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南方熊楠の神社合祀反対運動 自然をいかに捉えたか|橋爪 博幸
¥4,400
慶應義塾大学出版会 2025年 ハードカバー 368ページ 四六判 縦194mm 横135mm 厚さ27mm - 内容紹介 - 森羅万象すなわち曼陀羅 熊楠はなぜ、神社合祀に抗ったのか――。 粘菌の採集から、大日如来が関係する宇宙まで、 熊楠の知と信が融合する、壮大な思想的軌跡。 明治後期、国家神道を基盤に進められた神社合祀政策。 その時、熊楠はなぜ社叢と祭祀の喪失に激しく抗したのか――。 熊楠の神社合祀反対運動は、たんなる自然保護活動ではなかった。 その抵抗の背後にあったのは、森羅万象を曼陀羅と捉える熊楠独自の世界観だった。 神社合祀反対運動の全容をあきらかにし、 西洋科学と真言密教、神智学を融合させた熊楠の思想の核心に迫る。 - 目次 - はじめに 序 章 南方熊楠の生涯――神社合祀反対運動とは何だったのか 第1章 明治後期の神社政策――なぜ神社合祀が推進されたのか 第2章 糸田の猿神社とり潰し事件――反対運動の動機は何だったのか 第3章 磯間の猿神社と神楽神社の合祀計画――いまだ見ぬ埋蔵品、古代人の証し 第4章 西ノ谷村における神社合祀への抗議――神社のある風景、神社からの眺望 第5章 神島の保護運動――「自然保護園」としての神島 第6章 寺田寅彦と南方熊楠――科学と神秘思想 第7章 ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキーと南方熊楠の宇宙図 第8章 クモの巣をヒントに描かれた条理図 第9章 森林生態系の保全を訴える熊楠の思想 結 論 熊楠は自然をいかに捉えたか――「一者」から「分節」された世界 註 あとがき 初出一覧 索 引 - 著者プロフィール - 橋爪博幸 (ハシヅメヒロユキ) (著) 1970年、群馬県生まれ。桐生大学短期大学部アート・デザイン学科教授。 人間・環境学博士(京都大学)。南方熊楠研究会の機関誌『熊楠研究』編集委員。 著書に『南方熊楠と「事の学」』(鳥影社、2005年)、論文に「大正時代における『耳塚』論争――南方熊楠、柳田國男、寺石正路、三者のやりとりを中心に」(The Journal for the Study of Humans and Cultures、No.16、韓国・東義大学校、2010年)、「『一者なる者』との邂逅――マイスター・エックハルトの説教と南方熊楠の土宜法龍宛て書簡にみられる類似事項に関する考察」(『熊楠研究』第17号、南方熊楠研究会編、2023年)などがある。
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渦巻の芸術人類学 死と再生のスパイラル ケルト・縄文から現代アニメまで|鶴岡 真弓
¥4,840
青土社 2025年 ハードカバー 464ページ 四六判 - 内容紹介 - ケルトの生命循環と人類の祈り 受難を乗り越え、光となって、強靭に旋回する渦巻――。私たち人類は「死からの再生」と吉祥を願い、渦巻文様を土偶・金工・聖書写本・建築・アニメまでに刻み続けてきた。「生命循環」の象徴としての「スパイラル」に秘められた祈りと創造力。その根源を探求する画期的考察。図版多数。 いにしえの人々も、現代人も変わらない宿命がある。 私たちは人類史の大河をゆく「生身(なまみ)」の一滴であるということだ。 異質な文化文明や存在同士の交流からこそ新たな生命力が渦巻く。 (本書 あとがきに代えて より) - 著者プロフィール - 鶴岡真弓 (ツルオカマユミ) (著) 多摩美術大学名誉教授・芸術人類学者。専門はケルト文化、ユーロ=アジア文明交流史。早稲田大学大学院修了後、アイルランド・ダブリン大学留学。処女作『ケルト/装飾的思考』(筑摩書房)でわが国に於けるケルト文化文明研究の先駆となる。主著に『装飾する魂』『ケルトの魂』(平凡社)、『ケルトの歴史』(共著・河出書房新社)、『阿修羅のジュエリー』(イースト・プレス)、『すぐわかるヨーロッパの装飾文様』(東京美術)、『芸術人類学講義』(編著・ちくま新書)、『ケルトの想像力』(青土社)、『ケルト 再生の思想』(ちくま新書・河合隼雄学芸賞)ほか多数。
