
松明のあかり 暗くなっていく時代の寓話 | バリー・ユアグロー, 柴田元幸(訳)
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twililight 2025年
ソフトカバー 88ページ
B6変形判 縦172mm 横105mm
- 内容紹介 -
アメリカ合衆国在住の作家バリー・ユアグローがトランプ政権下のアメリカに住む不安を小説に。
『ボッティチェリ 疫病の時代の寓話』からわずか5年。ユアグローから再び届いた「アメリカのいまを伝える」緊急文書。
「ここに収められた物語は心の、思いきっていえば魂の訴えである。」(柴田元幸)
“昨年の大統領選で、本書の収録作「彼」で言及される「彼」の元とおぼしき人物が、七千万以上の国民に支持されて大統領に復帰して以来、合衆国から暗い知らせが届かない日はない。そして、七千余万の人たちのうちかなりの人数にとっては、それら暗い知らせも暗くはなく、ひょっとすると喝采すべき明るい知らせなのかもしれない、と思うと気持ちはますます暗くなる。
とはいえ、そんな吞気なことを言っていられるのも、あくまで当方は外国にいて、いまのところは直接、精神的にも物理的にも甚大な害は被っていないからだろう――いまのところは。が、暗さの渦中にいる人々は、どんな思いで生きているのか?
バリー・ユアグローから届いたこれらの寓話は、そのひとつの実例を伝えてくれる“
(訳者あとがきより)
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『松明のあかり』作者からのメッセージ
2020年、コロナ・ウィルスがニューヨークで猛威を振るっていたときに私は『ボッティチェリ』を書きました。そしていま、別の疫病のさなかに『松明のあかり』を書きました。今回は全米で猛威を振るっている政治的な疫病です。この本に収めた一連の寓話は、切羽詰まった警鐘であり、助けを求める訴えであり、自分が子供のころに移ってきた国でいま為されているさまざまな酷(むご)いことに対する苦悶の叫びです。日々押し寄せてくる、アメリカのみならず世界中を危険にさらしている暴虐、非道、噓のただなかで生きる、その痛みに満ちた経験を、これらの物語は想像力を通して綴っています。ところどころで暗いユーモアを使ってもいますが、絶望に陥らないため、ただ単に絶叫してしまわないために笑うのです。日本の読者の皆さんに、アメリカにいる私たちが、私たちの多くが、いまだ人間でいること、なんとか人間らしさを保ち、私たちの名において日々為されていることに深い恐怖を覚えていることをわかっていただければと思います。『ボッティチェリ』を素晴らしい本にしてくれたチームが、この『松明のあかり』も素晴らしい本にしてくれたことに感謝します。
バリー・ユアグロー 2025年7月20日
柴田元幸訳
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《感想コメント》
小川洋子さん
「民主主義の断末魔の声が響く中、まさに急送文書のように届けられた
貴重な一冊。掌にのるこの一冊が、あかりとなるよう、祈るような思いです。」
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佐川亜紀さん
「現在の危機の本質を鮮明に描いていて、この通りと心射抜かれる思いです。
「ここが国境だと我々が言ったらそこが国境なんだ」の時代、仲間も自分もついにミイラに!
「勝ち誇る」テックライトの旗の下、ゴミとして捨てられる運命!
事態はここまで来ていますね。
日本も同じ。」
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管啓次郎さん
「小さな、すごい本。内容はもちろん、出版プロジェクトとして類例なくすごい。ユアグローさんと柴田さんの友情が、歴史に対抗する。耳をかたむけよう。」
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高柳誠さん
「決して対岸の火事とは思えないくらい(事実此岸の火事でもあるのですが)、心底恐いですね。
存在自体(形而上も形而下も含めて)が脅かされる恐怖というか、
言い換えれば、観念的にも生理的にもじわじわとくる怖さを感じました。」
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早助よう子さん
「落ち込むことがあったので、こういう大きな流れにのみこまれないユアグローの蛮勇に、しみじみ励まされました。よい本ですね。「君は何をした?」がとりわけ好きです。」
- 目次 -
松明のあかり
ドッキリ
国境
カット!
何か
情報
埃
揺り木馬
光沢
地図帳
ティーカップ
のたうつ
彼
ゴヤ
塹壕の日々
気をつけて
飾り戸棚
危険
君は何をした?
墓
逃れる
枕の下に見つかったさまざまな政府のリスト
訳者あとがき
- 著者プロフィール -
バリー・ユアグロー (著)
南アフリカ生まれ、10歳のときアメリカへ移住した。 『一人の男が飛行機から飛び降りる』『たちの悪い話』 『ケータイ・ストーリーズ』(いずれも柴田元幸訳、新
潮社刊)など、詩的で白日夢のごとき超短篇で知られ る。ニューヨーク市クイーンズ区ジ ャクソン・ハイツ在住。当地での苛烈なコロナ禍の体 験が、『ボッティチェリ 疫病の時代の寓話』(2020年、 柴田訳で ignition gallery 刊)および『東京ゴースト・ シティ』に活かされている。
柴田元幸 (シバタモトユキ) (訳)
翻訳家・アメリカ文学研究者。1954年東京都生まれ。 ポール・オースター、スティーヴン・ミルハウザー、 スチュアート・ダイベック、スティーヴ・エリクソン、 レベッカ・ブラウン、バリー・ユアグロー、トマス・ ピンチョン、マーク・トウェイン、ジャック・ロンド ンなど翻訳多数。『生半可な學者』で講談社エッセイ賞、
『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞、『メイ スン & ディクスン』で日本翻訳文化賞、また2017年に 早稲田大学坪内逍遙大賞を受賞。文芸誌『MONKEY』
(スイッチ・パブリッシング)責任編集。
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