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【古本】A Village Lost and Found|Brian May, Elena Vidal
¥4,400
Frances Lincoln 2009年 ハードカバー 函入 240ページ 24.77 x 4.13 x 32.7 cm Owl Stereoscope 付 状態:非常に良い ケースに一部ヤブレがありますが、本体は大変良好な状態です。 - 内容紹介 - クイーンのギタリスト、ブライアン・メイと写真史研究者のエレナ・ヴィダルによる著作。 1850年代、ヴィクトリア朝時代に存在した、イングランド南東部のオックスフォードシャーという地域の村を記録したステレオ写真集。 T. R. Williams という人物が撮影した写真を、本に付属の眼鏡を使って立体的にみることができます。 この村が「ヒントン・ウォルドリスト」という村であったというのは2003年にわかったばかりで、当時の暮らしについてや写真技術についてなど、本書は推理小説のようにも読み進めることができます。
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愛と欲望の雑談 | 雨宮まみ, 岸政彦
¥1,100
ミシマ社 2016年 ソフトカバー 96ページ 四六判 縦18mm 横13mm - 内容紹介 - 女性性とうまく向き合えない自身を描いた『女子をこじらせて』で、世の女性の心を鷲掴みにしたライター・雨宮まみさん。日常に転がる「分析できないもの」を集めた『断片的なものの社会学』で、社会学の新たな扉を開いた岸政彦さん。活躍する分野も性格もまったく違うお二人による「雑談」、もう、止まりません! 私たちはときには譲り合うことなく対立しな がらも(例・浮気の是非)、他者を信頼したい、他者とともに在りたいという思いについては、共有していたと思う。――「あとがき」より - 著者プロフィール - 雨宮まみ (アマミヤマミ) (著) ライター。エッセイを中心に書評などカルチャー系の分野でも執筆。著書に『女子をこじらせて』(幻冬舎文庫)、『まじめに生きるって損ですか?』(ポット出版)など。 岸政彦 (キシマサヒコ) (著) 1967年生まれ。社会学者。龍谷大学社会学部教授。研究テーマは沖縄、被差別部落、生活史。著書に『街の人生』(勁草書房)、『断片的なものの社会学』(朝日出版社)など。
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中学生から知りたいウクライナのこと | 小山哲, 藤原辰史
¥1,760
ミシマ社 2022年 ソフトカバー 208ページ 四六判 - 内容紹介 - 生きることの歴史、生きのびるための道。 黒土地帯、第二次ポーランド分割、コサック…地理や世界史の教科書にも載っているこうした言葉に血を通わせる。 「ウクライナを知る」第一歩はここからはじまる。 二人の歴史学者が意を決しておこなった講義・対談を完全再現。緊急発刊! MSLive! BOOKSシリーズ 「小国を見過ごすことのない」歴史の学び方を、今こそ! ・ロシアが絶対に許されない理由…? ・西側諸国、日本が犯してきた罪…? ・「プーチンが悪い」という個人還元主義では、負の連鎖は止まらない…? 【イベント参加者の声】 ・歴史を知ることで、ニュースの解像度が上がり、そこに暮らす人びとの顔が見えてくるような感覚をおぼえました。 ・軍事評論家や国際政治学者の解説ではなく、こういう話が聞きたかったです。 ・「国」と「人」をいっしょくたにせず、どのように平和を築いていくのか。自分の姿勢を問い直す貴重な機会でした。 【MSLive! BOOKSとは?】 ミシマ社が2020年5月にスタートしたオンラインイベント、「MSLive!」。 「MSLive! BOOKS」は、オンラインイベントのライブ感をそのまま詰め込んだ書籍シリーズです。イベントに参加くださった方々から、イベントの内容を活字化したものを販売してほしいというリクエストをたくさんいただき、実現することになりました。 目次 はじめに Ⅰ ウクライナの人びとに連帯する声明(自由と平和のための京大有志の会) Ⅱ ウクライナ侵攻について(藤原辰史) Ⅲ 講義 歴史学者と学ぶウクライナのこと 地域としてのウクライナの歴史(小山哲) 小国を見過ごすことのない歴史の学び方(藤原辰史) Ⅳ 対談 歴史学者と学ぶウクライナのこと(小山哲・藤原辰史) Ⅴ 中学生から知りたいウクライナのこと 今こそ構造的暴力を考える(藤原辰史) ウクライナの歴史をもっと知るための読書案内(小山哲) おわりに - 著者プロフィール - 小山哲 (コヤマサトシ) (著/文) 1961年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。専門は西洋史、特にポーランド史。著書に『ワルシャワ連盟協約(一五七三年)』、共編著に『大学で学ぶ西洋史 [近現代]』、『人文学への接近法――西洋史を学ぶ』など。 藤原辰史 (フジハラタツシ) (著/文) 1976年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専門は現代史、特に食と農の歴史。著書に『縁食論』(ミシマ社)、『トラクターの世界史』『カブラの冬』『ナチスのキッチン』(河合隼雄学芸賞)、『給食の歴史』(辻静雄食文化賞)、『分解の哲学』(サントリー学芸賞)など。
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増補改訂版 奇妙な孤島の物語 私が行ったことのない、生涯行くこともないだろう55の島 | ユーディット・シャランスキー, 鈴木 仁子(翻訳)
¥3,245
SOLD OUT
河出書房新社 2022年 ハードカバー 160ページ A5変型判 縦230mm 横158mm 厚さ12mm - 内容紹介 - 島は天国だ。地獄でもある――古今東西、風変わりなエピソードをもつ55の島々を史実に基づいて綴り、美しい地図と共に収録。「ドイツのもっとも美しい本」賞受賞。各国で絶賛を博した書。 - 著者プロフィール - ユーディット・シャランスキー (シャランスキー,ユーディット) (著/文) 1980年、東ドイツ生まれ。作家・ブックデザイナー。『奇妙な孤島の物語』は世界的ベストセラー。『失われたいくつかの物の目録』など、世界20か国以上で翻訳され、ヴィルヘルム・ラーべ賞など受賞多数。 鈴木 仁子 (スズキ ヒトコ) (翻訳) 1956年生。名古屋大学文学部卒業。名古屋大学大学院博士課程前期中退。名城大学非常勤講師を経て、椙山女学園大学国際コミュニケーション学部准教授。訳書に『アウステルリッツ』『よそ者たちの愛』他多数。
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琉球の富 | 柳 宗悦
¥1,320
SOLD OUT
筑摩書房 2021年 ソフトカバー 368ページ 文庫版 - 内容紹介 - === 琉球王国として独自の文化を形成した沖縄。1938年に初めて現地を訪れた柳宗悦は、工芸品ばかりでなく、建物や人、暮らしぶりにいたるまで、すべてが美しい島々に魅了される。以来、来島を重ね、調査・蒐集を行い、展覧会などを通じてその魅力を紹介した。しかしその夢のような美の王国は1945年の沖縄戦で灰燼に帰してしまう。本書には表題の「琉球の富」をはじめ、柳が沖縄のすばらしさや沖縄の人々への想いを綴った主な論考を収録。あわせて玉陵や識名宮、首里の町並みなど、失われてしまった風景を記録した貴重写真も多数掲載。戦前の沖縄がここに蘇る。文庫オリジナル。 解説 松井 健 === 戦前の沖縄がよみがえる 失われし美の王国を記録した貴重な写真を多数掲載 復帰50年記念 文庫オリジナル === 【目次】 琉球の富 琉球の風物 琉球学の第一歩 現在の壺屋とその仕事 壺屋の新作 芭蕉布物語 沖縄の民芸 沖縄の文化財保護に 国語問題に関し沖縄県学務部に答うるの書 沖縄の話 沖縄の同胞に 沖縄の思い出 首里と那覇 解題 解説 柳宗悦が沖縄で観たもの(松井健) - 著者プロフィール - 柳 宗悦 (ヤナギ ムネヨシ) (著/文) 柳宗悦(やなぎ・むねよし) 1889-1961年。学習院高等科在学中に雑誌「白樺」創刊に参加。主に美術の分野を担当した。東京帝国大学哲学科を卒業後は宗教哲学者として活躍。濱田庄司、河井寛次郎、バーナード・リーチ、富本憲吉らと出会い、「民藝」という新しい美の概念を打ちたてた。眼の人として知られるが、柳のまなざしは、物の美しさだけではなく、物を生み出した人や社会にたえず注がれていた。
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それでも、世界はよくなっている | ラシュミ・サーデシュパンデ, 神田 由布子(翻訳)
¥1,980
亜紀書房 2022年 ソフトカバー 176ページ A5判 - 内容紹介 - 戦争、洪水、貧困……世界は恐ろしいニュースにあふれている。 世界はほんとにお先まっ暗なの? ――〈答えはNO!〉 -------------------------------------- 民主主義の社会に暮らす人がいまほど多い時代はない。 学校に通う子どもの数も一番多いし、女の子の数も一番多い。 清潔な水やトイレを利用できる人の数もいままでで一番多い。 多くのアートが自宅のソファで見られるようになっている。 貧困率も下がっている。 気候変動を抑えるために森を守る人が増えている。 政治のトップには女性たちが入るようになった。 ――「ね、世界や人間は捨てたものじゃない。希望は簡単に捨てられないんだ」 データや事実を見れば、たくさんのよいニュースがある! たたかうに値する課題ばかりだ! 目次 ■はじめに ■第1章 人はやさしさと共感と希望にみちている ■第2章 政治はよくなっている――リーダーとドリームチーム ■第3章 美しい地球を取りもどす――環境を守る ■第4章 すべての人をすこやかに――世界に医療と衛生を ■第5章 みんながかがやける社会に――不平等をなくす ■第6章 アートってすばらしい――エリートでなくてもOK ■これからのこと ■おもな情報源 ■訳者あとがき - 著者プロフィール - ラシュミ・サーデシュパンデ (ラシュミ サーデシュパンデ) (著/文) インド系英国人。2児を育てるために弁護士から作家に転身。2018年、著作刊行を目指す作家育成ブログラム、ペンギン・ランダムハウス社の〈WriteNow mentoring〉の対象者に選ばれ、絵本を続々と発表。既刊書(いずれも未邦訳)は、『How to Be Extraordinary』(2019年)、『Never Show a T-Rex a Book』『DOSH-How to Earn it, Save it, Spend it, Grow it, Give it』(2020年)、『How to Change the World』(2021年)。 神田 由布子 (カンダ ユウコ) (翻訳) 翻訳家 『パトリックと本を読む』(ミシェル・クオ著、白水社)、『レオナルド・ダ・ヴィンチを探して』(東京書籍)など訳書多数。
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フリースタイル言語学 | 川原繁人
¥1,980
SOLD OUT
