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シベリヤ物語 長谷川四郎傑作選 | 長谷川 四郎(本文), 堀江 敏幸(編集)
¥1,210
筑摩書房 2024年 ちくま文庫 ソフトカバー 384ページ 文庫判 - 内容紹介 - シベリヤの捕虜収容所で出会った人や忘れがたい光景、労働の日々を透徹した文体で描く戦争文学の名著。詩・エッセイ・短篇を加えたオリジナル編集版 堀江敏幸による編集で不朽の第一作が増補版として甦る! シベリヤ抑留帰りの異才が残した 静謐にして不穏な足跡 敗戦によりソ連軍の捕虜となった作者は、シベリヤ各地の収容所を5年にわたり転々とする。そして炭坑、街路、煉瓦工場などで労働しながら、捕虜仲間やソ連兵、町の人びとと言葉をかわし、さまざまな光景を目にした。帰国後に書かれた『シベリヤ物語』は、苛酷な経験を描きながらも静謐で、今なお不思議な輝きを放つ。表題作全篇に詩・エッセイ・短篇を加えて新たに編まれた「傑作選」の一冊。 装画 柳智之 カバーデザイン 五十嵐哲夫 - 目次 - Ⅰ シベリヤ物語 シルカ 馬の微笑 小さな礼拝堂 舞踏会 人さまざま 掃除人 アンナ・ガールキナ ラドシュキン ナスンボ 勲章 犬殺し Ⅱ 逃げていく歌 未確認戦死者の歌 うたごえの歌 兵隊の歌 露営の夢の歌 逃亡兵の歌 復員列車の終着駅の歌 Ⅲ シベリヤをめぐって ― 短篇とエッセイ 炭坑ビス ソ連俘虜記 『シベリヤ物語』作者のことば 〈私の処女作〉『シベリヤ物語』 シベリヤから還って チタの詩人 中へ入ることの出来ない映画の一場面でも見るように ― 解説にかえて 堀江敏幸 - 著者プロフィール - 長谷川 四郎 (ハセガワ シロウ) (本文) 1909年、北海道函館生まれ。45年8月よりソ連軍の捕虜となりシベリヤ各地の捕虜収容所でさまざまな労働に従事。50年に帰国。52年に『シベリヤ物語』を筑摩書房より刊行。その後も、小説、詩、翻訳、戯曲、エッセイなど幅の広い執筆活動を行った。他の著書に『鶴』(ちくま文庫、近刊)、『ぼくの伯父さん』(青土社)、『中国服のブレヒト』(みすず書房)など、訳書に『デルスウ・ウザーラ』(平凡社)、『ロルカ詩集』(土曜社)、『カフカ傑作短篇集』(福武文庫)などがある。87年没。 堀江 敏幸 (ホリエ トシユキ) (編集) 1964年、岐阜県生まれ。作家、仏文学者、早稲田大学文学学術院教授。95年に第一作『郊外へ』(白水社)を刊行。著書に『熊の敷石』(講談社文庫)、『雪沼とその周辺』『河岸忘日抄』『その姿の消し方』『おぱらばん』(新潮文庫)、『正弦曲線』『戸惑う窓』(中公文庫)、『オールドレンズの神のもとで』(文春文庫)などがある。
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ヘルシンキ 生活の練習 | 朴 沙羅
¥990
筑摩書房 2024年 ちくま文庫 ソフトカバー 320ページ 文庫判 - 内容紹介 - フィンランドの子育てに、目からうろこ。 「母親は人間でいられるし、人間であるべきです」 二人の子どもと海を渡った社会学者による現地レポート。 「考え方が変わる」と大反響。待望の文庫化! 【内容紹介】 「これらのスキルはすべて、一歳から死ぬまで練習できることですよ」二人の子どもを連れ、新しい土地で生活を始めた社会学者の著者は、日本とのちがいに驚かされつつ、出会ったひとたちからたくさんのことを教わっていく。「フィンランドは理想郷でもないし、とんでもなくひどいところでもない」たんたんと、関西弁のユーモアを交えて描かれる、北欧のレポート。 「フィンランド(に限らず、北欧)は理想郷のように描かれるときがある。かと思うと、そんなことはないのだ、これがフィンランド(と北欧)の真実だ、と悪い情報を流す言説を見ることもある。 でもたぶん、それはどちらも正確ではない。フィンランドは理想郷でもないし、とんでもなくひどいところでもない。単に違うだけだ。その違いに驚くたびに、私は、自分たちが抱いている思い込みに気がつく。それに気がつくのが、今のところは楽しい。」 (「4 技術の問題――保育園での教育・その2」より) 解説 坂上香 装丁・装画 寄藤文平+垣内晴(文平銀座) - 目次 - はじめに 1 未知の旅へ――ヘルシンキ到着 2 VIP待遇――非常事態宣言下の生活と保育園 コラム1 ヘルシンキ市の公共交通機関と子ども車両 3 畑の真ん中――保育園での教育・その1 4 技術の問題――保育園での教育・その2 5 母親をする――子育て支援と母性 コラム2 社会とクラブと習い事 6 「いい学校」――小学校の入学手続き 7 チャイコフスキーと博物館――日本とフィンランドの戦争認識 コラム3 マイナンバーと国家への信頼 8 ロシア人――移民・移住とフィンランド コラム4 小学校入学 おわりに 注 文庫版あとがき 解説 坂上香 - 著者プロフィール - 朴 沙羅 (パク サラ) (本文) 1984年生まれ。専門は社会学、移民研究。ヘルシンキ大学文学部文化学科講師。単著に『家(チベ)の歴史を書く』(筑摩書房)、『外国人をつくりだす――戦後日本における「密航」と入国管理制度の運用』(ナカニシヤ出版)、『記憶を語る, 歴史を書く――オーラルヒストリーと社会調査』(有斐閣)、編著に『最強の社会調査入門』(ナカニシヤ出版)など。
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宇宙はくりまんじゅうで滅びるか? | 山本 弘
¥1,078
河出書房新社 2024年 河出文庫 ソフトカバー 312ページ 文庫判 - 内容紹介 - SFとオタクから人生は学べるか? 1つのくりまんじゅうが5分ごとに2倍に増えていったら、宇宙はどうなるか? 単行本あとがき等を集成した著者唯一のエッセイ集。山本弘さん追悼文庫化。
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パレスチナ詩集 | マフムード・ダルウィーシュ(本文), 四方田 犬彦(翻訳)
