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災間に生かされて|赤坂 憲雄
¥2,090
亜紀書房 2022年 ソフトカバー 240ページ 四六判 - 内容紹介 - 〈陸と海、定住と遊動、生と死、虚構と現実、セクシュアリティ…〉 ──境界線が溶け合うとき硬直した世界に未来の風景が立ち上がる。 ---------------------- 人は避けがたく、ほんの気まぐれな偶然から、ある者は生き残り、ある者は死んでゆくのです。巨大な災害のあとに、たまたま生き残った人々はどんな思いを抱えて、どのように生きてゆくのか。思えば、それこそが人間たちの歴史を、もっとも深いところから突き動かしてきたものかもしれません。(本文より) ---------------------- いくつもの不条理なできごとの底知れぬさみしさを抱えて、それでもなお生きるための思考。 目次 第一章……しなやかにして、したたかに。汝の名は 第二章……東北から、大きなさみしさを抱いて 第三章……渚にて。潟化する世界のほとりで 第四章……民話という、語りと想像力のために 第五章……遊動と定住のはざまに、生きよ - 著者プロフィール - 赤坂 憲雄 (アカサカ ノリオ) (著/文) 1953年、東京生まれ。学習院大学教授。専攻は民俗学・日本文化論。 『岡本太郎の見た日本』でドゥマゴ文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞(評論等部門)受賞。 『異人論序説』『排除の現象学』(ちくま学芸文庫)、『境界の発生』『東北学/忘れられた東北』(講談社学術文庫)、『岡本太郎の見た日本』『象徴天皇という物語』(岩波現代文庫)、『武蔵野をよむ』(岩波新書)、『性食考』『ナウシカ考』(岩波書店)、『民俗知は可能か』(春秋社)など著書多数。
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沖縄文化論 : 忘れられた日本|岡本 太郎
¥755
中央公論新社 1996年 中公文庫 ソフトカバー 261ページ 文庫判 - 内容紹介 - 苛酷な歴史の波に翻弄されながらも、現代のわれわれが見失った古代日本の息吹きを今日まで脈々と伝える沖縄の民俗。その根源に秘められた悲しく美しい島民の魂を、画家の眼と詩人の直感で見事に把えた、毎日出版文化賞受賞の名著。 目次 沖縄の肌ざわり 「何もないこと」の眩暈 八重山の悲歌 踊る島 神と木と石 ちゅらかさの伝統 結語 神々の島久高島 本土復帰にあたって
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ジャンパーを着て四十年|今和次郎
¥946
SOLD OUT
筑摩書房 2022年 ちくま文庫 ソフトカバー 288ページ 文庫判 - 内容紹介 - 世間に溢れる「正装」「礼儀」「エチケット」、形ばかりになってはいないか? 「考現学」の提唱者によるユーモア炸裂の服装文化論集。解説 武田砂鉄 名著復刊!「考現学」的ファッション論 ユーモア炸裂、人間生活観察 結婚式でも大使の前でも、いつでもジャンパー。柳田國男に破門され、「考古学」ならぬ「考現学」を生み出した今和次郎。戦前戦後の日本社会を市中から観察してきた著者がユーモアたっぷりに服装文化の今と昔を語りだす。“服”とは一体なにものか? 世間に溢れる“正装”“礼儀”“エチケット”とは? “装う”という行為の意味は? 時代を超える隠れた名著、待望の復刊! 解説 武田砂鉄 目次 一、ジャンパーを着て四十年 1 着出したきっかけ/2 世間とのまさつ/3 先輩・同僚・学生・妻・子供たちは/4 演壇に立つと/5 ジャンパーの定義/6 冠婚葬祭には/7 宮様からの招きに/8 国際的パーテーに 二、礼儀作法の由来 1 作法の探求/2 礼儀作法という言葉/3 作法のいろいろなスタイル/4 日本の古代の礼儀作法/5 武家による破壊と建設/6 近世礼法の確立/7 明治の国粋主義という錯覚/8 世界大戦による改革/9 カトリック系のエチケット/10 プロテスタントと作法 三、きものの伝統 1 歴史のあら筋/2 