサイズの本ですが、驚くことにテキスト、図版まですべてが中ザワヒデキの手書きからなる近代美術史テキストです。扱う範囲は、1874年の印象派誕生から1980年代のイラストレーションの動向まで、約100年の近代美術史となっています。サイズ感や価格の安さ、中身の強烈なオリジナリティなどから、手にとればたいていの人が欲しくなる名著です。
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金子國義スタイルブック | 金子 修, 岡部 光
¥1,980
アートダイバー 2016年 ソフトカバー 112ページ 四六変型判 - 内容紹介 - 金子國義がこの世に遺したスタイリッシュな言葉の数々を、 名作、未発表作など約45作品とともにお届けします。 2015年3月、画家・金子國義が逝去しました。この稀有な画家が残した名作の数々は、これからも時代を超えて愛され続けていくことでしょう。歌舞伎の舞台美術家のもとで修行し、日本の伝統芸能やその美意識を徹底的に学びながら、同時にヨーロッパの文化にも精通していた金子國義の作風は、唯一無二の魅力に溢れており、今後ますますグローバルな注目を集めるに違いありません。 金子作品の最大の魅力は、画家の存在そのものが作品世界に強く投影されていることです。「人生を謳歌しよう」「美しく生きよう」という姿勢に貫かれた哲学、いわば金子スクールの教えは、そのお弟子さんや私淑していたアーティストのなかで確実に引き継がれているのです。 本書では、金子國義がそうした人々に向けて実際に発した言葉やメッセージを、スタジオ・カネコ協力のもと、関係者への取材を通して集め、代表作とともに掲載します。その内容は、芸術に限ったものではありません。かつて日本の家庭でごく自然に教えられ、私たちが身につけていった「所作」「おもてなしの心」、そして「美しく生きるためのヒント」などが、金子國義ならではのセンスやユーモアに彩られた言葉として現れます。 みなさんに、この本を日々の生活のなかに取り込んでいただくように、バッグに入れて持ち歩けるハンディなサイズに仕上げました。このハンドブックを日々眺めながら、金子美学の詰まった言葉や絵の数々が、「あなただけの美しいスタイル」をつくるうえで、お役にたつことを祈っております。 - 著者プロフィール - 金子 修 (カネコ オサム) (著/文 | 編集) Studio Kaneko代表 1994年、偶然に知り合った金子國義の勧めにより上京、助手となる。2002年、養子縁組を果たし「金子修」に。マネジメント業の傍ら数々の展覧会を運営し、また装丁や浴衣に代表される〈金子デザイン〉の一端を担うなど、最も近しい存在として公私にわたり画家を支え続ける。2015年、金子國義逝去の後は、Studio Kaneko代表として作品管理のほか、展覧会、イベント、出版などを運営している。 岡部 光 (オカベ ヒカル) (著/文 | 編集) クリエイティブ・ディレクター、コピーライター 獨協大学外国語学部英語学科卒業。在学中よりアートイベントの仕事に携わる。卒業後は広告代理店、海外アーティスト招聘会社などに勤務。1990年、渡伊。帰国後は、バイリンガル・メディアを中心に、クリエイティブ・ディレクター、コピーライター、執筆家として活躍する一方、プログレッシブなブラジル音楽ユニットBossa Connectionなど、新進気鋭のアーティストのプロデュースを手がける。
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基礎から学べる現代アート | 亀井博司, 山本浩貴
¥1,980
晶文社 2023年 ソフトカバー 160ページ A5判 - 内容紹介 - 現代アートの始まりは、デュシャンの『泉』といわれています。なぜ既製品の便器をひっくり返したものがアートなのか? 本書を読めば、現代アートが誕生した背景から現代までの歴史的な流れが手に取るようにわかります。現代アートに初めて興味をもった中高生から、現代アートを基礎から学びたいと思っている全ての人への、とっておきの入門書。[推薦のことば]現代アートのアレコレがこの1冊で学べます!! 必読ですっ!!声優・下野 紘常々思っていました……“ このチャンネルの動画を美術の教科書にすべきだ”と…………って、え!? 書籍化!?本当に教科書にできるじゃないですか!!声優・武田羅梨沙多胡 目次 はじめに 第1章 現代アートの種―― フォーヴィズム、キュビズム、ダダイスム 第2章 現代アートの萌芽―― シュルレアリスム 第3章 現代アートの成長―― 抽象表現主義 第4章 現代アートの発展―― ミニマルアート、コンセプチュアルアート、ランドアート 第5章 現代アートの開花―― ネオダダとポップアート 第6章 現代アートの結実―― オリエンタリズムとリレーショナルアート、ソーシャリーエンゲージドアート 第7章 現代アートの成熟―― シミュレーショニズムとネオポップ 第8章 現代アートの最前線 第9章 現代アートのマーケット事情 おわりに
