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結婚の社会学 | 阪井 裕一郎
¥1,100
筑摩書房 2024年 ちくま新書 ソフトカバー 320ページ 新書判 - 内容紹介 - 「ふつうの結婚」なんてない。結婚の歴史を近代から振り返り、事実婚、パートナーシップなど、従来のモデルではとらえきれない家族のかたちを概観する。 「ふつうの結婚」なんてない。 友人とも結婚できる社会がすぐそこに。 マーケティングにも役立つ、新たな家族像を示す。 さらに深く学ぶための、充実した読書案内付き。 ・明治前半の離婚率は、いまの倍以上。 ・戦時中、国営の結婚相談所が登場。 ・神前式が普及したのは、高度成長期。 ・日本の婚外子割合は約2%と、極端に低い(EU、OECD平均は40%超)。 ・結婚するカップルの4分の1は再婚。 結婚をめぐる常識は、日々変化しています。事実婚、ステップファミリー、同性パートナーシップ、選択的シングルなど、一対の男女による結婚→出産というモデルではとらえきれない家族のかたちがたくさんあるのです。この本では、国際比較、歴史的比較、理論という三つの視点から、結婚というものをひもといていきます。当たり前を疑ってみることで、「ふつうの結婚」「ふつうの家族」という考え方を相対化できるはずです。 「結婚の常識を疑うというのが本書に通底する問題意識となります。……多くの人が「自分のせい」「自分だけ」と思い詰めている問題が、実は社会的な問題 であるということに気づくというのはきわめて大事なことであり、社会学には それを示す責務があると思っています。」(序章より) 目次 序 章 「結婚」を疑う 第1章 結婚の近代史 第2章 結婚の現代史 第3章 離婚と再婚 第4章 事実婚と夫婦別姓 第5章 セクシュアル・マイノリティと結婚 終 章 結婚の未来 - 著者プロフィール - 阪井 裕一郎 (サカイ ユウイチロウ) (本文) 1981年、愛知県生まれ。慶應義塾大学文学部准教授。専門は家族社会学。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。福岡県立大学人間社会学部専任講師、大妻女子大学人間関係学部准教授を経て、2024年4月より現職。著書に『仲人の近代』(青弓社)、『事実婚と夫婦別姓の社会学』(白澤社)、共著に『結婚の自由』(白澤社)、『社会学の基礎』(有斐閣)、共訳書にエリザベス・ブレイク『最小の結婚』(白澤社)などがある。
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ぜんぶ運命だったんかい おじさん社会と女子の一生 | 笛美
¥1,760
亜紀書房 2021年 ソフトカバー 304ページ 四六判 縦188mm 横130mm 厚さ18mm - 内容紹介 - 「#検察庁法改正案に抗議します」のTwitterデモ仕掛け人による、初の著作! 男性中心の広告業界でがむしゃらに働いてきた20代。 気が付けば、同世代の男性は結婚し、仕事でも飛躍している。 なのに自分は彼氏もできない。 焦って婚活したものの、高学歴・高所得・仕事での成功が壁となる。 容姿で判断されたり、会議で意見が通らなかったり、男性との賃金格差だったり、ーーなんだか辛くて生きにくい。 あるとき、その理由がわかった。 それは、女性がひとりで生きていくことが難しくなるように、男性に依存しなければいけないように、この社会が作られているからだった。 「…………ぜんぶ運命だったんかい。私の運命は、この社会の構造の上に敷かれたものだったんだ」 ひとりの女性がフェミニズム、そして社会活動に目覚めるまでを涙と笑いで綴るエッセイ集。 目次 ■ おじさん社会と女子の青春 ■ おじさん社会と婚活女子 ■ おじさん社会の真実 ■ おじさん社会からの脱落 ■ おじさん社会への逆襲 ■ 声を上げてみたくなったら ■ あとがき - 著者プロフィール - 笛美 (フエミ) (著/ 文) 2020年5月8日にTwitterに広がった「#検察庁法改正案に抗議します」を作った張本人。ハッシュタグは瞬く間に拡散し、400万を超すツイートを生み出し、Twitterトレンド大賞2020の2位に。現在も広告関連の仕事をしている。
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生理用品の社会史 | 田中 ひかる
¥1,056
KADOKAWA 2019年 角川ソフィア文庫 ソフトカバー 304ページ 文庫判 - 内容紹介 - 日本女性の生活を大きく変えた画期的な商品「アンネナプキン」。その誕生は、ほんの50年ほど前のことである。女性の社会進出を支えた商品開発の裏には、一人の女性経営者の一筋縄ではいかないドラマがあった――。植物、絹、脱脂綿、ビクトリヤなど、不便で不快だった古い経血処理の方法から、欧米ほどタンポンの使用が普及しなかった理由まで。一大ビジネスへと発展した、女性史にとどまらない日本社会の変遷を明らかにする。 目次 はじめに 第一章 ナプキンがなかった時代の経血処理―植物から脱脂綿まで 第二章 生理用品の進化を阻んだ月経不浄視―「血の穢れ」の歴史 第三章 生理用品が変えた月経観―アンネナプキンの登場 第四章 今日の生理用品―ナプキンをめぐる“イデオロギー” おわりに 文庫版あとがき 引用・参考文献 生理用品関連年表 アンネ社広告資料 - 著者プロフィール - 田中 ひかる (タナカ ヒカル) (著/文) 1970年東京生まれ。学習院大学法学部卒業後、非常勤講師を経て専修大学大学院修士課程で歴史学、横浜国立大学大学院博士課程で社会学を専攻(学術博士)。
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月経と犯罪 “生理”はどう語られてきたか | 田中 ひかる
¥2,640
平凡社 2020年 ハードカバー 192ページ 四六判 - 内容紹介 - 「女は生理の時、カッとして頭にきて何をするのかわからない」――。 女性は生理があるから罪を犯す、と信じられていた時代があった。 その言葉の根拠を確かめ、信じられてきた理由を歴史的資料からひもとく。 〈目次〉 第1章 犯罪における月経要因説と「新しい女」たち アナーキスト大杉栄を刺した「新しい女」神近市子/「変態性慾」研究の先駆者クラフト=エビング/月経時の芝居見物は精神疾患を招くのか/「タブー」から「富国強兵の礎」へ/女優松井須磨子――自殺現場に残された「一滴の美しい血」/渡辺淳一『女優』に描かれた須磨子の月経/松井須磨子、自殺の真相/与謝野晶子も襲われた「ある時期」の猛烈なヒステリー 第2章 女性犯罪論の起源 ロンブローゾ――売春婦は生まれながらの犯罪者/現行犯逮捕の八割以上が月経中?/明治の女子教育論――女子は健康で鈍なのがよい/日本初の女性犯罪論『犯罪論及女性犯人』/女性犯罪論の古典『婦人と犯罪』/「幻の名著」はなぜ生まれたのか/婦人問題論争と『婦人と犯罪』 第3章 猟奇犯罪の時代 猟奇的事件が多発した1920年代 女性犯罪の三要素――ヒステリー・痛覚の鈍麻・月経/『近代犯罪研究』――犯罪の影には女あり/女は「詐欺顔」/経血の害悪――植物は枯れ、金属は錆び、犬は発狂/放火は女の犯罪か/女の取り調べの際には四週間待て?/「性的関係」――大逆事件から万引きまで/「虚偽の強姦」多発の真相/男の「幻想」、女の「内面化」「利用」 第4章 生理休暇と精神鑑定 女性教員の「生理的故障」/「女工」たちの深刻な「母性破壊」/「職業婦人に生理休暇を!」/のちの首相片山哲「月経要因説」を語る/「生理休暇」をめぐる攻防/「生理休暇」取得率0.9%の背景/初経教育の質が、女性の人生を左右する/月経が必ず問われた精神鑑定/「婦人犯罪」へのアンチテーゼ 第5章 月経要因説の精神医学的解釈 魔女、悪女、毒婦、狐/「レズビアンのサド・マゾ」はホルモンの影響か/女子受刑者たちの犯罪時月経状態/初潮・無月経が犯行を決定づけるのか/月経周期の矛盾/はじめに月経不順あり/「謎の注射」を無視した精神鑑定/月経は「性的葛藤」を想起するか/月経時の女の仕事を信用しない女 第6章 月経要因説の心理学的解釈 「迷信」が月経時の犯罪を招くのか/『旧約聖書』や『コーラン』も忌み嫌った「血の穢れ」/なぜ女だけが「血の池地獄」に堕ちるのか/日本初の女性検事は女をどう見ていたか/「ネガティブな気分」はなぜ起こるのか/偽薬効果が意味するもの 第7章 「犯罪におけるPMS要因説」 「月経前症候群」が「月経前不快気分障害」に改められた理由/毛深い女は犯罪者予備軍? - 著者プロフィール - 田中 ひかる (タナカ ヒカル) (著/文) 歴史社会学者
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こんな世の中に誰がした? ごめんなさいと言わなくてもすむ社会を手渡すために | 上野 千鶴子
¥1,760
光文社 2024年 ソフトカバー 208ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ15mm - 内容紹介 - 不均衡な社会に生きるすべての女性の人生に寄り添い、自身の贖罪とともにエールを送る、上野千鶴子渾身の一冊。 “わたしはこれまで何度も「どうせ世の中は変わらない」という諦めの声を聞いてきました。でも、そうでしょうか。(中略)あなたには、ほんの少しでも社会を変える力があります。いまよりちょっとでもマシな社会を、あとから来る人たちに手渡すために。”――序章より
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最後の講義 完全版 これからの時代を生きるあなたへ安心して弱者になれる社会をつくりたい | 上野 千鶴子
¥1,496
主婦の友社 2022年 ソフトカバー 232ページ 四六判 - 内容紹介 - 「あなたは人生最後の日に何を語りますか」という問いに答えて各界の著名人が1度きりの特別講義をしてくれるNHKの人気番組「最後の講義」。本書は社会学者の上野千鶴子さんのテレビでは放送されなかった未放映部分を含む完全版をお届けします。上野さんの研究、実は「主婦」から始まりました。家事が不払い労働であること、家事、育児、介護、看護がすべて一人の女性の負担になっていること。お嫁さんがやっていた介護が仕事になっていったことなど、ずっと女性の幸せのために研究してこられた上野さんの女性学・ジェンダー学の問題点も歴史もわかります。時代の先頭を走り続け、私たちの生きやすい社会を作ってくれた先輩からのエールに胸が熱くなること間違いありません!
