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生類の思想 体液をめぐって|藤原 辰史
¥2,970
かたばみ書房 2025年 ハードカバー 288ページ 四六判 縦188mm 横129mm 厚さ25mm - 内容紹介 - 大気・海洋・土壌汚染、アレルギーの増加、免疫の不調、 日常化する暴力、子どもの商品化、奪われる睡眠時間……。 この世界の現実をどう捉えるか。 「人間」と「環境」を根源から定義しなおし、 ありえたかもしれないもうひとつの世界を描きだす。 世界の高速回転化と自己攻撃化にあらがう 驚くべき思考の集成。 - 目次 - はしがき Ⅰ わずらう 体液をめぐる思考――生類の思想が編み直されるところ 慢性と急性――人文学的省察 「自己する」の不調――アレルギー時代の人文学的考察 Ⅱ あそぶ 家庭科の哲学――「人間する」を遊ぶ 墨色と泥色の記憶――かこさとしの絵の淡い濁りについて 子どもの商品化に抗する思想 いま環境について考えるとはどういうことか Ⅲ はぐくむ 農業技術への問い――ハイデガーの概念「はぐくむhegen」について 土の思想をめぐる考察――脱農本主義的なエコロジーのために さつまいもと帝国日本 賢治と道子をつなぐもの――「植物医師」と硫安 Ⅳ たべる 培養肉についての考察 食の闇について 人間チューブ論――食のダイナミズムを考える エディブル・プラネット Ⅴ まじる 「規則正しいレイプ」と地球の危機 表皮の脱領域的考察 もれる――膜が食い破られること 「たかり」の思想――食と性の分解論 あとがき - 著者プロフィール - 藤原 辰史 (フジハラ タツシ) (著) 1976年生まれ。京都大学人文科学研究所教授。専門は農業史、環境史。 主な著書に、『ナチス・ドイツの有機農業』(第一回ドイツ学会奨励賞)、『カブラの冬』、『稲の大東亜共栄圏』、『ナチスのキッチン』(第1回河合隼雄学芸賞)、『トラクターの世界史』、『戦争と農業』、『給食の歴史』(第10回辻静雄食文化賞)、『食べるとはどういうことか』、『分解の哲学』(第41回サントリー学芸賞)、『縁食論』、『農の原理の史的研究』、『歴史の屑拾い』、『植物考』、『食権力の現代史』などがある。
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渦巻の芸術人類学 死と再生のスパイラル ケルト・縄文から現代アニメまで|鶴岡 真弓
¥4,840
青土社 2025年 ハードカバー 464ページ 四六判 - 内容紹介 - ケルトの生命循環と人類の祈り 受難を乗り越え、光となって、強靭に旋回する渦巻――。私たち人類は「死からの再生」と吉祥を願い、渦巻文様を土偶・金工・聖書写本・建築・アニメまでに刻み続けてきた。「生命循環」の象徴としての「スパイラル」に秘められた祈りと創造力。その根源を探求する画期的考察。図版多数。 いにしえの人々も、現代人も変わらない宿命がある。 私たちは人類史の大河をゆく「生身(なまみ)」の一滴であるということだ。 異質な文化文明や存在同士の交流からこそ新たな生命力が渦巻く。 (本書 あとがきに代えて より) - 著者プロフィール - 鶴岡真弓 (ツルオカマユミ) (著) 多摩美術大学名誉教授・芸術人類学者。専門はケルト文化、ユーロ=アジア文明交流史。早稲田大学大学院修了後、アイルランド・ダブリン大学留学。処女作『ケルト/装飾的思考』(筑摩書房)でわが国に於けるケルト文化文明研究の先駆となる。主著に『装飾する魂』『ケルトの魂』(平凡社)、『ケルトの歴史』(共著・河出書房新社)、『阿修羅のジュエリー』(イースト・プレス)、『すぐわかるヨーロッパの装飾文様』(東京美術)、『芸術人類学講義』(編著・ちくま新書)、『ケルトの想像力』(青土社)、『ケルト 再生の思想』(ちくま新書・河合隼雄学芸賞)ほか多数。
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会話の0.2秒を言語学する|水野 太貴
¥1,760
SOLD OUT
新潮社 2025年 ソフトカバー 240ページ 四六判 縦191mm 横130mm 厚さ16mm - 内容紹介 - ゆる言語学ラジオスピーカーが、言語学の魅力をオタク目線で伝える! 会話で相手と交替するまで平均0.2秒。この一瞬にどんな高度な駆け引きや奇跡が起きているのか――言語学の歴史を大づかみに振り返りつつ、「食べログ」レビューからお笑いに日銀総裁の会見、人気漫画まで俎上に載せ、日常の言語学をわかりやすく伝える、待望の書き下ろし。なぜうまく話せないのか。悩んでしまうあなたの必読書!
