-
辺境のラッパーたち 立ち上がる「声の民族誌」 | 島村一平(編集)
¥3,520
青土社 2024年 ソフトカバー 544ページ 四六判 - 内容紹介 - ラッパーのことばに耳をすませば、世界のリアルが見えてくる。 戦火が絶えないガザやウクライナで、弾圧が続くチベットやイランで、格差にあえぐモンゴルやインドで、海の端の日本で――。アメリカで生まれたヒップホップ文化、なかでもラップミュージックは世界に広がり、「辺境」に生きる者たちは声なき声をリリックに託す。現代社会の歪みを鮮やかに映し出す、世界各地のラッパーたちの声を幅広い執筆陣が紹介する。ラッパー、ダースレイダー、ハンガー(GAGLE)のインタビューも収録。
-
『忘れられた日本人』の舞台を旅する 宮本常一の軌跡 | 木村 哲也
¥1,078
河出書房新社 2024年 河出文庫 ソフトカバー 352ページ 文庫判 - 内容紹介 - 宮本常一の傑作『忘れられた日本人』の舞台10箇所を二度三度丁寧にたどり直し、宮本が会った人、その縁者に取材した、若き日の旅の記録。宮本民俗学を今に引き継ぐフィールド紀行。解説=赤坂憲雄
-
アイヌがまなざす 痛みの声を聴くとき | 石原 真衣, 村上 靖彦(著/文)
¥2,970
岩波書店 2024年 ハードカバー 376ページ 四六判 縦188mm 横129mm 厚さ26mm - 内容紹介 - いまだ継続する不正義と差別に抗して、アイヌの人々は何を問い、行動してきたのか。五人の当事者へのインタビューから現代アイヌの〈まなざし〉を辿ると共に、アイヌの声を奪い、語りを占有し続ける日本人のあり方を問う。 目次 序 章 まなざされるアイヌとまなざし返すアイヌ 第1部 遺骨返還運動とアイヌ近代史 第1章 先人の尊厳と未来の教育――遺骨返還運動にたずさわる木村二三夫さん 第2章 アイヌ文化を伝えられてこなかったことに誇りを持っている――親族の遺骨を探索するBさん 第3章 幽閉されるアイヌと遺骨 第2部 インターセクショナリティ 第4章 アイヌ女性と複合差別――ヘイトスピーチと闘う多原良子さん 第5章 先住民フェミニズム批評――Ain't I a Woman? /「私」は女ではないの? 第3部 アイヌと外部を行き来する 第6章 羽をパタパタさせればいい――アイヌ近現代史研究者である新井かおりさん 第7章 家出少年は傍らに神話を持つ――美術家結城幸司さん 第8章 思想的消費とまなざしの暴力 終 章 まなざしの転換 あとがき 交差する場所をひらく 謝 辞 - 著者プロフィール - 石原 真衣 (イシハラ マイ) (著/文) 1982年北海道サッポロ市生まれ.アイヌと琴似屯田兵(会津藩)のマルチレイシャル.北海道大学アイヌ・先住民研究センター准教授.文化人類学,先住民フェミニズム.著書に『〈沈黙〉の自伝的民族誌(オートエスノグラフィー)』(北海道大学出版会2020,大平正芳記念賞),編著書に『アイヌからみた北海道150年』(北海道大学出版会2021),『記号化される先住民/女性/子ども』(青土社2022)など. 村上 靖彦 (ムラカミ ヤスヒコ) (著/文) 1970年東京都生まれ.大阪大学人間科学研究科教授・感染症総合教育研究拠点(CiDER)兼任教員.現象学.著書に『摘便とお花見』(医学書院2013,日本学術振興会賞),『子どもたちがつくる町』(世界思想社2021),『ケアとは何か』(中公新書2021),『「ヤングケアラー」とは誰か』(朝日新聞出版2022),『客観性の落とし穴』(ちくまプリマー新書2023),『すき間の哲学』(ミネルヴァ書房2024近刊)など.
-
調査されるという迷惑 増補版 | 宮本 常一, 安渓 遊地
¥1,650
みずのわ出版 2024年 ソフトカバー 152ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ9mm - 内容紹介 - ハンディなフィールド・ワークの⼿引として2008 年の初版以来7刷を重ねた本書は、⽂化⼈類学や⺠俗学の初学者向け副読本としてだけでなく、理系のフィールド・ワーカーにも、地域づくりや援助、医療・看護・福祉のケアの現場でも広く読まれてきた。今や誰もがする運転にフィールド・ワークを例えるなら、この本は免許更新時に⾒せられる交通事故のビデオだ。今回(2023年4月)の増補で、宮本常⼀の初めてのアフリカでの⼼あたたまるエピソードと、1978年からコンゴ⺠主共和国に通って“⽇系アフリカ⼈”となった安渓遊地・安渓貴⼦のアフリカ経験を加え、異⽂化体験の多彩さを踏まえて、万⼀の事故にも絶対にひき逃げしない覚悟はあるかを問う。 目次 序章 宮本常一先生にいただいた言葉(安渓) 第1章 調査地被害――される側のさまざまな迷惑(宮本) 第2章 される側の声――聞き書き・調査地被害(安渓) 第3章 「バカセなら毎年何十人もくるぞ」(安渓) 第4章 フィールドでの「濃いかかわり」とその落とし穴(安渓) 第5章 種子島にて・屋久島からの手紙(安渓) 第6章 まぼろしの物々交換を知夫里島に求めて(安渓) 第7章 「研究成果の還元」はどこまで可能か(安渓) 第8章 宮本常一・はじめてのアフリカ(宮本) 第9章 「いまここで」という暴虐からの解放(安渓) 第10章 「父たち」の待つ村への旅(安渓) フィールドでの指針としての事項索引 - 著者プロフィール - 宮本 常一 (ミヤモト ツネイチ) (著/文) 1907年山口県周防大島生れ。