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なぜ脳はアートがわかるのか 現代美術史から学ぶ脳科学入門 | エリック・R・カンデル, 高橋洋(翻訳)
¥3,520
青土社 2019年 ハードカバー 256ページ 四六判 - 内容紹介 - 脳、前衛芸術に挑む。 絵画を見て、それを「よい」と思うとき、脳では何が起こっているのか。複雑怪奇な前衛芸術が「わかる」とはどういうことなのか。ノーベル賞を受賞したエリック・カンデルが、脳科学、医学、認知心理学、行動科学から美学、哲学まで、あらゆる知を総動員し、人間の美的体験のメカニズムを解き明かす。
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芸術のわるさ コピー、パロディ、キッチュ、悪 | 成相 肇
¥3,520
かたばみ書房 2023年 ソフトカバー 400ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ26mm - 内容紹介 - 転換期にはいつも、持たざる者の技術があらわれる―― 雑誌、マンガ、広告、テレビなど1970年代前後の複製文化を読みとき、 機知と抵抗の技術として今に甦らせる。 〈わるさ〉が語る、もうひとつの戦後日本文化史。 パロディ裁判、岡本太郎への疑問、ディスカバー・ジャパン論争、 コピーと芸術家のもつれあい、マンガと美術のすれちがい、石子順造の思想、 赤瀬川原平と器用人、そして「食人」の教え……。 美術と雑種的な視覚文化を混交させる展覧会を企画してきた 異色の学芸員による、ゆかいな複製文化論。 アウトかセーフかの呪縛からの解放のために。 すべての持たざる者たちのために。 硬直化した思考をときほぐす、笑える批評の登場! 目次 不幸なる芸術 ファウルブックは存在しない(解題・不幸なる芸術) Ⅰ コピー コピーの何が怖いのか? ゼログラフィック・ラヴ ディスカバー、ディスカバー・ジャパン すべては白昼夢のように――中平卓馬、エンツェンスベルガー、今野勉 植田正治にご用心――記念写真とは何か Ⅱ パロディ 「パロディ、二重の声」のための口上 パロディ辞典(第二版) 未確認芸術形式パロディ――ことのあらましと私見 オリジナリティと反復の満腹――パロディの時代としての一九七〇年代前後左右 二重の声を聞け――いわゆるパロディ裁判から パロディの定義、テクストの権利 Ⅲ キッチュ 「的世界」で考えたこと 石子順造小辞典 匿名の肉体にさわるには――石子順造的世界の手引き 石子順造的世界――脈打つ「ぶざまさ」を見据えて 石子順造と千円札裁判 「トリックス・アンド・ヴィジョン展――盗まれた眼」――一九六八年の交点と亀裂 Ⅳ 悪 口上 歌が生まれるとき(祈祷師たちのマテリアリズム) 「岡本」と「タロー」は手をつなぐか 俗悪の栄え――漫画と美術の微妙な関係 岡本太郎の《夜明け》と《森の掟》についての覚え書き リキッド・キッドの超能力――篠原有司男(ギュウちゃん)の音声と修辞学 目が泳ぐ――いわさきちひろの絵で起こっていること (有)赤瀬川原平概要 神農の教え あとがき 風邪はほどよく引いたほうが健康のためになるのだと申します。 規制だ自粛だ炎上だ、殺虫滅菌消毒無害を追い求め、 僅かなほこりも逃さぬ不健康な迄の徹底した衛生潔癖の果てに、 いつしか虫菌毒害の澱は タールの如く黒々と粘り気を増す一方でございます。 かの柳田國男が悪の技術の必要を説いてはや80年、 型通りの道徳の修得の裏で悪徳の術はもはや衰微の極み。 じつにきれいに棲み分けた個と個とが、ひとたび接触して差し迫れば、 シネの一言で事を荒立てる稚拙を培い、読んで字の如く単刀直入に斬り込む 芸なき安易さがはびこっております。 火を使わねば火事が起こらぬわけでも無し。 