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アートとフェミニズムは誰のもの?|村上 由鶴
¥1,078
光文社 2023年 光文社新書 ソフトカバー 272ページ 新書判 - 内容紹介 - アートとフェミニズムは少なくない人びとからよく見えなくなっていて、その実態がよくわからなくなっている。いわば、アートとフェミニズムは入門したくてもできない「みんなのものではないもの」になっているのが実情だ。もともと、「みんなのもの」になろうとするエネルギーを持っているアートとフェミニズム。理解の断絶が進む現在の状況に風穴を開けるには――。フェミニズムを使ってアートを読み解く、あたらしい試み。
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射精責任|ガブリエル・スタンリー・ブレア(著/文)村井 理子(翻訳)齋藤 圭介(解説)
¥2,200
太田出版 2023年 ソフトカバー 216ページ 18.8 x 11.1 x 1.7 cm - 内容紹介 - 望まない妊娠は、セックスをするから起きるのではない。 女性が世界一ふしだらなビッチだったとしても、何の問題もない。 女性の50倍の生殖能力を持ち、 コンドームを着用したセックスは気持ち良くないという偏見に囚われ、 あらゆる避妊の責任を女性に押し付ける男性が、 無責任な射精をしたときのみ起きる。 望まない妊娠による中絶と避妊を根本から問い直す28個の提言。 「セックスをする人、セックスをしたい人、あるいは将来セックスをするかもしれない人を育てている人にとって、必読の書」(ワシントン・ポスト紙)
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小山さんノート|小山さんノートワークショップ(編)
¥2,640
SOLD OUT
エトセトラブックス 2023年 ソフトカバー 288ページ 縦191mm 横131mm 厚さ19mm - 内容紹介 - 「小山さん」と呼ばれた、ホームレスの女性が遺したノート。 時間の許される限り、私は私自身でありたいーー2013年に亡くなるまで公園で暮らし、膨大な文章を書きつづっていた小山さん。町を歩いて出会う物たち、喫茶店でノートを広げ書く時間、そして、頭のなかの思考や空想。満足していたわけではなくても、小山さんは生きるためにここにいた。 80冊を超えるノートからの抜粋とともに、手書きのノートを8年かけて「文字起こし」したワークショップメンバーによるそれぞれのエッセイも収録。 【小山さんのノートより】 働きに行きたくない。仕事がかみあわない。もう誰にも言えない。私は私なりに精いっぱい生きた。(…)私にとって、大事なものは皆、無価値になって押し流されていく。(1991年11月7日) 雨がやんでいたのに、またふってくる。もどろうか。もどるまい。黄色のカサが一本、公園のごみ捨て場に置いてあった。ぬれずにすんだ。ありがとう。今日の光のようだ。(2001年3月18日) 駅近くに、百円ちょうど落ちていた。うれしい。内面で叫ぶ。八十円のコーヒーで二、三時間の夜の時間を保つことができる。ありがとう。イスにすわっていると、痛みがない。ノート、音楽と共にやりきれない淋しさを忘れている。(2001年5月7~8日) 五月二十日、夜九時過ぎ、つかれを回復して夜の森にもどる。 にぎやかな音楽に包まれ、心ゆったりと軽い食事をする。タコ、つけもの、紅のカブ、ビスケット、サラミ少々つまみながら、にぎやかな踊りをながめ、今日も終わる。夜空輝く星を見つめ、新たな意識回復に、十時過ぎまで自由な時間に遊ぶ。合計五百十六円拾う。(2001年5月20日) ほっと一人ゆったりと歩く。のどがかわいた。水かコーヒーを飲みたい。こんな活気のない金曜の夜、三百円もち、何も買えない。人間の人生は生きてる方が不思議なくらいだ。(2001年6月22日) 一体、五十にもなって何をしているんだと、いい年をしてまだ本をもち、売れもしないもの書いて喫茶に通っているのか……と、怒り声が聞こえそうな時、私の体験の上、選んだ生き方だと、私の何ものかが怒る。(2001年6月14日) 私、今日フランスに行ってくるわ。夜の時間をゆっくり使いたいの……。美しい夕陽を見送り、顔が今日の夕陽のように赤く燃えている。(2001年6月27日) 2階カウンターの席にすわり、ノートと向かいあう。まるで飛行機に乗ったような空間。まだ3時過ぎだ。流れるメロディーに支えられ、フランスにいるような気持ちに意識を切り替える。(2002年2月21日) 一時間、何もかも忘れのびのびと終わるまで踊ることができた。明るいライトに照らされた足元に、一本のビンがあった。冷たい酒が二合ばかり入っている。大事にかかえ、夜、野菜と共に夜明けまでゆっくりと飲み、食べる。(2002年9月28日) 五時過ぎ、十八時間の飛行機に乗ったつもりで意識は日本を離れる。外出をやめ、強い風が吹き始めた天空、ゆらゆらゆれる大地、ビニールの音。 (2003年9月7~9日) - 目次 - 「はじめに――小山さんノートとワークショップ」登 久希子 「小山さんが生きようとしたこと」いちむらみさこ 小山さんノート 序 章 1991年1月5日~2001年1月31日 第1章 2001年2月2日~4月28日 第2章 2001年5月7日~8月21日 第3章 2001年8月22日~2002年1月30日 第4章 「不思議なノート」 2002年9月3日~10月4日 第5章 2002年10月30日~2003年3月16日 第6章 2003年7月3日~2004年10月12日 小山さんノートワークショップエッセイ 「小山さんとノートを通じて出会い直す」吉田亜矢子 「決して自分を明け渡さない小山さん」さこうまさこ 「『ルーラ』と踊ること」花崎 攝 「小山さんの手書きの文字」藤本なほ子 「沈黙しているとみなされる者たちの世界」申 知瑛 - 前書きなど - はじめに――小山さんノートとワークショップ 登 久希子 「こやまさん」と呼ばれる女性がいる。小山さんは、都内の公園の「テント村」でテント暮らしをしていた。彼女が亡くなってから10年が経とうとしている。私たち「小山さんノートワークショップ」のメンバーは、小山さんが遺した膨大な量の書き物の文字起こしをする有志として集まり、かれこれもう8年以上活動をしている。 ■小山さんノートワークショップ 小山さんが暮らしていた都内のテント村の住人だったいちむらみさこさんは、具合の悪くなった小山さんを助けるべく、テント村の外にも声をかけて「小山さんネットワーク」を作ろうとしていた。しかし、ほどなくして小山さんは亡くなってしまう。何十冊という小さなノートを遺して。公園暮らしの雨や湿気であまり保存状態のよくないノートも多い。小山さんの火葬の日、いちむらさんたちはそれらのノートも一緒に燃やしてしまおうと考えたが、1行読んで、これは残さないといけない、伝えないといけない、と強く思った。いちむらさんたちは、小山さんの一周忌に追悼展覧会を行い、ノートから文章を抜粋して作った小さな冊子を来た人に手渡した。そしてノートの文字起こし、データ化を一緒に行ってくれる人を募ることにした。 追悼展覧会などを通して小山さんのノートを知った人や、興味を持った人が文字起こしに定期的に関わるようになっていった。そしてだいたい毎月1回、主に週末の午後から夜にかけて集まり、一緒にノートとパソコンに向かうというワークショップのスタイルが定着した。合間にストレッチをしたり、おやつを食べたりしながら文字起こしをし、最後にはいつも持ち寄った色とりどりの夕飯を囲んで、その日読んだところの感想やお互いの近況などを話した。おいしいものを食べることが、私たちは大好きだった。ノートの記述からうかがうに、小山さんも。 手書き文字のデータ化だけならば、わざわざ集まって行う必要もない。なんならパソコンでほとんど自動的にできる機能もある。しかし、小山さんの書くものには、ひとりでは太刀打ちできない難しさがあった。ひとつは、小山さんは達筆すぎて、読みとるのに苦労する文字が多かったこと。ふたつ目は、小山さんがかなり独特の当て字を多用していたため、ひとりでそれらを読み解くのはほとんど不可能だったこと。そして何より、書かれている内容に三つ目の難しさがあった。小山さんのテント生活の記述は、あまりにも衝撃的だったり、悲しくつらいものだったり、あるいは面白すぎたりする描写に満ちているから、「これは!」と思った箇所をただちに誰かと共有したくなる。ワークショップのメンバーは、文字起こしをしながら、それぞれの視点や経験から、小山さんに共感したり、小山さんという人を想像したり、翻って自分自身を見つめ直したりしていたのだと思う。 メンバーのなかで生きている小山さんと会ったことがあるのは二人だけだった。他のメンバーは小山さんの姿を見たことも声を聞いたこともなかったけれど、そんなことは私たちにとってあまり重要ではなかった。二人の話やノートの内容から小山さんのいでたちなどを想像して、それぞれの小山さんが立ち上がる。私たちはノートを通して、小山さんをとても身近に感じるようになっていった。 ■ノートから立ち上がるもの/こと ワークショップでは、文字起こしだけでなく、フィールドワークや路上での朗読、座談会をしてみたりもした。小山さんがよく立ち寄ったらしい神社や常連だったと思われる喫茶店などをメンバーとともに訪れると、ノートに書かれていた状況がちがった解像度で見えてくる。また、座談会は、文字起こしを進めるなかで各自が考えてきたことを改めて語り、共有する機会となった。日が落ちて薄暗くなってくる屋外で小山さんノートの一節を朗読してみるのは、小山さんがそこに現れたかのような、自分の声が自分の声ではなくなるかのような不思議な体験だった。ときどき、足をとめて耳を傾けてくれる人もいた。 思えば、朗読以外はいずれも、ワークショップのメンバーだけで行われたもので、「小山さん」をどのようにメンバー以外にひらいていくのかは、つねに私たちにとって試行錯誤が必要な問題だったのだと思う。小山さんのノート、それに関わる私たち。伝え方を間違ってしまうと、とんでもない方向で誤解されてしまうかもしれない。メンバーのバックグラウンドはさまざまだが、私たちは、小山さんに対するさまざまなレベルでの「共感」を共通項として持っていた。そして、その「共感」を私たちから広く外に向かってひらいていくことについて、逡巡していた。 ■小山さんノートをひらく ワークショップは、コロナ禍のもとでもオンラインでつづけられた。