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鬱の本|点滅社編集部
¥1,980
点滅社 2023年 ハードカバー B6変形判 - 内容紹介 - 鬱のときに読んだ本。憂鬱になると思い出す本。まるで鬱のような本。 84名の方による、「鬱」と「本」をめぐるエッセイ集。本が読めないときに。 (夏葉社さまの『冬の本』にインスパイアされてつくった作品です) 執筆者一覧 青木真兵 青木海青子 安達茉莉子 荒木健太 飯島誠 池田彩乃 石井あらた 市村柚芽 海猫沢めろん 大谷崇 大塚久生 大槻ケンヂ 大橋裕之 大原扁理 荻原魚雷 落合加依子 柿木将平 頭木弘樹 梶本時代 勝山実 上篠翔 切通理作 こだま 小見山転子 ゴム製のユウヤ 佐々木健太郎 笹田峻彰 佐藤友哉 左藤玲朗 篠田里香 柴野琳々子 島田潤一郎 下川リヲ 菅原海春 杉作J太郎 鈴木太一 髙橋麻也 髙橋涼馬 高村友也 瀧波ユカリ 滝本竜彦 タダジュン 谷川俊太郎 丹治史彦 第二灯台守 輝輔 展翅零 トナカイ 鳥羽和久 友川カズキ 友部正人 豊田道倫 鳥さんの瞼 中山亜弓 永井祐 七野ワビせん 西崎憲 野口理恵 初谷むい 東直子 姫乃たま 緋山重 平野拓也 Pippo pha ふぉにまる 古宮大志 増田みず子 枡野浩一 町田康 マツ 松下育男 miku maeda みささぎ 水落利亜 水野しず 無 森千咲 森野花菜 山﨑裕史 山崎ナオコーラ 山下賢二 屋良朝哉 湯島はじめ まえがき この本は、「毎日を憂鬱に生きている人に寄り添いたい」という気持ちからつくりました。どこからめくってもよくて、一編が1000文字程度、さらにテーマが「鬱」ならば、読んでいる数分の間だけでも、ほんのちょっと心が落ち着く本になるのではいかと思いました。 病気のうつに限らず、日常にある憂鬱、思春期の頃の鬱屈など、様々な「鬱」のかたちを84名の方に取り上げてもらっています。 「鬱」と「本」をくっつけたのは、本の力を信じているからです。1冊の本として『鬱の本』を楽しんでいただくとともに、無数にある「鬱の本」を知るきっかけになれば、生きることが少し楽になるかもしれないという思いがあります。 この本が、あなたにとっての小さなお守りになれば、こんなにうれしいことはありません。あなたの生活がうまくいきますように。 ※本書は、うつや、うつのような症状の方のためのマニュアル本や啓発本ではありません。そのため、例えば「うつ病の具体的な治療方法」などは書かれておりません。ご了承ください。 - 目次 - 「鬱」ベースの社会に (青木真兵) 怪談という窓 (青木海青子) 犬に限らず (安達茉莉子) にぐるまひいて (荒木健太) 世界の色 (飯島誠) 形を持った灯りを撫でる (池田彩乃) 棚からぼたもち落ちてこい (石井あらた) ブランコ (市村柚芽) 憂鬱と幸福 (海猫沢めろん) 世界の最悪さを確認する喜び (大谷崇) 人と共感できず、なにしろもがいていた頃の話 (大塚久生) 椎名誠『僕は眠れない』 (大槻ケンヂ) 高校時代 (大橋裕之) ウツのときでも読める本 (大原扁理) 低迷期の友 (荻原魚雷) 多摩川で石を拾おうとした (落合加依子) ポジティブ。 (柿木将平) 布団からの便り (梶本時代) 『金髪の草原』の「記憶年表」 (頭木弘樹) やらない勇気 (勝山実) 天窓から光 (上篠翔) 生れてくるという鬱 (切通理作) 「できない」自分との付き合い方 (こだま) 深い深い水たまり (小見山転子) 我輩はゴムである (ゴム製のユウヤ) 鬱の本 (佐々木健太郎) 弱々しい朝 (笹田峻彰) 不良作家とAI (佐藤友哉) ある日、中途半端に終わる (左藤玲朗) 本は指差し確認 (篠田里香) ゆううつと私 (柴野琳々子) 中学生日記 (島田潤一郎) 俺は鬱病じゃない (下川リヲ) あの娘は雨女 (菅原海春) 旅 (杉作J太郎) 十九歳と四十七歳の地図 (鈴木太一) 悪意の手記を携えて (第二灯台守) 願い (髙橋麻也) 君も蝶 (髙橋涼馬) 静止した時間の中で (高村友也) Life Goes On (瀧波ユカリ) 鬱時の私の読書 (滝本竜彦) ちいさな救い (タダジュン) いのちの気配 (谷川俊太郎) 喘息と明るい窓 (丹治史彦) 毎日があるまでは (輝輔) とかげ (展翅零) 沈黙のオジオン (トナカイ) 大学をやめたい (鳥羽和久) 西村賢太という比類なき衝撃 (友川カズキ) 空の大きさと愛の切符 (友部正人) たたかれて たたかれて 鍛えられる本と人 (豊田道倫) 神経の尖った人の見る世界 (鳥さんの瞼) かけ算とわり算 (永井祐) 明日できることは明日やる (中山亜弓) 2023年4月 (七野ワビせん) 曖昧なものの博物館 (西崎憲) 戦友 (野口理恵) きこえる声で話してくれた (初谷むい) 言葉の声が案内してくれる (東直子) ゲーテをインストールする。 (Pippo) 脱法ドラッグ米粉 (姫乃たま) 何度もめくる、自分はここにいる (緋山重) 深夜のツタヤ (平野拓也) このバカ助が (pha) NHKにさよなら! (ふぉにまる) 鬱、憂鬱、10代、と言われ放出したレテパシー (古宮大志) 鬱は小説の始まり (増田みず子) ため息を深く深く深く深く……ついてそのまま永眠したい (枡野浩一) 人間の鬱 (町田康) 憂鬱な銀河 (マツ) それがかえって (松下育男) 夕に光 (miku maeda) あなたが起きるまで (みささぎ) ダメになって救われる――町田康のこと (水落利亜) うつのサーフィン (水野しず) 本が読めた日 (無) 蜘蛛と解放区 (森千咲) 俯きながら生きている (森野花菜) 喋らないヒロイン (山崎ナオコーラ) 悲観論者のライフハック (山﨑裕史) たぶん、不真面目なんだと思う (山下賢二) ぼくの精神薬 (屋良朝哉) なにかに抱かれて眠る日がある (湯島はじめ) 前書きなど この本は、「毎日を憂鬱に生きている人に寄り添いたい」という気持ちからつくりました。どこからめくってもよくて、一編が1000文字程度、さらにテーマが「鬱」ならば、読んでいる数分の間だけでも、ほんのちょっと心が落ち着く本になるのではいかと思いました。 病気のうつに限らず、日常にある憂鬱、思春期の頃の鬱屈など、様々な「鬱」のかたちを84名の方に取り上げてもらっています。 「鬱」と「本」をくっつけたのは、本の力を信じているからです。1冊の本として『鬱の本』を楽しんでいただくとともに、無数にある「鬱の本」を知るきっかけになれば、生きることが少し楽になるかもしれないという思いがあります。 この本が、あなたにとっての小さなお守りになれば、こんなにうれしいことはありません。あなたの生活がうまくいきますように。
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あのとき売った本、売れた本|小出 和代
¥1,925
光文社 2023年 ソフトカバー 212ページ 四六判 - 内容紹介 - 本を売ることがこんなにも劇的でスリリングだなんて、知らなかった! 米澤穂信手から手へ。小出さんに売ってもらった本は、いまも最高に幸せな旅を続けてると思う。桜木紫乃日本最大級の書店、紀伊國屋書店新宿本店。25年間文芸書売り場に立ち続けた名物書店員の、ベストセラー回顧録。書いた人と売った人、そして読んだあなたの物語。
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聴こえない母に訊きにいく|五十嵐 大
¥1,870