大和書房 2022年 ソフトカバー 352ページ 四六判 縦188mm 横130mm 厚さ21mm - 内容紹介 - 私たちの日常は、見るにしろ、聞くにしろ、書くにしろ、話すにしろ、言葉であふれている。 つまり、言語学者にとって、日常とは偏愛対象が氾濫し流れ込んでくる狂喜乱舞の日々なのだ。 ポケモンやプリキュア、日本語ラップなどを題材にしたユニークな研究が注目されている言語学者による、私たちのごく身近な物事をフリースタイルで言語学的に思考していく科学エッセイ。 目次 ▼第1章 思い出編 若くて大胆だったころの私 1-1:バズりの裏側 メイド名研究の軌跡/1-2:わらしべ長者、川原繁人/1-3:日本語ラップ論争に場外からがち乱入/1-4:吸って~吐いて~の言語学/1-5:正しい英語の学び方 ▼第2部 家族編 言語学家族の日常 2-1:素敵な鼻濁音ですね/2-2:しげとさん、それでまにあう?/2-3:ドキドキハートキャッチの結果発表/2-4:とーちゃんと呼ばないで/2-5:部屋とエントロピーと私/2-6:匂わせ写真、匂わせ言動 ▼第3章 ガチ研究紹介編 現在進行形で気になるあれこれ 3-1:ポケモン進化と言語進化/3-2:ドラクエの呪文も気になる/3-3:こうとうがいかぜんびおんかゆうせいしけいはさつおん/3-4:寿司とカレーとハッシュドビーフ/3-5:子音と母音にまつわるエトセトラ1/3-6:子音と母音にまつわるエトセトラ2/3-7:おぬしは何者だ? 私の人生を変えた男/3-8:声楽家たちへ捧げる音の高さのエトセトラ アクセント&イントネーション入門 ▼第4章 挑戦編 音以外にも魅力がいっぱいの言語学 4-1:にせものを探せ!/4-2:曖昧な日本語の問題/4-3:ゴミだけ出しておいて/4-4:あなたのその濁点取れますか?/4-5:我はぴみこじゃ/4-6:漢語で遊ぼ お家で学ぶ言語学入門/4-7:あけおめことよろの真実 村上陽一郎先生への一方的なラブレター ▼第5章 雑談編 研究者ならではの裏話 5-1:エルデシュ・ベーコンへの距離/5-2:言語学世界の偉人伝説/5-3:バズるな危険 ▼第6章 お悩み編 私は世の中のお役に立てますか? 6-1:私はあなたのお役に立てますか?/6-2:言語学、性差別と向き合う/6-3:どうしてもお役に立ちたい!1 ALSとマイボイスの物語/6-4:なんとか役に立ちたい2 コロナデマ情報翻訳プロジェクト - 著者プロフィール - 川原繁人 (カワハラシゲト) (著/文) 1980年東京生まれ。1998年、国際基督教大学入学。2000年にカリフォルニア大学サンタクルーズ校に交換留学。同大学言語学科、名誉卒業生(2011年)。2001年、マサチューセッツ大学言語学科大学院に受験することなく合格内定をもらい、2002年に入学。2007年、同大学院より博士号取得(言語学)。卒業後、ラトガーズ大学にて教鞭を執りながら、音声研究所を立ち上げる。2013年より慶應義塾大学言語文化研究所に移籍。現在、教授。専門は音声学、音韻論、一般言語学。著作『音とことばのふしぎな世界』(岩波科学ライブラリー)、『「あ」は「い」より大きい!?』(ひつじ書房)、『音声学者、娘とことばの不思議に飛び込む』(朝日出版社)他。複数の国際雑誌の編集責任者を歴任。
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奇妙な瓦版の世界 江戸のスクープ大集合 | 森田 健司
¥2,750
青幻舎 2020年 ソフトカバー 236ページ A5版 - 内容紹介 - 江戸のゴシップ紙!? 嘘か真か? 江戸を沸かせた大事件簿100! 江戸時代、違法出版物として毎日数多く発行された「瓦版」は、庶民の好奇心を満たすメディアとして大変人気を博した。黒船来航、戊辰戦争などの歴史的出来事から、敵討ちに天災地変、はては人魚の目撃情報まで、硬軟自在なネタで庶民を夢中にした。本書では現存する貴重な瓦版を解説とあわせて掲載し、その魅力を初めてビジュアル面から紹介する。 ■目次 01. 怪異と珍獣 02. 黒船来航 03. 敵討 04. 戊辰戦争 05. 江戸の大事件 06. 大火と地震 07. 美談と奇談 08. 見立番付 09. 明治の瓦版
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実践・哲学ディベート 〈人生の選択〉を見極める | 高橋 昌一郎
¥968
NHK出版 2022年 ソフトカバー 224ページ 新書版 - 内容紹介 - 「論理」を鍛え、「問題」と向き合う! 反出生主義に教育問題、ルッキズムからAI脅威、意思決定論まで。誰もが遭遇する人生の身近な事例を手掛かりに、「教授」と「学生たち」のディベート形式で、哲学的論点を浮かび上がらせる。NHKブックス『哲学ディベート』以降に登場した、新たな思想潮流や現代特有の課題を集中的に取り上げ、思考法とアプローチを同時に身につけることを目指す、画期的哲学入門! - 著者プロフィール - 高橋 昌一郎 (タカハシ ショウイチロウ) (著/文) 國學院大學教授。1959年生まれ。ミシガン大学大学院哲学研究科修了。専門は論理学、科学哲学。著書は『理性の限界』『知性の限界』『感性の限界』『フォン・ノイマンの哲学』『ゲーデルの哲学』『20世紀論争史』『自己分析論』『反オカルト論』『愛の論理学』『東大生の論理』『小林秀雄の哲学』『哲学ディベート』『ノイマン・ゲーデル・チューリング』『科学哲学のすすめ』など、多数。
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手づくりのアジール 「土着の知」が生まれるところ | 青木真兵
¥1,980
晶文社 2021年 ソフトカバー 256ページ 四六判 - 内容紹介 - 青木君たち、やっていることは「けっこう極端」なんだけれど、言葉の手ざわりがとてもやさしい。だから話をずっと聴いていられる。──内田樹 注目の在野研究者・移住者・図書館主宰者による土着人類学宣言!あたらしい人文知はここからはじまる。 市場原理主義や、社会に浸透する高度なテクノロジーによる管理化に飲み込まれず、地に足がついたまっとうな生き方をするためには、社会のなかでの「アジール(避難所)」を自分たちの手で確保することが必要ではないか。 ・スピードが最優先される「スマート化」にどう抗うか? ・これからの「はたらく」のかたちとは? ・研究と生活をどう一致させるか?…… 奈良の東吉野村で自宅兼・人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」を主宰する著者が、志を同じくする若手研究者たちとの対話を通じて、「土着の知性」の可能性を考える考察の記録。あたらしい人文知はここからはじまる。 ぼくらの直感は合っていました。合っていたからと言って世界が劇的には変わるわけではないのだけれど、でももうちょっと、この「土着の知」とも言うべき人間の生き物としての部分を認めないと、ぼくたちは生き残ることができないのではないか。社会を維持することだってできないのではないか。本書は『彼岸の図書館』で言語化でき始めたこの直感を、同年代の研究者と共有し、意見交換した記録です。(「はじめに」より) 【目次】 「闘う」ために逃げるのだ──二つの原理を取り戻す 対話1 逃げ延びるという選択 栢木清吾×青木真兵×青木海青子 対話2 これからの「働く」を考える 百木漠×青木真兵 「最強」とはなにか──山村で自宅を開くこと 対話3 「スマート」と闘う 藤原辰史×青木真兵 対話4 土着の楽観主義 竹端寛×青木真兵 手づくりのアジール──「自分のために」生きていく 対話5 生活と研究 磯野真穂×青木真兵 対話6 ぼくらのVita Activa――マルクス・アーレント・網野善彦 百木漠×青木真兵 山村デモクラシーⅡ 目次 「闘う」ために逃げるのだ──二つの原理を取り戻す 対話1 逃げ延びるという選択 栢木清吾×青木真兵×青木海青子 対話2 これからの「働く」を考える 百木漠×青木真兵 「最強」とはなにか──山村で自宅を開くこと 対話3 「スマート」と闘う 藤原辰史×青木真兵 対話4 土着の楽観主義 竹端寛×青木真兵 手づくりのアジール──「自分のために」生きていく 対話5 生活と研究 磯野真穂×青木真兵 対話6 ぼくらのVita Activa――マルクス・アーレント・網野善彦 百木漠×青木真兵 山村デモクラシーⅡ - 著者プロフィール - 青木真兵 (アオキシンペイ) (著/文) 1983年生まれ、埼玉県浦和市に育つ。「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」キュレーター。古代地中海史(フェニキア・カルタゴ)研究者。博士(文学)。2014年より実験的ネットラジオ「オムライスラヂオ」の配信をライフワークにしている。2016年より奈良県東吉野村在住。現在は障害者の就労支援を行いながら、大学等で講師を務めている。著書に、妻・青木海青子との共著『彼岸の図書館──ぼくたちの「移住」のかたち』(夕書房)、『山學ノオト』『山學ノオト2』(共にエイチアンドエスカンパニー)のほか、「楽しい生活──僕らのVita Activa」(内田樹編『ポストコロナ期を生きるきみたちへ』所収、晶文社)などがある。
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社会を変えた50人の女性アーティストたち|レイチェル・イグノトフスキー, 野中 モモ(翻訳)
¥1,980
創元社 2021年 ハードカバー 128ページ A4変型判 縦235mm 横198mm 厚さ17mm - 内容紹介 - 古来から女性は多くの絵画や彫刻作品のモチーフとして描かれてきましたが、女性自身が絵筆を持ち、制作チームを率いて作品を作り出し、自由なテーマで表現することは、長らく制限されていました。 「女性だから」というだけで特定のモチーフを扱うことを禁じられたり、男性中心の価値観が支配する業界で活躍の場や正当な評価を受けられないといったことは日常茶飯事でした。 現代では多くの女性アーティストが活躍していますが、現在でも、作品の評価額や展覧会において展示作品に占める割合、美術館の管理職の人数や待遇など、歴然としたジェンダーの不均衡が存在します。 本書は、美術・詩作・彫刻・写真・陶芸・建築・デザインなど、幅広い芸術ジャンルで才能を発揮し、常識にとらわれない自由な表現で社会をゆるがせた世界の50人の女性アーティストの活躍を、チャーミングなイラストとともに紹介します。 これまでにも科学技術、スポーツの世界における偉大な女性たちを讃えてきた新進気鋭のイラストレーター、レイチェル・イグノトフスキーの最新作。 彼女の「ホーム」ともいうべき芸術の世界で、人種・階級・性差別にくじけず力強くおのれを表現し、人々の心をゆさぶったヒロインたちを、人間的な魅力を引き出しながら描き上げています。 本書が取り上げるのはいわゆる「ファインアート」だけにとどまりません。ファッションや家具、建築など実用性のなかに美を見出すデザイナーたちや、民族の歴史と伝統を未来に伝えるキルトや陶芸作家、グラフィックデザイナーやアニメーターなどごく新しいメディアを牽引するアーティストも多く登場します。 「アート」という言葉がもつ幅広さ、アートが担う役割の多様さ、そのエネルギーの大きさもひしひしと感じられるでしょう。 <本書の見どころ> ●社会から見過ごされていたものに目を向け、独創的な芸術表現に昇華させた女性アーティスト50人(+α)を紹介 ●芸術家としての活動からプライベートな一面まで、トリビアもたっぷり。