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私たちに名刺がないだけで仕事してこなかったわけじゃない 韓国、女性たちの労働生活史 | 京郷新聞ジェンダー企画班, すんみ(訳), 尹 怡景(訳)
¥2,420
SOLD OUT
大和書房 2025年 ソフトカバー 272ページ 四六判 縦188mm 横130mm 厚さ16mm - 内容紹介 - prologue ありふれた声を求めて WAY TO WORK 出勤一日目 ほら見ろ、これが女性たちの人生だぞ。 WAY TO WORK 出勤二日目 私たちが働いていないだと? WAY TO WORK 出勤三日目 男尊女卑からフェミニズムまで WAY TO WORK 出勤四日目 ここは都会と違うんです WAY TO WORK 出勤五日目 今日も出勤する女性たち Epilogue 彼女たち一人一人が、一冊の本だった
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イスラエルについて知っておきたい30のこと | 早尾 貴紀
¥2,090
平凡社 2025年 ソフトカバー 256ページ 四六判 - 内容紹介 - 2023年10月7日に起きたハマースの蜂起から約15カ月半後の2025年1月19日、イスラエルとハマースの間で6週間の「停戦」合意がなされた。 イスラエルの一方的な爆撃によりガザ地区の公共施設や主要インフラは壊滅的な状況に陥り4万人超が死亡、その大半は子どもや女性だったとされる。 だが、イスラエルによる暴力はいまに始まったことではない。 1948年のイスラエル建国前からシオニストたちはパレスチナの地の略奪を目標に、欧米や周辺諸国を巻き込み、暴力を繰り返してきた。 キリスト教福音派のシオニズムへの接近、ホロコーストの政治利用、ユダヤ教とシオニズムの対立、PLOの挫折、オスロ合意の欺瞞、〈10・7〉蜂起、そしてイスラエルが描く「ガザ2035」の未来図とは? いま私たちがパレスチナ問題を考えるための基本書。 「停戦」は、一般的な国家戦争の停戦とは全く異なり、イスラエルによる一方的なガザ地区でのジェノサイドの「一時停止」にすぎません。 ガザ地区の占領も封鎖も変わらず、またやはり占領下のヨルダン川西岸地区で続いているイスラエル軍の侵攻と入植者による襲撃・収奪も止まることがないのです。――「あとがき」より 【目次】 前史 ユダヤ人はなぜ差別されてきたのか 第1部 19世紀~1948年 イスラエルはどのようにしてつくられたのか 1.シオニズムはどのように誕生したのか/2.植民地主義とシオニズムの関係とは/3.シオニズムの物語とは/4.イスラエルはどのように建国されたのか(1)/5.イスラエルはどのように建国されたのか(2)/6.イスラエルはどのように建国されたのか(3)/7.国際社会の責任とは/8.イスラエル建国に対する世界の思想は 第2部 1948年~90年代 イスラエルはどんな国か――占領政策、オスロ合意まで 1.建国されたイスラエルはどんなところか/2.イスラエルの産業とは/3.イスラエルには誰が住んでいるのか/4.イスラエルはどのように国民統合を図ったのか/5.ホロコーストと宗教の利用/6.1967年以降の占領政策とは/7.パレスチナの抵抗運動とは/8.オスロ合意とはなにか(1)/9.オスロ合意とはなにか(2)/10.オスロ合意に対する世界の思想は 第3部 2000年代~ オスロ合意後のイスラエルはどうなっているか 1.第2次インティファーダ後の一方的政策とは/2.イスラエルはなぜハマースを敵視するのか/3.パレスチナの民意へのイスラエルの反応は/4.〈10・7〉蜂起とは/5.〈10・7〉とは何だったのか/6.ガザ侵攻でなにか起きているのか/7.ガザ侵攻でイスラエルが得る利益とは/8.イスラエル国内でのガザ侵攻の受けとめ方は/9.イスラエルはガザ侵攻後をどのように考えているのか/10.世界の反応は/11.ガザ侵攻に対する世界の思想は/12.私たちになにができるのか - 著者プロフィール - 早尾 貴紀 (ハヤオ タカノリ) (著) 1973年生まれ。東京経済大学教員。専門は社会思想史。2002~04年、ヘブライ大学客員研究員として東エルサレムに在住し、西岸地区、ガザ地区、イスラエル国内でフィールドワークを行う。著書に『国ってなんだろう?』『パレスチナ/イスラエル論』『ユダヤとイスラエルのあいだ』、訳書にイラン・パぺ『パレスチナの民族浄化』(田浪亜央江との共訳)、サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ』(岡真理、小田切拓との共編訳)、ジョー・サッコ『ガザ 欄外の声を求めて』などがある。
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「わかってもらう」ということ 他人と、そして自分とうまくやっていくための言葉の使い方 | 川添 愛
¥1,925
KADOKAWA 2025年 ソフトカバー 216ページ B5変形判 - 内容紹介 - 「伝わらない」「わかり合えない」が蔓延し、どこかぎすぎすした世の中で、 私たちはもどかしい思いをしています。 思いが相手に「伝わる」先の、「わかってもらう」に至るために―― 気鋭の言語学者にして作家として活躍する著者が、 「たいしてわかってもらえない人間」から、 「そこそこわかってもらえる人間」になるまでに得た教訓。 【目次】 第一章 わかってもらうための大前提 第二章 聞いてもらう 第三章 質問をわかってもらう 第四章 連絡・依頼・指示をわかってもらう 第五章 説明をわかってもらう 第六章 意見をわかってもらう 第七章 感覚・感情をわかってもらう 第八章 言葉を選ぶ - 著者プロフィール - 川添 愛 (カワゾエ アイ) (著) 1973年生まれ。九州大学文学部卒業、同大学大学院にて博士(文学)取得。2008年、津田塾大学女性研究者支援センター特任准教授、12年から16年まで国立情報学研究所社会共有知研究センター特任准教授。専門は言語学、自然言語処理。現在は作家としても活動している。著書に『言語学バーリ・トゥード(〈Round 1〉〈Round 2〉)』『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット』『ヒトの言葉 機械の言葉』『ふだん使いの言語学』など。
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SNS時代のメディアリテラシー ウソとホントは見分けられる? | 山脇 岳志
¥1,320
ちくま書房 2024年 ちくまQブックス ソフトカバー 128ページ 四六変形判 - 内容紹介 - ニュース、SNSの投稿、動画からAIまで。情報にあふれた現代で、デマに流されず信頼できるものを選びとり、自分の世界を広げるためにはどうしたらいい? よく考え、ちゃんと対話するための道具として情報を使いこなす、あたらしいメディアリテラシーの教科書。 === ●気がつけばネットばかり見ていた! 気を付けることは? ●誤情報はSNSよりも直接の会話で広まる? ●新聞記者はどうやって事実確認をしている? ●人間のバイアスにはどんなものがある? ●すべての情報は切り取られている…… 演習も交えつつ、メディアリテラシーの必須知識を網羅。子どもから大人まで役に立つ、学校の先生にもおすすめの本です。 === (・・・)総じて言えばアメリカ人全体で、マスメディアを信頼している人は3割程度にまで下がってしまっています。 私はアメリカのそうした姿をみて衝撃を受け、メディアとは何か、どういう問題がありどういう役割を果たすべきなのかについて、真剣に考えるようになりました。そして日本に戻ってきたときに、人々のメディア接触と価値観との関係を客観的に調べるための世論調査や、メディアに関する教育に携わりたいと思い、現在のスマートニュース メディア研究所に転職しました。 問題意識の根っこには、日本がアメリカのような分断社会になってほしくないという思いがあります。