16歳の時に大阪に出て逓信講習所で学び、天王寺師範学校を卒業後、小学校教師となるも病を得て帰郷。療養中に柳田國男の『旅と伝説』を手にしたことがきっかけで、柳田、渋沢敬三という生涯の師と出会う。39年に渋沢の主宰するアチック・ミューゼアムの所員となり、57歳で武蔵野美術大学に奉職するまで在野の民俗学者として日本全国を歩く。66年日本観光文化研究所を設立し、後進の育成に努めた。著書に『忘れられた日本人』『宮本常一著作集』(未來社)、『日本文化の形成』(そしえて)、『宮本常一離島論集』『宮本常一写真図録』『宮本常一の風景をあるく』(みずのわ出版)など。1981年没。宮本が遺した膨大なフィールド・ノートや写真等の資料は、宮本常一記念館(周防大島文化交流センター)に収蔵されている。 安渓 遊地 (アンケイ ユウジ) (著/文) 1951年富山県射水郡大門町生れ。京都大学理学部学生の時、川喜田二郎氏の移動大学運動にふれてフィールド・ワークを志す。伊谷純一郎氏の指導で、西表島および熱帯アフリカの人と自然の研究。人類学専攻。沖縄大学、山口大学、山口県立大学を経て、山口市北部の「阿東つばめ農園」で営農ソーラーのある無農薬家族農業を実践中。共編著書に、『廃村続出の時代を生きる│南の島じまからの視点』(南方新社、2017年)、『奄美沖縄環境史資料集成』(南方新社、2011年)、『奇跡の海――瀬戸内海・上関の生物多様性』(南方新社、2010年)、『西表島の農耕文化――海上の道の発見』(法政大学出版局、2007年)、『続やまぐちは日本一――女たちの挑戦』(弦書房、2006年)、『遠い空――國分直一 人と学問』(海鳥社、2006年)など。ブログ https://ankei.jp では、研究成果の地域との共有の試みとして、ソンゴーラ人、西表島、与那国島の3つの生物文化遺産データベースを公開中。
-
現代思想2024年5月号 特集=民俗学の現在
¥1,760
青土社 2024年 ソフトカバー - 内容紹介 - 私たちの「日常」を捉えるまなざし 近代西洋に端を発し、日本ではとりわけ柳田国男らの主導により独自の体系化を遂げた「民俗学」。しかしそれは必ずしも伝統文化や古俗・伝承のみならず、現代に生きる私たちの「日常」そのものを広く捉え考える現在進行形の実践として、いまなお展開の途上にある。本特集ではそうした現代民俗学の最前線を、アメリカなど国外の動向にも目を向けつつ多彩なトピックを通じて一望する。 line2.gif [目次] 特集*民俗学の現在 【討議】 回遊する知としての民俗学 / 菊地暁+島村恭則 【広がるフィールド】 実践としての「介護民俗学」 / 六車由実 繰り返すことの民俗学――日常・クィア・強迫症 / 辻本侑生 自己・世相・日常――現在を史学する視点 / 及川祥平 民俗学から日本の出産史を問い直す――「安産中心史観」を超えて / 伏見裕子 〈日常〉はゆらぐ――霊的次元の近代 / 大道晴香 【俗なるもののための理論】 ヴァナキュラー・マテリアリティ――人・モノ・権力の民俗学へ / 門田岳久 民俗学に心は必要か?――心意から相互行為、そして霊魂へ / 廣田龍平 聞き、書き、話し、あい、語り、継ぐ――民俗学的ナラティヴ研究とその実践性 / 川松あかり ドイツ民俗学とは何か――金城ハウプトマン朱美 【受け継ぐこと、立ち還ること】 流動性と異質性の民俗誌に向けて――贈与の伝統/伝承論 / 塚原伸治 伝承への倫理 / 加藤秀雄 創られる文化財保護の文脈――運用から捉える「財と遺産の仕組み」 / 後藤知美 建築はなぜ民俗的なるものを欲望するか / 青井哲人 【日常の淵に遊ぶ】 マンガから民俗学を考える――「日常系」マンガ、「考現学マンガ」、エッセイマンガ /イトウユウ フォークロレスク入門 / ジェフリー・A・トルバート(訳=廣田龍平) 民俗学とホラーの親和性、あるいは民俗学者はなぜすぐに死んでしまうのか / 飯倉義之 【連載●科学者の散歩道●第一〇一回】 オッペンハイマーという選択――米国物理学会の興隆 / 佐藤文隆 【連載●「戦後知」の超克●第四〇回】 見田宗介の「近代」と「現代」12 / 成田龍一 【連載●社会は生きている●第二一回】 環境とシステム 7――道具の加工──物の主体化 / 山下祐介 【連載●現代日本哲学史試論●第五回】 純粋な思考のスタイルズ――永井均と小泉義之 / 山口尚 【研究手帖】 〈情報としての身体〉とセルフ・サーヴェイランス / 河野静香
-
ヴィジュアル版 沖縄文化論 忘れられた日本 | 岡本 太郎
¥1,320
中央公論新社 2024年 中公文庫 ソフトカバー 256ページ 文庫判 - 内容紹介 - 身体全体がふくれあがるような日々だった。ふれるものすべてに問題を発見し、ぎりぎり集中して行った。――一九五九年に本島、久高島、宮古島、石垣島、竹富島、そして六六年に久高島を再訪。沖縄に恋をした芸術家が見た舞踊、歌、そして神事からの日本再発見。毎日出版文化賞受賞作。著者撮影による写真口絵六四ページを収録。 〈随筆〉岡本敏子 〈解説〉外間守善/赤坂憲雄 (目次より) 沖縄の肌ざわり 「何もないこと」の眩暈 八重山の悲歌 踊る島 神と木と石 ちゅらかさの伝統 結 語 増補 神々の島 久高島 本土復帰にあたって あとがき 「一つの恋」の証言者として 岡本敏子 新版に寄せて 岡本太郎の『沖縄文化論』を読む 外間守善 解説 赤坂憲雄 - 著者プロフィール - 岡本太郎 (オカモトタロウ) (著/文) 一九一一年、東京生まれ。岡本一平・かの子の長男。二九~四〇年までパリに住み芸術運動に参加する一方、パリ大学で哲学・社会学・民俗学を専攻、ジョルジュ・バタイユらと交わる。三八年、国際超現実展に招かれ「傷ましき腕」を出品。四六年から現代芸術の旗手として次々と話題作を発表する。五四年、ヴェニス・ビエンナーレに日本代表として出品。五六年、東京都庁舎に十一面の陶板壁画、また数寄屋橋公園の「若い時計台」、東京オリンピック公式参加メダル、国立屋内競技場の壁画、その他数々のモニュメント・壁画等を創作する。七〇年、大阪万国博覧会の「太陽の塔」で世界の話題を集める。七五年、パリ国際センター、パレ・デ・コングレに五面のレリーフ壁画。七六年、パリ市立ガリエラ美術館にて個展を開催。文筆活動も多く、『岡本太郎の本』(全五巻)がある。九六年一月、死去。
