-
社会を変えた50人の女性アーティストたち|レイチェル・イグノトフスキー, 野中 モモ(翻訳)
¥1,980
創元社 2021年 ハードカバー 128ページ A4変型判 縦235mm 横198mm 厚さ17mm - 内容紹介 - 古来から女性は多くの絵画や彫刻作品のモチーフとして描かれてきましたが、女性自身が絵筆を持ち、制作チームを率いて作品を作り出し、自由なテーマで表現することは、長らく制限されていました。 「女性だから」というだけで特定のモチーフを扱うことを禁じられたり、男性中心の価値観が支配する業界で活躍の場や正当な評価を受けられないといったことは日常茶飯事でした。 現代では多くの女性アーティストが活躍していますが、現在でも、作品の評価額や展覧会において展示作品に占める割合、美術館の管理職の人数や待遇など、歴然としたジェンダーの不均衡が存在します。 本書は、美術・詩作・彫刻・写真・陶芸・建築・デザインなど、幅広い芸術ジャンルで才能を発揮し、常識にとらわれない自由な表現で社会をゆるがせた世界の50人の女性アーティストの活躍を、チャーミングなイラストとともに紹介します。 これまでにも科学技術、スポーツの世界における偉大な女性たちを讃えてきた新進気鋭のイラストレーター、レイチェル・イグノトフスキーの最新作。 彼女の「ホーム」ともいうべき芸術の世界で、人種・階級・性差別にくじけず力強くおのれを表現し、人々の心をゆさぶったヒロインたちを、人間的な魅力を引き出しながら描き上げています。 本書が取り上げるのはいわゆる「ファインアート」だけにとどまりません。ファッションや家具、建築など実用性のなかに美を見出すデザイナーたちや、民族の歴史と伝統を未来に伝えるキルトや陶芸作家、グラフィックデザイナーやアニメーターなどごく新しいメディアを牽引するアーティストも多く登場します。 「アート」という言葉がもつ幅広さ、アートが担う役割の多様さ、そのエネルギーの大きさもひしひしと感じられるでしょう。 <本書の見どころ> ●社会から見過ごされていたものに目を向け、独創的な芸術表現に昇華させた女性アーティスト50人(+α)を紹介 ●芸術家としての活動からプライベートな一面まで、トリビアもたっぷり。魅力あふれる人生の物語を簡潔に学べます ●制作道具一覧や色彩・デザイン論の基礎知識、歴史年表など、楽しいコラムも収録 <こんな人が載っています> 管道昇(詩人・画家)、ハリエット・パワーズ(キルト作家)、メアリー・カサット(画家)、ナンペヨ(陶芸家)、ビアトリクス・ポター(作家・イラストレーター)、ジャンヌ・パキャン(ファッションデザイナー)、ジョージア・オキーフ(画家)、オーガスタ・サヴェイジ(彫刻家)、リー・ミラー(写真家)、フリーダ・カーロ(画家)、メアリー・ブレア(アニメーター)、レイ・イームズ(インダストリアルデザイナー)、草間弥生(画家・彫刻家・インスタレーションアーティスト)、ウェンディ・カーロス(作曲家)、ポーラ・シェア(グラフィックデザイナー)、、妹島和代(建築家)、シリン・シャネット(写真家・映画監督)など… 目次 はじめに 歴史年表 管道昇(詩人・画家、1262-1319) クリスティーヌ・ド・ピザン(装飾写本の著者・アートディレクター、1364-1430) ラヴィニア・フォンターナ(画家、1552-1614) エリザベッタ・シラーニ(画家・版画家、1638-1665) エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン(画家、1755-1842) ジュリア・マーガレット・キャメロン(写真家、1815-1879) ローザ・ボヌール(画家、1822-1899) ハリエット・パワーズ(キルト作家、1837-1910) メアリー・エドモニア・ルイス(彫刻家、1844-1907) メアリー・カサット(画家、1844-1926) ナンペヨ(陶芸家、1859-1942) ビアトリクス・ポター(作家・イラストレーター、1866-1943) コラム:アートとデザインの要素と原則 ジャンヌ・パキャン(ファッションデザイナー、1869-1936) ジュリア・モーガン(建築家、1872-1957) タルシラ・ド・アマラル(画家、1886-1973) ジョージア・オキーフ(画家、1887-1986) ハンナ・ヘッヒ(コラージュ・アーティスト、1889-1978) アルマ・トーマス(画家、1891-1978) オーガスタ・サヴェイジ(彫刻家・教師、1892-1962) ドロシア・ラング(写真家、1895-1965) ドロシー・リーベス(テキスタイルデザイナー・織物作家・実業家、1897-1972) タマラ・ド・レンピッカ(画家、1898-1980) ルイーズ・ネヴェルソン(彫刻家、1899-1988) コラム:アート界の統計 ベル・コーガン(インダストリアルデザイナー、1902-2000) ローラ・アルヴァレス・ブラーヴォ(写真家、1903-1993) ロイス・メイロウ・ジョーンズ(画家・デザイナー・教師、1905-1998) リー・ミラー(写真家、1907-1977) フリーダ・カーロ(画家、1907-1954) シーピー・ピネレス(グラフィックデザイナー・アートディレクター、1908-1991) メアリー・ブレア(イラストレーター・デザイナー・コンセプトアーティスト・アニメーター、1911-1978) テルマ・ジョンソン・ストリート(画家・ダンサー・教育者、1911-1959) ルイーズ・ブルジョワ(彫刻家・インスタレーションアーティスト・画家・彫刻家、1911-2010) レイ・イームズ(インダストリアルデザイナー・グラフィックアーティスト・建築家・映像作家、1912-1988) メレット・オッペンハイム(シュールレアリスト彫刻家、1913-1985) アムリタ・シェール=ギル(画家、1913-1941) エリザベス・キャトレット(彫刻家・版画家、1915-2012) コラム:アートの道具 ルース・アサワ(彫刻家・芸術支援活動家・教師、1926-2013) ノーマ・スクラレック(建築家、1926-2012) 草間彌生(彫刻家・インスタレーションアーティスト・画家・パフォーマンスアーティスト、1929-) フェイス・リンゴールド(画家・布作家・教育者・社会運動家、1930-) ジャンヌ=クロード・ドゥナット・ド・ギュボン(環境アーティスト、1935-2009) ウェンディ・カーロス(作曲家・日食写真家、1939-) ポーラ・シェア(グラフィックデザイナー、1948-) 劉虹/リウ・ホン(画家・インスタレーションアーティスト、1948-) ザハ・ハディド(建築家、1950-2016) チャカイア・ブッカー(彫刻家・インスタレーションアーティスト、1953-) 妹島和世(建築家、1956-) シリン・ネシャット(写真家・映画監督、1957-) ソカリ・ダグラス・キャンプ(彫刻家、1958-) マヤ・リン(建築家・彫刻家・デザイナー、1959-) まだまだいる女性アーティストたち おわりに 参考資料 感謝のことば 著者について 索引 - 著者プロフィール - レイチェル・イグノトフスキー (イグノトフスキー,レイチェル) (著/文) アメリカ・ニュージャージー出身、カンザス在住の若手女性イラストレーター。2011年にアート・グラフィックデザインの専門学校タイラー校を優秀な成績で卒業し、その後は特に歴史や科学、また教育、ジェンダーなどをテーマにしたイラストを多く描いている。著書に『世界を変えた50人の女性科学者たち』『歴史を変えた50人の女性アスリートたち』『プラネットアース』(いずれも創元社)がある。 野中 モモ (ノナカ モモ) (翻訳) 翻訳者・ライター。 訳書にロクサーヌ・ゲイ『飢える私 ままならない心と体』(亜紀書房、2019年)、 レイチェル・イグノトフスキー『歴史を変えた50人の女性アスリートたち』(創元社、2019年)、『世界を変えた50人の女性科学者たち』(創元社、2018年)、 ダナ・ボイド『つながりっぱなしの日常を生きる ソーシャルメディアが 若者にもたらしたもの』(草思社、2014年)など。 著書に『野中モモの「ZINE」 小さなわたしのメディアを作る』(晶文社、2020年)、『デヴィッド・ボウイ 変幻するカルト・スター』(筑摩書房、2017年)、 共編著書に『日本のZINEについて知ってることすべて 同人誌、ミニコミ、 リトルプレス 自主制作出版史1960 ~ 2010年代』(誠文堂新光社、2017年)がある。
-
歴史を変えた50人の女性アスリートたち|レイチェル・イグノトフスキー, 野中 モモ(翻訳)
¥1,980
創元社 2019年 ハードカバー 128ページ A4変型判 縦235mm 横198mm 厚さ17mm - 内容紹介 - 「女は弱い!」としめ出されていた近代スポーツ界に飛びこみ、圧倒的な能力と粘り強さで記録と歴史をぬりかえてきた女性アスリート50人にスポットをあて、その驚くべき成績やバイタリティあふれる人生をチャーミングなイラストとともに紹介します。 女性には不可能だと言われてきたことの誤りを、鍛えぬいた身体と不屈の精神で堂々と証明したヒロインたちの姿は、若きアスリートのみならず、自分の限界をこえたいと願うすべての人を励ましてくれます。 <本書の見どころ> ●近代スポーツの歴史を切り拓いてきた、パワフルな女性アスリート50人(+α)を紹介 ●競技成績からプライベートな一面まで、エネルギーに満ちた女性アスリートたちの人生の物語を簡潔に学べます ●若手女性イラストレーターによるおしゃれなイラストが満載。ビジュアルブックとしても楽しめます ●歴史年表や筋肉解剖学、男女間の報酬とメディア格差統計など、図解コラムも充実 ●本文のおもな漢字にルビつき。未来のアスリートを応援します ●日本版だけの描きおろしイラストも多数収録! <こんな人が載っています> ガートルード・エダール(長距離水泳選手)、福田敬子 (柔道家)、トニ・ストーン(野球選手)、田部井淳子 (登山家)、ジョディ・コンラッド (バスケットボール監督)、ビリー・ジーン・キング (テニス選手)、フロー・ハイマン (バレーボール選手)、スーザン・ブッチャー (犬ぞり操縦者)、ナディア・コマネチ (体操選手)、アンジャリ・バグワット (射撃選手)、シャンタル・プチクレール (車いす陸上競技選手) 、キム・スニョン (アーチェリー選手) 、クリスティ・ヤマグチ (フィギュアスケート選手)、ミア・ハム (サッカー選手)、セリーナ・ウィリアムズ (テニス選手)、ニコラ・アダムズ (ボクサー)、マリアナ・パホン (BMX自転車選手)、シモーネ・バイルズ (体操選手)など… 目次 False - 著者プロフィール - レイチェル・イグノトフスキー(Rachel Ignotofsky) アメリカ・ニュージャージー出身、カンザス在住の若手女性イラストレーター。2011年にアート・グラフィックデザインの専門学校タイラー校を優秀な成績で卒業し、その後は特に歴史や科学、また教育、ジェンダーなどをテーマにしたイラストを多く書いている。著書に「Women in Science」「I love Science」「PLANET EARTH」(いずれも10 Speed Press)がある。 野中モモ(のなか・もも) 翻訳者・ライター。訳書にロクサーヌ・ゲイ『飢える私 ままならない心と体』(亜紀書房、2019年)、レイチェル・イグノトフスキー『世界を変えた50人の女性科学者たち』(創元社、2018年)、ダナ・ボイド『つながりっぱなしの日常を生きる ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの』(草思社、2014年)など。著書に『デヴィッド・ボウイ 変幻するカルト・スター』(筑摩書房、2017年)、共編著書に『日本のZINEについて知ってることすべて 同人誌、ミニコミ、リトルプレス 自主制作出版史1960 ~ 2010年代』(誠文堂新光社、2017年)がある。
-
いいから、あなたの話をしなよ 女として生きていくことの26の物語 | チョ・ナムジュほか25人
¥1,980
アジュマブックス 2022年 ソフトカバー 312ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ20mm - 内容紹介 - 20代から60代までのフェミニストによる珠玉のエッセー集!江南でのフェミサイド事件をきっかけにフェミニストたちの声が社会を大きく動かした韓国。しかし女性の日常は具体的に何がどれだけ本当に変わったのか?フェミニスト宣言をしたばかりの者たちは往年のお姉さんたちが今どうしているのか知りたいと言い、一方お姉さんたちは若い世代がどんな過程を経てそんなにも勇敢に激烈に最後までくじけずにフェミニズムを叫び続けているのかを知りたがっていた。 『ハヨンガ』著者チョン・ミギョン、『82年生まれ、キム・ジヨン』著者チョ・ナムジュなど26人が寄稿する得がたい一冊! 目次 プロローグ 大韓民国のフェミニスト、何を、なぜ告白するのか 2017年、26人のフェミニストから告白を受け取ったチョ=パク・ソニョン 第1章「知らない男に後をつけられた」 キム・ソヨン 「京郷新聞」記者。 生き残ったのではなく、生きることを望んだ女性。(潜在的)フェミニストの頼もしい友軍になりたい人。 被害意識ではない、「被害の経験」だ ようやく警察官が真面目な表情になった 被害者意識のせいでフェミニストになった? チェ・ナロ メガリアン、「雑誌サシム」エディター。 ものを書くフェミニスト。 さらに汚くなっている最中です 「メガル*雑誌」を作っている女だと、今なら言える 「メガリアン・フェミニスト」というアイデンティティ 私たち、もっと汚くなれるよ 恐れは勇気となって帰って来た アン・ヒョンジン フェミニズム・アクショングループ「江南駅10番出口」、 ゼロ-ゼロフェミニストたちのネットワーク「汎フェミネットワーク」、「女性環境連帯」活動家。 恐れは勇気となって帰って来た 江南駅殺人事件と15歳の記憶、初めてではないオーバーラップ 頭の中のフェミニズムが行動に、告白に 告白が作り出したフェミニズム・アクション イ・セア 2014年から「女性新聞」の記者として働いている。大学卒業後いくつもの仕事をし、いくつもの壁にぶつかったが、全てが「女性」というキーワードで繋がっていることに気づいてフェミニズムを勉強している。思慮深い猫・ラムと暮らしている。 隠し撮りされたのに、なぜ愛だと言ったのか 「男だもん、しかたないよ」 語れなかったことを語る力、フェミニズム ホン・スンヒ 文章を書き、絵を描くパフォーマンスをしています。主に私の体が記憶していることを記録します。「ハンギョレ」、女性主義ジャーナル「イルダ」にコラムを連載。 クリトリスの感受性 知っても分かち合えなかったオルガスムの経験 「男の子って毎日自慰してるんだってさ」 それを感じてしまった後に知ったこと 向き合い、さすり、撫で合うセックス。クリトリスの感受性 ハ・イェナ DSOチームの代表として働いている。力不足のため、お荷物にならないようあがいている。いつか誰かの力となり、助けとなれる人間になりたい。家と外を行き来して、フェミニズム運動をしている。 ソラネットをアウトさせた 2016年10月、デジタル性犯罪追放運動のため家を出た メガリアンから「デジタル性犯罪アウト」代表になるまで… 私は一体、なぜ? 例のうんざりする、「一部」という言葉 「雑巾」に始まり「レイプ」に至る女性嫌悪の温床、ソラネットをアウトさせる! 第2章「もう常識女ではいられない」 クク・チヘ フェイスブックを基盤に活動しているネットフェミ。ウォーマド系と呼ばれ急進女性主義政治学を実践している。 