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無目的 行き当たりばったりの思想 | トム・ルッツ, 田畑暁生(翻訳)
¥2,420
青土社 2023年 200ページ 四六判 - 内容紹介 - 無目的はわたしたちを自由にする 現代の社会では、目的を持たないことは批判的に捉えられがちであるが、過去においては多くの宗教家、哲学者、芸術家が目的を持たない状態に価値を見出していた。著者は「無目的」を人間の基本的な性癖と考え、それを創造性の源としたり、効率的な思考や生産性の要求に対抗できるものとして、積極的に擁護する。短い文章で構成されどこからでも気軽に読める本書は、無目的に読み進めることで予期していなかったどこかに私たちを導く。
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世界はナラティブでできている なぜ物語思考が重要なのか | アンガス・フレッシャー, 田畑暁生(翻訳)
¥2,640
青土社 2024年 ハードカバー 220ページ 四六判 - 内容紹介 - 物語思考とはなにか 私たちは未来を考えるときに物語(ストーリー)を使っている。神経科学的なアプローチでストーリーを研究する著者は、この能力を “ストーリーシンキング ”と名付け、私たちの脳がなぜ、どのようにしてストーリーで思考するのかを解説する。神経科学と物語理論の新しい研究をもとに、科学からビジネス、哲学におけるストーリーシンキングの重要性を明らかにし、想像力、革新性、創造性の本質を探求する。
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バトラー入門 | 藤高 和輝
¥1,034
筑摩書房 2024年 ちくま新書 ソフトカバー 288ページ 新書判 - 内容紹介 - クィア理論って何? ドラァグ論ってどこから来たの? パフォーマティブってつまりどういうこと? 『ジェンダー・トラブル』がはじめてわかる! 『ジェンダー・トラブル』がはじめてわかる! 現代のジェンダーとセクシュアリティ研究の方向性を決定づけたとされるジュディス・バトラーの主著『ジェンダー・トラブル』は、その難解さでも名高い。 実は、バトラーの理論を理解する鍵は、当時のフェミニストやセクシュアル・マイノリティが置かれていた現場――社会と歴史と思想の文脈にある。 クィア理論って何? ブッチ/フェムやドラァグ論はどこから来たの? パフォーマティブってつまりどういうこと? バトラーの主著『ジェンダー・トラブル』を時代ごと理解する。 - 目次 - プロローグ――『ジェンダー・トラブル』非公式ファンブック 第一章 ブレイブ・ニュートン! The Misunderstanding/ニュートンとレズビアン・フェミニズム/「反戦運動とラディカル・フェミニズムの非嫡出子」/「ラベンダー色の脅威」とラディカレズビアンズ/「レズビアンは女を愛し、リスペクトするが、同性愛の女はただ女と寝るだけ」?/「平等主義的セックス」という圧力/マニッシュ・レズビアン/トップのフェム/ボトムのブッチ/ジェンダーの「不連続性」 第二章 ジェンダーに「本物」も「偽物」もない! ドラァグのインパクト/『マザー・キャンプ』/ニュートンからバトラーへ/「パフォーマティヴ」と「エクスプレッシブ」/ジェンダー・パフォーマティヴィティ――「演技」を例に/自由にできるわけでも決定されているわけでもなく/「絶望の政治」に抗して/「彼女は働きすぎたので休養が必要です」/“She likes her boys to be girls”/バトラーからニュートンへ 第三章 “You make me feel like a natural woman” 「女のように/男のように感じる」?/バトラーからボーヴォワールへ/「女なるものは存在しない」/「人は女に生まれない、女になる」/比喩としてのジェンダー/「この子は女の子/男の子だ!」/政治的カテゴリーとしてのセックス/「しかし、もしアレサが私に向かって歌っているのだとしたら、どうだろう?」/「自然な女/男」のレシピ 第四章 「ジェンダーをなくすんじゃなくて増やそう」って話 「ジェンダーをなくす」?/「偏見がなくなる日」……?/性別の超越――再び、ウィティッグの「レズビアンは女ではない」/権力とその「向こう側」/「異性愛の全面否定」の帰結/ウィティッグの小説の「威力」/再び、ブッチとフェムを少々/ジェンダーはつねに再意味化に開かれている/ジェンダーを増やそう、ってゆうか 第五章 「私たち」って誰!? その「私たち」に私は含まれてるの?/「女たち」の隘路/同時代のフェミニストたちとともに/クレンショーの「インターセクショナリティ」/フックスの『私は女じゃないの?』/コリンズ・ビルゲの『インターセクショナリティ』/「第三世界」からの問いかけ/スピヴァクの「サバルタンは語ることができるか?」/「私は女じゃないの?」から『それが私の名前なの?』へ/「私たち」の絶望と希望 第六章 「クィア理論って何?」 クィア理論の古典?/クィアって何?/エイズ危機とエイズ・アクティヴィズム/エイズ・アクティヴィズムからクィア・ポリティクスへ/「とりあえずの連帯」/パフォーマンスの政治/クィア理論って何?/批判的にクィアしよう/「対話」は難しい、それでも…… エピローグ――〈トラブル〉の共鳴 ねえ、気づいてたかな?/たくさんの「源」/『ジェンダー・トラブル』の「フェミニスト的記憶」/アカデミズムの外で/「可能性を開く」こと/「非現実化」に抗して/〈トラブル〉の共鳴 あとがき - 著者プロフィール - 藤高 和輝 (フジタカ カズキ) (本文) 1986年、大阪市出身。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。同科助教を経て、現在、京都産業大学文化学部准教授。専門は現代思想、フェミニズム、クイア理論、トランスジェンダー研究。著書に『ジュディス・バトラー――生と哲学を賭けた闘い』(以文社)『〈トラブル〉としてのフェミニズム──「とり乱させない抑圧」に抗して』(青土社)『ノット・ライク・ディス――トランスジェンダーと身体の哲学』(以文社)がある。
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くらしのアナキズム | 松村 圭一郎
¥1,980
