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ホロコーストからガザへ: パレスチナの政治経済学 | サラ・ロイ, 岡真理 (編集, 翻訳), 小田切拓 (編集, 翻訳), 早尾貴紀 (編集, 翻訳)
¥2,860
青土社 2024年 ハードカバー 288ページ 四六判 - 内容紹介 - 緊急復刊!! ひとつの社会全体が崩壊しようとしている 「パレスチナ問題」を経済学的に分析し、世界的に注目される著者が明らかにするイスラエルの占領の実態と国際社会の援助のゆくえ。ホロコースト生存者の娘という出自から問う、人間の記憶と倫理への思考。いまもっとも読むべき一冊。
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現代思想2024年2月号 特集=パレスチナから問う -100年の暴力を考える-
¥1,760
青土社 2024年 ソフトカバー 254ページ - 内容紹介 - いま何が起きているのか? ハマスへの「報復」として、パレスチナの地ではイスラエルによる爆撃と封鎖が続いている。目まぐるしく塗り替えられていく情況からは、しかし決していま始まったわけではないパレスチナ/イスラエル問題にねざす差別・植民・占領の歴史が浮かび上がってくる。この地で何が起きているのか――その背景となる構造的暴力に目を凝らす。 目次* 【討議】 パレスチナと第三世界――歴史の交差点から連帯する / 金城美幸+早尾貴紀+林裕哲 【歴史の地平から】 なぜイスラエルは対ガザ戦争において文脈と歴史を抹消したがるのか / イラン・パぺ(早尾貴紀訳) ハマスが仕掛けた「シオニズムの実証実験」――世界は歴史の審判に耐えられるか? /栗田禎子 ガザにおけるハマースの闘い――その意義を考察するための断章 / 臼杵陽 聖域(ハラム)をめぐるパレスチナ人の怒り――「アクサーの大洪水」を生んだもの /山本健介 【「中東」の行方】 ひとつの「民族」を抹殺するということ / 酒井啓子 ガザ攻撃による「ナクバ」の再来 / 錦田愛子 パレスチナ――続くイスラエルの不処罰と国連の無力 / 髙橋宗瑠 付かず離れずの関係――ヨルダンとパレスチナ問題 / 臼杵悠 消えた人影、荒廃のガザ――イスラエル・ハマス戦闘の最前線 / 平野雄吾 【インタビュー】 植民国家の「出発点」を問いなおす――暴力に抗い続ける歴史意識のために / 板垣雄三 【ガザをめぐる実相】 長期にわたる対ガザ戦争 / サラ・ロイ(早尾貴紀訳) シオニズムにとってのガザ地区――サラ・ロイ『ガザ地区』第三版を起点に / 早尾貴紀 続・ダヒヤ・ドクトリン――「勇敢な同志」へと変貌した都合の良い国 / 小田切拓 「我々は人間動物と戦っているのだ」をどのように理解すればよいのか / 保井啓志 ガザ攻撃にみるイスラエルの「水の武器化」 / 玉井良尚 【断絶の先に】 「新しい中東」以後――「裁き」から「革命的平和」へ / 鵜飼哲 脱歴史化の政治――イスラエル、フランス、パレスチナ / 須納瀬淳 「倫理的なもの」への地図――ジュディス・バトラーのパレスチナ/イスラエル論 / 二井彬緒 【応答と連帯】 パレスチナの日常をみつめて / 高橋美香 記憶と人間性の破壊に抗する〈抵抗の文化〉 / 田浪亜央江 死に損ない、生き損ないたちの連帯可能性について / 阿部小涼 この場所を脱植民地化せよ――ジェントリフィケーションとパレスチナの結節点をめぐる一考察 / 森千香子 【この声は聴こえているか】 小説 その十月の朝に / 岡真理 【連載】 佐藤文隆 / 成田龍一 /山下祐介 /山口尚 【研究手帖】 経済学者の限界? / 岩瀬祐介
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分解の哲学 腐敗と発酵をめぐる思考 | 藤原 辰史
¥2,640
青土社 2019年 ソフトカバー 352ページ 四六判 - 内容紹介 - おもちゃに変身するゴミ、土に還るロボット、葬送されるクジラ、目に見えない微生物…… わたしたちが生きる世界は新品と廃棄物、生産と消費、生と死のあわいにある豊かさに満ち溢れている。歴史学、文学、生態学から在野の実践知までを横断する、〈食〉を思考するための新しい哲学。
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RITA MAGAZINE テクノロジーに利他はあるのか? | 未来の人類研究センター (編集)
¥2,640
ミシマ社 2024年 ソフトカバー 224ページ 1.6 x 18.5 x 24.6 cm - 内容紹介 - 文理共創の新しい知のかたちが、ここに。 東京工業大学の中で、利他研究会が発足してから4年。 AI、ロボット、情報科学が劇的に進化する時代に、利他はどうありうるのか? 「漏れる」工学、「野生の思考」とテクノロジー、「共感」を前提とせずに「共にいる」… 「利他」論考の決定版。 伊藤亜紗/中島岳志/北村匡平/さえ/砂連尾理/三宅美博/三宅陽一郎/稲谷龍彦/藤原辰史/真田純子/塚本由晴/ドミニク・チェン/山本真也/小林せかい/磯﨑憲一郎/木内久美子/國分功一郎/山崎太郎/若松英輔 ●目次 Chapter1:「漏れる」工学 ・分身ロボットとダンス ・ロボットとAIから利他を考える ・「漏れる」社会システムをつくるには? Chapter2:「野生の思考」とテクノロジー ・石やミツバチから土木を見ると? ・建築と都市から利他を考える ・人間ではない「隣人」の声が聴こえる!? Chapter3:「共感」を前提とせずに「共にいる」 ・ボノボやチンパンジーに利他はあるか? ・「ただめし券」と「まかない」から利他を考える ・歓待と利他――住まいの空間と構造
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撤退学宣言 ホモ・サピエンスよ、その名に値するまであと一歩だ | 堀田 新五郎
¥1,980
晶文社 2024年 犀の教室 ソフトカバー 260ページ 四六判 - 内容紹介 - 資本主義をさらに暴走させようとする加速主義の時代だからこそ、「ゲームの外側へと降り立つ手順」「世界外への離脱」を探求する撤退的知性が求められている。その鮮やかな実践。 ──内田樹 行き過ぎた市場原理主義、環境破壊による地球温暖化、経済格差の拡大、出口の見えない戦争……多くの矛盾や暴力を生みつつも、疾走を続ける近代システム(民主主義+資本主義+テクノロジーの三位一体)。その先に待ち受けるカタストロフィーを回避するためには、撤退する知性が必要だ。人々の思考を「持続」へと方向づけるメカニズムを解明し、適切な局面で適切に撤退できることこそが知性であると説くマニフェスト。「近代の学問」と、仏道・茶道・華道などの「道」の知見を接合する、壮大な哲学的思索と問題提起の書。 "いま考えるべきは、次の処方箋や、個々の処方箋が効かない理由ではない。「惰性」それ自体である。これまでのやり方を停止し、撤退すべき場面にもかかわらず、次の処方箋、次の処方箋へと人々を押し流す「惰性・慣性」のメカニズムを解明し、撤退の条件を探ること、これがいま知性に求められる課題ではなかろうか。カタストロフィー前の方向転換、これが「撤退学」の目標にほかならない。"(本書より) 【目次】 序 ■I部 撤退学宣言──ホモ・サピエンスよ、その名に値するまであと一歩だ はじめに 1章 撤退学宣言 問題編──近代システムとはなにか? 1 近代システムとはなにか? 2 システムの暴走と「近代の超克」 3 「惰性・慣性の力」からは脱出不可能? 4 【問題】 2章 撤退学宣言 解決編──なぜ生物は3つ以上の眼を持たなかったのか? 1 撤退の困難、あるいは生物が3つ以上の眼をもたないわけ 2 人間の知的特性 3 【解答】 3章 撤退学宣言 展望編──テクノロジーは加速し、人類は愚行を繰り返す 1 テクノロジーは加速し、人類は愚行を繰り返す─よって主権者の顕現? 2 世界の彼方、存在の側へ──鬼退治 3 【展望1】 宗教と政治との新たな連関 4 【展望2】 学と道との新たな連関 ■II部 補論 撤退の知性──イエスとソクラテスから 4章 補論1 イエス論──奇天烈の倫理 イエス論1 倫理とイエス イエス論2 政治と文学、あるいはマキァヴェッリとイエス 5章 補論2 知性と反知性──ソクラテスを起点に 1 はじめに 2 知性の祖型:ソクラテスの無敵 3 反知性の典型:反ユダヤ主義者 4 問題提起:知性は自らを維持したまま、propertyの不条理な肯定が可能か? 5 回答:決断主義を超えて 完全性の反復 おわりに - 著者プロフィール - 堀田新五郎 (ホッタシンゴロウ) (著/文) 神戸大学大学院法学研究科中退。現在、奈良県立大学教授(もうすぐ中退)。専門は政治思想史。『講義 政治思想と文学』(共編著、ナカニシヤ出版)、『撤退論』(分担執筆、晶文社)、『山岳新校、ひらきました──山中でこれからを生きる「知」を養う』(分担執筆、H.A.B)など。世のしがらみと組織の力学とやむにやまれぬ思いから、撤退学を始める。
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増補 魚で始まる世界史 ニシンとタラとヨーロッパ | 越智 敏之
¥3,190
平凡社 2024年 平凡社ライブラリー ソフトカバー 280ページ B6変型判 - 内容紹介 - 十八世紀の農業革命以前、西洋の食の中心は肉ではなく魚であり、中世盛期のキリスト教社会では、一年の半分を魚を食べて過ごした。その魚への巨大な需要が、はるか遠方への航海を、漁猟と保存の技術革新を、都市の興隆を、自由と独立の精神を、ヨーロッパ近代をもたらした──。魚でたどる目からウロコの世界史。 まえがき 第一章 魚と信仰 1 大きな魚と小さな魚 2 魚の女神 3 聖餐式の魚 4 ユダヤの魚 第二章 フィッシュ・デイの政治経済学 1 汝、食べることなかれ 2 性欲を生み出すもの 3 断食日の魚 4 断食の経済学 5 充満する粘液 6 ポリティカル・フィッシュ・デイ 第三章 ニシンとハンザ、オランダ 1 ニシン以上に殺す 2 ニシンとヴァイキング 3 ハンザ 4 ウィレム・ブーケルス 5 ニシンの戦い 6 ニシンの骨の上に建つ街 第四章 海は空気と同じように自由なのか? 1 レッド・ヘリング 2 海は誰のものか 3 『自由海論』 4 アサイズ・ヘリングとランド・ケニング 5 海洋主権 6 オランダの衰退 第五章 『テンペスト』の商品ネットワーク 1 なんと素晴らしい新世界 2 ヴァージニア海に浮かぶこの有名な島 3 ワインを塩ダラに変える魔法 第六章 ニューファンドランド漁業 1 ニューファンドランド発見 2 豊饒の海 3 三角貿易とサック・シップ 4 タラ漁と自由主義 5 英雄キャプテン・カーク 6 三角貿易の支配者 7 商人と革命 8 サラ・カーク 第七章 ニューイングランド漁業 1 ジョン・スミスとニューイングランド 2 一六〇〇年目の奇跡 3 農民と漁師 4 スクーナーの登場 5 戦いの海 6 聖なるタラ 第八章 魚はどんなふうに料理されたのか? 1 マグロ 2 ウナギ 3 ニシン 4 タラ あとがき 平凡社ライブラリー版?あとがき 参考文献
