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その<男らしさ>はどこからきたの? 広告で読み解く「デキる男」の現在地|小林 美香
¥990
SOLD OUT
朝日新聞出版 2025年 朝日新書 ソフトカバー 280ページ 新書判 - 内容紹介 - 「24時間戦えますか」から「おじさんの詰め合わせ」までスーツ/腹筋/大股/白人の上司/高層ビル/ヒゲ脱毛/能力主義/とりあえずビール/違いがわかる男/命令する本田圭佑/ホモソーシャル/生涯現役……CM・ポスターに刷り込まれた“理想の男性”の虚像を暴く!缶コーヒー広告のスーツ姿と背景の高層ビル、「出世」や「モテ」と結びつけられるヒゲ脱毛、いつも命令口調の本田圭佑……その〈男らしさ〉のイメージはどこからきて、私たちの価値観に影響を及ぼしているのか。栄養ドリンク、ビール、スーツ、メンズ美容、選挙ポスター――街中にあふれる広告から、これまで「なかったこと」にされてきた男性表象の問題点を鮮やかに炙り出す。【目次】序章 「男らしさ」の広告観察第1章 ドリンク広告と働く男 ――栄養ドリンク、コーヒー、ビールの広告史・リポビタンDの車内広告への違和感・「24時間戦えますか」バブル時代の栄養ドリンク広告・働く男の飲み物としてのコーヒー・ビールかけという究極のホモソ儀式・「男は黙ってサッポロビール」が描き出した「男らしさ」・コロナ禍で起きた「男らしさ」表現の変化 ……ほか第2章 スーツとパンツ ――装いが作る身体の価値・オンライン会議が変えた身だしなみの意識・スーツ文化の墓場としての《Cut Suits》・褌(ふんどし)を締めることの精神性・カルバン・クラインと腹筋の商品価値・細マッチョのK?POPスターが示す新しい「男らしさ」・アバクロの栄枯盛衰 ……ほか第3章 自己鍛錬としてのメンズ美容 ――「崇拝」と「推し活」の視線・能力主義と結びつく男性の「ケア」・「大谷翔平崇拝」を分析する・推し活を取り込む美容製品のマーケティング・ジェンダーレス男子か、男の中の男か・男性脱毛広告4つのパターン・本田圭佑に命令されたい男たち ……ほか第4章 「デキる男」を目指すのは何のため? ――能力主義と「報酬」としての女性・「男磨き界隈」を考える・英語圏を支配する男性中心カルチャー「マノスフィア」・「オタ恋」プロモーションへの違和感・クリニック広告とホストクラブ看板の共通点・再生産される「バーキン買うなら豊胸しろ」系広告・性感染症予防ポスターに表れるミソジニー ……ほか第5章 選挙ポスターに見るジェンダー表現 ――「おじさんの詰め合わせ」から脱却するために・「おじさんの詰め合わせ」発言が引き起こしたハレーション・遍在する「男の詰め合わせ」と家父長制政治・日本維新の会が流行らせた「断言口調」と「太ゴシック斜体文字」・SNS時代の選挙ポスター・政治家に求められる「男らしさ/女らしさ」・「(国名)election poster」で画像検索してみたら ……ほか第6章 その「男らしさ」はどこへいくの? ――これからの教育と医療と男性性1 田中めぐみさんに訊く、男子校でのジェンダー平等教育の実践と課題・広告・メディアが中高生に刷り込む能力主義・もっと男性同士の「おしゃべり」が必要だ2 堀川修平さんに訊く、性教育史研究から捉える「男らしさ」・大学で「男性」としてジェンダー講義をするということ・「弱者男性」を
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ポストフェミニズムの夢から醒めて | 菊地 夏野
¥2,640
青土社 2025年 ソフトカバー 240ページ 四六判 - 内容紹介 - フェミニズムは終わらない、いや終わりようがない フェミニズムの終焉をかたる「ポストフェミニズム」の時代を経て、私たちは再びその盛り上がりに立ち会っているといわれる。だがそこで喧伝される「新しいフェミニズム」の実像と、その向かう先は果たしてどこまで理解されているだろうか。ネオリベラリズムと結託した「リーン・イン」や「女性活躍」の欺瞞を問い、セックスワーカーやトランスジェンダーへの差別、「慰安婦」問題などそこからこぼれ落ちるものにまなざしを向けることで、見えてくるものとは。フェミニズムをあきらめないための、たしかなる提言。
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フェミニズムとレジリエンスの政治 ジェンダー、メディア、そして福祉の終焉 | アンジェラ・マクロビー(著), 田中東子(訳), 河野真太郎(訳)
¥2,640
青土社 2022年 ソフトカバー 244ページ 四六判 - 内容紹介 - ネオリベラリズムが蝕む女性たちの生 「仕事も家庭もあきらめないで、すべてを手に入れましょう」「欠点を受け容れ、粘り強く立ち直りましょう」「福祉に頼るのはだらしなさの証拠です」「あんなふうにはなりたくないでしょう?」――映画、雑誌、テレビにSNSと、至るところから絶え間なく響く呼びかけに駆り立てられ、あるいは抑えつけられる女性たちの生。苛烈な「自己責任」の時代を生きる女性たちに課された幾重もの抑圧をさまざまな文化事象の分析を通じて鋭く抉り出す。一九九〇年代以後のフェミニズム理論を牽引してきた著者の到達点にして、待望の初邦訳書。
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わたしの体におこること なんでもガールズトーク! | イダ, かみやにじ(絵)
¥1,760
偕成社 2025年 ソフトカバー 142ページ 四六判 縦190mm 横130mm 小学校高学年向け - 内容紹介 - 女の子たちへのエンパワーメントの本! 30代の著者が、小学校高学年ぐらいから抱えてきたもやもやした性に関する話題を全ページイラストで紹介。思春期の子どもたちの体や心に関する困りごとについて、「気になるよね」「わたしもこんなことに悩んだよ」と、まるで隣りでおしゃべりをするようにつづっていきます。 ネガティブな感情もかくすことなく紹介した本書は「自分の体について知ることは、人生をどうやって主体的に生きていくかということと密接に結びついている」と感じられる作品でもあります。 リアルに、具体的に、なまなましく、そしてときにおかしみのあるタッチで描かれたパワフルな1冊です。 - 著者プロフィール - イダ (イダ) (著) 1982年生まれ。イラストレーター。ソウル女子大で、文芸創作学とキリスト教学を専攻。ウェブサイトとSNSに日記と作品を公開、書籍化している。ソウル市立十代女性健康センターが発行するリーフレットに作品が掲載され、内容の一部をもとに『わたしの体におこること なんでもガールズトーク!』が出版された。 かみやにじ (カミヤニジ) (絵) 東京都生まれ。韓国語翻訳、日韓関係史研究。1980年代に、韓国延世大学へ留学。翻訳作品に『あかてぬぐいの おくさんと 7にんのなかま』『金剛山のトラ』『だまされたトッケビ』『あずきがゆばあさんととら』『いつか また あおうね』『そこに私が行ってもいいですか?』などがある。
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問題だらけの女性たち | ジャッキー・フレミング, 松田 青子(訳)
¥990
河出書房新社 2025年 河出文庫 ソフトカバー 136ぺージ 文庫判 縦149mm 横105mm 厚さ10mm - 内容紹介 - 女の脳は小さい? 女が考えると生殖器がダメになる!? 笑うに笑えない19世紀ヴィクトリア朝の「大問題」な女性観を、痛快なユーモアと皮肉で描いたイギリス発傑作風刺絵本!
