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なぜガザなのか パレスチナの分断、孤立化、反開発 | サラ・ロイ, 岡真理(編集 | 翻訳), 小田切拓(編集 | 翻訳), 早尾貴紀(編集 | 翻訳)
¥3,080
青土社 2024年 ハードカバー 288ページ 四六判 - 内容紹介 - そこで何が行われてきたのか、私たちは知らなければならない。 五〇年以上にわたる占領。隔離と封鎖のなかで、暴力は常態化し、排除が恒常化し、パレスチナの人たちは生活のすべてを奪われてきた。なぜ、どのようにして、それは行われたのか。歴史的文脈を理解し、いま起こっていること、そしてこれから行われることを知るための最良の書。
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辺境のラッパーたち 立ち上がる「声の民族誌」 | 島村一平(編集)
¥3,520
青土社 2024年 ソフトカバー 544ページ 四六判 - 内容紹介 - ラッパーのことばに耳をすませば、世界のリアルが見えてくる。 戦火が絶えないガザやウクライナで、弾圧が続くチベットやイランで、格差にあえぐモンゴルやインドで、海の端の日本で――。アメリカで生まれたヒップホップ文化、なかでもラップミュージックは世界に広がり、「辺境」に生きる者たちは声なき声をリリックに託す。現代社会の歪みを鮮やかに映し出す、世界各地のラッパーたちの声を幅広い執筆陣が紹介する。ラッパー、ダースレイダー、ハンガー(GAGLE)のインタビューも収録。
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ペンギンは歴史にもクチバシをはさむ 増補新版 | 上田 一生
¥3,520
青土社 2024年 ハードカバー 320ページ 四六判 - 内容紹介 - 貴重な図版満載の異色の文化史 氷原の上をよちよち歩くタキシード姿、好奇心いっぱいの「かわいい」やつ。大航海時代から「未知の大陸」のシンボルとしてさまざまな場面で大活躍してきたペンギンには、その一方で食料、燃料などとして利用されてきた受難の歴史もある。現代ではそのたくましさでも脚光を浴びつつあるペンギンから見た、貴重な図版満載の異色の文化史。
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無目的 行き当たりばったりの思想 | トム・ルッツ, 田畑暁生(翻訳)
¥2,420
青土社 2023年 200ページ 四六判 - 内容紹介 - 無目的はわたしたちを自由にする 現代の社会では、目的を持たないことは批判的に捉えられがちであるが、過去においては多くの宗教家、哲学者、芸術家が目的を持たない状態に価値を見出していた。著者は「無目的」を人間の基本的な性癖と考え、それを創造性の源としたり、効率的な思考や生産性の要求に対抗できるものとして、積極的に擁護する。短い文章で構成されどこからでも気軽に読める本書は、無目的に読み進めることで予期していなかったどこかに私たちを導く。
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その島のひとたちは、ひとの話をきかない 精神科医、「自殺希少地域」を行く | 森川 すいめい
¥1,540
青土社 2016年 ソフトカバー 193ページ 四六判 - 内容紹介 - 被災地、路上、自殺希少地域――。 現場から考える、生き心地の良い社会のつくり方。 ホームレスや、東日本大震災の被災者の支援活動で 注目をあびる精神科医、待望の新著。 当事者に寄り添う温かいまなざしで 国内外の取り組みを自ら見聞きして、 さらなるケアの可能性を考える。 誰もが生き心地の良い社会をつくるため、 各地の現場を奔走する精神科医の探訪記・奮闘記。
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世界はナラティブでできている なぜ物語思考が重要なのか | アンガス・フレッシャー, 田畑暁生(翻訳)
¥2,640
青土社 2024年 ハードカバー 220ページ 四六判 - 内容紹介 - 物語思考とはなにか 私たちは未来を考えるときに物語(ストーリー)を使っている。神経科学的なアプローチでストーリーを研究する著者は、この能力を “ストーリーシンキング ”と名付け、私たちの脳がなぜ、どのようにしてストーリーで思考するのかを解説する。神経科学と物語理論の新しい研究をもとに、科学からビジネス、哲学におけるストーリーシンキングの重要性を明らかにし、想像力、革新性、創造性の本質を探求する。
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『忘れられた日本人』の舞台を旅する 宮本常一の軌跡 | 木村 哲也
¥1,078
河出書房新社 2024年 河出文庫 ソフトカバー 352ページ 文庫判 - 内容紹介 - 宮本常一の傑作『忘れられた日本人』の舞台10箇所を二度三度丁寧にたどり直し、宮本が会った人、その縁者に取材した、若き日の旅の記録。宮本民俗学を今に引き継ぐフィールド紀行。解説=赤坂憲雄
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武器としての土着思考 僕たちが「資本の原理」から逃れて「移住との格闘」に希望を見出した理由 | 青木 真兵
¥1,980
SOLD OUT
東洋経済新報社 2024年 ソフトカバー 218ページ 四六判 縦188mm 横130mm 厚さ16mm - 内容紹介 - 青木君の文章と思考はつねに揺らぎ、葛藤している。決して単一原理に執着すまいというつよい決意が彼の文体に『過剰なまでの節度』(そんなものがあるのだ)を与えている。――内田 樹 奈良県東吉野村への移住実践者で、人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」主催者による「土着」論。「都市の原理」と「村の原理」に折り合いを付けながら、いかに世間へ「ルチャ」(格闘)を仕掛けるか。若き在野研究者が綴る、生きる勇気が湧いてくる「逆」自己啓発書。 相手と関係をつくり、その関係の中でいかに生きていくか。この「相手」には、自分の中の「うまくコントロールできない自分」も含まれています。この相手とともにどう生きていくか。それこそ、僕が考える「闘い」(スペイン語でルチャ)です。だから本書で述べている武器とは、相手の技を受け、さらに強い技で返すことで生命力を高め合うような、「相手がワルツを踊ればワルツを、ジルバを踊ればジルバを」というかの名言にもあるような、「相手があってこその生」を築いていくための思考法のことなのです。本書では、相手との競争に勝つための武器を個別具体的に提示するのではなく、さまざまな事例を取り上げながら、「僕たちの闘い方」を一緒に考えていくことを目的としています。――「はじめに」より ある程度長く生きていれば分かるように、競争した相手が味方になったり、時には味方が敵になったりすることがあります。もしくは大切なプレゼンや試験や試合の前の日に限って眠れなかったり、うまく話しかけたいのにその場に行くと言葉が出てこなかったり、「自分のことが嫌い」という人は「自分こそが一番の敵」だと思っているかもしれませんね。むしろ、相手がいるからこそ僕たちは闘うことができる。相手がいるからこそ僕たちは生きていくことができる。この考え方こそ、巷で「茶番」の比喩として使われるのとは全く異なる、本当の意味での「プロレス的思考」です。馬場がいたから猪木があった。長州と藤波、小林と佐山、山田と佐野、棚橋と中邑も同様でしょう。決して二人ではなく、武藤、橋本、蝶野などといった三人の場合もあるかもしれない。分かる人にしか分からない例えですみません。