-
ペンギンは歴史にもクチバシをはさむ 増補新版 | 上田 一生
¥3,520
青土社 2024年 ハードカバー 320ページ 四六判 - 内容紹介 - 貴重な図版満載の異色の文化史 氷原の上をよちよち歩くタキシード姿、好奇心いっぱいの「かわいい」やつ。大航海時代から「未知の大陸」のシンボルとしてさまざまな場面で大活躍してきたペンギンには、その一方で食料、燃料などとして利用されてきた受難の歴史もある。現代ではそのたくましさでも脚光を浴びつつあるペンギンから見た、貴重な図版満載の異色の文化史。
-
沖縄について私たちが知っておきたいこと | 高橋 哲哉
¥880
筑摩書房 2024年 ちくまプリマー新書 ソフトカバー 176ページ 新書判 - 内容紹介 - 沖縄の基地問題を理解し、その解消を目指すためには、まず、沖縄が日本に併合された経緯やその後何度も本土のために犠牲になった歴史を知らなければならない。 沖縄の基地問題を理解し、その解消を目指すためには、まず、沖縄が日本に併合された経緯やその後何度も本土のために犠牲になった歴史を知らなければならない。 本土からの訪問者は年間数百万人にも上るが、沖縄に基地が集中しているのはなぜなのか、きちんと理解している人は少ない。 沖縄への過剰な負担についての本土の無関心は、沖縄に対する差別なのではないか? という意識が広まっている。そこにはどんな歴史的、構造的な理由があるのか。沖縄の基地問題に関心がなかった人、よく分からないという本土の人に向けて知って欲しいことを解説した一冊。 琉球処分、人類館事件、沖縄戦、アメリカによる統治、基地問題…… 本土と沖縄の関係を読み解くための大事な一冊 - 目次 - 第一章 沖縄の歴史 琉球処分/人類館事件/アジア太平洋戦争と沖縄 第二章 構造的差別とは何か 沖縄戦後に「戦後」は来たか/基地の島・沖縄 第三章 沖縄から問われる構造的差別 沖縄からの「県外移設」論/新たな「沖縄戦」の危機 対話 沖縄へのコロニアリズムについて - 著者プロフィール - 高橋 哲哉 (タカハシ テツヤ) (本文) 1956年生まれ。哲学者。東京大学教養学部教養学科フランス科卒業。同大学院哲学専攻博士課程単位取得。東京大学名誉教授。著書に、『記憶のエチカ――戦争・哲学・アウシュビッツ』(岩波書店)、『戦後責任論』(講談社)、『靖国問題』(ちくま新書)、『犠牲のシステム 福島・沖縄』『沖縄の米軍基地――「県外移設」を考える』(以上、集英社)、『日米安保と沖縄基地論争――〈犠牲のシステム〉を問う』(朝日新聞出版)ほか。
-
中学生から知りたいパレスチナのこと | 岡真理, 小山哲, 藤原辰史
¥1,980
ミシマ社 2024年 ソフトカバー 224ページ 四六判 - 内容紹介 - この本から、始まる 新しい世界史=「生きるための世界史」 あらゆる人が戦争と自分を結びつけ、歴史に出会い直すために。 アラブ、ポーランド、ドイツを専門とする三人の対話から はじめて浮かび上がる「パレスチナ問題」。 世界史は書き直されなければならない。 *** 岡「今、必要としているのは、近代500年の歴史を通して形成された『歴史の地脈』によって、この現代世界を理解するための『グローバル・ヒストリー』です」 小山「西洋史研究者の自分はなぜ、ヨーロッパの問題であるパレスチナの問題を、研究領域の外にあるかのように感じてしまっていたのか」 藤原「力を振るってきた側ではなく、力を振るわれてきた側の目線から書かれた世界史が存在しなかったことが、強国の横暴を拡大させたひとつの要因であるならば、現状に対する人文学者の責任もとても重いのです」 *** 地図作成:マップデザイン研究室 - 目次 - はじめに(岡真理) Ⅰ 私たちの問題としてのパレスチナ問題 