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とまる、はずす、きえる ケアとトラウマと時間について | 宮地尚子, 村上靖彦
¥2,200
青土社 2023年 ハードカバー 256ページ 四六判 - 内容紹介 - トラウマ研究と、医療・福祉の現象学の第一人者が、具体と抽象を行き来しながら紡ぎ出す、比類なき対談集。 「学問的な硬い概念では取りこぼされる人間の経験の微細なニュアンスについて、考察することへと宮地さんも私もいざなわれた(「まえがき」より)」――村上靖彦 「表面的な言葉の群れにとどまらない、なにか微かだけれども、底流に流れている大切なものを拾い続けられたらと思う(「あとがき」より)」――宮地尚子
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ハッピークラシー 「幸せ」願望に支配される日常|エドガー・カバナス, エヴァ・イルーズ, 高里ひろ(翻訳), 山田陽子(解説)
¥3,740
みすず書房 2022年 ハードカバー 356ページ 四六判 - 内容紹介 - 「幸せの追求はじつのところ、アメリカ文化のもっとも特徴的な輸出品かつ重要な政治的地平であり、自己啓発本の著者、コーチ、[…]心理学者をはじめとするさまざまな非政治的な関係者らの力によって広められ、推進されてきた。だが幸せの追求がアメリカの政治的地平にとどまらず、経験科学とともに(それを共犯者として)機能するグローバル産業へと成長したのは最近のことだ」(「序」より)。 ここで言及される経験科学とは、90年代末に創設されたポジティブ心理学である。「幸せの科学」を謳うこの心理学については、過去にも批判的指摘が数多くなされてきた。本書はそれらをふまえつつ、心理学者と社会学者の共著によって問題を多元的にとらえた先駆的研究である。 「ハッピークラシー」は「幸せHappy」による「支配-cracy」を意味する造語。誰もが「幸せ」をめざすべき、「幸せ」なことが大事――社会に溢れるこうしたメッセージは、人びとを際限のない自己啓発、自分らしさ探し、自己管理に向かわせ、問題の解決をつねに自己の内面に求めさせる。それは社会構造的な問題から目を逸らさせる装置としても働き、怒りなどの感情はネガティブ=悪と退けられ、ポジティブであることが善とされる。新自由主義経済と自己責任社会に好都合なこの「幸せ」の興隆は、いかにして作られてきたのか。フランス発ベストセラー待望の翻訳。 目次 序 第1章 あなたのウェルビーイングの専門家 第2章 よみがえる個人主義 第3章 仕事でポジティブであること 第4章 商品棚に並ぶ幸せなわたし 第5章 幸せはニューノーマル 結論 解説 山田陽子(大阪大学准教授) 原注 索引 - 著者プロフィール - エドガー・カバナス (エドガーカバナス) (著/文) (Edgar Cabanas) マドリード自治大学で心理学の博士号を取得後、マックスプランク人間発達研究所感情史センター研究員を経て、現在カミロ・ホセ・セラ大学(マドリード)教授。José Carlos Sánchez, Marino Pérez Álvarezとの共著にLa vida real en tiempos de la felicidad: Crítica de la psicología (y de la idología) positiva(Alianza Editorial, 2018)がある。Routledge社のTherapeutic Culturesシリーズ共同編集を務める。 エヴァ・イルーズ (エヴァイルーズ) (著/文) (Eva Illouz) ヘブライ大学社会学教授。フランス国立社会科学高等研究院教授。2022年6月にはケルン大学アルベルトゥス・マグヌス教授にも就任。著書にConsuming the Romantic Utopia: Love and the Cultural Contradictions of Capitalism (University of California Press, 1997); Cold Intimacies: The Making of Emotional Capitalism (Polity Press, 2007); Why Love Hurts: A Sociological Explanation (Polity Press, 2012); Unloving: A Sociology of Negative Relations (Oxford University Press, 2018) などがある。執筆論文多数。 高里ひろ (タカサトヒロ) (翻訳) (たかさと・ひろ) 翻訳家。上智大学卒業。訳書にトム・リース『ナポレオンに背いた「黒い将軍」』(白水社、2015年)、ロイ・バレル『絵と物語でたどる古代史』(晶文社、2008年)、『世界を変えた100人の女の子の物語』(共訳、河出書房新社、2018年)、トム・ニコルズ『専門知は、もういらないのか』(みすず書房、2019年)など。 山田陽子 (ヤマダヨウコ) (解説) 大阪大学大学院人間科学研究科准教授。神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。専門は社会学(感情社会学、医療社会学、社会学理論)。著書に『「心」をめぐる知のグローバル化と自律的個人像』(学文社、2007年。日本社会史学会奨励賞受賞)、『働く人のための感情資本論――パワハラ・メンタルヘルス・ライフハックの社会学』(青土社、2019年)。共著に『現代文化の社会学 入門』(ミネルヴァ書房、2007年)、『いのちとライフコースの社会学』(弘文堂、2011年)など。