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マル農のひと|金井 真紀, 道法正徳(監修)
¥1,870
左右社 2020年 ソフトカバー 248ページ 四六判 - 内容紹介 - 爆笑必至。パワーワード満載で描く、超パンクな「農のひとびと」ノンフィクション!! 瀬戶内海に浮かぶ島の農協で仕事をしながら道法正徳さんがたどり着いた魔法のような農法ができるまで。ギュッと縛って砂利を撒く驚きの農法はどうやって確立されたのか。 2部では農法実践者のはなしを聞く。隠れキリシタン、水俣、原発…変なおっちゃんに連なるやっぱり変な農のひとたちのはなしから、色とりどりの人生が見えてくる。 目次 はじめに 登場人物 第1部 農の伝道師、道法正徳さんのはなし シンプルでまったく新しい農法ができるまで 農法を伝えるために、東へ西へ え? 縛るだけでいいの? チャラ男、技術指導員になる すべては、ひとつの疑問から始まった ひとを見ないで、ミカンを見る 大切なのは石ころじゃった ちょっといっぷく1 改めてミカンについて考える かっこいい先輩、現る 禁断の縛り」との出会い その栽培方法はデマですよ あっと驚く植物ホルモン! いままでのせん定はまちがっていました ガリレオになった日 そしてついに、本格的な左遷…… 手抜きして、いいミカンをつくる くだものも野菜も仕組みは同じ 道法スタイルの伝道師となる 第2部 それぞれの農の挑戦 道法スタイルの実践者たち ゲルに住み、リンゴを育てる 林貴士さん 父親に隠れて道法スタイルを実践する ヘイさん ちょっといっぷく2 肥料はいいやつか、悪いやつか 自然栽培を研究する科学者 矢野美紀さん 酪農から転身し、無肥料リンゴを模索する 松村暁生さん 震災後の福島で、電力およびワインをつくる 山田純さん ちょっといっぷく3 自然農法とか有機農業とか 兵庫・丹波に住まう農の達人 橋本慎司さん 走り続ける公務員と水俣病のはなし 福田大作さん おわりに DOHO STYLE 応援隊 - 著者プロフィール - 金井 真紀 (カナイ マキ) (著/文) 1974年生まれ。テレビ番組の構成作家、酒場のママ見習いなどを経て、2015年より文筆家、イラストレーター。著書に『世界はフムフムで満ちている』『酒場學校の日々』(いずれも皓星社)、『はたらく動物と』(ころから)、『パリのすてきなおじさん』(柏書房)、『サッカーことばランド』(ころから)、『虫ぎらいはなおるかな? 』(理論社)など。農業経験は、田植えの手伝いをわずかに5回ほど。 道法正徳 (ドウホウ マサノリ) (監修) 1953年広島県呉市豊浜町豊島生まれ。肥料・農薬を施さない安全でおいしい果樹・野菜づくりの提案、地球環境に重要な地下水を守る農業技術の普及に努めている。国内外で指導、講演を行う。株式会社グリーングラス代表。著書に川田健次名義で『高糖度連産のミカンづくり』(農山漁村文化協会)、監修した本に『道法スタイル 野菜の垂直仕立て栽培』(学研プラス)など。
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大きな 大きな 大きな 足あと: もし全人類がひとりの超巨人だったら|ロブとトム・シアーズ, きたむら さとし (翻訳)
¥2,420
創元社 2022年 ハードカバー 96ページ 18.1 x 1 x 25 cm - 内容紹介 - 全人類が1人の巨人に! 地球の未来は?! 人類すべてを合体させて、 ひとりの超巨人を作ってみる。 超巨人になった〈わたしたち〉は、 地球の未来のために何ができるかな? 地球に存在する 数字だけだったら想像するのも難しい 大きなものや多いものを、 わかりやすいサイズに合体させて、 いろんなものと比べてみると、 びっくりするようなことがあらわれた! 〈合体人間〉 地球生物への最大の脅威、 そしてまた最大の希望。 ・目はサッカーコート大に! ・64mの〈合体ホホジロザメ〉もひとつかみ! ・地球一周3時間で走れる! そんな超巨人が巻き起こすものは…… ********* ◆斎藤幸平先生 推薦! (東京大学准教授、 大ベストセラー『人新世の「資本論」』著者) すごい科学実験から見えてくる現実と、 この地球で、みんなが仲良く生きていくためのヒント。 そしたら次に資本主義の良くない点も見えてくるはず (本当に負荷をかけているのは誰だろう?) ********* わたしたち人類は80億人もいる。 みんな息をして、食べ、そわそわして、 むずかしいことを考えたりしている。 