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日本動物民俗誌 | 中村 禎里, 小松 和彦(解説)
¥1,265
講談社 2024年 講談社学術文庫 ソフトカバー 264ページ 文庫判 - 内容紹介 - 山海の神か、田の神か。贄か、神使か、妖怪か――。 サル・キツネ・オオカミ・クマからネコ・トリ・ムシ・サカナまで、日本人は動物たちをいかに認識し、どのような関係を取り結んできたのか。膨大な民俗資料を渉猟し、山/海、家畜/野生、大きさ、人との類似などの基準によってその歴史と構造を明らかに! 25種の動物ごとの章立てで、「事典」的なニーズにも対応。 (解説:小松和彦) 【本書に登場する主な動物たち】 [キツネ]気高き神の使者は、やがて商業神、憑きものへ [イヌ]化け物の正体を見破る特異な辟邪力 [ネズミ]経典荒らしが転じ、仏法の守護者に? [オオカミ]なぜオオカミだけ? 「産見舞い」に赤飯を [ネコ]擬人化の果てに、愛する人の形代に [サカナ]山神はなぜ毒棘持ちのオコゼを愛したのか [ウサギ]ウサギvs.サルvs.カエル「動物餅争い」の結末は? [カニ]甲に浮かぶ悲運の英雄たちの無念 …… - 著者プロフィール - 中村 禎里 (ナカムラ テイリ) (著/文) 1932-2014年。東京生まれ。立正大学名誉教授。専攻は科学史。著書に『日本のルイセンコ論争』『生物学を創った人びと』『危機に立つ科学者』『血液循環の発見』『日本人の動物観』『狸とその世界』『河童の日本史』『狐の日本史』などがある。
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ヒロシマ〈新装版〉 | J.ハーシー(著), 石川 欣一(訳), 谷本 清(訳), 明田川 融(訳)
¥1,650
法政大学出版局 2014年 ハードカバー 252ページ 四六判 - 内容紹介 - 「20世紀アメリカ・ジャーナリズムの業績トップ100」の第1位に選ばれた、ピューリッツァ賞作家ハーシーによる史上初の原爆被害記録。1946年の取材による1~4章は、6人の被爆者の体験と見聞をリアルに描いて世界に原爆の惨禍を知らしめ、原水爆禁止・核廃絶の運動に影響を及ぼした。85年の再訪で成った5章「ヒロシマ その後」では、原爆症との闘い、市民としての生活・仕事・活動など、稀有な体験者たちの戦後史をヒューマンな筆致で跡づける。 目次 1 音なき閃光(せんこう) 2 火災 3 詳細は目下調査中 4 黍(きび)と夏白菊 5 ヒロシマ その後 1 中村初代 2 佐々木輝文博士 3 ウィルヘルム・クラインゾルゲ神父 4 佐々木とし子 5 藤井正和博士 6 谷本 清 初版 訳者あとがき(谷本 清) 増補版 訳者あとがき(明田川 融) 増補版刊行にあたって/謝辞(法政大学出版局) - 著者プロフィール - J.ハーシー (ハーシー ジョン) (著) (John Hersey) 1914年、中国天津に生まれ、家族がアメリカへ帰る1925年まで同地に暮らす。イェール大学ならびにケンブリッジ大学に学び、一時、シンクレア・ルイス(1885-1951、米国の小説家で、1930年に米国人で初めてノーベル文学賞を受賞)の秘書を務め、その後数年間、ジャーナリストとして活動。1947年以降、おもにフィクションの執筆に打ち込む。ピュリッツァ賞受賞。イェール大学で20年間教鞭をとり、その後、アメリカ著作家連盟会長、アメリカ芸術文学学校校長を歴任。1994年9月、谷本清平和賞受賞。1993年死去。 石川 欣一 (イシカワ キンイチ) (訳) 1895年、東京に生まれる。東京大学英文科を中退して渡米し、1919年、プリンストン大学卒業。大阪毎日新聞社学芸部員、東京日日新聞社学芸部員・ロンドン特派員、大阪毎日新聞社文化部長・東京本社出版局長等を歴任。訳書に、グルー『滞日十年』、チャーチル『第二次大戦回顧録』、モース『日本その日その日』等がある。1959年死去。 谷本 清 (タニモト キヨシ) (訳) 1909年、香川県に生まれる。関西学院神学部を卒業後、渡米して1940年、エモリー大学大学院修了。1943年、広島流川教会牧師に就任し、1945年、爆心から3kmの知人宅で被爆するが奇跡的に助かる。1950年、ヒロシマ・ピース・センターを設立し、原爆で傷ついた少女たちや孤児の救済に取り組む。広島平和文化センター理事長等を歴任。1986年死去。 明田川 融 (アケタガワ トオル) (訳) 1963年,新潟県に生まれる。97年に法政大学大学院政治学専攻博士課程修了。専攻は日本政治史。現在,法政大学法学部教授。著訳書に『日米行政協定の政治史』(法政大学出版局),『沖縄基地問題の歴史』,『日米地位協定』,ジョン・ダワー『昭和』(監訳,以上みすず書房),ジョン・ダワー/ガバン・マコーマック『転換期の日本へ』(共訳,NHK出版)などがある。
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教育にひそむジェンダー 学校・家庭・メディアが「らしさ」を強いる | 中野 円佳
¥946
筑摩書房 2024年 ちくま新書 ソフトカバー 208ページ 新書判 - 内容紹介 - 大人は何ができるのか? 「与えられる性差」の悪影響と、起きている前向きな変化。 理想(多様性奨励)と現実(根強いバイアス)のギャップが大きすぎる! 学校・家庭・メディアで与えられる「らしさ」の何が問題か。 赤ちゃんから幼児、小学生、中高生、大学生まで、育児や教育を通して子どもたちに与えられるジェンダーイメージについて、教育社会学の知見や著者自身の子育て経験を踏まえて検証・考察する。 母性愛神話、マイクロアグレッション、性教育、別学か共学か、性的同意、女性の透明化・商品化……語りにくいが大事な問いに正面から挑む。 目次 はじめに 第1章 赤ちゃんから刷り込まれるジェンダー ―― おもちゃの好みは遺伝か環境か? 赤ちゃんのときから刷り込まれるバイアス/3歳ごろからの性自認と幼稚園の役割/性自認と遊びの中の役割/ジェンダー規範の「内面化」/なぜバイアスを持つのか/バイアスを持つことは悪いことか?/根拠がなくても実現してしまう/変わるバービー人形/変えていくための動き/幼少期に覚える家庭での役割/つくられた「母性愛」/家庭での役割/高度な家事をやめるのも手 第2章 小学生が闘うジェンダー ―― 理想と現実のギャップ シンデレラ願望/変わるプリンセス像/かわいくて、強くてもいい/マイクロアグレッションと『リトル・マーメイド』の実写版/娘に読ませたいプリンセスもの/子ども向け番組の偏り/性的な描かれ方/公的な場で見えてしまうことが問題/ゾーニングという解決策/大人の「期待」を読み取る子どもたち/ピンクのランドセルを選ぶ男の子/青い目、茶色い目/性犯罪防止に何ができるか/日本版DBS導入へ/性教育 第3章 中高生の直面するジェンダー ―― 思春期特有のジレンマ 「サッカー部」にいる女の子はマネージャー?/男女の体格差/ジェンダー・フリー/「隠れたカリキュラム」の是正/なお残る「役割」のジェンダー/「校長」は男性?/ディスカレッジされる女の子/女子の理系選択/女子校・男子校の意義はあるか/別学のメリット/多様性は居心地が良くない/共学の定員は1対1である必要があるか/性教育は共学でも不十分/性的同意/「教えてほしかった」 第4章 大学のゆがんだジェンダー ―― 差別とセクハラの温床なのか? 