火の育て方の忘却が消し方の喪失につながるのと同様に、 合理に溺れて悪の修練を怠ったが故にこそ、残虐を進んで招き入れているのではありますまいか。 関係を主題に謳う芸術に数あれど、その大方が掲げる「善き」関係は、 窮屈と退屈で編まれた世の道理に収まるのが落ちでありましょう。 (続きはためし読みでご覧ください) - 版元から一言 - ■著者は、東京国立近代美術館主任研究員。 商学部の学生だったとき、現代美術家に出会って雷に打たれ、19歳で初めて美術館を訪ねたといいます。雑種的な視覚文化を美術館にもちこんで〈芸術〉をくすぐってきた学芸員の、満を持してのデビュー作。大道芸のような語りで表現の可能性を呼び覚ます、痛快な読みものをぜひお楽しみください。 ■法と芸術をめぐる「二重の声を聞け」は本邦初公開。16年に及んだパロディ裁判の全判決に対する、美術の側からの精緻な分析は他に類をみません。法曹関係者、クリエイター必読の論考です。 - 著者プロフィール - 成相 肇 (ナリアイ ハジメ) (著) 東京国立近代美術館主任学芸員。美術批評家。1979年島根県生まれ。大学在学中に現代美術家に出会って雷に打たれ、19歳で初めて美術館を訪ねる。一橋大学大学院言語社会研究科修了。美術と雑種的な複製文化を混交させる企画を手がけながら、府中市美術館、東京ステーションギャラリー学芸員を経て2021年より現職。主な企画展に「石子順造的世界――美術発・マンガ経由・キッチュ行」(第24回倫雅美術奨励賞)、「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン――「遠く」へ行きたい」、「パロディ、二重の声――日本の一九七〇年代前後左右」、「大竹伸朗展」など。
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撹乱分子@境界 - アート・アクティヴィズム2|北原 恵
¥2,750
インパクト出版会 2000年 ハードカバー 254ページ 縦210mm - 内容紹介 - 美術作品や広告などのヴィジュアル・カルチャーにおける女性の表象をフェミニズムの立場から分析し、アーティスト達の抵抗・転覆・浮浪の表現について考察。雑誌『インパクション』連載原稿を1冊に収録。
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アート・アクティヴィズム|北原 恵
¥2,530
インパクト出版会 1999年 ハードカバー 197ページ 縦210mm - 内容紹介 - 本書のなかで著者は北米を中心に活動する様々なアーティストを取り上げたが、それらの作品に共通するのは、抵抗/転覆/浮浪の表現だと言えるだろう。たとえば、強姦神話やドメスティック・バイオレンスへの抵抗。ゲリラ・ガールズやバーバラ・クルーガーの作品に見られるような、ファロクラシーと家父長制の転覆の企図。あるいは、自称「デジタル版浮浪労働者」のシューリー・チェンや、劉虹、ヨンスン・ミンなどの在米アジア系アーティストによるオリエンタリズムへの批判と転覆の視線。彼女たちのアートは、「想像力のかけらのはいった万華鏡」のごとく思いがけないヴィジョンを見せてくれる。 目次 ゲリラ・ガールズ-アメリカにおけるフェミニスト・ゲリラ ジェニー・ホルツァー-都市空間を乗っ取るフェミニストのアート 劉虹-「フォーチュン・クッキー」のアート スー・コー-検閲された「強姦」 ヨンスン・ミン-「エキゾチックなアジア」像の解体へ シューリー・チェン-「トリプル・マイノリティ」のどんでん返し 「観光」「見物」のまなざしへのカウンターアート-ココ・フスコ、ツェン・クォンチ 強姦神話の解体に向けたアート-アメリカのフェミニストの戦略 性暴力のドキュメント-ダナ・フェラート WAC-直接行動のアート・パフォーマンス〔ほか〕
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遠く、近く 掛井五郎のこと|佐伯 誠
¥2,420
