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涙の箱 | ハン・ガン(著), きむ ふな(訳)
¥1,650
評論社 2025年 ソフトカバー 88ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ8mm - 内容紹介 - ノーベル文学賞作家ハン・ガンがえがく、大人のための童話 この世で最も美しく、すべての人のこころを濡らすという「純粋な涙」を探して 昔、それほど昔ではない昔、ある村にひとりの子どもが住んでいた。その子には、ほかの子どもとは違う、特別なところがあった。みんながまるで予測も理解もできないところで、子どもは涙を流すのだ。子どもの瞳は吸い込まれるように真っ黒で、いつも水に濡れた丸い石のようにしっとりと濡れていた。雨が降りだす前、やわらかい水気を含んだ風がおでこをなでたり、近所のおばあさんがしわくちゃの手で頬をなでるだけでも、ぽろぽろと澄んだ涙がこぼれ落ちた。 ある日、真っ黒い服を着た男が子どもを訪ねてくる。「私は涙を集める人なんだ」という男は、大きな黒い箱を取り出し、銀の糸で刺繍されたリボンを解くと、大小、かたちも色もさまざまな、宝石のような涙を子どもに見せた。そして、このどれでもない、この世で最も美しい「純粋な涙」を探していると話す。男は子どもがそれを持っているのではないかと言うのだが――。 「過去のトラウマに向き合い、人間の命のもろさを浮き彫りにする強烈な詩的散文」が評価され、2024年にノーベル文学賞を受賞したハン・ガン。本書は童話と銘打ちながらも、深い絶望や痛みを描き、そこを通過して見える光を描くハン・ガンの作品世界を色濃く感じられる作品です。 幸せな出会いが実現し、日本語版の絵はハン・ガン自身、長年ファンだったというjunaidaさんが担当。ハン・ガンが、「読者それぞれのなかにある希望の存在」としてえがいた主人公や、どこともいつとも特定しない本作の世界を美しく描き、物語とわたしたちをつないでくれます。 2008年、韓国で発売され、本国では子どもから大人まで幅広い年齢層に愛されている本作。ハン・ガン作品との出会いにもおすすめの一冊です。 「きみの涙には、むしろもっと多くの色彩が必要じゃないかな。特に強さがね。 怒りや恥ずかしさや汚さも、避けたり恐れたりしない強さ。 ……そうやって、涙にただよう色がさらに複雑になったとき、ある瞬間、きみの涙は 純粋な涙になるだろう。いろんな絵の具を混ぜると黒い色になるけど、 いろんな色彩の光を混ぜると、透明な色になるように」 ―本文より― 涙をめぐる、あたたかな希望のものがたり。 - 著者プロフィール - ハン・ガン (ハンガン) (著) 1970年、韓国・光州生まれ。延世大学国文学科を卒業。1994年、ソウル新聞新春文芸に短編「赤い碇」が当選し、作家デビュー。2005年、『菜食主義者』(クオン)で李箱文学賞を、また同作で2016年にアジア人初の国際ブッカー賞を受賞。2017年、『少年が来る』(クオン)でイタリアのマラパルテ賞、2023年、『別れを告げない』(白水社)でフランスのメディシス賞(外国小説部門)、また同作で2024年、フランスのエミール・ギメ アジア文学賞を受賞。2024年、「過去のトラウマに向き合い、人間の命のもろさを浮き彫りにする強烈な詩的散文」が評価され、ノーベル文学賞を受賞。他に『引き出しに夕方をしまっておいた』『そっと 静かに』(以上クオン)、『ギリシャ語の時間』(晶文社)、『すべての、白いものたちの』(河出書房新社)、『回復する人間』(白水社)などが邦訳されている。 きむ ふな (キムフナ) (訳) 韓国生まれ。韓国の誠信女子大学、同大学院を卒業し、専修大学大学院日本文学科で博士号を取得。日韓の文学作品の紹介と翻訳に携わる。訳書にハン・ガン『菜食主義者』、キム・エラン『どきどき僕の人生』、キム・ヨンス『ワンダーボーイ』、ピョン・ヘヨン『アオイガーデン』、シン・ギョンスク『オルガンのあった場所』(以上クオン)、孔枝泳『愛のあとにくるもの』(幻冬舎)など。共訳書にハン・ガン『引き出しに夕方をしまっておいた』(クオン)など。著書に『在日朝鮮人女性文学論』(作品社)がある。韓国語訳書の津島佑子『笑いオオカミ』にて板雨翻訳賞を受賞。
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松明のあかり 暗くなっていく時代の寓話 | バリー・ユアグロー, 柴田元幸(訳)
¥1,540
twililight 2025年 ソフトカバー 88ページ B6変形判 縦172mm 横105mm - 内容紹介 - アメリカ合衆国在住の作家バリー・ユアグローがトランプ政権下のアメリカに住む不安を小説に。 『ボッティチェリ 疫病の時代の寓話』からわずか5年。ユアグローから再び届いた「アメリカのいまを伝える」緊急文書。 「ここに収められた物語は心の、思いきっていえば魂の訴えである。」(柴田元幸) “昨年の大統領選で、本書の収録作「彼」で言及される「彼」の元とおぼしき人物が、七千万以上の国民に支持されて大統領に復帰して以来、合衆国から暗い知らせが届かない日はない。そして、七千余万の人たちのうちかなりの人数にとっては、それら暗い知らせも暗くはなく、ひょっとすると喝采すべき明るい知らせなのかもしれない、と思うと気持ちはますます暗くなる。 とはいえ、そんな吞気なことを言っていられるのも、あくまで当方は外国にいて、いまのところは直接、精神的にも物理的にも甚大な害は被っていないからだろう――いまのところは。が、暗さの渦中にいる人々は、どんな思いで生きているのか? バリー・ユアグローから届いたこれらの寓話は、そのひとつの実例を伝えてくれる“ (訳者あとがきより) -- 『松明のあかり』作者からのメッセージ 2020年、コロナ・ウィルスがニューヨークで猛威を振るっていたときに私は『ボッティチェリ』を書きました。そしていま、別の疫病のさなかに『松明のあかり』を書きました。今回は全米で猛威を振るっている政治的な疫病です。この本に収めた一連の寓話は、切羽詰まった警鐘であり、助けを求める訴えであり、自分が子供のころに移ってきた国でいま為されているさまざまな酷(むご)いことに対する苦悶の叫びです。日々押し寄せてくる、アメリカのみならず世界中を危険にさらしている暴虐、非道、噓のただなかで生きる、その痛みに満ちた経験を、これらの物語は想像力を通して綴っています。ところどころで暗いユーモアを使ってもいますが、絶望に陥らないため、ただ単に絶叫してしまわないために笑うのです。日本の読者の皆さんに、アメリカにいる私たちが、私たちの多くが、いまだ人間でいること、なんとか人間らしさを保ち、私たちの名において日々為されていることに深い恐怖を覚えていることをわかっていただければと思います。『ボッティチェリ』を素晴らしい本にしてくれたチームが、この『松明のあかり』も素晴らしい本にしてくれたことに感謝します。 バリー・ユアグロー 2025年7月20日 柴田元幸訳 -- 《感想コメント》 小川洋子さん 「民主主義の断末魔の声が響く中、まさに急送文書のように届けられた 貴重な一冊。