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ミダック横町|ナギーブ・マフフーズ, 香戸精一(翻訳)
¥2,970
作品社 2023年 ハードカバー 376ページ 四六判 - 内容紹介 - ミダック横町が過ぎ去りし時代の偉大なる遺産で、かつてはカイロの街に真珠のごとく光り輝いたであろうことは間違いない。 カイロの下町に生きる個性豊かな人々の姿を軽妙に描く、 ノーベル文学賞作家による円熟の傑作長編、本邦初訳! カフェ店主、理髪師、女衒、寡婦、政治家、詩人、物乞い。1940年代エジプト・カイロの下町に生きる人間群像、近代庶民の「千夜一夜」をノーベル賞作家ナギーブ・マフフーズの円熟のペンが鮮やかに描き出す。 『ミダック横丁』がこのたびアラビア語の文語・口語いずれにも精通した翻訳者の手により成った。この翻訳が日本の読書界を潤すことを願ってやまない。 藤井章吾(元大阪大学外国語学部アラビア語専攻准教授) 目次 主要登場人物一覧 第1章 キルシャ亭に集う人々 第2章 ハミーダの母と大家のアフィーフィ夫人 第3章 ハミーダ 第4章 アッバースとフセイン 第5章 夕方の散歩に出るハミーダ 第6章 キルシャ氏のアバンチュール 第7章 不具づくりのザイタ 第8章 オルワーン社長の秘められた欲望 第9章 憤懣やるかたないキルシャ夫人 第10章 アッバースの愛の告白 第11章 相談を受けるラドワーン・フセイニ氏 第12章 ついに反撃に出たキルシャ夫人 第13章 婚約、そしてアッバースの旅立ち 第14章 フセイン・キルシャの家出 第15章 スナイヤ・アフィーフィ夫人の縁談 第16章 ザイタの淫夢 第17章 オルワーン社長の一大決心 第18章 ハミーダと母の夢は叶うか 第19章 政治集会の夜 第20章 ハミーダとあの男 第21章 金の義歯床 第22章 オルワーン社長の生還 第23章 ハミーダとファラグ 第24章 ハミーダ、ミダック横町との決別 第25章 戻ってきたフセイン 第26章 ティティが見たファラグの学校 第27章 闇夜の盗掘 第28章 休暇で戻ってきたアッバース 第29章 変わり果てたオルワーン社長 第30章 アッバース、初めて口にする酒の味 第31章 叶わぬハミーダの夢 第32章 ハミーダとアッバースの再会 第33章 ラドワーン・フセイニ氏、巡礼への旅立ち 第34章 酒場の悲劇 最終章 死を恐れる愛など本当の愛ではない 訳者あとがき - 著者プロフィール - ナギーブ・マフフーズ (ナギーブマフフーズ) (著/文) (Naguib Mahfouz)1911年、エジプト・カイロ生まれ。主な小説作品に、『ミダック横町』(1947、本書)、『蜃気楼』(1948)のほか、『張り出し窓の街(バイナル・カスライン)』(1956)、『欲望の裏通り』(1957)、『夜明け』(1957)の「カイロ三部作」、『渡り鳥と秋』(1962)などがある。1988年、ノーベル文学賞受賞。2006年逝去。 香戸精一 (コウドセイイチ) (翻訳) (こうど・せいいち)兵庫県神戸市生まれ。1981年、大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)卒業。1984年、同大学院アラビア語専攻科修了。1983年、文部省(現・文部科学省)交換留学制度の国費留学でエジプト・カイロ大学文学部アラビア語学科の聴講生として1年間受講。卒業後は、主に通信業界で英語の通訳・翻訳者として活動。
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海の仙人・雉始雊 |絲山 秋子
¥913
SOLD OUT
河出書房新社 2023年 河出文庫 ソフトカバー 184ページ 文庫判 縦149mm 横105mm 厚さ10mm - 内容紹介 - 宝くじに当たった河野は会社を辞め敦賀に引っ越した。何もしない静かな日々に役立たずの神様・ファンタジーが訪れ、奇妙な同居が始まった。芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した傑作に「雉始雊」を増補。
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アメリカへようこそ|マシュー・ベイカー, 田内 志文(翻訳)
¥2,750
KADOKAWA 2023年 ハードカバー 496ページ 四六判 - 内容紹介 - 「幽霊語」を生み出す辞書編纂者の正義、儀式で絶命することが名誉な一家の恥さらしな叔父、社会に辟易しデジタルデータになる決意をした息子と母親の葛藤、幸せな日々を送る男の封印された終身刑の記憶、生物園の男と逢瀬を重ねる女、女王陛下と揶揄された少女の絶望と幸福の告白、空っぽの肉体をもつ新生児が生まれはじめた世界の恐るべき魂の争奪戦、合衆国から独立したテキサスの町「アメリカ」の群像悲喜劇、逆回転する世界に生まれた僕の四次元的物語―― 現代アメリカの暗部と矛盾、恐れと欲望、親密さと優しさ。 奇想天外な世界の住人たちのリアルな情動に息を呑む、驚異的作品集。 【目次】 売り言葉 儀 式 変 転 終身刑 楽園の凶日 女王陛下の告白 スポンサー 幸せな大家族 出 現 魂の争奪戦 ツアー アメリカへようこそ 逆回転 訳者あとがき - 著者プロフィール - マシュー・ベイカー (マシュー ベイカー) (著/文) ミシガン州生まれ。バンダービルト大学にて美術学修士号取得、同大学の文芸誌ナッシュビル・レヴューを創刊。ニューヨーク在住。著書に2016年エドガー賞児童図書部門にノミネートされたIf You Find This、短篇集Hybrid Creaturesがあり、ほかにも数多くの文芸誌で短篇小説を発表している。Variety誌の「注目すべき作家10人」(2019)に選ばれるなど若手作家の注目株。 田内 志文 (タウチ シモン) (翻訳) 1974年埼玉県生まれ。翻訳家、文筆家。フリーライターを経て渡英、イースト・アングリア大学大学院にて翻訳を専攻。訳書に『Good Luck』(ポプラ社)などがある。弊社では、『ジキル博士とハイド氏』で重版を重ねている。