メガリア、ウォーマド、そしてヘルフェミ ウォーマドには男性がおらず、有名人がおらず、沈黙がない ウォーマド学習効果、態度ではなく内容が問題だ! ホン・スンウン 歌を歌い、文章を書き、絵を描く人。女性嫌悪社会で育つうちに体に深く染みついた自己否定感を克服するため、逃げ隠れせず言葉を発する練習をしているところ。著書に『あなたがずっと不愉快なら、結構なことです』があり、女性主義ジャーナル「イルダ」、「女性新聞」に記事を連載中。 ものを言い続けます もう黙ってない それぞれの監獄 個人的な言葉を政治的に連結する 騒々しい革命のために、ものを言い続けます タルリ 仕事と遊びの間をゆったり行き来しながらも智異山(チリサン)女性主義文化団体「文化企画 月」運営者(?)フェミニスト・タロット・リーダーという職業にしてアイデンティティを作った。サバイバーであることを超え、生きる喜びの舞を探し求める今の時間を楽しんでいる。 私はあなた。あなたは私たち。 大韓民国に生まれて、フェミニストにならずにいられる? 独身であれと教えた母、一人でも大丈夫 性売買の現場、「お姉さん」たち 言葉で囲いと囲いを結びつける「チグルス」の向こう側の生を、ともに想像する チョ・ナムジュ 小説『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者。20代でテレビ時事教養番組の台本を書き、30代で子どもを育て、40代では一生懸命小説を書きたい。 娘、母、フェミニスト そうしているうちに、全てが当たり前になった 発表できもしない小説を、こつこつと 戦わないわけにいかなくなった パラン ひょんなことからフェミニズムと出会い、ひょんなことから女性団体で活動している。フェミニズムの実践とは何か、今日も悩んでいる活動家。ひょんなことから出会ったフェミニズムだが、それが偶然なのか必然なのか知りたいフェミニスト。 いいから、あなたの話をしなよ 第3章「黙っているのはもうやめた」 チョン=パク・ミギョン 40代初めまで十二の職業を転々とした。そのうち最も輝かしい履歴はもちろん「イフ」編集長だった。人生がうっすら退屈になっていたある日、とある昔の女が私の元を訪れたことから小説『大雨』を書き、その年小説家として登壇した。 今は小説家として生きており、残りの人生もずっとそうしてゆきたい。生きるのに理由はないが、意味までないとは思わない。素朴すぎて過剰になりがちなその意味を見失わないよう努めながら、気立のよい夫と、その百倍気立のよい動物たちと家族として暮らしている。 私はフェミニスト・ヒンク族です 自然妊娠のための努力が始まった 新劇に浸らない進撃のフェミニズム ピョン・ギョンミ 自称・他称ともに「西大門の美室(ミシル)」。パチパチ弾ける好奇心いっぱいで、お節介で、時にボーイッシュでタフで、時にジャズとカクテル、ロマンチックなものを好んで、テレビを見ながらよく涙を流すロマンチックな感性の持ち主です。 一人だった私を支えてくれる人々の間で 2012年、人生のターニングポイントとなった瞬間 2012年以前 2011年「ノモソ」と出会う そして2012年がやってきた 今、ここ、2017年。 チョ=パク・ソニョン 「イフ」ポッドキャストを2年間続けており、これからも続ける予定。牡羊座、エニアグラム・タイプ2の「人を助ける人」。それゆえせっかちな助力者。せっかちでずぼらだが人を助けることは好き、心意気はよいのだが結果がときどきいまいちなのが惜しい。それでも性格は変わらず結局何でもやってしまわなければ気がすまない。それが長所にしてブラックホール。 膳をひっくり返したやつが整え直すのだ! 整えられた膳をひっくり返した瞬間 道に迷った イフという膳、私がひっくり返したとしよう。ひっくり返したやつが整え直すのだ! パク・チア ソウル女性会・性平等教育センター長。19歳で出会ったかっこいい先輩たちがいわゆる運動圏の人たちで、20歳から本格的にその道に入って行った。進歩派雑誌社記者、市民団体幹部、進歩政党職員、女性団体常勤等、さまざまな仕事をしたが結局はずっと同じ場所に立っていた。講義で生計を立て、講義以外にいくつもの仕事をする忙しい日常を楽しんでいる。これが運動圏に生きる人間の最大の喜びと言うべきか、善良な人々に囲まれて暮らしている。 運動圏フェミニストの夢、そして勝利 今のフェミニストは何が従来どおりで、何が新しいのか ところで「私たち」とは誰だろう 告白その1、私は「圏虫フェミ」である 告白その2、私は正義党で活動している 告白その3、私は女性運動の勝利を夢見ている キム・ヨンラン どんな本でも売って差し上げる伝説のブック・マーケター。1997年、24歳でイフと出会い、ユ・スギョルと出会った。その時ユ先生は私の手帳にこう書いてくださった。「イフの宝、キム・ヨンラン」That’s all! これ以上付け加える必要はない。 イフ・マーケターによる、羽毛のように軽い告白 チョン・ヒョンギョン 募金ノウハウを学んでフェミニズム運動界を潤沢に(?)してやろうと「美しい財団」に入ったが、資金調達法に精通することもできず、利他主義と市民気質を一生の業として背負いながら生きている。それでも肉体と精神がフェミニズムに準拠しているのは相変わらずだ。 毎日、フェミニズムを目撃している 14年間で女が生きる世界は変わったか? 私は? イ・ジノク 社団法人「ジェンダー政治研究所 女勢連」代表を務めており、2人の子どもと多文化家庭を持っている。揺れ動くフェミニズム、しぶといフェミニスト Oscillating feminism, Resilient feminist 26歳の羅針盤、イフ 私のフェミニズムの原型、分断体制で私を育てた女たち フェミニストと政治学者の境界で 倒れては起き上がりを繰り返す、しぶといフェミニストとして生きること 第4章「フェミニズム・コンプレックスがあった」 パク・ミラ 20年前にはフェミニスト・ジャーナル「イフ」の初代編集長。10年前からは瞑想や癒しのための作文を指導し、相談を受けて暮らしている。読者たちが気になっていると思うので付け加えると、あれほど不和になったイフの旧友たちとは、以前と同じでいて違う姿で今もともにいる。私たちの美徳は、いがみ合いながらも最後まで互いを見放さないことだ。そして苦しみながらも葛藤の本質に戻って直視したことだ。あの恐ろしいイフの女たちが今の私を作ってくれた。 私たちはどうしてこんなにケンカしたのか 怯える自分を見るのが一番怖い 私たちはしょっちゅう誤解し、すぐ攻撃的になる 嫌悪という感情の別の姿 クォン・ヒョンナン 自分も世界も人間も一番美しかった時代にフェミニスト・ジャーナル「イフ」の3代目編集長となった。以降波に乗って揺れ、浮き沈みが激しかった。 生まれつきの方向音痴だが、行くべき道を見失ったと思ってことはない。 歩いて行った道はどれもよかった。妙に悲しく愚かな旅行エッセイ『トラベルテラピー』を出してから、外国人のための韓国語教師となり、生存に必要な最低限の韓国語でも純文学が書かれうることを目撃した。「ゲーム・オブ・スローンズ」のアリアが目指すNo Oneの世界を待ちながら修行している。 女に文学を教えてくれる、ですって? 詩のいらない、美しい国で 詩人の代わりにナチュラルボーン・フェミニストになった 文壇内の男性作家たちの性暴力、その低劣な教え チェ・ミラン アート・ワークショップ・リーダー。フェミニスト・ジャーナル「イフ」創刊からアート・ディレクターとして仕事をしていたが、フランスに渡ってパリ8大学女性学科で現代女性美術を学び、博士課程を修了した。 ハサミリチュアル、私は自由を着る ハサミリチュアル 洋服だんす、欲望の年代記 empowering へその緒を切る キム・ミギョン 27年間育って学んで、27年間仕事をし、あとの27年間ほどは画家として生きようと決めた。54歳になった2014年、専業画家宣言をした。ソウル景福宮の隣、西村(ソチョン)の屋上と通りで町の風景をペンで描き、食べて暮らしている。「西村屋上画家」とも呼ばれる。『ブルックリン午後2時』(2010年)、『西村午後4時』(2015年)という本を出し、展示会「西村午後4時」(2015年)と「西村の花畑」(2015年)を開いた。自分を「生活の中でフェミニズムをそっと実践して生きる女」だと思っている。 絵でフェミニズムの自由さを表現できる日を夢見ている。 フェミニズムは、我が人生の羅針盤 フェミニストとして、フェミニストの母に聞きたいことは? お母さんはどうしてフェミニズムに関心を持ったの? 母親として自分のことを話すなら ファン=オ・グミ 25歳で「女性新聞」の記者として女性主義メディアの一員となってから、フェミニスト・ジャーナル「イフ」と「女性新聞」で編集長として働いた。以降6年以上国会で補佐官として仕事をし、国家システムを把握する貴重な経験を積んだ。 2011年9月、ストーリーテリング・コンテンツとキャラクターを開発する「マイ・ストーリー・ドール」を設立。全国自治体を顧客にストーリーテリング・プロジェクトを進行しながら、都市ブランディング、都市マーケティング、観光活性化案を開発している。 ひょんなことからフェミニスト 1990年代、地方大女子学生にとっての就職という高い壁 このお姉さんたちが私の人生に入ってきそうだという、感覚的な感覚! 骨の髄までフェミニズムを刻み込んでこそ「骨フェミ」だ 第5章「狂女とは、時間旅行をする人のことだ」 ユ・ジヒョン 詩集『月の歴史』作者、詩人 美しき女性主義者として生きるのが幸福だ! 平凡なことが自然なこととは限らない こんなにも美しく賢く優しい女性が、この世に二人といるだろうか 利己的な若いフェミニスト妻? 家父長制に告ぐ コ=ウン・グァンスン 韓方医。平和の母の会、東学実践市民行動代表。子どものころから従順だったそうで、トルリム字(一族の世代ごとに共通して名前につける字)「グァン」に「スン(順)」を付けられた。無口で静かだったため子ども時代のあだ名は「ご隠居」、しかし人一倍の正義感のため戦っては逃げられずに戦って戦ってまた戦って深みにはまり、気づけば還暦を越えていた。朝鮮半島統一をこの目で見るためには、もっと戦って深みにはまらなくちゃならないだろうか。 62歳、私の人生のフェミニズム 学生運動から女性運動へ 両親姓併記と戸主制廃止 女性東学ドキュメンタリー小説13巻と平和運動 武器のない世界、平和の母と東学 ユ・スギョル 過ぎたことだから言うのだが、7年以上闘病生活を送っていた。薬の副作用で体重が15kg増えて、久しぶりに会った人が私を見分けられないこともあった。 近頃は気持ちも安定し、健康も取り戻した。今では10余年前の今ごろ病気になってよかったとさえ思う。私はあのとき立ち止まらなくてはならなかった。振り返ってみれば、私は暴走機関車のように生きていた。病気にならず走り続けていたらどこでパンクしていたか。人生とはそういうものだ。立ち戻って鏡の前でお姉さんのように、いやおばあさんのように生きてゆきたい。 やつらが私を狂わせ、母の再婚が私をフェミニストにした 労組の太母、妖女、一介の女子社員… フェミニスト殺しの霊でも憑いてんのか? 5歳の子どもに戻る退行現象 9年間の秘密 訳者あとがき 大島史子 解説 北原みのり 年表 前書きなど 大韓民国のフェミニスト、何を、なぜ告白するのか 1997年に創刊したフェミニスト・ジャーナル「イフ」は、2006年に終刊した。もはやフェミニズムの熱は冷め、現場に残されたフェミニストたちはただ押し寄せる業務と薄給に耐えるだけの歳月を迎えた。それからさらに10年が経った。2015年MERSギャラリー掲示板の「ミラーリング」に始まるメガリアの誕生、そして2016年4月の江南駅殺人事件をきっかけに、2017年にはオンラインでも、テレビでも、広場でも、書店でも、商店でもたやすく「フェミニズム」と「フェミニスト」に出会えるようになり、フェミニズムの再燃とうごめきが全身で感じられるほどだった。しかし大韓民国女性の日常は具体的に何が、どれだけ……本当に、変わったのだろうか? ある者は20年前よりも、あるいは10年前よりも今の大韓民国のほうが女性たちに対して残酷だと言い、その一方で、女たちはあまりに多くの既得権を得ているのに、さらに多くの権利を奪い取ろうと欲を出している、と批判する者もいる。相変わらず「フェミニズム」についてとなると評価が極端に走るんだなあ……そんな共感が広がっていく中で2017年を迎えた。 2017年は、フェミニストたちにとって2015年よりもさらに複雑で、2016年よりもさらに熾烈な年になったようだ。多くのフェミニストたちが息を潜めなから展開し続けていた議論の多様性のために複雑となり、もはや後退しようのない世界の変化を目の当たりにしたために熾烈にならざるを得なかったのだ。そうだ。実のところ私たちの周辺には、思っていたより多くのフェミニストたちが生きていた。あのたくさんのフェミニストたちはみんなどこへ行ってしまったのだろうと思ったら、私たちのそばでちゃんと生きていたのだ。彼らはいったいどうやって逆境を生き抜いていったのだろう? それが知りたい。フェミニスト宣言をしたばかりの者たちは往年の「どぎつい」お姉さんたちが今どうしているのか知りたいと言い、そのお姉さんたちは若い世代がどんな過程を経てそんなにも勇敢に激烈に、最後までくじけずにフェミニズムを叫び続けているのかを知りたがっていた。 この本はそんな好奇心から作られた。心細さを吹っ飛ばすために系譜を語り、賑やかな連帯を夢見る今のフェミニストたちが各自率直に物語れるよう、聴くことができるよう願った。 大韓民国では世代別の経験がはっきりと異なる。20代から60代までのフェミニストたち全世代の経験と物語を盛り込んで、大韓民国フェミニストの地形図を描き出すために執筆者を選んでいった。フェミニストたちの告白に加わろうと積極的に意思表示をし、何度も原稿を直す手間を惜しまず、古傷をえぐることにも自ら意味を見出せる執筆者たちだった。もちろん大いに議論の余地がある告白を残した執筆者もいるだろうし、同意しがたいフェミニズムを実践している者たちもいるだろう。かれらの人生経験について共感すらできない部分もあるかもしれない。 それでも価値があるはずだ。女性とはひっくるめられた単一の主体ではないし、フェミニズムの理想郷は一つだけではない。その多様性を見てほしい。その多様性に戸惑ってほしい。何よりその多様性の共存について悩んでみてほしい。 フェミニズムは常に質問を投げかけ、答えを与えない。その開かれた答えに向かって一歩を踏み出せる勇気を持った者たちがフェミニストであり、特に大韓民国という激動の時間と空間を生きる女性たちの勇気には一層偉大な価値があるはずだ。その偉大な勇気と、わずかにして強大な価値に共感する本を作りたかった。 - 著者プロフィール - チョ・ナムジュ 조남주 小説『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者。20代でテレビ時事教養番組の台本を書き、30代で子どもを育て、40代では一生懸命小説を書きたい。 チェ・ナロ (チェ ナロ) (著) メガリアン、「雑誌サシム」エディター。ものを書くフェミニスト。 アン・ヒョンジュン (アン ヒョンジュン) (著) フェミニズム・アクショングループ「江南駅10番出口」、ゼロ-ゼロフェミニストたちのネットワーク「汎フェミネットワーク」、「女性環境連帯」活動家。 イ・セア (イ セア) (著) 2014年から「女性新聞」の記者として働いている。大学卒業後いくつもの仕事をし、いくつもの壁にぶつかったが、全てが「女性」というキーワードで繋がっていることに気づいてフェミニズムを勉強している。思慮深い猫・ラムと暮らしている。 