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牧野植物図鑑の謎 在野の天才と知られざる競争相手|俵 浩三
¥880
筑摩書房 2023年 ちくま文庫 ソフトカバー 224ページ 文庫判 - 内容紹介 - 最も有名な植物学者・牧野富太郎には「ライバル」がいた――? 博士と同時に別の植物図鑑を出版したある男との関係を読む図鑑史。解説 大場秀章 - 著者プロフィール - 俵 浩三 (タワラ ヒロミ) (著/文) 1930年東京生まれ、千葉大学園芸学部卒業。景観学者、林学者。厚生省国立公園部、北海道林務部、北海道生活環境部に勤務したのち、専修大学北海道短期大学教授、北海道自然保護協会理事、専修大学北海道短期大学名誉教授等を務めた。2020年没。
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どんどん変に… エドワード・ゴーリー インタビュー集成|エドワード・ゴーリー, カレン・ウィルキン(編集), 小山 太一(翻訳), 宮本 朋子(翻訳)
¥2,750
河出書房新社 2023年 ハードカバー 272ページ 15.5 x 2.3 x 21.8 cm - 内容紹介 - 毛皮のコートとテニスシューズ姿でバレエ鑑賞。映画は1日3本、『源氏物語』とネコたちを愛し、生涯独身を貫く。ノンセンスな遊び心に満ちたゴーリーの秘密満載のインタビュー集。 - 著者プロフィール - エドワード・ゴーリー (ゴーリー,E) (著/文) 1925年シカゴ生まれ。独特の韻を踏んだ文章とモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表。おもな邦訳に『うろんな客』『ギャシュリークラムのちびっ子たち』など。2000年没。 カレン・ウィルキン (ウィルキン,カレン) (編集) キュレーター、美術評論家。ゴーリーの良き理解者でもあった。 小山 太一 (コヤマ タイチ) (翻訳) 1974年京都生まれ。立教大学教授。イギリス文学研究者・翻訳者。おもな訳書に、マキューアン_『贖罪』、オースティン『自負と偏見』、ウッドハウス『ジーヴズの事件簿』、ウォー『誉れの剣』三部作など。 宮本 朋子 (ミヤモト トモコ) (翻訳) 1972年福岡生まれ。おもな訳書に、マッキャン『世界を回せ』、グレッグ『ルシアン・フロイドとの朝食』、ゴーリー編『憑かれた鏡』(いずれも共訳)など。
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小津安二郎と七人の監督|貴田 庄
¥1,045
筑摩書房 2023年 ちくま文庫 ソフトカバー 288ページ 文庫判 - 内容紹介 - 同時代の映画監督7人と対比し、オーバーラップを嫌い、3,4種類のショットを繰り返す小津独自の撮り方はどのようにして確立したのかを炙りだす。 - 著者プロフィール - 貴田庄 (キダショウ) (著/文) 1947年青森県弘前市生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了、芸術学専攻。専門は映画史、西洋美術史、書物工芸史。著書に『小津安二郎のまなざし』『小津安二郎の食卓』『小津安二郎東京グルメ案内』『小津安二郎と「東京物語」』『原節子 あるがままに生きて』『原節子物語 若き日々』『志賀直哉、映画に行く』『高峰秀子 人として女優として』『西洋の書物工房』『マーブル染』『レンブラントと和紙』など多数。
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ハンナ・アーレント、三つの逃亡|ケン・クリムスティーン, 百木漠(翻訳)
¥3,960
SOLD OUT
