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【バーゲンブック】恐ろしすぎる治療法の世界史 こんなに痛いなら死んだ方がマシ?! | 東 茂由
¥400
河出書房新社 2021年 ソフトカバー 224ページ 文庫判 縦149mm 横105mm 厚さ11mm 定価792円 バーゲンブック: 定価よりも値引して販売することのできる新古本です。 (定価のおよそ50%〜70%ほどの価格で販売しています) 新品とはいえ、経年による劣化などが見られる場合もございますので、ご理解の上ご購入くださいませ。 - 内容紹介 - 穴をあける、刺す、焼く、抜く……古代~近代のギョッとする治療法を紹介。想像を絶する「乱暴療治」に震え上がる!
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【バーゲンブック】アイヌ語地名と日本列島人が来た道 | レシオ ベリンダ, 中尾 ゆかり(訳)
¥1,100
河出書房新社 2017年 ソフトカバー 280ページ 四六判 定価2200円 バーゲンブック: 定価よりも値引して販売することのできる新古本です。 (定価のおよそ50%〜70%ほどの価格で販売しています) 新品とはいえ、経年による劣化などが見られる場合もございますので、ご理解の上ご購入くださいませ。 - 内容紹介 - 東北地方におけるアイヌ語地名の南限を厳密に見極め、大陸からやってきた人がそこでどのように交わり、民族が形成されたかを探る。
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【バーゲンブック】『青鞜』の冒険 女が集まって雑誌をつくるということ | 森まゆみ
¥1,100
平凡社 2013年 ハードカバー 320ページ 四六判 定価2090円 バーゲンブック: 定価よりも値引して販売することのできる新品の本です。 (およそ定価の50%〜70%ほどの価格です) 新品とはいえ、経年による劣化などが見られる場合もございますので、ご理解の上ご購入くださいませ。 - 内容紹介 - 女性による女性のための雑誌『青鞜』の歩みを、平塚らいてうや伊藤野枝らの生き方とともに、また100年後に著者自身が営んだ地域雑誌『谷根千』を引合いにしながら丹念に追った意欲作。
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【バーゲンブック】食糧の帝国 : 食物が決定づけた文明の勃興と崩壊 | リマス アンドリュー(著), フレイザー エヴァン・D.G.(著), 藤井 美佐子(訳)
¥1,300
太田出版 2013年 ソフトカバー 287ページ 縦190mm 定価2860円 バーゲンブック: 定価よりも値引して販売することのできる新品の本です。 (およそ定価の50%〜70%ほどの価格です) 新品とはいえ、経年による劣化などが見られる場合もございますので、ご理解の上ご購入くださいませ。 - 商品紹介 - 食物が世界文明を築きそして崩壊させた。メソポタミアからエジプト、古代ギリシャ・ローマ、中世ヨーロッパ、現代のアメリカ、中国まで、食糧の視点から描く1万年史。 - 目次 - 第1部 食糧の代償(市-食糧交易 食糧貯蔵庫-一万トンの穀物をどうするか? 農場-利益のための食糧生産と環境からの搾取) 第2部 のしかかる代償(水-危険をはらむ潅漑 土-生きるための化学 氷-食糧の保存) 第3部 からっぽのポケット(血-食糧の征服 金-茶と飢饉 時-フェア、オーガニック、そしてスロー) 結論 大食の新しい潮流と明日のメニュー
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学びのきほん フェミニズムがひらいた道 | 上野 千鶴子
¥737
NHK出版 2022年 ソフトカバー 124ぺージ A5判 - 内容紹介 - その歴史と意義が2時間でわかる、著者初の総合的な入門書。 学校で習った「男女雇用機会均等法」や「男女共同参画社会基本法」。これらは、真の男女平等を実現するものではなかった? フェミニズムはなぜ生まれ、何を変え、何を変えられなかったのか。その流れを「四つの波」に分けてコンパクトに解説する。女性参政権、性別役割の解放、#MeToo……。過去を知り、自分の経験を再定義する言葉を手に入れるために。日本におけるフェミニズムを切り開き続けてきた第一人者が、多くの経験知とともにフェミニズムがたどった道のりを語る。 - 著者プロフィール - 上野 千鶴子 (ウエノ チヅコ) (著/文) 1948年、富山県生まれ。社会学者、東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。専門学校、短大、大学、大学院、社会人教育などの高等教育機関で、40年間教育と研究に従事。主な著書に『近代家族の成立と終焉』『家父長制と資本主義』(岩波現代文庫)、『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『ひとりの午後に』(NHK出版/文春文庫)、『在宅ひとり死のススメ』(文春新書)、『おひとりさまの最期』『女ぎらい』(朝日文庫)、『ケアの社会学』(太田出版)など多数。
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未来学 人類三千年の〈夢〉の歴史 | ジェニファー・M・ギドリー, 南 龍太(翻訳)
¥2,640
白水社 2025年 ソフトカバー 210ぺージ 白水社 - 内容紹介 - SFからテクノトピアまで 未来論が流行している。背景には、危機と不確実性がある。一九七〇年代に流行した折には、資源危機と南北対立を受けていた。本書は、著者が二十五年にわたって「未来学」で発見した、さまざまな側面に光を当てる。 とりわけ、科学的な予測と根拠のない憶測の間に横たわる、未来をめぐって生じる葛藤に、フランクフルト学派の批判理論の観点から光を当てる。 未来は時間なのか場所なのか、あるいは、時間は円環なのか直線なのか。未来について人々が思考をめぐらせてきた三千年にわたる歴史は近代以降、マルサス的な終末論とテクノオプティミズムの両極端で宙ずりになっている。 こうした未来論の整理は、未来を論じる学問的素地がほとんどない日本ではより重要である。一九七〇年前後、小松左京、梅棹忠夫らが未来学の創設を目指し、機運が高まった時期もあったが、その後日の目を見ず、現在に至っている。 預言者からSFまで、ルネサンス・啓蒙思想からテクノトピアまで、人類が夢見た未来を概観するはじめての入門書。オックスフォード大学出版局の入門シリーズ(VSI)の待望の翻訳。 - 著者プロフィール - ジェニファー・M・ギドリー (ジェニファー エム ギドリー) (著/文) 未来学、心理学の未来、ポストフォーマル教育の分野で40年以上にわたり研究に従事。欧米やアジア、北米、中東の国々で未来志向のプロジェクトの実施に積極的に取り組んできた。不確実性とテクノロジーへの関心が高まる現代において、学術的、組織的な仕事を通じて人間中心の未来の確立を目指している。2009~2017年、世界未来学連盟(WFSF)会長を務める。現在シドニー工科大学非常勤教授(the Institute for Sustainable Futures at the University of Technology)。地球規模の未来の課題と解決策に関するエグゼクティブや専門家向けオンライン教育サービスのGlobal Futures Education創設者。 南 龍太 (ミナミ リュウタ) (翻訳) 世界未来学連盟(WFSF)アソシエイト・日本支部代表、日本未来学会理事。大手情報通信シンクタンクの主任研究員として勤める傍ら、人工知能(AI)や宇宙、脳科学、外国人の多文化共生に関する記事や書籍を執筆。元共同通信社記者。東京外国語大学ペルシア語学科卒。新潟県出身。著書に『生成AIの常識』(ソシム)、『電子部品業界大研究』、『AI・5G・IC業界大研究』(ともに産学社)、翻訳書に『Futures Thinking Playbook』など。
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民具のミカタ博覧会 見つけて、みつめて、知恵の素 デザインから読み解く、日本と世界のくらしの造形 | 日髙 真吾(編集), 加藤 幸治(編集), 国立民族学博物館(監修), 武蔵野美術大学美術館・図書館(監修)
¥2,750
誠文堂新光社 2025年 ソフトカバー 224ぺージ A5判 - 内容紹介 - 民具は、日常生活で必要なものとしてつくられ、使われてきた暮らしの造形であり、身近な素材を活かす知識や技、人びとが育んできた自然観や世界観にふれることができます。また、民具は、研究者が旅をし、さまざまな地域の生活文化と出会いながら収集され、博物館のコレクションへと発展します。 本書では、1970年大阪万国博覧会(Expo' 70)のために世界各国で収集された世界の民具と、その同時代に日本文化の多様性に目を向けて、全国規模で収集された武蔵野美術大学所蔵の日本の民具から、選りすぐりの民具を紹介します。 数多くの切り口から、世界と日本の民具の魅力を「見つけて」、ひとつひとつ「みつめて」、そこに「知恵の素」を探っていただきます。 ■目次 はじめに 序論 第1章 かたちと身体性 雪の歩きかた/液体を運ぶ/シェアして育む絆/鉢のシンプルさ… column EEMとEXPO ’70、そして国立民族学博物館 第2章 ユーモアと図案 怖くない獅子/ツノの表情/掲げて威勢を誇る/蛇行や渦巻きの模様… column 生活文化研究会と日本観光文化研究所 第3章 見立てと表象 夢に見た風景/小さいことは良いことだ/球体を彩る造形/のっぺらぼう… column 民具コレクションの活用 column コレクションのデジタル化と発信 おわりに 掲載資料一覧 ******************** - 著者プロフィール - 日髙 真吾 (ヒダカ シンゴ) (編集) 国立民族学博物館 学術資源研究開発センター長・教授。元興寺文化財研究所研究員を経て、2002年より現職。博士(文学)。民俗文化財の保存修復方法や博物館における資料保存に関する研究をおこなう。主な著書、編著書に、『女乗物―その発生経緯と装飾性』(東海大学出版会、2008年)、『博物館への挑戦―何がどこまでできたのか』(三次企画、2008年、園田直子と共編)、『記憶をつなぐ―津波災害と文化遺産』(千里文化財団、2012年)、『災害と文化財―ある文化財科学者の視点から』(千里文化財団、2015年)、『継承される地域文化-災害復興から社会創発へ』(臨川書店、2021年)など。 加藤 幸治 (カトウ コウジ) (編集) 加藤 幸治:武蔵野美術大学教養文化・学芸員課程教授、同美術館・図書館副館長。専門は民俗学(民具研究)、博物館学。博士(文学)。和歌山県立紀伊風土記の丘学芸員(民俗担当)、東北学院大学文学部歴史学科教授(同大学博物館学芸員兼任)を経て、2019年から現職。主な著書、監修書に民俗学 フォークロア編 過去と向き合い、表現する』(武蔵野美術大学出版局、2022年)、『民俗学 ヴァナキュラー編 ―人と出会い、問いを立てる』(武蔵野美術大学出版局、2021年)、『民具のデザイン図鑑』(誠文堂新光社、2022年)など多数。