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男性のいない美術史 女性芸術家たちが描くもうひとつの物語|ケイティ・ヘッセル(著), 鮫島圭代(訳)
¥7,480
パイ インターナショナル 2025年 ハードカバー 512ページ B5変型判 縦240mm 横161mm - 内容紹介 - あなたは女性芸術家を何人知っていますか? これまで「男性中心」だった美術史の影に隠され、評価されてこなかった女性芸術家たちに焦点を当て、ルネサンスから現代まで、300点を超えるカラー作品とともに、語られることのなかった芸術の物語を紐解いていきます。ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー。ウォーターストーンズ・ブック・オブ・ザ・イヤー2022受賞。 ※本書のタイトルは、男性の芸術家中心で構成される従来の美術史書で欠けていた部分を補完したいという原作者の意図を尊重し、原題「THE STORY OF ART WITHOUT MEN」を直訳表記しています。 【掲載アーティスト例(順不同)】 葛飾応為 / ルース・アサワ / 田中敦子 / 石内都 / 草間彌生 / オノ・ヨーコ / ヒルマ・アフ・クリント / ベルト・モリゾ / メアリー・カサット / マリー・ローランサン / タマラ・ド・レンピッカ / リー・ミラー / フリーダ・カーロ / ジョージア・オキーフ / ジョアン・ミッチェル / ポーリン・ボティ / フェイス・リンゴールド / ニキ・ド・サンファル / ルイーズ・ブルジョワ / ジュディ・シカゴ / ゲリラ・ガールズ / バーバラ・クルーガー / シンディ・シャーマン / ナン・ゴールディン / ピピロッティ・リスト / ソニア・ドローネー / アニ・アルバース / メレット・オッペンハイム / エヴァ・ヘス / マリーナ・アブラモヴィッチ / エミリー・カーマ・イングワリィ / シリン・ネシャット / マルレーネ・デュマス / トレイシー・エミン / カラ・ウォーカー 全250人以上掲載 - 著者プロフィール - ケイティ・ヘッセル (ケイティヘッセル) (著) イギリスの美術史家、配信者、キュレーター。女性アーティストたちの活躍を賞賛するインスタグラム@thegreatwomenartistsや同名のポッドキャストを運営。2021年にはフォーブス誌にて「30歳未満の30人」に選出。
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パンチラインの言語学|川添 愛
¥1,760
朝日新聞出版 2025年 ソフトカバー 200ページ 四六判 - 内容紹介 - 文学、映画、アニメ、漫画……でひときわ印象に残る「名台詞(せりふ)=パンチライン」。この台詞が心に引っかかる背景には、言語学的な理由があるのかもしれない。ひとつの台詞を引用し、そこに隠れた言語学的魅力を、気鋭の言語学者・川添愛氏が解説する。
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君たちの記念碑はどこにある? カリブ海の〈記憶の詩学〉 | 中村 達
¥2,530
柏書房 2025年 ハードカバー 352ページ 四六判 - 内容紹介 - 西洋列強による植民地支配の結果、カリブ海の島々は英語圏、フランス語圏、スペイン語圏、オランダ語圏と複数の言語圏に分かれてしまった。そして、植民地支配は、被支配者の人間存在を支える「時間」をも破壊した。 つまり、カリブ海の原住民を絶滅に近い状況まで追い込み、アフリカから人々を奴隷として拉致し、アジアからは人々を年季奉公労働者として引きずり出し、かれらの祖先の地から切り離すことで過去との繋がりを絶ち、歴史という存在の拠り所を破壊したのである。 西洋史観にもとづくならば、歴史とは達成と創造を巡って一方通行的に築き上げられていくものだ。ゆえに、過去との繋がりを絶たれたカリブ海においては、何も創造されることはなかったし、「歴史のない」もしくは「世界史的に重要でない」地域としてしか表象されえない。 ……本当だろうか? “海が歴史であります” ――デレック・ウォルコット “「目に見える」歴史でなくとも、ここには歴史がある” ――エドワード・ボウ 本書は、『私が諸島である』で「第46回サントリー学芸賞(思想・歴史部門)」を受賞した著者が、カリブ海の風景に沈む地域的記憶を訪ねゆく試みをまとめた一冊である。 西洋の思想家が信奉する歴史の「外」に置かれてきた、カリブ海作家たちが想像/創造するオルタナティヴな思想の精華は、どのような姿をしているだろうか? “日本には、西洋社会の外から発信される記憶の思想を紹介する本はいまだ少ない。本書は、西洋の直線的な記録に抗い、海のような風景のプリズムを通して屈折し、反射し、揺らぎ重なり合い、形を変えながらも消えることのない記憶の光を描き出す、カリブ海の「記憶の詩学」を紹介する。カリブ海作家たちは、文学を通して歴史を再訪し、解体し、再構築し、そしてその記憶を想像/創造し直す。単線的な時間軸に縛られず、歴史を編み直すことで、かれらは過去へ未来へと縦横無尽に航海する多層的な記憶の物語を紡ぎ出すのである。[…]私がカリブ海のアカデミアに身を浸し、読み続けたカリブ海文学が持つ豊饒さを、読者のみなさんにも体験していただきたい。”――「序章 私たちがいなくなることはない」 かれらの詩学的挑戦に、今こそ刮目されたい。 - 目次 - 序 章 私たちがいなくなることはない 第1章 カリブ海作家と「記憶」との諍い 第2章 ホモ・ナランス――「遭遇」の記憶を物語ること 第3章 中間航路を読む――奴隷船と底知れぬ深淵の記憶 補 論 逃走/闘争の記憶――奴隷制とポスト西洋的な自由概念としての「マルーン化」 第4章 カリブ海の偉大な叙事詩――革命闘争の記憶 第5章 フラクタル・ファミリーズ――家族と記憶の倫理学 第6章 音楽という記憶装置――植民地支配の傷としてのトラウマ 第7章 植民地の教育と記憶――未来のために振り返る力 第8章 共に祝うために――国家としての記憶 第9章 革命は男の顔をしているか――カリブ海の女性の記憶 おわりに 参考文献 - 著者プロフィール - 中村 達 (ナカムラ トオル) (著) 1987年生まれ。