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すべてきみに宛てた手紙 | 三浦豊
¥792
筑摩書房 2022年 ソフトカバー 160ページ 文庫判 - 内容紹介 - この世界を生きる唯一の「きみ」へ――人生のためのヒントが見つかる、39通のあたたかなメッセージ。傑作エッセイが待望の文庫化! 解説 谷川俊太郎 人生は、「やめたこと」「やめざるをえなかったこと」「わすれてしまったこと」で出来ている。そうして結局、己のなかにのこったものは? 今の自分にのこったものから、あらゆることがはじまるのならば――。この本のページを開いた読者=「きみ」へと詩人はまっすぐ語りだす。贈られるのは39通の「手紙」たち。体温を帯びた言葉のすべてに胸が震える、珠玉のエッセイ集。 解説 谷川俊太郎 - 著者プロフィール - 長田 弘 (オサダ ヒロシ) (著/文) 1939年、福島県福島市生まれ。早稲田大学第一文学部独文専修卒業。詩人。65年、詩集『われら新鮮な旅人』でデビュー。98年『記憶のつくり方』で桑原武夫学芸賞、2009年『幸いなるかな本を読む人』で詩歌文学館賞、10年『世界はうつくしいと』で三好達治賞、14年『奇跡―ミラクル―』で毎日芸術賞をそれぞれ受賞。また、詩のみならずエッセイ、評論、翻訳、児童文学等の分野においても幅広く活躍し、1982年エッセイ集『私の二十世紀書店』で毎日出版文化賞、2000年『森の絵本』で講談社出版文化賞を受賞。15年5月3日、逝去。
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病むことについて【新装版】 | ヴァージニア・ウルフ, 川本静子(編集 | 翻訳)
¥3,300
みすず書房 2021年 ハードカバー 265ページ 四六判 - 内容紹介 - 〈病気がいかにありふれたものであるか、病気のもたらす精神的変化がいかに大きいか、健康の光の衰えとともに姿をあらわす未発見の国々がいかに驚くばかりか、インフルエンザにちょっとかかっただけで、なんという魂の荒涼たる広がりと砂漠が目に映るか、熱が少し上がると、なんという絶壁や色鮮やかな花々の点在する芝地が見えてくるか、病気にかかると、私たちの内部でなんと古びた、がんこな樫の木々が根こそぎになるか、歯医者で歯を一本抜かれ、ひじ掛け椅子に座ったまま浮かび上がり、「口をゆすいで下さい――ゆすいで」という医者の言葉を、天国の床から身をかがめて迎えてくれる神の歓迎の言葉と取りちがえるとき、いかに私たちが死の淵に沈み、頭上にかぶさる水で息絶える思いをし、麻酔から覚めて天使やハープ奏者たちの面前にいるとばかり思いこんでいるか――こうしたことを考えるとき――しばしば考えざるをえないのだが――病気が、愛や戦いや嫉妬とともに、文学の主要テーマの一つにならないのは、たしかに奇妙なことに思われる。〉 (「病むことについて」) 『灯台へ』『ダロウェイ夫人』『波』を執筆した小説家ヴァージニア・ウルフは、同時に幅広い分野に及ぶエッセイを生涯書きつづけた評論家でもあった。インフルエンザにかかったときの心象を描く表題作ほか、書評の役割、ジャンルの特質を追求した伝記論、父の思い出から『源氏物語』評まで。アイロニーとユーモアに充ちたエッセイ・短編、全16篇。 - 著者プロフィール - ヴァージニア・ウルフ (ヴァージニアウルフ) (著/文) 1882-1941。著名な文芸批評家レズリー・スティーヴンを父親として、ロンドンに生れる。父親の教育と知的な環境(ブルームズベリ・グループ)の中で、早くから文芸への情熱をはぐくむ。1915年、最初の長篇小説『船出』を出版し、ついで『夜と昼』『ジェイコブの部屋』を発表する。さらに、彼女の小説世界を十全に開花させた傑作『ダロウェイ夫人』『燈台へ』『波』が生れる。ここで彼女は、プルースト、ジョイスらによって示された「意識の流れ」を、独自の立場から追求している。『幕間』をのこして、1941年神経衰弱のため自殺。また、重要なものとして他に、『自分だけの部屋』『女性にとっての職業』『三ギニー』などの数多くのエッセイ、内面の記録である「日記」がある。 川本静子 (カワモトシズコ) (編集 | 翻訳) 1956年津田塾大学英文科卒業、1957年東京大学大学院修士課程修了。1962‐63年ハーヴァード大学大学院留学。津田塾大学名誉教授。2010年歿。著書『イギリス教養小説の系譜』(研究社)『G.エリオット』(冬樹社)『ジェイン・オースティンと娘たち』(研究社)『ヒロインの時代』『遥かなる道のり イギリスの女たち 1830~1910』(共編著、国書刊行会)『〈新しい女たち〉の世紀末』(みすず書房)『ヴィクトリア女王―ジェンダー・王権・表象』(共編著、ミネルヴァ書房)他。訳書 V.ウルフ『波』(みすず書房)V.ウルフ『自分だけの部屋』(みすず書房)『壁のしみ』(みすず書房)『オーランドー』(みすず書房)『病むことについて』(みすず書房)トマス・ハーディ『日陰者ジュード』(国書刊行会)E.ショウォールター『女性自身の文学』(みすず書房、共訳)E.M.フォースター『ロンゲスト・ジャーニー』(みすず書房)『民主主義に万歳二唱』『アビンジャー・ハーヴェスト』(みすず書房、共訳)『ある家族の伝記』(みすず書房、共訳)他。
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本が語ること、語らせること | 青木海青子, 青木真兵
¥1,870
夕書房 2022年 ソフトカバー 184ページ 四六変型判 縦170mm 横120mm 厚さ13mm - 内容紹介 - 本を真ん中にすると、自然と心が開放されていく。 本に助けられてきた司書が語る、本と図書館と人生のはなし 奈良県東吉野村に借りた古民家の自宅を「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」として開いて6年。夫・青木真兵とともに、山村にひっそりたたずむこの図書館を運営してきた司書・青木海青子による、初めてのエッセイ集です。 人と接するのが苦手で、本という「窓」を持つことで心に明かりを灯してきた著者が、自らの本棚を開放することで気づいたのは、「図書館」の本質的な効用でした。 本棚を前に、まるで鎧を脱ぐようにぽつりぽつりと悩みを打ち明け始める人、お互いの新たな面を発見する友人同士、世界とつながる感覚を得る人……。金銭の介在しない「彼岸の図書館」で静かに生まれる知と心の不思議な循環は、読むということ、本がそこにあることの新たな可能性を示唆しています。 エッセイの間には、ルチャ・リブロで日々行われている独自のレファレンスサービスの延長として、身近な人から寄せられた悩みに3冊の本で答えた8つの記録[司書席での対話]を収録。 本好きな人にはもちろん、日々の生活に頑張りすぎている人にもそっと手渡したい、気持ちがほぐれる優しい一冊です。 私はルチャ・リブロを開けることを通じて、「閉じた世界に窓をつくろうとしている」のかもしれません。つくろうとしているのは、自分自身のためだけでなく、みんなで一緒に外を眺められる広くて大きな窓です。(本書より) 目次 はじめに お元気でしたか 窓を待つ 司書席での対話1 コロナ禍でリアル会議、どうする? 「公」を作る 司書席での対話2 「婚活」を始めたけれど 謎のおかえし 待つのが好き 司書席での対話3 働かない夫となぜ暮らしているのか 自助を助ける 他者を知る仕組みとしての図書館 怪獣の名づけと 司書席での対話4 自分を語る言葉が見つからない 本が語ること、語らせること 本に助けられた話1 二冊の絵本 本に助けられた話2 「わたしは疲れてへとへとだ。一つの望みも残っていない」 司書席での対話5 「趣味」と言われて 蔵書構築の森 言葉の海に、潜る、浮かぶ 司書席での対話6 評価って何? 真っ暗闇を歩く 七転八倒踊り 司書席での対話7 最近、SNSが苦痛です 司書席での対話8 自分の考えを持ちたい 交差する図書館 図書館の扱う時間のはなし 本に助けられた話3 貸してもらった本 土着への一歩 - 著者プロフィール - 青木海青子 (アオキミアコ) (著/文) 「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」司書。 1985年、兵庫県神戸市生まれ。約7年の大学図書館勤務を経て、夫・真兵とともに奈良県東吉野村にルチャ・リブロを開設。2016年より図書館を営むかたわら、「Aokimiako」の屋号での刺繍等によるアクセサリーや雑貨製作、イラスト制作も行っている。青木真兵との共著に『彼岸の図書館――ぼくたちの「移住」のかたち』(夕書房)、『山學ノオト』『山學ノオト2』(エイチアンドエスカンパニー)がある。 青木真兵 (アオキシンペイ) (著/文) 「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」キュレーター。 1983年、埼玉県浦和市に育つ。古代地中海史(フェニキア・カルタゴ)研究者。博士(文学)。障害者の就労支援を行いながら、大学等で講師を務める。妻・海青子との共著のほか、『手づくりのアジール――「土着の知」が生まれるところ』(晶文社)などがある。
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彼岸の図書館 ぼくたちの「移住」のかたち | 青木真兵, 海青子
¥2,200