-
現代民俗学入門 身近な風習の秘密を解き明かす | 島村 恭則
¥1,980
創元社 2024年 創元ビジュアル教養+α ソフトカバー 152ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ14mm - 内容紹介 - なぜトイレにはスリッパがあるの? 火葬場で箸わたしをするのはどうして? そのヒントは、民俗学にありました。民俗学の知識を使って、ネット上の美談からLGBTQIA+まで、現在の世の中の各所に潜むいろいろな疑問や話題を取り上げ、豊富な図解とともにわかりやすく解説します。民俗学は現代社会でも使える、生きた学問だった! - 目次 - 民俗学への招待 執筆者一覧 【1章 日常のなぜ】 地鎮祭は何のためにするのか? 玄関の段差とトイレのスリッパ なぜ敷居を踏んではいけないのか? 掃除をしないとどうなるか? 風水、気にすべきか? 我が家の伝統 どこまでがシンセキなのか? 先祖の話 犬小屋の歴史・ネコの社会 なぜ一緒に食べるのか? どうして「いただきます」というのか おかわりするときにご飯粒を残すのはなぜか 職場方言 一本締めと三本締め ハンコとサイン 商売人だけが知っている 社員旅行と忘年会 お土産にやどる聖なる力 買い物は「替えごと」 市場とママチャリ 月賦販売と生命保険 福引きと福袋 化粧と仮面 イレズミはタブーなのか? アクセサリーの来歴 コラム01 柳田國男と折口信夫 【2章 四季のなぜ】 そもそも春はいつからか? 大晦日に「おせち」を食べてもいいのか? お年玉、ルーツは神からもらう「魂」だった 初夢は、どうして「二日」に見るのか? お雑煮はいつまで食べるものなのか? 土用に「うなぎ」を食べるのはなぜか どうして祇園祭の「ちまき」は食べられないのか お中元、お歳暮は何のために贈るのか? アート化するお盆の精霊馬 お月見どろぼうはハロウィンか? 神様たちはどうして出雲へ行くのか 運動会の綱引きはどこから来たのか なぜ「勤労感謝」は十一月なのか? どうして冬至に柚子湯に入るのか? クリスマス・イブは「前夜祭」なのか コラム02 フィールドワークはどのようにするのか 【3章 人生のなぜ】 産湯と若水 胞衣の行方 名付けの方法 人はいつ「年をとる」のか? 「とおりゃんせ」はなぜ「七つのお祝い」なのか? 成人式はなぜ荒れるのか? 通過儀礼としてのシューカツ ラップと歌垣 結納はなんのためにするのか? 結婚式はポトラッチなのか? LGBTQIA+の民俗学 なぜ還暦には赤いものを着けるのか? 隠居とは何か? 「古老」はほんとうに「物知り」なのか 介護民俗学の登場 お葬式 火葬場で「箸渡し」をするのはなぜか? 遺骨のゆくえ コラム03 日本の民俗学――ブックガイド 【4章 都市伝説のなぜ】 なぜ都市伝説は語られるのか? タクシーに出る幽霊 口裂け女のいた時代 ネット怪談とネット美談 「実話」とネットロア 地名と伝説の深い関係 神社の由緒の読み取り方 昔話は何種類くらいあるのか? ミームは現代の「民間伝承」 民俗学を知るための基礎用語
-
ひとりみんぱく | 松岡 宏大
¥3,520
国書刊行会 2024年 ハードカバー 256ページ 四六変型判 - 内容紹介 - もしかしたら「物の本」だと思っている人もいるかもしれないが、これは「旅の本」だ。(「あとがき」より) ◇ 「ひとりみんぱく」とはなにか? 写真家・編集者・ライターとして世界中を旅してきた松岡宏大氏の部屋には、世界各地の文物であふれている。みんぱく=国立民族学博物館。すなわち、わが家の民族学博物館、それが「ひとりみんぱく」だ。1990年代よりバックパッカーとして世界をめぐり、現地で出会った人々や景色、そして蒐集してきた数々の物もの。土器、漆器、仮面、仏像、絨毯……どこか不思議な魅力をもつ工芸、民藝の数々。インドで、チベットで、ミャンマーで、リビアで、サハラ砂漠で、文物からは旅の記憶があふれだし、含蓄? 蘊蓄? 軽快なるエッセイを挟みつつおくる本書は、物の本か? 旅の本か? 地球をまるごと感じる、The Museum of Ethnology in My Hands! 松岡氏は、『地球の歩き方 インド』をまとめ、美しき絵本『夜の木』で知られるタラブックスの本を上梓するなど、とりわけインドに造詣が深い。私家版『ひとりみんぱく123』『ひとりみんぱく45』が好評、美しい本づくりで定評のサイトヲヒデユキ氏のブックデザインを得て、満を持して世の中におくりだす! 収録物品120点超に、美しい旅の写真。美麗クロス装。 ◇ 「みんぱく」とは大阪の万博記念公園内、太陽の塔のとなりに建つ「国立民族学博物館」の愛称である。