岡真理「ヨーロッパ問題としてのパレスチナ問題――ガザのジェノサイドと近代五百年の植民地主義」 「ユダヤ人のパレスチナ追放による離散」は史実にない/ジェノサイドが終わるだけでは不十分/ハマスの攻撃は脱植民地化を求める抵抗/イスラエル政府の発表をうのみにしてはいけない/ジェノサイドはいかなるシステムによって可能になったのか/人文学=ヒューマニティーズから考える/ガザを見たとき、日本は自国の植民地主義を想起できているか/壁一枚を隔て、安楽な生活を享受する者/「人種」はヨーロッパ植民地主義が「発明」したもの/シオニズム運動――反セム主義に対する反応/国家維持のためにホロコーストの記憶を利用する/近代学問に内包されるレイシズム 藤原辰史「ドイツ現代史研究の取り返しのつかない過ち――パレスチナ問題はなぜ軽視されてきたか」 ナチズム研究者はナチズムと向き合いきれていない/ドイツとイスラエルをつなぐ「賠償」 /ふたつの歴史家論争/誰のための「記憶文化」か/ドイツは過去を克服した優等生なのか?/「アウシュヴィッツは唯一無二の悪だ」/奴隷制は終わっていない/経済の問題、労働の問題としてのナチズム Ⅱ 小さなひとりの歴史から考える 小山哲「ある書店店主の話――ウクライナとパレスチナの歴史をつなぐもの」 ふたつの戦争のつながり/長い尺度で問題を捉える/ポーランド書店 E. ノイシュタイン/ウクライナ-ポーランド-イスラエルを結ぶ生涯/イスラエルをリードした東ヨーロッパ出身者/「国家なき民族」の国歌/シオニズム運動はドレフュス事件より前にはじまっていた/民族運動の母体となった地域/移住して国家を建設するという発想/日本も「外部」ではない/「敵は制度、味方はすべての人間」 藤原辰史「食と農を通じた暴力――ドイツ、ロシア、そしてイスラエルを事例に」 私たちの食卓の延長にある暴力/投機マネーがもたらす飢餓/プーチンの農業政策は外交の武器/ウクライナの穀物を狙う米中/国際穀物都市オデーサ/飢餓計画を主導したヘルベルト・バッケ/ホロコーストの影に隠れる「入植と飢餓」/飢えてはならない人と、飢えてもいい人/イスラエルの食と水を通じた暴力/飢餓とは「低関心」による暴力 Ⅲ 鼎談 『本当の意味での世界史』を学ぶために 今の世界史は地域史の寄せ集め/「西」とはなんなのか?/ナチズムは近代西洋的価値観の結晶/「食を通じたイスラエルの暴力」に目が向かなかった反省/私たちの生活が奴隷制に支えられている/日本史、西洋史、東洋史という区分は帝国時代のもの/西洋史でパレスチナ研究をしたっていいはずなのに/ポーランドのマダガスカル計画/民族の悲哀を背負ったポーランドは、大国主義でもあった/イスラエル問題ではなく「パレスチナ問題」/イスラエルの暴力の起源は東欧に?/今のイスラエルのやり方は異常/押してはいけないボタン/核の時代の世界史/「反ユダヤ主義」という訳の誤り おわりに(小山哲) 本書成立の経緯(藤原辰史) - 著者プロフィール - 岡真理 (オカ マリ) (著/文) 1960年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。専門は現代アラブ文学、パレスチナ問題。主な著書に『ガザとは何か』『記憶/物語』『彼女の「正しい」名前とは何か』『棗椰子の木陰で』『アラブ、祈りとしての文学』『ガザに地下鉄が走る日』。 小山哲 (コヤマ サトシ) (著/文) 1961年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。専門は西洋史、特にポーランド史。主な著書・共編著に『中学生から知りたいウクライナのこと』『大学で学ぶ西洋史[近現代]』『人文学への接近法』。 藤原辰史 (フジハラ タツシ) (著/文) 1976年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専門は現代史、特に食と農の歴史。主な著書に『中学生から知りたいウクライナのこと』『縁食論』『カブラの冬』『ナチスのキッチン』『分解の哲学』。