とにかく、ものすごい数だ…… ……そうかな? 人類すべてを合体させて、 ひとりの超巨人を作ってみる。 すごく賢い生き物 とは言えないかもしれないけれど、 〈合体人間〉は少しずつ気づき始める。 自分たちがこの地球という惑星の未来に、 どんな問題を引き起こしてしまったかを。 あらゆる数値や統計とまた 「合体理論」を利用した この〈自然科学絵本〉は あなたを含めたすべての人類のための、 自己発見の旅になるでしょう。 【もくじ】 世界には80億ちかい数の人間がいる。 ここで、ちょっと考えてみよう。 世界中の人間をすべて1か所に集めたとしたら 人間を全部まとめた、たったひとりの巨人を思い浮かべてみる 合体マシン 地球上の人間みんなが集まって、ひとつの体に 〈合体人間〉 目はサッカーコートとおなじくらいの大きさ 長い足で走れば地球一周3時間きっかりで走れる 〈わたしたち〉って、そうとう頭がいい? 野生のトラをすべて誘い出して合体させてみる 〈わたしたち〉つまり〈合体人間〉だけが巨大なわけじゃない 〈合体アフリカゾウ〉が年々どれだけ縮んでいるか見てごらん 海はずいぶんさびしいところになってしまった 〈合体イヌ〉 〈合体食べ物〉 人類は、ものをムダにしてしまうところがある 〈合体希少鉱物〉 地球全体が呼吸困難におちいりはじめている 地球はもう穴だらけ 〈わたしたち〉は木を切り倒すのも大好きだ 海に捨てているプラスチックのことを考えてみる 〈わたしたち〉もひどい状況の中にいる 過去に生きていた990億人分の人間のオバケ 地球上のすべての生物を合体させてみる でかいゴミのかたまり 巨大な脳全部を使って新しいゴールに向かったなら 大きな挑戦
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いきている山 | ナン・シェパード, 芦部美和子(翻訳) 佐藤泰人(翻訳),
¥3,520
SOLD OUT
みすず書房 2022年 ハードカバー 244ページ 四六判 - 内容紹介 - 〈プラトー(高原)の夏は、美味なる蜂蜜にもなれば、唸りを上げる鞭ともなる。この場所を愛する人々にとっては、そのどちらもが良い。なぜなら、どちらもプラトーの本質をなすものだから。山の本質を知ること。それこそが、ここで私が試みようとしていることにほかならない。すなわち、生命の営みという知をもって理解しようとすること。〉 (「一、プラトー」) スコットランド北東部のケアンゴーム山群。深成岩塊が突き上げられ、氷と水の力により削られてできた約4000フィート(1219m)の山々。プラトーが広がり、湖や池が点在し、泉が湧く。この地にほど近いアバディーンに生を享けた作家ナン・シェパード(1893-1981)は、生涯、この山に通い、この山を愛した。 ナンの登山は、高さや速さを競うものではない。山の「内側」や「奥地」を求めて山に入る。山に会いに行き、山と共に過ごす。ナンは犬のように山々を歩き回る。五感を解放し、いきている山の営み――光、影、水、風、土、岩、木、草花、虫、鳥、獣、雨、雪、人――に出会い直す。 引き出しにしまわれていたこの作品は、時を経て、運命的に、山を愛する人々により見出された。そして今日、詩性溢れる文章で自然と肉体の交感を語るこの書は、あらゆる表現活動に関わる人々に影響を与えている。ネイチャーライティングの名作。 どれだけ『いきている山』を読んでも、それは私にとって驚きであり続けている。この本に慣れる、などということはないのだ。 ――ロバート・マクファーレン「我歩く、ゆえに我あり――2011年版序文」より シェパードは山の中で「fey[フェイ]」に気づいた、 取り憑かれた、と。 ――志賀理江子(写真家) 目次 序 一、プラトー 二、奥地 三、山群 四、水 五、氷と雪 六、空気と光 七、いのち――植物 八、いのち――鳥、獣、虫 九、いのち――人間 十、眠り 十一、感覚 十二、存在 我歩く、ゆえに我あり――2011年版序文 ロバート・マクファーレン 訳者解説(佐藤泰人) 訳者あとがき(芦部美和子) 謝辞 - 著者プロフィール - ナン・シェパード (ナンシェパード) (著/文) (Nan Shepherd) 1893-1981。スコットランド北東部の村、ピーターカルターの中流階級の家に生まれる。1915年にアバディーン大学を卒業後、アバディーン地区養成センター(教員養成学校。現アバディーン大学教育学科)の講師となり、1956年に63歳で退職するまで同校で英文学を教え続けた。退職後は雑誌『アバディーン大学評論』の編集に精力的に取り組んだ(1957-1963)。