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暗い時代の人々|森まゆみ
¥990
朝日新聞出版 2023年 朝日文庫 ソフトカバー 352ページ 文庫判 - 内容紹介 - 大正デモクラシーの終焉から戦争終結まで最も抑圧された暗い時代に「精神の自由」を掲げ、各々のやり方で、ぶれることなく毅然と生き抜いた人々──斎藤隆夫、山川菊栄、山本宣治ら、今こそ心に留めておきたい彼らの生き方に迫る。文庫解説は加藤陽子氏。
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事務に踊る人々|阿部 公彦
¥2,090
講談社 2023年 ソフトカバー 392ページ 四六判 - 内容紹介 - 面倒くさい、複雑、抑圧的……時に文豪を苦しめ、戦争を阻止し、巨額の損失を生み、ついには死の世界を垣間見せる。「事務」それは人間を人間たらしめる究極の知恵。事務の営みから人間のあり方を再考する、画期的エッセイ!クソどうでもいいのに倒錯的な愛をかきたてるかくも人間くさい事務の世界への探究。 目次 第1章 漱石と大日本事務帝国 第2章 事務の七つの顔 第3章 事務処理時代の「注意の規範」 第4章 『ガリヴァー旅行記』の情報処理能力 第5章 「失敗」から考える事務処理 第6章 身体儀式と事務の魔宮 第7章 事務を呪うディケンズ 第8章 鉄道的なる事務 第9章 エクセル思考で小説を書く 第10章 事務の「感情」を考える 第11章 事務に敗れた三島由紀夫 第12章 事務と愛とバートルビー
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民具のデザイン図鑑 くらしの道具から読み解く造形の発想|武蔵野美術大学 民俗資料室(編集), 加藤 幸治(監修)
¥2,420
誠文堂新光社 2022年 ソフトカバー 192ページ A5判 - 内容紹介 - ■民具からデザインのヒントを見つける 特定の設計者がいない、人々の暮らしから生まれる民具の造形には、身体性や生活の現場において理にかなった造形やデザインのアイデアが秘められています。 民具の分類としては衣・食・住など「用途別」による分類・整理が一般的ですが、本書では形態、機能、素材、意味などに注目し、民具がもつ豊かなデザインの世界をあらためて問い直します。 「小さな森で身を包む」「つくろいの造形」「布で情景を描く」などのトピックを立て、ビジュアルを豊富に用いながら、用途の枠を超えて民具の魅力を横断的に読み解きます。 収録する民具は、武蔵野美術大学民俗資料室が収蔵するおよそ9万点のコレクションから精選。本コレクションは、民俗学者・宮本常一の指導により収集が始まり、生活用具、郷土玩具、信仰資料など、国内有数の収蔵品を誇ります。 【目次】 はじめに 巻頭言 くらしの造形から見つける「デザインの素」 第1章 かたちと身体性 コラム1 宮本常一と民俗資料室コレクション 第2章 ユーモアと図案 コラム2 美術教育の源泉としての民具 第3章 見立てと表象 おわりに 掲載資料一覧 ***************************** - 著者プロフィール - 武蔵野美術大学 民俗資料室 (ムサシノビジュツダイガク ミンゾクシリョウシツ) (編集) ■編集/武蔵野美術大学 民俗資料室 武蔵野美術大学に設置された美術館•図書館もつ複合施設のひとつ。民衆が日々の暮らしのなかで生み出し、使い続けてきた暮らしの造形資料(民具)を約9万点収蔵し、大学における教育・研究活動を軸とした利活用に加え、民具の保存管理や展示公開等を行う。 加藤 幸治 (カトウ コウジ) (監修) ■監修/加藤 幸治(カトウ コウジ) 武蔵野美術大学教養文化・学芸員課程教授。専門は民俗学(民具研究)、博物館学。博士(文学)。和歌山県立紀伊風土記の丘学芸員(民俗担当)、東北学院大学文学部歴史学科教授(同大学博物館学芸員兼任)を経て、2019年から現職。近著に『民俗学 フォークロア編 過去と向き合い、表現する』(武蔵野美術大学出版局、2022年)、『民俗学 ヴァナキュラー編 ―人と出会い、問いを立てる』(武蔵野美術大学出版局、2021年)など多数。
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世界を変えた100の化石 新装版|ポール・D・テイラー, アーロン・オデア, 真鍋 真(監修), 的場 知之(翻訳)
¥1,980
エクスナレッジ 2022年 ソフトカバー 352ページ 四六変型判 縦180mm 横128mm 厚さ23mm - 内容紹介 - イギリス・大英自然史博物館で大人気を博した展覧会が 書籍になって日本上陸! 新たな情報と化石の和名表記を加た <よりわかりやすい新装版> 始祖鳥やティラノサウルスなど誰もが知る生物の化石だけでなく 光合成の痕跡、恐竜の卵、サメの糞、火山灰に埋もれた足跡など当時の状況を語る化石も網羅。 まだ知らなかった化石に出会える、至極の一冊。 地質年表、一部復元図付き。 目次 【掲載化石一例】 第1章:先カンブリア時代 [エイペックス・チャート] 最古の化石は生物か? [ストロマトライト] 大酸化事変が生んだ生命体 [中国・陡山沱の化石] 謎に満ちた胚etc. 第2章:古生代 [アノマロカリス] カンブリア爆発で生まれた「奇妙なエビ」 [ハルキゲニア] 陸に上がり、生き延びたムシ [キンクタン] 初期の棘皮動物 [オルソケラス] オルドビス紀の捕食者の王 [ウミユリとプラティセラス類] 2億年続いた共生関係 [プテリゴトゥス] 巨大かつ獰猛な古代サソリ [クックソニア] 地上を征服した植物 [ケファラスピス] あごのない魚 [コムラ] 天敵を避ける棘とげだらけの三葉虫 [レピドデンドロン] 森が生んだ燃料 [ヘリコプリオン] 渦を巻く歯は、進化も奇抜? [ディメトロドン] セックスアピールか、ソーラーパネルか? [ウミツボミ] 史上最大の大量絶滅 etc. 第3章:中生代 [三畳紀の微小巻貝] 小さいことはいいこと? [キノドン類] 爬虫類から哺乳類へ [メガゾストロドン] 大物のデビューは前途多難 [ムカシトカゲ] 安住の地で今も生息 [グリファエア] 泥に埋まって生きた「悪魔の足の爪」 [プロミクロケラス] 大量死したアンモナイト [首長竜] ネッシーは実在したか? [ネオソレノポラ] 色を残した藻類 [始祖鳥] 鳥類の誕生 [トンボ] 巨大化した昆虫たち [ランフォリンクス] 最初の空飛ぶ脊椎動物、翼竜 [イグアノドン] 「恐竜」と名付けられた生物の歯 [クモ] 琥珀の中のクモと糸と獲物 [アラウカリア] 進化の天才? モンキーパズルの大木 [孔子鳥] 性選択で美しく進化した鳥 [白亜層のカイメン] 微粒子を濾し取る海底ポンプ [ティロキダリス] 軍拡競争の歩みが見えるウニの棘 [トロオドンの巣] 高度な子育ての痕跡 [エドモントサウルス] 極地の冬も生き延びた恐竜 [初期のプラントオパール] 恐竜が食したイネ科植物 [ティラノサウルス・レックス] 伝説の王 [ベレムナイト] K/Pg境界の大量絶滅 [有孔虫] 小さく単純なサバイバー etc. 第4章:新生代 [サメの歯] 化石の由来を示す「癒しの石」 [オニコニクテリス] 空に進出した哺乳類 [オフィオコルディケプス] ゾンビと化したアリの咬み跡 [貨幣石] ピラミッドに残る単細胞生物 [トロフォン] ダーウィンの巻貝 [バシロサウルス] 「トカゲの王」はクジラだった [ゴキブリ] 琥珀の中の止まった時間 [エジプトピテクス] 霊長類の起源 [チャネヤ] 花を咲かせる植物の誕生 [メトララブドトス] 断続平衡論を支持する外肛動物 [プロコンスル] 類人猿に近いか、ヒトに近いか [ディスコグロッスス] 独特の姿に進化したカエル [サメのコプロライト] 螺旋型の糞の化石 [サカマキエゾボラ] 圧倒的に少ない左巻きの貝 [巨大ウォンバット] アボリジニに伝わる怪物_バニップ [グリプトドン] アメリカ大陸間大交差も生き延びた哺乳類 [ラエトリの足跡] 350万年前の灰のなかの3人 [メノルカの小型ヤギ] 島嶼矮小化で生き延びた動物 [ステップマンモス] ヒトと共存したマンモス [ジャイアントモア] 植物に生きた証を遺した鳥 [アクロポラ・ケルヴィコルニス] 絶滅寸前のシカツノサンゴ [ステラーカイギュウ] 虐殺された海の巨獣 [ホモ・ハイデルベルゲンシス] 私たちにいちばん近い祖先? etc.