――「はじめに」より - 目次 第1章 僕たちはどう生きづらいのか 1.僕たちが「資本の原理」から逃げ出すべき理由:奈良県東吉野村で生まれた「土着の知」の行き先 2.「生きづらさ」感じる社会をつくる一つの価値観:自分の価値を見失わず、生き抜くための思考法 3.「コスパ」と「スマート」の行き着く先にある「疎外」:「他人から必要とされているのか否か」をやめる 第2章 僕たちが図書館をする理由 4.僕たちが「利益を生まない図書館」を続ける理由:「他者の欲望」模倣より「ちょうどよい」身体実感 5.「風呂なし賃貸物件」は「失われた30年の帰結」だった:社会的貧困を踏まえて「借り」を生活に取り戻す 6.地域社会の「しがらみ」と折り合いをつける思考法:「土着」と「離床」のちょうどいいリアリティ 第3章 東吉野村で「二つの原理」を考える 7.「村の原理」と「都市の原理」に折り合いをつける:実は大事な「昔から続いてきた」「めんどくさい」 8.「もちつもたれつ」で生きのびてきた「神仏習合」:「2つの原理」で此岸と彼岸を行ったり来たり 9.「人間一人では生きていけない」を正面から考える:「個人の原理」と「共同体の原理」の決定的違い 10.『もののけ姫』が描いた「結果より過程」の哲学:目的なく「顔を出す」行為に支えられている社会 第4章 渡世人として生きていく 11.「若者の邪魔」をしてはいけない人口減少社会:年長者は「仕方ねぇなぁ」と待ち続けるしかない 12.寅さんが「何度でも失敗が許される」本当の理由:渡る世間には「ケアと就労」2つの原理が必要だ 13.「ワーク・ライフ・バランス」は「無理ゲー」です:「いい子」を生む経済成長前提の社会構造の限界 14.「リスキリングせよ、さもなくば自己責任」の未来:「ガンダム」が描いた「デジタル社会」への適応 第5章 土着人類学を通してこれからを考える 15.「心は売っても魂は売らない」ファンキーな土着:「逃れられない病」を土臭く泥臭く生きていく 16.「数値化」では世界の本質を理解できない:土着人類学で考える社会との折り合いの付け方 17.「ホラーの帝王」が描いた「選択と集中」が招く悲劇:「話半分に聞く」姿勢で新自由主義を生き抜く 18.「国富でなく民富こそ国力」と喝破した孟子の真意:「実質賃金マイナス」時代に必要な王道政治と士 - 著者プロフィール - 青木 真兵 (アオキ シンペイ) (著/文) 「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」キュレーター、古代地中海史研究者、社会福祉士 1983年生まれ、埼玉県浦和市(現さいたま市)に育つ。「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」キュレーター。古代地中海史(フェニキア・カルタゴ)研究者。博士(文学)。社会福祉士。2014年より実験的ネットラジオ「オムライスラヂオ」の配信をライフワークとしている。2016年より奈良県東吉野村に移住し自宅を私設図書館として開きつつ、現在はユース世代への支援事業に従事しながら執筆活動などを行っている。著書に『手づくりのアジールーー「土着の知」が生まれるところ』(晶文社)、妻・青木海青子との共著『彼岸の図書館ーーぼくたちの「移住」のかたち』(夕書房)、『山學ノオト』シリーズ(エイチアンドエスカンパニー) 、『つくる人になるためにーー若き建築家と思想家の往復書簡』(光嶋裕介との共著、灯光舎)などがある。
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バトラー入門 | 藤高 和輝
¥1,034
筑摩書房 2024年 ちくま新書 ソフトカバー 288ページ 新書判 - 内容紹介 - クィア理論って何? ドラァグ論ってどこから来たの? パフォーマティブってつまりどういうこと? 『ジェンダー・トラブル』がはじめてわかる! 『ジェンダー・トラブル』がはじめてわかる! 現代のジェンダーとセクシュアリティ研究の方向性を決定づけたとされるジュディス・バトラーの主著『ジェンダー・トラブル』は、その難解さでも名高い。 実は、バトラーの理論を理解する鍵は、当時のフェミニストやセクシュアル・マイノリティが置かれていた現場――社会と歴史と思想の文脈にある。 クィア理論って何? ブッチ/フェムやドラァグ論はどこから来たの? パフォーマティブってつまりどういうこと? バトラーの主著『ジェンダー・トラブル』を時代ごと理解する。 - 目次 - プロローグ――『ジェンダー・トラブル』非公式ファンブック 第一章 ブレイブ・ニュートン! The Misunderstanding/ニュートンとレズビアン・フェミニズム/「反戦運動とラディカル・フェミニズムの非嫡出子」/「ラベンダー色の脅威」とラディカレズビアンズ/「レズビアンは女を愛し、リスペクトするが、同性愛の女はただ女と寝るだけ」?/「平等主義的セックス」という圧力/マニッシュ・レズビアン/トップのフェム/ボトムのブッチ/ジェンダーの「不連続性」 第二章 ジェンダーに「本物」も「偽物」もない! ドラァグのインパクト/『マザー・キャンプ』/ニュートンからバトラーへ/「パフォーマティヴ」と「エクスプレッシブ」/ジェンダー・パフォーマティヴィティ――「演技」を例に/自由にできるわけでも決定されているわけでもなく/「絶望の政治」に抗して/「彼女は働きすぎたので休養が必要です」/“She likes her boys to be girls”/バトラーからニュートンへ 第三章 “You make me feel like a natural woman” 「女のように/男のように感じる」?/バトラーからボーヴォワールへ/「女なるものは存在しない」/「人は女に生まれない、女になる」/比喩としてのジェンダー/「この子は女の子/男の子だ!」/政治的カテゴリーとしてのセックス/「しかし、もしアレサが私に向かって歌っているのだとしたら、どうだろう?」/「自然な女/男」のレシピ 第四章 「ジェンダーをなくすんじゃなくて増やそう」って話 「ジェンダーをなくす」?/「偏見がなくなる日」……?/性別の超越――再び、ウィティッグの「レズビアンは女ではない」/権力とその「向こう側」/「異性愛の全面否定」の帰結/ウィティッグの小説の「威力」/再び、ブッチとフェムを少々/ジェンダーはつねに再意味化に開かれている/ジェンダーを増やそう、ってゆうか 第五章 「私たち」って誰!? その「私たち」に私は含まれてるの?/「女たち」の隘路/同時代のフェミニストたちとともに/クレンショーの「インターセクショナリティ」/フックスの『私は女じゃないの?』/コリンズ・ビルゲの『インターセクショナリティ』/「第三世界」からの問いかけ/スピヴァクの「サバルタンは語ることができるか?」/「私は女じゃないの?」から『それが私の名前なの?』へ/「私たち」の絶望と希望 第六章 「クィア理論って何?」 クィア理論の古典?/クィアって何?/エイズ危機とエイズ・アクティヴィズム/エイズ・アクティヴィズムからクィア・ポリティクスへ/「とりあえずの連帯」/パフォーマンスの政治/クィア理論って何?/批判的にクィアしよう/「対話」は難しい、それでも…… エピローグ――〈トラブル〉の共鳴 ねえ、気づいてたかな?/たくさんの「源」/『ジェンダー・トラブル』の「フェミニスト的記憶」/アカデミズムの外で/「可能性を開く」こと/「非現実化」に抗して/〈トラブル〉の共鳴 あとがき - 著者プロフィール - 藤高 和輝 (フジタカ カズキ) (本文) 1986年、大阪市出身。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。同科助教を経て、現在、京都産業大学文化学部准教授。専門は現代思想、フェミニズム、クイア理論、トランスジェンダー研究。著書に『ジュディス・バトラー――生と哲学を賭けた闘い』(以文社)『〈トラブル〉としてのフェミニズム──「とり乱させない抑圧」に抗して』(青土社)『ノット・ライク・ディス――トランスジェンダーと身体の哲学』(以文社)がある。
