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コメと日本人|稲垣 栄洋
¥880
筑摩書房 2026年 ちくま文庫 ソフトカバー 208ページ 文庫判 - 内容紹介 - 植物としてはすこし変わった特性をもつコメやイネを、植物学の見地から、あるいは人との関わりから掘り起こし、それを鏡に人間社会を考える。コムギやトウモロコシと並んで世界三大穀物の一つに数えられるイネ。世界にはたくさんの植物があるのに、なぜ日本人の祖先は数ある植物の中からイネを選び、コメは日本人にとって特別な食べ物になったのか。植物としては奇妙な特徴をもつイネやコメが、田んぼという日本の原風景を作り、経済作物にもなった。植物学を足掛かりに人間文化との深い結びつきをひも解く。 解説 小泉武夫 カバーデザイン 神田昇和 カバーイラスト 日本植物画倶楽部会員 北 博子 - 目次 - 第一章 米って何だ? お米はイネの種子/米は芽を出すか?/イネの芽生え/白米の炭水化物/「せんべい」と「あられ」の違い/もち米という不思議な米/「粳」と「糯」の違い/もち米が呼ぶ幸せ/生米は食べられない/もち米の調理方法/おいしいお米を求めて/人間が守ってきた特別な米/花粉が米に影響する/植物の特殊な受精/もう一つの白い米/日本酒の作り方/さらに日本酒が姿を変える/白米が白い理由/赤飯への思い/皮が重要だ 第二章 イネという植物 第一話 イネとはどんな植物だろう イネの仲間の植物/イネ科の誕生/花びらを捨てたイネ科植物/イネの花の構造/姿を変えたイネ科植物の工夫/大切な部分を守る/ある工夫された工作/そしてイネ科は株になる/素早く成し遂げる/鮮やかな節間伸長/草食動物の生き残り戦略/草食動物の進化/魅力的なイネ科植物の種子/イネ科の種子が人類を救った/そして人は人となった/農業の生まれる場所/農業のはじまり/「糖」の魅力/イネの祖先/湿地に適応したイネ科植物 第二話 日本の米と世界の米 二種類のイネ/リンネのアイデア/山田家の太郎くん/ゴリラ・ゴリラの謎/日本の米と世界の米/ジャポニカを選んだ日本人/米が作った食文化 第三章 田んぼというシステム 水浸しの平野/田んぼに水を張る理由/田んぼの進化/田んぼの開発ブーム/そして平野が開発された/田んぼの面積が二倍になった/田んぼが水をコントロールする/水田は砂漠化しない/農業による環境破壊/田んぼの底力/連作が可能な田んぼ/ごちゃごちゃした日本の風景/生産性の高いイネ/過密な人口を支えるイネ/手をかける農業/世界がうらやむ農業 第四章 米で読み解く日本の歴史 日本の米がやってきた/東日本にイネが広がらなかった理由/稲作と富/時代を大きく変えたもの/その頃、中国大陸では……/鉄の発見/弥生時代からの技術/巨大なクニの出現/大和政権は米が大好き/北限の稲作地帯/肉食の禁止/米が支えた肉食の禁止/田んぼを拡大したい/新しい村々の誕生/お米で決めた単位/米はお金の代わりだった?/どうして米が大切なのか/米が貨幣になった理由/昔の精米技術/江戸患いの謎/米作りへの執念/北の大地の挑戦/産地の北進 第五章 米と日本人 苗字はイネの苗/ひな祭りもこどもの日も田んぼの行事だった/「さの神様」がやってくる/サクラは神様の依代/お月見のススキの意味/国技の相撲と田んぼの関係/稲荷神社にキツネが祭られる理由/水を守るヘビ/田んぼの神様がやってくる/神様を感じる/「米」という神聖なもの/日本人は田植えのリズム/日本人のアイデンティティ/災害を乗り越えて/世界に誇るべきもの 解説:イネを愛する至高の一冊 小泉武夫 - 著者プロフィール - 稲垣 栄洋 (イナガキ ヒデヒロ) (著) 1968年静岡市生まれ。岡山大学大学院農学研究科修了。農学博士。専攻は雑草生態学。農林水産省、静岡県農林技術研究所等を経て、静岡大学大学院教授。農業研究に携わる傍ら、雑草や昆虫など身近な生き物に関する記述や講演を行っている。著書に、『身近な雑草の愉快な生きかた』『身近な野菜のなるほど観察録』『身近な虫たちの華麗な生きかた』『身近な野の草 日本のこころ』『身近な植物の賢い生きかた』(ちくま文庫)、『植物はなぜ動かないのか』『雑草はなぜそこに生えているのか』『はずれ者が進化をつくる』『ナマケモノは、なぜ怠けるのか?』(ちくまプリマー新書)など多数。
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もうひとつの戦後80年 「終わりと始まり」の1995年から考える|高橋 哲哉, 三牧 聖子, 須藤 輝彦, 伊達 聖伸
¥693
岩波書店 2026年 岩波ブックレット ソフトカバー 72ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ5mm - 内容紹介 - 「失われた30年」の長い停滞が始まった頃――。1995年に文芸評論家・加藤典洋の「敗戦後論」が提起した論争を入り口に、戦後80年を経た今も未完の戦後責任問題、対米従属から抜け出せない「日本の袋小路」、「戦後」を論じる批評世界の「切断と接続」をめぐって言葉を交わす。混迷を深める諸問題に向き合うための真摯な対話。 目次 はじめに……………伊達聖伸 来たるべき「戦後」について……………高橋哲哉 戦後秩序を否定するアメリカ――日本の選択……………三牧聖子 距離の問題――あるいは戦争と批評……………須藤輝彦 クロストーク あとがき 戦後八〇年も節目の年となるか……………伊達聖伸 Nil desperandum……………高橋哲哉 岐路に立つ日本の選択とは……………三牧聖子 文学の回路……………須藤輝彦 - 著者プロフィール - 高橋 哲哉 (タカハシ テツヤ) (著) 東京大学名誉教授.1956年生まれ.哲学,現代思想.『記憶のエチカ 戦争・哲学・アウシュヴィッツ』(岩波書店),『戦後責任論』(講談社→講談社学術文庫)など 三牧 聖子 (ミマキ セイコ) (著) 同志社大学教授.1981年生まれ.アメリカ政治・外交,国際関係論,平和研究.『Z世代のアメリカ』(NHK出版新書),『アメリカの未解決問題』(共著,集英社新書)など. 須藤 輝彦 (スドウ テルヒコ) (著) 東京大学文学部助教.1988年生まれ.チェコと中央ヨーロッパおよび啓蒙期の文学・思想研究.『たまたま,この世界に生まれて――ミラン・クンデラと運命』(晶文社)など.『群像』で「運命の文学史――終わりから始まる物語」連載中. 伊達 聖伸 (ダテ キヨノブ) (著) 東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻教授.1975年生まれ.宗教学,フランス語圏地域研究.『ライシテから読む現代フランス――政治と宗教のいま』(岩波新書),『もうひとつのライシテ――ケベックにおける間文化主義と宗教的なものの行方』(岩波書店)など.
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かたちのない民藝をもとめて|表 萌々花
¥2,970
作品社 2026年 ソフトカバー 232ページ 四六判 - 内容紹介 - 旅と民藝を愛する写真家による、世界民藝紀行。 「かたちあるものだけが民藝なのではないことを教えてくれたのも旅だった」――本書より 訪れた土地の民藝品や手しごとの源流をたどるなかで触れた人々の祈りや想いを綴った、約十年の旅の記録。●カラー写真多数● ★民藝の魅力はいびつさにあると思う。歪みや欠け……そこに人のぬくもりを感じ、いとおしくなる。それは旅とよく似ている。――松岡宏大氏(写真家・編集者・ライター) ★百年前、民藝という言葉は、旅のなかで生まれた。百年後、彼女は旅の中で、自分の民藝と出会う。――朝倉圭一氏(工藝店「やわい屋」店主) 【目次】 はじめに 1 メキシコ 2 ベトナム 3 モロッコ 4 エチオピア 5 旅のはじまり おわりに - 著者プロフィール - 表 萌々花 (オモテ モモカ) (著) (おもて・ももか) 1998年岐阜県生まれ。海外でのボランティア活動をきっかけに、写真を撮るようになる。帰国後アシスタントを経て独立。訪れた土地の持つ空気感や風土、時に厳しい現実や死生観を感じさせる作品を発表している。写真集に『沈黙の塔』(2025年)、『traverse(r)』(2024年)、『星霜』(2022年)がある。
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斜め論 空間の病理学|松本 卓也
¥2,420
筑摩書房 2025年 ソフトカバー 320ページ 四六判 - 内容紹介 - ケアは、どうひらかれたのか? 「生き延び」と「当事者」の時代へと至る「心」の議論の変遷を跡付ける。 垂直から水平、そして斜めへ。時代を画する、著者の新たな代表作! === 「現代は、ケア論の隆盛に代表されるように、人と人との水平的なつながりの重要性をいうことがスタンダードになった時代である。けれども、単に水平的であればよいわけではない。 水平方向は、人々を水平(よこならび)にしてしまう平準化を導いてしまうからだ。けれども、水平方向には日常を捉え直し、そこからちょっとした垂直方向の突出を可能にする契機もまた伏在している。ゆえに、垂直方向の特権化を批判しつつ、しかし現代的な水平方向の重視に完全に乗るわけでもなく、「斜め」を目指すこと……。 そのような弁証法的な思考を、精神科臨床、心理臨床、当事者研究、制度論的精神療法、ハイデガー、オープンダイアローグ、依存症といったテーマに即して展開したのが本書のすべてである。」 (あとがきより抜粋) === 自己実現や乗り越えること、あるいは精神分析による自己の掘り下げを特徴とする「垂直」方向と、自助グループや居場所型デイケアなど、隣人とかかわっていくことを重視する「水平」方向。 20世紀が「垂直」の世紀だとすれば、今世紀は「水平」、そしてそこに「ちょっとした垂直性」を加えた「斜め」へと、パラダイムがシフトしていく時代と言える。 本書は、ビンスワンガー、中井久夫、上野千鶴子、信田さよ子、当事者研究、ガタリ、ウリ、ラカン、ハイデガーらの議論をもとに、精神病理学とそれにかかわる人間観の変遷を跡付け、「斜め」の理論をひらいていこうとする試みである。 著者は、2015年のデビュー作『人はみな妄想する』でラカン像を刷新し、國分功一郎、千葉雅也の両氏に絶賛された気鋭の精神医学者。デビューから10年、新たな代表作がここに誕生する。 目次 第一章 水平方向の精神病理学に向けて──ビンスワンガーについて 第二章 臨床の臨界期、政治の臨界期──中井久夫について 第三章 「生き延び」の誕生──上野千鶴子と信田さよ子 第四章 当事者研究の政治 第五章 「自治」する病院──ガタリ、ウリ、そしてラカン 第六章 ハイデガーを水平化する──『存在と時間』における「依存忘却」について 補論1 精神分析とオープンダイアローグ 補論2 依存症臨床の空間──平準化に抗するために - 著者プロフィール - 松本 卓也 (マツモト タクヤ) (著) 松本 卓也(まつもと・たくや):1983 年、高知県生まれ。2008 年3 月、高知大学医学部医学科卒。2015 年3 月、自治医科大学大学院医学研究科修了、博士(医学)。2016 年4 月より、京都大学大学院人間・環境学研究科総合人間学部准教授。研究分野は、精神病理学、精神分析学、精神医学史、病跡学、フランス現代思想。著作に『人はみな妄想する』(青土社)、『心の病気ってなんだろう?』(平凡社)、『創造と狂気の歴史――プラトンからドゥルーズまで』(講談社)、『享楽社会論――現代ラカン派の展開』(人文書院)、翻訳に『現実界に向かって――ジャック=アラン・ミレール入門』(人文書院)、共訳にダリアン・リーダー『ハンズーー手の精神史』(左右社)、ヤニス・スタヴラカキス『ラカニアン・レフト―ラカン派精神分析と政治理論』(岩波書店)、共編著に『コモンの「自治」論』(集英社)など。