¥1,540
筑摩書房 2024年 ちくま文庫 ソフトカバー 208ページ 文庫判 - 内容紹介 - パレスチナに生まれ 入獄と亡命を生きた大詩人 惨事と野蛮に抗して 詩は可能か 「世界の果てに辿り着いたとき、われらはどこへ行けばよいのか。/最後の空が終わったとき、鳥はどこで飛べばよいのか。」詩を喪失したとき、敗北した国はさらに敗北する。ホメロスに始まる西洋文学がつねに勝者の側から語られてきたとするならば、今こそ敗者の声を詩に結実させなければならない。本書はパレスチナの亡命詩人の、生涯を懸けた絶唱である。 - 目次 - 道のなかにさらなる道 この大地にあって また野蛮人がやって来る 死んでいるわたしが好き 山裾の上、海よりも高く、彼らは眠った あそこに夜が アデンに行った 敵が遠ざかると アナット変幻 イムルウ・ル・カイスの、言葉によらない論争 異邦人に馬を 壁に描く 訳註 訳者解説 四方田犬彦 - 著者プロフィール - マフムード・ダルウィーシュ (ダルウィーシュ マフムード) (本文) 1941-2008。パレスチナに生まれ、イスラエル建国後は入獄と亡命の生を生きる。アラブ現代詩におけるもっとも重要な詩人の一人。ベイルートにてPLOに参加するが、オスロ合意に疑念を抱き、自治政府の組閣に参加せず。1969年にロータス賞を、83年にレーニン平和賞を受ける。サイードの著作に霊感を与え、ゴダール映画に出演する。 四方田 犬彦 (ヨモタ イヌヒコ) (翻訳) 1953年生まれ。批評家・エッセイスト・詩人。著作に『見ることの塩』(河出文庫)、翻訳に『パゾリーニ詩集』(みすず書房)がある。
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味つけはせんでええんです | 土井 善晴
¥1,760
ミシマ社 2023年 ソフトカバー 208ページ B6変形判 縦168mm 横120mm 厚さ13mm - 内容紹介 - 「なにもしない」料理が、 地球と私とあなたを救う。 AIの発達、環境危機、経済至上主義… 基準なき時代をどう生きるか? 人間とは、自由とは、幸せとは。 「料理」を入り口に考察した壮大な著! 土井節炸裂、一生ものの雑文集。 『ちゃぶ台』の名物連載、ついに書籍化。 レシピとは人の物語から生まれたお料理のメモ。他人のレシピは他人の人生から生まれたもの。でも本来、料理は自分の人生から生まれてくるものです。それがあなたの料理です。つたなくっても、自信がなくっても、私はいいと思います。「味つけせんでええ」というのは、それを大切にすることだと思っているのです。 一生懸命お料理すればそこにあなたがいるのです。お料理するあなたが、あなたを守ってくれるのです。――「まえがき」より - 目次 - 1 料理という人間らしさ 2 料理がひとを守ってくれる 3 偶然を味方にする――「地球と料理」考 4 味つけはせんでええんです 5 料理する動物 6 パンドラの箱を開けるな!
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小さきものたちの | 松村 圭一郎
¥1,980
ミシマ社 2023年 ソフトカバー 208ページ 四六変形判 縦178mm 横130mm 厚さ16mm - 内容紹介 - 私は日本のことを、 自分たちのことを何も知らなかった。(「おわりに」より) 水俣、天草、須恵村… 故郷・熊本の暮らしの記録を初めて解く。 現代の歪みの根源を映し出す、 今を生きる人たち必読の生活誌。 世界を動かしてきたのは、 いつも、小さき者たちだった。 はたらく、まじわる、くに… 消えかけていた声を拾い、 紡いだ、渾身の二一編。 気鋭の人類学者の新たな代表作 本書では、私が生まれ育った九州・熊本でふつうの人びとが経験してきた歴史を掘り下げようとした。とくに私が地元でありながらも目を背けてきた水俣に関するテキストを中心に読みこみ、自分がどんな土地で生を受けたのか、学ぼうとした。そこには日本という近代国家が民の暮らしに何をもたらしてきたのか、はっきりと刻まれていた。(「はじめに」より) - 目次 - Ⅰ 水俣1 一、はたらく 二、おそれる 三、いのち 四、まじわる 五、うつろう 六、かかわる 七、うえとした Ⅱ 水俣2 八、やまい 九、こえる 一〇、うつしだす 一一、ひきうける 一二、たちすくむ Ⅲ 水俣3 一三、ねがい 一四、たりない 一五、かお 一六、あいまみえる Ⅳ 天草 一七、こえ 一八、くに Ⅴ 須恵村 一九、いのる 二〇、おとことおんな 二一、みえないもの - 著者プロフィール - 松村圭一郎 (マツムラケイイチロウ) (著/文) 1975年熊本生まれ。岡山大学文学部准教授。専門は文化人類学。所有と分配、海外出稼ぎ、市場と国家の関係などについて研究。著書に『うしろめたさの人類学』(第七二回毎日出版文化賞特別賞)、『くらしのアナキズム』(以上、ミシマ社)、『はみだしの人類学』(NHK出版)、『これからの大学』(春秋社)など、共編著に『文化人類学の思考法』(世界思想社)、『働くことの人類学』(黒鳥社)。
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これが生活なのかしらん | 小原 晩
¥1,650
大和書房 2023年 ソフトカバー 184ページ 四六判 縦188mm 横130mm 厚さ13mm - 内容紹介 - ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ まさかこれが自分の生活なのか、とうたがいたくなるときがあります。 それは自分にはもったいないようなしあわせを感じて、という場合もあれば、 たえられないほどかなしくて、という場合もあるのですが、 それはもちろん自分の生活であるわけです。 その自分の生活というものを、つまりは現実を、 べつだん、大げさにも卑屈にもとらえず、そのまま受けいれたとき、 みえてくるのは「ほのおかしさ」ではなかろうかと思います。 ままならない生活にころがる「ほのおかしさ」を私はずっと信じています。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 自費出版作品としては異例の売れ行きを記録した 『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』の小原晩、書き下ろし最新作! まぶしいほどまっすぐで、愛おしい。ままならない生活をめぐる38編のエッセイ。