柏書房 2023年 ソフトカバー 216ページ 四六判 - 内容紹介 - 母に、ずっと訊いてみたいことがあった。 ぼくの耳は聴こえるけれど、本当はどちらが良かった? 聴こえる子どもと聴こえない子ども、どちらを望んでいた? 【本書の内容】 「優生保護法」―― 障害者が生まれることを防止し、 女性が産むことを管理しようとした悪法が存在した時代、 「母」はどのように生きたのか。 「ぼく」はどのようにして生まれたのか。 幸せだった瞬間も、悲しかった瞬間も、すべて。 コーダである息子が未来に進むために描く、小さな家族の歴史。 【コーダとは】 コーダ(CODA:Children of Deaf Adults) 聴こえない親をもつ、聴こえる子どものこと。 - 目次 - プロローグ 第一章 子どもの頃 塩竃に生まれて/最初の帰省/最初の取材/〝聴こえない子〟になる/通常学級のなかで/ろう者の歴史――森壮也さんに訊く/祖父母の胸中 第二章 ふたりの姉 ひとりめ――佐知子/「心配だった」/ふたりめ――由美/「心配はなかった」/〝通訳者〟として 第三章 母校へ 入学――「手話」との出合い/横澤さんと大沼先生/宮城県立聴覚支援学校/小さな教室/進学にともなう選択/「口話」について 第四章 母の恩師 思い出と後悔/恩人/「中途半端な時代」/聴覚活用の限界/真っ向からの否定/〝適切な教育〟とは/「さえちゃんたちのおかげ」 第五章 父との結婚 憧れの人/両親への紹介/父の過去/「いつもニコニコしていなさいって」/「善意」からの反対/「不良な子孫の出生を防止する」/優生保護法裁判――藤木和子さんに訊く/二〇二二年三月仙台高裁 第六章 母の出産 愛の十万人運動/奪われたものはなにか/加害者側の子孫/新しい生活/「だ、い」/「わたしのみみは、きこえないんだよ」 - 著者プロフィール - 五十嵐 大 (イガラシ ダイ) (著/文) 1983年、宮城県生まれ。2015年よりフリーライターになる。著書に『しくじり家族』(CCCメディアハウス)、『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと』(幻冬舎)など。2022年には初の小説作品『エフィラは泳ぎ出せない』(東京創元社)も手掛ける。
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野生のしっそう 障害、兄、そして人類学とともに|猪瀬 浩平
¥2,640
ミシマ社 2023年 ソフトカバー 304ページ 四六判 - 内容紹介 - 知的障害があり自閉症者でもあるが、さまざまな鋭さをもった兄。障害がないとされているが、さまざまないびつさをもった弟(著者)。世間には、この兄と弟を切断する「ものの見方」があたりまえに存在する。 しかし、その分断をすり抜けてしまうある出来事が起こった。 2021年3月、緊急事態宣言の下、兄は突然しっそうする―― どこへ向かったのか? なぜしっそうしたのか? その道筋を辿りながら見えてきたのは、兄の「たたかわない」術だった。 外なる他者、遠くの他者を扱ってきた文化人類学に、あらたな道を拓く実践の書! 「障害とともにある人類学」から始まり、「内なる他者」を対象とした人類学へと展開する、あたらしい学問のあり方。 装画・挿画 岡田喜之 - 目次 - はじめに しっそうのまえに 第一章 沈黙と声 たたかわないこと、しっそうすること/三月下旬 午前二時半に走り出す/カタリナの構え/黙禱と叫び 1/黙禱と叫び 2 第二章 蜜柑のはしり ズレと折り合い/いくつかの死と/いくつもの死と/対面とリモート/夏みかんのしっそう/贈与のレッスン 第三章 世界を攪乱する、世界を構築する ボランティアのはじまり/満月とブルーインパルス、あるいはわたしたちのマツリについて/路線図の攪乱 1/路線図の攪乱 2/トレイン、トレイン 第四章 急ぎすぎた抱擁 父とヤギさん/眠る父/転倒の先/失踪/疾走/旋回としっそう/燕(つばくら)の神話 最終章 春と修羅 むすびとして うさぎのように広い草原を - 著者プロフィール - 猪瀬浩平 (イノセコウヘイ) (著/文) 1978年埼玉県生まれ。明治学院大学教養教育センター教授。専門は文化人類学、ボランティア学。1999年の開園以来、見沼田んぼ福祉農園の活動に巻き込まれ、様々な役割を背負いながら今に至る。著書に、『むらと原発――窪川原発計画をもみ消した四万十の人びと』(農山漁村文化協会)、『分解者たち――見沼田んぼのほとりを生きる』(生活書院)、『ボランティアってなんだっけ?』(岩波ブックレット)などがある。
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星を見る人 : 日本語、どん底からの反転|恩田 侑布子
¥2,640
春秋社 2023年 ハードカバー 260ページ 四六判 - 内容紹介 - ことばの手ざわり、肌ざわりに誘われ、情感の深みへ――。芭蕉、蛇笏、久保田万太郎、石牟礼道子、荒川洋治、井筒俊彦、草間弥生・・・・・・絶滅危惧種となった風合いある表現に、ゆらぎ、渦巻き、なりかわる、こころ・からだ・いのち。芸術選奨文部科学大臣賞・ドゥマゴ文学賞俳人による五感を震わせる評論!――格差社会で、核保有大国とそれ以外、富と権力を持つ者とそれ以外が分断されたように、人間の生と死も分断され、引き裂かれる。こうした近代以降の危機のなかで、痩せ細りジャンク化していく文化と言葉に全体重で抗って、生きて愛して表現してきた芳醇な人々がいる。しんじつの人間の声を、詩・俳句・美術・思想に刻んで、わたしたちのしょんぼりしがちな精神に滋養を与えてくれるゆたかな作品がある。(はじめにより) - 目次 - はじめに 序 星を見る人 I 近代を踏み抜いて 『石牟礼道子全句集 泣きなが原』 II 皮膜と「興」 草間彌生と荒川洋治 III やつしの美 久保田万太郎の俳句 IV エロスとタナトスの魔境 飯田蛇笏 V 戦争、エロスの地鳴り 三橋敏雄 VI 社会性俳句・巣箱から路地に 大牧広 VII 美への巡礼 黒田杏子 VIII 現代俳句時評 IX 草田男と霊感 X 渾沌と裸 井筒俊彦『意識と本質』から XI 新説『笈の小文』 切れと感情の大陸 あとがき 初出一覧
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数学する身体|森田真生
¥605
新潮社 2018年 新潮文庫 ソフトカバー 240ページ 文庫判 縦151mm 横106mm 厚さ9mm - 内容紹介 - 数学はもっと人間のためにあることはできないのか。最先端の数学に、身体の、心の居場所はあるのか――。身体能力を拡張するものとして出発し、記号と計算の発達とともに抽象化の極北へ向かってきたその歴史を清新な目で見直す著者は、アラン・チューリングと岡潔という二人の巨人へと辿り着く。数学の営みの新たな風景を切りひらく俊英、その煌めくような思考の軌跡。小林秀雄賞受賞作。
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よくわからないけど、あきらかにすごい人|穂村 弘
¥935
SOLD OUT
毎日新聞出版 2023年 毎日文庫 ソフトカバー 320ページ 文庫判 - 内容紹介 - 他の誰でもない、自分の生を生きていく。大転換の時、八ケ岳の山小屋から〈新しい日常〉を探る地球視線エッセイ。
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炉辺の風おと|梨木 香歩
¥1,760