魅力あふれる人生の物語を簡潔に学べます ●制作道具一覧や色彩・デザイン論の基礎知識、歴史年表など、楽しいコラムも収録 <こんな人が載っています> 管道昇(詩人・画家)、ハリエット・パワーズ(キルト作家)、メアリー・カサット(画家)、ナンペヨ(陶芸家)、ビアトリクス・ポター(作家・イラストレーター)、ジャンヌ・パキャン(ファッションデザイナー)、ジョージア・オキーフ(画家)、オーガスタ・サヴェイジ(彫刻家)、リー・ミラー(写真家)、フリーダ・カーロ(画家)、メアリー・ブレア(アニメーター)、レイ・イームズ(インダストリアルデザイナー)、草間弥生(画家・彫刻家・インスタレーションアーティスト)、ウェンディ・カーロス(作曲家)、ポーラ・シェア(グラフィックデザイナー)、、妹島和代(建築家)、シリン・シャネット(写真家・映画監督)など… 目次 はじめに 歴史年表 管道昇(詩人・画家、1262-1319) クリスティーヌ・ド・ピザン(装飾写本の著者・アートディレクター、1364-1430) ラヴィニア・フォンターナ(画家、1552-1614) エリザベッタ・シラーニ(画家・版画家、1638-1665) エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン(画家、1755-1842) ジュリア・マーガレット・キャメロン(写真家、1815-1879) ローザ・ボヌール(画家、1822-1899) ハリエット・パワーズ(キルト作家、1837-1910) メアリー・エドモニア・ルイス(彫刻家、1844-1907) メアリー・カサット(画家、1844-1926) ナンペヨ(陶芸家、1859-1942) ビアトリクス・ポター(作家・イラストレーター、1866-1943) コラム:アートとデザインの要素と原則 ジャンヌ・パキャン(ファッションデザイナー、1869-1936) ジュリア・モーガン(建築家、1872-1957) タルシラ・ド・アマラル(画家、1886-1973) ジョージア・オキーフ(画家、1887-1986) ハンナ・ヘッヒ(コラージュ・アーティスト、1889-1978) アルマ・トーマス(画家、1891-1978) オーガスタ・サヴェイジ(彫刻家・教師、1892-1962) ドロシア・ラング(写真家、1895-1965) ドロシー・リーベス(テキスタイルデザイナー・織物作家・実業家、1897-1972) タマラ・ド・レンピッカ(画家、1898-1980) ルイーズ・ネヴェルソン(彫刻家、1899-1988) コラム:アート界の統計 ベル・コーガン(インダストリアルデザイナー、1902-2000) ローラ・アルヴァレス・ブラーヴォ(写真家、1903-1993) ロイス・メイロウ・ジョーンズ(画家・デザイナー・教師、1905-1998) リー・ミラー(写真家、1907-1977) フリーダ・カーロ(画家、1907-1954) シーピー・ピネレス(グラフィックデザイナー・アートディレクター、1908-1991) メアリー・ブレア(イラストレーター・デザイナー・コンセプトアーティスト・アニメーター、1911-1978) テルマ・ジョンソン・ストリート(画家・ダンサー・教育者、1911-1959) ルイーズ・ブルジョワ(彫刻家・インスタレーションアーティスト・画家・彫刻家、1911-2010) レイ・イームズ(インダストリアルデザイナー・グラフィックアーティスト・建築家・映像作家、1912-1988) メレット・オッペンハイム(シュールレアリスト彫刻家、1913-1985) アムリタ・シェール=ギル(画家、1913-1941) エリザベス・キャトレット(彫刻家・版画家、1915-2012) コラム:アートの道具 ルース・アサワ(彫刻家・芸術支援活動家・教師、1926-2013) ノーマ・スクラレック(建築家、1926-2012) 草間彌生(彫刻家・インスタレーションアーティスト・画家・パフォーマンスアーティスト、1929-) フェイス・リンゴールド(画家・布作家・教育者・社会運動家、1930-) ジャンヌ=クロード・ドゥナット・ド・ギュボン(環境アーティスト、1935-2009) ウェンディ・カーロス(作曲家・日食写真家、1939-) ポーラ・シェア(グラフィックデザイナー、1948-) 劉虹/リウ・ホン(画家・インスタレーションアーティスト、1948-) ザハ・ハディド(建築家、1950-2016) チャカイア・ブッカー(彫刻家・インスタレーションアーティスト、1953-) 妹島和世(建築家、1956-) シリン・ネシャット(写真家・映画監督、1957-) ソカリ・ダグラス・キャンプ(彫刻家、1958-) マヤ・リン(建築家・彫刻家・デザイナー、1959-) まだまだいる女性アーティストたち おわりに 参考資料 感謝のことば 著者について 索引 - 著者プロフィール - レイチェル・イグノトフスキー (イグノトフスキー,レイチェル) (著/文) アメリカ・ニュージャージー出身、カンザス在住の若手女性イラストレーター。2011年にアート・グラフィックデザインの専門学校タイラー校を優秀な成績で卒業し、その後は特に歴史や科学、また教育、ジェンダーなどをテーマにしたイラストを多く描いている。著書に『世界を変えた50人の女性科学者たち』『歴史を変えた50人の女性アスリートたち』『プラネットアース』(いずれも創元社)がある。 野中 モモ (ノナカ モモ) (翻訳) 翻訳者・ライター。 訳書にロクサーヌ・ゲイ『飢える私 ままならない心と体』(亜紀書房、2019年)、 レイチェル・イグノトフスキー『歴史を変えた50人の女性アスリートたち』(創元社、2019年)、『世界を変えた50人の女性科学者たち』(創元社、2018年)、 ダナ・ボイド『つながりっぱなしの日常を生きる ソーシャルメディアが 若者にもたらしたもの』(草思社、2014年)など。 著書に『野中モモの「ZINE」 小さなわたしのメディアを作る』(晶文社、2020年)、『デヴィッド・ボウイ 変幻するカルト・スター』(筑摩書房、2017年)、 共編著書に『日本のZINEについて知ってることすべて 同人誌、ミニコミ、 リトルプレス 自主制作出版史1960 ~ 2010年代』(誠文堂新光社、2017年)がある。
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歴史を変えた50人の女性アスリートたち|レイチェル・イグノトフスキー, 野中 モモ(翻訳)
¥1,980
創元社 2019年 ハードカバー 128ページ A4変型判 縦235mm 横198mm 厚さ17mm - 内容紹介 - 「女は弱い!」としめ出されていた近代スポーツ界に飛びこみ、圧倒的な能力と粘り強さで記録と歴史をぬりかえてきた女性アスリート50人にスポットをあて、その驚くべき成績やバイタリティあふれる人生をチャーミングなイラストとともに紹介します。 女性には不可能だと言われてきたことの誤りを、鍛えぬいた身体と不屈の精神で堂々と証明したヒロインたちの姿は、若きアスリートのみならず、自分の限界をこえたいと願うすべての人を励ましてくれます。 <本書の見どころ> ●近代スポーツの歴史を切り拓いてきた、パワフルな女性アスリート50人(+α)を紹介 ●競技成績からプライベートな一面まで、エネルギーに満ちた女性アスリートたちの人生の物語を簡潔に学べます ●若手女性イラストレーターによるおしゃれなイラストが満載。ビジュアルブックとしても楽しめます ●歴史年表や筋肉解剖学、男女間の報酬とメディア格差統計など、図解コラムも充実 ●本文のおもな漢字にルビつき。未来のアスリートを応援します ●日本版だけの描きおろしイラストも多数収録! <こんな人が載っています> ガートルード・エダール(長距離水泳選手)、福田敬子 (柔道家)、トニ・ストーン(野球選手)、田部井淳子 (登山家)、ジョディ・コンラッド (バスケットボール監督)、ビリー・ジーン・キング (テニス選手)、フロー・ハイマン (バレーボール選手)、スーザン・ブッチャー (犬ぞり操縦者)、ナディア・コマネチ (体操選手)、アンジャリ・バグワット (射撃選手)、シャンタル・プチクレール (車いす陸上競技選手) 、キム・スニョン (アーチェリー選手) 、クリスティ・ヤマグチ (フィギュアスケート選手)、ミア・ハム (サッカー選手)、セリーナ・ウィリアムズ (テニス選手)、ニコラ・アダムズ (ボクサー)、マリアナ・パホン (BMX自転車選手)、シモーネ・バイルズ (体操選手)など… 目次 False - 著者プロフィール - レイチェル・イグノトフスキー(Rachel Ignotofsky) アメリカ・ニュージャージー出身、カンザス在住の若手女性イラストレーター。2011年にアート・グラフィックデザインの専門学校タイラー校を優秀な成績で卒業し、その後は特に歴史や科学、また教育、ジェンダーなどをテーマにしたイラストを多く書いている。著書に「Women in Science」「I love Science」「PLANET EARTH」(いずれも10 Speed Press)がある。 野中モモ(のなか・もも) 翻訳者・ライター。訳書にロクサーヌ・ゲイ『飢える私 ままならない心と体』(亜紀書房、2019年)、レイチェル・イグノトフスキー『世界を変えた50人の女性科学者たち』(創元社、2018年)、ダナ・ボイド『つながりっぱなしの日常を生きる ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの』(草思社、2014年)など。著書に『デヴィッド・ボウイ 変幻するカルト・スター』(筑摩書房、2017年)、共編著書に『日本のZINEについて知ってることすべて 同人誌、ミニコミ、リトルプレス 自主制作出版史1960 ~ 2010年代』(誠文堂新光社、2017年)がある。
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スマートな悪 技術と暴力について | 戸谷 洋志
¥1,540
SOLD OUT
講談社 2022年 ソフトカバー 210ページ 四六判 - 内容紹介 - いま、あなたの周りには、いったいいくつのスマートデバイスが存在するだろうか。もしかしたら、あなたのポケットにはスマートフォンが入っているかも知れない。あるいはあなたの腕にはスマートウォッチが巻かれているかも知れない。スマートスピーカーで音楽を聴き、スマートペンでメモを取っているかもしれない。あなたの家はスマートロックに守られているかも知れない。そんなあなたはスマートシティに住んでいるかも知れない。 私たちの日常を多くのスマートなものが浸食している。私たちの生活はだんだんと、しかし確実に、全体としてスマート化し始めている。しかし、それはそうであるべきなのだろうか。そのように考えているとき、問われているのは倫理である。本書は、こうしたスマートさの倫理的な含意を考察するものである。 (中略) もちろん、社会がスマート化することによって私たちの生活が便利になるのは事実だろう。それによって、これまで放置されてきた社会課題が解決され、人々の豊かな暮らしが実現されるのなら、それは歓迎されるべきことだ。まずこの点を強調しておこう。 あえて疑問を口にしてみよう。スマートさがそれ自体で望ましいものであるとは限らないのではないか。むしろ、スマートさによってもたらされる不都合な事態、回避されるべき事態、一言で表現するなら、「悪」もまた存在しうるのではないか。そうした悪を覆い隠し、社会全体をスマート化することは、実際にはとても危険なことなのではないか。超スマート社会は本当に人間にとって望ましい世界なのか。その世界は、本当に、人間に対して牙を剥かないのだろうか。 そうした、スマートさが抱えうるネガティブな側面について、つまり「スマートな悪」について分析することが、本書のテーマだ。 (中略) ……本書は一つの「技術の哲学」として議論されることになる。技術の哲学は二〇世紀の半ばから論じられるようになった現代思想の一つの潮流である。本書は、マルティン・ハイデガー、ハンナ・アーレント、ギュンター・アンダース、イヴァン・イリイチなどの思想を手がかりにしながらも、これまで主題的に論じられてこなかった「スマートさ」という概念を検討することで、日本における技術の哲学の議論に新しい論点を導入したいと考えている。(「はじめに」より) 目次 はじめに 第1章 超スマート社会の倫理 第2章 「スマートさ」の定義 第3章 駆り立てる最適化 第4章 アイヒマンのロジスティクス 第5章 良心の最適化 第6章 「機械」への同調 第7章 満員電車の暴力性 第8章 システムの複数性 第9章 「ガジェット」としての生 おわりに - 著者プロフィール - 戸谷 洋志 (トヤ ヒロシ) (著/文) 1988 年東京生まれ。法政大学文学部哲学科卒業、大阪大学大学院文学研究科文化形態論専攻博士課程満期取得退学。現在、関西外国語大学英語国際学部准教授。博士(文学)。専攻は哲学。現代ドイツ思想を中心にしながら、テクノロジーと社会の関係を研究すると同時に「哲学カフェ」を始めとした哲学の社会的実践にも取り組んでいる。著書に『Jポップで考える哲学――自分を問い直すための15曲』(講談社文庫)、『原子力の哲学』(集英社新書)、『ハンス・ヨナス 未来への責任──やがて来たる子どもたちのための倫理学』(慶應義塾大学出版会)などがある。
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ソウル・ハンターズ シベリア・ユカギールのアニミズムの人類学 | レーン・ウィラースレフ, 奥野 克巳(翻訳), 近藤 祉秋(翻訳), 古川 不可知(翻訳)
¥3,520