掌にのるこの一冊が、あかりとなるよう、祈るような思いです。」 -- 佐川亜紀さん 「現在の危機の本質を鮮明に描いていて、この通りと心射抜かれる思いです。 「ここが国境だと我々が言ったらそこが国境なんだ」の時代、仲間も自分もついにミイラに! 「勝ち誇る」テックライトの旗の下、ゴミとして捨てられる運命! 事態はここまで来ていますね。 日本も同じ。」 -- 管啓次郎さん 「小さな、すごい本。内容はもちろん、出版プロジェクトとして類例なくすごい。ユアグローさんと柴田さんの友情が、歴史に対抗する。耳をかたむけよう。」 -- 高柳誠さん 「決して対岸の火事とは思えないくらい(事実此岸の火事でもあるのですが)、心底恐いですね。 存在自体(形而上も形而下も含めて)が脅かされる恐怖というか、 言い換えれば、観念的にも生理的にもじわじわとくる怖さを感じました。」 ― 早助よう子さん 「落ち込むことがあったので、こういう大きな流れにのみこまれないユアグローの蛮勇に、しみじみ励まされました。よい本ですね。「君は何をした?」がとりわけ好きです。」 - 目次 - 松明のあかり ドッキリ 国境 カット! 何か 情報 埃 揺り木馬 光沢 地図帳 ティーカップ のたうつ 彼 ゴヤ 塹壕の日々 気をつけて 飾り戸棚 危険 君は何をした? 墓 逃れる 枕の下に見つかったさまざまな政府のリスト 訳者あとがき - 著者プロフィール - バリー・ユアグロー (著) 南アフリカ生まれ、10歳のときアメリカへ移住した。 『一人の男が飛行機から飛び降りる』『たちの悪い話』 『ケータイ・ストーリーズ』(いずれも柴田元幸訳、新 潮社刊)など、詩的で白日夢のごとき超短篇で知られ る。ニューヨーク市クイーンズ区ジ ャクソン・ハイツ在住。当地での苛烈なコロナ禍の体 験が、『ボッティチェリ 疫病の時代の寓話』(2020年、 柴田訳で ignition gallery 刊)および『東京ゴースト・ シティ』に活かされている。 柴田元幸 (シバタモトユキ) (訳) 翻訳家・アメリカ文学研究者。1954年東京都生まれ。 ポール・オースター、スティーヴン・ミルハウザー、 スチュアート・ダイベック、スティーヴ・エリクソン、 レベッカ・ブラウン、バリー・ユアグロー、トマス・ ピンチョン、マーク・トウェイン、ジャック・ロンド ンなど翻訳多数。『生半可な學者』で講談社エッセイ賞、 『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞、『メイ スン & ディクスン』で日本翻訳文化賞、また2017年に 早稲田大学坪内逍遙大賞を受賞。文芸誌『MONKEY』 (スイッチ・パブリッシング)責任編集。
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作家と山 | 平凡社編集部
¥2,200
平凡社 2025年 ソフトカバー 304ページ B6変型判 - 内容紹介 - 大好評の「作家と〇〇」シリーズ、最新刊は山。昔の文豪から当代一のベストセラー作家まで、みんな山にハマっていた! 登山の楽しみを描いたエッセイ、詩などを収録。 【収録作品(掲載順)】 なだれ 井伏鱒二 1 日本アルプス 槍ケ岳紀行 芥川龍之介 涸沢の岩小屋のある夜のこと 大島亮吉 霊気 豊島与志雄 案内人風景 百瀬慎太郎 三俣蓮華岳への思い 辻邦生 白馬連峰──山という別世界の花 池澤夏樹 奥穂と校了 若菜晃子 南アルプス 吉田博 駒鳥の谷 野尻抱影 真夏の急登 沢野ひとし 2 さまざまな山旅 雪中富士登山記 小島烏水 「山上湖へ」より 若山牧水 霧ヶ峰から鷲ヶ峰へ 徳田秋声 八ガ岳に追いかえされる 梅崎春生 稜線を泳ぐ 南木佳士 十勝の朝 中谷宇吉郎 英彦山に登る 杉田久女 阿蘇外輪 小杉放庵 山小屋の一夜 畦地梅太郎 山と温泉 小林百合子 『崩れ』より 幸田文 水源へ 安岡章太郎 尾ノ沼谷 志水哲也 最高の登山 石川直樹 ウェストンの初登攀をたどる 服部文祥 ? 山へのあこがれ、山の愉しみ 筑波 岩本素白 富士山頂から東京を見る 新田次郎 漫談・火山を割く 牧野富太郎 雷鳥尾行記 田淵行男 山のコドモ 岡本かの子 低山登山は楽しい 安西水丸 クルコノシェ山地から 出久根育 コツコツ地道に 本上まなみ 3 山の哲学 山に登る 萩原朔太郎 凹面谷 串田孫一 霧とサルオガセ 北杜夫 初登山に寄す 今西錦司 山は如何に私に影響しつつあるか 田部重治 山の魅力 木暮理太郎 登山家という言葉 深田久弥 登山趣味 正宗白鳥 「登山好き」が思うこと 湊かなえ なぜ登るのか 小手鞠るい 山へ入る日・山を出る日 石川欣一
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ストーナー |ウィリアムズ・ジョン, 東江 一紀(訳)
¥2,860
作品社 2014年 ハードカバー 330ページ - 内容紹介 - 半世紀前に刊行された小説が、いま、世界中に静かな熱狂を巻き起こしている。名翻訳家が命を賭して最期に訳した、"完璧に美しい小説"。 ------- ストーナーという男の一生を描いた一見地味な作品なのに、じわじわと物語の中に引きこまれ、最後までページをめくる手が止まらなくなります。 素晴らしい読後感の中で読む「訳者あとがき」を読み、今度は涙が止まらなくなりました。
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ケアの物語 フランケンシュタインからはじめる | 小川 公代
¥1,100
岩波書店 2025年 岩波新書 ソフトカバー 302ページ 新書判 縦173mm 横107mm 厚さ12mm - 内容紹介 - 強者が押しつける「正しさ」と暴力や分断がはびこる現代社会。そこで置き去りにされているのは、尊厳を踏みにじられた人々が紡ぐ〈小さな物語〉――恐ろしい怪物の物語として知られる『フランケンシュタイン』を、10のテーマを通して多様な作品群と縫い合わせ、読む者をケアの本質へと誘う。想像力を解き放つ文学論。 - 目次 - はじめに 1 戦 争 『進撃の巨人』『三ギニー』 1 「壁」を乗り越えて――小さな物語へ 2 アウトサイダーの女性たち 3 『フランケンシュタイン』――生の平等を問う 2 論破と対話 『もうひとつの声で』『バービー』『バタードウーマン』 『バグダードのフランケンシュタイン』 1 関係性を結んで対話する 2 対話と共話 3 ヴィクターがSNSを使えたなら 4 『バグダードのフランケンシュタイン』 3 親ガチャ 『親ガチャの哲学』『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』『波』 『山上徹也と日本の「失われた30 年 」 』 『SPY×FAMILY』『キン肉マン』 1 共同体幻想を打ち砕く人間の流動性 2 「これからの時間」を生きるために 3 「無敵の人」としてのクリーチャー 4 ジークの反出生主義とアーニャの反・反出生主義 4 マンスプレイニング 『哀れなるものたち』『吸血鬼ドラキュラ』 1 “声”とは何か 2 エドワード・トレローニーの誹謗中傷 3 『哀れなるものたち』と女性たちの声 4 愛と自由について語る 