一人一人がマスメディアやソーシャルメディアの仕組み、それと人間の心理や社会との関係についての理解を深め、物事を多様な視点でみていくことが、暮らしやすい社会に結びつくと思うからです。 この本では、第4章まで、1つの章ごとにポイントを示します。そして最終章である第5章では、そのポイントに通底する「クリティカルシンキング」について解説し、「メディアや情報と上手につきあって自分の人生に活かせる人になること」、つまりメディアリテラシーを身につけてもらうことを目指したいと思います。(「はじめに」より) - 目次 - はじめに 情報におぼれてしまう? 第1章 友達のウワサ、聞いたらどうする? 第2章 事実はどうしたらわかる? 第3章 ニュースの見出しをつけてみよう 第4章 テクノロジーと人間のクセを理解しよう 第5章 クリティカルシンキングを身につけよう - 著者プロフィール - 山脇 岳志 (ヤマワキ タケシ) (本文) 山脇岳志(やまわき・たけし):1964年、兵庫県生まれ。京都大学法学部卒。1986年、朝日新聞社に入社。経済部記者、オックスフォード大客員研究員(Reuter Fellow)、ワシントン特派員、論説委員などを経て、「GLOBE」の創刊に携わり、編集長を務めた。2013年-17年までアメリカ総局長。帰国後、編集委員としてコラムを担当したのち退社。2020年、スマートニュース メディア研究所の研究主幹に就任。2022年より同研究所所長。2021-24年、京都大学経営管理大学院特命教授。現在は帝京大学経済学部客員教授を兼務。著書に『日本銀行の深層』、『郵政攻防』、編著に『現代アメリカ政治とメディア』、『メディアリテラシー 吟味思考を育む』などがある。
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となりの陰謀論 | 烏谷 昌幸
¥990
SOLD OUT
講談社 2025年 講談社新書 ソフトカバー 208ページ 新書判 - 内容紹介 - トランプは「闇の政府」と戦っている!? オバマもバイデンもすでに処刑された!? 陰謀論はどこで生まれるのか。 そして、なぜ信じてしまうのか。 現代世界を蝕む病の正体を、気鋭のメディア研究者が明かす! 「陰謀論を生み出し増殖させるのは、人間の中にある「この世界をシンプルに把握したい」という欲望と、何か大事なものが「奪われる」という感覚です。これらの欲望や感覚は一部特定の人間だけが持つというよりは、社会状況に応じて誰の中にも芽生えてくるものだからです。 本書を通じて、陰謀論が誰にでも関わりのある身近な問題であり、それゆえ現代社会の抱える根源的な諸課題と深いところでつながっていることへと思いを馳せてもらえるのであれば、筆者としては望外の喜びです。 陰謀論は非常識な「彼ら/彼女ら」の問題ではなく、現代を生きる「われわれ」自身の問題であることに気づくことが、「陰謀論が支配する社会」という最悪のシナリオを回避するための肝心な一歩だと思います。」 ――「はじめに」より 【本書の内容】 ・「パラレルワールド化」する世界 ・陰謀論は「誰もが持っている」 ・トランプとヒトラーの手法の共通点 ・陰謀論を拡散する「意外な犯人」 ・秘密結社「フリーメイソン」と陰謀論 ・アメリカの「不正選挙陰謀論」はなぜ拡散したか? ・自尊心を支える「陰謀論的思考」 ・トランプが惨敗した「屈辱の夜」 ・アメリカの病を映し出す「あるベストセラー」 ・日本に忍び寄る「陰謀論政治」のあやうさ ・「陰謀論による支配」を回避するために ・馬鹿げた陰謀論ほど恐ろしい効果を生む ……ほか - 目次 - はじめに 第一章 陰謀論とは何か 第二章 陰謀論が生む「パラレルワールド」 第三章 「陰謀論政治」はなぜ生まれるのか 第四章 陰謀論を過小評価してはならない おわりに - 著者プロフィール - 烏谷 昌幸 (カラスダニ マサユキ) (著) 一九七四年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科教授。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。主な著書に 『シンボル化の政治学――政治コミュニケーション研究の構成主義的展開』(新曜社、二〇二二年)、『ソーシャルメディア時代の「大衆社会」論――「マス」概念の再検討』(共著、ミネルヴァ書房、二〇二四年)、訳書に『陰謀論はなぜ生まれるのか――Qアノンとソーシャルメディア』(共訳、慶應義塾大学出版会、二〇二四年)。
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なぜ社会は変わるのか はじめての社会運動論 | 富永 京子
¥1,100
講談社 2025年 講談社新書 ソフトカバー 272ページ 新書判 - 内容紹介 - 社会はひとりでに変わっていくわけではない。そこには必ず「変えた」人たちがいる。 デモにストライキ、不買運動…社会運動はどのようにして起きるのか。 気鋭の社会学者による、日本初となる社会運動論の入門書! 【目次】 第一章 社会運動とはなにか 第二章 集合行動論 人々は怒り・不平・不満から立ち上がる? 第三章 フリーライダー問題から資源動員論へ 資源と組織が運動を制する 第四章 政治過程論/動員構造論 既存のつながり、政治側の動向、「成功しそう」と思えるかどうか 第五章 政治的機会構造論 政治の側の「聞く耳」を計測する 第六章 フレーム分析 社会運動の「伝え方」と「受け取り方」 第七章 新しい社会運動論 マイノリティによる私的な領域を通じた運動 第八章 社会運動と文化論 資源でも組織でも政治的機会でもなく 第九章 2000年代の社会運動論 MTTの理論と経験運動論 第十章 社会は社会運動であふれている - 著者プロフィール - 富永 京子 (トミナガ キョウコ) (著) 1986年生まれ。立命館大学産業社会学部准教授。専攻は社会運動論。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程・博士課程修了後、日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、2015年より現職。著書に『社会運動のサブカルチャー化』(せりか書房)、『みんなの「わがまま」入門』(左右社)、『「ビックリハウス」と政治関心の戦後史』(晶文社)、論文に ”Social reproduction and the limitations of protest camps: openness and exclusion of social movements in Japan”, Social Movement Studies 16(3)がある。
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差別はたいてい悪意のない人がする 見えない排除に気づくための10章 | キム ジヘ, 尹 怡景(訳)
¥1,760
大月書店 2025年 ソフトカバー 256ページ 四六判 - 内容紹介 - あらゆる差別はマジョリティには「見えない」。日常の中にありふれた 排除の芽に気づき、真の多様性と平等を考える思索エッセイ。 - 目次 - プロローグ あなたには差別が見えますか? I 善良な差別主義者の誕生 1章 立ち位置が変われば風景も変わる 2章 私たちが立つ場所はひとつではない 3章 鳥には鳥かごが見えない II 差別はどうやって不可視化されるのか 4章 冗談を笑って済ませるべきではない理由 5章 差別に公正はあるのか? 6章 排除される人々 7章 「私の視界に入らないでほしい」 III 私たちは差別にどう向きあうか 8章 平等は変化への不安の先にある 9章 みんなのための平等 10章 差別禁止法について エピローグ わたしたち 訳者あとがき 解説 韓国における差別禁止の制度化とそのダイナミズム(金美珍)
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大学生がレイシズムに向き合って考えてみた【改訂版】 差別の「いま」を読み解くための入門書 | 貴堂 嘉之(監修), 一橋大学社会学部貴堂ゼミ生&院ゼミ生有志(著)
