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オタク文化とフェミニズム | 田中 東子
¥2,420
青土社 2024年 ソフトカバー 248ページ 四六判 - 内容紹介 - わたしたちの消費は「正しい」のだろうか 金銭と時間の投資、心身の過剰な労働、性的消費との葛藤…、わたしたちと「推している」対象のあいだにはさまざまな問題が浮かびあがってくる。しかし、その活動に喜びが見出されることは間違いない。喜びと苦しさとが入り混じるその実践をすくい取りながら、「推し活」社会の現在地を描きだす。「推し活」論の決定版! エンターテインメントをめぐるモヤモヤを考えるための補助線となる書。
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現代思想2024年10月号 特集=〈人種〉を考える -制度的レイシズム・人種資本主義・ホワイトネス…-
¥1,760
青土社 2024年 ソフトカバー - 内容紹介 - 何がわたしたちを分け隔てているのか ヘイトクライムの横行や排外主義的政策の高まりをうけて、人種主義の問題が改めて切実に語られるいま、われわれは〈人種〉という概念にどう向き合えばよいのか。批判的人種理論や人種資本主義などの議論を踏まえつつ、無視するのでも本質化するのでもないかたちで〈人種〉についてさまざまな視座から考える。 line2.gif [目次] 特集*〈人種〉を考える――制度的レイシズム・人種資本主義・ホワイトネス… 【討議】 シシュポスの岩を押す――〈人種〉の諸相とその理論 / 竹沢泰子+梁英聖 【概念の来歴】 人種の構築――存在の様態と歴史――啓蒙期から第一次世界大戦まで / 李孝徳 人種概念構築の歴史と生物人類学における頭蓋骨多様性研究の進展 ./ 瀬口典子 人種の後――民族誌、人種、ポスト人種理論 / アヌープ・ナイアック(訳=諸岡友真/解題=新田啓子) 「人種主義」概念は拡大されなければならない――旧優生保護法違憲判決とイタリア南部問題から / 谷本純一 人種資本主義の世界史という射程 / 貴堂嘉之 【この場所から考える】 批判的人種理論の積極的活用――日本法への適用可能性について / 藤井正希 日本のなかの人種概念を探究するために――血統の問題と身体の問題 / 有賀ゆうアニース 日本で人種的マジョリティであること――「日本人性」の批判的現象学の試み / 小手川正二郎 和人の脆弱性について / 東村岳史 【いま何が起こっているのか】 ブラック・ライヴズ・マター運動へのバックラッシュ――二〇二〇年以後のシアトルから / 小山エミ 【システムという問い】 「その他の人種」の歴史と現在――センサスからみるアメリカの「人種」 / 菅(七戸)美弥 二〇世紀初頭アメリカ南部の人種状況と「忖度」する公衆衛生 / 平体由美 アメリカ史のなかの白人性とジェンダー・セクシュアリティ / 兼子歩 旧英領カリブ海地域の「白人」たち / 伊藤みちる 人種差別をリデザインする――ニューヨーク・ハーレムのストリートにおける「人種」概念の観察から/ 中村寛 【絡みあういくつもの線】 伊江島の黒人についてのノート / 榎本空 人種のパフォーマティヴィティ――ネラ・ラーセン『パッシング』を読むジュディス・バトラー / 五十嵐舞 普遍人という夢――人種と人類種の二〇世紀アメリカ / 逆卷しとね 【連載●科学者の散歩道●第一〇六回】 原子爆弾完成後の去就をめぐって――ボーアの「科学者共同体」 / 佐藤文隆 【連載●社会は生きている●第二六回】 社会と自我 2――多細胞生物がつくる種社会 / 山下祐介 【連載●現代日本哲学史試論●第一〇回】 理論を経由し、理論の外へ――鷲田清一と中岡成文、そして村上靖彦 / 山口尚 【研究手帖】 先入観を疑えるか / 髙橋香苗
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翻訳をジェンダーする | 古川 弘子
¥990
筑摩書房 2024年 ちくまプリマー新書 ソフトカバー 256ページ 新書判 - 内容紹介 - 翻訳された言葉には必ずわたし達の社会があらわれ、 そして翻訳されたものは社会に影響を与える。 翻訳小説の女性達は原文以上に「女らしい」言葉で訳されていることがあります。翻訳と社会とわたし達の密接な関係を読みとき、性差別をなくすための翻訳、社会に抗する翻訳の可能性を探る一冊。 「はじめに」より一部抜粋 翻訳には、それまでにあった古い考えにとらわれない、新しい言葉を生み出す可能性があります。そして、社会の中に存在しなかったり、埋もれたりしている概念を言葉によって「見える化」したり、それまでの偏った見方を変えたりする力があります。 - 目次 - 【目次(一部)】 はじめに 『プラダを着た悪魔』の主人公はどんな話し方をする? 「ハリー・ポッター」のハーマイオニーには友だちがいない? 小説はフィクション、わたしたちはリアルな存在 [……] 第一章 小説の女たちはどう翻訳されてきたのか 日本語への翻訳とジェンダー 日本語の女ことばと男ことば 翻訳の中の女性はもっとも典型的な女ことばを話す? 翻訳小説の女性の話し方vs現実の女性の話し方 児童文学ではどうなる? 児童文学は保守的。児童文学の翻訳はもっと保守的。 翻訳者が再現しようとすること 汚いとされる表現にも意味がある [……] 第二章 女たちのために自分たちで翻訳する 一九七〇・八〇年代に、自分でいる力をくれた翻訳があった 女性の健康のバイブル『Our Bodies, Ourselves』 わたしのからだは自分のもの。自分のからだをよく知ろう。 自分を大切に生きる権利は、みんなにある 『Our Bodies, Ourselves』の時代―個人的なことは政治的なこと 『女のからだ』の時代―ウーマン・リブ 『からだ・私たち自身』の時代―ウーマン・リブからフェミニズムへ フェミニスト翻訳の三つの具体的な方法 『女のからだ』のフェミニスト翻訳の方法 『からだ・私たち自身』のフェミニスト翻訳の方法 [……] 第三章 これからのために翻訳ができること これから考えられる三つの変化 ①一律の女らしさから、それぞれの個性へ ②ネガティブなイメージのない性器の名称へ ③「彼」と「彼女」だけでなく、インクルーシブな代名詞を - 著者プロフィール - 古川 弘子 (フルカワ ヒロコ) (本文) 東北学院大学国際学部教授。早稲田大学政治経済学部卒業後、出版社で雑誌編集と書籍編集に携わったのち、2011年に英国イースト・アングリア大学で博士課程を修了(Ph.D. in Literary Translation)。同大学でのポストドクターを経て2012年より東北学院大学に勤務。主にジェンダーの視点による文学翻訳研究を行っている。共編著書に『The Palgrave Handbook of Literary Translation』(Palgrave Macmillan 2018)、共著書に『Tsuji, Interpreters in and Around Early Modern Japan』(Palgrave Macmillan 2023)、『Translating Women』(Routledge 2017)などがある。
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無支配の哲学 権力の脱構成 | 栗原 康
¥1,320
SOLD OUT
