-
死の自叙伝 | 金恵順, 吉川凪(翻訳)
¥2,420
クオン 2021年 新しい韓国の文学シリーズ ソフトカバー 184ページ 四六変形判 縦184mm 横130mm - 内容紹介 - 2021年12月、著者 金恵順が東アジアの詩人を表彰するスウェーデンの文学賞「Cikada Prize」を受賞しました! ===================================== 死の次に訪れる時間のなかで すすり泣くリズムたち 「あなたは既に死の中に生まれています」 光州民主化抗争やセウォル号事件など権力の暴力や怠慢によってもたらされた死、そしてすべての無念な死に捧げた「死の自叙伝」49篇と長詩「リズムの顔」。 韓国フェミニズム詩の旗手金恵順が奇抜なイメージ、スピード感、時にグロテスクですらある力強さを存分に発揮し2019年に<詩壇のノーベル賞>と称されるカナダのグリフィン詩賞をアジア人女性として初めて受賞した詩集。 残された者の痛みを抱く詩人は、死後の物語を追いかける。 わたしたちの生は、不完全な死だと告げながら。 三角みづ紀(詩人) - 目次 - 死の自叙伝 リズムの顔(『翼の幻想痛』より) 『死の自叙伝』あとがき 『死の自叙伝』訳者解説 - 著者プロフィール - 金恵順 (キム ヘスン) (著/文) 1955 年慶尚南道蔚珍生まれ。 詩人、評論家、ソウル芸術大学文芸創作科教授。文学博士。 大学在学中に東亜日報新春文芸に評論が当選し、卒業後の1979 年に季刊誌『文学と知性』で詩人として出発して以来、現在に至るまで韓国フェミニズム詩人の代表走者として活躍してきた。 これまでに『また別の星で』『カレンダー工場の工場長さん、見て下さい』『悲しみ歯磨き 鏡クリーム』『花咲け!豚』『翼の幻想痛』など十数冊の詩集のほか、詩論集を刊行している。金洙暎文学賞、素月詩文学賞、未堂文学賞、大山文学賞を受賞し、『死の自叙伝』英語版によって2019 年グリフィン詩文学賞(The Griffin Poetry Prize)を受賞した。 吉川凪 (ヨシカワナギ) (翻訳) 仁荷大学国文科大学院で韓国近代文学専攻。文学博士。 著書に『朝鮮最初のモダニスト鄭芝溶』、『京城のダダ、東京のダダ─高漢容と仲間たち』、訳書として『申庚林詩選集 ラクダに乗って』、呉圭原詩選集『私の頭の中まで入ってきた泥棒』、チョン・ソヨン『となりのヨンヒさん』、朴景利『完全版 土地』、崔仁勲『広場』、李清俊『うわさの壁』などがある。 キム・ヨンハ『殺人者の記憶法』で第四回日本翻訳大賞受賞。
-
たそがれ | 黄晳暎, 姜信子(翻訳), 趙倫子(翻訳)
¥2,750
クオン 2021年 新しい韓国の文学シリーズ ソフトカバー 216ページ 四六変形判 - 内容紹介 - 「わたしたちはいったい何を間違えてしまったのでしょう」 取り返しのつかない過去を思いつつ、さまよう人々の叫びと祈りの物語 1960年代以降、大学進学によって貧しさから脱け出し、軍事政権による開発経済の恩恵を受け、建築家として成功した初老の男性。 急速な発展の結果として拡大した現在の格差の中で、多くをあきらめながら苦しい生活を送る劇作家の若き女性。 持てる者が失わなければならなかったものは何か。 持たざる者がなお手放さないものは何か――。 韓国文学を代表する作家が、現代社会に生きる人間の魂の痛みを静かに描き出す。 ブッカー国際賞の候補作にも選ばれた、 韓国文学を代表する作家 黄晳暎による中編小説 - 目次 - たそがれ 作家の言葉 訳者あとがき 静かにまたたく星たちの物語(姜信子) 黄昏と暁と――「めぐる因果」を越えて(趙倫子) - 著者プロフィール - 黄晳暎 (ファン ソギョン) (著/文) 【著者:黄晳暎】 高校在学中に『思想界』新人文学賞を受賞。 短編小説「塔」が1970年朝鮮日報新春文芸に当選し、本格的な作家活動をはじめた。 世界各地で多くの作品が翻訳、出版されており 日本ではこれまでに『懐かしの庭』(2002年)、『客人』(2004)、 『パリデギ─ 脱北少女の物語』(2008年、以上岩波書店)、 『モレ村の子どもたち』(2019年、新幹社)『囚人 黄晳暎自伝』(2020年、明石書店)などが刊行されている。 姜信子 (キョウ ノブコ) (翻訳) 【翻訳:姜信子】 1961年、神奈川県生まれ。著書に『棄郷ノート』(作品社)、 『ノレ・ノスタルギーヤ』『ナミイ!』『イリオモテ』(以上岩波書店)、 『生きとし生ける空白の物語』(港の人)、『平成山椒太夫』(せりか書房)、 『現代説経集』(ぷねうま舎)など多数。 訳書に、カニー・カン『遥かなる静けき朝の国』(青山出版社)、 李清俊『あなたたちの天国』(みすず書房)、 ピョン・ヘヨン『モンスーン』(白水社)、鄭靖和『長江日記』(明石書店)。 共訳にホ・ヨンソン『海女たち』(新泉社)、ソ・ミョンスク『オルレ』(クオン)など。 編著に『死ぬふりだけでやめとけや 谺雄二詩文集』(みすず書房)、 『金石範評論集I』(明石書店)など。 2017年、『声 千年先に届くほどに』(ぷねうま舎)で鉄犬ヘテロトピア文学賞受賞。 趙倫子 (チョウ リュンジャ) (翻訳) 【翻訳:趙倫子】 1975年、大阪府大東市生まれ。韓国語講師。パンソリの鼓手および脚本家。 創作パンソリに「四月の物語」「ノルボの憂鬱」「海女たちのおしゃべり」。 共訳にホ・ヨンソン『海女たち』(新泉社)。
-
菜食主義者 | ハン・ガン, きむ ふな(訳)
¥2,420
SOLD OUT
クオン 2016年 新しい韓国の文学シリーズ ソフトカバー 304ページ 四六判 - 内容紹介 - 「新しい韓国文学シリーズ」第1作としてお届けするのは、韓国で最も権威ある文学賞といわれている李箱(イ・サン)文学賞を受賞した女性作家、ハン・ガンの『菜食主義者』。韓国国内では、「これまでハン・ガンが一貫して描いてきた欲望、死、存在論などの問題が、この作品に凝縮され、見事に開花した」と高い評価を得た、ハン・ガンの代表作です。 ごく平凡な女だったはずの妻・ヨンヘが、ある日突然、肉食を拒否し、日に日にやせ細っていく姿を見つめる夫(「菜食主義者」)、妻の妹・ヨンヘを芸術的・性的対象として狂おしいほど求め、あるイメージの虜となってゆく姉の夫(「蒙古斑」)、変わり果てた妹、家を去った夫、幼い息子……脆くも崩れ始めた日常の中で、もがきながら進もうとする姉・インへ(「木の花火」)― 3人の目を通して語られる連作小説集。 - 著者プロフィール - ハン・ガン (ハンガン) (著) 1970年韓国・光州生まれ。 延世大学国文学科を卒業。 1993年季刊「文学と社会」に詩が、翌年ソウル新聞の新春文芸に短編小説「赤い碇」が当選し文壇にデビューした。 現在、ソウル芸術大学の文芸創作科教授。 本作『菜食主義者』で、韓国で最も権威ある文学賞、李箱文学賞を受賞。その他の作品に、短編集『麗水の愛』『私の女の実』、長編小説『黒い鹿』『あなたの冷たい手』『風が吹いている、行け』、散文集に『そっと静かに歌う歌』『愛と、愛を取りまくもの』などがある。 小説のほかに、絵本『雷小僧、天女稲妻、小僧天女』、大人のための童話『涙の箱』『わたしの名前は太陽花』などがあり、童話の翻訳も多数手がけている。韓国小説文学賞、今日の若い芸術家賞、東里文学賞など受賞多数。 きむ ふな (キムフナ) (訳) 韓国生まれ。 韓国の誠信女子大学、同大学院を卒業し、専修大学日本文学科で博士号を取得。現在は日韓の文学作品の紹介と翻訳に携わっている。 翻訳書に、津島佑子・申京淑の往復書簡『山のある家、井戸のある家』(集英社)、孔枝泳『愛のあとにくるもの』(幻冬舎)、 李垠『 美術館の鼠』(講談社)、『いまは静かな時‐韓国現代文学選集』(共訳、トランスビュー)など。韓国語訳書に津島佑子『笑いオオカミ』(第1回板雨翻訳賞)など、著書に『在日朝鮮人女性文学論』(作品社)がある。
-
野良猫姫 | ファン・インスク(黄仁淑), (著)生田 美保(訳)
¥2,750
クオン 2014年 新しい韓国の文学シリーズ ソフトカバー 168ページ 四六変形判 縦185mm 横130mm 厚さ12mm - 内容紹介 - ソウルのさびれた町で一人暮らしをする20歳のファヨルは、コンビニでバイトをしながら、野良猫と、猫を通して知り合った人たちに支えられて生きている。父は彼女が五歳の時に失踪、数年後には母も単身、渡米してしまった。寄る辺ない身となったファヨルを気遣い、世話する親戚もいるけれど、ファヨルは過去から離れられない。高校を中退したファヨルには、大学へ行くよりも、やりたいことがあった……。 - 版元から一言 - 韓国詩壇で異彩をはなってきた詩人ファン・インスクによる、初めての小説『野良猫姫』です。インターネットで連載された後に出版され、韓国では多くの読者を獲得しました。かろやかで平易な文章で描かれる、さまざまな年代の人たちの暮らしには、人生の喜怒哀楽が詰まっています。主人公のファヨルをはじめ、登場する人たちは自分らしく生きたいという渇望をエネルギーとして、互いを思いやりながら道を拓いていきます。 また、クラウドファンディングで多くの読者からの支援を受けて、発売前より話題になった 翻訳化された本です。 - 著者プロフィール - ファン・インスク(黄仁淑) (ファン インスク) (著) 1958年、ソウル生まれ。ソウル芸術大学文芸創作科卒。 1984年京郷新聞新春文芸に詩「私は猫に生まれたい」が当選し、詩壇デビュー。詩集に『鳥は空を自由に放ちて』(1988)、『悲しみが私を目覚めさせる』(1990)、『私の沈鬱な、大切な人よ』(1998)、『自明の散策』(2003)、『リスボン行き夜行列車』(2007)など、散文集に『私は孤独』(1997)、『声の模様』(2006)などがある。1999年に東西文学賞、2004年に金洙暎文学賞を受賞。抑圧されることのない自由な魂や、現実との不和からくる幻滅を猫というモチーフを通して描いた作品が多く、猫詩人として知られる。実体験をもとにした『野良猫姫』は初の小説。
-
アンダー、サンダー、テンダー | チョン・セラン, 吉川凪(訳)