びっしりと文字が書き込まれたA6サイズのノートおよそ80冊をテキストデータにしてみると、A4サイズの用紙に3段組みで659ページもの量になった。私たちが確認できたのは1991年から2004年までに書かれたノートだが、実際にはもっと多くのノートが存在したようだ。小山さんが書いているとおり、公園暮らしでそれだけの量のノートを何年も保管しつづけるのは決して簡単なことではなかっただろう。 小山さんのノートを、いつかワークショップのメンバー以外の人にも読んでもらうことができたら、という思いは文字起こしをはじめた当初から私たちのなかにあった。ただ、そんな膨大な量の文章をそのまま世に出すのはあまり現実的でない。「出版」に際しては、なんらかの編集作業が必要になる。その作業はメンバーにとってものすごく難しい過程だった。そもそもほとんどのメンバーが、小山さんノートの全体を通して読んだことがなかった。だから659ページの原稿をひたすらみんなで読み込む必要があった。積み上げられた小山さんノートを前に文字起こしをしていたころの、果てしない作業の感覚を思いだす。そして、身を切る思いで抜粋した原稿に、それぞれが重要だと思う箇所や思い入れのある部分を追加したり、また他の部分を削除したりしながら、ノートに書かれた小山さんの生を、理解しきれない部分も含めて、どのように立ち上げることができるのか、話し合いが重ねられた。抜粋が恣意的になりすぎないように、小山さんのノートの全体の雰囲気が伝わるように。どれだけノートを読み込んでも、結局のところメンバーの誰も小山さん自身ではないし、小山さんの真意はわからない。それに、「真意」は本人ですら揺れていたり変化したりするかもしれない。そんなことを考えながら、綱渡りのように、抜粋作業は進められた。そして完成したのが本書である。 本書には、1991年から2004年までに書かれた小山さんノートからの抜粋が収められている。アパートに住んでいた頃から、公園に移り、本格的にテント暮らしをはじめる頃までの序章につづき、第1章から第6章まで、小山さんの哲学、テントにおける男性との共同生活、そこで受けた暴力、テントでのひとり暮らし、共同生活を送った男性の死とその後の極貧生活、夢や幻想などがおおよそ時系列に沿って展開する。しかし、回想による記述も多いため、編集を行った私たちとしては、どこから読んでもらってもよいと考えている。 また小山さんノートの本文に入る前に、いちむらさんが小山さんの最期の日々に関わった様子を記したエッセイを、そして本書の最後にはワークショップの各メンバーによるエッセイを収録した。 書くという行為と、そのための時間・空間をテント暮らしの日常の中で維持するのは並大抵のことではない。小山さんは、彼女が「フランス」や「イタリア」と呼ぶ喫茶店にやっとの思いでたどりつくと、コーヒー1杯を前に何時間もノートを書いたり、それを読み直したり、さらに書き加えたりしていた。何年も後に記述を足しているので、読んでいる私たちとしては、時間が行ったり来たり、タイムスリップするような感覚を覚えることも多かった。 小山さんは、ユーモアのある、どこか冷静な記述をとおして、自分自身をある意味でつきはなしてみたり、赦してみたりしながら、日々を生きつないでいたのではないかと思う。ノートに出てくるフランスへの旅やルーラという存在は、空想や妄想のようにもみえる。でも小山さんは現実をあきらめて「空想」に生きていたわけではない。それらの「妄想」は現実を生きるために小山さんが生み出したものであり、また小山さんに与えられたものだったのだ。それらを含めた現実を、小山さんは生きていた。ときに悲嘆に暮れることはあっても、ノートの中の小山さんは、常に何かの可能性や未来を信じていた。 小山さんノートは、決して簡単に読み進めることができるものではない。でも難解なものでもない。ひとりで読み進めることが難しいときは、この本を持って、小山さんのように、喫茶店など人の気配のあるところに、外の景色が見えるところに行ってみるのもよいかもしれない。 - 著者プロフィール - 小山さんノートワークショップ (コヤマサンノートワークショップ) (編) 2015 年3月から月1回ほどのペースで集まり、小山さんが遺した手書きのノートの文字起こしや、小山さんが歩いた道をノートに書かれたとおりにたどってみるフィールドワーク、路上朗読会、ノートとのかかわりを語りあう座談会などを行ってきた。野宿者、ひきこもり、非正規労働者、アーティスト、留学生、研究者など、様々なメンバーがゆるやかに入れ替わりながら継続している。
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#Z世代的価値観|竹田 ダニエル
¥1,650
SOLD OUT
講談社 2023年 ソフトカバー 208ページ 四六判 - 内容紹介 - マーケティング用語じゃない。これはまったく新しい「世代論」絶望的な世界に生まれた“Z世代”が「愛」と「連帯」で価値観の革命を起こす!「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023」受賞!メディア・SNSで話題騒然!『世界と私のA to Z』の著者による画期的エッセイお金、健康、人間関係、SNS、仕事――Z世代的価値観で分析する“私たちのいま”・「ホットガール」とセルフラブ・セラピーは心の必需品・「リアル&楽しい」食に夢中・エブエブ旋風の奇跡・さよなら「インフルエンサー」消費・つながりが広げる読書・ブランド価値より「今」の価値・「仕事≠人生」的な働き方
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はじめてのフェミニズム|デボラ・キャメロン, 向井 和美(翻訳)
¥968
筑摩書房 2023年 ちくまぷりまー新書 ソフトカバー 224ページ 新書判 - 内容紹介 - 女性にはどんな権利が必要? 「女の仕事」はどう生まれた? 多様で複雑なフェミニズムの論点を、多様で複雑なまま、でもわかりやすく伝えます。 === 帯テキストを入力ください(任意) *改行可 *内容の重複注意 なぜいつも男子がリーダーなのか 女性もバリバリ働くべき? 家事にお金を払ったら? なぜ天才と言われる女性は少ないのか 整形っていけないこと? 性描写はやめるべきか ――実は、フェミニストの意見は分かれます 対立も矛盾もそのまま理解し、前に進むための超入門! === 目次 第一章 支配 第二章 権利 第三章 仕事 第四章 女らしさ 第五章 セックス 第六章 文化 第七章 断層線と未来 - 著者プロフィール - デボラ・キャメロン (デボラ・キャメロン) (本文) デボラ・キャメロン(Deborah Cameron):1958年生まれ。オックスフォード大学教授。専門はフェミニズム言語学、フェミニズム批評、言語とメディアなど。邦訳に『話し言葉の談話分析』(ひつじ書房、2012)、『ことばとセクシュアリティ』(共著/三元社、2009)がある。 向井 和美 (ムカイ カズミ) (翻訳) 向井和美(むかい・かずみ):翻訳者。早稲田大学第一文学部卒。訳書に『哲学の女王たち』(晶文社)、『プリズン・ブック・クラブ』『アウシュヴィッツの歯科医』(紀伊國屋書店)など。また、学校図書館司書として生徒たちの読書会を助け、自らも30年以上にわたり読書会に参加し続けた経験を『読書会という幸福』(岩波新書、2022)で綴っている。
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アンカット・ファンク 人種とフェミニズムをめぐる対話 | ベル・フックス, スチュアート・ホール(著), 吉田 裕(訳)
¥2,970
人文書院 2023年 ソフトカバー 250ページ 四六判 縦188mm 横132mm 厚さ18mm - 内容紹介 - カルチュラル・スタディーズとフェミニズムの出会い ふたりの思想家がポール・ギルロイの仲介のもと1996年のロンドンで対話した。フェミニズムとカルチュラル・スタディーズそれぞれの隆盛を担い、世界的知識人となったベル・フックスとスチュアート・ホール。ともに黒人のアカデミシャンでありながら、来歴と経験を大きく異にし世代も違う男女は、深く共感しながらも時に鋭く言葉を交わす。ジェンダー、人種、家父長制、アイデンティティ・ポリティクスなど、20世紀後半の社会状況を踏まえた議論の数々と、それらに自らの人生を重ねた繊細な語りは、四半世紀の時を超えて新鮮な発見とアクチュアリティをもたらす。 「フェミニズムは政治についての女たちの考え方を変えた以上に、わたしの政治についての考え方を変えてしまった。」(ホール) 「場所を失うという感覚こそが、まさにフェミニズムに関して多くの男たちが恐れ続けていることなんですよ。ものの見方においてはっきりとした変化が求められているのは、性差別という観点から自身に染みついた考え方を解体するプロセスなのです。」(フックス) - 目次 - 序文 ポール・ギルロイ はじめに ベル・フックス 一 フェミニズムとの出会い 二 家父長制と人種 三 戯れ、死、病 四 アイデンティティ・ポリティクス、あるいは自己を語ることの不可能性 五 男らしさと不安 六 フェミニズムと連帯の可能性 訳者あとがき 人名索引 - 著者プロフィール - ベル・フックス (ベルフックス) (著) 1952年、ケンタッキー州生まれ。2021年没。アフリカ系アメリカ人のフェミニスト。ニューヨーク市立大学シティカレッジなどで英米文学やフェミニズムを教える。日本語訳に、『フェミニズムはみんなのもの』(堀田碧訳、新水社、新版:エトセトラブックス)、『とびこえよ、その囲いを』(里見実ほか訳、新水社)、『アメリカ黒人女性とフェミニズム』(大類久恵監訳、柳沢圭子訳、明石書店)、『アート・オン・マイ・マインド』(杉山直子訳、三元社)、『オール・アバウト・ラブ』(宮本敬子、大塚由美子訳、春風社)、『ベル・フックスの「フェミニズム理論」』(野﨑佐和、毛塚翠訳、あけび書房)など。 スチュアート・ホール (スチュアート ホール) (著) 1932年、ジャマイカ生まれ。2014年没。イギリスの文化理論家。バーミンガム大学の現代文化研究センターを率い、カルチュラル・スタディーズを確立した。著書に、Policing the Crsisis' Mugging, the State and Law & Order(Chas Critcherらとの共著、Palgrave, 1978)、The Hard Road to Renewal: Thatcherism and the Crisis of the Left(Verso, 1988)、Essential Essays, Vol. 1 & Vol. 2(Duke University Press, 2019)など。邦訳に、『親密なるよそ者』(吉田裕訳、人文書院)など。 吉田 裕 (ヨシダ ユタカ) (訳) 東京理科大学准教授。専門はカリブ文学及び思想、文化研究。著書に『持たざる者たちの文学史 帝国と群衆の近代』(月曜社)。訳書にノーム・チョムスキー『複雑化する世界、単純化する欲望 核戦争と破滅に向かう環境世界』(花伝社)、ニコラス・ロイル『デリダと文学』(共訳、月曜社)、ポール・ビュール『革命の芸術家 C・L・R・ジェームズの肖像』(共訳、こぶし書房)、ジョージ・ラミング『私の肌の砦のなかで』(月曜社)、スチュアート・ホール、ビル・シュワルツ『親密なるよそ者』(人文書院)など。