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沖縄について私たちが知っておきたいこと | 高橋 哲哉
¥880
筑摩書房 2024年 ちくまプリマー新書 ソフトカバー 176ページ 新書判 - 内容紹介 - 沖縄の基地問題を理解し、その解消を目指すためには、まず、沖縄が日本に併合された経緯やその後何度も本土のために犠牲になった歴史を知らなければならない。 沖縄の基地問題を理解し、その解消を目指すためには、まず、沖縄が日本に併合された経緯やその後何度も本土のために犠牲になった歴史を知らなければならない。 本土からの訪問者は年間数百万人にも上るが、沖縄に基地が集中しているのはなぜなのか、きちんと理解している人は少ない。 沖縄への過剰な負担についての本土の無関心は、沖縄に対する差別なのではないか? という意識が広まっている。そこにはどんな歴史的、構造的な理由があるのか。沖縄の基地問題に関心がなかった人、よく分からないという本土の人に向けて知って欲しいことを解説した一冊。 琉球処分、人類館事件、沖縄戦、アメリカによる統治、基地問題…… 本土と沖縄の関係を読み解くための大事な一冊 - 目次 - 第一章 沖縄の歴史 琉球処分/人類館事件/アジア太平洋戦争と沖縄 第二章 構造的差別とは何か 沖縄戦後に「戦後」は来たか/基地の島・沖縄 第三章 沖縄から問われる構造的差別 沖縄からの「県外移設」論/新たな「沖縄戦」の危機 対話 沖縄へのコロニアリズムについて - 著者プロフィール - 高橋 哲哉 (タカハシ テツヤ) (本文) 1956年生まれ。哲学者。東京大学教養学部教養学科フランス科卒業。同大学院哲学専攻博士課程単位取得。東京大学名誉教授。著書に、『記憶のエチカ――戦争・哲学・アウシュビッツ』(岩波書店)、『戦後責任論』(講談社)、『靖国問題』(ちくま新書)、『犠牲のシステム 福島・沖縄』『沖縄の米軍基地――「県外移設」を考える』(以上、集英社)、『日米安保と沖縄基地論争――〈犠牲のシステム〉を問う』(朝日新聞出版)ほか。
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くらしのアナキズム | 松村 圭一郎
¥1,980
ミシマ社 2021年 ソフトカバー 240ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ19mm - 内容紹介 - 国家は何のためにあるのか? ほんとうに必要なのか? 「国家なき社会」は絶望ではない。 希望と可能性を孕んでいる。 よりよく生きるきっかけとなる、 〈問い〉と〈技法〉を 人類学の視点からさぐる。 本書でとりあげる「人類学者によるアナキズム論」とは… ・国家がなくても無秩序にならない方法をとる ・常識だと思い込んでいることを、本当にそうなのか? と問い直す ・身の回りの問題を自分たちで解決するには何が必要かを考える アナキズム=無政府主義という捉え方を覆す、画期的論考! *** この本で考える「アナキズム」は達成すべき目標(・・)ではない。むしろ、この無力で無能な国家のもとで、どのように自分たちの手で生活を立てなおし、下から「公共」をつくりなおしていくか。「くらし」と「アナキズム」を結びつけることは、その知恵を手にするための出発点(・・・)だ。(「はじめに」より) *** ミシマ社創業15周年記念企画 - 目次 - はじめに 国家と出会う 第一章 人類学とアナキズム 第二章 生活者のアナキズム 第三章 「国家なき社会」の政治リーダー 第四章 市場(いちば)のアナキズム 第五章 アナキストの民主主義論 第六章 自立と共生のメソッド――暮らしに政治と経済をとりもどす おわりに - 著者プロフィール - 松村圭一郎 (マツムラケイイチロウ) (著/文) 1975年熊本生まれ。岡山大学文学部准教授。専門は文化人類学。所有と分配、海外出稼ぎ、市場と国家の関係などについて研究。著書に『うしろめたさの人類学』(ミシマ社、第72回毎日出版文化賞特別賞)、『はみだしの人類学』(NHK出版)、『これからの大学』(春秋社)など、共編著に『文化人類学の思考法』(世界思想社)、『働くことの人類学』(黒鳥社)。
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小さきものたちの | 松村 圭一郎
¥1,980
ミシマ社 2023年 ソフトカバー 208ページ 四六変形判 縦178mm 横130mm 厚さ16mm - 内容紹介 - 私は日本のことを、 自分たちのことを何も知らなかった。(「おわりに」より) 水俣、天草、須恵村… 故郷・熊本の暮らしの記録を初めて解く。 現代の歪みの根源を映し出す、 今を生きる人たち必読の生活誌。 世界を動かしてきたのは、 いつも、小さき者たちだった。 はたらく、まじわる、くに… 消えかけていた声を拾い、 紡いだ、渾身の二一編。 気鋭の人類学者の新たな代表作 本書では、私が生まれ育った九州・熊本でふつうの人びとが経験してきた歴史を掘り下げようとした。とくに私が地元でありながらも目を背けてきた水俣に関するテキストを中心に読みこみ、自分がどんな土地で生を受けたのか、学ぼうとした。そこには日本という近代国家が民の暮らしに何をもたらしてきたのか、はっきりと刻まれていた。(「はじめに」より) - 目次 - Ⅰ 水俣1 一、はたらく 二、おそれる 三、いのち 四、まじわる 五、うつろう 六、かかわる 七、うえとした Ⅱ 水俣2 八、やまい 九、こえる 一〇、うつしだす 一一、ひきうける 一二、たちすくむ Ⅲ 水俣3 一三、ねがい 一四、たりない 一五、かお 一六、あいまみえる Ⅳ 天草 一七、こえ 一八、くに Ⅴ 須恵村 一九、いのる 二〇、おとことおんな 二一、みえないもの - 著者プロフィール - 松村圭一郎 (マツムラケイイチロウ) (著/文) 1975年熊本生まれ。岡山大学文学部准教授。専門は文化人類学。所有と分配、海外出稼ぎ、市場と国家の関係などについて研究。著書に『うしろめたさの人類学』(第七二回毎日出版文化賞特別賞)、『くらしのアナキズム』(以上、ミシマ社)、『はみだしの人類学』(NHK出版)、『これからの大学』(春秋社)など、共編著に『文化人類学の思考法』(世界思想社)、『働くことの人類学』(黒鳥社)。
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中学生から知りたいパレスチナのこと | 岡真理, 小山哲, 藤原辰史
¥1,980