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ハナの山、里の暮らし 水と木と、野にあるもの史|ハナ・カーシュナー, 沢田 眉香子(著・訳)
¥2,200
講談社 2026年 ソフトカバー 312ページ 四六判 - 内容紹介 - ニューヨークから加賀温泉郷・山中温泉へ。アメリカ人女性ジャーナリストが出会い、 深く体験した、里山の暮らしと食と工芸・文化。欧米の高感度な旅行メディアも注目。 美しく豊かな日本の里山に没入する15章。「里山のレシピ」も収録! 水 一、酒の伝道師 和酒B A R縁がわ 日本酒への情熱 二、茶の道 茶の湯 季節の移ろいと作法、もてなしの心 三、菊の水 総湯、菊の湯 山中節 芸妓の伝統芸 四、酒の女神 獅子の里 女人禁制の酒蔵で働く 木 五、木とウイスキー 山中漆器 木工の超絶技巧 六、漆の木 漆かきとろくろ研修所 七、森の囲炉裏 大土の古民家と炭焼き 八、失くしたものと、見つけたもの 蘇った我谷盆 野にあるもの 九、鴨池のサムライ 非公開の秘技、古式投網・坂網猟 十、紙の上 雁皮の収穫と紙漉き 十一、猪の年 イノシシ猟 解体と料理 十二、山の名人 神の宿る奥山での山菜採り 栽培 十三、八十八の手間 杉水町の田んぼ 棚田での米作り 十四、トトロの庭 荒れた畑を再生し、伝統野菜を育てる 十五、こいこい祭 雨のcome on ! festival レシピ:すこ、栗ようかん、酒粕アイス、卵の味噌漬け、真夜中の唐揚げ、よもぎ団子、漁師風シチュー、わさびのグリーンピクルス、鴨ネギ串、梅干し、ラーメン・ボロネーゼ、なんでも天ぷら、梅にぎり、小豆ジャムとバターサンド、柿の葉ずし - 著者プロフィール - ハナ・カーシュナー (ハナ・カーシュナー) (著) ライター、アーティスト、フードスタイリスト。 シアトル郊外の小さな農場で育ち、ロードアイランド・スクール・オブ・デザインで学ぶ。作品は『ニューヨーク・タイムズ』、『T Magazine』、『Vogue』、『Saveur』、『Taste』、『Food52』、『Atlas Obscura』、『Food & Wine』などに掲載されている。自ら修復した山中温泉の古民家とNYブルックリンと行き来しながら、食やライフスタイルについて取材・発信している。 沢田 眉香子 (サワダ ミカコ) (著・訳) 編集・著述業。[エルマガジン]編集長を経てフリー。『京都うつわさんぽ』(光村推古書院)、『バイリンガル茶の湯BOOK』(淡交社)他。『世界に教えたい日本のごはんWASHOKU』(淡交社)でグルマン世界料理本グランプリ受賞。京都新聞美術展評、NHK関西ラジオワイド「アート情報」担当
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絶望しかけた女子のための世界史|ティチュー・ルコック, 鳥取 絹子(訳)
¥2,530
大和書房 2026年 ソフトカバー 320ページ 四六判 縦188mm 横130mm 厚さ21mm - 内容紹介 - 歴史に存在していた無数の女性たちを最新研究で可視化。絶望の先にある希望をひらく新しい歴史本 目次 イントロダクション 女性たちは決して黙っていなかった Ⅰ 先史時代 1 先史時代、女性は存在していたの? 先史時代の人=洞窟にいる大男/ 教科書はウソをついていた? / 先史時代の時間スケールはとてつもなく長い/ 「女性は狩りをしなかった」と信じている人へ/ 歴史はわかりやすくは語れない/ 「おばあさん」社会的有用説/母親は家にいるもの―それはたった200年前の幻想 2 ヴィーナス小像と女性の地位 洞窟壁画という最後の手がかり/ アボリジニの証言/ アートが示すもう一つの問い/ ヴィーナスは「ポルノ」だった? / 「お守り」だったのかもしれない/ 性器はいつから恥ずかしくなったのだろう/ なぜ「男性が上で、女性が下」となったのか/ 最新技術を使うのは男性で、単純な道具は女性? /「血の理論」から家父長制へ 3「仕事」が生まれ、女性差別がはじまる 弱肉強食ではない社会/ 平等社会の終わり? 「定住」がもたらした暗い影/ 墓が語る真実――富と身分、そして暴力のはじまり/ 女性が〝生命の中心〞ではなくなる/ 人類が「仕事」するようになった理由/ 剣の誕生、そして「戦争」の誕生/ 「最初にわかった文字の書き手は女性」という事実/ フェミニストたちのシンボル Ⅱ 古 代 4 古代の女性戦士と女性市民 通過儀礼、熊になり裸でランニングする女の子/ 誰も知らない女狩人「アタランテの物語」/ こんなに強い女の子、大好き/DNAが暴いた女性戦士/女性の墓の四分の一は女性戦士のもの/ 馬中心の男女平等な生活/ 「進歩主義」を疑え! / 「女性は男性の失敗作」とされていく/ 「女性は気分や子宮に従う」という論理 Ⅲ 中 世 5 中世では、女王や女騎士が権力を行使していた 中世を支配した女、ブルンヒルド女王/ 「姉殺し」からすべては始まる/ 警察組織を制度化/ 影響力を持った女性たち/ 武装した女性は中世にもいた/ ジャンヌ・ダルクの立ち位置 6 女性たちは大聖堂を建設していた 妻を殴る権利/ 音楽家の一三パーセントは女性だった/ トップレベルの写本絵師から医師、スパイまで/ 中世版ひきこもり? 独居房での一生/ 九平方メートルの「祈り」/ 死ぬまでひとりの四六年間 7 大監禁 女は、大学へは行かせない/ 知識人がしかけた女性差別/ 生来激しい性欲の持ち主――中世が描いた女性像/ ルネサンスの陰――女性排除の始まり/ 女王はいらない――悪名高き?サリカ法の誕生/ 身分より性別! 8 「 魔女狩り 」から逃れる ベストセラー『魔女に与える鉄槌』が女性差別を煽る/ 母も隣人も魔女? /「可愛い娘さん」の価値は若さ、美しさ/ 「女性にはルネサンスがありましたか?」/ 研究されていない彼女たち 9 女性作家、忘れられた名詞と職業 「男性名詞」を先に置け/ 言葉の戦場――男性化されたフランス語/ 「知性=男性」のために消された女性たち/ 『ブルータス』は誰の作品? / シェイクスピアに才能ある妹がいたら? / 「抹消」は、いまも続いている/ この男を殺したい―強姦魔の顔を描いた画家/ クオーター制の「真実」 Ⅳ 近現代 10 啓蒙時代の「 女学者 」たち モリエール『女学者』で、女を笑うことを笑おう/ ルソーは言う「女性は男性に気に入られ、役に立ち、愛してもらう」もの/ 「性別二元論」の誕生/ 人は男か女、それ以外はモンスター/ 人種差別は、なにかと「便利」だった/本当にあったメス豚(被告人)の裁判/ 理想の女「聖母マリア」という幻想 11 消された女性革命家たち 「パンをよこせ! 」と言ったのは誰? / 彼女たちは「平等」を書き、貼り、叫んだ/ 革命は、女性を「市民」にしなかった/ 狂った女? シャルロット・コルデー/ 「女は家にいるものだ」/ 夫は、不倫した妻と間男を殺してもいい 12 一九世紀は、ドレスと処女と「 女の人形 」 「新しい男らしさ」がもたらしたもの/ 着飾りだした女性たちの背景/ 従順で処女で信心深い「若い女性」/ 人形遊びは「母親ごっこ」/ 永遠の病人/男性の職業、女性の職業/ 「いなかったこと」にされた女性作家/ デパートの登場――管理された自由/ 外で働きながら、いい母親でいるべきだ? 13 一九世紀の男性階級への抵抗 笑いものにされ、消され、それでも闘った/ 「名もなき家事」に気づいてしまった/ 投票所へ――見える存在になろうとした/ 女子教育の拡大と限界/バカロレアを取得した初の女性/ ブルジョワとプロレタリアの垣根を越えた結びつき/ セクハラ工場長への告発/ 名もなき女性闘士たち/ 窓ガラスを割るという政治――右派女性の転向/ 「フェミニスト」という言葉が世に出たとき 14 銃声の中に? それとも台所に? ―― 女たちの二〇世紀のはじまり バルテレミー事件――赤ん坊を殺した娘に拍手が送られた日/ 戦争は、女性を解放したのか? / 拒み続けた女性参政権/ 「よき妻、よき母」を国家がつくる/ 家事は科学? 「家庭術」がひらいた新しい道/ 五〇〇グラムのジャガイモの皮をむく時間は? / 華美な家具が憎まれはじめる/ コルセットを脱いだ理由 15 戦争は男だけのものではなかった ―― 第二次世界大戦 八〇万人の女性兵士が消された/ ナチスが分類―産む女か、産まない女か/ 母子が最初に殺された理由/ すごい女性、エミリエンヌについて/ 沈黙させられた多くのレイプ/ 丸坊主にされた女性たち/ 終わらない性暴力の物語と、人種差別/ 「どうしたら、あなたたちを許せるのか」 16 戦後、女性は市民になった――はずだった 条件つきの市民権/ 不幸な〝主婦〞たち―大卒女子を追った社会調査/ 人工中絶は権利ではなかった/ 三四三人のマニフェスト/ ボビニー裁判――レイプされた少女が裁かれるということ/ 人工中絶が合法化へ! / 彼女たちを忘れてはいけない 17 さて、女性差別は終わった? 「アルファ男性」という神話/ 「男は支配する側として生まれている」のウソ/ 「卵子と精子のストーリー」のウソ/ 男性の暴力性は「自然」ではない 結 章 忘れないために新しい歴史を知る
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ぼくらニセなかよし|出口かずみ
¥1,540
小学館 2026年 ハードカバー 40ページ A4変型判 - 内容紹介 - そもそも〝ニセなかよし〟って…なに!? こはちとぶんろくは、とっても仲が悪くていつもけんかばかりしている猫。ある日、「なかよしコンテスト」が開催されることを知った2匹。優勝賞品は、おいしいお魚1年ぶん! 「なんだって!?」 「これは優勝するしかないな…」 2匹はさっそく、なかよしになる練習を始めることにしました。さて、2匹のたくらみはうまくいくのでしょうか? 「うろおぼえ一家」の絵本シリーズなどでおなじみ、出口かずみさんの創作絵本です。 思わずくすっと笑ってしまう、シュールでとぼけた作風で大人気の出口さん。この『ぼくらニセなかよし』でも、出口さんの魅力である「ほっこりするゆるさ」と「シュールな可笑しさ」が炸裂しています。 子どもも大人も、猫好きさんもそこまででもない人も…誰もが笑顔になれる絵本です。 ※この作品は、2024年秋に日本マクドナルド「ほんのハッピーセット」の「えほん」として配布され、大人気を博しました。 市販書籍化にあたり、新たな描きおろしを加えてページを増やし、サイズもぐーんと大きくしました。 【編集担当からのおすすめ情報】 作者の出口かずみさんは大の愛猫家。実生活でも2匹の猫「小八(こはち)」「文六(ぶんろく)」と暮らしています。 なにを隠そう、このリアルこはちとぶんろくが、ほぼ毎日けんかばかりしている〝ニセなかよし〟なんだそう。毎日2匹を見ている出口さんの頭のなかでは、こはちとぶんろくの物語が日々、生まれているんでしょうね。だから、この絵本の中の2匹はこんなに生き生きとして楽しそうなんだと思うのです。猫たちのちょっとした仕草や表情をとらえた描写も、出口さんの猫への大きくて深~い愛情であふれています。 一度ハマるとクセになって抜けられない(!?)出口かずみワールドをぜひ!お楽しみください。 (前後の見返しにある「なかよしコンテスト しゅつじょうしゃリスト」の中には、出口さんのお知り合いの愛猫もいるとか、いないとか…!?)