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大丈夫な人|カン・ファギル, 小山内 園子(翻訳)
¥2,200
白水社 2022年 エクス・リブリス ハードカバー 282ページ 四六判 - 内容紹介 - 欧米も注目する 韓国の奇才による初の短篇小説集 日常生活で女性が襲われる理不尽と絶望を純文学に昇華し、韓国の女性を中心に絶大な支持を得ている女性作家、カン・ファギル。他者の行動の裏に潜む悪意を浮かび上がらせ、現代社会の“弱者”が感じる不安、絡み合い連鎖する不安の正体を自由自在に暴いてみせる。デビュー作「部屋」、若い作家賞受賞の「湖――別の人」、英国の翻訳家デボラ・スミスに注目され、英国で刊行された韓国文学の短篇集に収録されて大きな話題となった「手」など全9篇。 本書に描かれている世界と同様の閉塞的な社会を生きている日本の読者にも不安は迫ってくる。その背後に潜む差別意識や劣等感などに気づかされ、見えているものと見えていないもの、そして、何が真実なのかを突きつけられる。 「湖――別の人」:親友ミニョンの恋人で、周囲から「すごくいい人」と評判の男性イハンと湖に行くのがひどく憂鬱だった「私」。その湖は、ミニョンが暴行された現場だったから。イハンに何度も同行を求められ、彼を疑い続ける自分も信じられなくなってきた「私」は、ついに湖に一緒に行くことにするが……。 「ニコラ幼稚園――貴い人」:「ここに入れば出世する」と噂のニコラ幼稚園。下世話な噂も絶えないが、園児募集の時には毎年長蛇の列ができる。「私」は一人息子のために毎年並ぶ。読み書きを教えてもらえず惨めな思いをした自分の二の舞にならないように……。 「大丈夫な人」:婚約者の彼と車に乗っている「私」。彼は高収入の弁護士。「私」は母親が亡くなり質素な生活をしていたから、他人からはこの結婚が幸運に見えるだろう。だが今車内で「私」は不穏な何かを感じている……。 「手」:夫が海外赴任になり、小学校教諭の「私」は幼い娘を連れ、夫の実家の農村で姑と三人で暮らすことにする。農村の暮らしには違和感がつきまとう。田舎の小学校でもいじめがあり、手を打とうとするが、村人は耳を貸さない。村人が集まり、収穫した豆を町内会館で茹でる日。「それは『手のない日』でなければいけない」と言う姑に「手」の意味を尋ねると、村では悪鬼を「手」と呼ぶのだという。悪鬼とは、村に入ってきて、人に悪さをしたり邪魔したりする女のこと……。 目次 湖――別の人 ニコラ幼稚園――貴い人 大丈夫な人 虫たち あなたに似た歌 部屋 雪だるま グル・マリクが記憶していること 手 訳者あとがき - 著者プロフィール - カン・ファギル (カン ファギル) (著/文) 1986年、全州市生まれ。2012年、短篇小説「部屋」でデビュー。2016年に短篇集『大丈夫な人』、2017年に初の長篇『別の人』(小山内園子訳、エトセトラブックス、2021年)で第22回ハンギョレ文学賞を受賞。2020年には短篇小説「飲福」で第11回若い作家賞大賞を受賞した。 本作に収録された「手」は、英国の翻訳家デボラ・スミスに注目され、イギリスで発行された韓国文学ショートストーリーシリーズに収められて大きな話題となった。 小山内 園子 (オサナイ ソノコ) (翻訳) 1969年生まれ。東北大学教育学部卒業。NHK報道局ディレクターを経て、延世大学などで韓国語を学ぶ。 訳書に、キム・ホンビ『女の答えはピッチにある――女子サッカーが私に教えてくれたこと』(白水社)、キム・シンフェ『ぼのぼのみたいに生きられたらいいのに』(竹書房)、チョン・ソンテ『遠足』(クオン)、ク・ビョンモ『四隣人の食卓』(書肆侃侃房)、共訳書に、イ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ』『失われた賃金を求めて』『脱コルセット:到来した想像』(タバブックス)、キム・ジナ『私は自分のパイを求めるだけであって人類を救いにきたわけじゃない』(祥伝社)がある。
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家の本|アンドレア・バイヤーニ, 栗原 俊秀(翻訳)
¥3,960