-
台所に敗戦はなかった 戦前・戦後をつなぐ日本食 | 魚柄 仁之助
¥924
筑摩書房 2024年 ちくま文庫 ソフトカバー 256ページ 文庫判 - 内容紹介 - うどんでコロッケ、バナナの皮で天ぷら、鰹節サンドイッチ!? 「日本が戦争に負けようがGHQが進駐してこようが、ご飯は作らにゃナラン」 戦中~戦後の婦人雑誌で生まれたレシピをつくって食べて、見えてきた “おっかさん”たちの台所奮闘記! === うどんでプリン、海苔巻きバナナ、肉なし「そばすき焼き」にはんぺんサンドイッチ……。台所をあずかる女たちは、国破れても立ち止まってはいられなかった。明治から戦後二十年ほどまでの料理本約七百冊、婦人雑誌二千冊に登場するレシピを実際に作って食した著者が、その背後に潜む国家の政治性と"かあさん"たちが生み出すゆかいな創意工夫に迫る、実践的食文化史! === 日々を何とか乗り越えていこうとする台所での極限の工夫や発想の中にはユーモアが宿る。それは逞しくて、頼もしくて、時に切ない。(略)一方、戦中戦後の台所に立つがゆえに、「家庭経済のやりくり」としての「工夫」が、時に「国家経済のやりくり」の「押し付け」にすり替わってしまったことなどについても、随所でシビアに言及している。 ――湯澤規子(解説より) カバーデザイン 三木俊一(文京図案室) - 目次 - はじめに 第1章 すき焼き 一九二八年の「すき焼き」 鋤や鍬で本当にすき焼きができるのか すき焼きのプロトタイプ 家庭百科事典の「すき焼き」 すき焼きとはなんだ? 大阪からやってきたすき焼き すき焼きを語る人々 変わりすき焼きのいろいろ そばすき焼きという最終形態 第2章 サンドイッチ サンドイッチが和食になった頃 和製サンドイッチは米不足が生みの親 一九三三年(昭和八年)の「ツナサンド」は鰹節 テリヤキバーガーの先祖はもしかして 穴子サンド 和風オープンサンドは海苔トースト 寿司とサンドイッチ 第3章 うどんとマカロニ あべかわはマカロニで スパゲティ、マカロニ、?類珍品集 マカロニ鍋のいろいろ うどんのトマト和え そばナポリタン マカロニ(西洋うどん)の折り方 マカロニはご飯のおかず? スパケット飯(スパケット・アラ・ロメース) 『日々活用お料理辞典』から「マカロニー」の項を開くと…… うどんで、かりんとう うどんで、パン うどんで、ビスケット うどんで、プリン うどんのコロッケ うどんのうに焼き 第4章 ねぎま 「ねぎま鍋」のナゾ マグロは赤身か、脂身か 一九七〇年代からさかのぼる「ねぎま」 一九六〇年代の「ねぎま」は 一九五〇年代のねぎま汁をたずねて ねぎま――戦時篇 日本陸軍調理法でのねぎま ねぎま鍋の黄金時代 「ネギ鮪」が「ネギ間」に変わるそのとき マグロの脂身は足が早い 冷蔵庫で下克上 一九八〇年代の脂身事情 一九九〇年代は偽装大トロ時代 ねぎま鍋の生い立ちから終焉まで 第5章 人工葡萄酒 葡萄酒の自家醸造は合法?だった つくりませう!葡萄酒 甘味代用の葡萄酒も自家醸造だった 自家醸造のトマト酒 人工葡萄酒は黒豆で 第6章 おしるこ&珍スイーツ ハイカラさんのバナナ料理 和食?洋食?不明のバナナ料理の数々 バナナの皮? バタくさい葛湯はピーナッツで やまいもでホットケーキ おはぎ作りは里芋で 柿で柿餅、柿団子 梨もどきは海軍のデザートにもなった お汁粉の歴史 ―― 戦前篇 お汁粉の歴史 ―― 戦後篇 汁粉は……小麦粉で 第7章 カルピスもどきと代用コーヒー まさしくカルピス カルピス・のようなもの モダンドリンク集 黒豆コーヒー 紫蘇コーヒーは熱中症対策か? 