ミシマ社 2021年 ソフトカバー 240ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ19mm - 内容紹介 - 国家は何のためにあるのか? ほんとうに必要なのか? 「国家なき社会」は絶望ではない。 希望と可能性を孕んでいる。 よりよく生きるきっかけとなる、 〈問い〉と〈技法〉を 人類学の視点からさぐる。 本書でとりあげる「人類学者によるアナキズム論」とは… ・国家がなくても無秩序にならない方法をとる ・常識だと思い込んでいることを、本当にそうなのか? と問い直す ・身の回りの問題を自分たちで解決するには何が必要かを考える アナキズム=無政府主義という捉え方を覆す、画期的論考! *** この本で考える「アナキズム」は達成すべき目標(・・)ではない。むしろ、この無力で無能な国家のもとで、どのように自分たちの手で生活を立てなおし、下から「公共」をつくりなおしていくか。「くらし」と「アナキズム」を結びつけることは、その知恵を手にするための出発点(・・・)だ。(「はじめに」より) *** ミシマ社創業15周年記念企画 - 目次 - はじめに 国家と出会う 第一章 人類学とアナキズム 第二章 生活者のアナキズム 第三章 「国家なき社会」の政治リーダー 第四章 市場(いちば)のアナキズム 第五章 アナキストの民主主義論 第六章 自立と共生のメソッド――暮らしに政治と経済をとりもどす おわりに - 著者プロフィール - 松村圭一郎 (マツムラケイイチロウ) (著/文) 1975年熊本生まれ。岡山大学文学部准教授。専門は文化人類学。所有と分配、海外出稼ぎ、市場と国家の関係などについて研究。著書に『うしろめたさの人類学』(ミシマ社、第72回毎日出版文化賞特別賞)、『はみだしの人類学』(NHK出版)、『これからの大学』(春秋社)など、共編著に『文化人類学の思考法』(世界思想社)、『働くことの人類学』(黒鳥社)。
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思想としてのアナキズム | 森 元斎, 森 啓輔, 清水 知子, 栗原 康, 高橋 采花, 近藤 和敬, 中西 淳貴, 渡辺 一樹, 近藤 宏, 成瀬 正憲, 川上 幸之介, 東 志保
¥3,850
以文社 2024年 ハードカバー 312ページ A5判 - 内容紹介 - いかに「思想」としてのアナキズムを保持し得るか。どこまで原理的に、かつ多様に、アナーキーであり続けられるのか――。 暴力論、運動実践、哲学、人類学、宗教、音楽、映画、フェミニズム、近代日本、さまざまなベクトルが交差するアナキズムの現在。 目次 はじめに 第1章 社会は転倒しなければならない――ロジャヴァ革命とCHAZによる反暴力(森元斎) 第2章 市民的抵抗における「暴力」と「非暴力」再考――エリカ・チェノウェスらの非暴力主義的研究に対するベンジャミン・ケースの批判(森啓輔) 第3章 夜明けのアナーキー――テクノサイエンス時代のサイボーグとコモン(清水知子) 第4章 もう非戦しかないもんね――幸徳秋水、仁のアナキズム(栗原康) 第5章 有島武郎と二つの〈家〉――天皇の最も近くで生まれたアナキスト(高橋采花) 第6章 デュルケムの集合的なものとイマギナチオ――集合表象概念の哲学的・思想史的意義について(近藤和敬) 第7章 カントとアナーキーの問題(中西淳貴) 第8章 系譜学、人類学、オルタナティヴ――デヴィッド・グレーバーの方法について(渡辺一樹) 第9章 「社会」の考えそこない――グレーバーとレヴィ=ストロースの交差地点(近藤宏) 第10章 山伏とアナキズム(成瀬正憲) 第11章 パンクとアナキズム(川上幸之介) 第12章 メドヴェトキン集団再考――自主管理的な労働と映画の実践(東志保) おわりに
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チベットのロックスター 仏教聖者ミラレーパ魂の声 | 渡邊 温子
¥660
風響社 2015年 ブックレット〈アジアを学ぼう〉別巻 ソフトカバー 48ページ A5判 - 内容紹介 - 民衆の尊崇を受ける聖者を、チベット人の眼差しから描く。各地を遊行し、瞑想修行に明け暮れ、大いなる悟りを得たミラレーパ。自身の体験したものの全てを宗教歌「グル」にして人々に歌い聞かせたが、その歌は魂の叫びそのものであり、聞く者の心を強く揺り動かすのである。11世紀に生きたチベットの聖者の人生と思想。 目次 1 悪縁を順縁へ(悪縁としての母 仏教の道へ 隠遁生活) 2 ミラレーパの仏教思想(苦しみを糧とする 無の現れ 衆生利益の意味) 3 現代を生きるミラレーパ(ミラレーパの仮面舞踏 様々なミラレーパの行事 消えゆくチベット文化)
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マニフェスト 政治の詩学 | エドゥアール・グリッサン, パトリック・シャモワゾー, 中村隆之(翻訳)
¥2,970
以文社 2024年 ハードカバー 216ページ 四六判 - 内容紹介 - カリブ海マルティニック島の大作家で、数々の著名な仏文学賞を受賞してきたエドゥアール・グリッサンとパトリック・シャモワゾーによる(グリッサンの10周忌に編まれた)政治的評論集であり、同時に二人の作家による「文学的共犯」としてのマニフェスト集。フランスの旧植民地で、現在は同海外県となったマルティニックに降りかかってきた数々の試練のたび、二人の作家は声を上げてきた。直接的な政治ではなく、人々の感性に訴えかける「言葉の力」を通して、マルティニックやフランスひいては全地球を揺さぶらんとする、その詩人・文学者としての矜持がここに集約される。「予測不能」で豊穣な未来を、惨めな統治に売り渡してしまわないために── 目次 はじめに それでもなお(パトリック・シャモワゾー) グローバル・プロジェクト宣言 遠くから…… ディーンは通過した、再生しなくてはならない。いますぐ! 壁が崩れおちるとき 世界の妥協なき美しさ 高度必需「品」宣言 あとがき 政治の詩学(エドウィー・プレネル) 訳者あとがき - 著者プロフィール - エドゥアール・グリッサン (エドゥアール グリッサン) (著/文) エドゥアール・グリッサン(Édouard Glissant) カリブ海マルティニック島出身のフランス語作家・思想家(1928-2011)。 