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所有論 | 鷲田 清一
¥3,300
SOLD OUT
講談社 2024年 ハードカバー 576ページ 四六判 - 内容紹介 - 主体と存在、そして所有。著者の重ねる省察は、われわれを西欧近代的思惟が形成してきた「鉄のトライアングル」の拘束から解き放つ! 「ほかならぬこのわたし」がその身体を労して獲得したものなのだから「これはわたしのものだ」。まことにもっともな話に思われる。しかし、そこには眼には見えない飛躍があるのではないか……? ロックほか西欧近代の哲学者らによる《所有》の基礎づけの試みから始め、譲渡の可能性が譲渡不可能なものを生みだすというヘーゲルのアクロバティックな議論までを著者は綿密に検討する。そこで少なくともあきらかにできたのは、「所有権(プロパティ)」が市民一人ひとりの自由を擁護し、防禦する最終的な概念として機能しつつも、しかしその概念を過剰適用すれば逆にそうした個人の自由を損ない、破壊しもするということ。そのかぎりで「所有権」はわたしたちにとって「危うい防具」だという根源的な事実である。主体と存在、そして所有。著者の重ねる省察は、われわれを西欧近代的思惟が形成してきた「鉄のトライアングル」の拘束から解き放ち、未来における「手放す自由、分ける責任」を展望する。 - 著者プロフィール - 鷲田 清一 (ワシダ キヨカズ) (著/文) 1949年京都生まれ、哲学者。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得。大阪大学文学部教授などを経て、大阪大学総長(2007~2011年)。2015~2019年、京都市立芸術大学理事長・学長。現在はせんだいメディアテーク館長、サントリー文化財団副理事長。医療や介護、教育の現場などに哲学の思考をつなぐ臨床哲学を提唱・探求する。朝日新聞一面に「折々のことば」を連載。『モードの迷宮』(ちくま学芸文庫、サントリー学芸賞)、『「聴く」ことの力―臨床哲学試論』(ちくま学芸文庫、桑原武夫学芸賞)、『「ぐずぐず」の理由』(角川選書、読売文学賞)など著書多数。
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ひとりみんぱく | 松岡 宏大
¥3,520
国書刊行会 2024年 ハードカバー 256ページ 四六変型判 - 内容紹介 - もしかしたら「物の本」だと思っている人もいるかもしれないが、これは「旅の本」だ。(「あとがき」より) ◇ 「ひとりみんぱく」とはなにか? 写真家・編集者・ライターとして世界中を旅してきた松岡宏大氏の部屋には、世界各地の文物であふれている。みんぱく=国立民族学博物館。すなわち、わが家の民族学博物館、それが「ひとりみんぱく」だ。1990年代よりバックパッカーとして世界をめぐり、現地で出会った人々や景色、そして蒐集してきた数々の物もの。土器、漆器、仮面、仏像、絨毯……どこか不思議な魅力をもつ工芸、民藝の数々。インドで、チベットで、ミャンマーで、リビアで、サハラ砂漠で、文物からは旅の記憶があふれだし、含蓄? 蘊蓄? 軽快なるエッセイを挟みつつおくる本書は、物の本か? 旅の本か? 地球をまるごと感じる、The Museum of Ethnology in My Hands! 松岡氏は、『地球の歩き方 インド』をまとめ、美しき絵本『夜の木』で知られるタラブックスの本を上梓するなど、とりわけインドに造詣が深い。私家版『ひとりみんぱく123』『ひとりみんぱく45』が好評、美しい本づくりで定評のサイトヲヒデユキ氏のブックデザインを得て、満を持して世の中におくりだす! 収録物品120点超に、美しい旅の写真。美麗クロス装。 ◇ 「みんぱく」とは大阪の万博記念公園内、太陽の塔のとなりに建つ「国立民族学博物館」の愛称である。本書の『ひとりみんぱく』というタイトルであるが、これは初めて僕が「みんぱく」を訪れた際、「うちにもあるな……」という感想を抱いたことに由来する。 仕事柄、世界中を旅しながら暮らしてきたが、行く先々でその土地の文物を蒐集してしまうところがある。その文物は、世間的な価値とはまったく無縁だが、自分の好奇心の方向性から、その国の文化・歴史・神話を内包しているものを好む傾向にある。そして、日本に帰ったあと、部屋で一緒に旅の思い出を語り合える話し相手のようなものであることが重要だと考えている。もちろん日本で手に入れたものや、人からいただいたものも含まれている。しかし、自分の旅してきた道筋から外れないよう心がけている。蒐集の基準軸は、常に「個人的な旅の記憶」と「人とつながり」に置いている。 今回、本書を著すにあたり自らの蒐集した品々をあらためて見返してみたが、本当に役に立たないものばかりだ。残念だ。同時に、僕にとってはかけがえのないものばかりだ。 これらの文物を手のひらにのせ愛でてみる。重みや質感、細工、その歪みや温みを確かめる。太陽の光の下で陰が際立つものもあれば、暗闇の中でこそ光り輝くものもある。それは自分の手で触れてこそわかることで、自分の足で旅をしてこそ出会える風景と一緒だ。 僕はこれらを手に入れたときに出会った人たちの顔や祈りの景色を思い出すだろう。そこで吹いていた風や夜空を満たす星のことを思い出すだろう。 旅の記憶こそ僕にとっていちばんの財産なのだから。 (「まえがき」より) - 著者プロフィール - 松岡宏大 (マツオカコウダイ) (著/文 | 写真) 写真家・編集者など。『地球の歩き方 インド』など、インドやアフリカを中心に辺境エリアのガイドブックの取材・編集に携わる。共著に『持ち帰りたいインド』(誠文堂新光社)、『タラブックス――インドのちいさな出版社、まっすぐに本をつくる』(玄光社)などがある。またインドのTara Booksよりバッジュ・シャームとの共著『Origins of Art: The Gond Village of Pathangarh』を上梓。写真展として『アディワシ――大地と生きる人々』(bonon kyoto、KYOTO GRAPHIE KG +)、『TRIBES in BASTAR』(Rungta)を開催。KAILAS名義で著作やイベントもおこなう。
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RITUAL(リチュアル) 人類を幸福に導く「最古の科学」 | ディミトリス・クシガラタス, 田中 恵理香(翻訳)
¥2,420
晶文社 2024年 ソフトカバー 368ページ 四六判 縦188mm 横129mm - 内容紹介 - 世界を変えるための「最古の科学」が「儀式」だった――。 生活や価値観が猛スピードで変化する現代。昔からある「儀式」は単調で、退屈で、無意味にみえる。でも、ほんとうに? 認知人類学者の著者は熱した炭の上を歩く人々の心拍数を測り、インドの祭りでホルモンの増減を測定。フィールドに実験室を持ち込んで、これまで検証されてこなかった謎めいた儀式の深層を、認知科学の手法で徹底的に調査する。ハレとケの場、両方にあふれる「儀式」の秘密と活用のヒントを探究する空前の書。 ジョセフ・ヘンリック(人類学者、ハーバード大教授) 「ギリシャの火渡りからアマゾンの恐ろしい祭礼まで、認知人類学者の著者は、リズム、ダンス、音楽、苦痛、犠牲などから成る、一見すると無意味で反復的で因果関係が不明瞭な〈儀式〉を、人類がどのように、なぜ行うのかを探求する。民族学的なデティール、個人のナラティヴ、認知科学の成果が盛り込まれた本書は、QOLや健康状態の改善、地域社会の構築のために、古代からの知恵であり最新の科学でもある〈儀式〉をどのように活用できるかを教えてくれる」 - 目次 - 第1章 儀式のパラドックス 第2章 儀式と種 第3章 秩序 第4章 接着剤 第5章 沸騰 第6章 強力接着剤 第7章 犠牲 第8章 幸福 第9章 儀式の力の活用 - 著者プロフィール - ディミトリス・クシガラタス (ディミトリスキシガラタス) (著/文) コネチカット大学・実験的人類学研究室長。認知人類学者。南ヨーロッパとモーリシャスで数年間のフィールドワークを行ったのち、プリンストン大学、オーフス大学で役職を歴任し、マサリク大学・宗教実験研究研究所の所長を務める。 コネチカット大学では実験的人類学研究室を指揮。その活動は、ニューヨーク・タイムズ、ガーディアン、PBS、ヒストリーチャンネル、その他の多くの媒体でも取り上げられている。 田中恵理香 (タナカエリカ) (翻訳) 東京外国語大学英米語学科卒、ロンドン大学ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス修士課程修了。訳書に『むずかしい女性が変えてきた――あたらしいフェミニズム史』(みすず書房、2022年)、『ヴィクトリア朝医療の歴史――外科医ジョゼフ・リスターと歴史を変えた治療法』(原書房、 2021年)などがある。
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信頼と裏切りの哲学 | 永守 伸年
¥2,860
慶應義塾大学出版会 2023年 ハードカバー 288ページ 四六判 - 内容紹介 - 人はなぜ、裏切られても信じるのか――。 社会秩序の根源にあって、私たちの生活を支える「信頼」について ホッブズ、ヒューム、カントらの哲学を手がかりに、 日常的な事例をもとに論じつくす。 目次 序論 信頼の謎を掘り起こす 第1章 裏切りの誘惑に抗う――認知的信頼 第2章 善意のしるしと、裏切りの痛み――感情的信頼 第3章 制度とともに生きる――制度的信頼 第4章 裏切らない理由を求めて――信頼の多層構造 第5章 不信の力を見きわめる――自由と抵抗の拠点として 結論 信頼と裏切りの哲学 - 著者プロフィール - 永守伸年 (ナガモリノブトシ) (著/文) 1984年生まれ。京都市立芸術大学美術学部専任講師を経て、現在、立命館大学文学部准教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は近世ヨーロッパの哲学のほか、信頼研究、現代倫理学、障害学など。著書に『カント 未成熟な人間のための思想――想像力の哲学』(慶應義塾大学出版会、2019年)、共著に『モラルサイコロジー――心と行動から探る倫理学』(春秋社、2016年)、『信頼を考える――リヴァイアサンから人工知能まで』(勁草書房、2018年)、『メタ倫理学の最前線』(勁草書房、2019年)。
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ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義 | 岡 真理
¥1,540