1928年The Quarry Wood、1930年The Weatherhouse、1933年A Pass in the Grampiansと立て続けに小説作品を出版。1934年には詩集In the Cairngormsを発表。1964年アバディーン大学より名誉博士号を授与される。1944-45 年ごろに執筆された『いきている山(The Living Mountain)』がようやく出版されたのは1977年のことだった。1981年、アバディーンの病院で死去。享年88。 芦部美和子 (アシベミワコ) (翻訳) (あしべ・みわこ/Miwako Ashibe) 現在、一橋大学大学院 言語社会研究科博士後期課程、東京都立大学非常勤講師。専門は英文学、現在の主な研究対象は山岳文学および女性作家による登山文学。主な論考に、‘Post-War Recovery and Women Mountaineers: Nameless Women in C . E. Montague’s “Action”’(2019 年)、「オルタナティブな登山観──エリザベス・コックスヘッド『ワン・グリーン・ボトル』における登山表象」(2020年)など。 佐藤泰人 (サトウヤスヒト) (翻訳) (さとう・やすひと/Yasuhito Sato) 東洋大学文学部英米文学科准教授。Queen’s University of Belfast英文科博士課程修了(PhD)。専門および研究対象は英文学、とくに20 世紀アイルランドおよびイギリス詩、山岳文学。共著書に、『アイルランドの経験――植民・ナショナリズム・国際統合』(法政大学出版局、2009年)など。共訳書に、『マルドゥーン詩選集 1968-1983』(共訳、国文社、1996年)。論文に、‘Poetry and Mountaineering in Leslie Stephen’s The Playground of Europe’(2020年)など。
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妖怪は海にいる!? アラマタ式 海の博物教室 | 荒俣 宏(著/文), 米村知倫(イラスト)
¥1,650
偕成社 2022年A5判 縦21mm 横15mm ソフトカバー 231ページ A5判 縦21mm 横15mm - 内容紹介 - 夜の海をおよぐ、ナイトダイビング。そこで出会ったのは、摩訶不思議な生きものたちがただよいたゆたう、この世のものとは思えない「霊界」のような光景だった。 海の生きものに魅了されたことからはじまり、半世紀以上にわたって知の冒険をつづけるアラマタ博士による、地球の歴史と宇宙と深海の世界が交差する博物教室。 「みんなの研究」は、みんなの「知りたい」を応援する、あたらしいノンフィクションのシリーズです。 目次 まえがき 冒険は目のまえの自然にはじまる ぼくの異生物観察ことはじめ ウニとクラゲと人間と ・博物教室まとめノート① 地球の歴史と生命の「生きのこり」たち ・博物教室まとめノート② 暗黒の海で妖怪をさがす ぼくの出会った妖怪たち あとがき ブックガイド - 著者プロフィール - 荒俣 宏 (アラマタヒロシ) (著/文) 1947年東京都生まれ。博物学者、作家、翻訳家、幻想文学・神秘学研究家、タレント、稀覯本コレクター。武蔵野美術大学客員教授、京都国際マンガミュージアム館長、世界遺産熊野本宮館名誉館長。代表作に350万部を超える大ベストセラー『帝都物語』(日本SF大賞受賞)、 古今の博物学の集大成といえる大著『世界大博物図鑑』(サントリー学芸賞受賞)など。
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雑草と楽しむ庭づくりーオーガニック・ガーデン・ハンドブック|ひきちガーデンサービス, 曳地トシ, 曳地義治
¥2,420
築地書館 2011年 ソフトカバー 192ページ A5判 - 内容紹介 - 雑草との上手なつきあい方教えます! 無農薬・無化学肥料で庭をつくってきた個人庭専門の植木屋さんが教える、 雑草を生やさない方法、庭での生かし方、草取りの方法、便利な道具……。 オーガニック・ガーデナーのための雑草マメ知識も満載。 雑草を知れば知るほど庭が楽しくなる。 庭でよく見る雑草86種を豊富なカラー写真で紹介 ◎この雑草はこのまま生やしておいても大丈夫? ◎根こそぎ抜かないといけない? ◎草取りに適した時期は? ◎花壇や畑で、土の中の栄養を横取りしているのでは? ◎庭で雑草をうまく生かす方法は?
