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アンビバレント・ヒップホップ | 吉田 雅史
¥3,300
ゲンロン 2025年 ソフトカバー 424ページ 四六判 縦188mm 横127mm 厚さ24mm - 内容紹介 - 「ヒップホップとはいったい何だろうか。 それは日本語でこの文章を読んでいる、あなたにかかわる問いである。」 ──はじめにより 最後の音楽であるヒップホップは、未だ強く新しいナラティヴを生み出そうとしている。 そしてやがてそれは終わるだろう。 モダニズムという脂質と、歴史という糖に、同時に淫する、誠実な吉田の、誠実な両価性(アンビバレンス)。 ──菊地成孔 a.k.a. N/K ハイとロウ、芸術と路上、知性と野生。 異形のヒップホップ論にして、斬新な現代文化論。 批評再生塾の初代総代にしてラスボス、MA$A$HIが遂に単著デビュー! ──佐々木敦(批評家) アメリカと日本(フッド)に引き裂かれた日本語ラップには、戦後社会のアンビバレンスが凝縮されている。緻密な楽曲分析を通し、ヒップホップの本質とこの国の「リアル」を抉る。四半世紀にわたりヒップホップと向かい合ってきたビートメイカー「MA$A$HI」が送る、衝撃の日本=ラップ論。 - 目次 - ・はじめに ヒップホップという生き方/なぜヒップホップについて考えるのか/ヒップホップの黄金期/ローカライズからトラップへ/リアルとアートのアンビバレンス/本書の流れ ・第1章 リアル ボースティングという名の構え/ストーリーテリングの誕生/ジェイ・Zとケンドリック・ラマーの話法/ヒップホップはリアリティ・ショーなのか/マック・ミラーという特異点/ラッパーという名の芸術家/フェイク・ドキュメンタリーをまなざす ・第2章 オーセンティシティ アメリカの影、再び/日本語ラップという片割れのバンズ/日本語ラップVS.J―RAP/ビートとジャズの出会い/ヤン富田の現代音楽/DJ KRUSHとビートの旅路(トリップ)/ビートに宿るオーセンティシティ ・第3章 フロウ 平板な日本語という条件/押韻という名の欲望/Keisuke Kuwataという起源/日本語ラップにとって七五調とはなにか/日本語ラップ論争/英語の会話はラップなのか/SEEDAによる日本語解体/KOHHと破調のフロウ/失われたダサさ ・第4章 風景 風景の発見、再び/いとうとZeebraの東京/フッドの発見/THA BLUE HERBの原風景/SEEDAとKOHHの東京/MVは何を映しているのか?/ヒップホップ=ヴィジュアル系/唇の功罪/ハイパー・シンクロニゼーション/ラッパーと映像による共犯/カニエ・ウエストは不死鳥の夢を見るか/ドンダという名のフッド/ラッパーにとって映えとはなにか ・第5章 ビート 少しだけ未来を見通すビート/反復するのは人間か、機械か?/アクシデント起源説:ビートメイカーの自我確立/コラージュとしてのサンプリングアート/アンビエント・ヒップホップに耳を澄ます/Gファンクと生演奏/南からのキーボード・ビーツ/トラップ:ノリと低音の革命/パラメータ化するビートと署名/808という名の署名 ・第6章 日本語ラップ 日本語という条件/複数形のグローバル・ヒップホップ「ス」/二〇一〇年代のUSラップ/DJ KRUSHとJinmenusagiの化学反応/『KUUGA』の唯一無二性/舐達麻流エモラップ/鬼と妖怪とラッパーたち/アメリカの影の外へ/日本語ラップという名のワイルド・スタイル ・あとがき ・参考文献 - 著者プロフィール - 吉田雅史 (ヨシダ マサシ) (著/文) 1975年生まれ。批評家、ビートメイカー、MC。ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾第1期総代。著書に『ラップは何を映しているのか』(2017年、大和田俊之、磯部涼との共著)、『最後の音楽:||』(2024年、荘子itとの共著)、訳書にジョーダン・ファガーソン『J・ディラと《ドーナツ》のビート革命』(2018年)。ヒップホップ・コレクティヴ「口頭遊民ダコタ」主宰。ビートメイカーとしてMeiso『轆轤』(2017年)プロデュース、OMSBのEP『HEAVEN』(2021年)、『喜哀』(2023年)へ参加など。