白水社 2022年 エクス・リブリス ハードカバー 332ページ 四六判 - 内容紹介 - アントニオ・タブッキ、ジュンパ・ラヒリ激賞! 記憶にある最初の家は、おむつをしている「私」が祖母や両親、姉と、そして亀と暮らしていたところだ。やがて、放課後によく通った同級生の女の子の家、ぎこちない空気が重苦しかった親戚の家、ブラインドの空き具合が示す禁断の愛のメッセージを、息をつめてひたすら見上げた家、親が待つ家に帰りたくないがために入り浸った学生仲間の散らかった家、新しい家族を築いていった希望に満ちた家などが、そこにいた人々とともに思い浮かんでくる。なかには、大切な家族が病と闘っていた大きな施設もある。長年持ちつづけてきた家具を、やがて手放すことになった家もある……。家はいつだって見守っている。「私」が過ごしてきた家々が語る、「私」の人生の光と影。 「第一章を読み終えるころにはもう、バイヤーニの言葉の魔力にとり憑かれていた。亀と赤ん坊のなにげない触れ合いを描いただけの文章が、なぜこうも心を揺さぶるのか」(「訳者あとがき」より) 今もっとも注目を集める、ローマ生まれの小説家・詩人が、詩のように愛おしく哀切な言葉で紡ぐ、ストレーガ賞、カンピエッロ賞最終候補作品。 - 著者プロフィール - アンドレア・バイヤーニ (アンドレア バイヤーニ) (著/文) 1975年ローマ生まれ。小説家、詩人。2002年、中篇「教皇が死んだら」で小説家としてデビュー。「もし罪だと思うのなら」(2007年刊行)でモンデッロ賞、「すべての約束」(2010年刊行)でバグッタ賞を受賞。アントニオ・タブッキから「イタリアの文学作品にこれほど興奮し、これほどのめりこんだのは、久しくなかったことだ」と高く評価され、以来、深い親交を結んだ。2013年発表の「私がわかりますか」は、前年に没したタブッキとの交流を描いた作品。2021年に発表された本書『家の本』は、イタリアを代表するふたつの文学賞、ストレーガ賞とカンピエッロ賞双方のファイナリストに選出され話題を呼んだ。現在はライター・イン・レジデンス(大学内在住作家)として、ヒューストンのライス大学でクリエイティブ・ライティングを講じている。 栗原 俊秀 (クリハラ トシヒデ) (翻訳) 翻訳家。専門はイタリア文学。 主要訳書 アントニオ・スクラーティ『小説ムッソリーニ 世紀の落とし子』(河出書房新社)ピエトロ・アレティーノ『コルティジャーナ 宮廷生活』(水声社)ジョン・ファンテ『ロサンゼルスへの道』(未知谷)ゼロカルカーレ『コバニ・コーリング』(花伝社)など。カルミネ・アバーテ『偉大なる時のモザイク』(未知谷)で、須賀敦子翻訳賞、および、イタリア文化財・文化活動省翻訳賞を受賞。
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血を分けた子ども | オクテイヴィア・E・バトラー, 藤井 光(翻訳)
¥2,585
河出書房新社 2022年 ソフトカバー 256ページ 四六変型判 縦188mm 横133mm 厚さ20mm - 内容紹介 - ジャネル・モネイやN・K・ジェミシンらが崇拝するブラックフェミニズムの伝説的SF作家による、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞の三冠に輝いた表題作を含む唯一の作品集。 知っているでしょう? 人類は、私たちの卵を宿すことで、生き延びたの―― 強大な力と知性を持つ節足動物「トリク」が支配する地で、トリクの保護を受けて暮らす人間たち。 人間は、トリクの卵を男性の体内に宿し、育て上げるという役割を担っていた。 ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞の三冠に輝いた究極の「男性妊娠小説」である「血を分けた子ども」。 言語を失い、文明が荒廃し人々が憎しみ合う世界の愛を描き、ヒューゴー賞を受賞した「話す音」。 ある日突然神が現れ、人類を救うという務めを任された女性をめぐる、著者の集大成的短篇「マーサ記」。 7つの小説と2つのエッセイを収録する、著者唯一の作品集が待望の邦訳。 - 著者プロフィール - オクテイヴィア・E・バトラー (バトラー,オクテイヴィア.E) (著/文) 1947年生まれ。アメリカのSF作家。「血を分けた子ども」でヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞を受賞。「話す音」でヒューゴー賞を受賞。2006年に59歳で没後にも伝説的作家として世界的な読者をもつ。 藤井 光 (フジイ ヒカル) (翻訳) 1980年大阪生まれ。同志社大学英文学科教授。おもな訳書に、D・ジョンソン『煙の樹』、A・ドーア『すべての見えない光』、N・ドルナソ『サブリナ』、C・ホワイトヘッド『ニッケル・ボーイズ』など多数。
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82年生まれ、キム・ジヨン | チョ・ナムジュ, 斎藤 真理子(翻訳)
¥748
筑摩書房 2023年 ちくま文庫 ソフトカバー 256ページ 文庫判 - 内容紹介 - キム・ジヨンの半生を克明に振り返り、女性が出会う差別を描き絶大な共感を得たミリオンセラー、ついに文庫化!解説=伊東順子 文庫版解説=ウンユ BTS・RM、少女時代・スヨン、Red Velvet・アイリーンも言及。韓国で社会現象を巻き起こし、チョン・ユミ コン・ユ共演で映画化。 「これは、わたしの物語だ」 韓国136万部、日本23万部、32の国・地域で翻訳、 韓国文学やフェミニズム隆盛の契機となり、絶大な共感で世界緒揺るがした〈事件的〉小説、待望の文庫化! 「女性たちの絶望が詰まったこの本は、未来に向かうための希望の書」――松田青子 「フェミニズムって、実は学問でも思想でもなく、女性たちの日常の中にある。それは生きるものであり、暮らすものだ。ということを小説にしたからこんなにパワフルなんだと思う。日本のキム・ジヨンも読みたくなった。」――ブレイディみかこ 「これは女性だけの物語ではない。フェミニズムに抵抗がある人にも読んで欲しいし、一緒に考えるべき一冊だと思う。10年後のキム・ジヨンがどんな人生を送っているか、それは今を生きる私たちにかかっている。」