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おしゃべりから始める私たちのジェンダー入門 | 清田 隆之
¥1,925
朝日出版社 2023年 ソフトカバー 264ページ 四六判 - 内容紹介 - あのとき悩んだあのことは、全部ジェンダーの問題だったのかも・・?! 非モテ男性たちのぼやき、仮性包茎に『うっせぇわ』、『おかあさんといっしょ』や母親からの過干渉、ぼる塾、阿佐ヶ谷姉妹のお笑い、ZARDに朝ドラの男性たち、パワハラ、新興宗教、ルッキズム…… ジェンダーを自分事として考えるために。 共同通信配信の好評エッセイ「清田隆之の恋バナ生活時評」を大幅加筆。より正直に、言葉の密度高く書籍化。 日々を暮らす中で感じたモヤモヤを、誰かと話しながら言語化していく営みこそ、ジェンダーという巨大にしてつかみどころがなく、それでいて根源的で影響力も計り知れない問題に向き合うためのきっかけになるのではないか。私というミクロの世界と、社会というマクロの世界は、どこかで確実につながっている。――「まえがき」 - 目次 - 第1章 〈男〉について考え続けた2年間のこと 恋バナは楽しい。でも、どんどんしづらいものになっていった/痴漢被害に憤る女、痴漢冤罪に怯える男/男たちは自分のことをわからないままでいいのか… 第2章 コロナと育児と生活の限界 子どもの成長はあっという間。でも、大人の1年だってそれなりに長い/自分を許してくれない〝リトル清田〞の厳しさ/子どもが風邪をひくと一瞬で詰む日々… 第3章 #stayhomeと令和のエンタメ 朝ドラの弱くて優しい男たち/阿佐ケ谷姉妹に感じた〝男性的〞ではない笑いの感覚/「ガッキーロス」に独禁法まで持ち出す〝ノリ〞の気持ち悪さ… 第4章 心を開いて、清田くん! 恋愛のモヤモヤに潜む政治意識のズレ/「暴力とコミュニケーションが紙一重」の領域で傷つく男性たち/「お茶する」ことの醍醐味、ガールズトークの文化に学んだこと… - 著者プロフィール - 清田隆之 (キヨタタカユキ) (著/文) 1980年東京都生まれ。文筆業。恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。早稲田大学第一文学部卒。これまで1200人以上の恋バナに耳を傾け、恋愛とジェンダーをテーマにコラムを執筆。朝日新聞be「悩みのるつぼ」では回答者を務める。 単書に『さよなら、俺たち』(スタンド・ブックス)、『自慢話でも武勇伝でもない「一般男性」の話から見えた生きづらさと男らしさのこと』(扶桑社)、桃山商事名義としての著書に『生き抜くための恋愛相談』『モテとか愛され以外の恋愛のすべて』(イースト・プレス)、澁谷知美氏との共編著に『どうして男はそうなんだろうか会議──いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと』(筑摩書房)、トミヤマユキコ氏との共著に『文庫版 大学1年生の歩き方』(集英社)などがある。
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明日少女隊作品集|We can do it ! : アート×フェミニズム×アクティビズム | 明日少女隊, 由本みどり, 竹田恵子, 吉良智子, 嶋田美子, 山本浩貴
¥1,870
アートダイバー 2023年 ソフトカバー 156ページ B5判 - 内容紹介 - 「第4波フェミニズム」期のまっただなか、2015年に誕生した社会派アートグループ「明日少女隊」。これまでの作品や活動を網羅するだけでなく、ジェンダー学の基礎知識や時事問題をふんだんに盛り込み、「フェミニスト×アート」を実践的に学べる入門書決定版! 世界中に散らばる約50名の隊員で構成され、ピンクのマスクがトレードマークの匿名アーティスト集団「明日少女隊」。本書は、フェミニズムの旗を掲げ結成した2015年から、2023年の最新作までを収録した初の作品集です。フェミニズムに関わる社会の出来事を年表化しながら、それに応答してきた「明日少女隊」の活動を時系列に追いかけます。 明日少女隊の特徴は、アートとしてフェミニズム問題を表現するだけでなく、実際に社会への強い働きかけを行うところにあります。その活動範囲は広く、性犯罪に関わる刑法の改正、広辞苑のフェミニズムの定義の見直しのほか、「慰安婦」問題やトランスジェンダーの権利問題など多岐にわたります。 本書の特筆すべきポイントは、単に作品集であるだけでなく、女性の参政権獲得に始まるフェミニズムの歴史を解説するなど、フェミニズムの入門書としても使えるように基礎知識をわかりやすく説明しているところです。外部の有識者による寄稿や対談を盛り込み、また会話形式や吹き出しを多用することで、フェミニズムを身近に感じることができる一冊となっています。 フェミニズムは今日盛り上がりをみせていますが、美大などの専門の教育機関でさえ、アートとフェミニズムの両方を学ぶ機会は少ない現状にあります。本書は、こうした状況を打開すべく、フェミズム・アートを一から学びたい方のためにつくられており、それは、「全ての性の平等を願うフェミニズムの思想」を広める明日少女隊の活動そのものといえる書籍となっています。 - 目次 - 明日少女隊マニフェスト 明日少女隊とは? 明日少女隊と見るフェミニズム年表 2010年代から始まったフェミニズム「第4波」ってなに? 明日少女隊を通して考えるフェミニスト・アート入門 文・由本みどり 明日少女隊フェミニズム年表&アクション2015-2023 2015年 なれるものなら“Happy彼女” “Happyカップル”になるために、終わりにしよう!「デートDV」と「性的役割分業」 東の果ての少女 美しきシングルマザー フツーの家族 戦後女性感謝プロジェクト あきらめない! 選べる夫婦別姓 世界フェミCM大賞2015 2016年 隠れフェミニストへの感謝状 ガールズ・パワー・パレード Believe~わたしは知ってる~キャンペーン 性犯罪規定を見直す改正刑法が成立 ドラマや映画・本で性暴力を学ぼう! ビリーブ・キャンペーンのデザインについて 2017年 ウィメンズ・マーチ 女子力カフェ 明日少女隊と選挙 ジェンダー問題 21世紀の政治家失言集 メイデー・マーチ バックラッシュとポストフェミニズム 文・竹田恵子 広辞苑キャンペーン 2018年 忘却への抵抗inロサンゼルス 明日少女隊と考える慰安婦問題入門/「慰安婦」問題は、#MeTooだ アート界の#MeToo#私たちは驚きません 2019年 忘却への抵抗inソウル 忘却への抵抗in東京 エンパワメント・マーチ 2020-2023年 無意識に誰かを傷つけないために 明日少女隊のコロナ禍でのアクティビズム 男女二元論を超えて 私のことは私が決めるマーチ フェミニズムはトランスと共に ライフライン 対話・論考・資料 対談「碧志摩メグ」公認撤回運動の成果 吉良智子×明日少女隊 対談「慰安婦」問題とフェミニズム 嶋田美子×明日少女隊 変化すべき日本美術界における構造 文・竹田恵子 ソーシャリー・エンゲージド・アートとしての明日少女隊 文・山本浩貴 明日少女隊略歴 あとがき 隊員・協力者一覧
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慣れろ、おちょくれ、踏み外せ ――性と身体をめぐるクィアな対話 | 森山至貴, 能町みね子
¥1,980
SOLD OUT
朝日出版社 2023年 ソフトカバー 320ページ 四六判 - 内容紹介 - “みんな”でいたくない“みんな”のために「LGBT」に分類して整理したら、終わりじゃない。「わからない」と「わかる」、「マイノリティ」と「マジョリティ」を 行き来しながら対話する、繊細で痛快なクィアの本。 ときに反抗的で、しなやかな態度は明日への希望に――。性、恋愛、結婚、家族、子孫、幸福、身体、未来――バラバラのままつながった壮大な「その他」たちが、すべての「普通」と「規範」を問い直す。「『普通』や『みんな』という言葉に己を託したり託さなかったり、託せたり託せなかったりする読者のみなさんを、風通しのよい、というよりは強風吹きすさぶ場所へと連れて行ってしまおうというのが私たちの企みです。どうぞ、遠くまで吹き飛ばされてください」(森山至貴「はじめに」より)「ワクワクだけでも足りません。ヒヤヒヤするかもしれませんし、何か責められたような気分でイライラしたり、何様だコイツ、という思いでムカムカするかもしれません。逆に、全然言い足りてないぞ、と思うこともあるかもしれません。そのくらいのほうが普通じゃないかと思います。そのくらいでないと、私たちも語った甲斐がありません」(能町みね子「おわりに」より) 目次 はじめに 森山至貴 第1章:私たち「その他」は壮大なんですけど? LGBTQ+、分類して整理したあとの、その先の話 【能町さんへ】/「クィア」は強烈な侮蔑語から始まった/「あなたはLGBTですか?」は「老若男女ですか?」と同じ/この箱に入れて、わかったつもりになるな/人生の途中で、性のあり方も含めて変わる/学生に「セクシュアル・マイノリティをインタビューしたい」と言われたら/LGBTをふたつに分けるとき、どこで分かれる?/「LGBT」は、いつの間にひとまとまりに?/LGBT以前/HIV/AIDSが連帯の契機に/日本におけるトランスジェンダー/日本の差別のかたち/自分も意識が変わってきている/私はトランスジェンダーが一番わからない/名前をつけられない人たち/分類して整理したら終わりじゃない/壮大なその他 ●当事者性が強すぎて 【森山さんへ】/当事者性が強すぎて/「乗り越える」って、なに? 第2章:基準を疑え、規範を疑え ――性、性別、恋愛ってなんだろう? 