本書の『ひとりみんぱく』というタイトルであるが、これは初めて僕が「みんぱく」を訪れた際、「うちにもあるな……」という感想を抱いたことに由来する。 仕事柄、世界中を旅しながら暮らしてきたが、行く先々でその土地の文物を蒐集してしまうところがある。その文物は、世間的な価値とはまったく無縁だが、自分の好奇心の方向性から、その国の文化・歴史・神話を内包しているものを好む傾向にある。そして、日本に帰ったあと、部屋で一緒に旅の思い出を語り合える話し相手のようなものであることが重要だと考えている。もちろん日本で手に入れたものや、人からいただいたものも含まれている。しかし、自分の旅してきた道筋から外れないよう心がけている。蒐集の基準軸は、常に「個人的な旅の記憶」と「人とつながり」に置いている。 今回、本書を著すにあたり自らの蒐集した品々をあらためて見返してみたが、本当に役に立たないものばかりだ。残念だ。同時に、僕にとってはかけがえのないものばかりだ。 これらの文物を手のひらにのせ愛でてみる。重みや質感、細工、その歪みや温みを確かめる。太陽の光の下で陰が際立つものもあれば、暗闇の中でこそ光り輝くものもある。それは自分の手で触れてこそわかることで、自分の足で旅をしてこそ出会える風景と一緒だ。 僕はこれらを手に入れたときに出会った人たちの顔や祈りの景色を思い出すだろう。そこで吹いていた風や夜空を満たす星のことを思い出すだろう。 旅の記憶こそ僕にとっていちばんの財産なのだから。 (「まえがき」より) - 著者プロフィール - 松岡宏大 (マツオカコウダイ) (著/文 | 写真) 写真家・編集者など。『地球の歩き方 インド』など、インドやアフリカを中心に辺境エリアのガイドブックの取材・編集に携わる。共著に『持ち帰りたいインド』(誠文堂新光社)、『タラブックス――インドのちいさな出版社、まっすぐに本をつくる』(玄光社)などがある。またインドのTara Booksよりバッジュ・シャームとの共著『Origins of Art: The Gond Village of Pathangarh』を上梓。写真展として『アディワシ――大地と生きる人々』(bonon kyoto、KYOTO GRAPHIE KG +)、『TRIBES in BASTAR』(Rungta)を開催。KAILAS名義で著作やイベントもおこなう。
-
『忘れられた日本人』をひらく 宮本常一と「世間」のデモクラシー|畑中 章宏, 若林 恵
¥1,760
SOLD OUT
黒鳥社 2023年 ソフトカバー 208ページ 新書判 - 内容紹介 - 宮本常一は民主主義の理論家だ!──宇野重規(政治学者) 不世出の民俗学者・宮本常一の主著のひとつであり、今なお愛され読み継がれる『忘れられた日本人』。そこに描かれた日本人の姿を、ノスタルジアや復古主義に陥ることなく、グローバリズムとナショナリズムとが錯綜する21世紀の世界のなかにいかに価値づけ、その可能性をひらくことができるのか。民俗学者・畑中章宏と編集者・若林恵が、「忘れられた日本人」の新たな姿をさがす、寄り道だらけの対話篇。 『宮本常一:歴史は庶民がつくる』『感情の民俗学』(畑中章宏)と『実験の民主主義』(宇野重規+若林恵)の必読副読本! 【目次】 はじめに 若林恵 1. 翻訳 translation 2. 反作用 reaction 3. 寄合 consensus 4. 実施 practice 5. 経営体 enterprise 6. 海賊 pirates 7. 世間 worldly 8. 環世界 unwelt 9. 進歩 progress 10. 実験 experiment 11. 道具 tools 12. 伝承 lore おわりに 畑中章宏 - 著者プロフィール - 畑中 章宏 (ハタナカ アキヒロ) (著/文) 大阪府大阪市生まれ。民俗学者。著書に『災害と妖怪』(亜紀書房)、『蚕』(晶文社)、『天災と日本人』(ちくま新書)、『21世紀の民俗学』(KADOKAWA)、『死者の民主主義』(トランスビュー)、『五輪と万博』(春秋社)などがある。 若林 恵 (ワカバヤシ ケイ) (著/文) 黒鳥社コンテンツ・ディレクター。平凡社『月刊太陽』編集部を経て2000年にフリー編集者として独立。以後、雑誌、書籍、展覧会の図録などの編集を多数手がける。音楽ジャーナリストとしても活動。2012年に『WIRED』日本版編集長就任、2017年退任。2018年、黒鳥社設立。著書・編集担当に『さよなら未来』『次世代ガバメント 小さくて大きい政府のつくり方』『GDX :行政府における理念と実践』『だえん問答 コロナの迷宮』『働くことの人類学【活字版】』など。「こんにちは未来」「blkswn jukebox」「音読ブラックスワン」などのポッドキャストの企画制作でも知られる。
-
感情の民俗学 : 泣くことと笑うことの正体を求めて|畑中 章宏
¥2,200