ミシマ社 2024年 ソフトカバー 224ページ 四六判 - 内容紹介 - この本から、始まる 新しい世界史=「生きるための世界史」 あらゆる人が戦争と自分を結びつけ、歴史に出会い直すために。 アラブ、ポーランド、ドイツを専門とする三人の対話から はじめて浮かび上がる「パレスチナ問題」。 世界史は書き直されなければならない。 *** 岡「今、必要としているのは、近代500年の歴史を通して形成された『歴史の地脈』によって、この現代世界を理解するための『グローバル・ヒストリー』です」 小山「西洋史研究者の自分はなぜ、ヨーロッパの問題であるパレスチナの問題を、研究領域の外にあるかのように感じてしまっていたのか」 藤原「力を振るってきた側ではなく、力を振るわれてきた側の目線から書かれた世界史が存在しなかったことが、強国の横暴を拡大させたひとつの要因であるならば、現状に対する人文学者の責任もとても重いのです」 *** 地図作成:マップデザイン研究室 - 目次 - はじめに(岡真理) Ⅰ 私たちの問題としてのパレスチナ問題 岡真理「ヨーロッパ問題としてのパレスチナ問題――ガザのジェノサイドと近代五百年の植民地主義」 「ユダヤ人のパレスチナ追放による離散」は史実にない/ジェノサイドが終わるだけでは不十分/ハマスの攻撃は脱植民地化を求める抵抗/イスラエル政府の発表をうのみにしてはいけない/ジェノサイドはいかなるシステムによって可能になったのか/人文学=ヒューマニティーズから考える/ガザを見たとき、日本は自国の植民地主義を想起できているか/壁一枚を隔て、安楽な生活を享受する者/「人種」はヨーロッパ植民地主義が「発明」したもの/シオニズム運動――反セム主義に対する反応/国家維持のためにホロコーストの記憶を利用する/近代学問に内包されるレイシズム 藤原辰史「ドイツ現代史研究の取り返しのつかない過ち――パレスチナ問題はなぜ軽視されてきたか」 ナチズム研究者はナチズムと向き合いきれていない/ドイツとイスラエルをつなぐ「賠償」 /ふたつの歴史家論争/誰のための「記憶文化」か/ドイツは過去を克服した優等生なのか?/「アウシュヴィッツは唯一無二の悪だ」/奴隷制は終わっていない/経済の問題、労働の問題としてのナチズム Ⅱ 小さなひとりの歴史から考える 小山哲「ある書店店主の話――ウクライナとパレスチナの歴史をつなぐもの」 ふたつの戦争のつながり/長い尺度で問題を捉える/ポーランド書店 E. ノイシュタイン/ウクライナ-ポーランド-イスラエルを結ぶ生涯/イスラエルをリードした東ヨーロッパ出身者/「国家なき民族」の国歌/シオニズム運動はドレフュス事件より前にはじまっていた/民族運動の母体となった地域/移住して国家を建設するという発想/日本も「外部」ではない/「敵は制度、味方はすべての人間」 藤原辰史「食と農を通じた暴力――ドイツ、ロシア、そしてイスラエルを事例に」 私たちの食卓の延長にある暴力/投機マネーがもたらす飢餓/プーチンの農業政策は外交の武器/ウクライナの穀物を狙う米中/国際穀物都市オデーサ/飢餓計画を主導したヘルベルト・バッケ/ホロコーストの影に隠れる「入植と飢餓」/飢えてはならない人と、飢えてもいい人/イスラエルの食と水を通じた暴力/飢餓とは「低関心」による暴力 Ⅲ 鼎談 『本当の意味での世界史』を学ぶために 今の世界史は地域史の寄せ集め/「西」とはなんなのか?/ナチズムは近代西洋的価値観の結晶/「食を通じたイスラエルの暴力」に目が向かなかった反省/私たちの生活が奴隷制に支えられている/日本史、西洋史、東洋史という区分は帝国時代のもの/西洋史でパレスチナ研究をしたっていいはずなのに/ポーランドのマダガスカル計画/民族の悲哀を背負ったポーランドは、大国主義でもあった/イスラエル問題ではなく「パレスチナ問題」/イスラエルの暴力の起源は東欧に?/今のイスラエルのやり方は異常/押してはいけないボタン/核の時代の世界史/「反ユダヤ主義」という訳の誤り おわりに(小山哲) 本書成立の経緯(藤原辰史) - 著者プロフィール - 岡真理 (オカ マリ) (著/文) 1960年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。専門は現代アラブ文学、パレスチナ問題。主な著書に『ガザとは何か』『記憶/物語』『彼女の「正しい」名前とは何か』『棗椰子の木陰で』『アラブ、祈りとしての文学』『ガザに地下鉄が走る日』。 小山哲 (コヤマ サトシ) (著/文) 1961年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。専門は西洋史、特にポーランド史。主な著書・共編著に『中学生から知りたいウクライナのこと』『大学で学ぶ西洋史[近現代]』『人文学への接近法』。 藤原辰史 (フジハラ タツシ) (著/文) 1976年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専門は現代史、特に食と農の歴史。主な著書に『中学生から知りたいウクライナのこと』『縁食論』『カブラの冬』『ナチスのキッチン』『分解の哲学』。
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台所に敗戦はなかった 戦前・戦後をつなぐ日本食 | 魚柄 仁之助
¥924
筑摩書房 2024年 ちくま文庫 ソフトカバー 256ページ 文庫判 - 内容紹介 - うどんでコロッケ、バナナの皮で天ぷら、鰹節サンドイッチ!? 「日本が戦争に負けようがGHQが進駐してこようが、ご飯は作らにゃナラン」 戦中~戦後の婦人雑誌で生まれたレシピをつくって食べて、見えてきた “おっかさん”たちの台所奮闘記! === うどんでプリン、海苔巻きバナナ、肉なし「そばすき焼き」にはんぺんサンドイッチ……。台所をあずかる女たちは、国破れても立ち止まってはいられなかった。明治から戦後二十年ほどまでの料理本約七百冊、婦人雑誌二千冊に登場するレシピを実際に作って食した著者が、その背後に潜む国家の政治性と"かあさん"たちが生み出すゆかいな創意工夫に迫る、実践的食文化史! === 日々を何とか乗り越えていこうとする台所での極限の工夫や発想の中にはユーモアが宿る。それは逞しくて、頼もしくて、時に切ない。(略)一方、戦中戦後の台所に立つがゆえに、「家庭経済のやりくり」としての「工夫」が、時に「国家経済のやりくり」の「押し付け」にすり替わってしまったことなどについても、随所でシビアに言及している。 ――湯澤規子(解説より) カバーデザイン 三木俊一(文京図案室) - 目次 - はじめに 第1章 すき焼き 一九二八年の「すき焼き」 鋤や鍬で本当にすき焼きができるのか すき焼きのプロトタイプ 家庭百科事典の「すき焼き」 すき焼きとはなんだ? 大阪からやってきたすき焼き すき焼きを語る人々 変わりすき焼きのいろいろ そばすき焼きという最終形態 第2章 サンドイッチ サンドイッチが和食になった頃 和製サンドイッチは米不足が生みの親 一九三三年(昭和八年)の「ツナサンド」は鰹節 テリヤキバーガーの先祖はもしかして 穴子サンド 和風オープンサンドは海苔トースト 寿司とサンドイッチ 第3章 うどんとマカロニ あべかわはマカロニで スパゲティ、マカロニ、?類珍品集 マカロニ鍋のいろいろ うどんのトマト和え そばナポリタン マカロニ(西洋うどん)の折り方 マカロニはご飯のおかず? スパケット飯(スパケット・アラ・ロメース) 『日々活用お料理辞典』から「マカロニー」の項を開くと…… うどんで、かりんとう うどんで、パン うどんで、ビスケット うどんで、プリン うどんのコロッケ うどんのうに焼き 第4章 ねぎま 「ねぎま鍋」のナゾ マグロは赤身か、脂身か 一九七〇年代からさかのぼる「ねぎま」 一九六〇年代の「ねぎま」は 一九五〇年代のねぎま汁をたずねて ねぎま――戦時篇 日本陸軍調理法でのねぎま ねぎま鍋の黄金時代 「ネギ鮪」が「ネギ間」に変わるそのとき マグロの脂身は足が早い 冷蔵庫で下克上 一九八〇年代の脂身事情 一九九〇年代は偽装大トロ時代 ねぎま鍋の生い立ちから終焉まで 第5章 人工葡萄酒 葡萄酒の自家醸造は合法?だった つくりませう!葡萄酒 甘味代用の葡萄酒も自家醸造だった 自家醸造のトマト酒 人工葡萄酒は黒豆で 第6章 おしるこ&珍スイーツ ハイカラさんのバナナ料理 和食?洋食?不明のバナナ料理の数々 バナナの皮? バタくさい葛湯はピーナッツで やまいもでホットケーキ おはぎ作りは里芋で 柿で柿餅、柿団子 梨もどきは海軍のデザートにもなった お汁粉の歴史 ―― 戦前篇 お汁粉の歴史 ―― 戦後篇 汁粉は……小麦粉で 第7章 カルピスもどきと代用コーヒー まさしくカルピス カルピス・のようなもの モダンドリンク集 黒豆コーヒー 紫蘇コーヒーは熱中症対策か? 大麦コーヒーは発芽飲料だった 滋養農村コーヒーのこしらえ方 米糠コーヒー、米糠油 第8章 玉子チーズ 質問:玉子からすみって、何ですか? 玉子チーズは「特許品」ですと? 玉子チーズの前身は玉子からすみだった チーズとからすみはおんなじだった 玉子チーズのルーツは味噌漬けだった おわりに 解説 湯澤規子 - 著者プロフィール - 魚柄 仁之助 (ウオツカ ジンノスケ) (本文) 1956年、福岡県うまれ。食文化研究家。著書に『食べ物の声を聴け!』(岩波書店)『冷蔵庫で食品を腐らす日本人』(朝日新聞社)『うおつか流大人の食育』(合同出版)などがある。