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火葬と土葬 日本人の死生観 | 岩田 重則
¥3,080
青土社 2025年 ソフトカバー 300ぺージ 四六判 - 内容紹介 - 墓を見れば、人びとの姿が見えてくる 死者を誰が弔うのか。亡骸をどのように、どこに埋葬するのか。そして、墓はいつからいまのようになったのか――。あらゆる土地の墓をめぐり、死と向き合ってきた人びとの実像を、文化や歴史のなかからすくいとり、その礎に横たわる死生観の核心に迫る力作。
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日本動物民俗誌 | 中村 禎里, 小松 和彦(解説)
¥1,265
講談社 2024年 講談社学術文庫 ソフトカバー 264ページ 文庫判 - 内容紹介 - 山海の神か、田の神か。贄か、神使か、妖怪か――。 サル・キツネ・オオカミ・クマからネコ・トリ・ムシ・サカナまで、日本人は動物たちをいかに認識し、どのような関係を取り結んできたのか。膨大な民俗資料を渉猟し、山/海、家畜/野生、大きさ、人との類似などの基準によってその歴史と構造を明らかに! 25種の動物ごとの章立てで、「事典」的なニーズにも対応。 (解説:小松和彦) 【本書に登場する主な動物たち】 [キツネ]気高き神の使者は、やがて商業神、憑きものへ [イヌ]化け物の正体を見破る特異な辟邪力 [ネズミ]経典荒らしが転じ、仏法の守護者に? [オオカミ]なぜオオカミだけ? 「産見舞い」に赤飯を [ネコ]擬人化の果てに、愛する人の形代に [サカナ]山神はなぜ毒棘持ちのオコゼを愛したのか [ウサギ]ウサギvs.サルvs.カエル「動物餅争い」の結末は? [カニ]甲に浮かぶ悲運の英雄たちの無念 …… - 著者プロフィール - 中村 禎里 (ナカムラ テイリ) (著/文) 1932-2014年。東京生まれ。立正大学名誉教授。専攻は科学史。著書に『日本のルイセンコ論争』『生物学を創った人びと』『危機に立つ科学者』『血液循環の発見』『日本人の動物観』『狸とその世界』『河童の日本史』『狐の日本史』などがある。
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中国の死神 | 大谷 亨
¥2,860
青弓社 2023年 ソフトカバー 192ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ15mm - 内容紹介 - 2年半に及ぶ中国でのフィールドワークに基づきながら、無常の歴史的変遷を緻密にたどり、妖怪から神へと上り詰めたそのプロセスや背景にある民間信仰の原理を明らかにする中国妖怪学の書。ご好評いただき、おかげさまで増刷です。 紹介 2年半に及ぶ中国でのフィールドワークに基づきながら、中国の死神である「無常」の歴史的変遷を緻密にたどり、妖怪から神へと上り詰めたそのプロセスや背景にある民間信仰の原理を明らかにする中国妖怪学の書。貴重な写真をフルカラーで130点以上所収。 - 目次 - まえがき――なぜ無常なのか 序論 謎多き無常 第1章 無常を採集する 1 廟(難易度:★☆☆) 2 祭り(難易度:★★☆) 3 口頭伝承(難易度:★★★) 無常珍道中A――地獄のシンデレラ@山東省菏沢市鄄城県信義村・信義大廟(二〇一九年一月七日) 無常珍道中B――地獄の扉を開いたのは誰@山東省菏沢市鄄城県閆什鎮閆什村・砂土廟(二〇一九年一月八日) 第2章 無常を観察する 1 無常イメージの変遷――もともと黒無常はいなかった 2 無常信仰の発展原理1――馬巷城隍廟の無常信仰を事例として 3 無常信仰の発展原理2――東南アジア華人の無常信仰を事例として 無常珍道中C――地獄のふもとの不届き者ども@山西省臨汾市蒲県・東嶽廟(二〇一九年一月五日) 無常珍道中D――地獄のゼリービーンズ@重慶市長寿区但渡鎮未名村(二〇一九年一月三日) 第3章 無常を考察する 1 黒無常の誕生――摸壁鬼というバケモノに着目して 2 白無常の誕生――山魈というバケモノに着目して 無常珍道中E――地獄の美熟女@山東省菏沢市鄄城県信義村・信義大廟(二〇一九年十一月二十一日) 結論 つまるところ無常とは 引用・参照文献 あとがき――再び、なぜ無常なのか - 版元から一言 - 中国の死神である「無常」。寿命が尽きようとする者の魂を捉えにくるこの冥界からの使者は、日本では無名だが中国ではよく知られた民間信仰の鬼神である。冥界と密接な関係をもつ廟で盛んに祀られ、その信仰は中国にとどまらず台湾や東南アジア各地にまで広がっている。 「白と黒」のペアで存在することが多い無常は、謎の高帽子をかぶったり長い舌をダラリと垂らしたりと、強烈な視覚イメージで中国人のあいだに根づいている。だがその一方、無常がいつ、どの地域で、どのように誕生して現在に至るのか、なぜ人々は死神を拝むのか、そうした無常信仰に対する客観的な考察はこれまで十分になされてこなかった。 本書は、2年半に及ぶ中国でのフィールドワークに基づきながら、無常の歴史的変遷を緻密にたどり、妖怪から神へと上り詰めたそのプロセスや背景にある民間信仰の原理を明らかにする中国妖怪学の書。貴重な写真をフルカラーで130点以上収録。 - 著者プロフィール - 大谷 亨 (オオタニ トオル) (著) 1989年、北海道生まれ。中央大学文学部卒業後、東北大学大学院国際文化研究科に進学。同大学院在学中に、廈門大学人文学院に高級進修生として留学。2022年、東北大学大学院国際文化研究科で博士号(学術)を取得。現在、東北大学大学院国際文化研究科フェロー、無常党副書記。専攻は中国民俗学。論文に「無常鬼の精怪性、あるいは中国における妖怪学の試み――無常・摸壁・山魈の類似を手がかりとして」(第19回櫻井徳太郎賞受賞)、学位論文に「無常鬼の研究――〈精怪〉から〈神〉への軌跡」(第21回アジア太平洋研究賞受賞)。
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辺境のラッパーたち 立ち上がる「声の民族誌」 | 島村一平(編集)
¥3,520
青土社 2024年 ソフトカバー 544ページ 四六判 - 内容紹介 - ラッパーのことばに耳をすませば、世界のリアルが見えてくる。 戦火が絶えないガザやウクライナで、弾圧が続くチベットやイランで、格差にあえぐモンゴルやインドで、海の端の日本で――。アメリカで生まれたヒップホップ文化、なかでもラップミュージックは世界に広がり、「辺境」に生きる者たちは声なき声をリリックに託す。現代社会の歪みを鮮やかに映し出す、世界各地のラッパーたちの声を幅広い執筆陣が紹介する。ラッパー、ダースレイダー、ハンガー(GAGLE)のインタビューも収録。
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ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家 サハリン少数民族ウイルタと「出会う」 | 北海道立北方民族博物館(監修), 高島屋史料館TOKYO(編)
¥2,860