¥2,750
クオン 2015年 新しい韓国の文学シリーズ ソフトカバー 319ページ 四六判 - 内容紹介 - 映画業界で働いている「私」は、 たわいのない毎日を動画撮影で記録していた。 気のおけない友達とのおしゃべり、お気に入りのMDプレイヤー、 風に揺れるガイコツTシャツ、 20万円分の多種多様なハサミ…。 そこに外国から戻った「ハジュ」兄妹に出会い、「私」の動画記録にも変化がではじめたが… - 著者プロフィール - チョン・セラン (チョン・セラン) (著) 1984年ソウルに生まれ、郊外の一山でニュータウンの発生と発展を観察しつつ成長した。 パジュ出版都市にある出版社に編集者として2年余り勤務。 小説家としては2010年、『ファンタスティック』誌に発表した短編ファンタジー「ドリーム、ドリーム、ドリーム」を皮切りに本格的な創作活動を始め、本作『アンダー、サンダー、テンダー』(原題『これくらい近くに』)によって第7 回チャンビ長編小説賞を受賞した。 純文学からロマンス、SF、ホラーまでジャンルの境界を越えた小説を書くことで知られる。 『八重歯が見たい』は、自分の書いた九編の奇妙な物語の中の文章を一文ずつ、別れた恋人の身体にタトゥーのように出現させる女性作家の話。 『地球でハナだけ』の主人公ハナは、エイリアンと恋に落ちるエコデザイナー。 『ジェイン、ジェウク、ジェフン』は光るアサリの入ったカルグクス(うどん)を食べたために、超能力と呼ぶには少々貧弱すぎる超能力を持ってしまった姉弟の物語である。 吉川凪 (ヨシカワナギ) (訳) 大阪生まれ。新聞社勤務を経て韓国に留学、仁荷大学国文科大学院で韓国近代文学を専攻。文学博士。 著書に『朝鮮最初のモダニスト鄭芝溶』、『京城のダダ、東京のダダ─高漢容[コハニョン]と仲間たち』、訳書としてカン・ヨンスク『リナ』、『申庚林[シンギョンニム]詩選集 ラクダに乗って』、パク・ソンウォン『都市は何によってできているのか』、谷川俊太郎・申庚林 『酔うために飲むのではないからマッコリはゆっくりと味わう』などがある。
-
世界の果て、彼女 | キム・ヨンス, オ・ヨンア(訳)
¥2,750
クオン 2014年 新しい韓国の文学シリーズ ソフトカバー 288ページ 四六判 - 内容紹介 - ある青年が図書館に貼ってある詩を偶然読むことから始まる恋愛ストーリー 『世界の果て、彼女』。 新婚旅行にソウルにきている日本人のハトコを案内する、30歳になったばかりのアタシ 『君たちが皆、三十歳になった頃』。 世界のいろんな都市のガイドブックを作って放浪する若いカップルの物語 『笑っているような、泣いているような、アレックス、アレックス』。 など、ユーモアと人間に対する、著者の愛情たっぷりの7つの作品集です。 - 著者プロフィール - キム・ヨンス (キムヨンス) (著) 1970年、慶尚北道生まれ。 成均館大学英文科卒。 93年、「文学世界」で詩人としてデビュー。翌年に長編小説「仮面を指して歩く」を発表し、高く評価されて以来、『グッバイ、李箱』で東西文学賞(2001年)、『僕がまだ子どもの頃』で東仁文学賞(2003年)、『私は幽霊作家です』で大山文学賞(2005年)、短編小説「月に行ったコメディアン」で黄順元文学賞(2007年)を受賞し、新時代の作家として注目されてきた。 2009年「散歩する人々の五つの楽しみ」で韓国で最も権威ある李箱文学賞を受賞。韓国文学を牽引すると同時に、若者たちを中心に熱烈な支持を得る人気作家である。 小説のほかエッセイ『青春の文章』『旅行する権利』『私たちが一緒に過ごした瞬間』や作家キム・ジュンヒョクとの共著『いつかそのうちハッピーエンド』なども、多くの読者を獲得している。 オ・ヨンア (オヨンア) (訳) 1973年、静岡県生まれ。 慶応義塾大学、延世大学国際大学院、梨花女子大通訳翻訳大学院卒、同大学院博士課程修了。 2007年、「隙間」(イ・ヘギョン著)で韓国文学翻訳賞受賞。梨花女子大通訳翻訳大学院、韓国文学翻訳院講師。
-
殺人者の記憶法 | キム・ヨンハ, 吉川 凪(訳)
¥2,420
クオン 2017年 新しい韓国の文学シリーズ ソフトカバー 168ページ 四六変形判 縦185mm 横130mm 厚さ12mm - 内容紹介 - 田舎の獣医キム・ビョンスの裏の顔は、冷徹な殺人犯だった。現在は引退して古典や経典に親しみ詩を書きながら平穏な日々を送る彼には認知症の兆候が現れ始めている。そんな時、偶然出会った男が連続殺人犯だと直感し、次の狙いが愛娘のウニだと確信したビョンスは、混濁していく記憶力と格闘しながら人生最後の殺人を企てる―-。 虚と実のあわいをさまよう記憶に翻弄される人間を見事に描き、結末に向かって読み進める読者の記憶までをも翻弄する韓国長編ミステリー小説の傑作。 【映画化情報】 ソル・ギョング、キム・ナムギル、ソリョン(AOA)出演、映画『殺人者の記憶法』 2018年1月27日よりシネマート新宿ほか全国にて順次公開決定! - 目次 - 殺人者の記憶法 訳注 作家の言葉「これは私の小説だ」 訳者あとがき 前書きなど 記憶によって私は生まれ 記憶によって私は消される 人間存在の危うさとアイロニーを描いた傑作 - 著者プロフィール - キム・ヨンハ (キム ヨンハ) (著) 1968年生まれ。延世大学経営学科修士課程修了。 1995年、季刊誌『レビュー』に「鏡についての瞑想」を発表し、作家としての活動を始めた。 長篇小説『お前の声が聞こえて』『クイズショー』『光の帝国』『黒い花』『阿娘はなぜ』『私は私を破壊する権利がある』、短編集『何があったのかは、誰も』『兄さんが帰って来た』『エレベーターに挟まったあの男はどうなった』『呼び出し』、エッセイ集三部作『見る』『語る』『読む』があり、スコット・フィッツジェラルドの『偉大なるギャツビー』の翻訳もある。 文学トンネ作家賞、黄順元文学賞、東仁文学賞、万海文学賞、現代文学賞、李箱文学賞、金裕貞文学賞など、主要な文学賞はすべて受賞しており、作品は現在、アメリカ、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコなどで盛んに翻訳、出版されている。 日本ではこれまでに『阿娘はなぜ』(白帝社、2008)、『光の帝国』(二見書房、2008)が刊行されている。 吉川 凪 (ヨシカワ ナギ) (訳) 大阪生まれ。新聞社勤務の後、韓国に留学。仁荷大学博士課程修了。文学博士。 著書に『朝鮮最初のモダニスト鄭芝溶』、『京城のダダ、東京のダダ』、訳書としてカン・ヨンスク『リナ』、『申庚林詩選集 ラクダに乗って』、パク・ソンウォン『都市は何によってできているのか』、谷川俊太郎・申庚林『酔うために飲むのではないからマッコリはゆっくり味わう』、チョン・セラン『アンダー、サンダー、テンダー』、朴景利『完全版 土地』1巻、3巻などがある。
-
ラクダに乗って | シン・ギョンニム, 吉川 凪(訳)
¥2,420
クオン 2012年 新しい韓国の文学シリーズ ソフトカバー 238ページ 四六判 - 内容紹介 - ラクダに乗って行こう あの世へは/ 星と月と太陽と/砂しか見たことのないラクダに乗って。 ―「ラクダ」より 40年に及ぶ全詩業から選りすぐりの69篇を収録した、画期的な一冊となっています。 韓国民衆の暮らしを見つめ、それをすぐれた詩作品へと昇華させた出世作『農舞』の他、厳選した詩やエッセイ、訳者による詩人解説を収録。 韓国最大の詩人の詩業を一望できる内容となっています。 - 著者プロフィール - シン・ギョンニム (シンギョンニム) (著) 1935年忠清北道中原郡(現・忠州市)生まれ。 1956年『文学芸術』に「葦」などの詩を発表して創作活動を開始。処女詩集『農舞』以来、民衆の暮らしに密着したリアリズムと優れた抒情性、伝統的なリズムを取り入れた詩によって韓国現代詩の流れを一挙に変え、「民衆詩」の時代を開いた。 1970年以降は文壇の自由実践運動、民主化活動で重要な役割を果たす。 吉川 凪 (ヨシカワ ナギ) (訳) 大阪生まれ。 新聞社勤務を経て韓国の延世大学語学堂、仁荷大学国文科博士課程に留学。文学博士。 著書に『朝鮮最初のモダニスト鄭芝溶』(2002年 土曜美術社出版販売)、訳書に『ねこぐち村のこどもたち』(2002 年廣濟堂)『リナ』(2011年 現代企画室)などがある。
-
韓国の今を映す、12人の輝く瞬間 | イ・ジンスン(이진순), 伊東順子(翻訳)
¥2,420
クオン 2024年 クオン インタビューシリーズ ソフトカバー 360ページ 四六判 縦188mm 横130mm 厚さ20mm - 内容紹介 - 韓国社会の片隅で 小さいけれども確かな光を放つ122人の声を丁寧に拾った ハンギョレ新聞の長期連載の一部を書籍化。 韓国で刊行5年・14刷を重ねる異例のインタビュー集。 「韓国生活30年」のライター 伊東順子(『韓国 現地からの報告』など著書多数)が翻訳、各章に書き下ろしコラムも掲載。 元JTBC「ニュースルーム」アンカー、立命館大学客員教授 ソン・ソッキ 推薦の辞 「イ・ジンスンを最も彼女らしく表現できるのがこの本に収録されたインタビューであることは間違いない。世の中には多くのインタビュー集があるが、「人」に着目することで社会を浮かび上がらせたものはそう多くないだろう。毎回、長いインタビューをしながらも惰性に陥ることなく、「人」に対する愛情を見せてくれた彼女の仕事ぶりがありがたく、感嘆しながら見守ってきた。「六十にして耳順う」とからかわれていた頑固な彼女から、こんな成果物が出てくるとは想像もできなかったが、それでも常に、彼女に対する信頼があった」 インタビュイー推薦の辞 ●小説家、黄晳暎(ファン・ソギョン) 「私は、彼女がこの新聞連載を始めた当初から記事を読み、私もいつかインタビューイーを選ばれることを密かに期待していた。そしてついに私の番が来た。長時間にわたって質問を受け、追及され、不明瞭な点を追加インタビューで確認される過程を経てはじめて世間に知られている作家としての「私」の客観性を理解することができた。