KADOKAWA 2024年 ソフトカバー 408ページ 新書判 - 内容紹介 - なぜ、まったく自由を感じられないのか? カネ、人間関係、国家、社会。 数々の支配と強制の理屈を『超人ナイチンゲール』著者が打ち砕く! アナキズムとは、「支配されない状態」を目指すことだ。 “自由で民主主義的な社会”であるはずなのに、なぜ私たちはまったく自由を感じられないのか? 息苦しくなるほどに、束縛を感じてしまうのはなぜか? この不快な状況を打破する鍵がアナキズムだ。無支配、無強制という視点で社会契約論から洗い直し、所有概念等を再考、さらにパリ・コミューンやロシア革命の正負両面を検証。 無支配、無強制という視点から過去の思想と実践をわかりやすく振り返りつつ、現代社会の数々の「前提」をアナキズム研究者が打ち砕く、無支配の思想史! ■友情とは、コミュニケーションを爆破するということだ ■ルイズ・ミシェル。パリ・コミューンで大活躍した女性は石油放火女と呼ばれた ■新自由主義の精神は「小さくまえへならえ」にすぎない ■契約も交換も自明のことなんかじゃない。 神を突破せよ、この世界を罷免してやれ ■一番たちが悪いのは、民主主義の名のもとに憲法制定権力をたちあげることだ。 ■現代はインフラが権力となっている ■なんどでも、権力の脱構成をやってやろう ■社会契約をクーリングオフせよ ■戦闘的退却主義という方法 ※本書は2018年7月に小社より刊行された『何ものにも縛られないための政治学 権力の脱構成』を、正題を改題の上、加筆修正したものです。 【目次】 新書版はじめに 第一章 社会契約って、いつむすんだの? 第二章 自由をぶっとばせ 第三章 革命はただのっかるだけだ 第四章 革命はどうやっちゃいけないのか? 第五章 ゼロ憲法を宣言する おわりに 主要参考文献 - 目次 - 新書版はじめに 第一章 社会契約っていつしたの? 未来のない運動をやろう 友情とは、コミュニケーションを爆破するということだ/議会制民主主義とはなにか?ーー奴隷のくせして、主人のまねごと/社会契約なんてむすんだことはない、むすんだことにさせられているだけなんだ/原始人なめんな/財産とは奴隷である/原始人は自由にさきだつ etc. 第二章 自由をぶっとばせ われわれは都会の原始人だ/負けて、負けて、また負けて――マックス・シュティルナーの人生/政治的自由主義――ギャア!!!/社会的自由主義――マジ、陰険/人道的自由主義――なにがクリエイティブだ、このやろう/小さくまえへならえーー新自由主義の精神/クソしてねやがれ、それが不法占拠の精神だ/地域アートの役割とはなにか? なにもするな! etc. 第三章 革命はただのっかるものだ おまえが舵をとれ――バクーニンのパリ・コミューン論/ルイズの青春――ケケケッ!/よっ、肝っ玉姉ちゃん!/チクショウ、なんて日だ!/あっ、革命がおこってら/アニキッ!アニキッ!アニキ! ――パリ・コミューン宣言/自分を統治したいんじゃない、だれにも統治されたくないんだ/おら、石ペ トロルーズ油放火女になりてえ/もしわたしを生かしておかれるなら、復讐の叫びをあげることをやめないでしょう etc. 第四章 革命はどうやっちゃいけないのか 革命家は革命を殺す ギロチン、ギロチンでございます/おしゃべりはもうたくさんだ 全員暴走、秩序紊乱/ああ、革命はおわりもうした 粛清、粛清でございます、アーメン!/ツァラトゥストラはこういった みんな警察がキライ/モスクワのクロちゃん/水におちた犬はうて マフノ、三〇人で三〇〇〇人を討つ/逃げろ、逃げろ、逃げろ トンズラ、すなわち攻撃だ、逃げろ!/よわきをたすけ、つよきをくじき、身をよせるものあらば、貴賤をとわず、すくいの手をさしのべる 主人づらしたやつらは、みな殺しだ/フリーダム! etc. 第五章 ゼロ憲法を宣言する いつも心に盗んだバイクを/孤独の歌をうたえ、やっせんぼ!/グスタフ・ランダウアー/いくぜ、戦闘的退却主義 負ける気しかしねえ、チョレイ!/革命とは魔界転生である なんどでも、なんどでも化けてみやがれ/国民を捨てろ、階級を捨てろ、自分を捨てろ 捨てたその自分さえ捨ててしまえ/いくぜ、レーテ共和国 わたしはカオスが好きだ/生きたまま死ね/神を突破せよ、この世界を罷免してやれ さけべ、アナーキー! etc. おわりに 主要参考文献 - 著者プロフィール - 栗原 康 (クリハラ ヤスシ) (著/文) 1979年埼玉県生まれ。早稲田大学政治学研究科・博士後期課程満期退学。東北芸術工科大学非常勤講師。専門はアナキズム研究。『大杉栄伝 永遠のアナキズム』で第5回「いける本」大賞受賞、紀伊國屋じんぶん大賞2015第6位。2017年、池田晶子記念「わたくし、つまりNobody賞」を受賞。『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』で紀伊國屋じんぶん大賞20174位。他の著書に『超人ナイチンゲール』 サボる哲学 労働の未来から逃散せよ』『アナキズム 一丸となってバラバラに生きろ』『死してなお踊れ 一遍上人伝』等がある。
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子どもの読む力を育てよう! 家庭で、園で、学校で | 小川 三和子
¥2,420
青弓社 2024年 ソフトカバー 216ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ15mm - 内容紹介 - なぜ、子どもの成長にとって読書が必要不可欠なのか? 乳幼児期から学齢期にいたるまでの子どもたちに、家庭や教育現場ではどのような読書体験を提供するべきなのか? 本がある環境づくり、読み聞かせ、ブックトーク、図書館の利活用など、子どもたちの成長のために欠かせない本との出合いや読書との向き合い方を、教育現場での体験談も交えながらやさしく具体的に指南する。さらに、子どもの発達段階(赤ちゃん―高校生)ごとに薦める絵本や児童文学もふんだんに紹介。 加えて、国語の授業での読書会やビブリオバトルの取り組み、学校図書館ボランティアの活動、「子ども読書の日」や「読書バリアフリー法」など国民の読書に関する施策についてもまとめ、社会と読書の関わりを総覧する。 子どもにとって、家庭にとって、そして現代社会にとっての読書の意義をあらためて考えるための一冊。 - 目次 - はじめに 第1章 現代社会のなかでの子どもたちと読書 1 町の風景から 2 情報社会に生きる子どもたち 3 文字や文章を読む力の育成 4 デジタル情報と紙の本 5 電子書籍と紙の本 6 書くことと読むことの移り変わりとデジタル社会 第2章 本を読むということ 1 読書で育つ力 2 読書の深まり 3 学校教育と読書 4 文化審議会が考える読書 5 学校教育の変遷と読書の施策 第3章 乳幼児期と読書 1 赤ちゃんとのコミュニケーション 2 赤ちゃん時代から読み聞かせを 3 ブックスタート 4 読み聞かせ 5 集団での読み聞かせ 6 ストーリーテリング 7 昔話 8 文化に出合う機会を 9 この時期にお薦めの本 第4章 小学校低学年(1年生・2年生)の読書――本に親しむ 1 「本を読みなさい」と言わないで 2 学校での読書指導 3 本に親しむ 4 幼年童話などに親しむ 5 本で調べる 6 ボランティア活動のこと 7 この時期にお薦めの本 第5章 小学校中学年(3年生・4年生)の読書――多読と読書の質 1 中学年は大切な時期 2 中学年の読書指導目標と内容 3 読めるようになるために 4 課題をもって調べる 5 本との出合い 6 この時期にお薦めの本 第6章 小学校高学年(5年生・6年生)の読書――本との出合いを大切に 1 読書離れしないために 2 高学年の読書指導目標と内容 3 目標をもって主体的に読む 4 読書から広がる探究的な学習 5 読書感想文のこと 6 この時期にお薦めの本 第7章 中学生・高校生と読書――思春期の読書 1 読書離れも背伸びも 2 中学校・高等学校の読書指導の目標と内容 3 児童書から大人向けの本まで 4 メディアの特性に応じた活用 5 中学校・高等学校での読書活動 6 この時期にお薦めの本 第8章 読書とバリアフリー 1 誰もが読書の喜びを 2 特別なニーズに応じた読書支援 3 読むための壁を低くする努力 4 すべての子どもたちが読書をすること 5 読書バリアフリーを理解するための図書 ブックリスト おわりに - 著者プロフィール - 小川 三和子 (オガワ ミワコ) (著) 東京学芸大学大学院教育学研究科学校教育専攻修士課程修了。東京都公立小学校教諭・司書教諭、新宿区学校図書館アドバイザーなどを経て、現在は八洲学園大学非常勤講師。全国学校図書館協議会参事、日本学校図書館学会理事・役員、日本子どもの本研究会会員、日本図書館情報学会会員。著書に『学校図書館サービス論』『読書の指導と学校図書館』(ともに青弓社)、『教科学習に活用する学校図書館――小学校・探究型学習をめざす実践事例』、共著に『読書と豊かな人間性』(ともに全国学校図書館協議会)。
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辺境のラッパーたち 立ち上がる「声の民族誌」 | 島村一平(編集)
¥3,520
青土社 2024年 ソフトカバー 544ページ 四六判 - 内容紹介 - ラッパーのことばに耳をすませば、世界のリアルが見えてくる。 戦火が絶えないガザやウクライナで、弾圧が続くチベットやイランで、格差にあえぐモンゴルやインドで、海の端の日本で――。アメリカで生まれたヒップホップ文化、なかでもラップミュージックは世界に広がり、「辺境」に生きる者たちは声なき声をリリックに託す。現代社会の歪みを鮮やかに映し出す、世界各地のラッパーたちの声を幅広い執筆陣が紹介する。ラッパー、ダースレイダー、ハンガー(GAGLE)のインタビューも収録。