夕書房 2019年 ソフトカバー 288ページ 四六判 縦185mm 横135mm 厚さ22mm - 内容紹介 - 古代地中海研究者の夫・真兵と、大学図書館司書の妻・海青子。夫婦そろって体調を崩した4年前、都会から逃げるようにして向かったのは、人口わずか1700人の奈良県東吉野村。 大和の山々の奥深く、川の向こうの杉林の先にある小さな古民家に移り住んだ2人は、居間に自らの蔵書を開架する「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」を開設します。訪れるさまざまな人たちとの対話を重ねるうち、「ルチャ・リブロ」は単なる私設図書館を超え、山村における人文知の拠点へと発展していきます。 本書は、青木夫妻が移住を決意してから「ルチャ・リブロ」を立ち上げ、「土着人類学研究会」を開催しながら、現代社会の価値観に縛られない「異界」としての知の拠点を構築していくまでの「社会実験」の様子を、内田樹氏や光嶋裕介氏などとの12の対話とエッセイで綴る、これまでにない「闘う移住本」です。 人文知の拠点は「地面に近いところ」に構築されるべきというシンペイ君の直感にぼくからも一票――内田 樹 【対談者】内田樹(思想家・武道家)/光嶋裕介(建築家)/神吉直人(経営学者)/坂本大祐(デザイナー)/東千茅(耕さない農耕民)/太田明日香(ライター)/野村俊介(茶園経営)/小松原駿(蔵人)/鈴木塁(ウェブ制作) 目次 はじめに 1 命からがらの移住 移住前夜1 単身、凱風館へ乗り込んだ青木の相談 内田樹×青木真兵 移住前夜2 青木、完全移住を決意。 内田樹×青木真兵 理想の大家さんと出会う 青木真兵 あわいの空間 青木海青子 ぼくらの移住道 鈴木塁×青木真兵 限界集落と自己責任 青木海青子×青木真兵 「ちょうどいい」を基準に 青木真兵 命からがら 青木海青子 2 籠ること、開くこと 「マイ凱風館」をもつ 光嶋裕介×青木真兵 職業・奪衣婆 青木海青子 とりあえず、十年先の地方 内田樹×青木真兵 できるのハードル 青木海青子 あいつ、給料出なくなっても図書館やってる 青木海青子 村で未来を語る 坂本大祐×青木真兵 「仕事」と「稼ぎ」の境界線 神吉直人×東千茅×青木真兵 優しさ問題 青木海青子 3 土着の時代へ 生命力を高める場 光嶋裕介×青木真兵 生命力が単位の社会へ 青木真兵 成長したり、しなかったりする有機体 青木海青子 あたらしい家族のかたち 太田明日香×青木真兵 近くてゆっくりを楽しむ 野村俊介×小松原駿×青木真兵 「大人」が多数を占める社会へ 青木真兵 これからの「プラットフォーム」をつくる 内田樹×青木真兵×青木海青子 地に足をつける――土着の時代を生きていく 青木真兵 おわりに - 著者プロフィール - 青木真兵 (アオキシンペイ) (著/文) 1983年生まれ。埼玉県浦和市に育つ。人文系私設図書館ルチャ・リブロキュレーター。古代地中海史(フェニキア・カルタゴ)研究者。関西大学大学院博士課程後期課程修了。博士(文学)。2014年より実験的ネットラジオ「オムライスラヂオ」の配信をライフワークにしている。現在は、障害者の就労支援を行いながら、大学等で講師を務めている。奈良県東吉野村在住。 https://lucha-libro.net/ 青木海青子 (アオキミアコ) (著/文 | イラスト) 1985年兵庫県神戸市生まれ。人文系私設図書館ルチャ・リブロ司書。約7年の大学図書館勤務を経て、夫・真兵とともにルチャ・リブロを開設。2016年より図書館を営むかたわら、「Aokimiako」の屋号で刺繍等でアクセサリーや雑貨を製作・販売したり、所々でイラストを描いたりしている。奈良県東吉野村在住。 https://ameblo.jp/cian55555/
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山學ノオト2(二〇二〇) | 青木真兵, 海青子
¥2,200
エイチアンドエスカンパニー 2021年 ソフトカバー 224ページ 四六変型判 縦170mm 横120mm - 内容紹介 - 「日常を取り戻したいのだけれど、そもそも僕らの「日常」とはどんなものだったのだろう。」奈良県東吉野村。人口一七〇〇人の村の山あいに佇む一軒家、人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」。自宅を開放して図書館を運営する夫婦が、仕事に、生活に、山村と街を、あるいは彼岸と此岸を往復しながら綴った日記に、エッセイや草稿「研究ノオト」を収録した、日記帳第二弾。コロナウイルスに翻弄されたり、「男はつらいよ」を一気見したり、福祉のしごとやオンライン対談からも気づきを得た、二〇二〇年の記録。 目次 エッセイ:闇の底より訴える 日記(山學日誌):一月~六月 研究ノオト:「限りがある」のもいいじゃない エッセイ:怒るひと 日記(山學日誌):七月~十二月 研究ノオト:それが渡世人の楽しいところよ オムライスラヂオ年表(二〇二〇) - 著者プロフィール - 青木真兵 (アオキシンペイ) (著/文) 1983年生まれ、埼玉県浦和市に育つ。「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」キュレーター。古代地中海史(フェニキア・カルタゴ)研究者。博士(文学)。2014年より実験的ネットラジオ「オムライスラヂオ」の配信をライフワークにしている。2016年より奈良県東吉野村在住。現在は障害者の就労支援を行いながら、大学等で講師を務めている。妻・青木海青子との共著『彼岸の図書館 ぼくたちの「移住」のかたち』(夕書房)、『山學ノオト』(H.A.B)、「楽しい生活─僕らのVita Activa」(内田樹編著『ポストコロナ期を生きるきみたちへ』晶文社)などがある。 青木海青子 (アオキミアコ) (著/文) 1985年兵庫県生まれ。七年間、大学図書館司書として勤務後、東吉野へ。現在は私設図書館を営みながら、陶と刺繍で制作を行う。夫・青木真兵との共著『彼岸の図書館 ぼくたちの「移住」のかたち』(夕書房)、『山學ノオト』(H.A.B)がある。夕書房noteにて「土着への処方箋 ルチャ・リブロの司書席から」が好評連載中。
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作家と猫|平凡社(編集), 夏目漱石, 谷崎潤一郎, 石井桃子, 佐野洋子, 中島らも, 水木しげる ほか
¥2,090
平凡社 2020年 ソフトカバー 304ページ B6変型判 - 内容紹介 - 今も昔も、猫は作家の愛するパートナー。昭和の文豪から現代の人気作家まで、49名によるエッセイ、詩、漫画、写真資料を収録。笑いあり、涙ありの猫づくしのアンソロジー! 【収録作品(掲載順)】 1 猫、この不可思議な生き物 猫の定義と語源 佐野洋子 『猫ばっか』より二編 串田孫一 猫 日高敏隆 ネコとドア 手塚治虫 「動物つれづれ草」より「ネコ」 室生犀星 ネコのうた まど・みちお ネコ 和田誠 桃代 岩合光昭 ネコの時間割/かわいいのに撮れない 出久根達郎 猫の犬 2 猫ほど見惚れるものはない 向田邦子 マハシャイ・マミオ殿 寺山修司 猫の辞典 尾辻克彦 黒猫が来た 開高健 猫と小説家と人間 萩原朔太郎 青猫 伊丹十三 わが思い出の猫猫 洲之内徹 長谷川潾二郎「猫」 中島らも 『中島らものもっと明るい悩み相談室』より 妻とオス猫への嫉妬で狂いそう 松田青子 選ばれし者になりたい 近藤聡乃 猫はかわいい 3 いっしょに暮らす日々 武田百合子 『富士日記』より 金井美恵子 猫と暮らす12の苦労 石牟礼道子 愛猫ノンノとの縁 大佛次郎 暴王ネコ 永六輔 猫と結婚して 南伸坊 わたしがやってんですよ いがらしみきお 猫よ猫よ猫よ 小松左京 猫の喧嘩 小沢昭一 老猫・ボロ猫・愛猫記 春日武彦 猫・勾玉 工藤久代 野良猫と老人たち やまだ紫 山吹 4 猫への反省文 幸田文 小猫 石井桃子 愛情の重さ 梅崎春生 猫のことなど 石垣りん 白い猫 室生朝子 優雅なカメチョロ 5 猫がいない! 内田百聞 迷い猫の広告 石田孫太郎 猫の帰らぬ時の心得 岡倉天心/大岡信 訳 親愛なるコーちゃん 武田花 雲 三谷幸喜 「おっしー」を抱いて……/最期に見せた「奇跡」 井坂洋子 黒猫のひたい 吉本隆明 一匹の猫が死ぬこと/自分の「うつし」がそこにいる 夏目漱石 猫の死亡通知 6 猫的生き方のススメ 田村隆一 カイロの猫 水木しげる 猫の道 養老孟司 猫派と犬派の違いについて 谷崎潤一郎 客ぎらい 平岩米吉 絵画にあらわれた日本猫の尾についての一考察
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銀座アルプス|寺田寅彦
¥924
KADOKAWA 2020年 ソフトカバー 384ページ 文庫版 - 内容紹介 - 「宗教は往々人を酩酊させ官能と理性を麻痺させる点で酒に似ている。そうして、珈琲の効果は官能を鋭敏にし洞察と認識を透明にする点でいくらか哲学に似ている」(「珈琲哲学序説」)。近代文学史に輝く科学随筆の名手による短文の傑作選。写生文を始めた頃から昭和8年まで、寅彦の鳥瞰図ともいうべき作品を収録する。表題作および「電車と風呂」「鼠と猫」「石油ランプ」「流言蜚語」「病院風景」等30篇。 目次 イタリア人 まじょりか皿 電車と風呂 田園雑感 鼠と猫 ある日の経験 夢 断片 1 雑記 ある幻想曲の序 石油ランプ 解かれた象 鑢屑 流言ひ語 議会の印象 路傍の草 断片 2 備忘録 仁科狂想行進曲 化物の進化 野球時代 映画時代 ステッキ ロプ・ノールその他 北氷洋の氷の破れる音 鉛をかじる虫 銀座アルプス 珈琲哲学序説 空想日録 病院風景 解説・角川源義、有馬朗人 - 著者プロフィール - 寺田 寅彦 (テラダ トラヒコ) (著/文) 1878~1935年。東京生まれ、高知県で育つ。東京帝国大学物理学科卒業。理学博士。東京帝国大学教授、帝国学士院会員などを歴任。東京帝国大学地震研究所、理化学研究所の研究員としても活躍。物理学者、随筆家、俳人。著書に『蒸発皿』『万華鏡』『柿の種』『蛍光板』などがある。