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ひとかけらの木片が教えてくれること 木材×科学×歴史|田鶴 寿弥子
¥1,980
淡交社 2022年 ソフトカバー 232ページ 四六判 - 内容紹介 - 〈ひとかけらの木片が教えてくれる人と木の文化〉 〈顕微鏡、放射線。科学の力が解き明かす文化財の世界〉 何の木から作られているの? どこから運ばれてきた木材? 顕微鏡やCTなどの科学的な方法で、仏像や神像、歴史的建造物、さらには木製の入れ歯まで、文化財に用いられたさまざまな木材の樹種を同定してきた著者が、これまでの調査で得た興味深い情報を紹介します。「人がいかに木に向き合ってきたのか」。その答えが、小さな小さなひとかけらの木片を見つめることで見えてきます。
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樹木の恵みと人間の歴史 石器時代の木道からトトロの森まで|ウィリアム・ブライアント・ローガン, 屋代通子(翻訳)
¥3,520
築地書館 2022年 ハードカバー 384ページ 四六判 - 内容紹介 - 古来、人間は、木を伐ることで樹木の無限の恵みを引き出し、利用してきた。 英国の沼沢地の萌芽更新による枝を使った石器時代の木道、 スペインの12世紀の手入れされたナラの林、 16世紀のタラ漁船のための木材づくり、 野焼きによって森を育んだ北アメリカの先住民、日本の里山萌芽林。 米国を代表する育樹家が、世界各地を旅し、 1万年にわたって人の暮らしと文化を支えてきた樹木と人間の伝承を掘り起こし、 現代によみがえらせる。 目次 ニューヨークを救う木 ヤナギの再生 忘れられた言葉 木とともに生きる 記 憶 失われた技法 不格好な40本のプラタナス 助っ人を探す ヒントはどこに? 新芽がなければ生きられない 踏みはずした木との関係 木との対話を始める 萌芽の地 木の行動に学ぶ 植物、海から陸へ 植物の誕生を促したもの 予備の芽 即興演奏する樹木たち 倒れた樹木に宿る生命 植物たちの旋律──6つの選択 周囲の世界に呼応する 年ふりた樹木の持つ力 枝分かれ(branching) ネットワークの中で生きる 高架下の雑木林(スパゲッティの森) 創造力のある生き物 石器時代の湿地の木道(レヴェルズにて) 萌芽枝の利用 異形の木々 萌芽枝で作られた石器時代の木道 ふたつの木道に使われた1万4000本の枝 街路の発明 同じ森を利用する バ ネ 人の手が促す森の遷移 萌芽の森を保つ技 伐り取られたあとに咲く花々 萌芽林の連鎖 母なるハシバミ 食用・道具・家畜の餌 生け垣を建てる 生け垣の多様な生態系 工芸と科学 家畜のためのもの 囲いこみと生け垣 イングランドの生け垣には1000万の鳥のつがいが暮らす 手に負えるの? 頭と心と手を研ぎすます 侵入する植物たち 不屈のオウシュウニレ 妖精の庭のニレ クローンで生き延びる 探究心旺盛な根 12世紀の森を歩く 手入れされたナラの林 てっぺんが丸められた巨木 萌芽の林 ボート材 16世紀のタラ漁船 木に枝を少しだけ残す──イピナバロのナラ 海底で発見されたバスクのクジラ漁船 バスクの船大工──バカラオ型の船を建造 森に合わせて船を設(つく)計り、船に合わせて森を作る バカラオ型の船の工法 16世紀の工法を再現する 丘の周り 北スペインの渓谷で受け継がれる森の利用 バスク地方レイツァの街 生活を織りなす共有の森 トネリコの更新枝で羊を養う 斧で世界とわたり合う 共有地 複雑な仕組み 未来を記憶する 切って古木を生かす技 500歳のブナに手を入れる どこをどう切るか 木々のリズム 耕せば木は余計に生えてくる サバンナの一画、キリミの村 木々が教える伝統農法 森を酷使する アフリカの大地を見誤った支援 木々に学ぶ支援のあり方 急斜面の農耕を支えるもの 木の葉の飼い葉 フィヨルドの垂直経済 夏の農場の楽しみ 樹木の利用が支えた古代の農場 木を切ると牧草が育つ 4000年続く木の葉の利用 光の楽器 ノルウェーの農民画家 厳しい斜面を農地に 春の訪れと畑仕事 いいスティックを作る カリフォルニア先住民の火入れの知恵 籠という文化 スティックをとるために火を放つ 野焼きによる豊かな恵み 火入れの禁止による木々の変化 籠作りにこめられた知恵 芽吹きの楽園 カリフォルニアのセコイアの森で セコイアの妖精の環 巨木の陰で生きる 火で作られたセコイアの森 木が芽吹かないとき 人の手が産んだ800歳のダグラスファー サーミ人のマツ 針葉樹を生活の糧に 木の実の収穫 野焼きで楽をする 流れ橋 日本の里山再生 遠野の川にかかる流れ橋 狛ネズミの神社 田んぼと里山 里山の危機 名作「平成狸合戦ぽんぽこ」と「となりのトトロ」 桜ヶ丘公園、ボランティアの活躍 トトロのふるさと基金 能登半島の炭焼き──「ハハソ」の再利用 森の中へ 岩手県の3つの試み──植樹林に里山の手法を生かす 木材の地産地消 森の手入れに一般の人をまきこむ 早池峰の神楽 きみといつまでも 個体とはいったい何だろう ボランティアたち 木々は巧みに芽吹き、巧みに生きる ごみの上にできた森 どんな手を使っても──最終処分場に生えた木々 ホワイトのヤナギの言うことには 新たな命の生まれるところ 訳者あとがき 引用文献 索引 - 著者プロフィール - ウィリアム・ブライアント・ローガン (ウィリアムブライアントローガン) (著/文) ニューヨーク植物園で教鞭をとる。 これまで30 年間、木を相手に働いてきた。認定育樹家で、ニューヨーク市を拠点とする樹木管理の会社の創設者兼社長。 ガーデンライターズアソシエーションから数々の賞を受賞しており、「House Beautiful」「House and Garden」「Garden Design」などの雑誌の寄稿編集者、「ニューヨークタイムズ」のレギュラーのガーデンライターでもある。 国際樹芸学会International Society of Arboriculture(ISA)のニューヨーク州支部から2012 年のSenior Scholar 賞を、国際ISA からTrue Professional of Arboriculture 賞を受賞。本書で、最も優れたネイチャーライティングの著作に贈られるジョン・バロウズ賞を受賞。 著書に、『Oak』(『ドングリと文明』日経BP 社)、『Air』『Dirt』などがある。 屋代通子 (ヤシロミチコ) (翻訳) 兵庫県西宮市生まれ。札幌市在住。出版社勤務を経て翻訳業。 主な訳書に『シャーマンの弟子になった民族植物学者の話 上・下』『虫と文明』『馬の自然誌』『外来種のウソ・ホントを科学する』『木々は歌う』(以上、築地書館)、『ナチュラル・ナビゲーション』『日常を探検に変える』(以上、紀伊國屋書店)、『数の発明』『ピダハン』『マリア・シビラ・メーリアン』(以上、みすず書房)など。
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クジラのまち 太地を語る 移民、ゴンドウ、南氷洋 | 赤嶺 淳