すっかり忘れていた自らの過ちが暴き出される苦痛と自責の念も感じた。わずか三日間のことだったが、イ・ジンスンはいつの間にか私の内面に入り込み、そして出ていった」 ●亜州(アジュ)大学病院 京畿南部地域重症外傷センター長、イ・クッチョン 「イ・ジンスンは、自分の書く短い文章では生と死に対して細かく、正確に表現しきれないと言ってもどかしそうにしていたが、私は彼女の文章の行間にある鋭い断面から、彼女の本気と誠実さを感じた。私は、そんなイ・ジンスンの真摯な生き方に心から感謝を表したい。万年筆で、再生用紙に一文字一文字、ぎゅっと力を込めて書かれたようなこのインタビュー記事は、内容とは関係なく私の心に残り、いつまでもデスクの上からなくなることはなかった」 ●映画監督、イム・スルレ 「インタビュアーは、インタビューイーの心を開かせて内面に閉じ込められた小さな声を外に引き出せば終わりなのではなく、明確で具体的な言葉に整理していくことが肝心だ。私の平凡な返答に意味と潤いを与え、美しく色づけしてくれたイ・ジンスンのインタビューは、やはり評判通りだった」 - 目次 - プロローグ 第一部 心の命ずるままに どうしてそこに行ったのかって? 三人の子どもの父親だからです|キム・ヘヨン 期待もしない、希望もない、でも原則は捨てない|イ・クッチョン 私はもっと勇敢であるべきだった|ノ・テガン 淡々と生きるための、揺るぎなさ|イム・スルレ 第二部 傷ついた心を抱きしめる 大韓民国の老害たちの人生から自分自身を知る|チェ・ヒョンスク 苦しみの話を、苦しみながら聞いてくれる人|ク・スジョン 私はレズビアンの母親、フォミです|イ・ウンジェ 原始的感覚の力|ソン・アラム 第三部 懐疑と拒絶で選んだ人生 無事におばあちゃんになれるだろうか|チャン・ヘヨン ピンクのソファを蹴って出てきた「優雅なマッド・ウーマン」|ユン・ソンナム 英雄でも愚か者でもない民草たちの語り部|黄晳暎 正解はない、無数の解答があるだけ|チェ・ヒョングク 偉大にて、卑小な、すべての人々へ 日本語版刊行に寄せて 訳者あとがき - 前書きなど - 「プロローグ」より 「今まで会った人の中でいちばん立派だったのは誰ですか?」 ハンギョレ新聞土曜版にコラムを連載しながら、もっとも多かった質問だ。二〇一三年六月から連載を始めて五年あまり、これまで隔週に一回のペースで会った人は百二十二名。その中で、まさに非の打ち所がないほどの純粋な情熱と強い信念を持ち、さらに寛大さをも兼ね備えた「ベスト・オブ・ベスト」は誰なのか。皆が気になるようだが、私の答えは簡単だ。 「この世の中に、そんな立派な人はいません」 インタビューを通して出会った人すべてが、私にとって感動であり喜びであり希望であったけれど、皆が期待するほど偉大でも立派でもなかった。試練の時を過ごした人ほど、心に深い傷を負い、孤独と恐怖に苦しみ、自責する人々だった。「白馬に乗った超人」のような人は、実際にはいないのだ。 そもそも、挫折を乗り越えて成功した、立身出世的な人を探そうと思ったのではない。誰もがそうであるように、私がインタビューした彼らもまた、軟弱で卑屈で気弱な普通の人々である。彼らの生き方が読者に共感と感動を与えたとしたら、それは彼らが揺るぎない態度で誤謬なき人生を歩んだ偉大な人物だからではない。挫折の痛みやうんざりする日常の中でも、世の中に対する希望と、人々に対する期待の糸を離すまいとしたからだろう。 誰の人生も完璧に美しいわけではない。しかし、誰にでも一撃のチャンスはある。人生のある瞬間に自身のもっとも善良で美しい情熱を引き出し、一瞬の輝きを見せる人たちがいるからこそ、世の中は滅びることなく前進していく。世の中を明るくするのは偉大な英雄たちが高々と掲げる不滅の篝火ではなく、クリスマスのイルミネーションのように点いては消える、平凡な人々の短くも断続的な輝きだと私は信じている。挫折と傷と恥辱にまみれた日常の中で最善を尽くし、自分だけの光を放つ平凡な人々の特別な瞬間を記録したかった。 - 著者プロフィール - イ・ジンスン(이진순) (イ ジンスン) (著) 財団法人ワグル理事長。 1982年にソウル大学社会学科入学。1985年に女子として初の総学生会長に選ばれる。20代は学生運動と労働運動の日々を過ごし、30代になってから放送作家として〈MBCドキュメントスペシャル〉〈やっと語ることができる〉などの番組を担当した。 40歳で米国のラトガーズ大学に留学。「インターネットをベースにした市民運動研究」で博士号を取得後、オールド・ドミニオン大学助教授に就任し、市民ジャーナリズムについて講義をした。 2013年に帰国して希望製作所副所長に。 2015年8月から現職。市民参与政治と青年活動家養成を目的とした活動を展開している。 伊東順子 (イトウ ジュンコ) (翻訳) ライター、編集・翻訳業。愛知県生まれ。1990年に渡韓。ソウルで企画・翻訳オフィスを運営。 2017年に同人雑誌『中くらいの友だち 韓くに手帖』(皓星社)を創刊。近著に『韓国 現地からの報告 セウォル号事件から文在寅政権まで』(ちくま新書)、『韓国カルチャー 隣人の素顔と現在』『続・韓国カルチャー 描かれた「歴史」と社会の変化』 (共に集英社新書)、訳書に『搾取都市、ソウル韓国最底辺住宅街の人びと』(筑摩書房)などがある。
-
ワタリガニの墓 韓国現代短編選 | クォン・ジエ(権志羿), ハ・ソンナン(河成蘭)他
¥2,530
クオン 2021年 ソフトカバー 352ページ 四六判 縦188mm 横127mm 厚さ25mm - 内容紹介 - 江華島で出会った素性の知れない女は、 渇きを充たすようにカニの醬油漬けを貪る――。 クォン・ジエによる表題作のほかクォン・ヨソン「桃色のリボンの季節」、ハ・ソンナン「隣の家の女」など、季刊誌『Koreana』日本語版の掲載作品から厳選した、韓国現代文学のアンソロジー。 「この12編は特定のテーマを元に書かれたわけではないが、どこか共通したものがある。それは、食や住処、性といった暮らしの生々しい側面と、そこに亀裂を入れる妄執や思い出の存在だ。人の営みを緻密に活写することで、かえってその暗部をのぞき込んでしまうような、そんな不穏なトーンが全作に共通しているように思える」あとがきより 季刊誌『Koreana』とは 韓国の芸術と文化を世界に広めるため、韓国国際交流財団により1987年に英語雑誌として創刊された季刊誌。翌年には日本語版、1993年には中国語版が創刊され、現在では9ヵ国語で発行されている。 旧石器時代の遺物からインスタレーション・アートまで、あるいは朝鮮王朝の宮廷文化から現代のカルチャーまで、韓国の芸術文化を幅広く扱う。日本語版には現代文学の邦訳も掲載されており、本書に収録された作品はその一部となる。 - 目次 - ワタリガニの墓/クォン・ジエ 隣の家の女/ハ・ソンナン マテ茶の香り/チョン・ハナ プラザホテル/キム・ミウォル 桃色のリボンの季節/クォン・ヨソン からたちの実/ユン・デニョン 旅人は道でも休まない/イ・ジェハ 鎌が吠えるとき/キム・ドッキ 塩かます/ク・ヒョソ バラの木の食器棚/イ・ヒョンス てんとう虫は天辺から飛び出す/パク・チャンスン 初恋/チョン・ギョンニン あとがき - 著者プロフィール - クォン・ジエ(権志羿) (クォン ジエ) (著/文) 1960年、慶尚北道慶州市生まれ。梨花女子大学校英文科卒業、フランス国立パリ第七大学東洋学部博士号取得。デビュー作は「夢見るマリオネット」(1997)。代表作に小説集『爆笑』(2003)、『ベロニカの涙』(2,019)、絵物語『愛するか狂うか』(2010)、『三十七歳で星になった男』(2012)、長編小説『美しい地獄一・二』(2004)、『真紅の絹の包み』(2008)、『師任堂の真紅の絹の包み』(2016)、『四月の魚』(2010)、『誘惑一~五』(2011~12)、他に散文集などがある。「うなぎのシチュー」で李箱文学賞(2002)、『ワタリガニの墓』で東仁文学賞(2005)を受賞した。 ハ・ソンナン(河成蘭) (ハ ソンナン) (著/文) 1967年、ソウル特別市生まれ。ソウル芸術大学校文芸創作科卒業。デビュー作は短編小説「草」(1996、ソウル新聞「新春文芸」)。代表作に小説集『ルビンの盃』(1997)、『隣の家の女』(1999)、『青い髭の最初の妻』(2002)、長編小説『食事の楽しみ』(1998)、『サッポロ旅館(2000)、『私の映画の主人公』(2001)、散文集『まだときめくことは多い』(2013)など。「カビの花」で東仁文学賞(1999)、「嬉びの世界」で韓国日報文学賞(2000)、「講義白昼夢」で梨樹文学賞(2004)、「あの夏の修辞」で呉永寿文学賞(2008)、「アルファの時間」で現代文学賞(2009)などを受賞した。 チョン・ハナ(鄭ハナ) (チョン ハナ) (著/文) 1982年、ソウル特別市生まれ。建国大学校国文科卒業、同大学院修士課程修了。 2005年大学在学中、大山大学文学賞を受賞してデビュー。小説『月の海』(2007)で文学トンネ作家賞受賞後、本格的に小説家として活動開始した。代表作に小説集『エニ』(2015)、『ハロウィン』(2017)、『私のために笑う』(2019)、長編小説『リトルシカゴ』(2012)、『親密な異邦人』(2017)などがある。『エニ』で統營市文学賞(2016)、金溶益小説文学賞(2016)、『親密な異邦人』で韓戊淑文学賞(2019)などを受賞した。 キム・ミウォル(金美月) (キム ミウォル) (著/文) 1977年、江原道江陵市生まれ。高麗大学言語学科、ソウル芸術大学文芸創作科卒業。デビュー作は「庭園に道を尋ねる」(2004、世界日報新春文芸入選)。主な作品は『ソウル洞窟ガイド』(2007)、長編小説『八番目の部屋』(2010)、『誰も開いてみない本』(2011)、散文集共著『僕が愛した女』(2012)、『昔の恋人のおみやげバザー』(2019)、翻訳『ガウディの青い海』(2004)など。「中国語授業」(2010)と「プラザホテル」(2012)が文学トンネ若い作家賞、「八番目の部屋」で申東曄創作賞(2011)、今日の若い芸術家賞(2014)などを受賞した。 