5 レイシズム 『ウォッチメン』「オジマンディアス」 1 レイシズムとは何か 2 『ウォッチメン』は何をケアするか 3 タルサ暴動を語り直す 4 『フランケンシュタイン』におけるレイシズム批判 6 インターセクショナリティ 『カラーパープル』 1 インターセクショナリティとは何か 2 “声”を獲得していく物語 3 『フランケンシュタイン』のインターセクショナリティ 7 愛 『ワンダー・ウーマン』『もう一人、誰かを好きになったとき』 『鬼滅の刃』『偽姉妹』 1 ゼロサム的な恋愛に抗して 2 ポリアモリーとは 3 メアリ・シェリーの愛の実践 8 エコロジー 『優しい語り手』『オーランドー』『センス・オブ・ワンダー』 1 エコロジー運動の黎明期 2 ワーズワスからウルフまで 3 カーソンの『センス・オブ・ワンダー』 9 ケアの倫理 『虎に翼』『ダロウェイ夫人』 1 〈ケアの倫理〉とは何か――『虎に翼』とケア 2 弱者の「声」に耳を澄ませる 3 『フランケンシュタイン』に描かれるケアの倫理 10 アンチ・ヒーロー 『僕のヒーローアカデミア』『外套』 『「性格が悪い」とはどういうことか』『ベル・ジャー』 1 アンチ・ヒーローとは 2 “ギフテッド”の功罪 3 なぜトガヒミコはヴィランになったのか 4 ロマン主義時代の反逆者たち 参考文献一覧 あとがき - 著者プロフィール - 小川 公代 (オガワ キミヨ) (著) 1972年和歌山県生まれ.上智大学外国語学部教授.ケンブリッジ大学政治社会学部卒業.グラスゴー大学博士課程修了(Ph.D.) 専門―ロマン主義文学,および医学史 著書 『ケアの倫理とエンパワメント』 『ケアする惑星』『翔ぶ女たち』(講談社) 『世界文学をケアで読み解く』(朝日新聞出版) 『ゴシックと身体――想像力と解放の英文学』(松柏社)など 訳書 『エアスイミング』(シャーロット・ジョーンズ著,幻戯書房) 『メアリ・シェリー――『フランケンシュタイン』から〈共感の共同体〉へ』(シャーロット・ゴードン著,白水社)
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キリンが文学を聞いたら サバンナで続ける証言現代文芸史70 | 本よみうり堂(編)
¥1,980
書肆侃侃房 2025年 ソフトカバー 208ページ 四六判 - 内容紹介 - 戦後80年、「本よみうり堂」25年、貴重な文芸の証言70 文学的な出来事やベストセラーにまつわるエピソードから、忘れられない小さな話まで。その時、作家や漫画家はどんなことを考え、感じていたのか? 柴田翔、池田理代子、桐野夏生、綿矢りさ、池澤夏樹、村田沙耶香、筒井康隆、黒柳徹子など、1960年代から2010年代に作品が刊行された作家70人の証言をもとに、「本よみうり堂」の記者が綴る文学の記録。 前作『キリンが小説を読んだら サバンナからはじめる現代文学60』(2021)の続編 2025年8月上旬全国書店にて発売。 「本よみうり堂」とは? 毎週日曜の読売新聞朝刊に掲載されている「本を愛する人たち」で作るページ。 小説やコミック・サブカルから、人文書や学術書まで。読書好きにはたまらないワクワクする記事がいっぱい! - 目次 - はじめに 1960~80年代の証言 柴田翔『されど われらが日々―』1964 /池田理代子『ベルサイユのばら』1972/宮本輝『泥の河』1977/椎名誠『さらば国分寺書店のオババ』1979 /島田荘司『占星術殺人事件』1981/北方謙三『弔鐘はるかなり』1981/野谷文昭『蜘蛛女のキス』翻訳1983/島田雅彦『優しいサヨクのための嬉遊曲』1983/浅田彰『構造と力』1983/中沢新一『チベットのモーツァルト』1983/宮田毬栄 文芸誌「海」1984/唯川恵『青春クロスピア』1985/伊藤比呂美『テリトリー論2』1985/高橋源一郎『優雅で感傷的な日本野球』1988 /吉本ばなな『キッチン』1988/北村薫『空飛ぶ馬』1989 1990年代の証言 穂村弘『シンジケート』1990/鈴木光司『リング』1991/湯本香樹美『夏の庭 The Friends』1992/斎藤美奈子『妊娠小説』1994/又吉栄喜『豚の報い』1996/桐野夏生『OUT』1997/阿部和重『インディヴィジュアル・プロジェクション』1997/金石範『火山島』1997/横山秀夫『陰の季節』1998/乙武洋匡『五体不満足』1998/松岡佑子『ハリー・ポッターと賢者の石』翻訳1999 2000年代の証言 片山恭一『世界の中心で、愛をさけぶ』2001/糸井重里『悪人正機』2001/酒井順子『負け犬の遠吠え』2003/綿矢りさ『蹴りたい背中』2003/白岩玄『野ブタ。をプロデュース』2004/佐伯一麦『鉄塔家族』2004/白石昌則『生協の白石さん』2005/亀山郁夫『カラマーゾフの兄弟』新訳2006/美嘉『恋空』2006/劇団ひとり『陰日向に咲く』2006/池澤夏樹『池澤夏樹=個人編集 世界文学全集』2007/楊逸『ワンちゃん』2008/林望『謹訳 源氏物語』2010 2010年代の証言 和合亮一『詩の礫』2011/きむふな『菜食主義者』翻訳2011/伏瀬『転生したらスライムだった件』2013/最果タヒ『死んでしまう系のぼくらに』2014/柳美里『JR上野駅公園口』2014/村田沙耶香『コンビニ人間』2016/若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』2017/柴田元幸『ハックルベリー・フィンの冒けん』新訳2017/角田光代『源氏物語』現代語訳2020/多和田葉子『太陽諸島』2022/谷川俊太郎『にほんの詩集 谷川俊太郎詩集』2022/見城徹『石原慎太郎短編全集Ⅰ・Ⅱ』2021/平野啓一郎『三島由紀夫論』2023/川上弘美『恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ』2023/髙樹のぶ子『小説小野小町 百夜』2023/九段理江『東京都同情塔』2024/矢野優「新潮」2024年5月号2024/松浦寿輝『松浦寿輝全詩集』2024/辻原登『陥穽 陸奥宗光の青春』2024/五木寛之『忘れ得ぬ人 忘れ得ぬ言葉』2025/筒井康隆 映画「敵」2025 戦争をめぐる証言 黒柳徹子『窓ぎわのトットちゃん』1981/青来有一『爆心』2006/奥泉光『神器 軍艦「橿原」殺人事件』2009/澤地久枝『記録 ミッドウェー海戦』1986/李恢成『地上生活者』2005~/志水辰夫『裂けて海峡』1983/阿刀田高『私が作家になった理由』2019/中村稔『私の昭和史』2004/三木卓『砲撃のあとで』1973 おわりに あとがき - 著者プロフィール - 本よみうり堂 (編) 毎週日曜日の読売新聞朝刊に掲載している本のページです。様々な本に関する企画記事を載せたフロントページと、見開き2ページで作られる書評のページからなります。作家や研究者、芸能関係者をはじめ、様々な分野の外部識者を中心とした約20人の方に読書委員に就いていただき、書評の執筆をお願いしています。書評する本を決めるのは、隔週ごとに開かれる読書委員会です。様々な出版社や著者からいただいた献本をもとに、熱く、楽しく、議論を重ね、読者の方々に充実した本選びの参考にしてもらえるように務めています。 委員会の事務局は、文化部の記者の仕事です。本に関する議論を聞くことは、記者にとっても最も勉強になる場です。時々、成長しすぎてキリンやゾウ、ウサギなど本を愛する変わった生きものたちが育ってしまうこともあるようです。 月曜夕刊(東京本社版)には、話題の本の動きを紹介する「本よみうり堂 トレンド館」や、漫画を取り上げる「コミック館」、児童書を扱う「ジュニアワールド」があります。読売新聞オンラインにも「本よみうり堂」のページを設けています。 近年は紙面の企画をもとに、読書ガイドとなるような本も編んでいます。『キリンが小説を読んだらサバンナからはじめる現代文学60』(書肆侃侃房)のほか、岡ノ谷一夫、梯久美子、牧原出さんとの共著『本棚から読む平成史』(河出書房新社)や、沼野充義、松永美穂、阿部公彦さんとの共編『文庫で読む100年の文学』(中公文庫)を刊行しています。