¥1,760
明石書店 2025年 ソフトカバー 172ページ A5判 - 内容紹介 - 身近なことからそもそもの概念、アメリカの奴隷制まで――レイシズムをめぐるさまざまな「問い」にアメリカ史ゼミの学生たちが歴史を紐解き、真摯に向き合った、レイシズムを学ぶための「超」入門書。読書案内をもさらに充実させた待望の改訂版。 - 目次 - はじめに 第1章 身近なこと編 Q1 日本にレイシズムってあるの? Q2 民族差別って人種差別となにが違うの? Q3 障がい者に対する差別事件はどうして起こるの? Q4 部落差別ってそもそもなに? Q5 なんで日本は移民・難民に優しくないの? Q6 日本における「日本人」って誰のこと? Q7 「日本語上手ですね」のなにがいけないの? Q8 「ハーフ」って呼んだらダメ? Q9 日本は人種差別を禁止しないの? コラム1 “美白”はレイシズムって本当? コラム2 日本は単一民族国家ってなぜ言われてきたの? 第2章 そもそも編 Q10 レイシズムはそもそもどんな考えなんだろう? Q11 いつレイシズムが生まれたの? Q12 レイシズムと優生思想って関係あるの? Q13 ステレオタイプと偏見、差別ってなに? Q14 レイシズムは奴隷貿易や奴隷制の歴史とどんな関係があるの? Q15 植民地支配とレイシズムってどう関係しているの? コラム3 奴隷制・植民地支配の賠償問題と人種資本主義 Q16 人種差別撤廃に向けて国際社会はどのように取り組んだの? Q17 白人って誰のこと? コラム4 アカデミー賞受賞者はなぜ白人が多いと批判されたの? コラム5 文化の盗用ってなに? 第3章 アメリカ編 Q18 アメリカは「自由」と「平等」の国と言われるのに、なぜこんなにレイシズムが激しいの? Q19 奴隷制下で黒人たちはどのように闘ってきたの? Q20 奴隷解放ってなんだったの? Q21 公民権運動で人種差別が終わらなかったのはどうして? Q22 BLMってなに? コラム6 インターセクショナリティ コラム7 アメリカの異人種間結婚 Q23 黒人は悪いことをするから差別されるんじゃないの? Q24 先住民はなにを奪われてきたの? Q25 移民の国なのにどうして「不法移民」が生まれるの? Q26 アメリカでのアジア系の人々への差別はコロナ禍をきっかけに始まったの? Q27 日系人はアメリカでどのように差別を乗り越えようとしてきたの? Q28 イスラム教徒はアメリカでどのように差別されてきたの? Q29 なぜトランプが支持されたの? 座談会 わたしたちはレイシズムにどのように向き合えばいいの? 読書案内/各Qの参考文献 あとがき 前書きなど はじめに (…前略…) (……)レイシズムはアメリカをはじめとする諸外国の課題のみならず、日本社会に生きるわたしたちとも深く関係している問題です。「日本は単一民族国家である」という見方や言説は、日本社会とレイシズムの関係を見えにくくさせており、政治家などによるこの言説を肯定する度重なる発言は、民族的マイノリティ性を持ち合わせる市民を想定せず、歴史に無理解であるとして度々問題視されています。アイヌ民族、琉球・沖縄民族、在日コリアン、華僑、「ハーフ」をはじめ、日本社会にはさまざまなルーツを持つ人々がともに暮らし、ますます社会は多様化を進行させています。そして、レイシズムは民族性のみならず、実は部落差別や障がい者差別とも関係しているのです。 アメリカ社会史を専門とする一橋大学・貴堂嘉之教授のゼミ生である学部生・院生のわたしたちにとって、昨今のレイシズムをめぐる諸課題は決して看過することができないものでした。2020年のBLM運動以降、アメリカに留学し、学びを深めた者。同運動を契機に、大学院に進学を決意した者。国内からでもアジアン・ヘイトを含めあらゆる差別に対して反対の意を示し、少しでも知ろうと文献を手に取る者。ゼミの授業内でもBLM運動、奴隷制の関連著書を輪読するなど、わたしたちは微力ながらもレイシズムに関心を示し、学びを紡いできました。だからこそこの学びをより広く社会に生きる一人ひとりに還元し、多くの方とレイシズムについてともに考えていく場をつくりたい――。そんな思いから、わたしたち学生の手でこの入門書を刊行するに至りました。 わたしたちはまだ学びを深めている最中であり、専門家ではありません。しかし、だからこそ読者のみなさん一人ひとりと「ともに」考え、レイシズムを根絶する社会をつくるための一助となりたいと考えています。この入門書を、手にしていただいたみなさんがレイシズムと向き合い、ともに考え、議論をつくり出すきっかけのひとつとなれるのであれば、大変嬉しく思います。 - 著者プロフィール - 貴堂 嘉之 (キドウ ヨシユキ) (監修) 1966年、東京生まれ。一橋大学大学院社会学研究科教授。博士(学術)。専門はアメリカ合衆国史、人種・エスニシティ・ジェンダー研究、移民研究。著書に『アメリカ合衆国史② 南北戦争の時代 19世紀』(岩波新書、2019年)、『移民国家アメリカの時代』(岩波新書、2018年)、『アメリカ合衆国と中国人移民――歴史のなかの「移民国家」アメリカ』(名古屋大学出版会、2012年)。共編著に『「ヘイト」の時代のアメリカ史――人種・民族・国籍を考える』(彩流社、2017年)、『「ヘイト」に抗するアメリカ史――マジョリティを問い直す』(彩流社、2022年)など。 一橋大学社会学部貴堂ゼミ生&院ゼミ生有志 (ヒトツバシダイガクシャカイガクブキドウゼミセイアンドインゼミセイユウシ) (著) アメリカ合衆国史・アメリカ研究のゼミナール。本書は、コロナ禍の2021年度・2022年度の学部ゼミに在籍していた学部生(学部3年生、4年生が所属)と、そこに参加していた院ゼミ生有志が中心になって作成されました。学部も大学院も、貴堂ゼミには、アメリカ合衆国の人種問題、移民問題、ジェンダー・イシューなどに関心を持つ学生が集い、ゼミでは毎週、文献輪読をし、卒論や修論に向けての研究発表などを行っています。
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大日本いじめ帝国 戦場・学校・銃後にはびこる暴力 | 荻上チキ, 栗原俊雄
¥1,870
SOLD OUT
中央公論新社 2025年 ソフトカバー 224ページ 四六判 - 内容紹介 - 戦時下、いじめは大量生産されていた。 全裸での身体検査、牢獄のごとき学童疎開、自殺率世界一位の日本軍…… 「女子と女子を向かい合わせて、往復ビンタを食らわせた」 「犬の鳴き声を出して班内を回るのだ」 「何が戦死なものか。彼は殴り殺されたのです」 最新のいじめ研究があぶりだす、戦時下の暴力と現代日本の課題。 数多くの証言と時代背景を整理し、陰惨さの実相に迫る。 - 著者プロフィール - 荻上チキ (オギウエチキ) (著) 1981年生れ。評論家。ラジオ番組「荻上チキ・Session」(TBSラジオ)パーソナリティ。NPO法人ストップいじめ!ナビ代表理事。社会調査支援機構チキラボ所長。「荻上チキ・Session-22」にて、2015年度、16年度とギャラクシー賞を受賞(DJパーソナリティ賞およびラジオ部門大賞)。著書に『いじめを生む教室』『もう一人、誰かを好きになったとき―ポリアモリーのリアル―』『社会問題のつくり方 困った世界を直すには?』など、共著に「みらいめがね」シリーズ、『不適切な関わりを予防する 教室「安全基地」化計画』などがある。 栗原俊雄 (クリハラトシオ) (著) 1967年生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒、同大学院修士課程修了。96年毎日新聞入社。2020年専門記者(日本近現代史、戦後補償史)。著書に『特攻―戦争と日本人』『東京大空襲の戦後史』『戦争の教訓 為政者は間違え、代償は庶民が払う』『硫黄島に眠る戦没者 見捨てられた兵士たちの戦後史』『戦後補償裁判 民間人たちの終わらない「戦争」』などがある。
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西洋近代の罪 自由・平等・民主主義はこのまま敗北するのか | 大澤 真幸