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オオカミと森の教科書 | 朝倉 裕, ささき みえこ(イラスト)
¥1,760
雷鳥社 2014年 ソフトカバー 319ページ B6判 縦190mm - 内容紹介 - オオカミを飼うことはできますか?オオカミはどうして遠吠えをするの?オオカミが人間を育てるってほんとですか?オオカミの基礎知識と楽しいQ&A。耳の先からしっぽまでまるわかり。オオカミは素敵だ。 目次 第1章 オオカミはどうして悪者なの? 第2章 オオカミって、本当はこんな生き物です 第3章 世界のオオカミ絶滅から復活へ 第4章 オオカミのいない森 第5章 オオカミは生態系の守り神 第6章 オオカミよ、日本の森に還れ!
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南米野外料理 アサード|ユルゲン・ケルネッガー, 田中 ケン, アディ・ビッターマン, フランツ・グレーシング, レオ・グラードゥル
¥3,190
グラフィック社 2020年 ハードカバー 224ページ B5変型判 縦240mm 横190mm - 内容紹介 - 鉄網で焼いて、塩だけで味付けをした肉を家族や仲間と囲んで食べる。南米の伝統的な野外料理、アサード。その料理法と精神をベースにアウトドア料理としてブラッシュアップした4人の料理人たちが送る「アサード」の指南書! 目次 序文/グリル/著者紹介/肉の部位(欧米式vs南米式の部位の定義)/基本のエレメント(熾火・肉・塩・時間)/メソッド(グリルのメソッドと道具の準備)/レシピ(鶏・豚・牛・ジビエと羊・魚介類・野菜と副菜・果物とデザート・基本レシピ)/おわりに(チームと謝辞・おくづけ) - 著者プロフィール - ユルゲン・ケルネッガー (ユルゲン ケルネッガー) (著/文) 「アサドール・デ・カサ・アサード」が認定するアサード職人。 仕事の傍ら、共著者の一人、レオ・グラードゥルとグリルコースを定期的に主宰。グリルの実践と知識の伝播に勤しむ。 他2人(アディ・ビッターマン、フランツ・グレーシング)も含め、いずれの著者もグリル料理の世界チャンピオンなど、野外料理のエキスパートである。 田中 ケン (タナカ ケン) (監修) アウトドアを取り入れることで、生活はもっと快適になるを信念に『快適生活研究家』として各メディアで活動。 アウトドアイベントも数多く手がける傍ら環境問題にも力を注ぐ。 著書に『田中ケンのOUTSIDECOOKING』(実業之日本社)、『アウトドア達人パパの快適家族術』(モダン出版)、DVD『A・Good Time Outdoor』シリーズ(中録サービス)の監修などがある。
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自然の哲学 (じねんのてつがく) おカネに支配された心を解放する里山の物語 | 高野 雅夫
¥2,200
ヘウレーカ 2021年 ソフトカバー 272ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ15mm - 内容紹介 - 自然〈しぜん〉と人間を区別することなく、 両者が一体となった自然〈じねん〉の世界。 里山とはそのような場所であり、変わりつつある今も、 さまざまなことを教えてくれる。 里山に移住してきた若い人たちとの対話を手がかりに、 自らも里山に移住した環境学者が思索を深めてたどりついた、 サステナブルな生き方とは――。 田舎暮らしにあこがれているけれど、迷っている人、必読。 もちろん、移住を決めた人、すでに移住した人にもおすすめ。 そして、移住者を受け入れる側の人たちにもぜひ読んでほしい。 この危機の時代に、田舎に暮らすことの意味が掘り下げられ、 同時に問題点も明らかにされますが、それでも希望が見えてきます。 人とつながって、自然とつながって、生態系の一員として暮らしていくこと。 それがいまある生態系を維持し、その恵みを将来世代へとつないでいく。 田畑を借りて自家用コメや野菜をつくり、山で木を伐って燃料を調達する。 そんな日常が、おカネに支配された心を解放してくれる。 持続可能な自分も、未来も、里山から始まります。 目次 はじめに 第1章 里山世界と村の成り立ち――自然の一部としての人間の暮らし 里山とは何か――さまざまな生き物が息づく場所 村のルーツをたどる 楽しいから集まって仕事をする―― 結と普請 信仰のグループからおカネの相互扶助へ 「村はよそ者に冷たい」はほんとうか 生きた化石 第2章 せめぎあう村と国家――自治vs.