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ストリートの思想 増補新版 | 毛利 嘉孝
¥990
筑摩書房 2024年 ちくま文庫 ソフトカバー 368ページ 文庫判 - 内容紹介 - イデオロギーによる旧来の党派的「動員」とは異なる、自律性を帯びた資本/権力への抵抗運動はどのように現れたのか? パンクやニューウェイヴなど80年代のインディーズ文化を源流とし、90年代のサウンドデモや「素人の乱」を経て、3.11後の反原発・反政府・反グローバル資本主義デモへといたる地下水脈を読み解くオルタナティヴ思想史。2010?20年代の動きを増補して文庫化。 - 目次 - 序 章 「ストリートの思想」とは何か 五月の祝祭/「政治」という領域の変容/「ゴリゴリの左翼」?/「左翼」の敗北/伝統的な左翼知識人の終焉/「左翼的なもの」から「ストリート」へ/「ストリートの思想」をめぐるマトリクス/ストリート的イメージとオタク的思想 ロスジェネ論壇との違い/本書の構成 第一章 前史としての80年代――「社会の分断」とポストモダン ガタリ来日/山谷を歩くガタリ/山谷からシモキタへ/八〇年代は「スカ」だったのか? 増殖する八〇年代論/当事者でもなく、観察者でもなく/ポストモダン思想からニューアカデミズムへ/人文学の危機/脱政治化されたポストモダン理論/「愚鈍な左翼」と「ポストモダニスト」/フォーディズムからポスト・フォーディズムへ/「政治」から「サブカルチャー」へ/パンクロックとDiY的インディーズ文化/時間と空間の圧縮/サカエのつぶやき/EP-4とじゃがたら/ストリートを乗っ取るEP-4/サブカルチャーのシチュアシオニスト的実践/寿町のフリーコンサート/対抗的ダンスカルチャー/坂本龍一とインディーズシーン/田中康夫の戦略/新・階層消費の時代と対抗的な実践/でも・デモ・DEMO 第二章 90年代の転換①――知の再編成 制度化されるポストモダニズム/大学における人文知の再編/湾岸戦争への反対声明/公的知識人の変貌/オウム真理教事件/社会工学的な知の台頭/思想や政治のエンターテインメント化/イギリス留学の準備/「カルチュラル・スタディーズ」との出会い/文化研究の三つの流れ/英米の文化研究の発展と制度化/文化研究のグローバル化とローカル化/「カルチュラル・スタディーズ」と「文化研究」/シンポジウム「カルチュラル・スタディーズとの対話」/ラディカルを飼い慣らす/輸出産業としての「カルチュラル・スタディーズ」/人文学と地域研究への影響/ポストモダン思想の再評価/カルチュラル・タイフーン 第三章 90年代の転換②――大学からストリートへ 「フリーター的なもの」と九〇年代/「いのけん」の登場/交錯点としての代々木公園 公共圏の変容/「ストリートの思想」の胎動/転換期としての九五年/橋本政権「六大改革」/新宿ダンボールハウス村/「寄せ場」化する日本/集合的表現の始まり/『現代思想』の「ストリート・カルチャー」特集/「だめ連」的なものの登場 第四章 ストリートを取り戻せ!――ゼロ年代の政治運動 〈帝国〉の時代/低迷する左派論壇/イラク反戦運動と「ストリートの思想家」/シアトルの反WTO運動/プロレタリアートからマルチチュードへ/「生権力」への対抗運動/同時多発的で前衛なき運動/「言うこと聞くよな奴らじゃないぞ」/言語的公共圏の転回/起源としてのパンク/ニューウェイヴ/ネットとストリートの器用仕事人/文化人類学へのポストモダン的問い/「なりそこないの文化人類学者」の試み/祝祭から再び日常へ 「素人の乱」と日常的な実践/日常を祝祭空間に変える/お笑いへの感性/SAVE the 下北沢/街を防衛する/「ストリート」を支える情報インフラ/ゆるやかに開かれたコミュニティ 第五章 抵抗するフリーター世代――10年代に向けて 年越し派遣村とメディア報道/湯浅誠の軌跡/246表現者会議/渋谷・宮下公園の有料化計画/キャッチコピーは〈JUST DOITE?〉/「ストリートの思想」とロストジェネレーション/赤木智弘の左翼批判/ロスジェネ論客の共通点/唯一の「敵」を名指すこと/階級・世代を超えた開放性/「ポッセ」の力/ストリート、自由、自律、そしてアート 増補 ストリートの思想二〇二四 群衆の時代としての二〇一〇年代/「素人の乱」からSEALDs へ/東アジアの「群衆の政治」の広がり/「群衆の政治」の終わり?/「群衆の政治」の変容/プロテスト・レイヴとパレスチナ支援運動/抗議運動の多様化──ウォーターメロン・アライアンス/さらに多様化する社会運動のアクター/グローバル化する「素人の乱」/マヌケが世界を変える?/アジアのなかの松本哉/トランスナショナルな交流の場の創出──なんとかBAR、マヌケ宿泊所、NO LIMIT/版画を通じた東アジアのネットワークの広がり──IRAとA3BC/二〇二四年の「だめ連」/地方へ/都市を離れて/隙間を失いつつある東京 /「ストリートの思想」はどこにいくのか? 「ストリートの思想」を知るためのブックガイド - 著者プロフィール - 毛利 嘉孝 (モウリ ヨシタカ) (本文) 毛利 嘉孝(もうり・よしたか):1963年長崎県生まれ。専攻は、社会学・文化研究・メディア論。京都大学経済学部卒業。ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジにてPh.D.(sociology)を取得。九州大学助教授などを経て、現在、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授。主な著書に、『文化=政治』(月曜社)、『ポピュラー音楽と資本主義 増補』(せりか書房)、『バンクシー』(光文社新書)がある。
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【バーゲンブック】憲法の条件 戦後70年から考える | 大澤 真幸, 木村 草太
¥500
NHK出版 2015年 NHK出版新書 ソフトカバー 286ページ 新書判 バーゲンブック: 定価よりも値引して販売することのできる新品の本です。新品とはいえ、経年による劣化などが見られる場合もございますので、ご理解の上ご購入くださいませ。 - 商品紹介 - 戦後70年、日本人は憲法を本当の意味で「自分たちのもの」としてきただろうか。集団的自衛権行使をめぐる解釈改憲を機に、社会学者と憲法学者が世代を超えて白熱の議論を展開。「法の支配」が実現する条件や、ヘイトスピーチ問題が社会に投げかけるもの、そして民主主義の要である議会がなぜ空転するのかを真正面から考える。私たちの覚語を問い、未来を展望する一冊。
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【バーゲンブック】差別の近現代史 人権を考えなおす | 塩見 鮮一郎
¥450
河出書房新社 2020年 河出文庫 ソフトカバー 178ページ 文庫判 バーゲンブック: 定価よりも値引して販売することのできる新品の本です。新品とはいえ、経年による劣化などが見られる場合もございますので、ご理解の上ご購入くださいませ。 - 商品紹介 - 人が人を差別するのはなぜか。どうしてこの現代にもなくならないのか。近代以降、欧米列強の支配を強く受けた、幕末以降の日本を中心に、50余のQ&A方式でわかりやすく考えなおす。
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【バーゲンブック】とてつもない嘘の世界史 | トム・フィリップス
¥1,400
河出書房新社 2020年 ハードカバー 204ページ 四六判 バーゲンブック: 定価よりも値引して販売することのできる新品の本です。新品とはいえ、経年による劣化などが見られる場合もございますので、ご理解の上ご購入くださいませ。 - 商品紹介 - 話題のフェイクニュースから、デマ、国家の嘘、商業上の嘘、集団妄想まで、歴史上の真実でないものをとことん追究。『とてつもない失敗の世界史』の著者が贈るメガトン級の「嘘」列伝!
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【バーゲンブック】イザナミの王国熊野−有馬から熊野三山へ | 桐村 英一郎
¥1,000
オクターブ 2013年 ハードカバー 208ページ 四六判 バーゲンブック: 定価よりも値引して販売することのできる新品の本です。新品とはいえ、経年による劣化などが見られる場合もございますので、ご理解の上ご購入くださいませ。 - 商品紹介 - 大きなスケールと綿密な史料分析で描いた、画期的な“古代熊野論”。『ヤマト王権幻視行』の桐村英一郎が再びペンを握る!