専門は英語圏を中心としたカリブ海文学・思想。西インド諸島大学モナキャンパス英文学科の博士課程に日本人として初めて在籍し、2020年PhD with High Commendation(Literatures in English)を取得。現在、千葉工業大学准教授。主な論文に、“The Interplay of Political and Existential Freedom in Earl Lovelace’s The Dragon Can’t Dance”(Journal of West Indian Literature, 2015)、“Peasant Sensibility and the Structures of Feeling of ‘My People’ in George Lamming’s In the Castle of My Skin”(Small Axe, 2023)など。日本語の著書に『私が諸島である――カリブ海思想入門』(書肆侃侃房、2023)。2024年11月、同書で第46回サントリー学芸賞(思想・歴史部門)を受賞。
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私が諸島である カリブ海思想入門|中村 達
¥2,530
書肆侃侃房 2025年 ハードカバー 344ページ 四六判 - 内容紹介 - この海の下で我々は手を取り合う━━。 カリブ海思想について新たな見取り図をえがく初の本格的な入門書。 西洋列強による植民地支配の結果、カリブ海の島々は英語圏、フランス語圏、スペイン語圏、オランダ語圏と複数の言語圏に分かれてしまった。それらの国々をそれぞれ孤立したものとしてではなく、諸島として見るということ。カリブ海をひとつの世界として認識し、その独自の思想を体系化する画期的著作。これからのカリブ海思想研究のためのリーディングリストを付す。 「web侃づめ」の大好評連載が大幅増補され、ついに書籍化! カリブ海思想研究の俊英による待望のデビュー作。 「私が目指すのは、「カリブ海思想には独自の歴史がある」ということをお見せすることだ」(中村達) - 目次 - 序章 冒険の季節 第1章 ひとつの世界としてのカリブ海 第2章 1492を越えて、人間であること 解呪の詩学 第3章 カリブ海を定義する者へ 存在論的不純性 第4章 神話とカリブ海 悲しくも希望に満ちた叙事詩 第5章 出会いを押し進めるために 相互歓待 第6章 カリブ海の社会モデル論 プランテーション、多元、クレオール 第7章 環カリブ海的経験のクレオライゼーション この海の下で我々は手を取り合う 第8章 カリブ海によるクレオール的時政学 海が歴史である 第9章 ミサイルとカプセル 円環性の実践としての弁潮法 第10章 ニヒリズムに抗うクロス・カルチュラルな想像力 カリブ海的身体と幻肢 第11章 カリブ海のポストモダンの地平 カリビアン・カオス(前編) 第12章 カリブ海のポストモダンの地平 カリビアン・カオス(後編) 第13章 押し付けられた言語は誰の存在の家か 私ー像を描く言語 第14章 クレオール礼賛の裏で カリビアン・フェミニズム 第15章 クレオールの精神 カリビアン・クィア・スタディーズ 終わりに 参考文献 カリブ海思想研究リーディングリスト - 著者プロフィール - 中村達 (ナカムラ トオル) (著) 1987年生まれ。専門は英語圏を中心としたカリブ海文学・思想。西インド諸島大学モナキャンパス英文学科の博士課程に日本人として初めて在籍し、2020年PhD with High Commendation(Literatures in English)を取得。現在、千葉工業大学助教。主な論文に、“The Interplay of Political and Existential Freedom in Earl Lovelace's The Dragon Can't Dance”(Journal of West Indian Literature, 2015)、“Peasant Sensibility and the Structures of Feeling of "My People" in George Lamming's In the Castle of My Skin”(Small Axe, 2023)など。
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内在的多様性批判 ポストモダン人類学から存在論的転回へ|久保 明教
¥2,970
作品社 2025年 ハードカバー 328ページ 四六判 - 内容紹介 - ★作品社公式noteで「序論」公開中→「内在的多様性批判 試し読み」で検索! 「みんなちがって、みんないい」とは、いかなることでありうるのか? 最注目の俊英による人類学的考察。 ■國分功一郎(哲学者) 「かつて、多くの者たちがその問いについて悩んでいた。だが、あきらめずに最後まで考えようとする者は少なかった。いま、あきらめずに考え続けた者たちからの贈りものがここに一冊の書物として現れる。現代の隘路から決して目をそらさなかった著者による渾身の一冊。」 ■松村圭一郎(人類学者) 「文化相対主義は、なぜ人類学のテーゼではなくなったのか? 人類の多様性という視点に潜む矛盾はどう克服できるのか? 本書は、ポストモダン人類学から存在論的転回までの歩みを独自に転回しなおすことで、人類学者自身も言語化してこなかった難問に挑む。現代人類学がたどりついた理論的地平の最前線がここにある。」 SNSを中心に多様性の尊重が規範化された現代社会で、私たちは「多様性による統治」という新たな不自由を獲得しつつある――バラバラな世界をバラバラなまま繋げるための思考はどのように可能なのだろうか? 