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スノードーム | 香山 哲
¥2,200
生きのびるブックス 2025年 ソフトカバー 四六判 - 内容紹介 - 考え続けよう。世界を知るために 小説に登場するのは、スノードームの中のオブジェたち。オブジェたちの間に流れた「滅亡の噂」について、話し合い、考え続ける、小さな世界のお話では。「考えるとは何か」「その先に何があるのか」。そんなことに興味がある、すべての人に読んで欲しい1冊です。 - 著者プロフィール - 香山哲 (カヤマ テツ) (著) 漫画やコンピューターゲームやエッセイなどを制作。『香山哲のファウスト1』が2013年に第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査員推薦作品に入選。『心のクウェート』が2017年にアングレーム国際漫画祭オルタナティブ部門にノミネート。不可思議移住エッセイマンガ『ベルリンうわの空』が2021年に『このマンガがすごい! 2021』(宝島社)オトコ編10位にランクイン、第24回文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査員会推薦作品に入選するなど、大きな話題に。著書に漫画の新連載計画を練る過程を描いた『香山哲のプロジェクト発酵記』『レタイトナイト』など。 https://kayamatetsu.com
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星の牧場 | 庄野 英二(本文)
¥990
筑摩書房 2025年 ちくま文庫 ソフトカバー 272ぺージ 文庫判 - 内容紹介 - この本は私にとって昔から、そして今でも一番の親友ですーー絲山秋子(作家) 闇が深ければ深いほど、光が際立つような切実さに満ちた作品ーー小林エリカ(作家・アーティスト) 復員兵モミイチの失われた心にやさしく満ちてくる光と音。 数々の賞を受賞し愛された名作の復刊。 児童文学者で小説家の庄野英二の代表作になる長編ファンタジー小説。世界大戦の復員兵イシザワ・モミイチは戦地で、愛馬ツキスミを失い、心に深い傷を負って、記憶もまた失っている。ある日、牧場で働くモミイチは、馬の蹄の音を聞き、それに導かれるように山に分け入ると、クラリネットを吹く男に出会う……。刊行当時、数々の名だたる児童文学賞を受賞した名作の復刊。解説 絲山秋子 カバーデザイン/六月 カバー装画/カシワイ - 著者プロフィール - 庄野 英二 (ショウノ エイジ) (本文) 1915-1993 山口生まれ。児童文学者。小説家。1937年入営。39年以降、旧満州、ジャワ、ビルマなどを転々とし、終戦時にレンパン島で抑留。復員後、帝塚山学院の教師を務めながら執筆。63年に刊行した『星の牧場』で日本児童文学者協会賞、サンケイ児童出版文化賞、野間児童文芸賞、エッセイ『ロッテルダムの灯』で日本エッセイスト・クラブ賞受賞、著作多数。弟は作家の庄野潤三。
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ババヤガの夜 | 王谷 晶
¥748
河出書房新社 2025年 河出文庫 ソフトカバー 208ぺージ 文庫判 縦149mm 横105mm 厚さ11mm - 内容紹介 - 世界最高峰のミステリー文学賞 英国推理作家協会賞 ダガー賞 翻訳小説部門 受賞作 世界が息を呑んだ最狂のシスター・バイオレンス・アクション! ロサンゼルス・タイムズ「この夏読むべきミステリー5冊(2024年)」選出 デイリー・テレグラフ「 スリラー・オブ・ザ・イヤー」選出 「クライム・フィクション・ラバー」最優秀翻訳賞(編集者選)受賞 「めちゃくちゃブッ飛んでて最高に血まみれ、これはヤバかった! 『キル・ビル』とか『ジョン・ウィック』っぽい雰囲気の本を探してるなら、もうこれ一択」 ——@thespookybookclub 「怒り、ユーモア、スリル満載」― The Times紙 「激しい暴力と素晴らしい優しさが交互に訪れる」― The Guardian紙 「女の力を描いた、シャープでストイックな物語」― Los Angeles Times紙 「手に汗握る、壊れないスリラー」― Tokyo Weekender 「優しくも怒りに満ちたこの犯罪サーガは、オオタニの次作を待ち望まずにいられない」― Publishers Weekly 暴力を唯一の趣味とする新道依子は、関東有数規模の暴力団・内樹會会長の一人娘の護衛を任される。二度読み必至、血と暴力の傑作シスター・バイオレンスアクション、ついに文庫化。 装画:寺田克也/解説:深町秋生 どんどこ血が脈打ってくる。――北上次郎(「本の雑誌」2021年1月号) まず、この世界を壊せ。話はそこからだ、と作者は言う。――杉江松恋 シスターフッド文学をあらゆる意味で刷新するシスターバイオレンスアクション!――鴻巣友季子 もう一気に読了して最後はナルホド! と唸った。――大槻ケンヂ 友情でも愛情でも性愛でもない、ただ深いところで結ばれたこの関係に、名前など付けられない。――宇垣美里(フリーアナウンサー)
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文豪と犬と猫 偏愛で読み解く日本文学 | 宮崎 智之, 山本 莉会
¥1,760
SOLD OUT
