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超人ナイチンゲール | 栗原 康
¥2,200
医学書院 2023年 ソフトカバー 272ぺージ A5判 - 内容紹介 - こんなナイチンゲール、聞いたことない!――鬼才文人アナキストが、かつてないナイチンゲールを語り出した。それは聖女でもなく合理主義者でもなく、「近代的個人」の設定をやすやすと超える人だった。「永遠の今」を生きる人だった。救うものが救われて、救われたものが救ってゆく。そんな新しい生の形式を日常生活につくりだせ。ケアの炎をまき散らせ。看護は集団的な生の表現だ。そう、看護は魂にふれる革命なのだ。
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キミは文学を知らない。 小説家・山本兼一とわたしの好きな「文学」のこと | 山本 英子
¥2,200
灯光舎 2024年 ハードカバー 218ページ B6変形判 縦183mm 横130mm 厚さ15mm - 内容紹介 - 京都で小説を書き続けた二人の作家のなにげない日々。 『利休にたずねよ』を著し、2014年に早逝した京都ゆかりの歴史小説家・山本兼一。彼の妻にして児童書作家・文筆家の山本英子さんが、亡き夫のおもかげを語り、山本兼一と自身の人生を綴ったエッセイ集。 本書の前半では、10年前に亡くなった夫・山本兼一さんが残した取材ノートや手帳を改めて紐解き、自身の記憶を重ねて夫のありし日が語られます。後半になると、次第に内容の主軸が英子さん自身に移り、自身の思い出に残る本や児童書を書くきっかけとなったエピソード、夫への葛藤などが織り交ざったライフストーリーが展開していきます。 「道に迷いそうになったら、日本を探して歩くといい」と語り、この世を去る直前まで物語を書き続けた作家・山本兼一。 子どもたちに、自分のなかの「好き」を大事にして人生を歩んでほしいと想って筆をとった山本英子。 職業作家としての道を歩み、悲喜交々の暮らしのなかでひたむきに楽しく物語を書き続ける二人の日々が、私たちの日常の足跡と重なり、好きなこと、自分のやりたいことを見つめるきっかけを与えてくれるような一冊です。 本書を刊行する2024年は、山本兼一さん没後10年です。 【山本兼一さんの経歴と主な著書】 1999年『弾正の鷹』で小説NON創刊150号記念短編時代小説賞佳作。 2004年『火天の城』で第11回松本清張賞を受賞。 2009年『利休にたずねよ』で第140回直木三十五賞を受賞。 2012年第30回京都府文化賞功労賞受賞。 2014年逝去。 ◆主な作品 『白鷹伝 戦国秘録』 『信長死すべし』 『千両花嫁 とびきり屋見立て帖』 『いっしん虎徹』 『狂い咲き正宗』など - 目次 - 職業は、作家 挑んだ松本清張賞 直木三十五賞、候補は三回 善福寺川で悩む 決意は賀茂川で キミは文学を知らない シークエル - 前書きなど - 【決意は賀茂川で】より わたしは、中学一年生のときに初めて「空気を読む」ことを学んだ。きっかけは多くの女子が夢中になるものに、自分が惹かれていないことに気がついたからだ。流行のファッション、当時の人気のアイドル、みんなが語っていた憧れの職業……。孤立がいやで、自分の気持ちをごまかしていた。自分の「好き」はまわりの顔ぶれを見て隠したり出したりして過ごしていた。 中学校を卒業したわたしは、地元から離れた私立の女子校へ進学した。通学に1時間ちょっとかかったその学校は、小学校から短期大学まであった。高校の入学式では中学校から内部進学した子たちがにぎやかで、威圧されているようだった。教室に入って驚いた。一クラス50人学級だ。中学時代の女子は20人ほどだったから……2・5倍も空気を読まなければいけないのか……。わたしは緊張でクラクラしたことを覚えている。当時のわたしはどんな計算をしていたのだろう? 入学してわかったことは、この学校の服装基準、生活面の規則が恐ろしくきびしいことだ。大変な学校に入ってしまった……。これからの生活が不安だった。毎週細かな服装検査を受けていた。これをクリアすると、みんな同じような雰囲気になっていく。個性がみえなかった。 それから数か月経ち、学校に慣れてくると一人ひとりがみえてきた。運動の強豪校なので、インターハイ出場をめざし部活動に専念している子がいるのは知っていた。が、ほかにもいろんな子がいる。あらゆる女子キャラがそろっていた。大学進学のため予備校へ通っている子、音大をめざしレッスンに励む子、竹下通りで踊る「ロックンローラー族」「タケノコ族」のメンバー、テレビ番組でアイドルのうしろで踊るタレント志望の子、声優志望のアニメファン、演劇部でオリジナル作品に挑戦している子、男子校の生徒に人気のちょっとヤンチャな女子グループ……。