日本語訳に『レザルド川』(現代企画室)、『第四世紀』、『カリブ海序説』(近刊)、『〈関係〉の詩学』、『フォークナー,ミシシッピ』(以上,インスクリプト)、『憤死』、『痕跡』、『マホガニー』、『ラマンタンの入江』(以上,水声社)、『多様なるものの詩学序説』(以文社)、『全-世界論』(みすず書房)がある。 パトリック・シャモワゾー (パトリック シャモワゾー) (著/文) パトリック・シャモワゾー(Patrick Chamoiseau) カリブ海マルティニック島出身のフランス語作家(1953年生まれ)。日本語訳に『素晴らしきソリボ』(河出書房新社)、『クレオール礼賛』(共著)、『クレオールとは何か』(共著)、『テキサコ』(以上,平凡社)。『幼い頃のむかし』、『カリブ海偽典』(以上,紀伊國屋書店)、『クレオールの民話』(青土社)がある。 中村隆之 (ナカムラ タカユキ) (翻訳) 中村 隆之(なかむら たかゆき) 早稲田大学法学学術院教員。フランス語を中心とする環大西洋文化研究。著作に『カリブ-世界論』、『環大西洋政治詩学』(以上,人文書院)、『エドゥアール・グリッサン』(岩波書店)、『野蛮の言説』(春陽堂書店)など。訳書にル・クレジオ『氷山へ』(水声社)、『ダヴィッド・ジョップ詩集』(夜光社)などがある。
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近代美学入門 | 井奥 陽子
¥1,210
筑摩書房 2023年 ちくま新書 ソフトカバー 320ページ 新書判 - 内容紹介 - 「美は、美しいものにあるのか、感じるひとの心にあるのか」現代における美や芸術の”常識”は歴史的にどう成立したのか、平易な言葉で解説する。読書案内付き。 「美しい」とはなにか? 豊富な図版と話し言葉で、初学者にもわかりやすく解説。むずかしいと思っていた美学が、よくわかる! 勉強に役立つ読書案内付き。 - 目次 - はじめに 第1章 芸術――技術から芸術へ 1 「建築は芸術か」 2 本章のポイント 3 アート=技術(古代?中世) 3-1 アートは技術(学芸)の意味だった テクネーとアルス/アルス・ロンガ、ウィータ・ブレウィス/発展――模倣の技術 3-2 文芸・音楽と絵画・彫刻・建築は別グループだった 自由学芸/機械的技術/絵画・彫刻・建築の位置づけ/アーティストとは誰か 3-3 美=芸術ではなかった 4 アート=芸術(近代以降) 4-1 「芸術」概念成立の土壌 新旧論争/詩画比較論/美術アカデミーの創設/文芸・音楽と絵画・彫刻・建築の共通点 4-2 新グループ「美しい諸技術」、そして「アート」へ 新しいグループ名の探求/ペローとバトゥー/発展 ― 美しい自然の模倣/形容詞と複数形が抜けた「アート」/補足――日本語の「芸術」と「美術」 5 何が芸術で、何が芸術でないのか? 美しい諸技術には何が含められたか/芸術の条件――「?は芸術か」という問いをほどく/近代の「芸術」概念を相対化する 第2章 芸術家――職人から独創的な天才へ 1 「独創的な芸術家は世界を創造する」 2 本章のポイント 3 芸術家をとりまく環境と作者の地位の変遷 3-1 注文に従って制作する職人(古代?初期近代) パトロネージによる制作/「作者」概念の不在/画家のサインから見る意識変化 3-2 独創的な作品を創造する天才(18世紀以降) ギルドやパトロネージからの独立と芸術の公共化/模倣から表現へ(ロマン主義の芸術)/天才としての芸術家像/神格化された芸術家 4 芸術家にまつわる概念の変遷 4-1 ジーニアスの人間化 ゲニウス(守護霊、守護天使)/インゲニウム(生得的な素質・能力)/ゲニウスとインゲニウムの混同 4-2 クリエイションとオリジナリティの人間化 神のクリエイション/芸術家のクリエイション/オリジナルとオリジナリティ 5 作者と作品の関係をどう捉えるか? ケルン大聖堂にて/作者と独創性の偏重/近代的「作者」の乗り越え/「作者の死」のその先に 第3章 美――均整のとれたものから各人が感じるものへ 1 「美は感じる人のなかにある」 2 本章のポイント 3 美の客観主義(古代?初期近代) 3-1 美は幾何学の原理に従っていると考えられた 古代ギリシャ語の「美」/宇宙と美の原理としての数(ピュタゴラス)/幾何学者としての神(プラトン)/プロポーション理論/補足――複雑なものと単純なもの(多様の統一、光の美学) 3-2 人体のプロポーションを求めて 美しい身体の追求/古代ギリシャ・ローマの人体比例論/ルネサンスの人体比例論/補足――黄金比 4 美の主観主義(18世紀以降) 4-1 伝統からの離反 古典理論への疑義/プロポーション理論の否定(バーク)/主観主義と客観主義の狭間で(ヒューム) 4-2 客観主義との調停 道徳や味覚との類似(道徳感覚学派)/美の主観性と普遍性(カント) 5 美の概念とどのように付き合うのがよいか? 美の自律性と唯美主義/芸術の自律性と「芸術のための芸術」/美は絶対的で自律的な価値か 第4章 崇高――恐ろしい大自然から心を高揚させる大自然へ 1 「崇高なものが登山の本質だ」 2 本章のポイント 3 山に対する美意識の転換 3-1 山は恐ろしく醜い場所だった(古代?初期近代) 危険で近づきがたい存在/崇拝と忌避の対象/神の罰としての醜悪な山(山岳論争) 3-2 登山による印象の変化(17世紀以降) ペトラルカの登山/グランド・ツアー/理論と経験の衝突(バーネット)/歓喜に満ちた戦慄(デニス)/崇高概念との交叉 4 「崇高」概念の転換 4-1 言葉の崇高(古代?17世紀) 文体としての崇高/ロンギノスの『崇高について』/ロンギノスの再発見と再解釈(ボワロー) 4-2 自然の崇高(18世紀以降) 自然体験とロンギノス『崇高について』のリンク/自然の崇高の確立(バーク)/人間理性の崇高さ(カント)/芸術に描かれた崇高な山 5 芸術は圧倒的なものとどのように関わることができるか? 崇高概念の復興と変容/現代アートと崇高(抽象表現主義)/描くことができないものに向き合う 第5章 ピクチャレスク――荒れ果てた自然から絵になる風景へ 1 「絵になる景色を探す旅」 2 本章のポイント 3 風景画とピクチャレスクの誕生 3-1 風景画と「風景」概念 風景画の不在と登場/「風景」の誕生/クロードとローザの描く風景 3-2 ピクチャレスクの成立 ピクチャレスクの定義/不規則さによる多様性/構図による統一性/1の答え合わせ 4 ピクチャレスクの広がり(観光と庭園) 4-1 ピクチャレスク・ツアー 国内旅行の流行と観光産業の成立/風景のスケッチ/クロード・グラス/ピクチャレスクな人 4-2 風景式庭園への適用 庭園革命/風景式庭園とピクチャレスク 5 美や芸術は自然とどのように関わることができるか? 風景の形式化と理想化/自然鑑賞の普及/自然を美しいものとして眺めること/芸術をとおして自然と向き合う おわりに あとがき 読書案内 索引 - 著者プロフィール - 井奥 陽子 (イオク ヨウコ) (本文) 日本学術振興会特別研究員。東京藝術大学美術研究科博士後期課程修了。博士(美術)。二松學舍大学、実践女子大学、大阪大学などの非常勤講師、東京藝術大学教育研究助手を経て現職。専門は美学・思想史、とくにドイツ啓蒙主義美学。著書に『バウムガルテンの美学――図像と認識の修辞学』(慶應義塾大学出版会、2020年)、共著に樋笠勝士編『フィクションの哲学――詩学的虚構論と複数世界論のキアスム』(月曜社、2022年)がある。