クォン・ヨソン(権汝宣) (クォン・ヨソン) (著/文) 1965年、慶尚北道安東市生まれ。ソウル大学校国語国文学科卒業、同大学院修士課程、仁荷大学校大学院国文学博士課程修了。デビュー作は長編小説『青い隙間(1996年、「第二回想像文学賞」受賞)。代表作に小説集『純粋な魂、マリリンモンロー』(2005)、『ピンクリボンの時代』(2007)、『私の庭の赤い実』(2010)、『カヤの森』(2013)、『春夜』(2014)、長編小説『レガート』(2012)、『レモン』(2019)、『まだまだという言葉』(2020)、散文集『きょうの肴なに食べよう?』(2018)など。「タンキリ豆の蒸す間」で吳永壽文学賞(2007)、「愛を信じる」で李箱文学賞(2008)、『土偶の家』で東里文学賞(2015)、「春の宵」で東 仁文学賞(2016)、「知らない領域」で李孝石文学賞(2018)などを受賞した。 ユン・デニョン(尹大寧) (ユン デニョン) (著/文) 1962年、忠清南道礼山郡生まれ。1988年檀国大学校仏語仏文学科卒業。1988年大田日報新春文芸に「円」が入選、1990年に短編「母の森」が『文学思想』新人賞を受賞してデビュー。小説集に『鮎釣り通信』(1994)、『陶磁器博物館』(2013)、長編小説『昔の映画を見に行った』(1995)、『追憶の遠い向こう』(1996)、『コカコーラ恋人』(1999)、『ハサミムシ女』(2001)、『誰かが歩いていく』(2004)、『トラはなぜ海に行ったのか』(2005)、『ピエロたちの家』(2016)、他に散文集など多数。受賞歴は「天地間」で李箱文学賞(一九九六)、『たくさんの星が一か所に流れた』で現代文学賞(1998)、「いばらの記念館」で李孝石文学賞(2003)、『燕を飼う』で金裕貞文学賞(2007)、『口蹄疫』で金埈成文学賞(2012)、「誰が猫を殺したのか」で「ソナギ村」文学賞、黄順元作家賞(2019)などがある。 イ・ジェハ(李祭夏) (イ ジェハ) (著/文) 1937年、慶尚南道密陽市生まれ。弘益大学校彫塑科中退。1956年に童話「水晶玉」が子供雑誌『新しき友』に入選。一九五九年には詩「零時」が『現代文学』に、短編小説「黄色い子犬」が『新太陽』にそれぞれ入選しデビュー。1961年には短編小説「手」で韓国日報に入選し本格的に小説を書くようになった。代表作に小説集『草食』(1973)、『汽車、汽船、海、空』(1981)、『龍』(1986)、長編小説『熱望』(1997)、『ミゾレ結婚』(1999)、詩集『あの暗闇の中の灯火を感じるごとく(1992)など。「旅人は道でも休まないで李箱文学賞(1985)、「熱望」で韓国日報文学賞(1987)、『綾羅島での出来事』で東里文学賞(2008)、他に片雲文学賞(1999)などを受賞した。 キム・ドッキ(金㯖熙) (キム ドッキ) (著/文) 1979年、慶尚北道浦項市生まれ。東国大学校国語国文学科、文化芸術大学院卒業。デビュー作は短編「あわび」(2013、中央新人文学賞)。2017年に文学と知性社から出版された『急所』には、ディアスラ的な状況が描写され、素材・主題とも様々な九編の短編が収められ、翌年に第23回韓戊淑文学賞を受賞した。 ク・ヒョソ(具孝書) (ク ヒョソ) (著/文) 1958年、仁川広域市江華郡生まれ。牧園大学校国語教育専攻。デビュー作は短編「節」(1987、中央日報新春文芸入選)。短編小説集に『缶切りがない村』(1995)、『桔梗の花の姉』(1999)、『朝びっくり波模様のコガネムシ』(2003)、『夜が美しい家』(2009)など。長編小説に『沼を渡る方法』(1991)、『見慣れぬ夏』(1994)、『秘密の門』(1996)、『男の西』(1997)、『私の木蓮一株』(1997)、『悪党イム・コクジョン』(2000)、『ドンジュ』(2011)、『夜明けの星が額に迫る時』(2016)などの他に散文集多数。2000年から国内では初めて電子版〈YES 24〉に小説『情別』を連載している。「塩かます」で李孝石文学賞(2005)、「明斗」で黄順元文学賞(2006)、「時計が掛かっていたところ」で韓戊淑文学賞、「調律|ピアノ月印千江之曲」で許筠文学作家賞(2007)、『長崎パパ』で大山文学賞(2008)、東仁文学賞(2015)などを受賞した。 イ・ヒョンス(李賢洙) (イ ヒョンス) (著/文) 1959年、忠清北道永同郡生まれ。1991年「その災難の兆しは指から始まった」が忠清日報の新春文芸入選。1997年「乾いた日々の合間に」で文学ドンネ新人賞を受賞して本格的に作家として活躍する。代表作に小説集『里芋』(2003)、長編小説『道端の家の女』(2000)、『新妓生伝』(2005)、『四日』(2013)、『消えた曜日』(2017)などがある。『新妓生伝』は2011年、SBSのドラマ『芙蓉閣の女たち~新妓生伝』として制作された。『里芋』で無影文学賞(2003)とすみれ庶民小説賞(2007)、『バラの木の食器棚』で韓戊淑文学賞(2010)などを受賞した。 パク・チャンスン(朴賛順) (パク チャンスン) (著/文) 1946年、慶尙北道栄州市生まれ。延世大学校英文学科卒業。還暦の年に「カリボン羊肉串」(2006、朝鮮日報の新春文芸に入選)でデビュー。小説集は『渤海風の庭園』(2009)、『てんとう虫は天辺から飛び出す』(2013)、『アムステルダム行き鈍行列車』(2018)など。2014年『てんとう虫は天辺から飛び出す』で第四回韓国小説作家賞を受賞した チョン・ギョンニン(全鏡潾) (チョン・ギョンニン) (著/文) 1962年、慶尙南道咸安郡生まれ。慶南大学校ドイツ文学科卒業。デビュー作は、小説「砂漠の月」(1995年、東亜日報新春文芸入選)。代表作に小説集『海辺の最後の家』(1998)、『天使はここに留まる』(2014)、長編小説『私の生涯で一日だけの特別な日』(1999)、『情熱の習慣』(2002)、『月の海』(2007)、『草原の上の食事』(2010)、『最低限の愛』(2012)、『額を照らす、足首を染める』(2017)、散文集『蝶』(2004)、『赤いリボン』(2006)など。『ヤギを追う女』で韓国日報文学賞(1996)、『どこにもいない男で文学トンネ小説賞(1997)、「夏休み」で大韓民国小説文学賞(2004)、「天使はここに留まる」で李箱文学賞(2007)、「川辺の村」で現代文学賞(2011)などを受賞した。 金明順 (キム ミョンジュン) (翻訳) 1957年、東京生まれ。韓国外国語大学通翻訳大学院韓日科修了。 訳書に金教斌『韓国哲学の系譜』(日本評論社)、李京子『ノリゲ―伝統韓服の風雅』(東方出版)、クォン・ジエ『師任堂の真紅の絹の包み』(国書刊行会)など。
-
#発言する女性として生きるということ | チョン・ソヨン, 李聖和(翻訳)
¥2,200
クオン 2023年 ソフトカバー 304ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ20mm - 内容紹介 - 私たちは共に、絶えず声を上げ、 お互いを思いやり、 しっかりと手を携えて生きていける 韓国SFの話題作『となりのヨンヒさん』著者チョン・ソヨンによる初の邦訳エッセイ集 「この社会で女性として生きるには、 絶えず自分を奮い立たせなければならない。 自分の発するほぼすべての社会的発言に「女だから」という フィルターをかけられることを覚悟しなければならない。 韓国で発言する女性として生きるということは、 そんな覚悟を持って、それでも次の世代のために 女性の居場所をひとつでも多く確保できるように、 発言し、主張し続けるということだ。 世間が耳を傾けずにはいられなくなるまで」 ――本書より - 目次 - はじめに 第一部 信念を軽んじる世界で 第二部 発言する女性として生きるということ 第三部 私たちが物語になるとき 終わりに これが私の遺言 日本の読者の皆様へ 訳者あとがき - 前書きなど - 本書は、これまで私がさまざまな紙面に寄稿したコラム、エッセイ、解説を集めたものである。コラムとエッセイは、テーマや雰囲気が多少重複する数編を除いてはなるべくすべて載せることにした。韓国社会一般に関するテーマは第一部、フェミニズムに関するテーマは第二部に収録した。その他、拙訳書で書いた訳者あとがきと他の作家の小説に寄せた作品解説は、悩んだ末に数編のみを抜粋して第三部に載せることにした。読者が本書を読んだあと、私が翻訳または解説を手がけた書籍を手に取っていただくきっかけになればと思う。 本書には、私が専業作家として、兼業作家として、そして弁護士として書いたものがまんべんなく収録されている。長きにわたって書いてきたものを改めて読んでみると、文章を書く者として私が言いたいことと、一市民として誰かは言うべきだと思った言葉が幾度も重なっていた。それは幸いなことだと思う。さまざまな紙面で執筆しながら、悪意のある書き込みを目にしたり、見ず知らずの方から励ましの声をいただいたりもした。不思議なことだ。ごくプライベートな話もあれば、当時の社会情勢を色濃く反映したものもある。文章というものを通してここまで率直に自分をさらけ出すということは、やや怖くもあるが、やはり素晴らしいことだと思う。 そんな重みが本書を通じて読者のもとに届き、読者の人生に残ることを願ってやまない。 二〇二一年十一月 チョン・ソヨン - 著者プロフィール - チョン・ソヨン (チョン ソヨン) (著/文) ソウル大学で社会福祉学と哲学を専攻。大学在学中にストーリーを担当した漫画「宇宙流」が2005年の「科学技術創作文芸」で佳作を受賞し、作家としてのスタートを切った。 小説の執筆と翻訳を並行する傍ら、延世大学法学専門大学院を卒業し、現在は弁護士としても活動している。〈韓国SF作家連帯〉初代代表。 邦訳書に『となりのヨンヒさん』(吉川凪訳、集英社)、「ミジョンの未定の箱」(『最後のライオニ 韓国パンデミックSF小説集』収、古川綾子訳、河出書房新社)がある。 李聖和 (イ ソンファ) (翻訳) 大阪生まれ。関西大学法学部卒業後、会社勤務を経て韓国へ渡り韓国外国語大学通訳翻訳大学院修士課程修了。現在は企業内にて通訳・翻訳業務に従事。 第二回「日本語で読みたい韓国の本翻訳コンクール」にて「静かな事件」で最優秀賞受賞。訳書に『静かな事件』(クオン)、『わたしの心が傷つかないように』(日本実業出版社)、『オリオンと林檎』(共訳/書肆侃侃房)など。