大麦コーヒーは発芽飲料だった 滋養農村コーヒーのこしらえ方 米糠コーヒー、米糠油 第8章 玉子チーズ 質問:玉子からすみって、何ですか? 玉子チーズは「特許品」ですと? 玉子チーズの前身は玉子からすみだった チーズとからすみはおんなじだった 玉子チーズのルーツは味噌漬けだった おわりに 解説 湯澤規子 - 著者プロフィール - 魚柄 仁之助 (ウオツカ ジンノスケ) (本文) 1956年、福岡県うまれ。食文化研究家。著書に『食べ物の声を聴け!』(岩波書店)『冷蔵庫で食品を腐らす日本人』(朝日新聞社)『うおつか流大人の食育』(合同出版)などがある。
-
沖縄戦記 鉄の暴風 | 沖縄タイムス社
¥1,760
ちくま書房 2024年 ちくま学芸文庫 ソフトカバー 528ページ 文庫判 - 内容紹介 - 第二次大戦末期二〇万人もの命が奪われた沖縄戦。本書はその惨状を従軍記者が克明に綴った記録だ。現代史第一級の史料を初文庫化。解説 石原昌家 - 著者プロフィール - 沖縄タイムス社 (オキナワタイムスシャ) (編著) 沖縄本島で地上戦開始後も首里城地下の壕で発行を続けていた「沖縄新報」を前身とする新聞社。創刊は1948年7月1日。米軍政下で抑圧された日々から日本復帰を経て今日に至るまで、沖縄に軸足を置いた報道・論説、文化の継承・創造活動を続けている。
-
アイヌがまなざす 痛みの声を聴くとき | 石原 真衣, 村上 靖彦(著/文)
¥2,970
岩波書店 2024年 ハードカバー 376ページ 四六判 縦188mm 横129mm 厚さ26mm - 内容紹介 - いまだ継続する不正義と差別に抗して、アイヌの人々は何を問い、行動してきたのか。五人の当事者へのインタビューから現代アイヌの〈まなざし〉を辿ると共に、アイヌの声を奪い、語りを占有し続ける日本人のあり方を問う。 目次 序 章 まなざされるアイヌとまなざし返すアイヌ 第1部 遺骨返還運動とアイヌ近代史 第1章 先人の尊厳と未来の教育――遺骨返還運動にたずさわる木村二三夫さん 第2章 アイヌ文化を伝えられてこなかったことに誇りを持っている――親族の遺骨を探索するBさん 第3章 幽閉されるアイヌと遺骨 第2部 インターセクショナリティ 第4章 アイヌ女性と複合差別――ヘイトスピーチと闘う多原良子さん 第5章 先住民フェミニズム批評――Ain't I a Woman? /「私」は女ではないの? 第3部 アイヌと外部を行き来する 第6章 羽をパタパタさせればいい――アイヌ近現代史研究者である新井かおりさん 第7章 家出少年は傍らに神話を持つ――美術家結城幸司さん 第8章 思想的消費とまなざしの暴力 終 章 まなざしの転換 あとがき 交差する場所をひらく 謝 辞 - 著者プロフィール - 石原 真衣 (イシハラ マイ) (著/文) 1982年北海道サッポロ市生まれ.アイヌと琴似屯田兵(会津藩)のマルチレイシャル.北海道大学アイヌ・先住民研究センター准教授.文化人類学,先住民フェミニズム.著書に『〈沈黙〉の自伝的民族誌(オートエスノグラフィー)』(北海道大学出版会2020,大平正芳記念賞),編著書に『アイヌからみた北海道150年』(北海道大学出版会2021),『記号化される先住民/女性/子ども』(青土社2022)など. 村上 靖彦 (ムラカミ ヤスヒコ) (著/文) 1970年東京都生まれ.大阪大学人間科学研究科教授・感染症総合教育研究拠点(CiDER)兼任教員.現象学.著書に『摘便とお花見』(医学書院2013,日本学術振興会賞),『子どもたちがつくる町』(世界思想社2021),『ケアとは何か』(中公新書2021),『「ヤングケアラー」とは誰か』(朝日新聞出版2022),『客観性の落とし穴』(ちくまプリマー新書2023),『すき間の哲学』(ミネルヴァ書房2024近刊)など.