図書出版みぎわ 2024年 オープンバック製本 200ページ A5判 - 内容紹介 - かつて網走にあった、小さな資料館を未来に伝える―― 北海道のオホーツク海に面した網走の地に、「ジャッカ・ドフニ」と呼ばれたサハリン少数民族の資料館が存在した。「ジャッカ・ドフニ」は、ウイルタ語で「大切なものを収める家」を意味し、北方少数民族であるウイルタのほか、ニヴフ、サハリンアイヌといった、サハリンに暮らした人々の生活や文化を伝えることを目的とした私設資料館だった。 2024年、髙島屋史料館TOKYOで開催された展覧会を図録で再現、貴重な資料をオールカラーで掲載する。 - 目次 - はじめに ジャッカ・ドフニを未来へつなぐ 第1章 サハリン(樺太) サハリン島の歴史/ジャッカ・ドフニ年表/ウイルタについて 第2章 ジャッカ・ドフニ ジャッカ・ドフニの設立/ゲンダーヌさん/北川アイ子さん 北海道網走に暮らした北川アイ子さんの生活(撮影/1997-1998年) 私たちが見たジャッカ・ドフニ 私の見たゲンダーヌさんと北川アイ子さん 瀧口夕美 曖昧な国境と国籍 黒川創 対談 私たちが見たジャッカ・ドフニ 瀧口夕美・黒川創 第3章 ウイルタの文化 ジャッカ・ドフニの展示/衣服類/かぶりもの/儀式の道具類/トナカイ飼育 /白樺樹皮容器 宮本馨太郎作品「オロッコ・ギリヤークの生活」(1938年8月) 第4章 交流のあった民族 サハリン島の先住民族・少数民族 北川アイ子『私の生いたち』 特別掲載 新田樹「雪」 解説 日本帝国と樺太先住民族 加藤絢子 日露/日ソの境界変動と樺太アイヌの歴史 田村将人 ジャッカ・ドフニと博物館の歴史と構造 犬塚康博 民族の心――北川アイ子さんとの対話から 弦巻宏史 資料館ジャッカ・ドフニ 90年代を振り返る 青柳文吉 - 前書きなど - かつて、北海道のオホーツク海に面した網走の地に「ジャッカ・ドフニ*」と呼ばれたサハリン少数民族の資料館がありました。「ジャッカ・ドフニ」とは、ウイルタ語で「大切なものを収める家」を意味し、ウイルタを中心に、ニブフ、サハリンアイヌといった、サハリンに暮らした少数民族の生活文化を伝えた稀有な私設資料館です。この「ジャッカ・ドフニ」は2012年、多くの人に惜しまれながら約35 年にわたる活動に終止符を打ちます。その後、そこで所蔵されていた資料の全てが、北海道立北方民族博物館に引き継がれました。本書では、「ジャッカ・ドフニ」の所蔵資料をはじめてまとまった形で公開した髙島屋史料館TOKYOの展覧会を、紙面で再現しました。 *「ジャッカ・ドフニ」の正式名称は北方少数民族資料館ジャッカ・ドフニです。 (本書「はじめに」より) - 版元から一言 - 2024年3月16日(土)~2024年8月25日(日)に日本橋の高島屋史料館TOKYOで開催中の展覧会の公式図録です。展示された資料の写真を全て掲載するだけでなく、展示風景の写真も多く掲載しています。展示を見た方も、見られなかった方も楽しんでいただける本です。 - 著者プロフィール - 北海道立北方民族博物館 (ホッカイドウリツホッポウミンゾクハクブツカン) (監修) 北方諸地域に生活する先住民の文化と歴史を研究し、その成果を広く一般に普及することを目的として1991年2月10日に開館。グリーンランドから北欧まで、アイヌ文化を含めた北方民族の文化とオホーツク文化を紹介する、国内では唯一、世界的にも数少ない北方地域を専門とする博物館。常設展示では世界各国から集めた約900点を衣食住、生業等のテーマ別に展示し、北方に暮らす人びとの文化を紹介する。 高島屋史料館TOKYO (タカシマヤシリョウカントウキョウ) (編) 重要文化財である日本橋髙島屋S.C.本館に、2019年3月に開館。展示室と旧貴賓室(セミナールーム)にて、展示活動に加えトークイベントやワークショップなどを開催。これまで扱ってきたテーマは、建築・都市から百貨店、ショッピングモール、ひいては来訪神、北方少数民族ウイルタまで多岐にわたる。また、こうした企画展がわずか50㎡の展示室において盛りだくさんな情報量で展開されることから、一部では展示スタイルが「史料館TOKYO方式」として話題に。
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アイヌがまなざす 痛みの声を聴くとき | 石原 真衣, 村上 靖彦(著/文)
¥2,970