-
みんなの社会的処方 人のつながりで元気になれる地域をつくる | 西 智弘, 岩瀬 翔, 西上 ありさ, 守本 陽一, 稲庭 彩和子, 石井 麗子, 藤岡 聡子, 福島 沙紀
¥2,200
学芸出版社 2023年 ソフトカバー 256ページ 四六判 - 内容紹介 - 孤立という病に対し薬ではなく地域の人のつながりを処方する「社会的処方」。日本での実践はまだ始まったばかりだ。いま孤立しているかどうかや、病気や障がいの有無、年齢に関わらず、「誰もが暮らしているだけで自分の生き方を実現できるまち」をどうつくるか。世界と日本の取り組みに学び、これからのビジョンを示す一冊。 - 目次 - はじめに 社会的処方はもっと自由でいい ■Chapter1 社会的処方の「3つの理念」 人間中心性 エンパワメント 共創 「支援する」とはどういうことか 社会的処方の「型」 社会的格差と、広がる自己責任論 ■Chapter2 孤独・孤立の現状 若者を含めた「居場所」はどのように作れるのか REPORT│小杉湯│西 智弘 90年間建ち続けてきた「場」としての力 社会に必要な、インフラとしての銭湯 「開くのではなく、閉じない」からの相補う関係性 小杉湯「的な場」が持つ、社会的処方としての意義:社会的行方不明者をつくらない 社会的処方の進化 Green/Blue Social Prescribing REPORT│Nami-nications│西智弘 サーフィンを通じてつながる Nami-nications アダプティブ・サーフィンが変えていくもの Green/Blue Social Prescribingの広がり 働かざるもの食うべからず「ではない」 ■Chapter3 社会的処方と世界・日本の動き REPORT│イギリス・フルーム│岩瀬翔 イギリス・フルーム 誰もがリンクワーカーになれる町 MakeaSpark まずは何か動き出そう 「人間の道しるべ」作戦 おせっかい住民をエンパワメントする コロナ禍を経て本質を掴んだ市民リンクワーカー達 ヘリテージコネクター/グリーンコミュニティコネクター 世界の社会的処方の現在地 言葉が全てではない 日本における「モデル事業」 名張と養父 REPORT│名張市│西上ありさ 厚労省モデル事業:名張市/ステイホームダイアリーと社会的処方の展開 REPORT│養父市│守本陽一 厚労省モデル事業:養父市 様々なセクターがまずつながる 医療を起点とした社会的処方の実践 養父市におけるリンクワーカー養成講座 小規模多機能な公共空間「だいかい文庫」 「孤独・孤立対策推進法」とその意義 ■Chapter4 社会のなかで生きることが元気につながる EPISODE│オバケのタムタム&studio FLAT│西智弘 バリアを超えて才能を届ける StudioFLATの取り組み 障がいのある無しに関わらず、良いものは良い アートと障がいと社会的処方的な意義 アートを通じて、人と社会がつながっていく REPORT│アートと社会的処方│稲庭彩和子 アートはずっと存在している。それはなぜなのか? アートと文化でウェルビーイングを増進 「とびらプロジェクト」と社会的処方の共通項 私たちの目指すこと アートコミュニケータとソーシャルな鑑賞法 「きく力・みる力」がケアする力になる REPORT│Dance Well│西智弘 Happy! Dance Well 美術館の内外、そしてアート作品を利用して自らを表現する 身体表現を使って、他人と会話する ダンスレッスンではないのに、結果的にダンスになっている アートがもつ力で変わっていったAさん アートが持つ「ケアの力」 無意識の差別をこえていく REPORT│高齢者福祉施設 西院│西智弘 「要介護」? 関係なく夢は叶えられる 「はたらく」こと=生きるをつくること 「参加」からはじめる 就労とお金の問題 ■Chapter5 暮らしているだけで元気になれるまちをつくる おせっかいのエンパワメントは意外と効く REPORT│おせっかい会議│石井麗子 地域おせっかい会議の風景 コミュニティナースと健康おせっかい まちの身近な存在、郵便局がおせっかいのハブになる 「共感・挑戦・ネットワーク」の実践支援プロセス まちへ飛び出し声を拾い続ける事務局 社会的処方の視点からみた地域おせっかい会議 やればやるほど楽しいことが大きくなる おせっかいが育む優しい目 REPORT│ほっちのロッヂ│藤岡聡子 診療所とまちの居場所が複合された「ほっちのロッヂ」 発地(ほっち)にある森小屋を起点に 私たちは人の何を捉えているのか 自分の関心のあることに掛け合わせていく ケアする・される関係性の逆転は台所から 大切な人を亡くした人が、「あのね…」と話せる部屋があるといい─福島沙紀 おわりに この本で伝えたかったつのこと 暮らしの保健室・川崎/社会的処方研究所はどうなっているか/社会的処方の未来 - 著者プロフィール - 西 智弘 (ニシ トモヒロ) (著/文) 川崎市立井田病院医師/一般社団法人プラスケア代表理事 2005年北海道大学卒。室蘭日鋼記念病院で家庭医療を中心に初期研修後、川崎市立井田病院で総合内科/緩和ケアを研修。その後2009年から栃木県立がんセンターにて腫瘍内科を研修。2012年から現職。現在は抗がん剤治療を中心に、緩和ケアチームや在宅診療にも関わる。一方で、一般社団法人プラスケアを2017年に立ち上げ代表理事に就任。「暮らしの保健室」や「社会的処方研究所」の運営を中心に、「病気になっても安心して暮らせるまち」をつくるために活動。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医。著書に『社会的処方 孤立という病を地域のつながりで治す方法』(学芸出版社)、『緩和ケアの壁にぶつかったら読む本』(中外医学社)、『がんになった人のそばで、わたしたちにできること』(中央法規出版)他多数。 岩瀬 翔 (イワセ カケル) (著/文) 式根島診療所所長 西上 ありさ (ニシガミ アリサ) (著/文) studio-L 守本 陽一 (モリモト ヨウイチ) (著/文) 一般社団法人ケアと暮らしの編集社代表理事/兵庫県豊岡保健所 稲庭 彩和子 (イナニワ サワコ) (著/文) 独立行政法人国立美術館国立アートリサーチセンター 石井 麗子 (イシイ レイコ) (著/文) 一般社団法人プラスケア 藤岡 聡子 (フジオカ サトコ) (著/文) 軽井沢町・大きな台所と診療所があるところ ほっちのロッヂ共同代表 福島 沙紀 (フクシマ サキ) (著/文) 一般社団法人プラスケア
-
Foodscape フードスケープ 図解 食がつくる建築と風景 | 正田 智樹
¥3,300
学芸出版社 2023年 ソフトカバー 224ページ A5判 縦148mm 横210mm 厚さ20mm - 内容紹介 - 地形と気候に応じた食がつくる建築と風景の図解集。カレマ村のワイン、アマルフィのレモン、小豆島の醤油、多気町の日本酒等、日本とイタリア16の食の生産現場を読み解く。蓄熱する石積みの段々畑、風を呼込む櫓、光や湿気を採り入れる窓等、自然のリズムとともにある食生産と人の暮らしを取り戻す為の建築の問いと手がかり - 目次 - プロローグ 1 食の生産とフードスケープ 1-1 イタリアの食文化に学ぶ -スローフードの発祥 1-2 エコロジカルな転回 チェントロ・ストリコからテリトーリオへ 1-3 エコロジカルな治具とスローフード・アーキテクチャー 1-4 調査方法とドローイング 2 イタリアのフードスケープ 2-1 カレマ村のワイン 2-2 ボルミダ渓谷のワイン 2-3 トレントの貴腐ワイン 2-4 ムリアルド村のにんにく 2-5 ジベッロ村のクラテッロ 【生ハムコラム】パルマの生ハム・コロンナータ村のラード 2-6 モデナのバルサミコ酢 2-7 ヴェスヴィオ山のトマト 2-8 アマルフィのレモン 2-9 トラパニの塩 【チーズコラム】 【対談】藤原辰史 3 日本のフードスケープ 3-1 四郷の串柿 【干し柿コラム】宇治田原の柿、畑地区柿小屋 3-2 醤の郷 【醤油コラム】埼玉の弓削多醤油 【味噌コラム】石井味噌 3-3 てしま天日塩ファーム 【塩コラム】珠洲の塩 【塩コラム】赤穂の塩 3-4 多気町の日本酒 【日本酒コラム】灘五郷、知多半島酒造 3-5 八女茶 3-6 田野町の大根櫓 【大根コラム】大根コラム:山之村の寒干し大根 3-7 橘本のみかん 【対談】塚本由晴 エピローグ フードスケープの維持・更新 - 著者プロフィール - 正田 智樹 (ショウダ トモキ) (著/文) 1990年千葉県生まれ。東京工業大学大学院建築学専攻修了。2016-17年イタリアミラノ工科大学留学。現地ではSlow Foodに登録されるイタリアの伝統的な食品を建築の視点から調査。2018年-現在 大手設計事務所在籍。
-
ROOM 測って描いたインテリアデザイナーの部屋72 | NIKKEN SPACE DESIGN
¥1,980