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女の子が死にたくなる前に見ておくべきサバイバルのためのガールズ洋画100選 | 北村 紗衣
¥1,980
書肆侃侃房 2025年 ソフトカバー 224ぺージ 四六判 - 内容紹介 - 「もうダメかも……」を「楽しく生きよう!」に変える、映画の力でサバイブするための100選 あのヒロインみたいになれたらいいな、私と同じだな、私とは違うけどステキだな……。 映画を見ることで、女性であること、少数派であること、自分自身でいることの楽しさに気づける。 もっと楽しく生きる準備をするために、あなたを待っている映画がきっとある。 クラシックな名作から近年の話題作まで、労働問題、恋愛とセックス、フェミニズム、クィア、人種、民族など、多様な視点から厳選した100本の映画ガイド 【もくじ】 プロローグ クラシック 『女だけの都』 女性が政治をすると 『情熱の航路』 いわゆる「毒母」に抗って大人になるヒロイン 『紳士は金髪がお好き』 玉の輿を狙う美女たちのお気楽コメディと思いきや 『デスク・セット』 司書の本気 『幸福~しあわせ~』 どんなホラー映画よりも怖い映画 『教授と美女』 真面目博士とバーレスクの女王のでこぼこ白雪姫物語 『キャット・ピープルの呪い』 心温まるファンタジーホラー おとぎ話 『エバー・アフター』 シンデレラにひとひねり、ふたひねり 『クジラの島の少女』 マオリの伝統を受け継ぐ少女 『魔法にかけられて』 ディズニープリンセスと現実 労働問題 『ノーマ・レイ』 どんどん企業に文句を言おう 『9時から5時まで』 職場の性差別に女性社員の連帯で対抗! 『アフガン零年』 タリバンの抑圧のもとで必死に生きる少女 『ファクトリー・ウーマン』 日常の些細な気づきと努力とちょっとしたオシャレ 『サポート・ザ・ガールズ』 とあるスポーツバーマネージャーのサイテーな1日 ギークガール 『ザ・インターネット』 インターネットが女性の武器になる 『ドリーム』 宇宙を志した黒人女性パイオニアたちを描く 『search /#サーチ2』 インターネットを駆使して母を探す娘の冒険 スポーツ 『プリティ・リーグ』 爽やかな女子野球の世界 『オフサイド・ガールズ』 どうしてもサッカーが見たい! 『少女は自転車にのって』 走るときは、ひとり 『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』 連帯する女性たちと中年男性の危機 芸術 『エンジェル・アット・マイ・テーブル』 メンタルヘルスの問題を抱えた女性の自伝 『バンディッツ』 刑務所の女囚たちがバンドを結成 『フリーダ』 実在の画家フリーダ・カーロのドラマティックな人生を描く 『めぐりあう時間たち』 時代を越えて女性たちを結びつける文学 『これが私の人生設計』 建築界の性差別を諷刺する痛快コメディ ファッション 『パーティーガール』 パーティーガールが司書を目指す! 『キューティ・ブロンド』 ダサピンクを脱する映画の、ダサピンクになってしまった日本語タイトル 『マルタのやさしい刺繍』 やさしい刺繍は革新的な刺繍⁉ 『パピチャ 未来へのランウェイ』 ファッションを通して社会の不公正と戦う 『ミセス・ハリス、パリへ行く』 自分のためにオシャレすること 恋愛とセックス 『アントニア』 おおらかさと戦い 『藍色夏恋』 台湾を舞台に少年少女の恋を描くクィアな青春映画 『ホリデイ』 男女関係に関するヒントを含んだロマンティック・コメディ 『キャロル』 男性に忖度しない女性同士のロマンス映画 『ラフィキ:ふたりの夢』 ナイロビのジュリエットとジュリエット 告発と戦い 『黙秘』 秘密が作る女同士の絆 『ボルベール〈帰郷〉』 大変な目にあっても明るく生きる女性たち 『ハンナ・アーレント』 女性いじめを乗りこえて フェミニズム 『母たちの村』 「伝統」と戦う 『未来を花束にして』 未来とか花束とか、そんなレベルじゃない 『グロリアス 世界を動かした女たち』 フェミニズム運動の連帯をひねったスタイルで描く 『バービー』 人生の意味を探して シスターフッド 『タイムズ・スクエア』 階級の違うふたりの少女の大冒険 『マドンナのスーザンを探して』 「平凡な主婦」と不良娘の出会い 『テルマ&ルイーズ』 やっと訪れた女性のためのロードムービー 『プッシーキャッツ』 ポップでオシャレな見た目に隠れた諷刺 『花咲くころ』 踊る以外は許されないとしても 『裸足の季節』 抑圧をはねのける生き生きした少女たち アクションと冒険 『キャット・バルー』 復讐のためお嬢様がアウトローになる西部劇 『チャーリーズ・エンジェル』 女性のためのお笑いアクション 『奇跡の2000マイル』 砂漠の冒険 『キャプテン・マーベル』 私たちは皆自由に生まれるのに、それを忘れる 『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』 私はバカじゃない ホラー、ファンタジー、SF 『エイリアン』 SFホラーの記念碑的ヒロイン 『コピーキャット』 プロフェッショナル女性ふたりが殺人犯と戦うスリラー 『タンク・ガール』 戦車を乗り回す女性のハチャメチャな活躍を描くSFコメディ 『パンズ・ラビリンス』 プリンセスになるとはどういうことか クィア 『オルランド』 男性から女性になるオルランドの数奇な生涯 『恋のミニスカウエポン』 ハチャメチャなアクションロマンスコメディ映画 『イーダ』 ホロコーストの傷跡とアセクシュアル女性の生き方 『ナチュラルウーマン』 サンティアゴのトランスジェンダー女性の愛と暮らし 『サタデーナイト・チャーチ――夢を歌う場所』 クィアな若者たちを支援するために 『ガール・ピクチャー』 ちょっとしたことで大きく動く人生の可能性 人種・民族 『ウォーターメロン・ウーマン』 自分の先祖を作り出す 『ベッカムに恋して』 サッカーを志すインド系移民の少女 『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』 田舎に住む中国系少女の恋 階級 『エリン・ブロコビッチ』 公害と闘うシングルマザー 『女はみんな生きている』 主婦と移民女性がふとしたことから出会って冒険に 『サンドラの週末』 日の光のほうへ歩き、公正のために戦う 『ハスラーズ』 いけすかない犯罪者たちにどうしても同情してしまう 『燃ゆる女の肖像』 見る主体としての女性たち からだ 『4ヶ月、3週と2日』 中絶が違法だった時代のルーマニアの女性たちの苦労 『モロッコ、彼女たちの朝』 女性同士の細やかな連帯、そして美味しそうなパン 『オマージュ』 芸術家としてのご先祖をたずねて 『コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー』 いのちを軽視する社会 障害と病気 『ボーイズ・オン・ザ・サイド』 トラブルを抱えた3人の女性のロードムービー 『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』 女性芸術家のふしぎな人生 