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家から5分の旅館に泊まる | スズキナオ
¥2,090
太田出版 2024年 ソフトカバー 四六変型判 - 内容紹介 - 行き先は何も遠い地に限らない。近所の旅館やビジネスホテルにも、知らない世界が広がっている。 執着を解き放ち、自分の輪郭を失くしながら歩く知らない町。人に出会い、話を聞く。言葉に出会い、考える。それでもこの世界をもう少し見てみたいと思う小さな旅の記録。 話題作『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』でデビューし、今「最も注目すべき」書き手であるスズキナオ、初の旅エッセイ集。前向きな言葉、大きな声に疲れているすべての人へ。 今の疲れ果てた自分でも読めるような、むしろ、こんなときだから読みたくなるような本はないものだろうか……書棚をもっとよく探せば見つかったのだろうけど、そのときは体力もなく、まばゆく見える本ばかりが並ぶ書店をよろよろと出ての帰り道、暗くて静かな旅行記を書こう、と心に決めたのだった。大好きな『つげ義春日記』の、あの雰囲気が念頭にあった。(中略)旅先で出会う何かに心が癒されるとか、元気になるとか、そんな自分勝手なことを期待しているわけではなく、知らない土地を歩くことで、そのあいだだけは、自分自身のことを考えずに済むのかもしれない。ただ、見ているだけ、聞いているだけ、歩いているだけの存在になれるような気がするのだ。そしてその行き先は何も遠い地に限らない。近所の旅館やビジネスホテルにも、知らない世界が広がっている。(「まえがき」より) - 著者プロフィール - スズキナオ (スズキナオ) (著/文) 1979年東京生まれ、大阪在住のフリーライター。WEBサイト『デイリーポータルZ』を中心に執筆中。著書に『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』、『遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ』、『思い出せない思い出たちが僕らを家族にしてくれる』、『「それから」の大阪』など。パリッコとの共著に『ご自由にお持ちくださいを見つけるまで家に帰れない一日』、『椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門』、『“よむ”お酒』、『酒の穴』などがある。
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ヘルシンキ 生活の練習はつづく | 朴 沙羅
¥1,980
筑摩書房 2024年 ソフトカバー 336ページ 四六判 - 内容紹介 - 一日八時間労働だったら、三時間ちょっと、ぼんやりしてください――健康診断の看護師さん 自分のホームはフィンランドだと思って、ここに根づいてほしい――ゲオルギー 母ちゃんは戦争になったら、ユキとクマをすぐ日本に連れていってくれる?――ユキ ここでどんなにたくさんのことを教わったか、みんながどれだけよく僕をお世話してくれたか、僕は言葉では言えない――クマ 日本ではどうも、おじいさんが偉くなるルールがあるっぽいな――ユキ 言葉で世界があんねん――ユキ みんしゅしゅぎのくにでは、みんながいやだといったら、せんそうが続けられない――クマ etc. === 「多様なのが普通」って、こういうことなのか。 - 目次 - はじめに 1 大人と働く 2 戦争と平和(前編) 3 戦争と平和(後編) 4 特殊なのは誰か 5 見えないルール 6 エリライシアが普通 7 みんなのための善いこと おわりに 注 装丁・装画・本文設計 寄藤文平+垣内晴(文平銀座) - 著者プロフィール - 朴 沙羅 (パク サラ) (本文) 1984年、京都生まれ。専攻は社会学(ナショナリズム研究)。ヘルシンキ大学文学部文化学科講師。著作に『ヘルシンキ 生活の練習』、『家(チベ)の歴史を書く』(ちくま文庫)、『外国人をつくりだす』(ナカニシヤ出版)など。
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ヘルシンキ 生活の練習 | 朴 沙羅
¥990
SOLD OUT
筑摩書房 2024年 ちくま文庫 ソフトカバー 320ページ 文庫判 - 内容紹介 - フィンランドの子育てに、目からうろこ。 「母親は人間でいられるし、人間であるべきです」 二人の子どもと海を渡った社会学者による現地レポート。 「考え方が変わる」と大反響。待望の文庫化! 【内容紹介】 「これらのスキルはすべて、一歳から死ぬまで練習できることですよ」二人の子どもを連れ、新しい土地で生活を始めた社会学者の著者は、日本とのちがいに驚かされつつ、出会ったひとたちからたくさんのことを教わっていく。「フィンランドは理想郷でもないし、とんでもなくひどいところでもない」たんたんと、関西弁のユーモアを交えて描かれる、北欧のレポート。 「フィンランド(に限らず、北欧)は理想郷のように描かれるときがある。かと思うと、そんなことはないのだ、これがフィンランド(と北欧)の真実だ、と悪い情報を流す言説を見ることもある。 でもたぶん、それはどちらも正確ではない。フィンランドは理想郷でもないし、とんでもなくひどいところでもない。単に違うだけだ。その違いに驚くたびに、私は、自分たちが抱いている思い込みに気がつく。それに気がつくのが、今のところは楽しい。」 (「4 技術の問題――保育園での教育・その2」より) 解説 坂上香 装丁・装画 寄藤文平+垣内晴(文平銀座) - 目次 - はじめに 1 未知の旅へ――ヘルシンキ到着 2 VIP待遇――非常事態宣言下の生活と保育園 コラム1 ヘルシンキ市の公共交通機関と子ども車両 3 畑の真ん中――保育園での教育・その1 4 技術の問題――保育園での教育・その2 5 母親をする――子育て支援と母性 コラム2 社会とクラブと習い事 6 「いい学校」――小学校の入学手続き 7 チャイコフスキーと博物館――日本とフィンランドの戦争認識 コラム3 マイナンバーと国家への信頼 8 ロシア人――移民・移住とフィンランド コラム4 小学校入学 おわりに 注 文庫版あとがき 解説 坂上香 - 著者プロフィール - 朴 沙羅 (パク サラ) (本文) 1984年生まれ。専門は社会学、移民研究。ヘルシンキ大学文学部文化学科講師。単著に『家(チベ)の歴史を書く』(筑摩書房)、『外国人をつくりだす――戦後日本における「密航」と入国管理制度の運用』(ナカニシヤ出版)、『記憶を語る, 歴史を書く――オーラルヒストリーと社会調査』(有斐閣)、編著に『最強の社会調査入門』(ナカニシヤ出版)など。
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悪口論 脅しと嘲笑に対抗する技術 | 小峰 ひずみ
¥2,640
百万年書房 2024年 ソフトカバー 248ページ 四六判 縦128mm 横188mm 厚さ17mm - 内容紹介 - 私たちは社会を賢くしなければならないのであって、あなたが賢くなる必要はない。 『平成転向論 SEALDs 鷲田清一 谷川雁』著者が、哲学対話をきっかけに考えた「悪口」という戦術。 - 目次 - 第一章 感情論 Ⅰ 男根主義 Ⅱ 感情 Ⅲ 連帯 Ⅳ 力 Ⅴ 問題 第二章 悪口論 Ⅰ 職場で Ⅱ 政治運動で Ⅲ 悪口 Ⅳ 狂信者 Ⅴ レーニン 第三章 (生き)恥論 Ⅰ 恥 Ⅱ 罵倒 Ⅲ 仲間 Ⅳ 死 Ⅴ 裏切り 第四章 言行論 Ⅰ シェアハウス Ⅱ シニシズム Ⅲ 技術 Ⅳ 臨床哲学 第五章 何をいかに受け継ぐべきか Ⅰ 対話 Ⅱ 嘲笑 Ⅲ 社会 Ⅳ 物語 Ⅴ 誰でも、いつでも、どこでも Ⅵ ブーメラン 悪口論--脅しと嘲笑に対抗する技術 注釈 - 版元から一言 - 恐怖と安堵のあわいで生き恥を晒し、資本主義に悪酔いしながらも負け組の積極財政派として欲望を仕分けせずに生きていくということ。なんたる難題。だけど、誠実すぎる言葉がここには無数にある。 作家・活動家 雨宮 処凛 権力の脅しに慣れきった民衆。民主主義や反資本主義を唱えるが自らは行動しない大学人。