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モニュメント原論 思想的課題としての彫刻 | 小田原 のどか
¥4,620
青土社 2023年 ハードカバー 624ページ 四六判 - 内容紹介 - 破壊される瞬間に、彫刻はもっとも光り輝く 彫刻を「思想的課題」と自らに任じ、日本近現代の政治・歴史・教育・芸術そしてジェンダーを再審に付す。問い質されるは、社会の「共同想起」としての彫像。公共空間に立つ為政者の銅像が、なぜ革命・政変時に民衆の手で引き倒される無残な運命に出遭うのか――。画期的かつ根源的な思索の書。
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近代を彫刻/超克する | 小田原 のどか
¥1,430
講談社 2021年 ソフトカバー 146ページ 四六判 - 内容紹介 - 〈思想的課題〉としての彫刻を語りたい。 街角の彫像から見えてくる、もう一つの日本近現代史、ジェンダーの問題、公共というもの……。 都市に建立され続け、時に破壊され引き倒される中で、彫刻は何を映すのか。 注目の彫刻家・批評家が放つ画期的な論考。 - 著者プロフィール - 小田原 のどか (オダワラ ノドカ) (著/文) 1985年、宮城県仙台市生まれ。多摩美術大学彫刻学科卒業後、東京藝術大学大学院美術研究科にて修士号、筑波大学大学院人間総合科学研究科にて博士号を取得。芸術学博士。彫刻家/アーティストとしての活動と並行して、彫刻研究、版元経営、書籍編集、展覧会企画、評論執筆を行う。
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暗黒の形而上学 触れられない世界の哲学 | 飯盛 元章
¥2,640
青土社 2024年 ハードカバー 288ページ 四六判 - 内容紹介 - 私たちは世界の5%も理解できない この世界にはわかるものよりわからないもののほうが多く、触れられるものより触れられないもののほうが圧倒的に多い。ホワイトヘッド、ハーマン、メイヤスー、ラトゥール、マラブー……最前線の思想を補助線に、闇に包まれた世界のなかで生きる私たちのために描き出される現代形而上学。
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現代思想2024年6月号 特集=〈友情〉の現在
¥1,760
青土社 2024年 ソフトカバー - 内容紹介 - あいまいな〈友情〉のかたちを捉える 「家族」や「恋人」という枠組みには収まらないつながりが切実に考えられつつある今、〈友情〉はいかなる可能性もしくは問題を秘めているのか――。シスターフッドの再評価やホモソーシャルへの批判といった昨今の潮流に目を向けつつ、これまで見過ごされてきた関係のあり方や〈友情〉という概念そのものに正面から向き合いたい。 line2.gif [目次] 特集*〈友情〉の現在 【討議】 すべてを「友情」と呼ぶ前に――名づけえないいくつもの関係 / 中村香住+西井開 【今この場所でつながること】 契ろう / 大田ステファニー歓人 「友達問題」と「推すこと」――好意の御しがたさ / 筒井晴香 共依存と友人関係――悩みの共有先としての身近な存在 / 小西真理子 友人関係と共同的親密性――「友人関係は結婚を代替し得るか」という奇妙な問いをめぐって / 久保田裕之 位置情報を交換する若者たち――友だちとの繋がり方 / 鈴木亜矢子 【関係性の輪郭を探りながら】 ロマンチック・フレンドシップ・シンドローム / ひらりさ ポリアモリーと友情 / 深海菊絵 親密さの境界を問い直す――アセクシュアルとノンバイナリーからみる「恋愛/友情」の(不)可能性 / 佐川魅恵 【往復書簡】 ラブソングのその先へ――永遠不滅の友情を歌う / 児玉雨子+ゆっきゅん 【それぞれの友情のリアリティ】 そんなに友情を歌わせてどうする――合唱コンの卒業式化をめぐって / 森山至貴 バンドマンたちの友情のゆくえ / 野村駿 ホモソーシャルなつながりの周縁 / 沖縄ヤンキーの若者のしーじゃ-うっとぅ関係をもとに / 打越正行 ママ友は「仲良く」ケンカする――「保護者」と「友だち」の狭間の攻撃ストラテジー /大塚生子 【友情のアルケオロジー】 若者の友人関係とそのゆくえ / 浅野智彦 受験と「真の友情」 / 石岡学 いかにして「仲良し」は「尊い」ものになったか――テレビ・芸能にみる〝友情〟表象の過去、そして現在 / 太田省一 【気づけば共に生きている】 有償から始まる / 佐々木チワワ 非人間的友情という隘路――最小の友情、そしてダナ・ハラウェイ「かけがえのないタガい」 / 逆卷しとね 共に書く、友と書く / 山本貴光 【連載●科学者の散歩道●第一〇二回】 湯川のオッペンハイマーとの初邂逅――一九三九年のUCバークレー / 佐藤文隆 【連載●「戦後知」の超克●最終回】 見田宗介の「近代」と「現代」 13 / 成田龍一 【連載●社会は生きている●第二二回】 環境とシステム 8――言語の道具性――主体を動かす / 山下祐介 【連載●現代日本哲学史試論●第六回】 考える私の諸相――左近司祥子、鷲田清一、そして中島義道 / 山口尚 【研究手帖】 なぜ人は涙を流すのか / 石井悠紀子
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利他・ケア・傷の倫理学 | 石丸沙織, 長田佳子
¥1,980