¥1,155
朝日新聞出版社 2025年 朝日選書1000 ソフトカバー 352ぺージ 新書判 - 内容紹介 - 終わりが見えないウクライナ戦争にガザ戦争。トランプ大統領の再選で、自由・平等を基盤とする民主主義がゆらいでいる。ヨーロッパにおける右派勢力の躍進から、選挙のたびに民主主義に亀裂が入っているように見える。社会の現状を的確に分析し、普遍的な価値の意義と日本の取るべき道を問い直す、実践社会学講義。
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【サイン本】縄文 革命とナショナリズム | 中島 岳志
¥3,080
SOLD OUT
太田出版 2025年 ソフトカバー 432ぺージ 四六変型判 - 内容紹介 - 戦後日本は何につまずき、いかなる願望を「縄文」に投影したのか。 岡本太郎が縄文を発見し、思想家、芸術家たちのなかで縄文への関心が高まった。柳宗悦ら民芸運動の巨匠たちが縄文に本当の美を見いだし、島尾敏雄が天皇以前の原日本人の姿を託し、吉本隆明を南島論へと向かわせた。縄文は日本赤軍のイデオロギーにも取り込まれ、オカルトを経由しニューエイジ、スピリチュアリズムに至る。梅原猛が霊的世界を称揚する縄文論を展開し、「縄文ナショナリズム」を生み出すことになった。それは、一九九〇年代の右傾化現象のなかでさらに裾野を広げている。 戦後日本人の新たな精神史。 あらゆる「日本」が投影される縄文の現代史を網羅し、 その思想の体系を詳述した重要な一冊。 ――いとうせいこう アナーキストも保守思想家も、縄文には夢をたくしてきた。 その系譜を細大もらさずおいかける、超古代幻想の現代史。 ――井上章一 - 目次 - 序章 戦後日本が「縄文」に見ようとしたもの 火起こし器に魅了される/線刻壁画と死者の世界/プリミティブへの憧憬――ルソーにおける「透明」と「障害」/縄文をめぐる戦後精神史へ 第一章 岡本太郎と「日本の伝統」 縄文発見 日本とは何か/国立博物館「日本古代文化展」/一九五一年十一月七日/日本の伝統とは何か/縄文vs弥生/縄文土器――「アシンメトリーと不調和のバランス」/「四次元的性格」/掲載された写真 対極主義と「日本の伝統」 闘いとしての芸術/人類博物館とマルセル・モース/バタイユとコジェーヴ/日本の「伝統」への失望と「対極主義」/縄文土器に見出したもの/縄文土器論の加筆/秋田の「なまはげ」――原始宗教の現われ/花巻の鹿踊り/民芸運動への懐疑 第二章 民芸運動とイノセント・ワールド 民芸運動と「原始工芸」 東京高等工業学校窯業科/図案家・杉山寿栄男と「原始文様」/芹沢銈介と芹沢長介/日本民藝館での「アイヌ民芸品大展観」 濱田庄司の縄文土器づくり 藤森栄一と白崎俊次/濱田庄司への依頼/縄文人は「日本の民芸の先祖」/古代土器複 製標本がもたらしたもの 最後の柳宗悦 イノセント・ワールド/古丹波の「灰被」/岩偶/「美の浄土」としての縄文 第三章 南島とヤポネシア 島尾敏雄の「ヤポネシア」論 南島論の興隆/大東亜戦争と南島経験/「治癒」と「救魂」/「ヤポネシア」論/古代 の生活が息づく南島 吉本隆明『共同幻想論』と「異族の論理」 吉本隆明『共同幻想論』/島尾敏雄×吉本隆明/「異族の論理」 ヤポネシアと縄文 谷川健一「<ヤポネシア>とは何か」/島尾敏雄の苦悩/縄文へ/縄文という「反体制的異端のバイタリティー」/「未来の縄文」 第四章 オカルトとヒッピー 空飛ぶ円盤と地球の危機 カウンターカルチャー/宇宙人との会見/超古代史へ/日本空飛ぶ円盤研究会と三島由紀夫/CBA(宇宙友好協会)と地球の危機/「古代宇宙人来訪説」と「宇宙考古学」/古代に現れた「太陽円盤」/古代太陽王国vs天皇/遮光器土偶は宇宙服を着ている/手塚治虫『勇者ダン』と「宇宙考古学」/北海道でのピラミッド建設 原始に帰れ!――ヒッピーとコミューン ヒッピーの誕生/新宿・風月堂/「われわれはいまだ知られざる文明の原始人である」 /部族と原始コミューン/「原始に帰れ」/コミューンの行き詰まり/列島改造論と南島/奄美大島の無我利道場/「原子化」から「原始化」へ 第五章 偽史のポリティクス――太田竜の軌跡 偽史と革命 華青闘告発/八切止夫の原住民史観/『日本原住民史』の出版/梅内恒夫「共産主義者 同盟赤軍派より日帝打倒を志すすべての人々へ」/八切史観からの影響とズレ/三人の世界革命浪人(ゲバリスタ)へ 「辺境」への退却 スターリンへの懐疑とトロツキーへの共感/辺境の最深部へ/そして、原始へ/日本帝 国主義の打倒/世界革命浪人(ゲバリスタ)と「反日本」/アイヌへの接近/「アイヌ革命論」と八切史観/梅内論文への応答/第二十六回日本人類学・民族学連合大会への乱入/シャクシャイン像台座削り取り事件から北海道連続テロ事件へ スピリチュアリティ・陰謀論・ナショナリズム 体調不良と「自然観の革命」/自然食=マクロビオティックへの傾倒/「原始の食」を取り戻す/桜沢如一の皇国主義をどう超えるか/再び日本原住民論へ/権藤成卿の社稷/UFO製作と一神教批判/日本人の使命と宇宙計画/家畜全廃論とエコロジー運動/ユダヤ陰謀論・縄文回帰・国粋主義/「縄文スメラミコト皇統」/縄文日本文明が世界を救済する 第六章 新京都学派の深層文化論――上山春平と梅原猛 上山春平の照葉樹林文化論 今西錦司の共同研究グループ/中尾佐助「照葉樹林文化論」の誕生/発想の元となった マナスル登山隊偵察隊/上山春平が探究した「日本文化の深層」/「山岳的」で「山棲み的」な日本文化/柳田國男と江上波夫への批判/盟友・梅原猛との対話 梅原猛――縄文とアイヌ 梅原日本学/「民族の基本的精神」/北海道へ/藤村久孝との出会い/金田一京助とい う壁/大野晋との対決――古代日本とアイヌ語/埴原和郎との出会い/東北への旅/呪術と精霊/「縄魂弥才」の日本/中曽根康弘首相との蜜月/「蘇る縄文」――狩猟採集文化の先進性/日本の精神が新しい世界の原理となる/国際日本文化研究センターへの批判/梅原日本学は国粋主義か/「森の思想」とエコロジー 終章 縄文スピリチュアルと右派ナショナリズム 「縄文」vs「弥生」/縄文左派――<天皇の超克>と<魂の救済>/一九八〇年代――精神世界とナショナリズム/西尾幹二『国民の歴史』と新しい歴史教科書をつくる会/スピリチュアルなナショナリズム あとがき 参考文献 - 著者プロフィール - 中島 岳志 (ナカジマ タケシ) (著) 1975年大阪府生まれ。東京科学大学リベラルアーツ研究教育院教授。大阪外国語大学外国語学部地域文化学科ヒンディー語専攻卒業。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了、博士(地域研究)。北海道大学大学院法学研究科准教授を経て、現職。専門は南アジア地域研究、日本思想史、政治学、歴史学。2005年、『中村屋のボース インド独立運動と近代日本のアジア主義』(白水社)で大佛次郎論壇賞、アジア・太平洋賞大賞受賞。同年、『ナショナリズムと宗教 現代インドのヒンドゥー・ナショナリズム運動』(春風社)日本南アジア学会賞受賞。主な著書に『秋葉原事件 加藤智大の軌跡』(朝日新聞出版)、『「リベラル保守」宣言』(新潮社)、『血盟団事件』(文藝春秋)、『アジア主義 その先の近代へ』(潮出版社)、『親鸞と日本主義』(新潮選書)、『保守と大東亜戦争』(集英社新書)、『保守と立憲 世界によって私が変えられないために』(スタンド・ブックス)、『自民党 価値とリスクのマトリクス』(スタンド・ブックス)『思いがけず利他』(ミシマ社)など多数。
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国境って何だろう? 14歳からの「移民」「難民」入門 | 内藤 正典
¥1,694