ホン・スンヒ (ホン スンヒ) (著) 文章を書き、絵を描くパフォーマンスをしている。主に私の体が記憶していることを記録。「ハンギョレ」、女性主義ジャーナル「イルダ」にコラムを連載。 ハ・イェナ (ハ イェナ) (著) DSOチームの代表として働いている。力不足のため、お荷物にならないようあがいている。いつか誰かの力となり、助けとなれる人間になりたい。家と外を行き来して、フェミニズム運動をしている。 クク・チヘ (クク チヘ) (著) フェイスブックを基盤に活動しているネットフェミ。ウォーマド系と呼ばれ急進女性主義政治学を実践している。 ホン・スンウン (ホン スンウン) (著) 歌を歌い、文章を書き、絵を描く人。女性嫌悪社会で育つうちに体に深く染みついた自己否定感を克服するため、逃げ隠れせず言葉を発する練習をしているところ。著書に『あなたがずっと不愉快なら、結構なことです』があり、女性主義ジャーナル「イルダ」、「女性新聞」に記事を連載中。 タルリ (タルリ) (著) 仕事と遊びの間をゆったり行き来しながら、智異山(チリサン)女性主義文化団体「文化企画 月」運営者(?)。フェミニスト・タロット・リーダーという職業にしてアイデンティティを作った。サバイバーであることを超え、生きる喜びの舞を探し求める今の時間を楽しんでいる。 キム・ソヨン (キム ソヨン) (著) 「京郷新聞」記者。生き残ったのではなく、生きることを望んだ女性。(潜在的)フェミニストの頼もしい友軍になりたい人。 パラン (パラン) (著) ひょんなことからフェミニズムと出会い、ひょんなことから女性団体で活動している。フェミニズムの実践とは何か、今日も悩んでいる活動家。ひょんなことから出会ったフェミニズムだが、それが偶然なのか必然なのか知りたいフェミニスト。 チョ=パク・ミギョン (チョパク ミギョン) (著) 40代初めまで十二の職業を転々とした。そのうち最も輝かしい履歴はもちろん「イフ」編集長だった。人生がうっすら退屈になっていたある日、とある昔の女が私の元を訪れたことから小説『大雨』を書き、その年小説家として登壇した。今は小説家として生きており、残りの人生もずっとそうしてゆきたい。生きるのに理由はないが、意味までないとは思わない。 素朴すぎて過剰になりがちなその意味を見失わないよう努めながら、気立のよい夫と、その百倍気立のよい動物たちと家族として暮らしている。 ピョン・ギョンミ (ピョン ギョンミ) (著) 自称・他称ともに「西大門の美室(ミシル)」。パチパチ弾ける好奇心いっぱいで、お節介で、時にボーイッシュでタフで、時にジャズとカクテル、ロマンチックなものを好んで、テレビを見ながらよく涙を流すロマンチックな感性の持ち主です。 チョ=パク・ソニョン (チョパク ソニョン) (著) 「イフ」ポッドキャストを2年間続けておりこれからも続ける予定。牡羊座、エニアグラム・タイプ2の「人を助ける人」。それゆえせっかちな助力者だ。せっかちでずぼらだが人を助けることは好きなので、心意気はよいのだが結果が時々いまいちなのが惜しい。それでも性格は変わらず結局何でもやってしまわなければ気がすまない。それが長所にしてブラックホール。 パク・チア (パク チア) (著/文) ソウル女性会・性平等教育センター長。19歳で出会ったかっこいい先輩たちがいわゆる運動圏の人たちで、20歳から本格的にその道に入って行った。進歩派雑誌社記者、市民団体幹部、進歩政党職員、女性団体常勤等、さまざまな仕事をしたが結局はずっと同じ場所に立っていた。講義で生計を立て、講義以外にいくつもの仕事をする忙しい日常を楽しんでいる。 これが運動圏に生きる人間の最大の喜びと言うべきか、善良な人々に囲まれて暮らしている。 キム・ヨンラン (キム ヨンラン) (著) どんな本でも売って差し上げる伝説のブック・マーケター。1997年、24歳でイフと出合い、ユ・スギョルと出会った。その時ユ先生は私の手帳にこう書いてくださった。「イフの宝、キム・ヨンラン」That’s all! これ以上付け加える必要はない。 チョン・ヒギョン (チョン ヒギョン) (著) 募金ノウハウを学んでフェミニズム運動界を潤沢に(?)してやろうと「美しい財団」に入ったが、資金調達法に精通することもできず、利他主義と市民気質を一生の業として背負いながら生きている。それでも肉体と精神がフェミニズムに準拠しているのは相変わらずだ。 イ・ジノク (イ ジノク) (著) 社団法人「ジェンダー政治研究所 女勢連」代表を務めており、2人の子どもと多文化家庭を持っている。 パク・ミラ (パク ミラ) (著) 20年前にはフェミニスト・ジャーナル「イフ」の初代編集長。10年前からは瞑想や癒しのための作文を指導し、相談を受けて暮らしている。読者たちが気になっていると思うので付け加えると、あれほど不和になったイフの旧友たちとは、以前と同じでいて違う姿で今もともにいる。私たちの美徳は、いがみ合いながらも最後まで互いを見放さないことだ。そして苦しみながらも葛藤の本質に戻って直視したことだ。あの恐ろしいイフの女たちが今の私を作ってくれた。 クォン・ヒョンナン (クォン ヒョンナン) (著) 自分も世界も人間も一番美しかった時代にフェミニスト・ジャーナル「イフ」の3代目編集長となった。以降波に乗って揺れ、浮き沈みが激しかった。生まれつきの方向音痴だが、行くべき道を見失ったと思ってことはない。歩いて行った道はどれもよかった。妙に悲しく愚かな旅行エッセイ『トラベルテラピー』を出してから、外国人のための韓国語教師となり、生存に必要な最低限の韓国語でも純文学が書かれうることを目撃した。「ゲーム・オブ・スローンズ」のアリアが目指すNo Oneの世界を待ちながら修行している。 チェ・ミラン (チェ ミラン) (著) アート・ワークショップ・リーダー。 フェミニスト・ジャーナル「イフ」創刊からアート・ディレクターとして仕事をしていたが、フランスに渡ってパリ8大学女性学科で現代女性美術を学び、博士課程を修了した。 キム・ミギョン (キム ミギョン) (著) 27年間育って学んで、27年間仕事をし、あとの27年間ほどは画家として生きようと決めた。54歳になった2014年、専業画家宣言をした。ソウル景福宮の隣、西村(ソチョン)の屋上と通りで町の風景をペンで描き、食べて暮らしている。「西村屋上画家」とも呼ばれる。『ブルックリン午後2時』(2010年)、『西村午後4時』(2015年)という本を出し、展示会「西村午後4時」(2015年)と「西村の花畑」(2015年)を開いた。自分を「生活の中でフェミニズムをそっと実践して生きる女」だと思っている。絵でフェミニズムの自由さを表現できる日を夢見ている。 ファン=オ・グミ (ファンオ グミ) (著) 25歳で「女性新聞」の記者として女性主義メディアの一員となってから、フェミニスト・ジャーナル「イフ」と「女性新聞」で編集長として働いた。以降6年以上国会で補佐官として仕事をし、国家システムを把握する貴重な経験を積んだ。2011年9月、ストーリーテリング・コンテンツとキャラクターを開発する「マイ・ストーリー・ドール」を設立。全国自治体を顧客にストーリーテリング・プロジェクトを進行しながら、都市ブランディング、都市マーケティング、観光活性化案を開発している。 ユ・ジヒョン (ユ ジヒョン) (著) 詩集『月の歴史』作者、詩人 コ=ウン・グァンスン (コウン グァンスン) (著) 韓方医。平和の母の会、東学実践市民行動代表。子どものころから従順だったそうで、トルリム字(一族の世代ごとに共通して名前につける字)「グァン」に「スン(順)」を付けられた。無口で静かだったため子ども時代のあだ名は「ご隠居」、しかし人一倍の正義感のため戦っては逃げられずに戦って戦ってまた戦って深みにはまり、気づけば還暦を越えていた。朝鮮半島統一をこの目で見るためには、もっと戦って深みにはまらなくちゃならないだろうか。 ユ・スギョル (ユ スギョル) (著) 過ぎたことだから言うのだが、7年以上闘病生活を送っていた。薬の副作用で体重が15kg増えて、久しぶりに会った人が私を見分けられないこともあった。近頃は気持ちも安定し、健康も取り戻した。今では10余年前の今ごろ病気になってよかったとさえ思う。 私はあのとき立ち止まらなくてはならなかった。振り返ってみれば、私は暴走機関車のように生きていた。病気にならず走り続けていたらどこでパンクしていたか。 人生とはそういうものだ。立ち戻って鏡の前でお姉さんのように、いやおばあさんのように生きてゆきたい。 大島 史子 (オオシマ フミコ) (訳) 立教大学法学部卒業。イラストレーター、漫画家。ラブピースクラブコラムサイトでフェミニズムエッセイ漫画「主人なんていませんッ!」を連載。翻訳書に『ハヨンガ」『根のないフェミニズム』(アジュマブックス刊)がある。 李 美淑 (イ ミスク) (監修) 立教大学グローバル・リベラルアーツ・プログラム運営センター・助教。専門はメディア・コミュニケーション研究。国境を越える市民連帯、社会運動とメディア、ジェンダーとメディア、ジャーナリズムについて研究。 北原 みのり (キタハラ ミノリ) (解説) 作家、女性のためのプレジャーグッズショップ「ラブピースクラブ」を運営するアジュマ代表。2021年アジュマブックススタート。希望のたね基金理事。デジタル性暴力などの相談窓口NPO法人ぱっぷす副理事長。著書に『日本のフェミニズム』(河出書房新社刊)など多数。
-
学びのきほん フェミニズムがひらいた道 | 上野千鶴子
¥737
NHK出版 2022年 ソフトカバー 124ページ A5判 - 内容紹介 - その歴史と意義が2時間でわかる、著者初の総合的な入門書。 学校で習った「男女雇用機会均等法」や「男女共同参画社会基本法」。これらは、真の男女平等を実現するものではなかった? フェミニズムはなぜ生まれ、何を変え、何を変えられなかったのか。その流れを「四つの波」に分けてコンパクトに解説する。女性参政権、性別役割の解放、#MeToo……。過去を知り、自分の経験を再定義する言葉を手に入れるために。日本におけるフェミニズムを切り開き続けてきた第一人者が、多くの経験知とともにフェミニズムがたどった道のりを語る。 - 著者プロフィール - 上野 千鶴子 (ウエノ チヅコ) (著/文) 1948年、富山県生まれ。社会学者、東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。専門学校、短大、大学、大学院、社会人教育などの高等教育機関で、40年間教育と研究に従事。主な著書に『近代家族の成立と終焉』『家父長制と資本主義』(岩波現代文庫)、『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『ひとりの午後に』(NHK出版/文春文庫)、『在宅ひとり死のススメ』(文春新書)、『おひとりさまの最期』『女ぎらい』(朝日文庫)、『ケアの社会学』(太田出版)など多数。
-
男らしさの終焉|グレイソン・ペリー, 小磯洋光(翻訳)
¥2,200
フィルムアート社 2019年 ソフトカバー 208ページ 四六判 - 内容紹介 - どうしたら窮屈な“男らしさ”のスーツを脱げるのか? 男性はどこへ向かうべきなのか? 男性が変われば世界全体がより良い場所になる ──ターナー賞アーティストであり異性装(トランスヴェスタイト)のクレアとしても知られるグレイソン・ペリーが、新しい時代のジェンダーとしなやかな男性のあり方を模索する。 英国生まれのアーティストであり、TVメディアでパーソナリティを務めるグレイソン・ペリーは、12歳の時に自分の男性性に疑問を抱き、やがて女性の服を着ることに魅力を感じるようになりました。 暴力的な継父など周囲の男性たちやジェンダーの縛りのせいで苦しんだ経験をもつグレイソン・ペリーは、男性の最大の敵は、男性自身だといいます。 男性性の被害者は女性だけではありません。 男性自身もまたジェンダーを演じることに駆り立てられている犠牲者といえます。 大抵の男性はいい人で道理をわきまえています。 しかし、乱暴な人間、レイピスト、犯罪者、殺人者、脱税者、汚職政治家、セックス中毒、ディナーで退屈な話をするのは、なぜ男性ばかりなのでしょうか。 世界は絶えず変化しています。男性にも変化が必要です。 マッチョで時代遅れの男らしさと距離を置き、それとは別の男らしさを受け入れることで、世界にポジティブな変化をもららすことができるのです。 本書では主に男性性が支配する四つのエリアについて言及しています。 ・権力(男性が世界を支配する様子) ・パフォーマンス(男性の服装と振る舞い) ・暴力(男性が犯罪や暴力に手を出す様子) ・感情(男性の感情) グレイソン・ペリーは、人種、階級、性別、セクシュアリティ、経済学、人類学、社会学、および心理学など、さまざまな分野を横断しながら、冷静な(時には風刺を交えて)分析をしています。そして、本書の最後に、男性向けの未来のマニフェストを提示しています。 《男性の権利》 傷ついていい権利 弱くなる権利 間違える権利 直感で動く権利 わからないと言える権利 気まぐれでいい権利 柔軟でいる権利 これらを恥ずかしがらないでいい権利 社会で規範とされている男性像、男らしさの固定観念から自由になるために。 世界を少し違った形で見るために。 これからのジェンダー論、ついに刊行。 目次 序:壊れてないなら直すなよ 1章:魚に水のことを聞く 2章:男性省 3章:ノスタルジックマン 4章:客観主義という殻 終わりに:男たちよ、自分の権利のために腰をおろせ - 著者プロフィール - グレイソン・ペリー (グレイソン ペリー) (著/文) 960年イギリス生まれ、ロンドン在住のアーティスト。現代社会におけるアイデンティティやジェンダー、社会的地位、セクシャリティ、宗教など、普遍的に人間的な主題を風刺的に扱い、陶芸作品やタペストリー、彫刻、版画といった伝統的なメディアを使って物語絵的に表現している。2003年にはターナー賞を受賞。日本では2007年に金沢21世紀美術館で個展を開催。2011年の大英博物館、2017年のサーペンタイン・ギャラリーなど個展も多数開催しているほか、作品制作のドキュメンタリーや社会問題を扱ったテレビ番組が英国アカデミー賞を受賞している。著書に『Playing to the Gallery』(Penguin, 2014)。クレアという異性装のキャラクターとしても知られる。 小磯洋光 (コイソ ヒロミツ) (翻訳) 1979年東京都生まれ。翻訳家。イースト・アングリア大学大学院で文芸翻訳を学ぶ。英語圏の文学作品の翻訳のほか、日本文学の翻訳にも携わる。翻訳書にテジュ・コール『オープン・シティ』(新潮社)。「かみのたね」にて「With or Without Dictionaries 日本語を翻訳する人たち」を連載中。
-
私のいない部屋|レベッカ・ソルニット, 東辻 賢治郎(翻訳)
¥2,640