哀感をそそる衣裳/3 外人に理解してもらうのは むずかしい/4 伝統という名でおどらされた明治時代/5 現実の問題 四、服装改良の歩み 1 改良とは/2 文化生活とショート・スカート/3 開襟シャツの提唱/4 第二次大戦前後 五、ユニホームとは 1 服装は魔物だ/2 田舎娘・銀座令嬢・婦人警官/3 ユニホームのいろいろ/4 警官と駅員で実験/5 有職故実の世界/6 儀礼的束縛で/7 士農工商の身分制から/8 明治以来の官員・軍人の礼服と制服/9 背広服と学生の制服/10 今日の企業経営学とユニホーム/11 インダストリアル・コマーシャル・シンボリカル 六、地方にみる洋服姿 1 農村婦人たち/2 戦災をのがれた都市の人々の姿 七、感覚か生活か 1 コマーシャル・アートの座席/2 生活行動と個性 八、流行の価値を探れば 1 益なくて害ありという思想/2 健康の点、家計の点からは/3 だが、流行は現代に生きる人々のもの 九、歓楽を求めるための衣裳〔古代エジプト〕 1 過去時代の服飾を味わう心/2 神像の化粧と衣裳/3 司祭・王の装い/4 歓楽にひたる女性の装い 十、神に近づくための服装〔初期キリスト教〕 1 教養高きローマの紳士のなやみ/2 信仰と服装/3 貧しい人々の服 装 十一、人づくりの哲学 1 試験のない学校/2 入学考査は/3 思い出/4 湧き立つ世論/ 5 知能的底辺の問題/6 「一日受刑者」となってみて/7 囲いの中だけにヒバリが巣を/8 そして刑務所と学校と 十二、大衆に直面して 1 被指導者の群れ/2 その性格はさまざま/3 生活以前の問題をどうするか/4 欲求のコントロール/5 上野と浅草/6 インテリと大衆とは反発する/7 生活指導者としてのインテリ 十三、家庭科にもの申す 1 門外漢として/2 倫理と技術と金/3 慣習の分析と流行の認識/ 4 地域・職域の問題/5 家庭と家庭の外との関連/6 その要点 十四、服装への発言 ショーかドラマか/造形美と服装美/服装行為/男性たちの服装/上品とか下品とか/結婚披露の会で演説/美しさと気楽さ/洋装か和装か/スタイルの定着/衣服と家計/衣料費一兆円/ソ連の流行誌/アメリカの服装/伝統とは/風俗という言葉/流行企画/家政学と被服学/家庭科はどこへいく/服装研究と民族学/民俗服をみる目/服装は道路と関係がある/近代的式典/衣服と機械/宇宙服とデザイン界/量産服への着眼/昔と今とこれからと/戦後の服装界/リアルとロマン あとがき 解説 TPOをわきまえない 武田砂鉄 - 著者プロフィール - 今 和次郎 (コン ワジロウ) (著/文) 1888年、青森県弘前市生まれ。建築学者、風俗研究家。1912年、東京美術学校図案科卒業。17年頃から郷士会へ参加、柳田国男らと農村・民家の調査を行う。20年~59年まで早稲田大学教授。23年の関東大震災後、吉田謙吉とともに「バラック装飾社」や「考現学」を始める。その後の研究範囲は服飾・風俗・生活・家政にまで及んだ。73年没。
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ひどい民話を語る会|京極 夏彦, 多田 克己, 村上 健司, 黒 史郎
¥1,650
KADOKAWA 2022年 ソフトカバー 176ページ 四六判 - 内容紹介 - 「囲炉裏端にはコンプライアンスもポリティカル・コレクトネスもないんです。そして――。ひどい民話が誕生するんです」京極夏彦(「はじめに」より) 「桃太郎」の冒頭でお爺さんは柴刈りに、お婆さんは洗濯に行く。その理由とは……? メジャーな昔話の陰には数々の「ひどい民話」が埋もれている。 妖怪を愛好する面々が縦横無尽に語る、知られざる民話の世界。 全国各地から選りすぐりの民話を紹介する、伝説的トークイベント「ひどい民話を語る会」が、満を持して書籍化! 学問としても芸術としても敬遠され、表舞台からパージされてきた荒唐無稽な口承文芸「ひどい民話」は、語りのエンターテインメントだ。 ※下品な話が苦手な方はご遠慮ください。 