河出書房新社 2025年 ソフトカバー 252ぺージ 四六判 縦190mm 横129mm 厚さ18mm - 内容紹介 - 「ガザの人はなぜ避難しない?」「日本で難民が少ないのはなぜ?」「日本人も将来は移民に?」イスラム地域研究・国際移動論の専門家が、世界の移民・難民の動きと歴史をやさしく紐解く。 <もくじ> はじめに 第1章 世界でいま何が起きているのか──国境を越える人たち 国境は、あって当たり前? ユダヤ人入植という移住に始まるパレスチナの悲劇 宗教間の対立 「人種」と「民族」 ガザの歴史 ドイツと難民・移民 紛争へと続く国境線 難民と移民の違い 難民条約は、どんなふうに生まれたのか? 難民でも守られない時代がやってきた 偽善にあふれている世界 難民問題について、今、みなさんに知ってほしいこととは? 第2章 日本でいま何が起きているのか─移民と国策 外国人には高い壁だった日本、高い壁はいつから消えた? 世界で一番強いお金は? 人が移民になる理由:お金の話 何を間違えて衰退したのか:移民を受け入れなかった日本 でも実際には外国人労働者がいた! 噓の上に噓で塗り替えてしまった日本の移民政策 日本から外国に行くために イスラム教徒は移住と商売の達人 先物取引を禁じるイスラム 日本語では言い表せない「移民」 特集 あなたが移民・難民になる日のために──難民条約をよむ 《難民の地位に関する1951年の条約》 難民問題の今 第3章 よその国の移民・難民─実情と対策 移民先としての先進国 ドイツは、どう変わったか? ヨーロッパ難民危機のこと 2024年、夏、難民問題は終わっていなかった トルコの難民問題 2024年8月、ある1日のトルコ沿岸警備隊による非正規移民救助と身柄拘束 終わらない難民問題 ドイツは、難民危機の後、どう変わったのか? ガザでの戦争はヨーロッパに何をもたらしたか 第4章 私の見た世界──中東への留学が教えてくれたこと どこでも生きる知恵を学んだ留学 シリアはこんな国 「おまえは何者だ?」を問わない 重層的なアイデンティティを使い分ける人たち 地理学者として、あちこちを歩いたこと トルコから学んだ国家の役割 金と外貨でインフレに対抗するトルコの人たち 第5章 あなたが移民になる日 生きる自由と不自由さ さて、世界に出ていこう! 世界に出ていくための投資の勉強 株への投資で世界を知る 外国語コンプレックスを考え直す 名前とアイデンティティ アイデンティティが「区別」から「差別」に変わるとき 宗教とアイデンティティ 世渡りのための移民の知恵 日本人は高学歴の意味を知らない あとがき
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到来する女たち 石牟礼道子・中村きい子・森崎和江の思想文学 | 渡邊 英理
¥2,640
書肆侃侃房 2025年 ソフトカバー 400ぺージ 四六判 - 内容紹介 - 不揃いなままで「わたし」が「わたしたち」になる──。 雑誌『サークル村』に集った三人が聞書きなどの手法で切り拓いた新たな地平を、「思想文学」の視点で読み解く。 「『サークル村』を通して、彼女たちが手に入れたのは、儚い「わたし」(たち)の小さな「声」を顕すための言葉であったにちがいない。この新しい集団の言葉は、異質なものと接触し遭遇することで自らを鍛え、異質な他者とともに葛藤を抱えながらも不透明な現実を生きようとする言葉でなければならなかった。支配や権力、垂直的な位階制や序列的な差別から自由で、不揃いなままで水平的に「わたし」は「わたしたち」になる。 三人の女たちは、そのような「わたし」と「わたしたち」を創造/想像し、「わたし」と「わたしたち」とを表現しうる言葉を発明しようとしたのではなかったか」(渡邊英理) ・石牟礼道子(1927-2018)【熊本】……熊本県天草生まれ。詩人、作家。生後すぐに水俣へ。著書に『苦海浄土』『椿の海の記』『西南役伝説』ほか。 ・中村きい子(1928-1996)【鹿児島】……鹿児島生まれ。小説家、作家。母をモデルにした小説『女と刀』は大きな話題を呼び、木下恵介監督によりドラマ化もされた。 ・森崎和江(1927-2022)【福岡】……朝鮮大邱生まれ。詩人、作家。17歳で単身九州へ渡り、58年筑豊炭鉱近郊の中間に転居、谷川雁らと『サークル村』創刊。著書に『まっくら』『慶州は母の呼び声』『非所有の所有』など。 - 目次 - はじめに 1 集団・聞書き・女たち 2 「思想文学」として読む 3 三人の横顔 4 本書の構成と概要 第1章 はじまりとしての『サークル村』 1 戦後文化運動と『サークル村』 2 『サークル村』の「女性表現」 3 九州の「南」 4 「南」の女たち 5 「南九州」の集団と文化 6 「戦争小説」/「戦後文学」 7 エロスと女たち 8 〈非所有の(非)所有〉 第2章 母の肖像/群像──中村きい子『女と刀』 1 娘による母の伝記 2 「南九州」の宗教と「差別」 3 下級武士の娘 4 不適切な擬態 5 意に沿わぬ結婚 6 抜かれぬ刀、女の争闘 7 〈借り物〉からはじめる 8 あらがねの肌と性愛(エロス) 第3章 連なり越えゆく世界を感受する──石牟礼道子『椿の海の記』 1 あわいを漂う言葉 2 交通と(被)開発の時空 3 分解と再生産、「生類世界」とコモンズ 4 家父長制とケアの実践 5 ケアする人びと 6 「女」という階級 第4章 不透明な他者と女同志の絆──森崎和江『遙かなる祭』 1 小フィクション説という言葉の機構 2 放浪という運動性 3 日本の二重構造 4 批判としてのフィクション 5 階級/性/「民族」 6 異郷の神々と女たちの「交流」 7 海と女の思想圏 第5章 交差する言葉、流動する女たち 1 「失対人夫」、「都市雑業層」 2 階級と性、あるいは労働と愛 3 「流民/型労働者」と被差別民 4 「流民」の女たち 5 到来する女/言葉 註 あとがき - 著者プロフィール - 渡邊英理 (ワタナベエリ) (著) 熊本県生まれ、鹿児島県(霧島市・鹿児島市)育ち。大阪大学大学院人文学研究科教授。日本語 文学、批評/批評理論、思想文学論。東京大学大学院総合文化研究科単位取得後満期退学。博士 (学術、東京大学、二〇一二年)。 主要著書に、単著『中上健次論』(インスクリプト、二〇二二年七月、第一四回表象文化論学会 賞)、共編著『クリティカルワード 文学理論』(三原芳秋・鵜戸聡との編著、フィルムアート社、 二〇二〇年)、共著『〈戦後文学〉の現在形』(紅野謙介・内藤千珠子・成田龍一編、平凡社、二 〇二〇年)、共著『文学理論の名著50』(大橋洋一・三原芳秋編著、平凡社、二〇二五年)、共著 『二十一世紀の荒地へ』(酒井直樹・坪井秀人との鼎談収録、以文社、二〇二五年)など。 論文に、「戦争と女たち― 鈴木忠志の演劇における「現代世界」と「戦後日本」」『思想』二〇 二四年八月号(岩波書店、二〇二四年七月)、「復讐と砂漠― 安部公房『砂の女』と〈戦後文 学〉」『現代思想』一一月臨時増刊号(青土社、二〇二四年一〇月)、「未完の晩年様式、未決の 「アジア的想像力」」『群像』二〇二四年七月号(講談社、二〇二四年六月)など。文芸批評では、共同通信・文芸時評「いま、文学の場所へ」(二〇二三年四月~)、「女たちの群像」 『群像』(講談社、二〇二五年五月号~)、「おごじょの本棚」『西日本新聞』(二〇二五年六月~)、 「新人小説月評」『文學界』(文藝春秋、二〇二三年八月号~二〇二四年七月号)などを連載。森崎和江 『能登早春紀行』「解説・旅する言葉、海と女の思想圏」(中公文庫、二〇二五年)、温又柔 『魯肉飯のさえずり』「解説」(中公文庫、二〇二三年)など、文庫解説も手がけている。
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ヘイトをとめるレッスン | ホン・ソンス, たな ともこ(翻訳), 相 沙希子(翻訳), 朴 鍾厚(訳注・監訳)
¥2,420