医学部女性減点問題の衝撃/女子枠は逆差別か/女子枠はスティグマになる?/他のマイノリティ性への配慮/東大女性2割の原因/女性への〝言葉の逆風?/親の教育期待差/娘に投資しない/実家から離れない/浪人を避ける/女性はリスクを回避する?/成功不安?/差異か平等か/なぜ大学や企業に多様性が必要なのか/社会の設計を誰がするのか/女性の透明化・商品化がはびこるキャンパス/偏差値の高さと女性への目線/DEIについての教養/声をあげる大学生たち おわりに 参照文献 - 著者プロフィール - 中野 円佳 (ナカノ マドカ) (本文) 1984年東京都生まれ。東京大学教育学部卒業後、日本経済新聞社入社。大企業の財務や経営、厚生労働政策を取材。育休中に立命館大学大学院先端総合学術研究科入学。同研究科に提出の修士論文を基に、2014年『「育休世代」のジレンマ――女性活用はなぜ失敗するのか?』(光文社新書)を出版。15年よりフリージャーナリスト、23年東京大学大学院教育学研究科博士課程満期退学。現在、東京大学多様性包摂共創センターDEI共創推進戦略室准教授。キッズライン報道でPEPジャーナリズム大賞2021特別賞、第2回調査報道大賞デジタル部門優秀賞受賞。他の著書に『上司の「いじり」が許せない』(講談社現代新書)、『なぜ共働きも専業もしんどいのか――主婦がいないと回らない構造』(PHP新書)、『教育大国シンガポール――日本は何を学べるか』(光文社新書)など。
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自分につながるアート 美しいってなぜ感じるのかな? | 池上 英洋
¥1,320
筑摩書房 2024年 ちくまQブックス ソフトカバー 96ページ 四六変形判 - 内容紹介 - 学校には「美術」の授業があるけれど、他の科目と違ってどう関わったらいいかがわからない。しかし例えば人間は太古から今もなお、絵を創作し、「美しさ」を追求してきた。「美術」とか「美しさ」って何だろう? アートを切り口に人間らしさとは何かを考えてみよう。 === ・・・・・・一冊のノートや一本のペン、一着のシャツを選ぶだけでも、私たちは頭の中にある「これが自分にとって美しい」と思える基準に照らして判断を下します。選択の自由さえあれば、すべての人がこのような行動を取ります。それだけ、人間は「美しいかどうか」を重視する生きものと言えます。そして面白いことに、地球上に住んでいる無数の種類の動物のなかで、そのようなことをする生きものは人間だけなのです。考えてみると、これはとても不思議なことです。 私たちはなぜ「美」にそれだけこだわるのでしょう。そのような美を追い求めるために、人類は長い歴史のあいだ、ずっと絵を描き続けてきました。なぜ人間だけが、そのようなアートを必要とするのでしょう。──ではこれから、皆さんと一緒に人類だけがもつこの不思議な価値観について考えていきましょう。それはひいては、人間ってなんだろう、私たちは他の動物とどこが違うのだろう、といった考察へと繋がっていくはずです。(はじめにより) 目次 第1章 人間とアートは切っても切り離せない?! 第2章 アートはどのように生まれたか? 第3章 アートが“働く”とは? 第4章 アートが面白いってどういうこと? - 著者プロフィール - 池上 英洋 (イケガミ ヒデヒロ) (本文) 1967年、広島県生まれ。東京藝術大学卒業、同大学院修士課程修了。現在、東京造形大学教授。専門はイタリア・ルネサンスを中心とする西洋美術史・文化史。『レオナルド・ダ・ヴィンチ――生涯と芸術のすべて』(筑摩書房)で第4回フォスコ・マライーニ賞を受賞。『西洋美術史入門』(プリマー新書)、『西洋美術史入門〈実践編〉』(プリマー新書)、『パリ 華の都の物語』(ちくま新書)など著書多数。
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SNS時代のメディアリテラシー ウソとホントは見分けられる? | 山脇 岳志
¥1,320
筑摩書房 2024年 ちくまQブックス ソフトカバー 128ページ 四六変形判 - 内容紹介 - ニュース、SNSの投稿、動画からAIまで。情報にあふれた現代で、デマに流されず信頼できるものを選びとり、自分の世界を広げるためにはどうしたらいい? よく考え、ちゃんと対話するための道具として情報を使いこなす、あたらしいメディアリテラシーの教科書。 === ●気がつけばネットばかり見ていた! 気を付けることは? ●誤情報はSNSよりも直接の会話で広まる? ●新聞記者はどうやって事実確認をしている? ●人間のバイアスにはどんなものがある? ●すべての情報は切り取られている…… 演習も交えつつ、メディアリテラシーの必須知識を網羅。子どもから大人まで役に立つ、学校の先生にもおすすめの本です。 === (・・・)総じて言えばアメリカ人全体で、マスメディアを信頼している人は3割程度にまで下がってしまっています。 私はアメリカのそうした姿をみて衝撃を受け、メディアとは何か、どういう問題がありどういう役割を果たすべきなのかについて、真剣に考えるようになりました。そして日本に戻ってきたときに、人々のメディア接触と価値観との関係を客観的に調べるための世論調査や、メディアに関する教育に携わりたいと思い、現在のスマートニュース メディア研究所に転職しました。 問題意識の根っこには、日本がアメリカのような分断社会になってほしくないという思いがあります。一人一人がマスメディアやソーシャルメディアの仕組み、それと人間の心理や社会との関係についての理解を深め、物事を多様な視点でみていくことが、暮らしやすい社会に結びつくと思うからです。 この本では、第4章まで、1つの章ごとにポイントを示します。そして最終章である第5章では、そのポイントに通底する「クリティカルシンキング」について解説し、「メディアや情報と上手につきあって自分の人生に活かせる人になること」、つまりメディアリテラシーを身につけてもらうことを目指したいと思います。(「はじめに」より) 目次 はじめに 情報におぼれてしまう? 第1章 友達のウワサ、聞いたらどうする? 第2章 事実はどうしたらわかる? 第3章 ニュースの見出しをつけてみよう 第4章 テクノロジーと人間のクセを理解しよう 第5章 クリティカルシンキングを身につけよう - 著者プロフィール - 山脇 岳志 (ヤマワキ タケシ) (本文) 1964年、兵庫県生まれ。京都大学法学部卒。1986年、朝日新聞社に入社。経済部記者、オックスフォード大客員研究員(Reuter Fellow)、ワシントン特派員、論説委員などを経て、「GLOBE」の創刊に携わり、編集長を務めた。2013年-17年までアメリカ総局長。帰国後、編集委員としてコラムを担当したのち退社。2020年、スマートニュース メディア研究所の研究主幹に就任。2022年より同研究所所長。2021-24年、京都大学経営管理大学院特命教授。現在は帝京大学経済学部客員教授を兼務。著書に『日本銀行の深層』、『郵政攻防』、編著に『現代アメリカ政治とメディア』、『メディアリテラシー 吟味思考を育む』などがある。
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AIにはない「思考力」の身につけ方 ことばの学びはなぜ大切なのか? | 今井 むつみ