本書は彼らの喉元に鋭い刃を突きつける。政治的指導者観を一新したマキャヴェリ『君主論』を連想させる、新しい「市民論」。 西洋史学者 将基面 貴巳 学生運動が消えた阪大で鷲田清一に憧れて哲学カフェする連中を憎んだ。でも、僕は何もしなかった。小峰ひずみは臨床哲学を変異させて活動家になった。何をなすべき(だった)か。実践で実践を教える実践書だ。 文筆家 綿野恵太 著者が、本書で、自らの半生をかように身も蓋もなく開示するのは、「あなたも書ける」と知らせるためだ。いかに他者の知を継承し、いかにこれを手渡すか、聞く耳をもたせるか、体を向かわせるか、そのために言葉は綴られる。「あなたも書ける」と言い切ることにすべてを懸ける。その気概に、しっかりと打たれてしまった。 彫刻家・評論家 小田原のどか 分断の時代だといわれる。だから、ケアや「推し」で他人をいたわるのが美徳だと思われている。誹謗中傷などもってのほか。が、分断がなければ連帯なく、断橋がなければ架橋はない。対立の力を熾烈な交流へと変換する谷川雁の工作者の精神は哲学対話にひきつがれていた。本書を読んで、私は小峰ひずみと対話したいとまったく思わなかったが、小峰はそんなことお構いなしに語りかける。うっぜ。しかし、そのうざさのなかでこそ悪口は悪口の技術を獲得するのだ。悪口をやめるのではなく、悪口の技術を学ぶ道を採るとき、政治運動はすべての人にその門戸を開く。 在野研究者 荒木優太 悪口上等、ぶつかってナンボ。「正しさ」に縛られ、物申す手段は投票しかないと刷り込まれた私たちの横っ面を、本書は叩(はた)く。生身の人と人とが散らす火花からだけ、この沈鬱とした社会を変えうる狼煙は上がるのだ。 ノンフィクション作家 藤原賢吾 社会に絶望したふりをして絶望しきれずにいる私たちに、いま必要なのは運動の「技術」なのだと思う。「そうだそうだ」と「それはどうだろう」の先に「じゃあどうする?」を突きつける実践の書。 新聞記者 滝沢文那 罵倒語を豊かにしたいと考えてきたのでわが意を得るところが少なくない。若いといってももう三十路の書き手だから当然と言えば当然だが、文章は平明で、ポレミークの運びは緻密で周到で戦略的だ。その<戦略>は過剰なまでにスリリングである。「活動家」には論理の不備を衝く「知識人」として挑発し、「知識人」には「知識人は味方のような敵だ」と、「活動家」の立場で威圧する。『平成転向論』同様、共感と敵対を無数に組織する<技術>は端倪すべからざるものだ。 批評家 菅孝行 批評と運動の二刀流、「知の大谷翔平」こと小峰ひずみに瞠目せよ! 本書は世界とあなたの未来を、劇的に変革する。必読‼︎ 作家/アイドル評論家 中森明夫 どれほどくだらない運動も(あ、「悪口」を云ってしまった)何か良きものを生み出す可能性を秘めている。80年代後半の土井社会党ブームは私を生み出したが、“2015年安保www”(あ、「嘲笑」してしまった)は小峰ひずみを生み出したようだ。 革命家 外山恒一 - 著者プロフィール - 小峰 ひずみ (コミネ ヒズミ) (著) 大阪府生。大阪大学文学部卒。 第65回群像新人評論賞で「平成転向論 鷲田清一をめぐって」が優秀作に選出される。著書に『平成転向論 SEALDs 鷲田清一 谷川雁』(講談社)。論考に「大阪(弁)の反逆 お笑いとポピュリズム」(『群像』2023年3月号)、「人民武装論 RHYMESTERを中心に」(『ことばと vol.6』)、「平成世代が描く左翼像」(『中央公論』2022年10月号)、「議会戦術論――安倍晋三の答弁を論ず」(『群像』2024年7月号)、座談会に「戦術談義 運動の技術/現場の工夫」(『情況』2024年春号)。
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自分のために料理を作る : 自炊からはじまる「ケア」の話 | 山口祐加, 星野概念
¥1,870
SOLD OUT
晶文社 2023年 ソフトカバー 360ページ 四六判 - 内容紹介 - 「自分のために作る料理」が、 様々な悩みを解きほぐす。 その日々を追いかけた、 実践・料理ドキュメンタリー。 【磯野真穂さん(文化人類学者)推薦!】 食べることは生きること。なのに、自分のための料理は億劫。それはなぜ?料理を愛する著者が贈る、これまでにない料理本。 * * * 著者のもとに寄せられた「自分のために料理が作れない」人々の声。「誰かのためにだったら料理をつくれるけど、自分のためとなると面倒で、適当になってしまう」。そんな「自分のために料理ができない」と感じている世帯も年齢もばらばらな6名の参加者を、著者が3ヵ月間「自炊コーチ」! その後、精神科医の星野概念さんと共に、気持ちの変化や発見などについてインタビューすることで、「何が起こっているのか」が明らかになる――。「自分で料理して食べる」ことの実践法と、その「効用」を伝える、自炊をしながら健やかに暮らしたい人を応援する一冊。 * * * 【目次より】 料理は大変だと思っているあなたに Stage1 料理の問題たち 1 料理についてこんがらがってしまっていること 2 自分のために料理するのって難しい? Stage2 実践!自分のために料理を作る Stage3 自分のために料理を作る七つのヒント 絶対に自炊して欲しい、なんて言えない おまけ・本書で紹介したレシピ しょうが焼き ワンパンで作れる「トマトツナパスタ」 レンチンで作れる「シーフードカレー」 好きな野菜で作れる豚汁 カブの葉とじゃこの炒め物 カブとしらすのサラダ - 目次 - まえがき 料理は大変だと思っているあなたに Stage1 料理の問題たち 1 料理についてこんがらがってしまっていること 「理想の家庭料理像」に押しつぶされそうになっていませんか? 食事は決めることが多すぎる 献立を立てるのは大仕事 気楽に料理がしたいと思いながらもできないのはなぜ? 誰も褒めてくれない問題/料理の面白さ、楽しさがいまいちわからない 家事をする元気がない 自分の料理に自信が持てない。おいしそうと思えない 料理上手のSNSがたまにしんどく感じられるのはなぜ? 料理と自尊心との密接な関わり 2 自分のために料理するのって難しい? 何のために料理するのか目的を絞ろう 自分を大事にするための料理 自炊は自分の帰る場所を作ること 世界でたった一人のオーダーメイドな料理人の誕生 Stage2 実践!自分のために料理を作る 01 土門さん第1回【30代・女性・執筆業】 料理とは何か/調理の基本/調味の基本/レシピを見ないでしょうが焼きを作る/新しいしょうが焼きにチャレンジする/まとめ 02 藤井さん第1回【30代・男性・会社員】 自炊のモチベーションの上げ方/トマトパスタを作っていく/料理は途中でやめたっていい/夕食はイベント化されすぎている?/包丁、まな板は使わずカレーを作る/食べることをもっと楽しもう 03 横山さん(仮名)第1回【30代・女性・会社員】 料理は体力のあるうちにやる/隙間時間の一手間が料理のハードルを下げる/食習慣を作る心を見つめてみる/料理は自分らしくなるレッスン/「世の中は壮大な役割分担」/疲れていると、料理はできない/豚汁の下ごしらえをする/豚汁の合間にカブサラダ作り/カブサラダが完成/味噌が溶き残ってもご愛嬌/ヘルシーな食事が自分で作れた * 対話の時間を味わいたい――星野概念 * 01 土門さん第2回【30代・女性・執筆業】 おいしさの九割は安心感でできている/食べることに対して積極的になりました/きついダイエットをしていた一〇代、二〇代/料理は音楽と似ている/レシピの余白を読み解く/まとめ 02 藤井さん第2回【30代・男性・会社員】 目玉焼きで気分が上がるという気づき/料理で知りたいのはレシピだけじゃない/「小料理屋形式」のメリット/山口式スーパー改革案?