目次 はじめに 京極夏彦 第一部 京極夏彦、多田克己、村上健司 第二部 京極夏彦、多田克己、村上健司、黒 史郎 第三部 京極夏彦、黒 史郎 おわりに 京極夏彦 - 著者プロフィール - 京極 夏彦 (キョウゴク ナツヒコ) (著/文) 1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。 多田 克己 (タダ カツミ) (著/文) 東京都出身。妖怪研究家。著書に、妖怪絵師が遺した画からその意味を解読する『百鬼解読』がある。京極夏彦との共著に『暁斎妖怪百景』『妖怪図巻』、京極夏彦・村上健司との共著に『妖怪馬鹿』『妖怪旅日記』など。カルチャーセンターにて妖怪学に関する講座の講師を務める。 村上 健司 (ムラカミ ケンジ) (著/文) 1968年、東京都生まれ。妖怪探訪家、フリーライター。幼い頃から妖怪に興味を持ち、妖怪伝承地を取材。水木しげるとの共著『日本妖怪大辞典』、京極夏彦・多田克己との共著『妖怪馬鹿』『妖怪旅日記』をはじめ、『妖怪事典』『日本妖怪散歩』『手わざの記憶』『怪しくゆかいな妖怪穴』『妖怪ひみつ大百科』『がっかり妖怪大図鑑』など著書多数。 黒 史郎 (クロ シロウ) (著/文) 1974生まれ。2006年「夜は一緒に散歩しよ」で第1回『幽』怪談文学賞長編部門大賞を受賞しデビュー。主な小説作品に「幽霊詐欺師ミチヲ」シリーズ、「怪談撲滅委員会」シリーズ、『未完少女ラヴクラフト』『ラブ@メール』『いちろ少年奇譚』『童提灯』『実話怪談 黒異譚』『ムー民俗奇譚 妖怪補遺々々』『ボギー 怪異考察士の憶測』『かくされた意味に気がつけるか? 3分間ミステリー』など多数。
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混血列島論 ポスト民俗学の試み|金子遊
¥3,300
フィルムアート社 2018年 ハードカバー 288ページ 四六判 - 内容紹介- わたしたちは混血している。 サントリー学芸賞受賞の批評家が、文学、映像、フォークロア研究を交差させながら、太平洋の島嶼という視点で日本列島(ヤポネシア)に宿る文化の混淆性を掘り起こす、新たな民俗学。 サハリンから蝦夷、沖縄、台湾まで。 異なる文化の邂逅を追って。 批評、映像、民族学といった分野を越境しながら、さまざまな著作や翻訳を発表している映像作家・批評家の金子遊。 いまもっとも注目されている気鋭の書き手の最新著作にして重要論集がついに刊行。 小説家の島尾敏雄は、日本列島から南西諸島にかけての島々を「ヤポネシア」と呼び、日本国ではなく日本列島として捉えようとした。 そして、民俗学者の谷川健一は、この「ヤポネシア」全体に見られる文化や民俗を、朝鮮半島や大陸、そして台湾、フィリピン、インドシナやマレーなどの半島、インドネシアの島々との関係で考えようとした。 日本列島や南西諸島を構成する島々は、最初から「日本」であったわけではない。さまざまな種族が、さまざまな文化様式や時代性をもってまだら状に混在し、それぞれの地方における歴史は独自で異質な時間の系列を進んできた。 それが列島のヤポネシアという本来の姿であり、混淆的である日本列島人や「混血列島」のあるがままの姿なのである。 谷川健一の思想にみちびかれて、ヤポネシアとしての日本に、さまざまな異質性と重層性をはらんだ、あるがままの「混血列島」を再発見する画期的著作。 目次 prologue 混血列島論 Ⅰ 旧植民地をめぐる旅 対岸のアラベスク―マイケル・タウシグと樺太先住民 首を狩るひと―鳥居龍蔵の台湾フィールド写真 接木の王国―アカ族から新嘗祭へ Ⅱ マイノリティの人類学 悪魔祓い―映像でよみがえるアイヌの呪術 草葺き小屋のイザベラ・バード」 砂川のインディアン―亀井文夫とデニス・バンクス Ⅲ 海人のフォークロア オホーツク 漁る人びと 土本典昭論 交雑する池間島 伊良波盛男の詩 竹富島の神司―神秘体験の聞き書き Ⅳ ヤポネシアに谺する女声 花綵列島の独唱曲 島尾ミホ 大神島の媼亡ければ 戦時の人類学 ルース・ベネディクト Epilogue 巫娼たちの渚 奄美大島 あとがき 前書きなど 多系列で異質な時間を単系列の時間という一本の糸に撚り合わせていったのが「日本」であり、そのために支配層が腐心し、ときによっては、糊塗と偽造をもあえて辞さなかったのが「日本」の歴史である。