¥1,320
筑摩書房 2024年 ちくまQブックス ソフトカバー 128ページ 四六変形判 - 内容紹介 - 学校で急速に広がる生成AIの使用。 なぜ“ChatGPTにおまかせ”ではダメなのか? カギは、人間がことばの学習で身につける「推論の力」が失われることにあった。 すべての教育関係者・保護者必読の一冊。 === 「思考力」というと、なんだか難しいことのように感じられるかもしれない。しかし、私たちは今この瞬間に文章を読みながら、思考力を駆使している。そしてその時に頭の中で働いているのは、「推論の力」だ。この力は人間だけにあり、AIにはないものだ。その違いと謎を解き明かしていく。 === 例えば「探偵マンガ」を読んでいるとき、みなさんは、 「黒幕は誰だれだろう?」 「犯人はやはり……」 と考えながらストーリーを追っているはずです。これも思考の働きのひとつです。 思考しながら、主人公と一緒に「問題を解決しよう(=犯人を見つけよう)」としているのです。 思考力というのはこのように、問題解決の力につながっていきます。問題解決の力をつけることができれば、社会がどんなに変わっても、未来がどうなるかわからなくても、なんとかその場で対応することができるようになるはずです。(……) では、思考力を使って問題解決ができる「名探偵」になるために、私たちは何を学べばいいのでしょうか。(……) 正解は、国語です。 「なぜ国語?」 確かにそう思う気持ちもわかります。 数学や英語のほうがなんとなく、問題解決の役に立ちそうですよね。でも、私たちは何を学ぶにも「ことば」を使います。「ことばの力」がなくては、数学の問題もうまく解くことはできません。(……) 本書は「思考力」、つまり「名探偵になるための推論力」を、「ことば」と一緒に考える本です。みなさんが、今この瞬間にも使っている「思考力」ですが、なんだかぼんやりしていて、捉とらえにくいものであるというのも事実です。その「思考力」を「ことば」というフィールドで考えてみようという試みです。 乳幼児がことばを覚えるしくみについて研究をしていると、「ことばがわかること」が、必ずしも当たり前でないということに気づかされます。子どもはことばのしくみを自分で発見し、ことばの意味も自分で発見します。これはみなさんも、意識せずに成し遂とげてきたことです。 いったいどんなふうに、そんなすごいことをしてきたのか。 まずは、みなさんが子ども時代に成し遂げた「母語の習得という偉業」を、思い出すことから始めてみましょう。(「はじめに」より) 目次 第1章 あなたはことばを、どう覚えてきたのか 第2章 問題解決に必要な「推論の力」 第3章 学校で必要になる「ことばの力」 第4章 AI時代の「考える力」 - 著者プロフィール - 今井 むつみ (イマイ ムツミ) (本文) 慶應義塾大学環境情報学部教授。1994年ノースウエスタン大学心理学博士。専門は認知科学、言語心理学、発達心理学。学力不振で苦しむ子どもたちの学力困難の原因を見えるようにするツール(たつじんテスト)や学習補助教材の開発にも取り組んでいる。著書に、『言語の本質――ことばはどう生まれ、進化したか』(中公新書)、『ことばの発達の謎を解く』(ちくまプリマー新書)、『親子で育てる ことば力と思考力』(筑摩書房)、『言葉をおぼえるしくみ――母語から外国語まで』(共著、ちくま学芸文庫)、『ことばの学習のパラドックス』(ちくま学芸文庫)、『ことばと思考』『学びとは何か――〈探究人〉になるために』『英語独習法』『学力喪失』(以上、岩波新書)、『算数文章題が解けない子どもたち――ことば・思考の力と学力不振』(岩波書店)、『ことば、身体、学び――「できるようになる」とはどういうことか』(扶桑社新書)ほか多数。
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レヴィナス 顔の向こうに | 渡名 喜庸哲
¥3,080
青土社 2024年 ハードカバー 352ページ 四六判 - 内容紹介 - レヴィナス思想のまだ見ぬ広がりを照らし出す いまでも哲学の枠を超えて、さまざまな分野にインスピレーションを与えつづけている哲学者、エマニュエル・レヴィナス。しばしば「顔の倫理」というスローガンにその思想が集約されるけれども、それが実際のところ何を言おうとするものだったのかを問いなおし、それに回収されない思想の広がりに目を向けると、いまだ見ぬ読み替えの新たな方向が浮かび上がってくる。そこにあるのは、食、老い、ロボット、動物、福祉など、人間と人間ならざるものの境界がゆらぐ場面と響きあう、特異なかたちのヒューマニズムだ。レヴィナスとともに、レヴィナスを超えて等身大の人間について考える、哲学することの楽しみにひらかれた一冊。
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現代思想2024年12月号 特集=田中美津とウーマンリブの時代 | 松田 いりの
¥1,760
青土社 2024年 ソフトカバー 174ページ 縦260mm - 内容紹介 - 次代につなぐ「解放」の思想と実践 1970年に誕生し、日本のフェミニズムに多大な影響を与えたウーマンリブ。とりわけその「旗手」として知られる田中美津の遺した言葉は、記念碑的名著『いのちの女たちへ』をはじめ、世代を超えていまなお私たちの心を揺さぶってやまない。本特集ではその活動の軌跡を辿り思想の全貌に迫るとともに、日本のリブの多彩なありようを描き出す。 line2.gif [目次] 特集*田中美津とウーマンリブの時代 【こだまする肉声】 リブセンと田中さんと / 米津知子 表象になることを拒み続ける / 信田さよ子 ところがなんと美津さんは……?! / 鶴田桃エ 美津さんのこと / 脇坂真弥 【波間を照らす灯】 リブかフェミニズムか? / 上野千鶴子 日本の「ウーマンリブ」と田中美津――第二波フェミニズムの視点から / 江原由美子 田中美津という存在――男性社会における「制度化の罠」とフェミニストの自己嫌悪 / 海妻径子 【手渡されたものは】 言文一致体のリブ、あるいは一九七二年のバッド・フェミニスト / 水無田気流 リーンイン・フェミニズム批判と田中美津の〈どこにもいない女〉 / 菊地夏野 ウーマン・リブの思想、フェミニズムの言葉――田中美津を再読する / 鈴木彩加 【受けとめ、引き受けなおす】 田中美津の哲学――「とり乱し」と「出会い」 / 森岡正博 ウーマン・リブの身体論とその限界――田中美津の健康本を中心に / 橋迫瑞穂 五〇年前の#MeToo / 住本麻子 【いくつもの声とともに】 とり乱しの不/可能性――森崎和江とウーマン・リブ─田中美津の交わり、あるいはすれ違いについて / 大畑凜 〈東京こむうぬ〉の挫折を捉える視角――総括と評価との接合から見る / 村上潔 〝共に闘わん!〞――ウーマンリブにおける生理用品無料設置要求運動の活動と思想 / 柳原恵 『すばらしい女たち』にみる日本のレズビアン・フェミニズムの展開――ウーマン・リブとの関係に焦点をあてて / 杉浦郁子 恥を掻いてでも伝えたい――桐野夏生『オパールの炎』をめぐって / 内藤千珠子 【「私たちは忘れない」】 「リブ新宿センター」の資料を残す / リブ新宿センター資料保存会 【連載●社会は生きている●第二八回】 社会と自我 4――経験と記憶 / 山下祐介 【連載●現代日本哲学史試論●第一二回】 現代日本哲学史におけるふたつの論戦――永井と小泉、野家と高橋 / 山口尚 【研究手帖】 巻き込まれた哲学 / 佐々木晃也