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帝国主義と闘った14人の朝鮮フェミニストー独立運動を描きなおす | 尹錫男(画), 金伊京(著), 宋連玉(訳), 金美恵(訳)
¥2,750
花束書房 2024年 ソフトカバー 268ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ16mm - 内容紹介 - “私たちの敵は日本帝国主義と家父長制であり、私たちの目標は、その二重の抑圧に呻吟する朝鮮女性を解放することだった” 独立運動を闘った多彩な朝鮮女性を、韓国フェミニズムアートの第一人者 ・尹錫男(ユン・ソンナム)と作家・金伊京(キム・イギョン)が、圧倒的な読み 応えでよみがえらせた歴史ノンフィクション。信念を曲げず、真の自由を切望した女性たちの言葉とあゆみは、何度も運動としてよみがえり、社会を変えてきました。 いまの私たちと地続きの性差別と闘った姿にもぜひご注目ください。韓国フェミニズムのルーツともいえる歴史を知って、植民地主義とフェミニズムの関係を考えてみませんか。 - 目次 - 【世に叫ぶ】 お前は英雄だ―金マリア/乙密台で叫ぶ―姜周龍/大胆な女人―鄭靖和 天才、革命を夢見る―朴鎮洪/過激な看護師―朴慈恵/激しい波として立ち上がる―金玉連/ドキュメンタリー「忘れられた革命家を訪ねて」―丁七星 【戦線に立つ】 血書―南慈賢/日帝に爆弾を投げる―安敬信/シベリアの赤い伝説―キム・アレクサンドラ/祖国のために空を飛ぶ―権基玉/将軍のために―金命時/ペンの代わりに銃を取りて―朴次貞/春実、東海、華林、三つの名前で生きる―李華林 - 版元から一言 - 韓国のフェミニズムアートの第一人者・尹錫男が、女性の肖像画が極端に少ないことに着目して肖像画シリーズに着手、そこから生まれたのが女性独立運動家を描く本書です。14人それぞれに異なる叙述方式からは、女性たちと運動への敬意が満ちあふれ、社会を変える力となってきたことが伝わる1冊となっています。 女性による独立運動と、解放、そしてその後の困難で複雑な近現代史。本書では、2021年に韓国版が刊行されてから見つかった資料や事実(評価)をもとに、一部記述・作品を描き(書き)下ろしで追加。目の前の現実、いまの私たちとも地続きの歴史と女性たちの「顔」を、ぜひ知ってください。 - 著者プロフィール - 尹錫男 (ユンソンナム) (画) 1939年、満洲で生まれ1944年に帰国した。主婦として生活していたが40歳のときに自 身の母親を描いて画家となった。その後、40年あまりは温かく強靭な母性と女性の力を探求する作品活動を続けてきた。インスタレーションと彫刻、絵画を行き来しながら国内外で多数の個展、グループ展示に参加。英国のテート・ギャラリーをはじめとした世界各国の著名美術館に作品が所蔵されている。数年前からは韓国画を基盤とする肖像画作業に邁進しており、この本はその結実の一つである。『多情で、多情な、タジョンさん』『キム・スンヒとユン・ソンナムの女性の話』(いずれも未邦訳)など多数の著作がある。 金伊京 (キム・イギョン) (著) 大学と大学院で歴史学を専攻し、「植民地時代の民族統一戦線運動」で学位論文を執筆。文学が好きで放送大学に編入し英文学を勉強した。時間・死・本(知識)など人生が投げかける問いをテーマとして勉強し文章を書いてきた。最近ではフェミニズムと韓国現代史の人物に関心があり勉強を続けている。小説作品集『生きている図書館』をはじめ、エッセイ『哀悼の文章たち』『詩を詠む方法』『本を食べる方法』『詩の文章たち』、書評集『魔女の読書処方』、絵本『仁寺洞にいく道』(いずれも未邦訳)など多数の著作がある。 宋連玉 (ソン・ヨノク) (訳) 帝国の言説に消された朝鮮女性の姿を蘇生させたい思いで研究活動をしてきました。その結果、朝鮮の家父長制が植民地主義と深く関わっているという結論に達しました。いまもなお自身に深く内面化している植民地主義的規範と闘っています。青山学院大学名誉教授、文化センター・アリラン館長。主著『脱帝国のフェミニズムを求めて』(有志舎、2009年)、『植民地「公娼制」に帝国の性政治をみる』(有志舎、2023年)。 金美恵 (キム・ミヘ) (訳) 大学で哲学、大学院で国際関係学、朝鮮現代史を学びつつ、朝鮮半島の分断と統一に関心を持ち、おもに解放後の統一戦線について学んだ。朝鮮戦争時に捕虜となった女性パルチザンについて研究をしたかったが、紆余曲折を経て現在は、沖縄に生きた朝鮮人の歴史について調査研究している。共訳書に『現代朝鮮の悲劇の政治指導者たち』(徐仲錫著、明石書店、2007年)、『朝鮮戦争の社会史:避難・占領・虐殺』(金東椿著、平凡社、2008年)、『記憶で書き直す歴史「慰安婦」』(韓国挺身隊問題対策協議会・二〇〇〇年女性国際戦犯法廷証言チーム著、岩波書店、2020年)などがある。
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九月はもっとも残酷な月 | 森 達也
¥1,980
SOLD OUT
ミツイパブリッシング 2024年 ソフトカバー 四六判 - 内容紹介 - 映画「福田村事件」監督の最新時評集。関東大震災後に起きた朝鮮人虐殺を見つめ、ウクライナやガザに煩悶する。「〈僕〉や〈私〉の一人称が、〈我々〉〈国家〉などの大きな主語に置き換わるとき、人や優しいままで限りなく残虐になれる」と著者は言う。映画公開前後の日々から独自の映像創作論、初めて福田村事件をとりあげた伝説のエッセー「ただこの事実を直視しよう」も収録。その他、入管法やイスラエル・パレスチナ問題、東アジア反日武装戦線など、時事ニュースの奥に潜む社会の核心に食らいつく。 - 目次 - Ⅰ 忘れられた加害と想像力 ただこの事実を直視しよう 大量虐殺のメカニズム 映画は観た人のものになる 表現は引き算だ 高野山の夜 忘れられた加害 反日映画の条件 一年ぶりの釜山 オウム以降と親鸞 北京国際映画祭 Ⅱ リアリティとフィクションの狭間で 嫌な奴だと思っていたら嫌な奴に編集できる 天皇小説 テレビに場外ホームランはいらない 「テロ」の定義 三人の兵士たち 『オッペンハイマー』は観るに値しない映画なのか Ⅲ ニュースは消えても現実は続く 事件翌日の夜に 危機管理に目を奪われて転倒 世論とメディアの相互作用 入管法改正前夜 ピースボートは社会の縮図だ イスラエル・パレスチナ問題を考える すぐに消える大ニュース コロナから裏金まで 世界はグラデーションだ 地下鉄サリン事件は終わっていない 「味方をしてくれというつもりはない」 パレスチナ難民キャンプ パレスチナと愛国心 Ⅳ 無限の自分を想像すると少しだけ楽になる くすぶり続けるもの 『いちご白書』 平壌から 自由か安全か 多世界を思う 死刑囚になった夢の話 修業時代 ティッピング・ポイント 北朝鮮ミサイル発射! 桐島、活動やめたってよ ゴッド・ブレス・アメリカ - 前書きなど - 二〇〇二年、関東大震災時に福田村(現在の千葉県野田市)で起きた惨劇を僕は知った。当時はまだテレビの仕事もしていたから、一五分ほどの報道番組の特集枠ならば放送できるだろうかと考えた。でも結局、テレビではこの企画に同意してくれるプロデューサーは見つからなかった。だから翌年に刊行された『世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい』(晶文社)に、福田村事件について書いた「ただこの事実を直視しよう」を収録し、この本は二〇〇八年に筑摩書房で文庫化された。 ドキュメンタリー映画『FAKE』を発表した二〇一六年、次はドラマを撮りたいと僕は考えた。そのときに思いついた企画のひとつが福田村事件だ。ドキュメンタリー映画として成立させるためには資料も証言者も乏しすぎるが、ドラマなら可能だと考えたのだ。 (中略) 予想はしていたけれど今年の夏は暑い。暑いじゃなくて熱い。子どものころから夏が大好きで暑ければ暑いほど口もとが弛み秋の始まりには軽い鬱になるほどに夏が好きな僕も、炎天下で往来を歩きながら「さすがにこれは……」と思わず吐息が洩れるほどに熱い。 でも季節は巡る。九月一日になれば、映画『福田村事件』の公開から一年が過ぎることになる。