『500ページの夢の束』 若き戦士の大旅行 『トゥルー・スピリット』 海の真ん中でピンク 家族 『グロリア』 子連れ狼ジャンルの金字塔 『母の眠り』 闘病で変わる母娘の関係 『マダム・イン・ニューヨーク』 ことばは道具か、生き甲斐か 『娘よ』 強制結婚から逃げる母娘を乗せたデコトラがパキスタンを疾走 不機嫌なヒロインたち 『冬の旅』 ものすごく感じの悪いヒロインが体現する自由 『ほえる犬は噛まない』 家族愛と風変わりなヒロイン 『ゴーストワールド』 死ぬわけなんかない 『女神の見えざる手』 感じ悪いヒロインのフェミニズム 『女王陛下のお気に入り』 「女は怖い」にならない、女性同士の争い チャレンジ(アート映画) 『ひなぎく』 若い女性ふたりの傍若無人なイタズラ三昧 『男女残酷物語/サソリ決戦』 しょうもないエロティックスリラーかと思いきや驚愕の展開が 『ジャンヌ・ディールマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』 とにかくスローな映画 中学校を卒業してから見よう! 『コフィー』 ふだんは看護師、フリーの時間は犯罪と戦う暗殺者 『バウンド』 レズビアンロマンスが入ったネオノワール 『スタンドアップ』 セクシュアルハラスメントと戦う 『わたしに会うまでの1600キロ』 ひたすら歩き続けるヒロイン 『エクス・マキナ』 青ひげの創造主と自由意志 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 いろいろな要素を含んだ女性アクション映画 『お嬢さん』 帝国とシスターフッド エピローグ 初出一覧と参考文献 索引 - 著者プロフィール - 北村 紗衣 (キタムラ サエ) (著) 武蔵大学人文学部英語英米文化学科教授。専門はシェイクスピア、舞台芸術史、フェミニスト批評。 著書に『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち』(白水社、2018)、『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』(書肆侃侃房、2019)、『批評の教室――チョウのように読み、ハチのように書く』(ちくま新書、2021)、『お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード』(文藝春秋、2022)など。
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到来する女たち 石牟礼道子・中村きい子・森崎和江の思想文学 | 渡邊 英理
¥2,640
書肆侃侃房 2025年 ソフトカバー 400ぺージ 四六判 - 内容紹介 - 不揃いなままで「わたし」が「わたしたち」になる──。 雑誌『サークル村』に集った三人が聞書きなどの手法で切り拓いた新たな地平を、「思想文学」の視点で読み解く。 「『サークル村』を通して、彼女たちが手に入れたのは、儚い「わたし」(たち)の小さな「声」を顕すための言葉であったにちがいない。この新しい集団の言葉は、異質なものと接触し遭遇することで自らを鍛え、異質な他者とともに葛藤を抱えながらも不透明な現実を生きようとする言葉でなければならなかった。支配や権力、垂直的な位階制や序列的な差別から自由で、不揃いなままで水平的に「わたし」は「わたしたち」になる。 三人の女たちは、そのような「わたし」と「わたしたち」を創造/想像し、「わたし」と「わたしたち」とを表現しうる言葉を発明しようとしたのではなかったか」(渡邊英理) ・石牟礼道子(1927-2018)【熊本】……熊本県天草生まれ。詩人、作家。生後すぐに水俣へ。著書に『苦海浄土』『椿の海の記』『西南役伝説』ほか。 ・中村きい子(1928-1996)【鹿児島】……鹿児島生まれ。小説家、作家。母をモデルにした小説『女と刀』は大きな話題を呼び、木下恵介監督によりドラマ化もされた。 ・森崎和江(1927-2022)【福岡】……朝鮮大邱生まれ。詩人、作家。17歳で単身九州へ渡り、58年筑豊炭鉱近郊の中間に転居、谷川雁らと『サークル村』創刊。著書に『まっくら』『慶州は母の呼び声』『非所有の所有』など。 - 目次 - はじめに 1 集団・聞書き・女たち 2 「思想文学」として読む 3 三人の横顔 4 本書の構成と概要 第1章 はじまりとしての『サークル村』 1 戦後文化運動と『サークル村』 2 『サークル村』の「女性表現」 3 九州の「南」 4 「南」の女たち 5 「南九州」の集団と文化 6 「戦争小説」/「戦後文学」 7 エロスと女たち 8 〈非所有の(非)所有〉 第2章 母の肖像/群像──中村きい子『女と刀』 1 娘による母の伝記 2 「南九州」の宗教と「差別」 3 下級武士の娘 4 不適切な擬態 5 意に沿わぬ結婚 6 抜かれぬ刀、女の争闘 7 〈借り物〉からはじめる 8 あらがねの肌と性愛(エロス) 第3章 連なり越えゆく世界を感受する──石牟礼道子『椿の海の記』 1 あわいを漂う言葉 2 交通と(被)開発の時空 3 分解と再生産、「生類世界」とコモンズ 4 家父長制とケアの実践 5 ケアする人びと 6 「女」という階級 第4章 不透明な他者と女同志の絆──森崎和江『遙かなる祭』 1 小フィクション説という言葉の機構 2 放浪という運動性 3 日本の二重構造 4 批判としてのフィクション 5 階級/性/「民族」 6 異郷の神々と女たちの「交流」 7 海と女の思想圏 第5章 交差する言葉、流動する女たち 1 「失対人夫」、「都市雑業層」 2 階級と性、あるいは労働と愛 3 「流民/型労働者」と被差別民 4 「流民」の女たち 5 到来する女/言葉 註 あとがき - 著者プロフィール - 渡邊英理 (ワタナベエリ) (著) 熊本県生まれ、鹿児島県(霧島市・鹿児島市)育ち。大阪大学大学院人文学研究科教授。日本語 文学、批評/批評理論、思想文学論。東京大学大学院総合文化研究科単位取得後満期退学。博士 (学術、東京大学、二〇一二年)。 主要著書に、単著『中上健次論』(インスクリプト、二〇二二年七月、第一四回表象文化論学会 賞)、共編著『クリティカルワード 文学理論』(三原芳秋・鵜戸聡との編著、フィルムアート社、 二〇二〇年)、共著『〈戦後文学〉の現在形』(紅野謙介・内藤千珠子・成田龍一編、平凡社、二 〇二〇年)、共著『文学理論の名著50』(大橋洋一・三原芳秋編著、平凡社、二〇二五年)、共著 『二十一世紀の荒地へ』(酒井直樹・坪井秀人との鼎談収録、以文社、二〇二五年)など。 論文に、「戦争と女たち― 鈴木忠志の演劇における「現代世界」と「戦後日本」」『思想』二〇 二四年八月号(岩波書店、二〇二四年七月)、「復讐と砂漠― 安部公房『砂の女』と〈戦後文 学〉」『現代思想』一一月臨時増刊号(青土社、二〇二四年一〇月)、「未完の晩年様式、未決の 「アジア的想像力」」『群像』二〇二四年七月号(講談社、二〇二四年六月)など。文芸批評では、共同通信・文芸時評「いま、文学の場所へ」(二〇二三年四月~)、「女たちの群像」 『群像』(講談社、二〇二五年五月号~)、「おごじょの本棚」『西日本新聞』(二〇二五年六月~)、 「新人小説月評」『文學界』(文藝春秋、二〇二三年八月号~二〇二四年七月号)などを連載。森崎和江 『能登早春紀行』「解説・旅する言葉、海と女の思想圏」(中公文庫、二〇二五年)、温又柔 『魯肉飯のさえずり』「解説」(中公文庫、二〇二三年)など、文庫解説も手がけている。