アプレミディ 2025年 ソフトカバー 164ぺージ 四六判 - 内容紹介 - こんな読み方があったのか! 文豪と作品の、意外な姿が見えてくる。 犬派と猫派、気鋭の文筆家ふたりが往復書簡で語り合う ニャンともワンダフルな文学世界、ここに誕生。 犬好き文芸評論家・エッセイスト宮崎智之(『平熱のまま、この世界に熱狂したい』)と、猫好き日本文学マニアの文筆家・山本莉会による、文豪×犬・猫トークが炸裂! 犬も猫も日本文学ももっと大好きになる、最高に面白い往復書簡です。 装丁イラスト:花松あゆみ デザイン:小川恵子(瀬戸内デザイン) ■文豪ラインナップ 夏目漱石/内田百閒/志賀直哉/谷崎潤一郎/川端康成/森茉莉/幸田文/室生犀星/坂口安吾/三島由紀夫/遠藤周作/二葉亭四迷 - 著者プロフィール - 宮崎 智之 (ミヤザキ トモユキ) (著) 文芸評論家、エッセイスト。1982年、東京都出身。著書に『平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版』(ちくま文庫)、『モヤモヤの日々』(晶文社)など。共著に『つながる読書 10代に推したいこの一冊』(ちくまプリマー新書)、日本文学の文庫解説を多数手掛ける。『文學界』にて「新人小説月評」を担当(2024年1月~12月)。犬が好き。 山本 莉会 (ヤマモト リエ) (著) 文筆家。1986年、大阪府出身。大学では日本文学を専攻。広告代理店を経て編集プロダクションに入社。Après-midi 公式noteで「東京文学散歩」連載、ほか多数エッセイを執筆。猫が好き。
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体の贈り物 | レベッカ・ブラウン, 柴田元幸(訳)
¥2,420
twilight 2025年 ハードカバー 196ぺージ B6変形判 縦170mm 横122mm 厚さ170mm - 内容紹介 - アメリカの作家、レベッカ・ブラウンの代表作を復刊。 逃れようのない死の前で、料理を作り、家を掃除し、洗濯をし、入浴を手伝う。 喜びと悲しみ、生きるということを丸ごと受け止めた時、私は11の贈り物を受け取った。 エイズ患者とホームケア・ワーカーの交流が描き出す、悼みと希望の連作短篇。 著者書き下ろし「『体の贈り物』三十年後」を収録。 金井冬樹の装画による新装版。 “横溢するケアに包まれました。ホームケアワーカーの「私」が派遣されるのは死の恐 怖に向き合う患者たちのところ。ケアする側が彼ら、彼女らの生を“尊重されるべき もの”として丸ごと抱擁するとき、曇っていた生がみるみる輝きを取り戻していく。 まさに奇跡のような贈り物。” 小川公代 “透きとおるような日本語で訳されたこの小説集における、死にゆく人々の生を支える主人公の冷静さ、 心身の痛みにたいする想像力の深さ、そこから生まれる交流のぬくもりは、 いま、世界でなにより大事なものに思える。” 木村紅美 - 目次 - 汗の贈り物 充足の贈り物 涙の贈り物 肌の贈り物 飢えの贈り物 動きの贈り物 死の贈り物 言葉の贈り物 姿の贈り物 希望の贈り物 悼みの贈り物 謝辞 『体の贈り物』三十年後 二〇二五年版訳者あとがき - 著者プロフィール - レベッカ・ブラウン (レベッカ ブラウン) (著) 1956年ワシントン州生まれ、シアトル在住。作家。翻訳されている著書に『体の贈り物』『私たちがやったこと』『若かった日々』『家庭の医学』『犬たち』、ナンシー・キーファーとの共著に『かつらの合っていない女』がある。『体の贈り物』でラムダ文学賞、ボストン書評家賞、太平洋岸北西地区書店連合賞受賞。 柴田元幸 (シバタ モトユキ) (訳) 1954年生まれ。翻訳家・アメリカ文学研究者。 ポール・オースター、スティーヴン・ミルハウザー、スチュアート・ダイベック、スティーヴ・エリクソン、レベッカ・ブラウン、バリー・ユアグロー、トマス・ピンチョン、マーク・トウェイン、ジャック・ロンドンなど翻訳多数。『生半可な學者』で講談社エッセイ賞、『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞、『メイスン&ディクソン』で日本翻訳文化賞、また2017年に早稲田大学坪内逍遙大賞を受賞。 文芸誌『MONKEY』(スイッチ・パブリッシング)責任編集
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ウーマン・トーキング ある教団の事件と彼女たちの選択 | ミリアム・テイヴズ, 鴻巣 友季子(訳)
¥1,518
KADOKAWA 2025年 角川文庫 ソフトカバー 288ページ 文庫判 右開き - 内容紹介 - WOMEN TALKING by Miriam Toews,2018 「これは必読!『侍女の物語』から抜けだしてきたよう」マーガレット・アトウッド(←NHK Eテレ「100分de名著」で話題) 「私たちは子どもを守りたい」 教団で起きた大量レイプ事件。「悪魔の仕業(しわざ)」「作り話」とされてきたが、実は身内による犯行だった。実話にもとづくサスペンス! あるキリスト教系団体の村(コロニー)で起きた大量レイプ事件。最年少の被害者は3歳の少女。それは「悪魔の仕業(しわざ)」「作り話」とされたが、実は身内の8人の男による犯行だった。彼らを保釈させようと村の男たちが外出する2日間。女たちは子どもを守るために未来を選ばねばならない。何もしないか、闘うか、村を出ていくか。文字の読めない女たちの会議(ウーマン・トーキング)が始まる。実話にもとづくサスペンス。マーガレット・アトウッドが「必読」と絶賛。第95回アカデミー賞脚色賞映画、原作! 「これは必読! この驚異的で、悲しく、衝撃的にして心を打つ小説は現実の事件を元にしており、まるで『侍女の物語』から抜けだしてきたようだ」M・アトウッド 「痛烈……悪の本質、自由意志の問題、集団的責任、文化決定論、そして何よりも赦しについてふれる」ニューヨーク・タイムズ カバーイラスト/千海博美 カバーデザイン/鈴木成一デザイン室 - 目次 - 六月六日 オーガスト・エップ、会議前に記す 六月六日 女性たちの話し合いの議事録 六月六日 オーガスト・エップ 夜、会議と会議の間に記す 六月七日 女性会議の議事録 六月七日 会議の後にオーガスト・エップ記す 謝辞 訳者あとがき - 著者プロフィール - ミリアム・テイヴズ (ミリアム テイヴズ) (著) カナダのマニトバ州出身の作家。祖先はウクライナからの移住者で、メノナイト信徒の両親のもとに生まれる。代表作は本作の他、『Fight Night』『All My Puny Sorrows』『A Complicated Kindness』など(すべて未邦訳)。著作はアトウッド・ギブスン・トラスト・ライターズ小説賞を二度も授与され、本作はアトウッドから「これは必読! 『侍女の物語』から抜けだしてきたよう」と評された。また、本作は2022年に映画化され、第95回アカデミー賞脚色賞を受賞した。 鴻巣 友季子 (コウノス ユキコ) (訳) 1963年、東京生まれ。翻訳家、文芸評論家。英語圏の現代文学の紹介と共に古典新訳にも力を注ぐ。『風と共に去りぬ』『嵐が丘』『灯台へ』(すべて新潮文庫)の新訳を手がける。他訳書に、マーガレット・アトウッド『誓願』(ハヤカワepi文庫)、同『ペネロピアド』(角川文庫)、クレア・キーガン『ほんのささやかなこと』(早川書房)など多数。『文学は予言する』(新潮選書)、『ギンガムチェックと塩漬けライム』(NHK出版)など評論書も多い。
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ペネロピアド 女たちのオデュッセイア | マーガレット・アトウッド, 鴻巣 友季子(訳)
¥1,078