男と女っていう二通りじゃない/男とは? 女とは?――「好きな男ランキング」で悩む/男と女と「それ以外」?/基準自体を疑っていい――性の面的イメージ/身体的に非典型的な性別のあり方をしている人たち/LGBTみたいな枠組みを世界中に広めていいのか/「好き」は性別を認識してから芽生えるのか?/「早い段階で決まる」は違う/一貫していないと「偽物」なんじゃないか/性自認とジェンダー/地域格差とインターネット/恋愛至上主義規範/恋愛感情は、ある人がない人を想像するのが難しい/ポリアモリー――好きになる気持ちが複数、均等に/「恋愛と友情」とか、みんな飽きずに議論し続けている/「ひとりのやつはヤバいやつ」規範 ●「わからない」って言いたいだけじゃん 【能町さんへ】/「わからない」ことを正当化する物言い 第3章:いい加減、そろそろ慣れてくれないかな ――マイノリティとマジョリティのあいだ 「マイノリティだから素晴らしい」がやばい/一回下に見ないと面白がれない社会は不幸だ/セクシュアル・マイノリティが出てくるドラマを観ると……/トランスの役は当事者こそ演じるべき?/「出てくる必然性のないゲイとか出すなよ」というレトリック/マイノリティとマジョリティの境目って?/ホモナショナリズム――「ゲイ差別はもうないです」/勝ち組のセクシュアル・マイノリティ/「弱者を救う」と言う政治家を、弱者はなぜ支持しないのか/「受け入れる」のベースに「受け入れない」がある/「LGBTアライっておかしくない?」/「私たちはここにいる。慣れることね」/「慣れろや」の背後にあるもの ●それは「論」ではありません 虐げられている人を助けようとする人が、別の何かを虐げてしまう/乗らないですよ、そんな土俵――TERFの問題 第4章:制度を疑い、乗りこなせ ――「結婚」をおちょくり、「家族像」を書き換える 侮蔑語を「逆手に取る」こと/クィアを使うための三本柱/結婚という制度をおちょくってみた/なんで友達同士で結婚しちゃいけないの?/結婚にあらゆるものを乗せていく/「家族」を見直す/いろんなものが「家族」でありうる/住むことってなんだろう?/誰もがそつなく「ステイホーム」できるわけじゃない/みんなキャバクラの人たちのことをどう思っているの? 第5章:そんな未来はいらないし、私の不幸は私が決める ――流動する身体、異性愛的ではない未来 【森山さんへ】/「見える差異」に依存していていいのか/「ありのまま」が、とにかく嫌だ/身体は変わるし、変えられる/「心は女、体は男」?/私の不幸は私が決める/不幸に対する解像度を上げていく/なんで未来を考えなきゃいけないの?/少子化とか知らねえわ。クローン人間、なぜいけない?/空想――どんな生殖のかたちがいいだろう?/「少子化対策」がすべて私の頭を素通りする/子供の話を出されちゃうかな/未来に待っているロールモデルに私のものはない/私たちが「幸福」に蝕まれないために 第6章:「出過ぎた真似」と「踏み外し」が世界を広げる――「みんな」なんて疑ってやる 聞いたこともない性的指向の人に会ってみたい/「どうせロリコンは認めないくせに」/彼らの救いはどこにあるのか/合意の技法が最高に発達 ――BDSM/BDSMは性別の組み合わせに重きを置いていない/外側に向かって倒れながら開いていく「みんな」/ずるい、図々しい、厚顔無恥!/踏み外したり、出過ぎたりが世界を広げる おわりに 能町みね子 参考文献
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わたしとあなた 小さな光のための対話集 | me and you
¥3,850
me and you 2022年 ソフトカバー 372ページ 122mm×192mm 背幅約25mm - 内容紹介 - me and youでは、2022年2月よりメディア・コミュニティ『me and you little magazine & club』を立ち上げ、この場所を耕すために考えを深めたいことを「6つの灯火」として掲げ、その内容を対話の形で掘り下げていく「i meet you」シリーズをつくっています。 『わたしとあなた 小さな光のための対話集』は「i meet you」のなかから、次の13名との対話を収録しています。 ・清水晶子さん(東京大学大学院総合文化研究科教授) ・秋田祥さん(ノーマルスクリーン主宰) ・伊藤絵美さん(公認心理師、臨床心理士、精神保健福祉士、洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長) ・武田砂鉄さん(ライター) ・ドミニク・チェンさん(博士/学際情報学) ・小林エリカさん(作家・マンガ家) ・穂村弘さん(歌人) ・竹田ダニエルさん(ライター) ・ブライアン・ヒューさん(ライター・編集者・翻訳者・活動家・DJ・『New Bloom』創設者) ・ソン・スンリエンさん(「女書店」取締役会長) ・ジェイ・リンさん(『GagaOOLala』『Portico Media』創設者兼最高経営責任者) ・バイロン・デュヴェルさん(ミュージシャン、『Queer Trash Taiwan』創設者) ・イ・ランさん(マルチ・アーティスト) ほかにも、me and youの野村・竹中が新しい場所の立ち上げに込めた思いを綴ったコラムや、13名とme and youによる作品案内などを読むことができます。 『わたしとあなた 小さな光のための対話集』は、一人ひとり異なる「わたしとあなた」が、個人的な想いや違和感をなかったことにせず、社会の構造にも目を向けながら、ともに生きていける関係性や場所について考えた一冊です。 フェミニズムやクィアの表象、メンタルヘルス、マチズモ、戦争、差別……といったテーマをはじめとして、それぞれの分野で研究や発信をおこなっている日本、台湾、韓国、アメリカを拠点に活動している方々との対話を収録しました。 どのテーマも、歴史において複雑に絡み合った構造のなかにあり、時には自分ひとりの力でなにができるのか、立ち止まってしまうような場面もあるかもしれません。それでも、me and youが大切にしたいと考えている「個人と個人の対話」や「“わたし”と“あなた”という小さな主語」を立脚点とし、自分たちを含め、一人ひとりが自分の内側にもっている感情や経験を振り返りながら、個人的な想いをなかったことにしないまま、どう社会の構造と向き合い、関わっていくのかということについて、迷い、悩みながらも前身していくための光を見つけるような一冊になればと願っています。ぜひ、お手にとっていただけたらうれしく、励まされます。 (版元紹介文より)
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現代思想 2021年11月号 特集=ルッキズムを考える
¥1,760
青土社 2021年 ソフトカバー 254ページ 四六判 - 内容紹介 - 「見た目」をめぐる倫理を問う 近年「ルッキズム(外見に基づく差別や偏見)」という言葉が急速な広がりを見せている。本特集では「見た目」をジャッジする暴力の問題を、レイシズムなど様々な差別とのかかわりとともに、また美をめぐる私たちの欲望の両義性や、視覚中心的な社会のあり方などについても問い直しながら、広く深く検討することを試みたい。 [目次] 特集*ルッキズムを考える 【討議】 外見に基づく差別とは何か――「ルッキズム」概念の再検討 / 西倉実季+堀田義太郎 【交差し複合するルッキズム】 「障害があるように見えない」がもつ暴力性――ルッキズムと障害者差別が連動するとき / 飯野由里子 ルッキズムとレイシズムの交点――「ハーフ」表象をめぐる抑圧と対処 / ケイン樹里安 移住家事労働者から考える、「らしさ」の境界線 / 小ヶ谷千穂 キャスター・セメンヤと大坂なおみとルッキズム――黒人女性アスリートのジェンダーとセクシュアリティ / 山本敦久 「どんな見た目でもいいじゃない、LGBTの人たちみたいに」 / 森山至貴 可視化か不可視化か――トランスジェンダーのパスの経験におけるジレンマ / 山田秀頌 【まなざしの坩堝のなかで】 ままならない交差点――ジェンダークィアのボクが生きてきたこの身体について / 古怒田望人/いりや 都市の骨を拾え / 高島鈴 【メディアの〈目〉を問い直す】 脱毛広告観察――脱毛・美容広告から読み解くジェンダー、人種、身体規範 / 小林美香 娯楽と恥辱とルッキズム / 田中東子 男性身体とルッキズム / 北村匡平 ルッキズムの解毒剤――ブサイク女子マンガについて / トミヤマユキコ 「ことば」からルッキズムを揺さぶる――もっと多様な容姿の基準を! / 中村桃子 【日常を覆う「見た目」の政治】 雇用の入口、「番兵」としてのルッキズム / 栗田隆子 感情知と感情資本――アンガーマネジメントの社会学 / 山田陽子 差別と侮辱――ルッキズムとメタ倫理学 / 奥野満里子 【インタビュー】 目で見るものが全てではない――視覚中心の社会をほぐすために / 広瀬浩二郎 【美──この両義的なるもの】 女性の外見的魅力をめぐるフェミニズムのポリティクス / 高橋幸 自分を美しく見せることの意味――ルッキズム、おしゃれ、容姿の美 / 筒井晴香 エンハンスメントとしての美の実践 / 飯塚理恵 【異他なる身体のエステティクス】 受肉した肌をみる痛み――現代日本におけるイレズミと身体の感性学的受容論 / 大貫菜穂 ラブドールの「見た目」に関するいくつかの覚書 / 関根麻里恵 【ルッキズムの奥底へ】 現れる他者との向き合い方――現象学の立場から / 鈴木崇志 連載●「戦後知」の超克●第一五回 柄谷行人における「日本」の問いかた 中・4――その「起源」と「構造」 / 成田龍一 連載●タイミングの社会学●第一二回 レジリエンス 下・2――〈貧困・時間・疲れ〉の連なりへ / 石岡丈昇 【研究手帖】 眼に見えて分かるこの眼について / 辰己一輝
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未来からきたフェミニスト 北村兼子と山川菊栄
¥2,530
