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RITA MAGAZINE テクノロジーに利他はあるのか? | 未来の人類研究センター (編集)
¥2,640
ミシマ社 2024年 ソフトカバー 224ページ 1.6 x 18.5 x 24.6 cm - 内容紹介 - 文理共創の新しい知のかたちが、ここに。 東京工業大学の中で、利他研究会が発足してから4年。 AI、ロボット、情報科学が劇的に進化する時代に、利他はどうありうるのか? 「漏れる」工学、「野生の思考」とテクノロジー、「共感」を前提とせずに「共にいる」… 「利他」論考の決定版。 伊藤亜紗/中島岳志/北村匡平/さえ/砂連尾理/三宅美博/三宅陽一郎/稲谷龍彦/藤原辰史/真田純子/塚本由晴/ドミニク・チェン/山本真也/小林せかい/磯﨑憲一郎/木内久美子/國分功一郎/山崎太郎/若松英輔 ●目次 Chapter1:「漏れる」工学 ・分身ロボットとダンス ・ロボットとAIから利他を考える ・「漏れる」社会システムをつくるには? Chapter2:「野生の思考」とテクノロジー ・石やミツバチから土木を見ると? ・建築と都市から利他を考える ・人間ではない「隣人」の声が聴こえる!? Chapter3:「共感」を前提とせずに「共にいる」 ・ボノボやチンパンジーに利他はあるか? ・「ただめし券」と「まかない」から利他を考える ・歓待と利他――住まいの空間と構造
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増補 魚で始まる世界史 ニシンとタラとヨーロッパ | 越智 敏之
¥3,190
平凡社 2024年 平凡社ライブラリー ソフトカバー 280ページ B6変型判 - 内容紹介 - 十八世紀の農業革命以前、西洋の食の中心は肉ではなく魚であり、中世盛期のキリスト教社会では、一年の半分を魚を食べて過ごした。その魚への巨大な需要が、はるか遠方への航海を、漁猟と保存の技術革新を、都市の興隆を、自由と独立の精神を、ヨーロッパ近代をもたらした──。魚でたどる目からウロコの世界史。 まえがき 第一章 魚と信仰 1 大きな魚と小さな魚 2 魚の女神 3 聖餐式の魚 4 ユダヤの魚 第二章 フィッシュ・デイの政治経済学 1 汝、食べることなかれ 2 性欲を生み出すもの 3 断食日の魚 4 断食の経済学 5 充満する粘液 6 ポリティカル・フィッシュ・デイ 第三章 ニシンとハンザ、オランダ 1 ニシン以上に殺す 2 ニシンとヴァイキング 3 ハンザ 4 ウィレム・ブーケルス 5 ニシンの戦い 6 ニシンの骨の上に建つ街 第四章 海は空気と同じように自由なのか? 1 レッド・ヘリング 2 海は誰のものか 3 『自由海論』 4 アサイズ・ヘリングとランド・ケニング 5 海洋主権 6 オランダの衰退 第五章 『テンペスト』の商品ネットワーク 1 なんと素晴らしい新世界 2 ヴァージニア海に浮かぶこの有名な島 3 ワインを塩ダラに変える魔法 第六章 ニューファンドランド漁業 1 ニューファンドランド発見 2 豊饒の海 3 三角貿易とサック・シップ 4 タラ漁と自由主義 5 英雄キャプテン・カーク 6 三角貿易の支配者 7 商人と革命 8 サラ・カーク 第七章 ニューイングランド漁業 1 ジョン・スミスとニューイングランド 2 一六〇〇年目の奇跡 3 農民と漁師 4 スクーナーの登場 5 戦いの海 6 聖なるタラ 第八章 魚はどんなふうに料理されたのか? 1 マグロ 2 ウナギ 3 ニシン 4 タラ あとがき 平凡社ライブラリー版?あとがき 参考文献
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鳥が人類を変えた ――世界の歴史をつくった10種類 | スティーヴン・モス, 宇丹 貴代実(翻訳)
¥3,190
河出書房新社 2024年 ハードカバー 340ページ 四六変型判 縦192mm 横132mm 厚さ24mm - 内容紹介 - 神話に最初に登場する鳥、世界一高価な鳥、大戦の流れを変えた鳥、科学の常識を覆した鳥……。身近な種から絶滅した種まで、世界の見方がまったく変わる鳥たちの物語。 創造神話で活躍し、 大戦の流れを決め、 科学の常識を覆す――。 身近な種から、もう会えない種まで、 彼らがいなければ世界は まったく違うものになっていた。 ●本文より 「わたしが選んだ一〇の鳥はどれも、人類の根元的な要素――神話、情報伝達、食べ物と家庭、絶滅、進化、農業、環境保全、政治活動、権力のおごり、気候非常事態――とかかわりを持つ。これらの要素はすべて、わたしたち人間と鳥との、絶えず変化しながら連綿と続く密接な関係と絡みあっているのだ」 ●原題 TEN BIRDS THAT CHANGED THE WORLD(2023年刊) 【目次】 序 第1章 ワタリガラス 神話に登場する最初の鳥 種としての途方もない繁栄 オーディンの神話 世界創造の象徴でありトリックスター 深遠なる知性 文学とワタリガラスの声 千変万化で複雑な性質 迫害からの復活 ロンドン塔の守護者 第2章 ハト 一万年前からの家畜化 なぜ家畜となったのか 大プリニウスからピカソまで 戦時中の伝令として シェール・アミの物語 第二次大戦の流れを変える ハヤブサ駆除部隊 二一世紀もハトは現役 列車に乗るハト 都市の対ハト全面戦争 青い背景に白い鳥 第3章 シチメンチョウ 北アメリカでの繁栄 先住民との歴史 ヨーロッパへの到来 なぜ“ターキー”と呼ばれるのか 愚かで攻撃的? シチメンチョウは食べるな 野生のシチメンチョウを救え 第4章 ドードー ドードーはわずかな事実しか知られていない いつ姿を消したか、その後何が起こったか ドードーは二度失われた 絶滅のイコン 絶滅の最速記録 危機への反撃 同じ道をたどらずにすんだ鳥たち 今日のドードー 絶滅から何も学んでいない 第5章 ダーウィンフィンチ類 流動的で変化しやすい種 フィンチ神話の起源 ダーウィンの理論を証明する実例 偽りの物語 目の前で生じた進化 進化の実例はフィンチだけではない 分類体系をひっくり返す 欧米の先入観を葬り去る フィンチたちの運命 第6章 グアナイウ 世界一高価な鳥 鳥の糞が生んだ富 グアノと先住民 完璧な解決策 グアノ景気の終わり 中国人労働者の悲惨な境遇 海鳥が直面する脅威 農業の劇的な変化 ほんとうの遺産 第7章 ユキコサギ プルーム狩り マリー・アントワネットとダチョウの羽根 あるハンターの改心 女性グループによる戦い 流行の変化 婦人参政権運動とプルーム貿易反対運動 保護運動の世紀 殉死のあとで 環境保全の成功物語 第8章 ハクトウワシ 北アメリカ最大の猛禽 アメリカの象徴 古代帝国の象徴 神聖ローマ帝国の象徴 第三帝国の象徴 右向きのワシ ワシとドナルド・トランプ 第9章 スズメ スズメ撲滅運動の証人 北京のスズメ虐殺 反対の声をあげた科学者たち 史上最大の人災 傲慢さと無知がもたらした戦い オーストラリアの砂漠での戦い “エミュー大戦争”の敗北 世界全体でスズメが減少している 飢饉は自然災害ではない 自然を征服できるという毛沢東の妄想 同じ悲劇がすでに起きている 第10章 コウテイペンギン 厳冬期の南極で子育てをする 気候変動による“準絶滅” 世界最悪の旅 渡り鳥も気候変動の犠牲者に 留まるべきか、去るべきか 気候危機の影響をうける鳥はほかにもいる 土地利用の変化 よい報せと悪い報せ 謝辞 訳者あとがき 注釈 索引
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作家とけもの | 野村 麻里
¥2,200
平凡社 2024年 240ページ 四六判 - 内容紹介 - 人と動物の間で重ねられてきた愛憎相半ばする魂の交歓や、剥き出しの命との対決を、作家の視線から物語った随想アンソロジー。
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沈没船博士、海の底で歴史の謎を追う | 山舩 晃太郎
¥649