¥2,200
SOLD OUT
英明企画編集 2023年 ソフトカバー 352ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ19mm - 内容紹介 - 捕鯨問題はすでに「捕る/捕らない」、「食べる/食べない」という単純な二項対立を超えて、科学や政治、倫理など、多様な問題が複雑に絡まりあった“捕鯨問題群”を形成するに至っている。 本書では、漁師、ペンション経営者、海産物販売業者など、「クジラのまち・太地」を愛し、誇りとする8名の生活史の「聞き書き」を軸に、従来は語られてこなかった太地の姿を提示。 鯨食・捕鯨をめぐってすれ違うまなざしの交差点を探り、複数の視点で“捕鯨問題群”に向きあい、広くオープンに語りあう環境の構築をめざす一冊。 ◆目次 ●太地をひらく………赤嶺 淳 ■第Ⅰ部 太地を生きる ●1 南氷洋をおもう ①南氷洋、二五回出漁してるんですよ……網野俊哉さん ②大変な仕事やでぇ……濱田明也さん ③もう海しか知らないもん………小貝佳弘さん ●2 マッコウにあずかる ①足元は油まみれ……山下憲一さん ②あ~、腹ラーセンや……世古忠子さん ●3 太地をつなぐ ①舌は覚えているからね……久世滋子さん ②慣れ、慣れ、慣れ。……小畑美由紀さん ③なんでゴンドウしかいわんのか……由谷恭兵さん ■第Ⅱ部 太地を解く ●すれちがうまなざし──個人史とグローバルヒストリーの交差点で……赤嶺 淳 ●かくれた主役──ゴンドウと歩む太地の捕鯨文化……ジェイ・アラバスター ■第Ⅲ部 太地を訊く ●幾重もの共同と協働──太地町プロジェクトをふりかえって……辛 承理 ●太地にかかわる──あとがきにかえて………赤嶺 淳 - 版元から一言 - 『クジラのまち 太地を語る──移民、ゴンドウ、南氷洋』は、南氷洋での捕鯨の日々に思いをはせ、マッコウクジラが暮らしにもたらした恵みに感謝し、太地に誇りをもって、その歴史をつないで生きる8名の人びとの生活史を中心に、「クジラのまち・太地」についての語りと論考によって、捕鯨問題を解き・ひらく一冊です。 - 著者プロフィール - 赤嶺 淳 (アカミネ ジュン) (著/文 | 編集) 1967年大分県うまれ。一橋大学大学院社会学研究科教授。専門は食生活誌学、食生活史研究。人間による環境利用の歴史をあきらかにするため、水産物の生産から加工、消費までのサプライチェーンの発展過程に着目し、「食からみた社会」、「社会のなかの食」の変容過程をあとづけてきた。目下の関心は、マーガリンの主原料として20世紀初頭に創発した鯨油や大豆油、パーム油などの「油脂間競争」120年の絡まりあいの解明。おもな著作に『ナマコを歩く』(新泉社、2010年)、『鯨を生きる』(吉川弘文館、2017年)、「ノルウェーにおける沿岸小型捕鯨の歴史と変容」(『北海道立北方民族博物館紀要』29号、2020年)、「日本近代捕鯨史・序説」(『国立民族学博物館研究報告』47巻3号、2023年)など。
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コード・ガールズ 日独の暗号を解き明かした女性たち | ライザ・マンディ, 小野木明恵(翻訳), 小谷賢(解説)
¥3,960
みすず書房 2021年 ハードカバー 504ページ 四六判 - 内容紹介 - 日本軍の真珠湾攻撃が迫る1941年11月、アメリカ海軍から東部の名門女子大に宛てて「秘密の手紙」が送られはじめた。そこには、敵国の暗号解読に当たれる優秀な学生がほしいと記されていた――。 第二次世界大戦中、米陸・海軍に雇われ、日本やドイツなど枢軸国の暗号解読を担ったアメリカ人女性たちがいた。外国語や数学をはじめとする高等教育を受けた新卒者や元教師らが全米各地から首都ワシントンに集い、大戦末期には男性をしのぐ1万人以上の女性が解読作業に従事した。 その働きにより、日本の外交暗号(通称パープル)や陸軍の船舶輸送暗号が破られ、枢軸国側に壊滅的な打撃を与えた。ミッドウェー海戦での米軍の勝利、山本五十六連合艦隊司令長官の殺害作戦の陰にも彼女らがいた。一方、大西洋戦域においてはドイツのエニグマ暗号を解明してUボートの脅威を排除し、ノルマンディー上陸時の欺瞞作戦でも活躍した。こうした功績がきっかけとなり、それまで女性には閉ざされていた政府高官や大学教授など高いキャリアへの道が切り拓かれることになる。 戦後も守秘義務を守り、口を閉ざしてきた当事者らへのインタビュー、当時の手紙、機密解除された史料などをもとに、情報戦の一翼を担った女性たちに光をあて、ベストセラーとなったノンフィクション。口絵写真33点を収録。解説・小谷賢。 目次 凡例 著者まえがき 秘密の手紙 序章「わが国はあなたたち若い女性が必要だ」 第1部 「総力戦ともなれば、女性が必要とされるだろう」 第1章 28エーカーに広がる娘たち 第2章 「これは男の人の仕事だけど、うまくやれそうです」 第3章 もっとも難解な問題 第4章 「これほど大勢の女性たちが一か所にいる」 第2部 「この広大な海域のいたるところで日本は優勢であった」 第5章 「胸がはりさけそうだった」 第6章 「QはコミュニケーションのQ」 第7章 「地獄の半エーカー」 第8章 「人間なら不満をもって当然です」 第9章 鉛筆を動かす女たちが日本の船を沈没させる 第3部 潮目が変わる 第10章 シュガー・キャンプ 第11章 「敵がセーヌ河口に上陸」 第12章 ティーディ 第13章 降伏を告げる通信文 第14章 クロウにさようならを 終章 てぶくろ ペーパーバック版へのあとがき 謝辞 付録1・2(暗号解読用語集、第二次世界大戦略年表) 解説「暗号戦に勝利をもたらした女性たち」 小谷賢 参考文献 原注 索引 - 著者プロフィール - ライザ・マンディ (ライザマンディ) (著/文) アメリカのジャーナリスト、ノンフィクション作家。《ワシントン・ポスト》紙で長年記者を務め、女性問題や労働問題を中心に取材。2017年に刊行された本書は《ニューヨーク・タイムズ》紙ほか主要紙で高評価されて20万部を超えるベストセラーとなり、10を超える言語に翻訳されている。情報機関出身者が選ぶ「Best General Audience Intelligence Book(一般向けインテリジェンス最優秀書)」(2018)にも選出された。グーグル本社をはじめ、各地で本書と「コード・ガールズ」に関する講演を行っている。ほかの著書に『ミシェル・オバマ』(渡辺将人監訳、清川幸美訳、日本文芸社、2009)、Everything Conceivable (Knopf, 2007) , The Richer Sex (Simon & Schuster, 2012) など。シンクタンク「ニューアメリカ」のシニア・フェロー、「ジャパン・ソサエティ」フェロー。2019-20年に米国家安全保障局/中央保安部(NSA/CSS)の招聘研究員。バージニア州アーリントン在住。 小野木明恵 (オノキアキエ) (翻訳) 翻訳家。大阪外国語大学英語学科卒業。訳書にモフェット『人はなぜ憎しみあうのか』(早川書房、2020)、ギロビッチほか『その部屋のなかで最も賢い人』(青土社、2018)、ザラスカ『人類はなぜ肉食をやめられないのか』(インターシフト、2017)、バロウ『数学を使えばうまくいく』(共訳、青土社、2016)ほか。 小谷賢 (コタニケン) (解説) 日本大学危機管理学部教授(インテリジェンス研究、イギリス政治外交史)。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。英国王立防衛安保問題研究所(RUSI)客員研究員、防衛省防衛研究所主任研究官などを経て現職。著書に『日英インテリジェンス戦史』(2019)、『モサド』(2018、ともにハヤカワ・ノンフィクション文庫)、『日本軍のインテリジェンス』(講談社選書メチエ、2007)ほか。訳書にサミュエルズ『特務(スペシャル・デューティー)』(日本経済新聞出版、2020)など。