/「自分のために料理ができない」とは/コンビニおにぎりは一点だけど袋麵は〇・五点/無限に語れる料理のあれこれ/自分を喜ばせて「大丈夫」を担保する 03 横山さん第2回【30代・女性・会社員】 一ヵ月でここまで変わった/気分の浮き沈みが激しいんです/気分の安定のために味わい始めました/料理は「今、ここ」に集中させてくれる/西洋医学ではわからない食のリアル/料理は無心になれる/長続きする幸せ 04 伊藤さん第2回【30代・女性・会社員】 料理は筋トレなんだな/仕事はできても料理ができない私/作る人が一番えらい/母の食卓の愛おしさとコンプレックスと/置いてきた宿題の解き方/評価されない、自分が満たされる世界/自分の身体にしたがい、知恵をつける/自分の「子ども」を解放しよう 05 小山田さん第2回【20代・女性】 料理のプロなのに、料理ができない/優しさがプライベートを浸食してくるとき/自分を喜ばせられた幸せ/人間関係のトラウマが「合わせる私」を作っている/優しくておいしくて幸せ、でも食べたらなくなってしまう/続ける中でわかることがある/過程を「味わう」/「味わい」の喜びは背中で示す/今やっていることを感じる/「味わいアンテナ」を伸ばそう/試行錯誤こそが「味わい」 06 川崎さん第2回【50代・女性・販売員】 お弁当を買う日もあります/「料理のテトリス」/一人だとついおやつを食べてしまう/一人になった寂しさと自由さ/原発事故の爪痕とコロナ禍の家族の変化/火を使わない夏の料理が知りたい/川崎さんのお料理、食べてみたいな Stage3 自分のために料理を作る7つのヒント 1 六名の参加者に三ヵ月間レッスンをしてみて 調理の「なぜ」がわかると、他の料理にも応用できる 億劫なことはやらなくていい 日々の食べているものをもっと肯定しよう 自炊について話す機会の必要性 2 自分のために料理を作る七つのヒント ヒント①:自分が食べたいものを作る ヒント②:結果ではなく、プロセスに集中する ヒント③:作った料理を細かく評価せず、やりすぎくらい自分を褒める ヒント④:下手な自分を愛でる ヒント⑤:他人と比べない ヒント⑥:心の中の小さな自分に作ってあげる ヒント⑦:環境を変える あとがき 絶対に自炊して欲しい、なんて言えない おまけ 本書で紹介したレシピ しょうが焼き ワンパンで作れる「トマトツナパスタ」 レンチンで作れる「シーフードカレー」 好きな野菜で作れる豚汁 カブの葉とじゃこの炒め物 カブとしらすのサラダ
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東京の台所 | 大平 一枝
¥1,100
毎日新聞出版 2024年 毎日文庫 ソフトカバー 160ページ 文庫判 - 内容紹介 - 台所の数だけ、人生がある。NHK「あさイチ」での紹介で大反響を呼んだ『それでも食べて生きてゆく 東京の台所』。そのシリーズ第一作『東京の台所』がついに文庫化。「台所と食」をめぐる50人の人生の物語とは。カラー写真を多数収録した感動のノンフィクション!
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英語で日本語を考える | 片岡 義男
¥858
筑摩書房 2024年 ちくま文庫 ソフトカバー 192ページ 文庫判 - 内容紹介 - Q 英語でなんて言う? 「ことの自然ななりゆき」 「でも私って、いつもそうだから」 「きみがいてくれるなら、この世のなかも捨てたものじゃないよ」 例えば、「地元産」は英訳すると“locally grown”。「産出された」あとの状態を示す「産」が“grow”という動詞を用いて表される、とても英語らしい言いかただ。この表現の違いとはなんだろう。英語を鏡にして写し出される日本語の構造や性能、また立ち現れてくる強さや弱さなどについて、小説家である著者が考える。 解説 倉林秀男 - 目次 - 以下百例のひと言を、英語で言ってみよう。 「いまどんなお気持ちですか」/「そのへんはどうですか」/「状況を説明してください」/「あなたはどちらの意見をお採りになりますか」/「こういう批判を、ご当人としてはどう受けとめますか」/「──ということは考えられますか」/「お知らせのあともニュースが続きます」/「どういうことなのでしょうか」/「──ということですか」/「それが憲法とどう関係してくるのですか」/「この問題に関して、首相が完全に的はずれであるというのが、情けない現実なのです」/「今日のこの出来事を踏まえた上で、ほかにどのような点に注意したらいいのでしょうか」/「あなたのおっしゃることの正当性がどのあたりにあるか、という問題になりますよねえ」/「いくらですか」/「価格破壊」/「環境に優しい」/「史上最悪の」/「ただちに目に見えるかたちでの結果」/「煙草を喫ってもいいですか」/「この話を私から聞いたなんて、誰にも言ってはいけないのよ」/「これにめげずに、今日も頑張って」/「ひとりで自分を見つめる時間です」/「私、生まれも育ちも、葛飾柴又です」/「チーム全員が力を合わせた結果です」/「なんらかの理由で」/「人が画面いっぱいになるように撮ればいいんですよ」/「ぶれたんですよ」/「物心ついてからこのかた」・・・・・・(以下つづく) カバーデザイン/杉山健太郎 - 著者プロフィール - 片岡 義男 (カタオカ ヨシオ) (本文) 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始める。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『日本語の外へ』『東京22章』『万年筆インク紙』『珈琲が呼ぶ』『窓の外を見てください』『いつも来る女の人』『言葉の人生』ほか多数の著書がある。
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からゆきさん 異国に売られた少女たち | 森崎 和江
¥682
朝日新聞出版 2024年 朝日文庫 ソフトカバー 263ページ 文庫判 縦128mm 横188mm 厚さ17mm - 内容紹介 - 人気漫画家の今日マチ子さんが新装版カバーを描き下ろし! 衝撃の傑作ノンフィクションが復刊! ! 500円で外国の娼館に売られた少女は、まだ恋も知らなかった。 〔概要〕 16歳で朝鮮に売られ、狂死したキミ。東南アジアで財をなし、壮絶な自殺を遂げたヨシ。ふるさとを思い、売られていった女たちが、異国の地で見た夢は何だったのか――。綿密な取材と膨大な資料をもとに、「からゆきさん」の軌跡を辿った名作が、新装版で復刊。解説は斎藤美奈子氏。 ●歴史の闇に埋もれた少女たちを描いた、傑作ノンフィクション 「からゆきさん」とは、明治、大正、昭和の日本で、貧しさゆえに外国の娼館に売られていった少女たちの総称です。第二次世界大戦後、彼女たちの存在は「戦前日本の恥部」として一般に知られることはありませんでした。本書は、関係者への綿密な聞き取り調査、当時の新聞記事など膨大な資料調査をもとに、知られざるからゆきさんの真実に迫った感動のルポルタージュです。1976年に単行本として刊行され、1980年に文庫化した話題作が、文庫新装版で復刊します。 ●装画は人気漫画家の今日マチ子が担当 可愛らしいタッチで、若い世代を中心に人気の漫画家、今日マチ子氏。『cocoon』、『アノネ、』『ぱらいそ』といった「戦争シリーズ」のように、絶望の世界でひたむきに生きる少女たちを描いてきた今日氏が、21世紀のいま、からゆきさんに新たな息吹を吹き込んでいます。 ●「格差社会」の今こそ読まれるべき良書 豊かになったとはいえ、新聞やテレビが連日のように貧困・格差の問題を取り上げている今日の日本。からゆきさんは決して「過去の話」ではなく、増加する派遣労働や非正規雇用、男女差別、地域による格差など、いま日本が抱える問題を考える上で、手がかりとなるはずです。 ●解説の文芸評論家・斎藤美奈子も太鼓判! 「『からゆきさん』は、あらためて、21世紀のいまこそ読まれるべき本だといえましょう。40年前の森崎和江が私たちのカンテラであったように、本書が、性の商品化を、国際間、地域間の経済格差を、そして女性の生き方を考えるうえでの、大きな手がかりであることはまちがいありません」(斎藤美奈子氏の解説より)
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お砂糖ひとさじで | 松田 青子
¥1,760
SOLD OUT