左右社 2021年 ハードカバー 304ページ B6変型判 - 内容紹介 - "マンスプレイニング"を世に広めた新時代のフェミニズムを代表する作家、ソルニットの歩んだストーリー 「若い女となること。それは数え切れないほどさまざまに姿を変えて出現する自分の消滅に直面することであり、その消滅から逃避し、否認することであり、時にはそのすべてだ。」 父のDVから逃れるように家を離れ、 サンフランシスコの安アパートに見つけた自分の部屋。 女に向けられる好奇や暴力、理不尽の数々を生き延び、 四半世紀暮したその部屋でやがてソルニットは作家になった。 生々しい痛みと不安とためらい、手放さない希望を描くはじめての自叙伝。【9月末刊行】 通りすがりにつばを吐きかけてきた男。元恋人に刺されて死にかけた友人。 アパートの管理人が語ってくれた、追い立てられ続けた黒人の歴史。 歩くことの自由を知ったこと、女性が自由に歩けない理不尽への怒り。 ゲイの友人たちのファッションとおしゃべりがもつケアの優しさ。 バロウズのパーティに潜り込み、美術雑誌に書いた記事。 はじめての本をまるごと葬ろうとしてきた編集者──。 自由と抑圧が交錯するアメリカ西海岸、1981年。 拾い物の家具、ガラクタ市で見つけた年代物のソファとともに始まったのは、 女をいないも同然にあしらう男たちに抗い、自分の声を持ち、なるべき私になるまでの物語だった。 目次 鏡の中の家 Looking Glass House 霧笛とゴスペル Foghorn and Gospel 戦時下の生活 Life During Wartime 消失の技法 Disappearing Atcs 夜、自由に Freely at Night エッジの効用 Some Uses of Edges 難破船へ潜る Diving into the Wreck 声と信用と重み Audibility, Credibility, Consequence あとがき 生命線 Afterword: Lifelines 謝辞/訳者あとがき 前書きなど 私は自分の辿った道に後悔はない。しかしその始まりの頃、道がはるか遠く先に伸び、若さに許されてあらゆるものに変化することができた人生への一時代への、淡いノスタルジーを感じることはある。私が多くの選択を経て辿ってきた一本の道筋の脇には、無数の別の道があった。可能性の意味とは、かつてなったことのない数多くの存在になることができるということだ。それは時に恐しく、そうでなくとも冷静さを失わせることだ。私にそんな多くの分かれ道が訪れたのは、ミスター・ヤングのおかげであの光あふれる部屋で暮らしていた日々のことだった。(「1 鏡の中の家」より) - 著者プロフィール - レベッカ・ソルニット (レベッカ ソルニット) (著/文) 1961年生まれ。作家、歴史家、アクティヴィスト。カリフォルニアに育ち、環境問題・人権・反戦などの政治運動に参加。1988年より文筆活動を開始する。歩くことがいかに人間の思考と文化に深く根ざしているか広大な人類史を渉猟する『ウォークス 歩くことの精神史』、「マンスプレイニング」の語を広めた『説教したがる男たち』、その続篇ともいえるフェミニズム・エッセイ『わたしたちを沈黙させるいくつかの問い』のほかに、エドワード・マイブリッジ伝River of Shadows(2004、全米批評家協会賞)、旅や移動をめぐる思索『迷うことについて』、ハリケーン・カトリーナを取材したA Paradise Built in Hell(2009、邦訳『災害ユートピア』)など、環境、土地、芸術、アメリカ史など多分野に二十を越す著作がある。美術展カタログや雑誌への寄稿も多数。 東辻 賢治郎 (トウツジ ケンジロウ) (翻訳) 1978年生まれ。翻訳家、建築・都市史研究。関心領域は西欧初期近代の技術史と建築史、および地図。翻訳書にソルニット『ウォークス 歩くことの精神史』『迷うことについて』がある。
-
私は男でフェミニストです|チェ・スンボム, 金みんじょん(翻訳)
¥1,870
世界思想社 2021年 ハードカバー 196ページ 四六判 縦186mm 横130mm 厚さ15mm - 内容紹介 - 韓国の男子高校で教える著者が、学び、実践してきたフェミニズムとは? 生きるための「男フェミ」宣言。 2018年に刊行後、韓国各紙で話題になり、「幸せな朝の読書推薦図書」や「今年の青少年教養図書」にも選定された「本格男フェミ入門書」。初の邦訳。 ▶上野千鶴子さん(社会学者)推薦&解説! 「男なのに、フェミニストです」とか「男のくせにフェミニストなの?」とかいうのを聞くと、その他人ごと感にイラッとする。そうだよ、あんたのことだよ、これはあんたに宛てたメッセージだよ、と言いたくなる。 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ流に『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』というなら、フェミニストでないひとたちをどう呼ぶか? セクシスト(性差別主義者)というのだ。 セクシズムって男と女の非対称な関係のことだから、これから自由なひとはいない。このなかでは、ひとは加害者であるか被害者であるかのどちらかだ。いや、もうひとつ、忘れてた。傍観者っていうのがあった。…… 韓国から、こんな男性フェミニストの本が生まれたとは感激だ。 女にも男にも、誰にも、被害者にも加害者にも、そして傍観者にも、ならないでほしい。 (上野千鶴子「解説 『82年生まれ、キム・ジヨン』の夫、それとも息子?」より) ▶本文抜粋 三五歳の私に、ほかの男たちが尋ねる。 「男なのにフェミニストだって? 男のくせになんで女の肩を持つの?」フェミニズムを知っている人や勉強したことがある人も遠慮がちに尋ねる。「男はフェミニストとして限界があるのでは?」 はじめて出版依頼を受けたとき、私も同じようなことを言った。「私がですか? 男がフェミニズムの本なんか出せませんよ」…… 私は男子高等学校の教師である。私の職場の半径二〇〇メートル内には、すぐにでも男性ホルモンで爆発しそうな完全なる「雄」八〇〇人が生息している。教室では、悪たれ口を叩き、力自慢に余念がないが、そこに悪意はない。なぜそんな行為をするのかと聞くと「とくに理由はない」という答えがいちばん多く、以下「面白いから」「強く見えるから」の順である。一生を通して性欲がもっとも充満している時期といわれるが、何の脈絡もなく「セックス!」と叫ぶやつもいる。しごく自然な欲望だが、ああいうかたちで出てくるのは残念である。…… 男たちに提案したい。声を上げる女性を抑圧する時間で自分を振り返り、フェミニズムを勉強しよう。時代が読み取れず、淘汰されることのないようにしよう。一緒にフェミニストになろう。失うものはマンボックスで、得るものは全世界となるだろう。 (「プロローグ」より) 目次 プロローグ 男がフェミニストだって? 1章 母と息子 我が家がおかしい 貧しい家の娘の人生 フェミニズム思考のはじまり 中年女性の居場所 ほかの家もこうなのか? 母のうつ病 2章 フェミニズムを学ぶ男 善意と良心にだけ依存するのは不安だ 性暴力事件はどのようにして起こるのか いい女は天国に行くが、悪い女はどこにだって行ける 厳格に見える家父長制の卑劣な陰 男だからよくわからないんです、学ばないと 生徒と教師で出会ったが、いまでは同志 3章 先生、もしかして週末に江南駅に行ってきたんですか? 私が沈黙しなかったら なぜ女性嫌悪犯罪と言わない? 同志はいずこへ、イルベの旗だけが空を舞う 大韓民国で女性として生きるということ 男には寛大に、女には厳格に 被害者に詰め寄る韓国社会 統計で見る韓国女性の一生 男もフェミニストになれるだろうか 4章 八〇〇人の男子生徒とともに 生きるためのフェミニズム授業 「そばの花咲く頃」――性暴力を美化しているのではないか 「春香伝」――いまも昔も女性はなぐさみもの 李陸史は男性的語調、金素月は女性的語調? 『謝氏南征記』――真犯人は誰だ? 『未来を花束にして』――現在に生きず、歴史に生きよう [人間]-[男性]-[成熟]が「少女」だとは 5章 ヘイトと戦う方法 男ばかりの集団で発言すべき理由 間違って定めた的、そしてヘイトがつくりだした左右の統合 差別の歴史的淵源 男子高校でフェミニズムを伝えます 生徒たちの非難に対処する方法 同志とはどのように結集するか 有利な側より有意義な側に立つこと エピローグ 共に地獄を生き抜くために 読書案内――男フェミのためのカリキュラム 解説 『82年生まれ、キム・ジヨン』の夫、それとも息子?――上野千鶴子 訳者あとがき - 著者プロフィール - チェ・スンボム (チェ スンボム) (著/文) 1984 年生まれ。韓国北東部・江陵市の高校教師。 共著書に『フェミニスト先生が必要』『ジェンダー感受性を育てる教育』がある。 学生の頃は学校が嫌いだったが、なぜか先生になり、すでに11年目。 大学では文学と哲学を専攻し、社会科学にも強い関心を寄せた。運よく強い女性たちに囲まれた環境におかれ、フェミニズムを学ぶことができた。 現在男子高校で国語を教えているが、生徒たちとバスケをしているとき、教師としてやりがいを感じる。一緒に勉強する男子高校生を「コンデ」(偉そうに振舞う中年男性)にしないために、まわりの男性教師をフェミニズムに入門させるために、知恵をふりしぼる日々。 金 みんじょん (キム ミンジョン) (翻訳) 翻訳者、エッセイスト、韓国語講師。慶應義塾大学総合政策学部卒業。東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士課程単位取得・満期退学。 韓国語の著書に『母の東京――a little about my mother』『トッポッキごときで』、韓国語への訳書に『海を抱いて月に眠る』『太陽と乙女』など。日本語への訳書は、本作が初。
-
モヤる言葉、ヤバイ人 自尊心を削る人から心を守る「言葉の護身術」|アルテイシア
¥1,540
大和書房 2021年 ソフトカバー 256ページ 四六判 - 内容紹介- 「いい奥さんになりそうだね」「私だったら笑顔でかわすけど」 ジェンダーの押し付け・マウンティング・セクハラ・パワハラ…… 女子を困らせる「モヤる言葉」を元気よくバットでかっとばす、痛快エッセイ! 「モヤる言葉に言い返す方法」や「ヤバイ人から身を守る方法」など、言葉の護身術が詰まった一冊! 明菜返し、エジソン返し、哲学返し、猫&BL返し、ナイツ返し、ネズミ返し、 マンスプ返し、イキリオタク返し、オカルト返し、エシディシ返し、アナル返し… その他、あらゆるシチュエーションに対処する方法が満載。 弁護士の太田啓子さんとの対談「法律の護身術」も収録。 セクハラやパワハラに遭ったら?モラハラやDVを受けたら?性被害に遭ってしまったら? ネットで嫌がらせをされたら?…等、法律の知識も詰まった、 女子がサバイブするための必読書。 目次 【目次】 はじめに 1章 悪気はないかもしれないが 誉めるフリをした「モヤる言葉」 「いい奥さんになりそうだよね」押しつける人 「あなたは強いからいいよね」決めつける人 「おじさん転がすの上手いよね」ミソジニーな人 「子どもがいるようには見えない! 」見た目をジャッジする人 「優しい旦那さんだね」良妻賢母を求める人 「彼氏できた? 彼氏の影響?」モテ教を引きずる人 「幸せ太り?」ルッキズムに加担する人 「私は〇〇に偏見がないから」無意識に踏む人 2章 女子を狙うクソバイス アドバイス型「モヤる言葉」 「子どもを産めば、仕事の幅が広がるんじゃない?」子育て教の人 「夫の浮気を許すのがいい女」ケアを求める人 「私だったら笑顔でかわすけど」女王蜂になる人 「女子力磨けば結婚できるよ」マウンティングする人 「もう許してあげたら?」二次加害する人 コラム うっかりやりがちな善意ハラスメント 3章 セクハラ・パワハラのセパ両リーグ開幕! 女子を標的にする「ヤバイ人」 「君は才能があるから●●してあげるよ」立場を利用する人 「Hな話がしたいな~ナンチャッテ」勘違いする人 「きみが悪い、きみが間違ってる」モラハラする人 「妻と別れてきみと結婚したいよ」不倫する人 「ナンパされて喜ぶ女もいるだろ」ナンパする人 「セックスの相性を確かめるって大事だよ」ヤリチンな人 4章 言葉の護身術でブロックしよう! 距離をとるべき「ヤバイ人」 「最近の若い奴は甘すぎる」体育会系な人 「失礼だろう! どういうつもりだお前! 」逆ギレする人 「子宮の声を聞かなきゃダメよ」トンデモ系の人 「ポテサラぐらい作ったらどうだ」説教する人 「友達なのに聞いてくれないの?」愚痴を言う人 「冗談なのにマジギレすんなよ(笑)」イジる人 「私なんてもうおばさんだし」自虐する人 特別対談 太田啓子×アルテイシア 今、知っておきたい「法律の護身術」
-
フェミニズムに出会って長生きしたくなった。|アルテイシア
¥825
SOLD OUT
幻冬舎 2020年 文庫判 296ページ - 内容紹介- 男尊女卑がはびこる日本で女はとにかく生きづらい。入試や就活で差別され、セクハラパワハラ当たり前。そんなヘルジャパンを変えたくて、怒りのイマジナリー法螺貝を吹き始めたJJ(熟女)がここにいた! 「フェミニズムに出会って自分を取り戻せた」著者による、爆笑フェミニスト宣言の書。長年憧れだった田嶋陽子氏との感涙の特別対談も収録。
-
イラストで学ぶジェンダーのはなし みんなと自分を理解するためのガイドブック | アイリス・ゴットリーブ, 野中モモ(翻訳)
¥2,200
フィルムアート社 2021年 ソフトカバー 210ページ A5判 - 内容紹介 - ジェンダーの複雑さに向き合うために これからの時代の「当たり前」を身につけるための 新しいガイドブック! この本に出逢えて良かった。 いつかもし、私が子どもを授かれたら、 一緒に読んでみたいと思います。 ──西原さつき(俳優/ドラマ『女子的生活』出演・演技指導/映画『ミッドナイトスワン』脚本監修) 私たちは多様な人々とさまざまな知見を共有し、ともに生きる時代に立っています。 しかし実際は人種や性別などに基づく差別や偏見は無くなっておらず、いたる所で日常に悪影響をもたらしています。 本当のところ、私たちはそうした「自分とは違う」人たちのことを、そして自分自身のことをどこまで知っているのでしょうか。 本書ではクィア作家でアーティスト、そしてノンバイナリー(性別二元論に収まらないジェンダー)を自認する著者が、歴史、科学、社会学的な事象を通じつつ、実体験を交えながらジェンダーにかかわる様々なトピックについて丁寧に解説していきます。 ジェンダーをめぐる基本用語集とその解説、歴史的な出来事や事件、世界に大きな影響をもたらした人々の逸話、人間以外の動物における「性」のはなし、さらには著者自身による乳房切除手術の経験談まで。毎日のように変化を続けるジェンダーと世界との関係を学ぶために、本書は多くの方にとって最良の入り口となるはずです。 近年話題のSDGs(持続可能な開発目標)では、ジェンダー平等の実現や、人や国の不平等をなくすことが国際目標として定められています。本書にはそれを最良のかたちで実現するために、これからの時代を生きる私たちがぜったいに知っておかなければならない知識が詰まっています。 他者について学び、自分がどう生きたいかを考えるための一歩を、本書をきっかけに踏み出していただければ幸いです。 ◎主な項目 ジェンダーにまつわる用語・入門編/ジェンダー・アイデンティティ/ジェンダー・ディスフォリア(性別違和)/ジェンダー・エクスプレッション(ジェンダー表現)/ジェンダーアイデンティティ、セクシュアリティ、性的指向の違い/アセクシュアリティ/動物たちの同性愛行動/身体的な性/ジェンダーの解剖学/インターセックス/ナメクジの性/べからず・べし/LGBTQ+って実際どういう意味?/ジェンダーロール(性役割)/インターセクショナリティ/同化教育制度/第3のジェンダーと第4のジェンダー/シェイクスピア/コウイカ/脳みその重さにまつわる神話/STEM(science, technology, engineering, and math /科学、技術、工学、数学)の女性たち/1800年代の服装/ルイ14世とハイヒール/男の子は男の子――いかに有害な男らしさが男性集団をかたちづくっているか/家父長制/ライオン/スポーツ/ホワイト・フェミニズム/黒人少年が黒人男性になるとき(黒人男性に対する警察の暴力、不当に投獄される黒人男性たち)/性的暴行、#metoo、ジェンダー化された暴力/摂食障害は誰でもなる病気/中絶について/医療のバイアス/ジェンダーと精神疾患/トランス・コミュニティにおけるメンタルヘルス/特権について 初級編/平等性≠公平性/ピンク税/貧困の女性化/静かなる南部の流行病/公共施設のプライバシーと安全法/「セックスワーク」はよくない言葉ではない/ストーンウォールの反乱/LGBTQ+は一枚岩ではない/カミングアウト運動の危険性/広告/リベット工員のロージー神話/ベクダル・テスト……etc. ◎注目の人々 デヴィッド・ボウイ/プリンス/フリーダ・カーロ/ココ・シャネル/アノーニ/セリーナ・ウィリアムズ/マーシャ・P・ジョンソン/ラヴァーン・コックス/アニタ・ヒルとクリスティン・ブレイジー・フォード/サパティスタ/ハンナ・ギャズビー/フランク・オーシャン……etc. 目次 序文 メレディス・タルサン まえがき パート1:まずはここから パート2:さらに深掘り パート3:わたしの話 あとがき:学びは決して終わらない 参考資料 索引 謝辞 著者について - 著者プロフィール - アイリス・ゴットリーブ (アイリス・ゴットリーブ) (著/文 | イラスト) イラストレーター兼作家。著書に Seeing Science: An Illustrated Guide to the Wonders of the Universe、Natural Attraction: A Field Guide to Friends, Frenemies, and Other Symbiotic Animal Relationships がある。好きな食べものはすいか。いちばん怖いものは内部寄生虫。犬のバニーと一緒にノースキャロライナ州ダーラム在住。 野中モモ (ノナカモモ) (翻訳) 東京生まれ。編集職を経てロンドン大学ゴールドスミス校で美術史を学ぶ。東京を拠点に文筆および翻訳業(英日)に従事。訳書にレイチェル・イグノトフスキー『世界を変えた50人の女性科学者たち』(創元社)、ロクサーヌ・ゲイ『飢える私 ままならない心と体』(亜紀書房)など。著書『デヴィッド・ボウイ 変幻するカルト・スター』(筑摩書房)、『野中モモの「ZINE」小さな私のメディアを作る』(晶文社)。