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翔びたつ女たち コレット・ドゥブレ淡彩画集|コレット・ドゥブレ(文・絵), 石川美子(著・訳)
¥2,860
ベルリブロ 2025年 ソフトカバー 96ページ A5変型判 縦200mm 横150mm 厚さ8mm - 内容紹介 - パリで活動をつづける画家コレット・ドゥブレは1990年にこう宣言した。「わたしのこころみは「限りない」数の絵によって、先史時代から現代にいたる女性のさまざまな姿形をふたたび描きなおすことである。」無数の美術に描かれた女性像を「引用」して淡彩画(ラヴィ)で物語や背景から解き放ち自由に翔びたたせる。来る日も来る日もつづけられるこの作業から近年の36点を選んで精密なカラー印刷で収録、さらにそれらの引用元の絵を添えることで彼女の視線と美しい彩色の再現に努めた。デリダやビュトールとの共同制作もあるコレット・ドゥブレの日本で初めての作品集。画家による文「月は足もとにあり」の翻訳、これら淡彩画の魅力についてのエッセー「視線は存在を自由にする」の執筆は石川美子による。 - 目次 - 「視線は存在を自由にする」(石川美子) 1990年3月の宣言(コレット・ドゥブレ) Lavis de Colette Deblé ルーベンス《ディアーナとエンデュミオン》 アンブール《インコをもつ女性》 ブロンズィーノ《辺獄へのキリスト降臨》 ドラクロワ《十字軍のコンスタンティノープル入城》 ブロンズィーノ《赤衣の貴婦人の肖像》 ジェラールとフラゴナール《感心な弟子》 ヴァトー《ディアーナの水浴》 アジェ 写真《ヴィレット界隈、アスラン通り、客引きをする娼婦》 ヴァトー《女占い師》 ジョルジュ・ド・ラ・トゥール《女占い師》 ジェローム《牡羊の角を生やした女性頭部》 ティツィアーノ《サロメ》 彫刻《壺をもつ女性》 ラリック 宝飾《女とトンボを象った胸飾り》 デューラー 版画《メランコリア1》 広告写真 彫刻《女性像》エトルリア骨壺の蓋 マイヨール 彫刻《山》 ドガ《浴槽》 ドガ《女主人のパーティー》 アダン 彫刻《豊穣の女神》 ドガ《浴槽で足をふく女性》 フーケ《聖母子と天使たち》 ジャコメッティ 彫刻《見えないもの》 レジェ 陶芸《両手で撫でられる顔》 ホルスト《願い》 ゾー《旅するジプシー》 テンペスタ《インド諸島の真珠採り》 マネ《プラム酒》 ドラクロワ《オフィーリアの死》 エフラート・ファン・デル・マース《十字架のイエス》 マルテン・ファン・ファルケンボルフ《冬》 プッサン《バッカスの養育》 ブーシェ《ユピテルとカリスト》 「月は足もとにあり」(コレット・ドゥブレ ) - 著者プロフィール - コレット・ドゥブレ (コレットドゥブレ) (文・絵) フランスの画家。1944生まれ。1976年にパリで個展を開いて以来、ヨーロッパ中で数多く個展を催している。1990年代から古今の美術作品に描かれた女性の姿形を「引用」して淡彩画(ラヴィ)を描きつづけている。デリダ、ビュトールなど哲学者や詩人との共同制作、アーティスト・ブックも多い。2004年に日本を訪れて日本画の顔彩に魅きつけられ、以降の作品に用いるようになった。2026年、スイスに近いリュサンジュの城館で半世紀にわたる作品と著作の展覧会が行われる。 石川美子 (イシカワヨシコ) (著・訳) フランス文学者。著書に『山と言葉のあいだ』(ベルリブロ)『ロラン・バルト』(中公新書)『青のパティニール 最初の風景画家』(みすず書房)『旅のエクリチュール』(白水社)『自伝の時間』(中央公論社)など。訳書にバルト『零度のエクリチュール』『ロラン・バルトによるロラン・バルト』『ロラン・バルト 喪の日記』、フリゾン=ロッシュ『結ばれたロープ』(以上、みすず書房)、モディアノ『サーカスが通る』(集英社)フェーヴル『ミシュレとルネサンス』(藤原書店)など。
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山と言葉のあいだ|石川 美子
¥2,860
ベルリブロ 2023年 ソフトカバー 288ページ 縦194mm 横131mm 厚さ22mm - 内容紹介 - 山を見つめ人と本を見つめる随筆集。パリ、アヴィニョン、シャモニー、グルノーブル、などの場所。ラスキン、デュマ、スタンダール、永井荷風、幸田文、須賀敦子、などの文章。深い外国体験と東西文学の素養に裏打ちされ、ゆくりなく想起される過去の風景や言葉をきっかけに、人生の美しさと哀しみが綴られる。読み返すたびに静かな感動と新しい発見がある十一の物語。 - 目次 - 遠い記憶の引きだし ラスキンの石の隠れ場 セザンヌの山とミヨー家の庭 沈黙の修道院と黒い鳥 デュマの熊のステーキ シャモニーの裏山のフキ 白いアルヴ川と荷風の物語 名前とは最後のため息 故郷の山に帰るスタンダール 山を生きる人たちの言葉 静かな背中の山と本 - 著者プロフィール - 石川美子 (イシカワヨシコ) (著) 著書に『自伝の時間』(中央公論社)『旅のエクリチュール』(白水社)『青のパティニール 最初の風景画家』(みすず書房)『ロラン・バルト』(中公新書)。訳書にロラン・バルト『零度のエクリチュール』『記号の国』『ロラン・バルトによるロラン・バルト』『喪の日記』、フリゾン=ロッシュ『結ばれたロープ』(みすず書房)、モディアノ『サーカスが通る』(集英社)、フェーヴル『ミシュレとルネサンス』(藤原書店)など。
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遠い声/浜辺のパラソル|川本 三郎
¥2,640
ベルリブロ 2024年 ソフトカバー 216ページ 四六判 縦194mm 横131mm 厚さ18mm - 内容紹介 - 「自分にとってすでに失われてしまった風景を作り直したい、詩のような小説を書きたい。」遠くの川、遠くの建物、遠くの空。東京の町が変わろうとするあの時代に、少年の日の記憶をたどり、銀座を歩き、橋を渡って川のほとりにたたずみ、海辺の町を訪れながら、静かに書き継がれていた、胸に沁みる42篇。まるで映画のような名品集。 - 目次 - 陸橋/犬を放つ/五つ角/塔/シャムのおばさん/始発電車/川へ/台風の前/都電から見える家/埋立地/路地の町/救済の風景/朝、川へ/鉛筆削り/遠い声/坂のある風景/橋/エアメイル/カポーティの家/枇杷の夏/崖下の家/白いスクリーン/黄色い風/河を渡ってマジック・アワーへ/槐の木の下/アプライトピアノ/橋からの眺め/夜のショウウィンドウ/倉庫の町/試写室のホタル/ペーパーウェイトのある店/ジャワの切手/勝鬨橋/晴海へ/マロニエのある店/原っぱ/ぬいぐるみ/海の見える食堂で/菜の花/わんど/浜辺のパラソル/夏のボール - 著者プロフィール - 川本 三郎 (カワモト サブロウ) (著) 1944年東京生まれ。評論家。著書に『大正幻影』(1990年、新潮社、サントリー学芸賞)『荷風と東京 『断腸亭日乗』私註』(1996年、都市出版、読売文学賞)『林芙美子の昭和』(2003年、新書館、毎日出版文化賞・桑原武夫学芸賞)『白秋望景』(2012年、新書館、伊藤整文学賞)など。訳書にカポーティ『夜の樹』(1994年、新潮文庫)『叶えられた祈り』(1999年、新潮社)、ブラッドベリー『緑の影、白い鯨』(2007年、筑摩書房)、ロンドン『ザ・ロード アメリカ放浪記』(ちくま文庫)など。
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猫にご用心 知られざる猫文学の世界|大久保ゆう(編・訳), ウィリアム・ボールドウィン, ウィリアム・クーム, ジョン・ダンロップ, マリオン・フローレンス・ランシング, アビー・モートン・ディアズ, モード・D・ハヴィランド
¥2,420
日本印刷(株)出版・メディア事業部 2025年 soyogo books ハードカバー 232ページ 四六判 縦195mm 横135mm 厚さ24mm - 内容紹介 - 世界で初めて英語で書かれた小説といわれる、 16世紀イギリスの怪奇譚「猫にご用心」。 「猫には九つの命がある」という伝承の出典ともされている知る人ぞ知る物語が、 翻訳家・大久保ゆうさんによる完訳版としてよみがえりました。 歴史に埋もれた怪奇小説が、本邦初の書籍化です! 猫たちの会話を理解しようと、 主人公・ストリーマ氏は動物の言葉が分かるようになる秘薬を作り出すのですが……。 現実と噂話が錯綜しながら、魔術や宗教の話題が入り乱れ、 人間たちの滑稽な姿が猫の目を通して描かれる世にも不思議な怪奇小説「猫にご用心」。さらに、そこから派生した知られざる猫文学も同時収録。 すべての作品に共通するのは、グリマルキンという猫のキャラクターです。 シェイクスピアからゲゲゲの鬼太郎やファイナルファンタジーまで、 時代と場所を超えてさまざまな作品に登場する「猫の王様・グリマルキン」とは? 「猫にご用心」で初登場したといわれるグリマルキンは、なぜ現代にも生き続けるのか? 奇書と伝承の謎を追う大久保さんのスリリングな解説も巻末に収録しています。 読んでまさに愉快痛快な“猫文学”アンソロジー、ここに誕生!! - 目次 - まえがき 猫にご用心(1553年) ウィリアム・ボールドウィン <猫の王様 伝承編> 「猫の王様」の噂を伝える偽作書簡の抜粋(1780年頃) ウィリアム・クーム 詩篇 猫の王(1800年前後) ジョン・ダンロップ 猫の王様(1908年) マリオン・フローレンス・ランシング編 <猫の王様 物語篇> 猫のアラビア夜話 ― グリマルカン王(抄・1881年) アビー・モートン・ディアズ 猫王グリマルキン伝より ― 『もふもふ民の伝記集』収録(1910年) モード・D・ハヴィランド 解説 訳者あとがき 前書きなど 〈小説〉という文芸形式の源流をたずねる試みが続けられるなか、さまざまな候補が現れましたが、本書ではその説のひとつとして、かつては稀覯書として知る人ぞ知るものであった物語をご紹介いたします。 その作品こそ ― 魔女迫害が高まる前の1553年に書かれ、そのあと〈血まみれメアリ〉の治世を手稿回覧などされながら生き延びて、エリザベス朝の1570年に死後刊行された ― ウィリアム・ボールドウィン『猫にご用心』です。日本だと戦国時代にあたる時期に書かれた一種の幻想怪奇小説で、出版時のタイトルは『「猫にご用心」と題する驚異の物語 ― 様々なる驚くべき信じがたい事柄をも含む ― 読んでまさに愉快痛快』というものでした。 しかしこの『猫にご用心』、薄手のいわゆる英文学史では、まずもって触れられることのない作品です (まえがきより抜粋) - 版元から一言 - 印刷会社が立ち上げた出版レーベル「soyogo books」の第1弾単行本です。 「仕事・学問・研究をたのしむ」をコンセプトに掲げたウェブサイト「soyogo」。このサイトの連載作品を紙の書籍にする出版レーベル「soyogo books」が、最初に選んだテーマは「翻訳」です。 翻訳研究家・大久保ゆうさんにご協力いただき、「英語で書かれた初めての小説」といわれる16世紀の怪奇小説「猫にご用心」全訳が完成しました。 この「猫にご用心」をはじめとして、大久保さんセレクトによる知られざる猫文学作品を併録。全作品に共通するのは、「グリマルキン」という猫のキャラクターです。シェイクスピアからゲゲゲの鬼太郎、ファイナルファンタジーまで、現代のカルチャーにも登場する「グリマルキン」の謎を解き明かす内容にもなっています。 歴史に埋もれた世にも珍しい猫文学の世界を、ぜひお楽しみください。 - 著者プロフィール - 大久保ゆう (オオクボユウ) (編・訳) 1982年生まれ。翻訳家。研究者〈大久保友博〉としての専攻は翻訳論・翻訳文化史、現在は一橋大学言語社会研究科講師、博士(人間・環境学)。16歳から青空文庫に翻訳作品を発表、大学院在学中からフリーランス翻訳家としても活躍。文芸・大衆文化・美術関連の翻訳や著作権についての批評も手がける。訳書に、スコット・L・モンゴメリ『翻訳のダイナミズム│時代と文化を貫く知の運動』、アーシュラ・K・ル=グウィン『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』等多数。 