したがって、撚り合わせた糸をもう一度撚りもどす作業、つまり「ヤポネシアの日本化」を「日本のヤポネシア化」へと還元していく努力が要請される。 まさに谷川健一の思想のひとつが、この「日本のヤポネシア化」であるといえよう。わたしたちが無批判にいだいてしまっている日本列島への歴史認識を、同質的で均等性をもつと幻想される「日本」から、それぞれが異質で不均等でたがいに混ざりあうような島々の連なりである「ヤポネシア」の歴史空間へとシフトしていくのだ。そんなことは本当に可能なのだろうか。たとえば、ヤポネシアをサハリン、千島列島、日本列島、小笠原諸島、マリアナ諸島、南西諸島、台湾などを含む、太平洋上の大きな島弧として見るとき、このヤポネシア世界が世界中のほかの地域と比べても、面積がせまい割には南北の長い緯度にわたって分布していることがわかる。 (本書「prologue 混血列島論」より抜粋) - 著者プロフィール - 金子遊 (カネコ ユウ) (著) 批評家、映像作家、民族学研究。『映像の境域』(森話社)でサントリー学芸賞(文学・芸術部門)を受賞。他の著書に『辺境のフォークロア』(河出書房新社)、『異境の文学』(アーツアンドクラフツ)、『ドキュメンタリー映画術』(論創社)。 編著・共編に『フィルムメーカーズ』『吉本隆明論集』(アーツアンドクラフツ)、『クリス・マルケル』『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィ』(森話社)、『国境を超える現代ヨーロッパ映画250』(河出書房新社)、『アピチャッポン・ウィーラセタクン』(フィルムアート社)、『映画で旅するイスラーム』(論創社)など。共訳にマイケル・タウシグ著『ヴァルター・ベンヤミンの墓標』(水声社)、ティム・インゴルド著『メイキング』(左右社)がある。
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フィールド言語学者、巣ごもる。 | 吉岡 乾
¥1,980
創元社 2021年 ソフトカバー 288ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ20mm - 内容紹介 - 話題書『現地嫌いなフィールド言語学者、かく語りき。』 著者による、待望の新刊! フィールドへ出られなくなったフィールド言語学者が語る、 最高におもしろい言語学のはなし。 * 著者は、大阪の国立民族学博物館に勤務するフィールド言語学者。パキスタンとインドの山奥で話者人口の少ない言語を調査しているが、2020年は世界規模の新型コロナウイルス感染症蔓延でフィールドへ出られなくなり、長らく「巣ごもり」をすることとなった。本書は、著者がそのような生活の中で、日常に溢れる様々な現象を言語学者目線で眺めて考えたことを綴った言語学エッセイ。世界の多種多様な言語の例を用いながら、言語学の諸分野の知識が親切かつユーモアたっぷりに語られる、最高の知的エンターテイメント。イラスト:朝野ペコ * ●「はじめに」より一部抄録 日常には言語が溢れている。言語が溢れていないところは、人間の居ないところだけだ。 言語学者は言語を食い物にしている。言葉を選ばなければ。だが、その事実を改めて大っぴらにしてしまうと、「危機言語が消滅したら、言語多様性が失われたら、マズいよね!」などと言語学者が幾ら声高に、意識高そうに訴えたところで、「我々の餌がなくなりそうだから、皆も気を付けて!」に聞こえてしまって白々しく響きそうだから、言葉遣いには気を配らなければならない。開けっ広げにそんな言いかたをするのは止そう。ちなみにここでの「我々」は聞き手(あなた)を包括していない。聞き手(あなた)を除外した集合である。 もとい、言語学者は言葉に意識を向けがちである。憖(なまじ)っか言語について考える思考基盤の知識を身に纏ってしまっているため、意図的にその意欲を封じ込めない限り、不図した瞬間、耳目に触れた言葉を、言語学的に矯(た)めつ眇(すが)めつ愛で始めてしまったりするのが、言語学者の多数派である。僕はそう信じている。怠惰な生活態度に定評のありそうな僕ですらそうなんだもの、他の研究者たちはもっと熱心に物思いに耽っているに違いあるまい。 