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ジェンダー・トラブル 新装版 フェミニズムとアイデンティティの攪乱 | ジュデイス・バトラー, 竹村和子(翻訳)
¥3,080
青土社 2018年 ハードカバー 300ページ 四六判 - 内容紹介 - 権力はいかに言説のかたちをとって身体・精神・欲望を形成するのか。 女と男の弁別が身体の自然に根ざすとする本質論的前提を根底的にくつがえし、セクシュアリティ研究の方向を決定づけたフェミニズム/クィア理論の最重要書。 哲学、人類学、文学理論、精神分析のテクストに折り重なる言説を縦横に扱いつつ、ジュディス・バトラーは、ジェンダー化と本質論/ジェンダー化における本質論の問題を鋭く見すえる。――ガヤトリ・C・スピヴァク バトラーの才気煥発な議論は、まさに可能性に満ちたトラブルを巻き起こし、それによって、ジェンダーの階層秩序や強制的異性愛をささえる規範的虚構が、文字どおり信用するに値しないものであることをあばいていく。――ダナ・ハラウェイ line2.gif 【目次】 序文 第1章 〈セックス/ジェンダー/欲望〉の主体 一 フェミニズムの主体としての「女」 二 〈セックス/ジェンダー/欲望〉の強制的秩序 三 ジェンダー――現代の論争の不毛な循環 四 二元体、一元体、そのかなたの理論化 五 アイデンティティ、セックス、実体の形而上学 六 言語、権力、置換戦略 第2章 禁止、精神分析、異性愛のマトリクスの生涯 一 構造主義の危うい交換 二 ラカン、リヴィエール、仮装の戦略 三 フロイトおよびジェンダーのメランコリー 四 ジェンダーの複合性、同一化の限界 五 権力としての禁止の再考 第3章 撹乱的な身体行為 一 ジュリア・クリステヴァの身体の政治 二 フーコー、エルキュリーヌ、セックスの不連続の政治 三 モニク・ウィティッグ――身体の解体と架空のセックス 四 身体への書き込み、パフォーマティヴな攪乱 結論――パロディから政治へ 原註 訳者解説 索引 line2.gif [著者] ジュディス・バトラー(Judith Butler) カリフォルニア大学バークレー校、修辞学/比較文学の教授。 [訳者] 竹村和子(たけむら・かずこ) お茶の水女子大学大学院人間文化研究科教授。 (出版社紹介文より)
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怪物たちの食卓 物語を食べる | 赤坂 憲雄
¥2,640
青土社 2024年 ハードカバー 350ページ 四六判 - 内容紹介 - モンスターはどこにいるのか。たとえば、われわれ自身のなかに…… 人は何を食べるのか、誰と食べるのか、そして何に食べられるのか。そんな、喰う/喰われるという関係性が交錯する暗がりから、にわかに怪物はやって来る。それは内なる他者なのか、それとも外なる世界へと逐われた自己なのか。異端の民俗学者が、食について思考を揺らす、おぞましくも血にまみれた魅惑的な旅への誘い。
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継続する植民地主義の思想史 | 中野 敏男
¥3,960
青土社 2024年 ハードカバー 480ページ 四六判 - 内容紹介 - 過去の歴史を引き受け、未来の歴史をつくりだすために 「戦後八〇年」を迎える現在、いまもなお植民地主義は継続している――。近代から戦前―戦後を結ぶ独自の思想史を描き、暴力の歴史を掘り起こす。日本と東アジアの現在地を問う著者の集大成。
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民主主義を信じる | 宇野 重規
¥1,540
青土社 2021年 ソフトカバー 192ページ 四六判 - 内容紹介 - もう一度、政治を好きになってみる。 「私は日本の民主主義の可能性を信じることを、自らの学問的信条としています。その信条はいささかも揺らぎません――」 稀代の政治学者が、現代の政治情勢に学問的立場から発言する。アメリカ、EU、中国、北朝鮮、香港、そして日本……。分極化する世界で、私たちに何ができるのか? 51篇の思索の軌跡。
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「ふつうのLGBT」像に抗して 「なじめなさ」「なじんだつもり」から考える | 森山 至貴
¥2,200
青土社 2024年 ソフトカバー 216ページ 四六判 - 内容紹介 - 「もうLGBTなんてふつう」って言っておけばいいと思ってない? 「ゲイコミュニティ」になじめないゲイという立場に留まることから見えてくる、うわべだけのセクシュアルマイノリティ理解を脱するための処方箋。
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雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら | 東畑 開人
¥1,760
KADOKAWA 2024年 ソフトカバー 352ページ 四六判 - 内容紹介 - こころのケアははじめるものではなくて、はじまってしまうものである。 つまり、自主的に、計画的に、よく考えて契約書にサインしてから開始するものではなく、受け身的に、期せずして、否が応でも巻き込まれてしまうものです。 よく晴れた休日に散歩に出かけたら、突然大雨が降ってくるようなものです。 そういうとき、僕らは当初の予定を変更して、とにもかくにも雨宿りをできる場所を探したり、傘を買ったりしなければいけなくなります。 同じように、ある日突然、身近な人の具合が悪くなる。 子どもが学校に行けなくなる。パートナーが夜眠れなくなる。老いた親が離婚すると言い出す。部下が会社に来なくなる。あるいは、友人から「もう死んでしまいたい」と連絡が来る。 突如として、暗雲が立ち込める。 どうしてそうなったのか、なにをすればいいのか、これからどうなるのか、全然わからない。 でも、雨が降っていて、彼らのこころがびしょ濡れになっていることだけはわかります。 そのとき、あなたは急遽予定を変更せざるをえません。とにもかくにも、なんらかのこころのケアをはじめなくちゃいけなくなる。 傍にいるのがあなただったからです。その人があなたの大事な人であったからです。 ある日突然、あなたは身近な人に巻き込まれて、雨の中を一緒に歩むことになってしまう。 こういうことがどんな人の身の上にも起こります。 人生には、こころのケアがはじまってしまうときがある。 ですから、突然の雨に降られている方々に向けて、あるいは長雨の中で日々を過ごしておられる方々のために、心理学の授業をしてみようと思います。 雨が降ったら、傘を差すように、こころのケアがはじまったら、心理学が役に立つと思うからです。 ――(まえがきより) - 著者プロフィール - 東畑 開人 (トウハタ カイト) (著/文) 1983年東京都生まれ。臨床心理士。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。現在、白金高輪カウンセリングルーム主宰。専門は臨床心理学、精神分析、医療人類学。著書に『聞く技術 聞いてもらう技術』(ちくま新書)、『ふつうの相談』(金剛出版)など。