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辺境のラッパーたち 立ち上がる「声の民族誌」 | 島村一平(編集)
¥3,520
青土社 2024年 ソフトカバー 544ページ 四六判 - 内容紹介 - ラッパーのことばに耳をすませば、世界のリアルが見えてくる。 戦火が絶えないガザやウクライナで、弾圧が続くチベットやイランで、格差にあえぐモンゴルやインドで、海の端の日本で――。アメリカで生まれたヒップホップ文化、なかでもラップミュージックは世界に広がり、「辺境」に生きる者たちは声なき声をリリックに託す。現代社会の歪みを鮮やかに映し出す、世界各地のラッパーたちの声を幅広い執筆陣が紹介する。ラッパー、ダースレイダー、ハンガー(GAGLE)のインタビューも収録。
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日本語ラップ名盤100 | 韻踏み夫
¥1,650
イースト・プレス 2022年 ソフトカバー 232ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ18mm - 内容紹介 - 日本のヒップホップの流れがつかめるディスクガイド 気鋭の批評家がこれから日本語ラップを知りたい・聴きたい人に向けて、日本語ラップの名盤100枚(+関連盤200)の聴きどころをレビュー。 「結論から言おう。掲載されている名盤達は“見たら買え!”だ。コレは。」サイプレス上野(ラッパー) 「敷居は低く、奥は深く、そして世界へ開かれている。画期的な“入門書”!」磯部 涼(ライター) 「アメリカのヒップホップについての歴史書はすでに多くの優れた本が出版されている。しかしながら、日本のヒップホップ、すなわち「日本語ラップ」についての言葉はいまだにまったく足りていないというのが現状である。そこで、日本語ラップとは何かなにかを知りたい新しいリスナーたちのために、入門書として書かれたのが本書である。」(本書「はじめに」より。) ※ 本書で紹介するもの(一部) 【Ⅰ 1987-1999】 スチャダラパー『5th Wheel 2 the Coach』:ハードコアを気どる者を黙らせたドープな一枚 キングギドラ『空からの力』:日本語ラップの教科書 THA BLUE HERB『STILLING, STILL DREAMING』:北の僻地からの声が日本語ラップのパラダイムを変えた Shing02『緑黄色人種』:ポエトリー・ラップの先駆者 【Ⅱ 2000-2004】 BUDDHA BRAND『病める無限のブッダの世界』:史上最も偉大なグループの、最も偉大な作品 OZROSAURUS『ROLLIN’ 045』:「レペゼン」とはなにか? RIP SLYME『FIVE』:日本語ラップ随一のパーティー・ラップグループ ECD『失点インザパーク』:孤高のラッパーが残した日本語ラップの最前衛 姫『姫始』:「日本人・女性・ラッパー」はいかにして可能か? 【Ⅲ 2005-2009】 SEEDA『花と雨』:日本語ラップを決定的に変えた名盤 サイプレス上野とロベルト吉野『ドリーム』:高いヒップホップIQで日本語ラップ史の伝道する SHINGO★西成『SPROUT』:日本語ラップのワーキング・クラス・ヒーロー COMA-CHI『RED NAKED』:ヒップホップ・フェミニズムのはじまり METEOR『DIAMOND』:独特なストーリーテリングが光る小説的ラッパー 【Ⅳ 2010- 】 SIMI LAB『PAGE 1』:日本語ラップが目指したふたつの方向の合流点 LBとOtowa『インターネットラブ』:ヒップホップの「現場」はネット空間にも KOHH『DIRT』:日本語ラップの夢「世界で勝負」を無邪気にはたす tofubeats『lost decade』:ヒップホップの手法で「失われた未来へのノスタルジー」を鳴らす Awich『Queendom』:「まさか女が来るとは」現在のシーンの頂点に君臨 - 著者プロフィール - 韻踏み夫 (インフミオ) (著/文) ライター/批評家。1994年生まれ。連載「耳ヲ貸スベキ――日本語ラップ批評の論点」(『文学+WEB版』2021年~)、「ライマーズ・ディライト」(『ユリイカ』2016年6月号)、「ライミング・ポリティクス試論」(『文藝』2019年冬季号)など。本書が初の単著となる