SOLD OUT
亜紀書房 2018年 ハードカバー 384ページ 四六判 - 内容紹介 - 人類学と哲学、人間と動物が絡まり合う場所で ヴィヴェイロス・デ・カストロ、ハイデガー、インゴルド、ラカンらの思想を武器に、シベリアの狩猟民の世界に肉薄する。 人間と人間ならざるものが対等に出会う地平を描き出し、人類学の「存在論的転回」を決定づけるパースペクティヴィズムの重要著作、ついに翻訳! - 著者プロフィール - レーン・ウィラースレフ (レーン ウィラースレフ) (著/文) 1971年生まれ。国立デンマーク博物館館長。2003年、ケンブリッジ大学人類学科博士課程修了。博士(人類学)。マンチェスター大学(イギリス)、オーフス大学ムースガルド博物館(デンマーク)、オスロ大学文化史博物館(ノルウェー)を経て現職。 奥野 克巳 (オクノ カツミ) (翻訳) 1962年生まれ。立教大学異文化コミュニケーション学部教授。 一橋大学社会学研究科博士後期課程修了、桜美林大学教授を経て、2015年より現職。 【著書】 『「精霊の仕業」と「人の仕業」:ボルネオ島カリスにおける災い解釈と対処法』(春風社、2004年)、『人と動物、駆け引きの民族誌』(編著、はる書房、2011年)、『改定新版 文化人類学』(内堀基光との共編著、放送大学教育振興会、2014年)、『Lexicon 現代人類学』(石倉敏明との共編著、以文社、2018年)、『反省も謝罪もしない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(亜紀書房、2018年刊行予定)など。訳書にエドゥアルド・コーン『森は考える』(共監訳、亜紀書房、2016年)など。 近藤 祉秋 (コンドウ シアキ) (翻訳) 1986年生まれ。北海道大学アイヌ・先住民研究センター助教。 早稲田大学大学院、アラスカ大学フェアバンクス校博士課程を経て、2016年より現職。 【著書・論文】 『人と動物の人類学』(奥野克己、山口未花子との共編著、春風社、2012年)、「ボブ老師はこう言った:内陸アラスカ・ニコライ村におけるキリスト教・信念・生存」『社会人類学年報』第43号、「アラスカ・サケ減少問題における知識生産の民族誌――研究者は以下に関わるべきか――」『年報人類学研究』第6号。 古川 不可知 (フルカワ フカチ) (翻訳) 1982年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。 【論文】 「「仕事は探検」――ネパール・ソルクンブ郡、シェルパの村の生業と変容」『日本山岳文化学会論集』第14号(単著、2016年)、「職業としての「シェルパ」をめぐる語りと実践」『年報人間科学』第36号(単著、2015年)。
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思いがけず利他 | 中島岳志
¥1,760
ミシマ社 2021年 ソフトカバー 184ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ15mm - 内容紹介 - It’s automatic(イッツ オートマティック)!? 誰かのためになる瞬間は、いつも偶然に、未来からやってくる。 東京工業大学で「利他プロジェクト」を立ち上げ、『利他とは何か』『料理と利他』などで刺激的な議論を展開する筆者、待望の単著! 今、「他者と共にあること」を問うすべての人へ。 自己責任論も、「共感」一辺倒も、さようなら。 ** 偽善、負債、支配、利己性……。利他的になることは、そう簡単ではありません。 しかし、自己責任論が蔓延し、人間を生産性によって価値づける社会を打破する契機が、「利他」には含まれていることも確かです。――「はじめに」より 本書は、「利他」の困難と可能性を考える。手がかりとなるのは、居心地の悪いケアの場面、古典落語の不可解な筋書き、「証明できない」数学者の直観、「自然に沿う」職人仕事の境地、九鬼周造が追求した「私は私ではなかったかもしれない」という偶然性の哲学……など。 「利他の主体はどこまでも、受け手の側にあるということです。この意味において、私たちは利他的なことを行うことができません」 「利他的になるためは、器のような存在になり、与格的主体を取り戻すことが必要」 ――本文より 意思や利害計算や合理性の「そと」で、 私を動かし、喜びを循環させ、人と人とをつなぐものとは? 目次 はじめに 第一章 業の力――It’s automatic 第二章 やって来る――与格の構造 第三章 受け取ること 第四章 偶然と運命 おわりに - 著者プロフィール - 中島岳志 (ナカジマタケシ) (著/文) 1975年大阪生まれ。大阪外国語大学卒業。京都大学大学院博士課程修了。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。専攻は南アジア地域研究、近代日本政治思想。2005年、『中村屋のボース』で大佛次郎論壇賞、アジア・太平洋賞大賞受賞。著書に『パール判事』『秋葉原事件』『「リベラル保守」宣言』『血盟団事件』『アジア主義』『下中彌三郎』『保守と立憲』『親鸞と日本主義』『利他とは何か』など。ミシマ社からは『現代の超克』(若松英輔との共著)、『料理と利他』(土井善晴との共著)を刊行。
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マツタケ――不確定な時代を生きる術 | アナ・チン, 赤嶺 淳訳
¥4,950
みすず書房 2019年 ハードカバー 448ページ 19.6 x 13.8 x 3 cm - 内容紹介 - 「本書は、20世紀的な安定についての見通しのもとに近代化と進歩を語ろうとする夢を批判するものではない。……そうではなく、拠りどころを持たずに生きるという想像力に富んだ挑戦に取りくんでみたい。……もし、わたしたちがそうした菌としてのマツタケの魅力に心を開くならば、マツタケはわたしたちの好奇心をくすぐってくれるはずだ。その好奇心とは、不安定な時代を、ともに生き残ろうとするとき、最初に必要とされるものである」 オレゴン州(米国)、ラップランド(フィンランド)、雲南省(中国)におけるマルチサイテッドな調査にもとづき、日本に輸入されるマツタケのサプライチェーンの発達史をマツタケのみならず、マツ類や菌など人間以外の存在から多角的に叙述するマルチスピーシーズ民族誌。ホストツリーと共生関係を構築するマツタケは人工栽培ができず、その豊凶を自然にゆだねざるをえない不確定な存在である。そうしたマツタケを採取するのも、移民や難民など不安定な生活を余儀なくされてきた人びとである。生態資源の保護か利用かといった単純な二項対立を排し、種々の不確定性が絡まりあう現代社会の分析にふさわしい社会科学のあり方を展望する。 「進歩という概念にかわって目を向けるべきは、マツタケ狩りではなかろうか」。 目次 絡まりあう プロローグ 秋の香 第一部 残されたもの 1 気づく術 2 染めあう 3 スケールにまつわる諸問題 幕間 かおり 第二部 進歩にかわって――サルベージ・アキュミュレーション 4 周縁を活かす フリーダム…… 5 オレゴン州オープンチケット村 6 戦争譚 7 国家におこったこと――ふたとおりのアジア系アメリカ人 移ろいゆきながら…… 8 ドルと円のはざま 9 贈り物・商品・贈り物 10 サルベージ・リズム――攪乱下のビジネス 幕間 たどる 第三部 攪乱――意図しえぬ設計 11 森のいぶき マツのなかからあらわれる…… 12 歴史 13 蘇生 14 セレンディピティ 15 残骸 ギャップとパッチで…… 16 科学と翻訳 17 飛びまわる胞子 幕間 ダンス 第四部 事態のまっただなかで 18 まつたけ十字軍――マツタケの応答を待ちながら 19 みんなのもの 20 結末に抗って――旅すがらに出会った人びと 胞子のゆくえ――マツタケのさらなる冒険 マツタケにきく――訳者あとがき 本書で引用された文献の日本語版と日本語文献 索引 - 著者プロフィール - アナ・チン (アナチン) (著/文) カリフォルニア大学サンタクルス校文化人類学科教授。エール大学を卒業後、スタンフォード大学で文化人類学の博士号を取得。フェミニズム研究と環境人類学を先導する世界的権威。おもにインドネシア共和国・南カリマンタン州でフィールドワークをおこない、森林伐採問題の社会経済的背景の重層性をローカルかつグローバルな文脈からあきらかにしてきた。著書にIn the Realm of the Diamond Queen: Marginality in an Out-of-the-Way Place (Princeton University Press, 1993), Friction: An Ethnography of Global Connection (Princeton University Press, 2004), The Mushroom at the End of the World (Princeton University Press, 2015)など、多数。 赤嶺淳 (アカミネジュン) (翻訳) 一橋大学大学院社会学研究科教授。専門は東南アジア地域研究・食生活誌学。ナマコ類と鯨類を中心に野生生物の管理と利用(消費)の変容過程をローカルな文脈とグローバルな文脈の絡まりあいに注目し、あきらかにしてきた。著書に『ナマコを歩く――現場から考える生物多様性と文化多様性』(新泉社、2010)『鯨を生きる――鯨人の個人史・鯨食の同時代史』(吉川弘文館、2017)『生態資源――モノ・場・ヒトを生かす世界』(山田勇・平田昌弘との共編著、昭和堂、2018)など。訳書にアナ・チン『マツタケ』(みすず書房、2019)など。
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いいから、あなたの話をしなよ 女として生きていくことの26の物語 | チョ・ナムジュほか25人
¥1,980
アジュマブックス 2022年 ソフトカバー 312ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ20mm - 内容紹介 - 20代から60代までのフェミニストによる珠玉のエッセー集!江南でのフェミサイド事件をきっかけにフェミニストたちの声が社会を大きく動かした韓国。しかし女性の日常は具体的に何がどれだけ本当に変わったのか?フェミニスト宣言をしたばかりの者たちは往年のお姉さんたちが今どうしているのか知りたいと言い、一方お姉さんたちは若い世代がどんな過程を経てそんなにも勇敢に激烈に最後までくじけずにフェミニズムを叫び続けているのかを知りたがっていた。 『ハヨンガ』著者チョン・ミギョン、『82年生まれ、キム・ジヨン』著者チョ・ナムジュなど26人が寄稿する得がたい一冊! 目次 プロローグ 大韓民国のフェミニスト、何を、なぜ告白するのか 2017年、26人のフェミニストから告白を受け取ったチョ=パク・ソニョン 第1章「知らない男に後をつけられた」 キム・ソヨン 「京郷新聞」記者。 生き残ったのではなく、生きることを望んだ女性。(潜在的)フェミニストの頼もしい友軍になりたい人。 被害意識ではない、「被害の経験」だ ようやく警察官が真面目な表情になった 被害者意識のせいでフェミニストになった? チェ・ナロ メガリアン、「雑誌サシム」エディター。 ものを書くフェミニスト。 さらに汚くなっている最中です 「メガル*雑誌」を作っている女だと、今なら言える 「メガリアン・フェミニスト」というアイデンティティ 私たち、もっと汚くなれるよ 恐れは勇気となって帰って来た アン・ヒョンジン フェミニズム・アクショングループ「江南駅10番出口」、 ゼロ-ゼロフェミニストたちのネットワーク「汎フェミネットワーク」、「女性環境連帯」活動家。 恐れは勇気となって帰って来た 江南駅殺人事件と15歳の記憶、初めてではないオーバーラップ 頭の中のフェミニズムが行動に、告白に 告白が作り出したフェミニズム・アクション イ・セア 2014年から「女性新聞」の記者として働いている。大学卒業後いくつもの仕事をし、いくつもの壁にぶつかったが、全てが「女性」というキーワードで繋がっていることに気づいてフェミニズムを勉強している。