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何処にいようと、りぶりあん 田中美津表現集 | 田中 美津
¥2,750
インパクト出版会 2025年 ハードカバー 276ぺージ 縦190mm - 内容紹介 - 1983年に刊行されて以来、絶版だった田中美津幻の名著、40年ぶりに復刊! ウーマンリブ運動が初声を上げた宣言「便所からの解放」や、連合赤軍事件の渦中に書かれた「永田洋子はわたしだ」など、女性史で避けて通れない重要論考収載。 2025年1月20日刊 はじめに 3 よんどころなく他人【ルビ・ひと】を語れば◉鏡の中のあたし 9 自画像 11 沖縄のおんなたち 34 阿部 定/わが怠惰と諦念を刺す 43 永田洋子はあたしだ 50 私の平塚らいてう批判 58 いま泣いたカラスの唄◉中絶と子殺しと 75 女にとって子殺しとは何か 77 中絶は既得の権利か/あえて提起する 93 おんどろおんどろ/メキシコ闇堕胎事情 101 ごきりぶ【りぶに圏点】ホイホイこの道ひとすじ◉混沌のままに 111 新宿やさぐれブタ箱情話 113 私の殺意は乾いている/しあさってのジョーから太田竜さんへ 151 女だけの共同体 170 燃えよ、コレクティブ 186 窓をあけてよ、りぶりあん◉生きてく手ざわり 201 子連れブタ参上 203 からだからの女性学 214 再々度からだから出発 228 れらはるせ/こどもとおんなのからだ育て 237 ナツビラ再見◉リブの創世期 243 便所からの解放 245 おわりに 264 リブ空に浮かんだ竹トンボ 米津知子 268
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結婚の奴 | 能町みね子
¥825
文藝春秋 2025年 文春文庫 ソフトカバー 256ぺージ 文庫判 - 内容紹介 - 文庫版特別篇「書くことがないということについて」を加筆。 解説は山崎ナオコーラさん! 誰かと暮らしたい。「結婚」がしたい。 でも、恋愛風のやりとりを経るのは面倒にもほどがある――。 20年近いひとり暮らしの果てに、 自分の世話をしない自分を許せなくなった著者は、 同居相手をもとめて「偽装結婚」を思い立つ。 さて、どうするか? ほぼ初対面のゲイの男性にSNSで接触をはかったところ、 おもいがけない好反応がかえって来て……。 異色かつ壮大な試みのすべてを記す話題の書が、 待望の文庫化! 文庫化にあたり加筆した特別篇も必読です。
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生き延びるための女性史 遊廓に響く〈声〉をたどって | 山家 悠平
¥2,640
青土社 2023年 ソフトカバー 256ぺージ 四六判 - 内容紹介 - 無数の〈声〉を聞き取り、書き残す、女性史がひらくフェミニズムのかたち かつて遊廓を生きた女性たちが書いた日記や小説は、時の隔たりをこえて、ふたたび現在に響き始める――。悲しみ、怒り、苦しむ人びとを、たったひとりにさせないために、人びとの歴史の〈声〉を記憶し、描き出す。歴史家であり小説家である著者が描き出す、フェミニズムの思想と実践。
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アイスランド 海の女の人類学 | マーガレット・ウィルソン, 向井和美(訳)
¥3,520
青土社 2022年 ソフトカバー 382ぺージ 四六判 - 内容紹介 - 忘れられた女性たちの足跡をたどって 小さな島国に足を踏み入れた人類学者が見つけたのは、1700年代に活躍していた女性船長の記録だった。他にももっと海に出ていた女性がいたのではないかと現地の人に尋ねると多くの人は「いない」と答える。手漕ぎボートの時代から現代まで、丁寧に史料をひもとき、話を聞き、海に出ていた女性たちの声をすくいあげる。 ジェンダー平等先進国であり、漁業が盛んなアイスランドのもうひとつの姿を描き出す、こころ揺さぶるエスノグラフィー。
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元気のないおさむのにげにげ日記 うつ病クィアのみている日常 | 元気のないおさむ
¥1,870
花伝社 2024年 ソフトカバー 168ぺージ 四六判 - 内容紹介 - 「社会にはびこる不寛容、不正義、ままならなさ。それらをつぶさに反映し、生きる身体の記録」--少年アヤ推薦! 「精神障害」の「性的マイノリティ/クィア」に立ちはだかる日常の壁。トラウマ、パートナーとの関係、そして就労・社会保障……。ぐったり寝ながら、逃げながら、「生活」と「社会」改善をめざしてつづられた、真剣で、たまに笑える日々の記録。 性的マイノリティ・メンタルヘルスの問題から社会をみるコミックエッセイ&インタビュー - 目次 - まえがき 第1部 元気がない、生産性もない 第2部 精神障害と就労 第3部 寝たきりからの回復 あとがき - 著者プロフィール - 元気のないおさむ (ゲンキノナイオサム) (文・絵) 1995年九州生まれ。小学4年生で不登校になり、6年間を自室で過ごす。定時制高校に進学し、ゲイであることをカミングアウト。大学では教授からセクハラを受け、就職先ではパワハラを受けるというハラハラの人生。うつ病とパニック障害の治療中。
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クリエイティブであれ 新しい文化産業とジェンダー | アンジェラ・マクロビ―, 田中 東子(監訳), 中條 千晴(訳), 竹﨑 一真(訳), 中村 香住(訳)
¥2,420
花伝社 2023年 ソフトカバー 352ぺージ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ21mm - 内容紹介 - 「クリエイティブであれ(ビー・クリエイティブ)」という呪縛が生み出す、 現代の“終わりなき労働”とその構造── 「自由」や「自己実現」と巧みに結びついて若者を魅了するクリエイティブな世界。劣悪な労働環境を甘受し、マルチタスク化に対応する「新しいミドルクラスの女性」は、いかにして作り出されるのか? クリエイティブ経済の絶頂期を、フェミニズムの視座から批判的に捉える。 - 目次 - 序章 教育を通じた出会いとクリエイティブな経済 第1章 「クラブ」から「企業」へ 第2章 クリエイティブ労働のポリティクスを紐解く 第3章 人的資本としての芸術家 第4章 ポストフォーディズムのジェンダー 第5章 ファッション・マター・ベルリン 第6章 やりたい仕事を成功させる? 結論 ヨーロッパの展望 - 著者プロフィール - アンジェラ・マクロビ― (アンジェラマクロビー) (著) ロンドン大学ゴールドスミス校名誉教授。