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古本屋の誕生 東京古書店史 | 鹿島 茂
¥2,420
草思社 2025年 ハードカバー 288ページ 四六判 - 内容紹介 - 「知と文化の集積地」はいかにして作られてきたか? 江戸時代の「書店」の誕生から、明治以降の東京古書界の変遷まで、 本の街の歴史を詳細にたどる。 <内容より> ●本のセドリの誕生と江戸時代の「本屋仲間」 ●古書の価値創造の先駆者、江戸末期の達摩屋五一(だるまやごいち) ●幕府崩壊で大口顧客を失った東京古書界が生き残れた理由 ●明治前半まで芝神明町・日蔭町が東京随一の古書街だった背景 ●有斐閣、三省堂、冨山房…大古書街・神田神保町を生んだ第一波 ●大正・昭和期の代表的古書店・一誠堂の「店員教育」 ●戦後の古書界の復興と業界の未来 - 目次 - 序章 本屋はなぜ新刊本屋と古本屋に分かれたのか 第一章 セドリと古本屋の誕生 江戸時代までの書店ビジネス 第二章 大デフレと本屋仲間の解体 明治ゼロ年代 第三章 一大古書街・芝神明と漢籍ブーム 明治十年代〔一〕 第四章 東京大学誕生と神保町の台頭 明治十年代〔二〕 第五章 東海道線全通と神保町第二の波 明治二十年代 第六章 靖国通り開通と神保町第三の波 明治三十年頃から大正二年の大火まで 第七章 古書組合の誕生と関東大震災 明治末から大正末まで 第八章 古本屋の学校・一誠堂の躍動 昭和ゼロ年代 第九章 戦争をくぐり抜けて 昭和十年代 第十章 戦後の復興と発展 昭和二十年から昭和後期まで 終章 古本屋の現在と未来 あとがき - 著者プロフィール - 鹿島 茂 (カシマ シゲル) (著/文) 1949年、神奈川県横浜市生まれ。フランス文学者、評論家、作家。東京大学文学部仏文学科卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。明治大学名誉教授。当初はフランス文学の研究翻訳を行っていたが、1990年代に入り活発な執筆活動を開始。1991年に『馬車が買いたい!』(白水社)でサントリー学芸賞、1996年『子供より古書が大事と思いたい』で講談社エッセイ賞、2000年『職業別パリ風俗』(白水社)で読売文学賞を受賞。膨大な古書コレクションを有し、東京都港区に書斎スタジオ「NOEMA images STUDIO」を開設。2017年、書評アーカイブサイトALL REVIEWSを開始。2000年からは神田神保町に共同PASSAGEを近刊に『書評家人生』(青土社)、『パリの本屋さん』(中央公論新社)など。
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パピルスのなかの永遠 書物の歴史の物語 | イレネ・バジェホ, 見田 悠子(翻訳)
¥5,280
作品社 2023年 ちくま学芸文庫 ソフトカバー 552ページ 四六判 - 内容紹介 - ★第57回造本装幀コンクール審査員奨励賞受賞 世界100万部の大ベストセラー スペインでもっとも著名な作家のひとりである著者が贈る、書物の歴史のはじまりを綴った、壮大な一冊。 「今日の読者が来世にあるときもなお、この本は読み継がれゆくだろうという、絶対的な確信がある」――マリオ・バルガス=リョサ 「書物の発明は破壊に対する私たちの粘り強い戦いにおける、最大の偉業かもしれない」(本書より) 約三千年以上にわたる書物の歴史の黎明期にスポットを当て、口承から、巻物、冊子本(コデックス)に至るまでの書物とそれを受け継いできた人々の足跡、図書館の誕生やアルファベットによる革命、読書、書店など、本にまつわる事象をたどる。アリストパネスと喜劇作家に対する司法手続き、サッポーと文学における女性の声、ティトゥス・リウィウスとファン現象、セネカとポスト真実など、現代の社会現象や文学作品、映画にも言及しながら、エッセイの形式で書物の激動の旅が描かれる世界的ベストセラー。 本をつくり、受け継ぎ、守るために戦う――。 目次 プロローグ 第一部 未来に思いを馳せるギリシア 快楽と書物の都市 アレクサンドロス―あきたらぬ世界 マケドニアの友 深淵の縁の均衡――アレクサンドリアの大図書館とムセイオン 炎と暗渠の物語 書物の皮膚 探偵の任務 ホメロス、それは謎と衰退 失われた声の世界――こだまする音のタペストリー アルファベットの穏やかな革命 雲間からとどく声、定まらぬ空もよう 影の読み方を学ぶこと 反抗的な言葉の勝利 最初の書物 移動書店 文化という信仰 驚くべき記憶力の男と前衛派の女性グループ 物語の織り子たち 私の物語を語るのは他者 笑いのドラマとゴミ捨て場の恩恵 言葉との情熱的な関係 書物の毒。書物の儚さ アレクサンドリアの大図書館の三度の崩壊 救命ボートと黒い蝶 こうして私たちはこれほど奇妙ないきものとなった 第二部 ローマの街道 悪名高い都市 敗北の文学 奴隷化の見えない境界線 最初は木だった 貧しい著者、裕福な読者 うら若い一族 書店員――危険な仕事 ページのある書物の揺籃期と成功 湯の宮殿の公共図書館 二人のスペイン人――最初の熱狂者(ファン)と最初の熟練作家 ヘルクラネウム――破壊による保存 検閲と戦うオウィディウス 甘い惰性 書物の内側への旅路と名づけかた 古典(クラシック)とはなにか 正典(カノン)――水生植物の物語 女性の声の断片 永遠のものと信じられていたものは儚かった あえて記憶にとどめること エピローグ――忘れ去られた者たち、名もない者たち 謝辞 訳者あとがき 参考文献 註 索引 - 著者プロフィール - イレネ・バジェホ (イレネ バジェホ) (著/文) (Irene Vallejo)1979年、スペインのアラゴン州サラゴサに生まれる。サラゴサ大学とフィレンツェ大学で古典文献学の博士号を取得。『エル・パイス』紙や『エラルド・デ・アラゴン』紙などでコラムを担当。小説、児童書、コラム集も出版されている。『パピルスのなかの永遠』(2019)は、世界100万部の大ベストセラーとなっている。本屋大賞ノンフィクション部門(2020)、国内最高峰の文学賞であるスペインエッセイ賞(2020)ほか多数を受賞。 見田 悠子 (ミタ ユウコ) (翻訳) (みた・ゆうこ)ラテンアメリカ文学研究者、大学講師。専門はガルシア=マルケス。論文・論考に、「黄金郷の孤独」(『れにくさ』現代文芸論研究室、2013)、「いくつもの世界のひしめく文学」(『ユリイカ』青土社、2014)、「『眠れる森の美女』以降のガルシア゠マルケス」(『〈転生〉する川端康成』文学通信、2022)ほか。訳書に、ジョシュ『バイクとユニコーン』(東宣出版)、サマンタ・シュウェブリン『七つのからっぽな家』(河出書房新社)ほかがある。
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中世イヌのくらし 装飾写本でたどる | キャスリーン・ウォーカー゠ミークル, 堀口容子(翻訳)
¥2,640
美術出版社 2024年 ハードカバー 96ページ 縦197mm 横158mm 厚さ14mm - 内容紹介 - イヌは人類最良の、心の友? 大英図書館の豊かなコレクションでお届けする装飾写本シリーズ、『中世ネコのくらし』に続く第2弾! 人類最良の友にして忠実な仲間、イヌ。気まぐれに自分のしっぽを追いかけて回ることもあれば、血に飢えた獣になることもある生き物。 そんなイヌたちは、美しい中世の装飾写本にも様々な姿で登場します。本書は大英図書館の装飾写本コレクションから、装飾写本に描かれた個性的なイヌの絵を集めました。拡大図を多く掲載し、ページの余白に小さく描かれたイヌであっても、じっくり眺めるとその表情の豊かさに驚かされます。 さらに中世の文献を紐解き、中世のイヌにまつわる逸話をご紹介します。飼い主を守り戦う勇敢な忠犬、貴族にかわいがられ贅沢にくらす愛玩犬、イヌに関する不思議な迷信など……中世の人々な豊かな文化と、イヌのくらしぶりに触れてみませんか? The British Libraryから刊行した、キャスリーン・ウォーカー=ミークル著『DOGS in Medieval Manuscripts』の日本語翻訳版。
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ヒロシマ〈新装版〉 | J.ハーシー(著), 石川 欣一(訳), 谷本 清(訳), 明田川 融(訳)
¥1,650
法政大学出版局 2014年 ハードカバー 252ページ 四六判 - 内容紹介 - 「20世紀アメリカ・ジャーナリズムの業績トップ100」の第1位に選ばれた、ピューリッツァ賞作家ハーシーによる史上初の原爆被害記録。1946年の取材による1~4章は、6人の被爆者の体験と見聞をリアルに描いて世界に原爆の惨禍を知らしめ、原水爆禁止・核廃絶の運動に影響を及ぼした。85年の再訪で成った5章「ヒロシマ その後」では、原爆症との闘い、市民としての生活・仕事・活動など、稀有な体験者たちの戦後史をヒューマンな筆致で跡づける。 目次 1 音なき閃光(せんこう) 2 火災 3 詳細は目下調査中 4 黍(きび)と夏白菊 5 ヒロシマ その後 1 中村初代 2 佐々木輝文博士 3 ウィルヘルム・クラインゾルゲ神父 4 佐々木とし子 5 藤井正和博士 6 谷本 清 初版 訳者あとがき(谷本 清) 増補版 訳者あとがき(明田川 融) 増補版刊行にあたって/謝辞(法政大学出版局) - 著者プロフィール - J.ハーシー (ハーシー ジョン) (著) (John Hersey) 1914年、中国天津に生まれ、家族がアメリカへ帰る1925年まで同地に暮らす。イェール大学ならびにケンブリッジ大学に学び、一時、シンクレア・ルイス(1885-1951、米国の小説家で、1930年に米国人で初めてノーベル文学賞を受賞)の秘書を務め、その後数年間、ジャーナリストとして活動。1947年以降、おもにフィクションの執筆に打ち込む。ピュリッツァ賞受賞。イェール大学で20年間教鞭をとり、その後、アメリカ著作家連盟会長、アメリカ芸術文学学校校長を歴任。1994年9月、谷本清平和賞受賞。1993年死去。 石川 欣一 (イシカワ キンイチ) (訳) 1895年、東京に生まれる。東京大学英文科を中退して渡米し、1919年、プリンストン大学卒業。大阪毎日新聞社学芸部員、東京日日新聞社学芸部員・ロンドン特派員、大阪毎日新聞社文化部長・東京本社出版局長等を歴任。訳書に、グルー『滞日十年』、チャーチル『第二次大戦回顧録』、モース『日本その日その日』等がある。1959年死去。 谷本 清 (タニモト キヨシ) (訳) 1909年、香川県に生まれる。関西学院神学部を卒業後、渡米して1940年、エモリー大学大学院修了。1943年、広島流川教会牧師に就任し、1945年、爆心から3kmの知人宅で被爆するが奇跡的に助かる。1950年、ヒロシマ・ピース・センターを設立し、原爆で傷ついた少女たちや孤児の救済に取り組む。広島平和文化センター理事長等を歴任。1986年死去。 明田川 融 (アケタガワ トオル) (訳) 1963年,新潟県に生まれる。97年に法政大学大学院政治学専攻博士課程修了。専攻は日本政治史。現在,法政大学法学部教授。著訳書に『日米行政協定の政治史』(法政大学出版局),『沖縄基地問題の歴史』,『日米地位協定』,ジョン・ダワー『昭和』(監訳,以上みすず書房),ジョン・ダワー/ガバン・マコーマック『転換期の日本へ』(共訳,NHK出版)などがある。