新潮社 2024年 新潮文庫 ソフトカバー 272ページ 文庫判 縦151mm 横106mm 厚さ11mm - 内容紹介 - 最新技術を武器に、謎を追え! なぜか竜骨が見つからないクロアチアの輸送船、水深60mのエーゲ海に沈む沈没船群、ドブ川で2000年間眠り続けた古代船に、正体不明のカリブの「海賊船」。そして、ミクロネシアの海にのこる戦争遺跡――。英語力ゼロで単身渡米、ハンバーガーさえ注文できずに心が折れた青年が、10年かけて憧れの水中考古学者になりました! 深くて魅力的な海底世界へようこそ。
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図解 はじめて学ぶ 数学のせかい | 浜崎絵梨(翻訳), 植野義明(監修), サラ・ハル, トム・マンブレイ(著/文 | イラスト), ポール・ボストン(イラスト)
¥2,178
晶文社 2024年 ソフトカバー 128ページ B5変判 - 内容紹介 - 小学生から学ぶ、美しき数学の世界 紀元前から多くの天才を魅了してきた数学のふしぎ。そのなかから幅広いトピックをとりあげ、楽しいイラストで解きあかす入門書。 数学は「科学の女王」とよばれます。それは、星や動植物の動き、人体や天候の変化など、自然界の現象のほとんどを数学で表すことができるから。本書では、現実と切りはなされてきた数学が、いかに身近でロマンに満ちた学問であるかに焦点をあて、「お勉強」ではない数学の魅力を、ビジュアル満載で楽しくご紹介します。 【対象:小学校高学年~】 - 目次 - 数学ってなんだろう? 数学はなんのためにあるの? 数学の使いみち 第1章 数学の始まり 数学の始まり 石器時代の数学 古代の数字 古代エジプト 古代の数学の使いみち 古代ギリシャの数学 ゼロの発明 今の数字ができるまで 第2章 数 無限ホテルのパラドックス いろいろな無限 三角形と四角形 さまざまな数列 素数 指数関数的増加 代数のしくみ 変わった数 第3章 図形と測量 形の基本 地球の大きさを測る 形で考える 驚くべき円周率 図形の変換 フラクタル マグカップとドーナツは同じ? 表も裏もない形 目的地までの最短ルート 宇宙はどんな形? 第4章 数学の見せ方 想像してみよう! 数字をひと目で伝える 点をつなぐ 2次元上の3次元? 高次元の世界 第5章 証明 証拠を探せ 証明は永遠 パイ投げ大会! 証明と名声 ミレニアム懸賞問題 数学のパラドックス 第6章 確率と統計 確率ってなんだろう? かしこい選択をするために 確率の落とし穴 統計 データ収集の難しさ スポーツと統計 臨床試験ってなに? 統計とフェイクニュース 第7章 数学とコンピュータの未来 コンピュータってなんだろう? 幻の巨大コンピュータ コンピュータ言語 プログラムを実行する AIってどんなもの? 第8章 数理モデル 数理モデルを作ろう 数理モデルに必要な仮定 正確な予測のために バタフライ効果 ゲーム理論 暮らしの中の数理モデル どこまで数理モデル化すべき? 数学の可能性 数学を使ってなにができるかな? 数学がいきる仕事 用語解説 さくいん - 著者プロフィール - 浜崎絵梨 (ハマザキエリ) (翻訳) 慶應義塾大学法学部政治学科卒業。外資系証券会社を経て、児童書の翻訳を始める。訳書に「図解 はじめて学ぶ」シリーズ(晶文社)、「ミオととなりのマーメイド」シリーズ(ポプラ社)、『おひめさまはねむりたくないけれど』(そうえん社/日本絵本賞読者賞)、『モーリーのすてきなおいしゃさんバッグ』(ひさかたチャイルド)など。 植野義明 (ウエノヨシアキ) (監修) 東京大学理学部数学科卒業、理学博士。元東京工芸大学准教授。2021年4月、国立市で「くにたち数学クラブ」を設立、代表。数学教育学会代議員。著書に『考えたくなる数学』(総合法令出版)、『子どもの数学力が自然に育つ2歳からの言葉がけ』(日本実業出版社)がある。
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道具のブツリ | 田中 幸, 結城 千代子, 大塚 文香(イラスト)
¥2,420
雷鳥社 2023年 ハードカバー 272ページ A5変判 - 内容紹介 - 理にかなったものは美しい 25個の生活道具とそこに隠されたブツリをひも解く、 風変わりで、やさしい、物理学の入門書。 身の回りのものはすべて自然の原理や法則のもと成り立っています。 役に立たないと思われがちな中学・高校で習うブツリが、 実はさまざまな道具がもつ「用の美」の基礎になっているのです。 本書は、誰もが一度は使ったことのある生活道具を 「ながす道具」「さす道具」「きる道具」「たもつ道具」「はこぶ道具」の5つの章に分け、 物理を専門とする教師ふたりが、ああでもない、こうでもないと呟きながら、 道具とブツリの面白い関係について語ります。難しい公式や計算はいっさい出てきません。 点で突き刺すフォーク、慣性の法則で水を切るざる、 無限の刃渡りをもつピザカッター、空中の支点でてこを動かすハサミ…etc. 紀元前に生まれたスプーンや車輪など、 今なお変わらない道具の形やしくみにもう一度目を向けることで、 長い年月を経ても廃れない道具のデザインや機能が見えてくることでしょう。 開くと正方形になる縦長の判型、開きのよいコデックス装。 そして色やテクスチャを版画のように重ねた、 独特な風合いのある大塚文香さんの挿絵にもご注目! 【物理学に関する発見とエピソードも満載!】 ・16頭の馬で引っ張り合ったマグデブルクの半球実験 ・コルクを観察し「cell(細胞)」を見つけたロバート・フック ・アモントン、クーロンが提唱した「凹凸説」デザギュリエが提唱した「凝着説」 ・デュワーが発明した-196°の液体窒素を運ぶ実験道具 ・「熱素(カロリック)説」を唱えたラボアジェ …etc. 目次 まえがき ながす道具 ・スプーン 丸みを帯びたつぼの秘密 ・漏斗 地球の引力でものを下に落とす ・シャワー 勢いのある水流を作る ・扇風機 空気を集めて風を作る ・ワイングラス 流速と香りを操るデザイン さす道具 ・フォーク 点で刺して持ち上げる ・注射器 摩擦を減らしてなめらかに刺す ・ホチキス てこの原理で楽に刺す ・ワインオープナー 刺しやすく抜けやすいらせん ・端子 さすと流れる電気の不思議 きる道具 ・包丁 分子の結びつきを断ち切る ・ピザカッター 直線より長い円弧の刃 ・ハサミ 空中の支点でてこを動かす ・紙やすり 面で凸凹をすり減らす ・ざる 慣性の法則で水を切る たもつ道具 ・ゼムクリップ 小さなばねで紙を留める ・線ファスナー 噛み合う力で閉じる ・吸盤 見えない空気の力で張りつく ・コルク栓 生物由来の素材で密閉する ・魔法瓶 真空を作って保温する はこぶ道具 ・車輪 重たいものを転がして運ぶ ・杖 倒れないように支えて運ぶ ・箸 重力とつり合う力で持ち上げる ・おぼん ものを空中で水平に運ぶ ・ピペット 底のない容器で運ぶ column ・平たいアイスクリームスプーン ・コーヒーを美味しく淹れるためのアリジゴク ・まあるい水滴になる理由 ・紙やすりに砥粒を均一にくっつける方法 ・遠心力はまぼろしの力? ・重さが均一でない棒の重心を探ろう ・weightとmassの違い ・砂の摩擦角が山の傾斜を作る あとがき 前書きなど みなさんは、ここに取り上げた道具のほとんどを、日々活用していることでしょう。しかしながら、それらの中に潜むブツリの法則など、ほとんど意識されたことはないでしょう。 絶対音感をもった人が「耳にするすべての音が音階に聞こえる」といったりしますが、ブツリを生業とする人間にも似たところがあります。私たちのバックグラウンドを知らない方にはぎょっとされますし、異業種の家族、知人には「ああ、またか」と呆れられるので、口に出すことはめったにありません。けれども日々の生活の中で、慣性の法則だなあとか、弾性の限界超えたなあとか、ついつい思ってしまいます。私たちにとって、ブツリは仕事であり、趣味であり、物事を考えるときの道具でもあるのです。 私の父は、指物師でした。