大和書房 2023年 ソフトカバー 208ページ 縦188mm 横130mm 厚さ15mm - 内容紹介 - 【緊急出版!ガザを知るための「まず、ここから」の一冊】 2023年10月7日、ガザ地区のハマース主導のパレスチナ戦闘員による、 イスラエルへの攻撃に端を発し、 イスラエルによるガザ地区への攻撃が激化しました。 長年パレスチナ問題に取り組んできた、 パレスチナ問題と現代アラブ文学を専門とする著者が、 平易な語り口、そして強靭な言葉の力によって さまざまな疑問、その本質を明らかにします。 今起きていることは何か? パレスチナ問題の根本は何なのか? イスラエルはどのようにして作られた国? シオニズムとは? ガザは、どんな地域か? ハマースとは、どのような組織なのか? いま、私たちができることは何なのか? 単なる解説にはとどまらない、 「これから私たちが何を学び、何をすべきか」 その足掛かりとなる、 いま、まず手に取りたい一冊です。 ■目次■ ■第1部 ガザとは何か 4つの要点/イスラエルによるジェノサイド/繰り返されるガザへの攻撃/イスラエルの情報戦/ガザとは何か/イスラエルはどう建国されたか/シオニズムの誕生/シオニズムは人気がなかった/なぜパレスチナだったのか/パレスチナの分割案/パレスチナを襲った民族浄化「ナクバ」/イスラエル国内での動き/ガザはどれほど人口過密か/ハマースの誕生/オスロ合意からの7年間/民主的選挙で勝利したハマース/抵抗権の行使としての攻撃/「封鎖」とはどういうことか/ガザで起きていること/生きながらの死/帰還の大行進/ガザで増加する自殺/「国際法を適用してくれるだけでいい」 ■第2部 ガザ、人間の恥としての 今、目の前で起きている/何度も繰り返されてきた/忘却の集積の果てに/不均衡な攻撃/平和的デモへの攻撃/恥知らずの忘却/巨大な実験場/ガザの動物園/世界は何もしない/言葉とヒューマニティ/「憎しみの連鎖」で語ってはいけない/西岸で起きていること/10月7日の攻撃が意味するもの/明らかになってきた事実/問うべきは「イスラエルとは何か」/シオニズムとパレスチナ分割案/イスラエルのアパルトヘイト/人道問題ではなく、政治的問題 ■質疑応答 ガザに対して、今私たちができることは?/無関心な人にはどう働きかければいい?/パレスチナ問題をどう学んでいけばいい?/アメリカはなぜイスラエルを支援し続けるのか?/BDS運動とは何? ■付録 もっと知るためのガイド(書籍、映画・ドキュメンタリー、ニュース・情報サイト) パレスチナ問題 関連年表 本書は、10月20日京都大学、10月23日早稲田大学で開催された緊急セミナーに加筆修正を加えたものです。 - 著者プロフィール - 岡 真理 (オカ マリ) (著/文) 1960年生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了。在モロッコ日本国大使館専門調査員、大阪女子大学人文社会学部講師、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を経て、早稲田大学文学学術院教授。専攻は現代アラブ文学・第三世界フェミニズム思想。
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絵画空間の哲学 思想史の中の遠近法 | 佐藤 康邦
¥1,540
筑摩書房 2024年 ちくま学芸文庫 ソフトカバー 352ページ 文庫判 - 内容紹介 - ルネッサンスが生みだした遠近法。東洋や日本の表現とも比較しつつ、絵画技法という枠を超え、その真の世界観的意義を掬いだす。解説 小田部胤久 - 著者プロフィール - 佐藤 康邦 (サトウ ヤスクニ) (本文) 1944- 2018年。東京生まれ。東京大学文学部倫理学科卒業、同大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学名誉教授。専攻、哲学・倫理学。著書に『ヘーゲルと目的論』(昭和堂)、『現代を生きる哲学』(放送大学教育振興会)、『カント「判断力批判」と現代』(岩波書店)などがある。
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NHK出版 学びのきほん 哲学のはじまり | 戸谷 洋志
¥770
SOLD OUT
NHK出版 2024年 ソフトカバー 120ページ A5判 - 内容紹介 - 哲学の三大テーマが、この1冊で理解できる! 哲学の世界では2000年以上もの間、数々の哲学者が膨大な思想や哲学書を生み出してきた。しかし私たちは、それらがあまりに多様かつ難解で、どこから学び始めればいいのか分からない。そこで注目するのが、哲学の基礎をなしている三大テーマ、存在論・認識論・価値論。それらの領域を「はじまり」から紐解けば、驚くほど哲学が「分かる」ようになる。「哲学」という学問の特徴はどこにあるのか。プラトン、デカルト、カント、ヘーゲル、フッサール――哲学者は世界の何に疑問を抱き、その思想はどう展開されたのか。「NHK100分de名著」にて解説の鮮やかさで話題を呼んだ哲学界の俊英が描く、誰もが知識ゼロから学べる哲学の地図。 - 著者プロフィール - 戸谷 洋志 (トヤ ヒロシ) (著/文) 1988年東京都生まれ。関西外国語大学英語国際学部准教授。法政大学文学部哲学科卒業後、大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。ドイツ現代思想研究に起点を置いて、社会におけるテクノロジーをめぐる倫理のあり方を探求する傍ら、「哲学カフェ」の実践などを通じて、社会に開かれた対話の場を提案している。著書に『ハンス・ヨナスの哲学』(角川ソフィア文庫)、『ハンス・ヨナス 未来への責任』(慶應義塾大学出版会)、『原子力の哲学』『未来倫理』(集英社新書)、『スマートな悪 技術と暴力について』(講談社)、『友情を哲学する 七人の哲学者たちの友情観』(光文社新書)、『SNSの哲学 リアルとオンラインのあいだ』(創元社)など。2015年「原子力をめぐる哲学―ドイツ現代思想を中心に」で第31回暁烏敏賞受賞。
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パレスチナを知るための60章 | 臼杵 陽, 鈴木 啓之
¥2,200
明石書店 2016年 ソフトカバー 412ページ 四六判 - 内容紹介 - 1948年のイスラエル建国以降、中東の火種となってきたパレスチナ。70年近くに及ぶ難民キャンプの暮らし、あるいは「分離壁」に代表されるイスラエルの抑圧的な政策の下にあって、なおアイデンティティを求め続けるパレスチナの人々を描く。 目次 はじめに Ⅰ パレスチナ イメージと実像 第1章 パレスチナとはどこか――アイデンティティの拠り所を考える 第2章 世界に離散するパレスチナ人――繰り返される移動 第3章 パレスチナ人はどんなところに住んでいるのか――難民キャンプから「持ち家」へ 第4章 パレスチナ人は何を食べているのか――オスマン時代から続く伝統的食文化 【コラム1】パレスチナの家庭料理――ひと手間が引き出すおいしさと家庭の誇り 第5章 パレスチナのイエと社会――パレスチナ人のアイデンティティ/39 【コラム2】結婚式 第6章 キリスト教徒として生きる人々――多様な宗教文化 第7章 ドゥルーズ派の人々――イスラエルとアラブのはざまで 【コラム3】「3652年間この地に生きる」サマリア人 第8章 失われた多様性――つくられた「マイノリティ問題」 第9章 ハリウッド映画のパレスチナ人像――捏造される「悪いアラブ」 【コラム4】映画『ミュンヘン』――9・11後のアメリカ社会とパレスチナ問題 第10章 日本人キリスト教徒のパレスチナ・イメージ――パレスチナへの無関心は何によるのか 第11章 『オリエンタリズム』の衝撃――日本でのエドワード・サイード受容 Ⅱ 歴史 第12章 オスマン帝国時代のパレスチナ――蒔かれた紛争の種 第13章 イギリスによる支配――パレスチナ委任統治期 【コラム5】ド・ブンセン委員会――イギリス中東分割政策の青写真 第14章 パレスチナ難民はなぜ生まれたか――忘却されるナクバ 第15章 イスラエルに残ったパレスチナ人――差別・分断と新たな機運 第16章 アラブ・ナショナリズムとパレスチナ・ナショナリズム――シュカイリー初代PLO議長 第17章 パレスチナ解放運動の昂揚――ヤーセル・アラファートとパレスチナ解放機構(PLO) 第18章 アラブ諸国との軋轢――黒い9月とレバノン内戦 第19章 石の蜂起――幻の独立宣言から孤立へ 【コラム6】アメリカン・コロニーの変遷 第20章 オスロ和平プロセス――誕生・展開・挫折 第21章 なぜパレスチナ人はハマースを支持するのか――暫定自治政府の限界 【コラム7】アフマド・ヤースィーン――創設者が描いたハマースの原点と広がり Ⅲ 生活と文化 第22章 ヘブロンの都市生活――イスラーム的伝統の復興 第23章 オリーブと生きる――土地とのつながり、人々の暮らしの象徴 【コラム8】パレスチナのビール・ワイン 第24章 パレスチナの刺繍――モチーフが映し出すパレスチナ 【コラム9】パレスチナの衣装 第25章 難民女性ガーダ――占領と強権の圧力に抗する 第26章 「同胞の“痛み”を我が“痛み”として生きる」――人権活動家ラジ・スラーニとその活動 第27章 タブーに挑む――パレスチナ人ジャーナリストの挑戦 【コラム10】パレスチナ映画――パレスチナ人の実存の視覚的オルタナティブ 第28章 パレスチナ演劇――「失われた」言葉を取り戻す 【コラム11】パレスチナの踊り「ダブケ」 第29章 パレスチナ文学――ナクバから生まれた言葉の力 【コラム12】言葉の「ナクバ」――ヘブライ語で書くパレスチナ人作家 第30章 ウード弾きたちの挑戦――伝統音楽から新しい地平へ 第31章 ポピュラー音楽――革命歌からラップまで 【コラム13】パレスチナ系アメリカ人のコメディアン Ⅳ 世界の中のパレスチナ 第32章 国連の難民救済事業――UNRWAの活動 【コラム14】第一次中東戦争に参加した北アフリカ義勇兵 第33章 アメリカのパレスチナ関与――歴代大統領はパレスチナをどう見てきたか 第34章 ソ連・ロシアの対パレスチナ政策――放置されるロシアの飛び地 第35章 パレスチナ国家の承認――紛争解決の模索 第36章 大国エジプトの変節――宗教、帝国主義、民族主義、そして新しい時代へ 【コラム15】ガザ難民――二人の女子学生と出会って 第37章 隣国ヨルダンの歩み――紛争の展開と国家像の模索 第38章 シリア・レバノンのパレスチナ人――安全と未来を求めて 【コラム16】「イスラーム国」とパレスチナ 第39章 大義を掲げる湾岸諸国――アラブの同胞か、他人事か 第40章 聖都エルサレム――占領下の生活空間 第41章 イスラエルとパレスチナの非対称性――国家主体と非国家主体 【コラム17】パレスチナを旅行する Ⅴ 経済と社会 第42章 パトロン・クライアント関係――近代パレスチナ社会の支配層 第43章 水と土地――権利あるいは空間をめぐる問題 第44章 ヨルダン川西岸の産業――実地調査から見える現状と課題 【コラム18】パレスチナの伝統工芸品 第45章 パレスチナの農業――資源と市場への限られたアクセス 第46章 農村の生活――パレスチナの文化を育む農村の暮らし 第47章 通貨と金融――オスロ合意は何をもたらしたか 第48章 公共部門と公共サービス――あまりに不安定な現実 【コラム19】アンマーンの交通事情と難民 第49章 ワクフ――翻弄されたイスラーム的信託制度 第50章 難民の初等・中等教育――UNRWAの教育と育つ人材 第51章 占領下で学ぶ――大学設立にかけた願いと挑戦 【コラム20】記録し、発信する――パレスチナ研究機構の挑戦 第52章 変遷する障害者福祉――誰も置き去りにしない社会に向けて 【コラム21】分離壁 Ⅵ パレスチナと日本 第53章 対パレスチナ外交――人的交流から資金援助まで 【コラム22】アラファートの日本訪問とIPTIL 第54章 日本に来たパレスチナ人――パレスチナ駐日代表アブドゥルハミードと日本 【コラム23】PLO東京事務所と日本 【コラム24】李香蘭とパレスチナ 【コラム25】「天よ、我に仕事を与えよ」――自己否定と弱者の政治=軍事再考 第55章 日本の経済支援――国際協調と地域安定への試み 第56章 日本の医療支援――パレスチナに根づいた支援 第57章 市民社会による支援――1万キロを越えての連帯とその課題 第58章 イスラエル・ボイコット運動――パレスチナにおける「アパルトヘイト」廃絶への挑戦 第59章 フェアトレード――生活の糧としての伝統工芸 第60章 日本のジャーナリズムとパレスチナ――エルサレム特派員が見たオスロ合意 【コラム26】戦前・戦中の日本とパレスチナ パレスチナを知るための文献・情報ガイド 前書きなど はじめに 私たちパレスチナ人は、どこにいようと、われらがパレスチナにいるわけではない。