リトルギフトブックス 2023年 ハードカバー 80ページ 袋とじ B6判 縦180mm 横128mm 厚さ13mm - 内容紹介 - 静岡に生まれ、日本各地にパブリックアートをのこした彫刻家、掛井五郎。銀座の画廊主は「ピカソが嫉妬するだろう」と言い、染色家・柚木沙弥郎さんは「掛井さんはぼくの先生です」と慕います。 初期のブロンズは重厚で力動にあふれたものでしたが、それに満足することなく、フォルムは歪んだり膨らんだり縮んだりして奔放な変容をつづけました。2021年秋、91歳で他界するまで創造力はとどまるところを知らず、小淵沢の収蔵庫には彫刻、ドローイング、ガラス、版画、オブジェなど、ジャンルを超えて2万点を超える厖大な作品がのこされています。 「会っているとき、もうこんな人には会えないんだぞ、そんな胸苦しさを覚えたことがあるだろうか? いきなり現れたのが掛井五郎だった。内に火焔獣を抱えた人で、そばにいるとたえず熱気がたちこめているのを感じた。それが動きを止めたとはとうてい信じられない。すべてがかき消されないうちに、覚えていることの欠片をひろいあつめておこうと思った」(佐伯誠/文筆家)。 あまりに変貌がめまぐるしいために、これまで論じられることの少なかった彫刻家の、知られざるチャーミングな素顔、謹厳さににじむユーモア、逸話のかずかず。版画10点の挿画とともにお届けします。 - 目次 - 移動祝祭日 なんてロマンティック 垂直人間 彫刻の小舎 夏の花 ニンゲンの面影 彫刻家のパレット 雷鳥の森のこと 帰郷 ミツバチのように バンザイ・ヒルのこと 彼の孤独 ノアの方舟 陽気さが溢れて止まらなくなった 工作人 おいしいのか不味いのか 長い長い旅 紙の彫刻 感情教育 異星からの隕石のように 「五郎さんと出会って」掛井芙美 - 前書きなど - 会っているとき、もうこんな人には会えないんだぞ、そんな胸苦しさをおぼえたことがあるだろうか? ずっと彫刻家というものにあこがれがあった。物質と精神とのあいだに渡された綱を渡る人。その渾身の力業こそは、創造の王にふさわしいと思ったから。いきなり、あらわれたのが彫刻家の掛井五郎だった。内に火焔獣をかかえた人で、そばにいるとたえず熱が立ち込めているのを感じた。 最後の最後まで、手を動かしつづけて止めようとしない創造力の塊だった。それが動きを止めたとは、とうてい信じられない。すべてがかき消されないうちに、おぼえていることを欠片をひろいあつめておこうと思った。 人の苦難にみちた人生を、軽々しく語ったり要約してはいけないことは知っている。できたとしても、ひっかき傷くらいのことしか書けないにきまってる。それでもこうして書いたのは、生前には叶わなかった対話をぞんぶんにしたかったからだ。闇のむこうに、鉛筆を走らせたり、粘土をこねたり、あたらしいカタチをこしらえているあなたの丸まった背中が見える。 - 版元から一言 - 2021年秋に掛井五郎さんが他界してから、いくつもの雑誌で特集が組まれ、追悼展が開かれ、彼がいかに多くの人に慕われてきたかを実感しました。昨年、日本屈指のギャラリストであるタカ・イシイの目に留まり、専属契約を結んで、海外への展開も始まっています。パリ、香港に続き、2023年6月にはスイスへ。世界最大希望のアートフェア、アート・バーゼルへ出展予定で、作品カタログの準備も進められています。掛井がのこした2万点もの作品に、翼が生えて、まさに飛び立とうとしています。 本書は、掛井さんがもっとも信頼を寄せていた文筆家、佐伯誠さんによる散文集です。佐伯さんといえば、パリの孤高のアーティスト、ローベル・クートラスを世に知らしめた人物です。 掛井五郎の彫刻作品についてだけではなく、これまでほとんど論じられることのなかった頑固な一面やチャーミングな素顔、夫婦の絆などがしたためられ、心が温かくなる一冊に仕上がりました。 並製ながら袋とじ、カバーなし帯つき、など、紙や製本にもこだわりました。手ざわりがよく、紙の本としての存在感があるのも特徴です。 - 著者プロフィール - 佐伯 誠 (サエキ マコト) (文) 文筆家。心がけているのは、go solo! 自分の足で歩いて、自分の目で見ること。原石を探すこと。第一発見者になること。不世出の天才、KAKEI GOROに遭遇してずっと、こんなにすごい作家がいるぞ! と叫びたかった。どうして論じられないのか、いつも不満と怒りを抱いてきたが、ようやく、KAKEI GOROの世紀が始まろうとしている。ささやかなオマージュの花束を捧げることができて、こんなにしあわせなことはない。
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絵画の政治学|リンダ・ノックリン, 坂上 桂子(翻訳)
¥1,650