毎日新聞出版 2023年 毎日文庫 ソフトカバー 320ページ 文庫判 - 内容紹介 - 他の誰でもない、自分の生を生きていく。大転換の時、八ケ岳の山小屋から〈新しい日常〉を探る地球視線エッセイ。
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「誰でもよいあなた」へ 投壜通信|伊藤 潤一郎
¥1,760
講談社 2023年 ソフトカバー 176ページ 四六判 - 内容紹介 - 手紙を詰めた壜を海原に投じるとき、書き手は「誰かは知り得ないが、どこかにいるあなた」へ届くと信じている。自分が名宛人でなくても自分宛のように受け取れる言葉が、この世界には確かに存在している。時空を隔てた「あなた」とわたしの関係――。ナンシー、ツェラン、ベケット、リクール、デリダ、石原吉郎、青柳瑞穂、宇佐見りん、会津八一、ベンヤミン、石沢麻依……。思想と文学を結び、書かれた言葉を紡いでフランス現代思想の気鋭が贈る、傑作散文集。 目次 1.「あなた」を待ちながら 2.庭付きの言葉 3.岸辺のアーカイヴ 4.私にとっての赤 5.一人の幅で迎えられる言葉 6.記憶と発酵 7.断片と耳 8.誇張せよ、つねに 9.あてこまない言葉 10.「あなた」とともに
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まぼろしの枇杷の葉蔭で 祖母、葛原妙子の思い出|金子 冬実
¥1,760
書肆侃侃房 2023年 ソフトカバー 184ページ 四六判 - 内容紹介 - 「幻視の女王」とも評された、戦後短歌史を代表する歌人、葛原妙子。彼女には家族にしか見せなかった別の姿があった──。チャーミングで愛おしい、「異形の歌人」の横顔。 「おばあちゃんとのことについて、色々な人が色々なことを言っているだろう。あれはみんな違うんだよ」 「あたりかまわず朱と咲きいでよ」と自らを鼓舞し、脇目もふらず作歌にいそしんだ歌人、葛原妙子。 子どもの頃、大森の祖母の家に行く時には何か冒険に出かけるような気持ちになった。かつての病院の敷地内にあった、広い平屋住宅。周囲には枇杷の大樹が緑の葉をさかんに茂らせていた。 孫である著者から見た葛原妙子とは──。戦後短歌史を代表する歌人と、その家族の群像がここにある。 向田邦子、須賀敦子を髣髴とさせる、極上の名エッセイ集。 【本文より】 私は祖母のことを「おばあちゃん」と呼んではいたものの、祖母は世間一般で言う「おばあちゃん」らしさが感じられる人では全くなかった。夫にかしづき、家族を愛し、まめまめしく皆の世話をやいていた父方の祖母とあまりに違いすぎる。そのことに戸惑いを覚えつつも、ある種の諦めの気持ちがあった。 *** 「おばあちゃんはカジンだから……」 周囲の大人たちがしばしば口にする「カジン」という音に、「歌人」という漢字があてはまることを知ったのはだいぶ後になってからだった。「カジン」にせよ「歌人」にせよ、同年代の子供たちが親しまないこれらの言葉は、大人たちから与えられた玩具のように、幼い私の傍らにいつもあった。 - 著者プロフィール - 金子冬実 (カネコ フユミ) (著/文) 1968年東京生まれ。旧姓勝畑。早稲田大学大学院で中国史を学んだのち、東京外国語大学大学院にて近現代イスラーム改革思想およびアラブ文化を学ぶ。博士(学術)。1995年より2014年まで慶應義塾高等学校教諭。現在、早稲田大学、東京外国語大学、一橋大学等非常勤講師。1996年、論文「北魏の効甸と『畿上塞囲』──胡族政権による長城建設の意義」により、第15回東方学会賞受賞。
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山學ノオト4(二〇二二) |青木真兵, 青木海青子
¥2,200
SOLD OUT
エイチアンドエスカンパニー 2023年 ソフトカバー 256ページ 縦170mm 横120mm 厚さ16mm - 内容紹介 - 「社会との約束の下、寝て食べて動く。しかし、いつ約束したのだか判然としない。」 奈良県東吉野村。人口一五〇〇人の村の山あいに佇む一軒家、人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」。自宅を開放して図書館を運営する夫婦が、仕事に、生活に、山村と街を、あるいは彼岸と此岸を往復しながら綴った日記に、エッセイや草稿「研究ノオト」を収録した、日記帳。 人の動きが少しづつ戻ってくる中で、あらためて見えてきた他者や社会とその「外側」にあるもの。内と外を行ったり来たり。ぐるぐる回りながら考えた、二〇二二年の記録。 - 目次 - p.6 研究ノオト 山村に図書館をつくる 真兵 p.16 日記(山學日誌)一月~一二月 p.254 サバイバーが生き延びること 海青子 p.260 オムライスラヂオ年表(二〇二二) - 著者プロフィール - 青木真兵 (アオキシンペイ) (著/文) 1983年生まれ、埼玉県浦和市に育つ。「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」キュレーター。古代地中海史(フェニキア・カルタゴ)研究者。博士(文学)。社会福祉士。2014年より実験的ネットラジオ「オムライスラヂオ」の配信をライフワークにしている。2016年より奈良県東吉野村在住。著書に『手づくりのアジール』(晶文社)、妻・青木海青子との共著『彼岸の図書館 ぼくたちの「移住」のかたち』(夕書房)、『山學ノオト』シリーズ(H.A.B)、光嶋裕介との共著『つくる人になるために 若き建築家と思想家の往復書簡』(灯光舎)などがある。 青木海青子 (アオキミアコ) (著/文) 1985年兵庫県生まれ。七年間、大学図書館司書として勤務後、東吉野へ。現在は私設図書館を営みながら、陶と刺繍で制作を行う。著書に『本が語ること、語らせること』(夕書房)、夫・青木真兵との共著『彼岸の図書館』(夕書房)、『山學ノオト』シリーズ(H.A.B)がある。夕書房noteにて「土着への処方箋 ルチャ・リブロの司書席から」が好評連載中。
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声の地層 災禍と痛みを語ること|瀬尾 夏美
¥2,310
生きのびるブックス 2023年 ソフトカバー 288ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ16mm - 内容紹介 - 多くを失い身一つになっても、集えば人は語りだす。 伝える人と、耳をすます人の間に生まれた、語り継ぎの「記録文学」。 「すこしの勇気を持って、この人に語ってみよう、と思う。その瞬間、ちいさく、激しい摩擦が起きる。マッチが擦れるみたいにして火花が散る。そこで灯った火が、語られた言葉の傍らにあるはずの、語られないこと、語り得ないことたちを照らしてくれる気がして。それらを無理やり明るみに出そうとは思わない。ただその存在を忘れずにいたい」(はじめに) - 目次 - はじめに――語らいの場へようこそ 第1章 おばあさんと旅人と死んだ人 第2章 霧が出れば語れる 第3章 今日という日には 第4章 ぬるま湯から息つぎ 第5章 名のない花を呼ぶ 第6章 送りの岸にて 第7章 斧の手太郎 第8章 平らな石を抱く 第9章 やまのおおじゃくぬけ 第10章 特別な日 第11章 ハルくんと散歩 第12章 しまわれた戦争 第13章 ハコベラ同盟 第14章 あたらしい地面 第15章 九〇年のバトン 声と歩く――あとがきにかえて - 前書きなど - はじめに―語らいの場へようこそ 災禍に遭う。困難を抱える。大切なものを失う、奪われる。