ブリティッシュ・カルチュラル・スタディーズを代表する研究者の一人であり、ポピュラー文化とフェミニズム理論、メディアとコミュニケーションにかんする研究を専門とする。著書多数。邦訳書として、『フェミニズムとレジリエンスの政治――ジェンダー、メディア、そして福祉の終焉』青土社、2022年(原題:Feminism and the Politics of Resilience: Essays on Gender, Media and the End of Welfare)。 田中 東子 (タナカトウコ) (監訳) 1972 年神奈川県生まれ。東京大学大学院情報学環教授。専門はメディア文化論、フェミニズム、カルチュラルスタディーズ。 著書に『メディア文化とジェンダーの政治学──第三波フェミニズムの視点から』(世界思想社、2012 年)、『出来事から学ぶカルチュラル・スタディーズ』(共編著、ナカニシヤ出版、2017 年)、『私たちの「戦う姫、働く少女」』(共著、堀之内出版、2019 年)、『ガールズ・メディア・スタディーズ』(編著、北樹出版、2021 年)。翻訳に『ユニオンジャックに黒はない──人種と国民をめぐる文化政治』(ポール・ギルロイ著、共訳、月曜社、2017 年)、『フェミニズムとレジリエンスの政治──ジェンダー、メディア、そして福祉の終焉』(アンジェラ・マクロビー著、共訳、青土社、2022 年)など。 中條 千晴 (チュウジョウチハル) (訳) 1985 年大阪府生まれ。フランス国立東洋言語文化学院(INALCO)言語専任講師。専門はポピュラー音楽とジェンダー、社会運動。 著書に『Mémoire sonore du Japon, le disque, la musique et la langue』( 共著、Presse del‘Université d’Orléans、2021 年)、『Engendering Transnational Transgressions: From the Intimate to the Global』(共著、Routledge、2020 年)、『ガールズ・メディア・スタディーズ』(共著、北樹出版、2021 年)。翻訳に『博論日記』(花伝社、2020 年)。 竹﨑 一真 (タケザキカズマ) (訳) 1989 年兵庫県生まれ。明治大学情報コミュニケーション学部特任講師。専門はスポーツ社会学、身体とジェンダーのカルチュラルスタディーズ。 著書に『ボディ・スタディーズ──性、人種、階級、エイジング、健康/ 病の身体学への招待』(共著、晃洋書房、2017 年)、『日本代表論──スポーツのグローバル化とナショナルな身体』(共著、せりか書房、2020 年)、『ポストヒューマン・スタディーズへの招待』(共著、堀之内出版、2022 年)。 中村 香住 (ナカムラカスミ) (訳) 1991 年神奈川県生まれ。慶應義塾大学文学部・慶應義塾大学大学院社会学研究科非常勤講師。専門はジェンダー・セクシュアリティの社会学。 著書に『私たちの「働く姫、戦う少女」』(共著、堀之内出版、2019 年)、『ふれる社会学』(共著、北樹出版、2019 年)、『「百合映画」完全ガイド』(共著、星海社、2020 年)、『ガールズ・メディア・スタディーズ』(共著、北樹出版、2021 年)、『アイドルについて葛藤しながら考えてみた──ジェンダー/パーソナリティ/〈推し〉』(共編著、青弓社、2022 年)など
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産む権利/産まない権利 リプロダクティヴ・ライツの現在 | ジェンダー法政策研究所, 辻村 みよ子, 糠塚 康江, 大山 礼子, 二宮 周平
¥1,980
花伝社 2025年 ソフトカバー 288ぺージ 四六判 - 内容紹介 - 身体と、法・政治の〈いま・ここ〉をひもとく 日本において、「産むこと/産まないこと」をめぐる「性と生殖の自己決定権(リプロダクティブ・ライツ)」は、どう法律・政治過程と関わり合ってきたのか――リプロダクティブ・ライツを否認する条項の存在、避妊ピルや中絶薬の普及の遅れなどが政治的課題として意識され、生殖補助医療への法的対応も迫られている今、あらためて、「個人的なこと」が「政治的なこと」であるという原点に立ち戻る。 性と生殖の権利の意義と歴史、国内外の制度の理解を通して、〈これから〉を考える 【編者】 ジェンダー法政策研究所(GELEPOC) 辻村みよ子(弁護士・東北大学名誉教授) 糠塚康江(東北大学名誉教授) 大山礼子(駒澤大学名誉教授) 二宮周平(立命館大学名誉教授) 【執筆者】 岩本美砂子(三重大学名誉教授) 林陽子(弁護士・元国連女性差別撤廃委員会委員長) 建石真公子(法政大学名誉教授) 石黒大貴(弁護士) 松原洋子(立命館大学大学院特任教授) 長村さと子(一般社団法人こどまっぷ代表理事) 小竹聡(拓殖大学教授) 齊藤笑美子(GELEPOC フランス支部長 - 目次 - はしがき(辻村みよ子) Ⅰ部 リプロダクティブ・ライツの意義と可能性 企画趣旨(糠塚康江) 1 政治から見る日本のリプロダクティブ・ライツ――優生保護法を巡る政治過程(岩本美砂子) 2 リプロダクティブ・ヘルス・ライツに対する国際人権法からのアプローチ (林陽子) 3 憲法上の権利としてのリプロダクティブ・ライツの保護――「身体」に関する自由と尊厳(建石真公子) Ⅱ部 リプロダクティブ・ライツをめぐる日本のアクチュアルな問題 企画趣旨(二宮周平) 1 母になることを強制されないこと――フランス視察と内密出産/匿名出産(石黒大貴) 2 〈不良な子孫〉の出生防止と人権侵害――優生保護法の歴史から(松原洋子) 3 妊娠/出産を望む未婚女性たちと日本の現状(長村さと子) Ⅲ リプロダクティブ・ライツと国際情勢 1 Dobbs判決の舞台裏(小竹聡) 2 「中絶の自由」が憲法に書き込まれた日――2024年国際女性の日(齊藤笑美子) あとがき(大山礼子)
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働きたいのに働けない私たち | チェ・ソンウン, 小山内 園子(訳)
¥1,980