KADOKAWA 2025年 角川文庫 ソフトカバー 224ページ 文庫判 右開き - 内容紹介 - ホメロスによるギリシア英雄譚『オデュッセイア』。男性的な叙事詩の中で、女たちの声は語られてこなかった。 オデュッセウスの帰還を待つ20年、妻ペネロペイアは国を守るため、噂話に耳をふさぎ、無鉄砲な息子を育て、財産狙いの求婚者らを追い払う。 その内心はいかなるものだったのか。12人の女中たちはなぜ殺されたのか――。 『侍女の物語』『誓願』の巨匠アトウッドが想像と語りの才を発揮した、新たなる傑作! 解説・小川公代 ★2025年6月 NHK Eテレ『100分de名著』(M・アトウッド『侍女の物語』『誓願』) 指南役:鴻巣友季子 - 著者プロフィール - マーガレット・アトウッド (マーガレットアトウッド) (著) 1939年カナダ・オタワ生。トロント大学、ハーヴァード大学で学んだ後、英文学の教鞭をとる。21歳で処女詩集を出版後、小説・評論など様々な著作物を発表。「侍女の物語」でカナダ総督文学賞、「昏き目の暗殺者」でブッカー賞を受賞。カナダで最も高名な作家の一人。 鴻巣 友季子 (コウノス ユキコ) (訳) 1963年、東京生まれ。翻訳家、文芸評論家。英語圏の現代文学の紹介と共に古典新訳にも力を注ぐ。『風と共に去りぬ』(全5巻、新潮文庫)の他、エミリー・ブロンテ『嵐が丘』(同)、ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』(『世界文学全集2-01』河出書房新社)の新訳も手がける。他訳書に、J・M・クッツェー『恥辱』『イエスの幼子時代』(ともに早川書房)など多数。『熟成する物語たち』(新潮社)、『全身翻訳家』『翻訳ってなんだろう? あの名作を訳してみる』(ともに筑摩書房)など翻訳に関する著書も多い。
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すばらしき新式食 SFごはんアンソロジー | 新井 素子, 須賀 しの, 椹野 道流, 竹岡 葉月, 青木 祐子, 深緑 野分, 辻村 七子, 人間 六度, カシワイ(絵)
¥814
集英社 2025年 ソフトカバー 320ぺージ 文庫判 縦150mm 横105mm 厚さ17mm - 内容紹介 - 過去も未来も、宇宙の果てでも、人類にとって「食」は不可欠なもの。豪華作家陣による、新世紀のグルメ食べつくしアンソロジー! とある博士が「煮ると栄養満点のスープ(ただし美味しくない)が無限に作れる石」を発明した。上層部は食糧節約のため、このスープを全住民に配給することを命じるが…(深緑野分「石のスープ」) 月面都市群で育ったミカエラは、両親の離婚協議中、地球に住む祖父・ルイスに預けられる。プラント製造の食品ではなく、土で育った野菜を食べるのは信じられない体験で…(竹岡葉月「E.ルイスがいた頃」) ステーキ店で働く美宇の脳内には肉を愛する寄生種族のルカが棲みつき、他の人間に寄生した仲間を捜している。そんなある日、客の孝明から声をかけられる美宇だが…(青木祐子「最後の日には肉を食べたい」) 食糧不足を補う代用食や日々生まれる新型ウイルス感染者の隔離措置が当然になった時代、ある男が感染者として隔離されるが、それは思いがけない事態の幕開けで…(辻村七子「妖精人はピクニックの夢を見る」) 古のマーキス島へ召喚され、現代の知識や法医学の知見により王室の人々から重宝されている遊馬は、「見た目はまずそうでも美味しい囚人飯」の開発を頼まれ… (椹野道流「おいしい囚人飯『時をかける眼鏡』番外編」) ヴィチノの国民が食べるのは、「しあわせのパン」のみ。そのおかげで誰もが心身健やかだ。ヒューはパン工場で働くことを誇りに思っていたが、ある日クーデターが起こり…(須賀しのぶ「しあわせのパン」) 給仕ロボット「ウエイツ」が人類に離反し四百年。彼らを狙撃する任務を帯び遺跡を訪れたマレットは、失われた「料理」を振る舞うウエイツに出会い…(人間六度「敗北の味」) 人類が惑星間移民船に乗り地球を離れた遠い未来。各国主導の事業による移民とそれ以外の泡沫移民に一切交流はない。だが、泡沫移民は飢餓に直面しており、彼らの一人に命を救われたゆたかは…(新井素子「切り株のあちらに」) WEB掲載の六編ほか、新井素子、人間六度の書き下ろしも二編収録!
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水棲生物 水の底のアフリカ | オズヴァルド・ルワット, 大林 薫(訳)
¥2,970
河出書房新社 2025年 ソフトカバー 368ぺージ 四六判 - 内容紹介 - アカデミー・フランセーズ賞フランス語文学賞、全アフリカ文学賞、アマドゥ・クルマ文学賞……カメルーン出身のドキュメンタリー監督による、賞総なめの衝撃作! ジェンダーをめぐる差別が根強く抑圧的な社会で「自分」を生きるために闘う人を映しとる! 貧富の格差、女性差別、性的マイノリティへの弾圧。 家父長制と因習に縛られ、権力闘争が渦巻く国ザンブエナ。かつて教師として働いていたカトメは、野心的な政治家の妻として夫を支えるかたわら、親友のアーティスト、サミーの創作活動を支援していた。反体制的な表現者、そして同性愛者であるサミーの個展の幕開け、それは二人の運命の新たな扉でもあった。 私たちは皆、水の底で生きている。 - 著者プロフィール - オズヴァルド・ルワット (オズヴァルド・ルワット) (著) 1976年カメルーン生まれ。母親の影響で、少女時代は映画観賞や写真撮影に熱中する。パリ政治学院卒業後はカメルーンでジャーナリズムを学び、新聞社で働くが、職業上の制約や言論の不自由にぶつかる。その後、パリの国立映画学校(FEMIS)とモントリオールの国立映像音響学院(INIS)で映像制作を学び、在学中に初のショートフィルム(北米先住民を扱ったドキュメンタリー)を撮る。以降、次々とドキュメンタリー作品を制作。そのうちのいくつかは国際映画祭などで高く評価され、賞を獲得した。フォトグラファーとしても精力的に活動し、パリ、ニューヨーク、キンシャサなどの都市で写真展を開催する。 大林 薫 (オオバヤシ カオリ) (訳) フランス語翻訳家。青山学院大学フランス文学科卒業。主な訳書にジャコメッティ&ラヴェンヌ『ナチスの聖杯』『邪神の覚醒』『亡国の鉤十字』(以上、竹書房文庫、監訳)、ラウィック『わたしの町は戦場になった シリア内戦下を生きた少女の四年間』(東京創元社)、ヴィスコリオージ『モンブラン』(エディション・エフ)がある。
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砂の境界 | ギーターンジャリ・シュリー, 藤井 美佳(訳)
¥2,860