多様性批判の学として人類学を捉え直し、二〇世紀末からポストモダン人類学にいたる軌跡をたどり、二一世紀に提唱された存在論的転回までの学問的潮流を再考したうえで、「転回」のやりなおしとして「内在的多様性批判」を提示し、私たちにとって多様性というものがいかなるものであり、いかなるものでありうるかを思考する。 「本書の目的は、二〇世紀後半から現在までの文化・社会人類学の軌跡、とりわけポストモダン人類学から存在論的転回にいたる主な人類学者の議論を、多様性についての内在的な批判として提示することである。ここで言う「批判」とは、多様性を否定して同質性に回帰することを意味するものではなく、カントが「理性」に対して、あるいはむしろニーチェが「道徳」に対して行ったように、私たちにとって「多様性」というものがいかなるものであり、いかなるものでありうるかについて思考し記述することを意味する。」――本書「序論」より ******** 【目次】 序論 このバラバラな世界をバラバラなままつなぐために 第1章 「彼ら」の誕生 第2章 「私たち」の危機 第3章 ポストモダンを超えて――ラトゥール×ストラザーン 第4章 創作としての文化――ギアツ×ワグナー 第5章 関係としての社会――ジェル×ストラザーン 第6章 多なる自然――デスコラ×ヴィヴェイロス・デ・カストロ 第7章 「転回」をやりなおす あとがき 注/参照文献/索引 - 著者プロフィール - 久保 明教 (クボ アキノリ) (著) くぼ・あきのり 1978年生まれ。一橋大学社会学研究科教授。大阪大学大学院人間科学研究科単位取得退学、博士(人間科学)。主な著書に、『現実批判の人類学――新世代のエスノグラフィへ』(世界思想社、分担執筆、2011年)、『ロボットの人類学――二〇世紀日本の機械と人間』(世界思想社、2015年)、『機械カニバリズム――人間なきあとの人類学へ』(講談社、2018年)、『ブルーノ・ラトゥールの取説――アクターネットワーク論から存在様態探求へ』(月曜社、2019年)、『「家庭料理」という戦場―――暮らしはデザインできるか?』(コトニ社、2020年)など。
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人間関係を半分降りる 増補版 気楽なつながりの作り方|鶴見 済
¥880
SOLD OUT
筑摩書房 2025年 ちくま文庫 ソフトカバー 288ページ 文庫判 - 内容紹介 - 人間は醜い。だから少し離れてつながろう! 大ベストセラー『完全自殺マニュアル』の著者が、悲痛な体験から生きづらさの最終的な解決法=優しい人間関係の作り方を伝授する。友人、家族、恋人。人生で何より人間関係に悩んだ著者が血を流すように自らの体験を元に考え抜き、発見した、解放感のある具体的な解決策。文庫化にあたりその後の状況を増補した。 解説 鴻上尚史 カバーデザイン 鈴木千佳子 - 目次 - 文庫版まえがき まえがき 第1章 友人から一歩離れる 第2章 家族を開く 第3章 恋人をゆるめる 第4章 こうすれば気楽になれる あとがき 文庫版補足1 本を出したあとのこと 文庫版補足2 兄の問題のその後 文庫版あとがき 解説 鴻上尚史 - 著者プロフィール - 鶴見 済 (ツルミ ワタル) 1964年、東京都生まれ。東京大学文学部社会学科卒。複数の会社に勤務した後、90年代初めにフリーライターに。生きづらさの問題を追い続けてきた。精神科通院は10代から。つながりづくりの場「不適応者の居場所」を主宰。著書に『0円で生きる』『完全自殺マニュアル』『脱資本主義宣言』『人格改造マニュアル』『檻のなかのダンス』『無気力製造工場』などがある。 ブログ:鶴見済のブログ(tsurumitext.seesaa.net) X(旧Twitter):鶴見済(@wtsurumi)
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日本万博全史 | 夫馬 信一
¥3,850
左右社 2025年 ソフトカバー 350ページ A5判 - 内容紹介 - 人は〈万博〉に、どんな夢を見るか 「ビッグイベント=発展の原動力」というモデルが、いかにしてレガシーを築き、そして時代が変わった令和においても信奉されるに至ったのか── 開催目前で挫折した1940年万博計画から、令和の大阪関西万博まで。 日本人と〈万博〉のカオスな100年史。 ▼TOPICS ◉誰よりも早く万博を夢見た、佐賀藩の佐野常民 ◉「後藤新平」が奔走した、知られざる「神奈川万博」 ◉日中戦争目前に挫折した、1940年の「幻の万博」 ◉1970年ガスパビリオン「クレージーキャッツ映画」の全貌 ◉大阪万博「カンボジア館」と本国が辿った数奇な運命 ◉バブル期到来。再開発と連動した地方博覧会ブーム ◉東京~大阪関西をまたいだ「空とぶクルマ」計画 大量の発掘資料と貴重な画像約300点で蘇る、 追憶と興奮のメモワール。
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「九月」を生きた人びと 朝鮮人虐殺の「百年」 | 加藤 直樹
¥1,980
ころから 2025年 ソフトカバー 202ページ A5変形 - 内容紹介 - 関東大震災時の朝鮮人虐殺の関連書『九月、東京の路上で』『TRICK 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』(ともに、ころから)で知られる、加藤直樹さんの新著。 1923年の大震災発生前の東アジア状況から虐殺事件50周年に建立された追悼碑のいきさつ、そしてヘイトデモの勃興と抵抗まで、広い意味での「九月」を生きる人びとを点描する一冊。 - 目次 - はじめに 過ぎ去らない「百年」 セクション1 朝鮮人虐殺の「百年」 朝鮮人虐殺と「杉並」の百年 追悼するということ セクション2 「九月」を生きた人びと パルチザンの幻影 "JAPANESE ONLY"と姜大興さんの墓 義烈団・金祉燮が差し出した手 映画『金子文子と朴烈』が描く虚実の妙 「自由な街」で育って― 私の大久保 大久保― レイシスト集団を包囲する人々 中国人虐殺を生き延びた青年 セクション3 「嫌韓」と虐殺否定論に抗して 「嫌韓」の歴史的起源を探る ラムザイヤー教授の「朝鮮人虐殺」論文を読む おわりに 「私たち」の百年を記憶する - 前書きなど - 当時の東京には、デパートや映画館があった。 