みすず書房 2023年 ハードカバー 248ページ 菊変型判 - 内容紹介 - ユダヤ人として戦争の世紀に生まれ落ち、 現実に向かって“なぜ?”と問いつづける少女ハンナ。 『全体主義の起原』『活動的生』を著した 不世出の政治哲学者の生涯を 繊細に、大胆に、描ききる名作グラフィックノベル。 〈これから語られるのは、 ハンナ・アーレントという人物の 生涯についての物語である。 別の時代の、失われた世界の、 失われた国に生まれ落ちた亡命哲学者。 その名前を聞いたことがある人も いるかもしれない。 最後に残る(そして最初からある)疑問。 なぜこの人物は、 おそらく20世紀の最も偉大な哲学者は、 哲学を捨てたのだろうか? それにもかかわらず、なぜ彼女の思考は、 人類が前に進むための生きた道筋を 示してくれるのだろうか?〉 目次 若きハンナの悲しみ――東プロイセン 割れ目を踏む スピロヘータ 癒しの錬金術 マールブルクの魔術師 恍惚とした真理 1925 「誓います」 1929 ハンナ、第一の逃亡――ベルリン ロマーニッシェス:1933 黒いハバナの葉巻 いかさま裁判開廷中 1933年2月27日 われわれがこの世界の邪魔をする 私に罪を着せないで(その朝帰りのあとで) 無垢の終わり ごく形式的なものです(正午) お断りします(二日後) 無国籍 ハンナ、第二の逃亡――パリ パリで三方面から真理へ迫る 1933 ハンナのパリ、三枚続きの絵――一枚目:愛する人 1936 ハンナのパリ、三枚続きの絵――二枚目:思考する人 ハンナのパリ、三枚続きの絵――三枚目:行動する人 ゲームは進行中 1939年9月1日 1940年5月5日 冬季自転車競技場、フランステクノロジーの勝利! ギュルスへ 1940年5月23日 1940年6月14日 大混乱の崇高さ 徒歩で 地中海で運が尽きたアテネ 隠れ家を去る 1940年 鍵作戦 午前4時 ポルトボウにて 今がそのときだ 楽園から嵐が吹いてくる ハンナ、第三の逃亡――ニューヨーク 新世界 1941 眉をひそめる 新たなユダヤ的任務完了 この種の真実の語りは 深淵 1943 アーレント主義の起源 ハイデガーの山小屋 マルタの最期と無数の「なぜ」 1951 ヴァルターの染み 1955 メアリー、メアリー:1958 時代の現存在 1958(15分後) リバーサイドのカディッシュ 手すりなき思考――エルサレムとその後 宇宙時代の思想家 市民第1号? 悪魔とタンゴを踊る:ブエノス・アイレス 1961 複数性にむかってうつむきながら歩く:1968 そして、始まりにおいて エピローグ 読書案内 謝辞 訳者あとがき - 著者プロフィール - ケン・クリムスティーン (ケンクリムスティーン) (著/文) (Ken Krimstein) 漫画家。『ニューヨーカー』『ウォール・ストリート・ジャーナル』『ニューヨーク・タイムズ』『シカゴ・トリビューン』などで漫画を発表。デポール大学やシカゴ美術館附属美術大学で講師を務める。これまで、Kvetch as Kvetch can: Jewish Cartoon(Potter Style, 2010)、『ハンナ・アーレント、三つの逃亡 The Three Escapes of Hannah Arendt』(本書。全米ユダヤ図書賞ファイナリスト、Bloomsbury Publishing, 2018)、When I Grow Up: The Lost Autobiographies of Six Yiddish Teenagers(ワシントン・ポストのグラフィッ クノベル部門年間ベスト10ブック、Bloomsbury Publishing, 2021)の三作を出版、いずれもユダヤ人というテーマにとりくみ、高い評価を受けている。イリノイ州エヴァンストン在住。 *ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。 百木漠 (モモキバク) (翻訳) (ももき・ばく) 1982年奈良県に生まれる。専門は政治思想史・社会思想史。現在、関西大学法学部准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。単著に、『アーレントのマルクス――労働と全体主義』(人文書院、2018年)、『嘘と政治――ポスト真実とアーレントの思想』(青土社、2021年)、共著に『現代社会理論の変貌――せめぎあう公共圏』(日暮雅夫・尾場瀬一郎・市井吉興編、ミネルヴァ書房、2016年)、『生きる場からの哲学入門』(大阪哲学学校編、新泉社、2019年)、『漂泊のアーレント、戦場のヨナス――ふたりの二〇世紀 ふたつの旅路』(慶應義塾大学出版会、2020年)、『アーレント読本』(日本アーレント研究会編、法政大学出版局、2020年)などがある。 *ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
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対談 日本の文学 作家の肖像|中央公論新社(編集)