いろいろなものを作っていましたが、かまどでご飯を炊くときに使う釜の木製のふた作りが主な収入源でした。昭和30 年代になり、ガスや電気の炊飯器があらわれると、父は家業に早々に見切りをつけ、私が小学校に上がるころにはサラリーマンになっていました。それでも、日曜日には道具箱を広げ、ノミやカンナを研いだりして手入れを怠らず、時には人形ケース、包丁や小刀の鞘など、家の中のものを丁寧に削りだしていました。父の孫にあたる私の子どもたちには、学校の机に合わせた引き出しなどを作ってくれたものです。父の作るものは、たとえば小刀の鞘なら、すっとぴったりはまる、美しいものでした。 ですから、私は道具といえば、父の道具箱を思い浮かべ、父のものづくりを、固唾を飲んで眺めていたころを思い出すのです。「理にかなったものは美しい」と意識することは、父から受け継いだ財産のようなものかもしれません。長じて、物事の理ことわりであるブツリを学ぶと、今度はその理の美しさに魅了されました。こうして、父との思い出からブツリの道に進み、このような本をわくわくしながら書くことに至ったのだと思います。 著者がふたりというのは珍しく思われるようで、よく分担して書いているのかと聞かれますが、まさにふたりで書いています。始めにどちらかがざっと書き、あとはキャッチボールのように原稿をやり取りして仕上げていくのです。私たちは大学の同級生で、これまでブツリにまつわる本を書いてきました。「ママとサイエンス」と名づけた活動も行っています。活動の一環で毎月発行している『ふしぎしんぶん』は200 号を超えました。コロナ禍で中断している「科学あそび」も再開に向かっています。 前著のワンダー・ラボラトリシリーズ(太郎次郎社エディタス)で、「音楽や美術を楽しむように物理を楽しんでもらいたい」とまえがきに書きましたが、その目的は達成されたようです。今度は、長い年月をかけて人の英知が集まってできた道具は、みごとにブツリの理にかなっていることをお伝えしたいと思い、パソコンに向かいました。 タイトルを見て、物理じゃなくて「ブツリ」としているのはなぜだろうと不思議に思われた方もいらっしゃることと思います。私たちはこれまで、私たちがそうであるように、学問としての物理をもっと身近に気軽におしゃれに楽しんでいただくことを目的として本を書いてきました。この本はその集大成といえるかもしれません。ですから、肩の力を抜いていただくために、「ブツリ」とカタカナ表記にしています。 この本は「ながす道具」「さす道具」「きる道具」「たもつ道具」「はこぶ道具」の5 つの章から成っています。それぞれの章で5 つの道具を取り上げているので、合計25 個の道具とブツリの関わりを紹介する構成になっています。先に章のタイトルを決め、そのタイトルから思い浮かんだ道具について書いたので、「きる道具」の中に「ざる」があるなど、思わぬ道具が選ばれていることもお楽しみください。 今回の執筆で、「重さ」と「質量」の違いとか、私たち“ブツリ屋”が無意識のうちに当たり前と思っていることを、ひとつひとつ掘り起こし、これまでブツリに関心がなかった方にも分かっていただけるよう再構築する作業は、たいへんでした。しかしながら、いっぽうでああでもない、こうでもないと考えるのは幸せな時間でもありました。たとえば「遠心力」という力は実在する力ではなく、いわば仮想の力ですが、「遠心力がはたらいて……」というような巷にあふれるフレーズを、ブツリ屋としては見過ごすことができず、くどくどと説明してしまったことはご容赦いただきたいと思います。 本書で紹介するすべての道具、ブツリの理論に共通しているのは、「理にかなったものは美しい」ということです。それでは、ブツリが織りなす美しい世界にご案内いたしましょう。」 - 著者プロフィール - 田中 幸 (タナカ ミユキ) (著/文) 岐阜県生まれ。東京都在住。上智大学理工学部物理学科卒業。慶應義塾高校、都立日比谷高校、西高校などの講師、晃華学園中学校高等学校理科教諭を経て、現在、桐蔭学園高等学校講師。東京書籍中学理科教科書執筆委員。NHK高校講座「物理基礎」制作協力。 結城 千代子 (ユウキ チヨコ) (著/文) 東京都生まれ。東京都在住。上智大学理工学部物理学科、国際基督教大学大学院、筑波大学大学院を経て、埼玉大学、昭和大学で物理講師を務める。その傍ら、多賀二葉幼稚園に関わり、晃華学園マリアの園幼稚園長も務めた。現在、上智大学理工学部非常勤講師。東京書籍中学理科、小学校理科、小学校生活科教科書執筆委員。元NHK高校講座「物理基礎」講師。 大塚 文香 (オオツカ アヤカ) (イラスト) イラストレーター。1989年滋賀県生まれ。京都精華大学デザイン学部卒業。書籍や雑誌のイラストレーションを中心に活動中。2020年HB Gallery File Competition vol.30永井裕明賞受賞。
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Foodscape フードスケープ 図解 食がつくる建築と風景 | 正田 智樹
¥3,300
学芸出版社 2023年 ソフトカバー 224ページ A5判 縦148mm 横210mm 厚さ20mm - 内容紹介 - 地形と気候に応じた食がつくる建築と風景の図解集。カレマ村のワイン、アマルフィのレモン、小豆島の醤油、多気町の日本酒等、日本とイタリア16の食の生産現場を読み解く。蓄熱する石積みの段々畑、風を呼込む櫓、光や湿気を採り入れる窓等、自然のリズムとともにある食生産と人の暮らしを取り戻す為の建築の問いと手がかり - 目次 - プロローグ 1 食の生産とフードスケープ 1-1 イタリアの食文化に学ぶ -スローフードの発祥 1-2 エコロジカルな転回 チェントロ・ストリコからテリトーリオへ 1-3 エコロジカルな治具とスローフード・アーキテクチャー 1-4 調査方法とドローイング 2 イタリアのフードスケープ 2-1 カレマ村のワイン 2-2 ボルミダ渓谷のワイン 2-3 トレントの貴腐ワイン 2-4 ムリアルド村のにんにく 2-5 ジベッロ村のクラテッロ 【生ハムコラム】パルマの生ハム・コロンナータ村のラード 2-6 モデナのバルサミコ酢 2-7 ヴェスヴィオ山のトマト 2-8 アマルフィのレモン 2-9 トラパニの塩 【チーズコラム】 【対談】藤原辰史 3 日本のフードスケープ 3-1 四郷の串柿 【干し柿コラム】宇治田原の柿、畑地区柿小屋 3-2 醤の郷 【醤油コラム】埼玉の弓削多醤油 【味噌コラム】石井味噌 3-3 てしま天日塩ファーム 【塩コラム】珠洲の塩 【塩コラム】赤穂の塩 3-4 多気町の日本酒 【日本酒コラム】灘五郷、知多半島酒造 3-5 八女茶 3-6 田野町の大根櫓 【大根コラム】大根コラム:山之村の寒干し大根 3-7 橘本のみかん 【対談】塚本由晴 エピローグ フードスケープの維持・更新 - 著者プロフィール - 正田 智樹 (ショウダ トモキ) (著/文) 1990年千葉県生まれ。東京工業大学大学院建築学専攻修了。2016-17年イタリアミラノ工科大学留学。現地ではSlow Foodに登録されるイタリアの伝統的な食品を建築の視点から調査。2018年-現在 大手設計事務所在籍。
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具体的な建築 観察から得る設計の手がかり | 伊藤 暁
¥2,970