パレスチナは、もはや存在しないからだ。(エドワード・W・サイード『パレスチナとは何か』島弘之訳、岩波現代文庫、2005年、21頁) パレスチナという名の国家は、まだ存在していない。2015年末時点では136カ国がパレスチナを国家として承認している。国連加盟国の約70%である。21世紀に入ってパレスチナを国家として承認する国は少しずつ増えている。だが、アメリカ、イギリス、フランスといった国連常任理事国を構成する主要欧米諸国はいまだにそれを認めていない。もちろん、西欧でも一部の国の議会は当該政府がパレスチナを国家として承認するよう決議しているものの、まだまだ時間がかかりそうである。 1948年5月、パレスチナという地名は地図上から消えた。パレスチナ人たちは祖国喪失の体験を「ナクバ」と呼ぶ。カタストロフィ、大災難、大厄災など、さまざまな訳語が当てられる。ホロコーストに比べ、日本では辞書に載るほど一般的ではないが、英語圏の大辞典ではal-Nakbaとして掲載されており、OED(オックスフォード英語辞典)では「新イスラエル国家の誕生によって多くのパレスチナ人が故郷を追われた1948年の出来事をさすパレスチナ人の用語」と定義されている。 かつてパレスチナの地に住んでいたアラブ人は48年に離散して難民となって以来「パレスチナ」の名前を継承することになった。新たな「パレスチナ人」の誕生である。もちろん、イスラエル国の領域となった土地にもパレスチナ人がイスラエル市民として暮らしている。だとしても、そのようなパレスチナ人は、もう存在しないパレスチナに「居住している不在者(present absentee)」なのである。冒頭で引用したサイードは「パレスチナは、もはや存在しない」と明言した。1994年にガザとヨルダン川西岸地区の一部に「パレスチナ自治区」が成立したので、パレスチナはもはや地図上に存在しない〈場〉ではない。しかし、いまもって国家ではない「パレスチナ」というタイトルを冠した本を「エリア・スタディーズ」の一冊として出版するということは実に画期的なことである。 (…後略…) - 著者プロフィール - 臼杵 陽 (ウスキ アキラ) (編著) 日本女子大学文学部史学科教授。パレスチナ人との最初の出会いは1980年8月のレバノンのアイン・アル・ヘルワ難民キャンプ訪問時。以来、アンマーン2年半、エルサレム2年、そしてベイルート半年と長期滞在の機会を得た。パレスチナ/イスラエルに関する見方は『イスラエル』(岩波新書)、『世界史の中のパレスチナ問題』(講談社現代新書)を参照されたい。専門は中東現代史・中東地域研究。日本・イスラーム・ユダヤ関係史にも関心を持っている。 鈴木 啓之 (スズキ ヒロユキ) (編著) 日本学術振興会・特別研究員PD(日本女子大学)。中東地域研究、パレスチナ人の政治活動を専門とする。パレスチナとの最初の出会いはテレビで見たE・サイードとガザの人権弁護士ラジ・スラーニの討論。イラク戦争、第二次インティファーダを見ながら「敵と味方」の論理の不毛を知った。主な著作に「パレスチナ被占領地における政治活動の発展――キャンプ・デーヴィッド合意(1978年)と揺れ動く地域情勢」(『中東学会年報』30(1)、2014年)。 追記 【執筆者一覧】 板垣雄三(いたがき ゆうぞう) 1931年、東京生まれ。東京大学・東京経済大学各名誉教授。日本学術会議会員、アジア中東学会連合会長、日本イスラム協会理事長、など歴任。ユダヤ人問題とパレスチナ問題の連関、植民地主義の所産=イスラエル国家、など論及。『アラブの解放』(平凡社、1974年)、『石の叫びに耳を澄ます』(平凡社、1992年)、『復刻版〈パレスチナ問題を考える〉シンポジウムの記録』(第三書館、2012年)、など。 今井宏平(いまい こうへい) 日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員。現代トルコの外交を国際関係論の視点から考察している。とりわけ、トルコにおいて2002年から第一党の座を維持している公正発展党が進める西洋と中東を軸に展開する外交政策とその行動原理の解明に取り組んでいる。主な著作として、『中東秩序をめぐる現代トルコ外交』(ミネルヴァ書房、2015年)がある。 今井静(いまい しづか) 日本学術振興会特別研究員(PD)。中東地域研究、国際関係論、ヨルダン政治経済。主な著作に「ヨルダンの対イラク貿易と経済社会構造の変容――1970年代から80年代を中心に」(『日本中東学会年報』28(1)、2012年)、「ヨルダンにおけるシリア難民受入の展開――外交戦略としての国際レジームへの接近をめぐって」(『国際政治』178、2014年)。 今野泰三(いまの たいぞう) 日本国際ボランティアセンターパレスチナ事業現地代表、大阪市立大学院都市文化研究センター研究員。パレスチナ/イスラエル地域研究、中東政治学、政治地理学。主な著作に「ユダヤ人入植者のアイデンティティと死/死者の表象――ナラティブと墓石・記念碑の分析」(『日本中東学会年報』26(2)、2011年)、「宗教シオニズムの越境――ヨルダン川西岸地区の『混住入植地』を事例として」(『境界研究』5、2015年)、「政治・外交的視点からの脱却――実践主義的側面から見るオスロ和平プロセス」(今野泰三・鶴見太郎・武田祥英編『オスロ合意から20年――パレスチナ/イスラエルの変容と課題』NIHUイスラーム地域研究・東京大学拠点、2015年)。 岩浅紀久(いわあさ としひさ) 日本IBMおよびPhiips Co.勤務の後、ITエンジニアリング研究所を設立。JICAのパレスチナ中小企業支援プロジェクトの専門員として現地調査を実施。ジェリコに企業団地建設を提案し、建設途上にある。東京大学東洋文化研究所パレスチナ研究会メンバー。 臼杵陽(うすき あきら)※編著者プロフィールを参照。 臼杵悠(うすき はるか) 一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程在籍中。専門はヨルダンを中心とした中東社会経済研究。学部生のころ、日本国際ボランティアセンター(JVC)パレスチナ事業でのボランティア活動をきっかけに本格的にパレスチナに興味をもつ。現在、松下幸之助記念財団の留学助成によりパレスチナ系住民の多いヨルダンにて、統計局に所属しマイグレーションと経済の関係をテーマに2年の長期滞在中。 鵜戸 聡(うど さとし) 鹿児島大学法文学部准教授。アルジェリアやレバノンなどフランス語圏を中心に中東・北アフリカの文学を研究。日本の演劇祭でアラブ演劇の翻訳・解説などにも従事し、そのラディカルさにいつも圧倒されている。共著に『シリア・レバノンを知るための64章』(黒木英充編、明石書店、2013年)など。 宇野昌樹(うの まさき) 広島市立大学国際学部教授。文化人類学、中東地域研究。主な著作に「アラブの春とイスラエルの核」(高橋伸夫編『アジアの「核」と私たち――フクシマを見つめながら』東アジア研究所講座、慶應義塾大学東アジア研究所、2014年)、「あるレバノン家族から垣間見えるアラブの女性像」(福原裕二・吉村慎太郎編『現代アジアの女性たち――グローバル社会を生きる』新水社、2014年)、「世界に散らばるレバノン系・シリア系移民――グローバル化と移民、出稼ぎ労働者、難民のはざまで」(堀内正樹・西尾哲夫編『〈断〉と〈続〉の中東――非境界的世界を游ぐ』悠書館、2015年)。 江﨑智絵(えざき ちえ) 防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授。中東の国際関係・安全保障論、パレスチナ問題。主な著作に『イスラエル・パレスチナ和平交渉の政治過程分析――オスロ・プロセスの展開と挫折』(ミネルヴァ書房、2013年)、「紛争と危機管理政策――国際交渉学の観点から」(伊東孝之監修、広瀬佳一・湯浅剛編『平和構築のアプローチ――ユーラシア紛争研究の最前線』吉田書店、2013年)、「アラブ諸国の政治変動における軍と武装非国家主体の台頭」(『国際安全保障』43(3)、2015年)。 大伴史緒(おおとも しお) 筑波大学大学院人文社会科学研究科・博士課程。パレスチナ・イスラエルの経済。 大澤小枝(おおさわ さえ) UNICEFスーダン教育担当官(2016年3月現在)。ロンドン大学にて「中東の歴史・外交」と「教育計画」の分野で修士を取得。UNRWAやUNESCO、NGOでヨルダン、レバノン、ガザのパレスチナ難民の教育に10年以上関わる。将来的には再びパレスチナの子どもたちの教育に貢献したいと思っている。 川上泰徳(かわかみ やすのり) 中東ジャーナリスト。元朝日新聞中東特派員。1994年、カイロ特派員となり、パレスチナ自治の始まりを取材。2001~02年はエルサレム特派員として第2次インティファーダとイスラエル軍のヨルダン川大侵攻を取材。2015年、フリーランスになり、パレスチナ問題は主要テーマの一つ。主な著作に『中東の現場を歩く――激動20年の取材のディテール』(合同出版、2015年)、『イスラムを生きる人びと――伝統と「革命」のあいだで』(岩波書店、2012年)。 神﨑雄二(かんざき ゆうじ) 日本聖公会東京教区司祭。1974年にテルゼロールでの発掘に参加した。しかしユダヤ人農業学校に滞在していたのでパレスチナ側の視点をまるで欠き、何も現実が見えなかった。2002年に2か月間中東聖公会エルサレム教区の聖職・信徒に伴われ、パレスチナ・イスラエル各地の教会・施設を巡り、パレスチナ人の苦難を目の当たりにした。以来両教区間の相互訪問を繰り返している。 金城美幸(きんじょう みゆき) 日本学術振興会特別研究員RPD。パレスチナ/イスラエル史学。主な著書に「破壊されたパレスチナ人村落史の構築――対抗言説としてのオーラルヒストリー」(『日本中東学会年報』30(1)、2014年)。日本国籍をもつがそのルーツは東アジア全域に及ぶ。(父方祖父は日帝統治時代の朝鮮から、祖母は済州島4・3事件を逃れて渡来。日本軍医だった母方祖父は中国大陸で国民党幹部の捕虜となり、その娘だった祖母と結婚し、第二次国共内戦後の台湾脱出を経て渡来。)帝国主義・植民地主義、その後の境界画定による人々の追い立ての経験に強い関心がある。二児の母。 