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文化の脱走兵 | 奈倉 有里
¥1,760
講談社 2024年 ソフトカバー 224ページ 四六判 - 内容紹介 - 本を片手に、戦う勇気ではなく逃げる勇気を。 言葉を愛する仲間たちに贈る、待望のエッセイ集。 「国でいちばんの脱走兵」になった100年前のロシアの詩人、ゲーム内チャットで心通わせる戦火のなかの人々、悪い人間たちを化かす狸のような祖父母たち──あたたかい記憶と非暴力への希求を、文学がつないでゆく。 「もし本が好きになったら──私たちがその人たちを見つけて、めいっぱい大切にしよう。世界中のたくさんの本を翻訳して、朗読して、笑ったり泣いたりしよう。」(「クルミ世界の住人」より) 紫式部文学賞を受賞したロングセラー『夕暮れに夜明けの歌を』の著者による、最新エッセイ集。 【もくじ】 クルミ世界の住人 秋をかぞえる 渡り鳥のうた 動員 ほんとうはあのとき…… 猫にゆだねる 悲しみのゆくえ 土のなか 道を訊かれる つながっていく 雨をながめて 君の顔だけ思いだせない こうして夏が過ぎた 巣穴の会話 かわいいおばあちゃん 年の暮れ、冬のあけぼの 猫背の翼 あの町への切符 柏崎の狸になる あとがき 文化は脱走する 【装幀】 名久井直子 【装画】 さかたきよこ - 著者プロフィール - 奈倉 有里 (ナグラ ユリ) (著/文) 1982年、東京都生まれ。ロシア文学研究者、翻訳者。2008年、ロシア国立ゴーリキー文学大学を日本人として初めて卒業する。東京大学大学院修士課程を経て博士課程満期退学。博士(文学)。2022年、『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く』(イースト・プレス)で第32回紫式部文学賞、『アレクサンドル・ブローク 詩学と生涯』(未知谷)などで第44回サントリー学芸賞(芸術・文学部門)受賞。主な訳書に、ミハイル・シーシキン『手紙』(新潮クレスト・ブックス)、サーシャ・フィリペンコ『理不尽ゲーム』『赤い十字』(集英社)、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『亜鉛の少年たち アフガン帰還兵の証言 増補版』(岩波書店)ほか多数。近著に『ロシア文学の教室』(文春新書)。
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テヘランのすてきな女 | 金井 真紀
¥1,980
晶文社 2024年 ソフトカバー 320ページ B6変形判 - 内容紹介 - 謎めいた国・イランで、女たちの人生を拾い集めた 女は髪を出してはいけない、肌を見せてはいけない。詩を愛するが、酒はない。謎めいたイスラム教国家に生きる女性たちに、文筆家・イラストレーターの金井真紀が会いに行く。公衆浴場、美容院、はては女子相撲部まで、男子禁制スポットにどかどか潜入! スカーフのかぶり方を監視する風紀警察、国と闘う弁護士、男のフリをしてサッカーをしていた人、移民の子どもに勉強を教える人、命がけの性的マイノリティetc...。ベストセラー『パリのすてきなおじさん』の著者が、テヘランに生きる女たちと、とことんおしゃべり。 世界はいつも想像の何倍も込み入っている。(本書より) きっとにんげんが好きになるインタビュー&スケッチ集。 - 目次 - はじめに Ⅰ たたかう女 ベリーショートの通訳 チャドルをやめた主婦 正義のために走り続ける弁護士 風紀警察と街で見かけた女たち 〈テヘラン散歩〉ハンマーム Ⅱ はたらく女 コンピュータエンジニア 細密画の絵師 タイル作家 物語を書く姉妹 美容整形会社勤務 百戦錬磨の看護師 〈テヘラン散歩〉美容院へ Ⅲ スポーツする女 お母さんの天国公園 ドラゴンボートの選手 女子サッカーU17代表監督で社会学者 かつて”ラシュトの鷹”と呼ばれた女子代表監督 イラン女子相撲の選手たち 〈テヘラン散歩〉ピクニック Ⅳ 居場所をさがす女たち 日本に留学したトランスジェンダーの大学生 「アデル、ブルーは熱い色」を見たレズビアンの大学生 反スカーフデモに参加したバイセクシャルの大学生 キリスト教会で会った人 ピクルスをつくるアフガニスタン移民 寺子屋の校長先生 〈テヘラン散歩〉ホームパーティー Ⅴ 見てきた女 トルコにしょっちゅう行く人 パラリンピック委員会の人 敬虔なイスラム教徒 〈テヘラン散歩〉空港 おわりに - 著者プロフィール - 金井真紀 (カナイマキ) (著/文) 1974 年、千葉県生まれ。文筆家・イラストレーター。著書に『パリのすてきなおじさん』(柏書房)、『世界はフムフムで満ちている』(ちくま文庫)、『聞き書き 世界のサッカー民 スタジアムに転がる愛と差別と移民のはなし 』(カンゼン)、『日本に住んでる世界のひと 達人観察図鑑』(大和書房)、『おばあちゃんは猫でテーブルを拭きながら言った 世界ことわざ紀行』(岩波書店)など多数。「多様性をおもしろがる」を任務とする。難民・移民フェス実行委員。
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労働系女子マンガ論! | トミヤマユキコ
¥2,200