できるならそんなことは誰の身にも降りかからない方がよいのだけれど、現状、なかなかそうもいかない。自然災害に見舞われたり、事件や事故に巻き込まれたり、生活圏で戦争や紛争が始まったり、あるいは心身に傷を抱えることもあるし、生きづらさに深く悩むことだってある。この地球上に生きている限り、まさにいま、見知らぬ誰かが、自分自身やとても近しい人が、苦しい経験をするかもしれない。その予感自体が恐怖であるから、日常生活を送るうえではあまり想像したくはない、忘れていたいものではある。だけど、だとしても、逃げているばかりでよいのだろうか? とも思う。 もちろん防災的な観点を用いて、リスクから逃げずに向き合い、できるだけ未然に対処すべし! といった答えを導くことはできるかもしれないけれど、わたしにはもうひとつ意識していたいことがある。それは、先立って災禍を経験した人びとの存在である。彼らの多くが、未来に生きる人びと―ほかでもないわたしたちの苦しみがすこしでも和らぐようにと願って、体験と記憶をふりかえり、検証し、言葉にし、それらを記録に残したり、語り継ぎを試みたり、あるいは物語を編み上げたりしてきた。さらに、彼らの傍らにはその声を受け止めてきた人がいて、またその人から話を聞いた人がいて……だからこそ、災禍の語りや記録は、いまわたしたちの目の前に存在している。そんなちいさなバトンを手渡すような連綿とした営みを想像すると、その凄みと愛らしさに圧倒される。ならばせめて、その声を聞く努力をしてみたい。 こんなことを考えるようになったのは、この一〇年あまり、言い換えると、二〇一一年に発生した東日本大震災以降、自身の経験を言葉にして伝えようとする人びと、あるいは他者の経験を語り継ごうとする人びとにたくさん出会い、話を聞かせてもらってきたからだ。語り手にとっても聞き手にとってもしんどいことをなぜわざわざ? と問われることもあるけれど、災禍を語らう場に招かれ、その豊かさを知ってしまうと、なかなか離れがたい。語ることはときに酷く苦しい。聞くことだってそうかもしれない。だけど、語らいの場がもたらすものはそれだけではない、と信じている。たくさんのものを失い、身ひとつになっても、集えば人は語り出す。ちいさな輪のなかでともに泣き、怒り、許しあったり笑いあったりする。話す人、聞く人、沈黙する人、相槌を打つ人。語りは居場所をつくる。その実感が大きい。 はじまりは発災から間もない頃、ボランティアで訪ねた避難所や泥だらけの家々での出来事だった。わたしは当時大学を卒業したところで、やれることがあればなんでもすると意気込んで、友人とふたりで “被災地”に向かった。しかし情けないことに、到着したその現場で、自分が力持ちでも器用でもなく、あまり役に立たないことに気がつく。それで所在なげにしていると、“被災者”たちが次々と声をかけてくれた。あんだ、わざわざ遠くから来てくれたの! そう言ってまじまじとこちらを見つめて、旅の者にはせめて土産のひとつでも持たせなければ、という面持ちで訥々と語り始める。 日常の想像力では追いつかない、巨大な力で捻じ曲げられた風景をともに見つめながら、凄絶な“あの日”とそれからのこと、失われたものたちのことを聞く。ただ、思いがけずその場はやわらかかった。被災して間もない語り手と、どこかから迷い込んできた旅の者が会話をする。それぞれの立場の違いを考えればピリピリと緊張が走るけれど、会話を進めていくとそれは徐々に解け、場に集うひとりひとりとして付き合う形となる。 その人が語り、わたしは聞く。その人がわたしの様子を見ながら、次の言葉を選んでくれているのがわかる。恐れ多い。ここに居るのがわたしでいいのだろうか、と思う。だけど、たとえほんの一部だとしても、その人の大切な経験を手渡そうとしてくれることが嬉しい。だから、できるだけはっきりとうなずく。すべてはわからなくても、聞いています。聞きたいです、と伝えたくて。そうして続いたしばしの会話を締めくくるとき、その人は言った。いま話したことを、きっと誰かに伝えてくださいね。大変なことになった、とわたしは気がつく。再会を誓って別れる。 いまわたしが居るのは、今後確実に歴史に刻まれるであろう巨大災害の“被災地”である。そこで話を聞かせてくれた人びとのほとんどが、誰かに伝えてね、と言っていた。話を聞いた者には、語り継ぎの役目が託される? なんてこった。軽くうろたえながら、とはいえどうすればいいのだろう、と具体的なことを想像してみる。そもそもわたしがやっていいことなのだろうか。相手がどれくらい本気なのかもわからないけれど、せっかく聞かせてもらったことは、誰かに伝えてみたい、と思った。 語り継ぎとは、こんなにちいさな現場の積み重ねによるものなのか。それは出来事のすぐあと、身ひとつで肩を寄せ合うその瞬間から始まっている。そのことに新鮮に驚き、突き動かされるように旅を始めてから、一〇年以上が経つ。 この本は、二〇二一年の一月から二〇二二年春までの一年半にわたり、『声の地層 〈語れなさ〉をめぐる物語』と題して続けた連載と、三本の書き下ろしで構成されている。 被災地域を歩いて話を聞かせてもらった日々の中で、自分の関心は“語れなさ”にあると感じるようになった。それは、場に集う人びと、聞き手と語り手、人間同士のあいだに発生するものだ。そもそも語りとは、語り手が一方的に自分の感情や考えをぶつけるものではなく、目の前にいる聞き手とのやりとりによって編まれるものだと思う。途中でその役割が交代することだってあるし、それぞれが自分の内に思わぬ言葉を見つけたり、ともにあたらしい物語を発見したりする楽しみがある。 ただ、どんなに信頼する相手との穏やかな場であったとしても、“語れなさ”は発生する。たとえば、語ることで相手を傷つけたり、関係性が崩れたりすることが怖くなる。自分や誰かの大切な体験や記憶が、誤解されたり損なわれたりするのは避けたい。わたしたちは自分の内側でさまざまなことを考え、逡巡し、迷いながら言葉を選び、声に出す。こうして〝語れなさ〟は語りを抑圧し、制御することがある、といえるかもしれない。あるいは、だからこそコミュニケーションが円滑になるのだ、と開き直ることもできるかもしれない。 たしかに、“語れなさ”がどう働くのかを検証することも興味深いとは思うけれど、わたしが気になっているのは、言葉を声に出す前の一瞬のひっかかり、そのもののことだ。置かれた境遇も考え方も異なる人たちが、互いのすべてを分かり合うことは難しいと感じながらも、それでも関わろうとする。すこしの勇気を持って、この人に語ってみよう、と思う。その瞬間、ちいさく、激しい摩擦が起きる。マッチが擦れるみたいにして火花が散る。そこで灯った火が、語られた言葉の傍らにあるはずの、語られないこと、語り得ないことたちを照らしてくれる気がして。それらを無理やり明るみに出そうとは思わない。ただその存在を忘れずにいたい。 連載を開始した二〇二一年は東日本大震災から一〇年目の年だったが、新型コロナウイルス感染症の拡大という世界的、長期的な災禍の始まりとも重なった。また、気候変動の影響もあって世界各地で自然災害が増加し、二〇二二年二月にはロシアによるウクライナ侵攻が始まった。予想もしなかった災禍が重なり、社会は大きく揺らいでいる、と思う。経済難は深刻化し、格差が広がり、とくにインターネット空間には差別的な言葉と行為が溢れている。ふつうの日常に分厚い不安感が広がっていくのを感じながら、わたしはより切実に、語りを聞きたい、語らいの場が必要だ、と思うようになった。 そうして、かつて戦争や自然災害などの災禍を経験した人びとに会いに行くと、彼らが自身の過去を反芻しながら、いままさに苦しい境遇にある人びとに気持ちを寄せていたことが印象に残っている。