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思いがけず利他 | 中島岳志
¥1,760
ミシマ社 2021年 ソフトカバー 184ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ15mm - 内容紹介 - It’s automatic(イッツ オートマティック)!? 誰かのためになる瞬間は、いつも偶然に、未来からやってくる。 東京工業大学で「利他プロジェクト」を立ち上げ、『利他とは何か』『料理と利他』などで刺激的な議論を展開する筆者、待望の単著! 今、「他者と共にあること」を問うすべての人へ。 自己責任論も、「共感」一辺倒も、さようなら。 ** 偽善、負債、支配、利己性……。利他的になることは、そう簡単ではありません。 しかし、自己責任論が蔓延し、人間を生産性によって価値づける社会を打破する契機が、「利他」には含まれていることも確かです。――「はじめに」より 本書は、「利他」の困難と可能性を考える。手がかりとなるのは、居心地の悪いケアの場面、古典落語の不可解な筋書き、「証明できない」数学者の直観、「自然に沿う」職人仕事の境地、九鬼周造が追求した「私は私ではなかったかもしれない」という偶然性の哲学……など。 「利他の主体はどこまでも、受け手の側にあるということです。この意味において、私たちは利他的なことを行うことができません」 「利他的になるためは、器のような存在になり、与格的主体を取り戻すことが必要」 ――本文より 意思や利害計算や合理性の「そと」で、 私を動かし、喜びを循環させ、人と人とをつなぐものとは? 目次 はじめに 第一章 業の力――It’s automatic 第二章 やって来る――与格の構造 第三章 受け取ること 第四章 偶然と運命 おわりに - 著者プロフィール - 中島岳志 (ナカジマタケシ) (著/文) 1975年大阪生まれ。大阪外国語大学卒業。京都大学大学院博士課程修了。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。専攻は南アジア地域研究、近代日本政治思想。2005年、『中村屋のボース』で大佛次郎論壇賞、アジア・太平洋賞大賞受賞。著書に『パール判事』『秋葉原事件』『「リベラル保守」宣言』『血盟団事件』『アジア主義』『下中彌三郎』『保守と立憲』『親鸞と日本主義』『利他とは何か』など。ミシマ社からは『現代の超克』(若松英輔との共著)、『料理と利他』(土井善晴との共著)を刊行。
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マツタケ――不確定な時代を生きる術 | アナ・チン, 赤嶺 淳訳
¥4,950
みすず書房 2019年 ハードカバー 448ページ 19.6 x 13.8 x 3 cm - 内容紹介 - 「本書は、20世紀的な安定についての見通しのもとに近代化と進歩を語ろうとする夢を批判するものではない。……そうではなく、拠りどころを持たずに生きるという想像力に富んだ挑戦に取りくんでみたい。……もし、わたしたちがそうした菌としてのマツタケの魅力に心を開くならば、マツタケはわたしたちの好奇心をくすぐってくれるはずだ。その好奇心とは、不安定な時代を、ともに生き残ろうとするとき、最初に必要とされるものである」 オレゴン州(米国)、ラップランド(フィンランド)、雲南省(中国)におけるマルチサイテッドな調査にもとづき、日本に輸入されるマツタケのサプライチェーンの発達史をマツタケのみならず、マツ類や菌など人間以外の存在から多角的に叙述するマルチスピーシーズ民族誌。ホストツリーと共生関係を構築するマツタケは人工栽培ができず、その豊凶を自然にゆだねざるをえない不確定な存在である。そうしたマツタケを採取するのも、移民や難民など不安定な生活を余儀なくされてきた人びとである。生態資源の保護か利用かといった単純な二項対立を排し、種々の不確定性が絡まりあう現代社会の分析にふさわしい社会科学のあり方を展望する。 「進歩という概念にかわって目を向けるべきは、マツタケ狩りではなかろうか」。 目次 絡まりあう プロローグ 秋の香 第一部 残されたもの 1 気づく術 2 染めあう 3 スケールにまつわる諸問題 幕間 かおり 第二部 進歩にかわって――サルベージ・アキュミュレーション 4 周縁を活かす フリーダム…… 5 オレゴン州オープンチケット村 6 戦争譚 7 国家におこったこと――ふたとおりのアジア系アメリカ人 移ろいゆきながら…… 8 ドルと円のはざま 9 贈り物・商品・贈り物 10 サルベージ・リズム――攪乱下のビジネス 幕間 たどる 第三部 攪乱――意図しえぬ設計 11 森のいぶき マツのなかからあらわれる…… 12 歴史 13 蘇生 14 セレンディピティ 15 残骸 ギャップとパッチで…… 16 科学と翻訳 17 飛びまわる胞子 幕間 ダンス 第四部 事態のまっただなかで 18 まつたけ十字軍――マツタケの応答を待ちながら 19 みんなのもの 20 結末に抗って――旅すがらに出会った人びと 胞子のゆくえ――マツタケのさらなる冒険 マツタケにきく――訳者あとがき 本書で引用された文献の日本語版と日本語文献 索引 - 著者プロフィール - アナ・チン (アナチン) (著/文) カリフォルニア大学サンタクルス校文化人類学科教授。エール大学を卒業後、スタンフォード大学で文化人類学の博士号を取得。フェミニズム研究と環境人類学を先導する世界的権威。おもにインドネシア共和国・南カリマンタン州でフィールドワークをおこない、森林伐採問題の社会経済的背景の重層性をローカルかつグローバルな文脈からあきらかにしてきた。著書にIn the Realm of the Diamond Queen: Marginality in an Out-of-the-Way Place (Princeton University Press, 1993), Friction: An Ethnography of Global Connection (Princeton University Press, 2004), The Mushroom at the End of the World (Princeton University Press, 2015)など、多数。 赤嶺淳 (アカミネジュン) (翻訳) 一橋大学大学院社会学研究科教授。専門は東南アジア地域研究・食生活誌学。ナマコ類と鯨類を中心に野生生物の管理と利用(消費)の変容過程をローカルな文脈とグローバルな文脈の絡まりあいに注目し、あきらかにしてきた。著書に『ナマコを歩く――現場から考える生物多様性と文化多様性』(新泉社、2010)『鯨を生きる――鯨人の個人史・鯨食の同時代史』(吉川弘文館、2017)『生態資源――モノ・場・ヒトを生かす世界』(山田勇・平田昌弘との共編著、昭和堂、2018)など。訳書にアナ・チン『マツタケ』(みすず書房、2019)など。
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現代思想入門 | 千葉 雅也
¥990