タバブックス 2023年 ソフトカバー 224ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ15mm - 内容紹介 - 労働をめぐる女子の悩みの数だけ、応答を試みるマンガが存在するー タバブックスwebサイトで2013年から不定期連載していた「労働系女子マンガ論!」ついに、ついに書籍化!! 恋愛、結婚、出産、といった人生のイベントを迎えるたび、続けるか辞めるかの選択を迫られるのは、たいてい女子の側。労働環境はここ数十年で大きく変化し、どうするのがベストなのか判断がつかない… 「女子×労働」の視点で読む女子マンガに人生をサバイブするヒントがある!誰もが知っている王道作品から、知る人ぞ知る隠れ名作まで、気鋭の研究者トミヤマユキコの女子マンガ論、決定版です。 - 目次 - 序論「労働系女子マンガ」とはなんぞや? I 少女マンガ隆盛期 ― ヒロインは読者と同世代の若き労働者 自分の運命を切り拓く『ベルばら』の女たち 『ベルサイユのばら』 大正時代のラブコメが描く「この国で女が働くとはどういうことか」『はいからさんが通る』 「自立した女」のモデルのひとつは、バレエマンガにある 『アラベスク』 愛より恋より仕事をやれ 年代作品の強烈なメッセージ 『デザイナー』 女の為政者として「政治と権力」を変革する 歳 『王家の紋章』 労働ものとして魔法少女マンガを読んでみる 『美少女戦士セーラームーン』 Ⅱ「仕事と恋」の時代 ― 社会情勢を反映し働く読者の現実に接近 「近代化」を目指そうとした「働く女」の困難 『東京ラブストーリー』 みんなの視界に入りにくい仕事を描く意義 『動物のお医者さん』 フリーターもバリキャリも大変 就職氷河期がもたらしたリアル 『ハッピー・マニア』『働きマン』 「周縁」で働く女の自由と孤独 『ちひろ』『ちひろさん』 自分らしさに助けられたり苦しめられたりする労働 『リメイク』 恋愛要素なし、仕事人間を肯定する女子マンガの進化 『重版出来!』 Ⅲ 労働の多様化・細分化 ― 年齢、仕事観、社会問題等に着目 憧れからはほど遠い設定が生み出す深い味わい 『うどんの女』 主婦の労働と存在意義をめぐる重い問い 『ハウアーユー?』 リアルとファンタジーを行き来する大人の仕事と恋愛の物語 『娚の一生』 人生の全てを労働に捧げる 仕事に生きる女のロールモデル 『繕い裁つ人』 女の人生に必要なのは王子様じゃない、家だ 『椿荘101号室』 「仕事/趣味」「仕事/結婚」二者択一の不毛さを描く 『ZUCCA×ZUCA 』 自分の意思ではない境遇も受け入れ 働き生きる日々の愛おしさ 『海街 diary』 夢見た未来と現実の間に苦悩 続いていく労働系女子の人生 『愛すべき娘たち』 - 版元から一言 - タバブックス立ち上げ直後からはじまった web 連載、しばらくのお休みの期間を経て再 開、書籍にすることができました。「労働× 女性」というタバブックスが向き合うテー マの本書、10 周年の記念すべき 1 冊です。 - 著者プロフィール - トミヤマユキコ (トミヤマ ユキコ) (著/文) 1979年、秋田県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、早稲田大学大学院文学研究科に進み、少女マンガにおける女性労働表象の研究で博士号取得。ライターとして 日本の文学、マンガ、フードカルチャーについて書く一方、東北芸術工科大学芸術 学部准教授として教鞭も執っている。2021年から手塚治虫文化賞選考委員。
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1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい | 小沼 理
¥1,980
タバブックス 2022年 ソフトカバー 272ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ18mm - 内容紹介 - 日記を書くことは、日本で生きているゲイ男性の1人としての「アクティヴィズム」でもあった‒‒ 新型コロナウイルス、東京オリンピック、元首相銃撃事件。著しい社会変化があった3度の夏、それでも生活は続いていく。迷い、怒り、喜び、苦しみ、考え、先へ向かう、注目のフリーランスライターによる3年間の日記。 - 目次 - 鍵をかけない部屋 消毒日記 2020年 隣人的 2021年 私はエラー 大丈夫 2022年 あとがき - 前書きなど - 鍵をかけない部屋 2年前に日記を書いた時は、新しい感染症に揺れる世の中を記録しようと思っていた。 1年前に日記を書いた時は、緊急事態下に国際的な祭典が強行された東京を書き留めておきたいと思っていた。 今年を迎えた時は、この2年に比べると大きなできごとは起こらないのではないかと思っていた。そうあってほしかったし、日記を書く理由も違ったものになるかもしれないと期待していた。だけど冬が終わる頃には新しい戦争がはじまって、夏には2年前まで首相を務めていた人物が。銃撃され亡くなった。他にも日夜追いきれないほどの事件が起きて、きちんと考える時間もないまま流されていく。いい方向に進んでいる実感が少しも持てない。どこへ向かうんだろう、そんな思いを抱えながら毎日は続く。 - 版元から一言 - 新型コロナウイルス、東京オリンピック、元首相銃撃事件。著しい社会変化があった3度の夏、それでも生活は続いていく。迷い、怒り、喜び、苦しみ、考え、先へ向かう、注目のフリーランスライターによる3年間の日記です。 著者は、その日の気分や政治への違和感、夕飯の献立を日記に同時に記します。そうすることで、「ある属性が都合よく漂白されるのを拒み、ある属性だけに還元されることから逃れようとしている」と語ります。セクシャルマイノリティである著者の日々の記録は、差別や偏見、社会構造や政治の歪みを、あらためて感じさせる内容です。 - 著者プロフィール - 小沼理 (オヌマオサム) (著/文) 1992年富山県生まれ、東京都在住のライター。人文系の著者インタビューなどを中心に行う。Webマガジン「アパートメント」管理人。