イースト・プレス 2023年 ソフトカバー 200ページ B6変 縦168mm 横120mm 厚さ13mm - 内容紹介 - 私たちの感情は〈ならわし〉によってつくられる?内側からこみあげてくるように感じられる「感情」。しかし、喜怒哀楽は、時代や慣習によって変わる。つかみづらい感情の正体をもとめて、民俗学をひもとく。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄本書「はじめに」より感情については、これまで、数えきれないほどたくさんの本が書かれてきました。なぜそれほど多くの本が書かれてきたかというと、多くの人が、感情をつかみづらいと感じているからです。「感情に左右されている」「感情にもてあそばれている」「感情をコントロールすることがむずかしい」……。この本を手にしたあなたも、きっとたぶんそんな人なのでしょう。でも、そもそも感情は、どこにあるのでしょうか? 感情のありかをみきわめようとするとき、感情が「こころ」に属するという人と、「からだ」に属するという人がいるようです。たしかに、感情が「こころ」にあるか、「からだ」にあるかによって、感情への対処のしかたが変わってきそうです。「こころかからだか」は、「心理現象か生理現象か」といいかえることができるでしょう。しかし、感情を発生地点をみることで、その本質に近づくことができるものでしょうか。また、感情を心理や生理としてあつかわず、哲学の対象として感情を概念的にとらえて考察することもさかんにおこなわれています。いってみればそれは、感情を「あたま」で分析し、理解しようとする立場だといえるでしょう。いずれにしても、感情が人間のどこから生まれてくるのかがはっきりとしているのなら、感情は御しやすいような気がします。ですから、感情は私たちの内側にあるのか、外側にあるのかについて疑問を抱いてみてもいいかもしれません。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 目次 はじめに 人は昔、「ぴえん」と泣いていた。 I 感情はどこからくるのか? 1 感情は意外と新しい 感情のはじまり 感情は私たちの外側にある 2 ありかを探して 感情は「からだ」に属する 感情の源は「子宮」にある 感情の「心理学」のさまざまな説 「後悔」と「悲しみ」 「分人」という概念 「本当の自分」とは 社会的な「分人」 日本における「私」 「世間」と感情 3 「しぐさ」と感情 言葉は万能ではない 民俗的感情とは 近代日本の「感情史」 主題は「我々」 幕間 感情的会話 その1 Ⅱ 感情とはなになのか? 1 感情は「表現」なのか 「泣く」ことと「涙する」こと 「ぴえん」という泣きかた 絵文字への派生 「ぴえん」の歴史性 ラメンテーションとしての「泣き祭」 泣く女、泣く男 現代文化の問題 2 「いいね! 」の進行形 絵文字による感情表現 「かわいい」と「かなしい」 「おもしろい」と「楽しい」 3 「微笑」と「奇妙な笑い」 ハーンが見すえた「感情」 義務としての微笑 「笑い」を科学する 突発する「例の笑い」 感情と怪異 文化的反応としての笑い 4 「笑い」と「ウソ」 村には評判の〝ウソつき〟がいた 「ウソ」の歴史 「ウソ」を叱る 5 笑う祭と泣く祭 神の前で「笑う」祭 「笑い講」 真夜中の「笑い祭」 神の前で「泣く」祭 6 『「いき」の構造』の「いき」 「媚態」と「意気地」と「諦め」 「関係性」のデザイン 7 「らしさ」のゆくえ 「人間らしさ」と「自分らしさ」 「わざとらしさ」と「もっともらしさ」 8 感情の政治性と社会性 冷笑は笑いか、怒りか 「ジレる」と「キレる」 「残酷」という感情 広島弁の「いなげな」 幕間 感情的会話 その2 Ⅲ 感情はどこへ行くのか? 1 共感の時代? 「いいね」は共感なのか 「シンクロニシティ」はあるのか 「こころ(心)」の誕生と終焉 「文字」に代わるもの 2 感情の公共 「いき」という公共圏 ソーシャルメディアで「いき」は生きるか 不気味の谷 文楽人形をめぐる感情 「もどき」と感情 AI にたいする恐怖 新しい感情か、伝統的感情か 「感情」と現代美術 3 感情をつくる 「エモい」を超えて 「推し」と「尊い」 「宗教以降」の感情 「感情」にたいするうしろめたさ 終幕 感情的会話 その3 参考・引用文献一覧
-
辺境を歩いた人々|宮本常一
¥968
河出書房新社 2018年 河出文庫 ソフトカバー 296ページ 文庫判 縦150mm 横109mm 厚さ12mm - 内容紹介 - 江戸後期から戦前まで、辺境を踏査した四人、近藤富蔵、菅江真澄、松浦武四郎、笹森儀助の民俗探訪の実際と生涯。
-
今を生きる思想 宮本常一 歴史は庶民がつくる | 畑中 章宏
¥880
講談社 2023年 講談社現代新書 ソフトカバー 112ページ 新書判 - 内容紹介 - 『忘れられた日本人』で知られる民俗学者・宮本常一とは何者だったのか。その民俗学の底流にある「思想」とは? 「大きな歴史」から零れ落ちる「庶民の歴史」。日本列島のすみずみまで歩き、聞き集めた小さな歴史の束から、世間や民主主義、多様な価値、さらには「日本」という国のかたちをも問いなおす。傍流として、主流が見落としてきた無名の人びとの「語りの力」を信じて――。 【本書のおもな内容】 ●「庶民」が主役の歴史を構想 ●盲目の「乞食」の自分語りに見出した意味 ●村をよくするために尽くした「世間師」 ●釣り糸を変えると豊かになる ●「寄り合い民主主義」の可能性 ●日常生活に潜む「深い心のかげり」に着目 ●「ふるさと」を起点として広い世界を見る ●旅に学ぶ――父の10ヵ条 ●男性による女性支配の「東西での違い」 ●人が人を信じることで人間全体が幸福になる 「宮本の民俗学は、私たちの生活が『大きな歴史』に絡めとられようとしている現在、見直されるべき重要な仕事だと私は考える。これほど生活に密着し、生活の変遷を追った仕事は、日本の近現代でほかにはみられないからだ。宮本は庶民の歴史を探求するなかで、村落共同体が決して共同性に囚われてきただけではなく、『世間』という外側と絶えず行き来し流動的な生活文化をつくってきたことも明らかにする。