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科学歳時記|寺田寅彦
¥924
KADOKAWA 2020年 ソフトカバー 384ページ 文庫版 - 内容紹介 - 「このごろはしばらく「世界の夕凪」である。いまにどんな風が吹き出すか、神様以外には誰にも分りそうもない」(「夕凪と夕風」)。初期から晩年まで、季節を主題にした随筆作品を歳時記風に掲載。生きる世界を俳諧に見出し、科学と融合させた独自の短文集。文学的随筆の代表作として著名な「団栗」「竜舌蘭」をはじめ、夏目家の文章会以前の「祭」「車」「窮理日記」「凩」等、全39篇を収録する。解説・角川源義、竹内薫 目次 病室の花 春六題 簑虫と蜘蛛 雑記帳より 五月の唯物観 竜舌蘭 やもり物語 花物語 小さな出来事 芝刈 さまよえるユダヤ人の手記より 夏 烏瓜の花と蛾 涼味数題 夕凪と夕風 藤棚の蔭から 疑問と空想 家鴨と猿 物売りの声 海水浴 祭 車 窮理日記 鴫つき 球根 秋の歌 颱風雑俎 凩 団栗 森の絵 病院の夜明けの物音 凍雨と雨氷 藤の実 追憶の冬夜 枯菊の影 年賀状 新年雑俎 相撲 歳時記新註 解説・角川源義、竹内薫 - 著者プロフィール - 寺田 寅彦 (テラダ トラヒコ) (著/文) 1878~1935年。東京生まれ、高知県で育つ。東京帝国大学物理学科卒業。理学博士。東京帝国大学教授、帝国学士院会員などを歴任。東京帝国大学地震研究所、理化学研究所の研究員としても活躍。物理学者、随筆家、俳人。著書に『蒸発皿』『万華鏡』『柿の種』『蛍光板』などがある。
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私の好きな孤独|長田弘
¥990
SOLD OUT
潮出版社 2022年 ソフトカバー 288ページ 文庫版 - 内容紹介 - 詩人であり、絵本や随筆の傑作も多い長田弘氏。1999年6月に刊行され、2013年5月に新装版が刊行されたエッセー集『私の好きな孤独』、待望の文庫化!! 「孤独」はいまは、むしろのぞましくないもののようにとらえられやすい。けれども、本来はもっとずっと生き生きと積極的な意味だった。 「たった一軒のカフェに親しむだけで、知らなかった街が、ふいにどれほど、 じぶんに親しい街に変わってゆくことか。朝の清潔な孤独を味わえる街の 店に座っていると、そのことが浸みるようにわかってくる」 ( 本書収録「朝のカフェ」より) 音楽、珈琲、旅、酒、読書──。 孤独を慈しみ味わうために必要な「小道具」たちをモチーフに、いまなお多くの人に愛されつづける「言葉の魔術師」が詩的魅惑を豊かにたたえながら紡ぎ出し指南する、「孤独」との明るく前向きな付き合い方。 目次 言葉の樹 Ⅰ ⦿ノンセンスの贈りもの ⦿猫の名前 ⦿ランドフスカ夫人 ⦿モーツァルトのように ⦿手 ⦿夏の夜の眠り ⦿ヘルジーリエの鍵 ⦿交響曲第一番 ⦿「?」を売る男 ⦿ほんのちょっとした隠れ家 ⦿おいしい水 ⦿やあ、メニューインさん ⦿バラ色の下着 ⦿三色の長くつ下 ⦿銀色のロバ ⦿バスクのピアノ ⦿絶望のなかにも ⦿ネス湖のネッシー ⦿アイリッシュ・コーヒー ⦿人生はおもしろいか ⦿ある朝、突然 ⦿マーロウと猫 ⦿バーボンの飲み方 ⦿真実など無用 ⦿親しく思いだす人 Ⅱ ⦿窓 ⦿街の噂 ⦿街の秘密 ⦿曲がり角 ⦿看板のむこうに ⦿薬と自由 ⦿静かに狂う ⦿鍵束 ⦿バスに乗って ⦿オーイ ⦿ある少女の話 ⦿何もない場所 ⦿駅で ⦿地下道で ⦿公園のブランコ ⦿街と人力車 ⦿ラヴレター ⦿愛 ⦿本屋さん ⦿印度の虎狩 ⦿ジグソー・パズル ⦿レゴ ⦿オセロ ⦿時計と時間 ⦿古くて新しい ⦿伯父さん ⦿空飛ぶ猫の店 ⦿鉄道草 Ⅲ ⦿朝のカフェ ⦿ココアの香り ⦿失くした帽子 ⦿アイスクリームの風景 ⦿鉢植えのパンのつくり方 ⦿ジェノヴァの布地 ⦿四角いドーナツ ⦿ママとモリタート ⦿何かが変わった ⦿ベッシー・スミスを讃える ⦿ビリー・ホリディという生き方 ⦿ラウンド・アバウト・ミッドナイト ⦿スラバヤ・ジョニー ⦿ジャニスへのさよなら ⦿生きるための必要 ⦿ライク・ア・ローリング・ディラン ⦿スカーレットのヴァイオリン ⦿向こう側へのドア ⦿サニーサイド・アップ ⦿若葉の萌える色 ⦿アライグマとブルーベリー ⦿日々を輝かすもの ⦿黄色い薔薇 ⦿孤独の贈りもの ⦿われらをめぐる青 おぼえがき 解説──大井浩一氏(評論家、ジャーナリスト) - 著者プロフィール - 長田弘 (オサダヒロシ) (著/文) 詩人。1939 年福島生まれ。「われら新鮮な旅人」でデビュー。講談社出版文化賞、毎日芸術賞など数々の賞を受賞。絵本、翻訳なども。著書多数。2015 年5 月永眠。
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汀日記 若手はなしかの思索ノート | 林家彦三
¥1,650
書肆侃侃房 2022年 ソフトカバー 256ページ 四六変型判 - 内容紹介 - コロナ禍に"二つ目"となった。 ぽっかりと空いた時間に、ぽつりぽつりと紡いだ言葉。 これは、ほんのひとときの雨宿りの時間なのかもしれない。 東京郊外で暮らす若手噺家の2020年4月~2021年5月の日々を綴った日記文学的思索集。 web侃づめ「日々の、えりどめ」も更新中 https://note.com/kankanbou_e/m/m70a8588cd420 - 著者プロフィール - 林家彦三 (ハヤシヤヒコザ) (著/文) 1990年福島県生まれ。2015年林家正雀に入門。現在、二ツ目。 若手の落語家として日々を送りながら、文筆活動も続けている。本名は齋藤圭介。
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野草の手紙 草たちと虫と、わたし 小さな命の対話から | ファン・デグォン, 清水 由希子(翻訳)
¥1,870
自然食通信社 2016年 ソフトカバー 276ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ25mm - 内容紹介 - わずかな野草とそこに生きる虫たちの目線に自らが降りたとき、ファン・デグォンの内面に深くやさしく変容が起きた。誰も目に留めることのない小さないのちの世界は、人間が築き上げてきた文明がいかに自分たちだけに偏ったものなのかを投げかける。覚えのない重罪に問われた身でありながらも、無機質な刑務所内での暮らしを軽やかなユーモアにのせて、小さな生きものたちの在りようから見出した、静かなる気づきの日々を妹にしたためた珠玉の一冊。 「わたしたち人間だけが生存競争という一線を越えてほかの生命をないがしろにし、驕り高ぶって自然の品位を失っている。人と自分を比べては自分だけが正しく優れていると思い込み、鼻高々な人間こそ、大きかろうが小さかろうが、醜かろうが美しかろうが、持って生まれたありのままの花を咲かせる野草から、学ぶべきことはけっして少なくないのだ」 釈放後に手紙を編集して出版された本書は、小さな命との交歓をつうじて自身の心身と社会への見方を大きくつくりかえていった筆者の、平和の思想の原点として読み継がれている。 目次 序 辻 信一 1 野の草を育て食す 2 小さな命という宇宙 3 野性の食卓・原始の味覚 4 新天地での思索の旅 5 草に生かされて 講演録 根をはって 新版によせて 一歩下がって足元を覗けば 新版 役者あとがき - 著者プロフィール - ファン・デグォン (ファン デグォン) (著/文) 1955年ソウル生まれ。「生命平和(ライフピース)運動」活動家。ソウル大学農学部卒業。留学中の1985年、身に覚えのない容疑で逮捕され、1998年の特赦による釈放まで13年2か月、独房で暮らす。釈放後渡欧、ロンドン大学で農業生態学を学ぶ。2002年、獄中から妹にスケッチを添えて送った手紙が『野草手紙』として韓国で出版され、ベストセラーに。現在は農業と執筆活動のほか、全羅道ヨングァンの山中にてエコロジーと平和の運動を主宰。著書に『百尺竿頭に立ち』、『世界のどこにでも我が家はある』(共著)、『花より美しい人びと』、『ありがとう、雑草よ』等(いずれも未邦訳)がある。 清水 由希子 (シミズ ユキコ) (翻訳) 1973年生まれ。東京都在住。翻訳家。横浜市立大学文理学部卒業。訳書に『9歳の人生』(河出書房新社)、『マイ スウィート ソウル』(講談社)、『世界を打ち鳴らせ―サムルノリ半生記』(岩波書店)等がある。
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書こうとしない「かく」教室| いしいしんじ
¥1,980