――村田沙耶香 「誰もが一度は気になったことがあるかもしれないけどやり過ごしていたこと、或いは疑問も抱かず当たり前だと思っていたことに今更ながら気づきを与えてくれる。」――和田彩花 キム・ジヨンの人生を克明に振り返る中で、女性が人生で出会う差別を描き、絶大な共感で世界を揺るがした〈事件的〉小説、待望の文庫化! BTSのRMらが言及、チョン・ユミ、コン・ユ共演で映画化。韓国で136万部、日本で23万部を突破。フェミニズム、韓国文学隆盛の契機となる。文庫化にあたり、新たな著者メッセージと訳者あとがき、評論を収録。 解説=伊東順子 評論=ウンユ 目次 二〇一五年秋 一九八二年~一九九四年 一九九五年~二〇〇〇年 二〇〇一年~二〇一一年 二〇一二年~二〇一五年 二〇一六年 原注 著者あとがき 日本の読者の皆さんへ 文庫版に寄せて 著者からのメッセージ 解説 伊東順子 評論『82年生まれ、キム・ジヨン』以後に女性が語り、書くということ ウンユ 訳者あとがき 文庫版訳者あとがき - 著者プロフィール - チョ・ナムジュ(ちょ・なむじゅ):1978年ソウル生まれ。「耳をすませば」で文学トンネ小説賞に入賞。2016年『コマネチのために』でファンサンボル青年文学賞受賞。『82年生まれ、キム・ジヨン』で第41回今日の作家賞を受賞(2017年)、ミリオンセラーとなる。著書に『彼女の名前は』(小山内園子、すんみ訳)、『サハマンション』(斎藤真理子訳)いずれも筑摩書房刊、『ミカンの味』(矢島暁子訳、朝日新聞出版)他。 斎藤 真理子(さいとう・まりこ):翻訳家。『カステラ』(パク・ミンギュ著、ヒョン・ジェフンとの共訳 クレイン)で第一回日本翻訳大賞受賞。著者に『韓国文学の中心にあるもの』(イースト・プレス)、訳書に『サハマンション』他多数。
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嫉妬/事件 | アニー・エルノー, 菊地 よしみ(翻訳), 堀 茂樹(翻訳)
¥1,188
早川書房 2022年 ハヤカワepi文庫 ソフトカバー 224ページ 文庫判 縦157mm 横106mm 厚さ8mm - 内容紹介 - 中絶手術が違法だった時代に妊娠することの葛藤を描く金獅子賞受賞映画の原作「事件」と、元恋人への盲執を描く「嫉妬」を併録。
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星の時 |クラリッセ・リスペクトル
¥2,695
河出書房新社 2021年 ハードカバー 192ページ 四六変形判 - 内容紹介 - 地方からリオのスラム街にやってきた、コーラとホットドッグが好きなタイピストは、自分が不幸であることを知らなかった――。「ブラジルのヴァージニア・ウルフ」による、ある女への大いなる祈りの物語。 23言語で翻訳、世界的再評価の進む20世紀の巨匠が生んだ奇跡の文学。 「20世紀のもっとも謎めいた作家のひとり」(オルハン・パムク) 「カフカやジョイスと同じ正殿に属する」(エドマンド・ホワイト) 「オブライエン、ボルヘス、ペソアと並ぶ20世紀の隠れた天才」(コルム・トビーン) 「ブラジルのヴァージニア・ウルフ」(ウォール・ストリート・ジャーナル) 荒野からやってきた北東部の女・マカベーアの人生を語る、作家のロドリーゴ・S・M。リオのスラム街でタイピストとして暮らし、映画スターに憧れ、コカコーラとホットドッグが好きで、「不幸であることを知らない」ひとりの女の物語は、栄光の瞬間へと導かれてゆく――。 - 著者について - クラリッセ・リスペクトル (リスペクトル,クラリッセ) 1920年ウクライナ生まれ。大戦下にブラジルへ移住。43年の初小説でグラッサ・アラニャ賞を受賞。その後英米伊ほか外国生活の末帰国、77年に亡くなるまでをリオで過ごす。著書『GHの受難/家族の絆』ほか。 福嶋 伸洋 (フクシマ ノブヒロ) 1978年新潟県生まれ。共立女子大学文芸学部准教授。著書に『魔法使いの国の掟』『リオデジャネイロに降る雪』、訳書に『マクナイーマ』『オルフェウ・ダ・コンセイサォン』がある。
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その丘が黄金ならば | C・パム・ジャン, 藤井 光(翻訳)
¥2,970
早川書房 2022年 ハードカバー 384ページ 四六判 縦188mm 横131mm 厚さ22mm - 内容紹介 - 父が亡くなり、孤児になったサムとルーシー。二人は亡骸を埋葬する場所を探すため、広大な土地を彷徨う。それは、中国系移民の過去をめぐる壮大な旅の始まりだった──。ゴールドラッシュ以後の西部を舞台にしたブッカー賞候補作。オバマ元大統領が薦める一冊
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タワー | ペ・ミョンフン, 斎藤 真理子(翻訳)
¥2,420
河出書房新社 2022年 ソフトカバー 330ページ 四六判 縦210mm 横150mm 厚さ10mm - 内容紹介 - 674階建巨大タワー国家――。地上からの脅威が迫り、下層階を軍隊、上層階を富裕層が占める〈ビーンスターク〉の人々は、不完全で、優しい。 犬の俳優Pの謎、愛国の低所恐怖症、デモ隊vs.インド象、大陸間弾道ミサイル、テロリストの葛藤…… チョン・セラン、パク・チャヌク激賞!! 韓国SFの金字塔にして、笑いと涙の摩天楼エンタテインメントが、ついに日本上陸!