ころから 2025年 いきする本だな ソフトカバー 240ぺージ A5変形判 縦198mm 横148mm 厚さ17mm - 内容紹介 - 韓国でヘイト問題の研究者として、また差別禁止法制定を目指す活動家として奔走するホン・ソンスの著作を完全日本語訳。 ヘイトスピーチとはなにか、男性へのヘイトスピーチは成り立つのかから、ヘイトからジェノサイドへ至る段階的特徴などを解説。「ヘイトスピーチの入門書にして、ヘイトをなくすための決定版」と言える一冊。 カバー挿画は、韓流ドラマ『ミョヌラギ』の原作者、ス・シンジさんによるイラストで、平易な文章とあいまって、高校生・大学生にも親しみやすくなっている。 - 著者プロフィール - ホン・ソンス (ホン ソンス) (著) 1975年生まれ。韓国・淑明女子大学法学部教授。専門は法哲学と法社会学。高麗大学で学士、修士を経て、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで国家人権機構についての法社会学的研究で博士号取得。スペイン国際法社会学研究所、オックスフォード社会・法研究所、ロンドン大学人権コンソーシアムなどでの研究を経て現職。2016年に韓国の「ヘイト表現の実態調査及び規制方案の研究」の研究責任者として報告書作成にかかわり、現在も包括的差別禁止法の制定に取り組んでいる。 たな ともこ (タナ トモコ) (翻訳) 1978年京都生まれ。大学非常勤講師。通訳案内士。立命館大学法学部、同大学院修士課程をへて、ソウル大学法学部博士課程に留学(単位取得)。ハン・インソプ「韓国の国民参与裁判」(法学セミナー2010年4月号、日本評論社)など、法学・社会学関係を中心に翻訳に携わる。 相 沙希子 (アイ サキコ) (翻訳) 1979年千葉県生まれ。東京女子大学現代文化学部卒業。高麗大学韓国史学科修士課程修了(開港期専攻)。2007年から2018年まで公益財団法人日韓文化交流基金に勤務し、現在は韓国在住。 朴 鍾厚 (パク ジョンフ) (訳注・監訳) 1978年、ソウル生まれ。 延世大学人文学部卒業。同大学大学院国語国文学科修士・博士課程修了(文学博士) 同志社大学嘱託講師を経て、現在獨協大学国際教養学部特任准教授。
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何処にいようと、りぶりあん 田中美津表現集 | 田中 美津
¥2,750
インパクト出版会 2025年 ハードカバー 276ぺージ 縦190mm - 内容紹介 - 1983年に刊行されて以来、絶版だった田中美津幻の名著、40年ぶりに復刊! ウーマンリブ運動が初声を上げた宣言「便所からの解放」や、連合赤軍事件の渦中に書かれた「永田洋子はわたしだ」など、女性史で避けて通れない重要論考収載。 2025年1月20日刊 はじめに 3 よんどころなく他人【ルビ・ひと】を語れば◉鏡の中のあたし 9 自画像 11 沖縄のおんなたち 34 阿部 定/わが怠惰と諦念を刺す 43 永田洋子はあたしだ 50 私の平塚らいてう批判 58 いま泣いたカラスの唄◉中絶と子殺しと 75 女にとって子殺しとは何か 77 中絶は既得の権利か/あえて提起する 93 おんどろおんどろ/メキシコ闇堕胎事情 101 ごきりぶ【りぶに圏点】ホイホイこの道ひとすじ◉混沌のままに 111 新宿やさぐれブタ箱情話 113 私の殺意は乾いている/しあさってのジョーから太田竜さんへ 151 女だけの共同体 170 燃えよ、コレクティブ 186 窓をあけてよ、りぶりあん◉生きてく手ざわり 201 子連れブタ参上 203 からだからの女性学 214 再々度からだから出発 228 れらはるせ/こどもとおんなのからだ育て 237 ナツビラ再見◉リブの創世期 243 便所からの解放 245 おわりに 264 リブ空に浮かんだ竹トンボ 米津知子 268
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いつの日かガザが私たちを打ち負かすだろう 早尾貴紀対談 | 早尾貴紀, 小田切拓, 金城美幸, 林裕哲, 松下新土, 山本浩貴, 藤田進, 米川正子
¥3,080
青土社 2025年 ソフトカバー 200ぺージ 四六判 - 内容紹介 - 〈ガザ〉に断罪される世界 パレスチナではいまなお多くの人たちが傷つき、そして、先鋭化を増すアメリカをはじめとした世界の暴力的な構造の中心に、ガザがある。この現実を前に、私たち自身にあらためて真剣に問うべきこととは何か。歴史、文化、社会、政治といったさまざまな視点による6つの対話
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火葬と土葬 日本人の死生観 | 岩田 重則
¥3,080
青土社 2025年 ソフトカバー 300ぺージ 四六判 - 内容紹介 - 墓を見れば、人びとの姿が見えてくる 死者を誰が弔うのか。亡骸をどのように、どこに埋葬するのか。そして、墓はいつからいまのようになったのか――。あらゆる土地の墓をめぐり、死と向き合ってきた人びとの実像を、文化や歴史のなかからすくいとり、その礎に横たわる死生観の核心に迫る力作。
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小名浜ピープルズ | 小松 理虔
¥2,530
里山社 2025年 ソフトカバー 168ぺージ 四六判 縦188mm 横127mm 厚さ18mm - 内容紹介 - 「他者(矛盾)を自分の中に招き入れ住まわせて、儀礼抜きに、迂路を介さず、問い問われ、問い直し、倫理を探し求めている」 ― 柳 美里( 小説家) 「〈中途半端〉の一語に自分の靄(かすみ)が晴れ、見知らぬ人々の顔がくっきりと見えてくる」 ― 三宅 唱( 映画監督) 東日本大震災と原発事故から10年。魅力的な地元の人々と話し、綴った、災間を生きるすべての人へ捧ぐ渾身の初のエッセイ 東北にも関東にも、東北随一の漁業の町にも観光地にもなりきれない。東日本大震災と原発事故後、傷ついたまちで放射能に恐怖し、風評被害は受けたが直接的被害は少なかった、福島県いわき市小名浜。著者は、この地で生まれ育ち〈中途半端〉さに悶えながら地域活動をしてきた。当事者とは、復興とは、原発とは、ふるさととは――10年を経た「震災後」を、地元の人々はどう捉え暮らしてきたのか。魅力的な市井の人々の話を聞き、綴った、災害が絶えない世界に光を灯す、渾身の人物エッセイ。 - 目次 - 「震災10年」と名物女将が守るチーナン食堂/処理水放出と海辺のまちの生業/老舗温泉旅館に生まれた原子力災害考証館/楢葉ルーツの解体業者がつくる未完の映画館/若き作家と響き合う常磐炭鉱の念/「被災地」であり、「被災地」でなかった双葉高校で/復興工事の現場から手繰り寄せる線/「そこにいく」から始まることーアシスタントの〈イチエフ〉視察記/流転する記者と重ね合う〈ふるさと〉/博覧強記の先輩と見渡す、複数ある世界/我が子と語り合う、10万年後のこと - 著者プロフィール - 小松 理虔 (コマツ リケン) (著) 1979 年福島県いわき市小名浜まれ。法政大学文学部卒業後、福島テレビ報道部記者、かまぼこメーカー広報などを経て2015年独立。小名浜でオルタナティブスペース「UDOK.」を主宰しつつ様々な分野の企画や地域のプロジェクトに携わる。18年『新復興論』(ゲンロン)で大佛次郎賞受賞。著書に『地方を生きる』(ちくまプリマー新書)、『新地方論』(光文社新書)、『新復興論 増補版』(ゲンロン)。共著に『ただ、そこにいる人たち』(現代書館)、『常磐線中心主義 ジョーバンセントリズム)(河出書房新社)、『ローカルメディアの仕事術』(学芸出版社)。
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クリエイティブであれ 新しい文化産業とジェンダー | アンジェラ・マクロビ―, 田中 東子(監訳), 中條 千晴(訳), 竹﨑 一真(訳), 中村 香住(訳)
¥2,420