花束書房 2023年 ソフトカバー 336ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ12mm - 内容紹介 - 変わりながらあゆむために。 日本の女性で初めて法律の世界に飛び込み、世界を舞台にジャーナリストとして短い生涯を駆けた北村兼子。同じく、世界の潮流をとらえながら社会を分析し、平等をもとめ続けた山川菊栄。現代のフェミニストたちが、ふたりをめぐるエッセイや論考を綴り、語り合う。 セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ、家族制度、植民地支配、運動、立法、資本主義、戦争――誰よりも鋭く、広く、世界を見たふたりの言葉がこの先を照らす。 目次 ●はじめに● 生きづらさを突き破って、未来へ ●北村兼子● 1章 法律でフェミニズムに目覚める 法律を学ぶ私/卒業して、それから/私は笑う/婦人記者の観た女性犯罪/悪法に呪いあれ(抄録)/婦人問題を鷲掴みにして/婦人運動の体系――参政権が本殿の神体 禁酒、廃娼は末社/貞操の所有権と処女の賭博/夫婦の貞操義務 2章 性加害と闘う 特撮映画 卑怯なる者よ汝の名は男なり/堕落婦人記者/「怪貞操」をつくりあげて/「怪貞操」をレコードに吹き込んだ感想/失業随筆(抄録)/怪貞操/女浪人/女浪人主義/女浪人と雲水 3章 フェミニズムの言葉を磨く 女は歩調を揃えて馬鹿であれ――女子学生連盟演説会で感じた事とて/関所争奪リレー 選手としての体験――霊域高野山から名刹壷坂寺へ(抄録)/男子征服の大旗を樹てよ――家庭に於ける嬶天下の拡張を図れ(抄録)/普通線の女性へ/女浪人の男性抗議/読売新聞紙上論争 4章 〈大大阪〉の資本主義と労働運動を描く 青狐赤狐雑狐/大阪及大阪人/大阪あれこれ(抄録)/婦人の力による小作争議の解決 【エッセイ】〈大阪フェミニスト群像①〉大阪の若い女性たちを騒がせた日本画家・島成園―macca 5章 セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツを語る 公娼をどうする/私娼をどうする/優生学、ちょっと待って/産児調節/堕胎/人口問題/女性の睡眠権 【論考】人口政策や優生学と離れたところに立っていた――堕胎の罪を無くすのはいつまで「時期尚早」か?―大橋由香子 6章 政治を語り、運動を進める 国際婦人運動の大勢(抄録)/今日の不平人(抄録)/婦人運動の動き/一流の漫文 7章 国境を越えて平和を叫ぶ 演説草案三つ/平和の使者/台湾民族運動史/爆弾事件と法の適用 8章 大空を飛ぶ 飛行機上から見た大阪 【エッセイ】〈大阪フェミニスト群像②〉メディアの暴力と闘った人見絹枝と北村兼子 ●山川菊栄● 【論考】〈いま、菊栄に続きたい①〉山川菊栄の思想を明日へつなぐ―山田(樋浦)敬子 【座談会】「山川菊栄文庫」から見える思想と横顔―山田(樋浦)敬子×佐藤礼次×山口順子 【論考】〈いま、菊栄に続きたい②〉恋愛の自由を売らずに生きていくために――廃娼論者としての山川菊栄が主張していたこと―林葉子 【論考】〈いま、菊栄に続きたい③〉山川菊栄の生理休暇論―豊田真穂 【論考】 現代の課題にそのまま使える山川菊栄のリプロ論――堕胎を禁じるより、必要なる者には安全な方法を―大橋由香子 【論考】〈国際的視点①〉カーペンター『中性論』の翻訳と『番紅花』同人との交流―趙書心 【エッセイ】〈国際的視点②〉コロンタイと対話する山川菊栄―高柳聡子 【論考】〈国際的視点③〉山川菊栄と黄信徳にみる植民地主義認識―宋連玉 【対談】バラバラに、でも全体で考える未来へ――『らんたん』・議論・フェミニズム―柚木麻子(小説家)×松尾亜紀子(エトセトラブックス代表) 【書評エッセイ】 Unforgettable――忘却を阻むために―栗田隆子 年譜 参考文献 著者一覧 前書きなど 未来が描きにくい社会で、つい歴史を振り返る。残念ながら兼子と菊栄が生きた厳しい時代からあまり進歩していないし、ふたりの言葉には、とくにいまのフェミニズムのイシューを考えるヒントが多いからだ。ふたりは未来からやってきたかのように先進的だっただけでなく、時代の変化をみながらアップデートも続けた。誤りがあれば正し、変わり、自分の言葉を見つけていった。(『はじめに――生きづらさを突き破って、未来へ』より) 版元から一言 日本の女性で初めて法律の世界に飛び込み、ジャーナリストとして生きた北村兼子。庶民の視点にこだわり、社会を科学的に分析しながら人間の平等をもとめた山川菊栄。ふたりは、社会の矛盾を突く切れ味鋭い言葉を放ち続け、同時代の女性たちとさかんに議論を交わしています。考えや立場が違う相手を批判したり理解しようと努めたりしながら、ときに立ち止まって時代を見定め、誤りがあれば正し、変わっていきました。 セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ、反軍拡、参政、立法など、フェミニズムの今日的イシューに着目しながら、この行き詰った社会を突き破るためのヒントを、ふたりの言葉から探してみてください。
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エトセトラ VOL.9 | 伊藤春奈(花束書房)(特集編集)
¥1,540
エトセトラブックス 2023年 ソフトカバー 144ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ8mm - 内容紹介 - 特集:NO MORE 女人禁制! 「女人禁制」は、もういらない! マイノリティへの差別・排除と深くつながる 「女人禁制」の歴史を探りながら、 国や家父長制が追い出してきたものはなにか、 その底にあるのはなにかを知る特集号。 昔から、宗教や伝統のかたちを借りて、特定の職業や場所、集団に女性を入れない仕組みをつくってきた国、日本。21世紀になっても、大相撲、甲子園、古典芸能、山、プロの厨房、祭りなどなど、多くの場に「女人禁制」文化が残っています。フェミマガジン9号目は、女性史を中心としたライター・編集者の伊藤春奈をゲスト編集長に、多様な書き手や語り手が集まり、この問題を考えます。 エッセイ、インタビュー、読者投稿、漫画、いまだ「女性」が登れない「大峰山」への質問も! 誰かをどこかに「入れない」システムはもう終わりにしよう。 目次 特集:NO MORE 女人禁制! 特集のはじめに 【読者投稿】 あなたが知っている「女人禁制」 【論考・エッセイ・漫画】 源淳子「『女人禁制』と天皇制」 堀越英美「『山の神』と『女芸人』に求められてきたもの」 柚木麻子「ラーメンいちから作ってみたら自然と腕組みしちゃってた記」 山崎ナオコーラ「『女人禁制』と『源氏物語』と出家、ついでに私」 はらだ有彩「能・卒都婆小町と私」 佐藤瑞枝「博多祇園山笠――このホモソーシャルな世界」 (地元の声/永島順子) 林葉子「〈女性の穢れ〉と近代公娼制度」 金貴粉「ハンセン病療養所に生きた在日朝鮮人女性たち」 川﨑那恵「『アナーカ部落フェミニストの会』創立への呼びかけ」 堀江有里「性への忌避――キリスト教の女性嫌悪・同性愛嫌悪をめぐる断想」 鳥山純子「家父長制はマザコン生成装置なのか――現在モロッコの嫁姑問題から」 牧野雅子「女性専用車両の存在は何を意味しているのか」 【インタビュー】 性善寺・柴谷宗叔「性的マイノリティも地元の人も誰もが入れる『みんなの寺』」 ナモナモ寺・野世阿弥「寺という場所から仏教やフェミニズムをちょっとずつ開く」 桂二葉「まっすぐ自分の声が出せるように」 【アンケート】 女人禁制「大峰山」への質問 「女人禁制」を続ける理由はなんですか? 特集のおわりに ************************************************************ 【寄稿】 吉田亜矢子「渋谷区、美竹公園・神宮通公園野宿者排除に抗して」 長田杏奈「被害者非難の温度を測る」 【対談】 小川たまか✕有馬ゆきみ「フェミニストのライターと弁護士が語る『性暴力』の周辺 VOL.1」 【漫画】 とれたてクラブ「ワタシってディ→バディ→バしてるから」 【新連載】 「祖母の話」/#1高柳聡子「光なき朝を生きて」 「北京会議の前と後」福田和子/第1回「日本各地から北京へ!草の根の女性たち」 「アート・アクティビズム」北原恵/〈97〉渋谷パルコでゲリラ・ガールズ展――ポストフェミニズム時代の『アート』」 【連載】 「編集長フェミ日記」2022年12月~2023年3月 「Who is she?」大橋由香子/第6回:取り上げる彼女たち 「LAST TIME WE MET 彼女たちが見ていた風景」宇壽山貴久子 私のフェミアイテム:奥薗和子 NOW THIS ACTIVIST :末原真紀 etc. bookshop通信 前書きなど 「特集のはじめに」 伊藤春奈 毎日、頭のすぐ上を厚い雲で覆われているような重苦しさを感じてから、ずいぶんと経つ。 新型コロナウィルス感染症が広まりつつあった頃、感染者を追いつめるようなパニックをみて、私はハンセン病における「無らい県運動」を思い起こした。患者を強制隔離する法律のもと、「らい患者一掃」などと称して感染者を排除した運動である。コロナ禍初期、老親のいる某県の感染状況を注視していた私は、陽性者が出た銀行にコンクリート片が投げ込まれるという古典的な事件を知りぞっとした。偶然だが、この県は戦後、無らい県運動のトップに躍り出たことがある。 感染者が適切なケアを受けられず、社会に排除と差別を引き起こすという点でふたつの感染症はよく似ている。コロナ禍でも、ステイホーム、三密など、国が繰り出すキャッチーなワードに人々は翻弄され、不安が解消されないままDVや自死数が増えた。この「不安」は「恐怖」をうみかねないから、とても厄介だ。さらにこの間、国会議員が同性愛者への差別発言を繰り返し、かつ差別を禁止することを拒み、女性支援団体へのデマが吹き荒れた。私は、土俵で救命活動をした看護師たちが下りろと命じられたとき以来の怒りを感じた。人心の荒廃は続いている。 2018年、土俵問題が起きてからまもなく、東京医大の入試不正問題が発覚した。この2件は、根の深いところでつながっていると思う。医療の「正当な」仕事とは医師であり、看護師がサブ的に見なされてきたことは、そのジェンダーバランスからして明らかだ。土俵から下りろと看護師が言われたのは、ケア労働への軽視があるからだろう。その軽視があからさまにビジュアル化してしまったため、相撲協会は「緊急時、非常時は例外」とするとして「謝罪」し、幕切れとした。 相撲協会が公表している「女人禁制」の理由は、「男が上がる神聖な戦いの場、鍛錬の場」であり、神事であり伝統文化だからというものだ。宗教や伝統にもとづく権威性を帯びた場とは「男」の職場であり、「女人」は入ってはならない。これが「女人禁制」のロジックであり、甲子園球場、古典芸能、山、祭りなど、「女人禁制」文化が色濃い分野にもあてはまる。たとえば板前は男が鍛錬する正当な修行であり仕事だが、家庭料理は「母親」「妻」による無償ケアワークである、といった具合に。 