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継続する植民地主義の思想史 | 中野 敏男
¥3,960
青土社 2024年 ハードカバー 480ページ 四六判 - 内容紹介 - 過去の歴史を引き受け、未来の歴史をつくりだすために 「戦後八〇年」を迎える現在、いまもなお植民地主義は継続している――。近代から戦前―戦後を結ぶ独自の思想史を描き、暴力の歴史を掘り起こす。日本と東アジアの現在地を問う著者の集大成。
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イスラエルとパレスチナ ユダヤ教は植民地支配を拒絶する | ヤコヴ・ラブキン, 鵜飼 哲(翻訳)
¥880
岩波書店 2024年 岩波ブックレット ソフトカバー 88ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ6mm - 内容紹介 - イスラエルとはどのような国家なのか。その行動原理は。パレスチナ自治区でジェノサイドを続けているのは「ユダヤ人国家」を僭称する植民地主義のシオニストたちである。暴力を禁じるユダヤ教の伝統にとってイスラエルは、救済の途上の障害以外の何ものでもない――。在カナダの碩学のユダヤ教徒による渾身の批判、緊急出版。
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中学生から知りたいウクライナのこと | 小山哲, 藤原辰史
¥1,980
ミシマ社 2022年 ソフトカバー 208ページ 四六判 - 内容紹介 - 生きることの歴史、生きのびるための道。 黒土地帯、第二次ポーランド分割、コサック…地理や世界史の教科書にも載っているこうした言葉に血を通わせる。 「ウクライナを知る」第一歩はここからはじまる。 二人の歴史学者が意を決しておこなった講義・対談を完全再現。緊急発刊! MSLive! BOOKSシリーズ 「小国を見過ごすことのない」歴史の学び方を、今こそ! ・ロシアが絶対に許されない理由…? ・西側諸国、日本が犯してきた罪…? ・「プーチンが悪い」という個人還元主義では、負の連鎖は止まらない…? 【イベント参加者の声】 ・歴史を知ることで、ニュースの解像度が上がり、そこに暮らす人びとの顔が見えてくるような感覚をおぼえました。 ・軍事評論家や国際政治学者の解説ではなく、こういう話が聞きたかったです。 ・「国」と「人」をいっしょくたにせず、どのように平和を築いていくのか。自分の姿勢を問い直す貴重な機会でした。 【MSLive! BOOKSとは?】 ミシマ社が2020年5月にスタートしたオンラインイベント、「MSLive!」。 「MSLive! BOOKS」は、オンラインイベントのライブ感をそのまま詰め込んだ書籍シリーズです。イベントに参加くださった方々から、イベントの内容を活字化したものを販売してほしいというリクエストをたくさんいただき、実現することになりました。 - 目次 - はじめに Ⅰ ウクライナの人びとに連帯する声明(自由と平和のための京大有志の会) Ⅱ ウクライナ侵攻について(藤原辰史) Ⅲ 講義 歴史学者と学ぶウクライナのこと 地域としてのウクライナの歴史(小山哲) 小国を見過ごすことのない歴史の学び方(藤原辰史) Ⅳ 対談 歴史学者と学ぶウクライナのこと(小山哲・藤原辰史) Ⅴ 中学生から知りたいウクライナのこと 今こそ構造的暴力を考える(藤原辰史) ウクライナの歴史をもっと知るための読書案内(小山哲) おわりに - 著者プロフィール - 小山哲 (コヤマサトシ) (著/文) 1961年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。専門は西洋史、特にポーランド史。著書に『ワルシャワ連盟協約(一五七三年)』、共編著に『大学で学ぶ西洋史 [近現代]』、『人文学への接近法――西洋史を学ぶ』など。 藤原辰史 (フジハラタツシ) (著/文) 1976年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専門は現代史、特に食と農の歴史。著書に『縁食論』(ミシマ社)、『トラクターの世界史』『カブラの冬』『ナチスのキッチン』(河合隼雄学芸賞)、『給食の歴史』(辻静雄食文化賞)、『分解の哲学』(サントリー学芸賞)など。
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ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家 サハリン少数民族ウイルタと「出会う」 | 北海道立北方民族博物館(監修), 高島屋史料館TOKYO(編)
¥2,860
図書出版みぎわ 2024年 オープンバック製本 200ページ A5判 - 内容紹介 - かつて網走にあった、小さな資料館を未来に伝える―― 北海道のオホーツク海に面した網走の地に、「ジャッカ・ドフニ」と呼ばれたサハリン少数民族の資料館が存在した。「ジャッカ・ドフニ」は、ウイルタ語で「大切なものを収める家」を意味し、北方少数民族であるウイルタのほか、ニヴフ、サハリンアイヌといった、サハリンに暮らした人々の生活や文化を伝えることを目的とした私設資料館だった。 2024年、髙島屋史料館TOKYOで開催された展覧会を図録で再現、貴重な資料をオールカラーで掲載する。 - 目次 - はじめに ジャッカ・ドフニを未来へつなぐ 第1章 サハリン(樺太) サハリン島の歴史/ジャッカ・ドフニ年表/ウイルタについて 第2章 ジャッカ・ドフニ ジャッカ・ドフニの設立/ゲンダーヌさん/北川アイ子さん 北海道網走に暮らした北川アイ子さんの生活(撮影/1997-1998年) 私たちが見たジャッカ・ドフニ 私の見たゲンダーヌさんと北川アイ子さん 瀧口夕美 曖昧な国境と国籍 黒川創 対談 私たちが見たジャッカ・ドフニ 瀧口夕美・黒川創 第3章 ウイルタの文化 ジャッカ・ドフニの展示/衣服類/かぶりもの/儀式の道具類/トナカイ飼育 /白樺樹皮容器 宮本馨太郎作品「オロッコ・ギリヤークの生活」(1938年8月) 第4章 交流のあった民族 サハリン島の先住民族・少数民族 北川アイ子『私の生いたち』 特別掲載 新田樹「雪」 解説 日本帝国と樺太先住民族 加藤絢子 日露/日ソの境界変動と樺太アイヌの歴史 田村将人 ジャッカ・ドフニと博物館の歴史と構造 犬塚康博 民族の心――北川アイ子さんとの対話から 弦巻宏史 資料館ジャッカ・ドフニ 90年代を振り返る 青柳文吉 - 前書きなど - かつて、北海道のオホーツク海に面した網走の地に「ジャッカ・ドフニ*」と呼ばれたサハリン少数民族の資料館がありました。「ジャッカ・ドフニ」とは、ウイルタ語で「大切なものを収める家」を意味し、ウイルタを中心に、ニブフ、サハリンアイヌといった、サハリンに暮らした少数民族の生活文化を伝えた稀有な私設資料館です。この「ジャッカ・ドフニ」は2012年、多くの人に惜しまれながら約35 年にわたる活動に終止符を打ちます。その後、そこで所蔵されていた資料の全てが、北海道立北方民族博物館に引き継がれました。本書では、「ジャッカ・ドフニ」の所蔵資料をはじめてまとまった形で公開した髙島屋史料館TOKYOの展覧会を、紙面で再現しました。 *「ジャッカ・ドフニ」の正式名称は北方少数民族資料館ジャッカ・ドフニです。 (本書「はじめに」より) - 版元から一言 - 2024年3月16日(土)~2024年8月25日(日)に日本橋の高島屋史料館TOKYOで開催中の展覧会の公式図録です。展示された資料の写真を全て掲載するだけでなく、展示風景の写真も多く掲載しています。展示を見た方も、見られなかった方も楽しんでいただける本です。 - 著者プロフィール - 北海道立北方民族博物館 (ホッカイドウリツホッポウミンゾクハクブツカン) (監修) 北方諸地域に生活する先住民の文化と歴史を研究し、その成果を広く一般に普及することを目的として1991年2月10日に開館。グリーンランドから北欧まで、アイヌ文化を含めた北方民族の文化とオホーツク文化を紹介する、国内では唯一、世界的にも数少ない北方地域を専門とする博物館。常設展示では世界各国から集めた約900点を衣食住、生業等のテーマ別に展示し、北方に暮らす人びとの文化を紹介する。 高島屋史料館TOKYO (タカシマヤシリョウカントウキョウ) (編) 重要文化財である日本橋髙島屋S.C.本館に、2019年3月に開館。展示室と旧貴賓室(セミナールーム)にて、展示活動に加えトークイベントやワークショップなどを開催。これまで扱ってきたテーマは、建築・都市から百貨店、ショッピングモール、ひいては来訪神、北方少数民族ウイルタまで多岐にわたる。また、こうした企画展がわずか50㎡の展示室において盛りだくさんな情報量で展開されることから、一部では展示スタイルが「史料館TOKYO方式」として話題に。
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民主主義とは何か|宇野 重規
¥1,034
講談社 2020年 講談社現代新書 ソフトカバー 280ページ 新書判 - 内容紹介 - トランプ大統領をはじめとする「ポピュリスト」の跋扈、旧社会主義諸国および中国など権威主義国家の台頭など、近年の世界の政治状況は、民主主義という制度の根幹を揺るがすかのような観を呈しています。日本の状況を見てみても、現行の政権が「民意」の正確な反映、すなわち「民主主義的な」政権だといわれると、頸をかしげる人も少なくないのではないでしょうか。はたして民主主義はもう時代遅れなのか? それとも、まだ活路はあるのか? それを議論するためには、まず何よりも、民主主義とは、そもそもどのような制度なのかを「正しく」知らなければならないでしょう。今では自明視されている「民主主義」という制度ですが、人が創ったものである限りそれもまた歴史的な制度として、さまざまな紆余曲折を経て現在のようなものになったのであって、決して「自然」にこのようなになったわけでではないのです。 そこで本書では、ギリシア・アテナイにおける民主主義思想の「誕生」から、現代まで、民主主義という制度・思想の誕生以来、起こった様々な矛盾、それを巡って交わされた様々な思想家達の議論の跡をたどってゆきます。その中で、民主主義という「制度」の利点と弱点が人々にどのように認識され、またどのようにその問題点を「改良」しようとしたのか、あるいはその「改革」はなぜ失敗してしまったのかを辿ることにより、民主主義の「本質」とは何なのか、そしてその未来への可能性を考えてゆきます。 またあわせて、日本の民主主義の特質、その問題点についても分析してゆきます。 民主主義という思想・制度を知るための、平易な政治思想史の教科書としても最適です。 目次 序 民主主義の危機 第1章 民主主義の「誕生」 第2章 ヨーロッパへの「継承」 第3章 自由主義との「結合」 第4章 民主主義の「実現」 終章 日本の民主主義 結び 民主主義の未来 あとがき - 著者プロフィール - 宇野 重規 (ウノ シゲキ) (著/文) 一九六七年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業。同大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。現在、東京大学社会科学研究所教授。専攻は政治思想史、政治哲学。主な著書に『政治哲学へ 現代フランスとの対話』(二〇〇四年渋沢・クローデル賞LVJ特別賞受賞)、『未来をはじめる 「人と一緒にいること」の政治学』(以上、東京大学出版会)、『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社学術文庫、二〇〇七年サントリー学芸賞受賞)、『保守主義とは何か 反フランス革命から現代日本まで』(中公新書)などがある。