震災後に虐殺された朝鮮人たちへの追悼文を頑なに拒否し続ける小池都知事は再選を果たし、アメリカ大統領選ではバイデンはついに撤退を宣言して「もしトラ」は「ほぼトラ」へとギアを換え、イスラエル国軍によるガザ地区の常軌を逸した殺戮も、ロシアによるウクライナへの攻撃もミャンマーの内戦も終わる兆しがなく、北朝鮮は脅えた犬のように周囲を威嚇し続け、中国の覇権主義はさらに膨張し、移民問題を契機としたヨーロッパの右傾化は現在進行形で加速し、シリアやイエメンやリビアの内戦も終わる気配がない一年だったけれど、でも希望は決して途絶えない。 時おり言われる。これほどに殺伐とした世界なのに、なぜ「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」とおまえは言えるのかと。わかってるよそんなこと。だからこそ言い続ける。世界はもっと豊かなはずだし、人はもっと優しいはずなのだ。 前に進む。正しい方向に進む。そのために過去を忘れない。だから心に刻む。血と涙で溢れた一〇一年前の残酷な九月のことを。 - 著者プロフィール - 森達也 (モリ タツヤ) (著/文) 1956年広島県生まれ。映画監督・作家。98年、ドキュメンタリー映画『A』を公開。2001年、続編『A2』で山形国際ドキュメンタリー映画祭特別賞・市民賞。2023年、劇映画『福田村事件』で釜山国際映画祭ニューカレンツ賞を受賞。著書に『放送禁止歌』『死刑』『A3』(講談社ノンフィクション賞)、『いのちの食べかた』『フェイクニュースがあふれる世界に生きる君たちへ』『ぼくらの時代の罪と罰』『千代田区一番一号のラビリンス』『虐殺のスイッチ』他多数。
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ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家 サハリン少数民族ウイルタと「出会う」 | 北海道立北方民族博物館(監修), 高島屋史料館TOKYO(編)
¥2,860
図書出版みぎわ 2024年 オープンバック製本 200ページ A5判 - 内容紹介 - かつて網走にあった、小さな資料館を未来に伝える―― 北海道のオホーツク海に面した網走の地に、「ジャッカ・ドフニ」と呼ばれたサハリン少数民族の資料館が存在した。「ジャッカ・ドフニ」は、ウイルタ語で「大切なものを収める家」を意味し、北方少数民族であるウイルタのほか、ニヴフ、サハリンアイヌといった、サハリンに暮らした人々の生活や文化を伝えることを目的とした私設資料館だった。 2024年、髙島屋史料館TOKYOで開催された展覧会を図録で再現、貴重な資料をオールカラーで掲載する。 - 目次 - はじめに ジャッカ・ドフニを未来へつなぐ 第1章 サハリン(樺太) サハリン島の歴史/ジャッカ・ドフニ年表/ウイルタについて 第2章 ジャッカ・ドフニ ジャッカ・ドフニの設立/ゲンダーヌさん/北川アイ子さん 北海道網走に暮らした北川アイ子さんの生活(撮影/1997-1998年) 私たちが見たジャッカ・ドフニ 私の見たゲンダーヌさんと北川アイ子さん 瀧口夕美 曖昧な国境と国籍 黒川創 対談 私たちが見たジャッカ・ドフニ 瀧口夕美・黒川創 第3章 ウイルタの文化 ジャッカ・ドフニの展示/衣服類/かぶりもの/儀式の道具類/トナカイ飼育 /白樺樹皮容器 宮本馨太郎作品「オロッコ・ギリヤークの生活」(1938年8月) 第4章 交流のあった民族 サハリン島の先住民族・少数民族 北川アイ子『私の生いたち』 特別掲載 新田樹「雪」 解説 日本帝国と樺太先住民族 加藤絢子 日露/日ソの境界変動と樺太アイヌの歴史 田村将人 ジャッカ・ドフニと博物館の歴史と構造 犬塚康博 民族の心――北川アイ子さんとの対話から 弦巻宏史 資料館ジャッカ・ドフニ 90年代を振り返る 青柳文吉 - 前書きなど - かつて、北海道のオホーツク海に面した網走の地に「ジャッカ・ドフニ*」と呼ばれたサハリン少数民族の資料館がありました。「ジャッカ・ドフニ」とは、ウイルタ語で「大切なものを収める家」を意味し、ウイルタを中心に、ニブフ、サハリンアイヌといった、サハリンに暮らした少数民族の生活文化を伝えた稀有な私設資料館です。この「ジャッカ・ドフニ」は2012年、多くの人に惜しまれながら約35 年にわたる活動に終止符を打ちます。その後、そこで所蔵されていた資料の全てが、北海道立北方民族博物館に引き継がれました。本書では、「ジャッカ・ドフニ」の所蔵資料をはじめてまとまった形で公開した髙島屋史料館TOKYOの展覧会を、紙面で再現しました。 *「ジャッカ・ドフニ」の正式名称は北方少数民族資料館ジャッカ・ドフニです。 (本書「はじめに」より) - 版元から一言 - 2024年3月16日(土)~2024年8月25日(日)に日本橋の高島屋史料館TOKYOで開催中の展覧会の公式図録です。展示された資料の写真を全て掲載するだけでなく、展示風景の写真も多く掲載しています。展示を見た方も、見られなかった方も楽しんでいただける本です。 - 著者プロフィール - 北海道立北方民族博物館 (ホッカイドウリツホッポウミンゾクハクブツカン) (監修) 北方諸地域に生活する先住民の文化と歴史を研究し、その成果を広く一般に普及することを目的として1991年2月10日に開館。グリーンランドから北欧まで、アイヌ文化を含めた北方民族の文化とオホーツク文化を紹介する、国内では唯一、世界的にも数少ない北方地域を専門とする博物館。常設展示では世界各国から集めた約900点を衣食住、生業等のテーマ別に展示し、北方に暮らす人びとの文化を紹介する。 高島屋史料館TOKYO (タカシマヤシリョウカントウキョウ) (編) 重要文化財である日本橋髙島屋S.C.本館に、2019年3月に開館。展示室と旧貴賓室(セミナールーム)にて、展示活動に加えトークイベントやワークショップなどを開催。これまで扱ってきたテーマは、建築・都市から百貨店、ショッピングモール、ひいては来訪神、北方少数民族ウイルタまで多岐にわたる。また、こうした企画展がわずか50㎡の展示室において盛りだくさんな情報量で展開されることから、一部では展示スタイルが「史料館TOKYO方式」として話題に。
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家の哲学 家空間と幸福 | エマヌエーレ・コッチャ, 松葉 類(翻訳)
¥2,750
勁草書房 2024年 ハードカバー 196ページ 四六判 - 内容紹介 - 都市にすべてを位置づけてきた哲学は、今こそ家を論じなければならない。わたしたちの幸福と惑星の未来は家のなかにある。 浴室、キャビネット、ベッド、廊下、台所──家を通してわたしは「他者」となり、また「他者」はわたしとなる。家は「雨風を防ぐもの」「所有された空間」ではなく、わたしのメタモルフォーゼが繰り返される、幸福の実験場である。「生」の変様を記述する哲学者コッチャによる、現代の家についての哲学的エッセー集。 【原著】Emanuele Coccia, Filosofia della casa: Lo spazio domestico e la felicita(Einaudi, 2021) 目次 序論 都市の彼方の家 1 引っ越し 2 愛 3 浴室とトイレ 4 家のなかの物 5 キャビネット 6 双子 7 白い粉 8 ソーシャル・ネットワーク 9 部屋と廊下 10 ペット 11 庭と森 12 台所 結論 新しい家、あるいは賢者の石 謝辞 本書の成り立ち 参考文献 訳者あとがき - 著者プロフィール - エマヌエーレ・コッチャ (エマヌエーレ コッチャ) (著/文) 1976 年イタリア生まれ。フィレンツェ大学博士(中世哲学)。フランスの社会科学高等研究院(EHESS)准教授。フライブルク大学准教授を経て、2011 年より現職。著書にLa trasparenza delle immagini. Averroè e l’averroismo (Mondadori, Milan, 2005), La Vie sensible (tr. de M. Rueff, Payot et Rivages, Paris, 2010), Le Bien dans les choses (tr. de M. Rueff, Payot et Rivages, Paris, 2013), Hiérarchie. La société des anges (tr. de Joël Gayraud, Paris, Rivages, 2023) など。邦訳書に、『植物の生の哲学:混合の形而上学』(勁草書房、2019 年)、『メタモルフォーゼの哲学』(勁草書房、2022 年)がある。 松葉 類 (マツバ ルイ) (翻訳) 1988 年生まれ。京都大学文学研究科博士課程研究指導認定退学。博士(文学)。現在、立命館大学客員協力研究員。専門はフランス現代思想、ユダヤ思想。著書に、『飢えた者たちのデモクラシー:レヴィナス政治哲学』(ナカニシヤ、2023 年)。訳書にジャン=フランソワ・リオタール『レヴィナスの論理』(法政大学出版局、2024 年)、共訳書にフロランス・ビュルガ『猫たち』(2019 年)、エマヌエーレ・コッチャ『メタモルフォーゼの哲学』(勁草書房、2022 年)。