-
私はいま自由なの? 男女平等世界一の国ノルウェーが直面した現実 | リン スタルスベルグ(著/文)枇谷 玲子(翻訳)
¥2,420
柏書房 2021年 ソフトカバー 406ページ 四六判 - 内容紹介 - ジェンダー先進国とされるノルウェー。 だが、そこに住む女性たちは幸福なのか。 労働問題を扱うジャーナリストが、 「先進国」ができるまでの過程を点検し、 仕事と家事、両方の負担に押しつぶされそうな ノルウェー女性たちの肉声を拾い集める。 「ジェンダーギャップ」を埋めただけでは解決しない、 日本もいずれ直面する本質的な課題を 浮かび上がらせる渾身のレポート。 目次 はじめに 胸騒ぎ 第一章 「仕事と家庭の両立」という難問 第二章 70年代の神話と社会変革の夢 第三章 仕事をすれば自由を得られる? 第四章 キャリア・フェミニズムと市場の力学 第五章 可能性の時代は続く 謝辞 原注 - 著者プロフィール - リン スタルスベルグ (リン スタルスベルグ) (著/文) 1971年ノルウェー生まれ。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで社会学の修士号を取得。アムネスティ・ノルウェー、ノルウェー国営放送NRK、新聞「階級闘争」などの媒体でジャーナリスト、コラムニストとして活躍。2013年に本書『私はいま自由なの?』を発表。アラビア語にも翻訳され、特にジェンダー・ギャップ指数ランキング134位のエジプトで、女性読者から大きな反響を得た。共著に、赤十字から出された『戦争のルール』(2012年、未邦訳)。単著は本作のほかに『もう飽き飽き――新自由主義がいかにして人間と自然を壊してきたか』(2019年、未邦訳)がある。
-
女たちのポリティクス 台頭する世界の女性政治家たち|ブレイディ みかこ
¥990
幻冬社 2021年 新書判 264ページ - 内容紹介 - 叩かれても。踏まれても。 世界で活躍する 20人の女性政治家を ブレイディみかこが 徹底解剖! 近年、世界中で多くの女性指導者が生まれている。アメリカ初の女性副大統領となったカマラ・ハリスに、コロナ禍で指導力を発揮するメルケル(ドイツ)、アーダーン(ニュージーランド)、蔡英文(台湾)ら各国首脳たち。政治という究極の「男社会」で、彼女たちはどのように闘い、上り詰めていったのか。その政治的手腕を激動の世界情勢と共に解き明かす。 また、女性の政治進出を阻む「サイバー暴行」や、女性国会議員比率が世界166位と大幅に遅れる日本の問題にも言及。コロナ禍の社会で女性の生きにくさがより顕在化し、フェミニズムの機運高まる中「女たちのポリティクス」はどう在るべきか。その未来も照らす1冊。 <目次> ・メルケル時代の終焉 EUの「賢母」か「毒親」か ・極右を率いる女たち 新たなマリーヌ・ル・ペンが欧州に 続々と現れている理由 ・フェモナショナリズムの罠 小池百合子とフェミニズム ・コロナ対策に成功した指導者に女性が多い 「本当の」理由 ・なぜ主婦はサッチャーに熱狂したのか マーガレット・サッチャー再考 他 - 著者プロフィール - ブレイディ みかこ (ブレイディ ミカコ) (著/文) ライター・コラムニスト。一九六五年福岡市生まれ。福岡県立修猷館高校卒。一九九六年から英国ブライトン在住。二〇一七年、『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』で第一六回新潮ドキュメント賞を受賞。『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』がベストセラーになる。そのほか『ヨーロッパ・コーリング 地べたからのポリティカル・レポート』『労働者階級の反乱 地べたから見た英国EU離脱』『女たちのテロル』『ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち』など著書多数。
-
これからの男の子たちへ|太田 啓子
¥1,760
大月書店 2020年 ソフトカバー 264ページ 四六判 - 内容紹介- 「男らしさ」の呪縛は何歳から始まる?わが子をセクハラ加害者にしないためには?性差別に怒りを燃やしつつ男子2人を育てる弁護士ママが悩みながら考えた、ジェンダー平等時代の子育て論。対談=小島慶子(タレント・エッセイスト)、清田隆之(桃山商事代表)、星野俊樹(小学校教員) 目次 はじめに 1章 男の子の日常にかかるジェンダーバイアスの膜 2章 男の子にかけられる呪い 清田隆之さん(桃山商事)に聞く 男子って、どうしてああなんでしょうか? 3章 セックスする前に男子に知っておいてほしいこと 星野俊樹さん(小学校教員)に聞く 多様性が尊重される教室をつくるには? 4章 セクハラ・性暴力について男子にどう教える? 5章 カンチガイを生む表現を考える 小島慶子さん(タレント・エッセイスト)に聞く 母親として、息子・娘たちに何を伝えられますか? 6章 これからの男の子たちへ あとがき - 著者プロフィール - 太田 啓子 (オオタ ケイコ) (著/文) 弁護士。2002年弁護士登録、離婚・相続等の家事事件、セクシュアルハラスメント・性被害、各種損害賠償請求等の民事事件を主に手掛ける。明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)メンバーとして「憲法カフェ」を各地で開催。2014年より「怒れる女子会」呼びかけ人。2019年には『DAYS JAPAN』広河隆一元編集長のセクハラ・パワハラ事件に関する検証委員会の委員を務めた。
-
生きるためのフェミニズム パンとバラと反資本主義|堅田香緒里
¥1,870
タバブックス 2021年 ソフトカバー 192ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ14mm - 内容紹介 - 私たちはみな、資本主義という恒常的な災害の被災者である。 パン(金)も、バラ(尊厳)も、両方よこせ! 蔓延する新型ウィルス、パンデミック下で強行される五輪、そして顕在化する不平等や分断。私たちが直面している危機は、COVID-19 によるというよりは元来グローバル資本主義ないしネオリベラリズムという災厄によるものであるー 女性の活躍、ケア労働、路上生活、再開発、生活保護...あらゆる格差、貧困、分断の問題を最新のフェミニズムの視点から読み解き、国内外の事例から日常的で具体的な抵抗の方法を探る。気鋭の社会学者、初の単著。 目次 Ⅰ パンとバラのフェミニズム/私たちはみな、資本主義という恒常的な災害の被災者である パンとバラのストライキ―ローレンスの移民女性労働者たちのストライキ 「活」という名の妖怪―パンを食わせずバラ(のようなもの)を差し出すネオリベラリズム 魔女は禁欲しない―パンもバラもよこせ! パンデミックにおけるケアインカムの要求 Ⅱ 個人的なことは政治的なこと/路上、工場、周辺の場から 紙の味 現代の屑拾い 無菌化された労働力商品たちの夜 「声」をきくことの無理 Ⅲ ジェントリフィケーションと交差性/日常の抵抗運動 クレンジングされる街で 猫のように体をこすりつけろ 抵抗する庭 「開発」と家父長制 差別の交差性(インターセクショナリティ) 路上のホモソーシャル空間 夜を歩くために 前書きなど 女だからといって、派遣労働者だからといって、仕事や収入を失ったからといって、野宿者だからといって、トランスジェンダーだからといって、殺されてたまるか。誰かの「安全」のために、別の誰かの命や尊厳が犠牲にされるような社会はもうごめんだ。ーこの本は、こうした思いに共鳴して書かれたものである。(「はじめに」より) 版元から一言 『仕事文脈』に連載していた、堅田香緒里「さわる社会学」が本になります! 女性の活躍、ケア労働、路上生活、再開発、生活保護...あらゆる格差、貧困、分断の問題を最新のフェミニズムの視点から読み解き、国内外の事例から日常的で具体的な抵抗の方法を探る。気鋭の社会学者、初の単著です。 - 著者プロフィール - 堅田香緒里 (カタダカオリ) (著/文) 静岡県生まれ。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程修了。博士(社会福祉学)。現在、法政大学社会学部教員。専門は社会福祉学、福祉社会学、社会政策。主な論文・著書に、エノ・シュミット/山森亮/堅田香緒里/山口純『お金のために働く必要がなくなったら、何をしますか?』(光文社新書、2018年)、「対貧困政策の新自由主義的再編:再生産領域における『自立支援』の諸相」(『経済社会とジェンダー』第2巻、2017年)、堅田香緒里/白崎朝子/野村史子/屋嘉比ふみ子『ベーシックインカムとジェンダー』(現代書館、2011年)など。
-
痴漢とはなにか 被害と冤罪をめぐる社会学|牧野 雅子
¥2,640
エトセトラブックス 2019年 ソフトカバー 256ページ 四六変型判 縦188mm 横131mm 厚さ17mm - 内容紹介 - なぜ日本では「痴漢」という性犯罪が、こんなにも日常化しているのか? そして、「被害」の対で語られるべき「加害」ではなく、なぜ今「冤罪」ばかりが語られるのか? 戦後から現在までの雑誌や新聞記事を分析し、これまで痴漢がどう捉えられ、社会の意識がどうつくられてきたか読み解く、これまでなかった画期的な「痴漢」研究書。前提を共有し、これから解決策を考えていくために必読の一冊。 (主なトピック) 痴漢事件はどれくらい起こっているのか/夏は痴漢が増える、という思い込み/痴漢被害者に求められる「羞恥心」とは?/「痴漢は犯罪です」――は本当か?/女性専用車両は誰のために生まれたか/痴漢が娯楽になっていく過程/痴漢ブームは終わらない/たかが痴漢、されど痴漢冤罪の矛盾/痴漢=性依存というアプローチが注目される理由…etc. 目次 第1部 事件としての痴漢 1.痴漢事件はどのくらい起こっているのか 2.痴漢事件はどう捜査される 3.痴漢を取り締まる条例 第2部 痴漢の社会史~痴漢はどう語られてきたのか 1.戦後から1960年代まで~電車内痴漢という被害 2.1970年代~悩まされる女性たち 3.1980年代~文化と娯楽としての痴漢 4.1990年代~痴漢ブームと取締り 5.2000年以降~痴漢冤罪問題と依存症 第3部 痴漢冤罪と女性専用車両 1.痴漢冤罪ばかりが語られる理由 2.女性専用車両をどう考えるか 前書きなど メディアでは、痴漢被害をいかに防ぐか、痴漢冤罪に巻き込まれないためにはどうしたらいいのか、女性専用車両は男性差別ではないのかといったことが問題にされているが、対策を講じるためには、これまでに何が起こり、何が語られてきたのかという前提を共有する必要がある。/過去を知ること、共有すること。性暴力をなくすための議論のために、本書は書かれた。(本文より) - 著者プロフィール - 牧野 雅子 (マキノ マサコ) (著) 1967年、富山県生まれ。龍谷大学犯罪学研究センター博士研究員。警察官として勤めたのち、 京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(人間・環境学)。 専門は、社会学、ジェンダー研究。 著書に、『刑事司法とジェンダー』(インパクト出版会)、 『生と死のケアを考える』(共著、法蔵館)がある。
-
彼女の体とその他の断片|カルメン・マリア・マチャド, 小澤 英実(訳), 小澤 身和子(訳), 岸本 佐知子(訳)松田 青子(訳)
¥2,640