また、わたし自身は、こうして災禍の語りを聞き歩く中で、自分や身近な人の日常にある痛みについて、ほんのすこしずつ、向き合えるようになってきた。災禍は非日常的なものだけれど、その渦中にもその後にも日常はある。そんな実感を込めて災禍を語る人びとに、ごく身近にある“語れなさ”に触れるための手つきを教えてもらった。 この本は奇しくも、こうして大きく揺れていた(いや、これからもっと困難な時代が訪れるのでは、という不安が強いのだけれど)社会のちいさな記録にもなったと思う。ひとつひとつの章は、「物語」と「あとがたり」で構成している。何かを語ってくれたその人が感じていたであろう〝語れなさ〟と、その語りの傍らにあったはずの、語られないこと、語り得ないことを忘れずに残しておくために、創作の「物語」という余白を含み込める形を選んだ。「あとがたり」には、おもに実際の語りの場の様子やそのときどきの気づきを記している。 身を寄せ合い、輪をつくり、語らう。そこで、自分たちに起きたこと、起きていることを確かめ、互いの知恵を交換しながら、これからについて話しあう。誰もがきっと必要としているちいさな場の連なりが、そっと灯された物語を、遠くまで運んでゆくのを想像しながら。 誰もがその輪の中に招かれることを祈って。 - 著者プロフィール - 瀬尾夏美 (セオ ナツミ) (著) 1988 年、東京都生まれ。土地の人びとの言葉と風景の記録を考えながら、絵や文章をつくっている。2011年、東日本大震災のボランティア活動を契機に、映像作家の小森はるかとのユニットで制作を開始。2012 年から3 年間、岩手県陸前高田市で暮らしながら、対話の場づくりや作品制作を行なう。2015年、宮城県仙台市で、土地との協働を通した記録活動をするコレクティブ「NOOK」を立ち上げる。現在は、東京都江東区を拠点に、災禍の記録をリサーチし、それらを活用した表現を模索するプロジェクト「カロクリサイクル」を進めながら、“語れなさ” をテーマに旅をし、物語を書いている。著書に『あわいゆくころ―陸前高田、震災後を生きる』(晶文社)、『二重のまち/交代地のうた』(書肆侃侃房)、『10年目の手記―震災体験を書く、よむ、編みなおす』(共著、生きのびるブックス)、『New Habitations:from North to East 11 years after 3.11』( 共著、YYY PRESS)がある。
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朝おやつ|甲斐 みのり
¥1,320
mille books 2023年 ソフトカバー 192ページ 四六判 - 内容紹介 - 甘美な口福に満ちた、芳醇なお菓子文学 「朝おやつ」として愛食する43の甘味の記憶をめぐる物語 全国を旅して見つけた美味しい甘味の魅力を、優しい筆到で丁寧に描いてきた文筆家・甲斐みのり。 朝おやつとして愛食する甘味たちを、美味しさが溢れ出す美しい写真と共に丁寧に描きました。 朝おやつが運んでくれた大切な人たちとの出会い、そして別れ。 甘いだけではない物語の数々は、誰もの心の奥にある甘い記憶を思い出し、懐かしい人や風景が鮮明に呼び起こされます。 甲斐みのりの集大成といえる、お菓子愛に満ちた名随筆集がここに完成! 装画は画家・湯浅景子が「ゼリーのイエ」を美しい切り絵で表現しました。
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味つけはせんでええんです|土井 善晴
¥1,760
ミシマ社 2023年 ソフトカバー 208ページ B6変 縦168mm 横120mm 厚さ13mm - 内容紹介 - 「なにもしない」料理が、 地球と私とあなたを救う。 AIの発達、環境危機、経済至上主義… 基準なき時代をどう生きるか? 人間とは、自由とは、幸せとは。 「料理」を入り口に考察した壮大な著! 土井節炸裂、一生ものの雑文集。 『ちゃぶ台』の名物連載、ついに書籍化。 レシピとは人の物語から生まれたお料理のメモ。他人のレシピは他人の人生から生まれたもの。でも本来、料理は自分の人生から生まれてくるものです。それがあなたの料理です。つたなくっても、自信がなくっても、私はいいと思います。「味つけせんでええ」というのは、それを大切にすることだと思っているのです。 一生懸命お料理すればそこにあなたがいるのです。お料理するあなたが、あなたを守ってくれるのです。――「まえがき」より ●目次 1 料理という人間らしさ 2 料理がひとを守ってくれる 3 偶然を味方にする――「地球と料理」考 4 味つけはせんでええんです 5 料理する動物 6 パンドラの箱を開けるな!
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夏みかんの午後|永井 宏
¥2,200
信陽堂 2023年 ハードカバー 176ページ B6変 縦177mm 横117mm 厚さ14mm - 内容紹介 - 美術作家であり、エッセイや詩を数多く残した永井宏さんは、数編の愛すべき小説も残していました。本書は2001年にサンライト・ラボから出版されて以来、静かに読まれ続けてきた作品の復刊です。主人公は何かが始まる予感を胸に、東京を離れ海辺の町、葉山で暮らしはじめたばかりのフードスタイリスト、志田エリ31歳。大都市と郊外、何かに追いかけられるような時間と、手を動かし、ものを作るささやかな生活……自分の価値観を誇りに海辺に暮らす人々と出会い、少しずつ解放され新しい時間を生きはじめた女性の姿を描く短編小説。「砂浜とボート」を併録。初版から20年以上の時を経て、なおこころに響く海辺のフォークロアです。 巻末には永井さんのワークショップに参加していた小栗誠史さんのエッセイを収録。 - 目次 - 夏みかんの午後 1 海辺はいつもいい天気 2 波の上の散歩 3 イルカのキス 4 海辺のフォークロア 5 ハードハウス 6 バック・イン・タウン 7 夏の宿題 8 夢の庭 9 ニュー・ムーン 砂浜とボート 永井さんは文化の入口 小栗誠史 - 版元から一言 - 『サンライト』『愉快のしるし』『雲ができるまで』などで再評価が進む作家・永井宏さん(2011年没)が残した短編小説の復刻です。 主人公は東京での仕事に行き詰まりを感じ湘南葉山に移り住んだ女性。自分たちの価値観を大切にして、都会にはない時間を生きる人たちとふれあう中で、新しい暮らしの形を見つけてゆく姿がみずみずしく描かれます。2001年に発表された作品ですが、コロナ禍を経て、2拠点生活やリモートワークなど働き方と生き甲斐の質が変化した今だからこそ響くものがあります。 - 著者プロフィール - 永井宏 (ナガイ ヒロシ) (著・写真・挿画) 美術作家。1951年東京生まれ。1970年なかごろより写真、ビデオ、ドローイング、インスタレーションなどによる作品を発表。80年代は『BRUTUS』(マガジンハウス)などの編集に関わりながら作品を発表した。1992年、神奈川県の海辺の町に転居。92年から96年、葉山で生活に根ざしたアートを提唱する「サンライト・ギャラリー」を運営。99年には「サンライト・ラボ」を設立し雑誌『12 water stories magazine』を創刊(9号まで刊行)、2003年には「WINDCHIME BOOKS」を立ち上げ、詩集やエッセイ集を出版した。自分でも旺盛な創作をする一方で、各地でポエトリーリーディングの会やワークショップを開催、「誰にでも表現はできる」とたくさんの人を励まし続けた。ワークショップからはいくつものフリーペーパーや雑誌が生まれ、詩人、作家、写真家、フラワーアーティスト、音楽家、自らの表現として珈琲焙煎、古書店、雑貨店やカフェ、ギャラリーをはじめる人などが永井さんのもとから巣立ち、いまもさまざまな実験を続けている。 2011年4月12日に永眠、59歳だった。 2019年、『永井宏 散文集 サンライト』(夏葉社)、復刻版『マーキュリー・シティ』(ミルブックス)、2020年『愉快のしるし』、2022年『雲ができるまで』(信陽堂)が相次いで刊行され、リアルタイムでの活動を知らない新しい読者を獲得している。