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猫社会学、はじめます どうして猫は私たちにとって特別な存在となったのか? | 赤川 学(編著), 新島 典子(本文), 柄本 三代子(本文), 秦 美香子, 出口 剛司, 斎藤 環
¥1,980
筑摩書房 2024年 ソフトカバー 240ページ 四六判 - 内容紹介 - 猫と人との関係が最も深まったのが現代。なぜ猫は可愛いのか、「猫島」とは何かなど、五つの視点から分析。「猫と人間の未来」のための全く新しい学問の誕生! - 著者プロフィール - 赤川 学 (アカガワ マナブ) (編著) 1967年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科社会学専攻博士課程修了。博士(社会学)。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は社会問題の社会学、歴史社会学、セクシュアリティ研究、人口減少社会論。著書に『子どもが減って何が悪いか!』(ちくま新書)、『なぜオナニーはうしろめたいのか』(星海社新書)など多数。 新島 典子 (ニイジマ ノリコ) (本文) 現在、ヤマザキ動物看護大学動物看護学部教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学、修士(社会学)。動物文化論、動物人間関係学、ペットロス論を専攻。共著に『東大ハチ公物語』(東京大学出版会)、『動物の事典』(朝倉書店)など。 柄本 三代子 (エノモト ミヨコ) (本文) 現在、東京国際大学教授。専攻は文化社会学、消費社会論、メディア論。著書に『リスクを食べる』(青弓社)、共著に『メディア・スタディーズ』(世界思想社)など。 秦 美香子 ( ハタ ミカコ) 現在、花園大学文学部教授。神戸大学大学院総合人間科学研究科(博士後期課程)修了。マンガ研究、メディア研究。共編著に『多元化するゲーム文化と社会』(ニューゲームズオーダー)がある。 出口 剛司 (デグチ タケシ ) 現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。主たる専門分野は、社会学理論および社会学史研究。著書に『大学4年間の社会学が10時間でざっと学べる』(KADOKAWA)、『エーリッヒ・フロム』(新曜社)などがある。 斎藤 環 (サイトウ タマキ) 1961年生まれ。筑波大学医学研究科博士課程修了。医学博士。現在、筑波大学社会精神保険学教授。専門は思春期・青年期の精神病理学、「ひきこもり」問題の治療・支援ならびに啓蒙。著書に『社会的ひきこもり』『母は娘の人生を支配する』『世界が土曜の夜の夢なら』(角川財団学芸賞)『オープンダイアローグとは何か』ほか多数。
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それ、フェミニズムに聞いてみない? 日々のもやもやを一緒に考えるフェミニスト・ガイド | タビ・ジャクソン・ジー, フレイヤ・ローズ, 惠 愛由(訳)
¥2,420
明石書店 2024年 ソフトカバー 340ページ B6変形判 - 内容紹介 - 現代の女性が直面する日常生活の疑問や課題をフェミニストの視点から掘り下げる、現代版フェミニズム案内書。恋愛や仕事、テクノロジーやメディアの性差別など、幅広いテーマを取り上げ、ベル・フックスからボーヴォワールまで、さまざまなフェミニストの考えを解説。時代とともに変化するフェミニズムの姿を通じて、自分の立場と考え方を見つめなおすための一助となる一冊。 - 目次 - はじめに 第1章 政治と権力 ・フェミニストって誰のこと? ・男性と同じ権利なんて、もうすでに持っているんじゃない? ・どうして選挙に行かなきゃだめなの? 私の生活は変わらないけどなあ。 ・どうして見知らぬ男たちが私を「かわいこちゃん」とか「ハニー」と呼ぶんだろう? ・女性は男性よりも思いやりがあるって、なんで言っちゃだめなの? ・フェミニズムは白人女性だけのもの? ・どうしてフェミニズムはまだ平等を勝ち取っていないの? 第2章 恋愛と人間関係 ・最近デートしてる人がなんでも奢ってくれようとするんだよね。これでいいのかな? ・自分を客体化することなく、マッチングアプリを使うってできるかな? ・ワンナイトして悪いの? ・イったふりをしてるってなんでパートナーに言えないんだろう? ・私は幸せで成功もしてる。パートナーっていなきゃだめなの? ・私のボーイフレンドもフェミニストになれるかな? ・ボーイフレンドにプロポーズしたいんだけど、どう思う? 第3章 結婚と家庭生活 ・おとぎ話のような結婚式、おとぎ話のような結婚? ・結婚後、パートナーの姓を名乗るべき? ・夫も私も働いている。それなのに、なぜ私が家事をしなければならないの? ・私は子どもがほしいのだろうか? ・普通の家族ってなんだ? ・誰が育児休暇を取るべきなんだろう? ・娘は「プリンセス」と呼ばれたがっている。私はどこで間違ったのだろう? 第4章 仕事と賃金 ・主婦になりたいんだけど、だめですか? ・なぜ私は彼より安い給料で働いているんだろう? ・ボスになるには私は優しすぎる? ・私が給料の交渉をしていたとき、上司は「こんなに数字の話をしたら君はくらくらするかもしれないけれど」と言った。どういう意味だろう? ・上司が仕事ではハイヒールを履けって言ってくる。これって合法? ・出世のためには男性の同僚と飲みに行かなきゃだめなの? ・女性は裸でなければメトロポリタン美術館に入れないのか? 第5章 メディアにおける女性 ・オンラインで意見を交わす勇気はある? ・なぜ私は女性セレブの容姿にこだわるのか? ・思っていたほどストレートじゃないかも…… ・なぜ新しい服を買うのをやめられないんだろう? ・映画界の女性たちはどこにいる? ・どうして女性誌が必要なんだろう? ・テクノロジーは性差別的なのか? 第6章 私の身体は私のもの ・どうしていつも太っているような気がするんだろう? ・もし男性が子どもを産めたら何もかも変わるのかな? ・つるつるじゃなきゃだめなの? ・もし私が妊娠したら、妊娠を続けるかどうかって決められるの? ・どうして道を歩くのが怖いんだろう? 訳者あとがき 参考文献 索引 - はじめに - 給料が上がらないとか、オーガズムのこととか。「平等」ってどういうことなんだろうとか。あなたの悩みが何であれ、現代の私たちが抱える白黒はっきりしない疑問の多くを一緒に考えてくれるフェミニストたちがいます。『それ、フェミニズムに聞いてみない?』はそんな疑問を取り上げ、私たちが日々自分自身に問いかける言葉をつうじてさまざまなフェミニスト理論を学んでいく本です。 「最近デートしてる人がなんでも奢ってくれようとするんだよね。これでいいのかな?」「上司が仕事ではハイヒールを履けって言ってくる。これって合法?」─こんなふうに、名前のある一人の人が日々の中でふと浮かべるような問いを投げかけること。それがこの本のやりたいことです。こうした個人的なもやもやをひとつの出発点として、人種や階級、職業の異なる世界中のさまざまな女性たちが直面している社会の課題について話し、過去あるいは現代のフェミニストたちならそれらの問いにどう答えるだろう? と考えてみたいのです。 どうしてかって? それは、この本が取り組む議題は決して新しいものではないから。私たちが考えたいのは、「女性も、男性と同じ権利を持つべきだろうか?」