講談社 2022年 ソフトカバー 248ページ 新書判 - 内容紹介 - 人生を変える哲学が、ここにある――。 現代思想の真髄をかつてない仕方で書き尽くした、「入門書」の決定版。 * * * デリダ、ドゥルーズ、フーコー、ラカン、メイヤスー…… 複雑な世界の現実を高解像度で捉え、人生をハックする、「現代思想」のパースペクティブ □物事を二項対立で捉えない □人生のリアリティはグレーゾーンに宿る □秩序の強化を警戒し、逸脱する人間の多様性を泳がせておく □権力は「下」からやってくる □搾取されている自分の力を、より自律的に用いる方法を考える □自分の成り立ちを偶然性へと開き、状況を必然的なものと捉えない □人間は過剰なエネルギーの解放と有限化の二重のドラマを生きている □無限の反省から抜け出し、個別の問題に有限に取り組む □大きな謎に悩むよりも、人生の世俗的な深さを生きる 「現代思想は、秩序を強化する動きへの警戒心を持ち、秩序からズレるもの、すなわち「差異」に注目する。それが今、人生の多様性を守るために必要だと思うのです。」 ――「はじめに 今なぜ現代思想か」より * * * 目次 はじめに 今なぜ現代思想か 第一章 デリダーー概念の脱構築 第二章 ドゥルーズーー存在の脱構築 第三章 フーコーーー社会の脱構築 ここまでのまとめ 第四章 現代思想の源流ーーニーチェ、フロイト、マルクス 第五章 精神分析と現代思想ーーラカン、ルジャンドル 第六章 現代思想のつくり方 第七章 ポスト・ポスト構造主義 付録 現代思想の読み方 おわりに 秩序と逸脱 - 著者プロフィール - 千葉 雅也 (チバ マサヤ) (著/文) 一九七八年、栃木県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は哲学・表象文化論。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。著書に『動きすぎてはいけない』(河出文庫、第四回紀伊國屋じんぶん大賞、第五回表象文化論学会賞)、『ツイッター哲学』(河出文庫)、『勉強の哲学』(文春文庫)、『思弁的実在論と現代について』(青土社)、『意味がない無意味』(河出書房新社)、『デッドライン』(新潮社、第四一回野間文芸新人賞)、『ライティングの哲学』(共著、星海社新書)、『オーバーヒート』(新潮社、「オーバーヒート」第一六五回芥川賞候補、「マジックミラー」第四五回川端康成文学賞)など。
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絶滅へようこそ 「終わり」からはじめる哲学入門 | 稲垣 諭
¥1,980
晶文社 2022年 ソフトカバー 384ページ 四六判 縦186mm 横129mm 厚さ24mm - 内容紹介 - 「そろそろ滅びるそこのあなたへ」 成田悠輔[イェール大学助教授、半熟仮想株式会社代表取締役] 「機械の僕(しもべ)のように、家畜のように暮らしたっていいじゃないか。 だってもう、“人間”は終わっているんだから」 磯野真穂[人類学者]、推薦! 完新世絶滅期(Holocene extinction)、あるいは、第六次の大絶滅期に 私たちがなすべきこととは? 全人類に問う「生の哲学」。 【すべてが「終わった」状態から考えるとすると、何が見えてくるだろうか】 人間の視点を越えた視座、億年単位の宇宙を問題とする (当然すでに人類などというものもいない)、ある種「至高的な空間」から、 「絶滅」を考えたとき見えてくるものとは。 荒川修作の思想を系譜する気鋭の哲学者が「総合知としての哲学」を武器に、 人類の未来を探究する。 【目次】 手引きのようなもの――視野を途方もなく拡張する 1 絶滅へようこそ 2 「まだ始まっていない」と「もう終わっている」の隙間を生きてみる 3 機械のやさしさ 4 食べられたい欲望 5 神はまだ必要なのだろうか 6 人間はツルツルになっていく 7 苦しめば報われるのか? 8 大人しい人間と裁きたい人間 9 暴力と寛容 10 風景なきiPhoneは空虚で、iPhoneなき風景は盲目である 11 自己家畜化とどう向き合うか 12 歴史の終わりとは何だったのか?(過去からの終わり①) 13 村上春樹とピンボール・マシーン(過去からの終わり②) 終わりが始まるまでに――人間の行方 - 著者プロフィール - 稲垣諭 (イナガキサトシ) (著/文) 1974年、北海道生。東洋大学大学院文学研究科哲学専攻博士後期課程修了。 文学博士。自治医科大学総合教育部門(哲学)教授を経て現在、東洋大学 文学部哲学科教授。専門は現象学・環境哲学・リハビリテーションの科学哲学。 著書に『大丈夫、死ぬには及ばない──今、大学生に何が起きているのか』 (学芸みらい社)『壊れながら立ち上がり続ける――個の変容の哲学』 (青土社)など多数。
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学びのきほん はじめての利他学 | 若松 英輔
¥737
SOLD OUT
NHK出版 2022年 ソフトカバー 120ページ A5判 - 内容紹介 - 他者だけでなく、自分も利する「利他」の本質とは。 「利他」という言葉は「自分ではなく、他者のためにおこなうこと」だと捉えられがちだ。しかし、日本の起源から利他を見つめ直してみると、それとは全く異なる姿が見えてくる。空海の「自利利他」、孔子の「仁」、中江藤樹の「虚」、二宮尊徳の「誠の道」、エーリッヒ・フロムの「愛」……彼らは利他をどのようにとらえ、それをどう実践して生きたのか。彼らの考える利他は、現代とどう違うのか。「自分」があってこその利他のちからとは、どんなものなのか。日本を代表する批評家が、危機の時代における「自他のつながり」に迫る、日本初・利他の入門書。 - 著者プロフィール - 若松 英輔 (ワカマツ エイスケ) (著/文) 1968年新潟県生まれ。批評家、随筆家、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。慶應義塾大学文学部仏文科卒業。2007年「越知保夫とその時代 求道の文学」にて第14回三田文学新人賞評論部門当選、2016年『叡知の詩学 小林秀雄と井筒俊彦』(慶應義塾大学出版会)にて第2回西脇順三郎学術賞受賞、2018年『詩集 見えない涙』(亜紀書房)にて第33回詩歌文学館賞詩部門受賞、『小林秀雄 美しい花』(文藝春秋)にて第16回角川財団学芸賞、第16回蓮如賞受賞。その他の著書に『悲しみの秘義』(文春文庫)、『種まく人』『詩集 美しいとき』(亜紀書房)、『詩と出会う詩と生きる』『14歳の教室 どう読みどう生きるか』『考える教室 大人のための哲学入門』(NHK出版)など。
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学びのきほん 人生が面白くなる 学びのわざ | 齋藤 孝
¥737
NHK出版 2020年 ソフトカバー 112ページ A5判 - 内容紹介 - 教養を効果的に会得する最強メソッド なかなか教養が身につかない……。そんな悩みを抱えている人は、そもそも「学び方」に問題がある? 特に私たちが教えられた「知識詰め込み型」の学び方は、情報の量が膨大な現代で限界をむかえている。では、何をすべきか。そのヒントは「先人」にあった。ソクラテスから村上春樹まで、教養の鬼・齋藤孝が、「偉業を成し遂げた先人の学び方」をヒントに、一生使える「学びのわざ」を伝授。同時に彼らの思想のエッセンスをわかりやすく解説。「デカルト流・4つの法則」「ニーチェ流・三様の変化」「宮本武蔵流・3つのわざ」……。知れば知るほど楽しくなる、質的に生きていくための学び方の入門書。 - 著者プロフィール - 齋藤 孝 (サイトウ タカシ) (著/文) 1960年、静岡県生まれ。明治大学文学部教授。東京大学法学部卒業後、同大学院教育学研究科博士課程を経て現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。NHKEテレ「にほんごであそぼ」の総合指導を務めるなど、子どもの教育に力を入れている。著書に『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス、新潮学芸賞受賞)、『声に出して読みたい日本語』(草思社、毎日出版文化賞特別賞受賞)、『読書力』『教育力』(岩波新書)など多数。