ここの女子たちは、それぞれの「好き」にまっしぐらだった。 今、当時を考えると、この学校が特別だったわけではない。1クラス50人で13クラス、1学年600人以上! 人数が多いから、いろんな子に出会えただけだ。これだけ多いと、自分のマイナーな「好き」を口にしても「それ、知ってる!」という子もいるだろう。わたしは、当時の定番、雑誌の切り抜きが挟めるクリア下敷きに好きなロックバンドの切り抜きを挟んでいた。それを目立つよう机の上に置いた。ドキドキしたけれど、ワクワクしてた。 「えっ、これってピンク・フロイド? こんな誰も知らないようなの聴くんだ!」 にぎやかで苦手と思っていた、付属中学から進学してきた子が、下敷きを見て楽しそうに話しかけてきた。 「プログレが好きなんだ。カッコイイバンドも好きだよ……」 「ピンク・フロイドって一度聴いてみたかったんだ。今度LP貸してくれる?」 楽しい会話が始まってた。納得いかないおかしな校則に縛られ、窮屈だった高校生活だったけれど、楽しく学校へ通えたのは「好き」を気兼ねなく話せる友だちがいたからだ。 中学と高校に違いはない。なのに中学生のときのわたしは、自分で勝手に身構えて、隠していた。自分の「好き」を大切にしていなかった。 あのときのわたしのように、他人の反応を考えすぎて好きなことを好きでいられない、そんな思いをしている子は、たくさんいるんだろう。その窮屈な気持ちを物語で楽にできたら、そんな小説が書けたらいいな。そう考えていた。 - 版元から一言 - 「灯光舎 本のともしび」が一区切りして、今度は「本と人生」という新しいシリーズを始めたいなと漠然と考えていた時、山本英子さんとのご縁があった。 ある日、京都の某所で自分の古本を見せびらかしていたときに「あ、山本兼一の小説がある」と言って『花鳥の夢』の文庫を手にした人がいた。僕はすぐさま「山本兼一の小説が好きなんです」と声をかけた。 べらべらと山本兼一の小説を自分勝手に語ってその方との話が広がっていくうち、その人も山本兼一の小説をよく知っていて、たまたま苗字も同じで、その方も児童書を書く作家さんで、とだんだん箱の蓋が開かれるようにその方の素性がわかってきて、最後に「じつは、山本兼一の妻です」という言葉を聞いた時には、僕の方の血の気が引いた。僕はたじたじの態で名刺を交換させてもらって、さようならと言って家に帰った。 それから数か月が経ったころ、ずっと念頭にある「本と人生」の企画を動かしたくなってきて、第1弾をだれに頼むかと考えていた時に、山本さんのことを思い出した。 パソコンを広げて手紙でも認めようかと思ったが、企画のタイトルからしてなんだかあやふやな、雲をつかむような内容でうまく説明ができない。これは会って話を聞いてもらうにかぎると思って「つくもようこ」と書かれた名刺にあるアドレスへ連絡を入れた。 山本さんから、物を書くときによく居座っている喫茶店があるからそこへいらしてください、と連絡をもらって会うことになった。 「まあ、どういったことを書いたらいいのかよくわかないけれど、ちょっと試してみましょう」と言ってもらい、何度か目次構成のやりとりをして、山本さんの尽力のもと数か月後にはたたき台となる原稿が届いた。 その間、生前に山本兼一さんが仕事場としていたお部屋を拝見したり、『利休にたずねよ』関連の資料なども見せてもらったりして、夢見心地の気分が抜けきらず、肝心な本づくりを時々忘れてしまうことがあった。 それが、ちょうど2年前の話。山本さんとご縁があってから、僕の方が遅くなってしまって、今年の春にようやっと本の形に収まって皆さまへお届けできる塩梅となった。 昨年、山本さんから最終の原稿を受け取ったときに「2024年は、ちょうど10年、山本兼一没後10年」と言われた。お互いに意識したわけではないが、この偶然にはやっぱり感慨深い気持ちになる。 - 著者プロフィール - 山本英子 (ヤマモトヒデコ) (著/文) 1963年千葉県柏市生まれ。 編集プロダクション勤務を経てフリーランスライターとなる。1992年より京都市在住。 2006年、講談社青い鳥文庫から「つくもようこ」の名前で『魔女館へようこそ』を刊行して児童書作家デビュー。 他の著書に『パティシエ☆すばる パティシエになりたい!』『ねこやなぎ食堂』『イケバナ男子』など。
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エドワード・サイード ある批評家の残響 | 中井 亜佐子
¥1,870