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消失の惑星【ほし】 | ジュリア・フィリップス, 井上 里(翻訳)
¥2,420
早川書房 2021年 ソフトカバー 400ページ 四六判 縦188mm 横131mm 厚さ22mm - 内容紹介 - カムチャツカの街で幼い姉妹が行方不明になった。事件は半島中に影を落とす。2人の母親、目撃者、恋人に監視される大学生、自身も失踪した娘をもつ先住民の母親……女性たちの語りを通し、事件、そして日々の見えない暴力を描き出す、米国作家のデビュー長篇
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キリンの首 | ユーディット・シャランスキー, 細井 直子(翻訳)
¥2,970
河出書房新社 2022年 ソフトカバー 242ページ 四六変型判 縦198mm 横131mm 厚さ24mm - 内容紹介 - 進化論を信奉する厳格な生物学教師と、自然淘汰に晒される高校生たちの氷のような世界。世界22か国で翻訳されるベストセラー。 - 著者プロフィール - ユーディット・シャランスキー (シャランスキー,ユーディット) (著/文) 1980年、東ドイツ生まれ。作家・ブックデザイナー。『奇妙な孤島の物語』は世界的ベストセラー。『失われたいくつかの物の目録』などの著書は、世界20か国以上で翻訳され、ヴィルヘルム・ラーべ賞など受賞多数。 細井 直子 (ホソイ ナオコ) (翻訳) 1970年生まれ。慶應義塾大学文学部博士課程単位取得退学。訳書に、シャランスキー『失われたいくつかの物の目録』(第7回日本翻訳大賞受賞)、ハウゲン『月の石』、フンケ『竜の騎士』など。
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純粋な人間たち|モハメド・ムブガル=サール, 平野暁人(翻訳)
¥2,530
英治出版 2022年 ハードカバー 224ページ 四六判 - 内容紹介- 30代にしてフランスの最も権威ある文学賞の一つ、 ゴンクール賞を受賞したセネガル人作家、初邦訳作品! 同性愛が赦されない罪だというのなら、 それを裁く人々は無実でいられるのだろうか。 実際に起こった事件を題材にセネガル社会のタブーに切り込み、 集団で正義を行使する人間の暴力性と、 誰もが持つ排斥の恐怖を描いた衝撃作。 セネガル人の若き文学教員はある日、ネット上で拡散されていた動画を目にする。 そこに映っていたのは、同性愛者の疑惑をかけられ死んだ男性の墓を人々が暴いている様子だった。 掘り返された男性の遺体が妙に頭から離れなくなっていた彼は バイセクシュアルのセフレ、次期イマーム候補者である父、 掘り返された男性の母親など多くの人と言葉を交わすうちに 思ってもみなかった真実と対峙することになる。 著者プロフィール モハメド・ムブガル=サール (モハメドムブガルサール) (著/文) 1990年、セネガルはダカールに生まれる。医者の父親をもち、セネガル随一の名門高校を卒業後、渡仏。名門グラン・ゼコールの1つとして知られる社会科学高等研究院に入学し、現在も博士課程に在籍。 2015年、ジハーディストに占拠されたサヘル(北アフリカの丘陵地帯)の架空の村を舞台にしたデビュー作『Terre ceinte(仮題:囲まれた地)』でアマドゥ・クルマ文学賞、Prix du roman métis des lycéens(高校生が選ぶ多文化小説賞)受賞。2017年、シチリア島のある村へ流れ着いた移民たちを描いた第2作『Silence du choeur(仮題:聖歌隊の沈黙)』でサン・マロ市主催世界文学賞受賞。 2021年、『La plus secrète mémoire des hommes』で、フランスで最も権威のある文学賞の一つであるゴンクール章を受賞。 平野暁人 (ヒラノアキヒト) (翻訳) 翻訳家(日仏伊)。戯曲から精神分析、ノンフィクションまで幅広く手掛けるほか、舞台芸術専門の通訳者としても国内外の劇場に拠点を持ち活躍。主な訳書に『隣人ヒトラー』(岩波書店)、『「ひとりではいられない」症候群』(講談社)など。
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アーモンドの木 | ウォルター・デ・ラ・メア, 和爾 桃子(翻訳)
¥1,980