すし詰めの路面電車に揺られて通勤するサラリーマンたちもいた。 彼らは「週刊朝日」「サンデー毎日」などの週刊誌や新聞を読んでいた。夕方に家路につけば、家々には電気の明かりがともっていたーー 朝鮮人虐殺は、そんな私たちとさして違わない暮らしのなかで行われた。 そして、そのトラウマを生きた人びとの記憶が消え去るには、百年は短すぎる。(本書「はじめに」より) - 著者プロフィール - 加藤 直樹 (カトウ ナオキ) (著) 1967年東京都生まれ。フリーランスのライター、エディター。著書に『九月、東京の路上で 1923関東大震災ジェノサイドの残響』(ころから)、『TRICK 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』(ころから)、『謀叛の児 宮崎滔天の「世界革命」』(河出書房新社)、『ウクライナ侵略を考える』(あけび書房)など。訳書に『沸点 ソウル・オン・ザ・ストリート』(チェ・ギュソク作、ころから)がある。
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話が通じない相手と話をする方法 哲学者が教える不可能を可能にする対話術 | ピーター・ボゴジアン, ジェームズ・リンゼイ, 藤井翔太(監訳), 遠藤進平(訳)
¥2,640
晶文社 2024年 ソフトカバー 400ページ 四六判 - 内容紹介 - 有意義な対話のためのレベル別・超実践ガイド 分断と二極化の時代、考えが極端に異なる人とも礼節と共感を保って会話・対話をするにはどうしたらよいか? 友人や家族との会話、ビジネスでの交渉、SNSでの議論……よい会話のための入門級の基礎知識から、強硬派・過激派に対処するための達人級のテクニックまで、すべてを網羅した実践的マニュアル。 リチャード・ドーキンス氏推薦 「すべての人がこの本を読めば、世界はもっとよい場所になるだろう」 戸田山和久氏推薦 「著者たちの思想も行動も気に入らない。なのに、本書には学ぶべき価値あることがギッシリつまっている。というわけで、私は、極端に考えが違う人たちから「根本的に異なった考えをもつ人と語り合うスキル」を教えてもらったのだ。稀有な読書体験を与えてくれた本書に感謝。分断のあっち側にいる人もこっち側にいる人もぜひ読みましょう」 - 目次 - 第1章 会話が不可能に思えるとき 第2章 入門:よい会話のための9つの基礎 ──通りすがりの他人から囚人まで、誰とでも会話する方法 第3章 初級:人の考えを変えるための9つの方法 ──人の認知に介入する方法 第4章 中級:介入スキルを向上させる7つの方法 ──(自分を含む)人の考えを変えるための効果的スキル 第5章 上級:揉める会話のための5つのスキル ──会話の習慣の見直し方 第6章 超上級:心を閉ざした人と対話するための6つのスキル ──会話のバリアを突破すること 第7章 達人:イデオローグと会話するための2つの鍵 ──動かざる人を動かす 第8章 結論 - 著者プロフィール - ピーター・ボゴジアン (ピーターボゴジアン) (著) 1966年生まれ。アメリカ合衆国出身の哲学者。主たる関心は、批判的思考や道徳的推論の教育に関する理論とその実践。ソクラテス式問答法を活用した囚人教育プログラムの研究によってポートランド州立大学から博士号を取得し、2021年まで同大学哲学科で教員を務めた。意見を異にする人びとが 互いの信念や意見の根拠について理性的に話し合うためのテクニックである「路上の認識論」(Street Epistemology)を提唱。著書に、『無神論者養成マニュアル』(A Manual for Creating Atheists , 2013)など。 ジェームズ・リンゼイ (ジェームズリンゼイ) (著) 1979年生まれ。アメリカ合衆国出身の文筆家、批評家。テネシー大学ノックスビル校で数学の博士号を取得。宗教やポストモダン思想の問題を分析・考察する論考を多数発表している。著書に、『「社会正義」はいつも正しい――人種、ジェンダー、アイデンティティにまつわる捏造のすべて』(ヘレン・プラックローズ共著、山形浩生+森本正史訳、早川書房、2022年)など。 藤井翔太 (フジイショウタ) (監訳) 1987年東京都生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了、テンプル大学大学院教育学研究科修士課程修了。関心領域は応用哲学、教育哲学。現在、テンプル大学ジャパンキャンパス アカデミック・アドバイザー/講師。訳書に、ナンシー・スタンリック『アメリカ哲学入門』(勁草書房、2023年)、ドナルド・ロバートソン『認知行動療法の哲学――ストア派と哲学的治療の系譜』(共監訳、金剛出版、2022年)など。 遠藤進平 (エンドウシンペイ) (訳) 三重県津市生まれ、愛知県名古屋市育ち。慶應義塾大学文学部人文社会学科哲学専攻卒、アムステルダム大学論理学修士課程修了(Master of Logic)。現在、シドニー大学博士課程(Philosophy, PhD)。曖昧さや様相といった伝統的な哲学のトピックから、冗談や脅迫、挨拶のようなコミュニケーションの(ときに哲学分野では非標準的なありかたとして放置されがちな)諸相に関心がある。業績など:https://researchmap.jp/shimpei_endo
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「ナガサキ」を生きる 原爆と向き合う人生 | 高瀬 毅
¥2,200