書肆侃侃房 2024年 ソフトカバー 208ページ 四六判 - 内容紹介 - エドワード・サイード没後20年 文学、音楽、パレスチナ問題など分野横断的に論じた批評家、エドワード・サイード。ポストコロニアル批評の先駆者として『オリエンタリズム』などの著作を残した。イスラエルによるガザへの軍事攻撃が激化。いまサイードの著作が読みなおされている。彼にとって、批評とはどのような営為だったのか? 没後20年をむかえた今、その思考の軌跡をたどりつつ、現代社会における批評の意義を問う。 【エドワード・サイードとは?】 1935年、エルサレム生まれ。幼少期をカイロで過ごす。ハーヴァード大学で博士号を取得。その後、コロンビア大学で比較文学を教えつつ、パレスチナ解放運動にかかわる。主著『オリエンタリズム』は、人文学の学問領域の再編をうながす画期的な著作。2003年、ニューヨークで逝去、2023年に没後20年を迎えた。 - 著者プロフィール - 中井亜佐子 (ナカイ アサコ) (著/文) 1966年生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科教授。専門は英文学。オクスフォード大学博士課程修了(D.Phil.)。著書に、『日常の読書学――ジョゼフ・コンラッド『闇の奥』を読む』(小鳥遊書房、2023年)、『〈わたしたち〉の到来――英語圏モダニズムにおける歴史叙述とマニフェスト』(月曜社、2020年)、『他者の自伝――ポストコロニアル文学を読む』(研究社、2007年)など。翻訳に、ウェンディ・ブラウン『いかにして民主主義は失われていくのか――新自由主義の見えざる攻撃』(みすず書房、2017)など。
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吉村昭と津村節子 波瀾万丈おしどり夫婦 | 谷口 桂子
¥1,815
新潮社 2023年 ハードカバー 208ページ 縦191mm 横132mm 厚さ16mm - 内容紹介 - 数々の名作を世に送り出した小説家夫婦――その人生は、愛とドラマに満ちていた。「結婚したら小説が書けなくなる」。プロポーズをいなす津村を吉村は何度もかき口説いた。「書けなくなるかどうか、試しにしてみてはどうか」。そして始まった二人の人生は、予想外の行路を辿っていく。生活のための行商旅。茶碗が飛ぶ食卓。それでも妥協せず日々を積み重ねる二人に、やがて脚光が……。互いを信じ抜いた夫婦の物語。
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ハンナ・アーレント、三つの逃亡|ケン・クリムスティーン, 百木漠(翻訳)
¥3,960
みすず書房 2023年 ハードカバー 248ページ 菊変型判 - 内容紹介 - ユダヤ人として戦争の世紀に生まれ落ち、 現実に向かって“なぜ?”と問いつづける少女ハンナ。 『全体主義の起原』『活動的生』を著した 不世出の政治哲学者の生涯を 繊細に、大胆に、描ききる名作グラフィックノベル。 〈これから語られるのは、 ハンナ・アーレントという人物の 生涯についての物語である。 別の時代の、失われた世界の、 失われた国に生まれ落ちた亡命哲学者。 その名前を聞いたことがある人も いるかもしれない。 最後に残る(そして最初からある)疑問。 なぜこの人物は、 おそらく20世紀の最も偉大な哲学者は、 哲学を捨てたのだろうか? それにもかかわらず、なぜ彼女の思考は、 人類が前に進むための生きた道筋を 示してくれるのだろうか?〉 目次 若きハンナの悲しみ――東プロイセン 割れ目を踏む スピロヘータ 癒しの錬金術 マールブルクの魔術師 恍惚とした真理 1925 「誓います」 1929 ハンナ、第一の逃亡――ベルリン ロマーニッシェス:1933 黒いハバナの葉巻 いかさま裁判開廷中 1933年2月27日 われわれがこの世界の邪魔をする 私に罪を着せないで(その朝帰りのあとで) 無垢の終わり ごく形式的なものです(正午) お断りします(二日後) 無国籍 ハンナ、第二の逃亡――パリ パリで三方面から真理へ迫る 1933 ハンナのパリ、三枚続きの絵――一枚目:愛する人 1936 ハンナのパリ、三枚続きの絵――二枚目:思考する人 ハンナのパリ、三枚続きの絵――三枚目:行動する人 ゲームは進行中 1939年9月1日 1940年5月5日 冬季自転車競技場、フランステクノロジーの勝利! ギュルスへ 1940年5月23日 1940年6月14日 大混乱の崇高さ 徒歩で 地中海で運が尽きたアテネ 隠れ家を去る 1940年 鍵作戦 午前4時 ポルトボウにて 今がそのときだ 楽園から嵐が吹いてくる ハンナ、第三の逃亡――ニューヨーク 新世界 1941 眉をひそめる 新たなユダヤ的任務完了 この種の真実の語りは 深淵 1943 アーレント主義の起源 ハイデガーの山小屋 マルタの最期と無数の「なぜ」 1951 ヴァルターの染み 1955 メアリー、メアリー:1958 時代の現存在 1958(15分後) リバーサイドのカディッシュ 手すりなき思考――エルサレムとその後 宇宙時代の思想家 市民第1号? 