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やらねばならぬと思いつつ 超初級 性教育サポートBOOK | シオリーヌ(大貫詩織), ゆままま(イラスト)
¥1,650
ハガツサブックス 2021年 ソフトカバー 128ページ A5変形判 - 内容紹介 - 「おうちの中でも『子どもの性教育』を積極的にやっていきましょう」という風潮が高まる中、「やらないとダメだよね…」と思いながらも重い腰が上がらない! という親御さんたちも少なくないのではないでしょうか。そこで、登録者数15万人を超える人気の性教育YouTuber・シオリーヌが、「これだけできたら◎な心構え」と「あるある質問への答え方」をまとめました。人気ママさんイラストレーター・ゆまままさんとタッグを組み、イラスト満載でお届けします! - 目次 - ーContentsー ・はじめに ・〔1歩め〕これだけできたら◎ 10の心構え 【心構え1】ウソをつかない 【心構え2】子どもの気持ちをそのまま受け取る 【心構え3】代わりに決めない 【心構え4】〝常識〟を押し付けない 【心構え5】性の話を捉え直す 【心構え6】性別で判断しない 【心構え7】多様な性があることを知る 【心構え8】親子は対等であると忘れない 【心構え9】親だけで抱えない 【心構え10】子どもを信用する ・〔2歩め〕性のあるある質問 対応アイデア30 Q1.生理って何? 血が出るの? Q2.どうしてちんちん大きくなるの? Q3.どうして私はちんちんがないの? Q4.お父さん、毛がモジャモジャでへん! Q5.「うんこ」「おしり」で大爆笑。どう対応したらいい? Q6.赤ちゃんってどうやってできるの? Q7.卵子って何? 精子って何? Q8.お母さんとお父さんもセックスしたの? どうやって? Q9.(セックスを見られて)……何してるの? Q10.オナニーって何? Q11.ちんちん、触ってみたい! Q12.なんで赤ちゃんはおっぱい触っていいのに僕はダメなの? Q13.(性器いじりをしていたところを注意して)なんで触っちゃダメなの? Q14.「カンチョーーーー! 」って遊んでいる子になんて言ったらいい? Q15.「おばあちゃんとチューしようね~」と迫られて、子どもが嫌がっていたらどうすれば? Q16.検索履歴にアダルトワード……!? 注意したいけど、なんて伝えたら? Q17.下ネタ満載の動画で子どもが爆笑。どう反応したらいい? Q18.(ラブホテルを見て)あそこに行ってみたい!! Q19.(コンドームを指さして)これ何? Q20.(アニメのマネをして)「〇〇ちゃ~ん! 」とお友だちを追いかけ回していて……。どう対応すれば? Q21.妹がほしい! 赤ちゃんつくって! Q22.結婚をしたら赤ちゃんができるの? Q23.〇〇ちゃんち、お父さんいないんだって。なんで? Q24.(同性カップルに対して)男同士(女同士)なのにへんなの! Q25.私、大きくなっても結婚ってしたくない。 Q26.青は男の子の色でしょ? Q27.(泣いている息子に対して)「男のくせに泣くな! 女々しいぞ」と言われたら? Q28.〇〇くんのパパ、男なのにメイクしてたよ! なんで? Q29.女の子に生まれたかった。女の子になりたい。 Q30.私ってデブだからブスなんだって。 ・おわりに ・〝わかっちゃいるけどできそうにない〟大人のための! シオリーヌのオススメ性教育動画 - 著者プロフィール - シオリーヌ(大貫詩織) (シオリーヌ オオヌキシオリ) (著/文) 助産師/思春期保健相談士/性教育YouTuber。総合病院産婦人科で助産師としての経験を積んだのち、精神科児童思春期病棟で若者の心理的ケアを学ぶ。2017年より性教育に関する発信活動をスタートし、2019年2月より自身のYouTubeチャンネルで動画を投稿。チャンネル登録者数は14.9万人(2021年9月現在)。著書に『CHOICE 自分で選びとるための「性」の知識』(イースト・プレス)、『こどもジェンダー』(ワニブックス)、『もやもやラボ ~キミのお悩み攻略BOOK!~』(小学館)がある。 ゆままま (ユマママ) (イラスト) 広告やキャラクターを作るアートディレクター。保育園の連絡帳に5歳児「ゆま」の味わい深い日々を記録し、インスタグラムに投稿して人気を集める。リアルな幼児の生態を描いたユーモアあふれるイラストと、冷静でエッジの効いたコメントが特徴。Instagramのフォロワー数は約8万7000人。著作に『せんせい、うちのコがタイヘンです。』(ジー・ビー)がある。
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なぜ男女の賃金に格差があるのか 女性の生き方の経済学 | クラウディア・ゴールディン, 鹿田昌美(翻訳)
¥3,740
慶應義塾大学出版会 2023年 ソフトカバー 400ページ 四六判 - 内容紹介 - 女性たちはどのように「家族」と「仕事」を選択してきたのか。 ウーマンリブ、「静かな革命」、リリー・レッドベター公平賃金法など、20世紀以降を振り返りながら、各職業のデータを経済分析し、女性の賃金の上昇を阻む原因を抉り出す。 アメリカのみならず世界の先進国の男女の「働き方」を見直すきっかけとなる一冊。 - 目次 - 第1章 キャリアと家庭の両立はなぜ難しいか─新しい「名前のない問題」 第2章 世代を越えてつなぐ「バトン」―─100年を5つに分ける 第3章 分岐点に立つ─―第1グループ 第4章 キャリアと家庭に橋をかける―─第2グループ 第5章 「新しい女性の時代」の予感─―第3グループ 第6章 静かな革命―─第4グループ 第7章 キャリアと家庭を両立させる―─第5グループ 第8章 それでも格差はなくならない―─出産による「ペナルティ」 第9章 職業別の格差の原因―─弁護士と薬剤師 第10章 仕事の時間と家族の時間 エピローグ 旅の終わり―─そしてこれから - 著者プロフィール - クラウディア・ゴールディン (クラウディア・ゴールディン) (著/文) ハーバード大学ヘンリー・リー経済学教授。経済史家であり労働経済学者。研究テーマは、女性の労働力、所得における男女格差、所得不平等、技術革新、教育、移民など多岐にわたる。2013 年にアメリカ経済学会会長、2000 年に経済史学会会長を務める。米国科学アカデミー会員。著書The Race between Education and Technology(L・カッツとの共著)で、2008 年R.R. ホーキンス賞を受賞。マサチューセッツ州ケンブリッジ在住。 鹿田昌美 (シカタマサミ) (翻訳) 国際基督教大学卒。翻訳書に、ドゥプケ&ジリボッティ『子育ての経済学─愛情・お金・育児スタイル』(慶應義塾大学出版会)、ドラッカーマン『フランスの子どもは夜泣きをしない』、アレキサンダー&サンダール『デンマークの親は子どもを褒めない』(集英社)、ドーナト『母親になって後悔してる』(新潮社)、など多数。翻訳経験と子育ての経験を生かした著書に『「自宅だけ」でここまでできる! 子ども英語超自習法』(飛鳥新社)がある。
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「女の痛み」はなぜ無視されるのか? | アヌシェイ・フセイン, 堀越英美(翻訳)
¥2,200
晶文社 2022年 ソフトカバー 352ページ 四六判 縦186mm 横130mm 厚さ23mm - 内容紹介 - 臨床試験で女性が排除される、コロナ禍でマイノリティの人々が受ける影響、アメリカで中絶の権利が争点になる理由は 著者がアメリカで出産したとき、彼女は死にかけた。痛み止めが効いていないと訴えても無視された。痛みを証明するために手術台まで歩くように言われた。 彼女はこの医療トラウマ体験をきっかけに、女性の痛み、特に有色人種の訴えがまともに受け止められない事実を、 あらゆるデータ、記事、証言をもとに執筆した。 さらにコロナ禍で女性、マイノリティの人々が受けた甚大な影響も考察する。 初期設定が男性になっている現状は、医療ケアにおいても例外ではない。 「女の痛み」が軽視されている事実と、医療ケアにおける性差別・人種差別に切り込むノンフィクション。 「女性の痛みという概念が、世界中でどのように捉えられ、管理され、考えられているかを見れば、それは常に男性や『文化』によって定義されてきたことがわかる。多くの社会では男性による支配が続いていることから、女性の痛みや苦しみに対する世界の認識は、女性ではなく、男性によって確立されてきたのだ」(「日本の読者へ」より) 「困惑させられたのは、『女性は自分の健康や身体について決めることができない』と、いまだに世間が思い込んでいる点だ」(5章「知られざる女性の身体」より) 「私はできる限り、フェミニズムと平等主義を重んじる結婚生活を送っていた。そんな夫婦ですら、コロナは伝統的な男女の断層を露呈させた。ロックダウンで誰もが自宅で仕事をするようになれば、より稼ぎの多い人の仕事が優先されるようになる。気づけば夫は自宅のオフィスを占拠しており、私はやむをえず家庭という領域に追いやられた。まるで、1950年代の主婦みたいに」(5章「知られざる女性の身体」より) (目次) 日本の読者へ 本書に寄せて――ジェシカ・ヴァレンティ はじめに 第1章 私が出会った最初のフェミニスト 第2章 バングラデシュ女子、キャピトル・ヒルに立つ――アメリカでの中絶の権利をめぐる混沌 第3章 気のせいにされる有色人種の女性の痛み 第4章 見えない症状 第5章 知られざる女性の身体 第6章 コロナ禍で妊娠するということ 第7章 代替手段の模索 第8章 自分の体の声の一番の代弁者になるには 第9章 自分の声を届ける おわりに 謝辞 訳者あとがき 出典 - 著者プロフィール - アヌシェイ・フセイン (アヌシェイフセイン) (著/文) 著述家、女性の健康関連の法律に重点的に取り組むフェミニスト政策アナリスト。CNN、MSNBC、PBSにレギュラー出演し、Forbes、CNN.com、Daily Beast、Mediumに政治・ジェンダー・人種に関する寄稿を行う。また、ポッドキャスト「Spilling Chai」のホストも務める。本書が初の著書となる。 堀越英美 (ホリコシヒデミ) (翻訳) 1973年生まれ。文筆家。早稲田大学第一文学部卒。著書に『エモい古語辞典』(朝日出版社)、『女の子は本当にピンクが好きなのか』(河出文庫)、『不道徳お母さん講座』(河出書房新社)、『スゴ母列伝』(大和書房)など、訳書に『自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界』(河出書房新社)、『だからわたしはここにいる』(フィルムアート社)、『ギタンジャリ・ラオ STEMで未来は変えられる』(くもん出版)、 『ガール・コード』(Pヴァイン) など。
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ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと | アンジェラ・チェン, 羽生有希(翻訳)
¥2,750