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じゅうぶん豊かで、貧しい社会 理念なき資本主義の末路 | ロバート・スキデルスキー, エドワード・スキデルスキー, 村井 章子(翻訳)
¥1,540
筑摩書房 2022年 ちくま学芸文庫 ソフトカバー 416ページ 文庫判 - 内容紹介 - ケインズ研究の世界的権威による喜びのある労働と意味のある人生の実現に向けた経済政策の提言。目指すべきは、労働生産性の低下である。解説 諸富徹 === 資本主義の下では資本の蓄積が自己目的化し、大企業は利益拡大にひた走る。結果、富める者だけが富み続け、雇用は不安定になり、格差が拡大する。成長の果実のおこぼれが一般庶民にもたらされないことは、ここ数十年の現実が証明済だ。であるならば政府が目指すべきは経済成長ではなく、国民の暮らしの質を上げることなのではないのか。著者らはその実現のために、余暇を生む労働時間の短縮、一定水準の暮らしを保障するベーシックインカムの導入、際限なき人間の欲望を抑えるための広告課税等の法整備を提案する。成長神話が叫ばれ続ける日本でこそ読まれるべき提言。 解説 諸富徹 === 富の使い先を変える 根源的な資本主義批判の書――諸富 徹 === 【目次】 はじめに 序論 第1章 ケインズの誤算 第2章 ファウストの取引 第3章 富とは―東西の思想を訪ねて 第4章 幸福という幻想 第5章 成長の限界 第6章 よい暮らしを形成する七つの要素 第7章 終わりなき競争からの脱却 原注 索引 訳者あとがき 解説 「善き人生」を支える資本主義のあり方を考える(諸富徹) - 著者プロフィール - ロバート・スキデルスキー (ロバート スキデルスキー) (著/文) 経済史家。ウォーリック大学名誉教授、英国学士院会員、貴族院議員。ケインズ研究の世界的権威。著書に『ケインズ』(岩波モダンクラシックス)、『なにがケインズを復活させたのか?』(日本経済新聞出版社)などがある。 エドワード・スキデルスキー (エドワード スキデルスキー) (著/文) 哲学者。エクセター大学講師。専門は道徳・政治哲学。ロバート・スキデルスキーの子息。著書にErnst Cassirer: ¬e Last Philosopher of Culture, Princeton University Pressなどがある。 村井 章子 (ムライ アキコ) (翻訳) 翻訳家。上智大学文学部卒業。経済学の古典新訳を多数手がける。
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自然の哲学 (じねんのてつがく) おカネに支配された心を解放する里山の物語 | 高野 雅夫
¥2,200
ヘウレーカ 2021年 ソフトカバー 272ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ15mm - 内容紹介 - 自然〈しぜん〉と人間を区別することなく、 両者が一体となった自然〈じねん〉の世界。 里山とはそのような場所であり、変わりつつある今も、 さまざまなことを教えてくれる。 里山に移住してきた若い人たちとの対話を手がかりに、 自らも里山に移住した環境学者が思索を深めてたどりついた、 サステナブルな生き方とは――。 田舎暮らしにあこがれているけれど、迷っている人、必読。 もちろん、移住を決めた人、すでに移住した人にもおすすめ。 そして、移住者を受け入れる側の人たちにもぜひ読んでほしい。 この危機の時代に、田舎に暮らすことの意味が掘り下げられ、 同時に問題点も明らかにされますが、それでも希望が見えてきます。 人とつながって、自然とつながって、生態系の一員として暮らしていくこと。 それがいまある生態系を維持し、その恵みを将来世代へとつないでいく。 田畑を借りて自家用コメや野菜をつくり、山で木を伐って燃料を調達する。 そんな日常が、おカネに支配された心を解放してくれる。 持続可能な自分も、未来も、里山から始まります。 目次 はじめに 第1章 里山世界と村の成り立ち――自然の一部としての人間の暮らし 里山とは何か――さまざまな生き物が息づく場所 村のルーツをたどる 楽しいから集まって仕事をする―― 結と普請 信仰のグループからおカネの相互扶助へ 「村はよそ者に冷たい」はほんとうか 生きた化石 第2章 せめぎあう村と国家――自治vs.統制のゆくえ 明治維新で中央の村への介入が始まった 心の統制の始まり、廃仏毀釈 格差を広げた地租改正 田舎が最も輝いた時代 禁断の果実 共有される物語を求めて 第3章 森と農の物語 ―― 自然から浮き上がっていく人間の姿 宇宙から見える日本の人工林 山で働くことの意味 そして雑木林は失われた 森づくりビジョン 慣行農法の功罪 第2種兼業農家という生き方 有機農業・自然農・自然栽培 第4章 水俣と福島から「生国」を学ぶ――生命に対する責任とは 滅びゆく里海 水俣病 「チッソは私であった」 おカネでは解決できない 放射能あふれる里山で 生 死 原生林 死という使命 第5章 「おカネ」の物語から自由になる―― 巨大な力に翻弄されないために 我が心の中の「日本国」 現代人が共有する物語としてのおカネ 主人公は資本 疎外のない企業活動は可能か モード オフグリッドで生きる人たち おカネ道 第6章 解けなくなった人生方程式 ―― 「人並みな暮らし」は幸せなのか だれもが夢見た一生安泰物語 成長時代の夢のまま変わらない教育 変化の兆しとかすかな希望 第7章 第2次移住ブームがやってきた―― 自分らしい生き方を求めて なぜ田舎から出ていくのか なぜ田舎にやってくるのか どんな仕事をして食べていくか 里山の子育て 第8章 「弱さ」の物語 ―― 価値の大逆転 「to do 」から「to be」へ 「弱さ」がもつ求心力 弱さの情報公開 第9章 自然の哲学――物語を書き換える 科学の物語 ―― もう一つの信仰 「いのち」の物語―― 生態系×進化の織物 せめぎあい――メガソーラーによる環境破壊に思うこと じねんに生き、じねんに死ぬ 木の声を聞く―― 「いのち」の物語へのレッスン ご縁 いまを生きる おわりに 前書きなど はじめに(一部抜粋) 本書のタイトルにある自然という言葉をはじめて聞いたのは、哲学者の内山節氏の講演だった。内山氏は豊田市山村部の地域づくりの仲間たちの招きでたびたび現場を訪れていた。氏によれば自然というのは、明治になってからnatureの訳語として当てられたもので、もともとはじねんと読み、自ずから然るべきようになる世界を表す言葉であった。そこでは自然と人間を区別することなく、両者が一体となった世界を表していたという。里山とはまさにそのような世界だ。 さらに私がこの言葉の意味を深く考えるようになったのは、自然農の実践家である川口由一氏を豊田市に招き、講義とともに、田んぼでの作業を指導していただいたときだった。