という、何百年ものあいだずっと問われつづけてきた議題なのです。これまでの歴史においても、フェミニズムの波が勢いをつけ、多くの人の意識の中に入り込んだときには、この問いが大声で叫ばれることもありました。けれどたいていの場合、これは私たちが静かに、自分自身に対して問いかける言葉です。「女性も、男性と同じ権利を持つべきだろうか?」というだけじゃなく、「なぜ女性は男性と同じ権利を持てていないのだろう?」「私のまわりの人々は、男性に対してするのと同じように私に接しているだろうか?」「待って―私ってフェミニストなのか?」なんて問いもそう。 第一波から第四波までのフェミニズム運動や(世界中で獲得されつつある)選挙権の平等、経口避妊薬のような科学の分野における革命的進歩を経ても、女性たちはいまだに昔から変わらないクエスチョンマークを浮かべつづけ、それに対する満足のいく返答も得られずにいます。 けれど、フェミニズムはずっとそれらの問いに答えようとしてきました。そしてときには解決策を見出すこともありました。しかし抱えている困難の中身が変われば、それに対するフェミニストたちの返答も変わってきます。つまり、有名なフェミニストたち―たとえばベティ・フリーダンとベル・フックス、メアリ・ウルストンクラフトとシモーヌ・ド・ボーヴォワール、グロリア・スタイネムとケイト・ミレット―のあいだにも、興味深い違いが数多くあるのです。 こうした思想家たちはそれぞれ、私たちが暮らすこの世界に重要な変化をもたらしてきました。それぞれが、そのときどきで最も差し迫った問題について取り組んできました。でも驚くべきことに、溜め息が出てしまいそうだけれど、かれらが闘ったすべては依然として世界中の国々で闘われつづけている問題でもあります。それは選挙権の獲得だったり、男女間の賃金格差、男性による暴力に怯えながら暮らすことへの異議申し立てだったりします。 本書で紹介するフェミニストのうち誰が一番偉いとか、重要だとか言いたいのではありません。そうではなく、私たち自身の生活から浮かび上がるさまざまな疑問を通して思想家たちの考えを比較してみることによって、現代においてセックス[ここでは、出生時に身体的特徴から名指される性別のこと]やジェンダー[社会や文化の中で構築された性別。あるふるまいや役割が「男らしさ」「女らしさ」と結びつけられるときに働く分類の力]とはいったいどんな意味を持つのか、実感を伴って理解しようとする試みの場を持ちたいのです。オードリ・ロードの言葉を借りるなら、互いの違いを祝福することによって、女性たちはともに考え、解決策を見つけていけるから。『それ、フェミニズムに聞いてみない?』はさまざまな思想家たちの声と英智をひとところに集め、現代を生きる女性たちの疑問に対する返答を見つけようとする試みです。たとえば、「女性は男性よりも思いやりがあるって、なんで言っちゃだめなの?」「イったふりをしてるってなんでパートナーに言えないんだろう?」「テクノロジーは性差別的なのか?」「どうしていつも太っているような気がするんだろう?」なんて疑問への返答を。 もしかしたら、シュラミス・ファイアストーンのセックスについての考え方があなたのベッドでのふるまいを変えるかもしれない。ジャーメイン・グリアの考えにふれて結婚生活を思い直すかもしれない。ベル・フックスは男友だちをフェミニストにする方法を知っているし、シャーロット・ホーキンス・ブラウンはフェミニズムが白人女性だけのものに見えてはいけない理由を説明してくれる。ローザベス・カンターは職場においてもっと女性たちが敬意を払われ、正当な賃金が支払われるための助言を惜しまない。 ひとことで言えば、本書は女性が日常的に直面している多くの問題にふれ、これまでに積み重ねられた膨大なフェミニズム理論のグラデーションからそれぞれの解決案を見出そうとする本です。おなじみのあの思想家から、まだ広くは知られていないフェミニズム運動の貢献者たちまで。かれらだって意見がいつも合致するということはありません。それでも、専門家であるかれらの議論が、世界をまなざすあなたの目をほんの少しだけ変えるかもしれない。『それ、フェミニズムに聞いてみない?』は、あなたに贈る現代版フェミニズム案内です。あるいは雑誌の人生相談コーナーみたいな―その回答者があらゆる時代の偉大なフェミニストたちの知が組み合わさった、一人の頼れる女性のようだったなら? -著者プロフィール - タビ・ジャクソン・ジー (タビ ジャクソン ジー) (著) ロンドンを拠点とするジャーナリスト。全国紙や、新しく出てきたさまざまな女性向けプラットフォームで執筆活動を行っている。ファッション、テクノロジー、旅行、そして最近ではガーデニングが好き。 フレイヤ・ローズ (フレイヤ ローズ) (著) 哲学者、作家、フェミニスト。社会科学に関する多くの書籍に貢献している。 惠 愛由 (メグミ アユ) (訳) 1996年生まれ、水瓶座。同志社大学文学研究科英文学専攻修了。BROTHER SUN SISTER MOON のベースとボーカルを担当。Podcast「Call If You Need Me」を配信するほか、書評やエッセイの執筆も。訳書に『99%のためのフェミニズム宣言』(人文書院、2020)など。
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女性議員を増やしたい ZINE | 濵田真里
¥1,100
タバブックス 2023年 ソフトカバー 58ページ B6判 - 内容紹介 - ジェンダーギャップ指数で日本は政治分野が146カ国中139位。なぜ日本には女性議員が少ないのか。 政治家=スーツを着た男性、家庭と両立できない仕事という固定概念、さらに可視化されにくい女性議員・候補者へのハラスメント。 変化する社会課題解決に向け、多様な人々が政治参画するための第一歩を考えます。 これまでずっと男性主体で続いてきた「政治」を解体し、もっと多様な人たちが関われるものにする作業を、たくさんの人たちと一緒にやっていきたい。1人でも多くの人に、女性議員を増やすためにできることを見つけてほしいという思いから、このZINEを作成しました。 【目次】 はじめに 1章 女性議員はどれくらいいる? 2章 なぜ女性を増やす必要がある? 3章 女性議員が増えない理由 4章 女性議員に対するハラスメント問題 5章 女性議員・候補者のサポート活動 6章 私たちにできること 応援・ボランティア・バイスタンダー 付録① 選挙ボランティアのしおり 付録② こどもと一緒に選挙ボランティアしてみよう!リーフレット 付録③ もっと知りたい人のためのおすすめ本リスト * 『女性議員を増やしたい ZINE』 著 濵田真里 2023年4月18日発売予定 デザイン 片桐麻実 髙橋彩花 ページ B6判・58ページ
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家父長制はいらない 「仕事文脈」セレクション | 仕事文脈編集部(編)
¥1,540