ウィリアム・ボールドウィン (ウィリアム・ボールドウィン) (著) (1526頃~1563) 作家・編集者・説教者。若いころはロンドンで印刷工をつとめながら、出版用の原稿も執筆し、翻訳も行った。英文学史上では、シェイクスピアの種本にもなった『為政者の鑑』(一五五九)の編著者として知られ、今作『猫にご用心』にも登場するフェラーズ氏と共同でその本の編集作業を行っている。エリザベス女王の戴冠後は出版の仕事をやめ、聖職者となって説教活動に励んだという。一五六三年のペスト大流行に際して死没。 ウィリアム・クーム (ウィリアム・クーム) (著) (1742~1823) 諷刺作家・編集者。イギリス一八世紀に大勢いたいわゆる三文文士のひとりで、偽作執筆や筆禍も多く、幾度となく獄中生活を送っている(そのあいだ債務者監獄から許可が出た日に『タイムズ』へ出社して記事を書いたりもしていた)。一連の諷刺画に寄せた詩にちなんで〈シンタックス博士〉とも呼ばれる。 ジョン・ダンロップ (ジョン・ダンロップ) (著) (1755~1820) スコットランドの名士。商人から身を立てて、のち徴税官や行政長官を歴任し、最終的には大都市グラスゴーの市長となった。唱歌を得意とし、自身でも詩や歌を作る陽気な人物であったという。その歌「ゆく年へ乾杯」は年末年始のスコットランド唱歌として今も愛好されている。 マリオン・フローレンス・ランシング (マリオン・フローレンス・ランシング) (著) (1883~1966) 作家・歴史家。ハーバード大学の別館となる女子大学として創設された名門ラドクリフ・カレッジの出身で、修士号を得たのち、長年にわたってケンブリッジ歴史協会の一員として欧米の尚古を探求した。 アビー・モートン・ディアズ (アビー・モートン・ディアズ) (著) (1821~1904) 作家・教師。シングルマザーとして教師業のかたわら家政婦や女工としても働くうち、女性権利運動の必要性を感じて、ボストンで女性教育と女性労働者のためのユニオンを創設している。作家業でも健筆をふるい、児童文学や家庭生活・信仰生活などについての著作がある。 モード・D・ハヴィランド (モード・ディー・ハヴィランド) (著) (1889~1941) 作家・博物学者・探検家。幼いころから野鳥や野生動物・昆虫を愛好する人物で、若くして人類学者の探検旅行に同行したのち、博物学的な随筆や小説で人気を博した。のちケンブリッジ大学であらためて動物学を学び、昆虫と鳥類の専門家となって諸国をめぐった。
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コンバヒーリバー・コレクティヴ宣言|キアンガ=ヤマッタ・テイラー(編), Political Feelings Collective(訳)
¥3,520
花伝社 2025年 ソフトカバー 376ページ 四六判 - 内容紹介 - 「黒人女性が自由であるならば、他のすべての人が自由であることを意味する。なぜなら、私たちが自由であるためには、すべての抑圧システムの破壊が必要だからだ――」 60~70年代の革命的ブラックフェミニスト集団「コンバヒーリバー・コレクティヴ」。「インターセクショナリティ」という言葉が生まれるはるか前に、性や人種の連動(インターロッキング)する抑圧を捉えようとした彼女たちの記念碑的ステートメント全文が、ついに本邦初邦訳! - 著者プロフィール - キアンガ=ヤマッタ・テイラー (キアンガヤマッタテイラー) (編) ノースウェスタン大学でアフリカ系アメリカ人研究の博士号を取得し、プリンストン大学助教授を歴任。著書に『#BlackLivesMatterから黒人解放へ』など。『ソウルズ――黒人の政治、文化、社会についての批評誌』、『ガーディアン』、『ロサンゼルス・タイムズ』、『ボストン・レビュー』、『ニュー・リパブリック』、『アルジャジーラ・アメリカ』、『ジャコビン』、『イン・ディーズ・タイムズ』、『ニュー・ポリティクス』、『国際社会主義レビュー』などへ寄稿。2016年にはラナン財団から「文化的自由・特に注目すべき書籍」賞を受賞。 Political Feelings Collective (ポリティカルフィーリングスコレクティヴ) (訳) 関東圏を中心に活動する翻訳出版集団。2020年、上映団体ノーマルスクリーンによる映画『タンズ アンタイド』の上映の際、字幕翻訳に関わったメンバーが、この映画の中で引用されている詩人、オードリ・ロードの読書会を開催。コロナ禍においてオンラインで1年以上にわたって続けられたこの読書会は、ブラックフェミニズム関連の翻訳や研究を行う翻訳出版集団へと展開する。2021年にはオードリ・ロード著作集と本書『コンバヒーリバー・コレクティヴ宣言』の2冊の刊行を目指しクラウドファンディングを実施。「政治的感情」を探究するという理念のもと、翻訳とあわせZINEなどの制作を通じて、執筆活動も行う。
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金子文子 反逆の思想 「人間の絶対平等」を求めて|安元 隆子
¥2,750
皓星社 202 6年 256ページ 四六判 - 内容紹介 - 金子文子没後100年。新たな文子像がたちあがる。 ⾦⼦⽂⼦(1903- 1926)の思想を、著書『何が私をこうさせたか』をはじめとする記録からたどる、画期的な論考です。⽂⼦は、裁判の中で次のように語っています。 「総ての⼈間は完全に平等であり、従つて総ての⼈間は⼈間であると云ふ、只⼀つの資格に依つて⼈間としての⽣活の権利を完全に且つ平等に享受すべき筈のものであると信じております。 」 (『朴烈、⾦⼦⽂⼦裁判記録』より) 人間はみな平等、というのは今では当たり前の考え方かもしれませんが、⽂⼦がこのような主張をしたのは⼤正時代、天皇制国家の時代でした。天皇もまた「総ての人間」であり「完全に平等」という、当時の日本国家を否定するような文子の思想は、⽂⼦の中にどのように芽⽣え、醸成されていったのでしょうか。 具体的には、第1部では⽂学研究的なアプローチで⾦⼦⽂⼦の表現を読み解くという今までにない試みから、第2部は⽂⼦が受容したマックス・シュティルナーや⽯川啄⽊などの思想から、⽂⼦が⾃死を選ぶまでの末期の思想に至るまでを検証します。「⼈間の絶対平等」を掲げてひたすらに⽣き、闘い抜いた⼈間・⾦⼦⽂⼦の新たな姿を、描き出します。 - 目次 - はじめに 1 「人間の絶対平等」を掲げた金子文子 2 獄中手記『何が私をこうさせたか』 3 本著の構成 序章 1 検閲と編集者の関与 2 文学として読む『何が私をこうさせたか』 3 「私」の探求 Ⅰ 『何が私をこうさせたか』を読む 第一章 父と母 1 迷信家・運命論者の父 2 依頼心が強く性に引きずられる母 第二章 山村の生活 1 極貧の山村での生活 2 貧しさの根源にある物々交換 3 近代文学が描いた都会と田舎 4 経済的視点の醸成 5 教育現場の物々交換 6 山村の自然の新しい価値の発見 第三章 朝鮮での日々 1 京釜線の町・芙江 2 岩下家──高利貸しと阿片── 3 笞刑 4 金銭と裏表の論理、そして、盗みの告白 5 子供の尊重と学校教育批判 6 朝鮮の人々と自然 7 無籍者 8 書かなかった/抹消された三・一運動 第四章 上京まで 1 わけのわからぬ力 2 語られなかった男 3 上京──運命からの脱却と虚栄心の行方── 第五章 東京生活 1 苦学生 2 キリスト教への接近と幻滅 3 「虚栄心」の時代 Ⅱ 『何が私をこうさせたか』その後 第六章 『獄窓に想ふ』と『啄木選集』 1『獄窓に想ふ』と『啄木選集』 2 金子文子の石川啄木受容 3『獄窓に想ふ』「自序」五首 4 反強権の思想 5 三行書き 6「我を愛する歌」と「己を嘲るの歌」、そして意識の運動性 7 歌語と発想の類似 8 生活のリアリズムと刹那の感情 第七章 マックス・シュティルナーの「唯一者」の思想 1 シュティルナー『唯一者とその所有』と日本の翻訳状況 2 金子文子の「自己」の発見 3 一九二五年一一月の公判準備調書と提出書面 4 政治運動から哲学運動へ 5 自己犠牲 第八章 アルツィバーシェフ「復讐」の思想 1 日本におけるアルツィバーシェフ受容 2 『労働者 セヰリオフ』 3 宮島資夫とアルツィバーシェフ 4 金子文子の「復讐」 5 アルツィバーシェフの『作者の感想』 第九章 末期の思想 1 爆弾入手計画 2 文子の証言の背後にあるもの 3 獄中の虚栄心とその脱却 4 末期の思想──死刑宣告まで── 5 末期の思想──獄中死まで── 第十章 人間の絶対平等とジェンダーフリー 1 人間の絶対平等を求めて 2 ジェンダーフリーを求めて 初出一覧 金子文子年譜 文献・参考文献 あとがき
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エトセトラ VOL.13 | 水上 文(特集編集)
¥1,540
エトセトラブックス 2025年 ソフトカバー 128ぺージ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ7mm - 内容紹介 - 特集:クィア・女性・コミュニティ 「わたしたち」の場づくり、コミュニティ、言葉をアーカイブする。 ウーマンリブから生まれたレズビアン・コミュニティ、伝説のレズビアン&バイセクシュアル雑誌、そして、Xジェンダーの語りや、様々なセクシュアルマイノリティの集まれる場所……フェミマガジン13号目は、「LGBTQ」から消されてしまいがちな女性やノンバイナリー/Xジェンダーの人々による、場所づくりや運動を記録する特集号。多数のインタビュー、寄稿、読者投稿「自分の存在を消されたと感じたことはありますか?」など。 - 目次 - 特集:クィア・女性・コミュニティ 特集のはじめに 【寄稿】 杉浦郁子 「女の解放」から「レズビアンの解放」へ ――1970年代半ばから80年代の首都圏におけるレズビアン運動の変容―― 赤枝香奈子 「レズビアン」の連続性と非連続性――清岡純子のレズビアニズム 萩原まみ 「『フリーネ』と『アニース』~バイセクシュアルのわたしが読みたかった雑誌」 岡田実穂 クィア・コミュニティにおける性暴力を可視化する 森あい あるクイアの、阿蘇での10年 ティーヌ 自分と出会うための読書 しゃおはー 『おばあちゃんのガールフレンド』が開いた私の物語 【インタビュー】 若林苗子「ウーマンリブからつながった、レズビアン・フェミニズム」 原ミナ汰「失敗や挫折の積み重ねから生まれた、Xジェンダー/ノンバイナリーの大事な場所」 大江千束「属性だけで一般化せず、対話していくことから始める」 長村さと子「セクシュアリティや年齢、国籍を気にすることなく、誰でも来られる場所をつくる」 パフスクール山賀沙耶・安田恵実「レズビアンの歴史をつなぎながら、コミュニティを広げていく」 【座談会】 あきら✕さときん✕にしむら「私たちの『レズビアン・コミュニティ』 そして、ターリさん」 【読者投稿】 自分の存在を消されたと感じたことはありますか? 特集のおわりに ******************** 寄稿 前野久美子 〈地方の〉本屋のアクションの〈つらなり〉 牧野雅子 医大生による強制性交等事件の無罪判決から考える 小川たまか No信仰、YESシスターフッド BBD騒動から考えた構造の中の私たち 鈴木裕子 【書評】『帝国主義と闘った14人の朝鮮フェミニスト 独立運動を描きなおす』 朝鮮人女性独立運動家の群像が生き生きと描きだされる 漫画 とれたてクラブ ムダ毛人権奥義フェミミーミ・ミーミミ フェミ・レポート 黒田理沙 だれのフェミニズム? 活動を記録する 第一回私のからだデモ 連載 編集長フェミ日記 2025年2月~3月 76 北京会議の前と後~SRHR30年の足跡を探して~ 最終回:北京会議30周年! 第69回CSW69/北京+30に行ってきた! 福田和子 寝た子を起こして、仲良くごはん 第三回 「同和」という言葉をたどる 川﨑那恵 アーティストのフリースペース no.003 super-KIKI 私のフェミアイテム 13 金明和 NOW THIS ACTIVIST vol.12 uhi[鄭優希] etcbookshop通信 - 著者プロフィール - 水上 文 (ミズカミ アヤ) (特集編集) 1992年生まれ。文筆家・批評家。書評・文芸批評等の執筆に加え、ジェンダー・セクシュアリティに関連したエッセイも執筆。「文藝」で文芸季評、丸善雄松堂「學鐙」で文芸季評、「朝日新聞」で「水上文の文化をクィアする」を連載中。また「SFマガジン」で「BL的想像力をめぐって」を瀬戸夏子と共同連載中。単著に『クィアのカナダ旅行記』(柏書房)、企画・編著に『われらはすでに共にある 反トランス差別ブックレット』(現代書館)。