エトセトラブックス 2025年 ソフトカバー 420ページ 四六変形判 縦191mm 横131mm 厚さ21mm - 内容紹介 - 国際ブッカー賞受賞! 80歳の母が、家を出た。 行き先は、越えられるはずもない 国境の向こう側。 夫を亡くし沈んでいたはずの母が、ある日突然起き上がる。ヒジュラーの友と時を過ごし、娘と旅する先はインド・パキスタンの国境線。カラスは喋り、路は目撃し、神話や哲学も語り出す。あらゆる境界を越え母は進むーー 不可視化された女性の無限を描く、インド作家初邦訳。 「母が踏み出す旅は、何百万人もの人々が歩んだことのある旅だ」――ガーディアン - 目次 - 第一章 背中 第二章 陽光 第三章 国境の向こう 訳者あとがき - 著者プロフィール - ギーターンジャリ・シュリー (ギーターンジャリ シュリー) (著) インドのウッタル・プラデーシュ州生まれ。ヒンディー語作家。大学院在学中に短編小説を発表、卒業後は母語であるヒンディー語を主軸とし、創作活動を続ける。2022年、長編第5作目となる「Ret Samadhi」(原題:砂の三昧)の英語翻訳版「Tomb of Sand」(砂の墓)が、ヒンディー語圏の作家として初めてブッカー国際賞を受賞。女性の不可視性が、人間・動物・植物・自然を超越した普遍的な形で描かれていると評された。他長編に、小さな町の家庭を描写した『母』(1993)、モスク破壊をめぐる激動の一年の都市部の生活を女性が語る『私たちの町、その年』(1998)、女性の愛と、階級やジェンダーなど、抑圧から自由への逃避の物語『隠された場所』(2001)、普通の生活が突然奪われるさまを描いた『空白』(2006)があり、複雑なインドの家父長制社会を生きる普通の人々の心の移ろいを親密な視点で物語にしている。演劇集団「不協和音(ヴィヴァーディ)」の創立メンバーとしても活動し、女性と女児に対する性加害と暴力を描く「排水溝の少女」などを執筆。現在、デリー在住。 藤井 美佳 (フジイ ミカ) (訳) 東京生まれ。東京外国語大学外国語学部南・西アジア課程ヒンディー語専攻卒。英語とヒンディー語を中心に映画やドラマの字幕翻訳を手がける。近年の主な字幕翻訳作品に『ガンジスに還る』『バーフバリ』『RRR』『何も知らない夜』『JAWAN/ジャワーン』『ジョイランド わたしの願い』『コール・ミー・ダンサー』など。2015年より上映会を企画し、東京外国語大学TUFS Cinemaで南アジア映画の紹介を続けている。
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族長の秋 | ガブリエル・ガルシア=マルケス, 鼓 直(翻訳)
¥1,100
新潮社 2025年 ソフトカバー 432ページ 文庫判 縦151mm 横106mm 厚さ15mm - 内容紹介 - 無人の聖域に土足で踏みこんだわれわれの目に映ったのは、ハゲタカに喰い荒らされた大統領の死体だった。国に何百年も君臨したが、誰も彼の顔すら見たことがなかった。生娘のようになめらかな手とヘルニアの巨大な睾丸を持ち、腹心の将軍を野菜詰めにしてオーブンで焼き、二千人の子供を船に載せてダイナマイトで爆殺したという独裁者――。権力の実相をグロテスクなまでに描いた異形の怪作。
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文体練習 | レーモン・クノー , 朝比奈弘治(訳)
¥3,738
朝日出版社 1996年 ハードカバー 195ぺージ 縦22mm - 内容紹介 - 前人未到のことば遊び。他愛もないひとつの出来事が、99通りもの変奏によって変幻自在に書き分けられてゆく。『地下鉄のザジ』の作者にして20世紀フランス文学の急進的な革命を率いたレーモン・クノーによる究極の言語遊戯がついに完全翻訳。 目次 メモ 複式記述 控え目に 隠喩を用いて 遡行 びっくり 夢 予言 語順改変 虹の七色 以下の単語を順に用いて文章を作れ ためらい 厳密に 主観的な立場から〔ほか〕
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戌井昭人 芥川賞落選小説集 | 戌井 昭人
¥1,320
筑摩書房 2025年 ちくま文庫 ソフトカバー 464ページ 文庫判 - 内容紹介 - 5回の芥川賞落選を経験し、もっとも賞に近かった(?)作家による芥川賞落選作5作品をまとめたオリジナル小説集(注:川端康成文学賞受賞作1作を含む!!!)。気が小さいのにテキトー、だけどなぜか惹かれてしまう人物たち、モラルも常識もあんまり通用しない脱力しまくりの独特の世界観が炸裂する──ある意味、画期的で文学的コスパ最強の作品集。 解説 町田康 カバーデザイン 宇都宮三鈴 カバー装画 宮田翔 - 目次 - まずいスープ ぴんぞろ ひっ すっぽん心中 どろにやいと 落選ばかりしてみたけれど(あとがき) 解説 町田康 - 著者プロフィール - 戌井 昭人(いぬい・あきと):1971年、東京都生まれ。ヘンテコなパフォーマンス集団「鉄割アルバトロスケット」を旗揚げして、脚本を担当、自身も出演する。なんだかんだと、いろいろあって、小説を書きはじめ、2009年「まずいスープ」で芥川賞候補になる。その後、「ぴんぞろ」「ひっ」「すっぽん心中」「どろにやいと」と、4回、芥川賞の候補になるがすべて落選。一方で、2014年「すっぽん心中」で川端康成文学賞、16年『のろい男 俳優・亀岡拓次』で野間文芸新人賞。現在も、作家として活動中です。
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わたしの「みえ昭和文学誌」 | 藤田 明
¥2,640
人間社 2024年 ハードカバー 428ページ 四六判 - 内容紹介 - とまれ! 卆寿 深淵なるや 走馬灯の如し 文学研究に 生きたる証を ここに収録── 近現代にあって、三重県出身の文学者は多彩をきわめる。斎藤緑雨・佐佐木信綱をはじめとして、芥川賞を受賞した笙野頼子・伊藤たかみに至るまで列挙すればきりがない。 横光利一・丹羽文雄・田村泰次郎といった中央文壇で活躍した人たちもさりながら、別の方面に光を当てることも必要ではないか。 昭和戦時の、竹内浩三らによる同人誌「伊勢文学」、森敦が東紀州に挑んで挫折した未完の「尾鷲にて」や、伊勢湾、伊賀盆地をめぐる作品の数々にも触れていきたい。 半世紀年以上にわたり〈三重と文学〉について考えてきたことの一端を、体系的、かつ随想風につづった文学エッセイの集大成。 - 目次 - 第一章 戦争と文学──詩歌編 長谷川素逝、錦米次郎、伊良子清白、佐佐木信綱、高橋沐石、中野嘉一、山口誓子、岡野弘彦、嶋田青峰、野呂六三子、北園克衛、中井正義、黛 元男、杉野 茂、松島 博、清水太郎、岩本修蔵、山中智恵子、伊藤桂一、川口常孝、小出幸三 第二章 小説をめぐって──出身の作家・滞在の作家 梶井基次郎、横光利一、丹羽文雄、中谷孝雄、田村泰次郎、駒田信二、中山義秀、梅川文男、岸宏子、森敦、清水信 第三章 竹内浩三と「伊勢文学」──戦中の同人誌活動 竹内浩三、中井利亮、松島こう、中井のぶ子、ほか同人たち 第四章 回想いくつか 「伊賀百筆」の歩み、中井正義 vs 山中智恵子、清水信、めぐる走馬灯 回想・文学九十年──自伝的交友録 - 著者プロフィール - 藤田 明 (フジタ アキラ) (著/文) 1933年、東京生まれ。戦争末期に三重へ疎開し、以降は主に津市在住。県内各地の高校で国語を担当した後、高田短期大学教授。三重大、愛知教育大、松阪女子短大の非常勤講師をつとめた。全国小津安二郎ネットワーク会長を経て現在は顧問。三重文学協会会長。新聞・雑誌に映画・文学関係のエッセイを多数寄稿。著書『三重・文学を歩く』(三重県良書出版会)『平野の思想・小津安二郎私論』(ワイズ出版)、編著『ふるさと文学館28・三重』『同36・和歌山』(ぎょうせい)。