晶文社 2024年 犀の教室 ソフトカバー 304ページ 四六判 - 内容紹介 - 「訂正可能性の哲学」がケアの哲学だったことを、本書を読んで知った。 ケアとは、あらゆる関係のたえざる訂正のことなのだ。 ──東浩紀 「僕たちは、ケア抜きには生きていけなくなった種である」 多様性の時代となり、大切にしているものが一人ひとりズレる社会で、善意を空転させることもなく、人を傷つけることもなく、生きていくにはどうしたらよいのか? 人と出会い直し、歩み直し、つながりを結び直すための、利他とは何か、ケアの本質とは何かについての哲学的考察。 進化生物学、ウィトゲンシュタインの「言語ゲーム」、スラヴォイ・ジジェクの哲学、宇沢弘文の社会的費用論、さらには遠藤周作、深沢七郎、サン=テグジュペリ、村上春樹などの文学作品をもとに考察する、書きおろしケア論。『楢山節考』はセルフケアの物語だった! 「大切なものはどこにあるのか? と問えば、その人の心の中あるいは記憶の中という、外部の人間からはアクセスできない「箱」の中に入っている、というのが僕らの常識的描像と言えるでしょう。/ですが、これは本当なのでしょうか?/むしろ、僕らが素朴に抱いている「心という描像」あるいは「心のイメージ」のほうが間違っているという可能性は?/この本では哲学者ウィトゲンシュタインが提示した議論、比喩、アナロジーを援用してその方向性を語っていきます。」(まえがきより) 【目次】 まえがき──独りよがりな善意の空回りという問題 第1章 多様性の時代におけるケアの必然性 第2章 利他とケア 第3章 不合理であるからこそ信じる 第4章 心は隠されている? 第5章 大切なものは「箱の中」には入っていない 第6章 言語ゲームと「だったことになる」という形式 第7章 利他とは、相手を変えようとするのではなく、自分が変わること 第8章 有機体と、傷という運命 終章 新しい劇の始まりを待つ、祈る - 著者プロフィール - 近内悠太 (チカウチユウタ) (著/文) 教育者、哲学研究者。統合型学習塾「知窓学舎」講師。著書『世界は贈与でできている』(NewsPicksパブリッシング刊)で第29回山本七平賞・奨励賞を受賞。 近内悠太WEBサイト https://www.chikauchi.jp
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構造の奥 レヴィ=ストロース論 | 中沢 新一
¥1,980
講談社 2024年 講談社選書メチエ ソフトカバー 240ページ 四六判 - 内容紹介 - 「構造主義」は終わらない。「構造」が秘めた本当の「力」を解き明かし、その潜勢力を新展開させる決定版! 仏教と構造主義そして真のマルクス主義に通底する「二元論の超克」は、革命的な人文「科学」を生み出す思考となりうるはずだ。新しい「構造主義」の可能性を著者は丁寧に取り出す。 もう一つの人類学の可能性は、夭折した弟子のリュシアン・セバークの中にもあった。師レヴィ=ストロースと若き研究者は、南米インディオの神話の構造分析に取り組んだ。マルクス主義をベースにした「構造主義」が創始された時に起こった師弟関係の美しくも悲しい物語。記号学的な枠組みを超えて、人間科学の「プロレタリア」としての人類学の使命を読み解いていく。 さて、「構造」をレヴィ=ストロースはこのように認識している。 「双分制の明白な諸形態を、その真の本性は、別のはるかに複雑な構造が表面的にゆがんであらわれたものとして扱ったほうがよいのではないかということであった」 人類の思考は実は複雑なものなのだ。二元論と三元論が、動的に組み合わされて、さまざまな神話や事象が生み出される過程を解読することで見えてくる人類学とは、いかなるものなのか? 「構造」の「奥(heart)」へと至る道を示す「人類学」の道標である。 【目次】 プロローグ 革命的科学 第一章 構造主義の仏教的起源 レヴィ=ストロースと仏教/仏教の中の構造主義/構造主義の中の仏教 第二章 リュシアン・セバーク小伝 高等研究院での出会い/新しい神話研究/変換の論理/神話の公式/『神話論理』の朝/プエブロ神話学へ/アチェ族の夢分析/『マルクス主義と構造主義』/悲劇的な死 第三章 構造の奥 双分制/レヴィ=ストロースの弁証法/互酬性の謎/重力論と贈与論/フランス啓蒙主義/人間科学のアインシュタイン/対称性のほうへ 第四章 仮面の道の彼方へ 1 地震多発地帯/ブリティッシュ・コロンビアのレヴィ=ストロース/カミナリ鳥・クジラ・ナマズ/スワイフエ仮面/ゾノクワ鬼女 2 剣とナマズ/ゾノクワと山姥/山の神の影/ポトラッチと市/仮面の道は続く エピローグ 注および引用・参考文献 - 著者プロフィール - 中沢 新一 (ナカザワ シンイチ) (著/文) 1950年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。京都大学特任教授。思想家。 著書に『増補改訂 アースダイバー』(桑原武夫賞)、『カイエ・ソバージュ』(小林秀雄賞)、『チベットのモーツァルト』(サントリー学芸賞)『森のバロック』(読売文学賞)『哲学の東北』(青土社、斎藤緑雨賞)など多数ある。
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エドワード・サイード ある批評家の残響 | 中井 亜佐子
¥1,870
書肆侃侃房 2024年 ソフトカバー 208ページ 四六判 - 内容紹介 - エドワード・サイード没後20年 文学、音楽、パレスチナ問題など分野横断的に論じた批評家、エドワード・サイード。ポストコロニアル批評の先駆者として『オリエンタリズム』などの著作を残した。イスラエルによるガザへの軍事攻撃が激化。いまサイードの著作が読みなおされている。彼にとって、批評とはどのような営為だったのか? 没後20年をむかえた今、その思考の軌跡をたどりつつ、現代社会における批評の意義を問う。 【エドワード・サイードとは?】 1935年、エルサレム生まれ。幼少期をカイロで過ごす。ハーヴァード大学で博士号を取得。その後、コロンビア大学で比較文学を教えつつ、パレスチナ解放運動にかかわる。主著『オリエンタリズム』は、人文学の学問領域の再編をうながす画期的な著作。2003年、ニューヨークで逝去、2023年に没後20年を迎えた。 - 著者プロフィール - 中井亜佐子 (ナカイ アサコ) (著/文) 1966年生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科教授。専門は英文学。オクスフォード大学博士課程修了(D.Phil.)。著書に、『日常の読書学――ジョゼフ・コンラッド『闇の奥』を読む』(小鳥遊書房、2023年)、『〈わたしたち〉の到来――英語圏モダニズムにおける歴史叙述とマニフェスト』(月曜社、2020年)、『他者の自伝――ポストコロニアル文学を読む』(研究社、2007年)など。翻訳に、ウェンディ・ブラウン『いかにして民主主義は失われていくのか――新自由主義の見えざる攻撃』(みすず書房、2017)など。