タバブックス 2024年 ソフトカバー 160ページ B6変形判 縦173mm 横123mm 厚さ13mm - 内容紹介 - 格差、差別、バッシング、家族、戸籍……色んなひとが困っているけど、これって全部同じ問題=家父長制なんじゃないか? さまざまな角度から「仕事」を考えるリトルマガジン『仕事文脈』。近年掲載した記事の中からフェミニズム、ジェンダー、セクシュアリティにまつわる文章を再編集。性差別的な問題の根幹にある、男性支配的な社会システムである家父長制を解体するための言葉を収録。 - 目次 - 1.ことば・表現 小さな言葉 小沼理 Shitが溢れるインターネット空間 濵田真里 空白のビルボードを見つめて 小林美香 2.カルチャー 「伝え方が悪かったかな、勘違いさせてごめん!」 ニイマリコ 「伝統」を解体する際に 小田原のどか 美術の場でセーファースペースをつくる ケルベロス・セオリー 3.家族 文学の中の「オンナ・コドモ」ーあるいは家庭ーの領域の仕事 小川公代 シルバニアファミリーから考える 浪花朱音 結婚願望がゼロになるまで 笛美 4.社会・政治 政治家だけじゃない 私たちだって主役であるべき 和田靜香 その家父長制は誰のため?──マジョリティ男性に必要な学びとレジスタンス 清田隆之 安倍晋三という政治家が力を持った時代、女性や家族、性的マイノリティをめぐる政策はどう展開されたのか 山口智美 5.セックス びわこんどーむくんがゆく。 清水美春 セックスワーク・イズ・ワークを拒むもの 戸田真琴 6.クィア 点が線になるまで、線が面になるまで 和田拓海 ひとりで生きたい とりうみ 台湾のナイトクラブで婚姻平等を体験する 燈里 働きながら性別移行した私の経験 おいも - 前書きなど- 『仕事文脈』は、仕事や生き方、社会を考えるリトルマガジンです。近年、社会課題や政治にまつわるテーマを多く取り上げていますが、特にジェンダーやセクシュアリティ、フェミニズムにまつわる記事に大きな反響があります。そこで、この数年にわたり掲載した記事を集め、一冊の本として再編集しました。 さまざまなトピック、問題点を検証していく過程で、ジェンダー差別の要因が依然として強固な男性支配的な社会システムにあり、その背景には「家父長制」があることを実感しました。差別する側を指し示す言葉としての「家父長制」に着目し、その構造や概念を解体していきたい、という意図を込めたのが本書『家父長制はいらない』です。
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思想としてのアナキズム | 森 元斎, 森 啓輔, 清水 知子, 栗原 康, 高橋 采花, 近藤 和敬, 中西 淳貴, 渡辺 一樹, 近藤 宏, 成瀬 正憲, 川上 幸之介, 東 志保
¥3,850
以文社 2024年 ハードカバー 312ページ A5判 - 内容紹介 - いかに「思想」としてのアナキズムを保持し得るか。どこまで原理的に、かつ多様に、アナーキーであり続けられるのか――。 暴力論、運動実践、哲学、人類学、宗教、音楽、映画、フェミニズム、近代日本、さまざまなベクトルが交差するアナキズムの現在。 目次 はじめに 第1章 社会は転倒しなければならない――ロジャヴァ革命とCHAZによる反暴力(森元斎) 第2章 市民的抵抗における「暴力」と「非暴力」再考――エリカ・チェノウェスらの非暴力主義的研究に対するベンジャミン・ケースの批判(森啓輔) 第3章 夜明けのアナーキー――テクノサイエンス時代のサイボーグとコモン(清水知子) 第4章 もう非戦しかないもんね――幸徳秋水、仁のアナキズム(栗原康) 第5章 有島武郎と二つの〈家〉――天皇の最も近くで生まれたアナキスト(高橋采花) 第6章 デュルケムの集合的なものとイマギナチオ――集合表象概念の哲学的・思想史的意義について(近藤和敬) 第7章 カントとアナーキーの問題(中西淳貴) 第8章 系譜学、人類学、オルタナティヴ――デヴィッド・グレーバーの方法について(渡辺一樹) 第9章 「社会」の考えそこない――グレーバーとレヴィ=ストロースの交差地点(近藤宏) 第10章 山伏とアナキズム(成瀬正憲) 第11章 パンクとアナキズム(川上幸之介) 第12章 メドヴェトキン集団再考――自主管理的な労働と映画の実践(東志保) おわりに
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なぜ働いていると本が読めなくなるのか | 三宅 香帆
¥1,100
集英社 2024年 集英社新書 ソフトカバー 288ページ 新書判 縦173mm 横106mm 厚さ13mm - 内容紹介 - 【人類の永遠の悩みに挑む!】 「大人になってから、読書を楽しめなくなった」「仕事に追われて、趣味が楽しめない」「疲れていると、スマホを見て時間をつぶしてしまう」……そのような悩みを抱えている人は少なくないのではないか。 「仕事と趣味が両立できない」という苦しみは、いかにして生まれたのか。 自らも兼業での執筆活動をおこなってきた著者が、労働と読書の歴史をひもとき、日本人の「仕事と読書」のあり方の変遷を辿る。 そこから明らかになる、日本の労働の問題点とは? すべての本好き・趣味人に向けた渾身の作。 【目次】 まえがき 本が読めなかったから、会社をやめました 序章 労働と読書は両立しない? 第一章 労働を煽る自己啓発書の誕生―明治時代 第二章 「教養」が隔てたサラリーマン階級と労働者階級―大正時代 第三章 戦前サラリーマンはなぜ「円本」を買ったのか?―昭和戦前・戦中 第四章 「ビジネスマン」に読まれたベストセラー―1950~60年代 第五章 司馬遼太郎の文庫本を読むサラリーマン―1970年代 第六章 女たちのカルチャーセンターとミリオンセラー―1980年代 第七章 行動と経済の時代への転換点―1990年代 第八章 仕事がアイデンティティになる社会―2000年代 第九章 読書は人生の「ノイズ」なのか?―2010年代 最終章 「全身全霊」をやめませんか あとがき 働きながら本を読むコツをお伝えします 【著者略歴】 三宅香帆(みやけかほ) 文芸評論家。 1994年生まれ。 高知県出身。 京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了(専門は萬葉集)。 著作に『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』、『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない―自分の言葉でつくるオタク文章術―』、『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』、『人生を狂わす名著50』など多数。
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ガザからの報告 現地で何が起きているのか | 土井 敏邦
¥693
岩波書店 2024年 岩波ブックレット ソフトカバー 72ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ5mm - 内容紹介 - 東京二三区の六割の面積に二二〇万人が暮らすパレスチナ・ガザ地区。イスラエル軍の攻撃により、民間人を中心とする死者は三万人を超え、人びとは家を失い、飢餓状態に追い込まれている。長年パレスチナ問題の取材を続けてきた著者が、旧知の現地ジャーナリストの「報告」を通し、死と隣り合わせの日々を生きる人びとの声を伝える。 目次 パレスチナ・イスラエル関連年表/関連地図 はじめに Ⅰ ガザからの報告 1 生活必需品の欠乏 2 破壊と情勢 3 Mのコラム 4 ハマスとイスラエル軍 5 住民の精神状態 6 住民たちの声 Ⅱ ハマスとガザの民衆 おわりに - 著者プロフィール - 土井 敏邦 (ドイ トシクニ) (著/文) 1953年,佐賀県生まれ.ジャーナリスト・映画監督.1985年以来,パレスチナ・イスラエルの現地を34年間取材.1993年より映像取材も開始し,17年間の現地取材を基に2009年,ドキュメンタリー映像シリーズ『届かぬ声――パレスチナ・占領と生きる人びと』全4部作を制作,その第4部『沈黙を破る』は劇場公開,石橋湛山記念・早稲田ジャーナリズム大賞受賞.2015年に『ガザに生きる』(全5部作)を完成,大同生命地域研究特別賞を受賞.2022年に映画『愛国の告白――沈黙を破る・Part2』を全国で劇場公開.著書『アメリカのユダヤ人』(岩波新書),『ガザの悲劇は終わっていない――パレスチナ・イスラエル社会に残した傷痕』(岩波ブックレット),『現地ルポ パレスチナの声,イスラエルの声』『沈黙を破る――元イスラエル軍将兵が語る“占領”』(岩波書店)他.