思慮深い猫・ラムと暮らしている。 隠し撮りされたのに、なぜ愛だと言ったのか 「男だもん、しかたないよ」 語れなかったことを語る力、フェミニズム ホン・スンヒ 文章を書き、絵を描くパフォーマンスをしています。主に私の体が記憶していることを記録します。「ハンギョレ」、女性主義ジャーナル「イルダ」にコラムを連載。 クリトリスの感受性 知っても分かち合えなかったオルガスムの経験 「男の子って毎日自慰してるんだってさ」 それを感じてしまった後に知ったこと 向き合い、さすり、撫で合うセックス。クリトリスの感受性 ハ・イェナ DSOチームの代表として働いている。力不足のため、お荷物にならないようあがいている。いつか誰かの力となり、助けとなれる人間になりたい。家と外を行き来して、フェミニズム運動をしている。 ソラネットをアウトさせた 2016年10月、デジタル性犯罪追放運動のため家を出た メガリアンから「デジタル性犯罪アウト」代表になるまで… 私は一体、なぜ? 例のうんざりする、「一部」という言葉 「雑巾」に始まり「レイプ」に至る女性嫌悪の温床、ソラネットをアウトさせる! 第2章「もう常識女ではいられない」 クク・チヘ フェイスブックを基盤に活動しているネットフェミ。ウォーマド系と呼ばれ急進女性主義政治学を実践している。 メガリア、ウォーマド、そしてヘルフェミ ウォーマドには男性がおらず、有名人がおらず、沈黙がない ウォーマド学習効果、態度ではなく内容が問題だ! ホン・スンウン 歌を歌い、文章を書き、絵を描く人。女性嫌悪社会で育つうちに体に深く染みついた自己否定感を克服するため、逃げ隠れせず言葉を発する練習をしているところ。著書に『あなたがずっと不愉快なら、結構なことです』があり、女性主義ジャーナル「イルダ」、「女性新聞」に記事を連載中。 ものを言い続けます もう黙ってない それぞれの監獄 個人的な言葉を政治的に連結する 騒々しい革命のために、ものを言い続けます タルリ 仕事と遊びの間をゆったり行き来しながらも智異山(チリサン)女性主義文化団体「文化企画 月」運営者(?)フェミニスト・タロット・リーダーという職業にしてアイデンティティを作った。サバイバーであることを超え、生きる喜びの舞を探し求める今の時間を楽しんでいる。 私はあなた。あなたは私たち。 大韓民国に生まれて、フェミニストにならずにいられる? 独身であれと教えた母、一人でも大丈夫 性売買の現場、「お姉さん」たち 言葉で囲いと囲いを結びつける「チグルス」の向こう側の生を、ともに想像する チョ・ナムジュ 小説『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者。20代でテレビ時事教養番組の台本を書き、30代で子どもを育て、40代では一生懸命小説を書きたい。 娘、母、フェミニスト そうしているうちに、全てが当たり前になった 発表できもしない小説を、こつこつと 戦わないわけにいかなくなった パラン ひょんなことからフェミニズムと出会い、ひょんなことから女性団体で活動している。フェミニズムの実践とは何か、今日も悩んでいる活動家。ひょんなことから出会ったフェミニズムだが、それが偶然なのか必然なのか知りたいフェミニスト。 いいから、あなたの話をしなよ 第3章「黙っているのはもうやめた」 チョン=パク・ミギョン 40代初めまで十二の職業を転々とした。そのうち最も輝かしい履歴はもちろん「イフ」編集長だった。人生がうっすら退屈になっていたある日、とある昔の女が私の元を訪れたことから小説『大雨』を書き、その年小説家として登壇した。 今は小説家として生きており、残りの人生もずっとそうしてゆきたい。生きるのに理由はないが、意味までないとは思わない。素朴すぎて過剰になりがちなその意味を見失わないよう努めながら、気立のよい夫と、その百倍気立のよい動物たちと家族として暮らしている。 私はフェミニスト・ヒンク族です 自然妊娠のための努力が始まった 新劇に浸らない進撃のフェミニズム ピョン・ギョンミ 自称・他称ともに「西大門の美室(ミシル)」。パチパチ弾ける好奇心いっぱいで、お節介で、時にボーイッシュでタフで、時にジャズとカクテル、ロマンチックなものを好んで、テレビを見ながらよく涙を流すロマンチックな感性の持ち主です。 一人だった私を支えてくれる人々の間で 2012年、人生のターニングポイントとなった瞬間 2012年以前 2011年「ノモソ」と出会う そして2012年がやってきた 今、ここ、2017年。 チョ=パク・ソニョン 「イフ」ポッドキャストを2年間続けており、これからも続ける予定。牡羊座、エニアグラム・タイプ2の「人を助ける人」。それゆえせっかちな助力者。せっかちでずぼらだが人を助けることは好き、心意気はよいのだが結果がときどきいまいちなのが惜しい。それでも性格は変わらず結局何でもやってしまわなければ気がすまない。それが長所にしてブラックホール。 膳をひっくり返したやつが整え直すのだ! 整えられた膳をひっくり返した瞬間 道に迷った イフという膳、私がひっくり返したとしよう。ひっくり返したやつが整え直すのだ! パク・チア ソウル女性会・性平等教育センター長。19歳で出会ったかっこいい先輩たちがいわゆる運動圏の人たちで、20歳から本格的にその道に入って行った。進歩派雑誌社記者、市民団体幹部、進歩政党職員、女性団体常勤等、さまざまな仕事をしたが結局はずっと同じ場所に立っていた。講義で生計を立て、講義以外にいくつもの仕事をする忙しい日常を楽しんでいる。これが運動圏に生きる人間の最大の喜びと言うべきか、善良な人々に囲まれて暮らしている。 運動圏フェミニストの夢、そして勝利 今のフェミニストは何が従来どおりで、何が新しいのか ところで「私たち」とは誰だろう 告白その1、私は「圏虫フェミ」である 告白その2、私は正義党で活動している 告白その3、私は女性運動の勝利を夢見ている キム・ヨンラン どんな本でも売って差し上げる伝説のブック・マーケター。1997年、24歳でイフと出会い、ユ・スギョルと出会った。その時ユ先生は私の手帳にこう書いてくださった。「イフの宝、キム・ヨンラン」That’s all! これ以上付け加える必要はない。 イフ・マーケターによる、羽毛のように軽い告白 チョン・ヒョンギョン 募金ノウハウを学んでフェミニズム運動界を潤沢に(?)してやろうと「美しい財団」に入ったが、資金調達法に精通することもできず、利他主義と市民気質を一生の業として背負いながら生きている。それでも肉体と精神がフェミニズムに準拠しているのは相変わらずだ。 毎日、フェミニズムを目撃している 14年間で女が生きる世界は変わったか? 私は? イ・ジノク 社団法人「ジェンダー政治研究所 女勢連」代表を務めており、2人の子どもと多文化家庭を持っている。揺れ動くフェミニズム、しぶといフェミニスト Oscillating feminism, Resilient feminist 26歳の羅針盤、イフ 私のフェミニズムの原型、分断体制で私を育てた女たち フェミニストと政治学者の境界で 倒れては起き上がりを繰り返す、しぶといフェミニストとして生きること 第4章「フェミニズム・コンプレックスがあった」 パク・ミラ 20年前にはフェミニスト・ジャーナル「イフ」の初代編集長。10年前からは瞑想や癒しのための作文を指導し、相談を受けて暮らしている。読者たちが気になっていると思うので付け加えると、あれほど不和になったイフの旧友たちとは、以前と同じでいて違う姿で今もともにいる。私たちの美徳は、いがみ合いながらも最後まで互いを見放さないことだ。そして苦しみながらも葛藤の本質に戻って直視したことだ。あの恐ろしいイフの女たちが今の私を作ってくれた。 私たちはどうしてこんなにケンカしたのか 怯える自分を見るのが一番怖い 私たちはしょっちゅう誤解し、すぐ攻撃的になる 嫌悪という感情の別の姿 クォン・ヒョンナン 自分も世界も人間も一番美しかった時代にフェミニスト・ジャーナル「イフ」の3代目編集長となった。以降波に乗って揺れ、浮き沈みが激しかった。 生まれつきの方向音痴だが、行くべき道を見失ったと思ってことはない。 歩いて行った道はどれもよかった。妙に悲しく愚かな旅行エッセイ『トラベルテラピー』を出してから、外国人のための韓国語教師となり、生存に必要な最低限の韓国語でも純文学が書かれうることを目撃した。「ゲーム・オブ・スローンズ」のアリアが目指すNo Oneの世界を待ちながら修行している。 女に文学を教えてくれる、ですって? 詩のいらない、美しい国で 詩人の代わりにナチュラルボーン・フェミニストになった 文壇内の男性作家たちの性暴力、その低劣な教え チェ・ミラン アート・ワークショップ・リーダー。フェミニスト・ジャーナル「イフ」創刊からアート・ディレクターとして仕事をしていたが、フランスに渡ってパリ8大学女性学科で現代女性美術を学び、博士課程を修了した。 ハサミリチュアル、私は自由を着る ハサミリチュアル 洋服だんす、欲望の年代記 empowering へその緒を切る キム・ミギョン 27年間育って学んで、27年間仕事をし、あとの27年間ほどは画家として生きようと決めた。54歳になった2014年、専業画家宣言をした。ソウル景福宮の隣、西村(ソチョン)の屋上と通りで町の風景をペンで描き、食べて暮らしている。「西村屋上画家」とも呼ばれる。『ブルックリン午後2時』(2010年)、『西村午後4時』(2015年)という本を出し、展示会「西村午後4時」(2015年)と「西村の花畑」(2015年)を開いた。自分を「生活の中でフェミニズムをそっと実践して生きる女」だと思っている。 絵でフェミニズムの自由さを表現できる日を夢見ている。 フェミニズムは、我が人生の羅針盤 フェミニストとして、フェミニストの母に聞きたいことは? お母さんはどうしてフェミニズムに関心を持ったの? 母親として自分のことを話すなら ファン=オ・グミ 25歳で「女性新聞」の記者として女性主義メディアの一員となってから、フェミニスト・ジャーナル「イフ」と「女性新聞」で編集長として働いた。以降6年以上国会で補佐官として仕事をし、国家システムを把握する貴重な経験を積んだ。 2011年9月、ストーリーテリング・コンテンツとキャラクターを開発する「マイ・ストーリー・ドール」を設立。全国自治体を顧客にストーリーテリング・プロジェクトを進行しながら、都市ブランディング、都市マーケティング、観光活性化案を開発している。 ひょんなことからフェミニスト 1990年代、地方大女子学生にとっての就職という高い壁 このお姉さんたちが私の人生に入ってきそうだという、感覚的な感覚! 骨の髄までフェミニズムを刻み込んでこそ「骨フェミ」だ 第5章「狂女とは、時間旅行をする人のことだ」 ユ・ジヒョン 詩集『月の歴史』作者、詩人 美しき女性主義者として生きるのが幸福だ! 平凡なことが自然なこととは限らない こんなにも美しく賢く優しい女性が、この世に二人といるだろうか 利己的な若いフェミニスト妻? 家父長制に告ぐ コ=ウン・グァンスン 韓方医。平和の母の会、東学実践市民行動代表。子どものころから従順だったそうで、トルリム字(一族の世代ごとに共通して名前につける字)「グァン」に「スン(順)」を付けられた。無口で静かだったため子ども時代のあだ名は「ご隠居」、しかし人一倍の正義感のため戦っては逃げられずに戦って戦ってまた戦って深みにはまり、気づけば還暦を越えていた。朝鮮半島統一をこの目で見るためには、もっと戦って深みにはまらなくちゃならないだろうか。 62歳、私の人生のフェミニズム 学生運動から女性運動へ 両親姓併記と戸主制廃止 女性東学ドキュメンタリー小説13巻と平和運動 武器のない世界、平和の母と東学 ユ・スギョル 過ぎたことだから言うのだが、7年以上闘病生活を送っていた。薬の副作用で体重が15kg増えて、久しぶりに会った人が私を見分けられないこともあった。 近頃は気持ちも安定し、健康も取り戻した。今では10余年前の今ごろ病気になってよかったとさえ思う。私はあのとき立ち止まらなくてはならなかった。振り返ってみれば、私は暴走機関車のように生きていた。病気にならず走り続けていたらどこでパンクしていたか。人生とはそういうものだ。立ち戻って鏡の前でお姉さんのように、いやおばあさんのように生きてゆきたい。 