-
アーカイブのちから 世界は足跡(アーカイブ)に満ちている | 伊東 未来, 岩城 考信, 宮本 隆史, 森昭子
¥990
風響社 2023年 ブックレット〈アジアを学ぼう〉別巻 ソフトカバー 88ページ A5判 - 内容紹介 - 民家・古写本・美術カタログ・流刑囚の書…… 本書は、これらの痕跡や存在そのもの、転用・誤読・秘匿などの作為や来歴も含めて「アーカイブ」を論じる。さまざまな「アーカイブ」のありようから、AI時代にいたる「情報の集積」なるものの本質に迫る。 目次 はじめに(伊東未来・宮本隆史) 1 「アーカイブ」にあふれた現代 2 「アーカイブ」は自明の何かではない 3 「アーカイブ」の価値も自明ではない 4 「アーカイブ」をとらえるさまざまな視座 Ⅰ タイ中部の高床式住宅に刻まれた洪水への対応史(岩城考信) はじめに 11 1 高床式住宅の建築的な特徴 2 タイ中部の洪水常襲地域にあるバーンバーン地区の洪水対策と高床式住宅 3 2011年大洪水時のバーンバーン地区における対応の多様性 Ⅱ トンブクトゥにおける写本の救出活動(伊東未来) 1 はじめに 2 トンブクトゥの歴史と写本図書館 3 「読める」写本――アラビア語写本に対する住民の矜持 4 トンブクトゥにおける混乱と危機 5 写本の危機と移送 6 おわりに Ⅲ ガーナ南部の看板絵と芸術実践から読み解くアーカイブ(森 昭子) 1 はじめに――残らない看板絵 2 欧米博物館におけるアフリカ看板絵のアート化 3 欧米アートワールドにおけるアフリカ看板絵のアーカイブ化 4 アフリカ人美術匠による看板絵のアーカイブ化 5 おわりに――看板絵と芸術実践から読み解くアーカイブ Ⅳ アーカイブをめぐる綱引き ――アンダマーンの流刑囚による書きものの場合(宮本隆史) 1 はじめに 2 アンダマーンの歴史とその喪失 3 ターネーサリーとそのテクスト 4 民族主義のテクストへ? 5 おわりに――安全な過去としての「独立戦争」 おわりに(宮本隆史・伊東未来) あとがき(伊東未来) - 著者プロフィール - 伊東 未来 (イトウ ミク) (著/文) 1980年、福岡県生まれ。 大阪大学大学院博士前期課程修了。 現在、大阪大学大学院博士後期課程在籍。日本学術振興会特別研究員(DC2)。 主な論文に「社会に呼応する同時代のアフリカン・アート─マリ共和国のアーティスト集団カソバネを事例に─」(『アフリカ研究』第75号、2009年12月、17-28頁)、「イスラーム「聖者」概念再考への一考察─マリ共和国ジェンネのalfaを事例に」(『年報人間科学』第30号、2008年3月、83-100頁)などがある。 宮本 隆史 (ミヤモト タカシ) (著/文) 1979年、京都市生まれ。 東京大学大学院総合文化研究科博士課程 日本学術振興会特別研究員DC 主な論文に「植民地統治と監獄制度─19世紀中葉の海峡植民地における囚人の管理」(『南アジア研究』19号、2007年)、「19世紀英領海峡植民地における監獄制度、1820─70年代」(『年報地域文化研究』10号、2007年)などがある。 http://miyamotolog.com
-
ウクライナの小さな町 ガリツィア地方とあるユダヤ人一家の歴史 | バーナード・ワッサースタイン, 工藤 順(翻訳)
¥3,960
作品社 2024年 360ページ 四六判 - 内容紹介 - 国と国、歴史と歴史のはざまで──。 ウクライナ辺境の町の歴史と、あるユダヤ人一家の歴史が交錯する。 ハプスブルク家の支配、ロシア革命、反ユダヤ主義、ホロコースト、独ソ戦、ロシア・ウクライナ戦争……過去から現代に至るまで、東欧の複雑な歴史を複雑なまま理解するためにまさに今求められる、再発見と洞察に満ちた歴史書にして家族の年代記。 現在の西ウクライナにまたがるガリツィア地方は、歴史的に、オーストリア、ポーランド、ドイツ、ソ連とさまざまな国に支配され、翻弄されてきた。 本書の舞台は、ガリツィア地方の小さな町クラコーヴィエツ。著者はイギリスの著名な歴史家で、彼の先祖はこの町出身のユダヤ人である。