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測る世界史 「世界の基準」となった7つの単位の物語 | ピエロ・マルティン, 川島 蓮(翻訳)
¥2,420
朝日新聞出版 2023年 ハードカバー 288ページ 四六判 - 内容紹介 - 世界史は、測ることから始まった──人類の6000年にわたる試行錯誤、天才科学者たちによる世紀の大発見を、物理学の世界的権威が余すところなく解説。メートルやキログラムなど、文明の繁栄を支える「7つの単位」の秘密に迫る。
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火の賜物 【新装版】 ヒトは料理で進化した | リチャード・ランガム, 依田卓巳(翻訳)
¥3,080
NTT出版 2023年 ハードカバー 272ページ 四六判 - 内容紹介 - 生命の長い歴史のなかで、われわれは、いかにして人間となったのか? 「火」と「料理」こそがヒトの脳を大きくさせ、ホモ・サピエンスの出現をうながした! 料理という日常の営為と人類の起源と進化を鮮やかに結びつけた文明史の傑作。われわれは料理をするときに、もはや人類の祖先に思いを馳せずにはいられない。 - 目次 - はじめに 料理の仮説 第1章 生食主義者の研究 第2章 料理と体 第3章 料理のエネルギー理論 第4章 料理の始まり 第5章 脳によい食物 第6章 料理はいかに人を解放するか 第7章 料理と結婚 第8章 料理と旅 おわりに 料理と知識 - 著者プロフィール - リチャード・ランガム (リチャードランガム) (著/文) 1948 年生まれ。ハーバード大学生物人類学教授。専門は霊長類の行動生態学。国際霊長類学会名誉会長。ピーボディ博物館霊長類行動生物学主幹、ウガンダのキバレ・チンパンジー・プロジェクト理事をつとめるほか、アメリカ芸術科学アカデミーおよび英国学士院(British Academy)フェローでもある。その功績を称えて、英国王立人類学協会からリバーズ記念賞を贈られた。著書に『善と悪のパラドックス』(NTT出版)、『男の凶暴性はどこからきたか』(デイル・ピーターソンとの共著、三田出版会)など。 依田卓巳 (ヨダタクミ) (翻訳) 翻訳家。訳書にランガム『火の賜物』『善と悪のパラドックス』をはじめ、ウェイド『宗教を生みだす本能』、ブラウン他『使える脳の鍛え方』、スティクスラッド他『セルフドリブン・チャイルド』(以上、NTT 出版)、ジョーンズ『チャヴ』『エスタブリッシュメント』(以上、海と月社)、ケープルズ『ザ・コピーライティング』(ダイヤモンド社)、ボーゲルスタイン『アップルvs. グーグル』(新潮社)など多数。
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百貨店の戦後史 全国老舗デパートの黄金時代 | 夫馬信一
¥3,960
国書刊行会 2023年 ハードカバー 342ページ 四六判 - 内容紹介 - 著名建築家による壮大でモダンな店舗ビル、華麗な売場とシャレた店員たち、先端のエレベーター・エスカレーター、ステータスを感じさせる包装紙、当時は「ご馳走」だった大食堂、飽くことなく楽しめる屋上遊園地……かつて「百貨店」はそこに行けばすべてが手に入る魔法の玉手箱であった。しかし戦後、日本経済の浮沈や社会情勢の移り変わりとともに、百貨店は激動の歴史をたどることになる――。 かつて隆盛を極めたものの今は消えてしまった全国各地11店の老舗デパートを徹底取材。関係者の証言や当時の新聞記事などをつぶさに取り上げつつ、その黄金時代から閉店までの興亡の歴史を日本の戦後史とともに振り返る傑作ノンフィクション。カラー口絵16頁。貴重図版300点以上掲載! - 目次 - 地図(本書に登場する百貨店) * プロローグ 悪疫の襲来(2020) ❖東急百貨店東横店(東京都渋谷区) 2020年3月31日:静かな幕切れ/混迷と繁栄の時代に生まれ/ロープウェイ「ひばり号」と東急会館/渋谷を「シブヤ」たらしめたもの/「最後の日」の致し方ない事情/ 第一章 繁栄の日々(1960~1969) さらに便利に、さらに豊かに ❖前三百貨店(群馬県前橋市) 1964年10月5日:聖火が祝福/異例なかたちでのデパート誕生/数奇な運命を辿った「幻の百貨店」/圧倒的なステータスの高さ/払拭できなかったイメージ ❖伊万里玉屋(佐賀県伊万里市) 1966年4月23日:長蛇の行列/模索を続ける伊万里の街で/波乱の年にタイムカプセル埋設/移り変わる街と港の風景/間の悪い船出/試行錯誤の半世紀の果てに ◆COLUMN(1) 災害と百貨店 第二章 曲がり角の兆し(1970~1979) いつの間にか「先進国」の一員 ❖丸正(和歌山県和歌山市) 1971年3月31日:さよなら「市電」/ぶらくり丁と共存した「あがらの百貨店」/丸正再建のミステリー/豊かな生活を取り戻した和歌山で/オープニングは雨だった/涙を流しながら売っている ❖中合福島店(福島県福島市) 1973年10月1日:再出発の不安/近江商人の精神がルーツ/相次ぐ増改築でスケールアップ/福島のランドマーク「ミサイルタワー」/「予感」は当たっていた/誰かが幕引きをしなければ ◆COLUMN(2) マクドナルド1号店 第3章 狂騒の幕開け(1980~1989) 「浮かれた時代」に突入 ❖岡政/長崎大丸(長崎県長崎市) 1983年5月18日:銅像の秘密/長崎の街の運命とともに/増改築の連続と先見の明 「病人」に追い打ちをかけた大水害/外も中も「変身」を遂げて/「政どん」の逆襲が始まる/顔を上げて一歩前へ ❖棒二森屋(北海道函館市) 1988年3月13日:別れの紙テープ/「北の港町」の浮沈を見つめて/函館の繁栄を支える「両輪」/楽しさと文化を幅広く提供/優秀な人材が手がけた店舗ビル 街の歴史に翻弄され続けて ◆COLUMN(3) ミュージックサイレン 第四章 世紀末の災厄(1990~1999) 「祭り」の喧噪が去って ❖松菱本店(静岡県浜松市) 1992年4月26日:曇った「晴れの日」/「覆面デパート」の正体やいかに?