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『百年の孤独』を代わりに読む | 友田とん
¥1,298
早川書房 2024年 ハヤカワ文庫NF ソフトカバー 360ページ 文庫判 縦157mm 横106mm 厚さ17mm - 内容紹介 - ガルシア=マルケス『百年の孤独』を読者の代わりに読む「私」。ところがすぐに脱線し始めて……話題を呼んだ自主制作本を文庫化
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共感と距離感の練習 | 小沼 理
¥1,760
柏書房 2024年 ソフトカバー 208ページ 四六判 - 内容紹介 - 「わかるかも」が口癖のあなたへ。 【内容】 初めて物語の中に私に似た人を見つけた日のこと、東京とソウルで参加したプライドパレードのこと、日本の同性婚訴訟やパートナーシップ制度のこと、同じ時代を生きている/生きていたクィアのこと―― 誰かの痛みや怒りや悲しみが、まるで自分のことのように思えることがある。乳化した水と油のように混ざり合ってしまう。だけどあなたはあなたでしかなく、私は私でしかない。他者同士である私たちが、重なったりずれたりしながらともにあるための、「共感」と「距離感」。その可能性と難しさについて。 「わかる」なんて簡単に言えない、「わからない」とも言いたくない。ゲイとして、シスジェンダーの男性として、著者が日常の中で直面したエピソードを描きます。 “共感も距離感もうまく使いこなせない。だからこそこだわってしまうのだろう。なんとか組み合わせて、練習しながら上手になっていきたい。混ざり合った世界と分離した世界を同時に生きるように。言葉にならないものと言葉を重ねて一つにするように。” ――「はじめに」より 自分と他者、規範と逸脱、個人的なことと社会的なこと……様々なものごとのあわいにとどまり、揺れながら考えるエッセイ集。 目次 はじめに――わからないけどわかるよ 重なりと異なり 別の複数の色 善意 「男性的」 空気と柔軟体操 水の中 アップスパイラル シーンが救う もっと大きな傘を ありあまるほどの ここにいない誰か 無関心について 安全なファンタジー 未来がない気分 男性への愛(切り裂いて) プレイリスト いつかどこかで あるいは おわりに――無防備になる - 著者プロフィール - 小沼 理 (オヌマ オサム) (著/文) 1992年、富山県出身、東京都在住のライター・編集者。著書に『1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい』(タバブックス)。本書がはじめてのエッセイ集となる。
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熊楠さん,世界を歩く. 冒険と学問のマンダラへ | 松居 竜五
¥2,530
岩波書店 2024年 ソフトカバー 226ページ 四六判 縦188mm 横129mm 厚さ21mm - 内容紹介 - 幼い頃から和歌山の森と図鑑に遊び、アメリカでの学生生活やキューバでの冒険旅行後に渡英。大英博物館に通いつめ、帰国後は粘菌などの研究や、故郷の森の保護運動で知られる南方熊楠。残された豊富な一次資料から、「楽しさ」に満ちたその生涯を再現し、天才・奇才として捉えられがちな熊楠像を覆す、画期的評伝! 目次 はじめに 宇宙の「楽しさ」を求めた人 南方熊楠略年譜 第1部 熊楠さん、図鑑の世界に目覚める 1 「神童クマグス」、江戸の図鑑に夢中になる 2 『和漢三才図会』を生涯の友とする 3 図鑑をフォークロアとして読み替える 4 博物学をこころざし、ダーウィンの進化論に驚嘆する 5 新時代の上野で動物園と博物館に通う 第2部 熊楠さん、世界の森をかけめぐる 6 アメリカに向かう船上でワニについて聞く 7 サンフランシスコでニワトリの鳴き声に悩まされる 8 森と湖に囲まれたアナーバーで人生について考える 9 ミシガン大学博物館で奇妙な動物の剝製を観察する 10 フロリダ、キューバへの冒険の旅に出る 第3部 熊楠さん、生きものを見つめる 11 ロンドン動物園で生命に対する思索を深める 12 ピーター・ラビットの作者とニアミスする 13 那智の森の奥深くへわけ入る 14 「南方マンダラ」の構想からエコロジー思想にたどり着く 15 昭和天皇との出会い。そして田辺で生涯を終える 参考文献 おわりに - 著者プロフィール - 松居 竜五 (マツイ リュウゴ) (著/文) 松居竜五(まつい・りゅうご) 1964年京都府生まれ.東京大学大学院総合文化研究科博士課程中退.論文博士(学術).東京大学教養学部留学生担当講師,ケンブリッジ大学客員研究員などを経て,現在,龍谷大学国際学部教授,南方熊楠顕彰館館長. 著書に『南方熊楠,一切智の夢』(朝日新聞社.小泉八雲賞奨励賞受賞),『南方熊楠――複眼の学問構想』(慶應義塾大学出版会.角川財団学芸賞受賞),共著書に『達人たちの大英博物館』(講談社選書メチエ),共編著書に『南方熊楠大事典』(勉誠出版)など,共訳書に『南方熊楠英文論考[ネイチャー]誌篇』『南方熊楠英文論考[ノーツアンド クエリーズ]誌篇』(集英社)がある.
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パチンコ 上下セット | ミン・ジン・リー, 池田 真紀子(翻訳)
¥2,112
文藝春秋 2023年 文春文庫 ソフトカバー 上巻 384ページ / 下巻 384ページ 文庫判 - 内容紹介 - 日韓併合下の釜山沖の小さな島、影島。下宿屋の娘、キム・ソンジャは、粋な仲買人のハンスと出会い、恋に落ちて身籠るが、実はハンスには妻子がいた。妊娠を恥じる彼女に牧師のイサクが手を差し伸べる。二人はイサクの兄が住む大阪の鶴橋へ。しかし過酷な日々が待ち受けていた――。全世界で共感を呼んだ大作、ついに文庫化!