筑摩書房 2021年 ちくま学芸文庫 ソフトカバー 432ページ 文庫判 - 内容紹介 - ジェンダー、反ユダヤ主義、地方性……。19世紀絵画を、形式のみならず作品を取り巻く政治的関係から読み解く。美術史のあり方をも問うた名著。 === 美術における政治的なものをどのように考えるべきか。クールベやマネ、ドガ、スーラらの19世紀絵画を、ヨーロッパ/オリエント、純粋芸術/大衆芸術、男性/女性といった、作品を取り巻く社会的・政治的関係性から読み解いていく。フェミニズムをひとつの起点として、より広く「美術史を〝他者性〞の視点から考える」ことを目指した本書は、作品の新たな見方を提示するのみならず、従来の美術史規範の妥当性、イデオロギー性への問いをも投げかけた。表現形式の議論に偏重していた近代美術史に政治的視点をもたらし、美術史研究に新たな1ページを付け加えた名著。 === ヨーロッパ/オリエント、 男性/女性、純粋芸術/大衆芸術…… 〈他者〉から問う美術史 === 【目次】 1 アヴァンギャルドの創造―フランス、1830‐1880 2 クールベ、オリェールと場所の意味―19世紀美術における地域性、地方性とピクチャレスク 3 虚構のオリエント 4 カミーユ・ピサロ―気取らない眼 5 マネの《オペラ座の仮面舞踏会》 6 ファン・ゴッホ、ルヌアールとリヨンにおける織工の危機 7 レオン・フレデリックと〈労働者の人生の段階〉 8 ドガとドレフュス事件―反ユダヤ主義者としての画家の肖像 9 スーラの《グランド・ジャット島の日曜日の午後》―反ユートピアの寓意 文庫版訳者あとがき 原注/図版リスト - 著者プロフィール - リンダ・ノックリン (リンダ ノックリン) (著/文) 1931-2017年。ニューヨーク生まれ。美術史家。イェール大学、ニューヨーク大学インスティテュート・オブ・ファイン・アーツなどで教鞭をとった。論文“Why Have There Been No Great Women Artists?(なぜ偉大な女性の美術家はいなかったのか?)”で、フェミニズム美術史の論客として有名に。著書にWomen, Art and Power and Other Essaysなどがある。 坂上 桂子 (サカガミ ケイコ) (翻訳) 専門は美術史。早稲田大学文学学術院教授。
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拡張するイメージ 人類学とアートの境界なき探究|藤田 瑞穂, 川瀬 慈, 村津 蘭
¥2,970
亜紀書房 2023年 ソフトカバー 404ページ 四六判 - 内容紹介 - 《「イメージ」に何ができるのか? 》 ケニアと日本をつなぐ洗濯物、風を可聴化するハープ、コロナ禍を経た展示──。 アートと人類学が切り結ぶ場所で、まだ見ぬイメージの可能性を考える11人の、研究、制作、展示をめぐる実践と思考。 ---------------------- 人間が抱くイメージをさまざまに表現してきたアート。 文化や技術、宗教とそれらに結びついたイメージの多様性を探究してきた人類学。 ふたつの交わるところで研究、制作、展示を行う11人の実践から、「イメージ」という言葉が持つ豊かな広がりが見えてくる。 目次 ◆はじめに……藤田瑞穂、川瀬慈、村津蘭 第1部 拡張するフィールド ■村津蘭……妖術と人類学の喚起、その拡張 ■ふくだぺろ……具象のポリフォニー──音―イメージ知性の特徴とダイアローグ 第2部 隔たりなき表現活動──制作と研究 ■西尾美也……生を変容させるアートプロジェクト──《感覚の洗濯》の着想から記録方法まで ■柳沢英輔……エオリアン・ハープの実践を通して再構築される身体と環境の関係性 ■鼎談〈西尾美也×柳沢英輔×藤田瑞穂〉……芸術実践と学術研究をつなぐために 第3部 表現と社会──不可能を超えるイメージ ■奥脇嵩大……私は鹿で太陽で、そして私たち──近年の志賀理江子による協働を介したイメージ実践の可能性 ■佐藤知久+矢野原佑史……社会性の芸術──映像が媒介する接触と波動について 第4部 映画におけるイメージとその拡張 ■金子遊……ゾミアの遊動民──映画『森のムラブリ』をめぐる旅 ■小川翔太……証言者の沈黙をめぐる映像作家の表現(コトバ)──映像/イメージ 第5部 イメージの脈動 ■藤田瑞穂……パンデミック後のイメージの行方──「静のアーカイブ」から「動的イメージ」へ ■川瀬慈……イメージの吟遊詩人 ◆おわりに - 著者プロフィール - 藤田 瑞穂 (フジタ ミズ ホ) (著/文 | 編集) 〈京都市立芸術大学〉 1978年兵庫県生まれ。