PHP研究所 2024年 ソフトカバー 208ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ15mm - 内容紹介 - 小さなことへの喜びや楽しみ。 それこそが、自分。 メアリー・ポピンズの映画に出てくる歌「お砂糖ひとさじで」。そこでは、小さな工夫で日常がどれだけ楽しくなるかが歌われる。ひとさじのお砂糖で、苦い薬も飲めるようになる――そんなふうに気持ちを軽くしてくれる、魔法の呪文のようなエッセイ。お気に入りのアイテムやちょっとした発見、ずっと変わらず好きなこと、新たに好きになったもの、時には疑問や怒りも。あらゆるもので日々は織り成されている。 『PHPスペシャル』の好評連載を書籍化。 〈目次より〉 ・服を買わなくても平気だった ・お茶の時間を取り戻す ・私、参加してる! ・秘密の森に分け入って ・心躍るジャンクフード ・ファンシーに夢中 ・読書は心にいい ・運命のペンとノート ・副反応のシルバニア ・敏感肌の冒険 ・必要なものですんで! ・リップモンスターを探して ・それもまたよし ・タクシーへの怒り ・オックスフォードの晩餐 ・セボンスターとパンとバラ - 著者プロフィール - 松田 青子 (マツダ アオコ) (著/文) 1979年、兵庫県生まれ。同志社大学文学部英文学科卒業。2013年、デビュー作『スタッキング可能』が三島由紀夫賞および野間文芸新人賞の候補に、翌年のTwitter 文学賞第1位になる。2019年に短篇「女が死ぬ」がシャーリイ・ジャクスン賞候補に、2021年に『おばちゃんたちのいるところ』がレイ・ブラッドベリ賞候補となり、ファイアークラッカー賞および世界幻想文学大賞を受賞し、2023年には日伊ことばの架け橋賞を受賞する。他の著作に『持続可能な魂の利用』『男の子になりたかった女の子になりたかった女の子』、エッセイ集『自分で名付ける』、翻訳にカレン・ラッセル『オレンジ色の世界』などがある。
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自分のために料理を作る : 自炊からはじまる「ケア」の話 | 山口祐加, 星野概念
¥1,870
晶文社 2023年 ソフトカバー 360ページ 四六判 - 内容紹介 - 「自分のために作る料理」が、様々な悩みを解きほぐす。その日々を追いかけた、実践・料理ドキュメンタリー。【磯野真穂さん(文化人類学者)推薦!】食べることは生きること。なのに、自分のための料理は億劫。それはなぜ?料理を愛する著者が贈る、これまでにない料理本。 * * *著者のもとに寄せられた「自分のために料理が作れない」人々の声。「誰かのためにだったら料理をつくれるけど、自分のためとなると面倒で、適当になってしまう」。そんな「自分のために料理ができない」と感じている世帯も年齢もばらばらな6名の参加者を、著者が3ヵ月間「自炊コーチ」! その後、精神科医の星野概念さんと共に、気持ちの変化や発見などについてインタビューすることで、「何が起こっているのか」が明らかになる――。「自分で料理して食べる」ことの実践法と、その「効用」を伝える、自炊をしながら健やかに暮らしたい人を応援する一冊。 * * *【目次より】料理は大変だと思っているあなたにStage1 料理の問題たち 1 料理についてこんがらがってしまっていること 2 自分のために料理するのって難しい?Stage2 実践!自分のために料理を作るStage3 自分のために料理を作る七つのヒント絶対に自炊して欲しい、なんて言えないおまけ・本書で紹介したレシピ しょうが焼き ワンパンで作れる「トマトツナパスタ」 レンチンで作れる「シーフードカレー」 好きな野菜で作れる豚汁 カブの葉とじゃこの炒め物 カブとしらすのサラダ 目次 まえがき 料理は大変だと思っているあなたに Stage1 料理の問題たち 1 料理についてこんがらがってしまっていること 「理想の家庭料理像」に押しつぶされそうになっていませんか? 食事は決めることが多すぎる 献立を立てるのは大仕事 気楽に料理がしたいと思いながらもできないのはなぜ? 誰も褒めてくれない問題/料理の面白さ、楽しさがいまいちわからない 家事をする元気がない 自分の料理に自信が持てない。おいしそうと思えない 料理上手のSNSがたまにしんどく感じられるのはなぜ? 料理と自尊心との密接な関わり 2 自分のために料理するのって難しい? 何のために料理するのか目的を絞ろう 自分を大事にするための料理 自炊は自分の帰る場所を作ること 世界でたった一人のオーダーメイドな料理人の誕生 Stage2 実践!自分のために料理を作る 01 土門さん第1回【30代・女性・執筆業】 料理とは何か/調理の基本/調味の基本/レシピを見ないでしょうが焼きを作る/新しいしょうが焼きにチャレンジする/まとめ 02 藤井さん第1回【30代・男性・会社員】 自炊のモチベーションの上げ方/トマトパスタを作っていく/料理は途中でやめたっていい/夕食はイベント化されすぎている?/包丁、まな板は使わずカレーを作る/食べることをもっと楽しもう 03 横山さん(仮名)第1回【30代・女性・会社員】 料理は体力のあるうちにやる/隙間時間の一手間が料理のハードルを下げる/食習慣を作る心を見つめてみる/料理は自分らしくなるレッスン/「世の中は壮大な役割分担」/疲れていると、料理はできない/豚汁の下ごしらえをする/豚汁の合間にカブサラダ作り/カブサラダが完成/味噌が溶き残ってもご愛嬌/ヘルシーな食事が自分で作れた * 対話の時間を味わいたい――星野概念 * 01 土門さん第2回【30代・女性・執筆業】 おいしさの九割は安心感でできている/食べることに対して積極的になりました/きついダイエットをしていた一〇代、二〇代/料理は音楽と似ている/レシピの余白を読み解く/まとめ 02 藤井さん第2回【30代・男性・会社員】 目玉焼きで気分が上がるという気づき/料理で知りたいのはレシピだけじゃない/「小料理屋形式」のメリット/山口式スーパー改革案?/「自分のために料理ができない」とは/コンビニおにぎりは一点だけど袋麵は〇・五点/無限に語れる料理のあれこれ/自分を喜ばせて「大丈夫」を担保する 03 横山さん第2回【30代・女性・会社員】 一ヵ月でここまで変わった/気分の浮き沈みが激しいんです/気分の安定のために味わい始めました/料理は「今、ここ」に集中させてくれる/西洋医学ではわからない食のリアル/料理は無心になれる/長続きする幸せ 04 伊藤さん第2回【30代・女性・会社員】 料理は筋トレなんだな/仕事はできても料理ができない私/作る人が一番えらい/母の食卓の愛おしさとコンプレックスと/置いてきた宿題の解き方/評価されない、自分が満たされる世界/自分の身体にしたがい、知恵をつける/自分の「子ども」を解放しよう 05 小山田さん第2回【20代・女性】 料理のプロなのに、料理ができない/優しさがプライベートを浸食してくるとき/自分を喜ばせられた幸せ/人間関係のトラウマが「合わせる私」を作っている/優しくておいしくて幸せ、でも食べたらなくなってしまう/続ける中でわかることがある/過程を「味わう」/「味わい」の喜びは背中で示す/今やっていることを感じる/「味わいアンテナ」を伸ばそう/試行錯誤こそが「味わい」 06 川崎さん第2回【50代・女性・販売員】 お弁当を買う日もあります/「料理のテトリス」/一人だとついおやつを食べてしまう/一人になった寂しさと自由さ/原発事故の爪痕とコロナ禍の家族の変化/火を使わない夏の料理が知りたい/川崎さんのお料理、食べてみたいな Stage3 自分のために料理を作る7つのヒント 1 六名の参加者に三ヵ月間レッスンをしてみて 調理の「なぜ」がわかると、他の料理にも応用できる 億劫なことはやらなくていい 日々の食べているものをもっと肯定しよう 自炊について話す機会の必要性 2 自分のために料理を作る七つのヒント ヒント①:自分が食べたいものを作る ヒント②:結果ではなく、プロセスに集中する ヒント③:作った料理を細かく評価せず、やりすぎくらい自分を褒める ヒント④:下手な自分を愛でる ヒント⑤:他人と比べない ヒント⑥:心の中の小さな自分に作ってあげる ヒント⑦:環境を変える あとがき 絶対に自炊して欲しい、なんて言えない おまけ 本書で紹介したレシピ しょうが焼き ワンパンで作れる「トマトツナパスタ」 レンチンで作れる「シーフードカレー」 好きな野菜で作れる豚汁 カブの葉とじゃこの炒め物 カブとしらすのサラダ