「男の甘えを許してほしい」とは、いまも結界を解かない山の関係者の発言だ(詳細は本特集を参照)。これもまた「女人禁制」の本質をよくあらわしていると思う。看護はしろ、ただし男の土俵に入るな。田舎に帰って出産しろ、そうすれば奨学金は出してやる。家事・育児・介護もしろ。ただし祭りには参加するなよ。――「男女」からなる家父長制秩序を守りたいというのが「男の甘え」なのだろう。 政治・経済・文化を限られた層だけでまわし、ケア労働は女性や外国人労働者に丸投げ。無策の感染症対策に自然破壊と五輪強行、入管や労働現場における外国人への人権侵害など、この間に数々の暴力がまかり通ってきた。それらを支えているのは、「女人禁制」が歴史的に築き上げてきた、男女/公私二元論、異性愛主義、家族主義、性別役割分業などである。マイノリティへの差別システム「女人禁制」は、もはやこの国のお家芸だ。だからこれらを死守するために「(同性婚は)家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」などと総理大臣が言ってはばからない。 そもそも、人のあり方も営みも、二元的に割り切れるものではない。 「名前」があれば、なんなと生きていける世界なんですよ。――この特集の制作中に聞いた言葉だ。「名前」とは、何代目何右衛門とか、何千世とか、家父長制のもとで継がれてきた、地位や名誉、家柄、権威みたいなものだ。 100年もすれば人は死ぬ。だから「名前」など紙きれに等しいと思うが、おそらく世間では逆にとられているのだろう。では、「名前」を持たない人たちのあゆみは、どれほど語られてきただろうか。望む「名前」を得られなかった人への抑圧が、「伝統」や家父長制のもとに続いているということも。「名前」など持たずとも自分だけの生をもとめた人にこそ、私はひどく惹かれる。 もちろん「伝統」にはいい面もたくさんあるし、私も基本的に好きなものが多い。すべてが移り変わるからこそ世界は美しく、必ず巡ってくる別れのかなしさや変わらぬ人間のありようが、見事な結晶となって「伝統」をうむこともあっただろう。しかし、それがただの「名前」となって、ある属性の理想を再生産するだけのものになってしまったらどうだろう。また「名前」は、ときに「〇〇道」といった金看板を掲げて権威化されてきた。権威化され整備された道路も、いまはひび割れ、無様な姿をさらしているようにも見える。 一方で、その道端から新たな道をひらく人たちもいる。ときに茨で邪魔されながらも、一歩ずつ踏み固めて。道は、当たり前に誰でも入れて、進んでいけるものであってほしい。 この特集は、これまで私が『エトセトラ』で「女人禁制」をテーマに連載してきたことから企画された。「女人禁制」について知ることは、誰が「女人」を、どう規定してきたかの歴史を知ることでもある。そこには目を覆いたくなるような差別の歴史も重なっている。ただ、その差別とは最初から自然にあったものではない。すべて人間がつくりだしたものだ。 連載中、ひとりで「女人禁制」を考えれば考えるほど、なぜこの差別がうまれ、なぜまだ続いているのか、そしてなぜあまり関心を持たれないのかと疑問が膨らんでいった。その答えを探るための言葉を、信頼する書き手や語り手たちと一緒に集めたつもりだ。それによって、「女人禁制」がマイノリティへの差別・排除と深くつながっていることを示せたと思う。 くりかえすが、「女人禁制」のような差別は自然に発生したものではない。人間がつくったのだから、人間がやめることができるはずだ。「女人禁制」という嘘の言葉は、もういい加減過去のものにしたい。 - プロフィール - 伊藤春奈(花束書房) (イトウ ハルナ ハナタバショボウ) (特集編集) 編集者・ライター。近著『「姐御」の文化史 幕末から近代まで教科書が教えない女性史』(DU BOOKS) 。「花束書房」名義で北村兼子の広報活動と、女性史を中心とした出版プロジェクトを主宰。花束書房から『ウィメン・ウォリアーズ はじめて読む女戦記』(パメラ・トーラー著、西川知佐訳)、『未来からきたフェミニスト 北村兼子と山川菊栄』(花束書房編、2023年5月刊行予定)を刊行。『群像』(講談社)にて「ふたり暮らしの〈女性〉史」連載中。
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モヤる言葉、ヤバイ人から心を守る言葉の護身術|アルテイシア
¥924
大和書房 2023年 ダイワ文庫 ソフトカバー 304ページ 文庫判 縦150mm 横105mm 厚さ15mm - 内容紹介 - 現代社会を女子がサバイブするための必読書!! ジェンダーの押し付け・マウンティング・セクハラ・パワハラ…… モヤる言葉に言い返す方法やヤバイ人から身を守る方法など、言葉の護身術が詰まった一冊! 女子を困らせるひと言を元気よくバットでかっとばす、痛快・爆笑エッセイ!
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ホワイト・フェミニズムを解体する インターセクショナル・フェミニズムによる対抗史 |カイラ・シュラー, 飯野 由里子(監訳), 川副 智子(訳)
¥3,300
明石書店 2023年 ハードカバー 400ページ 四六判 - 内容紹介 - 中流以上の白人女性を主たる対象としたホワイト・フェミニズムの陰で、有色人種やトランスジェンダーなどのインターセクショナル・フェミニストが既存の社会構造に連帯して立ち向かうことを提唱してきた。本書では、両者の議論を取り上げてフェミニズムの思想史を捉え直す。 目次 本書に寄せて 序章 フェミニストの断層線 第一部 文明化 第一章 女性の権利とは白人の権利なのか?――エリザベス・ケイディ・スタントンとフランシス・E・W・ハーパー 第二章 白人の同情対黒人の自己決定――ハリエット・ビーチャー・ストウとハリエット・ジェイコブズ 第三章 入植者の母親と先住民の孤児――アリス・フレッチャーとジトカラ・サ 第二部 浄化 第四章 優良な国家を産む――マーガレット・サンガーとドクター・ドロシー・フェレビー 第五章 フェミニズムを路上へ――パウリ・マレーとベティ・フリーダン 第六章 TERFの門番とトランス・フェミニストの地平――ジャニス・レイモンドとサンディ・ストーン 第三部 最適化 第七章 リーン・インか連携か――シェリル・サンドバーグとアレクサンドリア・オカシオ=コルテス 結論 ふたつのフェミニズム、ひとつの未来 謝辞 監訳者解説 原注 本書に寄せて 黒人フェミニストの教師で著述家でもあるわたしがこれまでに直面した最大の課題のひとつは、フェミニズムは生活と密接な関係にあるということを黒人女性に納得させることだった。フェミニストの政治学や理念に対する黒人女性の抵抗感は、ジェンダー平等に対する抵抗感とはまったく異なっている。わたしたちは家父長制の構造がもたらす強い影響を受けながら日々生活しているが、黒人女性がフェミニズムの旗を掲げるまでの道のりで最大の障害となってきたのは白人女性だ。たとえば、人種も宗教上の信条も無視して、わたしたちはみな「女性として」団結する必要があると語る白人女性がどこかにひとりいるとしたら、その白人女性を横目で眺める黒人女性もきっとどこかにいる。 人種をまたいだフェミニストの連帯に白人女性がたびたび突きつける課題を考えるとき、その脅威の性質を明確にすればするほど、問題に対処する態勢を整えやすくなる。カイラ・シュラーの手になる本書は、自信と博識と卓越した展開によってこの難題に真正面から取り組んでいる。シュラーはなにが問題かをあきらかにする。すなわち、「白人フェミニストの政治学が抱える問題点は、それがなにに対処できず、だれを排除しているかではない。ホワイト・フェミニズムの問題点とは、それがなにをおこない、だれを抑圧しているかである」と。これは白人女性が社会で役立たないという意味でも、フェミニストが世界を創造するうえで白人女性が有能な盟友になれないという意味でもない。問題はむしろホワイト・フェミニズムにある。すべての女性が直面する不公平に対処するためのホワイト・フェミニズムの方法論がはなはだしく制約されているということなのだ。 本書『ホワイト・フェミニズムを解体する』は著者の深い学識と、ソーシャル・メディアでフェミニスト間の争いを生む現象に切実に必要な、歴史的見地に立った検証のたまものである。カイラ・シュラーの署名代わりといえるほど周知された手法――アーカイブの広範で深遠な理解に基づくテキストの豊富な分析――がここに示されている。 シュラーは、参政権を求めるエリザベス・ケイディ・スタントンの戦いを特徴づけた恥ずべきレイシズムの請願を手始めに、数世代にわたるホワイト・フェミニズムの起源を追う。わたしはこの歴史の学びの途中にある者だが、白人女性の参政権を得るために黒人男性を犠牲にすることを厭わなかったスタントンの執拗さにはさすがに困惑した。当時の典型的なレイシストによる自由取引をおこなったわけだから。シュラーはさらに、マーガレット・サンガー、ベティ・フリーダン、シェリル・サンドバーグといった面々に共通するホワイト・フェミニスト・ポリティクスの変遷も提示してみせる。シュラーの見事なところは、白人の無用の罪悪感の特質たるリベラルな自責の念の類いに果敢に抗い、白人女性の涙を無効にして、涙にしばしばつきものの安心と慰めと空間の占有を拒否しているところだ。 アメリカ合衆国のジェンダー研究を率いる学者、もっと率直にいえば、わたしが読みたいと素直に思える贔屓の学者であるシュラーは、本書において白人女性の思想家をひとりずつ、同世代の黒人女性や先住民女性、あるいはラテンアメリカ系女性やトランス女性とペアを組ませて検証していく。そうするなかでシュラーは、シスジェンダーの白人女性がフェミニズムを発案したのではなく、プロジェクトとしてのホワイト・フェミニズムの大部分は、その最終目標に疑問を投げかける黒人女性、先住民女性、トランス女性の功績を取り入れないことを前提としてきたという事実をわたしたちに思い出させる。白人フェミニストが立てた戦術についてはいうまでもない。わたしたちがその場に存在しなかったのではない。白人女性が耳を傾けようとしなかったのだ。 本書はそのことを白人女性に認めさせたい黒人女性に代わって役目を果たしてくれるだろう。どうすれば今よりよくなるかと絶えずわたしに尋ねる白人女性にはこう言おう。ここから始めなさいと。 (…後略…) - 著者プロフィール - カイラ・シュラー (著) ラトガーズ大学ニューブランズウィック校女性・ジェンダー・セクシュアリティ研究科准教授。