白水社 2022年 白水Uブックス ソフトカバー 300ページ 新書判 - 内容紹介 - 子供の目に映った世界 ヒースの原野の縁に建つ家で孤立した生活を送る一家に、父親の不倫という暗い影が差す。聖バレンタインの日、父親は雪降る外の闇へ出ていくが……少年の目を通して家庭の悲劇を描いた「アーモンドの木」。級友のシートンに誘われ彼の伯母の家を訪れるが、なぜかシートンは伯母をひどく怖れ憎んでいた……謎めいた暗示に満ちた「シートンの伯母さん」。石屋敷の三姉妹は父親の死後、自分たちが破産したことを知った。幼い頃から空想の世界に遊んでいた三女は、失意に沈む姉たちをよそに、零落し人気のなくなった屋敷で生き生きと暮らし始める……「ルーシー」ほか全七篇。 子供の目に映った世界、想像力と幻想の世界を繊細なタッチで描き、世界中の読者に愛されてきた英国の作家・詩人ウォルター・デ・ラ・メアの珠玉の短篇を、エドワード・ゴーリーの仄かな恐怖と寂寥を湛えた挿絵とともに収録した傑作選。 - 著者プロフィール - ウォルター・デ・ラ・メア (ウォルター デ ラ メア) (著/文) 1873-1956年。イギリスの小説家・詩人・児童文学作家。ケント州チャールトンに生まれる。セント・ポール大聖堂の聖歌隊学校を中退後、アメリカの石油会社のロンドン支社で働きながら創作に励んだ。第一詩集『幼年の歌』(1902)、長篇小説『ヘンリー・ブロッケン』(04)で注目を集め、1908年、職を辞して作家生活に入る。長篇『ムルガーのはるかな旅』(10)、『死者の誘い』(10)、『侏儒の回想録』(21。ジェイムズ・テイト・ブラック文学賞)、短篇集『謎』(23)、『魔女の箒』(25)、『子供のための物語集』(47。カーネギー賞)、詩集『耳をすます者たち』(12)、『孔雀のパイ』(13)など多くの著作がある。 和爾 桃子 (ワニ モモコ) (翻訳) 慶應義塾大学中退、英米文学翻訳家。訳書にサキ『クローヴィス物語』『けだものと超けだもの』『平和の玩具』『四角い卵』(白水社)、ジョン・ディクスン・カー『夜歩く』(創元推理文庫)、『夜ふけに読みたい動物たちのグリム童話』(共訳、平凡社)などがある。
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話の終わり | リディア・デイヴィス, 岸本 佐知子(翻訳)
¥1,980
白水社 2022年 白水Uブックス ソフトカバー 298ページ 新書判 - 内容紹介 - 書くことをめぐる無二の長編 「翻訳の仕事をしていると、たまに「自分が今までに訳したものの中で一冊だけ自分が書いたことにできるなら何か」と質問されることがある。そんなとき、私はいつだって「『話の終わり』!」と即答してきた。それくらい私にとっては愛着の深い作品だ」(本書「訳者あとがき」より) 語り手の〈私〉は12歳年下の恋人と別れて何年も経ってから、交際していた数か月間の出来事を記憶の中から掘り起こし、かつての恋愛の一部始終を再現しようと試みる。だが記憶はそこここでぼやけ、歪み、欠落し、捏造される。正確に記そうとすればするほど事実は指先からこぼれ落ち、物語に嵌めこまれるのを拒む―― ミランダ・ジュライなど下の世代の作家にもファンの多い「アメリカ文学の静かな巨人」デイヴィスの、代表作との呼び声高い長編が待望の復刊! デイヴィス作品三か月連続刊行第一弾。 - 著者プロフィール - リディア・デイヴィス (リディア デイヴィス) (著/文) 1947年マサチューセッツ州生まれ、ニューヨーク州在住。著書に『ほとんど記憶のない女』『分解する』『サミュエル・ジョンソンが怒っている』(白水Uブックス)、Varieties of Disturbance、Can’t and Won’tなど。プルーストの『失われた時を求めて』第一巻『スワン家の方へ』の新訳が高く評価されるほか、ビュトール、ブランショ、レリス、フロベールなどフランス文学の英訳者としても知られ、フランス政府から芸術文化勲章シュヴァリエを授与されている。2003年にはマッカーサー賞、2013年には国際ブッカー賞を受賞した。 岸本 佐知子 (キシモト サチコ) (翻訳) 上智大学文学部英文学科卒。翻訳家。訳書にL・ベルリン『掃除婦のための手引き書』『すべての月、すべての年』、L・デイヴィス『ほとんど記憶のない女』、M・ジュライ『いちばんここに似合う人』、G・ソーンダーズ『十二月の十日』、J・ウィンターソン『灯台守の話』、S・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』、N・ベイカー『中二階』『もしもし』、T・ジョーンズ『拳闘士の休息』、S・タン『内なる町から来た話』など。編訳書に『変愛小説集』『居心地の悪い部屋』『楽しい夜』など。著書に『気になる部分』『ねにもつタイプ』(講談社エッセイ賞)『死ぬまでに行きたい海』などがある。
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金色昔日【こんじきせきじつ】 現代中国SFアンソロジー | ケン・リュウ, 大森 望(翻訳), 中原 尚哉(翻訳), 大谷 真弓(翻訳), 鳴庭 真人(翻訳), 古沢 嘉通(翻訳)
¥1,518
早川書房 2022年 ハヤカワ文庫SF ソフトカバー 720ページ 文庫判 縦157mm 横106mm 厚さ27mm - 内容紹介 - 『三体X』著者・宝樹が、中国史とある男女の人生を重ね合わせて綴った表題作、劉慈欣による佳品など、14作家による16篇を収録! ※本書は新☆ハヤカワ・SF・シリーズ『月の光 現代中国SFアンソロジー』を改題・文庫化したものです。