統制のゆくえ 明治維新で中央の村への介入が始まった 心の統制の始まり、廃仏毀釈 格差を広げた地租改正 田舎が最も輝いた時代 禁断の果実 共有される物語を求めて 第3章 森と農の物語 ―― 自然から浮き上がっていく人間の姿 宇宙から見える日本の人工林 山で働くことの意味 そして雑木林は失われた 森づくりビジョン 慣行農法の功罪 第2種兼業農家という生き方 有機農業・自然農・自然栽培 第4章 水俣と福島から「生国」を学ぶ――生命に対する責任とは 滅びゆく里海 水俣病 「チッソは私であった」 おカネでは解決できない 放射能あふれる里山で 生 死 原生林 死という使命 第5章 「おカネ」の物語から自由になる―― 巨大な力に翻弄されないために 我が心の中の「日本国」 現代人が共有する物語としてのおカネ 主人公は資本 疎外のない企業活動は可能か モード オフグリッドで生きる人たち おカネ道 第6章 解けなくなった人生方程式 ―― 「人並みな暮らし」は幸せなのか だれもが夢見た一生安泰物語 成長時代の夢のまま変わらない教育 変化の兆しとかすかな希望 第7章 第2次移住ブームがやってきた―― 自分らしい生き方を求めて なぜ田舎から出ていくのか なぜ田舎にやってくるのか どんな仕事をして食べていくか 里山の子育て 第8章 「弱さ」の物語 ―― 価値の大逆転 「to do 」から「to be」へ 「弱さ」がもつ求心力 弱さの情報公開 第9章 自然の哲学――物語を書き換える 科学の物語 ―― もう一つの信仰 「いのち」の物語―― 生態系×進化の織物 せめぎあい――メガソーラーによる環境破壊に思うこと じねんに生き、じねんに死ぬ 木の声を聞く―― 「いのち」の物語へのレッスン ご縁 いまを生きる おわりに 前書きなど はじめに(一部抜粋) 本書のタイトルにある自然という言葉をはじめて聞いたのは、哲学者の内山節氏の講演だった。内山氏は豊田市山村部の地域づくりの仲間たちの招きでたびたび現場を訪れていた。氏によれば自然というのは、明治になってからnatureの訳語として当てられたもので、もともとはじねんと読み、自ずから然るべきようになる世界を表す言葉であった。そこでは自然と人間を区別することなく、両者が一体となった世界を表していたという。里山とはまさにそのような世界だ。 さらに私がこの言葉の意味を深く考えるようになったのは、自然農の実践家である川口由一氏を豊田市に招き、講義とともに、田んぼでの作業を指導していただいたときだった。川口氏によれば、田畑の中にいる多くの生き物の一員として、作物は自ずから然るべきように育つので、人間はそれに最小限の手助けをすればよいということだった。そこから私は学生と一緒に小さな田んぼを借りて自然農のやり方で米作りに挑戦した。3年やって見事に一粒も収穫できず、この挑戦は失敗に終わったのだが、私はこの経験から多くのことを学んだ。足元にたくさんの水生昆虫が動き回り、頭上をトンボが群れ飛ぶ田んぼに入って手足を動かしながら、考察を進めることができた。 私たちは毎日忙しく働き活動している。私には、皆が一生懸命頑張った分だけ、世界が悪い方向に向かっているような、なんとももどかしい思いがある。それは、本来は自ずから然るべきようになろうとしているものを、無理に人為的にねじ曲げようとしているからではないか。そういう目で社会のできごとを見るようになると、農業だけでなく、いたるところで同様な構図の事例があることに気づいた。なぜそうなってしまうのか、自ずから然るべきようになるにはどうなればよいのか。私たち一人ひとりが自ずから然るべきように生きられるようになるにはどうなればよいのか。これが本書に通底するテーマである。 本書ではまず、現在の田舎と里山の姿を正確に理解するために、そこに埋め込まれている「生きた化石」ともいえる歴史の断片を解きほぐしてみたい。2章では、明治以降にそれがどのように変質したか(変質させられたか)を示したい。戦後の高度経済成長期に田舎の姿は大きく変わり、都市も含めて社会全体が大きく変わった。その現実から読み取ることのできる社会の根底にある哲学を発掘しながら、その問題点を明らかにできたらと思う。 3章では、田舎の主な産業であった農業と林業の歴史と現状を概観し、4章では、人間を含めた生き物・自然環境が多大な被害を受けた水俣と福島から、私たちが生きる世界とは何かを考え、里山という場所の価値を再考する。 5章では本書の副題にある「おカネ」をはじめとした「疎外」の問題と近代社会の構造をわかりやすく解説する。若い人たちと話していると、彼らが抱える将来への漠然とした不安感の底におカネの問題があることがわかる。長時間労働でストレスの高い仕事をしながらも、将来に向けて収入が上がっていく実感がない。おカネを中心において、自分の人生を決めることに葛藤しながらも、そうせざるを得ないと言い聞かせている。