歴史家として客観的かつ生き生きとこの町がたどった歴史を語る一方で、この町と深い縁のある自分の祖先を悼むように、家族がたどった苦難の歴史を追いかけてゆく。ユダヤ人差別はありながらも多民族が共存したハプスブルク時代、国と国のはざまで幾多もの戦争に蹂躙された混乱期、ウクライナとポーランド両者のナショナリズムに引き裂かれた近代、ナチスとソ連による恐怖支配、そして現代へ――。 ガリツィア地方という、国と国のはざま。そしてユダヤ人という、民族と民族のはざま。――二つの「はざま」の視点から、ガリツィア地方、ウクライナ、そして東欧の人びとがくぐり抜けた歴史が照らし出される。 目次 はじめに 地名の表記について 1 逮捕 2 三匹の魚 3 「このうえなく華やかなりし時代」 4 シュテットルの勃興 5 皇帝のクラコーヴィエツ 6 燃えるシュテットル 7 クラコーヴィエツからベルリンへ 8 ベルリンからクラコーヴィエツへ 9 三つの体制のもとで 10 「おまえは心配しなくていい。おまえはおれのユダヤ人だ」 11 「小さな町です――聞いたこともないと思います」 12 一匹になった魚 13 クラコーヴィエツに帰る あとがき 謝辞 図版一覧 地図一覧 参考文献 註 索引 - 著者プロフィール - バーナード・ワッサースタイン (バーナード ワッサースタイン) (著/文) (Bernard Wasserstein)歴史学者。1948年ロンドンに生まれ、現在はアムステルダムに在住。1974年にD. Phil.(近現代史)、2001年にD. Litt.をそれぞれオックスフォード大学で取得。同大学での教職等を経て、現職はシカゴ大学歴史学部名誉教授、英国学士院特派員。近現代ヨーロッパのユダヤ人史を中心的な研究テーマとし、現在までに13冊の著書がある(本書が初の邦訳)。『トレビッチ= リンカーンの秘密の生活(The Secret Lives of Trebitsch Lincoln)』(1988)で英国推理作家協会のゴールド・ダガー賞(ノンフィクション部門)、『その前夜――第二次世界大戦直前のヨーロッパにおけるユダヤ人(On the Eve: The Jews of Europe Before the Second World War)』(2012)でヤド・ヴァシェム国際書籍賞を受賞。 工藤 順 (クドウ ナオ) (翻訳) (くどう・なお)1992年生まれ。翻訳労働者。訳書に、アンドレイ・プラトーノフ『チェヴェングール』(石井優貴との共訳、作品社、2022、第9回日本翻訳大賞受賞)等がある。
-
ヴィジュアル版 沖縄文化論 忘れられた日本 | 岡本 太郎
¥1,320
中央公論新社 2024年 中公文庫 ソフトカバー 256ページ 文庫判 - 内容紹介 - 身体全体がふくれあがるような日々だった。ふれるものすべてに問題を発見し、ぎりぎり集中して行った。――一九五九年に本島、久高島、宮古島、石垣島、竹富島、そして六六年に久高島を再訪。沖縄に恋をした芸術家が見た舞踊、歌、そして神事からの日本再発見。毎日出版文化賞受賞作。著者撮影による写真口絵六四ページを収録。 〈随筆〉岡本敏子 〈解説〉外間守善/赤坂憲雄 (目次より) 沖縄の肌ざわり 「何もないこと」の眩暈 八重山の悲歌 踊る島 神と木と石 ちゅらかさの伝統 結 語 増補 神々の島 久高島 本土復帰にあたって あとがき 「一つの恋」の証言者として 岡本敏子 新版に寄せて 岡本太郎の『沖縄文化論』を読む 外間守善 解説 赤坂憲雄 - 著者プロフィール - 岡本太郎 (オカモトタロウ) (著/文) 一九一一年、東京生まれ。岡本一平・かの子の長男。二九~四〇年までパリに住み芸術運動に参加する一方、パリ大学で哲学・社会学・民俗学を専攻、ジョルジュ・バタイユらと交わる。三八年、国際超現実展に招かれ「傷ましき腕」を出品。四六年から現代芸術の旗手として次々と話題作を発表する。五四年、ヴェニス・ビエンナーレに日本代表として出品。五六年、東京都庁舎に十一面の陶板壁画、また数寄屋橋公園の「若い時計台」、東京オリンピック公式参加メダル、国立屋内競技場の壁画、その他数々のモニュメント・壁画等を創作する。七〇年、大阪万国博覧会の「太陽の塔」で世界の話題を集める。七五年、パリ国際センター、パレ・デ・コングレに五面のレリーフ壁画。七六年、パリ市立ガリエラ美術館にて個展を開催。文筆活動も多く、『岡本太郎の本』(全五巻)がある。九六年一月、死去。