小池絢子(こいけ あやこ) 特定非営利活動法人WE21ジャパン民際協力室。フィリピンにおけるコミュニティ開発、ネットワークを通じた市民活動、アジア太平洋地域における国際関係。 小阪裕城(こさか ゆうき) 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程。長野県短期大学多文化コミュニケーション学科国際地域文化専攻助教。歴史学(国際史/20世紀アメリカ史)。主な著作に「アメリカ・ユダヤ人委員会とイスラエル――建国の余波のトランスナショナル・ヒストリー」(『歴史評論』792,2016年)、「黒人運動の『外交』――全米黒人向上協会(NAACP)、国際連合と冷戦」(足羽與志子・中野聡・吉田裕編『平和と和解――思想・経験・方法』旬報社、2015年)、「『ユダヤ人問題』の解を求めて――アメリカ・ユダヤ人委員会,国際人権とイスラエルの建国 1942~1948年」,(『国際政治』176、2014年)。 児玉恵美(こだま えみ) 日本女子大学文学研究科史学専攻博士課程前期。中東現代史、研究テーマは、レバノンの離散パレスチナ人による祖国解放運動(1969~1982年)において、難民キャンプの離散パレスチナ人が祖国帰還を願って、武装闘争に身を投じたプロセス。 小林和香子(こばやし わかこ) 日本国際ボランティアセンターエルサレム事務所、国連開発計画エルサレム事務所、国際協力機構パレスチナ事務所、外務省国際協力局などに勤務。中東和平、平和構築、国際協力。主な著作に,『ガザの八百屋は今日もからっぽ――封鎖と戦火の日々』(めこん、2009年)、「パレスチナ難民問題と解決の可能性の模索」(『現代の中東』48、2010年)、“International Court of Justice Advisory Opinion on the Wall and Its Influence on the Israel-Palestine Peace Process,”Journal of the Graduate School of Asia-Pacific Studies, No. 13 (2007.6) pp.219-240. 是恒香琳(これつね かりん) 日本女子大学文学研究科史学専攻博士課程前期。著書に『日本女子大学生の世の中ウォッチ』(パド・ウィメンズ・オフィス、2014年)。切り抜き情報誌『女性情報』(パド・ウィメンズ・オフィス)に連載中。元イスラエル兵士らにインタビューしたドキュメンタリー映画『沈黙を破る』(土井敏邦監督、2009年)をきっかけに、パレスチナ問題に関心を持っている。 近藤重人(こんどう しげと) 日本エネルギー経済研究所中東研究センター研究員。サウジアラビア、クウェートの政治・外交、中東現代史。主な著作に「サウディアラビアのパレスチナ政策とアメリカ――1945――1948年」(『法学政治学論究』101、2014年)。アラブ和平イニシアティブというサウジアラビアが力を入れている中東和平提案に関心がある。 澤口右樹(さわぐち ゆうき) 東京大学大学院総合文化研究科修士課程。イスラエル政治を読み解くことで、イスラエルがパレスチナなどの周辺国との間に抱える暴力の原因を明らかにすることが主な関心。とりわけ、イスラエル外交を研究対象としている。現在は、なぜイスラエル国内の紛争の犠牲者がより「他者」への態度、働きかけ、支持政策が強硬なものを好むのかをテーマとして研究中。 塩塚祐太(しおつか ゆうた) 対パレスチナ自治政府日本政府代表事務所(在ラーマッラー)元草の根人間の安全保障無償資金協力調整員(2012~2015年)。学生時に国際NGO日本国際ボランティアセンターでのインターンを通してパレスチナ支援に関わり、パレスチナ自治区ビールゼイト大学に8カ月間留学(2011年)。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。現地の人びとの視点から、パレスチナ/イスラエル問題における国際援助の構造や影響力について学ぶ。 清水雅子(しみず まさこ) 上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科特別研究員(PD)。中東現代政治。主な著作に「『変革と改革』としてのハマース――パレスチナにおける武装抵抗運動の選挙参加」(『日本中東学会年報』27(2)、2012年)、「パレスチナの政治変動は執政制度の役割にいかに影響したか――ハマース政権樹立から自治政府の分裂に至る政治過程(2006――2007年)を事例に」(『Aglos: Journal of Area-Based Global Studies』3、2012年)、「制度の意図せざる結果としてのハマース与党化」(今野泰三・武田祥英・鶴見太郎編『オスロ合意から20年――パレスチナ/イスラエルの変容と課題』人間文化研究機構「イスラーム地域研究」東京大学拠点パレスチナ班、2015年)。 菅瀬晶子(すがせ あきこ) 国立民族学博物館准教授。ガリラヤ地方やベツレヘム周辺のアラブ人キリスト教徒コミュニティや、アル・ハディルと呼ばれる聖者への崇敬について調査し続けている。修道院の料理人だった友人から学んだアラブ料理の腕と知識は、現地の人々にも負けないと自負。最近は20世紀前半、パレスチナ初の新聞『カルメル』の主筆として活躍したナジーブ・ナッサールに注目している。主な著作に『イスラームを知る6 新月の夜も十字架は輝く――中東のキリスト教徒』(山川出版社、2010年)、“The beginnings of a new coexistence: a case study of the veneration of the Prophet Elijah (Mar Ilyas) among Christians, Muslims and Jews in Haifa after 1948’in Rowe, Dyck and Zimmermann (eds.), Christians and the Middle East Conflict, pp.84-98. London and New York: Routledge.2014などがある 鈴木隆洋(すずき たかひろ) 何も時計台に翻る「竹本処分粉砕」の六文字に憧れて入学したわけではないが、気がつけば私は「咲いた咲いた赤白黄色どのヘルメット見てもキレイだな」という大学にいた。結局活動することも逮捕されることもなく学究の道へ入ってしまったわけだが、「倫理主義でも単なる知識の蓄積でもない研究」を志した理由はイラク戦争当時に覚えた葛藤にあるのだろう。主な翻訳にマンデラ『自由への容易な道はない』(峯陽一監訳、青土社)。龍谷大学短期大学部非常勤講師。 鈴木啓之(すずき ひろゆき)※編著者プロフィールを参照。 清田明宏(せいた あきひろ) 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)保健局長、世界保健機関特別代表(対UNRWA)。国際保健、公衆衛生、医療システム管理、結核対策。主な著作に『ガザ――戦争しか知らないこどもたち』(ポプラ社、2015年)、パレスチナ難民のいのちと健康:国連パレスチナ難民救済事業機関の地域ケア(保健福祉学)、“Governing the reform of the United Nations health systems for Palestine Refugees: Moving mountains,”Governing Health Systems For Nations and Communities Around The World. Edited by Michael Reich, Keizo Takemi. Harvard School of Public Health. Lamrey & Lee. 2015. 高岩伸任(たかいわ のぶただ) 一橋大学非常勤講師。中東社会経済史。 武田祥英(たけだ よしひで) 千葉大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程。委任統治終了までのイギリス政府の対中東政策と、イギリスにおけるユダヤ教徒の政府との関係が専門。ド・ブンセン委員会報告書(CAB27/1)が第一次世界大戦期の中東分割政策に与えた影響と報告書の歴史的再評価、および当時イギリスで主流派だった反シオニストのユダヤ教徒の外交活動について研究。 田浪亜央江(たなみ あおえ) 成蹊大学アジア太平洋研究センター主任研究員。中東地域研究、パレスチナ文化研究。主な著作に『対テロ戦争と現代世界』(共著、御茶の水書房、2006年)、『〈不在者〉たちのイスラエル――占領文化とパレスチナ』(インパクト出版会、2008年著)、『変わるイスラーム社会』(共著、明石書店、2016年)。 田村幸恵(たむら ゆきえ) 津田塾大学国際関係研究所研究員。歴史的な事象として名望家を中心とした青年団体およびイスラーム組織による経済・政治的な活動を含めた社会維持機能に関心を寄せ、遡ってオスマン帝国末期のパレスチナ研究の必要性を痛感。上記団体の貧困緩和に果たす役割があるのではと思案する。「ムスリム青年協会パレスチナ支部による労働組合の組織――1920年代後半からアラブ労働者統一会議まで」(『イスラーム世界』68、2007年)、「インタビュー調査から見るパレスチナのNGO――PNGOによる草の根団体活用と地方における活動」(『津田塾大学国際関係学科ワーキングペーパーシリーズ』6、2007年)、 「二つの帝国の間で――パレスチナにおける大戦の経験と支配の貫徹(仮)」(永原陽子編『植民地世界から見た第一次世界大戦』ミネルヴァ書房、2016年刊行予定)。 鶴見太郎(つるみ たろう) 東京大学大学院総合文化研究科准教授。社会学、ロシア・ユダヤ史・シオニズム史。主な著作に『ロシア・シオニズムの想像力――ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、「旧ソ連系移民とオスロ体制――イスラエルの変容か、強化か」今野泰三・鶴見太郎・武田祥英編『オスロ合意か20年――パレスチナ/イスラエルの変容と課題』NIHUイスラーム地域研究、2015年、“Jewish Liberal, Russian Conservative: Daniel Pasmanik between Zionism and the Anti-Bolshevik White Movement,”Jewish Social Studies 21(1), 2015. 土井敏邦(どい としくに) 1953年佐賀県生まれ。ジャーナリスト。1985年以降、パレスチナ・イスラエルを取材。主な著作に『占領と民衆――パレスチナ』(晩聲社、1988年)、『アメリカのユダヤ人』(岩波書店、1991年)、『アメリカのパレスチナ人』(すずさわ書店、1991年)、『「和平合意」とパレスチナ――イスラエルとの共存は可能か』(朝日新聞社、1995年)、『パレスチナの声、イスラエルの声――憎しみの“壁”は崩せるのか 現地ルポ』(岩波書店、2004年)、『沈黙を破る――元イスラエル軍将兵が語る“占領”』(岩波書店、2008年)、『ガザの悲劇は終わっていない――パレスチナ・イスラエル社会に残した傷痕』(岩波ブックレット、2009年)など。