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しをかくうま | 九段 理江
¥1,650
文藝春秋 2024年 176ページ 四六判 - 内容紹介 - 第45回野間文芸新人賞受賞作。 疾走する想像力で注目を集める新芥川賞作家が描く、馬と人類の壮大な歴史をめぐる物語。 太古の時代。「乗れ!」という声に導かれて人が初めて馬に乗った日から、驚異の物語は始まる。この出逢いによって人は限りなく遠くまで移動できるようになった――人間を“今のような人間”にしたのは馬なのだ。 そこから人馬一体の歴史は現代まで脈々と続き、しかしいつしか人は己だけが賢い動物であるとの妄想に囚われてしまった。 現代で競馬実況を生業とする、馬を愛する「わたし」は、人類と馬との関係を取り戻すため、そして愛する牝馬<しをかくうま>号に近づくため、両者に起こったあらゆる歴史を学ぼうと「これまで存在したすべての牡馬」たる男を訪ねるのだった――。
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その猫の名前は長い | イ・ジュへ, 牧野 美加(翻訳), 大阿久 佳乃(解説)
¥2,310
里山社 2024年 ソフトカバー 288ページ 四六判 縦188mm 横127mm 厚さ16mm - 内容紹介 - 「何がしきりにわたしたちを臆病者にさせるのだろう。わたしたちを絶えず孤立させ、ああはなりたくないと人に思わせ、軽蔑されやすい顔に変貌させ、何かを証明しなければと常にみずからを追い立てる。この病の名は何だろう。」(本文より) 子育てと家事の合間を縫って育んだ中年女性の友情に入る亀裂を描く「今日やること」、妻の外見を愛し内面を見ない夫の視点で描く「夏風邪」、女の惨めな学生時代を美化して記憶し同級生の男が映画を撮る「水の中を歩く」、冴えない女性社員が先輩社員に抱く淡い恋心を描く「その猫の名前は長い」など、生活のリアリティが滲み出る繊細な物語9作品。 主婦をしながら英米文学の翻訳家となり、アドリエンヌ・リッチやエリザベス・ビショップらに影響を受け小説を書いた著者の初邦訳。牧野美加の美しい翻訳文、大阿久佳乃による英米文学作品と本書の関わりを解き明かす大充実の解説(20P)付。 海が隔てる隣同士の国に暮らすあなたはわたしじゃない、でも、あなたはわたしでもある。社会の常識や家父長制に押しつぶされる痛み、その中でだれかと視線を交わし手を取りあうことの心強さとありがたさ。確かな細部と繊細な記憶を積み重ね描かれる本書は、正気を保つのが難しい世界に生きるわたしたちのための1冊だと思う。 小山田浩子(小説家) 「わたしたち」は単純ではない。それどころか、差異を抑圧する危険性もはらむ。「わたしたち」にならなくては「あいだの差異」をなくすことはできないが、「内なる差異」を抑圧しないため、「内なる差異」を意識的に見つめることを怠ってはならない。リッチも、ビショップも、イ・ジュヘも私もそれぞれの「位置」をもつ。差異を探るため、そしてその上でなぜ「わたしたち」を「わたしたち」と呼べるのか、呼ばなければならないかを見極めるため、彼女たちを読まなくてはならず、知識以上のものに面と向かわなくてはならない。 大阿久佳乃(解説より) - 目次 - 「今日やること」 「誰もいない家」 「夏風邪」 「わたしたちが坡州に行くといつも天気が悪い」 「その猫の名前は長い」 「水の中を歩く人たち」 「花を描いておくれ」 「春のワルツ」 「その時計は夜のあいだに一度ウインクする」 作家のことば 訳者あとがき 解説「わたしたち」になることに関する覚え書き(大阿久佳乃) - 著者プロフィール - イ・ジュへ (イ ジュヘ) (著/文) 読み、書き、訳す。2016年、チャンビ新人小説賞を受賞し、作家としての活動を始めた。著書に『すもも』『涙を植えたことのあるあなたへ』『ヌの場所』『季節は短く、記憶は永遠に』〈いずれも未邦訳〉、訳書に『わたしの本当の子どもたち』〈原題:My Real Children〉、『われわれ死せる者たちが目覚めるとき』〈原題:Essential Essays: Culture, Politics, and the Art of Poetry〉などがある。 牧野 美加 (マキノ ミカ) (翻訳) 968年大阪生まれ。釜慶大学言語教育院で韓国語を学ぶ。第一回「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」最優秀賞受賞。訳書にキム・ウォニョン『希望ではなく欲望―閉じ込められていた世界を飛び出す』(クオン)、キム・チョヨプ、キム・ウォニョン『サイボーグになる―テクノロジーと障害、わたしたちの不完全さについて』(岩波書店)、ジェヨン『書籍修繕という仕事:刻まれた記憶、思い出、物語の守り手として生きる』(原書房)、ファン・ボルム『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』(集英社)など。 大阿久 佳乃 (オオアク ヨシノ) (解説) 2000年三重県生まれ。文筆家。同志社大学神学部在学中。2017年より詩に関するフリーペーパー『詩ぃちゃん』を発行しはじめる。著書に『のどがかわいた』(岬書店、2020年)、『パンの耳1 ~10(ZINE)』(自費出版、2021年)『じたばたするもの』(サウダージ・ブックス、2023年)。著作の中心的テーマは、文学とともに生きる/生活すること。現在の文学的関心は、アメリカ・クィア詩。
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味がある。 | マメイケダ
¥2,530
HeHe 2024年 ソフトカバー 112ページ B6変形 - 内容紹介 - 『おなかがへった』や『えきべんとふうけい』などの絵本、書籍や雑誌等の装画や挿絵などのイラストレーション、食品のパッケージイラスト等、 いま大注目のイラストレーター・画家、マメイケダがライフワークのように描き続けるごはん日記。 待望の増補改訂復刻版! ごはんを前にした時のよろこびと、食べることそのものの衝動をダイナミックに伝える筆致。 絵日記には、マメさんのちょっとした気づきや雑感が添えられ、お店のカードや商品ラベルが貼りこまれている時もあります。 さまざまな時間、場所、思い出とともに膨れ上がった日記帳をそのまま書籍に落とし込んだような装丁は、 日記という個人の日々の記録でありながら、それをみる私たちにとっては 気のおけない友人がすすめてくれるなによりのグルメ情報のようです。 親しみあふれる美味しいほほえみブック。 本文より 〈ロールケーキ〉 ロールケーキって、ほんとしみじみ「の」だなぁ。 