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傷ついた世界の歩き方 イラン縦断記 | フランソワ=アンリ・デゼラブル, 森 晶羽(翻訳)
¥2,970
白水社 2024年 エクス・リブリス ハードカバー 216ページ 四六判 - 内容紹介 - 「女性、命、自由!」デモの叫びが響くテヘランで、ニコラ・ブーヴィエの名著をたどり直す冒険が始まる──。 『世界の使い方』は〈僕〉にとって聖典のような存在だ。彼が旅した景色を自分で確かめるのが長年の夢だった。パリからテヘランに向かう飛行機では、一睡もできなかった。携帯電話にフランス外務省からの着信があり、イランで監禁される危険性を告げられていたからだ。 22歳のクルド人女性が、「不適切な服装」を理由に道徳警察に逮捕され殺害された……マフサ・アミニ事件をきっかけに、イラン全土で抗議運動が起きていた。そのデモ活動に参加した、同じくZ世代で16歳のニカ・シャカラミも被害に遭う。女性たちが髪を風になびかせながら抑圧に立ち向かう姿を目撃し、〈僕〉は、イランの過酷な現実を突きつけられる。砂漠が広がる大地の上、「死者の背後では千の心臓が鼓動する」。 テヘランからエスファハーン、ペルセポリスを経てザーヘダーン、サッゲズに至る縦断記は、傷ついた世界を生きる者のため「世界の傷口」に命がけでペンを差し入れる新しい紀行文学。アカデミー・フランセーズ賞受賞の作家の日本デビュー作。 - 目次 - パリ-テヘラン テヘランの安宿 テヘランの街角 ゴム カーシャーン エスファハーンへの道 エスファハーン シーラーズ ヤズドへの道 ヤズド ケルマーン バムへの道 ルート砂漠 ケシート バム ザーヘダーン ザーヘダーンからテヘランへ テヘランの安宿に戻る タブリーズ サッゲズ 訳者あとがき - 著者プロフィール - フランソワ=アンリ・デゼラブル (フランソワ アンリ デゼラブル) (著/文) François-Henri Désérable 1987年生まれ。アイスホッケーのプロ選手という異色のキャリアをもつ、フランスの作家。人間の内面を鋭く描写し、社会的・哲学的テーマを探求することで高く評価される。代表作に、天才数学者エヴァリスト・ガロアを描いた伝記小説『エヴァリスト』(2015)、ロマン・ガリーの自伝小説に登場する架空の人物を題材にした『ピエキエルニー氏というひと』(2017)。ポール・ヴェルレーヌの詩句をもとにした恋愛小説『僕の支配者で僕の征服者』(2021)でアカデミー・フランセーズ小説大賞を受賞。本書『傷ついた世界の歩き方──イラン縦断記』(2023)は、フランスで刊行されるやいなやベストセラーとなり、ニコラ・ブーヴィエ賞およびロマン・ニュース賞を受賞。各国語に翻訳され、世界的な話題となる。
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palmstories あなた | 津村記久子 (著), 岡田利規 (著), 町田康 (著), 又吉直樹 (著), 大崎清夏 (著)
¥1,980
palmbooks 2023年 ハードカバー 152ページ 11 x 2 x 13.7 cm - 内容紹介 - 「あなた」と「きみ」をめぐる、5つの“てのひら”の小説たち(パームストーリーズ) ちいさなハードカバーの単行本でお届けする掌篇アンソロジー あなたが私に寄越してくれたさまざまな物が、もしその時に手に入らなかったとしたらと考えると、ちょっと恐ろしいなという気がしてくる。 --津村記久子「六階を見習って」 なんであれば出来事とも呼べないかもしれないくらいのもの、きわめてうっすらとした出来事のようなものからでさえ、忘れがたい印象をふいに得る、ということはきみにももちろん時々起こる。 --岡田利規「一月、生暖かい月曜日の午後のこと」 此の度は機会を与えてくれてありがとう。本当に感謝している。(…)そんな僕がつい、本当に、と書いてしまったのはマジで貴殿に感謝しているからだ。 --町田康「言ひ譯」 あなたは引っ越してきたばかりの街を一人で歩いている。真っ直ぐな道の果てに寺院と思しき白い塀が見える。 --又吉直樹「行列」 茂呂来さん、茂呂来さん、聞こえますか。(…)きっとそちらはいま、おくつろぎタイムですよね。 --大崎清夏「眼鏡のバレリーナのために」
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野良猫姫 | ファン・インスク(黄仁淑), 生田 美保(訳)
¥2,750
クオン 2014年 新しい韓国の文学シリーズ ソフトカバー 384ページ 四六判 - 内容紹介 - ソウルのさびれた町で一人暮らしをする20歳のファヨルは、コンビニでバイトをしながら、野良猫と、猫を通して知り合った人たちに支えられて生きている。父は彼女が五歳の時に失踪、数年後には母も単身、渡米してしまった。寄る辺ない身となったファヨルを気遣い、世話する親戚もいるけれど、ファヨルは過去から離れられない。高校を中退したファヨルには、大学へ行くよりも、やりたいことがあった……。 - 版元から一言 - 韓国詩壇で異彩をはなってきた詩人ファン・インスクによる、初めての小説『野良猫姫』です。インターネットで連載された後に出版され、韓国では多くの読者を獲得しました。かろやかで平易な文章で描かれる、さまざまな年代の人たちの暮らしには、人生の喜怒哀楽が詰まっています。主人公のファヨルをはじめ、登場する人たちは自分らしく生きたいという渇望をエネルギーとして、互いを思いやりながら道を拓いていきます。 また、クラウドファンディングで多くの読者からの支援を受けて、発売前より話題になった 翻訳化された本です。 - 著者プロフィール - ファン・インスク(黄仁淑) (ファン インスク) (著) 1958年、ソウル生まれ。ソウル芸術大学文芸創作科卒。 1984年京郷新聞新春文芸に詩「私は猫に生まれたい」が当選し、詩壇デビュー。詩集に『鳥は空を自由に放ちて』(1988)、『悲しみが私を目覚めさせる』(1990)、『私の沈鬱な、大切な人よ』(1998)、『自明の散策』(2003)、『リスボン行き夜行列車』(2007)など、散文集に『私は孤独』(1997)、『声の模様』(2006)などがある。1999年に東西文学賞、2004年に金洙暎文学賞を受賞。抑圧されることのない自由な魂や、現実との不和からくる幻滅を猫というモチーフを通して描いた作品が多く、猫詩人として知られる。実体験をもとにした『野良猫姫』は初の小説。
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哀れなるものたち | アラスター・グレイ, 高橋 和久(翻訳)
¥1,650
早川書房 2023年 ハヤカワepi文庫 ソフトカバー 560ページ 文庫判 - 内容紹介 - 19世紀後半、天才医師と、奇怪な手術で蘇生された女がいた。そう記された古書に魅せられた作家はある行動に出る。映画化原作