亜紀書房 2025年 ソフトカバー 276ページ 四六判 縦188mm 横130mm 厚さ20mm - 内容紹介 - 《歴史》になったナガサキを《記憶》に引き戻すこと。 それは《新しい戦前》の時代に求められる倫理だ。 ──白井聡(政治学者) ********** 1945年8月9日、6日の広島に続き長崎に原子爆弾が投下された。 その影響は計り知れなく、80年経った今もなお苦しむ人たちがいる。 長崎出身の被爆二世である著者は、1000人以上の被爆者の声を記録したジャーナリスト伊藤明彦の仕事に導かれながら、自らも原爆の取材に邁進してきた。 ──なぜ、神の聖地「ナガサキ」に原爆は落とされたのか? 被爆者や関係者への取材、日米の膨大な資料をとおして〝人類史上最大の悲劇〟の核心に迫っていく。 ********** ●なぜ、投下目標地が小倉から長崎に変更されたのか? ●なぜ、短期間に2発もの原爆が投下されたのか? ●米国はどのような計画で原爆を落としたのか? 【原爆投下のプロセスの解明に挑む本格ノンフィクション】 - 目次 - 第1章 原爆の記録に人生を賭ける 第2章 「長崎小空襲」の謎 第3章 「小倉原爆」 第4章 小倉上空の謎 第5章 長崎上空の謎 第6章 「被爆太郎」の造形とこれから 第7章 原爆正当化論と次の「核使用」 終章 あとがきにかえて - 著者プロフィール - 高瀬 毅 (タカセ ツヨシ) (著) 1955年長崎市生まれ。ノンフィクション作家。戦争、原爆、人物や都市論を主なテーマとする。1978年、明治大学政治経済学部卒業後ニッポン放送入社。報道記者、ディレクターとして活躍。ラジオドキュメンタリー「通り魔の恐怖」で日本民間放送連盟賞最優秀賞。1989年からフリー。テレビ、ラジオでコメンテーター、キャスターなどを務め、雑誌「AERA」では人物ドキュメンタリーを30年近く担当。40人の著名人を描いてきた。2009年、『ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」』で平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞。現在、YouTubeニュース解説チャンネル「デモクラシータイムス」でキャスター。同チャンネルで政治学者白井聡氏と対論する「ニッポンの正体」を書籍化した『ニッポンの正体』(河出書房新社)のシリーズ第3弾が25年2月に刊行された。同5月には『今里廣記』(長崎文献社)も刊行された。その他著書多数。
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その<男らしさ>はどこからきたの? 広告で読み解く「デキる男」の現在地|小林 美香
¥990
朝日新聞出版 2025年 朝日新書 ソフトカバー 280ページ 新書判 - 内容紹介 - 「24時間戦えますか」から「おじさんの詰め合わせ」までスーツ/腹筋/大股/白人の上司/高層ビル/ヒゲ脱毛/能力主義/とりあえずビール/違いがわかる男/命令する本田圭佑/ホモソーシャル/生涯現役……CM・ポスターに刷り込まれた“理想の男性”の虚像を暴く!缶コーヒー広告のスーツ姿と背景の高層ビル、「出世」や「モテ」と結びつけられるヒゲ脱毛、いつも命令口調の本田圭佑……その〈男らしさ〉のイメージはどこからきて、私たちの価値観に影響を及ぼしているのか。栄養ドリンク、ビール、スーツ、メンズ美容、選挙ポスター――街中にあふれる広告から、これまで「なかったこと」にされてきた男性表象の問題点を鮮やかに炙り出す。【目次】序章 「男らしさ」の広告観察第1章 ドリンク広告と働く男 ――栄養ドリンク、コーヒー、ビールの広告史・リポビタンDの車内広告への違和感・「24時間戦えますか」バブル時代の栄養ドリンク広告・働く男の飲み物としてのコーヒー・ビールかけという究極のホモソ儀式・「男は黙ってサッポロビール」が描き出した「男らしさ」・コロナ禍で起きた「男らしさ」表現の変化 ……ほか第2章 スーツとパンツ ――装いが作る身体の価値・オンライン会議が変えた身だしなみの意識・スーツ文化の墓場としての《Cut Suits》・褌(ふんどし)を締めることの精神性・カルバン・クラインと腹筋の商品価値・細マッチョのK?POPスターが示す新しい「男らしさ」・アバクロの栄枯盛衰 ……ほか第3章 自己鍛錬としてのメンズ美容 ――「崇拝」と「推し活」の視線・能力主義と結びつく男性の「ケア」・「大谷翔平崇拝」を分析する・推し活を取り込む美容製品のマーケティング・ジェンダーレス男子か、男の中の男か・男性脱毛広告4つのパターン・本田圭佑に命令されたい男たち ……ほか第4章 「デキる男」を目指すのは何のため? ――能力主義と「報酬」としての女性・「男磨き界隈」を考える・英語圏を支配する男性中心カルチャー「マノスフィア」・「オタ恋」プロモーションへの違和感・クリニック広告とホストクラブ看板の共通点・再生産される「バーキン買うなら豊胸しろ」系広告・性感染症予防ポスターに表れるミソジニー ……ほか第5章 選挙ポスターに見るジェンダー表現 ――「おじさんの詰め合わせ」から脱却するために・「おじさんの詰め合わせ」発言が引き起こしたハレーション・遍在する「男の詰め合わせ」と家父長制政治・日本維新の会が流行らせた「断言口調」と「太ゴシック斜体文字」・SNS時代の選挙ポスター・政治家に求められる「男らしさ/女らしさ」・「(国名)election poster」で画像検索してみたら ……ほか第6章 その「男らしさ」はどこへいくの? ――これからの教育と医療と男性性1 田中めぐみさんに訊く、男子校でのジェンダー平等教育の実践と課題・広告・メディアが中高生に刷り込む能力主義・もっと男性同士の「おしゃべり」が必要だ2 堀川修平さんに訊く、性教育史研究から捉える「男らしさ」・大学で「男性」としてジェンダー講義をするということ・「弱者男性」を
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呪文の言語学 ルーマニアの魔女に耳をすませて|角 悠介
¥2,640