左右社 2023年 ソフトカバー 448ページ 四六判 - 内容紹介 - セックスって本当に必要? 交際・結婚していたらセックスするのは当たり前? 「男らしく」あるために、男がセックスを主導しなければというプレッシャー。 恋愛と友情を区別するのはセックスなのか。 同性同士の恋愛ではいつもセックスが中心にされる。 フェミニストはいつだって性的に奔放? 「性的に抑圧されているムスリム女性」「性に関心のない障害者」「おしとやかなアジア人女性」というステレオタイプとアセクシュアルの狭間で葛藤。 恋愛、障害、フェミニズム、男らしさ、アイデンティティ、人種── ロマンティック・アセクシュアルの当事者である著者が、「他者に性的に惹かれない」というアセクシュアルの視点から、私たちの常識を揺さぶる。 著者の経験と100人のインタビューにもとづく唯一無二のルポエッセイ。 ------------------------------------------------------------------------------------------- ゴシップは、キスや熱愛を中心に繰り広げられる。誰かと会話するとき、セックスは──誰がしそうで、誰がするかもしれなくて、誰がしたがっているのか──極めて重要な話題になる。たとえ誰も何もしていなくてもだ。そんなふうにみんなが新たにこぞってとりつかれている考えが理解不可能なものに思われることもある。他のみんなの脳がハイジャックされてしまったみたいだ。(本書より) ------------------------------------------------------------------------------------------- 目次 著者によるはしがき Part 1 自己 プロローグ 第1章 アセクシュアリティにたどり着いて 第2章 〈否定を通して〉説明する 第3章 強制的性愛と(男性の)アセクシュアル存在 Part 2 変奏 第4章 お前を解放させてくれよ 第5章 ホワイトウォッシュされて 第6章 病めるときも健やかなるときも 190 Part 3 他者 第7章 恋愛再考 第8章 十分もっともな理由 第9章 他者と遊ぶ、他者で遊ぶ 第10章 アナ 第11章 どこへ向かっているのか、どこまで来たのか ありがとう 原註 索引 さらに読みたい人のために 版元から一言 近年ドラマ、コミック、映画などでも「アセクシュアル」のキャラクターが登場して注目を集めています。 しかし日本で読めるアセクシュアルについての本はまだほとんどありません。 本書はルポエッセイの形式をとっており、ジェンダー・セクシュアリティについての本を普段読まない読者にも読みやすく、なおかつ日本ではほとんど紹介されていない詳細な議論が盛り込まれていて、研究者からも絶賛の声が集まっています。 発売前、発売後も話題のたえない一冊。 - 著者プロフィール - アンジェラ・チェン (アンジェラ チェン) (著/文) ジャーナリスト、ライター。現在、『Wired』の上級エディター。『ウォール・ストリート・ジャーナル』『アトランティック』『ガーディアン』『パリ・レビュー』『ナショナル・ジオグラフィック』などで執筆。 エース・コミュニティの一員で、学術会議やワールドプライドを含むイベントでアセクシュアリティについて講演を行っている。本書 ACE: What Asexuality reveals about Desire, Society, and the Meaning of Sex が初邦訳。 羽生有希 (ハニュウ ユウキ) (翻訳) 東京大学、東京工業大学ほか非常勤講師。国際基督教大学ジェンダー研究センター研究員。専門はフェミニズム哲学、クィア理論。著作に「コロナ禍の解釈枠組―脅かされる生をめぐるフェミニズム・クィア理論からの試論」(『福音と世界』2020年12月号)など。 主な翻訳はエリザベス・ブレイク『最小の結婚』(久保田裕之監訳、白澤社、2019 年、第1章および第2章を担当)。
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サッコ先生と!からだこころ研究所 小学生と考える「性ってなに?」 | 高橋 幸子
¥1,430
リトルモア 2020年 ソフトカバー 182ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ10mm - 内容紹介 - SHELLYさん推薦! 「自分で一読し、子どもたちに『読んでみて!気になることがあったらいつでも聞いて!』と渡したい本です!」 小学生のうちに、みんなと考えたい、体・心・性のこと。 知れば知るほど、自分とだれかを守るパワーになる! 本書は、思春期の入り口にいる男の子・女の子が、お互いの体・心・性について、サイエンスの視点から学べる本です。 産婦人科医のサッコ先生こと高橋幸子先生が、科学に裏打ちされ、国際基準に照らした「性」の知識を、わかりやすく教えてくれます。 「いつから教えはじめればいいの?」「なにから教えたらいいの?」と悩んでいる大人のみなさんへ……巻末に、サッコ先生による「大人の方へ」のお手紙も載せています。 ◎体と心、性について学ぶ時間は、自分やまわりの人を守る「防犯」と、自分の体を好きな気持ちを育むこと、2つの意味で大切です。 ◎思春期の入り口にいる子どもたちへ、そばにいる大人がまず読んで、渡してあげてください! 親子でいっしょに読んでも、子どもがひとりの時間にじっくり読んでも、たのしくポジティブに「性」のことを学べます。 〈もくじより〉 Part1. おへそのひみつ ・どうしてねこや人間にはおへそがあるんだろう? Part2. 赤ちゃんが生まれる3つの科学 ・生まれる前の赤ちゃんは、おなかの中で何をしているのかな? ・おなかの中にいる赤ちゃんは、どこから、どうやって出てくるのかな? ・赤ちゃんは、どうやってお母さんのおなかの中に入ったのかな? Part3. 思春期の体の変化 ・男の子の体の変化 ・女の子の体の変化 Part4. 目には見えない心のはなし ・「性」ってなんだろう? ・4つの側面:「体の性」「心の性」「好きになる人の性」「表現する性」 ・性はグラデーション Part5. 困ったときには ・ひとりでなやまずに ・頼れるところインフォメーション ~大人の方へ~ サッコ先生からのお手紙 ◎各パートには、サッコ先生から読者への「ミッション」「コラム」「Q&Aコーナー」が充実! ◎ワークブックのように、学んだことを書き込めるノートのページも! - 著者プロフィール - 高橋 幸子 (タカハシ サチコ) (著/文) 埼玉医科大学医療人育成支援センター・地域医学推進センター/産婦人科医。 日本家族計画協会クリニック非常勤医師。彩の国思春期研究会西部支部会長。 年間120回以上、全国の小学校・中学校・高等学校にて性教育の講演を行っている。NHK「あさイチ」、「ハートネットTV」、「夏休み!ラジオ保健室~10代の性 悩み相談~」に出演、AbemaTVドラマ「17.3 about a sex」、ピル情報の総合サイト「ピルにゃん」、家庭でできる性教育サイト「命育」を監修するなど、性教育の普及や啓発に尽力する。
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#生理の貧困 | #みんなの生理(福井みのり), ヒオカ, 吉沢豊予子, 田中東子, 田中ひかる, 河野真太郎
¥990
日本看護協会出版会 2023年 ソフトカバー 64ページ A5判 - 内容紹介 - 「化粧品は買えるのに、ナプキンは買えないのか」…(?!) コロナ禍で生活困窮者が増加するなか、経済的理由で生理用品を購入できないことを訴えるハッシュタグ付きツイート「#生理の貧困」が話題となりました。 この「生理の貧困」問題は、SNSでの発信後すぐに人々の間に広がり、やがて行政・企業等を巻き込んで社会を動かしました。一方で、「たった数百円のナプキンが買えないなんておかしい」「女性優遇だ」などのバッシングが、男性だけでなく女性からも起こっています。「生理の貧困」を経済的な問題と捉える人は多いですが、それだけなのでしょうか? 本書では、経済・社会学・医学・教育・ジェンダー・メディアなど様々な側面からこの問題を考察しました。 - 目次 - 「生理の貧困」アンケート調査結果にみる現状とこれから…#みんなの生理(福井みのり) 「生理の貧困」問題の可視化から見えてきたもの…ヒオカ 月経情報から知る女性の健康…吉沢豊予子 「#生理の貧困」とSNS──日本で起きているバッシングを考える…田中東子 タブー視されてきた「生理」が語られる時代に…田中ひかる (a different perspective) 生理の貧困を「僕たち」の問題にできるか…河野真太郎 (column) ユニ・チャーム発 企業向け研修プログラム「みんなの生理研修」
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みんなで世界を変える!小さな革命のすすめ | 島村 恭則
¥1,760
偕成社 2024年 ソフトカバー 207ページ A5判 縦210mm 横150mm 厚さ19mm - 内容紹介 - みんなが行動することで、世界は変えられる。小さな革命をおこしつづけよう!これからの時代を担うみんなへの、アクションのすすめ。
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ホロコーストからガザへ: パレスチナの政治経済学 | サラ・ロイ, 岡真理 (編集, 翻訳), 小田切拓 (編集, 翻訳), 早尾貴紀 (編集, 翻訳)
¥2,860
青土社 2024年 ハードカバー 288ページ 四六判 - 内容紹介 - 緊急復刊!! ひとつの社会全体が崩壊しようとしている 「パレスチナ問題」を経済学的に分析し、世界的に注目される著者が明らかにするイスラエルの占領の実態と国際社会の援助のゆくえ。ホロコースト生存者の娘という出自から問う、人間の記憶と倫理への思考。いまもっとも読むべき一冊。
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現代思想2024年2月号 特集=パレスチナから問う -100年の暴力を考える-
¥1,760