ミシマ社 2022年 ソフトカバー 224ページ 四六判 - 内容紹介- ことばはどこから来るのか? なぜそれが“生きる”のか? 東京、三崎、松本、京都…移り住む土地、数奇なる半生、 創作、この三つの関係を初めてふりかえり、その謎に迫った感動の授業を一冊に! 『ぶらんこ乗り』『トリツカレ男』『ポーの話』『みずうみ』『港、モンテビデオ』… こうした名作は、書こうとしない作家によって、どのように“かかれた” のだろうか? 目次 はじめに 午前の部 いしいしんじ「かく」語る 一時間目 東京 1994~2001 二時間目 三崎・松本 2002~2009 三時間目 京都・三崎 2010~現在 給食にかえて 午後の部 いしいしんじの 作文を「かく」 四時間目 ことばが動き出すための準備 五時間目 「かく」ことと「自分の生」 - 著者プロフィール - いしいしんじ (イシイシンジ) (著/文) 1966年大阪市生まれ。京都大学文学部卒。94年『アムステルダムの犬』でデビュー。2000年、初の長編小説『ぶらんこ乗り』を発表。03年『麦ふみクーツェ』で第18回坪田譲治文学賞、12年『ある一日』で第29回織田作之助賞、16年『悪声』で第4回河合隼雄物語賞を受賞。著書に『トリツカレ男』『プラネタリウムのふたご』『ポーの話』『みずうみ』『よはひ』『海と山のピアノ』『港、モンテビデオ』『きんじよ』『みさきっちょ』『マリアさま』『ピット・イン』『げんじものがたり』など多数。お酒好き。魚好き。蓄音機好き。現在、京都在住。
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ははとははの往復書簡 | 長島有里枝, 山野アンダーソン陽子
¥1,870
晶文社 2022年 ソフトカバー 210ページ 四六判 縦186mm 横128mm 厚さ17mm - 内容紹介 - 「普通」や「当たり前」が苦しいなら、とにかく話しませんか? 写真家・長島有里枝とガラス作家・山野アンダーソン陽子による日本とスウェーデンを行き交う往復書簡。 「子育て」をテーマに始まった手紙のやりとりが広がりを見せ、テーマに限らない対話が次々と展開されていく。アーティストとして、コロナ禍の生活、政治について、親との関係性、自然との向き合い方、歳をとること……。 噛み合わなくても、共感できなくても、対話はできる。年齢も住む場所も考えも違う二人が、正直に自分の言葉で対話を重ねていく往復書簡。 「子どもを産む前、わたしは自分のことをもっとずっといい人だと思っていた気がします。それから、自分がこんなにもいろいろと苦手で、『普通』が苦しかったり、うまくできなかったりするとも思っていませんでした」(長島) 「子どもが生まれて、どうにか『普通』をしてあげたいと思うのですが、諦めて見失ってしまった『普通』ってなかなか取り戻せないものですね。ましてや、私の住んでいる地域はストックホルムの中でもとりわけリベラルで、かなり自由な社会ということもあり、『普通』が何なのか本当によくわからなくなります」(山野) 「法律とか社会ルール的には、親が与え子どもは受け取るという関係性が良しとされている気がするけれど、人対人と考えれば、与えるだけ、頼るだけなんていう関係性はありえないと思う」(長島) 「ちなみに、家事と育児はまったくの別物なので、産休・育休を取っているからといって、家事を全部しなくてはいけないなんてまったくないです。家事はもれなくみんなについてきます」(山野) 「社会や自分自身のなかには、矛盾するいくつもの考えや気持ちが存在するということ、矛盾を排除して、たったひとつの絶対的にパワフルな正しい物語を導き出すことに対して、警戒心がある、という感じです」(長島) 「未来を思う時、そこがどうか平和であって欲しいですね。スウェーデンでは今年から2010年に廃止した徴兵制を8年ぶりに再開しました。(…)それでも、何かポジティブに捉えることのできないものがあります。もうすぐ選挙です」(山野) 「チャリティでさえ『イメージ戦略』かもしれないようなご時世に、無償で人に奉仕することを自分に納得させる“ポストモダン風の”価値観って、どんなものがあると思いますか?」(長島) 「民主主義は多数決ではないのに、マイノリティの文化や社会の価値観を消し去ってしまうのはどうなのでしょうね?」(山野) 目次 往復書簡I(2018.01.31~2018.12.18) 往復書簡II(2021.05.07~2022.01.30) 対談 - 著者プロフィール - 長島有里枝 (ナガシマユリエ) (著/文) 東京都生まれ。1993年、武蔵野美術大学在学中に「アーバナート#2」でパルコ賞受賞。1999年、カリフォルニア芸術大学ファインアート科写真専攻修了。2001 年、写真集『Pastime Paradise』(マドラ出版)で第26回木村伊兵衛写真賞受賞。2010年、短編集『背中の記憶』(講談社)で第26回講談社エッセイ賞受賞。2020年、第36回写真の町東川賞国内作家賞受賞。2015年、武蔵大学人文科学研究科前期博士課程修了。主な個展に「そしてひとつまみの皮肉と、愛を少々。」(東京都写真美術館、2017年)、「知らない言葉の花の名前 記憶にない風景 わたしの指には読めない本」(横浜市民ギャラリーあざみ野、2019年)など。日常で感じる違和感を手がかりに、他者や自分との関係性を掘り下げる作品を制作する。 山野アンダーソン陽子 (ヤマノアンダーソンヨウコ) (著/文) 1978年、日本生まれ。ガラス作家。食器デザイナー。2001年よりガラス産業のメッカでもある南スウェーデンのスモーランド地方、フィンランド、ベネチアにてガラス製作技術を学ぶ。2004年、Konstfack(国立美術工芸デザイン大学)セラミック・ガラス科修士課程在学を機にストックホルムに拠点を移し、現在グスタブスベリにアトリエを構え、ガラス制作の活動の場としている。2011年、ストックホルム市より文化賞授与。2014年、スウェーデン議会が作品を貯蔵。EUのみならず、イギリス、セルビア、日本などでも作品を発表し、ライフワーク「Glass Tableware in Still Life」の活動にてガラス食器のあり方を多方面から表現思考する。
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辺境の国アメリカを旅する 絶望と希望の大地へ | 鈴木 晶子
¥1,980
明石書店 2022年 ソフトカバー 240ページ 四六判 - 内容紹介 - 日本で貧困問題に長年取り組んできた著者がアメリカ全土48州を巡った旅の記録。人種差別、貧困、銃問題といった近年の社会情勢や歴史・文化にも言及しながら、トランプ政権下で対立と分断に揺れるアメリカの等身大の姿を描き出す。 目次 序章 美しきアメリカのカントリーサイド・ケンタッキーへ――もう一つのアメリカへようこそ 憂うつな旧炭鉱町の朝 緑萌える美しきカントリーサイド 活気ある街と郷土料理 バーボントレイルの完成度 旅には良い街、けれど 第1部 いくつかのアメリカを巡って 第1章 暮らすように旅する(1)――マンハッタンでルームシェア型民泊 ルームシェアでマンハッタンのアパート生活を体験 アメリカのオモテ玄関ニューヨーク ニューヨークのもう一つの顔 マンハッタンの週末 小さな暮らしの場を後にして アップデート 空っぽのマンハッタン コラム① ようこそアメリカ!エリス島に降り立つ 第2章 暮らすように旅する(2)――ノースカロライナのファームステイ 何もないから体験型、ファームステイを初体験 地元食材で楽しむ夕食 手作りの暮らしを知って 暮らしの違いに思いを馳せて アップデート ツリーハウスへの再訪 第3章 Make America Great Again?――錆びついたロックンロールの街クリーブランドの今を訪ねて ラストベルトへの旅がトレンド トリエンナーレのオープニングイベントへ 美しきアーケードの空虚 ロックンロールの殿堂を訪ねて アフターアワーズ コラム② 全米一寂れた街の傑作子ども博物館 第4章 アメリカ版町おこし!――グラウンドホッグデーにパンクサタウニーに行ってきた アメリカの町おこし 早朝の大混雑 “No shadow!” パンクサタウニーの町観光 That's Groundhog Day! 第5章 みたび民泊――シアトルでキャンピングカーに泊まる 注目エリアのおしゃれキャンピングカー リベラルな住宅街でホームレスのおっちゃんに出会う ハンドドリップコーヒーで始まるシアトルの1日 一つの街と道の越えがたき壁 アップデート コロナ禍のアメリカ、見えない犠牲者 第6章 欲望と絶望と――既視感と哀しみのラスベガス カジノの街ラスベガス 全てがフェイクとデジャブ 哀しみのラスベガス コラム③ 銃を持つ自由の国アメリカ 第7章 砂漠地帯と消えた町バグダッド――カリフォルニアのもう一つの顔 カリフォルニアの多様な景色 隠れた見所ゴーストタウン 消えた町バグダッド 大都市と郊外と 第8章 見果てぬキューバ――ラティーノのアメリカを巡る旅 近くて遠い国キューバ リトルハバナの昼下がり クルーズ船の旅 要塞都市サンファン上陸 護られざる城壁の向こう側 サンファンを後にして プエルトリコと沖縄と アップデート キューバにもクルーズにも行けなかった話 コラム④ アメリカのラティーノの多様性 第2部 先住民のアメリカを訪ねて 第9章 さよならコロンブス・デー――バケーションランド・メイン州が向き合う先住民の歴史 「コロンブス・デー」から「先住民の日」へ 全米最初の朝日が昇るバケーションランド 先住民のホームランド 「私たちは今もここにいる」 アップデート 倒されるコロンブス像 コラム⑤ 建国の地を歩く――東海岸三都物語 第10章 ルート66エクスカーション――プエブロ族の遺産を巡る アルバカーキの結婚式 サンタフェからチマヨ教会へ 世界遺産タオス・プエブロと先住民の青いマリア 山間のバス停を数えて 土煙を越えてチャコ・カルチャーへ 危機に瀕するチャコ・キャニオン アップデート 新たなステージへ 第11章 大草原地帯を行く――苦難のきた道をたどり希望を見つけて 大草原に音楽の架ける橋 ウィネバゴ族の涙の旅路 アメリカで一番小さな村を目指して 荒野の西部開拓 「聖地」の招かれざるものたち ウィンド・リバー先住民居留地へ 美しきグランド・ティトン バイソンの消えた丘 都市インディアンから居留地の担い手へ 他国と先住民と共に、国立公園の今 継承される文化と誇り アップデート コロナ禍で牙をむく不平等 第3部 南部を歩く 第12章 南部とはなにか?