京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAチーフキュレーター/プログラムディレクター。専門は現代美術、表象文化論。同時代を生きるアーティストやさまざまな分野の専門家と協働し、領域横断的な展覧会やアートプロジェクトの企画を手がける。 川瀬 慈 (カワセ イツシ) (著/文 | 編集) 〈国立民族学博物館〉 1977年岐阜県生まれ。エチオピアの吟遊詩人の人類学研究、民族誌映画制作に取り組む。人類学、シネマ、アート、文学の交差点から人文学における創造的な叙述と語りを探求する。 村津 蘭 (ムラツ ラン) (著/文 | 編集) 〈東京外国語大学〉 1983年大阪府生まれ。専門は映像人類学、宗教人類学、アフリカ地域研究。これまでの研究テーマとして、ベナンにおけるキリスト教系新宗教、妖術師、悪魔祓いなどがある。映像、フィクション、インスタレーションなど様々な方法による人類学を試行している。
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ギャラリーストーカー 美術業界を蝕む女性差別と性被害|猪谷千香
¥1,760
中央公論新社 2023年 ソフトカバー 232ページ 四六判 - 内容紹介 - 美大卒業後、作家として自らを売り出したいと願い、一人ギャラリーに立つ若い女性作家につきまとうギャラリーストーカー。美術業界の特殊なマーケットゆえに、被害から免れることが極めて難しいという異様な実態がある。孤軍奮闘する若い女性作家につきまとうのは、コレクターだけではない。作家の将来を左右する著名なキュレーター、批評家、美術家など、業界内部の権力者によるハラスメント、性被害も後を絶たない。煌びやかな美術業界。その舞台裏には、ハラスメントの温床となる異常な構造と体質、伝統があった! 弁護士ドットコムニュース編集部が総力を挙げて取材した実態と対策のすべて。 - 著者プロフィール - 猪谷千香 (イガヤチカ) (著/文) いがやちか 東京生まれ、東京育ち。明治大学大学院博士前期課程考古学専修修了。産経新聞文化部記者などを経た後、ドワンゴでニコニコ動画のニュースを担当。2013年からハフポスト日本版でレポーターとして、さまざまな社会問題を取材。2017年から弁護士ドットコムニュース編集部で記事を執筆。著書に『日々、着物に割烹着』、『つながる図書館』『町の未来をこの手でつくる 紫波町オガールプロジェクト』など。
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NHK出版 学びのきほん 感性でよむ西洋美術|伊藤 亜紗
¥792
NHK出版 2023年 ソフトカバー 144ページ A5判 - 内容紹介 - 著者初、美術の入門書。 2500年もの歴史をもつ「西洋美術」。その膨大な歴史や作品を理解するのは至難の業だ。しかし、5つの様式から「大づかみ」で概観すれば、「この時代の作品はこんな感じ」という全体像が見えてくる。キーワードは「感性」。古代から20世紀まで、約40点の名作を鑑賞して、感じたことを言葉にしてみれば、作品理解がぐっと深まる。「ルネサンスはなぜ重要なの?」「マネの何が革新的なの?」「ピカソはなぜ不思議な絵を描くの?」。美術館に行くと、まず解説を読んでしまう鑑賞法から卒業できる、新感覚の美術入門! カラー口絵32ページ。 - 著者プロフィール - 伊藤 亜紗 (イトウ アサ) (著/文) 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授、東京工業大学科学技術創成研究院未来の人類研究センター長。東京大学大学院人文社会系研究科美学芸術学専門分野博士課程修了(文学博士)。専門は美学、現代アート。著書に『ヴァレリーの芸術哲学、あるいは身体の解剖』(水声社)、『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社新書)、『目の見えないアスリートの身体論』(潮新書)、『どもる体』(医学書院)、『記憶する体』(春秋社)、『手の倫理』(講談社メチエ)、『体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉』(文藝春秋)など多数。
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図説 セザンヌ「サント=ヴィクトワール山」の世界 | 工藤 弘二