/「モノづくりの街」の勢いを得て/「そこに行けば全部手に入っちゃう」/街の風向きが大きく変わった ◆COLUMN(4) 建築と百貨店 第五章 新時代の試練(2000~2009) ピカピカな未来は来なかった ❖土電会館/とでん西武(高知県高知市) 2000年12月23日:北部戦線異状あり/ユニークな「バス」ターミナルデパート/オープン当初からあった誤算/西武カラーの栄光と挫折 ❖五番舘/札幌西武(北海道札幌市) 2006年11月18日:紙吹雪舞う街/「赤レンガ」イメージの原点/赤レンガに別れの『蛍の光』/街全体が「五輪1色」の中で/タイミングはまたまた悪かった ◆COLUMN(5) 映画と百貨店 第六章 未来への混沌(2010~2020) 回帰願望と忍び寄る影 ❖小林百貨店/新潟三越(新潟県新潟市) 2020年3月27日:惜別のオンエア/ライバル関係のスタート/「小林デパートから火が出ました!」/またしても大混乱の新潟市/ナゾに包まれた屋上ロープウェイ/小林百貨店が誇る2大映画館/どうしても結果が伴わない/そこには、雨音だけが聞こえていた ❖大沼山形本店(山形県山形市) 2020年7月25日:語り継ぐ娘たち/創業は殿中・松の廊下の一年前/花笠の夜と「我が世の夏」/県庁移転からの変化/「大沼応援計画」の発動/「産調ガールズ」と大沼のリターンマッチ ◆COLUMN(6) 百貨店の屋上ロープウェイ エピローグ 諸行無常の物語(2020~2022) すべて宿命にも似たり * あとがき 参考文献 協力 - 著者プロフィール - 夫馬信一 (フマシンイチ) (著/文) 1959年東京生まれ。航空貨物の輸出業、物流関連の業界紙記者、コピーライターなどを経て、現在は日本の現代史をさまざまな側面から照射する書籍の編集・執筆にたずさわる。おもな著書に『幻の東京五輪・万博1940』(原書房、2016年)、『航空から見た戦後昭和史/ビートルズからマッカーサーまで』(同、2017年)、『1964東京五輪聖火空輸作戦』(同、2018年)、『渋谷上空のロープウェイ/幻の「ひばり号」と「屋上遊園地」の知られざる歴史』(柏書房、2020年)、『緊急事態TOKYO 1964/聖火台へのカウントダウン』(みずき書林、2021年)などがある。
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近代美術史テキスト | 中ザワヒデキ
¥550
アートダイバー 1989年 ソフトカバー 44ページ 150×105mm - 内容紹介 - 1989年に発行されて以来、すでに24刷(2022年9月)となるベストセラー。A6判変(150×105mm)、44ページというポケットサイズの本ですが、驚くことにテキスト、図版まですべてが中ザワヒデキの手書きからなる近代美術史テキストです。扱う範囲は、1874年の印象派誕生から1980年代のイラストレーションの動向まで、約100年の近代美術史となっています。サイズ感や価格の安さ、中身の強烈なオリジナリティなどから、手にとればたいていの人が欲しくなる名著です。
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検証 ナチスは「良いこと」もしたのか? | 小野寺 拓也, 田野 大輔
¥902
SOLD OUT
岩波書店 2023年 岩波ブックレット ソフトカバー 120ページ A5判 - 内容紹介 - 「ナチスは良いこともした」という言説は、国内外で定期的に議論の的になり続けている。アウトバーンを建設した、失業率を低下させた、福祉政策を行った――功績とされがちな事象をとりあげ、ナチズム研究の蓄積をもとに事実性や文脈を検証。歴史修正主義が影響力を持つなか、多角的な視点で歴史を考察することの大切さを訴える。 目次 はじめに 第一章 ナチズムとは? 第二章 ヒトラーはいかにして権力を握ったのか? 第三章 ドイツ人は熱狂的にナチ体制を支持していたのか? 第四章 経済回復はナチスのおかげ? 第五章 ナチスは労働者の味方だったのか? 第六章 手厚い家族支援? 第七章 先進的な環境保護政策? 第八章 健康帝国ナチス? おわりに ブックガイド
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【バーゲンブック】本棚から読む平成史 | 岡ノ谷 一夫, 梯 久美子, 牧原 出, 読売新聞社文化部(編集)
¥900
河出書房新社 2019年 ソフトカバー 224ページ 四六判 縦190mm 横131mm 厚さ20mm ※ バーゲンブック:通常の新刊本と同じく未使用の新本で、新刊販売から一定期間経たものを改めて再販売した格安本 - 内容紹介 - 優れた書籍はニュースで報道される出来事と同様、時代の価値観を作っている。各界の知性が平成31年間の名著を通じて平成史を描く。
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【バーゲンブック】天皇 (日本史小百科) | 児玉 幸多
¥1,300
東京堂出版 1993年 ハードカバー 340ページ ※ バーゲンブック:通常の新刊本と同じく未使用の新本で、新刊販売から一定期間経たものを改めて再販売した格安本 - 内容紹介 - 皇室の歴史や複雑な制度全般をあきらかにし、歴代天皇の事績を詳説。
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日本人は、どんな肉を喰ってきたのか?|田中 康弘
¥1,155
山と渓谷社 2023年 ヤマケイ文庫 ソフトカバー384ページ 文庫判 - 内容紹介 - 沖縄県・西表島のカマイ(リュウキュウイノシシ)から本州のクマ、シカ、イノシシ、ノウサギ、ハクビシン、カモ、ヤマドリ、北海道・礼文島のトドまで各地の狩猟の現場を長年記録してきた“田中康弘渾身の日本のジビエ紀行”完全版!! 日本各地の狩猟やジビエにまつわるレポートを豊富な写真をまじえて伝えます。 --- 日本列島へ人類が入ってきたルートは、主に3つあると考えられている。 サハリン経由で北海道、半島経由で九州北部、そして島伝いで九州南部である。 偶然であるが、今回の旅はこれらに重なる部分が多い。 日本人がどこから来て何を食べて日本人になっていったのか。 もちろん、そんな高尚な学問的探求心ではなく、知らない土地を歩き、話を聞き、そして食べて理解したいのである。 “論より証拠”ならぬ“論より食”なのかもしれない。 (「はじめに」より) ---
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ギリシャ人ピュテアスの大航海 史上初めて北極へ旅した男 | バリー・カンリフ, 小林政子(翻訳)
¥2,640