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エトセトラ VOL.12 | エトセトラブックス(編集)
¥1,540
エトセトラブックス 2024年 ソフトカバー 144ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ8mm - 内容紹介 - 特集:戦争をやめる 「止(と)めようとしたのに」と、あとから言いたくない。 いま、ここで戦争を拒むフェミニストたちの意思表示号。 パレスチナへのジェノサイドはいまだ終わらず、日本も戦争に加担、あるいは戦争準備中としか感じられない昨今。フェミマガジン12号目は、これまで戦争に抗いつづけてきたフェミニストたちの経験と、反戦の意思を集める。戦争と女性史、軍事化にとりこまれるジェンダー問題、アートや詩で戦う表現者たち、各地で反戦活動するアクティビストたちの連帯の可能性などーー戦争と地続きでしかないこの日常において、ともに知り、次に動くための特集。論考、エッセイ、インタビュー、読者投稿ほか。 目次 特集:戦争をやめる 【寄稿】 本山央子「新しい戦争の時代における軍事主義とフェミニズム」 小山田浩子「すいか、クフィーヤ」 ゆか「パレスチナ連帯キャンプ日記」 申知瑛(シン・ジヨン)小山内園子訳「『不在』としてのみ与えられた存在の場所から: フェミニズム作家ヨンミの〈済州島4・3事件とハルマンたちのことば〉」 清末愛砂「力による支配を否定する――平和的生存権・9条・24条のトライアングル平和憲法論」 伊藤春奈(花束書房)「学び直し(アンラーン)の出版運動」 女性史研究者・鈴木裕子の仕事が伝える「女性と戦争」 伊藤春奈(花束書房)「戦争責任から目を逸らさない」 鈴木裕子さんに訊く/鈴木裕子さん自薦・主要編著作 阿部小涼「主権から人権のほうへ」 【インタビュー】 森部聰子「福岡の女たちは、火曜日に街頭で戦争に反対する」 佐藤瑞枝「福岡で女たちの戦後を記録する」 【対談】 いちむらみさこ×ヴァル・リー「東アジアの島に住むアーティストたちは、暴力に抵抗するため想像する」 【詩】 小原麗子「鏡台に関する一章/野菊」 (解説)柳原恵「戦争と家父長制に抗う女(おなご)たち」 ロシア語詩 三編(高柳聡子選・訳) ダリア・セレンコ「死んで蒼ざめたロシアの花婿たち」 ガリーナ・ルインブ「無題」 リュドミーラ・ヘルソンスカヤ「無題」 (解説)高柳聡子「詩はわたしのトラウマである」 【版画】 魔女版画「戦争に抗う女たち」 【漫画】 小林エリカ「『女の子たち風船爆弾をつくる』新聞」 【レポート】 山本瑞穂「原爆、キリシタン、部落の歴史が刻まれた浦上を歩く」 【傍聴記】 小川たまか「エトセトラだから書ける傍聴記@那覇地裁」 【読者投稿】 あなたが最近不安に感じたこと ***************** 【読書会】 水上文・桜庭一樹・高井ゆと里・山崎ナオコーラ・松尾亜紀子「李琴峰『言霊の幸う国で』読書会」 【インタビュー】 クイミー・タンバコに聞く、エクアドルのフェミニズム――苦しんでいる女性がいるなら、なんのための闘いなのか(聞き手・まとめ 岩間香純) 【フェミレポート】 エリフ・エルドアン「トルコのフェミニストたちのフェミサイドとの闘い」 【寄稿】 中上曜子(フランクに書店)「踊る伊藤野枝とわたし」 岩崎眞美子「『不妊手術を選ぶ権利』になぜ私たちは動揺するのか」 石田郁子「何者かになる前に、私は私でしかないし、それで十分過ぎる。」 【連載】 「祖母の話」/#4 河原千春「時代を超えてつなぐ襷(たすき)」 「寝た子を起こして、仲良くごはん」川﨑那恵/第二回「結婚差別」言説を問う 川﨑那恵 「アート・アクティビズム」北原恵/〈100〉「終わらない戦争――キム・キョンファのアトリエを訪ねて(釜山)」 「北京会議の前と後~SRHR30年の足跡を探して~」福田和子/第三回:北京会議のあと、ジェンダー政策で失われたもの アーティストのフリースペース:堅田尚 私のフェミアイテム:碓井ゆい NOW THIS ACTIVIST:山本蓮 etcbookshop通信
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エトセトラ VOL.8|鈴木みのり(特集編集), 和田彩花(特集編集)
¥1,430
エトセトラブックス 2022年 ソフトカバー 144ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ8mm - 内容紹介 - 「アイドル」を含めたいろいろな人たちが、心身ともに健やかでいられるには-- 「アイドル」の表象、労働、消費について考える、これまでなかったことにされてきた必要で切実で多様な声を集めた特集号 フェミニズムを身近なテーマから考えるマガジン「エトセトラ」8号目の特集は、「アイドル」。自身がアイドルの和田彩花、アイドル文化を含めた表象について執筆を重ねてきた鈴木みのりを特集の編集に迎え、労働、心身の健康、ボディイメージやライフスタイルの消費、SNSを巡る諸問題に向き合い、そしてアイドルから得られる希望や喜びとは何かを探る。1408もの声が集まった「アイドルの未来のためのアンケート」も! 特集外も、ジュディス・バトラーへのロングインタビュー、「オープンレター 女性差別的な文化を脱するために」原文掲載など、残しておきたい記録に満ちた一冊。 目次 特集:アイドル、労働、リップ 特集のはじめに 鈴木みのり・和田彩花 【エッセイ】 菅野つかさ「少女時代を通して出会った世界」 野中モモ「『街いちばんのナイス・キッドたち』によせて」 藤野可織「私はいかにしてアイドルの恋愛に一喜一憂するようになったか」 犬山紙子「ファンと消費」 【創作】 岩川ありさ「わたしはこぶしを握りしめる」 【論考】 ハン・トンヒョン「矛盾に満ちた『推される人』たちにかかる負荷が少しでも減ることをいつも願っている」 上岡磨奈「アイドルとあなたとは何も変わらない、同じ人間である」 田中東子「アイドルたちは何を開示しているのか?」 【写真】 藤岡亜弥「熱狂の広島、オバマがヒロシマに来た日」 【インタビュー】 竹内亜矢子「〈自分の身体と折り合いをつける〉ために試してみたいエクササイズとストレッチ」 寺嶋由芙「好きなことを好きでいるために、アイドルの問題を話していきたい」 内藤忍「働くすべての人の『労働』が、守られるために知りたいこと」 【アンケート】 わたしの“アイドル” イ・ラン/宇垣美里/エミリー/太田莉菜/温又柔/カナイフユキ/近藤銀河/佐久間裕美子/佐野亜裕美/柴崎友香/周司あきら/岨手由貴子/仲西森奈 /羽佐田瑶子/valknee/潘逸舟/丸山美佳/宮越里子/森栄喜/WAIFU 1408の声が集まった 「アイドルの未来のためのアンケート」 特集のおわりに 鈴木みのり・和田彩花 ************************************************************ 【インタビュー】 ジュディス・バトラー「反ジェンダー、反多様性にフェミニズムは抵抗する」 (聞き手:清水晶子/ 翻訳:西山敦子(C.I.P. Books)/ 企画・写真:間部百合) 【アーカイブ】 「オープンレター 女性差別的な文化を脱するために」を記録する 【寄稿】 北原恵「イトー・ターリが遺したもの――追悼展示会報告記」 【フェミリポート】 下郷さとみ「ブラジルの政治を、先住民族の女性・マイノリティの手に」 【連載】 「編集長フェミ日記」(2022年8月~10月)鈴木みのり・和田彩花 「ふぇみで大丈夫」ナガノハル/vol.4:ちゃんみな大好き 「ここは女を入れない国」伊藤春奈(花束書房)/第6回:炭鉱と女人禁制 「Who is she?」大橋由香子/第5回:日雇いで働くニコヨンの彼女 「LAST TIME WE MET 彼女たちが見ていた風景」宇壽山貴久子 私のフェミアイテム:須藤はる奈 NOW THIS ACTIVIST :門田亜里砂 etc. bookshop通信 【訂正とお詫び】 鈴木みのりさんの「はじめに」冒頭で、時系列に間違いがありました。「この内容は、ジョンヒョンさんと、同じ事務所所属で同じく自死した、IUの友人だった元f(x)のソルリのことも念頭にあったのでしょう。」の一文は、2つ目の段落の最後に入るものでした。ここに訂正とお詫び申し上げます。 前書きなど 特集のはじめに 鈴木みのり 今年の十二月、韓国のアイドルというかKポップのボーイズグループ、SHINeeのメンバー、ジョンヒョンさんの五周忌が訪れます。命日の翌月、二〇一八年の一月、韓国のグラミー賞といわれるゴールデンディスク賞で大賞を受賞した際、ソロアイドル的な立場でデビューした、卓越したシンガーソングライターであるIUがスピーチでこう述べました。〈アーティストは皆誰かを慰める仕事をしています。でも、人間として自分のことを先に考えて慰めてほしいです。表に出してはいけないと思って、逆に病気になったりつらい思いを絶対にしたりしないで欲しい〉(1)と。 その後二〇一九年十一月にIUがリリースした、傑作EPの表題曲『Love poem』の歌詞はきっと、スピーチを昇華した内容だとわたしは思いました。例えば、〈嬉しい時には喜んで悲しい時には泣く、自然なことが自然に表現できて、受け入れられてほしい〉というスピーチに対して、自然体でいるのは難しい、言葉にできない/ならない声なき声の代わりに歌は響きます。またEPで、この曲の前に置かれた『자장가』(Lullaby)は、件のスピーチの際の受賞曲『밤편지』(夜の手紙)と共に、夜を巡り、眠れない孤独に向けられていると感じられます。この内容は、ジョンヒョンさんと、同じ事務所所属で同じく自死した、IUの友人だった元f(x)のソルリのことも念頭にあったのではないでしょうか。 SHINeeのキーくんが、今年八月に出したアルバム収録の、みずから作詞したダンスポップ「I Can’t Sleep」をわたしはどう聴いたらいいのか戸惑います。かつてその時刻のキーくんのインスタライブをわたしも見たことがあったように、外が明るくなる朝四時になっても眠れないという、その歌。屋根のある部屋があること、不安なく布団にくるまれること、朝を迎えられること。そうした安全を誰もが求めているはずと思ってきたけど。 この企画でアイドルと呼ばれる存在は、歌ったり踊ったりするいわゆる「アイドル」だけでなく、特に日本や韓国のテレビ番組、音楽、映画などメディアを通して、ファンや視聴者からイメージを偶像化され、消費される、芸能産業で働く人々をわたしは想定しています。ただ、共同で特集を編集してくれた和田彩花さん、それからエトセトラブックスの松尾亜紀子さんとの協働を通して、その範囲を定めようとは考えませんでした。 エッセイ、論考、散文のような創作のような内容、健康のためのエクササイズ、労働者としての法的な権利、それぞれにとっての「アイドル」、そしてアイドルである/だった人たち、その周囲で働く人たち、活動を応援したりその表現を楽しんだりしてきたファンの人たちの声を集めたアンケート。アイドルと見なされる人々を含めたいろんな人々が、心身ともにできるだけ健やかでいられる状況が目指されるために、必要と考えられるいろんな声を集めたつもりです。読者のみなさんが考えたり休んだり、出入りしたりしやすい内容を目指したので、ささやかでも、きっかけになるとうれしいです。 (1)Kstyle「SHINee ジョンヒョンさんへの想い…IUのメッセージに涙が溢れた「第32回ゴールデンディスクアワード」」 https://news.kstyle.com/article.ksn?articleNo=2085549 ************************************************************* 特集のはじめに 和田彩花 10歳からアイドルの研修生をはじめ、16歳から25歳までアイドルグループで活動した。 