¥3,960
創元社 2022年 ハードカバー 169ページ B5変型判 縦242mm 横190mm 厚さ17mm - 内容紹介 - 孤高の画家が描き続けた故郷の象徴、 「サント=ヴィクトワール山」の 軌跡をたどる。 故郷のプロヴァンスと芸術の中心地パリ―― “近代絵画の父”セザンヌは、 なぜフランスの南北を往復し続け、 繰り返し「サント=ヴィクトワール山」を描いたのか? 「描かれた場所」からその全貌を解説する初の一冊。 知られざる水彩画を含む すべての「サント=ヴィクトワール山」と その関連作を集めた、永久保存版資料。 〈全83点、完全収録!〉 ********* セザンヌは私の、 唯一無二の師だったのです! 私が彼の絵画にまなざしを向けたのを よく考えてみてください。 セザンヌの絵画を研究するのに 私は何年もかけました。 セザンヌ! 彼は、 私たち皆の父のようでした。 私たちを守ったのは、彼なのです。 ――パブロ・ピカソ * 私の人生を通じて 彼の素晴らしい模範がもたらした 道徳的な力と励ましのすべてを、 あなたがご存知でしたら! 暗中模索の時期、 いまだに私が自分を探していたときに、 自らの発見にしばしばたじろぎを感じて、 こう考えたものです。 「もし、セザンヌが正しいなら、 私は正しい」と。 セザンヌが間違えなかったことが、 私にはわかっていたのです。 ――アンリ・マティス ********* 【本書の特長】 ◆「サント=ヴィクトワール山」の歩みと 制作の背景、見どころを徹底解説。 ◆活動拠点となったパリと プロヴァンスの風景画も数多くクローズアップ。 ◆水彩画を含む「サント=ヴィクトワール山」 全83点を収録した永久保存的資料。 ********* 【シリーズ好評既刊!】 『図説 モネ「睡蓮」の世界』安井裕雄 著 すべての「睡蓮」を集めた永久保存版資料。 〈全308作品、完全収録!〉 ********* 目次 Chapitre I パリ ――画家になることを夢見て、芸術の都へ Chapitre II プロヴァンス ――強烈な陽光の下に生まれた新たな創造性 Chapitre III サント=ヴィクトワール山 ――郷土を象徴する「聖なる勝利の山」 (コラム) 川を描く 湖を描く 海を描く 岩を描く ガスケの見たセザンヌ セザンヌとルノワール ドニとルーセルの見たセザンヌ 想像のサント=ヴィクトワール山 セザンヌをめぐる画家たちの言葉 ……ほか - 著者プロフィール - 工藤 弘二 (クドウ コウジ) (著/文) 東北大学文学研究科博士課程単位取得退学。国立新美術館アソシエイトフェローを経て、現在、ポーラ美術館学芸員。担当した展覧会に「セザンヌ-パリとプロヴァンス」(2012年、国立新美術館)、「セザンヌ-近代絵画の父になるまで」(2015年、ポーラ美術館)、「モネとマティス-もうひとつの楽園」(2020年、ポーラ美術館)、共著に『セザンヌ-近代絵画の父、とは何か? 』(2019年、三元社)など。
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現代写真アート原論 「コンテンポラリーアートとしての写真」の進化形へ | 後藤 繁雄(編集), 港 千尋(編集), 深川 雅文(著/文)
¥2,200
フィルムアート社 2019年 ソフトカバー 296ページ 四六判変形 - 内容紹介 - インスタグラムの時代の現代写真アートとは何か? デジタル化以降、「真」を写す=写真という従来の概念が大きな変化を見せるいま、現代アートとしての写真の新しい「原論」を提示する。 銀板を用いた撮影法により写真が誕生してから180年──いまや誰もがスマートフォンで日常的に簡単に「撮影」でき、それを加工し、インスタグラムをはじめとするSNSで世界中に発信でき、インターネット上には無数の写真データが存在する時代となった。デジタル化し遍在化した「写真」には大きなパラダイムシフトが起こっている。 グローバル資本主義のなかで流動化するコンテンポラリーアートの世界でも、「写真アート」は存在感を増し、一点数億円で落札されるプリントからインスタレーションやプロジェクション、ポストメディウムの作家まで、新しく多様な才能が活躍している。コンピュータ・サイエンスやネット・テクノロジーの大きな変化に晒される社会で、いかに一枚の写真がアートとしての価値を生成するのか──本書は「現代写真アート」の世界をめぐる羅針盤となるだろう。 