川口氏によれば、田畑の中にいる多くの生き物の一員として、作物は自ずから然るべきように育つので、人間はそれに最小限の手助けをすればよいということだった。そこから私は学生と一緒に小さな田んぼを借りて自然農のやり方で米作りに挑戦した。3年やって見事に一粒も収穫できず、この挑戦は失敗に終わったのだが、私はこの経験から多くのことを学んだ。足元にたくさんの水生昆虫が動き回り、頭上をトンボが群れ飛ぶ田んぼに入って手足を動かしながら、考察を進めることができた。 私たちは毎日忙しく働き活動している。私には、皆が一生懸命頑張った分だけ、世界が悪い方向に向かっているような、なんとももどかしい思いがある。それは、本来は自ずから然るべきようになろうとしているものを、無理に人為的にねじ曲げようとしているからではないか。そういう目で社会のできごとを見るようになると、農業だけでなく、いたるところで同様な構図の事例があることに気づいた。なぜそうなってしまうのか、自ずから然るべきようになるにはどうなればよいのか。私たち一人ひとりが自ずから然るべきように生きられるようになるにはどうなればよいのか。これが本書に通底するテーマである。 本書ではまず、現在の田舎と里山の姿を正確に理解するために、そこに埋め込まれている「生きた化石」ともいえる歴史の断片を解きほぐしてみたい。2章では、明治以降にそれがどのように変質したか(変質させられたか)を示したい。戦後の高度経済成長期に田舎の姿は大きく変わり、都市も含めて社会全体が大きく変わった。その現実から読み取ることのできる社会の根底にある哲学を発掘しながら、その問題点を明らかにできたらと思う。 3章では、田舎の主な産業であった農業と林業の歴史と現状を概観し、4章では、人間を含めた生き物・自然環境が多大な被害を受けた水俣と福島から、私たちが生きる世界とは何かを考え、里山という場所の価値を再考する。 5章では本書の副題にある「おカネ」をはじめとした「疎外」の問題と近代社会の構造をわかりやすく解説する。若い人たちと話していると、彼らが抱える将来への漠然とした不安感の底におカネの問題があることがわかる。長時間労働でストレスの高い仕事をしながらも、将来に向けて収入が上がっていく実感がない。おカネを中心において、自分の人生を決めることに葛藤しながらも、そうせざるを得ないと言い聞かせている。おカネに心が支配されてしまっている状態だ。そこからどうすれば自由になれるかを考えていく。それは、今後の持続可能な社会を築いていくためにも重要なテーマである。 6章では終身雇用・年功序列という社会制度がどのように生まれ、その原因とも結果ともなった戦後の教育のあり方の問題点を指摘したい。7章では現在の移住ブームがどのようなもので、その意味するところは何か考察する。8章では近代社会の中でないがしろにされてきた「弱さ」の価値を考察する。 最後の9章では田舎にやってきた若い人たちとの対話の中から見えてきた、今後の田舎と都市を含めた社会全体のベースとなるべき自然の哲学を議論したいと思う。 版元から一言 著者は2001年に設立された名古屋大学に環境学研究科に移籍してから、再生可能エネルギーの普及に関する研究と農山村の地域再生に関する研究・実践を行ってきました。最初は豊田市の山村部でフィールドワークを行い、その後岐阜県にフィールドを広げ、恵那市飯地町の標高600mの高原の村に移住し、地域再生の現場で一住民としてもかかわってきました。 その過程で、著者は田舎に移住してくる若い人たちとたくさん対話してきました。かれらとの交流から見えてきたのは、都市での生きづらさであり、それから逃れるように田舎を目指してきた人たちは、「ここには求めるものがすべてある」と感じているという事実です。これまでは「何もない」と思われていた田舎にすべてがあるというのです。 それが何を意味するのか――。私たちがこれまで自明としていた豊かな社会を支えてきた価値観が、彼らの中では根本的に転換しているのではないかと著者は感じました。そして、この価値観の転換は、私たちの社会が持続可能なものになるために社会全体で共有すべきものではないかと考え、それを「自然(じねん)の哲学」として記述し、まとめたのがこの本です。 - 著者プロフィール - 高野 雅夫 (タカノ マサオ) (著/文) 1962年山口県生まれ。名古屋大学大学院環境学研究科教授・博士(理学)。 木質バイオマスエネルギーやマイクロ水力発電などの再生可能エネルギーの技術開発とそれらの普及を通した里山再生について農山村をフィールドとして研究を行う。再生可能エネルギーを普及させるには豊富な自然資源が存在する農山村が持続しなくてはいけないものの、人口減少と高齢化によって集落消滅が進む事態に直面していることを知る。そこで、愛知県豊田市の山村部を主なフィールドに、若者の移住支援を中心にした農山村地域再生の研究および実践に取り組む。 また、2014年4月に立ち上がった、大学と社会との連携を進める名古屋大学・臨床環境学コンサルティングファームの部門長として、自治体や企業、NPO に対して持続可能な地域づくりのためのコンサルティング活動を進めている。2013年には国連の専門家会議で日本の里山がもつ持続可能な社会づくりにとっての意義について報告した。 主な著書に『人は100W で生きられる』(大和書房、 2011年)、編著に『持続可能な生き方をデザインしよう』(明石書店、2017年)、共著に『 千年持続社会――共生・循環型文明社会の創造』( 資源協会編、日本地域社会研究所、2003年)、『 市民参加型社 会とは――愛知万博計画過程と公共圏の再創造』(町村敬志、吉見俊哉編、有斐閣、2005年)などがある。
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表徴の帝国 | ロラン・バルト, 宗左近(翻訳)
¥1,100
筑摩書房 1996年 ソフトカバー 232ページ 文庫判 - 内容紹介 - 「これはエクリチュールについての本である。日本を使って、わたしが関心を抱くエクリチュールの問題について書いた。日本はわたしに詩的素材を与えてくれたので、それを用いて、表徴についてのわたしの思想を展開したのである」。天ぷら、庭、歌舞伎の女形からパチンコ、学生運動にいたるまで…遠いガラバーニュの国“日本”のさまざまに感嘆しつつも、それらの常識を“零度”に解体、象徴、関係、認識のためのテキストとして読み解き、表現体(エクリチュール)と表徴(シーニュ)についての独自の哲学をあざやかに展開させる。
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中動態の世界 意志と責任の考古学 | 國分功一郎
¥2,200