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宗教右派とフェミニズム | ポリタスTV(編), 山口 智美(著), 斉藤 正美(著), 津田 大介(解説)
¥1,980
青弓社 2023年 ソフトカバー 224ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ16mm - 内容紹介 - 1990年代から2000年代初頭のバックラッシュから、安倍晋三政権以後の家族や女性、LGBTQ+をめぐる政策と右派・宗教との関係までを、具体的な政策や運動、テーマにフォーカスして解説し、フェミニズムの立場・視点から問題点を検証して論点を提起する。 - 目次 - はじめに 第1部 安倍政権以前――一九九〇年代後半から二〇〇〇年代初頭のバックラッシュ バックラッシュのはじまり 前史――ウーマンリブ、第二波フェミニズムの広がり 優生保護法改悪運動と生長の家 「家庭基盤充実政策」と、それに抵抗した女性運動 「国際女性(婦人)年」と男女共同参画 一九九〇年代のバックラッシュ 性教育バッシング 選択的夫婦別姓への批判 「日本の教育を考える母親の会」とは 日本軍「慰安婦」問題と「新しい歴史教科書をつくる会」 「ジェンダーフリー」バッシング 拡散する「カタツムリ論」 男女共同参画推進条例と「日本時事評論」 山谷えり子と「過激な性教育」キャンペーン 都立七生養護学校(当時)の性教育に対する攻撃 「産経新聞」が果たした役割 都城市と統一教会 統一教会の関係者らが福井県や富山県行政の男女共同参画推進員に 男女共同参画図書や図書館蔵書もターゲットに 第二次男女共同参画基本計画(二〇〇五年)と「ジェンダーフリー」の削除 第2部 安倍政権以後――二〇〇〇年代中盤からのバックラッシュ 第一次安倍政権以降のジェンダー、セクシュアリティ、家族をめぐる政策と宗教右派 教育基本法改悪と「家庭教育」の導入 親学 親守詩 親学推進議員連盟 家庭教育支援条例 夫婦別姓問題に対する右派の運動 日本会議系の反対運動 旧統一教会系の反対運動 第五次男女共同参画基本計画(二〇二〇年)での夫婦別姓の後退 「女性活躍」「一億総活躍」 トイレと女性活躍 官製婚活・少子化対策 婚活議連、全国知事会、婚活・ブライダル業界 企業コンサルタントと「企業子宝率」 「女性手帳」から「ライフプラン教育」へ ライフプラン教育推しの右派シンクタンク 「恋愛支援」と内閣府「壁ドン」研究会 プロライフと右派運動 加賀市の「生命尊重の日」条例と「生命尊重センター」 プロライフによる「こうのとりのゆりかご」「妊娠SOS」 学校現場に浸透する旧統一教会系の禁欲教育 自民党改憲案 日本会議系の女性に向けた改憲運動――『女子の集まる憲法おしゃべりカフェ』や憲法「かえるん♪」エコバッグ 「美しい日本の憲法をつくる国民の会」と「家族」 第二十四条改憲が意味するものと「家庭基盤充実政策」 性的マイノリティの権利と右派運動 渋谷区同性パートナーシップ条例反対運動 自民党「性的指向・性自認に関する特命委員会」の紆余曲折 杉田水脈の「生産性」「男女平等妄想」「保育所コミンテルン」発言 神道政治連盟と世界日報社のLGBT冊子 LGBT理解増進法案をめぐる顛末 包括的性教育とLGBTQ+批判 トランスジェンダー差別の激化 「歴史戦」 右派団体による北米や国連を舞台とした「歴史戦」活動 「邦人がいじめられている」言説と右派による裁判 海外居住者団体の「歴史戦」 杉田水脈衆議院議員と「慰安婦」問題 歴史修正本などの送り付けとラムザイヤー論文問題 宗教右派と「歴史戦」 バックラッシュの政治を捉え直す あとがき 解説 津田大介 - 版元から一言 - 2022年7月8日に発生した安倍晋三元首相の銃撃事件。 これを受けて企画・配信された『ポリタスTV』の「宗教右派と自民党の関係――ジェンダーと宗教」(前篇・後篇)は、5日間限定の無料公開で10万回以上再生され、大きな反響を巻き起こした。 この配信コンテンツをもとに、全編書き下ろしでジェンダーやセクシュアリティ、家族をめぐる政治、それと宗教右派との関わりをまとめるのが本書である。 1990年代から2000年代初頭のバックラッシュから、安倍政権以後の家族や女性やLGBTをめぐる政策と右派・宗教との関係までを、具体的な政策や運動、テーマにフォーカスして解説し、フェミニズムの立場・視点から問題点を検証する。 知られざる宗教右派の実像と1990年代から現在まで続く苛烈なバックラッシュの実態を明らかにする問題提起の書。 - 著者プロフィール - ポリタスTV (ポリタスティーブイ) (編) ネオローグ(代表:津田大介)が運営する政治情報サイト「ポリタス」から派生したネット発の独立型報道番組。「ポリタス」編集長の津田大介がMCも務め、平日毎日午後7時から多彩な専門家をゲストに迎えて番組を放送している。 山口 智美 (ヤマグチ トモミ) (著) 1967年、東京都生まれ。モンタナ州立大学社会学・人類学部准教授。専攻は文化人類学、フェミニズム。共著に『ネット右翼とは何か』(青弓社)、『海を渡る「慰安婦」問題』(岩波書店)、『社会運動の戸惑い』(勁草書房)など。 斉藤 正美 (サイトウ マサミ) (著) 1951年、富山県生まれ。富山大学非常勤講師。専攻は社会学、フェミニズム・社会運動研究。共著に『まぼろしの「日本的家族」』『国家がなぜ家族に干渉するのか』(ともに青弓社)、『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩書房)、『社会運動の戸惑い』(勁草書房)など。 津田 大介 (ツダ ダイスケ) (解説) 1973年、東京都生まれ。ジャーナリスト、メディア・アクティビスト、「ポリタス」編集長/「ポリタスTV」キャスター。著書に『情報戦争を生き抜く』『ウェブで政治を動かす! 』(ともに朝日新聞出版)など。
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世代とは何か | ティム・インゴルド, 奥野 克巳(翻訳)
¥2,530
亜紀書房 2024年 ソフトカバー 244ページ 四六判 縦188mm 横130mm 厚さ18mm - 内容紹介 - 【推薦】中島岳志さん(政治学者) 「生者は死者と未来の他者を、同じテーブルに呼び集めて、対話しなければならない。」 ********** ──地球規模の危機を乗り越え、未来を確かなものにするために、わたしたちは何をすべきか。 巨大な危機に直面したいま、私たちは「古いやり方」に立ち戻る必要がある、とインゴルドは唱える。 古来、脈々と紡がれてきた「知恵」とは、いったいどのようなものだろうか? ティム・インゴルド思想のエッセンスを総動員して語られる、希望の書。 - 目次 - ●日本の読者のみなさまへ ●まえがき 第1章 世代と生の再生 親子関係 系譜学的モデル 相続と持続性 第2章 人の生涯[ライフコース]をモデル化する 年を取り、子をなす 歴史の天使 釣鐘曲線 生と死 第3章 道を覚えていること 薄層で覆われた地面 過去からの道 アーカイブからアナーカイブへ 懐かしむこと 第4章 不確実性と可能性 呪いを解く くぐり抜けながらおこなう 注意の構造 驚愕と感嘆 第5章 喪失と絶滅 種のカタログ 子をなすことの系譜 人種と世代 保全と、ともに生きること[コンヴィヴィアリティ] 第6章 人類を再中心化する 人間を超えて、人間する[ヒューマニング] 例外主義の告訴 進歩と持続可能性 群れとタービンについて 第7章 教育のやり方 学究的な姿勢 理性と応答可能性 新しい人々、古いやり方 知恵と好奇心 第8章 科学技術の後に STEMからSTEAMへ 科学とアーツ デジタル化と手先仕事 結び ●解説に代えて ●原注 - 前書きなど - ティム・インゴルドは、私たちが直面している惑星規模の危機に対処するために、世代をめぐる考え方をひっくり返そうとします。 そのために、複数の世代が祖先の道に沿ってともに生き、ともに働くことによって、自らと子孫たちにとっての未来を確かなものにするという失われてしまった考えを、私たちのうちに再び取り戻そうとするのです。──奥野克巳 - 著者プロフィール - ティム・インゴルド (ティム インゴルド) (著/文) 1948年イギリス・バークシャー州レディング生まれの人類学者。1976年にケンブリッジ大学で博士号を取得。1973年からヘルシンキ大学、マンチェスター大学を経て、1999年からアバディーン大学で教えている。 『ラインズ──線の文化史』(2014年、左右社)、『メイキング──人類学・考古学・芸術・建築』(2017年、左右社)、『ライフ・オブ・ラインズ──線の生態人類学』(2018年、フィルムアート社)、『人類学とは何か』(2020年、亜紀書房)、『生きていること』(2021年、左右社)、『応答、しつづけよ。』(2023年、亜紀書房)などがある。
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ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと | 奥野 克巳
¥935
新潮社 2023年 新潮文庫 ソフトカバー 388ページ 文庫判 縦151mm 横106mm 厚さ14mm - 内容紹介 - ボルネオ島の森で、狩猟採集中心の暮らしを営む人々、プナン。彼らは借りたものを壊しても謝らず、礼も言わない。感謝や反省の概念がないのだ。所有感覚も希薄で、食料は皆で分け合い、子どもも実子養子の区別なく育てられる。長年フィールドワークを続ける著者は、資本主義にとらわれないプナンとの生活の中で、人間の生の可能性を思考していく――。常識をひっくり返す、刺激に満ちた一冊。
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ニューヨーク精神科医の人間図書館 | ナ ジョンホ, 米津 篤八(翻訳)
¥1,980
柏書房 2024年 ソフトカバー 175ページ 四六判 - 内容紹介 - 「かれらにはわからないさ。 それがどんな気分かなんて」 「誰にでも起こりうることよ」 「結局、〝意志〟の問題じゃないんですか?」 人種的マイノリティ、統合失調症患者、 ホームレス、トランスジェンダー…… アジア系移民のニューヨーク精神科医として 出会った患者たちの、要約できない人生の断片。 【内容】 デンマークから始まった「人間図書館(Human Library)」では、利用者は「本」ではなく貸し出された「人」と30分程度会話をすることができる。民族的マイノリティ、エイズ患者、移民、統合失調症患者、ホームレス、トランスジェンダー、失業者など、さまざまな人が貴重な時間を貸し出してくれるおかげで、この図書館は維持される。他人に向けられたスティグマ(負の烙印)や偏見を解消し、共存の意味を考え直そうという意図で始まったこのプロジェクトは、いまでは世界80数カ国で進められているという。 大学で心理学を勉強したのち、自殺予防に寄与したいと思い精神科医に転向した著者にとって、この初となる著作は、まさに「人間図書館の書庫の片隅の物語」だ。本編には、メイヨークリニックとニューヨーク大学の研修医を経て、イェール大学で依存症精神科専任医課程を終えるまでに出会った、さまざまな患者が登場する。人種も性別も年齢も職業もジェンダー・アイデンティティも異なるが、共通するのは皆、社会的に脆弱な立場にあるということだ。 “人間図書館で人と人がお互いを知り、触れ合う過程は、精神科医と患者との面接に非常によく似ている。人生において、自分とまったく違う世界を生きている人と会話するようなことがどれだけあるだろうか。(…)私は人間図書館のように、私の患者と他の人の橋渡しをするような本なら、世に出すに値するのではないかと考えるようになった。” ――はしがき 差別、偏見、スティグマを乗り越え、共に生きる一歩を踏み出すために。子どもから大人まで、幅広くお薦めしたいエッセイ集。 - 目次 - はしがき 他人の人生を理解するということ 1 ニューヨークで出会った人々 ふたりのあいだの距離 ニューヨークのホームレス、ホームレスのニューヨーク あの人がいなくなったことが信じられません 記憶を共に歩く時間 ひとりの命を救うということ 人種的マイノリティの子の親として生きるということ アーモンドお婆さん 2 共感するにも努力がいる わからないさ、それがどんな気分かなんて 誰にでも起こりうることだ 彼女の靴を履いて歩く 共感と同情、そのあいだのどこか 共感を超え、苦痛を分かち合うこと 3 スティグマに負けない人生 研修医の先生がいいです 双極症は私の一部に過ぎない 大丈夫じゃなくても大丈夫 依存症は意志の問題だろうか 自殺は「極端な選択」ではない 自殺予防は可能だろうか 勇気を出してくれてありがとう あとがき さらば、ニューヨーク 日本語版あとがき ただひとりの勇気のために 参考文献 - 著者プロフィール - ナ ジョンホ (ナ ジョンホ) (著/文) イェール大学医学部精神医学科教授。ソウル大学心理学科を卒業後、自殺予防に寄与する精神科医師を目指して、医学大学院に進学した。ソウル大学医学大学院を卒業後、ハーバード大学保健大学院で修士課程を修了。その後メイヨークリニックとニューヨーク大学で精神科研修医、イェール大学で依存症精神科専任医(フェロー)課程を終えた。自殺、依存症、トラウマ、悲嘆(グリーフ)に関する国際学術論文と教科書チャプター70編余りを執筆し、米国立精神保健院優秀研修医賞、イェール大学精神医学科研修医優秀研究賞、米国依存症精神医学協会ジョン・レナ賞、米国退役軍人省キャリア・デベロップメント・アワードなどを受賞した。OECD加盟国のなかで自殺率が1位なのに、抗うつ薬の処方率が最下位の韓国の精神疾患と治療に対するスティグマを緩和し、精神科受診のハードルを下げるため、文筆活動を続けている。 米津 篤八 (ヨネヅ トクヤ) (翻訳) 朝日新聞社勤務を経て、朝鮮語翻訳家。ソウル大学大学院で修士、一橋大学大学院で博士学位取得(朝鮮韓国現代史)。訳書に洪世和『コレアン・ドライバーは、パリで眠らない』(みすず書房)、キム・サンホン『チャングム』(早川書房)、李姫鎬『夫・金大中とともに――苦難と栄光の回り舞台』(朝日新聞出版)、イ・ギジュ『言葉の温度』、追跡団火花『n番部屋を燃やし尽くせ――デジタル性犯罪を追跡した「わたしたち」の記録』(以上、光文社)、チョン・ヘヨン『誘拐の日』(ハーパーコリンズ・ジャパン)、キム・ジュン『くだらないものがわたしたちを救ってくれる』(柏書房)、キム・ホヨン『不便なコンビニ』(小学館)など多数。