そしてそれは、公共性への道が開かれていたと解釈することができるのだ。また近代を基準にみたとき、さまざまな面で遅れているとされてきた共同体の生活、あるいは慣習のなかに、民主主義的な取り決めをはじめ、民俗的な合理性があったことも裏づける」――「はじめに」より ■■■■■■■■■■ 100ページで教養をイッキ読み! 現代新書の新シリーズ「現代新書100(ハンドレッド)」刊行開始!! 1:それは、どんな思想なのか(概論) 2:なぜ、その思想が生まれたのか(時代背景) 3:なぜ、その思想が今こそ読まれるべきなのか(現在への応用) テーマを上記の3点に絞り、本文100ページ+αでコンパクトにまとめた、 「一気に読める教養新書」です! ■■■■■■■■■■ 目次 ●はじめに 生活史の束としての民俗学 「心」の民俗学と「もの」の民俗学 フィールドワークから実践へ 「庶民」の歴史を構想 「思想家」として位置づける ●第1章 『忘れられた日本人』の思想 多様な語り口による叙述 「土佐源氏」とはなにものか? 座談から浮かび上がる「相互扶助」 「世間師」の役割 宮本常一の経歴 「民俗誌」から「生活誌」へ 生活史の束を編む ●第2章 「庶民」の発見 釣り糸を変えると豊かになる 「庶民」不在の歴史 「郷土研究」としての民俗学 民俗文化と無字社会 「ふるさと」という起点 農民文学と民俗 『相互扶助論』からの影響 「残酷」という感情 「単層文化」と「重層文化」 ●第3章 「世間」という公共 「世間」の重層性と複数性 常民・平民・庶民 「移動」からみた列島文化 境を越える旅人 流浪する人びと 農村指導者としての活動と離島振興法への関与 公共性への道をひらく ●第4章 民俗社会の叡智 寄り合い民主主義 共同体における自主性と束縛 女性の民俗的地位 「性」の領域 渋沢敬三が薦めた「傍流」 伝承としての「民具」 「民具学」の提唱 民具・物流・産業 オシラサマに対する独自のまなざし 「祭」で発散されるエネルギー 絵巻物に描かれた庶民生活 ●第5章 社会を変えるフィールドワーク 旅に学ぶ――父の10ヵ条 すたれつつある伝承形式 伝承の公共性 文字を知らない住人たち 当事者性からのアプローチ 児童によるフィールドワークの記録 調査される迷惑 「旅」と「観光」 自然環境の捉え方 「写真」を撮ること 出版編集と民俗学 ●第6章 多様性の「日本」 日本はひとつではない 「民衆史」の構想 進歩史観、発展史観に対する疑義 戦中の仕事に対する批判 イデオロギーを超えて 「歴史をつくる」ということ ●読書案内 - 著者プロフィール - 畑中 章宏 (ハタナカ アキヒロ) (著/文) 民俗学者。1962年生まれ。近畿大学法学部卒業。災害伝承、民間信仰から流行現象まで幅広い領域に取り組む。著書に『柳田国男と今和次郎』(平凡社新書・2011年)、『災害と妖怪』(2012年・亜紀書房)、『先祖と日本人』(日本評論社・2014年)、『『日本残酷物語』を読む』(平凡社新書・2015年)、『蚕』(晶文社・2015年)、『天災と日本人』(ちくま新書・2017年)、『21世紀の民俗学』(KADOKAWA ・2017年)、『五輪と万博』(春秋社・2020年)、『日本疫病図説』(笠間書院・2021年)、『廃仏毀釈』(ちくま新書・2021年)、『忘れられた日本憲法』(亜紀書房・2022年)など。
-
アースダイバー 神社編|中沢 新一
¥2,420
講談社 2021年 ハードカバー 370ページ A5変型判 - 内容紹介 - 人気シリーズ「アースダイバー」が、いよいよその関心の中心である、神社を取り上げます。 生命にとっての普遍的聖地に加えて、ホモサピエンス・サピエンスにとっての聖地、そして古代の日本列島に居住した縄文系と弥生系(倭人系)にとっての聖地(のちの神社)の心的・歴史的な構造を探っていきます。 主な取扱い神社は、以下の通りです。 大日霊貴神社(鹿角大日堂) 諏訪大社 三輪神社 出雲大社 和多都見(海神)神社 志賀海神社 穂高神社 伊勢神宮などなど 神社に残された祭儀に秘められた思考を遡っていくと、アメリカ先住民、アジアの少数民族、ネパール、東南アジアなどとの深いつながりが明らかになります。 また、同時にこの列島に数万年にわたって繰り広げられてきた、われわれの祖先の前宗教的・宗教的思考の根源とその展開が解明されていきます。 山とは、海とは、蛇とは、太陽とは……。 歴史の無意識の奥にしまいこまれた記憶を甦らせる魂の冒険へ、いざ。 目次 プロローグ 聖地の起源 第一部 聖地の三つの層 第一章 前宗教から宗教へ 第二章 縄文原論 第三章 弥生人の神道 第二部 縄文系神社 第四章 大日霊貴神社(鹿角大日堂) 東北の続縄文 地名起源伝説 太陽神の聖地に建つ大日堂 第五章 諏訪大社 縄文の「王国」 蛇から王へ 御柱祭りの意味 第六章 出雲大社 蛇 タマ 神話の建築 第七章 三輪神社 ナラの原像 血と酒の蛇 蛇と鑑の確執 第三部 海民系神社 第八章 対馬神道 はじまりの島 ムスビの神 渚の神話学 第九章 アヅミ族の足跡 海の民の末裔 日本海ルート 太平洋ルート 第十章 伊勢湾の海民たち 太陽の道 海人と鳥 エピローグ 伊勢神宮と新層の形成
-
増補改訂 アースダイバー|中沢 新一, 大森 克己(著/文 | 写真)
¥2,530