医学書院 2017年 ハードカバー 330ページ A5判 - 内容紹介 - 【本書「あとがき」より】 中動態の存在を知ったのは、たしか大学生の頃であったと思う。本文にも少し書いたけれども、能動態と受動態しか知らなかった私にとって、中動態の存在は衝撃であった。衝撃と同時に、「これは自分が考えたいことととても深いところでつながっている」という感覚を得たことも記憶している。 だが、それは当時の自分にはとうてい手に負えないテーマであった。単なる一文法事項をいったいどのように論ずればよいというのか。その後、大学院に進んでスピノザ哲学を専門的に勉強するようになってからも事態は変わらなかった。 ただ、論文を書きながらスピノザのことを想っていると、いつも中動態について自分の抱いていたイメージが彼の哲学と重なってくるのだった。中動態についてもう少し確かなことが分かればスピノザ哲学はもっと明快になるのに……そういうもどかしさがずっとあった。 スピノザだけではなかった。数多くの哲学、数多くの問題が、何度も私に中動態との縁故のことを告げてきた。その縁故が隠されているために、何かが見えなくなっている。しかし中動態そのものの消息を明らかにできなければ、見えなくなっているのが何なのかも分からない。 私は誰も気にかけなくなった過去の事件にこだわる刑事のような気持ちで中動態のことを想い続けていた。 (中略) 熊谷さん、上岡さん、ダルクのメンバーの方々のお話をうかがっていると、今度は自分のなかで次なる課題が心にせり出してくるのを感じた。自分がずっとこだわり続けてきたにもかかわらず手をつけられずにいたあの事件、中動態があるときに失踪したあの事件の調査に、自分は今こそ乗り出さねばならないという気持ちが高まってきたのである。 その理由は自分でもうまく説明できないのだが、おそらく私はそこで依存症の話を詳しくうかがいながら、抽象的な哲学の言葉では知っていた「近代的主体」の諸問題がまさしく生きられている様を目撃したような気がしたのだと思う。「責任」や「意志」を持ち出しても、いや、それらを持ち出すからこそどうにもできなくなっている悩みや苦しさがそこにはあった。 次第に私は義の心を抱きはじめていた。関心を持っているからではない。おもしろそうだからではない。私は中動態を論じなければならない。──そのような気持ちが私を捉えた。 (以下略)
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「いき」の構造 他二篇 | 九鬼周造
¥792
岩波書店 1979年 文庫 216ページ 14.6 x 10.6 x 1.2 cm - 内容紹介 - 九鬼町にあるトンガ坂文庫には欠かせない九鬼周造の代表作。 日本独自の美意識「いき(粋)」とは何か。 「いき」の現象をその構造と表現から明快に把える、必読の論考。 『風流に関する一考察』『情緒の系図』を併収。
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「いき」の構造 |九鬼周造, 大川裕弘(写真) 谷村鯛夢(編集)
¥2,200
パイ・インターナショナル 2022年 ソフトカバー 256ページ 縦160mm 横128mm - 内容紹介- あの名著の、「いき」の美学が理解できる 典型的な『高等遊民』にして西欧の教養と遊びの精神及び江戸と上方両文化に精通する粋人が、西欧流哲学の構文で迫る「いき」の構造。「いき」と言えば日本人の九割が感覚的に了解し、では「いき」とは、と問われれば九割が答に窮するといわれる「いき」の謎。一字一句の難解、一行一章の曲折に気を取られず軽く読み超えていけば、ふっと、日本独自の美学の要点が見えてきます。『日本の美』の空気感、存在感に通底する大川裕弘の写真の数々が、そうした読書法の確かな一助になります。
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『「いき」の構造』を読む | 安田 武, 多田 道太郎
¥1,320
筑摩書房 2015年 文庫判 288ページ - 内容紹介 - 日本人の美意識の底流にある「いき」という概念。九鬼周造の名著『「いき」の構造』を素材に、二人の碩学が軽やかに解きほぐしていく。解説 井上俊
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21世紀の道徳 学問、功利主義、ジェンダー、幸福を考える|ベンジャミン・クリッツァー(著/文)
¥1,980
晶文社 2021年 ソフトカバー 408ページ 四六判 - 内容紹介- 現代哲学を「政治的正しさ」の呪縛から解放する快著 ──帯文・東浩紀 ポリティカル・コレクトネス、差別、格差、ジェンダー、動物の権利……いま私たちが直面している様々な問題について考えるとき、カギを握るのは「道徳」。進化心理学をはじめとする最新の学問の知見と、古典的な思想家たちの議論をミックスした、未来志向とアナクロニズムが併存したあたらしい道徳論。「学問の意義」「功利主義」「ジェンダー論」「幸福論」の4つのカテゴリーで構成する、進化論を軸にしたこれからの倫理学。 哲学といえば、「答えの出ない問いに悩み続けることだ」と言われることもある。だが、わたしはそうは思わない。悩み続けることなんて学問ではないし、答えを出せない思考なんて意味がない。哲学的思考とは、わたしたちを悩ませる物事についてなんらかのかたちで正解を出すことのできる考え方なのだ。(…) この本のなかでは、常識はずれな主張も、常識通りの主張も、おおむね同じような考え方から導きだされている。それは、なんらかの事実についてのできるだけ正しい知識に基づきながら、ものごとの意味や価値について論理的に思考することだ。これこそが、わたしにとっての「哲学的思考」である。(…)倫理学のおもしろさ、そして心理学をはじめとする様々な学問のおもしろさをひとりでも多くの読者に伝えることが、この本の最大の目的である。(「まえがき」より) 【目次】 ■第1部 現代における学問的知見のあり方 第1章 リベラルだからこそ「進化論」から目を逸らしてはいけない 第2章 人文学は何の役に立つのか? 第3章 なぜ動物を傷つけることは「差別」であるのか? ■第2部 功利主義 第4章 「権利」という言葉は使わないほうがいいかもしれない 第5章 「トロッコ問題」について考えなければいけない理由 第6章 マザー・テレサの「名言」と効果的な利他主義 ■第3部 ジェンダー論 第7章 フェミニズムは「男性問題」を語れるか? 第8章 「ケア」や「共感」を道徳の基盤とすることはできるのか? 第9章 ロマンティック・ラブを擁護する ■第4部 幸福論 第10章 ストア哲学の幸福論は現代にも通じるのか? 第11章 快楽だけでは幸福にたどりつけない理由 第12章 仕事は禍いの根源なのか、それとも幸福の源泉なのか? 終章 黄金律と「輪の拡大」、道徳的フリン効果と物語的想像力 目次 【目次】 ■第1部 現代における学問的知見のあり方 第1章 リベラルだからこそ「進化論」から目を逸らしてはいけない 第2章 人文学は何の役に立つのか? 第3章 なぜ動物を傷つけることは「差別」であるのか? ■第2部 功利主義 第4章 「権利」という言葉は使わないほうがいいかもしれない 第5章 「トロッコ問題」について考えなければいけない理由 第6章 マザー・テレサの「名言」と効果的な利他主義 ■第3部 ジェンダー論 第7章 フェミニズムは「男性問題」を語れるか? 第8章 「ケア」や「共感」を道徳の基盤とすることはできるのか? 第9章 ロマンティック・ラブを擁護する ■第4部 幸福論 第10章 ストア哲学の幸福論は現代にも通じるのか? 第11章 快楽だけでは幸福にたどりつけない理由 第12章 仕事は禍いの根源なのか、それとも幸福の源泉なのか? 終章 黄金律と「輪の拡大」、道徳的フリン効果と物語的想像力 - 著者プロフィール - ベンジャミン・クリッツァー(Benjamin Kritzer) 1989年京都府生まれ。2014年に大学院(修士)を修了後、フリーターや会社員をしながら、ブログ「道徳的動物日記」を開始(2020年からは「the★映画日記」も開始)。批評家として、倫理学・心理学・社会運動など様々なトピックについての記事をブログやWebメディアに掲載。論考に「動物たちの未来は変えられるか?」(『atプラス 思想と活動』32、太田出版、2017年)、「ポリティカル・コレクトネスの何が問題か アメリカ社会にみる理性の後退」(『表現者クライテリオン』2021年5月号、啓文社書房)、「ウソと「めんどくささ」と道徳」(『USO 3』、rn press、2021年)などがある。