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ペンギンは歴史にもクチバシをはさむ 増補新版 | 上田 一生
¥3,520
青土社 2024年 ハードカバー 320ページ 四六判 - 内容紹介 - 貴重な図版満載の異色の文化史 氷原の上をよちよち歩くタキシード姿、好奇心いっぱいの「かわいい」やつ。大航海時代から「未知の大陸」のシンボルとしてさまざまな場面で大活躍してきたペンギンには、その一方で食料、燃料などとして利用されてきた受難の歴史もある。現代ではそのたくましさでも脚光を浴びつつあるペンギンから見た、貴重な図版満載の異色の文化史。
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沖縄について私たちが知っておきたいこと | 高橋 哲哉
¥880
筑摩書房 2024年 ちくまプリマー新書 ソフトカバー 176ページ 新書判 - 内容紹介 - 沖縄の基地問題を理解し、その解消を目指すためには、まず、沖縄が日本に併合された経緯やその後何度も本土のために犠牲になった歴史を知らなければならない。 沖縄の基地問題を理解し、その解消を目指すためには、まず、沖縄が日本に併合された経緯やその後何度も本土のために犠牲になった歴史を知らなければならない。 本土からの訪問者は年間数百万人にも上るが、沖縄に基地が集中しているのはなぜなのか、きちんと理解している人は少ない。 沖縄への過剰な負担についての本土の無関心は、沖縄に対する差別なのではないか? という意識が広まっている。そこにはどんな歴史的、構造的な理由があるのか。沖縄の基地問題に関心がなかった人、よく分からないという本土の人に向けて知って欲しいことを解説した一冊。 琉球処分、人類館事件、沖縄戦、アメリカによる統治、基地問題…… 本土と沖縄の関係を読み解くための大事な一冊 - 目次 - 第一章 沖縄の歴史 琉球処分/人類館事件/アジア太平洋戦争と沖縄 第二章 構造的差別とは何か 沖縄戦後に「戦後」は来たか/基地の島・沖縄 第三章 沖縄から問われる構造的差別 沖縄からの「県外移設」論/新たな「沖縄戦」の危機 対話 沖縄へのコロニアリズムについて - 著者プロフィール - 高橋 哲哉 (タカハシ テツヤ) (本文) 1956年生まれ。哲学者。東京大学教養学部教養学科フランス科卒業。同大学院哲学専攻博士課程単位取得。東京大学名誉教授。著書に、『記憶のエチカ――戦争・哲学・アウシュビッツ』(岩波書店)、『戦後責任論』(講談社)、『靖国問題』(ちくま新書)、『犠牲のシステム 福島・沖縄』『沖縄の米軍基地――「県外移設」を考える』(以上、集英社)、『日米安保と沖縄基地論争――〈犠牲のシステム〉を問う』(朝日新聞出版)ほか。
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中学生から知りたいパレスチナのこと | 岡真理, 小山哲, 藤原辰史
¥1,980
ミシマ社 2024年 ソフトカバー 224ページ 四六判 - 内容紹介 - この本から、始まる 新しい世界史=「生きるための世界史」 あらゆる人が戦争と自分を結びつけ、歴史に出会い直すために。 アラブ、ポーランド、ドイツを専門とする三人の対話から はじめて浮かび上がる「パレスチナ問題」。 世界史は書き直されなければならない。 *** 岡「今、必要としているのは、近代500年の歴史を通して形成された『歴史の地脈』によって、この現代世界を理解するための『グローバル・ヒストリー』です」 小山「西洋史研究者の自分はなぜ、ヨーロッパの問題であるパレスチナの問題を、研究領域の外にあるかのように感じてしまっていたのか」 藤原「力を振るってきた側ではなく、力を振るわれてきた側の目線から書かれた世界史が存在しなかったことが、強国の横暴を拡大させたひとつの要因であるならば、現状に対する人文学者の責任もとても重いのです」 *** 地図作成:マップデザイン研究室 - 目次 - はじめに(岡真理) Ⅰ 私たちの問題としてのパレスチナ問題 岡真理「ヨーロッパ問題としてのパレスチナ問題――ガザのジェノサイドと近代五百年の植民地主義」 「ユダヤ人のパレスチナ追放による離散」は史実にない/ジェノサイドが終わるだけでは不十分/ハマスの攻撃は脱植民地化を求める抵抗/イスラエル政府の発表をうのみにしてはいけない/ジェノサイドはいかなるシステムによって可能になったのか/人文学=ヒューマニティーズから考える/ガザを見たとき、日本は自国の植民地主義を想起できているか/壁一枚を隔て、安楽な生活を享受する者/「人種」はヨーロッパ植民地主義が「発明」したもの/シオニズム運動――反セム主義に対する反応/国家維持のためにホロコーストの記憶を利用する/近代学問に内包されるレイシズム 藤原辰史「ドイツ現代史研究の取り返しのつかない過ち――パレスチナ問題はなぜ軽視されてきたか」 ナチズム研究者はナチズムと向き合いきれていない/ドイツとイスラエルをつなぐ「賠償」 /ふたつの歴史家論争/誰のための「記憶文化」か/ドイツは過去を克服した優等生なのか?/「アウシュヴィッツは唯一無二の悪だ」/奴隷制は終わっていない/経済の問題、労働の問題としてのナチズム Ⅱ 小さなひとりの歴史から考える 小山哲「ある書店店主の話――ウクライナとパレスチナの歴史をつなぐもの」 ふたつの戦争のつながり/長い尺度で問題を捉える/ポーランド書店 E. ノイシュタイン/ウクライナ-ポーランド-イスラエルを結ぶ生涯/イスラエルをリードした東ヨーロッパ出身者/「国家なき民族」の国歌/シオニズム運動はドレフュス事件より前にはじまっていた/民族運動の母体となった地域/移住して国家を建設するという発想/日本も「外部」ではない/「敵は制度、味方はすべての人間」 藤原辰史「食と農を通じた暴力――ドイツ、ロシア、そしてイスラエルを事例に」 私たちの食卓の延長にある暴力/投機マネーがもたらす飢餓/プーチンの農業政策は外交の武器/ウクライナの穀物を狙う米中/国際穀物都市オデーサ/飢餓計画を主導したヘルベルト・バッケ/ホロコーストの影に隠れる「入植と飢餓」/飢えてはならない人と、飢えてもいい人/イスラエルの食と水を通じた暴力/飢餓とは「低関心」による暴力 Ⅲ 鼎談 『本当の意味での世界史』を学ぶために 今の世界史は地域史の寄せ集め/「西」とはなんなのか?/ナチズムは近代西洋的価値観の結晶/「食を通じたイスラエルの暴力」に目が向かなかった反省/私たちの生活が奴隷制に支えられている/日本史、西洋史、東洋史という区分は帝国時代のもの/西洋史でパレスチナ研究をしたっていいはずなのに/ポーランドのマダガスカル計画/民族の悲哀を背負ったポーランドは、大国主義でもあった/イスラエル問題ではなく「パレスチナ問題」/イスラエルの暴力の起源は東欧に?/今のイスラエルのやり方は異常/押してはいけないボタン/核の時代の世界史/「反ユダヤ主義」という訳の誤り おわりに(小山哲) 本書成立の経緯(藤原辰史) - 著者プロフィール - 岡真理 (オカ マリ) (著/文) 1960年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。専門は現代アラブ文学、パレスチナ問題。主な著書に『ガザとは何か』『記憶/物語』『彼女の「正しい」名前とは何か』『棗椰子の木陰で』『アラブ、祈りとしての文学』『ガザに地下鉄が走る日』。 小山哲 (コヤマ サトシ) (著/文) 1961年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。専門は西洋史、特にポーランド史。主な著書・共編著に『中学生から知りたいウクライナのこと』『大学で学ぶ西洋史[近現代]』『人文学への接近法』。 藤原辰史 (フジハラ タツシ) (著/文) 1976年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専門は現代史、特に食と農の歴史。主な著書に『中学生から知りたいウクライナのこと』『縁食論』『カブラの冬』『ナチスのキッチン』『分解の哲学』。
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アイヌがまなざす 痛みの声を聴くとき | 石原 真衣, 村上 靖彦(著/文)
¥2,970
岩波書店 2024年 ハードカバー 376ページ 四六判 縦188mm 横129mm 厚さ26mm - 内容紹介 - いまだ継続する不正義と差別に抗して、アイヌの人々は何を問い、行動してきたのか。五人の当事者へのインタビューから現代アイヌの〈まなざし〉を辿ると共に、アイヌの声を奪い、語りを占有し続ける日本人のあり方を問う。 目次 序 章 まなざされるアイヌとまなざし返すアイヌ 第1部 遺骨返還運動とアイヌ近代史 第1章 先人の尊厳と未来の教育――遺骨返還運動にたずさわる木村二三夫さん 第2章 アイヌ文化を伝えられてこなかったことに誇りを持っている――親族の遺骨を探索するBさん 第3章 幽閉されるアイヌと遺骨 第2部 インターセクショナリティ 第4章 アイヌ女性と複合差別――ヘイトスピーチと闘う多原良子さん 第5章 先住民フェミニズム批評――Ain't I a Woman? /「私」は女ではないの? 第3部 アイヌと外部を行き来する 第6章 羽をパタパタさせればいい――アイヌ近現代史研究者である新井かおりさん 第7章 家出少年は傍らに神話を持つ――美術家結城幸司さん 第8章 思想的消費とまなざしの暴力 終 章 まなざしの転換 あとがき 交差する場所をひらく 謝 辞 - 著者プロフィール - 石原 真衣 (イシハラ マイ) (著/文) 1982年北海道サッポロ市生まれ.アイヌと琴似屯田兵(会津藩)のマルチレイシャル.北海道大学アイヌ・先住民研究センター准教授.文化人類学,先住民フェミニズム.著書に『〈沈黙〉の自伝的民族誌(オートエスノグラフィー)』(北海道大学出版会2020,大平正芳記念賞),編著書に『アイヌからみた北海道150年』(北海道大学出版会2021),『記号化される先住民/女性/子ども』(青土社2022)など. 村上 靖彦 (ムラカミ ヤスヒコ) (著/文) 1970年東京都生まれ.大阪大学人間科学研究科教授・感染症総合教育研究拠点(CiDER)兼任教員.現象学.著書に『摘便とお花見』(医学書院2013,日本学術振興会賞),『子どもたちがつくる町』(世界思想社2021),『ケアとは何か』(中公新書2021),『「ヤングケアラー」とは誰か』(朝日新聞出版2022),『客観性の落とし穴』(ちくまプリマー新書2023),『すき間の哲学』(ミネルヴァ書房2024近刊)など.