コーヒーを淹れる時も「の」の字、 結んだ袋をほどきやすくする結び方も「の」の字に結ぶ。 「の」ってなんかすごい。急に好きだ。 - 著者プロフィール - マメイケダ (マメイケダ) (著/文 | イラスト) 1992年島根県出雲市生まれ。主に画業。2011年高校卒業後、株式会社大惣に就職、惣菜調理の仕事をする。 職場でPOP作りのため料理の絵を描き始める。2013年秋頃退職し、本格的に絵を描くため上阪。 働きながら、絵話塾(神戸)などに通う。2015年HBファイルコンペvol. 26 副田高行特別賞、vol. 27仲條正義大賞を受賞。 展覧会での作品発表をはじめ、書籍『まずはこれ食べて』(原田ひ香、双葉文庫)、『味なメニュー』(平松洋子、新潮文庫)、 『ウマし』(伊藤比呂美、中公文庫)の装画や、 雑誌「Hanako」「山と渓谷」「暮しの手帖」「dancyu」で挿絵、他に食品のパッケージイラストなどを手掛ける。 絵本に『おべんとう なにいれよう?』(ぺぱぷんたすBOOK)『おなかがへった』(WAVE出版)『えきべんとふうけい』(あかね書房)がある。 好きな食べ物は卵。神戸市在住。
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地上で起きた出来事はぜんぶここからみている | 河野 聡子
¥2,200
いぬのせなか座 2024年 いぬのせなか座叢書 ソフトカバー 106ページ B5変形判 縦182mm 横182mm 厚さ10mm - 内容紹介 - [いぬのせなか座叢書第2弾] 詩を中心に、パフォーマンスやインスタレーションの制作、雑誌・アンソロジーの編集・発行など、多彩な活動を展開しているヴァーバル・アート・ユニット「TOLTA」。その代表である河野聡子による詩=テキストを、山本浩貴+h(いぬのせなか座)が編集・デザインした、大胆かつ軽やかな詩集。 挟み込み小冊子として、いぬのせなか座メンバーによる本詩集をめぐる座談会が付属。 作品の細密分析を中心に、時に編集・デザインの制作意図の開陳とその有効性の検証もはさみつつ、約40日、4万字に及ぶ議論が展開される。 刊行時、Webにて、町屋良平や郡司ペギオ幸夫、大岩雄典など様々なジャンルの作り手・書き手による、本詩集を発端としたテキスト・作品が掲載されたことでも話題をよんだ。 言語表現を中心に共同制作や複数ジャンルの越境を模索する制作集団・出版版元「いぬのせなか座」の活動の、核となる部分を凝縮した詩集。待望の復刊。 [栞=小冊子] いぬのせなか座 座談会5 2017/05/21→2017/07/02 『地上で起きた出来事はぜんぶここからみている』をめぐって 判型:175mm✕155mm 28ページ(40000字) - 目次 - 生物 紙飛行機 家 歩く人 クマの森 専用 一八〇秒 アレンジメント/シンポジウム 生物 代替エネルギー推進デモ マンダリン・コスモロジー ハロー ブルーブック Cītlallohtihca(星々のあいだに立つ) 星ぼしのあいだに立つ ハンド 地上 アンダーグラウンド・テレビジョン とおくから星がふる - 著者プロフィール - 河野聡子 (コウノサトコ) (著) 1972年福岡県北九州市生まれ。詩人、書評家。ヴァーバル・アート・ユニットTOLTA代表。刊行詩集に『時計一族』(思潮社)『Japan Quake Map―Sapporoによるヴァリエーション』『WWW/パンダ・チャント』(私家版) 『やねとふね』(マイナビ出版)『地上で起きた出来事はぜんぶここからみている』(いぬのせなか座)。書評や論考、エッセイを文芸誌、新聞等に寄稿。実験音楽のユニット「実験音楽とシアターのためのアンサンブル」でも活動している。
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セザンヌの犬 | 古谷 利裕
¥1,980
いぬのせなか座 2024年 いぬのせなか座叢書 ソフトカバー 304ページ 四六変形判 縦163mm 横111mm 厚さ20mm - 内容紹介 - いくつものときとばしょが 生きものや物たちのもとで折りたたまれてはひらかれ だれもしらない思弁的な時空間が この体のなかに降りてくる --------------------- 画家・評論家など多方面で活躍する著者が「自分のすべてがここに入っている」と語る、小説の新たな可能性を示す驚くべき初小説集。 連続講座、展覧会の開催にあわせ、ついに刊行。 『群像』『早稲田文学』『ことばと』などで発表された作品に、書き下ろしを加えた計7作品を収録。 編集・デザインは、古谷の小説に大きな影響を受けてきたと語る「いぬのせなか座」山本浩貴が担当。 目次 「ふたつの入り口」が与えられたとせよ ライオンと無限ホチキス セザンヌの犬 グリーンスリーブス・レッドシューズ ライオンは寝ている 右利きと左利きの耳 騙されない者は彷徨う - 著者プロフィール - 古谷利裕 (フルヤトシヒロ) (著) 1967年生まれ。画家、評論家。 1993年東京造形大学卒業後、画家として展覧会多数。 評論家としても、美術・小説・映画・アニメなど特定ジャンルに限らない活動を展開。『世界へと滲み出す脳』『人はある日とつぜん小説家になる』『虚構世界はなぜ必要か? SFアニメ「超」考察』など著書多数のほか、2010年~2019年には「東京新聞」美術評を、2020年には「文學界」新人小説月評を担当。 1999年11月にはWeb上にて「偽日記」を開始。以降24年以上にわたって連日更新されている同ページは、ひとりのアーティストの長期的な日記として、また日本の芸術・思想の特異なアーカイブとして、小説家・保坂和志をはじめ多くの人々から高く評価されている。 近年は「社会的チートの撲滅&死の恐怖からの非宗教的解放」をテーマとする集団「VECTION」の主要メンバーとしても活動。 2024年1月からは連続講座 「未だ充分に尽くされていない「近代絵画」の可能性について(おさらいとみらい)」を、6月には個展「bilocation/dislocation」を開催。本小説集はこれらと関連して企画・制作された。
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翔ぶ女たち | 小川 公代
¥1,760