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手づくりのアジール 「土着の知」が生まれるところ | 青木真兵
¥1,980
晶文社 2021年 ソフトカバー 256ページ 四六判 - 内容紹介 - 青木君たち、やっていることは「けっこう極端」なんだけれど、言葉の手ざわりがとてもやさしい。だから話をずっと聴いていられる。──内田樹 注目の在野研究者・移住者・図書館主宰者による土着人類学宣言!あたらしい人文知はここからはじまる。 市場原理主義や、社会に浸透する高度なテクノロジーによる管理化に飲み込まれず、地に足がついたまっとうな生き方をするためには、社会のなかでの「アジール(避難所)」を自分たちの手で確保することが必要ではないか。 ・スピードが最優先される「スマート化」にどう抗うか? ・これからの「はたらく」のかたちとは? ・研究と生活をどう一致させるか?…… 奈良の東吉野村で自宅兼・人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」を主宰する著者が、志を同じくする若手研究者たちとの対話を通じて、「土着の知性」の可能性を考える考察の記録。あたらしい人文知はここからはじまる。 ぼくらの直感は合っていました。合っていたからと言って世界が劇的には変わるわけではないのだけれど、でももうちょっと、この「土着の知」とも言うべき人間の生き物としての部分を認めないと、ぼくたちは生き残ることができないのではないか。社会を維持することだってできないのではないか。本書は『彼岸の図書館』で言語化でき始めたこの直感を、同年代の研究者と共有し、意見交換した記録です。(「はじめに」より) 【目次】 「闘う」ために逃げるのだ──二つの原理を取り戻す 対話1 逃げ延びるという選択 栢木清吾×青木真兵×青木海青子 対話2 これからの「働く」を考える 百木漠×青木真兵 「最強」とはなにか──山村で自宅を開くこと 対話3 「スマート」と闘う 藤原辰史×青木真兵 対話4 土着の楽観主義 竹端寛×青木真兵 手づくりのアジール──「自分のために」生きていく 対話5 生活と研究 磯野真穂×青木真兵 対話6 ぼくらのVita Activa――マルクス・アーレント・網野善彦 百木漠×青木真兵 山村デモクラシーⅡ 目次 「闘う」ために逃げるのだ──二つの原理を取り戻す 対話1 逃げ延びるという選択 栢木清吾×青木真兵×青木海青子 対話2 これからの「働く」を考える 百木漠×青木真兵 「最強」とはなにか──山村で自宅を開くこと 対話3 「スマート」と闘う 藤原辰史×青木真兵 対話4 土着の楽観主義 竹端寛×青木真兵 手づくりのアジール──「自分のために」生きていく 対話5 生活と研究 磯野真穂×青木真兵 対話6 ぼくらのVita Activa――マルクス・アーレント・網野善彦 百木漠×青木真兵 山村デモクラシーⅡ - 著者プロフィール - 青木真兵 (アオキシンペイ) (著/文) 1983年生まれ、埼玉県浦和市に育つ。「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」キュレーター。古代地中海史(フェニキア・カルタゴ)研究者。博士(文学)。2014年より実験的ネットラジオ「オムライスラヂオ」の配信をライフワークにしている。2016年より奈良県東吉野村在住。現在は障害者の就労支援を行いながら、大学等で講師を務めている。著書に、妻・青木海青子との共著『彼岸の図書館──ぼくたちの「移住」のかたち』(夕書房)、『山學ノオト』『山學ノオト2』(共にエイチアンドエスカンパニー)のほか、「楽しい生活──僕らのVita Activa」(内田樹編『ポストコロナ期を生きるきみたちへ』所収、晶文社)などがある。
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私はいま自由なの? 男女平等世界一の国ノルウェーが直面した現実 | リン スタルスベルグ(著/文)枇谷 玲子(翻訳)
¥2,420
柏書房 2021年 ソフトカバー 406ページ 四六判 - 内容紹介 - ジェンダー先進国とされるノルウェー。 だが、そこに住む女性たちは幸福なのか。 労働問題を扱うジャーナリストが、 「先進国」ができるまでの過程を点検し、 仕事と家事、両方の負担に押しつぶされそうな ノルウェー女性たちの肉声を拾い集める。 「ジェンダーギャップ」を埋めただけでは解決しない、 日本もいずれ直面する本質的な課題を 浮かび上がらせる渾身のレポート。 目次 はじめに 胸騒ぎ 第一章 「仕事と家庭の両立」という難問 第二章 70年代の神話と社会変革の夢 第三章 仕事をすれば自由を得られる? 第四章 キャリア・フェミニズムと市場の力学 第五章 可能性の時代は続く 謝辞 原注 - 著者プロフィール - リン スタルスベルグ (リン スタルスベルグ) (著/文) 1971年ノルウェー生まれ。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで社会学の修士号を取得。アムネスティ・ノルウェー、ノルウェー国営放送NRK、新聞「階級闘争」などの媒体でジャーナリスト、コラムニストとして活躍。2013年に本書『私はいま自由なの?』を発表。アラビア語にも翻訳され、特にジェンダー・ギャップ指数ランキング134位のエジプトで、女性読者から大きな反響を得た。共著に、赤十字から出された『戦争のルール』(2012年、未邦訳)。単著は本作のほかに『もう飽き飽き――新自由主義がいかにして人間と自然を壊してきたか』(2019年、未邦訳)がある。
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水中の哲学者たち | 永井玲衣
¥1,760
晶文社 2021年 ソフトカバー 268ページ 四六判 - 内容紹介 - 小さくて、柔らかくて、遅くて、弱くて、優しくて、 地球より進化した星の人とお喋りしてるみたいです。 ──穂村弘 もしかして。あなたがそこにいることはこんなにも美しいと、 伝えるのが、哲学ですか? ──最果タヒ みなが水中深く潜って共に考える哲学対話。 「もっと普遍的で、美しくて、圧倒的な何か」 それを追い求めて綴る、前のめり哲学エッセイ! 「もっと普遍的で、美しくて、圧倒的な何か」それを追いかけ、海の中での潜水のごとく、ひとつのテーマについて皆が深く考える哲学対話。若き哲学研究者にして、哲学対話のファシリテーターによる、哲学のおもしろさ、不思議さ、世界のわからなさを伝える哲学エッセイ。当たり前のものだった世界が当たり前でなくなる瞬間。そこには哲学の場が立ち上がっている! さあ、あなたも哲学の海へダイブ! 人々と問いに取り組み、考える。哲学はこうやって、わたしたちの生と共にありつづけてきた。借り物の問いではない、わたしの問い。そんな問いをもとに、世界に根ざしながら世界を見つめて考えることを、わたしは手のひらサイズの哲学と呼ぶ。なんだかどうもわかりにくく、今にも消えそうな何かであり、あいまいで、とらえどころがなく、過去と現在を行き来し、うねうねとした意識の流れが、そのままもつれた考えに反映されるような、そして寝ぼけた頭で世界に戻ってくるときのような、そんな哲学だ。(「まえがき」より) 【目次】 1 水中の哲学者たち 2 手のひらサイズの哲学 3 はい、哲学科研究室です 目次 1 水中の哲学者たち 2 手のひらサイズの哲学 3 はい、哲学科研究室です - 著者プロフィール - 永井玲衣 (ナガイレイ) 1991年、東京都生まれ。哲学研究と並行して、学校・企業・寺社・美術館・自治体などで哲学対話を幅広く行っている。哲学エッセイの連載なども手がける。独立メディア「Choose Life Project」や、坂本龍一・Gotch主催のムーブメント「D2021」などでも活動。詩と植物園と念入りな散歩が好き。