学芸出版社 2023年 ソフトカバー 160ページ 四六判 - 内容紹介 - インテリアデザイナーたちの住まいを実測スケッチで再現。住人が大切にしている家具や雑貨、食事など暮らしぶりの記録には、プロならではの設えは勿論、住まいへの飾らないこだわりと愛情が溢れ出る。一人暮らし、二人暮らし、三人以上の住まい別に、住宅・インテリア関係者をはじめ、住まい好きなら誰でもほっこり楽しめる間取り図集 - 目次 - はじめに 手で測って描くことのススメ ●1人暮らし Room for One #01 偏愛的趣味の部屋 #02 好きが凝縮された部屋 #03 エスニックな部屋 #04 ナチュラルーム #05 DIYルーム #06 置きものたちと暮らす部屋 #07 ほぼバルコニー #08 ええかんじの部屋 #09 吹き抜けブロックルーム #10 趣味を愛する秘密基地 #11 ミニマリストのメゾネット #12 読書家の住処 #13 ビッキーの男の部屋 #14 単身赴任の部屋 #15 サボテンと暮らす部屋 #16 音人の住処 #17 「マフィア」の住処 #18 ミニマルシェアハウス #19 スパイスの効いた北欧家具の部屋 #20 シェフ’s ルーム #21 THE・女子の部屋 #22 料理系男子の住処 #23 音人の住処2 #24 細ながーい部屋 #25 ギタリストの住処 #26 愛しい家具に囲まれた家 #27 青いラグの部屋 #28 イケてるプリンスキャッスル #29 和室とテラスがある家 #30 こだわり屋の部屋 #31 都心の景色と暮らす部屋 #32 はじまりの住処 [DESIGNER’S CHOICE:椅子編] ●2人暮らし Room for Two #33 アウトドア夫婦の住処 #34 湘南ベース #35 愛猫家のダンディハウス #36 チェアコレクターハウス #37 北欧家具と愛犬ジジの家 #38 スカイツリーが見える部屋 #39 酒蔵の家 #40 ひとつなぎのワンルーム #41 心地よいこだわりの部屋 #42 TATAMI のある部屋 #43 太陽の塔が見える部屋 #44 偏愛的趣味の部屋2 #45 いい夫婦の部屋 #46 嗜好の住処 #47 毎日温泉に入れる家 #48 スキップフロアの家 #49 坪庭とガレージのある住処 #50 天窓から空が見える家 #51 スパイス香るヴィンテージハウス #52 運河を臨むリノベルーム #53 彫刻家とデザイナーの住処 [DESIGNER’S CHOICE:照明編] ●3人以上の暮らし Room for Three and More #54 京の家 #55 緑あふれる家族の拠所 #56 5人と2匹の憩いの住処 #57 ホワイトハウス #58 丁寧な暮らしの部屋 #59 スイートなホーム #60 狭小敷地の積層の家 #61 白とRANCHUの家 #62 カフェのある家 #63 高台のテラス #64 テラスに挟まれた部屋 #65 趣味没頭 実家部屋 #66 和洋混沌ルーム #67 ゾウさんとキリンさんとミツさんの家 #68 超建築家的住処 #69 スカイツリーが見える部屋2 #70 特大リビングハウス #71 自然を楽しむ大きな窓の家 #72 紫の住処 [DESIGNER’S CHOICE:スケッチツール編] [小宇宙を測って描く ご自宅訪問&実測ドキュメント] おわりに - 著者プロフィール - NIKKEN SPACE DESIGN (ニッケンスペースデザイン) (著/文) 施工・物販部門を持たないデザインファームとして国内最大規模を誇るインテリアデザイナー集団。日建設計のインテリア部・オフィスデザインセンターから1994年に独立。感性と技術を駆使し、付加価値が高く新たな体験をもたらす空間を生み出している。「デザイナーズプラットフォーム」として、国内はもちろん世界中のプロジェクトに携わり進化を続ける。
-
コミュニティデザインの現代史 まちづくりの仕事を巡る往復書簡 | 饗庭 伸, 山崎 亮
¥2,640
学芸出版社 2024年 ソフトカバー 288ページ 四六判 縦188mm 横127mm 厚さ20mm - 内容紹介 - コミュニティデザイナーと都市計画家が「まちづくりの仕事の歴史が知りたい」と始めた文通。「どうも70年代の世田谷で、面白そうなことが始まっている」「地縁型まちづくりを辿ると神戸が気になる」「まちづくりに最適なスケールって何?」「事務所の経営とは?」と広がり続ける話題から参加を巡る思想の変遷が見えてくる。 - 目次 - 1章 コミュニテイデザインの歴史が気になる 1 ランドスケープデザインからコミュニティデザインへ(山崎) 2 参加型デザインの原体験を振り返る(饗庭) 2章 パイオニアたちに会いに行こう 3 気になるパイオニアたち(山崎) 4 見取り図を描いてインタビューに臨も(饗庭) パイオニア訪問記1 林 泰義さん 3章 70年代、町田や世田谷で起こっていた面白そうなこと 5 林泰義さんから派生するさまざまな話題(山崎) 6 いくつもの流れが生まれた(饗庭) 7 アメリカのコミュニティデザインを振り返る(山崎) 4章 コミュニティ計画を突き詰めた神戸へ 8 知られざる真野地区のまちづくり(饗庭) 9 地縁型コミュニティを考える(山崎) パイオニア訪問記2 乾 亨さん 5章 コミュニティ計画が描いたもの 10 コミュニティ計画をめぐる3つの論点(饗庭) 11 実践のなかの能動態・中動態・受動態(山崎) パイオニア訪問記3 小林 郁雄さん 6章 まちづくり事務所の経営について考える 12 コミュニティ計画の方言 13 URの経営スタイルから学ぶこと(山崎) 14 NPO法制定時代、80年代のワークショップ(饗庭) 15 NPO価格──studio-L設立時に考えたこと(山崎) パイオニア訪問記4 浅海 義治さん 7章 何のためのワークショップ? 16 コミュニティデザイン教育と都市(饗庭) 17 スチュワードシップと民主的な計画づくり(山崎) 18 3つのプランニング(饗庭) 19 木下勇さんのワークショップに惹かれる理由(山崎) 20 いいデザインのため? 公正なプロセスのため? 人が育つため?(饗庭) パイオニア訪問記5 木下 勇さん 8章 なぜ僕らはワークショップをするんだろう 21 人が育つためのワークショップ(山崎) 22 1人からの都市計画(饗庭) - 著者プロフィール - 饗庭 伸 (アイバ シン) (著/文) 1971年生まれ。東京都立大学都市環境学部教授。早稲田大学理工学部建築学科卒業。同大学院工学系研究科建設工学専攻博士課程退学。博士(工学)。東京都立大学助手、准教授を経て、2017年より現職。主な単著に『都市をたたむ』『平成都市計画史』(花伝社)、『都市の問診』(鹿島出版会)、共編著に『まちづくりの仕事ガイドブック』(学芸出版社)、『津波のあいだ、生きられた村』(鹿島出版会)、『シティ・カスタマイズ』(晶文社)など。 山崎 亮 (ヤマザキ リョウ) (著/文) 1973年生まれ。コミュニティデザイナー。studio-L 代表。関西学院大学建築学部教授。大阪府立大学大学院および東京大学大学院修了。博士(工学)。社会福祉士。建築・ランドスケープ設計事務所を経て、2005 年にstudio-L を設立。主な著書に『コミュニティデザイン』(学芸出版社)、『コミュニティデザインの源流』(太田出版)、『縮充する日本』(PHP 研究所)、『地域ごはん日記』(パイインターナショナル)、『ふるさとを元気にする仕事』(筑摩書房)など
-
小さき者たちの | 松村 圭一郎
¥1,980
ミシマ社 2023年 ソフトカバー 208ページ 四六変形判 縦178mm 横130mm 厚さ16mm - 内容紹介 - 私は日本のことを、 自分たちのことを何も知らなかった。(「おわりに」より) 水俣、天草、須恵村… 故郷・熊本の暮らしの記録を初めて解く。 現代の歪みの根源を映し出す、 今を生きる人たち必読の生活誌。 世界を動かしてきたのは、 いつも、小さき者たちだった。 はたらく、まじわる、くに… 消えかけていた声を拾い、 紡いだ、渾身の二一編。 気鋭の人類学者の新たな代表作 本書では、私が生まれ育った九州・熊本でふつうの人びとが経験してきた歴史を掘り下げようとした。とくに私が地元でありながらも目を背けてきた水俣に関するテキストを中心に読みこみ、自分がどんな土地で生を受けたのか、学ぼうとした。そこには日本という近代国家が民の暮らしに何をもたらしてきたのか、はっきりと刻まれていた。(「はじめに」より) - 目次 - Ⅰ 水俣1 一、はたらく 二、おそれる 三、いのち 四、まじわる 五、うつろう 六、かかわる 七、うえとした Ⅱ 水俣2 八、やまい 九、こえる 一〇、うつしだす 一一、ひきうける 一二、たちすくむ Ⅲ 水俣3 一三、ねがい 一四、たりない 一五、かお 一六、あいまみえる Ⅳ 天草 一七、こえ 一八、くに Ⅴ 須恵村 一九、いのる 二〇、おとことおんな 二一、みえないもの - 著者プロフィール - 松村圭一郎 (マツムラケイイチロウ) (著/文) 1975年熊本生まれ。岡山大学文学部准教授。専門は文化人類学。所有と分配、海外出稼ぎ、市場と国家の関係などについて研究。著書に『うしろめたさの人類学』(第七二回毎日出版文化賞特別賞)、『くらしのアナキズム』(以上、ミシマ社)、『はみだしの人類学』(NHK出版)、『これからの大学』(春秋社)など、共編著に『文化人類学の思考法』(世界思想社)、『働くことの人類学』(黒鳥社)。
-
思いがけず利他 | 中島 岳志
¥1,760