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月経と犯罪 “生理”はどう語られてきたか | 田中 ひかる
¥2,640
平凡社 2020年 ハードカバー 192ページ 四六判 - 内容紹介 - 「女は生理の時、カッとして頭にきて何をするのかわからない」――。 女性は生理があるから罪を犯す、と信じられていた時代があった。 その言葉の根拠を確かめ、信じられてきた理由を歴史的資料からひもとく。 〈目次〉 第1章 犯罪における月経要因説と「新しい女」たち アナーキスト大杉栄を刺した「新しい女」神近市子/「変態性慾」研究の先駆者クラフト=エビング/月経時の芝居見物は精神疾患を招くのか/「タブー」から「富国強兵の礎」へ/女優松井須磨子――自殺現場に残された「一滴の美しい血」/渡辺淳一『女優』に描かれた須磨子の月経/松井須磨子、自殺の真相/与謝野晶子も襲われた「ある時期」の猛烈なヒステリー 第2章 女性犯罪論の起源 ロンブローゾ――売春婦は生まれながらの犯罪者/現行犯逮捕の八割以上が月経中?/明治の女子教育論――女子は健康で鈍なのがよい/日本初の女性犯罪論『犯罪論及女性犯人』/女性犯罪論の古典『婦人と犯罪』/「幻の名著」はなぜ生まれたのか/婦人問題論争と『婦人と犯罪』 第3章 猟奇犯罪の時代 猟奇的事件が多発した1920年代 女性犯罪の三要素――ヒステリー・痛覚の鈍麻・月経/『近代犯罪研究』――犯罪の影には女あり/女は「詐欺顔」/経血の害悪――植物は枯れ、金属は錆び、犬は発狂/放火は女の犯罪か/女の取り調べの際には四週間待て?/「性的関係」――大逆事件から万引きまで/「虚偽の強姦」多発の真相/男の「幻想」、女の「内面化」「利用」 第4章 生理休暇と精神鑑定 女性教員の「生理的故障」/「女工」たちの深刻な「母性破壊」/「職業婦人に生理休暇を!」/のちの首相片山哲「月経要因説」を語る/「生理休暇」をめぐる攻防/「生理休暇」取得率0.9%の背景/初経教育の質が、女性の人生を左右する/月経が必ず問われた精神鑑定/「婦人犯罪」へのアンチテーゼ 第5章 月経要因説の精神医学的解釈 魔女、悪女、毒婦、狐/「レズビアンのサド・マゾ」はホルモンの影響か/女子受刑者たちの犯罪時月経状態/初潮・無月経が犯行を決定づけるのか/月経周期の矛盾/はじめに月経不順あり/「謎の注射」を無視した精神鑑定/月経は「性的葛藤」を想起するか/月経時の女の仕事を信用しない女 第6章 月経要因説の心理学的解釈 「迷信」が月経時の犯罪を招くのか/『旧約聖書』や『コーラン』も忌み嫌った「血の穢れ」/なぜ女だけが「血の池地獄」に堕ちるのか/日本初の女性検事は女をどう見ていたか/「ネガティブな気分」はなぜ起こるのか/偽薬効果が意味するもの 第7章 「犯罪におけるPMS要因説」 「月経前症候群」が「月経前不快気分障害」に改められた理由/毛深い女は犯罪者予備軍? - 著者プロフィール - 田中 ひかる (タナカ ヒカル) (著/文) 歴史社会学者
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ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義 | 岡 真理
¥1,540
大和書房 2023年 ソフトカバー 208ページ 縦188mm 横130mm 厚さ15mm - 内容紹介 - 【緊急出版!ガザを知るための「まず、ここから」の一冊】 2023年10月7日、ガザ地区のハマース主導のパレスチナ戦闘員による、 イスラエルへの攻撃に端を発し、 イスラエルによるガザ地区への攻撃が激化しました。 長年パレスチナ問題に取り組んできた、 パレスチナ問題と現代アラブ文学を専門とする著者が、 平易な語り口、そして強靭な言葉の力によって さまざまな疑問、その本質を明らかにします。 今起きていることは何か? パレスチナ問題の根本は何なのか? イスラエルはどのようにして作られた国? シオニズムとは? ガザは、どんな地域か? ハマースとは、どのような組織なのか? いま、私たちができることは何なのか? 単なる解説にはとどまらない、 「これから私たちが何を学び、何をすべきか」 その足掛かりとなる、 いま、まず手に取りたい一冊です。 ■目次■ ■第1部 ガザとは何か 4つの要点/イスラエルによるジェノサイド/繰り返されるガザへの攻撃/イスラエルの情報戦/ガザとは何か/イスラエルはどう建国されたか/シオニズムの誕生/シオニズムは人気がなかった/なぜパレスチナだったのか/パレスチナの分割案/パレスチナを襲った民族浄化「ナクバ」/イスラエル国内での動き/ガザはどれほど人口過密か/ハマースの誕生/オスロ合意からの7年間/民主的選挙で勝利したハマース/抵抗権の行使としての攻撃/「封鎖」とはどういうことか/ガザで起きていること/生きながらの死/帰還の大行進/ガザで増加する自殺/「国際法を適用してくれるだけでいい」 ■第2部 ガザ、人間の恥としての 今、目の前で起きている/何度も繰り返されてきた/忘却の集積の果てに/不均衡な攻撃/平和的デモへの攻撃/恥知らずの忘却/巨大な実験場/ガザの動物園/世界は何もしない/言葉とヒューマニティ/「憎しみの連鎖」で語ってはいけない/西岸で起きていること/10月7日の攻撃が意味するもの/明らかになってきた事実/問うべきは「イスラエルとは何か」/シオニズムとパレスチナ分割案/イスラエルのアパルトヘイト/人道問題ではなく、政治的問題 ■質疑応答 ガザに対して、今私たちができることは?/無関心な人にはどう働きかければいい?/パレスチナ問題をどう学んでいけばいい?/アメリカはなぜイスラエルを支援し続けるのか?/BDS運動とは何? ■付録 もっと知るためのガイド(書籍、映画・ドキュメンタリー、ニュース・情報サイト) パレスチナ問題 関連年表 本書は、10月20日京都大学、10月23日早稲田大学で開催された緊急セミナーに加筆修正を加えたものです。 - 著者プロフィール - 岡 真理 (オカ マリ) (著/文) 1960年生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了。在モロッコ日本国大使館専門調査員、大阪女子大学人文社会学部講師、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を経て、早稲田大学文学学術院教授。専攻は現代アラブ文学・第三世界フェミニズム思想。
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パレスチナを知るための60章 | 臼杵 陽, 鈴木 啓之
¥2,200
明石書店 2016年 ソフトカバー 412ページ 四六判 - 内容紹介 - 1948年のイスラエル建国以降、中東の火種となってきたパレスチナ。70年近くに及ぶ難民キャンプの暮らし、あるいは「分離壁」に代表されるイスラエルの抑圧的な政策の下にあって、なおアイデンティティを求め続けるパレスチナの人々を描く。 目次 はじめに Ⅰ パレスチナ イメージと実像 第1章 パレスチナとはどこか――アイデンティティの拠り所を考える 第2章 世界に離散するパレスチナ人――繰り返される移動 第3章 パレスチナ人はどんなところに住んでいるのか――難民キャンプから「持ち家」へ 第4章 パレスチナ人は何を食べているのか――オスマン時代から続く伝統的食文化 【コラム1】パレスチナの家庭料理――ひと手間が引き出すおいしさと家庭の誇り 第5章 パレスチナのイエと社会――パレスチナ人のアイデンティティ/39 【コラム2】結婚式 第6章 キリスト教徒として生きる人々――多様な宗教文化 第7章 ドゥルーズ派の人々――イスラエルとアラブのはざまで 【コラム3】「3652年間この地に生きる」サマリア人 第8章 失われた多様性――つくられた「マイノリティ問題」 第9章 ハリウッド映画のパレスチナ人像――捏造される「悪いアラブ」 【コラム4】映画『ミュンヘン』――9・11後のアメリカ社会とパレスチナ問題 第10章 日本人キリスト教徒のパレスチナ・イメージ――パレスチナへの無関心は何によるのか 第11章 『オリエンタリズム』の衝撃――日本でのエドワード・サイード受容 Ⅱ 歴史 第12章 オスマン帝国時代のパレスチナ――蒔かれた紛争の種 第13章 イギリスによる支配――パレスチナ委任統治期 【コラム5】ド・ブンセン委員会――イギリス中東分割政策の青写真 第14章 パレスチナ難民はなぜ生まれたか――忘却されるナクバ 第15章 イスラエルに残ったパレスチナ人――差別・分断と新たな機運 第16章 アラブ・ナショナリズムとパレスチナ・ナショナリズム――シュカイリー初代PLO議長 第17章 パレスチナ解放運動の昂揚――ヤーセル・アラファートとパレスチナ解放機構(PLO) 第18章 アラブ諸国との軋轢――黒い9月とレバノン内戦 第19章 石の蜂起――幻の独立宣言から孤立へ 【コラム6】アメリカン・コロニーの変遷 第20章 オスロ和平プロセス――誕生・展開・挫折 第21章 なぜパレスチナ人はハマースを支持するのか――暫定自治政府の限界 【コラム7】アフマド・ヤースィーン――創設者が描いたハマースの原点と広がり Ⅲ 生活と文化 第22章 ヘブロンの都市生活――イスラーム的伝統の復興 第23章 オリーブと生きる――土地とのつながり、人々の暮らしの象徴 【コラム8】パレスチナのビール・ワイン 第24章 パレスチナの刺繍――モチーフが映し出すパレスチナ 【コラム9】パレスチナの衣装 第25章 難民女性ガーダ――占領と強権の圧力に抗する 第26章 「同胞の“痛み”を我が“痛み”として生きる」――人権活動家ラジ・スラーニとその活動 第27章 タブーに挑む――パレスチナ人ジャーナリストの挑戦 【コラム10】パレスチナ映画――パレスチナ人の実存の視覚的オルタナティブ 第28章 パレスチナ演劇――「失われた」言葉を取り戻す 【コラム11】パレスチナの踊り「ダブケ」 第29章 パレスチナ文学――ナクバから生まれた言葉の力 【コラム12】言葉の「ナクバ」――ヘブライ語で書くパレスチナ人作家 第30章 ウード弾きたちの挑戦――伝統音楽から新しい地平へ 第31章 ポピュラー音楽――革命歌からラップまで 【コラム13】パレスチナ系アメリカ人のコメディアン Ⅳ 世界の中のパレスチナ 第32章 国連の難民救済事業――UNRWAの活動 【コラム14】第一次中東戦争に参加した北アフリカ義勇兵 第33章 アメリカのパレスチナ関与――歴代大統領はパレスチナをどう見てきたか 第34章 ソ連・ロシアの対パレスチナ政策――放置されるロシアの飛び地 第35章 パレスチナ国家の承認――紛争解決の模索 第36章 大国エジプトの変節――宗教、帝国主義、民族主義、そして新しい時代へ 【コラム15】ガザ難民――二人の女子学生と出会って 第37章 隣国ヨルダンの歩み――紛争の展開と国家像の模索 第38章 シリア・レバノンのパレスチナ人――安全と未来を求めて 【コラム16】「イスラーム国」とパレスチナ 第39章 大義を掲げる湾岸諸国――アラブの同胞か、他人事か 第40章 聖都エルサレム――占領下の生活空間 第41章 イスラエルとパレスチナの非対称性――国家主体と非国家主体 【コラム17】パレスチナを旅行する Ⅴ 経済と社会 第42章 パトロン・クライアント関係――近代パレスチナ社会の支配層 第43章 水と土地――権利あるいは空間をめぐる問題 第44章 ヨルダン川西岸の産業――実地調査から見える現状と課題 【コラム18】パレスチナの伝統工芸品 第45章 パレスチナの農業――資源と市場への限られたアクセス 第46章 農村の生活――パレスチナの文化を育む農村の暮らし 第47章 通貨と金融――オスロ合意は何をもたらしたか 第48章 公共部門と公共サービス――あまりに不安定な現実 【コラム19】アンマーンの交通事情と難民 第49章 ワクフ――翻弄されたイスラーム的信託制度 第50章 難民の初等・中等教育――UNRWAの教育と育つ人材 第51章 占領下で学ぶ――大学設立にかけた願いと挑戦 【コラム20】記録し、発信する――パレスチナ研究機構の挑戦 第52章 変遷する障害者福祉――誰も置き去りにしない社会に向けて 【コラム21】分離壁 Ⅵ パレスチナと日本 第53章 対パレスチナ外交――人的交流から資金援助まで 【コラム22】アラファートの日本訪問とIPTIL 第54章 日本に来たパレスチナ人――パレスチナ駐日代表アブドゥルハミードと日本 【コラム23】PLO東京事務所と日本 【コラム24】李香蘭とパレスチナ 【コラム25】「天よ、我に仕事を与えよ」――自己否定と弱者の政治=軍事再考 第55章 日本の経済支援――国際協調と地域安定への試み 第56章 日本の医療支援――パレスチナに根づいた支援 第57章 市民社会による支援――1万キロを越えての連帯とその課題 第58章 イスラエル・ボイコット運動――パレスチナにおける「アパルトヘイト」廃絶への挑戦 第59章 フェアトレード――生活の糧としての伝統工芸 第60章 日本のジャーナリズムとパレスチナ――エルサレム特派員が見たオスロ合意 【コラム26】戦前・戦中の日本とパレスチナ パレスチナを知るための文献・情報ガイド 前書きなど はじめに 私たちパレスチナ人は、どこにいようと、われらがパレスチナにいるわけではない。