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イスラエルとパレスチナ ユダヤ教は植民地支配を拒絶する | ヤコヴ・ラブキン, 鵜飼 哲(翻訳)
¥880
岩波書店 2024年 岩波ブックレット ソフトカバー 88ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ6mm - 内容紹介 - イスラエルとはどのような国家なのか。その行動原理は。パレスチナ自治区でジェノサイドを続けているのは「ユダヤ人国家」を僭称する植民地主義のシオニストたちである。暴力を禁じるユダヤ教の伝統にとってイスラエルは、救済の途上の障害以外の何ものでもない――。在カナダの碩学のユダヤ教徒による渾身の批判、緊急出版。
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ヒロシマ・ノート | 大江 健三郎
¥902
岩波書店 1965年 ソフトカバー 206ページ 新書判 - 内容紹介 - プロローグ 広島へ…… Ⅰ 広島への最初の旅 Ⅱ 広島再訪 Ⅲ モラリストの広島 Ⅳ 人間の威厳について Ⅴ 屈伏しない人々 Ⅵ ひとりの正統的な人間 Ⅶ 広島へのさまざまな旅 エピローグ 広島から……
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ただ生きるアナキズム | 森 元斎
¥2,860
青弓社 2024年 ソフトカバー 312ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ21mm - 内容紹介 - 抵抗とは生である――音楽や映画、文学、思想を軽やかに跳躍して挑発的な語り口で国家や資本主義と対峙する戦略を提示し、不断の努力と相互扶助で日々の営みを支え、小さなさざ波から大きな潮目を変えていくための日常にあるアナキズムの可能性を活写する。 - 目次 - 0 序に代えて 音楽篇 1 東京の西から――フィッシュマンズについて 2 ルー・リードとニューヨーク 3 特異性の論争(ルビ:コントロヴァーシー)――プリンス、その経験の雫 4 キング・クリムゾンの残響――一九六九年の精神史 5 「少しづつ身体は死んでく」――ceroにまつわる思い出話 6 土と音楽 映画篇 7 after the requiem――ジャン=リュック・ゴダールの脱構成 8 王をたたえない――『バーフバリ』について 9 映画のなかのアナキズム――『金子文子と朴烈』(監督:イ・ジュンイク、二〇一七年)論 10 俺たちは共産主義者だ――『ギミー・デンジャー』 11 「力」のための覚醒剤――スパイク・リーのために 12 チョッケツ、アジア――空族『バンコクナイツ』 13 狼の夢/夢の狼――『狼を探して』(監督:キム・ミレ、二〇二〇年) 文学篇 14 森崎民俗学序説――森崎和江における「水のゾミア」の思想 15 瀬戸内寂聴のアナキズム 16 悶え加勢すること――石牟礼道子について 17 鉱物的な眼――谷川雁 18 地を這う精神――『はだしのゲン』 19 月と靄――稲垣足穂におけるリーマンと相対性理論、タルホ・コスモロジー アナキズム思想篇 20 石川三四郎における地球の思考――ヨーロッパ滞在から土民生活へ 21 ダンスができない革命なんていらない――ルクリュからグレーバーまで 22 アナキズムの自然と自由――ブクチンとホワイトヘッド 23 抵抗とは生である 24 ロジャヴァ革命について あとがき - 版元から一言 - 国家や資本主義が私たちの欲望をさまざまに制限する現代にあって、「ただ生きる」とはどういうことか。「ただ生きる」ために、私たちは何をすべきなのか。 アナキズムの観点から、キング・クリムゾンを聴き、ゴダールや石牟礼道子の物語に飛び込み、デヴィッド・グレーバーや鶴見俊輔と対話してその思想を大胆に読み替える。社会の編み目にある暴力や非対称な関係性をあぶり出し、それらを避けるための基盤として相互扶助があり、自由があり、欲望があることを描き出す。 音楽や映画、文学、思想を軽やかに跳躍して、硬軟織り交ぜた文体とときに挑発的な語り口で国家や資本主義と対峙する。そして、不断の努力と相互扶助で日々の営みを支え、小さなさざ波から大きな潮目を変えていく、日常にあるアナキズムの可能性を活写する。 - 著者プロフィール - 森 元斎 (モリ モトナオ) (著) 1983年、東京都生まれ。長崎大学教員。専攻は哲学、思想史。著書に『死なないための暴力論』(集英社インターナショナル)、『もう革命しかないもんね』(晶文社)、『国道3号線――抵抗の民衆史』(共和国)、『アナキズム入門』(筑摩書房)、『具体性の哲学――ホワイトヘッドの知恵・生命・社会への思考』(以文社)、編著に『思想としてのアナキズム』(以文社)、共著に『国境を越える日本アナーキズム――19世紀末から20世紀半ばまで』(水声社)など。
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分断されないフェミニズム ほどほどに、誰かとつながり、生き延びる | 荒木 菜穂
¥2,640
青弓社 2023年 ソフトカバー 228ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ14mm - 内容紹介 - 非婚/未婚/既婚、正規労働/非正規労働、性差別的な売春か/セックスワークか、女性の保護か/男女平等か――。差別に抗いながらもともに声を上げられない現実を、権力構造によるジェンダー分断、考え方や生き方、個人の関係性などの視点から読み解く。 - 目次 - はじめに――オンナの呪いを解く 第1章 女は連帯できないのか――フェミニズムとシスターフッド 1 呪いを解く知としてのフェミニズム 2 フェミニズムが見据えてきた「女同士」 3 シスターフッドの発見――分断のメカニズムへの抵抗として 第2章 対話、問い直し、フェミニズム 1 女性の活動への関心と縁 2 平場という関係とその困難 3 「対話」の工夫と調整 4 他者との対話、自己との対話 第3章 フェミニズムの「呪い」と女の欲望 1 フェミニストとしての自分を縛る「呪い」 2 ロック文化とフェミニズム 3 「エロ」はフェミニズムの敵なのか 4 「酒場女子」をめぐるモヤモヤ 5 フェミニズムか反フェミニズムかの二分法を超えて おわりに――他者と適度につながり続けるために - 版元から一言 - 非婚/未婚/既婚、正規労働/非正規労働、性差別的な売春か/セックスワークか、女性の保護か/男女平等か――。フェミニズムは分断と連帯にどう向き合えばいいのか。 フェミニズムの議論を骨格に、現場の声にふれた経験に基づき、女性たちが簡単にはつながれない現実を見据えたうえで、シスターフッドとは何かを問いかける。 女性たちが差別に抗い、不満に共感しあいながらも、ともに声を上げられない現実を、ジェンダーに基づく権力構造による分断だけではなく、考え方や生き方、事情や立場が異なる個人の関係性などの視点から読み解く。 「分断」を乗り越えることを模索し、「ほどほどに、誰かとつながり、生き延びる」ための女性のこれからを提案して、長年のフェミニズムの場での活動と思索に基づいて女性のつながりのあり方の再考を求める評論。 - 著者プロフィール - 荒木 菜穂 (アラキ ナホ) (著) 1977年、三重県生まれ。関西大学ほか非常勤講師、大阪公立大学客員研究員。日本女性学研究会、日本女性学会、ウィメンズアクションネットワークなどで活動。共著に『やわらかいフェミニズム――シスターフッドは今』(三一書房)、『巨大ロボットの社会学――戦後日本が生んだ想像力のゆくえ』(法律文化社)、『ポスト〈カワイイ〉の文化社会学――女子たちの「新たな楽しみ」を探る』(ミネルヴァ書房)、論文に「現代日本のジェンダー・セクシュアリティをめぐる状況とこれからのフェミニズムについて考える――菊地夏野『日本のポストフェミニズム:女子力とネオリベラリズム』を読んで」(「女性学年報」第40号)など。