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デカルトはそんなこと言ってない | ドゥニ・カンブシュネル, 津崎良典(翻訳)
¥1,980
晶文社 2021年 ソフトカバー 320ページ 四六判 - 内容紹介 - 〈我思う、故に我在り〉はかくも誤解されてきた! 「〈我思う、故に我在り〉は大発見」「人間の身体は単なる機械」「動物には何をしたっていい」……ぜんぶ誤解だった! 世界的権威が21の「誤解」を提示、デカルトにかけられた嫌疑をひとつひとつ晴らしていく。 「近代哲学の父」「合理主義哲学の祖」などと持ち上げられながら、その実デカルトほど誤解されている哲学者はいない。それでよいのか? 見かねて立ち上がったデカルト研究の世界的権威が、私たちの誤解に逐一反駁を加えながら、デカルト本来の鋭く豊かな思考を再構成する。デカルトが言ってたのはこういうことだったのか! 硬直したデカルト像を一変させるスリリングな哲学入門。 目次 凡例 日本語版への序文 はじめに 1.学校で教わることはどれも役に立たない 2.感覚は私たちを欺く 3.明晰判明でなければ決して真ではない 4.方法の規則は少ししかない 5.神はやろうとすれば3+2=4にできる 6.「私は考える、だから私は在る」というのは大発見である 7.人間の魂は、自分に対して透き通るように立ち現れてくる純粋な思考のことだ 8.人間の精神は、思考するのに身体を必要としない 9.人間の精神は、独り観念を介さなければ何も認識しない 10.人間の意志は無限である 11.人間は、自然の主人にして所有者になるべきだ 12.物質は延長に他ならない、すなわち空間である 13.自然学に経験や実験は不要である 14.人体は、純然たる機械である 15.私たちの魂は、身体を動かすための力を持っている 16.私たちは動物に何をしたって構わない 17.理性は、情動なしで済ませられる 18.私たちの実践上の判断はどれも不確実だ 19.完璧な道徳は手に入らない 20.高邁とは、自由の情念のことだ 21.政治は君主に任せておくべきだ 弁明――簡潔に、対話篇のスタイルで デカルト主要年譜 訳者後書き 人名索引 - 著者プロフィール - ドゥニ・カンブシュネル (ドゥニカンブシュネル) (著/文) 1953年生まれ。パリ第1大学パンテオン=ソルボンヌ校名誉教授。デカルト研究の世界的権威。おもな著書に『情念の人』(1995年、未邦訳)、『デカルトの「形而上学的省察」』(第1巻、2005年、未邦訳)など。邦訳に『人がいじわるをする理由はなに?(10代の哲学さんぽ8)』(岩崎書店)がある。 津崎良典 (ツザキヨシノリ) (翻訳) 1977年生まれ。国際基督教大学教養学部人文科学科卒業。大阪大学大学院文学研究科修士課程修了。パリ第1大学パンテオン=ソルボンヌ校でカンブシュネル氏に学ぶ。同校哲学科博士課程修了、哲学博士号を取得。現在、筑波大学人文社会系准教授。デカルト関連書の訳書多数。著書に『デカルト 魂の訓練――感情が鎮まる最善の方法』(扶桑社新書)など。
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辛口サイショーの人生案内DX | 最相葉月
¥1,760
ミシマ社 2021年 ソフトカバー 160ページ 四六判 - 内容紹介 - 読売新聞の大人気連載「人生案内」から名回答68本を厳選! 待望の書籍化第2弾。 「離婚されたらよろしいのでは」 「自分を守れない人に家族は守れません」 「たとえ母親でも、首を突っ込むのはマナー違反です」 「いつも笑っていなくてもいいのです」 ・・・誰も言ってくれない、最高に実用的な回答ばかり! ** (…)嵐が吹いても家が傾いても、町中がマスク人間だらけになっても、不倫や嫁姑問題はなくなりませんし、毒親は健在でした。パンデミックでみんな大変な時に不謹慎じゃないかと思って誰にも相談できないでいた密かなお悩みが、社会の公器である新聞に続々と寄せられているのでした。――まえがきより ** SNSで話題沸騰! 「10.7万いいね」のあの回答も収録! 【黙とうしない同僚 不愉快】(本文より要約) 相談者 「3月11日に職場の館内放送で黙とうの呼びかけがありました。ところが、1人の女性が部屋を出てしまったのです。黙とうをしないのは、亡くなった方や遺族に大変失礼だと思います。受け入れられません。」 サイショーさん 「あなたはどうでしたか。部屋を出ていった彼女が気になって仕方なかった。よし、新聞に投書してやろう。そんな気持ちで黙とうしていたことは、亡くなった方や遺族に対して失礼にはあたりませんか。365日、毎日誰かの命日です。館内放送で一斉に黙とうすれば真摯なのか。彼女が奥まった部屋で祈っているかどうかは誰にもわかりません。ただ少なくとも、他人が土足で踏み込む場所でないことは確かだと思います。」 - 著者プロフィール - 最相葉月(さいしょう・はづき) 1963年東京生まれの兵庫県神戸市育ち。関西学院大学法学部卒業。著書に、『絶対音感』『青いバラ』『星新一 一〇〇一話をつくった人』『れるられる』『セラピスト』『ナグネ 中国朝鮮族の友と日本』『最相葉月 仕事の手帳』など多数。ミシマ社では『辛口サイショーの人生案内』(シリーズ・コーヒーと一冊)『胎児のはなし』(増﨑英明との共著)『未来への周遊券』(瀬名秀明との共著)を刊行。
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<普遍性>をつくる哲学 「幸福」と「自由」をいかに守るか | 岩内 章太郎
¥1,760
NHK出版 2021年 ソフトカバー 320ページ B6判 - 内容紹介 - マルクス・ガブリエルの次へ! 今世紀に入って、カンタン・メイヤスー、マルクス・ガブリエル、グレアム・ハーマンらの「新しい実在論」が一世を風靡した。これについての鮮やかな解説書で好評を得た新鋭哲学者が、オリジナルの哲学マニフェストを書き下ろす! 閉塞感ただよう時代、とくに若者は「自己実現の自由」に飽いて、個々人の「小さな幸福」に閉じこもる。しかし社会的「自由」を放棄すればカネの力やハラスメントがのさばり、「幸福」も脅かされる。幸福、そして自由を確保するためにいま必要なのは、哲学がもつ「合意を形成する力」だ――。現代実在論からポストモダン思想へ遡り、近代哲学の可能性を捉え直して、真の「多様性」を守るための哲学の原理を示す。 序 現代の「普遍論争」 ――「実在」をめぐる千年の争い 第一章 新しい実在論の登場――普遍性は実在する 第二章 構築主義の帰結――普遍性を批判する 第三章 現象学の原理――普遍認識の条件 第四章 現象学的言語ゲーム――普遍性を創出する 終章 もう一度、自由を選ぶ ――「関係性の充足」と「ソロ充の快楽」のために 目次 序 現代の普遍論争 第一章 新しい実在論の登場――普遍性は実在する 第二章 構築主義の帰結――普遍性を批判する 第三章 現象学の原理――普遍認識の条件 第四章 現象学的言語ゲーム――普遍性を創出する 終章 もう一度、自由を選ぶ - 著者プロフィール - 岩内 章太郎 (イワウチ ショウタロウ) (著/文) 豊橋技術科学大学准教授。1987年札幌生まれ。早稲田大学国際教養学部卒業、同大大学院国際コミュニケーション研究科博士後期課程修了。博士(国際コミュニケーション学)。同大国際教養学部助手を経て現職。専門は現象学を中心とした哲学。 著書に『新しい哲学の教科書――現代実在論入門』(講談社選書メチエ)、『現象学とは何か――哲学と学問を刷新する』(共著・河出書房新社)、『交域する哲学』(共著・月曜社)など。