青土社 2023年 ハードカバー 240ページ 四六判 - 内容紹介 - いまから二三〇〇年前、前人未到の海へ旅した一人の伝説的人物がいた―― 紀元前四世紀、地中海世界にとっては未踏の地ともいえる北の海に乗り出したひとりのギリシャ人がいた。その名はピュテアス。すでに失われてしまった彼の航海記は、ストラボンやエラトステネスに資料として使われ、プリニウスにも影響を与えたと言われる。この偉大な冒険者は、なぜ危険な旅に出かけたのか。英国考古学界の権威が、当時の世界観や社会背景なども丁寧に解きほぐしながら、大冒険の謎に迫る。
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日本エッセイ小史 人はなぜエッセイを書くのか|酒井 順子
¥1,760
SOLD OUT
講談社 2023年 ソフトカバー 224ページ 四六判 - 内容紹介 - 『枕草子』『土佐日記』の昔から日本人に親しまれてきた「エッセイ」。「昭和軽薄体」の大ブームや芸能人エッセイの人気、そして高齢者エッセイの百花繚乱ぶりなど、いつの世も「エッセイ」は時代とともにある。 では「エッセイ」とは何か? 「随筆」「コラム」「ノンフィクション」とどう違う? 「エッセイ」を読んだことのない人はいないはずなのに、意外と誰も答えられない「エッセイ」の正体。 「エッセイスト」を名乗り講談社エッセイ賞選考委員を長らく務めてきた「エッセイの専門家」である著者が、時代を彩った大ヒット名エッセイ160余作品をひもときながら、満を持して真正面から「エッセイ」を縦横無尽に語り尽くす! エッセイストがエッセイについて綴るエッセイ、ついに登場。 - 著者プロフィール - 酒井 順子 (サカイ ジュンコ) (著/文) 1966年生まれ。東京都出身。高校生のときから雑誌でコラムの執筆を始める。立教大学卒業後、広告代理店勤務を経て執筆に専念。2003年に発表した『負け犬の遠吠え』がベストセラーとなり、婦人公論文芸賞、講談社エッセイ賞をダブル受賞。女性の生き方、古典、旅、文学など幅広く執筆。主な著書に『ユーミンの罪』『子の無い人生』『源氏姉妹』『百年の女 『婦人公論』が見た大正、昭和、平成』『家族終了』『ガラスの50代』『うまれることば、しぬことば』『女人京都』など多数。
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日本の珈琲|奥山 儀八郎, 旦部 幸博(解説)
¥1,221
講談社 2022年 講談社学術文庫 ソフトカバー 288ページ 文庫判 - 内容紹介 - 珈琲は、いつ、どのようにして日本に伝わり、広まったのか。世界の珈琲発見伝説・珈琲の異名熟字一覧・日本初の珈琲店の話から、江戸時代の長崎での交流、海外渡航者、はたまた海外漂流者の体験まで――膨大な史料を渉猟し、驚きに満ちた珈琲の歴史を明らかにする。生活文化史の古典である幻の名著、待望の復刊!(序・古波蔵保好/解説・旦部幸博) [本書の内容] 序によせて 古波蔵保好 一、珈琲の始まり 二、世界の珈琲 三、日本の珈琲の始まり 四、珈琲研究に手掛かりを与えた人々 五、日本の珈琲文献 六、珈琲異名熟字ほか 七、日本への渡航者と珈琲 八、海外漂流者の珈琲記事 九、海外渡航者の珈琲記事 十、新日本と珈琲 十一、その後の日本の珈琲 十二、珈琲の栽培 あとがき 解説 旦部幸博 - 著者プロフィール - 奥山 儀八郎 (オクヤマ ギハチロウ) (著/文) 1907-81年。山形県生まれ。版画家。広告版画のパイオニア。上阪雅人、石井研堂に学ぶ。版画作品に、ニッカウヰスキーの版画や、コーヒーの表記を一覧にした木版画「かうひい異名熟字一覧」など多数。著書に『コーヒーの歴史』『日本の木版画』など。
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「日本心霊学会」研究 霊術団体から学術出版への道 | 栗田 英彦(編著), 石原 深予, 一柳 廣孝, 菊地 暁, 神保町のオタ, 平野 直子, 吉永 進一, 渡 勇輝
¥3,300
人文書院 2022年 ハードカバー 240ページ 四六判 縦194mm 横135mm 厚さ22mm - 内容紹介 - 人文書院創立100周年記念出版 霊術団体はいかにして人文系出版社へと姿を変えたのか。 日本近代の宗教、学知、出版を総合的に捉え直す画期的研究。 日本心霊学会は民間の精神療法団体として明治末に京都で誕生した。機関紙「日本心霊」を発行し、主に呼吸法を用いて人間の精神を活性化させるという心霊治療の伝授を活動の軸とすることで、当時の心霊ブームにも乗り、仏教僧侶を中心に瞬く間に多数の会員を獲得、アカデミシャンをも巻き込みながら日本有数の団体へと急成長する。そして昭和初期、学会の活動を通して培ったネットワークをもとに出版業へと船出、人文書院と名を変える。その活動の遍歴は、霊術研究のみならず、日本近代の宗教と学知、出版を総合的に捉え直す視点をもたらす。2013年に発見された「日本心霊」全号によって可能になった画期的研究。折口信夫、西田直二郎の新発見資料を収録。口絵、年表、人名索引付。 「日本心霊学会=人文書院は、精神療法/仏教/新宗教/神道/民俗学/文学/哲学といった諸領域を横断しながら、アカデミズムと民間の知に股をかけ、心霊治療と出版という二つの媒体(メディア)――霊的=精神的な〈エネルギー/メッセージ〉の媒体――を軸にして一つの組織を維持してきた。こうした脱領域性と組織性という矛盾した特徴を兼ね備えることで、分野横断的な共振の相を一つの団体とその刊行物に折りたたんできたのである。日本心霊学会研究とは、そうした共振の相の変貌――振幅を伴ったある一つの精神史――を、単なる観念の共通性や思想の構造的類似を超えて、具体的な組織と運動に定位して探求する足場を組み立てることに他ならない。」(「はじめに」より) ○目次 はじめに………栗田英彦 第一章 日本心霊学会の戦略………一柳廣孝 はじめに 一 日本心霊学会の理念とその特徴 二 会員の獲得と組織の構築――「日本心霊 創立十周年記念号」から 三 人文書院の出版戦略 おわりに コラム1 民間精神療法のなかの日本心霊学会………平野直子 第二章 日本の心霊研究と精神療法………吉永進一 一 催眠術と心霊研究 二 日本の催眠術と心霊研究、その濫觴 三 催眠術の土着化と魔術化 四 催眠術の興隆と変容 五 催眠術師の勃興と衰退 六 養生、修養、精神療法 七 心霊研究 コラム2 H・カーリングトン『現代心霊現象之研究』を翻訳した関昌祐の心霊人生………神保町のオタ 第三章 大正期日本心霊学会と近代仏教――「外護方便」としての心霊治療………栗田英彦 はじめに 一 プラクティスの近代 二 「外護方便」のメディア戦略 三 会員・支部から見る日本心霊学会 四 「新宗教」としての日本心霊学会 おわりに――民間精神療法の比較分析から コラム3 句仏心霊問題………栗田英彦 第四章 越境する編集者野村瑞城――『日本心霊』紙上の「神道」と「民俗」を中心に………渡勇輝 はじめに 一 「霊肉一致」と高僧伝 二 「シヤマニズム」への傾倒と「神道」の発見 三 「フオクロリスト」の自覚と柳田国男への接近 四 脱退、その後の「神道」と「民俗」 おわりに コラム4 日本心霊学会編集部代表・野村瑞城(政造)の作品と略歴………菊地暁 第五章 編集者清水正光と戦前期人文書院における日本文学関係出版 ………石原深予 はじめに 一 日本心霊学会(民間精神療法団体)から人文書院(出版社)への移行 二 清水正光の経歴と著書について 三 川端康成と清水正光 四 編集者清水正光と戦前期人文書院における日本文学関係出版 おわりに 特別資料 西田直二郎・折口信夫講演録 (「日本心霊」より) 年中行事と民俗研究………西田直二郎 門 ◆ 精靈と大伴と物之部………折口信夫 西田・折口講演解題………菊地暁 あとがき………栗田英彦 日本心霊学会~戦前期人文書院年表 人名索引 - 前書きなど - 「日本心霊学会=人文書院は、精神療法/仏教/新宗教/神道/民俗学/文学/哲学といった諸領域を横断しながら、アカデミズムと民間の知に股をかけ、心霊治療と出版という二つの媒体(メディア)――霊的=精神的な〈エネルギー/メッセージ〉の媒体――を軸にして一つの組織を維持してきた。