ミシマ社 2021年 ソフトカバー 184ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ15mm - 内容紹介 - It’s automatic(イッツ オートマティック)!? 誰かのためになる瞬間は、いつも偶然に、未来からやってくる。 東京工業大学で「利他プロジェクト」を立ち上げ、『利他とは何か』『料理と利他』などで刺激的な議論を展開する筆者、待望の単著! 今、「他者と共にあること」を問うすべての人へ。 自己責任論も、「共感」一辺倒も、さようなら。 ** 偽善、負債、支配、利己性……。利他的になることは、そう簡単ではありません。 しかし、自己責任論が蔓延し、人間を生産性によって価値づける社会を打破する契機が、「利他」には含まれていることも確かです。――「はじめに」より 本書は、「利他」の困難と可能性を考える。手がかりとなるのは、居心地の悪いケアの場面、古典落語の不可解な筋書き、「証明できない」数学者の直観、「自然に沿う」職人仕事の境地、九鬼周造が追求した「私は私ではなかったかもしれない」という偶然性の哲学……など。 「利他の主体はどこまでも、受け手の側にあるということです。この意味において、私たちは利他的なことを行うことができません」 「利他的になるためは、器のような存在になり、与格的主体を取り戻すことが必要」 ――本文より 意思や利害計算や合理性の「そと」で、 私を動かし、喜びを循環させ、人と人とをつなぐものとは? - 目次 - はじめに 第一章 業の力――It’s automatic 第二章 やって来る――与格の構造 第三章 受け取ること 第四章 偶然と運命 おわりに - 著者プロフィール - 中島岳志 (ナカジマタケシ) (著/文) 1975年大阪生まれ。大阪外国語大学卒業。京都大学大学院博士課程修了。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。専攻は南アジア地域研究、近代日本政治思想。2005年、『中村屋のボース』で大佛次郎論壇賞、アジア・太平洋賞大賞受賞。著書に『パール判事』『秋葉原事件』『「リベラル保守」宣言』『血盟団事件』『アジア主義』『下中彌三郎』『保守と立憲』『親鸞と日本主義』『利他とは何か』など。ミシマ社からは『現代の超克』(若松英輔との共著)、『料理と利他』(土井善晴との共著)を刊行。
-
中学生から知りたいウクライナのこと | 小山哲, 藤原辰史
¥1,980
ミシマ社 2022年 ソフトカバー 208ページ 四六判 - 内容紹介 - 生きることの歴史、生きのびるための道。 黒土地帯、第二次ポーランド分割、コサック…地理や世界史の教科書にも載っているこうした言葉に血を通わせる。 「ウクライナを知る」第一歩はここからはじまる。 二人の歴史学者が意を決しておこなった講義・対談を完全再現。緊急発刊! MSLive! BOOKSシリーズ 「小国を見過ごすことのない」歴史の学び方を、今こそ! ・ロシアが絶対に許されない理由…? ・西側諸国、日本が犯してきた罪…? ・「プーチンが悪い」という個人還元主義では、負の連鎖は止まらない…? 【イベント参加者の声】 ・歴史を知ることで、ニュースの解像度が上がり、そこに暮らす人びとの顔が見えてくるような感覚をおぼえました。 ・軍事評論家や国際政治学者の解説ではなく、こういう話が聞きたかったです。 ・「国」と「人」をいっしょくたにせず、どのように平和を築いていくのか。自分の姿勢を問い直す貴重な機会でした。 【MSLive! BOOKSとは?】 ミシマ社が2020年5月にスタートしたオンラインイベント、「MSLive!」。 「MSLive! BOOKS」は、オンラインイベントのライブ感をそのまま詰め込んだ書籍シリーズです。イベントに参加くださった方々から、イベントの内容を活字化したものを販売してほしいというリクエストをたくさんいただき、実現することになりました。 - 目次 - はじめに Ⅰ ウクライナの人びとに連帯する声明(自由と平和のための京大有志の会) Ⅱ ウクライナ侵攻について(藤原辰史) Ⅲ 講義 歴史学者と学ぶウクライナのこと 地域としてのウクライナの歴史(小山哲) 小国を見過ごすことのない歴史の学び方(藤原辰史) Ⅳ 対談 歴史学者と学ぶウクライナのこと(小山哲・藤原辰史) Ⅴ 中学生から知りたいウクライナのこと 今こそ構造的暴力を考える(藤原辰史) ウクライナの歴史をもっと知るための読書案内(小山哲) おわりに - 著者プロフィール - 小山哲 (コヤマサトシ) (著/文) 1961年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。専門は西洋史、特にポーランド史。著書に『ワルシャワ連盟協約(一五七三年)』、共編著に『大学で学ぶ西洋史 [近現代]』、『人文学への接近法――西洋史を学ぶ』など。 藤原辰史 (フジハラタツシ) (著/文) 1976年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専門は現代史、特に食と農の歴史。著書に『縁食論』(ミシマ社)、『トラクターの世界史』『カブラの冬』『ナチスのキッチン』(河合隼雄学芸賞)、『給食の歴史』(辻静雄食文化賞)、『分解の哲学』(サントリー学芸賞)など。
-
気のはなし 科学と神秘のはざまを解く | 若林 理砂
¥1,870
ミシマ社 2022年 ソフトカバー 208ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ17mm - 内容紹介 - 怪しくない、難しくない、抜群におもしろい! 人気鍼灸師が中国の古典から現代科学の知見までを用いて解説。 誰もが気になる気の世界が、ついにわかる!? ミシマ社創業15周年記念企画 「気」という文字の起源、孔子・荘子・老子・孟子の考えた「気」、易や風水の「気」、東洋医学の「気」、科学の「気」、日常の「気」、武術の「気」、鬱と「気」…etc. 鍼灸師として、「科学の目で見た解剖学・生理学ベースの治療」と「なんだかわからないけれど効く治療」を絶妙なバランス感覚で扱う著者だからこそ書けた、広大で多種多彩な「気」の世界!! 本書を読むと、理屈だけではわからない「気」の世界を理解し、東洋医学や養生をより深く捉え実践できるようになります。 - 目次 - 1章 気の起源 2章 孔子・老子・荘子の気 3章 孟子・道教の気 4章 易と風水の気 5章 東洋医学の気 6章 科学の気 7章 養生と気 - 著者プロフィール - 若林理砂 (ワカバヤシリサ) (著/文) 臨床家・鍼灸師。1976年生まれ。高校卒業後に鍼灸免許を取得。早稲田大学第二文学部卒(思想宗教系専修)。2004年にアシル治療室を開院。予約のとれない人気治療室となる。古武術を学び、現在の趣味はカポエイラとブラジリアン柔術。著書に『絶対に死ぬ私たちがこれだけは知っておきたい健康の話』(ミシマ社)、『安心のペットボトル温灸』(夜間飛行)、『決定版 からだの教養12ヵ月――食とからだの養生訓』(晶文社)など多数。
-
絶対に死ぬ私たちがこれだけは知っておきたい健康の話 「寝る・食う・動く」を整える | 若林 理砂
¥1,760
ミシマ社 2018年 ソフトカバー 192ページ 四六判 縦18mm 横12mm 厚さ1mm - 内容紹介 - 現代人よ、もっと、もっと、もっと寝よう! 体とのつき合い方がわかり、3カ月で不調が改善。 人気鍼灸師が実践する現代版・養生法 ・寝る時間は、3重の締め切りを設定して死守する ・寝室と布団内の温度と湿度が、睡眠の質を決める ・食事の半分は野菜を食べる ・野菜多めの食養生が、花粉症も軽減させる ・運動は、約7分のラジオ体操だけでいい ・初期のインフルエンザも葛根湯で治せる…etc. 具体的なアドバイスが満載。 (本書の現代版・養生を3カ月続けたら)おそらくは3カ月を待たずにだいぶいろいろな不調が改善してきていると思います。1年続けたら、季節ごとに出る不調の出方が軽減していることに気づくはずです。2年続けられたら、「自分はこんなに元気な人だったのだ」と思えるようになります。…そこまで続けられたら、みなさんの生活そのものが養生になっているはず。続けていけばいくほど、気力体力、それと無駄に使わなかった分の財力が増えていきますから、あとは、「ああ楽しかった」と息をひきとるその日まで養生と生きる楽しみを繰り返していくことです。 ――本文より - 目次 - はじめに 第1章 健康法の棚卸し 第2章 「ハレ」と「ラク」が招く不健康 第3章 「寝る・食う・動く」の時間を決める 第4章 「寝る・食う・動く」の質を高める 第5章 風邪は引き始めに東洋医学で治す 第6章 生活そのものが養生になる おわりに - 著者プロフィール - 若林理砂 (ワカバヤシリサ) (著/文) 臨床家・鍼灸師。1976年生まれ。高校卒業後に鍼灸免許を取得。早稲田大学第二文学部卒(思想宗教系専修)。2004年に東京・目黒にアシル治療室を開院。現在、新規患者の受け付けができないほどの人気治療室となっている。古武術を学び、現在の趣味はカポエイラ。著書に『東洋医学式 女性のカラダとココロの「不調」を治す44の養生訓』(原書房)、『安心のペットボトル温灸』『大人の女におやつはいらない』(夜間飛行)、『その痛みやめまい、お天気のせいです――自分で自律神経を整えて治すカンタン解消法』 (廣済堂出版健康人新書)、など多数。
-
少年が来る | ハン・ガン, 井手 俊作(訳)
¥2,750
SOLD OUT
クオン 2016年 新しい韓国の文学シリーズ ソフトカバー 280ページ 四六判 縦185mm 横130mm 厚さ195mm - 内容紹介 - 1980 年5月18 日、韓国全羅南道の光州を中心として起きた民主化抗争、光州事件。戒厳軍の武力鎮圧によって5月27日に終息するまでに、夥しい数の活動家や学生や市民が犠牲になった。抗争で命を落とした者がその時何を想い、生存者や家族は事件後どんな生を余儀なくされたのか。その一人一人の生を深く見つめ描き出すことで、「韓国の地方で起きた過去の話」ではなく、時間や地域を越えた鎮魂の物語となっている。 - 目次 - もくじ 一章 幼い鳥 二章 黒い吐息 三章 七つのビンタ 四章 鉄と血 五章 夜の瞳 六章 花が咲いている方に エピローグ 雪に覆われたランプ 訳者あとがき - 前書きなど - 光州事件から約三十五年。あのとき、生を閉じた者の身に何が起きたのか。生き残った者は、あれからどうやって生きてきたのか。未来を奪われた者は何を思い、子どもを失った母親はどんな生を余儀なくされたのか。三十年以上の月日を経て、初めて見えてくるものがある――。丹念な取材のもと、死者と生き残った者の声にならない声を丁寧に掬いとった衝撃作。『菜食主義者』でマン・ブッカー賞国際賞に輝いた、著者渾身の物語。 - 版元から一言 - 『菜食主義者』でマン・ブッカー賞国際賞に輝いたハン・ガンの邦訳第2作です。 - 著者プロフィール - ハン・ガン (ハン ガン) (著) 1970年韓国・光州生まれ。延世大学国文学科を卒業。 1993年季刊「文学と社会」に詩が、翌年ソウル新聞の新春文芸に短編小説「赤い碇」が当選し文壇にデビューした。 現在、ソウル芸術大学の文芸創作科教授。 『菜食主義者』で、韓国で最も権威ある文学賞、李箱文学賞を受賞、また2016年国際的に権威ある文学賞の1つマン・ブッカー賞国際賞を受賞。その他の作品に、短編集『麗水の愛』『私の女の実』、長編小説『黒い鹿』『あなたの冷たい手』『風が吹いている、行け』、散文集に『そっと静かに歌う歌』『愛と、愛を取りまくもの』などがある。 小説のほかに、絵本『雷小僧、天女稲妻、小僧天女』、大人のための童話『涙の箱』『わたしの名前は太陽花』などがあり、童話の翻訳も多数手がけている。韓国小説文学賞、今日の若い芸術家賞、東里文学賞など受賞多数。 井手 俊作 (イデ シュンサク) (訳) 1948年、福岡県生まれ。 1974年、早稲田大学政治経済学部卒。 新聞社勤務を経て2009年に韓国文学作品の翻訳を始める。 訳書に崔仁浩の小説集『他人の部屋』と小説『夢遊桃源図』。