青土社 2024年 ソフトカバー 254ページ - 内容紹介 - いま何が起きているのか? ハマスへの「報復」として、パレスチナの地ではイスラエルによる爆撃と封鎖が続いている。目まぐるしく塗り替えられていく情況からは、しかし決していま始まったわけではないパレスチナ/イスラエル問題にねざす差別・植民・占領の歴史が浮かび上がってくる。この地で何が起きているのか――その背景となる構造的暴力に目を凝らす。 目次* 【討議】 パレスチナと第三世界――歴史の交差点から連帯する / 金城美幸+早尾貴紀+林裕哲 【歴史の地平から】 なぜイスラエルは対ガザ戦争において文脈と歴史を抹消したがるのか / イラン・パぺ(早尾貴紀訳) ハマスが仕掛けた「シオニズムの実証実験」――世界は歴史の審判に耐えられるか? /栗田禎子 ガザにおけるハマースの闘い――その意義を考察するための断章 / 臼杵陽 聖域(ハラム)をめぐるパレスチナ人の怒り――「アクサーの大洪水」を生んだもの /山本健介 【「中東」の行方】 ひとつの「民族」を抹殺するということ / 酒井啓子 ガザ攻撃による「ナクバ」の再来 / 錦田愛子 パレスチナ――続くイスラエルの不処罰と国連の無力 / 髙橋宗瑠 付かず離れずの関係――ヨルダンとパレスチナ問題 / 臼杵悠 消えた人影、荒廃のガザ――イスラエル・ハマス戦闘の最前線 / 平野雄吾 【インタビュー】 植民国家の「出発点」を問いなおす――暴力に抗い続ける歴史意識のために / 板垣雄三 【ガザをめぐる実相】 長期にわたる対ガザ戦争 / サラ・ロイ(早尾貴紀訳) シオニズムにとってのガザ地区――サラ・ロイ『ガザ地区』第三版を起点に / 早尾貴紀 続・ダヒヤ・ドクトリン――「勇敢な同志」へと変貌した都合の良い国 / 小田切拓 「我々は人間動物と戦っているのだ」をどのように理解すればよいのか / 保井啓志 ガザ攻撃にみるイスラエルの「水の武器化」 / 玉井良尚 【断絶の先に】 「新しい中東」以後――「裁き」から「革命的平和」へ / 鵜飼哲 脱歴史化の政治――イスラエル、フランス、パレスチナ / 須納瀬淳 「倫理的なもの」への地図――ジュディス・バトラーのパレスチナ/イスラエル論 / 二井彬緒 【応答と連帯】 パレスチナの日常をみつめて / 高橋美香 記憶と人間性の破壊に抗する〈抵抗の文化〉 / 田浪亜央江 死に損ない、生き損ないたちの連帯可能性について / 阿部小涼 この場所を脱植民地化せよ――ジェントリフィケーションとパレスチナの結節点をめぐる一考察 / 森千香子 【この声は聴こえているか】 小説 その十月の朝に / 岡真理 【連載】 佐藤文隆 / 成田龍一 /山下祐介 /山口尚 【研究手帖】 経済学者の限界? / 岩瀬祐介
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パレスチナを知るための60章 | 臼杵 陽, 鈴木 啓之
¥2,200
明石書店 2016年 ソフトカバー 412ページ 四六判 - 内容紹介 - 1948年のイスラエル建国以降、中東の火種となってきたパレスチナ。70年近くに及ぶ難民キャンプの暮らし、あるいは「分離壁」に代表されるイスラエルの抑圧的な政策の下にあって、なおアイデンティティを求め続けるパレスチナの人々を描く。 目次 はじめに Ⅰ パレスチナ イメージと実像 第1章 パレスチナとはどこか――アイデンティティの拠り所を考える 第2章 世界に離散するパレスチナ人――繰り返される移動 第3章 パレスチナ人はどんなところに住んでいるのか――難民キャンプから「持ち家」へ 第4章 パレスチナ人は何を食べているのか――オスマン時代から続く伝統的食文化 【コラム1】パレスチナの家庭料理――ひと手間が引き出すおいしさと家庭の誇り 第5章 パレスチナのイエと社会――パレスチナ人のアイデンティティ/39 【コラム2】結婚式 第6章 キリスト教徒として生きる人々――多様な宗教文化 第7章 ドゥルーズ派の人々――イスラエルとアラブのはざまで 【コラム3】「3652年間この地に生きる」サマリア人 第8章 失われた多様性――つくられた「マイノリティ問題」 第9章 ハリウッド映画のパレスチナ人像――捏造される「悪いアラブ」 【コラム4】映画『ミュンヘン』――9・11後のアメリカ社会とパレスチナ問題 第10章 日本人キリスト教徒のパレスチナ・イメージ――パレスチナへの無関心は何によるのか 第11章 『オリエンタリズム』の衝撃――日本でのエドワード・サイード受容 Ⅱ 歴史 第12章 オスマン帝国時代のパレスチナ――蒔かれた紛争の種 第13章 イギリスによる支配――パレスチナ委任統治期 【コラム5】ド・ブンセン委員会――イギリス中東分割政策の青写真 第14章 パレスチナ難民はなぜ生まれたか――忘却されるナクバ 第15章 イスラエルに残ったパレスチナ人――差別・分断と新たな機運 第16章 アラブ・ナショナリズムとパレスチナ・ナショナリズム――シュカイリー初代PLO議長 第17章 パレスチナ解放運動の昂揚――ヤーセル・アラファートとパレスチナ解放機構(PLO) 第18章 アラブ諸国との軋轢――黒い9月とレバノン内戦 第19章 石の蜂起――幻の独立宣言から孤立へ 【コラム6】アメリカン・コロニーの変遷 第20章 オスロ和平プロセス――誕生・展開・挫折 第21章 なぜパレスチナ人はハマースを支持するのか――暫定自治政府の限界 【コラム7】アフマド・ヤースィーン――創設者が描いたハマースの原点と広がり Ⅲ 生活と文化 第22章 ヘブロンの都市生活――イスラーム的伝統の復興 第23章 オリーブと生きる――土地とのつながり、人々の暮らしの象徴 【コラム8】パレスチナのビール・ワイン 第24章 パレスチナの刺繍――モチーフが映し出すパレスチナ 【コラム9】パレスチナの衣装 第25章 難民女性ガーダ――占領と強権の圧力に抗する 第26章 「同胞の“痛み”を我が“痛み”として生きる」――人権活動家ラジ・スラーニとその活動 第27章 タブーに挑む――パレスチナ人ジャーナリストの挑戦 【コラム10】パレスチナ映画――パレスチナ人の実存の視覚的オルタナティブ 第28章 パレスチナ演劇――「失われた」言葉を取り戻す 【コラム11】パレスチナの踊り「ダブケ」 第29章 パレスチナ文学――ナクバから生まれた言葉の力 【コラム12】言葉の「ナクバ」――ヘブライ語で書くパレスチナ人作家 第30章 ウード弾きたちの挑戦――伝統音楽から新しい地平へ 第31章 ポピュラー音楽――革命歌からラップまで 【コラム13】パレスチナ系アメリカ人のコメディアン Ⅳ 世界の中のパレスチナ 第32章 国連の難民救済事業――UNRWAの活動 【コラム14】第一次中東戦争に参加した北アフリカ義勇兵 第33章 アメリカのパレスチナ関与――歴代大統領はパレスチナをどう見てきたか 第34章 ソ連・ロシアの対パレスチナ政策――放置されるロシアの飛び地 第35章 パレスチナ国家の承認――紛争解決の模索 第36章 大国エジプトの変節――宗教、帝国主義、民族主義、そして新しい時代へ 【コラム15】ガザ難民――二人の女子学生と出会って 第37章 隣国ヨルダンの歩み――紛争の展開と国家像の模索 第38章 シリア・レバノンのパレスチナ人――安全と未来を求めて 【コラム16】「イスラーム国」とパレスチナ 第39章 大義を掲げる湾岸諸国――アラブの同胞か、他人事か 第40章 聖都エルサレム――占領下の生活空間 第41章 イスラエルとパレスチナの非対称性――国家主体と非国家主体 【コラム17】パレスチナを旅行する Ⅴ 経済と社会 第42章 パトロン・クライアント関係――近代パレスチナ社会の支配層 第43章 水と土地――権利あるいは空間をめぐる問題 第44章 ヨルダン川西岸の産業――実地調査から見える現状と課題 【コラム18】パレスチナの伝統工芸品 第45章 パレスチナの農業――資源と市場への限られたアクセス 第46章 農村の生活――パレスチナの文化を育む農村の暮らし 第47章 通貨と金融――オスロ合意は何をもたらしたか 第48章 公共部門と公共サービス――あまりに不安定な現実 【コラム19】アンマーンの交通事情と難民 第49章 ワクフ――翻弄されたイスラーム的信託制度 第50章 難民の初等・中等教育――UNRWAの教育と育つ人材 第51章 占領下で学ぶ――大学設立にかけた願いと挑戦 【コラム20】記録し、発信する――パレスチナ研究機構の挑戦 第52章 変遷する障害者福祉――誰も置き去りにしない社会に向けて 【コラム21】分離壁 Ⅵ パレスチナと日本 第53章 対パレスチナ外交――人的交流から資金援助まで 【コラム22】アラファートの日本訪問とIPTIL 第54章 日本に来たパレスチナ人――パレスチナ駐日代表アブドゥルハミードと日本 【コラム23】PLO東京事務所と日本 【コラム24】李香蘭とパレスチナ 【コラム25】「天よ、我に仕事を与えよ」――自己否定と弱者の政治=軍事再考 第55章 日本の経済支援――国際協調と地域安定への試み 第56章 日本の医療支援――パレスチナに根づいた支援 第57章 市民社会による支援――1万キロを越えての連帯とその課題 第58章 イスラエル・ボイコット運動――パレスチナにおける「アパルトヘイト」廃絶への挑戦 第59章 フェアトレード――生活の糧としての伝統工芸 第60章 日本のジャーナリズムとパレスチナ――エルサレム特派員が見たオスロ合意 【コラム26】戦前・戦中の日本とパレスチナ パレスチナを知るための文献・情報ガイド 前書きなど はじめに 私たちパレスチナ人は、どこにいようと、われらがパレスチナにいるわけではない。パレスチナは、もはや存在しないからだ。(エドワード・W・サイード『パレスチナとは何か』島弘之訳、岩波現代文庫、2005年、21頁) パレスチナという名の国家は、まだ存在していない。2015年末時点では136カ国がパレスチナを国家として承認している。国連加盟国の約70%である。21世紀に入ってパレスチナを国家として承認する国は少しずつ増えている。だが、アメリカ、イギリス、フランスといった国連常任理事国を構成する主要欧米諸国はいまだにそれを認めていない。もちろん、西欧でも一部の国の議会は当該政府がパレスチナを国家として承認するよう決議しているものの、まだまだ時間がかかりそうである。 1948年5月、パレスチナという地名は地図上から消えた。パレスチナ人たちは祖国喪失の体験を「ナクバ」と呼ぶ。カタストロフィ、大災難、大厄災など、さまざまな訳語が当てられる。ホロコーストに比べ、日本では辞書に載るほど一般的ではないが、英語圏の大辞典ではal-Nakbaとして掲載されており、OED(オックスフォード英語辞典)では「新イスラエル国家の誕生によって多くのパレスチナ人が故郷を追われた1948年の出来事をさすパレスチナ人の用語」と定義されている。 かつてパレスチナの地に住んでいたアラブ人は48年に離散して難民となって以来「パレスチナ」の名前を継承することになった。新たな「パレスチナ人」の誕生である。もちろん、イスラエル国の領域となった土地にもパレスチナ人がイスラエル市民として暮らしている。だとしても、そのようなパレスチナ人は、もう存在しないパレスチナに「居住している不在者(present absentee)」なのである。冒頭で引用したサイードは「パレスチナは、もはや存在しない」と明言した。1994年にガザとヨルダン川西岸地区の一部に「パレスチナ自治区」が成立したので、パレスチナはもはや地図上に存在しない〈場〉ではない。しかし、いまもって国家ではない「パレスチナ」というタイトルを冠した本を「エリア・スタディーズ」の一冊として出版するということは実に画期的なことである。 (…後略…) - 著者プロフィール - 臼杵 陽 (ウスキ アキラ) (編著) 日本女子大学文学部史学科教授。パレスチナ人との最初の出会いは1980年8月のレバノンのアイン・アル・ヘルワ難民キャンプ訪問時。以来、アンマーン2年半、エルサレム2年、そしてベイルート半年と長期滞在の機会を得た。パレスチナ/イスラエルに関する見方は『イスラエル』(岩波新書)、『世界史の中のパレスチナ問題』(講談社現代新書)を参照されたい。専門は中東現代史・中東地域研究。日本・イスラーム・ユダヤ関係史にも関心を持っている。 鈴木 啓之 (スズキ ヒロユキ) (編著) 日本学術振興会・特別研究員PD(日本女子大学)。中東地域研究、パレスチナ人の政治活動を専門とする。パレスチナとの最初の出会いはテレビで見たE・サイードとガザの人権弁護士ラジ・スラーニの討論。イラク戦争、第二次インティファーダを見ながら「敵と味方」の論理の不毛を知った。主な著作に「パレスチナ被占領地における政治活動の発展――キャンプ・デーヴィッド合意(1978年)と揺れ動く地域情勢」(『中東学会年報』30(1)、2014年)。 