パレスチナは、もはや存在しないからだ。(エドワード・W・サイード『パレスチナとは何か』島弘之訳、岩波現代文庫、2005年、21頁) パレスチナという名の国家は、まだ存在していない。2015年末時点では136カ国がパレスチナを国家として承認している。国連加盟国の約70%である。21世紀に入ってパレスチナを国家として承認する国は少しずつ増えている。だが、アメリカ、イギリス、フランスといった国連常任理事国を構成する主要欧米諸国はいまだにそれを認めていない。もちろん、西欧でも一部の国の議会は当該政府がパレスチナを国家として承認するよう決議しているものの、まだまだ時間がかかりそうである。 1948年5月、パレスチナという地名は地図上から消えた。パレスチナ人たちは祖国喪失の体験を「ナクバ」と呼ぶ。カタストロフィ、大災難、大厄災など、さまざまな訳語が当てられる。ホロコーストに比べ、日本では辞書に載るほど一般的ではないが、英語圏の大辞典ではal-Nakbaとして掲載されており、OED(オックスフォード英語辞典)では「新イスラエル国家の誕生によって多くのパレスチナ人が故郷を追われた1948年の出来事をさすパレスチナ人の用語」と定義されている。 かつてパレスチナの地に住んでいたアラブ人は48年に離散して難民となって以来「パレスチナ」の名前を継承することになった。新たな「パレスチナ人」の誕生である。もちろん、イスラエル国の領域となった土地にもパレスチナ人がイスラエル市民として暮らしている。だとしても、そのようなパレスチナ人は、もう存在しないパレスチナに「居住している不在者(present absentee)」なのである。冒頭で引用したサイードは「パレスチナは、もはや存在しない」と明言した。1994年にガザとヨルダン川西岸地区の一部に「パレスチナ自治区」が成立したので、パレスチナはもはや地図上に存在しない〈場〉ではない。しかし、いまもって国家ではない「パレスチナ」というタイトルを冠した本を「エリア・スタディーズ」の一冊として出版するということは実に画期的なことである。 (…後略…) - 著者プロフィール - 臼杵 陽 (ウスキ アキラ) (編著) 日本女子大学文学部史学科教授。パレスチナ人との最初の出会いは1980年8月のレバノンのアイン・アル・ヘルワ難民キャンプ訪問時。以来、アンマーン2年半、エルサレム2年、そしてベイルート半年と長期滞在の機会を得た。パレスチナ/イスラエルに関する見方は『イスラエル』(岩波新書)、『世界史の中のパレスチナ問題』(講談社現代新書)を参照されたい。専門は中東現代史・中東地域研究。日本・イスラーム・ユダヤ関係史にも関心を持っている。 鈴木 啓之 (スズキ ヒロユキ) (編著) 日本学術振興会・特別研究員PD(日本女子大学)。中東地域研究、パレスチナ人の政治活動を専門とする。パレスチナとの最初の出会いはテレビで見たE・サイードとガザの人権弁護士ラジ・スラーニの討論。イラク戦争、第二次インティファーダを見ながら「敵と味方」の論理の不毛を知った。主な著作に「パレスチナ被占領地における政治活動の発展――キャンプ・デーヴィッド合意(1978年)と揺れ動く地域情勢」(『中東学会年報』30(1)、2014年)。 追記 【執筆者一覧】 板垣雄三(いたがき ゆうぞう) 1931年、東京生まれ。東京大学・東京経済大学各名誉教授。日本学術会議会員、アジア中東学会連合会長、日本イスラム協会理事長、など歴任。ユダヤ人問題とパレスチナ問題の連関、植民地主義の所産=イスラエル国家、など論及。『アラブの解放』(平凡社、1974年)、『石の叫びに耳を澄ます』(平凡社、1992年)、『復刻版〈パレスチナ問題を考える〉シンポジウムの記録』(第三書館、2012年)、など。 今井宏平(いまい こうへい) 日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員。現代トルコの外交を国際関係論の視点から考察している。とりわけ、トルコにおいて2002年から第一党の座を維持している公正発展党が進める西洋と中東を軸に展開する外交政策とその行動原理の解明に取り組んでいる。主な著作として、『中東秩序をめぐる現代トルコ外交』(ミネルヴァ書房、2015年)がある。 今井静(いまい しづか) 日本学術振興会特別研究員(PD)。中東地域研究、国際関係論、ヨルダン政治経済。主な著作に「ヨルダンの対イラク貿易と経済社会構造の変容――1970年代から80年代を中心に」(『日本中東学会年報』28(1)、2012年)、「ヨルダンにおけるシリア難民受入の展開――外交戦略としての国際レジームへの接近をめぐって」(『国際政治』178、2014年)。 今野泰三(いまの たいぞう) 日本国際ボランティアセンターパレスチナ事業現地代表、大阪市立大学院都市文化研究センター研究員。パレスチナ/イスラエル地域研究、中東政治学、政治地理学。主な著作に「ユダヤ人入植者のアイデンティティと死/死者の表象――ナラティブと墓石・記念碑の分析」(『日本中東学会年報』26(2)、2011年)、「宗教シオニズムの越境――ヨルダン川西岸地区の『混住入植地』を事例として」(『境界研究』5、2015年)、「政治・外交的視点からの脱却――実践主義的側面から見るオスロ和平プロセス」(今野泰三・鶴見太郎・武田祥英編『オスロ合意から20年――パレスチナ/イスラエルの変容と課題』NIHUイスラーム地域研究・東京大学拠点、2015年)。 岩浅紀久(いわあさ としひさ) 日本IBMおよびPhiips Co.勤務の後、ITエンジニアリング研究所を設立。JICAのパレスチナ中小企業支援プロジェクトの専門員として現地調査を実施。ジェリコに企業団地建設を提案し、建設途上にある。東京大学東洋文化研究所パレスチナ研究会メンバー。 臼杵陽(うすき あきら)※編著者プロフィールを参照。 臼杵悠(うすき はるか) 一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程在籍中。専門はヨルダンを中心とした中東社会経済研究。学部生のころ、日本国際ボランティアセンター(JVC)パレスチナ事業でのボランティア活動をきっかけに本格的にパレスチナに興味をもつ。現在、松下幸之助記念財団の留学助成によりパレスチナ系住民の多いヨルダンにて、統計局に所属しマイグレーションと経済の関係をテーマに2年の長期滞在中。 鵜戸 聡(うど さとし) 鹿児島大学法文学部准教授。アルジェリアやレバノンなどフランス語圏を中心に中東・北アフリカの文学を研究。日本の演劇祭でアラブ演劇の翻訳・解説などにも従事し、そのラディカルさにいつも圧倒されている。共著に『シリア・レバノンを知るための64章』(黒木英充編、明石書店、2013年)など。 宇野昌樹(うの まさき) 広島市立大学国際学部教授。文化人類学、中東地域研究。主な著作に「アラブの春とイスラエルの核」(高橋伸夫編『アジアの「核」と私たち――フクシマを見つめながら』東アジア研究所講座、慶應義塾大学東アジア研究所、2014年)、「あるレバノン家族から垣間見えるアラブの女性像」(福原裕二・吉村慎太郎編『現代アジアの女性たち――グローバル社会を生きる』新水社、2014年)、「世界に散らばるレバノン系・シリア系移民――グローバル化と移民、出稼ぎ労働者、難民のはざまで」(堀内正樹・西尾哲夫編『〈断〉と〈続〉の中東――非境界的世界を游ぐ』悠書館、2015年)。 江﨑智絵(えざき ちえ) 防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授。中東の国際関係・安全保障論、パレスチナ問題。主な著作に『イスラエル・パレスチナ和平交渉の政治過程分析――オスロ・プロセスの展開と挫折』(ミネルヴァ書房、2013年)、「紛争と危機管理政策――国際交渉学の観点から」(伊東孝之監修、広瀬佳一・湯浅剛編『平和構築のアプローチ――ユーラシア紛争研究の最前線』吉田書店、2013年)、「アラブ諸国の政治変動における軍と武装非国家主体の台頭」(『国際安全保障』43(3)、2015年)。 大伴史緒(おおとも しお) 筑波大学大学院人文社会科学研究科・博士課程。パレスチナ・イスラエルの経済。 大澤小枝(おおさわ さえ) UNICEFスーダン教育担当官(2016年3月現在)。ロンドン大学にて「中東の歴史・外交」と「教育計画」の分野で修士を取得。UNRWAやUNESCO、NGOでヨルダン、レバノン、ガザのパレスチナ難民の教育に10年以上関わる。将来的には再びパレスチナの子どもたちの教育に貢献したいと思っている。 川上泰徳(かわかみ やすのり) 中東ジャーナリスト。元朝日新聞中東特派員。1994年、カイロ特派員となり、パレスチナ自治の始まりを取材。2001~02年はエルサレム特派員として第2次インティファーダとイスラエル軍のヨルダン川大侵攻を取材。2015年、フリーランスになり、パレスチナ問題は主要テーマの一つ。主な著作に『中東の現場を歩く――激動20年の取材のディテール』(合同出版、2015年)、『イスラムを生きる人びと――伝統と「革命」のあいだで』(岩波書店、2012年)。 神﨑雄二(かんざき ゆうじ) 日本聖公会東京教区司祭。1974年にテルゼロールでの発掘に参加した。しかしユダヤ人農業学校に滞在していたのでパレスチナ側の視点をまるで欠き、何も現実が見えなかった。2002年に2か月間中東聖公会エルサレム教区の聖職・信徒に伴われ、パレスチナ・イスラエル各地の教会・施設を巡り、パレスチナ人の苦難を目の当たりにした。以来両教区間の相互訪問を繰り返している。 金城美幸(きんじょう みゆき) 日本学術振興会特別研究員RPD。パレスチナ/イスラエル史学。主な著書に「破壊されたパレスチナ人村落史の構築――対抗言説としてのオーラルヒストリー」(『日本中東学会年報』30(1)、2014年)。日本国籍をもつがそのルーツは東アジア全域に及ぶ。(父方祖父は日帝統治時代の朝鮮から、祖母は済州島4・3事件を逃れて渡来。日本軍医だった母方祖父は中国大陸で国民党幹部の捕虜となり、その娘だった祖母と結婚し、第二次国共内戦後の台湾脱出を経て渡来。)帝国主義・植民地主義、その後の境界画定による人々の追い立ての経験に強い関心がある。二児の母。 小池絢子(こいけ あやこ) 特定非営利活動法人WE21ジャパン民際協力室。フィリピンにおけるコミュニティ開発、ネットワークを通じた市民活動、アジア太平洋地域における国際関係。 小阪裕城(こさか ゆうき) 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程。長野県短期大学多文化コミュニケーション学科国際地域文化専攻助教。歴史学(国際史/20世紀アメリカ史)。主な著作に「アメリカ・ユダヤ人委員会とイスラエル――建国の余波のトランスナショナル・ヒストリー」(『歴史評論』792,2016年)、「黒人運動の『外交』――全米黒人向上協会(NAACP)、国際連合と冷戦」(足羽與志子・中野聡・吉田裕編『平和と和解――思想・経験・方法』旬報社、2015年)、「『ユダヤ人問題』の解を求めて――アメリカ・ユダヤ人委員会,国際人権とイスラエルの建国 1942~1948年」,(『国際政治』176、2014年)。 児玉恵美(こだま えみ) 日本女子大学文学研究科史学専攻博士課程前期。