こうした脱領域性と組織性という矛盾した特徴を兼ね備えることで、分野横断的な共振の相を一つの団体とその刊行物に折りたたんできたのである。日本心霊学会研究とは、そうした共振の相の変貌――振幅を伴ったある一つの精神史――を、単なる観念の共通性や思想の構造的類似を超えて、具体的な組織と運動に定位して探求する足場を組み立てることに他ならない。」(「はじめに」より) - 版元から一言 - 人文書院創業100周年の記念出版です。弊社の前身の「日本心霊学会」について、初めてとなる総合的研究となりました。会社の蔵から70年ぶりに取りだされた新発見資料や写真をふんだんに使っています。 - 著者プロフィール - 栗田 英彦 (クリタ ヒデヒコ) (編著) 1978年生まれ。愛知県立大学、愛知学院大学等非常勤講師。宗教学、思想史。『近現代日本の民間精神療法』(共編著、国書刊行会)。 石原 深予 (イシハラ ミヨ) (著) 1975年生まれ。奈良女子大学、相愛大学等非常勤講師。日本近代文学。『尾崎翠の詩と病理』(ビイング・ネット・プレス)、『前川佐美雄編集『日本歌人』目次集(戦前期分)増補・修正版』(私家版)。 一柳 廣孝 (イチヤナギ ヒロタカ) (著) 1959年生まれ。横浜国立大学教育学部教授。日本近現代文学・文化史。『〈こっくりさん〉と〈千里眼〉』(講談社)、『催眠術の日本近代』(青弓社)、『無意識という物語』(名古屋大学出版会)、『怪異の表象空間』(国書刊行会)。 菊地 暁 (キクチ アキラ) (著) 1969年生まれ。京都大学人文科学研究所助教。民俗学。『柳田国男と民俗学の近代』(吉川弘文館)、『民俗学入門』(岩波新書)、『日本宗教史のキーワード』(共編著、慶應義塾大学出版会)。 神保町のオタ (ジンボウチョウノオタ) (著) 1959年生まれ。ブロガー。「神保町系オタオタ日記」(https://jyunku.hatenablog.com/)を運営。京都大学在籍時に吉永進一らとオカルト研究団体「近代ピラミッド協会」を結成。 平野 直子 (ヒラノ ナオコ) (著) 早稲田大学非常勤講師。宗教社会学。『宗教と社会のフロンティア』(共著、勁草書房)、『近現代日本の民間精神療法』(共著、国書刊行会)。 吉永 進一 (ヨシナガ シンイチ) (著) 1957年生まれ。舞鶴工業高等専門学校人文科学部門教授、龍谷大学世界仏教文化研究センター客員研究員などを歴任。近代宗教史・秘教思想史。『神智学と仏教』(法藏館)、『近代仏教スタディーズ』(共編著、法藏館)、『近現代日本の民間精神療法』(共編著、国書刊行会)。2022年3月31日逝去。 渡 勇輝 (ワタリ ユウキ) (著) 1987年生まれ。佛教大学大学院文学研究科歴史学専攻博士後期課程。日本近代思想史、神道史。「柳田国男の大正期神道論と神道談話会」(『佛教大学大学院紀要文学研究科篇』49)、「近代神道史のなかの「神道私見論争」」(『日本思想史学』52)。
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人新世の人間の条件|ディペシュ・チャクラバルティ, 早川健治(翻訳)
¥1,980
晶文社 2023年 ソフトカバー 180ページ 四六判 - 内容紹介 - 「人新世」の正体を、あなたはまだ何も知らない――。 人文学界で最も名誉ある「タナー講義」を、読みやすい日本語へ完訳。 地質学から歴史学まで、あらゆる学問の専門家の知見を総動員し、多くの分断を乗り越えて環境危機をファクトフルに考えるための一冊。かりそめの答えに満足できない現実派の読者におくる。 山崎直子さん(宇宙飛行士)推薦 「我々はどこへ向かうのか、その考え方の土台となる本。宇宙に学校が出来たら、この本はきっと人類共通の教科書となるでしょう」 ◆そもそも地質年代は誰がどう決める? ◆「大加速グラフ」が示す未来とは? ◆途上国と先進国の分断は乗り越えられる? ◆立場を超えてもつべき新たな「時代意識」とは? ◆人間は技術圏(テクノスフィア)の部品にすぎない? ◆地球の半分からヒトを撤退させるべき? ◆大きな歴史(ビッグ・ヒストリー)は人類を結束させる? 目次 講義1 時代意識としての気候変動 講義2 人間が中心ではなくなるとき、あるいはガイアの残り 日本版特別インタビュー 『人新世の人間の条件』に寄せて 訳者あとがき - 著者プロフィール - ディペシュ・チャクラバルティ (ディペシュチャクラバルティ) (著/文) 1948年生。インド出身の歴史学者。シカゴ大学教授。専門は歴史学方法論、ポストコロニアル理論、サバルタン研究、南アジア史など。ベンガル地方の労働史の研究から出発し、1980年にはサバルタン研究の最重要組織であるSubaltern Studiesをラナジット・グハらと共同創設した。その後2000年には主著Provincializing Europeを発表。西洋を起源とする歴史学のカテゴリーを西洋以外の文脈へと開いていくための道を模索し、歴史学の方法論に大きな影響を与えた。2021年発表の最新作The Climate of History in a Planetary Ageでは、人文学者が人為的な地球環境改変とどう向き合っていくべきかという問題を丹念に探究した。トインビー賞、タゴール賞など受賞多数。 早川健治 (ハヤカワケンジ) (翻訳) 1989年生。ダブリン在住の翻訳家。哲学修士。CplとGoogleで人材あっ旋担当者として働いた後、独立して現職。和訳にチョムスキー&ポーリン『気候危機とグローバル・グリーンニューディール』(2021)、バルファキス『世界牛魔人』(2021、いずれも那須里山舎)など、英訳に多和田葉子『Opium for Ovid』(Stereoeditions)。一般向け配信番組「フィネガンズ・ウェイクを読む」主催者。公式ウェブサイト:kenjihayakawa.com
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地に呪われたる者 【新装版】|フランツ・ファノン, 鈴木道彦 (翻訳), 浦野衣子 (翻訳)
¥4,180