追記 【執筆者一覧】 板垣雄三(いたがき ゆうぞう) 1931年、東京生まれ。東京大学・東京経済大学各名誉教授。日本学術会議会員、アジア中東学会連合会長、日本イスラム協会理事長、など歴任。ユダヤ人問題とパレスチナ問題の連関、植民地主義の所産=イスラエル国家、など論及。『アラブの解放』(平凡社、1974年)、『石の叫びに耳を澄ます』(平凡社、1992年)、『復刻版〈パレスチナ問題を考える〉シンポジウムの記録』(第三書館、2012年)、など。 今井宏平(いまい こうへい) 日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員。現代トルコの外交を国際関係論の視点から考察している。とりわけ、トルコにおいて2002年から第一党の座を維持している公正発展党が進める西洋と中東を軸に展開する外交政策とその行動原理の解明に取り組んでいる。主な著作として、『中東秩序をめぐる現代トルコ外交』(ミネルヴァ書房、2015年)がある。 今井静(いまい しづか) 日本学術振興会特別研究員(PD)。中東地域研究、国際関係論、ヨルダン政治経済。主な著作に「ヨルダンの対イラク貿易と経済社会構造の変容――1970年代から80年代を中心に」(『日本中東学会年報』28(1)、2012年)、「ヨルダンにおけるシリア難民受入の展開――外交戦略としての国際レジームへの接近をめぐって」(『国際政治』178、2014年)。 今野泰三(いまの たいぞう) 日本国際ボランティアセンターパレスチナ事業現地代表、大阪市立大学院都市文化研究センター研究員。パレスチナ/イスラエル地域研究、中東政治学、政治地理学。主な著作に「ユダヤ人入植者のアイデンティティと死/死者の表象――ナラティブと墓石・記念碑の分析」(『日本中東学会年報』26(2)、2011年)、「宗教シオニズムの越境――ヨルダン川西岸地区の『混住入植地』を事例として」(『境界研究』5、2015年)、「政治・外交的視点からの脱却――実践主義的側面から見るオスロ和平プロセス」(今野泰三・鶴見太郎・武田祥英編『オスロ合意から20年――パレスチナ/イスラエルの変容と課題』NIHUイスラーム地域研究・東京大学拠点、2015年)。 岩浅紀久(いわあさ としひさ) 日本IBMおよびPhiips Co.勤務の後、ITエンジニアリング研究所を設立。JICAのパレスチナ中小企業支援プロジェクトの専門員として現地調査を実施。ジェリコに企業団地建設を提案し、建設途上にある。東京大学東洋文化研究所パレスチナ研究会メンバー。 臼杵陽(うすき あきら)※編著者プロフィールを参照。 臼杵悠(うすき はるか) 一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程在籍中。専門はヨルダンを中心とした中東社会経済研究。学部生のころ、日本国際ボランティアセンター(JVC)パレスチナ事業でのボランティア活動をきっかけに本格的にパレスチナに興味をもつ。現在、松下幸之助記念財団の留学助成によりパレスチナ系住民の多いヨルダンにて、統計局に所属しマイグレーションと経済の関係をテーマに2年の長期滞在中。 鵜戸 聡(うど さとし) 鹿児島大学法文学部准教授。アルジェリアやレバノンなどフランス語圏を中心に中東・北アフリカの文学を研究。日本の演劇祭でアラブ演劇の翻訳・解説などにも従事し、そのラディカルさにいつも圧倒されている。共著に『シリア・レバノンを知るための64章』(黒木英充編、明石書店、2013年)など。 宇野昌樹(うの まさき) 広島市立大学国際学部教授。文化人類学、中東地域研究。主な著作に「アラブの春とイスラエルの核」(高橋伸夫編『アジアの「核」と私たち――フクシマを見つめながら』東アジア研究所講座、慶應義塾大学東アジア研究所、2014年)、「あるレバノン家族から垣間見えるアラブの女性像」(福原裕二・吉村慎太郎編『現代アジアの女性たち――グローバル社会を生きる』新水社、2014年)、「世界に散らばるレバノン系・シリア系移民――グローバル化と移民、出稼ぎ労働者、難民のはざまで」(堀内正樹・西尾哲夫編『〈断〉と〈続〉の中東――非境界的世界を游ぐ』悠書館、2015年)。 江﨑智絵(えざき ちえ) 防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授。中東の国際関係・安全保障論、パレスチナ問題。主な著作に『イスラエル・パレスチナ和平交渉の政治過程分析――オスロ・プロセスの展開と挫折』(ミネルヴァ書房、2013年)、「紛争と危機管理政策――国際交渉学の観点から」(伊東孝之監修、広瀬佳一・湯浅剛編『平和構築のアプローチ――ユーラシア紛争研究の最前線』吉田書店、2013年)、「アラブ諸国の政治変動における軍と武装非国家主体の台頭」(『国際安全保障』43(3)、2015年)。 大伴史緒(おおとも しお) 筑波大学大学院人文社会科学研究科・博士課程。パレスチナ・イスラエルの経済。 大澤小枝(おおさわ さえ) UNICEFスーダン教育担当官(2016年3月現在)。ロンドン大学にて「中東の歴史・外交」と「教育計画」の分野で修士を取得。UNRWAやUNESCO、NGOでヨルダン、レバノン、ガザのパレスチナ難民の教育に10年以上関わる。将来的には再びパレスチナの子どもたちの教育に貢献したいと思っている。 川上泰徳(かわかみ やすのり) 中東ジャーナリスト。元朝日新聞中東特派員。1994年、カイロ特派員となり、パレスチナ自治の始まりを取材。2001~02年はエルサレム特派員として第2次インティファーダとイスラエル軍のヨルダン川大侵攻を取材。2015年、フリーランスになり、パレスチナ問題は主要テーマの一つ。主な著作に『中東の現場を歩く――激動20年の取材のディテール』(合同出版、2015年)、『イスラムを生きる人びと――伝統と「革命」のあいだで』(岩波書店、2012年)。 神﨑雄二(かんざき ゆうじ) 日本聖公会東京教区司祭。1974年にテルゼロールでの発掘に参加した。しかしユダヤ人農業学校に滞在していたのでパレスチナ側の視点をまるで欠き、何も現実が見えなかった。2002年に2か月間中東聖公会エルサレム教区の聖職・信徒に伴われ、パレスチナ・イスラエル各地の教会・施設を巡り、パレスチナ人の苦難を目の当たりにした。以来両教区間の相互訪問を繰り返している。 金城美幸(きんじょう みゆき) 日本学術振興会特別研究員RPD。パレスチナ/イスラエル史学。主な著書に「破壊されたパレスチナ人村落史の構築――対抗言説としてのオーラルヒストリー」(『日本中東学会年報』30(1)、2014年)。日本国籍をもつがそのルーツは東アジア全域に及ぶ。(父方祖父は日帝統治時代の朝鮮から、祖母は済州島4・3事件を逃れて渡来。日本軍医だった母方祖父は中国大陸で国民党幹部の捕虜となり、その娘だった祖母と結婚し、第二次国共内戦後の台湾脱出を経て渡来。)帝国主義・植民地主義、その後の境界画定による人々の追い立ての経験に強い関心がある。二児の母。 小池絢子(こいけ あやこ) 特定非営利活動法人WE21ジャパン民際協力室。フィリピンにおけるコミュニティ開発、ネットワークを通じた市民活動、アジア太平洋地域における国際関係。 小阪裕城(こさか ゆうき) 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程。長野県短期大学多文化コミュニケーション学科国際地域文化専攻助教。歴史学(国際史/20世紀アメリカ史)。主な著作に「アメリカ・ユダヤ人委員会とイスラエル――建国の余波のトランスナショナル・ヒストリー」(『歴史評論』792,2016年)、「黒人運動の『外交』――全米黒人向上協会(NAACP)、国際連合と冷戦」(足羽與志子・中野聡・吉田裕編『平和と和解――思想・経験・方法』旬報社、2015年)、「『ユダヤ人問題』の解を求めて――アメリカ・ユダヤ人委員会,国際人権とイスラエルの建国 1942~1948年」,(『国際政治』176、2014年)。 児玉恵美(こだま えみ) 日本女子大学文学研究科史学専攻博士課程前期。中東現代史、研究テーマは、レバノンの離散パレスチナ人による祖国解放運動(1969~1982年)において、難民キャンプの離散パレスチナ人が祖国帰還を願って、武装闘争に身を投じたプロセス。 小林和香子(こばやし わかこ) 日本国際ボランティアセンターエルサレム事務所、国連開発計画エルサレム事務所、国際協力機構パレスチナ事務所、外務省国際協力局などに勤務。中東和平、平和構築、国際協力。主な著作に,『ガザの八百屋は今日もからっぽ――封鎖と戦火の日々』(めこん、2009年)、「パレスチナ難民問題と解決の可能性の模索」(『現代の中東』48、2010年)、“International Court of Justice Advisory Opinion on the Wall and Its Influence on the Israel-Palestine Peace Process,”Journal of the Graduate School of Asia-Pacific Studies, No. 13 (2007.6) pp.219-240. 是恒香琳(これつね かりん) 日本女子大学文学研究科史学専攻博士課程前期。著書に『日本女子大学生の世の中ウォッチ』(パド・ウィメンズ・オフィス、2014年)。切り抜き情報誌『女性情報』(パド・ウィメンズ・オフィス)に連載中。元イスラエル兵士らにインタビューしたドキュメンタリー映画『沈黙を破る』(土井敏邦監督、2009年)をきっかけに、パレスチナ問題に関心を持っている。 近藤重人(こんどう しげと) 日本エネルギー経済研究所中東研究センター研究員。サウジアラビア、クウェートの政治・外交、中東現代史。主な著作に「サウディアラビアのパレスチナ政策とアメリカ――1945――1948年」(『法学政治学論究』101、2014年)。アラブ和平イニシアティブというサウジアラビアが力を入れている中東和平提案に関心がある。 澤口右樹(さわぐち ゆうき) 東京大学大学院総合文化研究科修士課程。イスラエル政治を読み解くことで、イスラエルがパレスチナなどの周辺国との間に抱える暴力の原因を明らかにすることが主な関心。とりわけ、イスラエル外交を研究対象としている。現在は、なぜイスラエル国内の紛争の犠牲者がより「他者」への態度、働きかけ、支持政策が強硬なものを好むのかをテーマとして研究中。 塩塚祐太(しおつか ゆうた) 対パレスチナ自治政府日本政府代表事務所(在ラーマッラー)元草の根人間の安全保障無償資金協力調整員(2012~2015年)。学生時に国際NGO日本国際ボランティアセンターでのインターンを通してパレスチナ支援に関わり、パレスチナ自治区ビールゼイト大学に8カ月間留学(2011年)。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。現地の人びとの視点から、パレスチナ/イスラエル問題における国際援助の構造や影響力について学ぶ。 清水雅子(しみず まさこ) 上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科特別研究員(PD)。中東現代政治。