写真そのもののメディアとしての起源を問い、写真の概念の再定義を試みるとともに、現代アートとしての写真の可能性を問う、待望の一冊。 《本書で言及される主なアーティスト》 トーマス・ルフ、シンディ・シャーマン、ジェフ・ウォール、ヴォルフガング・ティルマンス、ソフィ・カル、ロバート・フランク、ベッヒャー夫妻、ゲルハルト・リヒター、アウグスト・ザンダー、アンドレアス・グルスキー、トーマス・シュトゥルート、ジグマー・ポルケ、森村泰昌、カンディダ・へーファー、スティーブン・ショア、ロバート・メイプルソープ、アンセル・アダムズ、杉本博司、ホンマタカシ...etc 目次 Introduction 現代写真アートは、どこに向かっているのだろう? 後藤繁雄 Article タイムマシン2019 港千尋 Discussion 1 現代写真アートのストラテジー 深川雅文+後藤繁雄+港千尋 現代アートとしての写真 タイポロジー──ベッヒャー夫妻 ニュードキュメントとニュートポグラフィックス ジェフ・ウォール ドイツのマテリアリズム シンディ・シャーマンとアメリカ 1989年──転換点 Discussion 2 90年代の写真 後藤繁雄+深川雅文+港千尋 モダニズム批判と「風景」 凡庸さへの移行 ポストモダンとヴィジュアル・カルチャー 90年代の日本とヨーロッパ ポストモダンの確信犯・ティルマンス Discussion 3 ポストヒューマンとアントロポセンの写真アート 港千尋+後藤繁雄+深川雅文 テクノロジーで汚された新世界 ソフィ・カルという特異点 追跡、盗撮、そして群衆 ドキュメンタリー写真の現在形 新しいプラットフォーム ポストメディウムの未来 新しいプレイヤーたち アジアとリンクする時代 Article テクノ・イマジネーション宣言 深川雅文 Keywords シャーロット・コットンと『写真は魔術』 深井佐和子 実験から生成へ──センサー時代の実験写真 小山泰介 現代写真の加工術 川島崇志 ワークショップ/フォトセラピー 多和田有希 ヴィレム・フルッサーとは何者か? 深川雅文 フォトブックフェア/アートブックフェア 中島佑介 可視化せよ──ドキュメントからフォトグラフィック・リサーチへ 小山泰介 G/P galleryという「ニューモデル」 後藤繁雄 Add 現代フォトアートをさらに学ぶための必須ブックリスト 後藤繁雄 History 現代写真アート年表1964–2018 - 著者プロフィール - 後藤 繁雄 (ゴトウ シゲオ) (編集) 編集者・クリエイティブディレクター、アートプロデューサー、京都造形芸術大学教授。1954年大阪府生まれ。坂本龍一、細野晴臣、篠山紀信、荒木経惟、蜷川実花、名和晃平らのアーティストブック、写真集を編集。展覧会のキュレイション、若手アーティストの発掘・育成・サポート、アートスタッフの育成などにも力を入れ、幅広く活躍している。 港 千尋 (ミナト チヒロ) (編集) 写真家、映像人類学者。多摩美術大学教授。1960年神奈川県生まれ。南米滞在後、パリを拠点に写真家として活躍。1995年より多摩美術大学美術学部で教鞭をとり、現在は同大学情報デザイン学科教授。2006年〈市民の色〉で伊奈信男賞受賞。2007年第52回ヴェネチア・ビエンナーレ美術展における日本館の展示企画コミッショナーをつとめる。 深川 雅文 (フカガワ マサフミ) (著/文) キュレーター/クリティック。1958年佐賀県生まれ。川崎市市民ミュージアム学芸員として、写真、デザイン、現代美術に関する展覧会の企画に携わる。代表的展覧会「バウハウス 芸術教育の革命と実験」(1994)、「遠近 ベッヒャーの地平」(1997)「生きるアート 折元立身」展(2016)など。現在、フリーのキュレーター/クリティックとして活動。
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ジオ・ポンティとカルロ・モリーノ: ドムスへの道程 | キース・イヴァン グリーン, 岸本 雄二 (翻訳)
¥3,960
鹿島出版会 2011年 ハードカバー 270ページ - 内容紹介 - 戦後イタリアデザイン界の天使と悪魔、父と異端児の相克。 モダニズムの全盛期、対極的な二人は生き生きとした建築本来の姿、「ドムス」を追い求めた。その詩的で不可思議な世界を、気鋭の建築学者が読み解く。