-
生理用品の社会史 | 田中 ひかる
¥1,056
KADOKAWA 2019年 角川ソフィア文庫 ソフトカバー 304ページ 文庫判 - 内容紹介 - 日本女性の生活を大きく変えた画期的な商品「アンネナプキン」。その誕生は、ほんの50年ほど前のことである。女性の社会進出を支えた商品開発の裏には、一人の女性経営者の一筋縄ではいかないドラマがあった――。植物、絹、脱脂綿、ビクトリヤなど、不便で不快だった古い経血処理の方法から、欧米ほどタンポンの使用が普及しなかった理由まで。一大ビジネスへと発展した、女性史にとどまらない日本社会の変遷を明らかにする。 目次 はじめに 第一章 ナプキンがなかった時代の経血処理―植物から脱脂綿まで 第二章 生理用品の進化を阻んだ月経不浄視―「血の穢れ」の歴史 第三章 生理用品が変えた月経観―アンネナプキンの登場 第四章 今日の生理用品―ナプキンをめぐる“イデオロギー” おわりに 文庫版あとがき 引用・参考文献 生理用品関連年表 アンネ社広告資料 - 著者プロフィール - 田中 ひかる (タナカ ヒカル) (著/文) 1970年東京生まれ。学習院大学法学部卒業後、非常勤講師を経て専修大学大学院修士課程で歴史学、横浜国立大学大学院博士課程で社会学を専攻(学術博士)。
-
月経と犯罪 “生理”はどう語られてきたか | 田中 ひかる
¥2,640
平凡社 2020年 ハードカバー 192ページ 四六判 - 内容紹介 - 「女は生理の時、カッとして頭にきて何をするのかわからない」――。 女性は生理があるから罪を犯す、と信じられていた時代があった。 その言葉の根拠を確かめ、信じられてきた理由を歴史的資料からひもとく。 〈目次〉 第1章 犯罪における月経要因説と「新しい女」たち アナーキスト大杉栄を刺した「新しい女」神近市子/「変態性慾」研究の先駆者クラフト=エビング/月経時の芝居見物は精神疾患を招くのか/「タブー」から「富国強兵の礎」へ/女優松井須磨子――自殺現場に残された「一滴の美しい血」/渡辺淳一『女優』に描かれた須磨子の月経/松井須磨子、自殺の真相/与謝野晶子も襲われた「ある時期」の猛烈なヒステリー 第2章 女性犯罪論の起源 ロンブローゾ――売春婦は生まれながらの犯罪者/現行犯逮捕の八割以上が月経中?/明治の女子教育論――女子は健康で鈍なのがよい/日本初の女性犯罪論『犯罪論及女性犯人』/女性犯罪論の古典『婦人と犯罪』/「幻の名著」はなぜ生まれたのか/婦人問題論争と『婦人と犯罪』 第3章 猟奇犯罪の時代 猟奇的事件が多発した1920年代 女性犯罪の三要素――ヒステリー・痛覚の鈍麻・月経/『近代犯罪研究』――犯罪の影には女あり/女は「詐欺顔」/経血の害悪――植物は枯れ、金属は錆び、犬は発狂/放火は女の犯罪か/女の取り調べの際には四週間待て?/「性的関係」――大逆事件から万引きまで/「虚偽の強姦」多発の真相/男の「幻想」、女の「内面化」「利用」 第4章 生理休暇と精神鑑定 女性教員の「生理的故障」/「女工」たちの深刻な「母性破壊」/「職業婦人に生理休暇を!」/のちの首相片山哲「月経要因説」を語る/「生理休暇」をめぐる攻防/「生理休暇」取得率0.9%の背景/初経教育の質が、女性の人生を左右する/月経が必ず問われた精神鑑定/「婦人犯罪」へのアンチテーゼ 第5章 月経要因説の精神医学的解釈 魔女、悪女、毒婦、狐/「レズビアンのサド・マゾ」はホルモンの影響か/女子受刑者たちの犯罪時月経状態/初潮・無月経が犯行を決定づけるのか/月経周期の矛盾/はじめに月経不順あり/「謎の注射」を無視した精神鑑定/月経は「性的葛藤」を想起するか/月経時の女の仕事を信用しない女 第6章 月経要因説の心理学的解釈 「迷信」が月経時の犯罪を招くのか/『旧約聖書』や『コーラン』も忌み嫌った「血の穢れ」/なぜ女だけが「血の池地獄」に堕ちるのか/日本初の女性検事は女をどう見ていたか/「ネガティブな気分」はなぜ起こるのか/偽薬効果が意味するもの 第7章 「犯罪におけるPMS要因説」 「月経前症候群」が「月経前不快気分障害」に改められた理由/毛深い女は犯罪者予備軍? - 著者プロフィール - 田中 ひかる (タナカ ヒカル) (著/文) 歴史社会学者