中東現代史、研究テーマは、レバノンの離散パレスチナ人による祖国解放運動(1969~1982年)において、難民キャンプの離散パレスチナ人が祖国帰還を願って、武装闘争に身を投じたプロセス。 小林和香子(こばやし わかこ) 日本国際ボランティアセンターエルサレム事務所、国連開発計画エルサレム事務所、国際協力機構パレスチナ事務所、外務省国際協力局などに勤務。中東和平、平和構築、国際協力。主な著作に,『ガザの八百屋は今日もからっぽ――封鎖と戦火の日々』(めこん、2009年)、「パレスチナ難民問題と解決の可能性の模索」(『現代の中東』48、2010年)、“International Court of Justice Advisory Opinion on the Wall and Its Influence on the Israel-Palestine Peace Process,”Journal of the Graduate School of Asia-Pacific Studies, No. 13 (2007.6) pp.219-240. 是恒香琳(これつね かりん) 日本女子大学文学研究科史学専攻博士課程前期。著書に『日本女子大学生の世の中ウォッチ』(パド・ウィメンズ・オフィス、2014年)。切り抜き情報誌『女性情報』(パド・ウィメンズ・オフィス)に連載中。元イスラエル兵士らにインタビューしたドキュメンタリー映画『沈黙を破る』(土井敏邦監督、2009年)をきっかけに、パレスチナ問題に関心を持っている。 近藤重人(こんどう しげと) 日本エネルギー経済研究所中東研究センター研究員。サウジアラビア、クウェートの政治・外交、中東現代史。主な著作に「サウディアラビアのパレスチナ政策とアメリカ――1945――1948年」(『法学政治学論究』101、2014年)。アラブ和平イニシアティブというサウジアラビアが力を入れている中東和平提案に関心がある。 澤口右樹(さわぐち ゆうき) 東京大学大学院総合文化研究科修士課程。イスラエル政治を読み解くことで、イスラエルがパレスチナなどの周辺国との間に抱える暴力の原因を明らかにすることが主な関心。とりわけ、イスラエル外交を研究対象としている。現在は、なぜイスラエル国内の紛争の犠牲者がより「他者」への態度、働きかけ、支持政策が強硬なものを好むのかをテーマとして研究中。 塩塚祐太(しおつか ゆうた) 対パレスチナ自治政府日本政府代表事務所(在ラーマッラー)元草の根人間の安全保障無償資金協力調整員(2012~2015年)。学生時に国際NGO日本国際ボランティアセンターでのインターンを通してパレスチナ支援に関わり、パレスチナ自治区ビールゼイト大学に8カ月間留学(2011年)。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。現地の人びとの視点から、パレスチナ/イスラエル問題における国際援助の構造や影響力について学ぶ。 清水雅子(しみず まさこ) 上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科特別研究員(PD)。中東現代政治。主な著作に「『変革と改革』としてのハマース――パレスチナにおける武装抵抗運動の選挙参加」(『日本中東学会年報』27(2)、2012年)、「パレスチナの政治変動は執政制度の役割にいかに影響したか――ハマース政権樹立から自治政府の分裂に至る政治過程(2006――2007年)を事例に」(『Aglos: Journal of Area-Based Global Studies』3、2012年)、「制度の意図せざる結果としてのハマース与党化」(今野泰三・武田祥英・鶴見太郎編『オスロ合意から20年――パレスチナ/イスラエルの変容と課題』人間文化研究機構「イスラーム地域研究」東京大学拠点パレスチナ班、2015年)。 菅瀬晶子(すがせ あきこ) 国立民族学博物館准教授。ガリラヤ地方やベツレヘム周辺のアラブ人キリスト教徒コミュニティや、アル・ハディルと呼ばれる聖者への崇敬について調査し続けている。修道院の料理人だった友人から学んだアラブ料理の腕と知識は、現地の人々にも負けないと自負。最近は20世紀前半、パレスチナ初の新聞『カルメル』の主筆として活躍したナジーブ・ナッサールに注目している。主な著作に『イスラームを知る6 新月の夜も十字架は輝く――中東のキリスト教徒』(山川出版社、2010年)、“The beginnings of a new coexistence: a case study of the veneration of the Prophet Elijah (Mar Ilyas) among Christians, Muslims and Jews in Haifa after 1948’in Rowe, Dyck and Zimmermann (eds.), Christians and the Middle East Conflict, pp.84-98. London and New York: Routledge.2014などがある 鈴木隆洋(すずき たかひろ) 何も時計台に翻る「竹本処分粉砕」の六文字に憧れて入学したわけではないが、気がつけば私は「咲いた咲いた赤白黄色どのヘルメット見てもキレイだな」という大学にいた。結局活動することも逮捕されることもなく学究の道へ入ってしまったわけだが、「倫理主義でも単なる知識の蓄積でもない研究」を志した理由はイラク戦争当時に覚えた葛藤にあるのだろう。主な翻訳にマンデラ『自由への容易な道はない』(峯陽一監訳、青土社)。龍谷大学短期大学部非常勤講師。 鈴木啓之(すずき ひろゆき)※編著者プロフィールを参照。 清田明宏(せいた あきひろ) 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)保健局長、世界保健機関特別代表(対UNRWA)。国際保健、公衆衛生、医療システム管理、結核対策。主な著作に『ガザ――戦争しか知らないこどもたち』(ポプラ社、2015年)、パレスチナ難民のいのちと健康:国連パレスチナ難民救済事業機関の地域ケア(保健福祉学)、“Governing the reform of the United Nations health systems for Palestine Refugees: Moving mountains,”Governing Health Systems For Nations and Communities Around The World. Edited by Michael Reich, Keizo Takemi. Harvard School of Public Health. Lamrey & Lee. 2015. 高岩伸任(たかいわ のぶただ) 一橋大学非常勤講師。中東社会経済史。 武田祥英(たけだ よしひで) 千葉大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程。委任統治終了までのイギリス政府の対中東政策と、イギリスにおけるユダヤ教徒の政府との関係が専門。ド・ブンセン委員会報告書(CAB27/1)が第一次世界大戦期の中東分割政策に与えた影響と報告書の歴史的再評価、および当時イギリスで主流派だった反シオニストのユダヤ教徒の外交活動について研究。 田浪亜央江(たなみ あおえ) 成蹊大学アジア太平洋研究センター主任研究員。中東地域研究、パレスチナ文化研究。主な著作に『対テロ戦争と現代世界』(共著、御茶の水書房、2006年)、『〈不在者〉たちのイスラエル――占領文化とパレスチナ』(インパクト出版会、2008年著)、『変わるイスラーム社会』(共著、明石書店、2016年)。 田村幸恵(たむら ゆきえ) 津田塾大学国際関係研究所研究員。歴史的な事象として名望家を中心とした青年団体およびイスラーム組織による経済・政治的な活動を含めた社会維持機能に関心を寄せ、遡ってオスマン帝国末期のパレスチナ研究の必要性を痛感。上記団体の貧困緩和に果たす役割があるのではと思案する。「ムスリム青年協会パレスチナ支部による労働組合の組織――1920年代後半からアラブ労働者統一会議まで」(『イスラーム世界』68、2007年)、「インタビュー調査から見るパレスチナのNGO――PNGOによる草の根団体活用と地方における活動」(『津田塾大学国際関係学科ワーキングペーパーシリーズ』6、2007年)、 「二つの帝国の間で――パレスチナにおける大戦の経験と支配の貫徹(仮)」(永原陽子編『植民地世界から見た第一次世界大戦』ミネルヴァ書房、2016年刊行予定)。 鶴見太郎(つるみ たろう) 東京大学大学院総合文化研究科准教授。社会学、ロシア・ユダヤ史・シオニズム史。主な著作に『ロシア・シオニズムの想像力――ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、「旧ソ連系移民とオスロ体制――イスラエルの変容か、強化か」今野泰三・鶴見太郎・武田祥英編『オスロ合意か20年――パレスチナ/イスラエルの変容と課題』NIHUイスラーム地域研究、2015年、“Jewish Liberal, Russian Conservative: Daniel Pasmanik between Zionism and the Anti-Bolshevik White Movement,”Jewish Social Studies 21(1), 2015. 土井敏邦(どい としくに) 1953年佐賀県生まれ。ジャーナリスト。1985年以降、パレスチナ・イスラエルを取材。主な著作に『占領と民衆――パレスチナ』(晩聲社、1988年)、『アメリカのユダヤ人』(岩波書店、1991年)、『アメリカのパレスチナ人』(すずさわ書店、1991年)、『「和平合意」とパレスチナ――イスラエルとの共存は可能か』(朝日新聞社、1995年)、『パレスチナの声、イスラエルの声――憎しみの“壁”は崩せるのか 現地ルポ』(岩波書店、2004年)、『沈黙を破る――元イスラエル軍将兵が語る“占領”』(岩波書店、2008年)、『ガザの悲劇は終わっていない――パレスチナ・イスラエル社会に残した傷痕』(岩波ブックレット、2009年)など。ドキュメンタリー映画『届かぬ声――パレスチナ・占領と生きる人びと』(全4部作、す4作が『沈黙を破る』2010年)、『ガザ攻撃 2014年夏』(2014年)、『ガザに生きる』(全5部作、2015年)など。 飛奈裕美(とびなひろみ) 京都大学学際融合教育研究推進センター・特定講師。パレスチナ・イスラエル地域研究。 長沢栄治(ながさわ えいじ) 東京大学東洋文化研究所教授、パレスチナ学生基金(ヨルダンの「ガザ難民」大学生に学費を支援)理事長。中東地域研究、近代エジプト社会経済史。主な著書に、『アラブ革命の遺産 エジプトのユダヤ系マルクス主義者とシオニズム』(平凡社、2012年)、『エジプト革命 アラブ世界変動の行方』(平凡社新書、2012年)、『エジプトの自画像 ナイルの思想と地域研究』(平凡社、2013年)。 長沢美沙子(ながさわ みさこ) 翻訳家。パレスチナ問題研究家。中東・パレスチナを中心とした情報誌の編集を経て、パレスチナ人の人権回復と共存と平和を求めるユダヤ人の発行する情報誌(I&P誌)等の日本の窓口として「I&Pフレンズ」代表などを務めた。音楽・美術を通じた中東世界と日本の文化交流の企画、中東・パレスチナ問題に係るシンポジウムや講演会等の企画やコーディネートを多数手がけるとともに、BDS運動にも関心を寄せている。 並木麻衣(なみき まい) 東京外国語大学外国語学部アラビア語専攻在学中の2006~2007年、ヨルダン川西岸地区ビールゼイト大学およびエルサレムのヘブライ大学に留学。アラビア語パレスチナ方言、ヘブライ語に加え、二つの視点からパレスチナ問題を学びながら、草の根の人々の切実な思いに触れる。2013年より、日本国際ボランティアセンターにてパレスチナ事業担当に就任。現地の人々の等身大と体温を日本に伝えたいと願いながら、双方の心が繋がる事業を目指して日々奮闘中。 南部真喜子(なんぶ まきこ) 東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程在籍中。近現代パレスチナ・イスラエル地域研究。