エトセトラブックス 2020年 ソフトカバー 360ページ 四六変型判 縦188mm 横131mm 厚さ26mm - 内容紹介 - 首にリボンを巻いている妻の秘密、 セックスをリストにしながら迎える終末、 食べられない手術を受けた私の体、 消えゆく女たちが憑く先は……。 ニューヨーク・タイムズ「21世紀の小説と読み方を変える、女性作家の15作」、全米批評家協会賞、シャーリイ・ジャクスン賞、ラムダ賞(レズビアン文学部門)他受賞、いまもっとも注目を浴びる作家を、最高の翻訳家たちが初紹介! 大胆奔放な想像力と緻密なストーリーテーリングで「身体」を書き換える新しい文学、クィアでストレンジな全8篇収録のデビュー短篇集。 「マチャドの言葉は、女たちの記憶と飢え、そして欲望に、ありのままのかたちを与えた」 カレン・ラッセル 「消えゆく女たちと世界の終わり、すべてを手に入れてもなお多くを求める男たちの物語が、飽くなき想像力とたぐいまれな声によって美しく束ねられている」 ロクサーヌ・ゲイ 「巧妙に散りばめられた言葉や断片的な物語が、最終的にパズルのようにはまって大きな物語を作り上げているとわかった時の快感たるやない。訳していると胸が高鳴り、何度も手を止めた。ホラー、SF、リアリズム…ジャンルを越えて描かれる主体性を求める女性の物語は、私たちみんなの物語」 小澤身和子 「マチャドの言葉は、一語一語に肉体がある。だからおとぎ話めいているのに、とても生々しい。見知らぬ女たちの物語が、気づくと自分の物語に連なっている。そこがすばらしく、そして怖い」 岸本佐知子 「人間はいくつもの時間軸とルールを同時に生きている。たとえば、社会の一員としての、愛する人との、自分自身との。時にそれらは相いれず、衝突を起こし、正しさなどどこかに消えてしまう。でも、そうやって交差することでしか生まれない喜びや瞬間もある。マチャドの物語を読むと、その途方もない感覚を思い出す」 松田青子 「『女性や非白人やクィアな人々にとって、書くことはそれじたい政治的なアクティヴィズムだ』とマチャドは言う。そして、政治的であることと芸術的であることは両立する、とも。マチャドの作品は、それをなにより見事に体現しながら『男だけの世界』の景色を書き換えていく」 小澤英実 - 版元から一言 - いま英語圏でもっとも注目を集める女性作家、カルメン・マリア・マチャド。そのクィアな作風から30社の出版社から断られたデビュー作である本書が、2017年に刊行されるやいなや、全米図書賞、ローカス賞をはじめ10の賞の最終候補となり、全米批評家協会賞、シャーリイ・ジャクスン賞、ラムダ賞(レズビアン文学部門)など9つの賞を受賞、ニューヨーク・タイムズ紙の「21世紀の小説と読み方を変える、女性作家の15作」に選ばれた作家です。同年、日本でも人気のピュリッツァー賞作家ジュノ・ディアスのセクシュアル・ハラスメントを告発したことを覚えてらっしゃる方もいるかもしれません。 これは「身体」を書き換える新しい文学、クィアでストレンジな女たちの物語。この驚異的なデビュー短編集を、最高の翻訳家たちがそれぞれにふさわしい作品を選んで訳出しました! - 著者プロフィール - カルメン・マリア・マチャド (カルメン マリア マチャド) (著) 1986年、フィラデルフィア生まれ。キューバからの移民である祖父の影響で幼少期から物語を書きはじめ、大学ではジャーナリズムを専攻、その後、写真学科に転入する。アルバイトを転々としながら小説を執筆していたが、アイオワ・ライターズ・ワークショップへの参加が叶い修士号を取得。デビュー作である本書『彼女の体とその他の断片』は、そのクィアな作風から30社ほどの出版社に断られたが、2017年に非営利出版社グレイウルフ・プレスから刊行されると、全米図書賞、ローカス賞をはじめ10の賞の最終候補となり、全米批評家協会賞、シャーリイ・ジャクスン賞、ラムダ賞(レズビアン文学部門)など9つの賞を受賞した。短編「夫の縫い目」は、ネビュラ賞、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞の最終候補となった。2018年には、ニューヨーク・タイムズ紙の「21世紀の小説と読み方を変える、女性作家の15作」に本書が選出。また同年、ピュリッツァー賞作家ジュノ・ディアスのセクシュアル・ハラスメントを告発し、米国文学界の男性中心主義と女性嫌悪を痛烈に批判した。2019年には、フィクションや批評的手法で描いたメモワールIn the Dream Houseを刊行し、話題となる。また、『若草物語』の四姉妹について女性作家4人が綴るエッセイアンソロジーMarch Sisters: On Life, Death, and Little Womenで、三女ベスを担当(他に参加作家は、ジェニー・ザンなど)。同じく2019年にスタートした、少女ふたりが主人公のDCコミックスシリーズのホラー The Low, Low Woodsでは原作をつとめる。現在はペンシルベニア大学で教えながら、妻とフィラデルフィアに住んでいる。 小澤 英実 (オザワ エイミ) (訳) アメリカ文学、文芸評論、翻訳家。東京学芸大学准教授。訳書に、エドワード・P・ジョーンズ『地図になかった世界』(白水社)、トム・ルッツ『働かない――「怠けもの」と呼ばれた人たち』(青土社/共訳)、ロクサーヌ・ゲイ『むずかしい女たち』(河出書房新社/共訳)など。 小澤 身和子 (オザワ ミワコ) (訳) 翻訳家。「クーリエ・ジャポン」の編集者を務めた後、日英バイリンガル誌の編集や、取材コーディネーター及び通訳として海外メディアの日本取材に携わる。訳書に、リン・ディン『アメリカ死にかけ物語』(河出書房新社)。 岸本 佐知子 (キシモト サチコ) (訳) 翻訳家。訳書にルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』(講談社)、リディア・デイヴィス『話の終わり』(作品社)、ミランダ・ジュライ『最初の悪い男』(新潮社)など多数。編訳書に『コドモノセカイ』(河出書房新社)、『変愛小説集』、『楽しい夜』(ともに講談社)など。著書『ねにもつタイプ』で第23 回講談社エッセイ賞を受賞、他に『ひみつのしつもん』(どちらも筑摩書房)など。 松田 青子 (マツダ アオコ) (訳) 作家、翻訳家。著書に、小説『スタッキング可能』『英子の森』(河出書房新社)、『おばちゃんたちのいるところ』(中央公論新社)など。2019年、『ワイルドフラワーの見えない一年』(河出書房新社)収録の短篇「女が死ぬ」がシャーリィ・ジャクスン賞候補に。訳書に、カレン・ラッセル『狼少女たちの聖ルーシー寮』『レモン畑の吸血鬼』、アメリア・グレイ『AM/PM』(いずれも河出書房新社)など。
-
フラワーデモを記録する|フラワーデモ(編)
¥1,320
エトセトラブックス 2020年 ソフトカバー 112ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ8mm - 内容紹介 - 「花を持って集まりましょう」 あの晩、日本の#MeTooが大きく動いた。 2019.3.12 福岡地裁久留米支部 サークルと称した飲み会で酩酊した女性への準強姦事件。女性が抵抗できる状態でなかったとしながらも、男性の故意が認められないとして無罪。 3.19 静岡地裁浜松支部 コンビニ帰りの女性が外国人男性から口腔性交を強要された強制性交致傷事件。加害男性からみて「明らかにそれと分かる形での抵抗はなかった」として無罪。 3.26 名古屋地裁岡崎支部 娘が中学2年生のときから性虐待をしていた実父の準強姦事件。娘への性的暴行を認めながらも、「抵抗しようと思えばできた」として無罪。 3.28 静岡地裁 当時12歳の娘への実父が性虐待を行った疑いのある事件。家が狭く「同室の家族が気づかないのは不自然」だから、信ぴょう性がないとして無罪。家から押収された児童ポルノ所持の罪で、父親には罰金10万円。 2019年3月に4件続いた性暴力事件の無罪判決をきっかけに、性暴力に抗議する運動としてはじまった「フラワーデモ」。4月11日に東京・大阪の2都市ではじまったこのデモは、どんどん全国に広がり、5月には4都市、6月には11都市と増えていき、参加者はのべ1万人超、1年で47すべての都道府県から声が上がりました。 本書は、フラワーデモにかかわった側からこのフラワーデモの一年間を振り返り、性暴力を許さない社会へと繋げていくための一冊です。 (内容) 全国主催者や、これまで性暴力事件を取材してきた新聞記者やライター、長年被害者とともに戦ってきた弁護士などの専門家、そして参加者による寄稿、刑法の問題点を整理したレポートなどでフラワーデモの1年間を記録する。 *この本の利益はすべて、今後のフラワーデモおよび、性犯罪刑法の改正を求める被害当事者団体Springの活動費に充てられます。 目次 2019年3月~2020年3月の出来事 文・小川たまか はじめに――痛みの声が聞かれるまで 北原みのり 【寄稿】 「なかったこと」にしない 安部志帆子(毎日新聞記者) 歴史が変わるとき 河原理子(ジャーナリスト) あたらしい夜明けを告げるフラワーデモ 角田由紀子(弁護士) 声をあげることの力 山本潤(一般社団法人Spring代表理事) 声をつなぐ 牧野雅子(社会学、ジェンダー研究) フラワーデモに加わらなかったあなたへ 小川たまか(ライター/一般社団法人Springスタッフ) 花を持って元栓を締めに 長田杏奈(ライター) フラワーデモ刑法勉強会 講師:村田智子弁護士 【私たちが声をあげた記録】 47都道府県&バルセロナ主催者がふり返る スピーチ再録 2019年7月11日@東京 2020年1月11日@東京 2019年7月11日@名古屋 2019年2月11日@名古屋 2019年7月11日 主催者座談会「私たちはことばを得た」 記録の記録 松尾亜紀子 VOICES(公式サイトに届いた「声」) 前書きなど はじめに――痛みの声が聞かれるまで 北原みのり 2019年4月11日、夜の東京駅前行幸通り。鉛のように重たく閉じていた目の前の扉が、ゆっくりと開いていく音を聞いたように思った。東京の夜空のもと、初めて出あった人たちの前で、女性たちが、マイクを手にして過去の痛みの経験を次々に語りはじめたのだ。あの晩、日本の#MeTooが大きく動いたのだと思う。 きっかけは同年3月12日に出された毎日新聞の速報だった。 何杯もテキーラを飲まされ酩酊した女性への準強姦罪(当時)が問われた事件で、裁判官は同意がなかったこと、また女性の抗拒不能状態を認めながらも、男性の故意を認められないとして無罪判決を出した。 その後、性暴力事件の無罪判決が間をおかず報道されはじめた。3月19日に静岡地裁では深夜、男性に声をかけられた女性が暴行をされ、同意がなかったことは認められたが男性に故意がなかったとして無罪。3月28日静岡地裁で、12歳の娘への性虐待事件で、同室の家族が気がつかなかったのは不自然として父親が無罪。この男は児童ポルノ所持で罰金刑10万円を受けた。3月26日、名古屋地裁で出された無罪判決は衝撃だった。娘への性虐待加害をした父親に対し、同意がないことを認めながらも、娘が日常生活を送っていたことを理由に「抗拒不能とはいえない」と無罪を出したのだ。 当然、司法が下したこれらの判決には抗議の声が高まった。「裁判官にジェンダー教育を」というキャンペーンをたちあげた人もいた。しかしその一方で、「無罪判決を批判するのは危険だ」「#MeTooもいいけど人権も考えてほしい」といった法律の専門家たちによる「たしなめ」の声も徐々に大きくなっていった。 おかしいと感じることにおかしいと声をあげる。私たちの声は、それほど大それたものなのだろうか。いったい幾度、同じ目にあえばいいのだろう。 痴漢は性暴力だと声をあげれば「えん罪」をどう考えるのか? と問われ。 AVは性差別だと声をあげれば「表現の自由」をどう考えるのか? と問われ。 世の中を変えたいならまずは冷静になれ、そんな言い方じゃ伝わらない、とたしなめられる。自分が感じる痛みを声にするだけのことに、私たちはなぜこんなに用心深く、脇をしっかり締め、間違いが絶対にないように、相手の顔色を窺いながら、ひそひそと語らねばならない気分にさせられているのだろう。 限界だった。もう黙らなくていい、おかしいことはおかしいと言っていい、声のトーンを問われ、怒る声をばかにされる空気を変えたい。そんなことをエトセトラブックスの松尾亜紀子さんと話し、ツイッターのアカウントをつくりSNSに呼びかけたのが4月4日だ。その時のアカウントはitisrape_japanだった。これはレイプだ、同意がなければレイプなのだ。その声を高らかに東京の空に向かって私たちは確認したかったのだ。 冷たい春の夜だった。行幸通りに予定の30分ほど前に行くとすでに、花を持った女性が一人いた。声をかけると「岡山県からこのために来ました。いてもたってもいられなかった」と目に涙を浮かべながら話してくれた。そんな風に最初はぽつぽつと、互いに確かめあうように人が集まりはじめ、スピーチをする間に勢いよく人の輪は膨らみ続け、いつの間にか500人を下らない大きく太い円になっていた。驚いたのは予定していた8人のスピーチが終わり1時間経っても、その場を立とうとする人がほとんどおらず、誰からともなく「私も話したい」と手をあげはじめたことだった。 あの日、幼い頃から性暴力を受け続けてきた女性がいた。成人してから記憶が蘇り、そのトラウマのため就学や就職もままならず、ようやく手にしたアルバイト先で今セクハラにあっている、と。「なぜ被害者が転々としなければいけないのか」と訴える声に花をもつ人の輪が静かに揺れるように泣いた。語らなければいけない痛みの記憶、語らなければなかったことにされるあの日のこと、あの晩語られたすべては、あなたの話でありながら、それはすべて私の話のように胸に落ちてきた。声が次の声を呼ぶように、私たちは止まらなくなっていた。 「日本で#MeTooは始まらないと言われてたけど、もう始まってますよね!?」 手足の先の感覚がなくなるような寒さのなか、松尾さんが震える声でみんなに呼びかけた。動員をかけたわけではない、フラワーデモという名前もまだない、次の予定も決まっていない、なにより明確な目的があったわけじゃない。ただいてもたってもいられない者たちが集まり語り出すことによって、「もう黙るのをやめたい。変えたい」と見ず知らずの者たちが手を握り合う場をつくったのだ。 (…) 4月のデモを終えた後、思わぬことが次々におきた。なかでも「福岡でもやりたい」と黒瀬まり子さんが連絡をしてきてくれたことは、その後のフラワーデモの方針を大きく決めただろう。福岡で声があがったことで、これが大都市の一極集中で行うデモではなく、日本全国どこでも私たちの暮らす場で声をあげる運動としての性格が早い段階から形成されていった。 なかには「一人でもいいから自分の住んでいる駅で立ちたい」と声をあげた女性もいた。その声に改めて突きつけられるのは、性暴力は、私たちの日常、生活圏で起きる暴力であることだ。だからこそ、私たちは自分たちの生活する場で立ちたいと願うのだ。そのような切実な声が、最終的に47都道府県までフラワーデモが広がった理由なのだと思う。 この一年、私は、東京、大阪、福岡、名古屋、京都、群馬、静岡、長崎、沖縄、横浜、埼玉、新潟のフラワーデモに参加してきた。不思議なことに、どの地域の人も決まって同じことを言った。「この県は本当に酷いです」女性が諦めることによって、口を閉ざすことによって、この国の性差別は放置され、再生産され続けてきた歴史がある。強烈な性差別文化に「ここが底のはず……」と喘ぐように生きている女性があまりにも多い。ある都市では高校生が「男の人が怖い」と泣いた。幼い頃から砂場で遊んでいれば性器を見せてくる成人男性がいた。鉄棒を練習していれば通りすがりにパンツの中に手をいれてくる成人男性がいた。大人になれば常に値踏みされる視線にさらされ続ける。もう限界なのだと彼女は静かに抗議した。ある都市では「都会では家出した女の子が性産業に巻き込まれることが問題になっているが、ここでは実家から性産業に通う女性が多いです」と話してくれた人がいた。娘が性産業で働くことをあてにした貧困家庭が少なくないというのだ。 日本中、どこにいっても、そのような話はいくらでも、本当にいくらでも溢れるように出てきた。 フラワーデモの目的は何だとよく訊かれてきた。わかりやすい目的を一つだけには絞れない。性犯罪刑法の改正は求めたい。同意年齢を引き上げること、暴行・脅迫要件の撤廃をし、公訴時効をなくし、同意のない性交は罪に問われるべきだ。それでも法律だけが変わるだけでは不十分なのだと突きつけられる一年だった。私たちは根底から変えたいのだ。この女性嫌悪に溢れた社会を変えたいのだ。フラワーデモを重ねる度に、その思いは強まっていった。 「被害者が話しはじめた」と、フラワーデモは報じられることが多かった。確かにその通りなのだが、回を重ねるごとに気づきを得ることも多かった。 あるフラワーデモでこんな話をした男性がいた。幼い頃に成人男性から被害にあい、友人に話をしたが、「女みたい」「気持ちよかったか」とからかわれただけだった。今も性的なことに恐怖感があり、特に妊婦をみると嫌悪がわく、そういう自分が怖い。そんな話だった。 性暴力被害者の多くは女性と子どもで、男児の被害も相当にある。女児が性被害を受けると「おまえにもすきがあった」と責められる一方で、男児が性被害を受けると「気持ちよかったか」と嘲笑されることは珍しくない。男性の被害は被害と理解されにくいことも含めて、言葉にすることが難しいのだ。 彼は40代半ばくらいだったろうか。長いトラウマのため精神障害をわずらい生きづらさを全身で表現しながら、とつとつと語った。