講談社 2019年 ハードカバー 384ページ A5変型判 - 内容紹介 - 2005年の大ブームから13年を経て、東京アースダイバーの完全版なる! 縄文、そして「海民」へと日本のルーツを遡り、地形の無意識、文化と自然の相互作用を探るアースダイビングは、見えない東京を私たちに教える。今回の増補改訂で隅田川と多摩川流域といった海民文化の要素が色濃く残る地域を追加しました。そして東京の中心地であり、アースダイバーの出立点である大宮八幡へと帰還する旅が完了する。 2005年、『アースダイバー』は、東京の風景が一変する散歩の革命を起こし大ベストセラーになりました。野生の東京を描く東京創世記でした。 その後、『大阪アースダイバー』(2012)『アースダイバー 東京の聖地』(2017)、『アースダイバー 神社編』(刊行準備中)と日本の歴史を書きかえる射程をもつ大きなプロジェクトになっています。 縄文、そして「海民」へと日本のルーツを遡り、地形の無意識、文化と自然の相互作用を探るアースダイビングは、見えない東京を私たちに教えてくれます。 今回の増補改訂で隅田川と多摩川流域といった海民文化の要素が色濃く残る地域を追加しました。 そして東京の中心地であり、アースダイバーの出立点である大宮八幡へと帰還します。 東京アースダイバーの決定版にして完結版! 【120ページ加筆】 【全24点アースダイビング・マップ付き】 【第9回桑原武夫学芸賞受賞】 [目次] 増補改訂 まえがき プロローグ 第1章 ウォーミングアップ―東京鳥瞰 第2章 湿った土地と乾いた土地―新宿~四谷 第3章 死と森―渋谷~明治神宮 第4章 タナトスの塔 異文/東京タワー―東京タワー 第5章 湯と水―麻布~赤坂 間奏曲(1)―坂と崖下 第6章 大学・ファッション・墓地―三田、早稲田、青山 第7 職人の浮島―銀座~新橋 第8章 モダニズムから超モダニズムへ―浅草~上野~秋葉原 第9章 東京低地の神話学―下町 第10章 海民がつくった下町-隅田川 第11章 よみがえる南郊-多摩川 間奏曲(2) 森番の天皇―皇居 最終章 ムサシ野オデッセイ あとがき - 著者プロフィール - 中沢 新一 (ナカザワ シンイチ) (著/文) 1950年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、明治大学野生の科学研究所所長。思想家。 著書に『日本の大転換』『アースダイバー』、『カイエ・ソバージュ』(小林秀雄賞)、『チベットのモーツァルト』(サントリー学芸賞)『森のバロック』(読売文学賞)『哲学の東北』(青土社、斎藤緑雨賞)など多数ある。
-
ジャンパーを着て四十年|今和次郎
¥946
筑摩書房 2022年 ちくま文庫 ソフトカバー 288ページ 文庫判 - 内容紹介 - 世間に溢れる「正装」「礼儀」「エチケット」、形ばかりになってはいないか? 「考現学」の提唱者によるユーモア炸裂の服装文化論集。解説 武田砂鉄 名著復刊!「考現学」的ファッション論 ユーモア炸裂、人間生活観察 結婚式でも大使の前でも、いつでもジャンパー。柳田國男に破門され、「考古学」ならぬ「考現学」を生み出した今和次郎。戦前戦後の日本社会を市中から観察してきた著者がユーモアたっぷりに服装文化の今と昔を語りだす。“服”とは一体なにものか? 世間に溢れる“正装”“礼儀”“エチケット”とは? “装う”という行為の意味は? 時代を超える隠れた名著、待望の復刊! 解説 武田砂鉄 目次 一、ジャンパーを着て四十年 1 着出したきっかけ/2 世間とのまさつ/3 先輩・同僚・学生・妻・子供たちは/4 演壇に立つと/5 ジャンパーの定義/6 冠婚葬祭には/7 宮様からの招きに/8 国際的パーテーに 二、礼儀作法の由来 1 作法の探求/2 礼儀作法という言葉/3 作法のいろいろなスタイル/4 日本の古代の礼儀作法/5 武家による破壊と建設/6 近世礼法の確立/7 明治の国粋主義という錯覚/8 世界大戦による改革/9 カトリック系のエチケット/10 プロテスタントと作法 三、きものの伝統 1 歴史のあら筋/2 哀感をそそる衣裳/3 外人に理解してもらうのは むずかしい/4 伝統という名でおどらされた明治時代/5 現実の問題 四、服装改良の歩み 1 改良とは/2 文化生活とショート・スカート/3 開襟シャツの提唱/4 第二次大戦前後 五、ユニホームとは 1 服装は魔物だ/2 田舎娘・銀座令嬢・婦人警官/3 ユニホームのいろいろ/4 警官と駅員で実験/5 有職故実の世界/6 儀礼的束縛で/7 士農工商の身分制から/8 明治以来の官員・軍人の礼服と制服/9 背広服と学生の制服/10 今日の企業経営学とユニホーム/11 インダストリアル・コマーシャル・シンボリカル 六、地方にみる洋服姿 1 農村婦人たち/2 戦災をのがれた都市の人々の姿 七、感覚か生活か 1 コマーシャル・アートの座席/2 生活行動と個性 八、流行の価値を探れば 1 益なくて害ありという思想/2 健康の点、家計の点からは/3 だが、流行は現代に生きる人々のもの 九、歓楽を求めるための衣裳〔古代エジプト〕 1 過去時代の服飾を味わう心/2 神像の化粧と衣裳/3 司祭・王の装い/4 歓楽にひたる女性の装い 十、神に近づくための服装〔初期キリスト教〕 1 教養高きローマの紳士のなやみ/2 信仰と服装/3 貧しい人々の服 装 十一、人づくりの哲学 1 試験のない学校/2 入学考査は/3 思い出/4 湧き立つ世論/ 5 知能的底辺の問題/6 「一日受刑者」となってみて/7 囲いの中だけにヒバリが巣を/8 そして刑務所と学校と 