学芸出版社 2023年 ソフトカバー 208ページ 四六判 - 内容紹介 - ーーーーーーーー 「建築はもちろん、本づくり、デザイン、料理、DIYなど、何かをつくるすべての人に役立つ工夫が詰め込まれています。」 内沼晋太郎(ブック・コーディネーター)推薦! 内沼晋太郎「本チャンネル」にて紹介! 「工夫せよ!と風景はいう――『具体的な建築 観察から得る設計の手がかり』(学芸出版社)著者・伊藤 暁さん、編集者・中井きいこさん インタビュー」 ・Youtube https://www.youtube.com/watch?v=TC-El7Cnq0Y ・Spotify https://open.spotify.com/episode/61pRKhLI7K99xUpaP2eoth ーーーーーーーー 建材としての植物、地形と既製品ブロックの折り合い、カウンター足元に設置されたビールケース、風に耐えるための小屋のかたち。そこら辺にある小屋・蔵・構築物などを観察すると、そこにはつくるためのヒントが溢れていた。素材、機能、地形、技術、気候風土という5つを切り口に、観察を通して具体的に建築を考える - 目次 - I 素材 【その場で手に入るものを使う】 タイヤ垣 材の長さ 重すぎると動かせない 植物も建材 部材から素材へ 鉄のつっかえ棒 石積みと単管 コラム|「絡まり」を見る 設計事例|WEEK神山 【材の特性に従う】 左官と面材 固いものと柔らかいもの 素材の強度と腐食 【材の特性を活かす】 石の集水口 粒度で使い分ける 竹のバリエーション コラム|繰り返して上達する Ⅱ 機能 【付け足して補う】 車と橋の幅 既成部材の組み合わせ 足元を守る 地形に寄り掛かる階段 ビールケースでも十分 車輪への対応 設計事例|ほんの庵 【形態に直結する】 可変の度合いを調整する コラム|設営・撤収・運搬 ボールを遮るかたち 屋根だけの雨水対策 熱で空気を動かす 人の面と雨の面 設計事例|軽井沢の住宅 生き物が過ごす小屋 干物を作る小屋 設計事例|筑西の住宅 Ⅲ 地形 【地形に沿わせる】 下屋で調整する 傾斜に応答するかたち 設計事例|菊名の住宅 造成の労力 コラム|人力・重機・形態 【平場を作る】 懸造り 余白の使われ方 キメラ 柱と擁壁 【衝突を形態化する】 斜面と平面 機能と地形の拮抗 設計事例|横浜の住宅 地形と既製品 既製品の調整代 地形の論理と建物の論理 設計事例|WEEK神山 Ⅳ 技術 【縛る】 素人でも使える接合技術 仕口加工不要 【積む】 石垣 石と芝生 おとめ石 組積と横架材 【張る】 吊るための選択 遮るもの 設計事例|横浜の住宅 【塗る】 塗装の抽象と具体 【敷く】 材と施工の精度 設計事例|久我山の住宅 【留める】 固定の原理 設計事例|ほんの庵 Ⅴ 気候風土 【外的要因への応答】 地面に近づく 雪を割る 雪を遠ざける 風に耐える 配置と屋根勾配 バッファーを設ける 設計事例|筑西の住宅 組立・撤去・保管 風をいなす 【内部環境を調整する】 外的要因を選ぶ 越冬する小屋 設計事例|鹿嶋の住宅 - 著者プロフィール - 伊藤 暁 (イトウ サトル) (著/文) 建築家。東洋大学理工学部建築学科准教授。1976年東京都生まれ。横浜国立大学大学院修了後、aat+ヨコミゾマコト建築設計事務所に勤務。2007年に伊藤暁建築設計事務所を設立し、2017年~東洋大学で教鞭をとる。2010年より継続していた徳島県神山町での取り組みを、2016年ベネチアビエンナーレ国際建築展日本館展示に出展し、特別表彰を受賞。主な作品に「えんがわオフィス」「WEEK神山」「横浜の住宅」「筑西の住宅」など。主な著書に『共感・時間・建築』(2019,TOTO出版)、『en: Art of nexus』(2016,TOTO出版)、『3.11以後の建築:社会と建築家の新しい関係』(2014,学芸出版社)など。
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建築思想図鑑 | 松田 達, 横手 義洋, 林 要次, 川勝 真一, 寺田 晶子(イラスト)
¥2,750
学芸出版社 2023年 ソフトカバー 256ページ A5判 - 内容紹介 - 建築思想を理解すれば、つくる建築、語る言葉の説得力が増す。いま知っておくべき建築思想63項目の基本を、本質を押さえたイラストと、気鋭の執筆陣による解説で理解できる入門書。難しそうな言葉でも、まずはイラストを眺めて一歩を踏み出し、建築の奥深さに触れてみよう!時代の流れや項目同士の結びつきも見えてくる。 - 目次 - はじめに(松田達) 建築思想マップ(林要次) 建築思想関連年表(松田達) 第1章 近代以前(~1851) 01 調和比例論(横手義洋) 02 建築のオーダー(横手義洋) 03 ルネサンスの理想都市(松田達) 04 匠明(小岩正樹) 05 バロック都市計画(横手義洋) 06 ピクチャレスク(横手義洋) 07 原始の小屋(横手義洋) 08 類型論(戸田穣) 09 建築様式(横手義洋) 10 空想的社会主義(林要次) 11 ラスキンの建築保存論(頴原澄子) <コラム>旅に出よう(1) イタリア:ローマにて建築2000年の伝統を味わう 第2章 近代1(1851~1914) 12 折衷主義(横手義洋) 13 構造合理主義(林要次) 14 美術建築(林要次) 15 アーツ・アンド・クラフツ運動(林要次) 16 市区改正(松田達) 17 形態は機能に従う(林要次) 18 建築進化論(倉方俊輔) 19 装飾と犯罪(本橋仁) 20 我国将来の建築様式を如何にすべきや(林要次) 21 田園都市(松田達) 22 未来派(横手義洋) 23 法隆寺再建非再建論争(野村俊一) <コラム>旅に出よう(2) ヨーロッパ:ビルディングタイプを辿る旅 ─劇場を例に 第3章 近代2(1914~1945) 24 建築非芸術論(林要次) 25 ロシア・アヴァンギャルド(本田晃子) 26 分離派建築会(天内大樹) 27 ノイエ・ザッハリヒカイト(川勝真一) 28 イタリア合理主義(鹿野正樹) 29 考現学(川勝真一) 30 近代建築の5原則(林要次) 31 有機的建築(松田達) 32 アテネ憲章(川勝真一) 33 ほんもの/いかもの(種田元晴) 34 インターナショナル・スタイル(岩元真明) 35 複製技術時代の芸術作品(砂山太一) 36 レス・イズ・モア(松田達) <コラム>旅に出よう(3) アメリカ:シカゴの近代建築食い倒れ旅(川勝真一) 第4章 現代1(1945~1970) 37 モデュロール(林要次) 38 縄文と弥生(豊川斎赫) 39 実の透明性/虚の透明性(服部真吏) 40 シチュアシオニスト・インターナショナル(南後由和) 41 メタボリズム(豊川斎赫) 42 都市のイメージ(吉村有司) 43 プラグイン・シティ(木内俊彦) 44 住宅は芸術である(セン・クアン) 45 見えない都市(松田達) 46 群造形(豊川斎赫) 47 すべては建築である(川勝真一) 48 か・かた・かたち(浜田晶則) 49 類推的都市(片桐悠自) 50 ラーニング・フロム・ラスヴェガス(高砂充希子) <コラム>旅に出よう(4) フランス:ル・コルビュジエの世界を旅しよう(松田達) 第5章 現代2(1970~) 51 アドホック(川勝真一) 52 神殿か獄舎か(豊川斎赫) 53 ポスト・モダニズム(松田達) 54 脱構築主義の建築(入江徹) 55 様相論(松田達) 56 消費の海に浸らずして新しい建築はない(山本至) 57 ビッグネス(稲垣拓) 58 テクトニック(高橋堅) 59 メイド・イン・トーキョー(吉村英孝) 60 動線体/決定ルール、あるいはそのオーバードライブ(西澤徹夫) 61 負ける建築(中村航) 62 アルゴリズム(松田達) 63 デジタルファブリケーション(クマタイチ) <コラム>旅に出よう(5) 日本:建築旅行オススメ都道府県私的ベスト10(松田達) 建築書の影響力(横手義洋) 建築思想を拓いた世界の建築家32(川勝真一) 建築思想を拓いた日本の建築家32(川勝真一) 参考文献 索引 - 著者プロフィール - 松田 達 (マツダ タツ) (著/文 | 編集) 1975年石川県生まれ。建築家、静岡文化芸術大学デザイン学部准教授。専門:建築学、都市学。1999年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了。隈研吾建築都市設計事務所を経て、パリ第12大学パリ都市計画研究所にてDEA課程修了。東京大学先端科学技術研究センター助教等を経て、現職。著書に『記号の海に浮かぶ〈しま〉(磯崎新建築論集 第2巻)』(岩波書店、2013年)、『ようこそ建築学科へ! 建築的・学生生活のススメ』(学芸出版社、2014年)(いずれも共著)ほか。作品に《JAISTギャラリー》ほか。 