――世界遺産の街ヴァージニア州シャーロッツビルを訪ねて 初めてのアメリカ・ロード・トリップへ 2人の大統領邸と白人ばかりの田舎町 悲劇の現場シャーロッツビル 南部を巡る旅へ アップデート リー将軍像の撤去された日 コラム⑥ ワシントンD.C.の隠れた見どころ「ブラック・ブロードウェイ」 第13章 綿花畑を抜けてディープサウスへ――アフリカ系アメリカ人の歴史をたどって 美食の街チャールストンの休日 美しい街の暗黒の歴史 サヴァンナの「涙の時間」 南部のゲートウェイ・アトランタへ キング牧師歴史地区 歩き続ける非暴力運動 アップデート アトランタの新たなヒーローたち 第14章 アラバマ・フリーダム・トレイル――We shall overcome 「ボミンガム」へようこそ 迫害と抵抗の足跡 ソウル・フードの名店を訪ねて 賑わう南部料理の人気店へ 「ブラザーフットだよ」 悲劇の現場に響くゴスペル 「血の日曜日」から勝利の行進へ 幾千もの無名の犠牲者を称えて モンゴメリーが生んだ2人のヒーロー キング牧師記念日に再びアトランタ アップデート ジョン・ルイス「最後の渡橋」 コラム⑦ アフリカ系アメリカ人の歴史を知る映画三選 終章 ニューオーリンズの聖者の行進――多様性の向かう先 48州目ミシシッピのブルース街道へ 地元の寄り合い所「ジューク・ジョイント」へ ニューオーリンズの音楽葬 欧州の歴史香るジャズの故郷 多様性のガンボ 町の小さなマルディ・グラ 旅の終わりに あとがき 主要参考文献 前書きなど あとがき (…前略…) 連れ合いからアメリカに駐在となると聞いた時、正直それほど楽しみなものではなかった。「端っこ好き」の私にとっては、アメリカは世界の中心のようであり、王道の行き先だった。一度も旅をしようと考えたことがなかった。 十分な渡航準備期間をもらい移住の支度をしていた頃、アメリカでは大統領選挙が行われ、ドナルド・トランプが当選した。そして、アメリカに無事にたどり着いて程なく、シャーロッツビルであの悲劇が起こった。 この国はどんな国なのだろう? 旅をするうちに、アメリカという国そのものが、居場所を失った人々が自由を求めて世界中からやってくる、世界の辺境のように思えてきた。あまりに多様な人々が生きるこの巨大な辺境は、人の営みのあらゆるものが世界中から持ち込まれ、それゆえに必然的に生まれる人々の対立と克服は、まるで世界の縮図のようであり、壮大な社会実験のようですらある。 いかに人は共に生きることができるのか? 気づけばアメリカ中を旅していた。辺境の中のさらに辺境へ。この国の多彩な風景と、そこにある人々の暮らし、歩んできた道のりを追って走ってきた。 ひきこもりの若者と共に過ごすフリースペースから、困難を抱える子どもたちの多く通う高校内の居場所カフェから、困窮者支援の相談室から、あるいは出張相談に訪れた風俗店の待機部屋から……。私は日本で周縁から社会を見てきた。アメリカの辺境性は、私が見てきたそんな日本の風景とどこか地続きのようだった。 この本を通じて描いてきた人々やアメリカの直面している状況は、全く同じではないけれど、日本のどこにでも潜んでいる。多くの人が気にも留めずに通り過ぎていく街中のホームレスの人たち、食べるものにも困る子どもたちの貧困、衰退する地方の経済、トランプ政権顔負けの残酷な入国管理、増え続ける移民たちが抱える暮らしの苦難、外国人や先住民への差別など、日本の抱える課題の多くが、本書で出てくるアメリカの風景と重なるのではないだろうか。その規模や表出の鮮明さ、態様に違いはあれど、読者の皆さんが、苦悩するアメリカの人たちだけではなく、ここ日本で周縁に追いやられている人たちにも、本書を通じて想いを馳せていただけることを願っている。 私たちは、幸運にも2020年2月末に、最後のミシシッピ州に到達し、アメリカ本土48州の旅を終えることができた。その後、周知の通りアメリカは新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウン、ブラック・ライブズ・マター運動、歴史に残る大統領選挙と年明けの国会議事堂侵入事件と、息つく暇もない激動であった。今もワクチン接種などをめぐる分断と再度の感染拡大を繰り返しながら国は揺れて続けている。それでも、きっとこれまで同様、アメリカは一歩ずつ、この苦難を乗り越えながら、一つの国として歩んでいくのだと信じている。 (…後略…) - 著者プロフィール - 鈴木 晶子 (スズキ アキコ) (著) NPO法人パノラマ理事、認定NPO法人フリースペースたまりば事務局次長・理事、一般社団法人生活困窮者自立支援全国ネットワーク研修委員。臨床心理士。 1977年神奈川県に生まれ、幼少期を伊豆七島神津島で過ごす。大学院在学中の2002年よりひきこもりの若者の訪問、居場所活動に関わり、若者就労支援機関の施設長などを経て2011年一般社団法人インクルージョンネットかながわの設立に参画、代表理事も務めた。その傍らNPO法人パノラマ、一社)生活困窮者自立支援全国ネットワークの設立に参画。専門職として、スクールソーシャルワーカーや、風俗店で働く女性の相談支援「風テラス」相談員なども経験。内閣府「パーソナル・サポート・サービス検討委員会」構成員、厚生労働省「新たな自殺総合対策大綱の在り方に関する検討会」構成員等を歴任。2017年に渡米。現地の日系人支援団体にて食料支援のプログラムディレクター、理事を務めた。2020年帰国。現職。著書に『シングル女性の貧困――非正規職女性の仕事・暮らしと社会的支援』(共編著、明石書店、2017年)、『子どもの貧困と地域の連携・協働――〈学校とのつながり〉から考える支援』(共編著、明石書店、2019年)他。
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パイナップルシューズ vol.1 |大阿久佳乃
¥500
2022年 ソフトカバー 46ページ A5 - 内容紹介 - 2000年生まれ、三重県鈴鹿市ご出身の大阿久佳乃さんによるエッセイや詩などが収録されています。 以前に書かれていた『パンの耳』も当店でも大変好評でした。 今回季刊誌として発表されていく予定とのことで大変楽しみです。 是非お早めに。
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百年文庫 川 | 織田 作之助, 日影 丈吉, 室生 犀星
¥825
ポプラ社 2010年 ソフトカバー 180ページ B6変型判 - 内容紹介 - 日本人の暮らしに、「川」が生きていた頃の物語。 織田作之助『螢』 日影丈吉『吉備津の釜』 室生犀星『津の国人』
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愛と家事 | 太田明日香
¥1,100
創元社 2018年 ソフトカバー 128ページ 四六判 - 内容紹介 - 「家族をつくることに失敗した。」こんな書き出しではじまるエッセイ集。ZINEとして2016年8月に発行し、好評を博した広い意味での「家族」をテーマとする自伝的作品『愛と家事』。その増補再編集版。虐待までされてないし、愛されている。けれど、お母さんとなんかしっくりいかない。形は違えども、多くの女性が抱える、母親の「愛情が重たい」という苦悩や、一度目の結婚の失敗と挫折からの回復などを赤裸々に綴り、共感を呼んだエッセイ集。新たに、30歳頃に遅れてやってきた母への反抗期や、淡路島の農家で共に暮らした祖父母の話などを加えた、小さいけれど切実な話をつづった可憐な小品集。 ★本書を推薦します。 愛に関する正解は、全部「自分」が決めていい。 ―植本一子(写真家) 目次 失敗 わたしの故郷 遠くに行きたい 母のようには生きられない 出せない手紙 遅れて来た反抗期 怒りとのつきあい方 フェミニズムとわたし わたしには家がない 最後 愛と家事 夫のいない金曜日 家族2.0 念を送る あとがき 初出一覧 - 著者プロフィール - 太田 明日香 (オオタ アスカ) (著/文) 1982年兵庫県淡路島生まれ。フリーランス編集者、ライター。奈良女子大学大学院人間文化研究科博士前期課程修了。いくつかの出版社に勤めたのち、フリーの編集者・ライターとして主に関西で仕事をする。企画・編集した本に『戦争社会学ブックガイド』(野上元・福間良明編、創元社)、『福祉施設発! こんなにかわいい雑貨本』(伊藤幸子と共著、西日本出版社)がある。 2015年から2年間、夫の仕事の都合でカナダのバンクーバーに引っ越し。滞在中に、最初の結婚、失恋、母親との葛藤を綴った『愛と家事』を夜学舎よりZINEとして発行。帰国後、日本語教師資格を取得、日本語学校の教壇にも立っている。現在、『仕事文脈』(タバブックス)で「35歳からのハローワーク」を連載中。
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躁鬱大学 気分の波で悩んでいるのは、あなただけではありません | 坂口 恭平
¥1,760
新潮社 2021年 ソフトカバー 272ページ 四六判 縦191mm 横130mm 厚さ18mm - 内容紹介 - 誰にも言えない悩みだと思っていたのに、そうじゃなかった?! 31歳で躁鬱病と診断され、気分の浮き沈みの激しさに苦しんでいた僕がみつけた、ラクに愉快に生きる技術。みんな、人からどう見られるかだけを悩んでいる。鬱のどうにもならない落ちこみ、自己否定をどう扱うか。はたまた躁の周囲を疲れさせてしまうほどに過剰なエネルギーをどうするか。自らの経験をもとに、ユーモアあふれる対処法を徹底講義!