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女の子に生まれたこと、後悔してほしくないから | 犬山紙子
¥1,870
ディスカヴァー・トゥエンティワン 2024年 ソフトカバー 290ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ19mm - 内容紹介 - 大人気イラストエッセイスト、犬山紙子の最新刊! 女の子を育てるうえで大切にしたいことを、専門家と一緒に考えました。 "母娘関係、性教育、ジェンダー、SNSとの付き合い方、外見コンプレックス、いじめ、ダイエット" 女の子を育てる時期に知っておきたい“どうしよう”とその乗り越え方を一緒に考えませんか? - 目次 - はじめに 一緒に考えてくれた先生たち 1章 女の子に生まれたこと、後悔してほしくないから 2章 「女の子らしく」より「自分らしく」生きてほしいから 3章 押しつけられる「美」より、自分の美しさに気づいてほしいから 4章 性教育で、自分も相手も大切にしてほしいから 5章 SNS やインターネットの脅威から守りたいから 6章 どんな性でも、愛されていると感じてほしいから 7章 いじめても、いじめられてもほしくないから 8章 何度でも立ち直れる、心の回復力を育てたいから おわりに
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ぼくらの「アメリカ論」 | 青木真兵, 光嶋裕介, 白岩英樹
¥2,200
夕書房 2024年 ソフトカバー 280ページ 四六判 縦190mm 横130mm 厚さ24mm - 内容紹介 - 分断が進み、ますます混沌とする世界情勢。11月のアメリカ大統領選が話題となる一方、「アメリカ」をどう捉えたらいいのかわからない状況が続いています。 危機感を抱いた青木真兵さん(人文系私設図書館ルチャ・リブロキュレーター)の呼びかけに、米国で生まれ育った建築家の光嶋裕介さん、米文学を研究する白岩英樹さんが賛同。2023年10月、それぞれが自らの中の「アメリカ」を問い直すリレーエッセイが始まりました。 「生き直し」の先駆者、公平性にもとづく自由な社会、ヨーロッパの支流としての新しい国……3人が抱くアメリカのイメージは、対話を重ねるほどに深化し、ぶつかり、離れたかと思うとまた1つになっていきます。読むうちに、「自分にとってのアメリカ」がやさしく揺さぶられ、世界を見る目が更新される--今このときに多くの人に届けたい、真摯で率直な全18回の対話集です。 ぼくたちの「未来を見る目」には、「アメリカ的なるもの」が標準装備されているのに、今、自分の中の「アメリカ」と現実の「アメリカ」は、あまりにかけ離れている。--青木真兵 世界は今、空間的にも、時間的にも、引き裂かれている。心の目で世界と対話し、希望の光を建築に宿すことはできるだろうか。二つの言語(自我)を往来しながら、跳躍を重ねる対話をしてみたい。--光嶋裕介 なぜいまさらアメリカなのか。それは、彼の地がいまなお「未完」の革命を繰り返す「生き直し・再生(rebirth)」の場であり続けているからである。--白岩英樹 - 目次 - はじめに 青木真兵 1 生き直しのヒントを探す旅へ 白岩英樹 2 小さな跳躍を重ねて、獲得する大きな自由 光嶋裕介 3 僕の人生に「アメリカ」は関係がないと思っていた 青木真兵 4 「移民国家」アメリカ--「文明人」はどちらなのか 白岩英樹 5 「アメリカ」をどこから見るべきか 青木真兵 6 オフィスビルという欲望の建築の終焉 光嶋裕介 7 戦争と分断に抗って「線路」を延ばす 白岩英樹 8 アメリカの「自由と民主主義」が抱えるもの 青木真兵 9 フラーから考える建築家の倫理 光嶋裕介 10 What Are You Standing On? 白岩英樹 11 食糧から見る、アメリカの現在地 青木真兵 12 モグラの手つきで--抵抗と連帯の詩学へ 白岩英樹 13 自然と対峙した完全芸術家のまなざし 光嶋裕介 14 「ちょうどよく」とどめる精神で 青木真兵 15 沈黙と光を愛した遅咲きの建築家 光嶋裕介 16 同じ筏のうえで--あなたはわたしになったあなたを殺せない 白岩英樹 17 原爆、安保、沖縄 青木真兵 18 終わらない会話のために 光嶋裕介 おわりに 白岩英樹 - 著者プロフィール - 青木真兵 (アオキシンペイ) (著/文) 1983年生まれ、埼玉県浦和市(現さいたま市)に育つ。「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」キュレーター。博士(文学)。社会福祉士。2014年より実験的ネットラジオ「オムライスラヂオ」の配信をライフワークとしている。2016年より奈良県東吉野村で自宅を私設図書館として開きつつ、執筆活動などを行っている。著書に『武器としての土着思考 僕たちが「資本の原理」から逃れて「移住との格闘」に希望を見出した理由』(東洋経済新報社)、『手づくりのアジール─土着の知が生まれるところ』(晶文社)、妻・青木海青子との共著に『彼岸の図書館─ぼくたちの「移住」のかたち』(夕書房)、『山學ノオト』シリーズ(エイチアンドエスカンパニー)、光嶋裕介との共著に『つくる人になるために 若き建築家と思想家の往復書簡』(灯光舎)がある。 光嶋裕介 (コウシマユウスケ) (著/文) 1979年、アメリカ・ニュージャージー州生まれ。建築家。一級建築士。博士(建築学)。早稲田大学理工学部建築学科修了。ドイツの建築設計事務所で働いたのち2008年に帰国、独立。建築作品に内田樹氏の自宅兼道場《凱風館》、《旅人庵》、《森の生活》、《桃沢野外活動センター》など。著書に『ここちよさの建築』(NHK出版 学びのきほん)、『これからの建築―スケッチしながら考えた』『つくるをひらく』(ミシマ社)、『建築という対話 僕はこうして家をつくる』(ちくまプリマー新書)、『増補 みんなの家。―建築家一年生の初仕事と今になって思うこと』(ちくま文庫)などがある。 白岩英樹 (シライワヒデキ) (著/文) 1976年、福島県郡山市生まれ。高知県立大学文化学部/人間生活学研究科准教授。専門はアメリカ文学、比較思想、比較芸術。早稲田大学卒業後、AP通信などの勤務を経て、大阪芸術大学大学院芸術文化研究科博士後期課程修了。博士(芸術文化学)。2020年4月より高知市に在住。著書に『講義 アメリカの思想と文学――分断を乗り越える「声」を聴く』(白水社)、共著に『ユニバーサル文学談義』(作品社)、翻訳書にキャスリーン・マシューズ『祝福の種――新しい時代の創世神話』(作品社)などがある。