やつらが私を狂わせ、母の再婚が私をフェミニストにした 労組の太母、妖女、一介の女子社員… フェミニスト殺しの霊でも憑いてんのか? 5歳の子どもに戻る退行現象 9年間の秘密 訳者あとがき 大島史子 解説 北原みのり 年表 前書きなど 大韓民国のフェミニスト、何を、なぜ告白するのか 1997年に創刊したフェミニスト・ジャーナル「イフ」は、2006年に終刊した。もはやフェミニズムの熱は冷め、現場に残されたフェミニストたちはただ押し寄せる業務と薄給に耐えるだけの歳月を迎えた。それからさらに10年が経った。2015年MERSギャラリー掲示板の「ミラーリング」に始まるメガリアの誕生、そして2016年4月の江南駅殺人事件をきっかけに、2017年にはオンラインでも、テレビでも、広場でも、書店でも、商店でもたやすく「フェミニズム」と「フェミニスト」に出会えるようになり、フェミニズムの再燃とうごめきが全身で感じられるほどだった。しかし大韓民国女性の日常は具体的に何が、どれだけ……本当に、変わったのだろうか? ある者は20年前よりも、あるいは10年前よりも今の大韓民国のほうが女性たちに対して残酷だと言い、その一方で、女たちはあまりに多くの既得権を得ているのに、さらに多くの権利を奪い取ろうと欲を出している、と批判する者もいる。相変わらず「フェミニズム」についてとなると評価が極端に走るんだなあ……そんな共感が広がっていく中で2017年を迎えた。 2017年は、フェミニストたちにとって2015年よりもさらに複雑で、2016年よりもさらに熾烈な年になったようだ。多くのフェミニストたちが息を潜めなから展開し続けていた議論の多様性のために複雑となり、もはや後退しようのない世界の変化を目の当たりにしたために熾烈にならざるを得なかったのだ。そうだ。実のところ私たちの周辺には、思っていたより多くのフェミニストたちが生きていた。あのたくさんのフェミニストたちはみんなどこへ行ってしまったのだろうと思ったら、私たちのそばでちゃんと生きていたのだ。彼らはいったいどうやって逆境を生き抜いていったのだろう? それが知りたい。フェミニスト宣言をしたばかりの者たちは往年の「どぎつい」お姉さんたちが今どうしているのか知りたいと言い、そのお姉さんたちは若い世代がどんな過程を経てそんなにも勇敢に激烈に、最後までくじけずにフェミニズムを叫び続けているのかを知りたがっていた。 この本はそんな好奇心から作られた。心細さを吹っ飛ばすために系譜を語り、賑やかな連帯を夢見る今のフェミニストたちが各自率直に物語れるよう、聴くことができるよう願った。 大韓民国では世代別の経験がはっきりと異なる。20代から60代までのフェミニストたち全世代の経験と物語を盛り込んで、大韓民国フェミニストの地形図を描き出すために執筆者を選んでいった。フェミニストたちの告白に加わろうと積極的に意思表示をし、何度も原稿を直す手間を惜しまず、古傷をえぐることにも自ら意味を見出せる執筆者たちだった。もちろん大いに議論の余地がある告白を残した執筆者もいるだろうし、同意しがたいフェミニズムを実践している者たちもいるだろう。かれらの人生経験について共感すらできない部分もあるかもしれない。 それでも価値があるはずだ。女性とはひっくるめられた単一の主体ではないし、フェミニズムの理想郷は一つだけではない。その多様性を見てほしい。その多様性に戸惑ってほしい。何よりその多様性の共存について悩んでみてほしい。 フェミニズムは常に質問を投げかけ、答えを与えない。その開かれた答えに向かって一歩を踏み出せる勇気を持った者たちがフェミニストであり、特に大韓民国という激動の時間と空間を生きる女性たちの勇気には一層偉大な価値があるはずだ。その偉大な勇気と、わずかにして強大な価値に共感する本を作りたかった。 - 著者プロフィール - チョ・ナムジュ 조남주 小説『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者。20代でテレビ時事教養番組の台本を書き、30代で子どもを育て、40代では一生懸命小説を書きたい。 チェ・ナロ (チェ ナロ) (著) メガリアン、「雑誌サシム」エディター。ものを書くフェミニスト。 アン・ヒョンジュン (アン ヒョンジュン) (著) フェミニズム・アクショングループ「江南駅10番出口」、ゼロ-ゼロフェミニストたちのネットワーク「汎フェミネットワーク」、「女性環境連帯」活動家。 イ・セア (イ セア) (著) 2014年から「女性新聞」の記者として働いている。大学卒業後いくつもの仕事をし、いくつもの壁にぶつかったが、全てが「女性」というキーワードで繋がっていることに気づいてフェミニズムを勉強している。思慮深い猫・ラムと暮らしている。 ホン・スンヒ (ホン スンヒ) (著) 文章を書き、絵を描くパフォーマンスをしている。主に私の体が記憶していることを記録。「ハンギョレ」、女性主義ジャーナル「イルダ」にコラムを連載。 ハ・イェナ (ハ イェナ) (著) DSOチームの代表として働いている。力不足のため、お荷物にならないようあがいている。いつか誰かの力となり、助けとなれる人間になりたい。家と外を行き来して、フェミニズム運動をしている。 クク・チヘ (クク チヘ) (著) フェイスブックを基盤に活動しているネットフェミ。ウォーマド系と呼ばれ急進女性主義政治学を実践している。 ホン・スンウン (ホン スンウン) (著) 歌を歌い、文章を書き、絵を描く人。女性嫌悪社会で育つうちに体に深く染みついた自己否定感を克服するため、逃げ隠れせず言葉を発する練習をしているところ。著書に『あなたがずっと不愉快なら、結構なことです』があり、女性主義ジャーナル「イルダ」、「女性新聞」に記事を連載中。 タルリ (タルリ) (著) 仕事と遊びの間をゆったり行き来しながら、智異山(チリサン)女性主義文化団体「文化企画 月」運営者(?)。フェミニスト・タロット・リーダーという職業にしてアイデンティティを作った。サバイバーであることを超え、生きる喜びの舞を探し求める今の時間を楽しんでいる。 キム・ソヨン (キム ソヨン) (著) 「京郷新聞」記者。生き残ったのではなく、生きることを望んだ女性。(潜在的)フェミニストの頼もしい友軍になりたい人。 パラン (パラン) (著) ひょんなことからフェミニズムと出会い、ひょんなことから女性団体で活動している。フェミニズムの実践とは何か、今日も悩んでいる活動家。ひょんなことから出会ったフェミニズムだが、それが偶然なのか必然なのか知りたいフェミニスト。 チョ=パク・ミギョン (チョパク ミギョン) (著) 40代初めまで十二の職業を転々とした。そのうち最も輝かしい履歴はもちろん「イフ」編集長だった。人生がうっすら退屈になっていたある日、とある昔の女が私の元を訪れたことから小説『大雨』を書き、その年小説家として登壇した。今は小説家として生きており、残りの人生もずっとそうしてゆきたい。生きるのに理由はないが、意味までないとは思わない。 素朴すぎて過剰になりがちなその意味を見失わないよう努めながら、気立のよい夫と、その百倍気立のよい動物たちと家族として暮らしている。 ピョン・ギョンミ (ピョン ギョンミ) (著) 自称・他称ともに「西大門の美室(ミシル)」。パチパチ弾ける好奇心いっぱいで、お節介で、時にボーイッシュでタフで、時にジャズとカクテル、ロマンチックなものを好んで、テレビを見ながらよく涙を流すロマンチックな感性の持ち主です。 チョ=パク・ソニョン (チョパク ソニョン) (著) 「イフ」ポッドキャストを2年間続けておりこれからも続ける予定。牡羊座、エニアグラム・タイプ2の「人を助ける人」。それゆえせっかちな助力者だ。せっかちでずぼらだが人を助けることは好きなので、心意気はよいのだが結果が時々いまいちなのが惜しい。それでも性格は変わらず結局何でもやってしまわなければ気がすまない。それが長所にしてブラックホール。 パク・チア (パク チア) (著/文) ソウル女性会・性平等教育センター長。19歳で出会ったかっこいい先輩たちがいわゆる運動圏の人たちで、20歳から本格的にその道に入って行った。進歩派雑誌社記者、市民団体幹部、進歩政党職員、女性団体常勤等、さまざまな仕事をしたが結局はずっと同じ場所に立っていた。講義で生計を立て、講義以外にいくつもの仕事をする忙しい日常を楽しんでいる。 これが運動圏に生きる人間の最大の喜びと言うべきか、善良な人々に囲まれて暮らしている。 キム・ヨンラン (キム ヨンラン) (著) どんな本でも売って差し上げる伝説のブック・マーケター。1997年、24歳でイフと出合い、ユ・スギョルと出会った。その時ユ先生は私の手帳にこう書いてくださった。「イフの宝、キム・ヨンラン」That’s all! これ以上付け加える必要はない。 チョン・ヒギョン (チョン ヒギョン) (著) 募金ノウハウを学んでフェミニズム運動界を潤沢に(?)してやろうと「美しい財団」に入ったが、資金調達法に精通することもできず、利他主義と市民気質を一生の業として背負いながら生きている。それでも肉体と精神がフェミニズムに準拠しているのは相変わらずだ。 イ・ジノク (イ ジノク) (著) 社団法人「ジェンダー政治研究所 女勢連」代表を務めており、2人の子どもと多文化家庭を持っている。 パク・ミラ (パク ミラ) (著) 20年前にはフェミニスト・ジャーナル「イフ」の初代編集長。10年前からは瞑想や癒しのための作文を指導し、相談を受けて暮らしている。読者たちが気になっていると思うので付け加えると、あれほど不和になったイフの旧友たちとは、以前と同じでいて違う姿で今もともにいる。私たちの美徳は、いがみ合いながらも最後まで互いを見放さないことだ。そして苦しみながらも葛藤の本質に戻って直視したことだ。あの恐ろしいイフの女たちが今の私を作ってくれた。 クォン・ヒョンナン (クォン ヒョンナン) (著) 自分も世界も人間も一番美しかった時代にフェミニスト・ジャーナル「イフ」の3代目編集長となった。以降波に乗って揺れ、浮き沈みが激しかった。生まれつきの方向音痴だが、行くべき道を見失ったと思ってことはない。歩いて行った道はどれもよかった。妙に悲しく愚かな旅行エッセイ『トラベルテラピー』を出してから、外国人のための韓国語教師となり、生存に必要な最低限の韓国語でも純文学が書かれうることを目撃した。「ゲーム・オブ・スローンズ」のアリアが目指すNo Oneの世界を待ちながら修行している。 チェ・ミラン (チェ ミラン) (著) アート・ワークショップ・リーダー。 フェミニスト・ジャーナル「イフ」創刊からアート・ディレクターとして仕事をしていたが、フランスに渡ってパリ8大学女性学科で現代女性美術を学び、博士課程を修了した。 キム・ミギョン (キム ミギョン) (著) 27年間育って学んで、27年間仕事をし、あとの27年間ほどは画家として生きようと決めた。54歳になった2014年、専業画家宣言をした。ソウル景福宮の隣、西村(ソチョン)の屋上と通りで町の風景をペンで描き、食べて暮らしている。「西村屋上画家」とも呼ばれる。『ブルックリン午後2時』(2010年)、『西村午後4時』(2015年)という本を出し、展示会「西村午後4時」(2015年)と「西村の花畑」(2015年)を開いた。自分を「生活の中でフェミニズムをそっと実践して生きる女」だと思っている。絵でフェミニズムの自由さを表現できる日を夢見ている。 ファン=オ・グミ (ファンオ グミ) (著) 25歳で「女性新聞」の記者として女性主義メディアの一員となってから、フェミニスト・ジャーナル「イフ」と「女性新聞」で編集長として働いた。以降6年以上国会で補佐官として仕事をし、国家システムを把握する貴重な経験を積んだ。2011年9月、ストーリーテリング・コンテンツとキャラクターを開発する「マイ・ストーリー・ドール」を設立。全国自治体を顧客にストーリーテリング・プロジェクトを進行しながら、都市ブランディング、都市マーケティング、観光活性化案を開発している。 ユ・ジヒョン (ユ ジヒョン) (著) 詩集『月の歴史』作者、詩人 コ=ウン・グァンスン (コウン グァンスン) (著) 韓方医。平和の母の会、東学実践市民行動代表。子どものころから従順だったそうで、トルリム字(一族の世代ごとに共通して名前につける字)「グァン」に「スン(順)」を付けられた。無口で静かだったため子ども時代のあだ名は「ご隠居」、しかし人一倍の正義感のため戦っては逃げられずに戦って戦ってまた戦って深みにはまり、気づけば還暦を越えていた。朝鮮半島統一をこの目で見るためには、もっと戦って深みにはまらなくちゃならないだろうか。 ユ・スギョル (ユ スギョル) (著) 過ぎたことだから言うのだが、7年以上闘病生活を送っていた。薬の副作用で体重が15kg増えて、久しぶりに会った人が私を見分けられないこともあった。近頃は気持ちも安定し、健康も取り戻した。今では10余年前の今ごろ病気になってよかったとさえ思う。 私はあのとき立ち止まらなくてはならなかった。振り返ってみれば、私は暴走機関車のように生きていた。病気にならず走り続けていたらどこでパンクしていたか。 人生とはそういうものだ。立ち戻って鏡の前でお姉さんのように、いやおばあさんのように生きてゆきたい。 大島 史子 (オオシマ フミコ) (訳) 立教大学法学部卒業。イラストレーター、漫画家。ラブピースクラブコラムサイトでフェミニズムエッセイ漫画「主人なんていませんッ!」を連載。翻訳書に『ハヨンガ」『根のないフェミニズム』(アジュマブックス刊)がある。 李 美淑 (イ ミスク) (監修) 立教大学グローバル・リベラルアーツ・プログラム運営センター・助教。専門はメディア・コミュニケーション研究。国境を越える市民連帯、社会運動とメディア、ジェンダーとメディア、ジャーナリズムについて研究。 北原 みのり (キタハラ ミノリ) (解説) 作家、女性のためのプレジャーグッズショップ「ラブピースクラブ」を運営するアジュマ代表。2021年アジュマブックススタート。希望のたね基金理事。デジタル性暴力などの相談窓口NPO法人ぱっぷす副理事長。著書に『日本のフェミニズム』(河出書房新社刊)など多数。