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玉村豊男のポテトブック|玉村 豊男
¥1,980
朝日出版社 2023年 ソフトカバー 128ページ B5変形 - 内容紹介 - ジャガイモをめぐる知的冒険「ポテトチップスはクレームから生まれた?」「フレンチフライは戦争とマックで世界に広がった?」「ジョエル・ロブションの、世界一のマッシュポテトの作り方とは?」ジャガイモの起源から歴史、食文化、料理法など、ユーモアあふれる文章で、徹底的に思考した一冊。美しいイラストレーションで繰り広げられる、レシピ本でも、エッセイ集でもない、読んで美味しい、見て楽しい、まるごとポテトブック! 【目次】はじめに 伊丹十三さんの思い出ポテトをめぐる物語 夜のカフェで/ミスター・リーズのサンドイッチ/新大陸の贈りもの/不謹慎な植物/戦乱と飢饉のヨーロッパ/タラとジャガイモの出会い/ジャガイモの食べ方/郷愁のブランダード/海を泳ぐ黄金/ニューファンドランド/スープの語源/失われたパン/土のないジャガイモ畑/イモに月が出ている/アイリッシュ・シチュー/ジャガイモ掘り ジャガイモという不思議な植物 コモンポテト/ノアの箱舟/ジャガイモ博士に聞く/インカ帝国の知恵 ポテトの料理法ポテトチップス/フレンチフライ/ベークドポテト/ローストポテト/ハッシュブラウン/マッシュポテト/ポテトサラダ―― コラム <ミスター・リーズのサンドイッチ><夜のカフェで><ジャガイモ掘り><料理の四面体><和食とジャガイモ>おわりに 家庭菜園からの報告
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台所珈琲の手びき|余白珈琲
¥660
余白珈琲 2023年 ソフトカバー 40ページ A5判 - 内容紹介 - 神戸の小さな海町の坂の上で、ご夫婦でコーヒー豆屋を営む「余白珈琲」から届いた本です。 ○「憧れ」と「虚しさ」のあいだで、「愛おしさ」に揺られながら。降っても晴 れても、自分でつくる今日の味。 ○生活のなかで愉しむコーヒーの手びきをつくりました。数学の公式のような レシピを、ただただ載せていくだけでなく、その周辺の流れを描くことで、自 分でレシピをつくることができるようなものを意識しました。 (以下「おわりに」より) コーヒーを淹れることは、ほんとうに「ちょっとしたこと」です。(...)ささ やかなこと、ちっぽけなこと、なんでもないこと、平凡なこと、すごくないこと、 誰にでもできること。そのような行為だからこそ、人と人との間に、この世の 中のさまざまなすき間に、するりするりと入っていくのです。 ≪目次≫ のれんを掲げる (第一部)味わいを眺める/新鮮な豆を買う/好みの豆を買う/豆を常備する /白湯を飲む (第二部)調理を工夫する/おいしい味を引き出す/厄介な味と付き合う/味 をはかる/流れをはかる コーヒー道具 ドリップの実演 おわりに
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建築のポートレート|香山壽夫
¥2,420
LIXIL出版 2017年 ハードカバー 96ページ 19.7 x 1.5 x 17 cm - 内容紹介 - 本書は、碩学の建築家・香山壽夫氏(東京大学名誉教授)による写真と文で、建築のエッセンスを鮮やかに捉える写文集です。 1964年の渡米以降、アメリカおよびヨーロッパの建築や都市をめぐって著者が撮影してきた無数の写真から、36点を厳選。 撮影から数十年の時を経て、それぞれの写真にあらためて向きあい、文章が書き下ろされました。建築家ならではの視点で 撮られた写真、そして歴史的・文化的な広い視野のなか、親しみやすく確信に満ちた筆致で対象を描写した文章は、建築の 専門家から一般の読者まで、多くの人を建築の奥深い魅力に引きこみ、新たな気づきをもたらすことでしょう。 巻末1 MAP&INDEX:取り上げた36件の所在および撮影時期(訪問時期)を示し、それぞれの概要を説明する。 巻末2 TEXT:香山氏の写真についての解説や、建築と写真との関係、建築家にとっての旅や写真の意味などを、 本書の編集者である長島明夫が記す。
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自然の風景論―自然をめぐるまなざしと表象|西田 正憲
¥2,420
SOLD OUT
清水弘文堂書房 2011年 ハードカバー 392ページ - 内容紹介 - 風景の記憶をたどり、暮らしと美の物語をつむぐ 待望の自然風景論 「自然風景地を知りつくし、深い思索をめぐらす元国立公園管理官(レンジャー)の渾身のライフワークである。紀行文、風景画、現代アート、環境文化、景観保護、自然観光などの幅広い風景文化から、暮らしと美をつなぐ物語をつむぎだし、独創的な風景論を展開している。成熟した現代社会の重要なテーマ=風景の根源的問題を考えさせられる労作である」(国際日本文化研究センター教授 白幡洋三郎) 日本図書館協会選定図書(第2801回 平成24年1月25日選定)
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これでもいいのだ|ジェーン・スー
¥704
中央公論新社 2023年 中公文庫 ソフトカバー288ページ 文庫判 - 内容紹介 - 等身大の言葉たちが疲れた頭にじんわり染みて、 きつく絡まった思考回路がほろほろとほどけていく ――宇垣美里さん(解説より) 思ってた未来とは違うけど、これはこれで、いい感じ。疲れた心にじんわりしみこむエッセイ66篇。 私だってモデルサイズ/「女子アナ」が勝利するとき/私の私による私のためのオバさん宣言/コンプレックスと欲のバランス/初々しい、男たちのダイエット/ありもの恨み/選択的おひとり様マザー/「一生モノ」とは言うけれど/勉強しておけばよかった ほか。 私たち、これでもいいのだ! - 著者プロフィール - ジェーン・スー (ジェーン・スー) (著/文) 一九七三年、東京生まれの日本人。作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティ。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」のMCを務める。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で第三一回講談社エッセイ賞を受賞。著書に『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』『生きるとか死ぬとか父親とか』『私がオバさんになったよ』『ひとまず上出来』『きれいになりたい気がしてきた』『おつかれ、今日の私。』、中野信子との共著に『女に生まれてモヤってる!』など。
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種をあやす 在来種野菜と暮らした40年のことば|岩﨑 政利