岩波書店 2024年 ハードカバー 376ページ 四六判 縦188mm 横129mm 厚さ26mm - 内容紹介 - いまだ継続する不正義と差別に抗して、アイヌの人々は何を問い、行動してきたのか。五人の当事者へのインタビューから現代アイヌの〈まなざし〉を辿ると共に、アイヌの声を奪い、語りを占有し続ける日本人のあり方を問う。 目次 序 章 まなざされるアイヌとまなざし返すアイヌ 第1部 遺骨返還運動とアイヌ近代史 第1章 先人の尊厳と未来の教育――遺骨返還運動にたずさわる木村二三夫さん 第2章 アイヌ文化を伝えられてこなかったことに誇りを持っている――親族の遺骨を探索するBさん 第3章 幽閉されるアイヌと遺骨 第2部 インターセクショナリティ 第4章 アイヌ女性と複合差別――ヘイトスピーチと闘う多原良子さん 第5章 先住民フェミニズム批評――Ain't I a Woman? /「私」は女ではないの? 第3部 アイヌと外部を行き来する 第6章 羽をパタパタさせればいい――アイヌ近現代史研究者である新井かおりさん 第7章 家出少年は傍らに神話を持つ――美術家結城幸司さん 第8章 思想的消費とまなざしの暴力 終 章 まなざしの転換 あとがき 交差する場所をひらく 謝 辞 - 著者プロフィール - 石原 真衣 (イシハラ マイ) (著/文) 1982年北海道サッポロ市生まれ.アイヌと琴似屯田兵(会津藩)のマルチレイシャル.北海道大学アイヌ・先住民研究センター准教授.文化人類学,先住民フェミニズム.著書に『〈沈黙〉の自伝的民族誌(オートエスノグラフィー)』(北海道大学出版会2020,大平正芳記念賞),編著書に『アイヌからみた北海道150年』(北海道大学出版会2021),『記号化される先住民/女性/子ども』(青土社2022)など. 村上 靖彦 (ムラカミ ヤスヒコ) (著/文) 1970年東京都生まれ.大阪大学人間科学研究科教授・感染症総合教育研究拠点(CiDER)兼任教員.現象学.著書に『摘便とお花見』(医学書院2013,日本学術振興会賞),『子どもたちがつくる町』(世界思想社2021),『ケアとは何か』(中公新書2021),『「ヤングケアラー」とは誰か』(朝日新聞出版2022),『客観性の落とし穴』(ちくまプリマー新書2023),『すき間の哲学』(ミネルヴァ書房2024近刊)など.
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ひとりみんぱく | 松岡 宏大
¥3,520
国書刊行会 2024年 ハードカバー 256ページ 四六変型判 - 内容紹介 - もしかしたら「物の本」だと思っている人もいるかもしれないが、これは「旅の本」だ。(「あとがき」より) ◇ 「ひとりみんぱく」とはなにか? 写真家・編集者・ライターとして世界中を旅してきた松岡宏大氏の部屋には、世界各地の文物であふれている。みんぱく=国立民族学博物館。すなわち、わが家の民族学博物館、それが「ひとりみんぱく」だ。1990年代よりバックパッカーとして世界をめぐり、現地で出会った人々や景色、そして蒐集してきた数々の物もの。土器、漆器、仮面、仏像、絨毯……どこか不思議な魅力をもつ工芸、民藝の数々。インドで、チベットで、ミャンマーで、リビアで、サハラ砂漠で、文物からは旅の記憶があふれだし、含蓄? 蘊蓄? 軽快なるエッセイを挟みつつおくる本書は、物の本か? 旅の本か? 地球をまるごと感じる、The Museum of Ethnology in My Hands! 松岡氏は、『地球の歩き方 インド』をまとめ、美しき絵本『夜の木』で知られるタラブックスの本を上梓するなど、とりわけインドに造詣が深い。私家版『ひとりみんぱく123』『ひとりみんぱく45』が好評、美しい本づくりで定評のサイトヲヒデユキ氏のブックデザインを得て、満を持して世の中におくりだす! 収録物品120点超に、美しい旅の写真。美麗クロス装。 ◇ 「みんぱく」とは大阪の万博記念公園内、太陽の塔のとなりに建つ「国立民族学博物館」の愛称である。本書の『ひとりみんぱく』というタイトルであるが、これは初めて僕が「みんぱく」を訪れた際、「うちにもあるな……」という感想を抱いたことに由来する。 