悪魔とタンゴを踊る:ブエノス・アイレス 1961 複数性にむかってうつむきながら歩く:1968 そして、始まりにおいて エピローグ 読書案内 謝辞 訳者あとがき - 著者プロフィール - ケン・クリムスティーン (ケンクリムスティーン) (著/文) (Ken Krimstein) 漫画家。『ニューヨーカー』『ウォール・ストリート・ジャーナル』『ニューヨーク・タイムズ』『シカゴ・トリビューン』などで漫画を発表。デポール大学やシカゴ美術館附属美術大学で講師を務める。これまで、Kvetch as Kvetch can: Jewish Cartoon(Potter Style, 2010)、『ハンナ・アーレント、三つの逃亡 The Three Escapes of Hannah Arendt』(本書。全米ユダヤ図書賞ファイナリスト、Bloomsbury Publishing, 2018)、When I Grow Up: The Lost Autobiographies of Six Yiddish Teenagers(ワシントン・ポストのグラフィッ クノベル部門年間ベスト10ブック、Bloomsbury Publishing, 2021)の三作を出版、いずれもユダヤ人というテーマにとりくみ、高い評価を受けている。イリノイ州エヴァンストン在住。 *ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。 百木漠 (モモキバク) (翻訳) (ももき・ばく) 1982年奈良県に生まれる。専門は政治思想史・社会思想史。現在、関西大学法学部准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。単著に、『アーレントのマルクス――労働と全体主義』(人文書院、2018年)、『嘘と政治――ポスト真実とアーレントの思想』(青土社、2021年)、共著に『現代社会理論の変貌――せめぎあう公共圏』(日暮雅夫・尾場瀬一郎・市井吉興編、ミネルヴァ書房、2016年)、『生きる場からの哲学入門』(大阪哲学学校編、新泉社、2019年)、『漂泊のアーレント、戦場のヨナス――ふたりの二〇世紀 ふたつの旅路』(慶應義塾大学出版会、2020年)、『アーレント読本』(日本アーレント研究会編、法政大学出版局、2020年)などがある。 *ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
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対談 日本の文学 作家の肖像|中央公論新社(編集)
¥1,320
中央公論新社 2023年 中公文庫 ソフトカバー 416ページ 文庫判 - 内容紹介 - 傍観者のような、冷淡な人のように見られるんですが、実生活から見ると、几帳面で、まじめで、あったかい人でした(小堀杏奴)。鴎外・露伴の娘、芥川の息子、谷崎・太宰の妻、漱石の息子と弟子……文豪の家族や弟子が間近に見たその生身の姿を語る。 全集『日本の文学』の月報対談を再編集。 〈巻末付録〉全集『日本の文学』資料 (目次より) 幸田露伴の思い出(幸田文/瀬沼茂樹) 父・森林太郎(森茉莉/三島由紀夫) 文豪鴎外の肖像(小堀杏奴/大岡昇平) 田山花袋とその周辺(田山瑞穂/平野謙) 徳田秋声の人と作品(川端康成/徳田一穂) 文学と実生活(広津和郎/江藤淳) 夏目漱石を語る(夏目伸六/中野好夫) 漱石山房のこと(安倍能成/津田青楓) 漱石先生よもやま話(内田百閒/高橋義孝) 「細雪」のころ(谷崎松子/サイデンステッカー) 有島武郎と長与善郎(里見弴/本多秋五) 里見弴をめぐって(里見弴/伊藤整) 芥川龍之介を語る(芥川比呂志/大岡昇平) 室生犀星の思い出(室生朝子/萩原葉子) 堀辰雄について(堀多恵子/遠藤周作) 女流文学と作家生活(野上弥生子/網野菊) 宮本百合子を語る(湯浅芳子/本多秋五) 太宰治のこと(津島美知子/キーン) * 明治文学を語る(稲垣達郎/瀬沼茂樹) 大正時代と文学(小島信夫/江藤淳) 文学と演劇(山本有三/阿部知二) 伝統と変質(永井龍男/阿部知二) 昭和初期の文壇状勢(井上友一郎/田宮虎彦/河盛好蔵) 反戦文学の屈折(小田切秀雄/立野信之) 戦後文学を語る(大岡昇平/秋山駿)