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現代思想入門 | 千葉 雅也
¥990
講談社 2022年 ソフトカバー 248ページ 新書判 - 内容紹介 - 人生を変える哲学が、ここにある――。 現代思想の真髄をかつてない仕方で書き尽くした、「入門書」の決定版。 * * * デリダ、ドゥルーズ、フーコー、ラカン、メイヤスー…… 複雑な世界の現実を高解像度で捉え、人生をハックする、「現代思想」のパースペクティブ □物事を二項対立で捉えない □人生のリアリティはグレーゾーンに宿る □秩序の強化を警戒し、逸脱する人間の多様性を泳がせておく □権力は「下」からやってくる □搾取されている自分の力を、より自律的に用いる方法を考える □自分の成り立ちを偶然性へと開き、状況を必然的なものと捉えない □人間は過剰なエネルギーの解放と有限化の二重のドラマを生きている □無限の反省から抜け出し、個別の問題に有限に取り組む □大きな謎に悩むよりも、人生の世俗的な深さを生きる 「現代思想は、秩序を強化する動きへの警戒心を持ち、秩序からズレるもの、すなわち「差異」に注目する。それが今、人生の多様性を守るために必要だと思うのです。」 ――「はじめに 今なぜ現代思想か」より * * * 目次 はじめに 今なぜ現代思想か 第一章 デリダーー概念の脱構築 第二章 ドゥルーズーー存在の脱構築 第三章 フーコーーー社会の脱構築 ここまでのまとめ 第四章 現代思想の源流ーーニーチェ、フロイト、マルクス 第五章 精神分析と現代思想ーーラカン、ルジャンドル 第六章 現代思想のつくり方 第七章 ポスト・ポスト構造主義 付録 現代思想の読み方 おわりに 秩序と逸脱 - 著者プロフィール - 千葉 雅也 (チバ マサヤ) (著/文) 一九七八年、栃木県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は哲学・表象文化論。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。著書に『動きすぎてはいけない』(河出文庫、第四回紀伊國屋じんぶん大賞、第五回表象文化論学会賞)、『ツイッター哲学』(河出文庫)、『勉強の哲学』(文春文庫)、『思弁的実在論と現代について』(青土社)、『意味がない無意味』(河出書房新社)、『デッドライン』(新潮社、第四一回野間文芸新人賞)、『ライティングの哲学』(共著、星海社新書)、『オーバーヒート』(新潮社、「オーバーヒート」第一六五回芥川賞候補、「マジックミラー」第四五回川端康成文学賞)など。
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絶滅へようこそ 「終わり」からはじめる哲学入門 | 稲垣 諭
¥1,980
晶文社 2022年 ソフトカバー 384ページ 四六判 縦186mm 横129mm 厚さ24mm - 内容紹介 - 「そろそろ滅びるそこのあなたへ」 成田悠輔[イェール大学助教授、半熟仮想株式会社代表取締役] 「機械の僕(しもべ)のように、家畜のように暮らしたっていいじゃないか。 だってもう、“人間”は終わっているんだから」 磯野真穂[人類学者]、推薦! 完新世絶滅期(Holocene extinction)、あるいは、第六次の大絶滅期に 私たちがなすべきこととは? 全人類に問う「生の哲学」。 【すべてが「終わった」状態から考えるとすると、何が見えてくるだろうか】 人間の視点を越えた視座、億年単位の宇宙を問題とする (当然すでに人類などというものもいない)、ある種「至高的な空間」から、 「絶滅」を考えたとき見えてくるものとは。 荒川修作の思想を系譜する気鋭の哲学者が「総合知としての哲学」を武器に、 人類の未来を探究する。 【目次】 手引きのようなもの――視野を途方もなく拡張する 1 絶滅へようこそ 2 「まだ始まっていない」と「もう終わっている」の隙間を生きてみる 3 機械のやさしさ 4 食べられたい欲望 5 神はまだ必要なのだろうか 6 人間はツルツルになっていく 7 苦しめば報われるのか? 8 大人しい人間と裁きたい人間 9 暴力と寛容 10 風景なきiPhoneは空虚で、iPhoneなき風景は盲目である 11 自己家畜化とどう向き合うか 12 歴史の終わりとは何だったのか?(過去からの終わり①) 13 村上春樹とピンボール・マシーン(過去からの終わり②) 終わりが始まるまでに――人間の行方 - 著者プロフィール - 稲垣諭 (イナガキサトシ) (著/文) 1974年、北海道生。東洋大学大学院文学研究科哲学専攻博士後期課程修了。 文学博士。自治医科大学総合教育部門(哲学)教授を経て現在、東洋大学 文学部哲学科教授。専門は現象学・環境哲学・リハビリテーションの科学哲学。 著書に『大丈夫、死ぬには及ばない──今、大学生に何が起きているのか』 (学芸みらい社)『壊れながら立ち上がり続ける――個の変容の哲学』 (青土社)など多数。
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辺境の国アメリカを旅する 絶望と希望の大地へ | 鈴木 晶子
¥1,980
明石書店 2022年 ソフトカバー 240ページ 四六判 - 内容紹介 - 日本で貧困問題に長年取り組んできた著者がアメリカ全土48州を巡った旅の記録。人種差別、貧困、銃問題といった近年の社会情勢や歴史・文化にも言及しながら、トランプ政権下で対立と分断に揺れるアメリカの等身大の姿を描き出す。 目次 序章 美しきアメリカのカントリーサイド・ケンタッキーへ――もう一つのアメリカへようこそ 憂うつな旧炭鉱町の朝 緑萌える美しきカントリーサイド 活気ある街と郷土料理 バーボントレイルの完成度 旅には良い街、けれど 第1部 いくつかのアメリカを巡って 第1章 暮らすように旅する(1)――マンハッタンでルームシェア型民泊 ルームシェアでマンハッタンのアパート生活を体験 アメリカのオモテ玄関ニューヨーク ニューヨークのもう一つの顔 マンハッタンの週末 小さな暮らしの場を後にして アップデート 空っぽのマンハッタン コラム① ようこそアメリカ!エリス島に降り立つ 第2章 暮らすように旅する(2)――ノースカロライナのファームステイ 何もないから体験型、ファームステイを初体験 地元食材で楽しむ夕食 手作りの暮らしを知って 暮らしの違いに思いを馳せて アップデート ツリーハウスへの再訪 第3章 Make America Great Again?――錆びついたロックンロールの街クリーブランドの今を訪ねて ラストベルトへの旅がトレンド トリエンナーレのオープニングイベントへ 美しきアーケードの空虚 ロックンロールの殿堂を訪ねて アフターアワーズ コラム② 全米一寂れた街の傑作子ども博物館 第4章 アメリカ版町おこし!――グラウンドホッグデーにパンクサタウニーに行ってきた アメリカの町おこし 早朝の大混雑 “No shadow!” パンクサタウニーの町観光 That's Groundhog Day! 第5章 みたび民泊――シアトルでキャンピングカーに泊まる 注目エリアのおしゃれキャンピングカー リベラルな住宅街でホームレスのおっちゃんに出会う ハンドドリップコーヒーで始まるシアトルの1日 一つの街と道の越えがたき壁 アップデート コロナ禍のアメリカ、見えない犠牲者 第6章 欲望と絶望と――既視感と哀しみのラスベガス カジノの街ラスベガス 全てがフェイクとデジャブ 哀しみのラスベガス コラム③ 銃を持つ自由の国アメリカ 第7章 砂漠地帯と消えた町バグダッド――カリフォルニアのもう一つの顔 カリフォルニアの多様な景色 隠れた見所ゴーストタウン 消えた町バグダッド 大都市と郊外と 第8章 見果てぬキューバ――ラティーノのアメリカを巡る旅 近くて遠い国キューバ リトルハバナの昼下がり クルーズ船の旅 要塞都市サンファン上陸 護られざる城壁の向こう側 サンファンを後にして プエルトリコと沖縄と アップデート キューバにもクルーズにも行けなかった話 コラム④ アメリカのラティーノの多様性 第2部 先住民のアメリカを訪ねて 第9章 さよならコロンブス・デー――バケーションランド・メイン州が向き合う先住民の歴史 「コロンブス・デー」から「先住民の日」へ 全米最初の朝日が昇るバケーションランド 先住民のホームランド 「私たちは今もここにいる」 アップデート 倒されるコロンブス像 コラム⑤ 建国の地を歩く――東海岸三都物語 第10章 ルート66エクスカーション――プエブロ族の遺産を巡る アルバカーキの結婚式 サンタフェからチマヨ教会へ 世界遺産タオス・プエブロと先住民の青いマリア 山間のバス停を数えて 土煙を越えてチャコ・カルチャーへ 危機に瀕するチャコ・キャニオン アップデート 新たなステージへ 第11章 大草原地帯を行く――苦難のきた道をたどり希望を見つけて 大草原に音楽の架ける橋 ウィネバゴ族の涙の旅路 アメリカで一番小さな村を目指して 荒野の西部開拓 「聖地」の招かれざるものたち ウィンド・リバー先住民居留地へ 美しきグランド・ティトン バイソンの消えた丘 都市インディアンから居留地の担い手へ 他国と先住民と共に、国立公園の今 継承される文化と誇り アップデート コロナ禍で牙をむく不平等 第3部 南部を歩く 第12章 南部とはなにか?――世界遺産の街ヴァージニア州シャーロッツビルを訪ねて 初めてのアメリカ・ロード・トリップへ 2人の大統領邸と白人ばかりの田舎町 悲劇の現場シャーロッツビル 南部を巡る旅へ アップデート リー将軍像の撤去された日 コラム⑥ ワシントンD.C.の隠れた見どころ「ブラック・ブロードウェイ」 第13章 綿花畑を抜けてディープサウスへ――アフリカ系アメリカ人の歴史をたどって 美食の街チャールストンの休日 美しい街の暗黒の歴史 サヴァンナの「涙の時間」 南部のゲートウェイ・アトランタへ キング牧師歴史地区 歩き続ける非暴力運動 アップデート アトランタの新たなヒーローたち 第14章 アラバマ・フリーダム・トレイル――We shall overcome 「ボミンガム」へようこそ 迫害と抵抗の足跡 ソウル・フードの名店を訪ねて 賑わう南部料理の人気店へ 「ブラザーフットだよ」 悲劇の現場に響くゴスペル 「血の日曜日」から勝利の行進へ 幾千もの無名の犠牲者を称えて モンゴメリーが生んだ2人のヒーロー キング牧師記念日に再びアトランタ アップデート ジョン・ルイス「最後の渡橋」 コラム⑦ アフリカ系アメリカ人の歴史を知る映画三選 終章 ニューオーリンズの聖者の行進――多様性の向かう先 48州目ミシシッピのブルース街道へ 地元の寄り合い所「ジューク・ジョイント」へ ニューオーリンズの音楽葬 欧州の歴史香るジャズの故郷 多様性のガンボ 町の小さなマルディ・グラ 旅の終わりに あとがき 主要参考文献 前書きなど あとがき (…前略…) 連れ合いからアメリカに駐在となると聞いた時、正直それほど楽しみなものではなかった。