仕事柄、世界中を旅しながら暮らしてきたが、行く先々でその土地の文物を蒐集してしまうところがある。その文物は、世間的な価値とはまったく無縁だが、自分の好奇心の方向性から、その国の文化・歴史・神話を内包しているものを好む傾向にある。そして、日本に帰ったあと、部屋で一緒に旅の思い出を語り合える話し相手のようなものであることが重要だと考えている。もちろん日本で手に入れたものや、人からいただいたものも含まれている。しかし、自分の旅してきた道筋から外れないよう心がけている。蒐集の基準軸は、常に「個人的な旅の記憶」と「人とつながり」に置いている。 今回、本書を著すにあたり自らの蒐集した品々をあらためて見返してみたが、本当に役に立たないものばかりだ。残念だ。同時に、僕にとってはかけがえのないものばかりだ。 これらの文物を手のひらにのせ愛でてみる。重みや質感、細工、その歪みや温みを確かめる。太陽の光の下で陰が際立つものもあれば、暗闇の中でこそ光り輝くものもある。それは自分の手で触れてこそわかることで、自分の足で旅をしてこそ出会える風景と一緒だ。 僕はこれらを手に入れたときに出会った人たちの顔や祈りの景色を思い出すだろう。そこで吹いていた風や夜空を満たす星のことを思い出すだろう。 旅の記憶こそ僕にとっていちばんの財産なのだから。 (「まえがき」より) - 著者プロフィール - 松岡宏大 (マツオカコウダイ) (著/文 | 写真) 写真家・編集者など。『地球の歩き方 インド』など、インドやアフリカを中心に辺境エリアのガイドブックの取材・編集に携わる。共著に『持ち帰りたいインド』(誠文堂新光社)、『タラブックス――インドのちいさな出版社、まっすぐに本をつくる』(玄光社)などがある。またインドのTara Booksよりバッジュ・シャームとの共著『Origins of Art: The Gond Village of Pathangarh』を上梓。写真展として『アディワシ――大地と生きる人々』(bonon kyoto、KYOTO GRAPHIE KG +)、『TRIBES in BASTAR』(Rungta)を開催。KAILAS名義で著作やイベントもおこなう。
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新版 縄文聖地巡礼|坂本龍一, 中沢新一
¥2,420
SOLD OUT
イースト・プレス 2023年 ソフトカバー 224ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ19mm - 内容紹介 - ぼくたちは、 未来に向かって 縄文の古層へ旅をする 以前から縄文文化に深い関心を寄せてきた音楽家の坂本龍一氏と、人類学者の中沢新一氏が、縄文の古層に眠る、わたしたちの精神の源泉に触れるため、聖地を巡り、語り合います。 諏訪、若狭、敦賀、奈良、紀伊田辺、鹿児島、そして青森へ――― 社会的な状況が大きく変化している現在、これからのヴィジョンを見つけるために、ふたりが人間の心の始まり「縄文」へと潜っていきます。 【もくじ】 なにを、どうつたえ、つくっていくのか 縄文とは何か プロローグ 三内丸山遺跡からはじまった、ふたりの旅 第一章 諏訪 第二章 若狭・敦賀 第三章 奈良・紀伊田辺 第四章 山口・鹿児島 第五章 青森 エピローグ さらなる旅に向けて 旅のしおり - 著者プロフィール - 坂本龍一 (サカモトリュウイチ) (著/文) 1952年1月17日、東京生まれ。東京藝術大学大学院修士課程修了。1978年『千のナイフ』でソロデビュー。同年、YMOの結成に参加。1983年に散開後は『音楽図鑑』『BEAUTY』『async』『12』などを発表、革新的なサウンドを追求し続けた姿勢は世界的に高い評価を得た。映画音楽では『戦場のメリークリスマス』で英国アカデミー賞作曲賞、『ラストエンペラー』でアカデミー賞作曲賞、ゴールデングローブ賞最優秀作曲賞、グラミー賞映画・テレビ音楽賞など多数、『The Sheltering Sky』では2度目のゴールデングローブ賞最優秀作曲賞を受賞した。