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結婚差別の社会学 | 齋藤 直子
¥2,200
SOLD OUT
勁草書房 2017年 ハードカバー 312ページ 四六判 - 内容紹介 - 被差別部落出身者との恋愛や結婚を、出自を理由に反対する「結婚差別」。部落出身者との結婚をめぐる家族間の対立、交渉、破局、和解などのプロセスを、膨大な聞き取りデータの分析から明らかに。同時に、結婚差別の相談・支援活動の事例から「乗り越え方」のヒントを探る。部落差別の根本問題を徹底的に調査研究した画期的な成果。 - -目次 はじめに 第1章 部落問題とは何か 1 部落問題とは何か・部落出身者とは誰か 2 部落差別はもうない!? 3 近年の部落差別事象 第2章 結婚差別はどのように分析されてきたか 1 結婚差別の膨大な記録 2 部落(同和)問題をめぐる意識調査・実態調査 3 二〇〇〇年代以降の研究 4 配偶者選択論と結婚差別 第3章 結婚差別のプロセス 1 ひとつの事例から 2 結婚差別問題のプロセスで起こること 3 調査の概要 第4章 うちあけ 1 うちあけるか、うちあけないか 2 うちあけしなかったケース 3 うちあけしたケース 4 恋愛差別 5 部落出身同士 6 うちあけへの対処 第5章 親の反対 1 結婚差別と親 2 ひとつの事例から 3 反対を受けなかったケース 4 親の反対と交際の破局 5 反対する親と縁を切る 6 結婚に反対する理由 7 親子仲は強まっているのか 第6章 カップルによる親の説得 1 強い反対にどう対抗していくのか 2 熱意 3 人柄 4 既成事実をつくる 5 「縁切り」をする・ほのめかす 6 弱いが粘り強く 第7章 親による条件付与 1 消極的な容認 2 栄さんのケース 3 条件の類型 4 条件付与にいたるさまざまなルート 第8章 結婚差別問題では何が争われているのか 1 祝福をめぐる攻防 2 「祝福」は不必要か 3 「親戚」「世間」の効力 4 「脱部落化」と「忌避の合理化」 5 もちこされる差別 第9章 結婚後差別 1 家庭内での差別 2 「結婚後差別」のひとつのケース 3 結婚後に出身が明らかになったケース 4 「非告知」という条件の維持 5 忌避の継続 6 親の態度変容の可能性 7 家族関係の安定と不安定 第10章 支援 1 親との関係をどう考えるか 2 支援の多様性を 3 耳を傾けて、本人が決める 4 部落問題と向き合う 5 心理的なケア 6 その後をみすえた支援を 7 人をつなぐ おわりに 参考文献 索引 - 著者プロフィール - 齋藤 直子 (サイトウ ナオコ) (著/文) 1973年生まれ。大阪市立大学人権問題研究センター特任准教授。2006年, 奈良女子大学大学院人間文化研究科単位取得退学。博士(学術)。専門:部落問題研究, 家族社会学。主な著作・論文:「結婚差別問題と家族」永田夏来・松木洋人編 『入門 家族社会学』(新泉社, 2017), 「都市型被差別部落への転入と定着――A地区実態調査から」大阪市立大学人権問題研究センター『人権問題研究』第10号, 2010など。
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悪口論 脅しと嘲笑に対抗する技術 | 小峰 ひずみ
¥2,640
百万年書房 2024年 ソフトカバー 248ページ 四六判 縦128mm 横188mm 厚さ17mm - 内容紹介 - 私たちは社会を賢くしなければならないのであって、あなたが賢くなる必要はない。 『平成転向論 SEALDs 鷲田清一 谷川雁』著者が、哲学対話をきっかけに考えた「悪口」という戦術。 - 目次 - 第一章 感情論 Ⅰ 男根主義 Ⅱ 感情 Ⅲ 連帯 Ⅳ 力 Ⅴ 問題 第二章 悪口論 Ⅰ 職場で Ⅱ 政治運動で Ⅲ 悪口 Ⅳ 狂信者 Ⅴ レーニン 第三章 (生き)恥論 Ⅰ 恥 Ⅱ 罵倒 Ⅲ 仲間 Ⅳ 死 Ⅴ 裏切り 第四章 言行論 Ⅰ シェアハウス Ⅱ シニシズム Ⅲ 技術 Ⅳ 臨床哲学 第五章 何をいかに受け継ぐべきか Ⅰ 対話 Ⅱ 嘲笑 Ⅲ 社会 Ⅳ 物語 Ⅴ 誰でも、いつでも、どこでも Ⅵ ブーメラン 悪口論--脅しと嘲笑に対抗する技術 注釈 - 版元から一言 - 恐怖と安堵のあわいで生き恥を晒し、資本主義に悪酔いしながらも負け組の積極財政派として欲望を仕分けせずに生きていくということ。なんたる難題。だけど、誠実すぎる言葉がここには無数にある。 作家・活動家 雨宮 処凛 権力の脅しに慣れきった民衆。民主主義や反資本主義を唱えるが自らは行動しない大学人。本書は彼らの喉元に鋭い刃を突きつける。政治的指導者観を一新したマキャヴェリ『君主論』を連想させる、新しい「市民論」。 西洋史学者 将基面 貴巳 学生運動が消えた阪大で鷲田清一に憧れて哲学カフェする連中を憎んだ。でも、僕は何もしなかった。小峰ひずみは臨床哲学を変異させて活動家になった。何をなすべき(だった)か。実践で実践を教える実践書だ。 文筆家 綿野恵太 著者が、本書で、自らの半生をかように身も蓋もなく開示するのは、「あなたも書ける」と知らせるためだ。いかに他者の知を継承し、いかにこれを手渡すか、聞く耳をもたせるか、体を向かわせるか、そのために言葉は綴られる。「あなたも書ける」と言い切ることにすべてを懸ける。その気概に、しっかりと打たれてしまった。 彫刻家・評論家 小田原のどか 分断の時代だといわれる。だから、ケアや「推し」で他人をいたわるのが美徳だと思われている。誹謗中傷などもってのほか。が、分断がなければ連帯なく、断橋がなければ架橋はない。対立の力を熾烈な交流へと変換する谷川雁の工作者の精神は哲学対話にひきつがれていた。本書を読んで、私は小峰ひずみと対話したいとまったく思わなかったが、小峰はそんなことお構いなしに語りかける。うっぜ。しかし、そのうざさのなかでこそ悪口は悪口の技術を獲得するのだ。悪口をやめるのではなく、悪口の技術を学ぶ道を採るとき、政治運動はすべての人にその門戸を開く。 在野研究者 荒木優太 悪口上等、ぶつかってナンボ。「正しさ」に縛られ、物申す手段は投票しかないと刷り込まれた私たちの横っ面を、本書は叩(はた)く。生身の人と人とが散らす火花からだけ、この沈鬱とした社会を変えうる狼煙は上がるのだ。 ノンフィクション作家 藤原賢吾 社会に絶望したふりをして絶望しきれずにいる私たちに、いま必要なのは運動の「技術」なのだと思う。「そうだそうだ」と「それはどうだろう」の先に「じゃあどうする?」を突きつける実践の書。 新聞記者 滝沢文那 罵倒語を豊かにしたいと考えてきたのでわが意を得るところが少なくない。若いといってももう三十路の書き手だから当然と言えば当然だが、文章は平明で、ポレミークの運びは緻密で周到で戦略的だ。その<戦略>は過剰なまでにスリリングである。「活動家」には論理の不備を衝く「知識人」として挑発し、「知識人」には「知識人は味方のような敵だ」と、「活動家」の立場で威圧する。『平成転向論』同様、共感と敵対を無数に組織する<技術>は端倪すべからざるものだ。 批評家 菅孝行 批評と運動の二刀流、「知の大谷翔平」こと小峰ひずみに瞠目せよ! 本書は世界とあなたの未来を、劇的に変革する。必読‼︎ 作家/アイドル評論家 中森明夫 どれほどくだらない運動も(あ、「悪口」を云ってしまった)何か良きものを生み出す可能性を秘めている。80年代後半の土井社会党ブームは私を生み出したが、“2015年安保www”(あ、「嘲笑」してしまった)は小峰ひずみを生み出したようだ。 革命家 外山恒一 - 著者プロフィール - 小峰 ひずみ (コミネ ヒズミ) (著) 大阪府生。大阪大学文学部卒。 第65回群像新人評論賞で「平成転向論 鷲田清一をめぐって」が優秀作に選出される。著書に『平成転向論 SEALDs 鷲田清一 谷川雁』(講談社)。論考に「大阪(弁)の反逆 お笑いとポピュリズム」(『群像』2023年3月号)、「人民武装論 RHYMESTERを中心に」(『ことばと vol.6』)、「平成世代が描く左翼像」(『中央公論』2022年10月号)、「議会戦術論――安倍晋三の答弁を論ず」(『群像』2024年7月号)、座談会に「戦術談義 運動の技術/現場の工夫」(『情況』2024年春号)。