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大阪的|江弘毅, 津村記久子
¥1,100
ミシマ社 2017年 ソフトカバー 96ページ 四六判 縦18mm 横13mm 厚さ2mm - 内容紹介 - どこで書くか、方言を使うか、世の中の場所は全部ローカルではないか…… 関西の名物編集者と作家が、怒涛の勢いで語り、綴る! 大阪から、日本のローカルのあり方が見えてくる。 書き下ろしエッセイ×一気読み必至の対談を収録! 大きな地方であるということは、大きな田舎であるということを認めて、 それをめいっぱい楽しめばいいのではないかと思うのだ。 開き直ってええねんで大阪。知らんけど。ーー津村記久子 - 著者プロフィール - 江弘毅 (コウヒロキ) (著/文) 1958年大阪府岸和田市生まれ。神戸大学農学部卒。京阪神エルマガジン社にて 『Meets Regional』誌をたちあげ、12年間編集長を務める。 2006年に編集集団140Bを設立、現在取締役編集部長。著書に『だんじり若頭日記』(晶文社)、 『「街的」ということ』(講談社現代新書)、『有次と庖丁』(新潮社)、 『飲み食い世界一の大阪~そして神戸。なのにあなたは京都へゆくの~』 『K氏の遠吠え 誰も言わへんから言うときます。』(以上、ミシマ社)など。 津村記久子 (ツムラキクコ) (著/文) 1978年大阪府生まれ。2005年「マンイーター」 (刊行時に「君は永遠にそいつらより若い」に改題)で 第21回太宰治賞を受賞しデビュー。08年『ミュージック・ブレス・ユー!!』で 第30回野間文芸新人賞、09年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞、 11年『ワーカーズ・ダイジェスト』で第28回織田作之助賞、 13年「給水塔と亀」で第39回川端康成文学賞、16年『この世にたやすい仕事はない』で 芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。他の著書に『とにかくうちに帰ります』(新潮文庫)、『浮遊霊ブラジル』(文藝春秋)など多数。
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私が本からもらったもの 翻訳者の読書論 | 駒井稔
¥1,870
書肆侃侃房 2021年 ソフトカバー 232ページ 四六判 - 内容紹介 - あなたが本からもらったものは何ですか? 「光文社古典新訳文庫」創刊編集長の駒井稔を聞き手に、8人の翻訳者が語る本にまつわる数々の思い出。 「WATERRAS BOOK FES」の「翻訳者×駒井稔による台本のないラジオ」待望の書籍化! 本は人生最高の贈り物である。読書のおもしろさを語り尽くした一冊。 【「はじめに」より】 このまえがきを読んでいる皆さんは、きっと教養や知識、深い内的体験など難しそうな話が満載なのだろうと思っていませんか。ある意味では、もちろんその通りなのですが、対談形式で個性あふれる8人の翻訳者の皆さんが披瀝する本のお話は、そういう話題も実に楽しく読めてしまうのです。 筋トレしながら娘の本に関する質問に答えてくれた父親、早く自分の話し相手になって欲しいとひたすら世界の名作を大量に与え続けた母親。どの回も本をめぐる心に残るエピソードが満載です。そして最も重要なことは、読書に関する本質的な事柄がきちんと述べられていることだと思います。(駒井稔) 目次 【目次】 はじめに 駒井稔 第1夜 鈴木芳子(ドイツ文学) 第2夜 貝澤哉(ロシア文学) 第3夜 永田千奈(フランス文学) 第4夜 木村政則(英米文学) 第5夜 土屋京子(英米文学) 第6夜 高遠弘美(フランス文学) 第7夜 酒寄進一(ドイツ文学) 第8夜 蜂飼耳(日本文学) あとがき 駒井稔 - 著者プロフィール - 駒井稔 (コマイミノル) (著/文 | 編集) 1956年横浜生まれ。慶應義塾大学文学部卒。1979年光文社入社。広告部勤務 を経て、1981年「週刊宝石」創刊に参加。ニュースから連載物まで、さまざまなジャンルの記事を担当する。1997年に翻訳編集部に異動。2004年に編集長。2年の準備期間を経て2006年9月に古典新訳文庫を創刊。10年にわたり編集長を務めた。 著書に『いま、息をしている言葉で。 「光文社古典新訳文庫」誕生秘話』(而立書房)、編著に『文学こそ最高の教養である』(光文社新書)がある。ひとり出版社、合同会社駒井組代表。
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天才たちの日課 女性編 自由な彼女たちの必ずしも自由でない日常 | メイソン・カリー, 金原瑞人(翻訳), 石田文子(翻訳)
¥1,980
SOLD OUT
フィルムアート社 2019年 ソフトカバー 432ページ B6判 - 内容紹介 - 草間彌生、ピナ・バウシュ、フリーダ・カーロ、アリス・ウォーカー、ヴァージニア・ウルフ、エミリー・ディキンスン、マルグリット・デュラス、スーザン・ソンタグ、ミランダ・ジュライ── 女性の作家、画家、デザイナー、詩人、アーティストは、いかにして日々「制作」に向かい、「生活」と「仕事」 の折り合いをつけていたのか。 大ヒット作『天才たちの日課』第2弾! 創作に打ち込むクリエイティブな女性たち143人の、惚れ惚れするほど鮮やかな/とても真似できない(してはいけない)ほどユニークな/頭を抱えてしまうほど並外れた、その苦闘が胸に迫る143通りの驚くべき試行錯誤。 それぞれの人物を特徴づける日々の日課や毎日のスケジュール、「仕事のお供」の嗜好品などはもちろん、創作に適した精神状態の保ち方や、自信がなくなったときの対処の仕方、さらにはいかに自分自身の場所や時間を確保したか、偏見や差別をどう乗り越えたかなど、とても他人事とは思えない切実な状況の数々は現代を生きる私たちにも大きなヒントになるはずです。 窮屈で不自由な枠からはみ出そうと格闘するすべての才能あふれる人々に捧げられた、自由と勇気のための福音の書となる1冊! ◆「私は自分の経験のすべてを物語にすることと引き換えに、悪魔に魂を売ったの」イサク・ディーネセン(作家) ◆「大切なのは規律を守ること。とにかく仕事をやり続ける。そうしたら突然、なにかが湧いてくる──なにかちっぽけなものが。それがどう化けるかはわからない。でも、誰かが明かりをつけようとしているみたいに感じる。すると、また勇気が湧いてくる」ピナ・バウシュ(舞踊家) ◆「私は成功しなくてはならなかった。だから絶対に、絶対にあきらめなかった。バイオリニストにはバイオリンがあるし、画家ならパレットがある。でも私にあるのは私だけ」ジョーゼフィン・ベイカー(ダンサー・歌手) ◆「”休み”という言葉をきくと、不安になるの」ココ・シャネル(服飾デザイナー) ◆「書くことは自分を使い果たし、自分の命を危険にさらすこと」スーザン・ソンタグ(作家・批評家) ◆(スランプにおちいっている作家へ)「なにをしてもいいけど[……]誰かに電話したり、パーティーに行ったりするのはだめ。それをすると、見失った自分の言葉があるべき場所に、ほかの人の言葉が流れこんでくるから。自分の言葉のために隙間を開けて、場所を作る。そして辛抱強く待つ」ヒラリー・マンテル(作家) ◆「黒人の女性が作家の人生を選ぶには、向こう見ずな勇気と、真剣な目的と、文学への献身と、強い意志と、誠実さが必要だ。なぜなら黒人で女性の作家はつねに不利な立場に置かれるからだ。あらかじめ、勝ち目がないように仕組まれている。しかし、いったん賽が投げられたら、もうあとには引けない」マーガレット・ウォーカー(詩人・作家) ---------------------------------------------------------------------------------- 今回、女性だけにフォーカスを当てたことで明らかになったのは、どのようにインスピレーションを受けて創作に生かしたのかということや、常人には理解しがたい儀式めいた日々のルーティンよりも、もっと切実なことが女性にはあった、ということ――。 女性たちは、常に、生活(おもに家庭生活)からくる自分の場所や時間を確保できないという困難と、女性であるがゆえに受ける偏見や差別を乗り越えるという苦闘に、直面させられていた。本書に収録されている143人すべての女性たちの日課を見てみると、その先には、思いもかけないドラマチックな景色が広がっている。 女性が創作を仕事にするためにどれだけ格闘したのか、仕事を続けることがどれだけ困難だったのか。そしてそれはまだ現在進行形の問題といえるだろう。この本は、過去、現在そして未来の、ものをつくり、はたらき、生活していくすべての女性たちの姿を静かに照らしている。 前書きなど この本は2013年〔日本語版は2014年〕に刊行された『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々(Daily Rituals: How Artists Work)』の続編であり補正版だ。