アイドルになりたいという気持ちはそれほど強くなかったため、特に研修期間は習い事の延長線上で楽しんでいた。 15歳でアイドルグループとしてデビューしてから、駅やコンビニの雑誌で自分たちを見かけるようになった。メンバーが卒業すると、大人の(当時10代半ばだった私から見て大人だった)ファンの方が目の前で泣いていた。そういった出来事から社会に出たこと、影響力というものを知った。 その後、グループはどん底といわれる時期が続いた。日本中のライブハウスを回った。お客さんが集まらず、ファンの方が会場を楽しそうに走り回っていた姿を思い出す。 それまで大きな会場でコンサートをしたいと夢を語ったけれど、ライブハウスを巡ってからは数とか大きさでは決められない価値を知った。それから、初めて自分の心がおかしくなってしまう気がしたけど、幼い頃から聞かされていた「何があってもステージに立つ」という根性論で乗り越えた。 20歳前後、どうしたら大人になれるかを考えていた。前髪を伸ばした。周囲は、当たり前のように理想の恋愛や結婚観を語り始めたけど、私は当たり前のように恋愛や結婚に興味がなかった。そして、なぜ恋愛の歌(それも多くは異性に向けられた)を歌わなければいけないのかわからなかった。 グループ名が変わった。人も入れ替わった。ここまで結構頑張ったと思っていたけれど、あるとき私の根性論が間違っていると言われた。10代から周囲に言われるまま根性論を叩き込んできたのに、私が責められた。よくわからなくなってしまって、もう一つの居場所であった美術の世界とアイドルの世界を見比べてみた。ああ、いろいろ間違っていた。 最初はうまく言葉にできなかったので、与謝野晶子さんの『「女らしさ」とは何か』をスタッフの方に送って心のモヤモヤを代弁してもらった。そうこうしているうちに心が壊れて、人の痛みを知った。そうなってもなお、根性論から抜け出せず助けを求められなかったので自分の首を締め続けるしかなかった。 アイドルグループを卒業して、行きすぎてしまった思考をリセットした。ときどき、消化できなかった出来事を書き出しながら、痛みに向き合っていくようにもなった。 ここまでの出来事は、ファンを敵に回すためでも、何かの団体の広告塔になっているわけでもない私の悩みの全てであり、避けられなかった現実だ。 今回、アイドルが抱える問題について様々な立場から関心を持ち続けてくれた皆さまの力をお借りしながら、アイドルという職業について考える場をいただいた。 アイドルについて考え始めると、いくつもの偏見や差別が重なること、はっきりと答えを出せない場面にも直面し、秩序を保ったステージで輝くアイドルの姿との対比に何度かくらくらした。 まずは、これまで考えることとされてこなかったアイドルにまつわる様々な出来事を知ってほしい。それらを踏まえた上で、もしよかったら一緒にアイドルの未来に向けて一歩を踏み出してくれたら嬉しい。 - 著者プロフィール - 鈴木みのり (スズキ ミノリ) (特集編集) 1982年高知県生まれ。ジェンダーやセクシュアリティの視点、フェミニズム、クィア理論への関心から小説、映画、芸術などについて「i-D Japan」「キネマ旬報」「現代思想」「新潮」「すばる」などで執筆。2018 年、範宙遊泳『# 禁じられたた遊び』に出演。近刊に『「テレビは見ない」というけれど』(共著/青弓社)。『早稲田文学増刊号 「家族」』(筑摩書房)に短編小説を寄稿。 和田彩花 (ワダ アヤカ) (特集編集) 1994年群馬県生まれ。アイドル。2009年アイドルグループ「スマイレージ」(後に「アンジュルム」に改名)の初期メンバーに選出。リーダーに就任。10年「夢見る15歳」でメジャーデビューを果たし、同年「第52回日本レコード大賞」最優秀新人賞を受賞。19年アンジュルム、およびHello! Projectを卒業し、アイドル活動を続ける傍ら、大学院でも学んだ美術にも強い関心を寄せる。特技は美術について話すこと。特に好きな画家は、エドゥアール・マネ。好きな作品は《菫の花束をつけたベルト・モリゾ》。特に好きな(得意な)美術の分野は、西洋近代絵画、現代美術、仏像。
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エトセトラ VOL.5|小山内園子(責任編集), すんみ(責任編集)
¥1,430
エトセトラブックス 2021年 ソフトカバー 128ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ6mm - 内容紹介 - フェミニストが韓国ドラマを語り、 フェミニズムで韓国ドラマを知る 韓国ドラマは一体なぜこんなにも私たちを熱くするのか? 数々の名ドラマが生まれてきた背景を探り、文化をアップデートしてきた女性たちのことばを聴く。進みつづける韓国ドラマに、私たちも続けるはず。 目次 特集:私たちは韓国ドラマで強くなれる はじめに 小山内園子 【韓国ドラマの今】 オ・スギョン「#MeToo運動後に韓国ドラマで描かれた女性の物語」(承賢珠訳) ファン・ギュンミン「進化するヒロインたち:韓国ドラマにおける女性像の変遷」 【読者アンケート】 あなたがフェミニズムを感じるドラマ 【韓国ドラマを知る】 韓国ドラマと韓国社会・女性史年表(作成:山下英愛) 金香清「韓国ドラマと言論弾圧の歴史ーー『砂時計』が週4放送だった理由」 成川彩「視聴者の声に敏感な韓国のドラマ作り」 木下美絵「飾らない、飾る必要もない、女性たちの結婚・出産ストーリー」 韓国の女性たちが選ぶ〈両性平等メディア賞〉とは 韓国ドラマの「企画意図」を読む 【インタビュー】 チョン・セラン「ドラマ『保健教師アン・ウニョン』について一問一答」 山下英愛「韓国フェミニズム研究者が語る、ドラマと女性たちの結びつき」 イ・ラン「固定観念をひっくり返してみたくて私はドラマをつくってきた」 【私が好きなドラマと台詞】 松田青子✕『ハイエナ』 小林エリカ✕『愛の不時着』 今井亜子✕『椿の花咲く頃』 アンティル✕『宮廷女官チャングムの誓い』 温又柔✕『愛の不時着』 金承福✕『美しき人生』 【コラム】 河野真理江「『メロ』と『悪女』――韓国宮廷時代劇についての覚書」 西森路代「韓国ドラマのビジュアルは、なぜ日本でラブコメ風になってしまうのか」 【対談】 田房永子✕柚木麻子「私たちは日本のドラマでも強くなれる?」 【編集部座談会】 変化し続ける韓国ドラマにこれからもついていきます! おわりに すんみ 【連載】 編集長フェミ日記 2020年11月~2021年4月 小山内園子・すんみ (新連載!)ふぇみで大丈夫 ナガノハル/vol.1:女は経済的自立で自由になるか? ここは女を入れない国 伊藤春奈(花束書房)/第3回:甲子園と女人禁制 Who is she? 大橋由香子/第3回:乳を売る彼女 LAST TIME WE MET彼女たちが見ていた風景 宇壽山貴久子 私のフェミアイテム 森本優芽 NOW THIS ACTIVIST 津賀めぐみ etcbookshop通信 【寄稿】 いちむらみさこ「感動ビジネスと家父長制組織のオリンピック・パラリンピック」 岩川ありさ「呼びかけと応答――フェミニズム文学批評という革命」 - 著者プロフィール - 小山内園子 (オサナイ ソノコ) (責任編集) 1969年生まれ。東北大学教育学部卒業。NHK報道局ディレクターを経て、延世大学などで韓国語を学ぶ。訳書に、姜仁淑『韓国の自然主義文学』(クオン)、キム・シンフェ『ぼのぼのみたいに生きられたらいいのに』(竹書房)、チョン・ソンテ『遠足』(クオン)、ク・ビョンモ『四隣人の食卓』(書肆侃侃房)、キム・ホンビ『女の答えはピッチにある 女子サッカーが私に教えてくれたこと』(白水社)、イ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ』『失われた賃金を求めて』(すんみとの共訳・タバブックス)、チョ・ナムジュ『彼女の名前は』(すんみとの共訳・筑摩書房)、カン・ファギル『別の人』(エトセトラブックス)がある。 すんみ (スンミ) (責任編集) 翻訳家・ライター。早稲田大学大学院文学研究科修了。訳書にキム・グミ『あまりにも真昼の恋愛』(晶文社)、チョン・セラン『屋上で会いましょ う』(亜紀書房)、共訳書にリュ・ジョンフン他『北朝鮮 おどろきの大転換』(河出書房新社)、イ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ フェ ミニストは黙らない』『失われた賃金を求めて』(タバブックス)、チョ・ナムジュ『彼女の名前は』(筑摩書房)などがある。
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エトセトラ VOL.4|石川優実(責任編集)
¥1,430
エトセトラブックス 2020年 ソフトカバー 128ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ6mm - 内容紹介 - フェミマガジン4号目のテーマは「女性運動とバックラッシュ」! #KuToo運動の石川優実とともに、女性の運動を知る特集号。 70年代ウーマンリブ以降日本で運動してきた女性たちの話に耳を傾け、エッセイや漫画で女性運動史を学び、そして女性が声をあげる度に毎度起きてきた「バックラッシュ」とは一体何か考える論考も充実。600人の読者が参加した「あなたの#MeTooと怒りをきかせてください」アンケートをはじめ、ハイヒール着用について大手企業25社へのアンケート、漫画表現について出版各社へも質問しています。 声をあげ立ち上がってきた女性たちと連帯し、運動を実践する一冊です! 目次 特集:女性運動とバックラッシュ 声をあげ立ち上がった女たちの年表(作成:大橋由香子) 【インタビュー:運動の女性たちにきく】 米津知子 山田満枝 高木澄子 福島みずほ 正井禮子 【写真・エッセイ】 松本路子 【コラム:女たちの運動史】 佐藤繭香/サフラジェット 大島史子/女性参政権運動 柚木麻子/青鞜 伊藤春奈(花束書房)/炭鉱女社会 大橋由香子/中ピ連 斉藤正美/メディアの中の差別を考える会 小川たまか/性暴力を許さない女の会 【論考:運動とバックラッシュ】 斉藤正美・山口智美 三浦まり 飯野由里子 北原みのり 【#MeTooアンケート】 600人が答えた「あなたの#MeTooと『怒り』についてのアンケート」 【#KuTooアンケート】 職場でのヒール着用について企業25社にアンケート 【対談】 伊藤詩織✕石川優実 【鼎談】 飯田光穂✕遠藤まめた✕石川優実 【表現とジェンダーバイアスを考える】 論考:楠本まき「言葉/思考/記録/行動」 出版社アンケート 【アンケート】 疲れないで運動をつづけていく方法 【連載】 編集長フェミ日記 石川優実 ここは女を入れない国 伊藤春奈(花束書房)/第2回:歌舞伎と女人禁制 Who is she? 大橋由香子/第2回:捕まってしまった彼女 LAST TIME WE MET彼女たちが見ていた風景 宇壽山貴久子 私のフェミアイテム nichinichi NOW THIS ACTIVIST 女たちの戦争と平和資料館(wam) etcbookshop通信 Feminist Report 塚原久美「アフターコロナの世界の中絶」 【詩】 モジャ・カーフ/相川千尋訳 「ヒジャブ・シーン#7」「食器を洗ってくれる男が好きだ」 前書きなど はじめに 石川優実 「バックラッシュ」という言葉を私が知ったのは、#KuTooという運動を始めた頃だろうか。 「フェミニズムが盛り上がった後には必ずと言っていいほど揺り戻しがある、それが私は怖い」 そう言っている女性がいて、私はその日初めてバックラッシュというものの存在を認識した。2019年6月、まさに私はそのバックラッシュ真っ最中だったように思う。 「#KuTooは女性差別に対する運動です」そう明言して以降、私や#KuTooにはずっとバックラッシュが起こっている。デマをばらまく、孤立させようとする、嫌がらせリプライを毎日送る、運動が失敗したということにする(厚労省のパンフに掲載され、企業も運動の影響を受けフラットシューズもありにした、という報道があったにもかかわらず……!)、私の性格が悪いから賛同者が増えないということにする(署名は3万集まったにもかかわらず……!)