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拷問と処刑の西洋史 | 浜本 隆志
¥1,375
講談社 2024年 講談社学術文庫 ソフトカバー 296ページ 文庫判 - 内容紹介 - 啓蒙主義と人権思想を生んだヨーロッパの「光」の歴史の裏には、数多の人間を血祭りに上げてきた、陰惨たる「闇」の系譜があった! 火刑、斬首、車裂き……親指詰め、ハシゴ吊るし、「スペインのブーツ」……王殺しや異端審問、魔女裁判を通して発明された拷問と処刑のシステムを、社会の秩序回復と体制強化のための非人間的な権力装置として読む、異色にして出色の文化史。 【目次】 序 章 ヨーロッパ史の光と影 第一章 王殺しの記憶 第二章 異端審問と「死の祭典」 第三章 魔女裁判の歴史 第四章 拷問という権力装置 第五章 裁判と処刑の実態 終 章 ヨーロッパ史の闇の系譜 あとがき 処刑関係略史 参考文献 学術文庫版へのあとがき 【本書の主なトピック】 ●15分で失神……究極の拷問具「ボック」とは? ●斬首、絞首、火刑、生き埋め、車裂き……最も重い刑罰は何? ●水審……沈んだら「無罪」、浮いたら「魔女」確定 ●映画やメルヘンにも登場、「鉄の処女」伝説の虚実 ●マリー・アントワネットの母作成、「拷問図説マニュアル」 ●太陽王ルイ14世の治世を脅かした「パリの黒ミサ事件」 ●舌を抜いたらおいくら? 拷問と処刑のお値段 - 著者プロフィール - 浜本 隆志 (ハマモト タカシ) (著/文) 1944年香川県生まれ。関西大学名誉教授。専攻はドイツ文化論・比較文化論。著書に『ドイツ・ジャコバン派』『鍵穴から見たヨーロッパ』『紋章が語るヨーロッパ史』『指輪の文化史』『ねむり姫の謎』『魔女とカルトのドイツ史』『謎解き アクセサリーが消えた日本史』『モノが語るドイツ精神』『「笛吹き男」の正体』など、共・編著に『現代ドイツを知るための67章』『ヨーロッパの祭りたち』などがある。
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有害な男性のふるまい 進化で読み解くハラスメントの起源 | デヴィッド・M・バス, 加藤 智子(翻訳)
¥3,520
草思社 2024年 ソフトカバー 448ページ 四六判 - 内容紹介 - セクハラ、モラハラ、性的暴力、マッチングアプリでの出会い… なぜ人類のすべてが性的葛藤と闘わなければならないのか。 そこには、「男女で異なる性戦略をとってきた」という、 生物としての深い進化の歴史が関係していた。 進化生物学の観点から男女の性的対立の根源を明らかにし、 社会科学や家父長制の研究の上に新たな知見を加え、 男女の調和の道を探る、画期的書籍! ◆各界絶賛!◆ 「セクシャル・ハラスメントや性的暴力、ごく普通な夫婦間の不幸を、デヴィッド・バスの進化論的レンズなしに理解し減らそうとするのは、細菌理論なしに伝染病を理解し、撲滅しようとするようなものだ」 ジョナサン・ハイト(『社会はなぜ左と右にわかれるのか』) 「性的な攻撃に対する社会的関心は道徳的に大きな進歩であるが、我々の知的文化は、科学、常識、生活経験に反する神話や教義に執着しており、それを理解しようとする試みに躓いている。人間の性的衝突の世界的専門家たるデヴィッド・バスは、魅力的でタイムリーな本書でこれらを整理し、私たちがこれらの弊害を理解し、最小限に抑えるためのよりよい方法を身につける手助けをしてくれる」 スティーブン・ピンカー(『21世紀の啓蒙』) 「すべての霊長類が証明しているように、男女の関係性ほど私たちを惹きつける話題はない。そして、デヴィッド・バスはその興味を、経験的な発見に基づく厳密な科学、そして進化論的思考に根ざした科学に変える先駆者として、長きにわたって活躍してきた。本書は、この分野における大きな貢献である」 ロバート・M・サポルスキー(『善と悪の生物学』) 「本書は、世界で広まっている人権問題と言われているものを見事に分析している。権威があり、洞察力に優れ、共感できるバス氏の著書は、#MeToo世代にとって完璧な情報源だ」 リチャード・ランガム(『善と悪のパラドックス』) - 目次 - 第1章 男対女の戦い 第2章 配偶市場 第3章 恋愛・結婚生活の悩み 第4章 恋愛・結婚関係の対立に対処する 第5章 パートナーによる暴力 第6章 破局後のストーカー行為と復讐 第7章 性的強要 第8章 性的強要から身を守る 第9章 男女のギャップに目を向ける - 著者プロフィール - デヴィッド・M・バス (デヴィッド エム バス) (著/文) 心理学者。進化心理学の第一人者で、配偶者選択に関連したヒトの性差の進化心理学的研究でよく知られている。著作に、『女と男のだましあい:ヒトの性行動の進化』(草思社)、『「殺してやる」:止められない本能』(柏書房)、『一度なら許してしまう女一度でも許せない男:嫉妬と性行動の進化論』(PHP研究所)などがある。 加藤 智子 (カトウトモコ) (翻訳) 翻訳者。筑波大学第二学群比較文化学類卒。英国イースト・アングリア大学文芸翻訳修士課程、米国ミドルベリー国際大学院モントレー校翻訳・通訳修士課程を修了。訳書に『なぜ心はこんなに脆いのか』(草思社)、『ジョン・レノン 最後の3日間』(祥伝社)、『困った上司・やっかいな同僚:職場のストレスに負けない人の考え方』(二見書房)、『アメリカン・ハードコア』(メディア総合研究所 )など。
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からゆきさん 異国に売られた少女たち | 森崎 和江
¥682
朝日新聞出版 2024年 朝日文庫 ソフトカバー 263ページ 文庫判 縦128mm 横188mm 厚さ17mm - 内容紹介 - 人気漫画家の今日マチ子さんが新装版カバーを描き下ろし! 衝撃の傑作ノンフィクションが復刊! ! 500円で外国の娼館に売られた少女は、まだ恋も知らなかった。 〔概要〕 16歳で朝鮮に売られ、狂死したキミ。東南アジアで財をなし、壮絶な自殺を遂げたヨシ。ふるさとを思い、売られていった女たちが、異国の地で見た夢は何だったのか――。綿密な取材と膨大な資料をもとに、「からゆきさん」の軌跡を辿った名作が、新装版で復刊。解説は斎藤美奈子氏。 ●歴史の闇に埋もれた少女たちを描いた、傑作ノンフィクション 「からゆきさん」とは、明治、大正、昭和の日本で、貧しさゆえに外国の娼館に売られていった少女たちの総称です。第二次世界大戦後、彼女たちの存在は「戦前日本の恥部」として一般に知られることはありませんでした。本書は、関係者への綿密な聞き取り調査、当時の新聞記事など膨大な資料調査をもとに、知られざるからゆきさんの真実に迫った感動のルポルタージュです。1976年に単行本として刊行され、1980年に文庫化した話題作が、文庫新装版で復刊します。 ●装画は人気漫画家の今日マチ子が担当 可愛らしいタッチで、若い世代を中心に人気の漫画家、今日マチ子氏。『cocoon』、『アノネ、』『ぱらいそ』といった「戦争シリーズ」のように、絶望の世界でひたむきに生きる少女たちを描いてきた今日氏が、21世紀のいま、からゆきさんに新たな息吹を吹き込んでいます。 ●「格差社会」の今こそ読まれるべき良書 豊かになったとはいえ、新聞やテレビが連日のように貧困・格差の問題を取り上げている今日の日本。からゆきさんは決して「過去の話」ではなく、増加する派遣労働や非正規雇用、男女差別、地域による格差など、いま日本が抱える問題を考える上で、手がかりとなるはずです。 ●解説の文芸評論家・斎藤美奈子も太鼓判! 「『からゆきさん』は、あらためて、21世紀のいまこそ読まれるべき本だといえましょう。40年前の森崎和江が私たちのカンテラであったように、本書が、性の商品化を、国際間、地域間の経済格差を、そして女性の生き方を考えるうえでの、大きな手がかりであることはまちがいありません」(斎藤美奈子氏の解説より)