印象的だったのは彼が話し終わった後だ。目の前の人々が彼の方をじっとみて花を握り話を聞いている姿をみて、彼ははじかれたように目をみひらき、驚いた口調でこう言ったのだ。 「こんな風に僕の話を真剣に聞いてもらったのは、初めてです……」 被害者が語り出したのではない。彼の話を聞いてそう思った。これまでも被害者は様々な方法で伝えようとしてきたのだ。それぞれの人生、それぞれの場で、一人でもがきながら声をあげようとしてきた、誰にも信じてもらえなかった、聞いてもらえなかった。証拠もなく、目撃者もいなく、今さら語っても何にもならない。そのように被害者は次第に声を出すことを諦めていったのかもしれない。だからこれは「勇気をもつ被害者が声をあげはじめた」運動ではなく、性暴力被害者の声を聞く力を私たちが問われる場なのだと、彼の大きく見開いた驚きの目に私は教わった。 この一年で、強い連帯をつくってきた。特に長いあいだ女性運動に関わってきた女性たちとの出あいは貴重なものだった。性暴力に抗議する運動は決して新しいものではない。むしろ女性運動の根幹ともいえる長い歴史の上にある。フラワーデモはそのように、上の世代の女性たちと若い世代がつながる場にもなっていった。 (…) 2020年3月12日、名古屋地裁岡崎支部で無罪とされた父から娘への性暴力事件に、高裁で有罪判決が出された。一審で無罪が導きだされた「事実」の全てが、二審では有罪の証であるとされるという、被害者の視点から性暴力を捉えた判決だった。例えば一審では、性暴力を受けながらも日常生活を共に送っていた事実をもって「被害者は精神的抗拒不能になかった」としたが、二審では、「何事もなかったように日常を過ごす、それが性暴力被害者の日常なのだ」と語られた。 激しい暴行をせず抵抗しようと思えばできたという一審の判決を、長年の支配の末、暴力を振るうまでもなく支配できる状態にあったと考えるのが合理的、と判断した。 この日は、毎日新聞の安部志帆子記者が福岡地裁久留米支部の無罪判決を報じてちょうど一年目だった。偶然ではあるけれど、この一年で性暴力への認識が変わってきているのを実感する。2月には福岡地裁久留米支部での判決も破棄され、懲役4年の実刑判決が下された。一年前にこれらの判決が出されなかったことの重みを突きつけられながらも、それでもこの一年で私たちから見える景色が変わってきたのは事実だ。多くの声によって、その声を聞く力によって、そしてその声を届ける記者たちの真摯さによって、私たちは社会の空気を変えてきた。過去を語ることによって、未来を変えたいという切実さが希望を生み、社会を変えたいという祈りが、諦めない強い声になったのだ。 フラワーデモは、静かなデモだ。女性が女性を信じ、助ける場所だ。社会に求める空気を自らつくりだし、痛みの声が聞かれる場、その力を私たちはたくさんの涙を流しながら、ようやく手にしたのだと思う。 これはフラワーデモ一年の記録、私たちの声の記録です。 - 著者プロフィール - フラワーデモ (フラワーデモ) (編) フラワーデモとは、2019年4月に東京・大阪ではじまった、花を手に集まり、性暴力に抗議する運動。毎月11日に開催されるこのデモは全国に広がり、1年間で47都道府県から声があがり、のべ1万人超が参加した。参加者が自らの性被害を訴えるスピーチが多発し、これまで日本社会が耳をふさいできた性暴力の実態が明らかになった。
-
エトセトラ VOL.5|小山内園子(責任編集), すんみ(責任編集)
¥1,430
エトセトラブックス 2021年 ソフトカバー 128ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ6mm - 内容紹介 - フェミニストが韓国ドラマを語り、 フェミニズムで韓国ドラマを知る 韓国ドラマは一体なぜこんなにも私たちを熱くするのか? 数々の名ドラマが生まれてきた背景を探り、文化をアップデートしてきた女性たちのことばを聴く。進みつづける韓国ドラマに、私たちも続けるはず。 目次 特集:私たちは韓国ドラマで強くなれる はじめに 小山内園子 【韓国ドラマの今】 オ・スギョン「#MeToo運動後に韓国ドラマで描かれた女性の物語」(承賢珠訳) ファン・ギュンミン「進化するヒロインたち:韓国ドラマにおける女性像の変遷」 【読者アンケート】 あなたがフェミニズムを感じるドラマ 【韓国ドラマを知る】 韓国ドラマと韓国社会・女性史年表(作成:山下英愛) 金香清「韓国ドラマと言論弾圧の歴史ーー『砂時計』が週4放送だった理由」 成川彩「視聴者の声に敏感な韓国のドラマ作り」 木下美絵「飾らない、飾る必要もない、女性たちの結婚・出産ストーリー」 韓国の女性たちが選ぶ〈両性平等メディア賞〉とは 韓国ドラマの「企画意図」を読む 【インタビュー】 チョン・セラン「ドラマ『保健教師アン・ウニョン』について一問一答」 山下英愛「韓国フェミニズム研究者が語る、ドラマと女性たちの結びつき」 イ・ラン「固定観念をひっくり返してみたくて私はドラマをつくってきた」 【私が好きなドラマと台詞】 松田青子✕『ハイエナ』 小林エリカ✕『愛の不時着』 今井亜子✕『椿の花咲く頃』 アンティル✕『宮廷女官チャングムの誓い』 温又柔✕『愛の不時着』 金承福✕『美しき人生』 【コラム】 河野真理江「『メロ』と『悪女』――韓国宮廷時代劇についての覚書」 西森路代「韓国ドラマのビジュアルは、なぜ日本でラブコメ風になってしまうのか」 【対談】 田房永子✕柚木麻子「私たちは日本のドラマでも強くなれる?」 【編集部座談会】 変化し続ける韓国ドラマにこれからもついていきます! おわりに すんみ 【連載】 編集長フェミ日記 2020年11月~2021年4月 小山内園子・すんみ (新連載!)ふぇみで大丈夫 ナガノハル/vol.1:女は経済的自立で自由になるか? ここは女を入れない国 伊藤春奈(花束書房)/第3回:甲子園と女人禁制 Who is she? 大橋由香子/第3回:乳を売る彼女 LAST TIME WE MET彼女たちが見ていた風景 宇壽山貴久子 私のフェミアイテム 森本優芽 NOW THIS ACTIVIST 津賀めぐみ etcbookshop通信 【寄稿】 いちむらみさこ「感動ビジネスと家父長制組織のオリンピック・パラリンピック」 岩川ありさ「呼びかけと応答――フェミニズム文学批評という革命」 - 著者プロフィール - 小山内園子 (オサナイ ソノコ) (責任編集) 1969年生まれ。東北大学教育学部卒業。NHK報道局ディレクターを経て、延世大学などで韓国語を学ぶ。訳書に、姜仁淑『韓国の自然主義文学』(クオン)、キム・シンフェ『ぼのぼのみたいに生きられたらいいのに』(竹書房)、チョン・ソンテ『遠足』(クオン)、ク・ビョンモ『四隣人の食卓』(書肆侃侃房)、キム・ホンビ『女の答えはピッチにある 女子サッカーが私に教えてくれたこと』(白水社)、イ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ』『失われた賃金を求めて』(すんみとの共訳・タバブックス)、チョ・ナムジュ『彼女の名前は』(すんみとの共訳・筑摩書房)、カン・ファギル『別の人』(エトセトラブックス)がある。 すんみ (スンミ) (責任編集) 翻訳家・ライター。早稲田大学大学院文学研究科修了。訳書にキム・グミ『あまりにも真昼の恋愛』(晶文社)、チョン・セラン『屋上で会いましょ う』(亜紀書房)、共訳書にリュ・ジョンフン他『北朝鮮 おどろきの大転換』(河出書房新社)、イ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ フェ ミニストは黙らない』『失われた賃金を求めて』(タバブックス)、チョ・ナムジュ『彼女の名前は』(筑摩書房)などがある。
-
エトセトラ VOL.4|石川優実(責任編集)
¥1,430
エトセトラブックス 2020年 ソフトカバー 128ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ6mm - 内容紹介 - フェミマガジン4号目のテーマは「女性運動とバックラッシュ」! #KuToo運動の石川優実とともに、女性の運動を知る特集号。 70年代ウーマンリブ以降日本で運動してきた女性たちの話に耳を傾け、エッセイや漫画で女性運動史を学び、そして女性が声をあげる度に毎度起きてきた「バックラッシュ」とは一体何か考える論考も充実。600人の読者が参加した「あなたの#MeTooと怒りをきかせてください」アンケートをはじめ、ハイヒール着用について大手企業25社へのアンケート、漫画表現について出版各社へも質問しています。 声をあげ立ち上がってきた女性たちと連帯し、運動を実践する一冊です! 目次 特集:女性運動とバックラッシュ 声をあげ立ち上がった女たちの年表(作成:大橋由香子) 【インタビュー:運動の女性たちにきく】 米津知子 山田満枝 高木澄子 福島みずほ 正井禮子 【写真・エッセイ】 松本路子 【コラム:女たちの運動史】 佐藤繭香/サフラジェット 大島史子/女性参政権運動 柚木麻子/青鞜 伊藤春奈(花束書房)/炭鉱女社会 大橋由香子/中ピ連 斉藤正美/メディアの中の差別を考える会 小川たまか/性暴力を許さない女の会 【論考:運動とバックラッシュ】 斉藤正美・山口智美 三浦まり 飯野由里子 北原みのり 【#MeTooアンケート】 600人が答えた「あなたの#MeTooと『怒り』についてのアンケート」 【#KuTooアンケート】 職場でのヒール着用について企業25社にアンケート 【対談】 伊藤詩織✕石川優実 【鼎談】 飯田光穂✕遠藤まめた✕石川優実 【表現とジェンダーバイアスを考える】 論考:楠本まき「言葉/思考/記録/行動」 出版社アンケート 【アンケート】 疲れないで運動をつづけていく方法 【連載】 編集長フェミ日記 石川優実 ここは女を入れない国 伊藤春奈(花束書房)/第2回:歌舞伎と女人禁制 Who is she? 大橋由香子/第2回:捕まってしまった彼女 LAST TIME WE MET彼女たちが見ていた風景 宇壽山貴久子 私のフェミアイテム nichinichi NOW THIS ACTIVIST 女たちの戦争と平和資料館(wam) etcbookshop通信 Feminist Report 塚原久美「アフターコロナの世界の中絶」 【詩】 モジャ・カーフ/相川千尋訳 「ヒジャブ・シーン#7」「食器を洗ってくれる男が好きだ」 前書きなど はじめに 石川優実 「バックラッシュ」という言葉を私が知ったのは、#KuTooという運動を始めた頃だろうか。 「フェミニズムが盛り上がった後には必ずと言っていいほど揺り戻しがある、それが私は怖い」 そう言っている女性がいて、私はその日初めてバックラッシュというものの存在を認識した。2019年6月、まさに私はそのバックラッシュ真っ最中だったように思う。 「#KuTooは女性差別に対する運動です」そう明言して以降、私や#KuTooにはずっとバックラッシュが起こっている。デマをばらまく、孤立させようとする、嫌がらせリプライを毎日送る、運動が失敗したということにする(厚労省のパンフに掲載され、企業も運動の影響を受けフラットシューズもありにした、という報道があったにもかかわらず……!)、私の性格が悪いから賛同者が増えないということにする(署名は3万集まったにもかかわらず……!)、「死ね」という言葉を投げつける……。 でも、なんだろう。これってあんまり、「初めての経験」という感じがしない。これまでにもこんなようなことは薄っすらと、しかしずっと経験してきたような気がする。 女だという理由で嫌がらせをされたり、セクハラを受けたり、噓をついていると決めつけられたり、男に性的に見られたいに決まっていると思われたり、仕事の能力がないということにされたり。思い返せば、生きてきた33年間ずっとバックラッシュ的なものに苦しめられていたような気がしてならない。 さて、ではそのバックラッシュにはどんな効果(?)があるのだろうか? 私がフェミニズムに出会い、性差別への反対活動を始めた頃、応援してくれる知人にこう言われたことがある。 「これからは自分自身との戦いになると思う。いつでも自分自身を信じて頑張って」と。 今になってとてもその言葉の意味を痛感する。バックラッシュには、自分を信じさせなくなる効果があると思う。自分は間違っているんじゃないかと思わせる効果があると思う。自分のことを大嫌いにさせる効果があると思う。そして、もしその効果通りに私自身がなったとしたならば、私は女性運動の全てをやめるだろう。私自身をもやめてしまうかもしれない。 でも、もう一度よくよく考えてみよう。フェミニズムに出会うまでの約30年間、私はずっと自分を信じられなかったし、自分は間違っているんじゃないかと思ってきたし、自分のことが大嫌いだった。ずっとずっと、女性差別というバックラッシュを受け、まんまとその効果通りの自分で生きてきたのだった。 でも、フェミニズムと出会った今はもう違う。 #KuTooで受けたバックラッシュとずっと受けてきた性差別がほぼ重なるように、これらは奴らの「いつものやり口」なのだ。 女性を自分たちの都合の良い存在でいさせるため、自信を無くさせ、主体性を無くさせるためのいつものやり口。 ウーマンリブの田中美津さんは著書の中で、「リブは『男は敵だ』と煽っているとよく報じられました。そんなこと一度だって言ったことないのに」と書いていた。ほら、ここでもおんなじ、「いつものやり口」が使われている。#KuTooだって、一度も男が悪いと言ったことはないのに石川優実は男性差別主義者だ、とか言われている。 「なんだよ、こいつら誰が何やっても女性運動にはおんなじこと言ってんじゃん」と知った私は、とても心が楽になった。むしろ、これは付き物だ。私が正しいことをしている証拠のようにも思えた。 これって、#MeTooをした時の「私も同じように自分を責めていました」と同じ現象なのではないか。その事実を知ることによって、みんな同じなんだということを知ることによって、これは私側の問題じゃないんだということに気がつくことができた。 問題はいつでも、嫌がらせやハラスメント、性暴力や性差別をする側にある。 私のせいでバックラッシュや性差別は行われているのではない。それに気がついた時の安心感、心強さ。それをもうすでに#MeTooをはじめとする様々な連帯で体験していたではないか。 ということで、そんな例を、たくさん集めてみようと思う。これまでの女性運動にはどんなことがあって、どんなバックラッシュがあったのか。知識は勇気になる。知識は優しさになる。知識は自分を助けてくれる。知識は他の誰かのことを助けることができる。 フェミニストは過激だから賛同が得られない? 日本のフェミニズムは本質からずれている? そんな攻撃的な言葉遣いじゃ誰も聞いてくれない? 認めてもらうには配慮を? これまで言われてきたことは、本当にそうなのだろうか。 歴史と事実をぜひ、知りたい。それを知ることによって、私は、私たちは自分自身を信じることをやめずに、時に楽しく、時に激しく、女性運動をし続けていくことができるのではないかと思う。 - 著者プロフィール - 石川優実 (イシカワ ユミ) (責任編集) 1987年生まれ、愛知県出身。俳優、アクティビスト。18歳から芸能活動を開始。2017年、グラビアアイドル時代に受けた性被害を告発し、#MeTooムーブメントの中で話題となる。2019年、職場で女性のみにヒールやパンプスを義務付けることは性差別であるとして#KuToo運動を展開、厚生労働省へ署名を提出した。この運動は世界中のニュースで取り上げられ、同年10月英BBCにより世界の人々に影響を与えた「100 Women」に選出された。著書に『#KuToo : 靴から考える本気のフェミニズム』(現代書館)。