前作では、作家や詩人、画家、作曲家、哲学者、その他の傑出した人々の日々の暮らしや仕事ぶりを簡単にまとめて紹介した。私はその出来に満足していたし、自分と同じように、創作の現場をのぞき見したいと思っていた人たちに読んでもらえてうれしかった。そういう人たちは、ベートーヴェンが朝のコーヒーのために豆をきっちり60粒数えていたことや、バレエの振付家のジョージ・バランシンがアイロンがけの最中に最高のアイデアを思いついていたことや、作家のマヤ・アンジェローが「小さくて質素な」ホテルの部屋で辞書や聖書やトランプやシェリー酒のボトルに囲まれて書いていたことを知っておもしろがってくれた。しかしこの本には、いま思えば、大きな欠陥があった。そこで取り上げた161人のうち、女性は27人しかいなかったのだ。割合にして17パーセント以下だ。 なぜ、これほど男女の比率にあからさまな差があるまま刊行してしまったのだろう。誰もが納得する言い訳があるわけではないが、前作で私が試みたのは、過去数百年の西洋文化圏で天才や偉人と呼ばれた人々の横顔(プロフィール)を紹介することだった。そしてそれを成功させるためには、「あの有名な天才がこんな平凡な日常を送っていた」という風に、イメージと実像のギャップを示すことが重要だと考えていた。そのために、西洋の有名な作家や画家やクラシック音楽家などに焦点を合わせた結果、残念ながら、対象となる人物の大半が男性になってしまったのだ。がんばって女性の話を見つけようと思わなかったことは、私の想像力が恐ろしく欠けていた証拠で、ほんとうに申し訳なく思っている。 そこで今回は、前作にみられた男女比のバランスの悪さを遅まきながら解消するとともに、私がもともともくろんでいたことをよりよく実現するために努力した。そのもくろみとは、単にインテリが好みそうな雑学情報を集めるだけでなく、読者にとって実際に役立つ本にしたいということだった。 (「はじめに」より抜粋) - 著者プロフィール - メイソン・カリー (メイソン カリー) (著/文) ペンシルベニア州ホーンズデール生まれ。ノースカロライナ大学アッシュビル校卒業。著書に、個人で運営していたブログ「Daily Routine」を元にした『Daily Rituals』(New York: Alfred A. Knopf, 2013)〔邦訳『天才たちの日課──クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』フィルムアート社、2014年〕がある。ロザンゼルス在住。 金原瑞人 (カネハラ ミズヒト) (翻訳) 1954年岡山市生まれ。法政大学教授・翻訳家。訳書は児童書、ヤングアダルト小説、一般書、ノンフィクションなど550点以上。訳書にマコーリアン『不思議を売る男』、シアラー『青空のむこう』、グリーン『さよならを待つふたりのために』、ヴォネガット『国のない男』、モーム『月と六ペンス』、クールマン『リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険』、サリンジャー『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる ハプワース16、1924年』など。エッセイ集に『サリンジャーにマティーニを教わった』、日本の古典の翻案に『雨月物語』『仮名手本忠臣蔵』など。HPはhttp://www.kanehara.jp/ 石田文子 (イシダ フミコ) (翻訳) 1961年、大阪府生まれ。大阪大学人間科学部卒業。金原氏に師事して翻訳関係の仕事にたずさわる。訳書にドイル『シャーロック・ホームズの冒険』『名探偵シャーロック・ホームズ』、アーバイン『小説タンタンの冒険』、シアラー『スノー・ドーム』、ハプティー『オットーと空飛ぶふたご』、ローズ『ティモレオン』(共訳)、アームストロング『カナリーズソング』(共訳)、カリー『天才たちの日課』(共訳)、バーサド&エルダキン『文学効能事典』(共訳)などがある。京都府在住。
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天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々 | メイソン・カリー, 金原瑞人 (翻訳), 石田文子 (翻訳)
¥1,980
フィルムアート社 2016年 ソフトカバー 384ページ B6判 - インターン生 尾崎萌美さんによる紹介文 - 副題にある「クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々」という言葉に興味をそそられました。勝手に頭の中で歴史に名を残した・残している人は私たちとはかけ離れた考えの下生活をしていると思い込みがちです。しかし、彼らも私たちと同じで、ご飯を食べ、家族と過ごし、娯楽を楽しむのです。この本に書いてある日課は「朝起きて、仕事をするまで」だけではなく、まるである一日を区切っているかのように描いてくれています。例えるのなら、YouTubeで最近よく見かけるVlogの文字版のようなものではないでしょうか。 四六時中、数学のことばかり考えている数学者。ピアノは好きなのに作曲の時間を取ることのできないピアニスト。毎日毎日決まった時間に書く作家等々。本人たちは気づいていないかもしれませんが、きっとユーモアがあったに違いありません。自分とはかけ離れていると感じていた人が意外と身近に感じられます。もちろんその逆もあります。しかし、そういった方の自分の仕事へ捧げる情熱はより感じられるでしょう。本を読む時、音楽を聴く時に彼らの「日課」を思い出せば、作品から感じられるものは今までと全く違うものになるはずです。 いつの間にか毎日同じことをしていることがあるかもしれません。私は「ルーティーン」と「日課」は少し違うような気がしています。私の中での「ルーティーン」の位置づけは、「物事がうまくいくように行う儀式のようなもの」。しかし「日課」は「生活の一部」と考えています。それが無ければその日一日の生活のリズムが崩れてしまう。これは正しい解釈ではないかもしれませんが、二つを区別するためにこのように分けています。 「今から読書をしよう!」と意気込むよりも、好奇心を持ち楽しみながら読むことをお勧めしたいと思います。
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10年目の手記 震災体験を書く、よむ、編みなおす | 瀬尾 夏美, 高森 順子, 佐藤 李青 中村 大地, 13人の手記執筆者
¥2,090
生きのびるブックス 2022年 ソフトカバー 208ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ15mm - 内容紹介 - 東日本大震災から10年。これまで言葉にしてこなかった「震災」にまつわるエピソードを教えてください―ー。 そんな問いかけから「10年目の手記」プロジェクトは始まった。 本書は、暮らす土地も被災体験も様々な人々の手記をもとに、東北と縁を結んだアーティストと演出家、阪神大震災の手記を研究する社会心理学者、文化支援事業のプログラムオフィサーが語り合い、自身を重ね、手記の背景に思いを巡らせた記録である。他者の声に耳をすます実践がここにある。 目次 はじめに 【第一部 よむ 10年目の手記と往復エッセイ】 あなたは、いつ、どこで、どうやって書いたのですか 高森順子 ・先生とハムスター ハム太郎 秘密とわからなさ 瀬尾夏美 ・空に聞く H・A ・あの日 海仙人 読み手に〝秘密〞を託す 高森順子 ・二〇一一年三月十二日から、現在へ はっぱとおつきさま 〝子ども〞だった彼らが語り出すまで 瀬尾夏美 ・この先通行止め コンノユウキ 過去を辿る 高森順子 ・消えた故郷 ほでなす ・もとちゃんへ 島津信子 手向けの花と、手記 瀬尾夏美 ・スタート 西條成美 ・兄の思い出 吉田健太 ともに生きる 高森順子 ・祖母の日記 八木まどか ・こぼれていく時間を集めて 柳澤マサ ・東北の伴走者 echelon 物語という火 瀬尾夏美 ・海から離れず生きた十年 小野春雄 10年目の手記 全タイトル 【第二部 編みなおす 10年目をこえにする】 「10年目の手記」をつくる 繰り返し、かたちを変えて、読み返す 佐藤李青 わたしが話しているような声 中村大地 10年目をきくラジオ モノノーク 最終回 10年目の手記スペシャル 抄録 配信記録 「とある窓」の写真について おわりに 声が声を呼ぶ 瀬尾夏美 前書きなど はじめに あなたのなかに、誰かに伝えるには大切すぎたり、どのように語っても足りなかったり、反対に、人に話すにはささやかすぎたりして、これまで言葉にしてこなかった「震災」にまつわるエピソードはありませんか。 二〇二〇年六月。わたしたちは東日本大震災の経験にまつわる「10年目の手記」の募集を始めた。字数は千二百字。名前は実名でも、ペンネームでも構わない。