作品社 2025年 ソフトカバー 256ページ 四六判 - 内容紹介 - ★作品社公式noteで「まえがき」公開中→「呪文の言語学 試し読み」で検索! 呪文もことばである。 ルーマニアには古い魔女文化がいまも残っているとされている――。東欧在住20年の言語学者が、魔女大国とも呼ばれるこの地の民間伝承や実体験をひもとき、“呪文の正体”に迫る。不思議でちょっと怖い呪文の世界をめぐる、まったく新しい言語学エッセイ。 ◎附:「言語学者から魔女へのインタビュー」 ◎カヴァー写真:スクリプカリウ落合安奈 * 〈ちちんぷいぷい〉、〈アブラカダブラ〉、〈ビビディ・バビディ・ブー〉……この世はさまざまな「呪文」で溢れている。(…)幼いころの私たちにとって身近なものであった呪文だけれども、そもそもあれは何だろうか。単なる語の羅列に過ぎないのだろうか。(…)本書では、(…)言語学者が「呪文という聖域」に片足を突っ込んで、先人たちの研究を足掛かりにさらに深いアプローチを試みる。――本書より * 【目次】 まえがき 1 魔女 2 魔術 3 呪文 言語学者から魔女へのインタビュー 山田エリーザ あとがき 注/参考文献/図版出典 - 著者プロフィール - 角 悠介 (スミ ユウスケ) (著) (すみ・ゆうすけ) 1983年東京生まれ。言語学博士。ルーマニア国立バベシュ・ボヨイ大学日本文化センター所長。神戸市外国語大学客員研究員。ルーマニア文化学院ルーマニア語講師。アテネ・フランセ講師(ラテン語)。東京外国語大学オープンアカデミー講師(ルーマニア語、ロマ語)。北マケドニア国立聖キリル・メトディウス大学講師(ロマニ語)。国際ロマ連盟(IRU)日本代表、言語文化専門員。日本エスペラント協会、NPO法人「地球ことば村・世界言語博物館」、日本ロマンス語学会会員。紘武館道場(東京都板橋区)門人・杖道六段。 ルーマニアのバベシュ・ボヨイ大学にて西洋古典学(ラテン語・古典ギリシア語)学士号、ハンガリーのブダペスト大学(ELTE)にて西洋古典学修士号、ルーマニアのコンスタンツァ・オヴィディウス大学にて言語学博士号を取得。ベラルーシ共和国ミンスク国立言語大学にも短期留学。日本とルーマニアの在外公館と連携し、言語・文化交流を主軸とした両国の友好関係の促進を目指して活動する一方、東欧を中心にロマ民族(=ジプシー)の言語ロマニ語のフィールドワーク研究を行う。言語を通じたロマ民族への貢献により、欧州議会、国際ロマ連盟、ロマ文化団体から表彰・感謝状を受ける。 著書に『ロマニ・コード――謎の民族「ロマ」をめぐる冒険』(夜間飛行、2022年)、『ニューエクスプレスプラス ロマ(ジプシー)語』(白水社、2021年)など。 X:@ivsvce
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パレスチナを破壊することは、地球を破壊することである | アンドレアス・マルム, 箱田徹(訳)
¥3,300
青土社 2025年 ソフトカバー 232ページ 四六判 - 内容紹介 - ジェノサイドと気候破局の接合点に迫る̶̶――ドイッチャー記念賞作家による挑戦的試論。 一八四〇年、イギリス帝国はパレスチナの港町アッカーを粉砕した。それは、石炭で駆動する蒸気船が世界ではじめて大規模に投入された瞬間だった。パレスチナへの連帯は、化石資本主義と入植者植民地主義というふたつの歯車を止めることであり、沸騰状態にある地球を救うことである。化石燃料とその利益を至上のものとするシステムのもと、破壊と粉砕をもたらすグローバルな構造的暴力「ビジネス・アズ・ユージュアル」の歴史と本質に迫る、いま必読の書。 *補遺「タンクの壁を叩く――パレスチナの抵抗について」(訳=中村峻太郎)を収録。
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ポストフェミニズムの夢から醒めて | 菊地 夏野
¥2,640
青土社 2025年 ソフトカバー 240ページ 四六判 - 内容紹介 - フェミニズムは終わらない、いや終わりようがない フェミニズムの終焉をかたる「ポストフェミニズム」の時代を経て、私たちは再びその盛り上がりに立ち会っているといわれる。だがそこで喧伝される「新しいフェミニズム」の実像と、その向かう先は果たしてどこまで理解されているだろうか。ネオリベラリズムと結託した「リーン・イン」や「女性活躍」の欺瞞を問い、セックスワーカーやトランスジェンダーへの差別、「慰安婦」問題などそこからこぼれ落ちるものにまなざしを向けることで、見えてくるものとは。フェミニズムをあきらめないための、たしかなる提言。
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「ありのまま」の身体 メディアが描く私の見た目 | 藤嶋 陽子(著)
¥2,420
青土社 2025年 ソフトカバー 208ページ 四六判 - 内容紹介 - 「ありのまま」は美しい。「ありのまま」は難しい。 「ありのままが美しい」というメッセージに頷きながら、私たちは見た目をよくしたいという欲望を抱いて(抱かされて)しまう。「ありのまま」が肯定される時代で折り合いをつけながら生きる人のための必携書! ポジティブなメッセージと現実のあいだで葛藤するすべての人のために――。
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シリアルキラーズ 新装版 プロファイリングがあきらかにする異常殺人者たちの真実 | ピーター・ヴロンスキー(著), 松田和也(訳)
¥4,180
青土社 2025年 ソフトカバー 528ページ 四六判 - 内容紹介 - 世界中を震撼させたあまりにも猟奇的な殺人犯たち。若い女性を言葉巧みに車へと誘い込んで惨殺し「シリアルキラー」という言葉ができるきっかけにもなったテッド・バンディ、ニューヨークを恐怖のどん底におとしいれた「サムの息子」ことデヴィッド・ボーコウィッツ、30人以上を殺害して自宅の床下に埋めた「殺人ピエロ」ジョン・ウェイン・ゲイシー……。連続殺人犯の歴史を詳細に描き、彼らの狂気の正体と、常軌を逸したその思想の核心にせまる。連続殺人ファイルの決定版がついに復刊!!