¥1,320
中央公論新社 2023年 中公文庫 ソフトカバー 416ページ 文庫判 - 内容紹介 - 傍観者のような、冷淡な人のように見られるんですが、実生活から見ると、几帳面で、まじめで、あったかい人でした(小堀杏奴)。鴎外・露伴の娘、芥川の息子、谷崎・太宰の妻、漱石の息子と弟子……文豪の家族や弟子が間近に見たその生身の姿を語る。 全集『日本の文学』の月報対談を再編集。 〈巻末付録〉全集『日本の文学』資料 (目次より) 幸田露伴の思い出(幸田文/瀬沼茂樹) 父・森林太郎(森茉莉/三島由紀夫) 文豪鴎外の肖像(小堀杏奴/大岡昇平) 田山花袋とその周辺(田山瑞穂/平野謙) 徳田秋声の人と作品(川端康成/徳田一穂) 文学と実生活(広津和郎/江藤淳) 夏目漱石を語る(夏目伸六/中野好夫) 漱石山房のこと(安倍能成/津田青楓) 漱石先生よもやま話(内田百閒/高橋義孝) 「細雪」のころ(谷崎松子/サイデンステッカー) 有島武郎と長与善郎(里見弴/本多秋五) 里見弴をめぐって(里見弴/伊藤整) 芥川龍之介を語る(芥川比呂志/大岡昇平) 室生犀星の思い出(室生朝子/萩原葉子) 堀辰雄について(堀多恵子/遠藤周作) 女流文学と作家生活(野上弥生子/網野菊) 宮本百合子を語る(湯浅芳子/本多秋五) 太宰治のこと(津島美知子/キーン) * 明治文学を語る(稲垣達郎/瀬沼茂樹) 大正時代と文学(小島信夫/江藤淳) 文学と演劇(山本有三/阿部知二) 伝統と変質(永井龍男/阿部知二) 昭和初期の文壇状勢(井上友一郎/田宮虎彦/河盛好蔵) 反戦文学の屈折(小田切秀雄/立野信之) 戦後文学を語る(大岡昇平/秋山駿)
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彼女たちの山 平成の時代、女性はどう山を登ったか|柏 澄子
¥1,870
山と渓谷社 2023年 ソフトカバー 256ページ 四六判 - 内容紹介 - 山を駆けた女性たちの軌跡をたどり、平成の30年間を振り返る貴重な記録。 平成の30年間(1989-2019)、登山の世界で女性がどのように活躍してきたか。 代表的な人物へのインタビューを中心に、平成の登山史を振り返る。 それぞれの人生に山がもたらしたものとは何か。 『山と溪谷』2020年4月号から12月号まで連載した内容に、再取材のうえ、大幅に加筆・修正して単行本化。 ■内容 1章 平成を登った5人の女性たち 山野井妙子、田部井淳子、谷口けい、野口啓代、遠藤由加 2章 テーマで見る女性登山者 山ガール、山小屋の女性たち、山岳ガイド、大学山岳部、スポーツクライミング、アルパインクライミング
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食客論|星野 太
¥1,760
講談社 2023年 ソフトカバー 272ページ 四六判 - 内容紹介 - 傍らで食べるもの――それはだれか? ロラン・バルト、ブリア=サヴァラン、フーリエ、ルキアノス、キケロ、カール・シュミット、ディオゲネス、九鬼周造、北大路魯山人、石原吉郎、ポン・ジュノ、メルヴィル、アーレントらのテクストに潜む、友でも敵でもない曖昧な他者=「食客」。彼らの足跡をたどり、口当たりのよい「歓待」や「共生」という言葉によって覆い隠されている、「寄生」の現実を探究する。 第一章 共生 第二章 孤食 第三章 口唇 第四章 食客 第五章 海賊 第六章 異人 第七章 味会 第八章 坐辺 第九章 飲食 第十章 寄生(プロローグ) あとがき - 著者プロフィール - 星野 太 (ホシノ フトシ) (著/文) 1983年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。現在、東京大学大学院総合文化研究科准教授。専攻は美学、表象文化論。 主な著書に『崇高の修辞学』(月曜社、2017年)、『美学のプラクティス』(水声社、2021年)、『崇高のリミナリティ』(フィルムアート社、2022年)。主な訳書にジャン=フランソワ・リオタール『崇高の分析論――カント『判断力批判』についての講義録』(法政大学出版局、2020年)などがある。
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われらの牧野富太郎!|いとうせいこう(監修), 毎日新聞出版(編集)
¥2,420