言語学メガネを着用すると、日常の暮らしの中に、隠された一面が伏流のように存在しているのが、さもAR(拡張現実)かの如くに見えてくるのだ。 本書は、フィールド言語学者である僕が、高尚さのかけらもなしに、そんなふうに言語学目線で漫ろに思った日々のアレコレを詰め込んだ一冊となっている。フィールド研究者を謳っていながら、世界規模の新型コロナウイルス感染症蔓延でフィールドに出られなくなり、テレワークも推奨されて、二〇二〇年の春以降は長らく「巣ごもり」をすることとなった。そしてそんな妙な事態になったものだから、時間の余裕ができるかもなどと勘違いして、筆のまにまに書き出したのである。……(以下略) 目次 ※制作中のため、変更が生じる可能性があります。 はじめに 言語学概念図 Ⅰ. ▼言語学が何をして何をしないか 言語学がすること/言語学がしないこと/言語学で夢を見られるか ▼文法のない野蛮な言語を求めて ブルシャスキー語と出合った/そして「文法のない言語」に出合った ▼語学挫折法 ちゃんとした発音を身に付ける/毎日欠かさず続ける/本気になれる動機を作る/語学継続法 ▼喋る猫のファンタジー 猫の言語の研究の古今東西/人語を話す猫を科学する ▼差別用語と言葉狩り 言語表現の曖昧さ/協調性と文脈による支えが理解を絞り込む/「差別用語」という幻想 ▼僕は言葉 私の僕と俺/言葉とキャラ/敬語と距離感/言葉とアイデンティティ/言葉は映りの悪い鏡 Ⅱ ▼日常をフィールド言語学する しがない関西弁のメモ書き/動画配信サイトをフィールドワークする/漫画をフィールドワークする/生の言葉を相手取ってこそ ▼【緊急】リモート調査チャレンジ 「 」研究者/リモート調査の試み ▼翻訳できないことば 翻訳と意味/語彙は構造をなしている/言葉による概念の切り分け/言葉にへばり付いたイメージ/各人の頭の中の百科全書 ▼言語が単一起源ではない理由 生物の樹形図と言語/生命体の化石、言語の化石 ▼淘汰されたプロの喩え話 様々な言い換え表現/見立て・擬え/歴々のミームたち ▼無文字言語の表記法を編み出すには 文字のメリットと、個別に書かれ始める無文字言語/文字化することの難しさ/社会的問題と綴り字の癖と/骨折り損は避けたいので ▼例のあのお方 ハリー・ポッターと例のあのお方/区別する音の違いと借用語への姿勢/ハリー・ポッターと個々のキャラ名/外来語に開拓される発音の幅 Ⅲ ▼どうして文法を嫌うのか ルールは類推を可能にし、表現力を爆増させる/新表現を書き散らかす/深掘りで文法は面白くなりだす ▼軽率に主語を言えとか言う人へ 主語とは何か/助詞の「が」が付いたものは?/主語でも主格でもない、主題 ▼意味と空気 意味とは何かを考える/意味以外の意味 ▼語とは何か 通言語的な「語」の定義/「猫が鳴く」の語数は?/音韻的な側面から/分離のし易さ・し難さを考慮する/結局、「語」とは何か ▼ことばの考古学 どうやって言語を手掛かりとするか(一)/どうやって言語の手掛かりを発掘するか/どうやって言語を手掛かりとするか(二) ▼日本語はこんなにも特殊だった 日本語は平凡である/日本語は平凡とも稀有とも言い難い/日本語は稀有である ▼なくなりそうな日本のことば 琉球諸語は日本語とは別の言語なのか/話題に上がることの少ないもう一つの言語/日本の大きい言語から小さい言語まで/冒頭から僕は「日本で話されている言葉」と言っていた おわりに 言語解説 参考文献 - 著者プロフィール - 吉岡 乾 (ヨシオカ ノボル) (著/文) 国立民族学博物館准教授。専門は記述言語学。博士(学術)。1979年12月、千葉県船橋市生まれ。2012年5月、東京外国語大学大学院博士課程単位取得退学。同9月に博士号取得。博士論文の題は「A Reference Grammar of Eastern Burushaski」。2014年より、現職。 大学院へ進学した2003年よりブルシャスキー語の研究を開始し、その後、パキスタン北西部からインド北西部に亙る地域で、合わせて7つほどの言語を、記述的に調査・研究している。著書に『なくなりそうな世界のことば』『現地嫌いなフィールド言語学者、かく語りき。』(ともに創元社)。