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地球の果ての温室で | キム・チョヨプ, カン・バンファ(翻訳)
¥2,200
早川書房 2023年 ハードカバー 384ページ 四六判 縦188mm 横131mm 厚さ21mm - 内容紹介 - 謎の蔓草モスバナの異常繁殖地を調査する植物学者のアヨンは、そこで青い光が見えたという噂に心惹かれる。幼い日に不思議な老婆の温室で見た記憶と一致したからだ。アヨンはモスバナの正体を追ううち、かつての世界的大厄災時代を生き抜いた女性の存在を知る
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このやさしき大地 | ウィリアム・ケント・クルーガー, 宇佐川 晶子(翻訳)
¥3,300
早川書房 2022年 ハードカバー 488ページ 四六判 縦188mm 横131mm 厚さ23mm - 内容紹介 - 1932年、ミネソタ。教護院に暮らすオディは、ある日、暴力を振るう職員を殺してしまう。彼はおばに会うため、兄や親友、竜巻で母親を失ったばかりのエミーと施設から逃げ出し、一路カヌーでミシシッピ川を目指すが――。少年たちのひと夏の冒険と成長の物語。
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ダイダロス | 塩崎 ツトム
¥2,420
早川書房 2023年 ソフトカバー 376ページ 四六判 縦188mm 横131mm 厚さ21mm - 内容紹介 - 1974年、ユダヤ人の文化人類学者アランと医師バーネイズは、〈生命の泉〉計画に関与したナチスの生物学者マウラーをブラジルのジャングルに追う。やがて日系人青年タテイシとアランは奇怪な刺青の少女を目撃する。マジックリアリズム×バイオテクノロジーSF
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時ありて | イアン・マクドナルド, 下楠 昌哉
¥2,200
早川書房 2022年 ソフトカバー 168ページ 四六判 縦194mm 横137mm 厚さ17mm - 内容紹介 - 戦記ノンフィクションを専門に扱う古書ディーラーが、即売会で手にした一冊の詩集『時ありて』。彼は詩集に挟まれた手紙に書かれた事実を追ううちに、第二次大戦の戦火を生きた二人の男をめぐる迷宮を彷徨うことになる。英国SF界のレジェンドによる傑作時間SF
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もうすぐ二〇歳 | アラン・マバンク, 藤沢満子(翻訳), 石上健二(翻訳)
¥1,760
晶文社 2023年 ハードカバー 408ページ 四六判 - 内容紹介 - 舞台は1970年代終わり頃のコンゴの大都市ポワント=ノワ ール。主人公はアルチュール・ ランボーの『地獄の季節』を愛読し、ブラッサンスを愛聴する少年ミシェル、12歳。ガールフレンドは愛くるしい同級生のカロリヌ。父親はフランス人所有のホテルで働き、白人客が残した本を家に持ち帰ってくる。母親はもう一人子供をほしがっていて、「お腹を開く鍵」はミシェルがもっていると呪術師が告げる。飛行機が頭上を横切り、ミシェルと年上の友人ルネスは着陸する国を夢見ている。自国はマルクス• レーニン主義一党独裁体制。ラジオからはテヘランアメリカ大使館人質事件、イラン皇帝シャーの死などのニュースが流れる。少年ミシェルの周りにおこる数々の波瀾、ユーモラスな出来事、不思議な経験を作家アラン・ マバンクは淡々と暖かい眼差しで描いていく。幼年・青春の思い出を下敷きにした感動の自伝小説。 - 著者プロフィール - アラン・マバンク (アランマバンク) (著/文) 1966年、コンゴ共和国ポワント=ノワール生まれの小説家、詩人、評論家、大学教授。首都ブラザヴィルの大学で法律を学び、22歳のとき奨学金を得てフランス留学。ナント大学、パリ第七大学(総合)、パリ・ドーフィン大学(経済・経営)で学ぶ。最初の小説 Bleu-Blanc-Rouge(1998年)でブラック・アフリカ文学大賞を受賞し一躍注目を集めた。小説Verre cassé(2005年)でフランコフォニー五大陸賞、Mémoires de porc-épic(2006年)でルノド賞受賞。2015年マン・ブッカー国際賞ファイナリスト。フランスでは「アフリカのサミュエル・ベケット」として知られる。2002年から米ミシガン大学で、2006年からカリフォルニア大学ロサンゼルス校で正教授としてフランス語圏文学を教える。最もクールな教授とみなされ「マバンクール」というニックネームがある。作品は20の言語に翻訳。 藤沢満子 (フジサワミチコ) (翻訳) 1972年、獨協大学フランス語学科卒業。フランスの文化、伝統を学び、とくにフランス女性の自己を主張する生き方が日本女性と異なることに新鮮な驚きを感じ、シドニー=ガブリエル・コレット(1873-1954)を卒論のテーマとする。2008年以降、経済産業省およびUNIDO(国際連合工業開発機関)のアジア支援事業の一環で、繊維製品の商品開発の専門家としてラオスに長期滞在をする。現在、カンボジアのプノンペン在住。 石上健二 (イシガミケンジ) (翻訳) 1949年、東京生まれ。1969年よりパリ大学のフランス言語文明講座受講後、パリ美術大学、同中退。絵描きとして1978年までパリに住む。その後30余年、コートジボワール共和国、セネガル、ギニア、マリ、モーリタニア、コンゴ民主共和国など、フランス語圏に滞在。訳書に、チエルノ・モネネムボの二作品、『カヘルの王』(2008年ルノド賞受賞、現代企画室2013年)、『プル族』(現代企画室2014年)、藤沢満子氏との共訳にナタシャ・アパナー『最後の兄弟』(河出書房新社2019年)がある。