おカネに心が支配されてしまっている状態だ。そこからどうすれば自由になれるかを考えていく。それは、今後の持続可能な社会を築いていくためにも重要なテーマである。 6章では終身雇用・年功序列という社会制度がどのように生まれ、その原因とも結果ともなった戦後の教育のあり方の問題点を指摘したい。7章では現在の移住ブームがどのようなもので、その意味するところは何か考察する。8章では近代社会の中でないがしろにされてきた「弱さ」の価値を考察する。 最後の9章では田舎にやってきた若い人たちとの対話の中から見えてきた、今後の田舎と都市を含めた社会全体のベースとなるべき自然の哲学を議論したいと思う。 版元から一言 著者は2001年に設立された名古屋大学に環境学研究科に移籍してから、再生可能エネルギーの普及に関する研究と農山村の地域再生に関する研究・実践を行ってきました。最初は豊田市の山村部でフィールドワークを行い、その後岐阜県にフィールドを広げ、恵那市飯地町の標高600mの高原の村に移住し、地域再生の現場で一住民としてもかかわってきました。 その過程で、著者は田舎に移住してくる若い人たちとたくさん対話してきました。かれらとの交流から見えてきたのは、都市での生きづらさであり、それから逃れるように田舎を目指してきた人たちは、「ここには求めるものがすべてある」と感じているという事実です。これまでは「何もない」と思われていた田舎にすべてがあるというのです。 それが何を意味するのか――。私たちがこれまで自明としていた豊かな社会を支えてきた価値観が、彼らの中では根本的に転換しているのではないかと著者は感じました。そして、この価値観の転換は、私たちの社会が持続可能なものになるために社会全体で共有すべきものではないかと考え、それを「自然(じねん)の哲学」として記述し、まとめたのがこの本です。 - 著者プロフィール - 高野 雅夫 (タカノ マサオ) (著/文) 1962年山口県生まれ。名古屋大学大学院環境学研究科教授・博士(理学)。 木質バイオマスエネルギーやマイクロ水力発電などの再生可能エネルギーの技術開発とそれらの普及を通した里山再生について農山村をフィールドとして研究を行う。再生可能エネルギーを普及させるには豊富な自然資源が存在する農山村が持続しなくてはいけないものの、人口減少と高齢化によって集落消滅が進む事態に直面していることを知る。そこで、愛知県豊田市の山村部を主なフィールドに、若者の移住支援を中心にした農山村地域再生の研究および実践に取り組む。 また、2014年4月に立ち上がった、大学と社会との連携を進める名古屋大学・臨床環境学コンサルティングファームの部門長として、自治体や企業、NPO に対して持続可能な地域づくりのためのコンサルティング活動を進めている。2013年には国連の専門家会議で日本の里山がもつ持続可能な社会づくりにとっての意義について報告した。 主な著書に『人は100W で生きられる』(大和書房、 2011年)、編著に『持続可能な生き方をデザインしよう』(明石書店、2017年)、共著に『 千年持続社会――共生・循環型文明社会の創造』( 資源協会編、日本地域社会研究所、2003年)、『 市民参加型社 会とは――愛知万博計画過程と公共圏の再創造』(町村敬志、吉見俊哉編、有斐閣、2005年)などがある。
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海の辞典 | 中村 卓哉
¥1,650
雷鳥社 2012年 ハードカバー 288ページ 15.2 x 10.2 x 2.6 cm - 内容紹介 - 海にまつわる素敵な言葉を四季折々の美しい海の写真とともに綴る。 目次 1 海の色・音・風 2 波・潮の名前 3 海と海まわりの呼び名 4 海の季節・時間・場所 5 海のたとえ (心・人生 行動・状況・他) 6 海にまつわる大切なことば
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空の辞典 | 小河俊哉
¥1,650
SOLD OUT
雷鳥社 2014年 ハードカバー 319ページ 15.2 x 10.2 - 内容紹介 - 写真に癒され、お天気の勉強にもなる、手の平サイズの魅せる辞典! 四季や天候をあらわす空の言葉を、 雲・風・雨・雪・霧・光・色 の7つのテーマにわけて紹介。言葉にはそれを表す写真が添えられ、目で確認しながら、より具体的に意味を理解することができます。また、空はときどき、わたしたちの心を癒してくれるときがあります。そんなメッセージもところどころにさりげなく登場し、辞典でありながらも、心の栄養となるエッセンスも含んだ本です。老若男女問わず、プレゼントにも最適!