¥1,870
亜紀書房 2023年 ソフトカバー 180ページ 四六判 縦188mm 横130mm 厚さ14mm - 内容紹介 - 岩﨑さんの農の話は、種と実りと人の暮らしが巡りながら土地に根差すことの喜びを気づかせてくれる。 ──皆川 明(ミナ ペルホネン・デザイナー) * * * 野菜の人生について考えたことは初めてでした。 野菜の一生に寄り添い、野菜と交流し、野菜から学んでいる岩﨑政利さんの言葉は詩人のようです。 野菜には人間と同じように個性があり多様性を失えば絶えていくことを、この本を通して知りました。誇らかに花を咲かせる野菜の姿を見てみたい。日本の風景に野菜の花を取り戻したいと思いました。 人間にとって「種」とは何かを、問いかけてくれるすばらしい哲学書です。 ──田口ランディ(作家) * * * 在来種を守るのに大切な視点は、経済や文化だけでない。 岩﨑さんが語る「人と作物の幸せな関係」というもう一つの視点に、目を開かされた思いです。 ──江頭宏昌(山形大学農学部教授 [植物遺伝資源学 ] ) ---------------------- 〈種継ぎ農家が畑で学んだいのちの哲学〉 長崎・雲仙の肥沃な大地で長年にわたり種採りに情熱を注いできた著者が、まだ見ぬ後継者たち、そして野菜を愛するすべての人に向けて綴った。 ──農家であることの喜び、野菜と種がもたらす人生の醍醐味とは。 ---------------------- 施設園芸で化学肥料を極めた若き日から、有機農業と出合いたどり着いた無肥料・不耕起の在来種野菜づくり。 挫折と孤独、そして大いなる喜びもまた──。 在来種野菜と種に人生を捧げつづける長崎・雲仙の農家が語る唯一無二の種採り哲学。 目次 ◆はじめに 〈 第1章 雑木林が教えてくれた 〉 ■農家になりたくなかった ■最先端の農業を学ぶ ■父とはちがう農業をめざして ■原因不明の体調不良 ■有機農家への転向 ■消費者団体がいたからこそ ■自分がやってきた農業に向き合う ■雑木林が私の師 ■雑木林から見つけた農法 ■それぞれが農法を極める 〈 第2章 野菜の一生 〉 ■種と生きていく ■種を採るという営み ■種も人間と司じ ■種は心を映す鏡 ■在米種とF1種 ■端境期を乗り越える ■野菜の花は美しい ■花を中心とした多様性 ■野菜の大往生 ■種を採ることはひとつの手段 ■手もとにある50種類の種たち 〈 第3章 個性豊かな種たち 〉 ■おいしさが大切 ■種がもつ物語 ■種を受け継ぐ ■さりげない野菜とは ■平家大根のロマン ■野菜を原種の姿へ戻す ■種は宝探し ■種を旅に出そう 〈 第4章 野菜と暮らす 〉 ■野菜の生きる姿に学ぶ農の世界 ■食べてみて初めてわかること ■野菜の手紙 ■種をあやす ■野菜と暮らしていく ■自然を聴いて心(み)る ■ひとりの農民ができること ■人と作物の良い関係 〈 第5章 また、種を蒔く 〉 ■種を100年残すために ■食べてつないでいく ■農業という枠から外れたとしても ■そこにしかない食を求めて ■地域のひとつのモデルとして ■種からはじまる ■次世代へのバトン ◆おわりに - 著者プロフィール - 岩﨑 政利 (イワサキ マサトシ) (著/文) 1950年長崎県雲仙市生まれ。諫早農業高校卒業後、69年に同市吾妻町で家業を継ぎ就農。80年代から有機農薬を営むなかで在来種野菜の自家採種をはじめる。毎年約80品種の野菜を育て、50種近くの種を採る。日本各地に点在するさまざまな在来種の種を託され、消えゆく種を継いでいく営みを40年にわたり続けている。NPO法人「日本有機農業研究会」幹事として種苗部会を担当。「雲仙市有機農業推進ネットワーク」「雲仙市伝統野菜を守り育む会」では代表を務める。2019年よりオーガニックベースが展開する「雲仙たねの学校」で講師を務め、「種市」「種を蒔くデザイン展」等に登壇、種について伝える活動をおこなう。22年、長年の種採りへの取り組みが評価され黄綬褒章を受章。著書に『岩崎さんちの種子採り家庭菜園』(家の光協会)、『つくる、たべる、昔野菜』(共著、新潮社)がある。
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科学する心|池澤 夏樹
¥1,100
SOLD OUT
KADOKAWA 2023年 角川ソフィア文庫 ソフトカバー 288ページ 文庫判 - 内容紹介 - 科学が日常から遠くなってしまった。暮らしの道具は、便利ではあってもブラック・ボックスとなった。しかし科学とは、五感をもって自然に向き合う姿勢ではなかったか。料理、日時計、昆虫、宇宙から、生命の誕生、進化論、原子力、人工知能まで――。法則と一回性、抽象と具体、科学と文学の間を自由に思索し、ときにその境界をラディカルに揺さぶる科学随筆13編。新たな書き下ろし「環世界とカーナビと心の委員会」を収録。解説・中村桂子 目次 ・ウミウシの失敗 ・日時計と冪とプランク時代 ・無限と永遠 ・進化と絶滅と愛借 ・原子力、あるいは事象の一回性 ・体験の物理、日常の科学 ・知力による制覇の得失 ・『昆虫記』と科学の文学性 ・「考える」と「思う」の違い ・主観の反逆、あるいは我が作品の中の反科学 ・パタゴニア紀行 ・光の世界の動物たち ・環世界とカーナビと心の委員会 文庫解説 中村 桂子 - 著者プロフィール - 池澤 夏樹 (イケザワ ナツキ) (著/文) 1945年北海道生まれ。『スティル・ライフ』で中央公論新人賞、第98回芥川賞を受賞。『南の島のティオ』で小学館文学賞。『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞。『言葉の流星群』で宮沢賢治賞。著作活動全般について、司馬遼太郎賞受賞。
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われらの牧野富太郎!|いとうせいこう(監修), 毎日新聞出版(編集)
¥2,420
毎日新聞出版 2023年 ソフトカバー 176ページ A5判 - 内容紹介 - 愛される植物学者を語り尽くそう! 高野文子/横山譲二/田中伸幸/稲垣典年/海老塚和秀/中島岳志/牧野一浡/額賀じゅんじ/塩田貴志/廣田智恵子/朝井まかて/長田育恵/高知県立牧野植物園/里見和彦/里見由佐(登場順) 2023年の春から放送されるNHK 2023年度前期の連続テレビ小説『らんまん』(主演・神木隆之介)は、「日本の植物学の父」とも言われる牧野富太郎がモデルとなっている。本書は「牧野富太郎愛」を貫き続けるマルチクリエイターのいとうせいこう氏監修によるビジュアル単行本。 牧野博士がかつて行っていた植物採集イベント「牧野植物同好会」を、いとう氏が博士に扮し現代によみがえらせるレポート、牧野博士を研究している識者や関係者のインタビュー、『らんまん』の脚本を担当する長田育恵氏といとう氏の対談、高知県立牧野植物園ガイド、牧野博士が歩いた高知県植物採集ポイントのガイド、博士の蔵書、アートデザインや文学的センスを伝えるコーナー、牧野博士作詞『植物採集行進曲』の一部を紹介する綴じ込み付録など、「牧野ワールド」が満載だ。 カバー表1のイラストは、漫画家でイラストレーターの高野文子氏が担当。 【目次】 牧野富太郎博士、われらのヒーロー! Our Hero Dr. MAKINO! Sprouting Up! 1 牧野博士ヒストリー The Father of Japanese Botany' Makino's Life Tale 2 プランツ・パーティ!!! Plants Party!!! Festival of the Future 3 われらの牧野富太郎! Makino Tomitaro, Our Hero! 4 長田育恵×いとうせいこう 牧野博士の「らんまん人生」を語り尽くそう Life is a Flower Ikue Osada x Seiko Ito 5 われらの牧野植物園ガイド A Worker's Guide to The Makino Botanical Garden 6 牧野富太郎とめぐる植物の旅in高知 A Walkers Travelogue to Kochi in the Footsteps of Makino Tomitaro 7 牧野博士のたのしい蔵書 Makino's Library a homage to plants and a Diversity in Reading 8 牧野富太郎、驚異のセンス Dr. Makino's Aesthetic Art ・Design・ Words! 付録 植物採集行進曲 Plants & Peace on Earth