十二、大衆に直面して 1 被指導者の群れ/2 その性格はさまざま/3 生活以前の問題をどうするか/4 欲求のコントロール/5 上野と浅草/6 インテリと大衆とは反発する/7 生活指導者としてのインテリ 十三、家庭科にもの申す 1 門外漢として/2 倫理と技術と金/3 慣習の分析と流行の認識/ 4 地域・職域の問題/5 家庭と家庭の外との関連/6 その要点 十四、服装への発言 ショーかドラマか/造形美と服装美/服装行為/男性たちの服装/上品とか下品とか/結婚披露の会で演説/美しさと気楽さ/洋装か和装か/スタイルの定着/衣服と家計/衣料費一兆円/ソ連の流行誌/アメリカの服装/伝統とは/風俗という言葉/流行企画/家政学と被服学/家庭科はどこへいく/服装研究と民族学/民俗服をみる目/服装は道路と関係がある/近代的式典/衣服と機械/宇宙服とデザイン界/量産服への着眼/昔と今とこれからと/戦後の服装界/リアルとロマン あとがき 解説 TPOをわきまえない 武田砂鉄 - 著者プロフィール - 今 和次郎 (コン ワジロウ) (著/文) 1888年、青森県弘前市生まれ。建築学者、風俗研究家。1912年、東京美術学校図案科卒業。17年頃から郷士会へ参加、柳田国男らと農村・民家の調査を行う。20年~59年まで早稲田大学教授。23年の関東大震災後、吉田謙吉とともに「バラック装飾社」や「考現学」を始める。その後の研究範囲は服飾・風俗・生活・家政にまで及んだ。73年没。
-
ひどい民話を語る会|京極 夏彦, 多田 克己, 村上 健司, 黒 史郎
¥1,650
KADOKAWA 2022年 ソフトカバー 176ページ 四六判 - 内容紹介 - 「囲炉裏端にはコンプライアンスもポリティカル・コレクトネスもないんです。そして――。ひどい民話が誕生するんです」京極夏彦(「はじめに」より) 「桃太郎」の冒頭でお爺さんは柴刈りに、お婆さんは洗濯に行く。その理由とは……? メジャーな昔話の陰には数々の「ひどい民話」が埋もれている。 妖怪を愛好する面々が縦横無尽に語る、知られざる民話の世界。 全国各地から選りすぐりの民話を紹介する、伝説的トークイベント「ひどい民話を語る会」が、満を持して書籍化! 学問としても芸術としても敬遠され、表舞台からパージされてきた荒唐無稽な口承文芸「ひどい民話」は、語りのエンターテインメントだ。 ※下品な話が苦手な方はご遠慮ください。 目次 はじめに 京極夏彦 第一部 京極夏彦、多田克己、村上健司 第二部 京極夏彦、多田克己、村上健司、黒 史郎 第三部 京極夏彦、黒 史郎 おわりに 京極夏彦 - 著者プロフィール - 京極 夏彦 (キョウゴク ナツヒコ) (著/文) 1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。 多田 克己 (タダ カツミ) (著/文) 東京都出身。妖怪研究家。著書に、妖怪絵師が遺した画からその意味を解読する『百鬼解読』がある。京極夏彦との共著に『暁斎妖怪百景』『妖怪図巻』、京極夏彦・村上健司との共著に『妖怪馬鹿』『妖怪旅日記』など。カルチャーセンターにて妖怪学に関する講座の講師を務める。 村上 健司 (ムラカミ ケンジ) (著/文) 1968年、東京都生まれ。妖怪探訪家、フリーライター。幼い頃から妖怪に興味を持ち、妖怪伝承地を取材。水木しげるとの共著『日本妖怪大辞典』、京極夏彦・多田克己との共著『妖怪馬鹿』『妖怪旅日記』をはじめ、『妖怪事典』『日本妖怪散歩』『手わざの記憶』『怪しくゆかいな妖怪穴』『妖怪ひみつ大百科』『がっかり妖怪大図鑑』など著書多数。 黒 史郎 (クロ シロウ) (著/文) 1974生まれ。2006年「夜は一緒に散歩しよ」で第1回『幽』怪談文学賞長編部門大賞を受賞しデビュー。主な小説作品に「幽霊詐欺師ミチヲ」シリーズ、「怪談撲滅委員会」シリーズ、『未完少女ラヴクラフト』『ラブ@メール』『いちろ少年奇譚』『童提灯』『実話怪談 黒異譚』『ムー民俗奇譚 妖怪補遺々々』『ボギー 怪異考察士の憶測』『かくされた意味に気がつけるか? 3分間ミステリー』など多数。
-
山に生きる人びと | 宮本常一
¥902
SOLD OUT
河出書房新社 2011年 文庫判 256ページ - 内容紹介 - 山には「塩の道」もあれば「カッタイ道」もあり、サンカ、木地屋、マタギ、杣人、焼畑農業者、鉱山師、炭焼き、修験者、落人の末裔…さまざまな漂泊民が生活していた。ていねいなフィールドワークと真摯な研究で、失われゆくもうひとつの(非)常民の姿を記録する。宮本民俗学の代表作の初めての文庫化。 目次 塩の道 山民往来の道 狩人 山の信仰 サンカの終焉 杣から大工へ 木地屋の発生 木地屋の生活 杓子・鍬柄 九州山中の落人村 天竜山中の落人村 中国山中の鉄山労働者 鉄山師 炭焼き 杣と木挽 山地交通のにない手 山から里へ 民衆仏教と山間文化
-
海に生きる人びと | 宮本常一
¥836
河出書房新社 2015年 文庫判 246ページ - 内容紹介 - 宮本常一の傑作『山に生きる人びと』と対をなす、日本人の祖先・海人たちの移動と定着の歴史と民俗。海の民の漁撈、航海、村作り、信仰の記録。 - 著者紹介 - 著者プロフィール 宮本 常一 (ミヤモト ツネイチ) (著/文) 1907年山口県周防大島生まれ。日本各地でフィールドワークを重ね、特に移動する人びとに注目し多くの民俗誌を残す。おもな著書に、『忘れられた日本人』『海に生きる人びと』『家郷の訓』など。1981年没。