花伝社 2023年 ソフトカバー 352ぺージ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ21mm - 内容紹介 - 「クリエイティブであれ(ビー・クリエイティブ)」という呪縛が生み出す、 現代の“終わりなき労働”とその構造── 「自由」や「自己実現」と巧みに結びついて若者を魅了するクリエイティブな世界。劣悪な労働環境を甘受し、マルチタスク化に対応する「新しいミドルクラスの女性」は、いかにして作り出されるのか? クリエイティブ経済の絶頂期を、フェミニズムの視座から批判的に捉える。 - 目次 - 序章 教育を通じた出会いとクリエイティブな経済 第1章 「クラブ」から「企業」へ 第2章 クリエイティブ労働のポリティクスを紐解く 第3章 人的資本としての芸術家 第4章 ポストフォーディズムのジェンダー 第5章 ファッション・マター・ベルリン 第6章 やりたい仕事を成功させる? 結論 ヨーロッパの展望 - 著者プロフィール - アンジェラ・マクロビ― (アンジェラマクロビー) (著) ロンドン大学ゴールドスミス校名誉教授。ブリティッシュ・カルチュラル・スタディーズを代表する研究者の一人であり、ポピュラー文化とフェミニズム理論、メディアとコミュニケーションにかんする研究を専門とする。著書多数。邦訳書として、『フェミニズムとレジリエンスの政治――ジェンダー、メディア、そして福祉の終焉』青土社、2022年(原題:Feminism and the Politics of Resilience: Essays on Gender, Media and the End of Welfare)。 田中 東子 (タナカトウコ) (監訳) 1972 年神奈川県生まれ。東京大学大学院情報学環教授。専門はメディア文化論、フェミニズム、カルチュラルスタディーズ。 著書に『メディア文化とジェンダーの政治学──第三波フェミニズムの視点から』(世界思想社、2012 年)、『出来事から学ぶカルチュラル・スタディーズ』(共編著、ナカニシヤ出版、2017 年)、『私たちの「戦う姫、働く少女」』(共著、堀之内出版、2019 年)、『ガールズ・メディア・スタディーズ』(編著、北樹出版、2021 年)。翻訳に『ユニオンジャックに黒はない──人種と国民をめぐる文化政治』(ポール・ギルロイ著、共訳、月曜社、2017 年)、『フェミニズムとレジリエンスの政治──ジェンダー、メディア、そして福祉の終焉』(アンジェラ・マクロビー著、共訳、青土社、2022 年)など。 中條 千晴 (チュウジョウチハル) (訳) 1985 年大阪府生まれ。フランス国立東洋言語文化学院(INALCO)言語専任講師。専門はポピュラー音楽とジェンダー、社会運動。 著書に『Mémoire sonore du Japon, le disque, la musique et la langue』( 共著、Presse del‘Université d’Orléans、2021 年)、『Engendering Transnational Transgressions: From the Intimate to the Global』(共著、Routledge、2020 年)、『ガールズ・メディア・スタディーズ』(共著、北樹出版、2021 年)。翻訳に『博論日記』(花伝社、2020 年)。 竹﨑 一真 (タケザキカズマ) (訳) 1989 年兵庫県生まれ。明治大学情報コミュニケーション学部特任講師。専門はスポーツ社会学、身体とジェンダーのカルチュラルスタディーズ。 著書に『ボディ・スタディーズ──性、人種、階級、エイジング、健康/ 病の身体学への招待』(共著、晃洋書房、2017 年)、『日本代表論──スポーツのグローバル化とナショナルな身体』(共著、せりか書房、2020 年)、『ポストヒューマン・スタディーズへの招待』(共著、堀之内出版、2022 年)。 中村 香住 (ナカムラカスミ) (訳) 1991 年神奈川県生まれ。慶應義塾大学文学部・慶應義塾大学大学院社会学研究科非常勤講師。専門はジェンダー・セクシュアリティの社会学。 著書に『私たちの「働く姫、戦う少女」』(共著、堀之内出版、2019 年)、『ふれる社会学』(共著、北樹出版、2019 年)、『「百合映画」完全ガイド』(共著、星海社、2020 年)、『ガールズ・メディア・スタディーズ』(共著、北樹出版、2021 年)、『アイドルについて葛藤しながら考えてみた──ジェンダー/パーソナリティ/〈推し〉』(共編著、青弓社、2022 年)など
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産む権利/産まない権利 リプロダクティヴ・ライツの現在 | ジェンダー法政策研究所, 辻村 みよ子, 糠塚 康江, 大山 礼子, 二宮 周平
¥1,980
花伝社 2025年 ソフトカバー 288ぺージ 四六判 - 内容紹介 - 身体と、法・政治の〈いま・ここ〉をひもとく 日本において、「産むこと/産まないこと」をめぐる「性と生殖の自己決定権(リプロダクティブ・ライツ)」は、どう法律・政治過程と関わり合ってきたのか――リプロダクティブ・ライツを否認する条項の存在、避妊ピルや中絶薬の普及の遅れなどが政治的課題として意識され、生殖補助医療への法的対応も迫られている今、あらためて、「個人的なこと」が「政治的なこと」であるという原点に立ち戻る。 性と生殖の権利の意義と歴史、国内外の制度の理解を通して、〈これから〉を考える 【編者】 ジェンダー法政策研究所(GELEPOC) 辻村みよ子(弁護士・東北大学名誉教授) 糠塚康江(東北大学名誉教授) 大山礼子(駒澤大学名誉教授) 二宮周平(立命館大学名誉教授) 【執筆者】 岩本美砂子(三重大学名誉教授) 林陽子(弁護士・元国連女性差別撤廃委員会委員長) 建石真公子(法政大学名誉教授) 石黒大貴(弁護士) 松原洋子(立命館大学大学院特任教授) 長村さと子(一般社団法人こどまっぷ代表理事) 小竹聡(拓殖大学教授) 齊藤笑美子(GELEPOC フランス支部長 - 目次 - はしがき(辻村みよ子) Ⅰ部 リプロダクティブ・ライツの意義と可能性 企画趣旨(糠塚康江) 1 政治から見る日本のリプロダクティブ・ライツ――優生保護法を巡る政治過程(岩本美砂子) 2 リプロダクティブ・ヘルス・ライツに対する国際人権法からのアプローチ (林陽子) 3 憲法上の権利としてのリプロダクティブ・ライツの保護――「身体」に関する自由と尊厳(建石真公子) Ⅱ部 リプロダクティブ・ライツをめぐる日本のアクチュアルな問題 企画趣旨(二宮周平) 1 母になることを強制されないこと――フランス視察と内密出産/匿名出産(石黒大貴) 2 〈不良な子孫〉の出生防止と人権侵害――優生保護法の歴史から(松原洋子) 3 妊娠/出産を望む未婚女性たちと日本の現状(長村さと子) Ⅲ リプロダクティブ・ライツと国際情勢 1 Dobbs判決の舞台裏(小竹聡) 2 「中絶の自由」が憲法に書き込まれた日――2024年国際女性の日(齊藤笑美子) あとがき(大山礼子)
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働きたいのに働けない私たち | チェ・ソンウン, 小山内 園子(訳)
¥1,980
世界思想社 2025年 ソフトカバー 160ぺージ 四六判 縦186mm 横130mm 厚さ13mm - 内容紹介 - 女性は投資の対象外? 女性は好きでパートをしている!? 韓国の子持ち高学歴女性は労働市場から退場していく。社会は有能な人材を失い続け、母親たちは代わりにわが子の教育で競争に参戦する。男性本位の職場、個人化されたケアを解体するために何が必要か。スウェーデン、アメリカとの比較から考える。 解説:中野円佳「手を取り合える日韓の女性たち」 女が仕事も夢も子どもや家庭も持ちたいと願うことって、図太いからなんかじゃないよね?! とことん論理的な分析の向こうに涙が滲み出る。 ――小林エリカ(作家・アーティスト) ガラスの天井、L字カーブ、ケアの個人化。労働と出産をめぐる性差別が蔓延するこの国で、〈男たち〉はずっと透明のままでいいのか? ――清田隆之(文筆家) 【プロローグより】 人はよく、私を「図太い」と言った。周囲は、結婚してまで博士号を取ろうとする私に、助言とも言えない助言をずいぶんとよこした。そこまでやれば十分だろう、子どももいるんだから、夫の給料で楽に暮らせと言うのだ。だが、夫が職を求め、職場で認められるために努力するのと同じように、私にもやりたい仕事があった。もちろん、博士課程にいながら子どもを育てるのはとても大変だった。図太いからやり遂げたのではない。持てる力をすべて尽くして、ひたすら耐えただけだ。 (……) 男女の格差や差別は依然として問題のままだ。