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新しい哲学の教科書 現代実在論入門 | 岩内章太郎
¥1,980
講談社 2019年初版 ソフトカバー 285ページ 18.8 x 13 x 2.2 cm - 帯より - メイヤスー、ハーマン、そしてマルクス・ガブリエルーー 今、哲学者は何を考え、どこを目指しているのか? 気鋭の著者が大胆に描く最前線の思考! 「人間以後」の世界は、人間が消滅した後の世界だけを意味するのではなく、人間が関与できない世界をも指示している。人間の思考が届かない場所を思考しようとすることーー大きな矛盾を孕むこの冒険は、それでも私たちを惹きつける。・・・ 近代とポストモダンを調停しつつ全身する現代実在論はーー哲学史的な観点から考えるならーーどのような動機に導かれ、どのくらいの思想的射程を持ちうるのか。そして、結局のところ、それの何が「新しい」のか。・・・いずれにせよ、哲学は、その意義を評価することなしには先に進めない地点まできている。 ーー「まえがき」より
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くらしのアナキズム | 松村圭一郎
¥1,980
ミシマ社 2021年 ソフトカバー 240ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ19mm - 内容紹介 - 国家は何のためにあるのか? ほんとうに必要なのか? 「国家なき社会」は絶望ではない。 希望と可能性を孕んでいる。 よりよく生きるきっかけとなる、 〈問い〉と〈技法〉を 人類学の視点からさぐる。 本書でとりあげる「人類学者によるアナキズム論」とは… ・国家がなくても無秩序にならない方法をとる ・常識だと思い込んでいることを、本当にそうなのか? と問い直す ・身の回りの問題を自分たちで解決するには何が必要かを考える アナキズム=無政府主義という捉え方を覆す、画期的論考! *** この本で考える「アナキズム」は達成すべき目標(・・)ではない。むしろ、この無力で無能な国家のもとで、どのように自分たちの手で生活を立てなおし、下から「公共」をつくりなおしていくか。「くらし」と「アナキズム」を結びつけることは、その知恵を手にするための出発点(・・・)だ。(「はじめに」より) *** ミシマ社創業15周年記念企画 目次 はじめに 国家と出会う 第一章 人類学とアナキズム 第二章 生活者のアナキズム 第三章 「国家なき社会」の政治リーダー 第四章 市場(いちば)のアナキズム 第五章 アナキストの民主主義論 第六章 自立と共生のメソッド――暮らしに政治と経済をとりもどす おわりに - 著者プロフィール - 松村圭一郎 (マツムラケイイチロウ) (著/文) 1975年熊本生まれ。岡山大学文学部准教授。専門は文化人類学。所有と分配、海外出稼ぎ、市場と国家の関係などについて研究。著書に『うしろめたさの人類学』(ミシマ社、第72回毎日出版文化賞特別賞)、『はみだしの人類学』(NHK出版)、『これからの大学』(春秋社)など、共編著に『文化人類学の思考法』(世界思想社)、『働くことの人類学』(黒鳥社)。
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<定本> 災害ユートピア | レベッカ・ソルニット, 高月 園子(翻訳)
¥2,860
亜紀書房 2020年 ソフトカバー 508ページ - 内容紹介 - ロングセラー、待望の完全版刊行! 旧版での抄録部分、原注などを完全収録し、70ページに上る増補でおくる決定版。 解説「レベッカ・ソルニットを読み解く」(渡辺由佳里)も新たに収録。 ブレイディみかこ氏、推薦! 「エリートがビビッて失敗するとき、地べたは生き生きと機能し始める」 大地震、大洪水、巨大なテロ……私たちの日常に裂け目が入るとき、そこにはいつもユートピアが出現した。 災害時になぜ人々は無償の行為を行うのか? そのとき、なぜエリートはパニックを起こし、人びとは自発的な秩序をつくり上げるのか? 1906年のカリフォルニア大地震から、ニューオーリンズの巨大ハリケーン、9.11テロまで、危機の最中に現れる人々の自発的な相互扶助のメカニズムを追った、珠玉のノンフィクション。 目次 プロローグ 地獄へようこそ 第1章 ミレニアムの友情:サンフランシスコ地震 第2章 ハリファックスからハリウッドへ:大論争 第3章 カーニバルと革命:メキシコシティ大地震 第4章 変貌した都市:悲嘆と栄光のニューヨーク 第5章 ニューオリンズ:コモングラウンドと殺人者 エピローグ 廃墟の中の入り口 謝辞 解説「レベッカ・ソルニットを読み解く」 渡辺由佳里 原注 著者プロフィール レベッカ・ソルニット (レベッカ ソルニット) (著/文) 1961年生まれ。作家・歴史家・アクティヴィスト。カリフォルニア州に育ち、環境問題や人権、反戦などの政治運動に参加。1988年より文筆活動を始め、『River of Shadows: Eadweard Muybridge and the Technological Wild West』で全米批評家協会賞、マーク・リントン歴史賞を受賞。邦訳書に『説教したがる男たち』『ウォークス』『迷うことについて』(共に左右社)、『それを、真の名で呼ぶならば』(岩波書店)など多数。 高月 園子 (タカツキ ソノコ) (翻訳) 翻訳者・エッセイスト。東京女子大学文ア理学部卒業。英国在住歴25年。訳書にB・ゴート/Mゴート『5歳からの哲学』、P・ジンバルドー/N・クローン『男子劣化社会』(共に晶文社)、G・L・スチュワート/S・ムスタファ『殺人鬼ゾディアック』 (亜紀書房)、R・スチュワート『戦禍のアフガニスタンを犬と歩く』(白水社)など多数。著書に『ロンドンはやめられない』(新潮文庫)など。
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江戸の読書会 | 前田 勉
¥1,760
平凡社 2018年 ソフトカバー 448ページ B6変型判 - 内容紹介 - 江戸時代後期に始まった「会読」。複数の人間が集まって同じ書物を読み議論したり、共に翻訳作業などを行った共読法です。 当時の私塾や藩校で採用され、主に儒学の教授法として使われたといいます。 本書では、そもそも何故江戸時代に儒学が広く学ばれるようになったのかというところから、その後の明治維新に繋がる精神の発展まで、興味深く掘り下げています。