ドキュメンタリー映画『届かぬ声――パレスチナ・占領と生きる人びと』(全4部作、す4作が『沈黙を破る』2010年)、『ガザ攻撃 2014年夏』(2014年)、『ガザに生きる』(全5部作、2015年)など。 飛奈裕美(とびなひろみ) 京都大学学際融合教育研究推進センター・特定講師。パレスチナ・イスラエル地域研究。 長沢栄治(ながさわ えいじ) 東京大学東洋文化研究所教授、パレスチナ学生基金(ヨルダンの「ガザ難民」大学生に学費を支援)理事長。中東地域研究、近代エジプト社会経済史。主な著書に、『アラブ革命の遺産 エジプトのユダヤ系マルクス主義者とシオニズム』(平凡社、2012年)、『エジプト革命 アラブ世界変動の行方』(平凡社新書、2012年)、『エジプトの自画像 ナイルの思想と地域研究』(平凡社、2013年)。 長沢美沙子(ながさわ みさこ) 翻訳家。パレスチナ問題研究家。中東・パレスチナを中心とした情報誌の編集を経て、パレスチナ人の人権回復と共存と平和を求めるユダヤ人の発行する情報誌(I&P誌)等の日本の窓口として「I&Pフレンズ」代表などを務めた。音楽・美術を通じた中東世界と日本の文化交流の企画、中東・パレスチナ問題に係るシンポジウムや講演会等の企画やコーディネートを多数手がけるとともに、BDS運動にも関心を寄せている。 並木麻衣(なみき まい) 東京外国語大学外国語学部アラビア語専攻在学中の2006~2007年、ヨルダン川西岸地区ビールゼイト大学およびエルサレムのヘブライ大学に留学。アラビア語パレスチナ方言、ヘブライ語に加え、二つの視点からパレスチナ問題を学びながら、草の根の人々の切実な思いに触れる。2013年より、日本国際ボランティアセンターにてパレスチナ事業担当に就任。現地の人々の等身大と体温を日本に伝えたいと願いながら、双方の心が繋がる事業を目指して日々奮闘中。 南部真喜子(なんぶ まきこ) 東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程在籍中。近現代パレスチナ・イスラエル地域研究。イスラエルの占領に対する抵抗のなかで逮捕投獄されているパレスチナ政治囚人の問題について研究を進めている。現在はエルサレムに現地調査のため留学中。グラフィティやポスターなど日常の生活空間に民意や記憶、アイデンティティがいかに表出されているかにも関心を持ちながら過ごしている。 錦田愛子(にしきだ あいこ) 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授。主な著作に『ディアスポラのパレスチナ人――「故郷(ワタン)」とナショナル・アイデンティティ』(有信堂高文社、2010年)、『移民/難民のシティズンシップ』(編著、有信堂高文社、2016年)など。パレスチナ/イスラエル紛争の和平と難民問題への関心に始まり、ヨーロッパのアラブ系移民/難民についても共同研究を進めている。 服部修(はっとり おさむ) 2016年3月現在、エルサレム在住。パレスチナ難民を支援する国連機関に勤務し、日本・アジア諸国との渉外を担当。仕事や日常生活を通じ、ヨルダン川西岸地区やガザ地区を訪問。パレスチナの実生活を肌で感じ、難民キャンプではパレスチナ難民が直面する苦悩に胸が痛む。経験を通じて感じるパレスチナ問題の深さを如何にして多くの日本やアジアの方々に伝えられるか反芻している。 藤屋リカ(ふじや りか) 慶應義塾大学看護医療学部専任講師。NGO駐在員としてパレスチナ母子保健プロジェクトに7年間携わり、2002年に日本国際ボランティアセンター(JVC)パレスチナ緊急医療支援に参加。04年からJVCパレスチナ事業による子どもの栄養改善、保健、収入創出等を担当した。11年より現職。主な著作に「パレスチナ、誇りと希望を胸に」(JVC著『NGOの選択――グローバリゼーションと対テロ戦争の時代に』めこん、2005年)、“The influence of economic factors on the location of birth among Palestinian women in Bethlehem during the second Palestinian uprising,”Tropical Doctor 2007. 37 (1) 13-8. 古居みずえ(ふるい みずえ) アジアプレス・インターナショナル所属。JVJA会員。1988年よりイスラエル占領地を訪れ、パレスチナ人による抵抗運動・インティファーダを取材。パレスチナの人々、特に女性や子どもたちに焦点をあて、取材活動を続けている。映画『ガーダ パレスチナの詩』(2007年)、『ぼくたちは見た ガザ・サムニ家の子どもたち』(2011年)、『飯舘村の母ちゃんたち 土とともに』(2016年)を制作。主な著作に『インティファーダの女たち――パレスチナ被占領地を行く《増補版》』(彩流社)、『ガーダ 女たちのパレスチナ』(岩波書店)、『ぼくたちは見た――ガザ・サムニ家の子どもたち』(彩流社)、『パレスチナ――戦火の中の子どもたち』(岩波書店)、写真集『瓦礫の中の女たち』(岩波書店)。 細田和江(ほそだ かずえ) 中央大学政策文化総合研究所準研究員。イスラエル・パレスチナ文化。主な著作に,「犠牲と贖罪の芸術」(エルメス財団『シガリット・ランダウ展カタログ』2013年)、「イスラエルにおける少数派の文学言語――アラブ人作家アントン・シャンマースとサイイド・カシューアのヘブライ語選択」(『中央大学政策文化研究所年報』17、2014年)。 皆川万葉(みながわ まよ)[23] フェアトレード団体「パレスチナ・オリーブ」代表。1998年よりガリラヤ地方のオリーブオイル、ナーブルスのオリーブ石鹸、イドナ村女性組合の刺繍製品などを輸入、全国に販売。パレスチナのいいモノと一緒に人々の暮らしを伝えたい、という思いから通信『ぜいとぅーん』を発行。パレスチナの生産者団体や日本で購入している人々と一緒にオルタナティヴな経済・社会を作り、現状を変えていきたいと活動している。http://www.paleoli.org 村上大介(むらかみ だいすけ) 産経新聞論説副委員長。読売新聞記者として1990~91年の湾岸危機・戦争を取材。91~95年、初代エルサレム特派員として和平プロセスを取材。拓殖大学海外事情研究所客員研究員を経て97年9月、産経新聞社入社。99~2004年、06~10年、中東支局長(カイロ)。外信部長などを経て、現職。 役重善洋(やくしげ よしひろ) 大学非常勤講師。NGO「パレスチナの平和を考える会」事務局長。主な著作に『脱「国際協力」――開発と平和構築を超えて』(共著、新評論、2011年)、『終わりなき戦争に抗う――中東・イスラーム世界の平和を考える10章』(共著、新評論、2014年)、「内村鑑三の再臨運動におけるシオニズム論と植民地主義」(『人間・環境学』21、2012年)。 山縣良子(やまがた よしこ) 東京外国語大学卒業後、1984年~1987年ヨルダンに滞在する機会を得て、ヨルダン大学でアラビア語を学ぶ。滞在期間中SAMEDで働くライラ・ハーリディーさんに出会い、民族衣装に施されたパレスチナ刺繍を学ぶ。その後自らもモチーフを刺繍してパレスチナ刺繍の復元に努め、約200近くのモチーフをCD-ROM化している。現在は地域の独自性が生まれた社会的経済的要因や伝承などに関心を持つ。 山田しらべ(やまだ しらべ) パレスチナのフェアトレードNGO、Sunbula事務局長。97年よりカリフォルニア州のNGO団体Global Exchangeのスタディーツアーのコーディネーターとして定期的にパレスチナを訪れ始める。その後現地に移り住み、Alternative Information Centerなどの団体勤務を経て2005年より現職。ベツレヘムの難民女性によるオリーブ石鹸製造販売プロジェクト、アシーラ女性組合の設立メンバーでもある。コロンビア大学院国際関係学修士号取得。 山本薫(やまもと かおる) 東京外国語大学ほか非常勤講師。アラブ文学。主な著作に『現代パレスチナ文化の動態研究――生成と継承の現場から』(共著、科研費成果報告書、2015年)、“Writing the Civil War: Lebanese Writers' Perspectives on a Precarious Coexistence,” Human Mobility and Multiethnic Coexistence in Middle Eastern Urban Societies 1: Tehran, Aleppo, Istanbul, and Beirut, ed. by Hidemitsu Kuroki, ILCAA, 2015、エミール・ハビービー『悲楽観屋サイードの失踪にまつわる奇妙な出来事』(翻訳、作品社、2006年)。 山本健介(やまもと けんすけ) 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(五年一貫博士課程)。中東地域研究を専門とし、なかでもパレスチナ問題における宗教的要素に関心を持っている。現在は、エルサレムやヘブロンなど、複数の宗教的伝統が重複する聖地をめぐる競合に注目し、見逃されがちなパレスチナ人の抵抗に焦点を当て、聖地の問題に固有な要素の解明を試みている。 屋山久美子(ややま くみこ) ヘブライ大学人文学部博士課程(民族音楽学音楽専攻)修了。在学中よりパレスチナ人ウード奏者ハビーブ・ハンナ、ニザール・ロハナに師事。2004年エルサレムのシリア・アレッポ系ユダヤ人の宗教音楽に関する論文でPhD取得。ヘブライ大学アジア学科非常勤講師を務め、翻訳や通訳などに従事。20年来エルサレムを拠点に現在進行形のパレスチナ人たちの音楽文化を追い、北アフリカから中央アジア地域まで広がる「マカーム」による音楽を探求する。 吉年誠(よしとし まこと) 一橋大学社会学研究科助手。パレスチナ地域研究、国際社会学。 渡邊祥子(わたなべ しょうこ) 日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員。博士(学術)。アルジェリア、チュニジア、モロッコを中心とするマグリブ(西アラブ)地域の近現代史を研究。エジプト以東のマシュリク(東アラブ)地域とマグリブ地域の交流史、特に、パレスチナ問題に関するマグリブのイスラーム知識人やナショナリストの言説と活動に関心がある。 渡辺真帆(わたなべ まほ) 東京外国語大学外国語学部アラビア語専攻卒業(2016年3月)。在学中、ヨルダン川西岸地区ビールゼイト大学に1年間留学。ナーブルスとホロンで調査を行い、1948年以降のパレスチナ/イスラエル地域におけるサマリア人共同体の持続要因を研究した。パレスチナと日本の演劇人による共同創作やアラブ人アーティストの来日公演等で通訳・翻訳・字幕スタッフを務める。
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映画のまなざし転移 | 斎藤 環
¥3,080
青土社 2023年 456ページ 四六判 - 内容紹介 - 精神分析と映画は、なぜこんなにも相性が良いのか 人物、セリフ、構造……作品のとらえ方のヒントは、精神分析に溢れている。現代の映画シーンにおける記念碑的な作品群を、ときにやわらかい言葉で、ときに精神分析の言葉で論じた、著者渾身の映画批評の集大成。映画への欲求を喚起せずにはおかない130章!