毎日新聞出版 2023年 ソフトカバー 176ページ A5判 - 内容紹介 - 愛される植物学者を語り尽くそう! 高野文子/横山譲二/田中伸幸/稲垣典年/海老塚和秀/中島岳志/牧野一浡/額賀じゅんじ/塩田貴志/廣田智恵子/朝井まかて/長田育恵/高知県立牧野植物園/里見和彦/里見由佐(登場順) 2023年の春から放送されるNHK 2023年度前期の連続テレビ小説『らんまん』(主演・神木隆之介)は、「日本の植物学の父」とも言われる牧野富太郎がモデルとなっている。本書は「牧野富太郎愛」を貫き続けるマルチクリエイターのいとうせいこう氏監修によるビジュアル単行本。 牧野博士がかつて行っていた植物採集イベント「牧野植物同好会」を、いとう氏が博士に扮し現代によみがえらせるレポート、牧野博士を研究している識者や関係者のインタビュー、『らんまん』の脚本を担当する長田育恵氏といとう氏の対談、高知県立牧野植物園ガイド、牧野博士が歩いた高知県植物採集ポイントのガイド、博士の蔵書、アートデザインや文学的センスを伝えるコーナー、牧野博士作詞『植物採集行進曲』の一部を紹介する綴じ込み付録など、「牧野ワールド」が満載だ。 カバー表1のイラストは、漫画家でイラストレーターの高野文子氏が担当。 【目次】 牧野富太郎博士、われらのヒーロー! Our Hero Dr. MAKINO! Sprouting Up! 1 牧野博士ヒストリー The Father of Japanese Botany' Makino's Life Tale 2 プランツ・パーティ!!! Plants Party!!! Festival of the Future 3 われらの牧野富太郎! Makino Tomitaro, Our Hero! 4 長田育恵×いとうせいこう 牧野博士の「らんまん人生」を語り尽くそう Life is a Flower Ikue Osada x Seiko Ito 5 われらの牧野植物園ガイド A Worker's Guide to The Makino Botanical Garden 6 牧野富太郎とめぐる植物の旅in高知 A Walkers Travelogue to Kochi in the Footsteps of Makino Tomitaro 7 牧野博士のたのしい蔵書 Makino's Library a homage to plants and a Diversity in Reading 8 牧野富太郎、驚異のセンス Dr. Makino's Aesthetic Art ・Design・ Words! 付録 植物採集行進曲 Plants & Peace on Earth
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優雅な生活が最高の復讐である|カルヴィン・トムキンズ, 青山 南(翻訳)
¥2,200
田畑書店 2022年 ポケットスタンダード ハードカバー 248ページ 文庫判 縦156mm 横113mm - 内容紹介 - 1920年代のフランスに信じ難いほど素敵な生活を営むアメリカ人夫婦がいた。 ジェラルド・マーフィとサラ、二人はパリからアンティーブへ生活の舞台を移し、近郊に住むアーティストや作家、たとえばピカソ、レジェ、コール・ポーター、ヘミングウェイ、フィッツジェラルドとゼルダ夫妻など時代を画する才能をもてなし、その創作活動に多大な影響を与えた。そしてマーフィ自身も画家だった。活動期間はたった8年間であったが、わずかな、しかし素晴らしい作品がMoMAに遺されている。 本書はこのマーフィ夫妻の生活を見事に掬い上げ、ノンフィクションの分野に金字塔を立てたカルヴィン・トムキンズのテキストに、70点近くの家族アルバムとジェラルドの絵画を加えた。 雑誌「ニューヨーカー」初出から60年を経て放つ歴史的名著の決定版! - 著者プロフィール - カルヴィン・トムキンズ (カルヴィン トムキンズ) (著/文) 1925年、ニュー・ジャージー州生まれ。48年、プリンストン大学卒業。雑誌「ニューヨーカー」のスタッフ・ライターとして活躍し、主にアート関係の文章を手がける。“カルチャー・シーン通”の異名を持ち、本書の他にも『マルセル・デュシャン』、『花嫁と独身者たち』、『ザ・シーン――ポスト・モダン・アート』などの著書がある。 青山 南 (アオヤマ ミナミ) (翻訳) 1949年、福島県生まれ。翻訳家、エッセイスト。訳書に、フィッツジェラルド『ゼルダ・フィッツジェラルド全作品』(共訳)、ケルアック『オン・ザ・ロード』、ディディオン『ベツレヘムに向け、身を屈めて』、ロス『ゴースト・ライター』など多数。著書に、『南の話』、『アメリカ短編小説興亡史』など多数。