横手 義洋 (ヨコテ ヨシヒロ) (著/文 | 編集) 1970年鹿児島県生まれ。建築史家、東京電機大学未来科学部建築学科教授。専門:西洋建築史、近代建築史。2001年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。東京大学助教、イェール大学研究員を経て現職。著書に『イタリア建築の中世主義』(単著、中央公論美術出版、建築史学会賞受賞)、『近代建築史』(共著、市ヶ谷出版)、『日本建築思想史』(共著、太田出版)など。 林 要次 (ハヤシ ヨウジ) (著/文 | 編集) 1975年神奈川県生まれ。建築家・建築学者、芝浦工業大学特任研究員、センブンノイチ株式会社共同代表。専門:設計意匠、建築理論、建築教育。芝浦工業大学卒業。横浜国立大学大学院修了。パリ第8大学D.E.A.(建築・都市設計)課程修了後、日仏で建築・都市設計修行。近代日本のフランス建築理論と教育手法の受容の研究で博士(工学)取得。訳書にル・コルビュジエ著『パリの運命』(彰国社、共訳者:松本晴子)。 川勝 真一 (カワカツ シンイチ) (著/文 | 編集) 1983年兵庫県生まれ。建築リサーチャー、キュレーター。2008年京都工芸繊維大学大学院建築設計学専攻修了。2008年に建築的領域の可能性をリサーチするプロジェクトRADを設立。以後、建築展覧会キュレーション、市民参加型ワークショップの企画・運営、都市やまちづくりのためのリサーチなどの実践を通じ、建築と社会の関わり方を探っている。 寺田 晶子 (テラダ ショウコ) (イラスト) 早稲田大学大学院理工学研究科建築学専攻修了。広告、書籍、雑誌、壁画制作、企業・店舗のVIなど、イラスト、デザインを手がける。過去に、東急ハンズ(現ハンズ)、UR都市機構、鹿島建設、JR東日本、京都水族館の広告など。
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キツネを飼いならす 知られざる生物学者と驚くべき家畜化実験の物語 | リー・アラン・ダガトキン, リュドミラ・トルート, 高里ひろ(翻訳)
¥2,640
青土社 2023年 240ページ 四六判 - 内容紹介 - キツネは犬になれるか? シベリアの奥深くに、尾を振り、耳が垂れている、友好的で従順な動物がいる。しかし、外見に反して彼らは犬ではなく、キツネである。これは、何千年もの進化をわずか数十年で再現した史上最も驚くべき繁殖実験の成果だった。本書は科学者たちの驚くべき物語を描くのと同時に、時間を超えて人間と動物を結びつけてきた深い絆を讃える。
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生きものハイウェイ | 佐々木洋, 中村一般(イラスト)
¥1,760
雷鳥社 2023年 ソフトカバー 208ページ 四六判 - 内容紹介 - 地図にはないけど奥深い、縦横無尽に広がる「生き物の通り道」。 生き物ハイウェイとは、生き物の通り道のこと。この本では、私たちの身近な場所に張り巡らされた「生き物ハイウェイ」を、10のフィールドに分けて紹介します。さらに、そこから焦点をより近づけて、電柱・道路標識・プランターの下・中央分離帯・墓石・朽木の中・ドングリ・郵便受け・セーターなど、それぞれのユニークなハイウェイコースを探します。生き物は、昆虫、爬虫類、鳥、魚、哺乳類など、さまざまなタイプが登場。 著者は、30年以上自然観察を続けてきた佐々木洋さん。その経験を活かして、生き物の通り道はもちろん、特徴・出没ポイント・観察時期・名前の由来なども、豊富な知識と雑学を織り交ぜながらユーモアたっぷりに解説。そこに何かが動いているような気配の漂う、中村一般さんのイラストと合わせて、ぜひお楽しみください。 「この世は、私たち人間だけのものではない。無数とも思える人間以外の生き物も暮らしている。そして、それらの多くは、こちらから遠くまで探しに行かなくても、私たちと、時間と空間を共有しているものなのだ。」(─はじめにより) 目次 1章 住宅街【電線はハクビシンにとっての「けもの道」】 2章 幼稚園の園庭【哺乳類の「登園路」で持ち去られる上履き】 3章 ビル街【自動ドアを通過するSF的ツバメの出現】 4章 寺社の境内【不気味な鳴き声で開幕するムササビのショータイム】 5章 河川敷【地中に広がるモグラのネットワーク】 6章 公園の雑木林【手塚治虫も愛した「オサムシ」の捕まえ方」】 7章 公園の水辺【ヨシの茎に扮する野鳥「ミョウガの妖精」】 8章 大きな道路【世界戦略を企てるトンボのワールドツアー】 9章 大きな橋【辛抱強く待てば見られる「ボラ・ジャンプ」】 10章 番外編 【こんなところに道がある!】 おまけ 執筆中に聞いていた音楽 前書きなど 私は、生き物の通り道のことを「生き物ハイウェイ」と呼んでいる。それは、私たちが生活しているすぐそばに、まるで毛細血管のようにして張り巡らされている。ときには私たちが着るセーターや、郵便受けの中にまで道がある。私たちにとって、そこはハイウェイとは呼べないかもしれない。しかし、生き物にとっては立派な「ハイウェイコース」なのだ。 本書では、私たちが毎日のように目にしている場所に、生き物の通り道がたくさん広がっていることを知ってもらったり、その世界を想像してもらったりすることを最大の目的としている。 「ここに生き物の道があるかもしれないな」と、ぜひ外に意識を向けてみてほしい。バスを待つ10分間、駅の改札口で人を待つ20分間、渋滞中に車内で過ごす30分間などが、きっと愉快なひとときに変わるはずだ。スマートフォンから目を離して空を眺めてみるだけでも、たくさんの発見がある。通勤の途中でも、ショッピングのさなかでも、緑地や歩道などで立ち止まり、意識してまわりを眺めてみると、ここにも、あそこにも、生き物の通り道があるものだ。そして、眺めている間にも、きっと昆虫や野鳥などが通るだろう。 わたしは、自然観察ほど多くの人々が一生続けられる楽しみは、そう多くないと思っている。たとえ仕事に忙殺されていても、歳をとって足腰が弱くなっても、場合によっては病院に入院しても、基本的にはできることなのだ。 「生き物ハイウェイ」の存在を感じることをきっかけに、そして人生の楽しみのひとつに、ぜひ日々の自然観察を加えていただけたら嬉しい。この世は、まさに、ワンダーランドなのだ。 版元から一言 30年以上自然観察者として解説を続け、NHKの『ダーウィンが来た!』や「大河ドラマ生物考証者」としても活躍中の著者が、私たちの身近な場所に張り巡らされた「生き物の通り道」を10のフィールドに分けて紹介します。普段見慣れている景色の中に、生き物の道がたくさんあることを知ると、驚くと同時に外へ向ける意識が変わります。人間にとっては汚い場所の「ゴミ置き場」も、例えばネズミやカラスにとっては大事な道。神社にある「手水舎」や「大木」も、小さな虫やムササビなどの通り道になっているのです。オフィスの窓や壁にだって、道があります。今は、皆スマートフォンを見ながら歩いていることが多い時代。でも、顔をあげて空を眺めてみるだけでも、そこにはたくさんの生きもの達が通っているのです。目線を外に向けて、各場所で一生懸命に生きている生きものたちの世界を知ると、少し優しい気持ちが芽生えるかもしれません。 また、今回イラストは中村一般さん(イラストレーター・漫画家)に、10章分の場所をそれぞれ描いて頂きました。緻密な絵を見ると、思わず生きものの気配を感じます。佐々木さんのユニークな視点とコミカルな文章、そして中村さんの世界観溢れるイラストとともに、「生きものハイウェイ」を是非お楽しみいただければ幸いです。 - 著者プロフィール - 佐々木洋 (ササキヒロシ) (著/文) プロ・ナチュラリスト®️。東京都出身、在住。プロフェッショナルの自然解説者として「自然の大切さやおもしろさを、多くの人々と分かち合い、そのことを通じて自然を守っていきたい」という思いのもと、国内外で自然解説を続けている。30年以上にわたり、40万人以上の人々に、自然解説を行う。著書に『都市動物たちの事件簿』(NTT出版)、『ぼくらは みんな 生きている』(講談社)、『きみのすむまちではっけん! となりの「ミステリー生物」ずかん』(時事通信社)など多数。NHKテレビ『ダーウィンが来た!』など出演。BBC(英国放送協会)動物番組アドバイザー。NHK大河ドラマ生物考証者。 中村一般 (ナカムライッパン) (イラスト) イラストレーター。1995年東京都出身、在住。書籍の装画や漫画の執筆を中心に活動中。イラストレーション青山塾修了。漫画著書に『僕のちっぽけな人生を誰にも渡さないんだ』(シカク出版)、『ゆうれい犬と街散歩』(トゥーヴァージンズ)、作品集に『忘れたくない風景』(玄光社)。現在月刊漫画雑誌「ゲッサン」(小学館)にて『えをかくふたり』連載中。