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自分のために料理を作る : 自炊からはじまる「ケア」の話 | 山口祐加, 星野概念
¥1,870
晶文社 2023年 ソフトカバー 360ページ 四六判 - 内容紹介 - 「自分のために作る料理」が、様々な悩みを解きほぐす。その日々を追いかけた、実践・料理ドキュメンタリー。【磯野真穂さん(文化人類学者)推薦!】食べることは生きること。なのに、自分のための料理は億劫。それはなぜ?料理を愛する著者が贈る、これまでにない料理本。 * * *著者のもとに寄せられた「自分のために料理が作れない」人々の声。「誰かのためにだったら料理をつくれるけど、自分のためとなると面倒で、適当になってしまう」。そんな「自分のために料理ができない」と感じている世帯も年齢もばらばらな6名の参加者を、著者が3ヵ月間「自炊コーチ」! その後、精神科医の星野概念さんと共に、気持ちの変化や発見などについてインタビューすることで、「何が起こっているのか」が明らかになる――。「自分で料理して食べる」ことの実践法と、その「効用」を伝える、自炊をしながら健やかに暮らしたい人を応援する一冊。 * * *【目次より】料理は大変だと思っているあなたにStage1 料理の問題たち 1 料理についてこんがらがってしまっていること 2 自分のために料理するのって難しい?Stage2 実践!自分のために料理を作るStage3 自分のために料理を作る七つのヒント絶対に自炊して欲しい、なんて言えないおまけ・本書で紹介したレシピ しょうが焼き ワンパンで作れる「トマトツナパスタ」 レンチンで作れる「シーフードカレー」 好きな野菜で作れる豚汁 カブの葉とじゃこの炒め物 カブとしらすのサラダ 目次 まえがき 料理は大変だと思っているあなたに Stage1 料理の問題たち 1 料理についてこんがらがってしまっていること 「理想の家庭料理像」に押しつぶされそうになっていませんか? 食事は決めることが多すぎる 献立を立てるのは大仕事 気楽に料理がしたいと思いながらもできないのはなぜ? 誰も褒めてくれない問題/料理の面白さ、楽しさがいまいちわからない 家事をする元気がない 自分の料理に自信が持てない。おいしそうと思えない 料理上手のSNSがたまにしんどく感じられるのはなぜ? 料理と自尊心との密接な関わり 2 自分のために料理するのって難しい? 何のために料理するのか目的を絞ろう 自分を大事にするための料理 自炊は自分の帰る場所を作ること 世界でたった一人のオーダーメイドな料理人の誕生 Stage2 実践!自分のために料理を作る 01 土門さん第1回【30代・女性・執筆業】 料理とは何か/調理の基本/調味の基本/レシピを見ないでしょうが焼きを作る/新しいしょうが焼きにチャレンジする/まとめ 02 藤井さん第1回【30代・男性・会社員】 自炊のモチベーションの上げ方/トマトパスタを作っていく/料理は途中でやめたっていい/夕食はイベント化されすぎている?/包丁、まな板は使わずカレーを作る/食べることをもっと楽しもう 03 横山さん(仮名)第1回【30代・女性・会社員】 料理は体力のあるうちにやる/隙間時間の一手間が料理のハードルを下げる/食習慣を作る心を見つめてみる/料理は自分らしくなるレッスン/「世の中は壮大な役割分担」/疲れていると、料理はできない/豚汁の下ごしらえをする/豚汁の合間にカブサラダ作り/カブサラダが完成/味噌が溶き残ってもご愛嬌/ヘルシーな食事が自分で作れた * 対話の時間を味わいたい――星野概念 * 01 土門さん第2回【30代・女性・執筆業】 おいしさの九割は安心感でできている/食べることに対して積極的になりました/きついダイエットをしていた一〇代、二〇代/料理は音楽と似ている/レシピの余白を読み解く/まとめ 02 藤井さん第2回【30代・男性・会社員】 目玉焼きで気分が上がるという気づき/料理で知りたいのはレシピだけじゃない/「小料理屋形式」のメリット/山口式スーパー改革案?/「自分のために料理ができない」とは/コンビニおにぎりは一点だけど袋麵は〇・五点/無限に語れる料理のあれこれ/自分を喜ばせて「大丈夫」を担保する 03 横山さん第2回【30代・女性・会社員】 一ヵ月でここまで変わった/気分の浮き沈みが激しいんです/気分の安定のために味わい始めました/料理は「今、ここ」に集中させてくれる/西洋医学ではわからない食のリアル/料理は無心になれる/長続きする幸せ 04 伊藤さん第2回【30代・女性・会社員】 料理は筋トレなんだな/仕事はできても料理ができない私/作る人が一番えらい/母の食卓の愛おしさとコンプレックスと/置いてきた宿題の解き方/評価されない、自分が満たされる世界/自分の身体にしたがい、知恵をつける/自分の「子ども」を解放しよう 05 小山田さん第2回【20代・女性】 料理のプロなのに、料理ができない/優しさがプライベートを浸食してくるとき/自分を喜ばせられた幸せ/人間関係のトラウマが「合わせる私」を作っている/優しくておいしくて幸せ、でも食べたらなくなってしまう/続ける中でわかることがある/過程を「味わう」/「味わい」の喜びは背中で示す/今やっていることを感じる/「味わいアンテナ」を伸ばそう/試行錯誤こそが「味わい」 06 川崎さん第2回【50代・女性・販売員】 お弁当を買う日もあります/「料理のテトリス」/一人だとついおやつを食べてしまう/一人になった寂しさと自由さ/原発事故の爪痕とコロナ禍の家族の変化/火を使わない夏の料理が知りたい/川崎さんのお料理、食べてみたいな Stage3 自分のために料理を作る7つのヒント 1 六名の参加者に三ヵ月間レッスンをしてみて 調理の「なぜ」がわかると、他の料理にも応用できる 億劫なことはやらなくていい 日々の食べているものをもっと肯定しよう 自炊について話す機会の必要性 2 自分のために料理を作る七つのヒント ヒント①:自分が食べたいものを作る ヒント②:結果ではなく、プロセスに集中する ヒント③:作った料理を細かく評価せず、やりすぎくらい自分を褒める ヒント④:下手な自分を愛でる ヒント⑤:他人と比べない ヒント⑥:心の中の小さな自分に作ってあげる ヒント⑦:環境を変える あとがき 絶対に自炊して欲しい、なんて言えない おまけ 本書で紹介したレシピ しょうが焼き ワンパンで作れる「トマトツナパスタ」 レンチンで作れる「シーフードカレー」 好きな野菜で作れる豚汁 カブの葉とじゃこの炒め物 カブとしらすのサラダ