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佐藤真の不在との対話|小森 はるか、小林 茂、旗野 秀人、赤坂 憲雄、永野 三智、山根 貞男、細馬 宏通、神谷 丹路、保坂 和志、諏訪 敦彦、北小路 隆志、八角 聡仁、石田 優子 里山社 (編集)
¥1,650
里山社 2021年 ソフトカバー 160ページ A5判 縦188mm 横127mm 厚さ10mm - 内容紹介 - 『阿賀に生きる』『SELF AND OTHERS』『まひるのほし』『花子』など、優れたドキュメンタリー映画を生み出し、07 年に急逝した映画作家、佐藤真。それまで事件や社会課題を糾弾するのが命題だったドキュメンタリーというジャンルにおいて、「見えない世界」を撮り、問題の本質を炙り出すという方法論は、普遍性をもち、多くの示唆に富んでいた。東日本大震災以後、混迷を極め、脊髄反射とも言うべき言説も飛び交う日本社会で、今もなお深い思考を促す佐藤の映画と言葉のもつ意味を探ろうとする人びとによる対話集。 「本当に特殊なのはそれを見ている自分なんだっていうことに気づかせる映画はなきゃいけないと思う。ドキュメンタリーというジャンルのなかで、日本でそういうことに触れようとしていたのは佐藤さんだけだった」(諏訪敦彦) 目次 小森はるか(映画監督)佐藤真監督の葛藤に救われた 小林茂(映画監督)わからないから撮る 山根貞男(映画評論家)映画哲学者、佐藤真 赤坂憲雄(民族学者)×旗野秀人(「阿賀に生きる」発起人、「冥土のみやげ企画」主催)×小森はるか「福島に生きる」は可能か 旗野秀人×永野三智(水俣病センター相思社) 水俣病発生から「遅れてきた若者」だからできること 神谷丹路(日韓史研究者、佐藤真・妻)プライベートな世界を撮ることに向かった時期 細馬宏通(人間行動学者)意味よりも過程を見ていたい 保坂和志(小説家)見つめられないものこそ日常 諏訪敦彦(映画監督)世界は見渡すことができない 石田優子(映画監督)彷徨いつづけることを認める 師としての佐藤真
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天才たちの日課 女性編 自由な彼女たちの必ずしも自由でない日常 | メイソン・カリー, 金原瑞人(翻訳), 石田文子(翻訳)
¥1,980
フィルムアート社 2019年 ソフトカバー 432ページ B6判 - 内容紹介 - 草間彌生、ピナ・バウシュ、フリーダ・カーロ、アリス・ウォーカー、ヴァージニア・ウルフ、エミリー・ディキンスン、マルグリット・デュラス、スーザン・ソンタグ、ミランダ・ジュライ── 女性の作家、画家、デザイナー、詩人、アーティストは、いかにして日々「制作」に向かい、「生活」と「仕事」 の折り合いをつけていたのか。 大ヒット作『天才たちの日課』第2弾! 創作に打ち込むクリエイティブな女性たち143人の、惚れ惚れするほど鮮やかな/とても真似できない(してはいけない)ほどユニークな/頭を抱えてしまうほど並外れた、その苦闘が胸に迫る143通りの驚くべき試行錯誤。 それぞれの人物を特徴づける日々の日課や毎日のスケジュール、「仕事のお供」の嗜好品などはもちろん、創作に適した精神状態の保ち方や、自信がなくなったときの対処の仕方、さらにはいかに自分自身の場所や時間を確保したか、偏見や差別をどう乗り越えたかなど、とても他人事とは思えない切実な状況の数々は現代を生きる私たちにも大きなヒントになるはずです。 窮屈で不自由な枠からはみ出そうと格闘するすべての才能あふれる人々に捧げられた、自由と勇気のための福音の書となる1冊! ◆「私は自分の経験のすべてを物語にすることと引き換えに、悪魔に魂を売ったの」イサク・ディーネセン(作家) ◆「大切なのは規律を守ること。とにかく仕事をやり続ける。そうしたら突然、なにかが湧いてくる──なにかちっぽけなものが。それがどう化けるかはわからない。でも、誰かが明かりをつけようとしているみたいに感じる。すると、また勇気が湧いてくる」ピナ・バウシュ(舞踊家) ◆「私は成功しなくてはならなかった。