「端っこ好き」の私にとっては、アメリカは世界の中心のようであり、王道の行き先だった。一度も旅をしようと考えたことがなかった。 十分な渡航準備期間をもらい移住の支度をしていた頃、アメリカでは大統領選挙が行われ、ドナルド・トランプが当選した。そして、アメリカに無事にたどり着いて程なく、シャーロッツビルであの悲劇が起こった。 この国はどんな国なのだろう? 旅をするうちに、アメリカという国そのものが、居場所を失った人々が自由を求めて世界中からやってくる、世界の辺境のように思えてきた。あまりに多様な人々が生きるこの巨大な辺境は、人の営みのあらゆるものが世界中から持ち込まれ、それゆえに必然的に生まれる人々の対立と克服は、まるで世界の縮図のようであり、壮大な社会実験のようですらある。 いかに人は共に生きることができるのか? 気づけばアメリカ中を旅していた。辺境の中のさらに辺境へ。この国の多彩な風景と、そこにある人々の暮らし、歩んできた道のりを追って走ってきた。 ひきこもりの若者と共に過ごすフリースペースから、困難を抱える子どもたちの多く通う高校内の居場所カフェから、困窮者支援の相談室から、あるいは出張相談に訪れた風俗店の待機部屋から……。私は日本で周縁から社会を見てきた。アメリカの辺境性は、私が見てきたそんな日本の風景とどこか地続きのようだった。 この本を通じて描いてきた人々やアメリカの直面している状況は、全く同じではないけれど、日本のどこにでも潜んでいる。多くの人が気にも留めずに通り過ぎていく街中のホームレスの人たち、食べるものにも困る子どもたちの貧困、衰退する地方の経済、トランプ政権顔負けの残酷な入国管理、増え続ける移民たちが抱える暮らしの苦難、外国人や先住民への差別など、日本の抱える課題の多くが、本書で出てくるアメリカの風景と重なるのではないだろうか。その規模や表出の鮮明さ、態様に違いはあれど、読者の皆さんが、苦悩するアメリカの人たちだけではなく、ここ日本で周縁に追いやられている人たちにも、本書を通じて想いを馳せていただけることを願っている。 私たちは、幸運にも2020年2月末に、最後のミシシッピ州に到達し、アメリカ本土48州の旅を終えることができた。その後、周知の通りアメリカは新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウン、ブラック・ライブズ・マター運動、歴史に残る大統領選挙と年明けの国会議事堂侵入事件と、息つく暇もない激動であった。今もワクチン接種などをめぐる分断と再度の感染拡大を繰り返しながら国は揺れて続けている。それでも、きっとこれまで同様、アメリカは一歩ずつ、この苦難を乗り越えながら、一つの国として歩んでいくのだと信じている。 (…後略…) - 著者プロフィール - 鈴木 晶子 (スズキ アキコ) (著) NPO法人パノラマ理事、認定NPO法人フリースペースたまりば事務局次長・理事、一般社団法人生活困窮者自立支援全国ネットワーク研修委員。臨床心理士。 1977年神奈川県に生まれ、幼少期を伊豆七島神津島で過ごす。大学院在学中の2002年よりひきこもりの若者の訪問、居場所活動に関わり、若者就労支援機関の施設長などを経て2011年一般社団法人インクルージョンネットかながわの設立に参画、代表理事も務めた。その傍らNPO法人パノラマ、一社)生活困窮者自立支援全国ネットワークの設立に参画。専門職として、スクールソーシャルワーカーや、風俗店で働く女性の相談支援「風テラス」相談員なども経験。内閣府「パーソナル・サポート・サービス検討委員会」構成員、厚生労働省「新たな自殺総合対策大綱の在り方に関する検討会」構成員等を歴任。2017年に渡米。現地の日系人支援団体にて食料支援のプログラムディレクター、理事を務めた。2020年帰国。現職。著書に『シングル女性の貧困――非正規職女性の仕事・暮らしと社会的支援』(共編著、明石書店、2017年)、『子どもの貧困と地域の連携・協働――〈学校とのつながり〉から考える支援』(共編著、明石書店、2019年)他。
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学びのきほん フェミニズムがひらいた道 | 上野千鶴子
¥737
NHK出版 2022年 ソフトカバー 124ページ A5判 - 内容紹介 - その歴史と意義が2時間でわかる、著者初の総合的な入門書。 学校で習った「男女雇用機会均等法」や「男女共同参画社会基本法」。これらは、真の男女平等を実現するものではなかった? フェミニズムはなぜ生まれ、何を変え、何を変えられなかったのか。その流れを「四つの波」に分けてコンパクトに解説する。女性参政権、性別役割の解放、#MeToo……。過去を知り、自分の経験を再定義する言葉を手に入れるために。日本におけるフェミニズムを切り開き続けてきた第一人者が、多くの経験知とともにフェミニズムがたどった道のりを語る。 - 著者プロフィール - 上野 千鶴子 (ウエノ チヅコ) (著/文) 1948年、富山県生まれ。社会学者、東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。専門学校、短大、大学、大学院、社会人教育などの高等教育機関で、40年間教育と研究に従事。主な著書に『近代家族の成立と終焉』『家父長制と資本主義』(岩波現代文庫)、『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『ひとりの午後に』(NHK出版/文春文庫)、『在宅ひとり死のススメ』(文春新書)、『おひとりさまの最期』『女ぎらい』(朝日文庫)、『ケアの社会学』(太田出版)など多数。
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学びのきほん はじめての利他学 | 若松 英輔
¥737
NHK出版 2022年 ソフトカバー 120ページ A5判 - 内容紹介 - 他者だけでなく、自分も利する「利他」の本質とは。 「利他」という言葉は「自分ではなく、他者のためにおこなうこと」だと捉えられがちだ。しかし、日本の起源から利他を見つめ直してみると、それとは全く異なる姿が見えてくる。空海の「自利利他」、孔子の「仁」、中江藤樹の「虚」、二宮尊徳の「誠の道」、エーリッヒ・フロムの「愛」……彼らは利他をどのようにとらえ、それをどう実践して生きたのか。彼らの考える利他は、現代とどう違うのか。「自分」があってこその利他のちからとは、どんなものなのか。日本を代表する批評家が、危機の時代における「自他のつながり」に迫る、日本初・利他の入門書。 - 著者プロフィール - 若松 英輔 (ワカマツ エイスケ) (著/文) 1968年新潟県生まれ。批評家、随筆家、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。慶應義塾大学文学部仏文科卒業。2007年「越知保夫とその時代 求道の文学」にて第14回三田文学新人賞評論部門当選、2016年『叡知の詩学 小林秀雄と井筒俊彦』(慶應義塾大学出版会)にて第2回西脇順三郎学術賞受賞、2018年『詩集 見えない涙』(亜紀書房)にて第33回詩歌文学館賞詩部門受賞、『小林秀雄 美しい花』(文藝春秋)にて第16回角川財団学芸賞、第16回蓮如賞受賞。その他の著書に『悲しみの秘義』(文春文庫)、『種まく人』『詩集 美しいとき』(亜紀書房)、『詩と出会う詩と生きる』『14歳の教室 どう読みどう生きるか』『考える教室 大人のための哲学入門』(NHK出版)など。
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学びのきほん 人生が面白くなる 学びのわざ | 齋藤 孝
¥737
NHK出版 2020年 ソフトカバー 112ページ A5判 - 内容紹介 - 教養を効果的に会得する最強メソッド なかなか教養が身につかない……。そんな悩みを抱えている人は、そもそも「学び方」に問題がある? 特に私たちが教えられた「知識詰め込み型」の学び方は、情報の量が膨大な現代で限界をむかえている。では、何をすべきか。そのヒントは「先人」にあった。ソクラテスから村上春樹まで、教養の鬼・齋藤孝が、「偉業を成し遂げた先人の学び方」をヒントに、一生使える「学びのわざ」を伝授。同時に彼らの思想のエッセンスをわかりやすく解説。「デカルト流・4つの法則」「ニーチェ流・三様の変化」「宮本武蔵流・3つのわざ」……。知れば知るほど楽しくなる、質的に生きていくための学び方の入門書。 - 著者プロフィール - 齋藤 孝 (サイトウ タカシ) (著/文) 1960年、静岡県生まれ。明治大学文学部教授。東京大学法学部卒業後、同大学院教育学研究科博士課程を経て現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。NHKEテレ「にほんごであそぼ」の総合指導を務めるなど、子どもの教育に力を入れている。著書に『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス、新潮学芸賞受賞)、『声に出して読みたい日本語』(草思社、毎日出版文化賞特別賞受賞)、『読書力』『教育力』(岩波新書)など多数。
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じゅうぶん豊かで、貧しい社会 理念なき資本主義の末路 | ロバート・スキデルスキー, エドワード・スキデルスキー, 村井 章子(翻訳)
¥1,540
筑摩書房 2022年 ちくま学芸文庫 ソフトカバー 416ページ 文庫判 - 内容紹介 - ケインズ研究の世界的権威による喜びのある労働と意味のある人生の実現に向けた経済政策の提言。目指すべきは、労働生産性の低下である。解説 諸富徹 === 資本主義の下では資本の蓄積が自己目的化し、大企業は利益拡大にひた走る。結果、富める者だけが富み続け、雇用は不安定になり、格差が拡大する。成長の果実のおこぼれが一般庶民にもたらされないことは、ここ数十年の現実が証明済だ。であるならば政府が目指すべきは経済成長ではなく、国民の暮らしの質を上げることなのではないのか。著者らはその実現のために、余暇を生む労働時間の短縮、一定水準の暮らしを保障するベーシックインカムの導入、際限なき人間の欲望を抑えるための広告課税等の法整備を提案する。成長神話が叫ばれ続ける日本でこそ読まれるべき提言。 解説 諸富徹 === 富の使い先を変える 根源的な資本主義批判の書――諸富 徹 === 【目次】 はじめに 序論 第1章 ケインズの誤算 第2章 ファウストの取引 第3章 富とは―東西の思想を訪ねて 第4章 幸福という幻想 第5章 成長の限界 第6章 よい暮らしを形成する七つの要素 第7章 終わりなき競争からの脱却 原注 索引 訳者あとがき 解説 「善き人生」を支える資本主義のあり方を考える(諸富徹) - 著者プロフィール - ロバート・スキデルスキー (ロバート スキデルスキー) (著/文) 経済史家。ウォーリック大学名誉教授、英国学士院会員、貴族院議員。ケインズ研究の世界的権威。著書に『ケインズ』(岩波モダンクラシックス)、『なにがケインズを復活させたのか?』(日本経済新聞出版社)などがある。 エドワード・スキデルスキー (エドワード スキデルスキー) (著/文) 哲学者。エクセター大学講師。専門は道徳・政治哲学。ロバート・スキデルスキーの子息。著書にErnst Cassirer: ¬e Last Philosopher of Culture, Princeton University Pressなどがある。 村井 章子 (ムライ アキコ) (翻訳) 翻訳家。上智大学文学部卒業。経済学の古典新訳を多数手がける。