主な著作に「『変革と改革』としてのハマース――パレスチナにおける武装抵抗運動の選挙参加」(『日本中東学会年報』27(2)、2012年)、「パレスチナの政治変動は執政制度の役割にいかに影響したか――ハマース政権樹立から自治政府の分裂に至る政治過程(2006――2007年)を事例に」(『Aglos: Journal of Area-Based Global Studies』3、2012年)、「制度の意図せざる結果としてのハマース与党化」(今野泰三・武田祥英・鶴見太郎編『オスロ合意から20年――パレスチナ/イスラエルの変容と課題』人間文化研究機構「イスラーム地域研究」東京大学拠点パレスチナ班、2015年)。 菅瀬晶子(すがせ あきこ) 国立民族学博物館准教授。ガリラヤ地方やベツレヘム周辺のアラブ人キリスト教徒コミュニティや、アル・ハディルと呼ばれる聖者への崇敬について調査し続けている。修道院の料理人だった友人から学んだアラブ料理の腕と知識は、現地の人々にも負けないと自負。最近は20世紀前半、パレスチナ初の新聞『カルメル』の主筆として活躍したナジーブ・ナッサールに注目している。主な著作に『イスラームを知る6 新月の夜も十字架は輝く――中東のキリスト教徒』(山川出版社、2010年)、“The beginnings of a new coexistence: a case study of the veneration of the Prophet Elijah (Mar Ilyas) among Christians, Muslims and Jews in Haifa after 1948’in Rowe, Dyck and Zimmermann (eds.), Christians and the Middle East Conflict, pp.84-98. London and New York: Routledge.2014などがある 鈴木隆洋(すずき たかひろ) 何も時計台に翻る「竹本処分粉砕」の六文字に憧れて入学したわけではないが、気がつけば私は「咲いた咲いた赤白黄色どのヘルメット見てもキレイだな」という大学にいた。結局活動することも逮捕されることもなく学究の道へ入ってしまったわけだが、「倫理主義でも単なる知識の蓄積でもない研究」を志した理由はイラク戦争当時に覚えた葛藤にあるのだろう。主な翻訳にマンデラ『自由への容易な道はない』(峯陽一監訳、青土社)。龍谷大学短期大学部非常勤講師。 鈴木啓之(すずき ひろゆき)※編著者プロフィールを参照。 清田明宏(せいた あきひろ) 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)保健局長、世界保健機関特別代表(対UNRWA)。国際保健、公衆衛生、医療システム管理、結核対策。主な著作に『ガザ――戦争しか知らないこどもたち』(ポプラ社、2015年)、パレスチナ難民のいのちと健康:国連パレスチナ難民救済事業機関の地域ケア(保健福祉学)、“Governing the reform of the United Nations health systems for Palestine Refugees: Moving mountains,”Governing Health Systems For Nations and Communities Around The World. Edited by Michael Reich, Keizo Takemi. Harvard School of Public Health. Lamrey & Lee. 2015. 高岩伸任(たかいわ のぶただ) 一橋大学非常勤講師。中東社会経済史。 武田祥英(たけだ よしひで) 千葉大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程。委任統治終了までのイギリス政府の対中東政策と、イギリスにおけるユダヤ教徒の政府との関係が専門。ド・ブンセン委員会報告書(CAB27/1)が第一次世界大戦期の中東分割政策に与えた影響と報告書の歴史的再評価、および当時イギリスで主流派だった反シオニストのユダヤ教徒の外交活動について研究。 田浪亜央江(たなみ あおえ) 成蹊大学アジア太平洋研究センター主任研究員。中東地域研究、パレスチナ文化研究。主な著作に『対テロ戦争と現代世界』(共著、御茶の水書房、2006年)、『〈不在者〉たちのイスラエル――占領文化とパレスチナ』(インパクト出版会、2008年著)、『変わるイスラーム社会』(共著、明石書店、2016年)。 田村幸恵(たむら ゆきえ) 津田塾大学国際関係研究所研究員。歴史的な事象として名望家を中心とした青年団体およびイスラーム組織による経済・政治的な活動を含めた社会維持機能に関心を寄せ、遡ってオスマン帝国末期のパレスチナ研究の必要性を痛感。上記団体の貧困緩和に果たす役割があるのではと思案する。「ムスリム青年協会パレスチナ支部による労働組合の組織――1920年代後半からアラブ労働者統一会議まで」(『イスラーム世界』68、2007年)、「インタビュー調査から見るパレスチナのNGO――PNGOによる草の根団体活用と地方における活動」(『津田塾大学国際関係学科ワーキングペーパーシリーズ』6、2007年)、 「二つの帝国の間で――パレスチナにおける大戦の経験と支配の貫徹(仮)」(永原陽子編『植民地世界から見た第一次世界大戦』ミネルヴァ書房、2016年刊行予定)。 鶴見太郎(つるみ たろう) 東京大学大学院総合文化研究科准教授。社会学、ロシア・ユダヤ史・シオニズム史。主な著作に『ロシア・シオニズムの想像力――ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、「旧ソ連系移民とオスロ体制――イスラエルの変容か、強化か」今野泰三・鶴見太郎・武田祥英編『オスロ合意か20年――パレスチナ/イスラエルの変容と課題』NIHUイスラーム地域研究、2015年、“Jewish Liberal, Russian Conservative: Daniel Pasmanik between Zionism and the Anti-Bolshevik White Movement,”Jewish Social Studies 21(1), 2015. 土井敏邦(どい としくに) 1953年佐賀県生まれ。ジャーナリスト。1985年以降、パレスチナ・イスラエルを取材。主な著作に『占領と民衆――パレスチナ』(晩聲社、1988年)、『アメリカのユダヤ人』(岩波書店、1991年)、『アメリカのパレスチナ人』(すずさわ書店、1991年)、『「和平合意」とパレスチナ――イスラエルとの共存は可能か』(朝日新聞社、1995年)、『パレスチナの声、イスラエルの声――憎しみの“壁”は崩せるのか 現地ルポ』(岩波書店、2004年)、『沈黙を破る――元イスラエル軍将兵が語る“占領”』(岩波書店、2008年)、『ガザの悲劇は終わっていない――パレスチナ・イスラエル社会に残した傷痕』(岩波ブックレット、2009年)など。ドキュメンタリー映画『届かぬ声――パレスチナ・占領と生きる人びと』(全4部作、す4作が『沈黙を破る』2010年)、『ガザ攻撃 2014年夏』(2014年)、『ガザに生きる』(全5部作、2015年)など。 飛奈裕美(とびなひろみ) 京都大学学際融合教育研究推進センター・特定講師。パレスチナ・イスラエル地域研究。 長沢栄治(ながさわ えいじ) 東京大学東洋文化研究所教授、パレスチナ学生基金(ヨルダンの「ガザ難民」大学生に学費を支援)理事長。中東地域研究、近代エジプト社会経済史。主な著書に、『アラブ革命の遺産 エジプトのユダヤ系マルクス主義者とシオニズム』(平凡社、2012年)、『エジプト革命 アラブ世界変動の行方』(平凡社新書、2012年)、『エジプトの自画像 ナイルの思想と地域研究』(平凡社、2013年)。 長沢美沙子(ながさわ みさこ) 翻訳家。パレスチナ問題研究家。中東・パレスチナを中心とした情報誌の編集を経て、パレスチナ人の人権回復と共存と平和を求めるユダヤ人の発行する情報誌(I&P誌)等の日本の窓口として「I&Pフレンズ」代表などを務めた。音楽・美術を通じた中東世界と日本の文化交流の企画、中東・パレスチナ問題に係るシンポジウムや講演会等の企画やコーディネートを多数手がけるとともに、BDS運動にも関心を寄せている。 並木麻衣(なみき まい) 東京外国語大学外国語学部アラビア語専攻在学中の2006~2007年、ヨルダン川西岸地区ビールゼイト大学およびエルサレムのヘブライ大学に留学。アラビア語パレスチナ方言、ヘブライ語に加え、二つの視点からパレスチナ問題を学びながら、草の根の人々の切実な思いに触れる。2013年より、日本国際ボランティアセンターにてパレスチナ事業担当に就任。現地の人々の等身大と体温を日本に伝えたいと願いながら、双方の心が繋がる事業を目指して日々奮闘中。 南部真喜子(なんぶ まきこ) 東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程在籍中。近現代パレスチナ・イスラエル地域研究。イスラエルの占領に対する抵抗のなかで逮捕投獄されているパレスチナ政治囚人の問題について研究を進めている。現在はエルサレムに現地調査のため留学中。グラフィティやポスターなど日常の生活空間に民意や記憶、アイデンティティがいかに表出されているかにも関心を持ちながら過ごしている。 錦田愛子(にしきだ あいこ) 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授。主な著作に『ディアスポラのパレスチナ人――「故郷(ワタン)」とナショナル・アイデンティティ』(有信堂高文社、2010年)、『移民/難民のシティズンシップ』(編著、有信堂高文社、2016年)など。パレスチナ/イスラエル紛争の和平と難民問題への関心に始まり、ヨーロッパのアラブ系移民/難民についても共同研究を進めている。 服部修(はっとり おさむ) 2016年3月現在、エルサレム在住。パレスチナ難民を支援する国連機関に勤務し、日本・アジア諸国との渉外を担当。仕事や日常生活を通じ、ヨルダン川西岸地区やガザ地区を訪問。パレスチナの実生活を肌で感じ、難民キャンプではパレスチナ難民が直面する苦悩に胸が痛む。経験を通じて感じるパレスチナ問題の深さを如何にして多くの日本やアジアの方々に伝えられるか反芻している。 藤屋リカ(ふじや りか) 慶應義塾大学看護医療学部専任講師。NGO駐在員としてパレスチナ母子保健プロジェクトに7年間携わり、2002年に日本国際ボランティアセンター(JVC)パレスチナ緊急医療支援に参加。04年からJVCパレスチナ事業による子どもの栄養改善、保健、収入創出等を担当した。11年より現職。主な著作に「パレスチナ、誇りと希望を胸に」(JVC著『NGOの選択――グローバリゼーションと対テロ戦争の時代に』めこん、2005年)、“The influence of economic factors on the location of birth among Palestinian women in Bethlehem during the second Palestinian uprising,”Tropical Doctor 2007. 37 (1) 13-8. 古居みずえ(ふるい みずえ) アジアプレス・インターナショナル所属。JVJA会員。1988年よりイスラエル占領地を訪れ、パレスチナ人による抵抗運動・インティファーダを取材。