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現代思想2024年2月号 特集=パレスチナから問う -100年の暴力を考える-
¥1,760
SOLD OUT
青土社 2024年 ソフトカバー 254ページ - 内容紹介 - いま何が起きているのか? ハマスへの「報復」として、パレスチナの地ではイスラエルによる爆撃と封鎖が続いている。目まぐるしく塗り替えられていく情況からは、しかし決していま始まったわけではないパレスチナ/イスラエル問題にねざす差別・植民・占領の歴史が浮かび上がってくる。この地で何が起きているのか――その背景となる構造的暴力に目を凝らす。 目次* 【討議】 パレスチナと第三世界――歴史の交差点から連帯する / 金城美幸+早尾貴紀+林裕哲 【歴史の地平から】 なぜイスラエルは対ガザ戦争において文脈と歴史を抹消したがるのか / イラン・パぺ(早尾貴紀訳) ハマスが仕掛けた「シオニズムの実証実験」――世界は歴史の審判に耐えられるか? /栗田禎子 ガザにおけるハマースの闘い――その意義を考察するための断章 / 臼杵陽 聖域(ハラム)をめぐるパレスチナ人の怒り――「アクサーの大洪水」を生んだもの /山本健介 【「中東」の行方】 ひとつの「民族」を抹殺するということ / 酒井啓子 ガザ攻撃による「ナクバ」の再来 / 錦田愛子 パレスチナ――続くイスラエルの不処罰と国連の無力 / 髙橋宗瑠 付かず離れずの関係――ヨルダンとパレスチナ問題 / 臼杵悠 消えた人影、荒廃のガザ――イスラエル・ハマス戦闘の最前線 / 平野雄吾 【インタビュー】 植民国家の「出発点」を問いなおす――暴力に抗い続ける歴史意識のために / 板垣雄三 【ガザをめぐる実相】 長期にわたる対ガザ戦争 / サラ・ロイ(早尾貴紀訳) シオニズムにとってのガザ地区――サラ・ロイ『ガザ地区』第三版を起点に / 早尾貴紀 続・ダヒヤ・ドクトリン――「勇敢な同志」へと変貌した都合の良い国 / 小田切拓 「我々は人間動物と戦っているのだ」をどのように理解すればよいのか / 保井啓志 ガザ攻撃にみるイスラエルの「水の武器化」 / 玉井良尚 【断絶の先に】 「新しい中東」以後――「裁き」から「革命的平和」へ / 鵜飼哲 脱歴史化の政治――イスラエル、フランス、パレスチナ / 須納瀬淳 「倫理的なもの」への地図――ジュディス・バトラーのパレスチナ/イスラエル論 / 二井彬緒 【応答と連帯】 パレスチナの日常をみつめて / 高橋美香 記憶と人間性の破壊に抗する〈抵抗の文化〉 / 田浪亜央江 死に損ない、生き損ないたちの連帯可能性について / 阿部小涼 この場所を脱植民地化せよ――ジェントリフィケーションとパレスチナの結節点をめぐる一考察 / 森千香子 【この声は聴こえているか】 小説 その十月の朝に / 岡真理 【連載】 佐藤文隆 / 成田龍一 /山下祐介 /山口尚 【研究手帖】 経済学者の限界? / 岩瀬祐介
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分解の哲学 腐敗と発酵をめぐる思考 | 藤原 辰史
¥2,640
青土社 2019年 ソフトカバー 352ページ 四六判 - 内容紹介 - おもちゃに変身するゴミ、土に還るロボット、葬送されるクジラ、目に見えない微生物…… わたしたちが生きる世界は新品と廃棄物、生産と消費、生と死のあわいにある豊かさに満ち溢れている。歴史学、文学、生態学から在野の実践知までを横断する、〈食〉を思考するための新しい哲学。
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撤退学宣言 ホモ・サピエンスよ、その名に値するまであと一歩だ | 堀田 新五郎
¥1,980
晶文社 2024年 犀の教室 ソフトカバー 260ページ 四六判 - 内容紹介 - 資本主義をさらに暴走させようとする加速主義の時代だからこそ、「ゲームの外側へと降り立つ手順」「世界外への離脱」を探求する撤退的知性が求められている。その鮮やかな実践。 ──内田樹 行き過ぎた市場原理主義、環境破壊による地球温暖化、経済格差の拡大、出口の見えない戦争……多くの矛盾や暴力を生みつつも、疾走を続ける近代システム(民主主義+資本主義+テクノロジーの三位一体)。その先に待ち受けるカタストロフィーを回避するためには、撤退する知性が必要だ。人々の思考を「持続」へと方向づけるメカニズムを解明し、適切な局面で適切に撤退できることこそが知性であると説くマニフェスト。「近代の学問」と、仏道・茶道・華道などの「道」の知見を接合する、壮大な哲学的思索と問題提起の書。 "いま考えるべきは、次の処方箋や、個々の処方箋が効かない理由ではない。「惰性」それ自体である。これまでのやり方を停止し、撤退すべき場面にもかかわらず、次の処方箋、次の処方箋へと人々を押し流す「惰性・慣性」のメカニズムを解明し、撤退の条件を探ること、これがいま知性に求められる課題ではなかろうか。カタストロフィー前の方向転換、これが「撤退学」の目標にほかならない。"(本書より) 【目次】 序 ■I部 撤退学宣言──ホモ・サピエンスよ、その名に値するまであと一歩だ はじめに 1章 撤退学宣言 問題編──近代システムとはなにか? 1 近代システムとはなにか? 2 システムの暴走と「近代の超克」 3 「惰性・慣性の力」からは脱出不可能? 4 【問題】 2章 撤退学宣言 解決編──なぜ生物は3つ以上の眼を持たなかったのか? 1 撤退の困難、あるいは生物が3つ以上の眼をもたないわけ 2 人間の知的特性 3 【解答】 3章 撤退学宣言 展望編──テクノロジーは加速し、人類は愚行を繰り返す 1 テクノロジーは加速し、人類は愚行を繰り返す─よって主権者の顕現? 