スタンフォード大学人文科学センターおよびアメリカ諸学会評議員会より特別研究員奨励費を受けた。北米、ヨーロッパ各地で講演をおこなっている。《ネイション》誌で特集が組まれたほか、《ランパス》、《ロサンゼルス・レビュー・オブ・ブックス》、《アヴィッドリー》などの雑誌にも寄稿している。著書に『The Biopolitics of Feeling:Race,Sex,and Science in the Nineteenth Century』(Duke University Press、2018年)がある。 飯野 由里子 (イイノ ユリコ) (監訳) 東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター特任准教授。一般社団法人ふぇみ・ゼミ&カフェ運営委員。専門はフェミニズム・ディスアビリティ研究。主な著書に『レズビアンである〈わたしたち〉のストーリー』(生活書院、2008年)、『合理的配慮:対話を開く 対話が拓く』(有斐閣、2016年;共著)、『「社会」を扱う新たなモード:「障害の社会モデル」の使い方』(生活書院、2022年;共著)、『ポリティカル・コレクトネスからどこへ』(有斐閣、2022年;共著)などがある。 川副 智子 (カワゾエ トモコ) (訳) 早稲田大学文学部卒業。翻訳家。訳書に『西太后秘録』(講談社)、『紙の世界史』(徳間書店)、『ナポレオンを咬んだパグ、死を嘆く猫』(原書房)、『ビール・ストリートの恋人たち』(早川書房)、『SMALL GREAT THINGS 小さくても偉大なこと』(ポプラ社)、『皮肉な終幕』(扶桑社)など。
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撹乱分子@境界 - アート・アクティヴィズム2|北原 恵
¥2,750
インパクト出版会 2000年 ハードカバー 254ページ 縦210mm - 内容紹介 - 美術作品や広告などのヴィジュアル・カルチャーにおける女性の表象をフェミニズムの立場から分析し、アーティスト達の抵抗・転覆・浮浪の表現について考察。雑誌『インパクション』連載原稿を1冊に収録。
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アート・アクティヴィズム|北原 恵
¥2,530
インパクト出版会 1999年 ハードカバー 197ページ 縦210mm - 内容紹介 - 本書のなかで著者は北米を中心に活動する様々なアーティストを取り上げたが、それらの作品に共通するのは、抵抗/転覆/浮浪の表現だと言えるだろう。たとえば、強姦神話やドメスティック・バイオレンスへの抵抗。ゲリラ・ガールズやバーバラ・クルーガーの作品に見られるような、ファロクラシーと家父長制の転覆の企図。あるいは、自称「デジタル版浮浪労働者」のシューリー・チェンや、劉虹、ヨンスン・ミンなどの在米アジア系アーティストによるオリエンタリズムへの批判と転覆の視線。彼女たちのアートは、「想像力のかけらのはいった万華鏡」のごとく思いがけないヴィジョンを見せてくれる。 目次 ゲリラ・ガールズ-アメリカにおけるフェミニスト・ゲリラ ジェニー・ホルツァー-都市空間を乗っ取るフェミニストのアート 劉虹-「フォーチュン・クッキー」のアート スー・コー-検閲された「強姦」 ヨンスン・ミン-「エキゾチックなアジア」像の解体へ シューリー・チェン-「トリプル・マイノリティ」のどんでん返し 「観光」「見物」のまなざしへのカウンターアート-ココ・フスコ、ツェン・クォンチ 強姦神話の解体に向けたアート-アメリカのフェミニストの戦略 性暴力のドキュメント-ダナ・フェラート WAC-直接行動のアート・パフォーマンス〔ほか〕
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フェミニズムとレジリエンスの政治 ジェンダー、メディア、そして福祉の終焉 | アンジェラ・マクロビー, 田中東子(翻訳), 河野真太郎(翻訳)
¥2,640
青土社 2023年 ハードカバー 244ページ 四六判 - 内容紹介 - ネオリベラリズムが蝕む女性たちの生 「仕事も家庭もあきらめないで、すべてを手に入れましょう」「欠点を受け容れ、粘り強く立ち直りましょう」「福祉に頼るのはだらしなさの証拠です」「あんなふうにはなりたくないでしょう?」――映画、雑誌、テレビにSNSと、至るところから絶え間なく響く呼びかけに駆り立てられ、あるいは抑えつけられる女性たちの生。苛烈な「自己責任」の時代を生きる女性たちに課された幾重もの抑圧をさまざまな文化事象の分析を通じて鋭く抉り出す。一九九〇年代以後のフェミニズム理論を牽引してきた著者の到達点にして、待望の初邦訳書。
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現代思想 2023年5月号 特集=フェムテックを考える ―-性・身体・技術の現在―
¥1,760
青土社 2023年 ソフトカバー 240ページ - 内容紹介 - 「女性のためのテクノロジー」とは何か 企業や政府が喧伝する「女性活躍」の新騎手として、近年とみに耳目を集める「フェムテック」。リプロダクティブ・ジャスティスとの関係から、市場原理にもとづく自己責任論の強化、生物学的本質主義への回帰といった問題まで、さまざまな視点から広く検討することで、性・身体・科学技術のありうべき姿を模索したい。 line2.gif [目次] 特集*フェムテックを考える――性・身体・技術の現在 【討議Ⅰ】 政治・市場・運動のせめぎあう渦中から問う / 菊地夏野+標葉靖子+筒井晴香 【問われる倫理】 政策的関心の対象としての「フェムテック」とその倫理的課題 / 渡部麻衣子 フェムテックと「女性の健康」――誰のための研究開発か / 川崎唯史 その「フェムテック」は誰向けの製品なのか / 西條玲奈 「フェム」テックとトランスジェンダーの身体の接点――その可能性と限界について / 山田秀頌 「女性の健康」の隘路とフェムテック / 菅野摂子 【討議Ⅱ】 未来をえがく二つの技巧――〝無茶ぶり〟から問い、物語ることで〝脅し〟続ける / 高野ひと深+長谷川愛 【生活する身体の声】 戦いとしてのセルフケア / S・アーメッド/浅沼優子訳 がんサバイバーシップにみられる「私」の回復過程と葛藤――表現によるセルフトランセンデンスの促進 /佐々木加奈子 CoCo 壱と国鉄――あるいは野良のフェムテック / 仲西森奈 国家に抗するフェムテック / 横田祐美子 痛みを感じる身体、変容する身体――『TITANE /チタン』(二〇二一年)を例に / 関根麻里恵 【技術と規範を攪乱する】 「情報の神殿」としての女性たち / 田中東子 フェムテックにフェミニズムを取り戻す / 飯田麻結 現代アメリカにおけるSNSフェミニズムからフェムテックを考える / 井口裕紀子 フェムテックの生政治とジェンダーポリティクス / 佐々木香織 テクノロジーとスピリチュアリティの〈あいだ〉――女性・身体・モノ / 橋迫瑞穂 「ヒーブ」とフェムテックのあいだ――働く女性をケアするのは誰か / 満薗勇 【いくつもの性の歴史】 キリスト教性倫理における「生殖」の位置 / 朝香知己 月経周期研究からフェムテックへ――その歴史的展開 / 横山美和 フェムテックから月経教育を問う / 杉田映理 男性の視点から見た生殖――「生殖医療は女性を救うのか」という問いを逆照射するもの / 日比野由利 女性の人生設計が変わる?――卵子凍結保存がもたらす社会への影響と課題 / 久具宏司 【連載●科学者の散歩道●第九二回】 エントロピーと主体の参加――エディントンの二種類の法則 / 佐藤文隆 【連載●「戦後知」の超克●第二八回】 柄谷行人における「世界史」の問い方 11――その「起源」と「構造」 / 成田龍一 【連載●社会は生きている●第一〇回】 主体の生態社会学 8――動物と人間 / 山下祐介 【研究手帖】 沈黙の顔 / 戸坂明日香
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物語とトラウマ クィア・フェミニズム批評の可能性 | 岩川ありさ
¥3,960
青土社 2022年 ハードカバー 512ページ 四六判 - 内容紹介 - トラウマ的な出来事を経験した人びとにとって、文学や文化は生きのびるための表現となりうるのか―― 多和田葉子、李琴峰、古谷田奈月、森井良、林京子、大江健三郎、岩城けい、小野正嗣といった現代作家の作品を丁寧に読み解き、物語を受けとるという営みとは何か、小説と読者が出会うとはどういうことか、それにクィア・フェミニズム批評はどうかかわるのか、自身の経験とときに重ね合わせながら文学や文化の力を見出していく。気鋭の研究者による、トラウマという語ることがむずかしい経験を語るために物語があるのだということを、そして何より新たな対話の可能性を信じるすべての人におくる、画期的な文学論。
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たまたま生まれてフィメール|小川 たまか
¥1,980
平凡社 2023年 ソフトカバー 200ページ 四六判 - 内容紹介 - なんの絆か。 なんの呪縛か。 ときどきすごく滑稽に感じる。 結婚と夫婦別姓、政治とジェンダー、透明化される性犯罪被害者の声――。 性暴力を取材しつづけるライターの著者が、この国で生きる女性やマイノリティが直面する困難を問い直す、フェミニズム・エッセイ。 【目次】 はじめに 1 夫婦って、家族って なんで結婚したんだろう/ダブルインカムツーキッズ/祖父の話/夫の家事能力が高い 2 日本社会がよくわからない お前らの本音と建前/祟りと滅び/男の本能にエビデンスはいらないんだって/海の近くの裁判所/16年後の判決 3 フェミと政治とインターネット エモよりデモを(1)親ガチャ・DHC問題/エモよりデモを(2)「女性はいくらでもウソをつける」/エモよりデモを(3)「ホームレスデート」と、暴力と排除に抗議するデモ/ヴィーガンとフェミニストと、なりすます人/特定した話/フェミと選挙 4 私の身体と人生と 毛を抜く人生/自分の具合悪さは自分にしかわからない/占いからの怒られと抵抗/おたまさんと、恋愛のない生活 おわりに 【著者プロフィール】 1980 年東京生まれ。大学院卒業後、2008 年に共同経営者と編集プロダクションを起ち上げ取締役を務めたのち、2018 年からフリーライターに。Yahoo! ニュース個人「小川たまかのたまたま生きてる」などで、性暴力に関する問題を取材・執筆。著書に『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』(タバブックス)、『告発と呼ばれるものの周辺で』(亜紀書房)、共著に『わたしは黙らない―性暴力をなくす30の視点』(合同出版)。