みすず書房 2015年 ハードカバー 328ページ 四六判 - 内容紹介 - 民族とは、国家とは、文化とは。ファノニズムとは何か。 植民地主義に抗し36年の生涯を闘争に捧げた著者が遺した、ポスト・コロニアル批評の原点。 「ひとつの橋の建設がもしそこに働く人びとの意識を豊かにしないものならば、 橋は建設されぬがよい、市民は従前どおり、泳ぐか渡し船に乗るかして、 川を渡っていればよい。橋は空から降って湧くものであってはならない、社会の 全景にデウス・エクス・マキーナ〔救いの神〕によって押しつけられるものであっては ならない。そうではなくて、市民の筋肉と頭脳とから生まれるべきものだ。(…) 市民は橋をわがものにせねばならない。このときはじめて、いっさいが可能となるのである。」(本書より) [初版「現代史・戦後篇」16『フランツ・ファノン集――黒い皮膚・白い仮面、地に呪われたる者』1968年刊、 『フランツ・ファノン著作集』3『地に呪われたる者』1969年刊、〈みすずライブラリー〉版1996年刊] - 著者プロフィール - フランツ・ファノン (フランツファノン) (著/文) 1925-61。フランス領マルチニック島で黒い皮膚をしたマルチニック人として生まれる。第二次大戦中、「自由フランス」に志願して参加し、各地で戦った。戦後はフランス本国に学び、リヨン大学で精神医学を専攻して学位を取得、この頃白い皮膚のフランス人と結婚した。1952年『黒い皮膚・白い仮面』を刊行。1953年11月フランス領アルジェリアにある精神病院に赴任。翌年、アルジェリア独立戦争が勃発。戦争初期は民族解放戦線(FLN)の活動を密かに助けていたが、1957年以来病院の職を辞し全面的にFLNに身を投じる。FLNの機関誌『エル・ムジャヒド』に精力的に寄稿するなど、アルジェリア革命のスポークスマン的役割を果たした。1958年には『アルジェリア革命第五年』(後に『革命の社会学』と改題)を発表、そして1961年には、白血病に冒されつつも『地に呪われたる者』をわずか10週間で執筆。闘争の総決算である同書が刊行されてからわずか数日後の1961年12月6日、ファノンは息を引き取った。36歳の若さであった。死後、『エル・ムジャヒド』その他に書かれた文章を集めた『アフリカ革命に向けて』が出版された。
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アースダイバー 神社編|中沢 新一
¥2,420
講談社 2021年 ハードカバー 370ページ A5変型判 - 内容紹介 - 人気シリーズ「アースダイバー」が、いよいよその関心の中心である、神社を取り上げます。 生命にとっての普遍的聖地に加えて、ホモサピエンス・サピエンスにとっての聖地、そして古代の日本列島に居住した縄文系と弥生系(倭人系)にとっての聖地(のちの神社)の心的・歴史的な構造を探っていきます。 主な取扱い神社は、以下の通りです。 大日霊貴神社(鹿角大日堂) 諏訪大社 三輪神社 出雲大社 和多都見(海神)神社 志賀海神社 穂高神社 伊勢神宮などなど 神社に残された祭儀に秘められた思考を遡っていくと、アメリカ先住民、アジアの少数民族、ネパール、東南アジアなどとの深いつながりが明らかになります。 また、同時にこの列島に数万年にわたって繰り広げられてきた、われわれの祖先の前宗教的・宗教的思考の根源とその展開が解明されていきます。 山とは、海とは、蛇とは、太陽とは……。 歴史の無意識の奥にしまいこまれた記憶を甦らせる魂の冒険へ、いざ。 目次 プロローグ 聖地の起源 第一部 聖地の三つの層 第一章 前宗教から宗教へ 第二章 縄文原論 第三章 弥生人の神道 第二部 縄文系神社 第四章 大日霊貴神社(鹿角大日堂) 東北の続縄文 地名起源伝説 太陽神の聖地に建つ大日堂 第五章 諏訪大社 縄文の「王国」 蛇から王へ 御柱祭りの意味 第六章 出雲大社 蛇 タマ 神話の建築 第七章 三輪神社 ナラの原像 血と酒の蛇 蛇と鑑の確執 第三部 海民系神社 第八章 対馬神道 はじまりの島 ムスビの神 渚の神話学 第九章 アヅミ族の足跡 海の民の末裔 日本海ルート 太平洋ルート 第十章 伊勢湾の海民たち 太陽の道 海人と鳥 エピローグ 伊勢神宮と新層の形成
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増補改訂 アースダイバー|中沢 新一, 大森 克己(著/文 | 写真)
¥2,530
講談社 2019年 ハードカバー 384ページ A5変型判 - 内容紹介 - 2005年の大ブームから13年を経て、東京アースダイバーの完全版なる! 縄文、そして「海民」へと日本のルーツを遡り、地形の無意識、文化と自然の相互作用を探るアースダイビングは、見えない東京を私たちに教える。今回の増補改訂で隅田川と多摩川流域といった海民文化の要素が色濃く残る地域を追加しました。そして東京の中心地であり、アースダイバーの出立点である大宮八幡へと帰還する旅が完了する。 2005年、『アースダイバー』は、東京の風景が一変する散歩の革命を起こし大ベストセラーになりました。野生の東京を描く東京創世記でした。 その後、『大阪アースダイバー』(2012)『アースダイバー 東京の聖地』(2017)、『アースダイバー 神社編』(刊行準備中)と日本の歴史を書きかえる射程をもつ大きなプロジェクトになっています。 縄文、そして「海民」へと日本のルーツを遡り、地形の無意識、文化と自然の相互作用を探るアースダイビングは、見えない東京を私たちに教えてくれます。 今回の増補改訂で隅田川と多摩川流域といった海民文化の要素が色濃く残る地域を追加しました。 そして東京の中心地であり、アースダイバーの出立点である大宮八幡へと帰還します。 東京アースダイバーの決定版にして完結版! 【120ページ加筆】 【全24点アースダイビング・マップ付き】 【第9回桑原武夫学芸賞受賞】 [目次] 増補改訂 まえがき プロローグ 第1章 ウォーミングアップ―東京鳥瞰 第2章 湿った土地と乾いた土地―新宿~四谷 第3章 死と森―渋谷~明治神宮 第4章 タナトスの塔 異文/東京タワー―東京タワー 第5章 湯と水―麻布~赤坂 間奏曲(1)―坂と崖下 第6章 大学・ファッション・墓地―三田、早稲田、青山 第7 職人の浮島―銀座~新橋 第8章 モダニズムから超モダニズムへ―浅草~上野~秋葉原 第9章 東京低地の神話学―下町 第10章 海民がつくった下町-隅田川 第11章 よみがえる南郊-多摩川 間奏曲(2) 森番の天皇―皇居 最終章 ムサシ野オデッセイ あとがき - 著者プロフィール - 中沢 新一 (ナカザワ シンイチ) (著/文) 1950年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、明治大学野生の科学研究所所長。思想家。 著書に『日本の大転換』『アースダイバー』、『カイエ・ソバージュ』(小林秀雄賞)、『チベットのモーツァルト』(サントリー学芸賞)『森のバロック』(読売文学賞)『哲学の東北』(青土社、斎藤緑雨賞)など多数ある。