世界思想社 2025年 ソフトカバー 160ぺージ 四六判 縦186mm 横130mm 厚さ13mm - 内容紹介 - 女性は投資の対象外? 女性は好きでパートをしている!? 韓国の子持ち高学歴女性は労働市場から退場していく。社会は有能な人材を失い続け、母親たちは代わりにわが子の教育で競争に参戦する。男性本位の職場、個人化されたケアを解体するために何が必要か。スウェーデン、アメリカとの比較から考える。 解説:中野円佳「手を取り合える日韓の女性たち」 女が仕事も夢も子どもや家庭も持ちたいと願うことって、図太いからなんかじゃないよね?! とことん論理的な分析の向こうに涙が滲み出る。 ――小林エリカ(作家・アーティスト) ガラスの天井、L字カーブ、ケアの個人化。労働と出産をめぐる性差別が蔓延するこの国で、〈男たち〉はずっと透明のままでいいのか? ――清田隆之(文筆家) 【プロローグより】 人はよく、私を「図太い」と言った。周囲は、結婚してまで博士号を取ろうとする私に、助言とも言えない助言をずいぶんとよこした。そこまでやれば十分だろう、子どももいるんだから、夫の給料で楽に暮らせと言うのだ。だが、夫が職を求め、職場で認められるために努力するのと同じように、私にもやりたい仕事があった。もちろん、博士課程にいながら子どもを育てるのはとても大変だった。図太いからやり遂げたのではない。持てる力をすべて尽くして、ひたすら耐えただけだ。 (……) 男女の格差や差別は依然として問題のままだ。女性は男性に比べて平均賃金が低く、役員クラスに昇進する機会も少ない。より高い学位を手に入れて性差別を克服しようと試みても、韓国の労働市場では、高学歴が良質の働き口につながる「学歴プレミアム」さえまともに作動していない。 (……) 本書を通じて、韓国の女性がどんな労働環境に置かれているかを探り、女性が疎外されざるを得ない理由を解き明かしたいと考えた。未来はもっといい社会で、学んだぶんだけ寄与できるというチャンスへのルートが開かれていることを、韓国社会が、誠実で有能な女性を失わずにすんでいることを、願っている。 - 目次 - プロローグ 図太い女の社会 1 「平等な競争」という幻想 2 女性に「学歴プレミアム」はあるか 3 母になるのは拒否します 4 より多くの女性が働けるように エピローグ 機会の平等を論じる 補論 日本の「働けない女たち」へ(チェ・ソンウン) 解説 手を取り合える日韓の女性たち(中野円佳) 訳者あとがき ブックガイド/参考文献 - 著者プロフィール - チェ・ソンウン (チェ ソンウン) (著) 行政学博士。延世大学行政学科で修士号、博士号を取得後、国会立法調査処児童保育立法調査官補を経て、淑明女子大、延世大、明知大などで教鞭をとる。現在は大田世宗研究院世宗研究室の責任研究委員として、世宗特別自治市の女性、子ども、少子化政策の課題を研究。キャリア女性の雇用対応政策、子どもの遊ぶ権利を保障した公共の遊び場の活性化、ワーキングママ支援センターの運営などについて提言を行ってきた。合計特殊出生率0.75と深刻な少子化に悩む韓国にあって、世宗特別自治市は1.03を記録(韓国統計庁、2024年の合計特殊出生率〔暫定値〕)。特別市・広域市の中で唯一1を超える自治体であり、その実践が注目を集めている。 小山内 園子 (オサナイ ソノコ) (訳) 韓日翻訳家、社会福祉士。NHK報道局ディレクターを経て、延世大学校などで韓国語を学ぶ。訳書にク・ビョンモ『破果』『破砕』(岩波書店)、チョ・ナムジュ『耳をすませば』(筑摩書房)、『私たちが記したもの』(すんみとの共訳、筑摩書房)、カン・ファギル『大仏ホテルの幽霊』(白水社)、イ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ』『失われた賃金を求めて』(すんみとの共訳、タバブックス)など、著書に『〈弱さ〉から読み解く韓国現代文学』(NHK 出版)がある。
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FtMトランスジェンダーのぼくのことを話そう | 江里 ユウキ
¥1,650
講談社 2025年 ソフトカバー 176ぺージ 四六判 - 内容紹介 - 著者は体が女性で心が男性のトランスジェンダー。 5歳のときに初めて性別に対して違和感を持ち、小学5年生で初潮を迎えると、あまりのショックにトイレで泣き崩れたこともあった。 男の子との初恋、両親へのカミングアウト、不登校、自殺未遂、そして就職し「胸オペ」を受けるまで……。 セクシュアルマイノリティとして波乱万丈な人生を歩んできた著者が、今、自分のことがよくわからなくて不安を抱えている全ての人たちに贈る「生きやすい社会」へのメッセージ! 小学上級・中学から - 著者プロフィール - 江里 ユウキ (エザト ユウキ) (著) 20代、FtM。 性別で迷うすべての人たちへ。 こういう人もいるんだと、安心したり、参考にしたりしてもらえたらと思い書きました。
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あなたのフェミはどこから?
¥1,980
平凡社 2025年 ソフトカバー 176ぺージ 四六判 - 内容紹介 - あなたの“フェミ”はいつ、どこから始まりましたか? 文筆家、写真家、彫刻家、翻訳家、編集者、ライター、演出家、イラストレーター、学者、ソーシャルワーカー、精神科医など19人の書き手が、個人的でありながらも共通する体験でもあり、連帯する基盤ともなるフェミニズムとの出会いを綴るリレーエッセイ。「ウェブ平凡」連載に書きおろしも加えて単行本化。 著者は安達茉莉子、石原真衣、上田久美子、小川たまか、長田杏奈、小田原のどか、金井冬樹、鴻巣麻里香、高島鈴、武田砂鉄、長島有里枝、能町みね子、野中モモ、藤高和輝、星野概念、松尾亜紀子、松橋裕一郎(少年アヤ)、水上文、森山至貴の19人。 - 目次 - 安達茉莉子「自分の岸辺からはじめる」 松尾亜紀子「やばい間違ったかも、と震えてはじまることもある」 森山至貴「ぬるっと出会って、ずっと繫がって」 高島鈴「生まれ変わり」 石原真衣「先住民フェミニストでございます」 藤高和輝「i am a feminist.」 鴻巣麻里香「脱抑圧の三代記 ─ 私たちはなぜフェミニストでなくなるのか」 上田久美子「私のフェミはどこから。」 小川たまか「風が吹く野原が心の中にある」 星野概念「パワーのこと」 野中モモ「聞こえているから自分も言える」 水上文「BLとフェミニズム(のようなもの)」 金井冬樹「The Powerless Do Have Power.」 長田杏奈「シルバニアで遊べない子」 小田原のどか「受け取って、渡していく」 松橋裕一郎(少年アヤ)「わたし、そしてわたしたち」 能町みね子「神はいないが」 長島有里枝「わたしが千なら、フェミニズムはハク。」 武田砂鉄「ハッキリ答える前に」
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最後の講義 完全版 上野千鶴子 これからの時代を生きるあなたへ安心して弱者になれる社会をつくりたい | 上野千鶴子, NHKグローバルメディアサービス, テレビマンユニオン
¥1,496
主婦の友社 2022年 ソフトカバー 232ぺージ 四六判 - 内容紹介 - 「あなたは人生最後の日に何を語りますか」という問いに答えて各界の著名人が1度きりの特別講義をしてくれるNHKの人気番組「最後の講義」。本書は社会学者の上野千鶴子さんのテレビでは放送されなかった未放映部分を含む完全版をお届けします。上野さんの研究、実は「主婦」から始まりました。家事が不払い労働であること、家事、育児、介護、看護がすべて一人の女性の負担になっていること。お嫁さんがやっていた介護が仕事になっていったことなど、ずっと女性の幸せのために研究してこられた上野さんの女性学・ジェンダー学の問題点も歴史もわかります。時代の先頭を走り続け、私たちの生きやすい社会を作ってくれた先輩からのエールに胸が熱くなること間違いありません!