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誕生日のアップルパイ | 庄野 千寿子
¥2,420
夏葉社 2024年 ハードカバー 221ページ A5変形 - 内容紹介 - 庄野潤三の妻である庄野千寿子が、長女・夏子へと送った130通の「幸わせな書簡集」。 装画は小沼丹によるもの。
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東京の編集者 - 山高登さんに話を聞く | 山高登
¥2,530
夏葉社 2017年 ハードカバー 148ページ A5変形 - 内容紹介 - 新潮社で長く編集者をつとめた山高登(やまたか・のぼる)さんの談話をまとめた一冊。志賀直哉、内田百閒、尾崎一雄、上林曉。あの本も、この本も、みんな山高さん。秘蔵のモノクロ写真も多数収録。 装丁 櫻井久
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古本屋タンポポのあけくれ | 片岡 千歳
¥2,860
夏葉社 2023年 ハードカバー 317ページ 四六判 - 内容紹介 - 詩を愛する夫婦がはじめた小さな古書店「タンポポ書店」。その愛おしい日々を綴った随筆集を約20年ぶりに復刊。 - 目次 - タンポポ通り 出久根達郎氏のこと 古書店 上 創業のころ 上 出会い 上 伊丹文庫 恩師 愛読書 ばんちゃん 昔話 「タンポポ」のタンポポ 映画『雲がちぎれる時』 万引の話 来客名簿 署名本 出張販売 夫の病気 紫陽花の思い出 「スニーカーのうた」 本の山〔ほか〕 - 著者等紹介 - 片岡千歳[カタオカチトセ] 1935年、山形県堀内村(現、舟形町)生まれ。63年に夫・片岡幹雄とともに高知県高知市で古書店「タンポポ書店」を開店。同店は2004年に閉店するまで多くの人に親しまれた。2008年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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私の文学渉猟 | 曾根 博義
¥2,530
夏葉社 2022年 ハードカバー 392ページ 四六判 - 内容紹介 - 近代文学研究者であり、古書蒐集家でもあった曾根博義(1940‐2016)の本と文学にまつわる文章48本を精撰。 - 目次 - 第1章 持つと持たぬと(持つと持たぬと;娘の眼 ほか) 第2章 『L’ESPRIT NOUVEAU』第七号の行方(第一書房版『ユリシイズ』の怪;雑誌『L’ESPRIT NOUVEAU』第七号の行方(上) ほか) 第3章 犬も歩けば 近代文学資料探索(百田楓花『愛の鳥』;雑誌『不確定性ペーパ』 ほか) 第4章 伊藤整と私小説(太宰治と伊藤整;伊藤整と私小説 ほか) - 著者等紹介 - 曾根博義[ソネヒロヨシ] 1940年、静岡県生まれ。東京大学経済学部経済学科卒。日本近代文学研究者。日本大学教授を2010年まで務める。2016年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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本屋で待つ | 佐藤 友則
¥1,760
夏葉社 2022年 ハードカバー 298ページ 120 mm × 180 mm - 内容紹介 - 町の人たちがなんでも相談にくる広島の山間の本屋「ウィー東城店」。地域の小売店の可能性と、そこで成長する若者たちの姿を描く。
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悼むひと 元兵士と家族をめぐるオーラル・ヒストリー | 遠藤 美幸
¥2,530
生きのびるブックス 2023年 ソフトカバー 248ページ 四六判 縦128mm 横188mm 厚さ18mm - 内容紹介 - 戦場体験者の証言が浮かび上らせるのは、歴史的事実だけでない。話せないこともあれば、伝えたくても伝わらない真実もある。戦没した仲間への哀惜。「勇ましい」戦後右派への不信…。ビルマ戦研究者であり、戦友会、慰霊祭の世話係でもある著者が、20年以上にわたる聞き取りをとおしてつづった、 “痛み”と“悼み”の記録。 「生き延びた元兵士らの言葉とともに戦没兵士の言葉も若者にこそ届けたい。(略)戦争の傷跡はあちこちに残っていて、いまだ癒えていない。私たちは『終わらない戦争』の中に生きている」(本文) - 目次 - まえがき ◆第1章 九八歳の「慶應ボーイ」 「知らせたい人リスト」 十人十色の戦争体験 徴兵猶予停止と学徒出陣 軍に嫌われた!? 福澤諭吉と経済学部 「出陣学徒壮行会」をサボって何処へ 「出陣学徒壮行の地」の碑の建立 「戦争はいけません」 ◆第2章 初年兵の「ルサンチマン」 「ジャワは天国、ビルマは地獄、生きて帰れぬニューギニア」 拉孟戦とはなにか? 「安はやすやす祭り上げ、龍と勇がしのぎを削る」 初年兵の「ルサンチマン」 ◆第3章 永代神楽祭と「謎の研究者」 戦友会の代表世話人に 永代神楽祭とは? 引き継ぎ業務 遺族同士を繋げる「ボンドガール」 戦場体験を聴くということ ◆第4章 戦場と母ちゃん 老兵からの電話 手渡されたノートの切れ端 母ちゃんのバカ 千人針 初年兵教育 母ちゃんを思う気持ち 晩年の老兵たちの言葉 最期の言葉は「お母さん」 ◆第5章 一〇一歳の遺言 一九四一年一二月八日「開戦」 コタバル敵前上陸 シンガポール攻略 死んだ人にも格差 インパール作戦からの敗退 ◆第6章 ビルマ戦の記憶の継承――元日本兵の慰霊を続ける村 「戦友愛」と遺骨収集 ウエモンが見た戦場のリアル 慰霊に人生を捧げた中隊長 ウェトレット村での戦闘 元日本兵の慰霊を続ける村 ミャンマー贔屓 ビルマは「親日的」なのか ミャンマー国軍と日本 ◆第7章 音楽は軍需品なり――朝ドラ「エール」とビルマ戦線 古関裕而のもう一つの顔 南方「皇軍慰問団」と拉孟 「ビルマ派遣軍の歌」 音楽家の戦争加担 「音楽は軍需品なり」 ◆第8章 いま、戦争が起きたらどうしますか? 元陸軍中尉の問いかけ 最後に愛が勝つ 「勇ましい」戦争非体験者たち 不戦を訴える元兵士たち ◆第9章 戦没者慰霊祭に響き合う「ポリフォニー」 遺族間の「温度差」 戦死した「貴方」の無念を伝えます ◆第10章 やすくにの夏 御明大作戦 一〇〇灯の御明 靖国参拝に訪れる「ふつうの人たち」 みんなで参拝すれば怖くない 美化された「英霊」 元特攻兵からの手紙 特攻と桜│裏の真実 戦没者を悼む場所 ◆第11章 戦友会「女子会」――元兵士と娘たち 元特攻兵の娘 戦友会に参加する娘たち 父の遺志を継ぐ娘 「父に近づかないでください」 戦史研究に熱心な息子たち 亡父と「和解」した娘 ◆第12章「戦場体験」を受け継ぐということ 戦争前夜 平和ボケ 客室乗務員からビルマ戦の研究者へ 慰霊登山と拉孟 ◆最終章――非当事者による「感情の歴史学」 手本はイギリス式オーラル・ヒストリー 生きた歴史に触れる 「主婦研究者」もけっこうツライ 歴史事実が歴史化されるとき あとがき - 前書きなど - まえがき ◆戦場体験者との出会い もともと戦争にはまったく興味がなかった。ひょんなことから普通の主婦が戦場体験者への聞き取りをすることになり、かれこれ二〇年以上も続けている。もう還暦を迎える年齢になったが、きっかけは二〇代の頃、たまたま飛行機の中で知り合った拉孟戦に従軍した元飛行兵との出会いだった。その後しばらくしてから結婚し、子育てをしながら慶應大学大学院に進み(この時はイギリス近代史研究をするため)、その後、紆余曲折があり十数年の歳月を経て拉孟戦の「主婦研究者」になった。飛行機での偶然の出会いと研究者になるまでのプロセスは本文に譲るとして、拉孟戦を知らない人がほとんどだと思うので、少しだけ触れておきたい。ご多分に洩れず私も「拉孟」なんて聞いたこともなく、どこにあるのかもわからなかった。さらに拉孟がビルマ戦の一戦域と聞いても、そもそもビルマ戦がよくわからなかった。わからなくてあたりまえ。慶應大学の歴史研究者も拉孟をご存じなかったのだから。