連絡先や年齢とともに、三百字の自己紹介や手記の背景を記したエピソードを添えること。ほかに求める応募資格はない。震災から十年の間で、「忘れられない」「忘れたくない」「覚えていたい」出来事について書いてほしい。募集の文面では、あえて「震災で直接的な体験をした人」も、「そうではないと感じている人」も応募してほしいと呼びかけた。 震災から十年――時間が経ったいまだからこそ、言葉にできることがある。あの日から〝被災者〞と名指された人たちは多かれ少なかれ、〝被災者〞としての言葉を求められてきた。それによって生まれた言葉はかけがえがない。ただ、〝被災者〞という枠組みから、こぼれ落ち、無かったことにされた言葉もあったはずだ。一方で、震災に距離を感じていた人たちは、〝被災者〞という語り手を大切にしようと思うあまりに、口をつぐんできたかもしれない。「10年目の手記」という場を用意することで、きっと語り出してくれる人たちがいる。わたしたちはそう確信をしつつも、どれほどの手記が集まるかは、誰も予想しえなかった。 結果的には呼びかけた側が驚くほどに、暮らす土地も被災体験も異なる手記が集まった。 届いた手記は、定期的にプロジェクトメンバーで読み合った。震災後に東北を拠点として創作を続けているアーティストの瀬尾夏美、「阪神大震災を記録しつづける会」の事務局長として震災の手記を実践的に研究してきた高森順子、仙台で設立された劇団「屋根裏ハイツ」を主宰する中村大地、東京から芸術文化を通した被災地支援事業に携わってきた佐藤李青。このメンバーに加え、五十年にわたって東北の民話を訪ね歩いてきた民話採訪者の小野和子さんを特別選考委員にお迎えした。 「10年目の手記」は二〇二一年五月までに七十五本をウェブサイトで公開した。その一部は、オンラインラジオ「10年目をきくラジオ モノノーク」で俳優による朗読も行った。手記を読んで、声にする。その声に触発されたように次の手記が届く。「10年目の手記」は書き手と読み手が応答し合うような活動となっていった。 当然のように、集まった手記は一つとして同じものはない。手記を通して書き手の体験を想像し、追体験する。自分の体験に重ねて得られた共感から、想像を巡らせる。自分の体験との違いに圧倒され、想像の不可能性に触れる。手記に書かれた言葉を読むこと、そして、手記に書かれなかった言葉を想像するという営みには、誰かの経験を〝わたしたち〞で分かちもつためのヒントがあった。わたしたちが「10年目の手記」で実感したのは、誰かの体験を記した手記を〝読む〞ことの豊かさだった。この本の出発点は、ここにある。 本書は、「よむ」と「編みなおす」の二部構成になっている。第一部「よむ」は、手記を読むことを巡る高森と瀬尾の往復エッセイから始まる。二人がどのように「10年目の手記」を読んだのか。緩やかな応答から、それぞれの経験を重ね合わせ、語っていく。そして、二人の語りに織り込まれた十三本の「10年目の手記」が続く。 「10年目の手記」は、「阪神大震災を記録しつづける会」の活動様式をなぞりながら、プロジェクトメンバーそれぞれの経験を重ねることで、立ち上げていった。震災の体験を記録に残し、より広く、より深く、共有することを目指す〝活動〞だった。第二部「編みなおす」では、「10年目の手記」という試みのありようを紐解いていく。 「10年目の手記」の企画の立ち上げからマネジメントを担当してきた佐藤が、どのように「10年目の手記」がつくられ、変化したのかを語る。そして、実践手法の特異点となった、ラジオでの手記朗読を演出してきた中村が、俳優との〝いい声〞をつくるプロセスを振り返る。併せて、「10年目の手記スペシャル」となったラジオ最終回の抄録も掲載した。 手記を読むことは、他者の経験を知ることである。そこには喜びがあれば、悲しみがある。わかることがあれば、わかりえないことがある。過去を振り返ってみれば、さまざまな災禍を経験した人たちの語りが残されてきた。過去の語りは、いまも読まれることを待っている。そして、語りは日々新たに生み出され、これからも積み重なっていくだろう。本書を手にとったみなさんにとって、わたしたちの経験が、災禍を体験した他者の声に耳を傾けるレッスンとなれば幸いである。 二〇二二年三月 「10年目の手記」プロジェクトメンバー 版元から一言 大切なものを失った人へ。 そして、彼らの傍らにいたいと願う人へ――。 災害時代を生きる私たちにとって、いま最も大切な一冊。 - 著者プロフィール - 瀬尾夏美(アーティスト/一般社団法人NOOK) 1988年東京都生まれ。土地の人びとのことばと風景の記録を考えながら、絵や文章をつくっている。2012年より3年間、岩手県陸前高田市を拠点にし、対話の場づくりや作品制作を行う。2015年仙台市で、土地との協働を通した記録活動を行う一般社団法人NOOKを立ち上げる。ダンサーや映像作家との共同制作や、記録や福祉に関わる公共施設やNPOとの協働による展覧会やワークショップの企画も行っている。著書に『あわいゆくころ 陸前高田、震災後を生きる』(晶文社、2019年)、『二重のまち/交代地のうた』(書肆侃侃房、2021年)。 高森順子(社会心理学者/阪神大震災を記録しつづける会) 1984年兵庫県神戸市生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科単位修得退学。博士(人間科学)。愛知淑徳大学コミュニティ・コラボレーションセンター助教。グループ・ダイナミックスの見地から阪神・淡路大震災の経験を表現する人々とともに実践的研究を行い、被災体験の分有のあり方について研究している。2014年に井植文化賞(報道出版部門)受賞。近著に「声なき被災者の経験を未災者に伝える」(岡部美香・青山太郎との共著『シリーズ人間科学6 越える・超える』、大阪大学出版会、2021年)。 佐藤李青(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー) 1982年宮城県塩竈市生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学。2011年6月より現職。都内事業の東京アートポイント計画、Tokyo Art Research Labに加えて、Art Support Tohoku-Tokyo(東京都による芸術文化を活用した被災地支援事業)を立ち上げから事業終了まで担当。ジャーナル『東北の風景をきく FIELD RECORDING』編集長(2017~2021年)。著書に『震災後、地図を片手に歩きはじめる』(アーツカウンシル東京、2021年)。 中村大地(作家、演出家/屋根裏ハイツ主宰) 1991年東京都生まれ。東北大学文学部卒。在学中に劇団「屋根裏ハイツ」を旗揚げし、8年間仙台を拠点に活動。2018年より東京在住。人が生き抜くために必要な「役立つ演劇」を志向する。『ここは出口ではない』で第2回人間座「田畑実戯曲賞」を受賞。「利賀演劇人コンクール2019」ではチェーホフ『桜の園』を上演し、観客賞受賞、優秀演出家賞一席となる。近年は小説の執筆など活動の幅を広げている。一般社団法人NOOKのメンバーとしても活動。2020年度ACY-U39アーティストフェローシップ。 13人の手記執筆者 Art Support Tohoku-Tokyoの企画として実施したプロジェクト「10年目の手記」(企画運営:一般社団法人NOOK、主催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京)のために、東日本大震災の経験にまつわる手記を執筆。
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ヘルシンキ 生活の練習 | 朴 沙羅
¥1,980
筑摩書房 2021年 ソフトカバー 288ページ 四六判 - 内容紹介 - 「私たち女性は、すべてを手に入れたいのです」二人の小さな子どもと移住した社会学者による、おもしろくてためになる、フィンランドからの現地レポート。 目次 はじめに 1 未知の旅へ――ヘルシンキ到着 2 VIP待遇――非常事態宣言下の生活と保育園 コラム1 ヘルシンキ市の公共交通機関と子ども車両 3 畑の真ん中――保育園での教育・その1 4 技術の問題――保育園での教育・その2 5 母親をする――子育て支援と母性 コラム2 社会とクラブと習い事 6 「いい学校」――小学校の入学手続き 7 チャイコフスキーと博物館――日本とフィンランドの戦争認識 コラム3 マイナンバーと国家への信頼 8 ロシア人――移民・移住とフィンランド コラム4 小学校入学 おわりに 注 - 著者プロフィール - 朴 沙羅 (パク サラ) (著/文) 1984年生まれ。専門は社会学、移民研究。ヘルシンキ大学文学部文化学科講師。単著に『家(チベ)の歴史を書く』(筑摩書房)、『外国人をつくりだす――戦後日本における「密航」と入国管理制度の運用』(ナカニシヤ出版)、編著に『最強の社会調査入門』(ナカニシヤ出版)など。