パレスチナの人々、特に女性や子どもたちに焦点をあて、取材活動を続けている。映画『ガーダ パレスチナの詩』(2007年)、『ぼくたちは見た ガザ・サムニ家の子どもたち』(2011年)、『飯舘村の母ちゃんたち 土とともに』(2016年)を制作。主な著作に『インティファーダの女たち――パレスチナ被占領地を行く《増補版》』(彩流社)、『ガーダ 女たちのパレスチナ』(岩波書店)、『ぼくたちは見た――ガザ・サムニ家の子どもたち』(彩流社)、『パレスチナ――戦火の中の子どもたち』(岩波書店)、写真集『瓦礫の中の女たち』(岩波書店)。 細田和江(ほそだ かずえ) 中央大学政策文化総合研究所準研究員。イスラエル・パレスチナ文化。主な著作に,「犠牲と贖罪の芸術」(エルメス財団『シガリット・ランダウ展カタログ』2013年)、「イスラエルにおける少数派の文学言語――アラブ人作家アントン・シャンマースとサイイド・カシューアのヘブライ語選択」(『中央大学政策文化研究所年報』17、2014年)。 皆川万葉(みながわ まよ)[23] フェアトレード団体「パレスチナ・オリーブ」代表。1998年よりガリラヤ地方のオリーブオイル、ナーブルスのオリーブ石鹸、イドナ村女性組合の刺繍製品などを輸入、全国に販売。パレスチナのいいモノと一緒に人々の暮らしを伝えたい、という思いから通信『ぜいとぅーん』を発行。パレスチナの生産者団体や日本で購入している人々と一緒にオルタナティヴな経済・社会を作り、現状を変えていきたいと活動している。http://www.paleoli.org 村上大介(むらかみ だいすけ) 産経新聞論説副委員長。読売新聞記者として1990~91年の湾岸危機・戦争を取材。91~95年、初代エルサレム特派員として和平プロセスを取材。拓殖大学海外事情研究所客員研究員を経て97年9月、産経新聞社入社。99~2004年、06~10年、中東支局長(カイロ)。外信部長などを経て、現職。 役重善洋(やくしげ よしひろ) 大学非常勤講師。NGO「パレスチナの平和を考える会」事務局長。主な著作に『脱「国際協力」――開発と平和構築を超えて』(共著、新評論、2011年)、『終わりなき戦争に抗う――中東・イスラーム世界の平和を考える10章』(共著、新評論、2014年)、「内村鑑三の再臨運動におけるシオニズム論と植民地主義」(『人間・環境学』21、2012年)。 山縣良子(やまがた よしこ) 東京外国語大学卒業後、1984年~1987年ヨルダンに滞在する機会を得て、ヨルダン大学でアラビア語を学ぶ。滞在期間中SAMEDで働くライラ・ハーリディーさんに出会い、民族衣装に施されたパレスチナ刺繍を学ぶ。その後自らもモチーフを刺繍してパレスチナ刺繍の復元に努め、約200近くのモチーフをCD-ROM化している。現在は地域の独自性が生まれた社会的経済的要因や伝承などに関心を持つ。 山田しらべ(やまだ しらべ) パレスチナのフェアトレードNGO、Sunbula事務局長。97年よりカリフォルニア州のNGO団体Global Exchangeのスタディーツアーのコーディネーターとして定期的にパレスチナを訪れ始める。その後現地に移り住み、Alternative Information Centerなどの団体勤務を経て2005年より現職。ベツレヘムの難民女性によるオリーブ石鹸製造販売プロジェクト、アシーラ女性組合の設立メンバーでもある。コロンビア大学院国際関係学修士号取得。 山本薫(やまもと かおる) 東京外国語大学ほか非常勤講師。アラブ文学。主な著作に『現代パレスチナ文化の動態研究――生成と継承の現場から』(共著、科研費成果報告書、2015年)、“Writing the Civil War: Lebanese Writers' Perspectives on a Precarious Coexistence,” Human Mobility and Multiethnic Coexistence in Middle Eastern Urban Societies 1: Tehran, Aleppo, Istanbul, and Beirut, ed. by Hidemitsu Kuroki, ILCAA, 2015、エミール・ハビービー『悲楽観屋サイードの失踪にまつわる奇妙な出来事』(翻訳、作品社、2006年)。 山本健介(やまもと けんすけ) 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(五年一貫博士課程)。中東地域研究を専門とし、なかでもパレスチナ問題における宗教的要素に関心を持っている。現在は、エルサレムやヘブロンなど、複数の宗教的伝統が重複する聖地をめぐる競合に注目し、見逃されがちなパレスチナ人の抵抗に焦点を当て、聖地の問題に固有な要素の解明を試みている。 屋山久美子(ややま くみこ) ヘブライ大学人文学部博士課程(民族音楽学音楽専攻)修了。在学中よりパレスチナ人ウード奏者ハビーブ・ハンナ、ニザール・ロハナに師事。2004年エルサレムのシリア・アレッポ系ユダヤ人の宗教音楽に関する論文でPhD取得。ヘブライ大学アジア学科非常勤講師を務め、翻訳や通訳などに従事。20年来エルサレムを拠点に現在進行形のパレスチナ人たちの音楽文化を追い、北アフリカから中央アジア地域まで広がる「マカーム」による音楽を探求する。 吉年誠(よしとし まこと) 一橋大学社会学研究科助手。パレスチナ地域研究、国際社会学。 渡邊祥子(わたなべ しょうこ) 日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員。博士(学術)。アルジェリア、チュニジア、モロッコを中心とするマグリブ(西アラブ)地域の近現代史を研究。エジプト以東のマシュリク(東アラブ)地域とマグリブ地域の交流史、特に、パレスチナ問題に関するマグリブのイスラーム知識人やナショナリストの言説と活動に関心がある。 渡辺真帆(わたなべ まほ) 東京外国語大学外国語学部アラビア語専攻卒業(2016年3月)。在学中、ヨルダン川西岸地区ビールゼイト大学に1年間留学。ナーブルスとホロンで調査を行い、1948年以降のパレスチナ/イスラエル地域におけるサマリア人共同体の持続要因を研究した。パレスチナと日本の演劇人による共同創作やアラブ人アーティストの来日公演等で通訳・翻訳・字幕スタッフを務める。
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日本のまちで屋台が踊る
¥2,530
屋台本出版 2023年 ソフトカバー 272ページ 四六判 - 内容紹介 - それぞれの屋台にはドラマがある! なぜ屋台に行き着き、どう屋台をまちで動かすか。 5人の屋台実践者へのインタビューと、都市や社会学、哲学など分野を超えた専門家へのインタビューなどを通して、現代の「屋台」から暮らし方、働き方、社会への関わり方などを考える。 屋台はまちへとび出し、踊る。 _____ 目次 1.屋台をつくり、動かす人たち──屋台実践者インタビュー 屋台実践者1 生きる選択肢としての屋台 今村謙人(カモメ・ラボ) 屋台実践者2 世界に幅と揺らぎあれ──抗い、作り、街に出る モリテツヤ(汽水空港) 屋台実践者3 生活範囲を走る!自転車屋台 鈴木有美(パーラー102) 屋台実践者4 毎夜東京をさまよう屋台 神条昭太郎(TWILLO) 屋台実践者5 医者、街に出る──屋台でウェルビーイングを 孫大輔(家庭医) 2.屋台のある風景 3.屋台再考──専門家レクチャー レクチャー1 失敗したらトンズラすればいい──その日暮らしの屋台学 小川さやか(文化人類学) レクチャー2 現代屋台の社会学 南後由和(社会学) レクチャー3 日常の小さなことに寄り添う 鞍田崇(哲学) レクチャー4 闇市の発生から都市が再生する 石榑督和(建築史・都市史) レクチャー5 ギブ・ギブ・ギブ!やることなすこと根拠なし 栗原康(政治学) 4.橋ノ上ノ屋台の一日 5.対談 屋台のある風景(は増えるか) 阿部航太「街は誰のもの?」+笹尾和宏「PUBLIC HACK」
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私の「結婚」について勝手に語らないでください。|クァク・ミンジ, 清水 知佐子(翻訳)
¥1,760
SOLD OUT
亜紀書房 2023年 ソフトカバー 248ページ 四六判 縦188mm 横130mm 厚さ18mm - 内容紹介 - 結婚しても、しなくても 私たちは結局“ひとり”を共に生きていく生き物なのだ。 ──前田エマさん(モデル) 「非婚」は結婚の「否定」ではない。 人と違う生き方に、大きな愛を贈ってくれる本。 ──安達茉莉子さん(作家・文筆家) * * * * * 累積聴取回数2000万回超! 話題のポッドキャスト「ビホンセ」制作兼進行役による〝結婚しない〟という選択。 --------- 「結婚しないんですか?」 「子供がほしくはないですか?」 「ひとりで寂しくないですか?」 ……非婚に対する偏見はまだまだ根深い。 * * * * * 非婚は結婚の反対ではなく、多様な生き方のひとつ。 自分の選んだ道に責任を持ち、時には弱音を吐いて傷つきながらも、自分を愛し、前に向かって進んでいく。 本書には、非婚でも結婚でも事実婚でも同性婚でも、人それぞれの生き方を尊重し、みんなが穏やかで楽しく暮らせるための温かなエッセンスが満載。 --------- 「結婚=幸せ」だなんてファンタジーじゃない?! 自分で選んで決めればいい。 目次 ■プロローグ──こんなテーマで本を書くなんて 非婚宣言──何もそんな決心までしなくても ■こんにちは、非婚です ■住む家のために結婚はできない ■結婚までは愛せない、あなたを愛したのだ ■非婚主義者のくせになぜ恋愛するのか ■甥や姪がそんなにかわいいなら自分の子を産めばいい ■ロングタイム・ノ氏ですね 非婚の冠婚葬祭──幸せと悲しみを分かち合うのに損も得もない ■私が暮らすあの家 ■私もお母さんみたいに生きたい ■非婚者の結婚式 ■非婚で生きるにはしっかり稼がないと ■私のお葬式で棺を担いでくれますか 非婚ライフ──自分と連れ添って生きる ■大田で生まれた色黒の子 ■私たちは互いの体を観察しながら成長した ■私のトリセツ ■好きだから線を引いたんです ■好みの発見 ■おばあさんの瞳にチアーズ! ■夫はいません。でも、推しはいます 非婚共同体──完璧に理解できなくても完全に愛することはできる ■ブックフェアに母が来た ■一緒に越えていく日曜日 ■笑っているうちに一緒にいかだの上に、しかもこんなに遠くまで ■知らない犬と飛行機に乗った ■あなたが死んだら ■私の祖母 ■どうしてあなたが非婚をとやかく言うんですか ■エピローグ ■訳者解説 - 著者プロフィール - クァク・ミンジ (クァク ミンジ) (著/文) 韓国・大田生まれ。高麗大学日本語・日本文学科卒業。エッセイスト、コラムニスト。広告やテレビ番組、モバイルコンテンツの制作者。非婚ライフ可視化ポッドキャスト「ビホンセ」の制作者兼進行役を務める。独立出版レーベル「アマルフェ」の代表でもある。比較的一人世帯の多いソウル・解放村在住。著書に『歩いてお祭り騒ぎの中へ』『私は悲しいとき、ポールダンスを踊る』などがある。 清水 知佐子 (シミズ チサコ) (翻訳) 和歌山生まれ。大阪外国語大学朝鮮語学科卒業。読売新聞記者などを経て、翻訳に携わる。訳書に、キム・ハナ、ファン・ソヌ『女ふたり、暮らしています。』、キム・ハナ『話すことを話す』『アイデアがあふれ出す不思議な12の対話』(以上、CCCメディアハウス)、朴景利『完全版 土地』、イ・ギホ『原州通信』(以上、クオン)、タブロ『BLONOTE』(世界文化社)などがある。