ご存じの方は相当の戦史通だ。 拉孟戦とは、一九四四年六月から九月に援蔣ルート(連合軍の補給路)を遮断するために約一三〇〇名の日本軍が中国雲南省の山上で約四万の中国軍と対決し全滅に至った戦闘(当時の軍隊では「玉砕」と呼称)のこと。数多の皇軍兵士が今もなお祖国に帰れずに中国雲南省の山奥で眠っている。防衛庁防衛研修所戦史室編の公刊戦史(『戦史叢書 イラワジ会戦─ビルマ防衛の破綻』朝雲新聞社、一九六九年)は、軍上層部に「最後の一兵まで死守せよ」と厳命された結果、拉孟守備隊が「玉砕」したことを、勇戦敢闘と讃えた感状(軍事面で特別な功労を果たした下位の者に、上位者が賞賛するために与える文書)で締めくくっており、なぜ陸続きの山上で全滅をしなくてはならなかったのか、兵士たちがどのように戦い死んでいったのか、いくら読んでも私の素朴な疑問の答えが見つからなかった。公刊戦史は、多くは戦争を企図した軍上層部の視点で書かれたものだけに、「全滅」は作戦の失敗を意味し、責任を問われるような都合の悪いことは公文書に残さない(残せない)のだ。なるほど、この傾向は現在にも通じている。 私は拉孟戦場の本当の姿が知りたくて、二〇〇二年から機内で出会った元飛行兵を皮切りに数少ない拉孟の生存者への聞き取りをはじめた。その頃、下の子どもがちょうど幼稚園に入園したので、聞き取りは幼稚園のお迎えに合わせて午後二時をタイムリミットとした。主婦と高齢の元兵士には午前から午後二時までの時間帯がちょうどよく、うまく双方のニーズが合致した。 お恥ずかしながら軍隊用語も階級も何も知らずに聞き取りをはじめた。今の私が話し手の立場なら「少しは勉強してからアポを取ってください」と偉そうにアドバイスするのだが……。知らないとはなんとも恐ろしい。図々しくもよく聴きに行けたものだ。今思い出すと穴があったら入りたい気持ちに駆られる。「佐官(さかん)」と聞いて、しばらく建物の壁や床などを塗る職人の「左官」だと思っていた(佐官は軍隊の階級)。こんなド素人に元兵士の皆さんは根気よくつき合ってくれた。当時、皆さんも八〇歳前後で気力も体力も十分ですこぶるお元気だった。若い母親が戦争に関心をもつのが意外で珍しかったのかもしれない。元兵士たちは聞き慣れない軍隊用語や地名を大学ノートに鉛筆で一つ一つ丁寧に書いて教えてくれた。どなたも戦時期の記憶力は抜群で、ビルマ(ミャンマー)の聞いたこともない地名(戦闘地)の説明には熱がこもった。果たして彼らの記憶に残っている地名は戦友が亡くなった場所だった。忘れたくても忘れられない地名。元兵士が大事に保管しているビルマの地図の戦闘場所には、死んだ戦友の名前と日付がびっしりと書き込まれていた。 私も無知を克服するために薦められた書籍を片っ端から読んでビルマ戦の知識を少しずつ身につけた。やがて元兵士の語りから、公刊戦史には必ずしも真実が書かれているとは限らないことを悟った。勇戦敢闘を讃えた文章は負け戦を覆い隠し、「次なる戦闘では決して負けないぞ」との決意表明のように読めた。戦場体験者への聞き取りを進め、米英中連合軍側の関連史料を調べていくうちに、旧日本軍が中国雲南省で行った残虐な行為を知ることになる。 こうして公刊戦史に書かれていない史実を明らかにすることが研究の主題となった。通常は後方の兵站基地にある慰安所が、最前線の拉孟にあり、一五名(日本人と朝鮮人)の「慰安婦」がいたことも、研究を続けるうちにわかったことだ。前人未到の山上の拉孟戦場跡に立った時、若い娘たちがこんな所にまで連れて来られて「慰安婦」にされた現実に打ちのめされた。 ◆「主婦研究者」の気概 拉孟戦を研究してかれこれ二〇年以上になるが、聞き取りをした元将兵はビルマ戦だけでも延べ五〇人以上にのぼる。肩書もない「主婦研究者」が信頼してもらうには戦友会や慰霊祭に足繁く通い続けて顔を売るしかなかった。剣道の名手の元中尉に関心をもってもらうために、女性は薙刀、というアドバイスに従って薙刀を習ったこともある。絵を描くことが趣味の元大尉の絵の展覧会には必ず足を運んだ。ご自宅を訪問する際は、おじいさんたちのお世話をされている女性陣(妻、娘、「お嫁さん」)とのコミュニケーションを大事にし、今でも交流を続けている。そして戦友会では「主婦」の立場を生かしながら、食事の手配や配膳など諸々の雑用を一手に引き受けるうちに、しばらくして「お世話係」という役職(?)を得た。そんな地道な努力を重ねながらも聞き取りは思うように捗らず、戦場体験者の口は重かった。自らを「死に損ない」と語る元軍曹もいた。元将校には数年経っても「ご婦人には拉孟は無理ですからおやめなさい」と再三忠告を受けた。皆さん、そのうち業を煮やしていなくなるだろうと思っていたかもしれない。戦場体験の聞き取りは聴く方にも相応の覚悟を要する。戦場体験者が背負ってきた重荷を半分くらい背負わなければならない覚悟だ。一介の主婦だからと甘く見られることもあったが、だからこそ気を許して本音を語ってくれたこともあった。一度扉を開けてしまったら途中で引き返すことができない道のりを歩くことになった。 話し手は時に立場上、「嘘」をつかなければならないこともある。自分に都合の良い話だけを語ることもある。家族にも戦友にも話したことのない話を打ち明けられ、「これは表に出してほしくない」と釘を刺されることもたびたび。どのような話でも自分を消してまるごと受け取ろうと決めている。なぜあの人はあの時あそこであのような「嘘」を言ったのかが分かったとき、戦場体験を聴くことの真髄に触れたように思えるのだ。 当初はビルマ戦の戦場体験者を中心に聞き取りをしていたが、次第に戦域に関係なく、中国戦線もレイテ沖海戦も、陸海軍も問わず幅広く戦場体験を聴くようになった。戦場体験者の聞き取りに残された時間はもうわずか。あれこれ選り好みしている場合でも立場でもないことに気づいた。年月を重ねるうちに、親しかった体験者が次々に亡くなっていく。戦場体験を聴くこと、戦場の実像を明らかにすること、それを次世代へ継承することが私の生涯の「ミッション」となった。 ◆第二・五世代の部外者として 現在、二つの戦友会や慰霊祭の「お世話係」をしている。今では戦場体験者のほとんどの方が鬼籍に入った。遺族でも家族でもない部外者がそのような役目を担ってよいのかと自問しながらも、部外者だからこそしがらみがなくできること、見えてくる世界もある。戦友会や慰霊祭は心の傷跡が露わになる場でもあり癒される場でもある。生きて帰った元兵士らは家族をもてたが、父親や夫を戦争で奪われた人たちは戦後、塗炭の苦しみを味わった。ある戦争未亡人は「娘と二人、人に言えないような暮らしを強いられ、泥水を啜って生き延びた」と涙を浮かべた。父親の顔を知らない遺児もたくさんいた。 戦友会や慰霊祭で現れる表面上の姿だけでなく、心の奥深いところに澱のように溜まっているものを見逃さないように目を凝らし耳を傾けてみると、じわじわと浮かびあがってくる諸々の感情を、この機会に掬い上げてみようと思う。戦場体験者が何を思って戦後社会を生きてきたのか。慰霊祭や戦友会に集う遺族や帰還兵の家族の思いは一枚岩ではない。そんなこんなの戦争を介したこのような場での出来事、そしてそこで織りなす人間模様や元兵士の「本音」など、人気TⅤドラマの『家政婦は見た!』ではないが、戦友会や慰霊祭の「お世話係は見た!」というポジショナリティで、「お世話係」だからこそ見えるディープな世界を繙いてみたい。 これまで戦場体験者はもとよりその子ども世代との交流も重ねてきたが、むしろこれからは子どもや孫やひ孫の世代まで聞き取りの対象を広げるつもりだ。戦場体験を受け継ぐための「四世代物語」の実践である。第一世代の戦場体験者は存命であれば一〇〇歳超えはあたりまえ。第二世代は子ども世代で六〇代から八〇代くらいか。第三世代は孫世代で、およそ二〇代から五〇代と幅広い。第四世代はひ孫世代で平成生まれはもとより令和生まれも範疇となる。筆者は第二世代と第三世代の間を繋ぐ第二・五世代といったところ。若い人たちは戦争なんて遠い昔の出来事で今の自分には関係ないと思うかもしれないが、戦争を生き抜いた曽祖父母や祖父母が命を繋いでくれたから私たちは今を生きている。別の言い方をすれば、戦没者は未来に命を繋ぐ機会を奪われたのだ。 