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修理する権利 使いつづける自由へ | アーロン・パーザナウスキー(著), 西村伸泰(訳)
¥4,840
青土社 2025年 ソフトカバー 464ページ 四六判 - 内容紹介 - なぜスマホのバッテリーはすぐ交換できないのか? 短い保証期間、高額な修理費用、交換のできない部品……わたしたちは修理することからますます遠ざけられている。「壊れたら買い替え」へ消費者を駆り立てる資本主義社会には、修理を阻む巧妙なカラクリが隠されていた。そうしたなか、いま米国やヨーロッパで「修理する権利」運動が巻き起こっている。その現状を縦横無尽に分析した決定的入門書。 目次 謝辞 第1章 はじめに 第2章 なぜ修理は重要なのか 修理の経済的効用 修理が環境に及ぼす効果 修理の社会的メリット 第3章 修理の歴史 修理の起源 工業化と互換性 陳腐化の発明 家主と修理法 第4章 修理を阻む戦略 設計と修理可能性 行動を規制する 修理を阻む障壁を設計する 市場の制約 消費者規範 第5章 修理と知的財産 著作権 実用特許 意匠(デザイン) 商標 営業秘密 修理と〝進歩〞 第6章 修理と競争 アメリカの反トラスト法の基礎 イーストマン・コダックとアフターマーケットの競争 修理市場に対する反トラスト法理論 反トラスト法執行のハードル ヨーロッパの競争法 第7章 修理と消費者保護 消費者の修理に対する認識 不公正かつ欺瞞的行為 保証 消費者を計画的陳腐化から守る 第8章 修理を再構築する 修理を決断する要因 法を改正する 市場を変える 設計を変える 規範を変える 修理する権利運動 エピローグ 原注 解題 修理する権利、あるいは私たちの生を取り戻すための抵抗運動(吉田健彦) 索引
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オックスフォードの女性哲学者たち もうひとつの20世紀哲学史 | クレア・マックール(著), レイチェル・ワイズマン(著), 木下頌子(訳)
¥4,950
青土社 2025年 ソフトカバー 608ページ 四六判 - 内容紹介 - 戦時下の大学で哲学に再び命を吹き込んだのは、4人の女性たちだった。 第二次世界大戦前夜、4人の女性たち――アンスコム、マードック、ミッジリー、フット――が大学で哲学を学びはじめる。男性の学者や学生が次々に召集されるなか、4人は、戦争の悲惨に直面しつつ、それでも客観的な道徳の基礎を求めて、新たな哲学のあり方を模索しつづけた。困難な問いに挑んだ女性たちの姿をいきいきと描き出した、圧巻の哲学ノンフィクション。 2022年英国歴史作家協会(HWA)ノンフィクション賞受賞、2022年全米批評家協会賞最終候補、『ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー』など多数の有力紙誌で年間最優秀書籍に選出。
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現代日本哲学史 | 山口 尚
¥3,300
青土社 2025年 ソフトカバー 360ページ 四六判 - 内容紹介 - まったく新しい日本哲学の見取り図 哲学者を記述することは、たんなる思想の列挙ではない。本書で描き出されるのは、1970年代から現代において活躍する日本の哲学者たちの思索であり、それは同時にそれ自体が哲学であるような哲学史でもある。純粋思考、ア・プリオリな理論、歴史との対決を鍵概念につむがれる、現在進行形の哲学史。 本書に登場する哲学者:廣松渉・大森荘蔵・埴谷雄高・池田晶子・永井均・小泉義之・左近司祥子・鷲田清一・中島義道・野矢茂樹・浅田彰・田島正樹・河野哲也・鷲田清一・中岡成文・村上靖彦・大越愛子・森岡正博・竹村和子・柄谷行人・入不二基義
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フェミニズムとレジリエンスの政治 ジェンダー、メディア、そして福祉の終焉 | アンジェラ・マクロビー(著), 田中東子(訳), 河野真太郎(訳)
¥2,640
青土社 2022年 ソフトカバー 244ページ 四六判 - 内容紹介 - ネオリベラリズムが蝕む女性たちの生 「仕事も家庭もあきらめないで、すべてを手に入れましょう」「欠点を受け容れ、粘り強く立ち直りましょう」「福祉に頼るのはだらしなさの証拠です」「あんなふうにはなりたくないでしょう?」――映画、雑誌、テレビにSNSと、至るところから絶え間なく響く呼びかけに駆り立てられ、あるいは抑えつけられる女性たちの生。苛烈な「自己責任」の時代を生きる女性たちに課された幾重もの抑圧をさまざまな文化事象の分析を通じて鋭く抉り出す。一九九〇年代以後のフェミニズム理論を牽引してきた著者の到達点にして、待望の初邦訳書。
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熊になったわたし 人類学者、シベリアで世界の狭間に生きる | ナスターシャ・マルタン, 高野 優(訳), 大石 侑香(解説)
¥2,200
紀伊國屋書店 2025年 ソフトカバー 208ページ 四六判 - 内容紹介 - 熊に顔をかじられ九死に一生を得た人類学者の 変容と再生の軌跡を追ったノンフィクション カムチャツカで先住民族を研究する29歳のフランスの女性人類学者が、ある日、山中で熊に襲われて大けがを負う。その日を境に西洋とシベリアの世界観、人間と獣の世界の境界が崩壊し……スパイの疑いをかけられてロシア情報機関の聴取を受け、たび重なる手術と事件のフラッシュバックに苦しみながらも、身体と心の傷を癒し、熊と出会った意味を人類学者として考えるために、再びカムチャツカの火山のふもとの森に戻ってゆく。 「熊は君を殺したかったわけじゃない。印を付けたかったんだよ。 今、君はミエトゥカ、二つの世界の間で生きる者になった」(本書より) *ミエトゥカ:エヴェンの言葉で「熊に印をつけられた者」。熊と出会って生き延びた者は、半分人間で半分熊であると考えられている。 【18か国で刊行、フランスで11万部のベストセラー!】 【ジョゼフ・ケッセル賞、フランソワ・ソメール賞、マッコルラン賞受賞!】 - 著者プロフィール - ナスターシャ・マルタン (マルタン ナスターシャ) (著) 【著者】ナスターシャ・マルタン(Nastassja Martin) 1986年生まれ。アラスカとカムチャツカの先住民族を研究対象とするフランスの人類学者。フィリップ・デスコーラの指導のもと、パリの社会科学高等研究院(EHESS)で博士号を取得する。Les âmes sauvages: Face à l'Occident, la résistance d'un peuple d'Alaska(2016)でアカデミーフランセーズのルイ・カステックス賞を受賞した。マイク・マギッドソンと共同監督でドキュメンタリー「トヴァヤン」を制作。 高野 優 (タカノ ユウ) (訳) 【訳者】高野 優 フランス語翻訳家。ヴェルヌ『八十日間世界一周』『地底旅行』など訳書多数。 大石 侑香 (オオイシ ユウカ) (解説) 【解説者】大石侑香 神戸大学大学院国際文化学研究科准教授。著書に『シベリア森林の民族誌』など。