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アンジェラ・デイヴィスの教え 自由とはたゆみなき闘い|アンジェラ・デイヴィス, 浅沼 優子(訳)
¥3,630
河出書房新社 2021年 ハードカバー 256ページ 四六判 縦195mm 横136mm 厚さ25mm - 内容紹介 - 黒人解放運動をリードし、あらゆる抑圧と闘ってきた生ける伝説アンジェラ・デイヴィスが不正にみちた世界と闘うためのスピーチを集成。BLM以降注目される著者の入門書にして最新作。
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タイミングの社会学 ディテールを書くエスノグラフィー|石岡 丈昇
¥3,080
青土社 2023年 ソフトカバー 416ページ 四六判 - 内容紹介 - 紀伊國屋じんぶん大賞2024 第2位!! 【書評掲載】 伊藤亜紗氏「「時間」に濃縮された構造的暴力」(『毎日新聞』、2023年7月8日) 渡辺靖氏(『山陰中央新報』『下野新聞』『新潟日報』『琉球新報』他、2023年7月23日) フィールドワークが世界の見方を変える―― 舞台は、マニラの貧困地区。突然試合が中止だと告げられるボクサー、自宅が急に目の前で破壊されるスラム街の住人、常に主人の顔色を窺う家事労働者……。何が起こるかわからない明日を待ち、絶えざる今を生きのびるとはどういうことか。かれらが生きる時間のディテールをともに目撃し、ともに書くための理論と思想。
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「差別」のしくみ|木村 草太
¥1,980
朝日新聞出版 2023年 ソフトカバー 320ページ 四六判 - 内容紹介 - 「差別と偏見はどう違う?」「差別と区別は?」──差別が許されないことには、ほとんどの人が賛同する一方で、その定義は難しい。法律家の間でも、そのあいまいさに苦戦している。同性婚・夫婦別姓などのジェンダーをテーマにした「差別」から、人種をめぐる「差別」まで、その構造を気鋭の憲法学者が徹底検証する。
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子どもの文化人類学|原 ひろ子
¥1,100
筑摩書房 2023年 ちくま学芸文庫 ソフトカバー 272ページ 文庫判 - 内容紹介 - 極北のインディアンたちは子育てを「あそび」とし、性別や血縁に関係なく楽しんだ。親子、子どもの姿をいきいきと豊かに描いた名著。 解説 奥野克巳 === 極北の雪原に生きる狩猟民ヘヤー・インディアンたちにとって、子育ては「あそび」であり日々のこの上ない楽しみだった。ジャカルタの裏町に住むイスラム教徒は、子どもの喧嘩を「本人同士のビジネス」と言って止めずに眺めていた。本書は、環境や習慣が異なる社会における親子、子どものありかたをいきいきと描き出した文化人類学的エッセイである。どのような社会に生まれても子どもは幅広い可能性を内包しながら成長していくことが、みずからのフィールドワーク経験をもとにつづられる。鮮彩なエピソードの数々が胸を打つ名著。 === 成長の道はひとつではない 子どもの豊かな可能性をひらく名著 === 目次 1切ることと創ること 2親の仕事を知らない子どもたち 3からだとつきあう その一 4からだとつきあう その二 5一人で生きること 6けんかをどうとめるか 7親子のつながり 8あそび仲間のこと 9「あそび」としての子育て 10「親にならない」という決断 11自然の中で作るおもちゃ 12きびしい自然の中の子育て 13〝自然みしり〞をする 14「子どもぎらい」の文化 15母系制社会の子ども 16男女の分業について 17キブツの男女・親子関係 18バングラデシュの女の子たち 19〝がめつさ〞について 20男の子の「家出」について 21しつけの男女差 22離婚と子ども その一 23離婚と子ども その二 24ディズニーランドの文化 25文化のなかの教育 その一 26文化のなかの教育 その二 27文化のなかの教育 その三 あとがき 解説(奥野克巳) - 著者プロフィール - 原 ひろ子 (ハラ ヒロコ) (著/文) 1934-2019年。東京大学教養学部卒業。ブリンマー大学大学院修了。文化人類学、ジェンダー研究が専門。拓殖大学助教授、法政大学助教授、お茶の水女子大学名誉教授などを歴任した。主な著書に『ヘヤー・インディアンとその世界』、『極北のインディアン』、『人間はわかりあえるか──ある文化人類学者の旅』、『しつけ』(共著)などがある。
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『忘れられた日本人』をひらく 宮本常一と「世間」のデモクラシー|畑中 章宏, 若林 恵
¥1,760
黒鳥社 2023年 ソフトカバー 208ページ 新書判 - 内容紹介 - 宮本常一は民主主義の理論家だ!──宇野重規(政治学者) 不世出の民俗学者・宮本常一の主著のひとつであり、今なお愛され読み継がれる『忘れられた日本人』。そこに描かれた日本人の姿を、ノスタルジアや復古主義に陥ることなく、グローバリズムとナショナリズムとが錯綜する21世紀の世界のなかにいかに価値づけ、その可能性をひらくことができるのか。民俗学者・畑中章宏と編集者・若林恵が、「忘れられた日本人」の新たな姿をさがす、寄り道だらけの対話篇。 『宮本常一:歴史は庶民がつくる』『感情の民俗学』(畑中章宏)と『実験の民主主義』(宇野重規+若林恵)の必読副読本! 【目次】 はじめに 若林恵 1. 翻訳 translation 2. 反作用 reaction 3. 寄合 consensus 4. 実施 practice 5. 経営体 enterprise 6. 海賊 pirates 7. 世間 worldly 8. 環世界 unwelt 9. 進歩 progress 10. 実験 experiment 11. 道具 tools 12. 伝承 lore おわりに 畑中章宏 - 著者プロフィール - 畑中 章宏 (ハタナカ アキヒロ) (著/文) 大阪府大阪市生まれ。民俗学者。著書に『災害と妖怪』(亜紀書房)、『蚕』(晶文社)、『天災と日本人』(ちくま新書)、『21世紀の民俗学』(KADOKAWA)、『死者の民主主義』(トランスビュー)、『五輪と万博』(春秋社)などがある。 若林 恵 (ワカバヤシ ケイ) (著/文) 黒鳥社コンテンツ・ディレクター。平凡社『月刊太陽』編集部を経て2000年にフリー編集者として独立。以後、雑誌、書籍、展覧会の図録などの編集を多数手がける。音楽ジャーナリストとしても活動。2012年に『WIRED』日本版編集長就任、2017年退任。2018年、黒鳥社設立。著書・編集担当に『さよなら未来』『次世代ガバメント 小さくて大きい政府のつくり方』『GDX :行政府における理念と実践』『だえん問答 コロナの迷宮』『働くことの人類学【活字版】』など。「こんにちは未来」「blkswn jukebox」「音読ブラックスワン」などのポッドキャストの企画制作でも知られる。
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ポスト・ヨーロッパ 共産主義後をどう生き抜くか | スラヴェンカ ドラクリッチ, 栃井 裕美(訳)
¥3,300
人文書院 2023年 ソフトカバー 282ページ 四六判 縦188mm 横132mm 厚さ20mm - 内容紹介 - 分断されたヨーロッパの複合的な肖像。カフェ・ヨーロッパ、ふたたび 東側の人々を失望させたものは何であったのか? なぜオルバーン首相に支持が集まるのか? 民主主義への不信はどこへ向かうのか? ヨーロッパの光と影を描き出す。 ポスト共産主義の虚像と現実とは。 -----ティモシー・スナイダー激賞! 深遠で痛烈に面白い! 共産主義終焉から30年後の東欧。ストックホルムでオウムを連れた移民、リヴィウの少女の写真、スコピエのアレキサンダー大王の彫刻、ソ連軍によるプラハ侵攻50周年の記念式典など、東欧の現在の政治的・社会的問題を垣間見ることができる刺激的でタイムリーな政治的ルポルタージュ。東欧のボーヴォワールともいわれ、内戦を経験した旧ユーゴ出身のジャーナリストが鋭くえぐる西側の論理からだけではみえないポスト共産主義のヨーロッパ事情。 目次 日本語版に寄せて 序文 想定外の変化 昔々、一九八九年のある日のこと ヨーロッパのフードアパルトヘイト---すべての胃袋は同じにあらず? ウクライナの不機嫌な女の子---人は何を見て、何を見落とすのか アンゲラおばさんとドナルト・トランプの会談---アンゲラ・メルケルとオルバーン・ヴィクトルのシーソーゲーム 一九六八年プラハ:なぜ共産主義はウールのセーターに似ているのか---あるいは、犠牲者の追悼が不快な理由 女性、ハラスメント、東、西---暴力に耐性のある女性なんていない 恐怖を煽る---ナショナリズムが感情を呼び起こす理由 北マケドニア共和国---より良い過去をいかに構築するか スウェーデンのオウム、移民問題など---かつての移民と新たな難民をめぐって お気に入りのカード---一枚の魔法のプラスチックカードにできた亀裂 ロスト・イン・トランジション----社会的所有から私有財産への長い道のり ホロコーストと盗まれた記憶---追悼のさまざまな方法をめぐって ヨーロッパ合州国?---東欧の移民熱 未来の音楽---二〇一一年イタリア:古きよきヨーロッパ、新たなヨーロッパ、変わりゆくヨーロッパ 私のブレグジット 謝辞 訳者あとがき - 著者プロフィール - スラヴェンカ ドラクリッチ (スラヴェンカドラクリッチ) (著) 【著者】スラヴェンカ・ドラクリッチ(Slavenka Drakulić) クロアチアのジャーナリスト、作家。1949 年アドリア海の港町リエカに生まれる。ザグレブ大学で比較文学と社会学を専攻。旧ユーゴ初のフェミニスト団体「女性と社会」を創設し、東欧初のフェミニストの本『フェミニズムの大罪』(1984 年)を発表する。ユーゴ紛争を機にスウェーデンへ移住。文学的ルポタージュ『バルカン・エクスプレス』(1993 年/ 邦訳1995年、三省堂)や『カフェ・ヨーロッパ』(1996 年/ 邦訳1998 年、恒文社)は欧米で大評判となる。ボスニア戦争時の集団レイプを題材とした小説エス:バルカン半島をめぐる小説』(1999年)は映画化もされた。ウクライナ侵攻を受けて発表された『戦争はどこでも同じ』(2022 年)は、かつての当事者として同じ過ちを繰り返さないよう問いかける渾身の一作。各著ヨーロッパ各国をはじめ、アメリカやアジアで翻訳されている。 栃井 裕美 (トチイヒロミ) (訳) 2003 年~2007 年セルビア共和国留学。2007 年ベオグラード大学哲学部修士課程修了。2010 年~2013 年日本学術振興会特別研究員。5 年間のシンガポール滞在の後帰国。共著書に『学問の森へ―若き探求者による誘い』(中部大学、2001年)。