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温かいテクノロジー|林 要, 根津 孝太(イラスト)
¥2,090
ライツ社 2023年 ちくま学芸文庫 ソフトカバー 416ページ 四六判 縦188mm 横128mm - 内容紹介 - 「ガイアの夜明け」「情熱大陸」特集で大反響! 世界初の家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」の開発者が語る、「chatGPT」だけでは見れない世界。 AIの見え方が変わる!人類のこれからが知れる!22世紀への知的冒険書。 ◯ 体重4.3キログラム、身長43センチメートル ◯ 平熱37℃~39℃ ◯ 生き物みたいな体温のある身体 ◯ 10億とおり以上の瞳と声 ◯ 意思を持った振る舞いと人を覚える頭のよさ ◯ 全身50ヶ所以上のセンサー ◯ 自然な振る舞いを実現する0.2~0.4秒の反応 世界初の家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」 造ったのは、人類とAIの新しい世界線。 この本は、最先端の人工生命体「LOVOT」を題材にして、人間というメカニズムとぼくらの未来を知るための本です。 ロボットを開発することは、人間を知ることでした。 目次 【序章】ぼくらがメーヴェに憧れ、巨神兵を恐れる理由 ---温かいテクノロジーへの気付き 【1章】LOVOTの誕生 --ーたどり着いたのは、生産性至上主義への問いかけ 【2章】愛とはなにか? ---人類をドーパミン漬けにする現代ビジネスへのアンチテーゼ 【3章】感情、あるいは生命とはなにか? ---生身と機械の差は、大した問題ではなくなる 【4章】人生100年時代、ロボットは社会をどう変えるのか? ---心や愛に関する問題こそをロボットが補完する 【5章】シンギュラリティのあと、AIは神になるのか? ---人類とAIの対立は古典になる 【6章】22世紀セワシくんの時代に、ドラえもんはなぜ生まれたのか? ---「だれ1人とりのこさない」ために 【7章】ドラえもんの造り方 ---「chatGPT」だけでは見れない世界 【終章】探索的であれ ---「むかしむかし」の反対「みらいみらい」の話 - 著者プロフィール - 林 要 (ハヤシ カナメ) (著/文) 1973年、愛知県生まれ。 1998年、トヨタ自動車株式会社に入社。スーパーカー「LFA」やF1の空力(エアロダイナミクス)開発に携わったのち、トヨタ自動車製品企画部(Z)にて量産車開発マネジメントを担当。 2011年、孫正義後継者育成プログラム「ソフトバンクアカデミア」 に外部第一期生として参加し、翌年ソフト. バンク株式会社に入社。感情認識パーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」プロジェクトに参画。 2015年、GROOVE X株式会社を創業。 2018年、家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」を発表。翌年、出荷を開始。 ラスベガスで開催されている世界最大規模の家電見本市「CES」において、2019年にThe VERGE「BEST ROBOT」、2020年には「イノベーションアワード」を受賞。 2021年、第9回ロボット大賞にて「総務大臣賞」、2022年、第3回IP BASE AWARD「スタートアップ部門 奨励賞」、2023年には第1回WELLBEING AWARDS「モノ・サービス 部門 GOLDインパクト賞」を受賞。
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ソフトシティ 人間の街をつくる|ディビッド・シム, 北原 理雄(翻訳)
¥3,960
鹿島出版会 2023年 ハードカバー 262ページ B5変型判 - 内容紹介 - ヤン・ゲール理論の実践書。 刊行2年で20か国語に翻訳された待望の書、ついに日本で発売。 近年、人にやさしい建築と都市計画を扱った文献が増えているが、『ソフトシティ』はそこに加わった重要な一冊である。実際、建築と都市計画はもっとソフトになる必要がある。――ヤン・ゲール(序文より) ヤン・ゲールの「人間の街」の理念は世界に広がり、各地でプロジェクトが動き出すようになった。デザインから実現の段階に入ったといってよい。それでは、どのようにして「人間の街」を実現すればよいのか? 読者はその答えを本書に見いだすことができるだろう。――「訳者あとがき」より - 目次 - 日本語版への序 序文 ヤン・ゲール はしがき 序論 建物のあいだのアクティビティからソフトシティへ 隣人と暮らす 街区をつくる 都市化社会でローカルに暮らす 生活の時間 街に出る、人と交わる 過密化し分断された世界で 生活の重層化 天候と共生する 気候変動の時代に ソフトは壊れにくい 9つの基準 住みよい都市的密度のために フォトエッセイ ソフトジャパン――日本各地で目にしたソフトな新旧都市現象 訳者あとがき - 著者プロフィール - ディビッド・シム (ディビッド シム) (著/文) 1966年スコットランド生まれ。スウェーデンの都市デザイナー、建築家。 スコットランドの建築学生だった19歳の時、ヤン・ゲールの講義を聴いて感銘を受け、スカンジナビアに渡って建築を学ぶ。ルンド大学(スウェーデン)で教鞭をとった後、2002年からゲール・アーキテクツに参加し、クリエイティブディレクターを務める。その間、世界各地の都市でマスタープラン、都市戦略、都市デザインを手がけ、特にクライストチャーチ(ニュージーランド)の震災復興計画で高い評価を得た。高密度のなかで人間的スケールを維持し、人びとが快適に交流し暮らせるソフトな街づくりを先導。『ソフトシティ』は、出版後2年で約20か国語に翻訳され、住みよく持続可能な都市の指針となっている。現在はスウェーデンにコンサルタント会社を設立し、世界中で精力的に仕事をしている。 北原 理雄 (キタハラ トシオ) (翻訳) 1947年生まれ。東京大学工学部都市工学科卒業。同大学院修了、工学博士。 名古屋大学助手、三重大学助教授、千葉大学大学院教授を経て、同大学名誉教授。 [著書・訳書]『都市設計』『都市の個性と市民生活』『公共空間の活用と賑わいまちづくり』『生活景』(いずれも共著)、G. カレン『都市の景観』、J. ゲール『建物のあいだのアクティビティ』『人間の街』、M. カーモナほか『パブリックスペース』、A. マタン+P. ニューマン『人間の街をめざして――ヤン・ゲールの軌跡』(いずれも鹿島出版会)など。
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科学でかなえる世界征服 科学的に正しい悪の野望の叶え方|ライアン・ノース, 吉田 三知世(翻訳)
¥2,420
早川書房 2023年 ソフトカバー 464ページ 四六判 縦188mm 横131mm 厚さ25mm - 内容紹介 - 悪の秘密基地に最適な立地はどこ? 永遠の命を手に入れるためには? タイムトラベルは実現可能か? 恐竜のクローンを作るにはどうすればいい? ……映画の悪役の野望から生まれた奇想天外な疑問を、科学的に&真面目に検証する傑作ポピュラーサイエンス!