だから絶対に、絶対にあきらめなかった。バイオリニストにはバイオリンがあるし、画家ならパレットがある。でも私にあるのは私だけ」ジョーゼフィン・ベイカー(ダンサー・歌手) ◆「”休み”という言葉をきくと、不安になるの」ココ・シャネル(服飾デザイナー) ◆「書くことは自分を使い果たし、自分の命を危険にさらすこと」スーザン・ソンタグ(作家・批評家) ◆(スランプにおちいっている作家へ)「なにをしてもいいけど[……]誰かに電話したり、パーティーに行ったりするのはだめ。それをすると、見失った自分の言葉があるべき場所に、ほかの人の言葉が流れこんでくるから。自分の言葉のために隙間を開けて、場所を作る。そして辛抱強く待つ」ヒラリー・マンテル(作家) ◆「黒人の女性が作家の人生を選ぶには、向こう見ずな勇気と、真剣な目的と、文学への献身と、強い意志と、誠実さが必要だ。なぜなら黒人で女性の作家はつねに不利な立場に置かれるからだ。あらかじめ、勝ち目がないように仕組まれている。しかし、いったん賽が投げられたら、もうあとには引けない」マーガレット・ウォーカー(詩人・作家) ---------------------------------------------------------------------------------- 今回、女性だけにフォーカスを当てたことで明らかになったのは、どのようにインスピレーションを受けて創作に生かしたのかということや、常人には理解しがたい儀式めいた日々のルーティンよりも、もっと切実なことが女性にはあった、ということ――。 女性たちは、常に、生活(おもに家庭生活)からくる自分の場所や時間を確保できないという困難と、女性であるがゆえに受ける偏見や差別を乗り越えるという苦闘に、直面させられていた。本書に収録されている143人すべての女性たちの日課を見てみると、その先には、思いもかけないドラマチックな景色が広がっている。 女性が創作を仕事にするためにどれだけ格闘したのか、仕事を続けることがどれだけ困難だったのか。そしてそれはまだ現在進行形の問題といえるだろう。この本は、過去、現在そして未来の、ものをつくり、はたらき、生活していくすべての女性たちの姿を静かに照らしている。 前書きなど この本は2013年〔日本語版は2014年〕に刊行された『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々(Daily Rituals: How Artists Work)』の続編であり補正版だ。前作では、作家や詩人、画家、作曲家、哲学者、その他の傑出した人々の日々の暮らしや仕事ぶりを簡単にまとめて紹介した。私はその出来に満足していたし、自分と同じように、創作の現場をのぞき見したいと思っていた人たちに読んでもらえてうれしかった。そういう人たちは、ベートーヴェンが朝のコーヒーのために豆をきっちり60粒数えていたことや、バレエの振付家のジョージ・バランシンがアイロンがけの最中に最高のアイデアを思いついていたことや、作家のマヤ・アンジェローが「小さくて質素な」ホテルの部屋で辞書や聖書やトランプやシェリー酒のボトルに囲まれて書いていたことを知っておもしろがってくれた。しかしこの本には、いま思えば、大きな欠陥があった。そこで取り上げた161人のうち、女性は27人しかいなかったのだ。割合にして17パーセント以下だ。 なぜ、これほど男女の比率にあからさまな差があるまま刊行してしまったのだろう。誰もが納得する言い訳があるわけではないが、前作で私が試みたのは、過去数百年の西洋文化圏で天才や偉人と呼ばれた人々の横顔(プロフィール)を紹介することだった。そしてそれを成功させるためには、「あの有名な天才がこんな平凡な日常を送っていた」という風に、イメージと実像のギャップを示すことが重要だと考えていた。そのために、西洋の有名な作家や画家やクラシック音楽家などに焦点を合わせた結果、残念ながら、対象となる人物の大半が男性になってしまったのだ。がんばって女性の話を見つけようと思わなかったことは、私の想像力が恐ろしく欠けていた証拠で、ほんとうに申し訳なく思っている。 そこで今回は、前作にみられた男女比のバランスの悪さを遅まきながら解消するとともに、私がもともともくろんでいたことをよりよく実現するために努力した。そのもくろみとは、単にインテリが好みそうな雑学情報を集めるだけでなく、読者にとって実際に役立つ本にしたいということだった。 (「はじめに」より抜粋) - 著者プロフィール - メイソン・カリー (メイソン カリー) (著/文) ペンシルベニア州ホーンズデール生まれ。ノースカロライナ大学アッシュビル校卒業。著書に、個人で運営していたブログ「Daily Routine」を元にした『Daily Rituals』(New York: Alfred A. Knopf, 2013)〔邦訳『天才たちの日課──クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』フィルムアート社、2014年〕がある。ロザンゼルス在住。 金原瑞人 (カネハラ ミズヒト) (翻訳) 1954年岡山市生まれ。法政大学教授・翻訳家。訳書は児童書、ヤングアダルト小説、一般書、ノンフィクションなど550点以上。訳書にマコーリアン『不思議を売る男』、シアラー『青空のむこう』、グリーン『さよならを待つふたりのために』、ヴォネガット『国のない男』、モーム『月と六ペンス』、クールマン『リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険』、サリンジャー『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる ハプワース16、1924年』など。エッセイ集に『サリンジャーにマティーニを教わった』、日本の古典の翻案に『雨月物語』『仮名手本忠臣蔵』など。HPはhttp://www.kanehara.jp/ 石田文子 (イシダ フミコ) (翻訳) 1961年、大阪府生まれ。大阪大学人間科学部卒業。金原氏に師事して翻訳関係の仕事にたずさわる。訳書にドイル『シャーロック・ホームズの冒険』『名探偵シャーロック・ホームズ』、アーバイン『小説タンタンの冒険』、シアラー『スノー・ドーム』、ハプティー『オットーと空飛ぶふたご』、ローズ『ティモレオン』(共訳)、アームストロング『カナリーズソング』(共訳)、カリー『天才たちの日課』(共訳)、バーサド&エルダキン『文学効能事典』(共訳)などがある。京都府在住。
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天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々 | メイソン・カリー, 金原瑞人 (翻訳), 石田文子 (翻訳)
¥1,980
フィルムアート社 2016年 ソフトカバー 384ページ B6判 - インターン生 尾崎萌美さんによる紹介文 - 副題にある「クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々」という言葉に興味をそそられました。勝手に頭の中で歴史に名を残した・残している人は私たちとはかけ離れた考えの下生活をしていると思い込みがちです。しかし、彼らも私たちと同じで、ご飯を食べ、家族と過ごし、娯楽を楽しむのです。この本に書いてある日課は「朝起きて、仕事をするまで」だけではなく、まるである一日を区切っているかのように描いてくれています。例えるのなら、YouTubeで最近よく見かけるVlogの文字版のようなものではないでしょうか。 四六時中、数学のことばかり考えている数学者。ピアノは好きなのに作曲の時間を取ることのできないピアニスト。毎日毎日決まった時間に書く作家等々。本人たちは気づいていないかもしれませんが、きっとユーモアがあったに違いありません。自分とはかけ離れていると感じていた人が意外と身近に感じられます。もちろんその逆もあります。しかし、そういった方の自分の仕事へ捧げる情熱はより感じられるでしょう。本を読む時、音楽を聴く時に彼らの「日課」を思い出せば、作品から感じられるものは今までと全く違うものになるはずです。 いつの間にか毎日同じことをしていることがあるかもしれません。私は「ルーティーン」と「日課」は少し違うような気がしています。私の中での「ルーティーン」の位置づけは、「物事がうまくいくように行う儀式のようなもの」。しかし「日課」は「生活の一部」と考えています。それが無ければその日一日の生活のリズムが崩れてしまう。これは正しい解釈ではないかもしれませんが、二つを区別するためにこのように分けています。 「今から読書をしよう!」と意気込むよりも、好奇心を持ち楽しみながら読むことをお勧めしたいと思います。