2 世界の彼方、存在の側へ──鬼退治 3 【展望1】 宗教と政治との新たな連関 4 【展望2】 学と道との新たな連関 ■II部 補論 撤退の知性──イエスとソクラテスから 4章 補論1 イエス論──奇天烈の倫理 イエス論1 倫理とイエス イエス論2 政治と文学、あるいはマキァヴェッリとイエス 5章 補論2 知性と反知性──ソクラテスを起点に 1 はじめに 2 知性の祖型:ソクラテスの無敵 3 反知性の典型:反ユダヤ主義者 4 問題提起:知性は自らを維持したまま、propertyの不条理な肯定が可能か? 5 回答:決断主義を超えて 完全性の反復 おわりに - 著者プロフィール - 堀田新五郎 (ホッタシンゴロウ) (著/文) 神戸大学大学院法学研究科中退。現在、奈良県立大学教授(もうすぐ中退)。専門は政治思想史。『講義 政治思想と文学』(共編著、ナカニシヤ出版)、『撤退論』(分担執筆、晶文社)、『山岳新校、ひらきました──山中でこれからを生きる「知」を養う』(分担執筆、H.A.B)など。世のしがらみと組織の力学とやむにやまれぬ思いから、撤退学を始める。
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信頼と裏切りの哲学 | 永守 伸年
¥2,860
慶應義塾大学出版会 2023年 ハードカバー 288ページ 四六判 - 内容紹介 - 人はなぜ、裏切られても信じるのか――。 社会秩序の根源にあって、私たちの生活を支える「信頼」について ホッブズ、ヒューム、カントらの哲学を手がかりに、 日常的な事例をもとに論じつくす。 目次 序論 信頼の謎を掘り起こす 第1章 裏切りの誘惑に抗う――認知的信頼 第2章 善意のしるしと、裏切りの痛み――感情的信頼 第3章 制度とともに生きる――制度的信頼 第4章 裏切らない理由を求めて――信頼の多層構造 第5章 不信の力を見きわめる――自由と抵抗の拠点として 結論 信頼と裏切りの哲学 - 著者プロフィール - 永守伸年 (ナガモリノブトシ) (著/文) 1984年生まれ。京都市立芸術大学美術学部専任講師を経て、現在、立命館大学文学部准教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は近世ヨーロッパの哲学のほか、信頼研究、現代倫理学、障害学など。著書に『カント 未成熟な人間のための思想――想像力の哲学』(慶應義塾大学出版会、2019年)、共著に『モラルサイコロジー――心と行動から探る倫理学』(春秋社、2016年)、『信頼を考える――リヴァイアサンから人工知能まで』(勁草書房、2018年)、『メタ倫理学の最前線』(勁草書房、2019年)。
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アートの力 美的実在論 | マルクス・ガブリエル, 大池惣太郎(翻訳), 柿並良佑(翻訳)
¥2,420
堀之内出版 2023年 ハードカバー 248ページ 四六変判 縦188mm 横120mm 厚さ14mm - 内容紹介 - 美術の見方が変わる! 天才哲学者、マルクス・ガブリエルによる初の芸術論。アートとは一体何なのか?その根源に迫ることで、すべての作品に通じる鑑賞態度を拓く。 「私たちがアート作品を生み出すのではない。アート作品こそが、自分を存在させはじめるために、私たちを参加者として創造するのだ。」 ◉知識、背景を教える本ではありません! 特定のジャンルや作品ではなく、アート全般に通用する鑑賞態度や思考を掘り下げる本です。知識や経験が豊富でなくても、アートの世界に分け入ることができます。 ◉あらゆる作品に通じる鑑賞態度を学べます! この本がテーマにしているのは、アートとはそもそも何なのか、そして、作品に向き合う私たちの態度です。ジャンルを越え、あらゆる作品に通じる鑑賞態度が開かれます。 ◉身近な例が多数登場します! モネの絵画や、便器を用いた《泉》などの有名な作品はもちろん、スター・ウォーズのシリーズや、日々目にする太陽の光など、身近な例から美術についてじっくりと解説しています。 ◉そのほか本書で取り扱うトピック ・デザインとアートの違いは? ・アートの価値は何で決まるのか? ・なぜ、アートは人類の起源だといえるのか? ・現代アートはなぜ人を困惑させるのか? 『なぜ世界は存在しないのか』(講談社選書メチエ)等のベストセラーで知られる哲学者が、さまざまな疑問に答えつつ、美術の持つ力の根源に迫る。 - 目次 - 序文 ベルナール・ジェニエス アートの力 アートの価値 美学と知覚 パフォーマンスとしての解釈 自律性、ラディカルな自律性、オリジナリティ アートと(権)力 補論 懐疑のアート、アートの懐疑 訳者解説 大池 惣太郎 - 著者プロフィール - マルクス・ガブリエル (マルクスガブリエル) (著/文) 1980年生まれ。哲学者。29歳で、史上最年少のボン大学哲学科教授に就任。 「意味の場」をキーワードに自身の新しい実在論を展開するほか、シェリングやヴィトゲンシュタイン、ハイデガー等、ドイツ哲学を中心に著作を執筆し、世界的な注目を浴びている。本書のほか、『神話・狂気・哄笑』(堀之内出版、2015年)や、『なぜ世界は存在しないのか』(講談社、2018年)等の訳書多数。
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〈私〉を取り戻す哲学|岩内 章太郎
¥1,078
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講談社 2023年 ソフトカバー 256ページ 新書判 - 内容紹介 - 電車の中や部屋の中、気が付けばいつもスマホをスクロールしている。本当は何が知りたいのか、自分に何が必要なのかわからないままSNSの世界に浸り続け、気が付けば自分自身を見失ってしまった――。 スマホ時代の過剰な繋がりによって失われた〈私〉を私たちはどうやって取り戻すのか。気鋭の哲学者による現代を生き抜くための思考法! 【本書の主な内容】 第1章 デフォルトの〈私〉 ――――動物になるか、善い人になるか ・ミニオンズの憂鬱 ・パッケージ化された善に警戒せよ ・目を閉じて、〈私〉の声を聴く 第2章 〈私〉を取り戻すための哲学的思考 ・「新デカルト主義」宣言 ・判断しなくてよいという判断 ・批判的思考のプロトタイプ 第3章 ポスト・トゥルースを終わらせる ・SNSを気にする学生 ・「正しさをめぐる争い」は終わりにする ・陰謀論は理性と情動に訴える 第4章 ネガティブなものを引き受ける ・対話とネガティブ・ケイパビリティ ・アルゴリズムと自己消費 ・「弱いロボット」から考える - 著者プロフィール - 岩内 章太郎 (イワウチ ショウタロウ) (著/文) 1987年、札幌生まれ。豊橋技術科学大学准教授。早稲田大学国際教養学部卒業、同大大学院国際コミュニケーション研究科博士後期課程修了。 博士(国際コミュニケーション学)。同大国際教養学部助手などを経て現職。専門は現象学を中心にした哲学。著書に、『新しい哲学の教科書――現代実在論入門』(講談社選書メチエ)、『〈普遍性〉をつくる哲学――「幸福」と「自由」をいかに守るか』(NHKブックス)、『現象学とは何か――哲学と学問を刷新する』(共著・河出書房新社)など。