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薬草手帖 : 心身を慈しむために|新田 理恵
¥1,980
アノニマスタジオ 2023年 ソフトカバー 144ページ A5判 - 内容紹介 - 薬草を⽣活に取り⼊れたくなる本。ミニ薬草図鑑、⽣活への取り⼊れ⽅として、飲み物・⾷べ物、器、⾵呂、外⽤、薬酒と多岐に渡り紹介。育成と採取も簡潔にまとめ、⽇本おける薬草の⽣産や伝統に関わる⼈や企業、⾏事も掲載。
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雑に作る : 電子工作で好きなものを作る近道集|石川 大樹, ギャル電, 藤原 麻里菜
¥2,640
オライリー・ジャパン 2023年 ソフトカバー 312ページ A5判 - 内容紹介 - 「雑でも大丈夫!」初心者を応援する新しい電子工作書籍!本書は、独自のやり方で、作品のアイデアや製作する技術を身に付けて、作品を発表し続けてきた著者陣による、まったく新しい電子工作の書籍です。『Arduinoをはじめよう 第4版』を読み、その中の作例は作ってみたけれど、その先に何を作っていいのか......と迷っている読者を対象に、「雑な作品作りでも大丈夫!」というポジティブな姿勢をもとに、アイデアの出し方や実際の製作のノウハウを約40本紹介します。
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数学する身体|森田真生
¥605
新潮社 2018年 新潮文庫 ソフトカバー 240ページ 文庫判 縦151mm 横106mm 厚さ9mm - 内容紹介 - 数学はもっと人間のためにあることはできないのか。最先端の数学に、身体の、心の居場所はあるのか――。身体能力を拡張するものとして出発し、記号と計算の発達とともに抽象化の極北へ向かってきたその歴史を清新な目で見直す著者は、アラン・チューリングと岡潔という二人の巨人へと辿り着く。数学の営みの新たな風景を切りひらく俊英、その煌めくような思考の軌跡。小林秀雄賞受賞作。
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空間の未来|ユ・ヒョンジュン(兪炫準), オ・スンヨン(呉順瑛)(翻訳)
¥2,200
クオン 2023年 ソフトカバー 372ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ22mm - 内容紹介 - 望ましい未来を創造する鍵は、階層間移動を可能にする〈新しい空間〉にある いま韓国でもっとも注目される建築家が、住宅、学校、会社、商業施設、自然環境などの問題を通じて語る、ポストコロナ時代の革新的な都市文明論。 韓国で10万部超のベストセラー 東方神起のチャンミン、SHINeeのオンユらが愛読し、テレビのトーク番組でも絶大な人気を誇る著者の代表作! *本書のカバーにはカラフルなチリが漉き込まれた用紙を用いています。ピンク色などのチリがランダムに表れ、一冊一冊表情が異なります。 - 目次 - 日本語版序文:もっとも似ている二つの国 はじめに:感染症は空間を変え、空間は社会を変える 1章:庭のようなバルコニーのあるマンション 2章:宗教の危機とチャンス 3章:千人の生徒、千通りの教育課程 4章:出勤は続くのか 5章:感染症は都市を解体させるだろうか 6章:地上に公園を生み出す自動運転地下物流トンネル 7章:グリーンベルトの保存と南北統一のためのエッジシティー 8章:商業施設の危機と変化 9章:青年の家はどこにあるのか 10章:国土をバランスよく発展させる方法 11章:空間で社会的価値を作り出す おわりに:気候変動と感染症―新しい時代を作るチャンス 訳者あとがき 前書きなど この本は、新型コロナウイルスの勢いがピークに達した時期に書かれた。現在は日常生活でマスクを外せるほどコロナの影響から解放されつつあるが、ここに書かれた内容はポストコロナ時代にも読まれる価値があると思う。ある人の本性を知るためには、危機に晒された時の様子を見るべきだといわれる。緊迫した危機の状況で本来の姿が現れるからだ。建築と空間、そしてその中の人間と社会も同じだ。コロナ禍のような危機に直面した際に見られる姿が、私たち人間と社会の断面を如実に見せてくれると思う。この本はそうした断面を見ようと努力した、一人の建築家の観察日記だ。私は二〇歳の頃からずっと、空間と人間の関係について考え続けてきた。建築空間は人間の姿を映す鏡と同じだ。建築空間を見ると人間の姿を類推することができる。建築空間が変われば人間は変わり、同じく人間と社会が変われば建築空間も変わる。新型コロナウイルスによって新たに知ることになった人間の姿と、よりよい社会を作るためにどのような空間が必要なのかについて、私の考えをまとめたのが本書だ。 (「日本語版序文」より) - 著者プロフィール - ユ・ヒョンジュン(兪炫準)(著/文) 人文建築家。 弘益大学建築都市学部教授。ユ・ヒョンジュン建築士事務所、およびスペース・コンサルティング・グループ代表建築士。 韓国の延世大学で学士号を、MITとハーバード大学大学院で修士号(建築設計)を取得。その後、世界的な建築家リチャード・マイヤーの設計事務所での勤務を経て現職。 主要な作品として、マグハクトン(Mug Hakdong)・アチウル住宅(PLAIT VILLA)・世宗サンソン教会(The HUG)などがある。またInternational Architecture Award Chicago Athenaeum、German Design Awardなど、国内外で40以上の建築賞を受賞。 建築と社会についてさまざまなメディアで発言するとともに、テレビ番組や自身のユーチューブチャンネル(シャーロック・ヒョンジュン/ 셜록현준)への出演でも注目されている。 著書『都市は何によって生きているのか』『どこで暮らすべきか』『空間が作った空間』『空間の未来』は、韓国の人文社会分野では異例のベストセラーとなった。 オ・スンヨン(呉順瑛)(翻訳) 韓国生まれ、1995年日本留学。東京学芸大学連合大学院学術博士。 新大久保語学院池袋校校長。学習院大学・大妻女子大学で日本文学・ジェンダー・韓国語・日韓関係論など、幅広い講義を担当している。 著書に『臨床文学論 臨床心理学的に読む文学の中の〈わたし〉』(ミンソクウォン)、共著に『キーワードで読む日本文学 春に和歌を、秋には俳句を覚える』(グロセウム)、『楽しく学ぶハングル2』(白帝社)、訳書にキム・オンス『設計者』(クオン)などがある。
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革命と住宅|本田 晃子
¥2,970
ゲンロン 2023年 ソフトカバー 348ページ 四六判 - 内容紹介 - 革命は「家」を否定する。 社会主義の理念を実体化すべく生み出された、ソビエト/ロシアの建築の数々。しかしその実態は当初の計画からかけ離れ、狭小で劣悪な住宅環境と、建てられることのない紙上の「亡霊建築」に分離していく。理想と現実に引き裂かれた建築から見える、大国ロシアが抱える矛盾とはなにか。そしてそこで生きる人びとの姿はどのようなものだったのか。webゲンロンの人気連載「亡霊建築論」と「革命と住宅」が大幅な加筆のうえ一冊に。 - 著者プロフィール - 本田 晃子 (ホンダ アキコ) (著/文) 1979年岡山県岡山市生まれ。1998年、早稲田大学教育学部へ入学。2002年、東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学表象文化論分野へ進学。2011年、同博士課程において博士号取得。日本学術振興会特別研究員、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター非常勤研究員、日露青年交流センター若手研究者等フェローシップなどを経て、現在は岡山大学文学部准教授。著書に『天体建築論 レオニドフとソ連邦の紙上建築時代』(東京大学出版会)。
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クジラのまち 太地を語る 移民、ゴンドウ、南氷洋 | 赤嶺 淳
¥2,200
英明企画編集 2023年 ソフトカバー 352ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ19mm - 内容紹介 - 捕鯨問題はすでに「捕る/捕らない」、「食べる/食べない」という単純な二項対立を超えて、科学や政治、倫理など、多様な問題が複雑に絡まりあった“捕鯨問題群”を形成するに至っている。 本書では、漁師、ペンション経営者、海産物販売業者など、「クジラのまち・太地」を愛し、誇りとする8名の生活史の「聞き書き」を軸に、従来は語られてこなかった太地の姿を提示。 鯨食・捕鯨をめぐってすれ違うまなざしの交差点を探り、複数の視点で“捕鯨問題群”に向きあい、広くオープンに語りあう環境の構築をめざす一冊。 ◆目次 ●太地をひらく………赤嶺 淳 ■第Ⅰ部 太地を生きる ●1 南氷洋をおもう ①南氷洋、二五回出漁してるんですよ……網野俊哉さん ②大変な仕事やでぇ……濱田明也さん ③もう海しか知らないもん………小貝佳弘さん ●2 マッコウにあずかる ①足元は油まみれ……山下憲一さん ②あ~、腹ラーセンや……世古忠子さん ●3 太地をつなぐ ①舌は覚えているからね……久世滋子さん ②慣れ、慣れ、慣れ。……小畑美由紀さん ③なんでゴンドウしかいわんのか……由谷恭兵さん ■第Ⅱ部 太地を解く ●すれちがうまなざし──個人史とグローバルヒストリーの交差点で……赤嶺 淳 ●かくれた主役──ゴンドウと歩む太地の捕鯨文化……ジェイ・アラバスター ■第Ⅲ部 太地を訊く ●幾重もの共同と協働──太地町プロジェクトをふりかえって……辛 承理 ●太地にかかわる──あとがきにかえて………赤嶺 淳 - 版元から一言 - 『クジラのまち 太地を語る──移民、ゴンドウ、南氷洋』は、南氷洋での捕鯨の日々に思いをはせ、マッコウクジラが暮らしにもたらした恵みに感謝し、太地に誇りをもって、その歴史をつないで生きる8名の人びとの生活史を中心に、「クジラのまち・太地」についての語りと論考によって、捕鯨問題を解き・ひらく一冊です。 - 著者プロフィール - 赤嶺 淳 (アカミネ ジュン) (著/文 | 編集) 1967年大分県うまれ。一橋大学大学院社会学研究科教授。専門は食生活誌学、食生活史研究。人間による環境利用の歴史をあきらかにするため、水産物の生産から加工、消費までのサプライチェーンの発展過程に着目し、「食からみた社会」、「社会のなかの食」の変容過程をあとづけてきた。目下の関心は、マーガリンの主原料として20世紀初頭に創発した鯨油や大豆油、パーム油などの「油脂間競争」120年の絡まりあいの解明。おもな著作に『ナマコを歩く』(新泉社、2010年)、『鯨を生きる』(吉川弘文館、2017年)、「ノルウェーにおける沿岸小型捕鯨の歴史と変容」(『北海道立北方民族博物館紀要』29号、2020年)、「日本近代捕鯨史・序説」(『国立民族学博物館研究報告』47巻3号、2023年)など。