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戻れないけど、生きるのだ 男らしさのゆくえ | 清田 隆之
¥2,090
太田出版 2024年 ソフトカバー 304ぺージ 四六判 - 内容紹介 - ひとりの青年が、とまどい、ゆらぎ、つまずきながら、夫になり、父になる成長物語。その率直さに胸を衝かれる。男性が本書から学ぶことは多いだろう。──上野千鶴子 このひとの書くものはブレない。それはたぶん、自分の立ち位置と付与された力を厳しすぎるくらいに点検することを忘れないからだ。──信田さよ子 フェミニズムから受け取った重たい宿題。これからの〈俺たち〉へ。 男らしさや男性性にまつわる当事者研究として各メディアで話題となった『さよなら、俺たち』に続く最新ジェンダー・エッセイ集。ジェンダーの先にある人間の生き方、幸福を探求する。 人生の価値は、人生の豊かさは、どれだけ何かに心を揺さぶられたかでおそらく決まる。ジェンダーとは生き方や在り方に直結する問題で、私たちの言動や感受性のOS(オペレーション・システム)として機能しているものだ。そこに変化を加えようとすれば、当然ながらいろんなところがギリギリ軋む。そのストレスや不快感はバカにならず、反動的なエネルギーが生じたって不思議ではない。だからこそ思う。俺たちは頭で考えてるだけでは変われない。そのためには何かに圧倒され、言葉を失い、放心状態になるような体験を重ねることが重要で、内省も責任も、ケアも覚悟も、抵抗も希望も、きっとそういう時間から生まれるはずだ。もちろん本やドラマだけじゃない。恋愛にも、子育てにも、仕事にも、旅にも、生活にも、友達とのお茶にも、そんな感動は宿っている。「昔のほうがよかった」「ずいぶん息苦しい時代になった」「あの頃に帰りたい」って気持ちは誰の中にもあると思うけど、進んでしまった時間を、変化してしまったものを、元に戻すことはもうできない。それでも毎日は続くし、何かに心を震わせながら生きていくことは全然できる。さよならした時間に戻ることはできないけれど、男らしさの危機が叫ばれるこの時代を、俺たちはこれからも生きるのだ。 (「戻れないけど、生きるのだ」) 1 〈男〉とフェミニズム──シスターフッドの外側で 2 我は、おじさん──男性優位社会と中年世代の責任 3 被害と加害と恥と傷──泣いてる〈俺〉を抱きしめて 4 平成から遠く離れて──生産性の呪いと自己責任社会 5 家父長制への抵抗──結婚と家族、ジェンダーの呪縛 6 これからの〈俺たち〉へ──beingの肯定 - 著者プロフィール - 清田 隆之 (キヨタ タカユキ) (著/文) 1980年東京都生まれ。文筆業、「桃山商事」代表。早稲田大学第一文学部卒業。ジェンダー、恋愛、人間関係、カルチャーなどをテーマに様々な媒体で執筆。朝日新聞beの人生相談「悩みのるつぼ」では回答者を務める。桃山商事としての著書に『生き抜くための恋愛相談』『モテとか愛され以外の恋愛のすべて』(ともにイースト・プレス)、単著に『さよなら、俺たち』(スタンド・ブックス)『自慢話でも武勇伝でもない「一般男性」の話から見えた生きづらさと男らしさのこと』(扶桑社)『おしゃべりから始める私たちのジェンダー入門』(朝日出版社)、トミヤマユキコ氏との共著に『大学1年生の歩き方』(集英社文庫)、澁谷知美氏との共編著に『どうして男はそうなんだろうか会議』(筑摩書房)など。Podcast番組『桃山商事』『オトコの子育てよももやまばなし』も配信中。
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学びのきほん フェミニズムがひらいた道 | 上野 千鶴子
¥737
NHK出版 2022年 ソフトカバー 124ぺージ A5判 - 内容紹介 - その歴史と意義が2時間でわかる、著者初の総合的な入門書。 学校で習った「男女雇用機会均等法」や「男女共同参画社会基本法」。これらは、真の男女平等を実現するものではなかった? フェミニズムはなぜ生まれ、何を変え、何を変えられなかったのか。その流れを「四つの波」に分けてコンパクトに解説する。女性参政権、性別役割の解放、#MeToo……。過去を知り、自分の経験を再定義する言葉を手に入れるために。日本におけるフェミニズムを切り開き続けてきた第一人者が、多くの経験知とともにフェミニズムがたどった道のりを語る。 - 著者プロフィール - 上野 千鶴子 (ウエノ チヅコ) (著/文) 1948年、富山県生まれ。社会学者、東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。専門学校、短大、大学、大学院、社会人教育などの高等教育機関で、40年間教育と研究に従事。主な著書に『近代家族の成立と終焉』『家父長制と資本主義』(岩波現代文庫)、『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『ひとりの午後に』(NHK出版/文春文庫)、『在宅ひとり死のススメ』(文春新書)、『おひとりさまの最期』『女ぎらい』(朝日文庫)、『ケアの社会学』(太田出版)など多数。
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さらば,男性政治 | 三浦 まり
¥1,078
岩波書店 2023年 岩波新書 ソフトカバー 298ぺージ 新書判 縦173mm 横107mm 厚さ12mm - 内容紹介 - 男性政治とは、男性だけで営まれ、男性だけが迎え入れられ、それを当然だと感じ、たまに女性の参入が認められても対等には扱われない政治である。ジェンダー平等な社会を目指す推進力が生まれているが、男性政治の最後の砦、永田町がその流れを阻んでいる。こうした日本の現実を超えて、女性も、男性も、マイノリティも、誰もが生きやすい社会への道を探る。 - 目次 - はじめに 第1章 男性ばかりの政治 第2章 二〇年の停滞がもたらしたもの――ジェンダー平等後進国が作り出した生きづらさ―― 第3章 女性を排除する日本の政治風土と選挙文化 第4章 女性に待ち受ける困難――障壁を乗り越える―― 第5章 ミソジニーとどう闘うか 第6章 なぜクオータが必要か 第7章 ジェンダー平等で多様性のある政治に向けて 謝辞 引用文献 - 著者プロフィール - 三浦 まり (ミウラ マリ) (著/文) 1967年東京都生まれ.慶應義塾大学卒業,カリフォルニア大学バークレー校大学院修了.Ph.D(. 政治学).2021年,フランス政府より国家功労勲章シュバリエ受章. 現在─上智大学法学部教授 専攻─現代日本政治論,ジェンダーと政治 著書─『 私たちの声を議会へ──代表制民主主義の再生』(岩波書店),『社会への投資〈個人〉を支える〈つながり〉を築く』(編集,同),『日本の女性議員──どうすれば増えるのか』(編集,朝日新聞出版),『女性の参画が政治を変える──候補者均等法の活かし方』(共編,信山社),『日本政治の第一歩』(共編,有斐閣),『ジェンダー・クオータ──世界の女性議員はなぜ増えたのか』(共編,明石書店)など.