『LIFE』『TIME』などの舞台作品、韓国や中国での大規模インスタレーション展など、アート界への越境も積極的に行なった。環境や平和問題への言及も多く、森林保全団体「more trees」を創設。また「東北ユースオーケストラ」を設立して被災地の子供たちの音楽活動を支援した。2023年3月28日、71歳で死去。 中沢新一 (ナカザワシンイチ) (著/文) 人類学者。1950年山梨県生まれ。東京大学大学院博士課程満期終了。インド・ネパールでチベット仏教を学ぶ。帰国後、人類の思考全域を視野に入れた新しい知のあり方を提唱。人類学のみならず、歴史、哲学、民俗学、経済学、自然科学の分野にまたがる広汎な研究に従事する。著書に『チベットのモーツァルト』『雪片曲線論』『森のバロック』『フィロソフィア・ヤポ二カ』『カイエ・ソバージュ』シリーズ、『精霊の王』『アースダイバー』シリーズ、『レンマ学』など多数。2023年春に『精神の考古学』(新潮社)が刊行される。
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増補改訂 アースダイバー|中沢 新一, 大森 克己(著/文 | 写真)
¥2,530
講談社 2019年 ハードカバー 384ページ A5変型判 - 内容紹介 - 2005年の大ブームから13年を経て、東京アースダイバーの完全版なる! 縄文、そして「海民」へと日本のルーツを遡り、地形の無意識、文化と自然の相互作用を探るアースダイビングは、見えない東京を私たちに教える。今回の増補改訂で隅田川と多摩川流域といった海民文化の要素が色濃く残る地域を追加しました。そして東京の中心地であり、アースダイバーの出立点である大宮八幡へと帰還する旅が完了する。 2005年、『アースダイバー』は、東京の風景が一変する散歩の革命を起こし大ベストセラーになりました。野生の東京を描く東京創世記でした。 その後、『大阪アースダイバー』(2012)『アースダイバー 東京の聖地』(2017)、『アースダイバー 神社編』(刊行準備中)と日本の歴史を書きかえる射程をもつ大きなプロジェクトになっています。 縄文、そして「海民」へと日本のルーツを遡り、地形の無意識、文化と自然の相互作用を探るアースダイビングは、見えない東京を私たちに教えてくれます。 今回の増補改訂で隅田川と多摩川流域といった海民文化の要素が色濃く残る地域を追加しました。 そして東京の中心地であり、アースダイバーの出立点である大宮八幡へと帰還します。 東京アースダイバーの決定版にして完結版! 【120ページ加筆】 【全24点アースダイビング・マップ付き】 【第9回桑原武夫学芸賞受賞】 [目次] 増補改訂 まえがき プロローグ 第1章 ウォーミングアップ―東京鳥瞰 第2章 湿った土地と乾いた土地―新宿~四谷 第3章 死と森―渋谷~明治神宮 第4章 タナトスの塔 異文/東京タワー―東京タワー 第5章 湯と水―麻布~赤坂 間奏曲(1)―坂と崖下 第6章 大学・ファッション・墓地―三田、早稲田、青山 第7 職人の浮島―銀座~新橋 第8章 モダニズムから超モダニズムへ―浅草~上野~秋葉原 第9章 東京低地の神話学―下町 第10章 海民がつくった下町-隅田川 第11章 よみがえる南郊-多摩川 間奏曲(2) 森番の天皇―皇居 最終章 ムサシ野オデッセイ あとがき - 著者プロフィール - 中沢 新一 (ナカザワ シンイチ) (著/文) 1950年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、明治大学野生の科学研究所所長。思想家。 著書に『日本の大転換』『アースダイバー』、『カイエ・ソバージュ』(小林秀雄賞)、『チベットのモーツァルト』(サントリー学芸賞)『森のバロック』(読売文学賞)『哲学の東北』(青土社、斎藤緑雨賞)など多数ある。