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悪魔のいる漫画史 | 後藤 護
¥2,750
blueprint 2023年 ソフトカバー 320ページ 四六判 縦188mm 横127mm 厚さ26mm - 内容紹介 - 『ゴシック・カルチャー入門』『黒人音楽史 奇想の宇宙』で注目を集めた気鋭の暗黒批評家・後藤護による三冊目の単著は、ゴシック、マニエリスム、悪魔をテーマに古今の漫画を縦横自在に読み解く漫画評論集。表紙には丸尾末広の描き下ろしイラストを掲載。 楳図かずお『神の左手悪魔の右手』、萩尾望都『ポーの一族』、山岸凉子『アラベスク』、古賀新一『エコエコアザラク』、日野日出志『蔵六の奇病』、丸尾末広『パノラマ島綺譚』、楠本まき『KISSxxxx』、アラン・ムーア『フロム・ヘル』、チャールズ・バーンズ『ブラック・ホール』、水木しげる『日本妖怪大全』、諸星大二郎『壺中天』、高橋葉介『夢幻紳士』、諫山創『進撃の巨人』、三浦建太郎『ベルセルク』、藤本タツキ『チェンソーマン』……著者が敬愛する澁澤龍彥の美学を通して、悪魔的漫画の系譜を紡ぎ出す。 目次 第1章 楳図かずおのゴシック・マンガ ーー「赤んぼう少女」から「まことちゃんハウス」まで 第2章 楳図かずおと恐怖のトートロジー ーー『神の左手悪魔の右手』における鏡・分身・反復 第3章 『ポーの一族』と「ロマンティックな天気」 ーー 疾風怒濤からロココ的蛇状曲線へ 第4章 『アラベスク』に秘められたグロテスクなデーモン ーー山岸凉子のバレエ・ゴシック【前篇】 第5章 乙女と奈落~『舞姫 テレプシコーラ』で『ヴィリ』を読む 山岸凉子のバレエ・ゴシック【後篇】 第6章 怪奇マンガの帝王、古賀新一の魅力再考 ーー澁澤龍彥が『エコエコアザラク』に与えた影響 第7章 日野日出志「蔵六の奇病」と虹色のデカダンス ーーユイスマンス『腐爛の華』から考える「腐れの美学」 第8章 丸尾末広と「独身者機械」 ーー初期エログロナンセンス作品から最高傑作『パノラマ島綺譚』まで 第9章 楠本まき『KISSxxxx』論 前篇 ーーキュアーで踊る、ハッピーゴスの誕生 第10章 楠本まき『KISSxxxx』論 後篇 ーー日常という名の「不思議の輪」 第11章 百科全書派ゴシックとしての『フロム・ヘル』 ーーパノラマ的視点の問題を突く 第12章 チャールズ・バーンズ『ブラック・ホール』とタラッサ的退行 ーーシアトル、グランジとの同時代的共振 第13章 「河童の斬られた片腕」の謎 ーー水木しげる『決定版 日本妖怪大全』 第14章 諸星大二郎の『壺中天』 ーー風格主義的漫画(ManneristicComics)試論 第15章 夢幻のカリガリスムとダンディズム ーー高橋葉介『夢幻紳士』を読む 第16章 水晶の官能、貝殻の記憶 ーー『進撃の巨人』における「小さな」もの 第17章 黒い脳髄、仮面のエロス、手の魔法 ーー三浦建太郎『ベルセルク』を読む 第18章 スプラッター資本主義と糞のカーニヴァル ーー『チェンソーマン』のダークエコロジカルな倫理 - 著者プロフィール - 後藤護 (ゴトウマモル) (著/文) 暗黒批評。『黒人音楽史 奇想の宇宙』(中央公論新社、2022年)で第1回音楽本大賞「個人賞」を受賞(渡邊未帆選)。その他の著書に『ゴシック・カルチャー入門』(Pヴァイン、2019年)。現在、ポリマス(博識)をテーマとする『博覧狂記の怪物誌』(晶文社、2024年刊行予定)、ダグラス・マッカーサーのサングラスの衝撃に始まる『戦後日本黒眼鏡サブカルチャー史』(版元、刊行年未定)の2冊を鋭意準備中。
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親切で世界を救えるか ぼんやり者のケア・カルチャー入門 | 堀越 英美
¥2,090
太田出版 2023年 ソフトカバー 252ページ 18.8 x 12.2 x 1.3 cm - 内容紹介 - なぜ鬼の頸(くび)が斬れない剣士・胡蝶しのぶは子どもたちの人気者になったのか? 『エモい古語辞典』『不道徳お母さん講座』『女の子は本当にピンクが好きなのか』の著者、注目の最新作。 『鬼滅の刃』から『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』『すずめの戸締まり』『ミッドサマー』『コンビニ人間』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』――現代のポップカルチャーを支えるキーワードは、「ケア」。 流行りの「ケア」ってちょっと難しそう……? でも、私たち大人だって、人に優しく、思いやって生きていきたい。 「ケア」=抑圧的で退屈でつまらない 虚無と冷笑の時代を終わらせ、 「ケア」できる人=かっこいい! の時代へ。 ●愛される「学級委員的」キャラクター、竈門炭治郎と胡蝶しのぶ(アニメ『鬼滅の刃』)●「経済人」予備軍として扱われる大学生、責任主体とみなされない主婦(『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』)●ヒロインは家父長制にとらわれた退屈なお母さん(映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)●家父長制の国のハロウィン 暴動からボン・ジョヴィへ(統一教会との関連が取りざたされる「家庭教育支援条例」と岸政彦『断片的なものの社会学』)●コントロールできない人生とナラティブ・セラピー(アニメ『平家物語』)●親切≠道徳 絆ではなく親切で繫がるには(映画『すずめの戸締り』) ネットで話題の連載が待望の書籍化。 〈目次〉 はじめに 第1章 ケアの復権 『鬼滅の刃』にみるケアの倫理 /ケアの価値を見直す 胡蝶しのぶと『ビルド・ア・ガール』 /学校道徳と「家庭の天使」から遠くはなれて /「ケア」と「面白」は和解せよ 九〇年代的冷笑と現代の「ケアする」ツッコミ/学生運動の挫折と冷笑主義 母校の高校紛争体験記を読む 第2章 暗がりから見つめるケア 子どもの言葉を聞き続けるということ 映画『カモンカモン』の「暗がり」/「人間」を疎外するシステムで、包摂される人々/『コンビニ人間』『ウ・ヨン ウ弁護士は天才肌』/読む女、手を動かす女 「かけ足が波に乗りたるかもしれぬ」『ミシンと金魚』 アニメ版『平家物語』にみるケアとセラピー/ぼんやりプリンセスとケアするヒーローのときめきの魔法 映画『金の国 水の国』とこんまりメソッド 第3章 家父長制に抗うケア カルトは家庭の顔をする 『母親になって後悔してる』『ミッドサマー』/『教えて?ネコのココロ』から考える猫と家父長制 /家父長制の国のハロウィン 暴動からボン・ジョヴィへ /主婦バイトが『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』を読んだら/絆ではなく「親切」でつながるには 第4章 ケアの復権 『エルピス』が描く、守るべき者がいる人間の弱さと悪について /親切で世界を救えるか 『すずめの戸締まり』『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』 /磔にされることなく「親切になろう」と言うために 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』 あとがきにかえて――こねこのぴっちが家出をした日
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風船ことはじめ | 松尾 龍之介
¥2,420
弦書房 2023年 ソフトカバー 320ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ18mm - 内容紹介 - 秋田県仙北市西木町上桧木内(かみひのきない)という内陸の地方に、「紙風船上げ」という幻想的な伝統行事が今も続いています。2月10日の雪深い日に行われますが、それぞれの紙風船は、大きさが縦10mを超えるものもある巨大なもので、なぜこの地にこのような奇祭が伝えられているのかを、文献と史実をもとに歴史を解き明かしたのが本書です。1783年、フランスで世界初の熱気球飛揚。1804年、長崎で日本初の熱気球飛揚をへて、1837年、オランダ通詞によって秋田へその知識と技術が伝えられるまでを描いた壮大な物語‼ 目次 Ⅰ 最初の気球飛揚 江戸の蘭学者・大槻玄沢 Ⅱ 「リュクトシキップ」 桂川家の人々 Ⅲ キリシタン国から来た漂着民 Ⅳ 和紙でつくられた熱気球 Ⅴ 紅毛読書達人・馬場佐十郎 Ⅵ 蝦夷のロシア人捕囚たち シャーロット号の再来 Ⅶ ヅーフ・ハルマ Ⅷ 国禁を破った葛飾北斎 Ⅸ シーボルト台風 流刑人・馬場為八郎 みちのくの熱気球 【付記】「風船上げ」と 「オランダばた」 ほか - 著者プロフィール - 松尾龍之介 (マツオ リュウノスケ) (著/文) 昭和21年、長崎市生まれ。昭和44年、北九州市立大学外国語学部卒。昭和46年上京。漫画家・杉浦幸雄に認められる。主に「漫画社」を中心に仕事をする。洋学史研究会会員。[主な著書]『漫画俳句入門』(池田書店)『江戸の世界聞見録』(蝸牛社)『なぜなぜ身近な自然の不思議』(河出書房新社 )『マンガNHKためしてガッテン―わが家の常識・非常識』(青春出版社)『マンガ版ママの小児科入門』(法研)『長崎蘭学の巨人 志筑忠雄とその時代』(弦書房)『長崎を識らずして江戸を語るなかれ』(平凡社)『江戸の〈長崎〉ものしり帖』『小笠原諸島をめぐる世界史』『幕末の奇跡―〈黒船〉を造ったサムライたち』『鎖国の地球儀―江戸の〈世界〉ものしり帖』『踏み絵とガリバー《鎖国日本をめぐるオランダとイギリス》』『絹と十字架《長崎開港から鎖国まで》 (以上、弦書房)
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日本のまちで屋台が踊る
¥2,530
屋台本出版 2023年 ソフトカバー 272ページ 四六判 - 内容紹介 - それぞれの屋台にはドラマがある! なぜ屋台に行き着き、どう屋台をまちで動かすか。 5人の屋台実践者へのインタビューと、都市や社会学、哲学など分野を超えた専門家へのインタビューなどを通して、現代の「屋台」から暮らし方、働き方、社会への関わり方などを考える。 屋台はまちへとび出し、踊る。 _____ 目次 1.屋台をつくり、動かす人たち──屋台実践者インタビュー 屋台実践者1 生きる選択肢としての屋台 今村謙人(カモメ・ラボ) 屋台実践者2 世界に幅と揺らぎあれ──抗い、作り、街に出る モリテツヤ(汽水空港) 屋台実践者3 生活範囲を走る!自転車屋台 鈴木有美(パーラー102) 屋台実践者4 毎夜東京をさまよう屋台 神条昭太郎(TWILLO) 屋台実践者5 医者、街に出る──屋台でウェルビーイングを 孫大輔(家庭医) 2.屋台のある風景 3.屋台再考──専門家レクチャー レクチャー1 失敗したらトンズラすればいい──その日暮らしの屋台学 小川さやか(文化人類学) レクチャー2 現代屋台の社会学 南後由和(社会学) レクチャー3 日常の小さなことに寄り添う 鞍田崇(哲学) レクチャー4 闇市の発生から都市が再生する 石榑督和(建築史・都市史) レクチャー5 ギブ・ギブ・ギブ!やることなすこと根拠なし 栗原康(政治学) 4.橋ノ上ノ屋台の一日 5.対談 屋台のある風景(は増えるか) 阿部航太「街は誰のもの?」+笹尾和宏「PUBLIC HACK」