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女性のいない民主主義 | 前田 健太郎
¥1,034
岩波書店 2019年 岩波新書 ソフトカバー 238ぺージ 新書判 縦173mm 横107mm 厚さ14mm - 内容紹介 - 日本では男性に政治権力が集中している。何が女性を政治から締め出してきたのか。そもそも女性が極端に少ない日本の政治は、民主主義と呼べるのか。客観性や中立性をうたってきた政治学は、実は男性にとって重要な問題を扱う「男性の政治学」に過ぎなかったのではないか。気鋭の政治学者が、男性支配からの脱却を模索する。 - 目次 - はじめに 第1章 「政治」とは何か 1 話し合いとしての政治 2 政治における権力 3 マンスプレイニングの罠 4 政治の争点 5 多数決と争点 第2章 「民主主義」の定義を考え直す 1 女性のいない民主主義 2 代表とは何か 3 民主化の歴史を振り返る 4 民主化の理論と女性 第3章 「政策」は誰のためのものか 1 男性のための福祉国家 2 政策は誰の利益を反映するのか 3 福祉国家が変わりにくいのはなぜか 4 政策の変化はどのようにして生じるか 第4章 誰が,どのように「政治家」になるのか 1 日本政治の二つの見方 2 有権者は誰に票を投じるか 3 政党と政治家の行動原理 4 選挙制度の影響 おわりに あとがき 主な参考文献・データベース - 著者プロフィール - 前田 健太郎 (マエダ ケンタロウ) (著/文) 1980年,東京都生まれ.2003年,東京大学文学部卒業.2011年,東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了,博士(法学).首都大学東京大学院社会科学研究科准教授を経て, 現在―東京大学大学院法学政治学研究科准教授 専攻―行政学・政治学 著書―『市民を雇わない国家――日本が公務員の少ない国へと至った道』(東京大学出版会,第37回サントリー学芸賞[政治・経済部門])
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ケアの倫理 フェミニズムの政治思想 | 岡野 八代
¥1,364
岩波書店 2024年 岩波新書 ソフトカバー 342ぺージ 新書判 縦173mm 横107mm 厚さ14mm - 内容紹介 - 身体性に結び付けられた「女らしさ」ゆえにケアを担わされてきた女性たちは、自身の経験を語る言葉を奪われ、言葉を発したとしても傾聴に値しないお喋りとして扱われてきた。男性の論理で構築された社会のなかで、女性たちが自らの言葉で、自らの経験から編み出したフェミニズムの政治思想、ケアの倫理を第一人者が詳説する。 - 目次 序 章 ケアの必要に溢れる社会で 第1章 ケアの倫理の原点へ 1 第二波フェミニズム運動の前史 2 第二波フェミニズムの二つの流れ――リベラルかラディカルか 3 家父長制の再発見と公私二元論批判 4 家父長制批判に対する反論 5 マルクス主義との対決 第2章 ケアの倫理とは何か――『もうひとつの声で』を読み直す 1 女性学の広がり 2 七〇年代のバックラッシュ 3 ギリガン『もうひとつの声で――心理学の理論とケアの倫理』を読む 第3章 ケアの倫理の確立――フェミニストたちの探求 1 『もうひとつの声で』はいかに読まれたのか 2 ケアの倫理研究へ 3 ケア「対」正義なのか? 第4章 ケアをするのは誰か――新しい人間像・社会観の模索 1 オルタナティヴな正義論/道徳理論へ 2 ケアとは何をすることなのか?――母性主義からの解放 3 性的家族からの解放 第5章 誰も取り残されない社会へ――ケアから始めるオルタナティヴな政治思想 1 新しい人間・社会・世界――依存と脆弱性/傷つけられやすさから始める倫理と政治 2 ケアする民主主義――自己責任論との対決 3 ケアする平和論――安全保障論との対決 4 気候正義とケア――生産中心主義との対決 終 章 コロナ・パンデミックの後を生きる――ケアから始める民主主義 1 コロナ・パンデミックという経験から――つながりあうケア 2 ケアに満ちた民主主義へ――〈わたしたち〉への呼びかけ あとがき 参考文献 - 著者プロフィール - 岡野 八代 (オカノ ヤヨ) (著/文) 1967年三重県生まれ.早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了.博士(政治学). 現在―同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授. 専攻―政治思想,フェミニズム理論. 著書―『シティズンシップの政治学――国民・国家主義批判 増補版』(白澤社),『フェミニズムの政治学――ケアの倫理をグローバル社会へ』(みすず書房),『戦争に抗する――ケアの倫理と平和の構想』(岩波書店),『ケアするのは誰か?――新しい民主主義のかたちへ』(共著・訳,白澤社),エヴァ・F.キテイ『愛の労働あるいは依存とケアの正義論』(共監訳,白澤社),アイリス・M.ヤング『正義への責任』(共訳,岩波書店)など.
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女性政治家が増えたら何が変わるのか | 秋山 訓子
¥1,045
集英社 2023年 集英社新書 ソフトカバー 208ぺージ 新書判 縦173mm 横106mm 厚さ11mm - 内容紹介 - 今、「女」が選挙で勝つためのキーコンテンツになりつつある!? 与野党を問わず、政治家は女性の存在と女性にまつわる政策を“頼みの綱”にしているのだ。 日本の政治がいかに変わりつつあるのか――。 女性初の朝日新聞政治部次長を務めた著者が、海外の事例を含めて丹念に取材し、データとともにひもとく。 多様化が進んだ現代では政治家も多様性が求められており、分断を広げるだけでは真の男女平等につながらない。 女性政治家が増えれば〈誰もが〉生きやすい社会になるということを可視化する、新しい論点。 民主主義を機能させるのはあなたです! 【目次】 第1章 地方で芽吹く変化 第2章 女性議員が増えると政治の何が変わるのか 第3章 今、杉並区で起きていること 第4章 女性議員を増やすには 第5章 もっと女性議員を増やすには~海外編 第6章 国政は変わるのか 【著者プロフィール】 秋山訓子(あきやま のりこ) 朝日新聞編集委員。 東京生まれ。東京大学文学部卒業。ロンドン政治経済学院にて修士、筑波大学にて博士号を取得。 朝日新聞入社後、政治部、経済部、AERA編集部などを経て現職。 政治やNPO・市民社会、多様性・ジェンダーなどを中心に取材。 著書に『女は「政治」に向かないの?』『コーヒーを味わうように民主主義をつくりこむ』ほか。