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テーゲベックのきれいな香り|山﨑 修平
¥1,980
河出書房新社 2022年 ソフトカバー 260ページ 四六変型判 縦191mm 横132mm 厚さ21mm - 内容紹介 - 西暦 2028 年・東京。その地で「わたし」は「わたし」を語り出す――赤坂真理氏、黒瀬珂瀾氏、島田雅彦氏、高橋源一郎氏推薦。恐るべきデビュー小説の誕生。*装画=浅野忠信氏。 【推薦文】 ◉高橋源一郎氏(作家) 知らない店に入った。見たことのない品物があった。手にとった。なんかいいな。買って食べた。 初めての味。ワクワクする。もしかしたら食べるものじゃないのかも。 でもいい。それでいい。すっかり忘れていた「新しい」があったから。 *推薦文タイトル=「新しい」があるよ ◉島田雅彦氏(作家) 絶滅の危機にあった詩人が無敵のゾンビとなり、全身から過剰な詩的ホルモンを分泌しつつ、 自発的服従者たちを革命に導く。 これは紛れもなく『地獄の季節』3・0である。 ◉赤坂真理氏(作家) 困った。頭の中に、この小説の人物たちやフレーズたちが住み、勝手に話し、勝手に組み合わさる。 これは小説か? そんなことはどうでもいい! これこそが、小説の体験だ! ◉黒瀬珂瀾氏(歌人) あの日の街、人々の刻印、増幅するテクスト。空白に向けて記録されゆく意識が、清々しく溶解する。 そう、私たちは書き続け、読み続けることで「わたし」に結晶する。 様々な形式を自在に横断した〈超小説〉の、誕生。 *「あの日」に傍点 【内容紹介】 西暦2028年・東京。その地で「わたし」は語り出す――学生時代のこと、神戸の祖父母のこと、愛犬パッシュのこと、溺死したR、あるいはLのこと、虎子のこと、ハウザー三世のこと、愛すべき「ことば」たち……。 〈わたしは他者によって形成される。わたしの悲しみも、わたしの喜びも、他者によって形成された概念を追体験しているに過ぎない。であるなら、わたしがわたしを語るとき、わたしの知覚している範囲で書くことに何の意味があるのだ。(……)わたしはあくまでも反射装置、書いているのは他者であるのだから。〉(本文より) 繰り返される「わたし」――わたしの「記憶」、わたしの「ことば」、わたしの「触覚」――その先に浮かび上がるのは、「わたし」という徹底的なる虚構。そして「わたし」が「今」を取り戻すとき、「わたし」の「五感」は消失し、「わたし」は「記号」となる。 物語も、詩も、批評も、呪いも、祈りも、呻きですらも包括する「小説」という表現形態に、いま、気鋭の詩人が挑む、小説という「自由」。 圧倒的「未知」な小説、誕生! - 著者プロフィール - 山﨑 修平 (ヤマザキ シュウヘイ) (著/文) 1984年東京都生まれ。詩人・文芸評論家。2017年、第一詩集『ロックンロールは死んだらしいよ』で中原中也賞候補・小熊秀雄賞候補、20年、第二詩集『ダンスする食う寝る』で第31回歴程新鋭賞を受賞。
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パチンコ 上下セット | ミン・ジン・リー(著/文)池田 真紀子(翻訳)
¥5,280
文藝春秋 2020年 ハードカバー 上巻 360ページ / 下巻 368ページ 四六判 - 内容紹介 - 全米図書賞、最終候補作。 四世代にわたる在日コリアン一家の苦闘を描いて全世界で共感を呼んだ大作、ついに日本版刊行成る! 日本に併合された朝鮮半島、釜山沖の影島。下宿屋を営む夫婦の娘として生まれたキム・ソンジャが出会ったのは、日本との貿易を生業とするハンスという男だった。見知らぬ都会の匂いのするハンスと恋に落ち、やがて身ごもったソンジャは、ハンスには日本に妻子がいいることを知らされる。許されぬ妊娠を恥じ、苦悩するソンジャに手を差し伸べたのは若き牧師イサク。彼はソンジャの子を自分の子として育てると誓い、ソンジャとともに兄が住む大阪の鶴橋に渡ることになった…… 1910年の朝鮮半島で幕を開け、大阪へ、そして横浜へ――。小説というものの圧倒的な力をあらためて悟らせてくれる壮大な物語。構想から30年、世界中の読者を感動させ、アメリカ最大の文学賞・全米図書賞の最終候補作となった韓国系アメリカ人作家の渾身の大作。 アメリカで100万部突破。オバマ前大統領、推薦。