女性は男性に比べて平均賃金が低く、役員クラスに昇進する機会も少ない。より高い学位を手に入れて性差別を克服しようと試みても、韓国の労働市場では、高学歴が良質の働き口につながる「学歴プレミアム」さえまともに作動していない。 (……) 本書を通じて、韓国の女性がどんな労働環境に置かれているかを探り、女性が疎外されざるを得ない理由を解き明かしたいと考えた。未来はもっといい社会で、学んだぶんだけ寄与できるというチャンスへのルートが開かれていることを、韓国社会が、誠実で有能な女性を失わずにすんでいることを、願っている。 - 目次 - プロローグ 図太い女の社会 1 「平等な競争」という幻想 2 女性に「学歴プレミアム」はあるか 3 母になるのは拒否します 4 より多くの女性が働けるように エピローグ 機会の平等を論じる 補論 日本の「働けない女たち」へ(チェ・ソンウン) 解説 手を取り合える日韓の女性たち(中野円佳) 訳者あとがき ブックガイド/参考文献 - 著者プロフィール - チェ・ソンウン (チェ ソンウン) (著) 行政学博士。延世大学行政学科で修士号、博士号を取得後、国会立法調査処児童保育立法調査官補を経て、淑明女子大、延世大、明知大などで教鞭をとる。現在は大田世宗研究院世宗研究室の責任研究委員として、世宗特別自治市の女性、子ども、少子化政策の課題を研究。キャリア女性の雇用対応政策、子どもの遊ぶ権利を保障した公共の遊び場の活性化、ワーキングママ支援センターの運営などについて提言を行ってきた。合計特殊出生率0.75と深刻な少子化に悩む韓国にあって、世宗特別自治市は1.03を記録(韓国統計庁、2024年の合計特殊出生率〔暫定値〕)。特別市・広域市の中で唯一1を超える自治体であり、その実践が注目を集めている。 小山内 園子 (オサナイ ソノコ) (訳) 韓日翻訳家、社会福祉士。NHK報道局ディレクターを経て、延世大学校などで韓国語を学ぶ。訳書にク・ビョンモ『破果』『破砕』(岩波書店)、チョ・ナムジュ『耳をすませば』(筑摩書房)、『私たちが記したもの』(すんみとの共訳、筑摩書房)、カン・ファギル『大仏ホテルの幽霊』(白水社)、イ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ』『失われた賃金を求めて』(すんみとの共訳、タバブックス)など、著書に『〈弱さ〉から読み解く韓国現代文学』(NHK 出版)がある。
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FtMトランスジェンダーのぼくのことを話そう | 江里 ユウキ
¥1,650
講談社 2025年 ソフトカバー 176ぺージ 四六判 - 内容紹介 - 著者は体が女性で心が男性のトランスジェンダー。 5歳のときに初めて性別に対して違和感を持ち、小学5年生で初潮を迎えると、あまりのショックにトイレで泣き崩れたこともあった。 男の子との初恋、両親へのカミングアウト、不登校、自殺未遂、そして就職し「胸オペ」を受けるまで……。 セクシュアルマイノリティとして波乱万丈な人生を歩んできた著者が、今、自分のことがよくわからなくて不安を抱えている全ての人たちに贈る「生きやすい社会」へのメッセージ! 小学上級・中学から - 著者プロフィール - 江里 ユウキ (エザト ユウキ) (著) 20代、FtM。 性別で迷うすべての人たちへ。 こういう人もいるんだと、安心したり、参考にしたりしてもらえたらと思い書きました。
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アンチ・アンチエイジングの思想 ボーヴォワール『老い』を読む | 上野 千鶴子
¥2,970
みすず書房 2025年 ハードカバー 328ぺージ 四六判 - 内容紹介 - 老いには誰も抗えない。それなのに、私たちはなぜ老いを恐れるのだろう。平均寿命が延び、老人としての生が長くなったことで、誰もが老いに直面すると同時に不安も高まっている。 自分が老いたことを認めたくないのは、社会が老いを認めないからだ。それを惨めにしているのは文明のほうなのだ。「老いは文明のスキャンダルである」――この言葉に導かれて、ボーヴォワール『老い』への探究がはじまる。 さらに日本の介護の現場を考察し、ボーヴォワールのみた景色の先へと進む。認知症への恐怖、ピンピンコロリという理想、安楽死という死の権利。その裏側にある老いへの否定から見えてくるのは、弱いまま尊厳をもって生ききるための思想がぜひとも必要だということだ。 ひとが最後の最後まで人間らしく生きるには、徹底的な社会の変革が必要なのだ。老いて弱くなることを否定する「アンチエイジング」にアンチをとなえ、老い衰え、自立を失った人間が生きる社会を構想する。 - 目次 - 第1章 老いは文明のスキャンダルである 第2章 文化の中の老い 第3章 歴史の中の老い 第4章 近代化の中の老い 第5章 「生きられた経験」としての老い 第6章 知識人の老い 第7章 老いと性 第8章 女性の老い 第9章 高齢者福祉の起源 第10章 ボケ老人へ向ける眼 第11章 アンチ・エイジズム 第12章 三つの死 第13章 「死の自己決定」はあるか 第14章 ボーヴォワールの「宿題」 第15章 「自立神話」を超えて 引用・参照文献 ボーヴォワール略年譜 あとがき - 著者プロフィール - 上野千鶴子 (ウエノチヅコ) (著) (うえの・ちづこ) 1948年生まれ。社会学者、東京大学名誉教授、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。著書に『家父長制と資本制』『近代家族の成立と終焉』『生き延びるための思想』(以上、岩波現代文庫)、『おひとりさまの老後』(法研/文春文庫)、『ケアの社会学』(太田出版)、『女の子はどう生きるか』(岩波書店)、『挑戦するフェミニズム』(江原由美子との共編著、有斐閣)、『当事者主権 増補新版』(中西正司と共著、岩波新書)などがある。
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【バーゲンブック】ノーベル文学賞が消えた日 スウェーデンの#MeToo運動、女性たちの闘い | マティルダ・ヴォス・グスタヴソン, 羽根 由(訳)
¥1,300
平凡社 2021年 ハードカバー 344ページ 四六判 定価:2530円 バーゲンブック: 定価よりも値引して販売することのできる新古本です。 (定価のおよそ50%〜70%ほどの価格で販売しています) 新品とはいえ、経年による劣化などが見られる場合もございますので、ご理解の上ご購入くださいませ。 - 内容紹介 - ------------------------------------------------------------------------------- スウェーデン本国で大ベストセラー! 2018年、ノーベル文学賞発表を中止に追い込んだ渾身のルポ、ついに日本上陸 沈黙を強いられてきた女性たちが、いま声をあげる! ------------------------------------------------------------------------------- 2018年5月、ひとつのニュースが世界中を駆けめぐった。今年のノーベル文学賞は発表中止──。きっかけとなったのは、ひとりの女性記者によるスクープ記事だった。2017年末、スウェーデン最大の日刊紙「ダーゲンス・ニューヘーテル」は、ノーベル文学賞の選考組織であるスウェーデン・アカデミーに近い《文化人》ことジャン?クロード・アルノーが、数々の性暴力を行っていたというスキャンダルを報道。このスクープはアルノーの妻が参加するスウェーデン・アカデミーを巻き込み、やがて……。 スウェーデンのフェミニズムの実情、次々と暴かれていく組織内の権力闘争。スウェーデン最大級の#MeToo運動の内幕が、いま明らかになる! ジャーナリスト伊藤詩織さん推薦! 「「自分の立場を熟知して人の尊厳を踏み躙(にじ)る人間がいる。一方で自分の立場を危険に晒しても声を上げる人間もいる。#MeTooは声を上げた人々と調査報道の賜物だ」