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本のある空間採集 : 個人書店・私設図書館・ブックカフェの寸法 | 政木 哲也
¥2,750
SOLD OUT
※トンガ坂文庫もご掲載いただいております!! 学芸出版社 2023年 ソフトカバー 192ページ A5判 ※掲載店限定ブックカバーつき - 内容紹介 - ---書店観察の新しいかたちがここに。---永江朗さん推薦!全国の新刊書店、古書店、私設図書館、ブックカフェ、移動書店など44件を訪ね歩き、空間を実測・図解した一冊。オルタナティブな小拠点に凝縮された、店主の創意工夫、地方や都市の空き家・空きビルなどを利活用した拠点づくりに着目し、本と人とまちが織りなす空間の居心地とスケールに迫る。 目次 はじめに ○東北・関東甲信越 青森県 まわりみち文庫|飲み屋小路にひっそりと積まれた木箱書架 新潟県 今時書店|現役高校生がデザインした書籍との対話空間 宮城県 book cafe 火星の庭|ひとりでいる人に寄り添う、都市のシェルター的本棚 栃木県 BOOK FOREST 森百貨店|地元の子どもと世界をつなぐ絵本のブックツリー 群馬県 REBEL BOOKS|デザイナー店主がつくりあげたブルーグレーのローカル基地 東京都 気流舎|2間角のシュタイナー建築はカウンターカルチャーの聖地 東京都 Readin’ Writin’ BOOKSTORE|40㎡の巨大壁面書架を見下ろすまちの奥座敷 東京都 Title|本が主となった民家の9m書架&隠れ家カフェ 東京都 COW BOOKS|ステンレスの内装の中で熟成された古書のある居場所 長野県 栞日|書物が発するメッセージを拡声させるアップサイクル書架 長野県 遊歴書房|門前町の一角で時空を超える、世界地図を体現したギャラリー型書架 *Column1 2時間1本勝負の「実測」 ○北陸・東海・近畿 富山県 ひらすま書房|旧郵便局のタイムレスな空間が引き寄せる古書と人の縁 石川県 オヨヨ書林 新竪町店|ぼんやりのんびり本を探せる大うなぎの寝床 石川県 石引パブリック|美大生たちの目を奪う巨大書架のビジュアルブック 静岡県 ひみつの本屋|私的に本と出会う、元映画館のチケットブース 静岡県 みんなの図書館さんかく|一箱本棚でつくる駅前商店街の溜まり場 静岡県 フェイヴァリットブックスL|友だちの家に擬態した本好きの楽園 愛知県 TOUTEN BOOKSTORE|カフェバーカウンターは奥に伸びる書架への入口 三重県 トンガ坂文庫|漁村でつくりあげた本のある暮らしとポップな異世界 三重県 USED BOOK BOX|内法80㎝四方の極小図書館 大阪府 toi books|都会の5坪空間に光る54のインデックス棚 大阪府 居留守文庫|増殖しつづける木箱で埋め尽くされた本の迷宮 大阪府 LVDB BOOKS|長屋を貫く鋼管足場書架と静けさをまとう書物たち 京都府 誠光社|6枚の袖壁がつくるほどよい没入感 京都府 ba hutte.|極薄敷地から通りに滲み出す超私的選書空間 奈良県 とほん|商店街に新風を吹き込む軽やかな角材ストラクチャー 奈良県 人文系私設図書館ルチャ・リブロ|辺境でこそ出会える1冊が待つ、山中の開架閲覧室 和歌山県 本屋プラグ|椅子も机も書架になる、自由奔放な居心地 *Column2 「作図」は孤独な作業 ○中国・四国 岡山県 蟲文庫|美観地区の古民家で交錯する店主の世界と本の世界 岡山県 451BOOKS|シンボリックな螺旋階段で巡る書架のキューブ 広島県 弐拾dB|深夜の元医院建築で本に没入する催眠的読書体験 広島県 READAN DEAT|レトロビルの佇まいを再編集した3つの小空間 鳥取県 汽水空港|セルフビルドで変化しつづける湖畔の書店小屋 島根県 artos Book Store|もの・人・音楽を本でつなぐ交易空間の配置計画 山口県 ロバの本屋|バイタリティとユーモアで山奥の元牛舎をセルフリノベ 香川県 本屋ルヌガンガ|大階段から棚板まで、本と目が合う一瞬を設計する 香川県 へちま文庫|本を引き立てる家具と読みたくなる風景 愛媛県 書房ドミンゴ|駄菓子屋的な距離感で近所の子どもの好奇心をかきたてる *Column3 本のある空間とまちの関係 ○九州・沖縄 福岡県 MINOU BOOKS|本との出会いを誘発する賑やかな窓際書架 福岡県 ナツメ書店|元時計店の意匠と呼応する精緻な配架計画 熊本県 橙書店|ひしめく本と人との遭遇を静かに見守るカウンター 鹿児島県 古書リゼット|ビルの共用部を書店空間とした本箱のパッサージュ 沖縄県 市場の古本屋 ウララ|つい足を止めてしまう、通りにはみ出た個性派本棚 全国 BOOK TRUCK|フェスから団地まで、出会いを詰め込んで走る移動書店 *Column4 予定調和ではない本との出会い 店舗情報 おわりに
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建築と触覚 空間と五感をめぐる哲学|ユハニ・パッラスマー, 百合田 香織(翻訳)
¥3,300
草思社 2022年 ソフトカバー 208ページ 函入 四六判 - 内容紹介 - すべてが視覚情報化され消費されていくかのような昨今、 建築が本来もつ「五感を統合する」という役割を今こそ見直すべきである。 メルロ=ポンティ、バシュラールらの議論を踏まえながら、 建築における触覚、聴覚、味覚、嗅覚の重要性を再考し、 あるべき本流の空間とは何かを問う。 ラスムッセン、クリスチャン・ノルベルグ=シュルツらの精神を継承する、 北欧の最重要建築理論家による著、待望の邦訳。 スティーヴン・ホール推奨。 「パッラスマーは単なる理論家ではない。 現象学的に洞察する力をもつすぐれた建築家だ。 分析不可能な諸感覚の建築を実践に移し、 その現象学的な性質でもって自身が建築哲学について著してきたものを具象化している。」 世界的建築情報サイトArchiDailyが選ぶ、名建築書ベスト150に選出。 <目次より> 前書き 「薄氷」スティーヴン・ホール 序論 世界に触れる 第一部 視覚と知識 視覚中心主義への批判 ナルシストの眼とニヒリストの眼 声の空間と視覚の空間 網膜の建築、立体感の喪失 視覚イメージとしての建築 物質性と時間 「アルベルティの窓」の拒絶 視覚と感覚の新たなバランス 第二部 身体中心 複数の感覚による経験 陰影の重要性 聴覚の親密さ 静寂、時間、孤独 匂いの空間 触覚の形状 石の味 筋肉と骨のイメージ 行為のイメージ 身体的同化 身体の模倣 記憶と想像の空間 多感覚の建築 建築の役割 - 著者プロフィール - ユハニ・パッラスマー (ユハニ パッラスマー) (著/文) 現代のフィンランドを代表する建築家、建築思想家。ヘルシンキ工芸大学学長、フィンランド建築博物館館長、ヘルシンキ工科大学建築学部教授・学部長を歴任。著作にThe Thinking Hand: The Thinking Hand: Existential and Embodied Wisdom in Architecture (John Wiley & Sons, 2009)、The Embodied Image: The Embodied Image: The Imagination and Imagery in Architecture (John Wiley & Sons, 2011)などがある。 百合田 香織 (ユリタ カオリ) (翻訳) 神戸大学大学院自然科学研究科博士前期課程修了。専攻は建築/建築史研究室。公務員として公共プロジェクトに従事し英国赴任同行を機に退職。建築を巡りつつ翻訳スクールに通い翻訳者として活動を始める。訳書『名建築は体験が9割』『名建築の歴史図鑑』『世界の夢の動物園』(以上、エクスナレッジ)、『配色デザインカラーパレット』(ビー・エヌ・エヌ)など。
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巨匠たちの住宅 20世紀住空間の冒険|淵上 正幸
¥2,860
青土社 2023年 ハードカバー 272ページ 四六判 - 内容紹介 - 「20世紀の建築家は住宅で勝負をした。住宅にエネルギーのすべてを賭け、哲学のすべてをぶちこんだ。」――隈研吾 モダニズム建築の真髄は、住宅にあり! ミース・ファン・デル・ローエ、フランク・ロイド・ライト、アドルフ・ロース、ル・コルビュジエ……20世紀を生きた巨匠たちが、住宅建築に込めた創造性のすべて。建築設計は住宅に始まって住宅に終わる。実際に訪ね歩いて、書き綴られた貴重な名建築探訪。