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菜の辞典 | 長井史枝, 川副美紀 (イラスト)
¥1,650
SOLD OUT
雷鳥社 2019年 ハードカバー 320ページ 15.2 x 10.2 x 2.6 cm - 内容紹介 - 1年中目にするものから、ちょっと珍しいものまで、約180種の野菜を、美しいイラストとともに紹介。旬の時期・選び方・保存方法・食べ方・栄養素・効能効果なども端的に掲載。辞典シリーズらしいオシャレさ、可愛らしさはそのままに、実用としての使いやすさも兼ね備えた1冊です。 目次 はじめに この本の使い方 各栄養素のはたらきと食事摂取基準 からだを癒す野菜 ベジブロス インデックス - プロフィール - 長井史枝 (ナガイフミエ) (著/文) ライター。野菜ソムリエ。リトルプレス『BonAppétit』発行人。人物インタビューや店舗取材のほか、料理・スイーツのレシピ本制作にも多く関わる。著書に『田舎・郊外でお店、はじめました。』(雷鳥社)、関連書籍に『オープンサンドレシピブック』(誠文堂新光社)など。 川副美紀 (カワゾエミキ) (イラスト) イラストレーター。女子美術大学産業デザイン科卒。植物・ガーデニング・料理・スイーツ・インテリアなど、生活の身近な情景を描く。著書に『ケーキ物語』『クッキー物語』(講談社)、『あかちゃんスイートメモリー』(梧桐書院)など。
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草の辞典 野の花・道の草 | 森乃おと, ささきみえこ(イラスト)
¥1,650
雷鳥社 2017年 ハードカバー 288ページ 15.2 x 10.2 x 2.6 cm - 内容紹介 - 野や散歩道でよく出会う、「あの」草花の名を知っていますか? 人気の「辞典シリーズ」第四弾! ! 「ハコベ」「ナズナ」「イヌフグリ」「ワレモコウ」……。 本書は、散歩道でよく見かける春夏秋冬の草花193種の美しい写真と、それぞれの花言葉を載せています。第二章では、草や花にまつわる言い回しや季語、名言などを集め、コラムでは「食事の時間」「お茶の時間」「癒しの時間」に分け、可愛いイラストとともに、〝スイバのスープ〟〝シロツメクサ茶〟〝ドクダミ化粧水〟など、野の草花を使った手づくりの料理やお茶、コスメなどのレシピを紹介します。第三章では薬草・毒草をまとめています。知れば知るほど、野の花や道の草が愛おしくなり、温かな気持ちとなれる一冊です。
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石の辞典 | 矢作ちはる, 内田有美 (イラスト)
¥1,650
SOLD OUT
雷鳥社 2019年 ハードカバー 288ページ 15.2 x 10.2 x 2.6 cm - 内容紹介 - トンガ坂文庫でも人気のある雷鳥社さんの辞典シリーズ。 本物そっくりの石はなんと全てイラスト。 石も、ページをめくるごとに硬度が上がって硬くなっていくという面白いこだわり。 自然が生み出した美しい造形の石が115点、 さらに世界中の石にまつわる文化や伝承まで幅広く収録されています。 手のひらサイズで持ち歩きにも便利なのもポイントです。
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その農地、私が買います 高橋さん家の次女の乱 | 高橋久美子
¥1,870