ロシアのウクライナ侵攻という暴挙を目の当たりにして、第三、第四世代の若い人たちも戦争がいかに人権を蔑ろにする破滅行為であるかを心身に深く刻んでいるにちがいない。戦争になったら若者が兵士となり、殺戮の加害者となり、無惨に殺される被害者になる。繋げるはずの命が一瞬にして奪われ、あたりまえの日常が破壊され地獄絵図と化す。 かつて若い命を散らした戦没兵士は、同世代の今の若者に何を言いたいだろうか。彼らは「お国のため」、愛する人のために命をかけて闘った。今の日本は、果たして彼らが命をかけた国に相応しい国になっているだろうか? 戦没兵士の声なき声に耳を傾けてみてほしい。生き延びた元兵士らの言葉とともに戦没兵士の言葉も若者にこそ届けたい。そして戦争の本当の姿を知ってもらいたい。八〇年近く経っても戦争の傷跡はあちこちに残っていて、いまだ癒えていない。私たちは「終わらない戦争」の中に生きている。そしてさらなる新しい戦争に向かっている「当事者」なのだ。 - 版元から一言 - ビルマ戦の研究者であり、戦友会のお世話係でもある著者は、戦場体験者とその家族に20年以上にわたって聞き取りをしてきた。本書は、簡単には白黒つけられない元兵士の思いに肉迫した、一級のノンフィクションである。戦場での凄絶な出来事。復員兵どうしの戦後の人間関係。PTSD。戦後右派への違和感…。いずれも教科書にはでてこないリアルで切実なエピソードにひきこまれる。 - 著者プロフィール - 遠藤 美幸 (エンドウ ミユキ) (著/文) 1963年生まれ。イギリス近代史、ビルマ戦史研究者。神田外語大学・埼玉大学兼任講師(歴史学)。不戦兵士を語り継ぐ会(旧・不戦兵士・市民の会)共同代表、日吉台地下壕保存の会運営委員、日本ミャンマー友好協会理事。2002年から元兵士の戦場体験を聴き続けている。著書に『「戦場体験」を受け継ぐということ─ビルマルートの拉孟全滅戦の生存者を尋ね歩いて』(高文研)、『なぜ戦争体験を継承するのか─ポスト体験時代の歴史実践』(共著、みずき書林)がある。
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死ぬまで生きる日記 | 土門 蘭
¥2,090
生きのびるブックス 2023年 ソフトカバー 264ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ18mm - 内容紹介 - 日常生活はほとんど支障なく送れる。「楽しい」や「嬉しい」、「おもしろい」といった感情もちゃんと味わえる。それなのに、ほぼ毎日「死にたい」と思うのはなぜだろう? カウンセラーや周囲との対話を通して、ままならない自己を掘り進めた約2年間の記録。 - 目次 - はじめに 第1章 私は火星からやってきたスパイなのかもしれない 第2章 「『死にたい』と感じてもいいのだと、自分を許してあげてください」 第3章 「自分で自分の『お母さん』になれたらいいですね」 第4章 「肯定も否定もせずに、ただ感情に寄り添ってみてください」 第5章 「『解決しよう』と思わなければ、問題は問題ではなくなるんです」 第6章 「私はずっと、日本人になりたかったんです」 第7章 「『過去』は変えられなくても、捉え直すことはできます」 第8章 「あなたは、必死に生きようとしています」 第9章 地球以外の場所で、ひとりぼっちでものを書く人たち 第10章 居心地の良いように「火星」を作り替えていけばいい 第11章 「生きている限り、人と人は必ず何かしらの形で別れます」 第12章 「書いて、読むことで、私たちは何度でも出会えます」 最終章 「お守り」を感じながら生きていく おわりに - 版元から一言 - 大反響を呼んだWEB連載が書籍化! 生きづらさを抱えるすべての人におくるエッセイ。 「人は直線的ではなく、螺旋的に変化していくものです。ぐるぐると同じところを通っているようでも、少しだけ深度や高さが以前とは異なっている。だから、前とは全然変わってないなどと、落ち込むことはないんですよ」(本文より) - 著者プロフィール - 土門蘭 (ドモン ラン) (著) 1985年広島県生まれ。小説・短歌などの文芸作品や、インタビュー記事の執筆を行う。著書に歌画集『100年後あなたもわたしもいない日に』(寺田マユミとの共著)、インタビュー集『経営者の孤独。』、小説『戦争と五人の女』、エッセイ『そもそも交換日記』(桜林直子との共著)がある。
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世界の適切な保存 | 永井 玲衣
¥1,870
晶文社 2024年 ソフトカバー 288ページ 四六判 - 内容紹介 - ロングセラー『水中の哲学者たち』で話題沸騰! 対話する哲学者・永井玲衣、待望の最新刊! 見ることは、わたしを当事者にする。 共に生きるひとにする。 世界をもっと「よく」見ること。その中に入り込んで、てのひらいっぱいに受け取ること。 この世界と向き合うための哲学エッセイ。 わたしはどうやら、時間が流れていくにしたがって、 何かが消えるとか、失われるとか、忘れられるということがおそろしいらしい。 ここに書かれたもの。その何倍もある、書かれなかったもの。 でも決してなくならないもの――。 生の断片、世界の欠片は、きかれることを待っている。じっとして、掘り出されることを待っている。 - 著者プロフィール - 永井 玲衣 (ナガイ レイ) (著/文) 人びとと考えあう場である哲学対話を幅広く行っている。せんそうについて表現を通し対話する、写真家・八木咲との「せんそうってプロジェクト」、後藤正文らを中心とするムーブメント「D2021」などでも活動。著書に『水中の哲学者たち』(晶文社)。第17回「わたくし、つまりNobody賞」を受賞。詩と植物園と念入りな散歩が好き。
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水中の哲学者たち | 永井 玲衣
¥1,760
SOLD OUT
晶文社 2021年 ソフトカバー 268ページ 四六判 - 内容紹介 - 小さくて、柔らかくて、遅くて、弱くて、優しくて、 地球より進化した星の人とお喋りしてるみたいです。 ──穂村弘 もしかして。あなたがそこにいることはこんなにも美しいと、 伝えるのが、哲学ですか? ──最果タヒ みなが水中深く潜って共に考える哲学対話。 「もっと普遍的で、美しくて、圧倒的な何か」 それを追い求めて綴る、前のめり哲学エッセイ! 「もっと普遍的で、美しくて、圧倒的な何か」それを追いかけ、海の中での潜水のごとく、ひとつのテーマについて皆が深く考える哲学対話。若き哲学研究者にして、哲学対話のファシリテーターによる、哲学のおもしろさ、不思議さ、世界のわからなさを伝える哲学エッセイ。当たり前のものだった世界が当たり前でなくなる瞬間。そこには哲学の場が立ち上がっている! さあ、あなたも哲学の海へダイブ! 人々と問いに取り組み、考える。哲学はこうやって、わたしたちの生と共にありつづけてきた。借り物の問いではない、わたしの問い。そんな問いをもとに、世界に根ざしながら世界を見つめて考えることを、わたしは手のひらサイズの哲学と呼ぶ。なんだかどうもわかりにくく、今にも消えそうな何かであり、あいまいで、とらえどころがなく、過去と現在を行き来し、うねうねとした意識の流れが、そのままもつれた考えに反映されるような、そして寝ぼけた頭で世界に戻ってくるときのような、そんな哲学だ。(「まえがき」より) 【目次】 1 水中の哲学者たち 2 手のひらサイズの哲学 3 はい、哲学科研究室です 目次 1 水中の哲学者たち 2 手のひらサイズの哲学 3 はい、哲学科研究室です - 著者プロフィール - 永井玲衣 (ナガイレイ) (著/文) 1991年、東京都生まれ。哲学研究と並行して、学校・企業・寺社・美術館・自治体などで哲学対話を幅広く行っている。哲学エッセイの連載なども手がける。独立メディア「Choose Life Project」や、坂本龍一・Gotch主催のムーブメント「D2021」などでも活動。詩と植物園と念入りな散歩が好き。
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テヘランのすてきな女 | 金井 真紀