、「死ね」という言葉を投げつける……。 でも、なんだろう。これってあんまり、「初めての経験」という感じがしない。これまでにもこんなようなことは薄っすらと、しかしずっと経験してきたような気がする。 女だという理由で嫌がらせをされたり、セクハラを受けたり、噓をついていると決めつけられたり、男に性的に見られたいに決まっていると思われたり、仕事の能力がないということにされたり。思い返せば、生きてきた33年間ずっとバックラッシュ的なものに苦しめられていたような気がしてならない。 さて、ではそのバックラッシュにはどんな効果(?)があるのだろうか? 私がフェミニズムに出会い、性差別への反対活動を始めた頃、応援してくれる知人にこう言われたことがある。 「これからは自分自身との戦いになると思う。いつでも自分自身を信じて頑張って」と。 今になってとてもその言葉の意味を痛感する。バックラッシュには、自分を信じさせなくなる効果があると思う。自分は間違っているんじゃないかと思わせる効果があると思う。自分のことを大嫌いにさせる効果があると思う。そして、もしその効果通りに私自身がなったとしたならば、私は女性運動の全てをやめるだろう。私自身をもやめてしまうかもしれない。 でも、もう一度よくよく考えてみよう。フェミニズムに出会うまでの約30年間、私はずっと自分を信じられなかったし、自分は間違っているんじゃないかと思ってきたし、自分のことが大嫌いだった。ずっとずっと、女性差別というバックラッシュを受け、まんまとその効果通りの自分で生きてきたのだった。 でも、フェミニズムと出会った今はもう違う。 #KuTooで受けたバックラッシュとずっと受けてきた性差別がほぼ重なるように、これらは奴らの「いつものやり口」なのだ。 女性を自分たちの都合の良い存在でいさせるため、自信を無くさせ、主体性を無くさせるためのいつものやり口。 ウーマンリブの田中美津さんは著書の中で、「リブは『男は敵だ』と煽っているとよく報じられました。そんなこと一度だって言ったことないのに」と書いていた。ほら、ここでもおんなじ、「いつものやり口」が使われている。#KuTooだって、一度も男が悪いと言ったことはないのに石川優実は男性差別主義者だ、とか言われている。 「なんだよ、こいつら誰が何やっても女性運動にはおんなじこと言ってんじゃん」と知った私は、とても心が楽になった。むしろ、これは付き物だ。私が正しいことをしている証拠のようにも思えた。 これって、#MeTooをした時の「私も同じように自分を責めていました」と同じ現象なのではないか。その事実を知ることによって、みんな同じなんだということを知ることによって、これは私側の問題じゃないんだということに気がつくことができた。 問題はいつでも、嫌がらせやハラスメント、性暴力や性差別をする側にある。 私のせいでバックラッシュや性差別は行われているのではない。それに気がついた時の安心感、心強さ。それをもうすでに#MeTooをはじめとする様々な連帯で体験していたではないか。 ということで、そんな例を、たくさん集めてみようと思う。これまでの女性運動にはどんなことがあって、どんなバックラッシュがあったのか。知識は勇気になる。知識は優しさになる。知識は自分を助けてくれる。知識は他の誰かのことを助けることができる。 フェミニストは過激だから賛同が得られない? 日本のフェミニズムは本質からずれている? そんな攻撃的な言葉遣いじゃ誰も聞いてくれない? 認めてもらうには配慮を? これまで言われてきたことは、本当にそうなのだろうか。 歴史と事実をぜひ、知りたい。それを知ることによって、私は、私たちは自分自身を信じることをやめずに、時に楽しく、時に激しく、女性運動をし続けていくことができるのではないかと思う。 - 著者プロフィール - 石川優実 (イシカワ ユミ) (責任編集) 1987年生まれ、愛知県出身。俳優、アクティビスト。18歳から芸能活動を開始。2017年、グラビアアイドル時代に受けた性被害を告発し、#MeTooムーブメントの中で話題となる。2019年、職場で女性のみにヒールやパンプスを義務付けることは性差別であるとして#KuToo運動を展開、厚生労働省へ署名を提出した。この運動は世界中のニュースで取り上げられ、同年10月英BBCにより世界の人々に影響を与えた「100 Women」に選出された。著書に『#KuToo : 靴から考える本気のフェミニズム』(現代書館)。
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エトセトラ VOL.2 | 山内 マリコ(責任編集), 柚木 麻子(責任編集)
¥1,320
エトセトラブックス 2019年 ソフトカバー 112ページ A4判 縦21mm 横148mm 厚さ7mm 重さ 146g - 内容紹介 - 特集:We Love 田嶋陽子! “日本でいちばん有名なフェミニスト”田嶋陽子を大特集! 世代を超えて集結した執筆陣によるエッセイ・書評や、一般投稿「田嶋陽子さんへの手紙」、そして、田嶋陽子本人へのロングインタビューなどで構成。現代のフェミ作家たち=山内マリコ&柚木麻子責任編集による、最強のフェミ・アイコン田嶋陽子へのリスペクトに満ちた一冊。あの頃、テレビで田嶋先生を観ていた、すべての少女たちへ捧げます! - 目次 - 特集:We Love 田嶋陽子! 【寄稿】 津村記久子/扉の存在を知らせる人 石川優実/田嶋さんの「自分の足を取り戻す」と#KuTooのこと 荒木美也子/前略、田嶋陽子さま 【書評】書く女~田嶋陽子を読む 王谷晶/ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ジャパニーズ・カルチャー 斎藤美奈子/空気を読まない彼女の直球ド真ん中な「愛情」論 北村紗衣/田嶋陽子を取り戻す カナイフユキ/恋愛は親離れの始まり?家族という足枷をはずして…… 若竹千佐子/ 女の人生はいつだって面白い 北原みのり/田嶋陽子が教えてくれた優しいフェミニズム 伊藤春奈(花束書房)/どん詰まりの国に突き刺さる女たちの言葉 堀越英美/やんちゃでかわいい「僕」たちの世界で 田嶋陽子出演映像全レビュー(柚木麻子) 田嶋陽子ロングインタビュー〈私〉が生きるためのフェミニズム 【マンガ】 松崎りえこ 知りたい!田嶋陽子さんの“Her"ストーリー 【座談会】 斉藤正美✕山口智美✕山内マリコ✕柚木麻子「私たちが田嶋陽子を好き」な理由 【インタビュー】 板本洋子「花婿学校」とはなんだったのか 【TVと田嶋陽子】 武田砂鉄/キレさせていたのは誰で、何を言っていたのか 柚木麻子 /12歳が出合ったフェミニズム 山内マリコ/ 『そこまで言って委員会NP』観覧記 投稿コーナー「田嶋陽子さんへの手紙」 連載 編集長フェミ日記 2019年7~8月 LAST TIME WE MET 彼女たちが見ていた風景/宇壽山貴久子 私のフェミアイテム/河村敏栄 etc.bookshop通信 エッセイ ユン・イヒョン「女性について書くこと――多すぎる質問と少しの答え」(すんみ 訳) - 著者プロフィール - 山内 マリコ (ヤマウチ マリコ) (責任編集) 1980年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。2008年「16歳はセックスの齢」で「女による女のためのR‐18文学賞読者賞」を受賞。2012年、同作を含む初の単行本『ここは退屈迎えに来て』を刊行、地方に生きる若い女性のリアルを描いた。小説『アズミ・ハルコは行方不明』『かわいい結婚』『あのこは貴族』『選んだ孤独はよい孤独』、エッセイ『皿洗いするの、どっち? 目指せ、家庭内男女平等』、短篇&エッセイ『あたしたちよくやってる』など著書多数。 柚木 麻子 (ユズキ アサコ) (責任編集) 1981年東京都生まれ。立教大学文学部フランス文学科卒業。2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞、同作を含む連作短篇集『終点のあの子』でデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を数多く発表。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞受賞。同作は、高校生直木賞も受賞した。他の著書に「ランチのアッコちゃん」シリーズ、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』『デートクレンジング』『マジカルグランマ』など多数。
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エトセトラ VOL.3|長田 杏奈(責任編集)
¥1,430
エトセトラブックス 2020年 ソフトカバー 132ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ6mm - 内容紹介 - フェミマガジン3号目のテーマは「身体」! 責任編集は、美容ライターとして活躍、初の著書『美容は自尊心の筋トレ』で多くの女性の心をときほぐした長田杏奈がつとめます。 1300人もの回答が集まった、身体にまつわるアンケート企画「エトセトラ・リポート2020」をはじめ、漫画や短歌、写真、女子プロレスラーへの熱いインタビュー、「身体」の視野を広げるエッセイ、そして、性教育からリプロダクティブ・ヘルス/ライツの問題意識マップまで、多様な書き手が集結! MY BODY MY CHOICE MY VOICE 私のカラダを私が決めるため、いまみんなで「身体」とフェミニズムを語ろう。 目次 特集:私の 私による 私のための身体 1334人が答えたエトセトラ・リポート2020~わたしが語る、わたしの身体~ 【マンガ】はらだ有彩「謎の生物ウネウネ いい感じの気持ちよさを探す旅に出るの巻」 【エッセイ】松田青子「生理! 生理! 生理!」 【写真】コムラマイ「近づくほどに遠ざかる/身体」 【短歌】佐藤弓生「スカートになりたい」 【Re:ボディ】 ハヤカワ五味✕吉野なお「布一枚から始める身体革命」 北原みのり「私の私による私のためのプレジャー」 磯野真穂「髪は生やして、手足は脱毛?――けむくじゃらの人類学」 綾屋紗月「ジェンダー化されにくい私の身体」 鈴木みのり「引き裂かれた身体を表象する」 アンティル「癒えない乳房」 規範を超えて躍動する女子プロレスラーの身体 インタビュー:里村明衣子/橋本千紘/愛海/朱崇花 「誰でも女子プロレス体験記」渋谷チカ 【カラダと権利】 アクロストン「子どもたちが自分の頭で考える・対話するための性教育」 早乙女智子「産婦人科医が語るマイボディ・マイチョイス」 福田和子「避妊の権利なんでないの」 牧野雅子「性暴力被害者のリアルと、法の中のファンタジー」 塚原久美「妊娠するからだとガラパゴス中絶」 齋藤有紀子「堕胎罪と母体保護法」 【連載】 編集長フェミ日記 長田杏奈 (新連載)ここは女を入れない国 伊藤春奈(花束書房)/第1回:大相撲と女人禁制 (新連載)Who is she? 大橋由香子/第1回:中絶の罪に問われた彼女 LAST TIME WE MET彼女たちが見ていた風景 宇壽山貴久子 私のフェミアイテム 亀石みゆき NOW THIS ACTIVIST 後藤稚菜 etcbookshop通信 (Feminist Report) コロナ禍は新しいフェミニズムを生むか(ドイツの女性たちから)山口侑紀 【特別寄稿】 すんみ「より良いところに、ずっと遠くまで――ユン・イヒョンの『作家活動中止』をめぐって」 - 著者プロフィール - 長田 杏奈 (オサダ アンナ) (責任編集) 1977年神奈川県生まれ。ライター。女性誌やWEBで美容の記事やインタビューを手がける。2019年フェミニズム視点で、多様な美しさを提案した初の著書『美容は自尊心の筋トレ』(Pヴァイン)が話題となり、版を重ねている。「儚さと祝福」をコンセプトに、生花を使ったアクセサリーを製作する「花鳥風月lab」の活動も行う。近刊に『あなたは美しい。その証拠を今からぼくたちが見せよう。』(大和書房)。
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エトセトラVOL.1|田房永子(責任編集)
¥1,100