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ガザに地下鉄が走る日|岡 真理
¥3,520
SOLD OUT
みすず書房 2018年 ハードカバー 312ページ 四六判 - 内容紹介 - イスラエル建国とパレスチナ人の難民化から70年。高い分離壁に囲まれたパレスチナ・ガザ地区は「現代の強制収容所」と言われる。そこで生きるとは、いかなることだろうか。 ガザが完全封鎖されてから10年以上が経つ。移動の自由はなく、物資は制限され、ミサイルが日常的に撃ち込まれ、数年おきに大規模な破壊と集団殺戮が繰り返される。そこで行なわれていることは、難民から、人間性をも剥奪しようとする暴力だ。 占領と戦うとは、この人間性の破壊、生きながらの死と戦うことだ。人間らしく生きる可能性をことごとく圧殺する暴力のなかで人間らしく生きること、それがパレスチナ人の根源的な抵抗となる。 それを教えてくれたのが、パレスチナの人びとだった。著者がパレスチナと関わりつづけて40年、絶望的な状況でなお人間的に生きる人びととの出会いを伝える。ガザに地下鉄が走る日まで、その日が少しでも早く訪れるように、私たちがすることは何だろうかと。 - 目次 - 第1章 砂漠の辺獄 第2章 太陽の男たち 第3章 ノーマンの骨 第4章 存在の耐えられない軽さ 第5章 ゲルニカ 第6章 蠅の日の記憶 第7章 闇の奥 第8章 パレスチナ人であるということ 第9章 ヘルウ・フィラスティーン? 第10章 パレスチナ人を生きる 第11章 魂の破壊に抗して 第12章 人間性の臨界 第13章 悲しい苺の実る土地 第14章 ガザに地下鉄が走る日 あとがき - 著者プロフィール - 岡真理 (オカマリ) (著/文) 1960年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門は現代アラブ文学、パレスチナ問題、第三世界フェミニズム思想。著書に『記憶/物語』(岩波書店)、『彼女の「正しい」名前とは何か』、『棗椰子の木陰で』(以上、青土社)、『アラブ、祈りとしての文学』、『ガザに地下鉄が走る日』(以上みすず書房)ほか。訳書にエドワード・サイード『イスラム報道 増補版』(共訳、みすず書房)、サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ』(共訳、青土社)、ターハル・ベン=ジェルーン『火によって』(以文社)、アーディラ・ライディ『シャヒード、100の命』(インパクト出版会)、サイード・アブデルワーヒド『ガザ通信』(青土社)ほか。2009年から平和を目指す朗読集団「国境なき朗読者たち」を主宰し、ガザをテーマとする朗読劇の上演活動を続ける。
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ぼくの村は壁で囲まれた パレスチナに生きる子どもたち|高橋 真樹
¥1,650
現代書簡 2017年 ソフトカバー 200ページ 四六判 - 内容紹介 - 子どもたちの視点から伝える、パレスチナ問題の新しい入門書! 高橋和夫氏(国際政治学者)推薦! 「文章の中にパレスチナ人の声が響いている。記述からパレスチナの臭気が立ち上って来る。丁寧に取材し、脚で書いたような本である。入門書だが内容には妥協がない。しかも、わかりやすい。やっと本物の入門書が出た。」(高橋氏) 何世代にもわたり、故郷に帰れないパレスチナ難民。700キロにも及ぶ巨大な壁に囲まれ、軍隊に脅されて暮らす子どもたち……。パレスチナの子どもをめぐる状況は、日増しに悪化している。そんな中、新たに誕生した米国のトランプ政権は中東をさらに混迷させるのか? 占領とは何か?エルサレム問題とは?パレスチナで誕生した新しい非暴力ムーブメントとは? イスラエルによる占領が始まって50年、難民が発生して70年を迎える今こそ目を向けたい、中東はもちろん、世界情勢を知るための必読書!
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言葉以前の哲学 戸井田道三論 |今福 龍太
¥2,530
新泉社 2023年 ソフトカバー 240ページ 四六判 縦188mm 横131mm 厚さ19mm - 内容紹介 - 自己のからだを見つめることで、「深層の歴史」を探究した思想家・戸井田道三。 その教えを受け、親交を結んだ人類学者による初の的評伝。 「住」「舌」「母」「性」「時間」「色」「旅」をテーマに、〈言葉以前〉の無意識領域を訪ねる七編の論考。 - 目次 - 1 非土着のネイティヴ ――土地に住むこと 2 言葉以前へのまなざし ――舌でしゃべること 3 乳色の始原へ ――母を思うこと 4 思考のヘルマフロディーテ ――性を超えること 5 翁語りの深淵 ――時間を生きること 6 歴史の昂進 ――色が移ろうこと 7 はるかに、遠くへ ――旅に憧れること あとがき - 著者プロフィール - 今福 龍太 (イマフクリュウタ) (著/文) 文化人類学者・批評家。1955年東京生まれ湘南の海辺で育つ。1980年代初頭からメキシコ、カリブ海、アメリカ南西部、ブラジルなどに滞在し調査研究に従事。その後、国内外の大学で教鞭をとりつつ、2002年より奄美・沖縄・台湾を結ぶ群島に遊動的な学び舎を求めて〈奄美自由大学〉を創設し主宰。 著書に『ヘンリー・ソロー 野生の学舎』(讀賣文学賞)、『宮沢賢治 デクノボーの叡智』(宮沢賢治賞・角川財団学芸賞)、『ぼくの昆虫学の先生たちへ』など多数。主著『クレオール主義』、『群島―世界論』を含む新旧著作のコレクション《パルティータ》全5巻が2018年に完結。