¥1,980
晶文社 2024年 ソフトカバー 320ページ B6変形判 - 内容紹介 - 謎めいた国・イランで、女たちの人生を拾い集めた 女は髪を出してはいけない、肌を見せてはいけない。詩を愛するが、酒はない。謎めいたイスラム教国家に生きる女性たちに、文筆家・イラストレーターの金井真紀が会いに行く。公衆浴場、美容院、はては女子相撲部まで、男子禁制スポットにどかどか潜入! スカーフのかぶり方を監視する風紀警察、国と闘う弁護士、男のフリをしてサッカーをしていた人、移民の子どもに勉強を教える人、命がけの性的マイノリティetc...。ベストセラー『パリのすてきなおじさん』の著者が、テヘランに生きる女たちと、とことんおしゃべり。 世界はいつも想像の何倍も込み入っている。(本書より) きっとにんげんが好きになるインタビュー&スケッチ集。 - 目次 - はじめに Ⅰ たたかう女 ベリーショートの通訳 チャドルをやめた主婦 正義のために走り続ける弁護士 風紀警察と街で見かけた女たち 〈テヘラン散歩〉ハンマーム Ⅱ はたらく女 コンピュータエンジニア 細密画の絵師 タイル作家 物語を書く姉妹 美容整形会社勤務 百戦錬磨の看護師 〈テヘラン散歩〉美容院へ Ⅲ スポーツする女 お母さんの天国公園 ドラゴンボートの選手 女子サッカーU17代表監督で社会学者 かつて”ラシュトの鷹”と呼ばれた女子代表監督 イラン女子相撲の選手たち 〈テヘラン散歩〉ピクニック Ⅳ 居場所をさがす女たち 日本に留学したトランスジェンダーの大学生 「アデル、ブルーは熱い色」を見たレズビアンの大学生 反スカーフデモに参加したバイセクシャルの大学生 キリスト教会で会った人 ピクルスをつくるアフガニスタン移民 寺子屋の校長先生 〈テヘラン散歩〉ホームパーティー Ⅴ 見てきた女 トルコにしょっちゅう行く人 パラリンピック委員会の人 敬虔なイスラム教徒 〈テヘラン散歩〉空港 おわりに - 著者プロフィール - 金井真紀 (カナイマキ) (著/文) 1974 年、千葉県生まれ。文筆家・イラストレーター。著書に『パリのすてきなおじさん』(柏書房)、『世界はフムフムで満ちている』(ちくま文庫)、『聞き書き 世界のサッカー民 スタジアムに転がる愛と差別と移民のはなし 』(カンゼン)、『日本に住んでる世界のひと 達人観察図鑑』(大和書房)、『おばあちゃんは猫でテーブルを拭きながら言った 世界ことわざ紀行』(岩波書店)など多数。「多様性をおもしろがる」を任務とする。難民・移民フェス実行委員。
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毎日のことこと | 高山なおみ
¥1,980
信陽堂 2024年 ハードカバー 196ページ 四六変形判 縦169mm 横116mm 厚さ14mm - 内容紹介 - 暮らすこと、食べること、季節のこと からだの奥でおぼえているちいさな「ことこと」を大切にひらく36のエッセイ。 「この本には、2021年の春からはじまる季節が三めぐり分収められています。慣れ親しんだ東京を離れてのひとり暮らしはまだ心もとなく、それでも月日を重ねるごとに、私の気持ちは少しずつ外に向かって開かれていきます。その間、世のなかでもさまざまなことが起こりました。ひさしぶりに読み返してみたら、そういうことも文の呼吸に表れていて、なるほどなあと思いました。」 料理家でたくさんの著作もある高山なおみさんが、遠くに住む友だちに宛てた手紙のように、神戸での暮らしを3年にわたり綴ったエッセイ集です。 2021年4月~24年3月、神戸新聞の連載を一冊にまとめました。 - 目次 - モビールの鳥 ミルクパンを磨く 雨とアイロン 夏のはじまり 夏休みの坂道 夏休みの思い出 朝の散歩 ディルの苗 六甲の冬 3人のお正月 「ふくう食堂」 三年前の日記 朝の楽しみ 植物の先生たち ネズミモチの垣根 懐かしいメール 幼い自分との再会 夏の終わりの旅 今年初めての栗 神戸の晩秋 ある日の日記から 三年ぶりの帰省 雪じたく 早起きの理由 北九州の家族 みどりのあらし 富良野の友より 古い冷蔵庫 夏休みの国 冷蔵庫が来た日 展覧会の日々 「sana village」 生きている感じ ラジオの声 新しい挑戦 パソコンのない一日 おわりに - 前書きなど - 神戸に暮らすようになって六年目、地もとの新聞社の方から、月にいちどエッセイを書いてみませんかとお誘いがありました。掲載は土曜日の朝刊。朝の光を浴びながら、のんびり読んでくださるといいなと思い、私の身のまわりで起きた、日々のささやかな出来ごとをみつめ、綴っていくことにしました。 タイトルはまず「ことごと」という言葉が浮かびました。次に浮かんだのは「ことこと」。煮炊きの音コトコトです。すると自然に、いつかの旅で出合った忘れられない一皿や、普段着の簡単なごはんのことなども書きたくなってきました。文章だけでは少しさびしい気がして、写真や小さなイラストも添えることにしました。 (「おわりに」より) - 著者プロフィール - 高山なおみ (タカヤマ ナオミ) (著) 1958年静岡県生まれ。料理家、文筆家。 日々の生活の実感が料理になり、言葉となる。 画家、絵本作家、音楽家、作家などのさまざまなクリエイターが夜ごと集う店「諸国空想料理店 KuuKuu」のシェフを1990年から2002年まで勤め、その後料理と文筆の道へ。 日記エッセイシリーズ『日々ごはん』『帰ってきた日々ごはん』、『新装 野菜だより』『料理=高山なおみ』『自炊。何にしようか』、『ロシア日記―シベリア鉄道に乗って』『本と体』『気ぬけごはん』『暦レシピ』、絵本『どもるどだっく』『たべたあい』『それから それから』(以上、絵・中野真典)など著書多数。 2016年、東京・吉祥寺から神戸・六甲へ移住し、ひとり暮らしをはじめる。
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【サイン本】夏葉社日記 | 秋 峰善
¥1,650
秋月圓 2024年 ハードカバー 200ページ 文庫判 - 内容紹介 - 出版社2社から「戦力外通告」を受けたぼくには行き場がなかった。藁にもすがる思いで、夏葉社に電話をかけ、手紙を書いた。 幸運なことに、憧れのひとり出版社・夏葉社で約1年間、代表の島田潤一郎さんと働くことになる。そんな宝物の日々をここに綴る。 第2の青春、再生の物語。
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宇宙はくりまんじゅうで滅びるか? | 山本 弘
¥1,078
河出書房新社 2024年 河出文庫 ソフトカバー 312ページ 文庫判 - 内容紹介 - SFとオタクから人生は学べるか? 1つのくりまんじゅうが5分ごとに2倍に増えていったら、宇宙はどうなるか? 単行本あとがき等を集成した著者唯一のエッセイ集。山本弘さん追悼文庫化。
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味つけはせんでええんです | 土井 善晴
¥1,760
ミシマ社 2023年 ソフトカバー 208ページ B6変形判 縦168mm 横120mm 厚さ13mm - 内容紹介 - 「なにもしない」料理が、 地球と私とあなたを救う。 AIの発達、環境危機、経済至上主義… 基準なき時代をどう生きるか? 人間とは、自由とは、幸せとは。 「料理」を入り口に考察した壮大な著! 土井節炸裂、一生ものの雑文集。 『ちゃぶ台』の名物連載、ついに書籍化。 レシピとは人の物語から生まれたお料理のメモ。他人のレシピは他人の人生から生まれたもの。でも本来、料理は自分の人生から生まれてくるものです。それがあなたの料理です。つたなくっても、自信がなくっても、私はいいと思います。「味つけせんでええ」というのは、それを大切にすることだと思っているのです。 一生懸命お料理すればそこにあなたがいるのです。お料理するあなたが、あなたを守ってくれるのです。――「まえがき」より - 目次 - 1 料理という人間らしさ 2 料理がひとを守ってくれる 3 偶然を味方にする――「地球と料理」考 4 味つけはせんでええんです 5 料理する動物 6 パンドラの箱を開けるな!