-
エトセトラ VOL.2|山内 マリコ(責任編集), 柚木 麻子(責任編集)
¥1,320
エトセトラブックス 2019年 ソフトカバー 112ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ6mm - 内容紹介 - “日本でいちばん有名なフェミニスト”田嶋陽子を大特集! 世代を超えて集結した執筆陣によるエッセイ・書評や、一般投稿「田嶋陽子さんへの手紙」、そして、田嶋陽子本人へのロングインタビューなどで構成。現代のフェミ作家たち=山内マリコ&柚木麻子責任編集による、最強のフェミ・アイコン田嶋陽子へのリスペクトに満ちた一冊。あの頃、テレビで田嶋先生を観ていた、すべての少女たちへ捧げます! 目次 特集/We Love 田嶋陽子! 【寄稿】 津村記久子/扉の存在を知らせる人 石川優実/田嶋さんの「自分の足を取り戻す」と#KuTooのこと 荒木美也子/前略、田嶋陽子さま 【書評】書く女~田嶋陽子を読む 王谷晶/ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ジャパニーズ・カルチャー 斎藤美奈子/空気を読まない彼女の直球ド真ん中な「愛情」論 北村紗衣/田嶋陽子を取り戻す カナイフユキ/恋愛は親離れの始まり?家族という足枷をはずして…… 若竹千佐子/ 女の人生はいつだって面白い 北原みのり/田嶋陽子が教えてくれた優しいフェミニズム 伊藤春奈(花束書房)/どん詰まりの国に突き刺さる女たちの言葉 堀越英美/やんちゃでかわいい「僕」たちの世界で 田嶋陽子出演映像全レビュー(柚木麻子) 田嶋陽子ロングインタビュー〈私〉が生きるためのフェミニズム 【マンガ】 松崎りえこ 知りたい!田嶋陽子さんの“Her"ストーリー 【座談会】 斉藤正美✕山口智美✕山内マリコ✕柚木麻子「私たちが田嶋陽子を好き」な理由 【インタビュー】 板本洋子「花婿学校」とはなんだったのか 【TVと田嶋陽子】 武田砂鉄/キレさせていたのは誰で、何を言っていたのか 柚木麻子 /12歳が出合ったフェミニズム 山内マリコ/ 『そこまで言って委員会NP』観覧記 投稿コーナー「田嶋陽子さんへの手紙」 連載 編集長フェミ日記 2019年7~8月 LAST TIME WE MET 彼女たちが見ていた風景/宇壽山貴久子 私のフェミアイテム/河村敏栄 etc.bookshop通信 エッセイ ユン・イヒョン「女性について書くこと――多すぎる質問と少しの答え」(すんみ 訳) - 著者プロフィール - 山内 マリコ (ヤマウチ マリコ) (責任編集) 1980年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。2008年「16歳はセックスの齢」で「女による女のためのR‐18文学賞読者賞」を受賞。2012年、同作を含む初の単行本『ここは退屈迎えに来て』を刊行、地方に生きる若い女性のリアルを描いた。小説『アズミ・ハルコは行方不明』『かわいい結婚』『あのこは貴族』『選んだ孤独はよい孤独』、エッセイ『皿洗いするの、どっち? 目指せ、家庭内男女平等』、短篇&エッセイ『あたしたちよくやってる』など著書多数。 柚木 麻子 (ユズキ アサコ) (責任編集) 1981年東京都生まれ。立教大学文学部フランス文学科卒業。2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞、同作を含む連作短篇集『終点のあの子』でデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を数多く発表。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞受賞。同作は、高校生直木賞も受賞した。他の著書に「ランチのアッコちゃん」シリーズ、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』『デートクレンジング』『マジカルグランマ』など多数。
-
ウーマン・イン・バトル 自由・平等・シスターフッド!|マルタ・ブレーン, イェニー・ヨルダル(イラスト), 枇谷玲子(翻訳)
¥1,760
合同出版 2019年 ソフトカバー 128ページ B5 - 内容紹介 - 2018年ノルウェー文化省児童書賞 最優秀賞 2019年ボローニャ・ラガッツィ賞 優秀賞(ノンフィクションの部) 『THE GUARDIAN』の「The best children’s books of 2018 for all ages」企画にも選ばれ、 日本を含む22カ国で翻訳される注目の1冊 ノルウェー発! 民主主義を求め闘った女性たちの歴史を描いたコミック作品 19世紀、女性と男性とでは人生を送る条件がまったく違っていました。 女性は投票もできず、自分でお金を稼ぐこともできませんでした。自分の体を管理することはできませんでした。女性の体の決定権は父親にあり、結婚してからは夫がそれを引き継ぐのです── 解題:牟田和恵(大阪大学 ジェンダー論) 伊藤詩織さん(ジャーナリスト)推薦! ──この本で出会う女性たちと、彼女たちの言葉を、私は忘れることがないでしょう。 ミレニアル世代の私は、“自由”な環境で育ってきた。 自分が性暴力被害を経験するまでは、この社会に鎖が存在することにも、 その鎖に傷つけられてきたことにも、気づかなかった。気づきたくなかったのかもしれない。 鎖から放たれようと行動するのは容易なことではない。 けれど「言葉ではなく行動を」 あなたが動けば必ず波が生まれ、それはいずれ未来を動かす大波にもなる。 一人一人にそのパワーがある。 そうこの本は教えてくれる。── 目次 この本で取り上げる人物 エリザベス・キャディー・スタントン(1815 - 1902) ルクレティア・モット(1793 - 1880) ハリエット・タブマン(1822頃 - 1913) ソジャーナ・トゥルース(1797 - 1863頃) オランプ・ド・グージュ(1748 - 1793) メアリ・ウルストンクラフト(1759 - 1797) ミリセント・フォーセット(1847 - 1929) エメリン・パンクハースト(1858 - 1928) ファーテメ・バラガーニー(生年不明* - 1852) クララ・ツェトキン(1857 - 1933) ローザ・ルクセンブルク(1871 - 1919) マーガレット・サンガー(1879 - 1966) マララ・ユフスザイ(1997 - ) *1814~1817年の間に生まれたとされる 著者プロフィール マルタ・ブレーン (マルタ ブレーン) (著/文) 1976年生まれ。数々の作品を世に送り出しているノンフィクション作家。 ノルウェーの音楽シーンにおける男女の不均衡を扱った『女子とワインと歌』や、男女平等が進むノルウェーで現在起こっている揺り戻しについて書いた『生まれつきフェミニスト』などを発表。本作のイラストレーター、イェニー・ヨルダルとの共作には、ベストセラー『あなたが会うべき60人の女性』や、ノルウェーで文化省青少年向けノンフィクション賞に輝いた『エフ・ワード──フェミニストでいる155 の理由』などがある。本作『ウーマン・イン・バトル』は、20カ国以上で出版が決まっていて、2019 年ボローニャ・ラガッツィ賞優秀賞(ノンフィクションの部)や、ノルウェー文化省児童書賞最優秀賞を受賞。英国紙『ガーディアン』の記事でも、2018年の最有良児童書の一つとして紹介された。 イェニー・ヨルダル (イェニー ヨルダル) (イラスト) 1989年生まれ。数々の受賞歴があるノルウェーのイラストレーター、漫画家、グラフィックデザイナー、作家。 オスロ国立芸術大学卒業。環境教育漫画『緑』をはじめとして、多くの作品のイラストを手がけている。本作の著者、マルタ・ブレーンとは、『あなたが会うべき60人の女性』『エフ・ワード──フェミニストでいる155 の理由』などの本を共作し、高い評価を得ている。 枇谷玲子 (ヒダニレイコ) (翻訳) 1980年、富山県生まれ。2003年、デンマーク教育大学児童文学センターに留学。2005年、大阪外国語大学(現大阪大学)卒業。在学中の2005年に翻訳家デビュー。北欧の書籍を翻訳紹介している。主な訳書に、『キュッパのはくぶつかん』(福音館書店)、『自分で考えよう』(晶文社)、『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。
-
完全版 韓国・フェミニズム・日本|斎藤 真理子(編集)
¥1,760
河出書房新社 2019年 ソフトカバー 198ページ A5判 - 内容紹介 - 創刊以来86年ぶりの3刷となった「文藝」2019年秋季号の特集「韓国・フェミニズム・日本」、内容を新たにした完全版! ベストセラー小説『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者チョ・ナムジュによる傑作短編「家出」、シンガー・ソングライターのイ・ランによる初邦訳作「手違いゾンビ」、新世代のフェミニスト作家ユン・イヒョンの代表作「クンの旅」、性暴力をめぐり社会の現実を克明に暴くパク・ミンジョン「モルグ・ジオラマ」など、韓国文学の最前線をいち早く紹介! さらに、いま韓国で最も注目を集め、文学の未来を担う作家ファン・ジョンウンとチェ・ウニョンのふたりによる、本書のための書き下ろしエッセイを収録。 他にも大注目の書き手たちによる書き下ろしと特別企画を加え、「文藝」の特集からさらにパワーアップし、『完全版 韓国・フェミニズム・日本』としてここに誕生! 目次 【巻頭言】 斎藤真理子「未来から見られている」 【小説】 チョ・ナムジュ「家出」すんみ/小山内園子訳 イ・ラン「手違いゾンビ」斎藤真理子訳 ユン・イヒョン「クンの旅」斎藤真理子訳 パク・ミンジョン「モルグ・ジオラマ」斎藤真理子訳 【緊急寄稿】 ファン・ジョンウン「大人の因果」斎藤真理子訳 チェ・ウニョン「フェミニズムは想像力だ」古川綾子訳「フェミニズムは想像力だ」 【対談】 斎藤真理子×鴻巣友季子「世界文学のなかの隣人 祈りを共にするための「私たち文学」」 【エッセイ】 小川たまか「痛みを手がかりに 日本と韓国のフェミニズム」 倉本さおり「のっからないし、ふみつけない」 豊崎由美「斎藤真理子についていきます」 ハン・トンヒョン「違うということ、同じということ」 ひらりさ「街なかですれ違った(かもしれない)あなたへ」 渡辺ペコ「推しとフェミニズムと私」 MOMENT JOON「僕の小説は韓国文学ですか」 【論考】 江南亜美子「小説家が語りだす歴史」 姜信子「極私的在日文学論 針、あるいは、たどたどしさをめぐって」 【ブックガイド】 斎藤真理子・選 韓国文学極私的ブックリスト15 もっと読みたい、もっと知りたい! 厳選ブックガイド36冊 【特別企画】 現代K文学マップ 『82年生まれ、キム・ジヨン』からBTSまで [完全版]わかる!極める! 韓国文学一夜漬けキーワード集 著者プロフィール 斎藤 真理子 (サイトウ マリコ) (編集) 1960年生まれ。訳書にパク・ミンギュ『カステラ』(第1回日本翻訳大賞)、ファン・ジョンウン『誰でもない』、チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』、ハン・ガン『すべての、白いものたちの』他多数。
-
男の子になりたかった女の子になりたかった女の子|松田青子
¥1,650
中央公論新社 2021年 ソフトカバー 232ページ 四六判 - 内容紹介 - 「私の生理ってきれいだったんだ」 『おばちゃんたちのいるところ』が世界中で大反響の松田青子が贈る、はりつめた毎日に魔法をかける最新短編集。 コロナ禍で子どもを連れて逃げた母親、つねに真っ赤なアイシャドウをつけて働く中年女性、いつまでも“身を固めない" 娘の隠れた才能……あなたを救う“非常口"はここ。 - 著者プロフィール - 松田 青子 (マツダアオコ) (著/文) 1979年、兵庫県生まれ。同志社大学文学部英文学科卒業。2013年、デビュー作『スタッキング可能』が三島由紀夫賞及び野間文芸新人賞候補に、14年にTwitter 文学賞第1位となり、19年には『ワイルドフラワーの見えない一年』収録の「女が死ぬ」(英訳:ポリー・バートン)がアメリカのシャーリィ・ジャクスン賞短編部門の候補となった。その他の著書に『英子の森』『おばちゃんたちのいるところ』、翻訳書にカレン・ラッセル『狼少女たちの聖ルーシー寮』『レモン畑の吸血鬼』、アメリア・グレイ『AM/PM』、ジャッキー・フレミング『問題だらけの女性たち』、カルメン・マリア・マチャド『彼女の体とその他の断片』(共訳)、エッセイ集に『ロマンティックあげない』『じゃじゃ馬にさせといて』などがある。
-
舌を抜かれる女たち | メアリー・ビナード, 宮崎真紀 訳
¥1,760
晶文社 2020年 ソフトカバー 132ページ 19.4 x 13.6 x 1.4 cm - 内容紹介- 【英ガーディアン紙が選ぶ<21世紀の100冊>に!】 「このコンパクトなマニフェストは、たちまちフェミニズムの古典となった」 メドゥーサ、ピロメラ、ヒラリー・クリントン、テリーザ・メイ……。 歴史上長らく、女性たちは公の場で語ることを封じられ、発言力のある女性は忌み嫌われてきた。 古代ギリシア・ローマ以来の文芸・美術をひも解くと、 見えてくるのは現代社会と地続きにあるミソジニーのルーツ。 軽やかなウィットをたずさえて、西洋古典と現代を縦横無尽に行き来しながら、 女性の声を奪い続けている伝統の輪郭をあぶり出す。 #MeToo運動を受けて追記された二つめの著者あとがきも収録 英ガーディアン紙が選ぶ<21世紀の100冊>のひとつに! 英サンデー・タイムズのベストセラー第1位! NYタイムズのベストセラーにランクイン! 「権力とは何か、何のためのものか、その大小をどうやって測るべきか、 そういうところから考えていかなければならない。 別の言い方をすれば、女性が権力構造に完全には入り込めないのなら、 女性ではなく、権力のほうを定義し直すべきなのです。」(本文より) 【目次より】 はじめに 第一部 女が発言すること 第二部 女がパワーを持つということ あとがき 講演を本にすること―そして、失敗する権利について 本から#MeTooへ―そして、レイプに関する考察 参考文献および読書案内 目次 【目次より】 はじめに 第一部 女が発言すること 第二部 女がパワーを持つということ あとがき 講演を本にすること―そして、失敗する権利について 本から#MeTooへ―そして、レイプに関する考察 参考文献および読書案内 著者プロフィール メアリー・ビアード (メアリービアード) (著/文) ケンブリッジ大学古典学教授、ニューナム・カレッジ特別研究員、「ロンドン・タイムズ」紙文芸付録の古典文学編集者。英国学士院会員、アメリカ芸術科学アカデミー特別会員。著書に国際的ベストセラー『SPQR ローマ帝国史』(邦訳、亜紀書房)のほか、Confronting the Classics』、『Pompeii: The Life of Roman Town』( ウルフソン歴史賞)など多数。アストゥリアス皇太子賞受賞、大英帝国勲章(デイム・コマンダーDBE)受勲。 宮﨑真紀 (ミヤザキマキ) (翻訳) 英米文学・スペイン語文学翻訳家。東京外国語大学外国語学部スペイン語学科卒業。訳書にメアリー・ビアード『SPQR ローマ帝国史』、ルイーズ・グレイ『生き物を殺して食べる』(ともに亜紀書房)、ビクトル・デル・アルボル『終焉の日』(東京創元社)、ニナ・マクローリン『彼女が大工になった理由』(エクスナレッジ)など多数。