ミシマ社 2021年 ソフトカバー 232ページ 四六変型判 縦180mm 横128mm 厚さ15mm - 内容紹介 - 「実家の畑を、太陽光パネルにしたくない」 愛媛出身、東京在住。 闘いの狼煙をあげたものの、 立ちはだかる壁の数々! これぞ、現代日本の課題そのもの… 現実はあまりにもすごかった! ミシマ社創業15周年記念企画 「おまえは東京におるんじゃけん関係なかろわい」by 父 農地は負の遺産と考える父親世代、中・小規模農家の経済的な厳しさ、農地を持っている人しか農地を買えない法律、急増する猿や猪の畑荒らし、子孫を残せない「F1種」の種、体調を悪くする農薬散布、足並みを揃えることを最優先する町の雰囲気…etc. 未来に後悔をしないため、まずは知ること、動くこと。 「変わり者」と言われても、高橋さん家の次女はゆく! 目次 はじめに 第1章 久美子の乱 第1ラウンド 第2章 久美子の乱 第2ラウンド 第3章 サトウキビをめぐる冒険 第4章 サルとイノシシ現る 第5章 生命を食べる 第6章 農業という表現 第7章 久美子の乱 その後 長い追伸 そこで暮らすということ - 著者プロフィール - 高橋久美子 (タカハシクミコ) (著/文) 作家・詩人・作詞家。1982年愛媛県生まれ。音楽活動を経て、詩、小説、エッセイ、絵本の執筆、翻訳、様々なアーティストへの歌詞提供など文筆業を続ける。また、農や食について考える「新春みかんの会」を主催する。著書に小説集『ぐるり』(筑摩書房)、エッセイ集『旅を栖とす』(KADOKAWA)、『いっぴき』(ちくま文庫)、詩画集『今夜 凶暴だから わたし』(ちいさいミシマ社)、絵本『あしたが きらいな うさぎ』(マイクロマガジン社)など。
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波の地図 | 原田佳夏, なかひらまい(イラスト)
¥1,650
雷鳥社 2021年 ハードカバー 320ページ 新書判 - 内容紹介 - 「波」は、海の波だけではない!? 数々の文様に描かれたり、「波乱万丈」「人波にもまれる」といった慣用表現に使われたり、「電波」「音波」など物理の世界は「波」だらけだったりする。 本書は「文化としての波」をテーマに、知っているようで知らなかった波の森羅万象を楽しむ本。数多くの文献資料をもとにした文章と楽しいイラストで構成。肩の凝らないアート本としても楽しめます。 目次 まえがき プロローグ 波の一生 第1章 みえる波 第2章 波のかたち 第3章 波のすがた 第4章 みえない波 第5章 波のある地名 あとがき 版元から一言 現代を生きる私たちは「役に立つ」ことや「意味がある」ことが好きだ。何故なら、瞬時に判断し選択することが大切で有能だと思い込んでいるからだ。だから「役に立たない」ことや「意味が分からない」ことを遠ざけてしまう。 そんなふうに無駄を排除して生産性の高い行動をとっている現代の私たちは、何故かとても疲れている。 どこかに行きたい――そう思った時も私たちは地図を眺める。 あとがきより - 著者プロフィール - 原田佳夏 (ハラダヨシカ) (著/文) 物語屋。「朗読歌劇そらのおと」座付作家。ユング心理学研究会理事。出身・大分の地元に材を取ったオリジナル作品など舞台脚本多数。講談台本も手掛ける。映画脚本『老親』(監督:槙坪夛鶴子/2000年)、著作『脚本を書こう!』(青弓社)、120字小説『すゆ噺』他。映像・舞台・音声脚本、短編小説等、「物語」を書き続けている。小劇団の座付作家を経た後、物語屋として独自の路線を歩む。 「朗読歌劇そらのおと」https://solanote.org/ なかひらまい (ナカヒラマイ) (イラスト) 画家・作家。ユング心理学研究会理事。多摩美術家協会会員。セツ・モードセミナー卒業。著作『スプーの日記』シリーズ三部作(トランスビュー)。古代伝承研究本『名草戸畔(なぐさとべ)古代紀国の女王伝説』(スタジオM.O.G)。毎日新聞・大阪本社版連載童話『貝がらの森』(スタジオM.O.G)。物語創作、伝承研究、絵画、イラスト制作などを通して日夜、独自の視点でモノノケの世界の本質を探求している。 http://studiomog.ne.jp/
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作ろう草玩具 : 身近な草や木の葉でできる|佐藤 邦昭
¥1,320
築地書館 2016年 ソフトカバー 127ページ 縦210mm - 内容紹介- カタツムリ バッタ ヘビ 馬っこ 火の鳥 ネコジャラシの馬 ススキの傘 麦わらの手かご 麦わらのホタルかご 麦わらのガラガラ〔ほか〕