エトセトラブックス 2019年 ソフトカバー 96ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ6mm - 内容紹介 - 毎号、新しい編集長がいちばん伝えたいテーマを特集するフェミマガジン創刊! 大手コンビニチェーンが、2019年8月末日までに「成人向け雑誌」の販売を中止する方針を決定。私たちの生活に欠かせないコンビニという場所に「エロ本」があったこと/なくなることについて、田房永子が編集長となって、二度とないタイミングで60人のリアルな声を集めました。 エッセイ=瀧波ユカリ、北原みのり、小川たまか、少年アヤ、武田砂鉄など、作家や漫画家、書店店長、成人誌の作り手からの寄稿他、一般投稿による40人の賛否激論フォーラム、各社コンビニへのアンケート、もちろん田房永子のエッセイ漫画も! 身近なテーマからフェミニズムを考える、新しい雑誌の誕生です。 目次 (目次) 特集/コンビニからエロ本がなくなる日 寄稿 小川たまか/北原みのり/伊野尾宏之 デジスタ小保方/ドルショック竹下/武田砂鉄 瀧波ユカリ/水谷さるころ/少年アヤ 安達茉莉子/高橋フミコ/清田隆之 一般投稿40人による賛否激論・投稿フォーラム 漫画 かつてコンビニにはエロ本があった コンビニに抗議できなかった話 田房永子 アンケート 「コンビニからエロ本がなくなること」について、コンビニ各社へお尋ねしました。 連載 編集長フェミ日記 2019年1~2月 LAST TIME WE MET 彼女たちが見ていた風景 宇壽山貴久子 私のフェミアイテム 長田杏奈 NOW THIS ACTIVIST 福田和子 etc.bookshop通信 - 著者プロフィール - 田房永子 (タブサ エイコ) (責任編集) 1978年東京都生まれ。漫画家、ライター。2001年第3回アックスマンガ新人賞佳作受賞。2005年より男性向けエロ本、実話系雑誌、スポーツ新聞の風俗欄で連載を持つ。10年より「ラブピースクラブ」などの女性向けWEBサイトで連載を持ち、意識が完全にフェミニズムへシフトする。母からの過干渉の苦しみと葛藤を描いたコミックエッセイ『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)を12年に刊行、ベストセラーに。他の著書に、男性中心社会における女性の苦しみにピントを当てた『ママだって、人間』(河出書房新社)、『他人のセックスを見ながら考えた』(ちくま文庫)など多数。
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飯麺湯 台湾小吃どんぶりレシピ 食堂、屋台、夜市で食べる小腹メシ。|口尾 麻美
¥1,760
グラフィック社 2025年 ソフトカバー 160ページ A5変型判 縦148mm 横210mm 厚さ13mm - 内容紹介 - 台湾には「小吃」と呼ばれる小腹を満たすのにちょうどいいサイズの料理が街中にあふれている。 数ある「小吃」がある中で、その象徴的な小さめサイズのどんぶりに着目。 代表的なごはんもの、麺類、汁物の再現料理をまとめたレシピ集。 - 目次 - 台湾の米/台湾の麺 /台湾の湯(スープ)/ひき肉のスープ、つけダレ /台湾の味の決め手、「王道の薬味」 /つけ合わせでお好みの小吃をグレードアップ /台湾度をアップさせる調味料/手作り辣椒醬 飯炕肉飯(角煮ごはん) /台式咖哩飯(台湾式カレー丼) /排骨飯(台湾風カツ丼) /八寶粥(伝統ぜんざい) /古早味油飯(伝統おこわ) /台南蝦仁飯(台南名物のえびごはん) /魯肉飯(豚肉煮込みごはん) /雞肉飯(鶏肉ごはん) /瓜仔肉燥飯(きゅうりの漬物入り肉そぼろ丼) /雞腿飯(鶏もも肉丼) /地瓜粥(さつまいものお粥) /緑豆粥(緑豆のお粥) /高麗菜鹹飯(キャベツの炊き込みごはん) /蝦捲飯(えびのすり身揚げ丼) /豆干炒肉絲飯(干し豆腐と豚肉の細切り炒め丼/麻油雞飯(黒ごま油炒めの鶏肉ごはん) /生菜包肉鬆飯(肉味噌レタス包みごはん) /油葱拌飯(揚げねぎごはん) 049 麺大腸蚵仔麵線(モツと牡蠣のとろみそうめん) /肉骨茶麵(バクテー麺) /肉燥麵(肉そぼろ麺) /切仔麵(もやしスープ麺) /榨菜肉絲湯麺(ザーサイと豚肉の細切り炒め麺) /陽春麵(かけうどん) /炒麵(台湾式汁焼きそば) /鹹米苔目(太ビーフンスープ) /紅燒牛肉麵(ピリ辛牛肉麺) /魯麵(五目とろみ麺) /排骨酥麵(豚軟骨揚げ麺) /白菜粉絲湯(白菜と春雨のスープ麺) /麻醬辣油涼麵(ごまダレあえ麺) /乾意麵(あえイーメン) /沙茶炒米粉(焼きビーフン) /米粉湯(台湾風汁ビーフン) /眷村炸醬麵(肉味噌あえ麺) 湯玉米湯(台湾式コーンスープ)/花枝丸湯(イカのつみれスープ) /蚵仔湯(牡蠣のスープ) /四神湯(モツの薬膳スープ) /黄豆芽蕃茄湯(豆もやしとトマトのスープ) /紫菜蛋花湯(海苔と卵のスープ) /玉米排骨湯(とうもろこしとスペアリブのスープ) /餛飩湯(ワンタンスープ) /台式味噌湯(台湾式味噌汁) /下水湯(モツのスープ) /貢丸湯(つみれスープ) /酸辣湯(サンラータン) /魷魚羹(スルメイカのとろみスープ) /蘿蔔湯(大根のスープ) /金針赤肉湯(豚肉と金針菜のスープ) /虱目魚湯(サバヒーのスープ) /酸菜排骨湯(スペアリブと漬物のスープ) 小吃をめぐる旅 Snap1 ~10蛤仔麵(はまぐり麺)/排骨酥湯(豚軟骨のスープ)/鹹米苔目(太ビーフンスープ)/ 蝦仁飯(えびごはん) /雞肉飯(鶏肉ごはん)/街角の屋台 /綜合湯・麵(ミックススープ)/旗魚米粉湯(かじきビーフンスープ)/麵線(とろみそうめん) /清粥(お粥)/定番ペアリング! /夜市の小吃! 134 飯 /食材を探しに~ 「猪肉」 麺 /台湾は麺天国! 湯 /食材を探しに~ 市場は食材図鑑 小吃菜単(メニュー) /小吃どんぶりのある風景 /どんぶりコレクション /食堂アイテムコレクション 156 - 著者プロフィール - 口尾 麻美 (クチオ アサミ) (著) 旅で出会った食材や道具、ライフスタイルが料理のエッセンス。 異国の家庭料理やストリートフード、食文化に魅せられ写真に収めている。道具好きで各国のキッチン道具を収集している。 2022年、各国のローカルフードとお酒を楽しめる HAN をオープン。 著書に 『まだ知らない 台湾ローカル 旅とレシピ』グラフィック社 『旅するインテリア』ケンエレブックス 「旅するキッチン」家の光協会 ほか
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オールド台湾食卓記 祖母、母、私の行きつけの店|洪 愛珠(著), 新井 一二三(訳)
¥2,420
書肆侃侃房 2025年 ソフトカバー 320ページ 四六判 - 内容紹介 - 台北・迪化街、地元・蘆州、香港、東南アジア……各地の食べ物や買い物をめぐる祖母、母、私の思い出。台北文学賞を受賞した話題のエッセイ、待望の邦訳刊行! - 著者プロフィール - 洪 愛珠 (ホン アイジュ) (著) 1983年生まれ。新北市五股出身。ロンドン芸術大学メディア学院卒業。グラフィックデザイナー。文筆家。デビュー作である本書で、台北文学賞、林栄三文学賞、鍾肇政文学賞を受賞。 新井 一二三 (アライ ヒフミ) (訳) 明治大学理工学部教授。訳書に蔡瀾『人生の味わい方、打ち明けよう』(KADOKAWA)、日本語の著書に『台湾物語』(筑摩選書)など。中国語の著作も多数。
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日台万華鏡 台湾と日本のあいだで考えた|栖来 ひかり
¥1,760
書肆侃侃房 2025年 ソフトカバー 256ページ 四六判 - 内容紹介 - 台湾在住で日本人の著者が、2016~2023年 にかけて“日台のあわい”で書き続けた33篇のエッセー。台湾社会や日台の文化比較、歴史的交錯から、映画やアート、ジェンダー、LGBTQにまつわる話題まで広く言及し、リアルな台湾をあわいの視点からあぶりだす。 「こんな発想をする人が国境をまたいで現れることをずっと待っていました。 複数の言語、複数の文化の中に身を置く著者が、ややこしくねじれた社会やジェンダー、歴史や文化といった様々な事象の乱反射を、未来を照らす“ひかり”に変換しようとする姿は感動的! 文化先進国台湾を知る最良の一冊にして自分たちを知るための最高の書。」 ――大友良英(音楽家) 「とても信じられない! これほどまで台湾に愛情を注いでくれる日本人女性がいたとは。 そしてなにより、台湾の人や文化を観察したこの一篇一篇の描写が、台湾人よりも台湾らしいなんて驚きだ! ようこそ、わたしたちの台湾へ。」 ――魏德聖(映画監督『セデック・バレ』『海角七号 君想う、国境の南』) 2023年5月上旬全国書店にて発売予定。 【もくじ】 はじめに どうしてわたしは台湾について考えるのか 本書の表記について 社会 1 「BRUTUS」台湾特集の表紙に台湾人が不満を感じた理由 2 移民共生先進国・台湾にみる「お手伝いさん」のススメ 3 Kolas Yotaka氏の「豊」は絶対に「夜鷹」ではない―氏名表記から考える多元化社会と文化 4 台湾は日本を映す鏡―台湾の「核食」輸入問題から考える 5 日本人はどうして席を譲らないのか?―台湾の「同理心」と日本の「自己責任」から考える 6 台湾を愛した新聞記者の死 7 なぜ台湾で「誠品書店」が生まれたのか? 8 台湾の「先手防疫」と日本の「ホトケ防疫」 9 新型コロナ問題で台湾が教えてくれたこと―マイノリティーへの向き合い方 10 まさかの時の友こそ、真の友―日本のワクチン支援、台湾人を感動させたもうひとつの意味 11 台湾に関するフェイクニュースの見分け方と台湾理解 ジェンダー 12 台湾からみえた日本の「女人禁制」問題 13 台湾LGBTQ映画からみる多様性という未来 14 「同性婚反対」に傾いた台湾社会の矛盾 15 バラの少年少女たちへ―台湾、同性婚法制化への道のり 16 日本人女優を起用した台湾のコンドーム広告に違和感を抱いた理由 17 有縁千里来相会(縁でむすばれ、千里を越えて)―台湾に嫁いだ日本人妻たちの百年 日台文化比較 18 「ショーロンポー」は台湾料理?―多文化の融合から考える台湾の豊かな食 19 「山本頭」ってなに!?―台湾で独自の進化を遂げた「男らしさ」のイメージ 20 キョンシーから台湾妖怪まで―日本視点で読み解く台湾ホラー映画ブーム 21 日本人が命をかけて食べる魚「フグ」―日・中・台・港の食文化比較 歴史交錯 22 洗骨―日本と台湾と沖縄にある生と死の間の世界 23 台湾和牛のルーツ?―千年の牛、見島ウシを訪ねて 24 日本人のバナナ好き、ルーツは台湾にあり―歴史伝える門司港の「バナちゃん節」 映画・アート・本 25 忘れたの? それとも、思い出すのが怖い?―台湾映画『返校』を観て考える、歴史への向き合い方 26 そうだ、台湾映画みよう―中国資本に侵食される台湾エンタメ界の苦境と希望 27 台湾映画の魅力―台湾のうしろ頭をみる 28 金馬奨とはなにか―近年の金馬奨授賞式をとおして考えたこと 29 80年の時を超え、台湾と日本を結ぶ一枚の絵 30 日本の民芸運動に影響を与えた台湾竹工芸 31 麗しき故郷、台湾―湾生画家・立石鉄臣を巡って 32 かつて最前線だった島の芸術祭、馬祖ビエンナーレ─トポフォビアからトポフィリアへ 33 台湾の「肖像画」描く文学 あとがき 台湾と日本、「おもろい」の万華鏡 初出一覧/主な参考文献 - 著者プロフィール - 栖来ひかり (スミキヒカリ) (著) 文筆家・道草者。1976年生まれ、山口県出身。京都市立芸術大学美術学部卒、2006年より台湾在住。台湾に暮らす日々、旅のごとく新鮮なまなざしを持って、失われていく風景や忘れられた記憶を見つめ、掘り起こし、重層的な台湾の魅力をつたえる。 著書に『在台灣尋找Y字路/台湾、Y字路さがし。』(玉山社、2017年)、『山口、西京都的古城之美:走入日本與台灣交錯的時空之旅』(幸福文化、2018年)、『台湾と山口をつなぐ旅』(西日本出版社、2018年)、『時をかける台湾Y字路─記憶のワンダーランドへようこそ』(図書出版ヘウレーカ、2019年)、『台日萬華鏡』(玉山社、2022年)挿絵やイラストも手掛ける。