イスラエルの占領に対する抵抗のなかで逮捕投獄されているパレスチナ政治囚人の問題について研究を進めている。現在はエルサレムに現地調査のため留学中。グラフィティやポスターなど日常の生活空間に民意や記憶、アイデンティティがいかに表出されているかにも関心を持ちながら過ごしている。 錦田愛子(にしきだ あいこ) 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授。主な著作に『ディアスポラのパレスチナ人――「故郷(ワタン)」とナショナル・アイデンティティ』(有信堂高文社、2010年)、『移民/難民のシティズンシップ』(編著、有信堂高文社、2016年)など。パレスチナ/イスラエル紛争の和平と難民問題への関心に始まり、ヨーロッパのアラブ系移民/難民についても共同研究を進めている。 服部修(はっとり おさむ) 2016年3月現在、エルサレム在住。パレスチナ難民を支援する国連機関に勤務し、日本・アジア諸国との渉外を担当。仕事や日常生活を通じ、ヨルダン川西岸地区やガザ地区を訪問。パレスチナの実生活を肌で感じ、難民キャンプではパレスチナ難民が直面する苦悩に胸が痛む。経験を通じて感じるパレスチナ問題の深さを如何にして多くの日本やアジアの方々に伝えられるか反芻している。 藤屋リカ(ふじや りか) 慶應義塾大学看護医療学部専任講師。NGO駐在員としてパレスチナ母子保健プロジェクトに7年間携わり、2002年に日本国際ボランティアセンター(JVC)パレスチナ緊急医療支援に参加。04年からJVCパレスチナ事業による子どもの栄養改善、保健、収入創出等を担当した。11年より現職。主な著作に「パレスチナ、誇りと希望を胸に」(JVC著『NGOの選択――グローバリゼーションと対テロ戦争の時代に』めこん、2005年)、“The influence of economic factors on the location of birth among Palestinian women in Bethlehem during the second Palestinian uprising,”Tropical Doctor 2007. 37 (1) 13-8. 古居みずえ(ふるい みずえ) アジアプレス・インターナショナル所属。JVJA会員。1988年よりイスラエル占領地を訪れ、パレスチナ人による抵抗運動・インティファーダを取材。パレスチナの人々、特に女性や子どもたちに焦点をあて、取材活動を続けている。映画『ガーダ パレスチナの詩』(2007年)、『ぼくたちは見た ガザ・サムニ家の子どもたち』(2011年)、『飯舘村の母ちゃんたち 土とともに』(2016年)を制作。主な著作に『インティファーダの女たち――パレスチナ被占領地を行く《増補版》』(彩流社)、『ガーダ 女たちのパレスチナ』(岩波書店)、『ぼくたちは見た――ガザ・サムニ家の子どもたち』(彩流社)、『パレスチナ――戦火の中の子どもたち』(岩波書店)、写真集『瓦礫の中の女たち』(岩波書店)。 細田和江(ほそだ かずえ) 中央大学政策文化総合研究所準研究員。イスラエル・パレスチナ文化。主な著作に,「犠牲と贖罪の芸術」(エルメス財団『シガリット・ランダウ展カタログ』2013年)、「イスラエルにおける少数派の文学言語――アラブ人作家アントン・シャンマースとサイイド・カシューアのヘブライ語選択」(『中央大学政策文化研究所年報』17、2014年)。 皆川万葉(みながわ まよ)[23] フェアトレード団体「パレスチナ・オリーブ」代表。1998年よりガリラヤ地方のオリーブオイル、ナーブルスのオリーブ石鹸、イドナ村女性組合の刺繍製品などを輸入、全国に販売。パレスチナのいいモノと一緒に人々の暮らしを伝えたい、という思いから通信『ぜいとぅーん』を発行。パレスチナの生産者団体や日本で購入している人々と一緒にオルタナティヴな経済・社会を作り、現状を変えていきたいと活動している。http://www.paleoli.org 村上大介(むらかみ だいすけ) 産経新聞論説副委員長。読売新聞記者として1990~91年の湾岸危機・戦争を取材。91~95年、初代エルサレム特派員として和平プロセスを取材。拓殖大学海外事情研究所客員研究員を経て97年9月、産経新聞社入社。99~2004年、06~10年、中東支局長(カイロ)。外信部長などを経て、現職。 役重善洋(やくしげ よしひろ) 大学非常勤講師。NGO「パレスチナの平和を考える会」事務局長。主な著作に『脱「国際協力」――開発と平和構築を超えて』(共著、新評論、2011年)、『終わりなき戦争に抗う――中東・イスラーム世界の平和を考える10章』(共著、新評論、2014年)、「内村鑑三の再臨運動におけるシオニズム論と植民地主義」(『人間・環境学』21、2012年)。 山縣良子(やまがた よしこ) 東京外国語大学卒業後、1984年~1987年ヨルダンに滞在する機会を得て、ヨルダン大学でアラビア語を学ぶ。滞在期間中SAMEDで働くライラ・ハーリディーさんに出会い、民族衣装に施されたパレスチナ刺繍を学ぶ。その後自らもモチーフを刺繍してパレスチナ刺繍の復元に努め、約200近くのモチーフをCD-ROM化している。現在は地域の独自性が生まれた社会的経済的要因や伝承などに関心を持つ。 山田しらべ(やまだ しらべ) パレスチナのフェアトレードNGO、Sunbula事務局長。97年よりカリフォルニア州のNGO団体Global Exchangeのスタディーツアーのコーディネーターとして定期的にパレスチナを訪れ始める。その後現地に移り住み、Alternative Information Centerなどの団体勤務を経て2005年より現職。ベツレヘムの難民女性によるオリーブ石鹸製造販売プロジェクト、アシーラ女性組合の設立メンバーでもある。コロンビア大学院国際関係学修士号取得。 山本薫(やまもと かおる) 東京外国語大学ほか非常勤講師。アラブ文学。主な著作に『現代パレスチナ文化の動態研究――生成と継承の現場から』(共著、科研費成果報告書、2015年)、“Writing the Civil War: Lebanese Writers' Perspectives on a Precarious Coexistence,” Human Mobility and Multiethnic Coexistence in Middle Eastern Urban Societies 1: Tehran, Aleppo, Istanbul, and Beirut, ed. by Hidemitsu Kuroki, ILCAA, 2015、エミール・ハビービー『悲楽観屋サイードの失踪にまつわる奇妙な出来事』(翻訳、作品社、2006年)。 山本健介(やまもと けんすけ) 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(五年一貫博士課程)。中東地域研究を専門とし、なかでもパレスチナ問題における宗教的要素に関心を持っている。現在は、エルサレムやヘブロンなど、複数の宗教的伝統が重複する聖地をめぐる競合に注目し、見逃されがちなパレスチナ人の抵抗に焦点を当て、聖地の問題に固有な要素の解明を試みている。 屋山久美子(ややま くみこ) ヘブライ大学人文学部博士課程(民族音楽学音楽専攻)修了。在学中よりパレスチナ人ウード奏者ハビーブ・ハンナ、ニザール・ロハナに師事。2004年エルサレムのシリア・アレッポ系ユダヤ人の宗教音楽に関する論文でPhD取得。ヘブライ大学アジア学科非常勤講師を務め、翻訳や通訳などに従事。20年来エルサレムを拠点に現在進行形のパレスチナ人たちの音楽文化を追い、北アフリカから中央アジア地域まで広がる「マカーム」による音楽を探求する。 吉年誠(よしとし まこと) 一橋大学社会学研究科助手。パレスチナ地域研究、国際社会学。 渡邊祥子(わたなべ しょうこ) 日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員。博士(学術)。アルジェリア、チュニジア、モロッコを中心とするマグリブ(西アラブ)地域の近現代史を研究。エジプト以東のマシュリク(東アラブ)地域とマグリブ地域の交流史、特に、パレスチナ問題に関するマグリブのイスラーム知識人やナショナリストの言説と活動に関心がある。 渡辺真帆(わたなべ まほ) 東京外国語大学外国語学部アラビア語専攻卒業(2016年3月)。在学中、ヨルダン川西岸地区ビールゼイト大学に1年間留学。ナーブルスとホロンで調査を行い、1948年以降のパレスチナ/イスラエル地域におけるサマリア人共同体の持続要因を研究した。パレスチナと日本の演劇人による共同創作やアラブ人アーティストの来日公演等で通訳・翻訳・字幕スタッフを務める。
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悪魔のいる漫画史 | 後藤 護
¥2,750
blueprint 2023年 ソフトカバー 320ページ 四六判 縦188mm 横127mm 厚さ26mm - 内容紹介 - 『ゴシック・カルチャー入門』『黒人音楽史 奇想の宇宙』で注目を集めた気鋭の暗黒批評家・後藤護による三冊目の単著は、ゴシック、マニエリスム、悪魔をテーマに古今の漫画を縦横自在に読み解く漫画評論集。表紙には丸尾末広の描き下ろしイラストを掲載。 楳図かずお『神の左手悪魔の右手』、萩尾望都『ポーの一族』、山岸凉子『アラベスク』、古賀新一『エコエコアザラク』、日野日出志『蔵六の奇病』、丸尾末広『パノラマ島綺譚』、楠本まき『KISSxxxx』、アラン・ムーア『フロム・ヘル』、チャールズ・バーンズ『ブラック・ホール』、水木しげる『日本妖怪大全』、諸星大二郎『壺中天』、高橋葉介『夢幻紳士』、諫山創『進撃の巨人』、三浦建太郎『ベルセルク』、藤本タツキ『チェンソーマン』……著者が敬愛する澁澤龍彥の美学を通して、悪魔的漫画の系譜を紡ぎ出す。 目次 第1章 楳図かずおのゴシック・マンガ ーー「赤んぼう少女」から「まことちゃんハウス」まで 第2章 楳図かずおと恐怖のトートロジー ーー『神の左手悪魔の右手』における鏡・分身・反復 第3章 『ポーの一族』と「ロマンティックな天気」 ーー 疾風怒濤からロココ的蛇状曲線へ 第4章 『アラベスク』に秘められたグロテスクなデーモン ーー山岸凉子のバレエ・ゴシック【前篇】 第5章 乙女と奈落~『舞姫 テレプシコーラ』で『ヴィリ』を読む 山岸凉子のバレエ・ゴシック【後篇】 第6章 怪奇マンガの帝王、古賀新一の魅力再考 ーー澁澤龍彥が『エコエコアザラク』に与えた影響 第7章 日野日出志「蔵六の奇病」と虹色のデカダンス ーーユイスマンス『腐爛の華』から考える「腐れの美学」 第8章 丸尾末広と「独身者機械」 ーー初期エログロナンセンス作品から最高傑作『パノラマ島綺譚』まで 第9章 楠本まき『KISSxxxx』論 前篇 ーーキュアーで踊る、ハッピーゴスの誕生 第10章 楠本まき『KISSxxxx』論 後篇 ーー日常という名の「不思議の輪」 第11章 百科全書派ゴシックとしての『フロム・ヘル』 ーーパノラマ的視点の問題を突く 第12章 チャールズ・バーンズ『ブラック・ホール』とタラッサ的退行 ーーシアトル、グランジとの同時代的共振 第13章 「河童の斬られた片腕」の謎 ーー水木しげる『決定版 日本妖怪大全』 第14章 諸星大二郎の『壺中天』 ーー風格主義的漫画(ManneristicComics)試論 第15章 夢幻のカリガリスムとダンディズム ーー高橋葉介『夢幻紳士』を読む 第16章 水晶の官能、貝殻の記憶 ーー『進撃の巨人』における「小さな」もの 第17章 黒い脳髄、仮面のエロス、手の魔法 ーー三浦建太郎『ベルセルク』を読む 第18章 スプラッター資本主義と糞のカーニヴァル ーー『チェンソーマン』のダークエコロジカルな倫理 - 著者プロフィール - 後藤護 (ゴトウマモル) (著/文) 暗黒批評。『黒人音楽史 奇想の宇宙』(中央公論新社、2022年)で第1回音楽本大賞「個人賞」を受賞(渡邊未帆選)。その他の著書に『ゴシック・カルチャー入門』(Pヴァイン、2019年)。現在、ポリマス(博識)をテーマとする『博覧狂記の怪物誌』(晶文社、2024年刊行予定)、ダグラス・マッカーサーのサングラスの衝撃に始まる『戦後日本黒眼鏡サブカルチャー史』(版元、刊行年未定)の2冊を鋭意準備中。