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山に生きる人びと | 宮本常一
¥902
河出書房新社 2011年 文庫判 256ページ - 内容紹介 - 山には「塩の道」もあれば「カッタイ道」もあり、サンカ、木地屋、マタギ、杣人、焼畑農業者、鉱山師、炭焼き、修験者、落人の末裔…さまざまな漂泊民が生活していた。ていねいなフィールドワークと真摯な研究で、失われゆくもうひとつの(非)常民の姿を記録する。宮本民俗学の代表作の初めての文庫化。 目次 塩の道 山民往来の道 狩人 山の信仰 サンカの終焉 杣から大工へ 木地屋の発生 木地屋の生活 杓子・鍬柄 九州山中の落人村 天竜山中の落人村 中国山中の鉄山労働者 鉄山師 炭焼き 杣と木挽 山地交通のにない手 山から里へ 民衆仏教と山間文化
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海に生きる人びと | 宮本常一
¥836
河出書房新社 2015年 文庫判 246ページ - 内容紹介 - 宮本常一の傑作『山に生きる人びと』と対をなす、日本人の祖先・海人たちの移動と定着の歴史と民俗。海の民の漁撈、航海、村作り、信仰の記録。 - 著者紹介 - 著者プロフィール 宮本 常一 (ミヤモト ツネイチ) (著/文) 1907年山口県周防大島生まれ。日本各地でフィールドワークを重ね、特に移動する人びとに注目し多くの民俗誌を残す。おもな著書に、『忘れられた日本人』『海に生きる人びと』『家郷の訓』など。1981年没。
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人類堆肥化計画 | 東 千茅
¥1,870
創元社 2020年 ソフトカバー 256ページ 縦178mm 横128mm 厚さ19mm - 内容紹介 - 潔癖文化に抑圧された腐爛の分解世界を、艶やかに解放する実践の書。 ――藤原辰史(歴史研究者) 東千茅氏は、私が文学でやりたかったことを背徳の里山でやりまくっている極悪人だ! ――吉村萬壱(小説家) 生きることの迫真性を求めて、都会から奈良の里山へ移り住んだ若き農耕民が構想する、生き物たちとの貪欲で不道徳な共生宣言。一般に禁欲や清貧といった観念に結び付けられている里山を、人間を含む貪欲な多種たちの賑やかな吹き溜まりとして捉え直し、人間と異種たちとの結節点である堆肥を取り上げながら、現代社会において希釈・隠蔽されている「生の悦び」を基底から問い直す。本当に切実な問いと、根底を目指す思考とを、地についた生活に支えられた文章で表した、読む人に鮮烈な印象を与える第一著作。 「もとよりわたしは何者でもなく、何者かであろうとも思わない。当然、守るべき社会的立場など持ち合わせていない。しかし、だからこそ語りうる言葉があると思う。わたしは何の実績もない無名の落後者に違いないが、土の上では誰でも一匹の生き物なのであり、地位や肩書はかえって邪魔なものだ。わたしがつねに求めているのは、お行儀のいい言説ではなく、「ほんとうに切実な問いと、根底を目指す思考と、地についた方法」だけである。」(あとがきより) 目次 はじめに 登場生物 腐臭を放つ 腐敗の先の里山生活 腐っている里山 氷砂糖も欲しがる 一三八億年の蕩尽 春 堆肥へ 自己堆肥化願望 欣求壌土 生物学的腐敗と道徳的腐敗 腐爛生体 夏 世界に逆らう 着陸する 移り住む 紛れ込む 森下さんとのあれこれ 秋 〈土〉への堕落 生前堆肥 伝染する堆肥男 扉を開く 寝転ぶ 甘やかす 同じ穴の貉たちを愛しぬく 希望の闇のほうへ 冬 おわりに 著者プロフィール 東 千茅 (アズマ チガヤ) (著/文) 東 千茅(あづま・ちがや) 農耕者、里山制作団体「つち式」主宰。一九九一年三月、大阪府生まれ。二〇一五年、奈良県宇陀市大宇陀に移り住み、ほなみちゃん(稲)・ひだぎゅう(大豆)・ニック(鶏)たちと共に里山に棲息。二〇二〇年、棚田と連続する杉山を雑木山に育む二百年計画「里山二二二〇」を開始する。著書に『つち式 二〇一七』(私家版 二〇一八)、「『つち式 二〇一七』著者解題」(『たぐいvol.1』亜紀書房、共著 二〇一九)。