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〈怪奇的で不思議なもの〉の人類学 妖怪研究の存在論的転回 | 廣田 龍平
¥3,080
青土社 2024年 ハードカバー 312ページ 四六判 - 内容紹介 - 妖怪は本当に存在しないのか? 「妖怪は超自然的で非科学的で現実には存在しない」。それはつくられた伝統である。アクターネットワーク理論やパースペクティヴィズム、マルチスピーシーズ人類学などを駆使し、新しい妖怪研究がここに展開される。TikTokや2ちゃんねる等で流通するネット怪談までをフィールドとする俊英による、民俗学と人類学を架橋する画期の書。
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引き揚げを語る 子どもたちの戦争体験 | 読売新聞生活部
¥693
岩波書店 2024年 岩波ブックレット ソフトカバー 72ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ5mm - 内容紹介 - 「それからのことはどうしても思い出せないんです」「人の死がありふれていました」――。第二次大戦が終わり、満州、朝鮮半島、台湾など外地で生活していた人たちの多くが命からがら日本に帰ってきた。その苦難の証言が大きな反響をよび投稿が相次いだ連載企画に、識者インタビュー、記念資料館案内、ブックガイドを増補。 - 目次 - まえがき……………小坂佳子 Ⅰ 引き揚げとは……………加藤聖文(駒沢大学教授、日本近現代史) Ⅱ 引き揚げを語る 1 父の言葉を背に、兄と三八度線を越えた 2 収容施設で母と妹を亡くす 3 決死の逃避行、脳裏に悲痛な母 4 南樺太から帰郷、貧しかった戦後 5 集団自決、ソ連兵 6 妹と二人だけ、不安の帰国 7 「私世代で最後」 8 荒れ狂う大海原を密航船で 9 「父親に子どもを渡さずには死ねない」 10 母との約束「死んだら書き置いて」 引き揚げ体験を振り返る……………ちばてつや(漫画家) Ⅲ 引き揚げを知る・学ぶ 施設紹介 ブックガイド あとがき……………小野 仁
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ハーレムの熱い日々 | 吉田 ルイ子
¥990
筑摩書房 2024年 ちくま文庫 ソフトカバー 272ページ 文庫判 - 内容紹介 - 黒人差別への抗議が広がった60年代ニューヨーク・ハーレムに暮らし、隣人たちの眼差しを撮り続けたフォトジャーナリスト吉田ルイ子。貧困・麻薬・売春・差別に象徴される街で、ブラックパワーの逞しさにふれ、自らの差別意識と向き合いながらシャッターを切った。女性や子ども、弱き立場の人びとの語らいに耳を澄ませ、人間としての誇りを取り戻すことに目覚めた黒い肌の輝きを、カメラとペンでヴィヴィッドに捉えてゆく。 エッセイ/『ハーレムの熱い日々』によせて 伊藤詩織 - 目次 - ハーレムとの出会いは偶然だった 差し出された黒い手 ハーレム低所得者団地 あんた、いい男と一緒になったネ 小さな友だち ピクチュアウーマン誕生 洗濯場の女たち ワーラーメーロン ピクチュアウーマン誕生 ハーレム百二十五丁目のヒーローたち 鳥肌がたつくらい興奮した ハーレムのジャズマン 白いキャデラックと黒いピンプ(ポン引き) ハーレムのシンデレラは売春婦 私は差別の複雑さの中にいた 黒と白 黄と黒と白 ハーレムに何かが起こりはじめた ブラックモスレム――誇りの回復 暴動、そしてハーレムを追われる 誰がハーレムを“怖い”と言ったのか? リベラル白人への不信 怪電話でノイローゼになる ピストルを枕の下に 今すぐ、ハーレムに帰りたい 黒い輝きはまぶしかった ハーレム再会 街はブラック、ブラック、ブラック パンサー党と空手道場 日本の赤軍派の人と会う 銃が人を殺すのではない Right on! 日系人の活動家――ママさん、メリー 第三世界結集への道 黒い輝きは消えない 黒にめざめる黒人たち 黒人のモデルたち パンサー党員のモダンバレリーナモデル、バーバラ アメリカの資本家から金を巻き上げてるのよ 白人が作りあげたセックスの神話 貧困のポケットの中には何が入っている? 広告会社はじめての仕事 キング牧師が殺された翌日のこと ハーレムは私を育ててくれた 日本に帰って 文庫版あとがき アメリカのできごと エッセイ 伊藤詩織 - 著者プロフィール - 吉田 ルイ子 (ヨシダ ルイコ) (本文) 1934年北海道室蘭市生まれ。慶応義塾大学法学部卒。NHK国際局、朝日放送アナウンサー勤務の後、1961年フルブライト交換留学生として渡米。オハイオ州立大学とコロンビア大学で学び、フォトジャーナリズム専攻で1964年コロンビア大学より修士号を取得する。そのままニューヨークに滞在し、ハーレムに住んで写真を撮りはじめる。1968年ハーレムの子どもを撮った写真で公共広告賞を受賞。帰国後は北米、中米、東南アジア、中東、アフリカと世界を駆けめぐり、人々の生活、感情に思いを寄せた視点で、写真を撮りつづけた。2024年5月31日、89歳で逝去。
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ひっくり返す人類学 生きづらさの「そもそも」を問う | 奥野 克巳
¥946
筑摩書房 2024年 ちくまプリマー新書 ソフトカバー 208ページ 新書判 - 内容紹介 - 世界には、「貧富の差」のない共同体や、学校に行かずそもそも「教わる」という概念もない社会が存在する。常識を常識をひっくり返して「そもそも」を問う思考法には、問題を定義し直し、より本質的な議論に導く力があります。学校教育や貧富の格差、心の病など、身近で大きな社会・環境危機に人類学で立ち向かう一冊。 【本書で扱う一例】 ヘヤー・インディアンは「教わる」という概念を持たない ⇒学校ってなぜ行くの?そもそも学ぶって何? プナンは獲物もお金もみんなでシェアして貧富の差がない ⇒格差や権力はそもそもなぜ生まれるの? ひっくり返して考えた時、問題の根本が見える。 - 目次 - 序章 人類学でひっくり返すとはどういうことか? 1「精神の危機」によって生まれた人類学 2『ひっくり返す人類学』とは何か? 3本書が目指す「処方箋」としての人類学 第1章 学校や教育とはそもそも何なのか 1私の「お稽古ごと」時代 2ピアノ教室の未知の世界 3学校教育とは何か 4「師弟関係」がないヘヤー・インディアン 5ヘヤーにとって「覚える」とは? 6ボルネオ島の狩猟民プナンにとっての「学び」 7プナンにとって「学校」とは何か? 8学校には行かなければならないの? 9「知識」とともに「知恵」を重んじる 第2章 貧富の格差や権力とはそもそも何なのか 1世界と日本における貧富の格差 2貧富の格差のないプナン社会 3貧富の格差が生じないような仕組み 4権力とは何か 5気前のいいビッグマン、不穏なビッグマン 6権力を生じさせないための工夫 第3章 心の病や死とはそもそも何なのか 1働きすぎやうつ病をめぐる私たちの日常 2うつ病や心の病のない社会 3カリスの唇のあやまち 4それは心の病ではない 5日本における「この世」からの別離 6葬儀の変化、死の消滅 7人が死ぬと残された家族の名前が変わる 8日本の戒名とプナンのデス・ネーム 9死者を「忘れる」 第4章 自然や人間とはそもそも何なのか 1自然と人為という枠組み 2人間から分け隔てられる動物 3自然と人間の二元論に抗する思考 4トリと動物と人間の三者間関係 5動物は思考し、森も思考する 6山や川もまた人間 おわりに - 著者プロフィール - 奥野 克巳 (オクノ カツミ) (本文) 1962年、滋賀県生まれ。立教大学異文化コミュニケーション学部教授。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。著書に『「精霊の仕業」と「人の仕業」』(春風社)『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(亜紀書房、のちに新潮文庫)『絡まり合う生命』(亜紀書房)『これからの時代を生き抜くための文化人類学入門』(辰巳出版)『はじめての人類学 』(講談社現代新書)など多数。