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フェミニズムはみんなのもの 情熱の政治学|ベル・フックス, 堀田碧(訳)
¥1,980
エトセトラブックス 2020年 ソフトカバー 192ページ 四六変型判 縦188mm 横131mm 厚さ13mm - 内容紹介 - この本を読んでみてください。フェミニズムとはなんなのか、どんな運動をしてきたのか、わかるから。 現代を代表する思想家にして、ブラック・フェミニストのベル・フックスが新しい世代に向けてバトンを渡す、世界でロングセラーのフェミニズム入門書を復刊! 平易な語り口で、フェミニズムの定義、理解と前進のための批判、運動の変化と展望を説く。フェミニズムの歴史を知り、今に活かしたい新しい読者たちにとって最適の一冊。 目次 はじめに フェミニズムを知ってほしい 1 フェミニズム わたしたちはどこにいるのか 2 コンシャスネス・レイジング たえまない意識の変革を 3 女の絆は今でも強い 4 批判的な意識のためのフェミニズム教育 5 私たちのからだ、私たち自身 リプロダクティブ・ライツ 6 内面の美、外見の美 7 フェミニズムの階級闘争 8 グローバル・フェミニズム 9 働く女性たち 10 人種とジェンダー 11 暴力をなくす 12 フェミズムの考える男らしさ 13 フェミニズムの育児 14 結婚とパートナー関係の解放 15 フェミニズムの性の政治学 互いの自由を尊重する 16 完全なる至福 レズビアンとフェミニズム 17 愛ふたたび フェミニズムの心 18 フェミニズムとスピリチュアリティ 19 未来を開くフェミニズム 訳者あとがき - 著者プロフィール - ベル・フックス (ベル・フックス) (著) フェミニズム理論家、作家、文化批評家。1952年、米ケンタッキー州生まれ。自身の言葉によれば「伝統的な南部の家父長主義的な労働者階級家庭」で育ち、人種隔離政策が廃止されるなか、人種差別や性差別への抵抗を強める。スタンフォード大学卒業後、ウィスコンシン大学で修士号を(修士論文のテーマは作家トニ・モリスン)、1983年にカリフォルニア大学サンタクルーズ校で博士号を取得する。教壇に立つ傍ら、1981年『わたしは女じゃないの?――黒人女性とフェミニズム』でデビュー。1984年には『フェミニズム理論――周縁から中心へ』を刊行し、この2作で「白人中産階級女性の問題」のみをとりあげてきた主流フェミニズムを痛烈に批判、その後のフェミニズムの展開に大きな影響を与えた。その後もジェンダー、人種、階級の視点から現代社会や文化について多数の執筆や講演を行う。2000年、フェミニズムの現状に危機感を抱いたことから執筆した本書は、世界的なロングセラーとなる。本名グロリア・ワトキンス。母方の曾祖母の名前に由来するペンネームbell hooksはつねに小文字で表記され、アイデンティティへの誇りと「周縁者」としてのこだわりが示されている。2014年、ケンタッキー州のベレアカレッジにベル・フックス研究所を設立。 堀田碧 (ホッタミドリ) (訳) 1950年、東京生まれ。ケント大学女性学修士課程修了。著作に『経済のグローバリゼーションとジェンダー』(共著、明石書店、2000年)。訳書に、ベル・フックス『とびこえよ、その囲いを』(共訳、新水社、2006年)、C・T・モーハンティー『境界なきフェミニズム』(監訳、法政大学出版局、2012年)など。現在、長野県在住。
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学ぶことは、とびこえること 自由のためのフェミニズム教育|ベル・フックス, 里見 実(監修 | 翻訳), 朴 和美(翻訳), 堀田 碧(翻訳), 吉原 令子(翻訳)
¥1,430
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筑摩書房 2023年 ちくま学芸文庫 ソフトカバー 368ページ 文庫判 - 内容紹介 - 境界を越え出ていくこと、それこそが自由の実践としての教育だ。ブラック・フェミニストが自らの経験をもとに語る、新たな教育への提言。解説 坂下史子 === 肌の色、ジェンダー、階級といった差異を前にして、すべての人に開かれた「学びの共同体」をつくることはできるか。まず自分自身を批判的にみつめ、変えるための教育はいかにして可能か。ブラック・フェミニストの大学教師であるベル・フックスが自らの経験をもとに、学生と教師の双方に語りかける。教室での性差別や人種差別にどう対処するか、異なる経験をいかに語り合うか、学ぶことの歓びと不安……。フレイレの批判的教育学やフェミニズムの教育思想、黒人教師の教育実践を導きに語る本書は、様々な境界を越え出る「自由の実践としての教育」のためのヒントに満ちている。 === 教室をどう変える? 肌の色、ジェンダー、階級の囲いを破るために。 ベル・フックスが教師と学生に語った名著。 === 【目次】 はじめに 1 関与の教育 2 価値観に革命を―多様な文化を尊重するために 3 変化を恐れない―多様な文化のなかで教える 4 パウロ・フレイレ 5 解放の実践としての理論 6 本質主義と経験 7 姉妹の手をとって―フェミニストの連帯 8 フェミニスト的に考える―いま教室で 9 フェミニストの学究生活―黒人研究者として 10 教えの共同体をめざして―ある対話 11 言葉―新しい世界と、そして新しい言葉を 12 教室の内なる階段を見据える 13 教育過程とエロス、エロティシズム 14 エクスタシー―とめどなき教えと学び 新版訳者あとがき 解説 ベル・フックスを学び直すこと(坂下史子) - 著者プロフィール - ベル・フックス (ベル フックス) (著/文) 1952-2021年。米ケンタッキー州生まれ。フェミニズム理論家、作家、文化批評家。邦訳書に『アメリカ黒人女性とフェミニズム──ベル・フックスの「私は女ではないの?」』『フェミニズムはみんなのもの──情熱の政治学』『ベル・フックスの「フェミニズム理論」──周辺から中心へ』など多数。 里見 実 (サトミ ミノル) (監修 | 翻訳) 1936-2022 年。國學院大學名誉教授。東京大学大学院人文科修了。専門は教育社会学。中南米演劇の研究と翻訳にも取り組んだ。おもな著書に『パウロ・フレイレ「被抑圧者の教育学」を読む』、『学ぶことを学ぶ』、『ラテンアメリカの新しい伝統』など、おもな訳書に、アウグスト・ボアール『被抑圧者の演劇』、パウロ・フレイレ『希望の教育学』、カルラ・リナルディ『レッジョ・エミリアと対話しながら』などがある。 朴 和美 (パク ファミ) (翻訳) 1949 年生まれ。テンプル大学(日本校)大学院修士課程修了(教育学修士)。総合金融会社の社内英語翻訳者、大学非常勤講師、NPO 理事などを経て、「在日朝鮮人女一人会」を始める。著書に『「自分時間」を生きる』、共訳書にH・S・ギルバート『性の女性史』がある。 堀田 碧 (ホッタ ミドリ) (翻訳) 1950 年生まれ。翻訳家。ケント大学修士課程修了(女性学修士)。共著に『経済のグローバリゼーションとジェンダー』(伊豫谷登士翁編)が、訳書に、ベル・フックス『フェミニズムはみんなのもの』、C・T・モーハンティー『境界なきフェミニズム』(監訳)などがある。 吉原 令子 (ヨシハラ レイコ) (翻訳) 吉原令子(よしはら・れいこ):1965 年生まれ。日本大学商学部教授。ミネソタ州立大学大学院修了(女性学修士)。テンプル大学(日本校)大学院博士課程修了(教育学博士)。専門はアメリカ女性運動史、フェミニズム教育学。著書に『アメリカの第二波フェミニズム』、The Socially Responsible Feminist EFL Classroomなどがある。
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50歳からの性教育|村瀬 幸浩, 髙橋 怜奈, 宋 美玄, 太田 啓子, 松岡 宗嗣, 斉藤 章佳, 田嶋 陽子
¥935
河出書房新社 2023年 河出新書 ソフトカバー 208ページ 新書判 - 内容紹介 - 人生の折り返し地点でもう一度「性」を学び直す! 暮らしと人間関係をよりよくしたい50代のための「性教育」とは? 第一線で活躍する専門たちによる性の特別授業、始まります! かつて、学校教育において性教育は忌避され続けてきた。 性教育を受けないまま大人になった50代前後の世代の人たちは、 多様化する現代社会のなかで岐路に立たされている。 古い価値観を引きずったままでは生き残れない時代だ。 加齢や病気などで健康状態の変化が気になる世代こそ、 もう一度性について学び、人生の歓びを味わうことが大切だ。 100歳人生を充実させたい大人のための性教育。 【本書の主な内容】 第1講「更年期」~誰もが通るその時期の過ごし方~ 講師・髙橋怜奈 更年期で将来が変わらないために/更年期=ネガティブなイメージ/治療で不調を避けられる可能性/子宮を神秘化することの弊害 第2講「セックス」~思い込みを手放して仕切り直す~ 講師・宋美玄 男性の誤解と、女性の知識不足/ セックスの「思い込み」を捨てよう/ 男性器中心主義セックスからの卒業/いつもフルコースでなくていい/オーガズムへのこだわりは禁物!/「濡れない」への多様なアプローチ 第3講「パートナーシップ」~相手への尊重と傾聴~ 講師・太田啓子 円満な関係のために手放すべきもの/ 妻は夫を「立てる」べき?/不機嫌で人を動かす夫たち/50代で離婚を決意する理由/DVが始まるタイミング 第4講「性的指向と性自認」~LGBTQを知っていいますか?~ 講師・松岡宗嗣 想像力の欠如が差別につながる/同性愛は「病気」ではない/多様な性のあり方を知ることから/自治体で導入されるパートナーシップ 第5講「性暴力」~加害者にならないために~ 講師・斉藤章佳 加害者は「モンスター」ではない/性加害をする本当の理由/相手が女性だと態度を変える心理/大人は何を学び直せばいいのか 第6講「ジェンダー」~“らしさ”を問い直す~ 講師・村瀬幸浩×田嶋陽子 教科書にクリトリスが描かれない国/男たちはペニス信仰から解放されたか?/男と女がそれでも結婚したい理由/50歳、これからをどう生きるか