-
そっと 静かに | ハン・ガン, 古川 綾子(訳)
¥2,420
SOLD OUT
クオン 2018年 新しい韓国の文学シリーズ ソフトカバー 192ページ 四六判 - 内容紹介 - 「歌は翼を広げて、私たちの生の上へと滑り出す。歌がなくて、その翼で生の上へと滑空する瞬間すらもなかったら、私たちの苦しみはどれほど重さを増すだろうか」――本文より ハン・ガンが「書きたいのに、書けなかった」と回想する時期に生まれた本書には、音楽との出会い、さまざまな思い出にまつわる歌、著者自身がつくった歌について綴られている。著者の繊細な感性に触れるエッセイ集の初邦訳。 巻末にはオリジナルアルバムの音源情報も収録! - 目次 - 日本の読者の皆さんへ 1.くちずさむ 2.耳をすます 3.そっと 静かに 4. 追伸 訳者あとがき ハン・ガン オリジナルアルバム - 著者プロフィール - ハン・ガン (ハン・ガン) (著) 1970年、韓国・光州生まれ。延世大学国文学科卒。 1993年に季刊『文学と社会』に詩を発表、 翌年のソウル新聞新春文芸に短編小説「赤い碇」が当選して文壇デビュー。 2005年に『菜食主義者』で韓国で最も権威ある文学賞とされる李箱文学賞、 2016年にイギリスのマン・ブッカー賞国際賞を受賞。 小説や詩のみならず、絵本や童話の創作や翻訳も多数手がけている。 韓国小説文学賞、今日の若い芸術家賞、東里文学賞など受賞多数。 古川 綾子 (フルカワ アヤコ) (訳) 神田外語大学韓国語学科卒業。延世大学校教育大学院韓国語教育科修了。 第10回韓国文学翻訳院翻訳新人賞受賞。神田外語大学講師。 訳書にウ・ソックン『降りられない船――セウォル号沈没事故からみた韓国』(クオン)、パク・ヒョンスク『アリストテレスのいる薬屋』(彩流社)、 ユン・テホ『未生 ミセン』(講談社)、 キム・エラン『走れ、オヤジ殿』(晶文社)などがある。
-
ニューヨーク製菓店 | キム・ヨンス(金衍洙), (著)崔真碩(訳)
¥1,320
SOLD OUT
クオン 2021年 韓国文学ショートショート きむ ふなセレクション ソフトカバー 84ページ B6変形判 縦168mm 横120mm 厚さ7mm - 内容紹介 - 「私はこの小説だけは鉛筆で書くことにした。 どうしてそうしたのかはわからない。 ただそうしなければならないように思えた」 韓国金泉市のパン屋「ニューヨーク製菓店」の末っ子として生まれ育った、キム・ヨンスの自伝的小説。 お店を切り盛りする母、作家を目指す息子を見守る父、グローバル化の波が押し寄せる中で何度となく転機を迎えるニューヨーク製菓店…… この世から姿を消しても心の中を照らし続ける“灯り”に思いを馳せる、静かで温かな余韻の残る短編を、韓国語原文と邦訳を一冊にしてお届けします。 『ニューヨーク製菓店』特設サイト 作品を深く楽しむことができる関連情報を随時更新しています。 作家ご本人による韓国語朗読音声も! キム・ヨンス作家による韓国語の朗読音声をYouTubeで配信しています。 CUON YouTube チャンネル 読者モニターの方々の声 ◎この小説は、韓国の現代史を背景に成長し、今はこの世から消えてしまった「ニューヨーク製菓店」という作家の「灯り」を通じて、読者の「灯り」を召喚する物語でもある。 自分という存在は、自分が消え去ったあとも、もしかして誰かの「灯り」になれるのかも知れない、作家が与えてくれたそんな希望のためだろうか、読後感は、オレンジ色の街灯にように優しい。 ――shirotoraさん ◎キム・ヨンスさんは過去を見つめながら、未来を語る。 ――プレスさん ◎初めて読んだ作家の最初の一編に、こんなに入り込んで同化できるなんて。「感情移入」とか「共感」というのとはちょっと違う、いつの間にか自分のことのように追体験している気持ち。(…)著者の「誠実さ」と「潔さ」、それから「強さ」みたいなものが体温みたいにじわーっと伝わってくる作品です。ここから入ることができてよかった。 ――寒天さん ◎あなたがもし今、暗闇の中で道に迷い途方に暮れていたら、この小説『ニューヨーク製菓店』をそっと手渡したい。暗闇をかすかに照らす道標(みちしるべ)として。 ――yukiさん 【韓国文学ショートショート きむ ふなセレクション】 翻訳家きむ ふなが今お勧めする作家の深い余韻と新たな発見を感じさせる短編を 日本語と韓国語の2言語で読むことができるシリーズです。 韓国語の朗読をYouTubeで聴くことも可能です。 - 著者プロフィール - キム・ヨンス(金衍洙) (キム ヨンス) (著) 著者:キム・ヨンス(金衍洙) 1970年、慶尚北道生まれ。成均館大学英文科卒。 1993年、「作家世界」で詩人としてデビュー。 翌年に長編小説「仮面を指差して歩く」を発表し高く評価されて以来、本格的に創作活動を始める。 「散歩する者たちの五つの楽しみ」で李箱文学賞を受賞したほか、東西文学賞、東仁文学賞、大山文学賞、黄順元文学賞など数々の文学賞を受賞。エッセイスト、翻訳者としても活動している。 邦訳に『世界の果て、彼女』『ワンダーボーイ』(以上クオン)、『皆に幸せな新年・ケイケイの名を呼んでみた』(トランスビュー)、『夜は歌う』、『ぼくは幽霊作家です』(以上新泉社)、『四月のミ、七月のソ』(駿河台出版社)、『目の眩んだ者たちの国家』(共著、新泉社)がある。 崔真碩 (チェ ジンソク) (訳) 訳者:崔 真碩 1973年ソウル生まれ、東京育ち。 東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。学術博士。 現在、広島大学大学院人間社会科学研究科准教授。 テント芝居「野戦之月」の役者。 著書に『朝鮮人はあなたに呼びかけている』(彩流社)、『サラム ひと』(夜光社)など、訳書に『李箱作品集成』(作品社)、『ウォンミドンの人々』(新幹社)などがある。
-
ライブラリー・オブ・ザ・イヤー選考委員長の日記 二〇二二年 | 岡野 裕行
¥1,760
散策舎 2024年 ソフトカバー 185ページ 四六変形 縦180mm 横118mm 厚さ15mm 重さ200g - 内容紹介 - これからの図書館のあり方を示唆する先進的活動を表彰する賞「ライブラリー・オブ・ザ・イヤー」。選考委員長を務める皇学館大学 岡野先生の2022年の日記。 メールマガジン『ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)』にて2023年6月から約5ヶ月間にわたり連載された、最終選考会のあった2022年11月までの日記の書籍版です。 ライブラリー・オブ・ザ・イヤーの理念のとおり「良い図書館を良いと言う」ために、選考委員長として何を考えどのように選ぶことと向き合ったのか、その積み重ねが綴られています。 「私にできるのは言語化して問いかけることだけである。最終的な結果がどうなるかまったくわからない。」 ーー本文より ビブリオバトル、伊勢河崎一箱古本市、図書館総合展、手品、ふみくら倶楽部、ナンバーガール、コーヒー、伊勢うどん。ライブラリー・オブ・ザ・イヤーの選考委員長を務めながら、いろんなことを考えて過ごした1年間の記録。 日記本文(2022年4月〜2023年2月) ふりかえり(メルマガ連載終了時のコメント) 公式記録(コメント・受賞機関・選考委員と審査員一覧) あとがき(書き下ろし) 初出一覧 - 著者プロフィール - 岡野裕行(おかの・ひろゆき) 1977年、茨城県生まれ。2006年に筑波大学大学院図書館情報メディア研究科図書館情報メディア専攻博士後期課程修了。 博士(学術)。2011年から伊勢に移住し、現在は皇學館大学文学部国文学科准教授として、主に図書館司書課程を担当している。専門分野は図書館情報学と日本近現代文学。主な研究テーマは文学館、文学アーカイブ、文学散歩、ウィキペディアタウン、学生協働、読書文化、ビブリオバトルなど。 ビブリオバトル普及委員会代表理事(2015〜2021年)、一般社団法人ビブリオバトル協会副代表理事(2016〜2024年)、伊勢河崎一箱古本市実行委員会(2015〜現在)、NPO法人知的資源イニシアティブ理事(2019年〜現在)などを歴任。2021年からライブラリー・オブ・ザ・イヤー選考委員長を務めている。著者プロフィール 岡野裕行(おかの・ひろゆき) 1977年、茨城県生まれ。2006年に筑波大学大学院図書館情報メディア研究科図書館情報メディア専攻博士後期課程修了。 博士(学術)。2011年から伊勢に移住し、現在は皇學館大学文学部国文学科准教授として、主に図書館司書課程を担当している。専門分野は図書館情報学と日本近現代文学。主な研究テーマは文学館、文学アーカイブ、文学散歩、ウィキペディアタウン、学生協働、読書文化、ビブリオバトルなど。 ビブリオバトル普及委員会代表理事(2015〜2021年)、一般社団法人ビブリオバトル協会副代表理事(2016〜2024年)、伊勢河崎一箱古本市実行委員会(2015〜現在)、NPO法人知的資源イニシアティブ理事(2019年〜現在)などを歴任。2021年からライブラリー・オブ・ザ・イヤー選考委員長を務めている。