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トランスジェンダーと性別変更 これまでとこれから | 高井 ゆと里
¥748
岩波書店 2024年 岩波ブックレット ソフトカバー 88ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ6mm - 内容紹介 - 生殖不能要件は憲法違反――長く放置されてきた人権侵害を是正するため、「性同一性障害特例法」の改正が求められている。いま私たちに必要な基礎知識とは何なのか。特例法が制定された背景から、法・医学・国際人権の知見まで、高井ゆと里、野宮亜紀、立石結夏、谷口洋幸、中塚幹也らエキスパートが解説する。 目次 はじめに……………高井ゆと里 第1章 特例法の制定過程から考える、その意義と限界……………野宮亜紀 第2章 性別変更要件とはなにか……………立石結夏 第3章 国際人権基準と性別記載変更法の現在……………谷口洋幸 第4章 特例法とトランスジェンダー医療……………中塚幹也 おわりに……………高井ゆと里 - 著者プロフィール - 高井 ゆと里 (タカイ ユトリ) (著/文) 群馬大学情報学部准教授.哲学・倫理学.周司あきらとの共著に『トランスジェンダー入門』(集英社新書),訳書にショーン・フェイ『トランスジェンダー問題』(明石書店).
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同性婚法制化のためのQ&A | 「結婚の自由をすべての人に」訴訟全国弁護団連絡会
¥627
岩波書店 2024年 岩波ブックレット ソフトカバー 64ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ4mm - 内容紹介 - 人は性のあり方にかかわらず平等である。しかし、なぜいまの結婚制度は異性カップルしか利用できないのだろうか。同性カップルは結婚できないことでどんな困りごとに直面しているのか、なぜ国は同性婚の法制化を認めないのかといった様々な問いについて、世界の趨勢や世論の動きも踏まえてQ&A方式で基礎から解説。 目次 はじめに なぜ結婚の自由と平等を求めるのか……………寺原真希子 コラム1 「結婚の自由をすべての人に」訴訟とは……………砂原 薫 Q1 なぜいまの「結婚」制度は異性カップルしか利用できないのですか?……………上杉崇子 Q2 同性カップルは「結婚」できないことで、どんなことで困っていますか?……………水谷陽子 コラム2 いま日本で同性カップルが婚姻届を出すとどうなる?……………水谷陽子 Q3 同性婚の法制化を認めないことは人権侵害なのですか?……………鈴木朋絵 Q4 憲法は二四条で婚姻は「両性の合意のみ」に基づくと定めているので、同性カップルの結婚を禁止しているのではないですか? 同性婚の法制化を求めるのなら憲法改正が必要ではないですか?……………宮本庸弘 Q5 なぜ「結婚」制度にこだわるのですか?……………藤井啓輔 Q6 結婚」制度ではなく、自治体のパートナーシップ制度と似たような法制度をつくればいいのではないですか?……………宮本庸弘 コラム3 「Marriage For All Japan」と「Business for Marriage Equality」とは……………寺原真希子 Q7 他の国では同性婚の法制化が進んでいますか?……………皆川洋美 Q8 どうして国は同性婚を認めないのですか?……………堀江哲史 コラム4 私たちはこう考えています――当事者の声……………まとめ 井上皓子 Q9 同性婚の法制化が進んだら日本社会にどんな影響がありますか?……………須田布美子 Q10 同性婚の法制化についての日本の世論はどうなっていますか? また、自治体や企業は同性カップルにどう対応していますか?……………森 あい コラム5 私たちは裁判を応援しています……………まとめ 皆川洋美・鈴木朋絵 おわりに……………鈴木朋絵・皆川洋美 - 著者プロフィール - 「結婚の自由をすべての人に」訴訟全国弁護団連絡会 (ケッコンノジユウヲスベテノヒトニソショウゼンコクベンゴダンレンラクカイ) (著/文) 「結婚の自由をすべての人に」訴訟全国弁護団連絡会 同性間の法的な結婚が認められていないのは憲法違反であることを問うために,2019年 2月に札幌・東京・名古屋・大阪で一斉に提起された国家賠償請求訴訟弁護団の連絡会.同年9月に福岡,2021年3月に東京での第二次訴訟も加わり,合計6つの裁判が展開されている.2023年6月時点で,5つの地裁判決中4判決で違憲判決が出され,唯一合憲判断がなされた大阪地裁判決でも将来的に違憲となる可能性が示唆された.2024年1月現在,控訴審も進行中.違憲の判断が出ることが稀な日本の司法において際立った成果が出ており,注目を集めている.
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選択的夫婦別姓 これからの結婚のために考える,名前の問題 | 寺原 真希子, 三浦 徹也
¥748
岩波書店 2024年 岩波ブックレット ソフトカバー 80ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ5mm - 内容紹介 - 夫婦で姓を同じにすることが、当たり前だと思っていませんか? 女性が名前を変えるのが当たり前だという気持ちがありませんか? 実は、夫婦で姓の統一を強制されるのは、世界中で日本だけなのです。 なぜ日本では、こうした古い制度が残っているのでしょうか? 今後の結婚における「名前」の問題、一緒に考えませんか? 目次 はじめに……………寺原真希子 第一章 なぜ選択的夫婦別姓制度が求められているのか……………三浦徹也 1 婚姻制度のしくみ 2 氏か婚姻かの二者択一 3 選択的夫婦別姓制度 4 夫婦同姓制度の成り立ち 5 なぜ別姓が導入されないのか 6 世界で取り残される日本 7 選択的夫婦別姓制度が目指すもの 8 憲法の話 第二章 選択的夫婦別姓訴訟……………寺原真希子 1 なぜ裁判を起こしたのか 2 なぜ「憲法訴訟」なのか 3 原告となった人たち 4 原告が求めているもの 5 最高裁はどう判断したか 6 最高裁多数派意見の問題点 7 今後の展望 8 もう一つの訴訟 おわりに - 著者プロフィール - 寺原 真希子 (テラハラ マキコ) (著/文) 弁護士 三浦 徹也 (ミウラ テツヤ) (著/文) 弁護士