講談社 2024年 ソフトカバー 224ページ 四六判 - 内容紹介 - 明治から昭和にかけて活躍した小説家・野上弥生子。 語学力や教養やケア実践を、彼女はその先駆的な仕事にどう活かしたのか。 「ケア」をテーマに研究を続けてきた英文学者の「私」が弥生子の人生に惹かれた理由とは。 文学、映画、アニメ、音楽……現代の表現者たちの言葉をつなげて語る斬新な評論。 ロングセラー『ケアの倫理とエンパワメント』『ケアする惑星』著者の最新作。 【目次】 1章 言葉の森を育てた女たち――松田青子と野上弥生子 2章『エブエブ』と文学のエンパワメント――辻村深月と野上弥生子 3章 魔女たちのエンパワメント――『テンペスト』から『水星の魔女』まで 4章 ザ・グレート・ウォー――女たちの語りに耳をすます - 著者プロフィール - 小川 公代 (オガワ キミヨ) (著/文) 1972年和歌山生まれ。上智大学外国語学部教授。ケンブリッジ大学政治社会学部卒業。グラスゴー大学博士課程修了(Ph.D.)。専門は、ロマン主義文学、および医学史。著書に、『ケアの倫理とエンパワメント』『ケアする惑星』(ともに講談社)、『世界文学をケアで読み解く』(朝日新聞出版)、『ゴシックと身体ーー想像力と解放の英文学』(松柏社)、『文学とアダプテーション――ヨーロッパの文化的変容』『文学とアダプテーション2――ヨーロッパの古典を読む』(ともに共編著、春風社)、『ジェイン・オースティン研究の今』(共著、彩流社)、訳書に『エアスイミング』(シャーロット・ジョーンズ著、幻戯書房)、『肥満男子の身体表象』(共訳、サンダー・L・ギルマン著、法政大学出版局)などがある。
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平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版 | 宮崎 智之
¥968
SOLD OUT
ちくま書房 2024年 ちくま文庫 ソフトカバー 288ページ 文庫判 - 内容紹介 - 注目の文芸評論家、エッセイストによる等身大の言葉で日常を鮮やかに描いた文章集。増補を加えて待望の文庫化。解説 山本貴光・吉川浩満 退屈な日常は、著者にかかると刺激的な世界へ変わる。 注目の書き手によるエッセイ集、待望の文庫化。 真の意味で優しい人が書いた、読んでいるだけで気持ちがどんどん落ち着いていく本です。吉本ばなな 山本貴光・吉川浩満によるW解説を収録 アルコール依存症、離婚を経て、取り組んだ断酒。自分の弱さを無視して「何者か」になろうとするより、生活を見つめなおし、トルストイとフィッシュマンズなどに打ちのめされながらも、すでにあるものを感じ取るほうが人生を豊かにできると確信する。様々な文学作品を引きながら、日常の風景と感情の機微を鮮やかに言葉にする。新たに3篇を加え増補新版として文庫化。 解説 山本貴光・吉川浩満 カバーデザイン 小川恵子(瀬戸内デザイン) カバー作品 勝木杏吏 作品撮影 森田直樹 - 目次 - 1章 ぼくは強くなれなかった 打算的な優しさと「〇を作る理論」 「何者か」になりたい夜を抱きしめて 僕は強くなれなかった ありのままの世界 平熱のまま、この世界に熱狂したい 2章 わからないことだらけの 世界で生きている 朝顔が恋しているのは誰? 不快だけど大切なことを教えてくれた作品 私はそうは思いません 35歳問題 わからないことだらけの世界で生きている 3章 弱き者たちのパレード 二瓶さんとの雅な蹴鞠 舌の根が乾かないおじさん ヤブさん、原始的で狂おしい残念な魅力 紳士は華麗にオナラする 肉と人と醜いアヒルの子 中田英寿に似た男 4章 弱くある贅沢 「細マッチョ」をめぐる冒険 クローゼットの中の時間 弱くある贅沢 僕の好きだった先輩 補章 川下への眼 一生懸命で寂しい人 八〇〇回目くらいの話 川下への眼 あとがき 文庫版あとがき 飄然と、弱い自分を語ることから始める 山本貴光 全身随筆家 吉川浩満 - 著者プロフィール - 宮崎 智之 (ミヤザキ トモユキ) (本文) 1982年、東京都生まれ。文芸評論家、エッセイスト。著書に『モヤモヤの日々』(晶文社)、『中原中也名詩選』(田畑書店)、共著に『吉田健一ふたたび』(冨山房インターナショナル)、『つながる読書─10代に推したいこの一冊』(ちくまプリマー新書)などがある。「文學界」にて2024年1月?12月まで「新人小説月評」を担当。「週刊読書人」など多数の媒体に寄稿する。
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土と土が出会うところ | 町田 泰彦
¥2,750
shushulina publishing 2021年 ハードカバー 128ページ 148mm x 210mm - 内容紹介 - 「変化はゆっくりな方がいい、 誰の記憶も頼りにしないくらいゆっくりな方が」-本文より 暮らしの根っこにあるものはなんなのか。 書くことと家を建てること、定住と旅、 現実と夢との境を時に滲ませながら、 土を捏ねるように動き続けることばとからだ。 著者による絵・写真を含む全7章 Ⅰ 水と水が出会うところ Ⅱ 喫茶ウェリントン Ⅲ 星日月(ほしひーつき) Ⅳ ポポウのみた夢 Ⅴ いつもの場所 Ⅵ みずろく Ⅶ 黒猫のようなもの 白猫のようなもの 著者プロフィール 1975年生まれ。幼少期を四国やニュージーランドといった自然が豊かな都市で過ごす。2004年小栗康平監督作品『埋もれ木』に美術助手として参加したことをきっかけに、栃木県益子町に居を移す。文筆、映像、建築土木作業などを通して、生活のための表現を実践している。 主な作品 『スターネット・リコード〈益子/建築〉』『ハトを、飛ばす〈文章〉』『ハトを、飛ばす〈映像〉』『コモンズカフェ〈遠野/建築〉』、『セレンディップ〈茂木/建築〉』、『骨壷、破片〈文章〉』『U邸〈烏山/建築〉』、『釜滝の家〈和歌山/建築〉』 作家ウェブサイト www.malplan.com
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フランス語圏カリブ海文学小史 : ネグリチュードからクレオール性まで | 中村 隆之
¥880
風響社 2011年 ブックレット〈アジアを学ぼう〉別巻 ソフトカバー 66ページ A5判 - 内容紹介 - 「われわれは自分たちがクレオールであると宣言する」文化の混淆性を積極的に肯定した『クレオール礼賛』(1989)をはじめ、主要な作品を概観。マルティニックなどフランス海外県の現代文学の歩みを紹介。 目次 1 ネグリチュードの誕生-1920年代‐1940年代(前史 『黒人世界評論』『正当防衛』『黒人学生』 ほか) 2 脱植民地化運動の時代-1940年代‐1950年代前半(『プレザンス・アフリケーヌ』 『植民地主義論』と『黒い皮膚・白い仮面』 ほか) 3 文学と独立-1950年代後半‐1960年代(二つの黒人作家芸術家会議 一九五九年一二月事件 ほか) 4 クレオール文学という企図-1970年代‐1980年代(アンティーユ性 クレオール語文学 ほか)