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私が諸島である カリブ海思想入門 | 中村 達
¥2,530
書肆侃侃房 2023年 ハードカバー 344ページ 四六判 - 内容紹介 - この海の下で我々は手を取り合う━━。 カリブ海思想について新たな見取り図をえがく初の本格的な入門書。 西洋列強による植民地支配の結果、カリブ海の島々は英語圏、フランス語圏、スペイン語圏、オランダ語圏と複数の言語圏に分かれてしまった。それらの国々をそれぞれ孤立したものとしてではなく、諸島として見るということ。カリブ海をひとつの世界として認識し、その独自の思想を体系化する画期的著作。これからのカリブ海思想研究のためのリーディングリストを付す。 「web侃づめ」の大好評連載が大幅増補され、ついに書籍化! カリブ海思想研究の俊英による待望のデビュー作。 「私が目指すのは、「カリブ海思想には独自の歴史がある」ということをお見せすることだ」(中村達) - 目次 - 序章 冒険の季節 第1章 ひとつの世界としてのカリブ海 第2章 1492を越えて、人間であること 解呪の詩学 第3章 カリブ海を定義する者へ 存在論的不純性 第4章 神話とカリブ海 悲しくも希望に満ちた叙事詩 第5章 出会いを押し進めるために 相互歓待 第6章 カリブ海の社会モデル論 プランテーション、多元、クレオール 第7章 環カリブ海的経験のクレオライゼーション この海の下で我々は手を取り合う 第8章 カリブ海によるクレオール的時政学 海が歴史である 第9章 ミサイルとカプセル 円環性の実践としての弁潮法 第10章 ニヒリズムに抗うクロス・カルチュラルな想像力 カリブ海的身体と幻肢 第11章 カリブ海のポストモダンの地平 カリビアン・カオス(前編) 第12章 カリブ海のポストモダンの地平 カリビアン・カオス(後編) 第13章 押し付けられた言語は誰の存在の家か 私ー像を描く言語 第14章 クレオール礼賛の裏で カリビアン・フェミニズム 第15章 クレオールの精神 カリビアン・クィア・スタディーズ 終わりに 参考文献 カリブ海思想研究リーディングリスト - 著者プロフィール - 中村達 (ナカムラ トオル) (著/文) 1987年生まれ。専門は英語圏を中心としたカリブ海文学・思想。西インド諸島大学モナキャンパス英文学科の博士課程に日本人として初めて在籍し、2020年PhD with High Commendation(Literatures in English)を取得。現在、千葉工業大学助教。主な論文に、“The Interplay of Political and Existential Freedom in Earl Lovelace's The Dragon Can't Dance”(Journal of West Indian Literature, 2015)、“Peasant Sensibility and the Structures of Feeling of "My People" in George Lamming's In the Castle of My Skin”(Small Axe, 2023)など。
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新版 縄文聖地巡礼|坂本龍一, 中沢新一
¥2,420
イースト・プレス 2023年 ソフトカバー 224ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ19mm - 内容紹介 - ぼくたちは、 未来に向かって 縄文の古層へ旅をする 以前から縄文文化に深い関心を寄せてきた音楽家の坂本龍一氏と、人類学者の中沢新一氏が、縄文の古層に眠る、わたしたちの精神の源泉に触れるため、聖地を巡り、語り合います。 諏訪、若狭、敦賀、奈良、紀伊田辺、鹿児島、そして青森へ――― 社会的な状況が大きく変化している現在、これからのヴィジョンを見つけるために、ふたりが人間の心の始まり「縄文」へと潜っていきます。 【もくじ】 なにを、どうつたえ、つくっていくのか 縄文とは何か プロローグ 三内丸山遺跡からはじまった、ふたりの旅 第一章 諏訪 第二章 若狭・敦賀 第三章 奈良・紀伊田辺 第四章 山口・鹿児島 第五章 青森 エピローグ さらなる旅に向けて 旅のしおり - 著者プロフィール - 坂本龍一 (サカモトリュウイチ) (著/文) 1952年1月17日、東京生まれ。東京藝術大学大学院修士課程修了。1978年『千のナイフ』でソロデビュー。同年、YMOの結成に参加。1983年に散開後は『音楽図鑑』『BEAUTY』『async』『12』などを発表、革新的なサウンドを追求し続けた姿勢は世界的に高い評価を得た。映画音楽では『戦場のメリークリスマス』で英国アカデミー賞作曲賞、『ラストエンペラー』でアカデミー賞作曲賞、ゴールデングローブ賞最優秀作曲賞、グラミー賞映画・テレビ音楽賞など多数、『The Sheltering Sky』では2度目のゴールデングローブ賞最優秀作曲賞を受賞した。『LIFE』『TIME』などの舞台作品、韓国や中国での大規模インスタレーション展など、アート界への越境も積極的に行なった。環境や平和問題への言及も多く、森林保全団体「more trees」を創設。また「東北ユースオーケストラ」を設立して被災地の子供たちの音楽活動を支援した。2023年3月28日、71歳で死去。 中沢新一 (ナカザワシンイチ) (著/文) 人類学者。1950年山梨県生まれ。東京大学大学院博士課程満期終了。インド・ネパールでチベット仏教を学ぶ。帰国後、人類の思考全域を視野に入れた新しい知のあり方を提唱。人類学のみならず、歴史、哲学、民俗学、経済学、自然科学の分野にまたがる広汎な研究に従事する。著書に『チベットのモーツァルト』『雪片曲線論』『森のバロック』『フィロソフィア・ヤポ二カ』『カイエ・ソバージュ』シリーズ、『精霊の王』『アースダイバー』シリーズ、『レンマ学』など多数。2023年春に『精神の考古学』(新潮社)が刊行される。
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私の「結婚」について勝手に語らないでください。|クァク・ミンジ, 清水 知佐子(翻訳)
¥1,760
亜紀書房 2023年 ソフトカバー 248ページ 四六判 縦188mm 横130mm 厚さ18mm - 内容紹介 - 結婚しても、しなくても 私たちは結局“ひとり”を共に生きていく生き物なのだ。 ──前田エマさん(モデル) 「非婚」は結婚の「否定」ではない。 人と違う生き方に、大きな愛を贈ってくれる本。 ──安達茉莉子さん(作家・文筆家) * * * * * 累積聴取回数2000万回超! 話題のポッドキャスト「ビホンセ」制作兼進行役による〝結婚しない〟という選択。 --------- 「結婚しないんですか?」 「子供がほしくはないですか?」 「ひとりで寂しくないですか?」 ……非婚に対する偏見はまだまだ根深い。 * * * * * 非婚は結婚の反対ではなく、多様な生き方のひとつ。 自分の選んだ道に責任を持ち、時には弱音を吐いて傷つきながらも、自分を愛し、前に向かって進んでいく。 本書には、非婚でも結婚でも事実婚でも同性婚でも、人それぞれの生き方を尊重し、みんなが穏やかで楽しく暮らせるための温かなエッセンスが満載。 --------- 「結婚=幸せ」だなんてファンタジーじゃない?! 自分で選んで決めればいい。 目次 ■プロローグ──こんなテーマで本を書くなんて 非婚宣言──何もそんな決心までしなくても ■こんにちは、非婚です ■住む家のために結婚はできない ■結婚までは愛せない、あなたを愛したのだ ■非婚主義者のくせになぜ恋愛するのか ■甥や姪がそんなにかわいいなら自分の子を産めばいい ■ロングタイム・ノ氏ですね 非婚の冠婚葬祭──幸せと悲しみを分かち合うのに損も得もない ■私が暮らすあの家 ■私もお母さんみたいに生きたい ■非婚者の結婚式 ■非婚で生きるにはしっかり稼がないと ■私のお葬式で棺を担いでくれますか 非婚ライフ──自分と連れ添って生きる ■大田で生まれた色黒の子 ■私たちは互いの体を観察しながら成長した ■私のトリセツ ■好きだから線を引いたんです ■好みの発見 ■おばあさんの瞳にチアーズ! ■夫はいません。でも、推しはいます 非婚共同体──完璧に理解できなくても完全に愛することはできる ■ブックフェアに母が来た ■一緒に越えていく日曜日 ■笑っているうちに一緒にいかだの上に、しかもこんなに遠くまで ■知らない犬と飛行機に乗った ■あなたが死んだら ■私の祖母 ■どうしてあなたが非婚をとやかく言うんですか ■エピローグ ■訳者解説 - 著者プロフィール - クァク・ミンジ (クァク ミンジ) (著/文) 韓国・大田生まれ。高麗大学日本語・日本文学科卒業。エッセイスト、コラムニスト。広告やテレビ番組、モバイルコンテンツの制作者。非婚ライフ可視化ポッドキャスト「ビホンセ」の制作者兼進行役を務める。独立出版レーベル「アマルフェ」の代表でもある。比較的一人世帯の多いソウル・解放村在住。著書に『歩いてお祭り騒ぎの中へ』『私は悲しいとき、ポールダンスを踊る』などがある。 清水 知佐子 (シミズ チサコ) (翻訳) 和歌山生まれ。大阪外国語大学朝鮮語学科卒業。読売新聞記者などを経て、翻訳に携わる。訳書に、キム・ハナ、ファン・ソヌ『女ふたり、暮らしています。』、キム・ハナ『話すことを話す』『アイデアがあふれ出す不思議な12の対話』(以上、CCCメディアハウス)、朴景利『完全版 土地』、イ・ギホ『原州通信』(以上、クオン)、タブロ『BLONOTE』(世界文化社)などがある。
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アンジェラ・デイヴィスの教え 自由とはたゆみなき闘い|アンジェラ・デイヴィス, 浅沼 優子(訳)
¥3,630
河出書房新社 2021年 ハードカバー 256ページ 四六判 縦195mm 横136mm 厚さ25mm - 内容紹介 - 黒人解放運動をリードし、あらゆる抑圧と闘ってきた生ける伝説アンジェラ・デイヴィスが不正にみちた世界と闘うためのスピーチを集成。BLM以降注目される著者の入門書にして最新作。
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タイミングの社会学 ディテールを書くエスノグラフィー|石岡 丈昇
¥3,080
青土社 2023年 ソフトカバー 416ページ 四六判 - 内容紹介 - 紀伊國屋じんぶん大賞2024 第2位!! 【書評掲載】 伊藤亜紗氏「「時間」に濃縮された構造的暴力」(『毎日新聞』、2023年7月8日) 渡辺靖氏(『山陰中央新報』『下野新聞』『新潟日報』『琉球新報』他、2023年7月23日) フィールドワークが世界の見方を変える―― 舞台は、マニラの貧困地区。突然試合が中止だと告げられるボクサー、自宅が急に目の前で破壊されるスラム街の住人、常に主人の顔色を窺う家事労働者……。何が起こるかわからない明日を待ち、絶えざる今を生きのびるとはどういうことか。かれらが生きる時間のディテールをともに目撃し、ともに書くための理論と思想。