-
ホロコーストからガザへ: パレスチナの政治経済学 | サラ・ロイ, 岡真理 (編集, 翻訳), 小田切拓 (編集, 翻訳), 早尾貴紀 (編集, 翻訳)
¥2,860
青土社 2024年 ハードカバー 288ページ 四六判 - 内容紹介 - 緊急復刊!! ひとつの社会全体が崩壊しようとしている 「パレスチナ問題」を経済学的に分析し、世界的に注目される著者が明らかにするイスラエルの占領の実態と国際社会の援助のゆくえ。ホロコースト生存者の娘という出自から問う、人間の記憶と倫理への思考。いまもっとも読むべき一冊。
-
ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義 | 岡 真理
¥1,540
SOLD OUT
大和書房 2023年 ソフトカバー 208ページ 縦188mm 横130mm 厚さ15mm - 内容紹介 - 【緊急出版!ガザを知るための「まず、ここから」の一冊】 2023年10月7日、ガザ地区のハマース主導のパレスチナ戦闘員による、 イスラエルへの攻撃に端を発し、 イスラエルによるガザ地区への攻撃が激化しました。 長年パレスチナ問題に取り組んできた、 パレスチナ問題と現代アラブ文学を専門とする著者が、 平易な語り口、そして強靭な言葉の力によって さまざまな疑問、その本質を明らかにします。 今起きていることは何か? パレスチナ問題の根本は何なのか? イスラエルはどのようにして作られた国? シオニズムとは? ガザは、どんな地域か? ハマースとは、どのような組織なのか? いま、私たちができることは何なのか? 単なる解説にはとどまらない、 「これから私たちが何を学び、何をすべきか」 その足掛かりとなる、 いま、まず手に取りたい一冊です。 ■目次■ ■第1部 ガザとは何か 4つの要点/イスラエルによるジェノサイド/繰り返されるガザへの攻撃/イスラエルの情報戦/ガザとは何か/イスラエルはどう建国されたか/シオニズムの誕生/シオニズムは人気がなかった/なぜパレスチナだったのか/パレスチナの分割案/パレスチナを襲った民族浄化「ナクバ」/イスラエル国内での動き/ガザはどれほど人口過密か/ハマースの誕生/オスロ合意からの7年間/民主的選挙で勝利したハマース/抵抗権の行使としての攻撃/「封鎖」とはどういうことか/ガザで起きていること/生きながらの死/帰還の大行進/ガザで増加する自殺/「国際法を適用してくれるだけでいい」 ■第2部 ガザ、人間の恥としての 今、目の前で起きている/何度も繰り返されてきた/忘却の集積の果てに/不均衡な攻撃/平和的デモへの攻撃/恥知らずの忘却/巨大な実験場/ガザの動物園/世界は何もしない/言葉とヒューマニティ/「憎しみの連鎖」で語ってはいけない/西岸で起きていること/10月7日の攻撃が意味するもの/明らかになってきた事実/問うべきは「イスラエルとは何か」/シオニズムとパレスチナ分割案/イスラエルのアパルトヘイト/人道問題ではなく、政治的問題 ■質疑応答 ガザに対して、今私たちができることは?/無関心な人にはどう働きかければいい?/パレスチナ問題をどう学んでいけばいい?/アメリカはなぜイスラエルを支援し続けるのか?/BDS運動とは何? ■付録 もっと知るためのガイド(書籍、映画・ドキュメンタリー、ニュース・情報サイト) パレスチナ問題 関連年表 本書は、10月20日京都大学、10月23日早稲田大学で開催された緊急セミナーに加筆修正を加えたものです。 - 著者プロフィール - 岡 真理 (オカ マリ) (著/文) 1960年生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了。在モロッコ日本国大使館専門調査員、大阪女子大学人文社会学部講師、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を経て、早稲田大学文学学術院教授。専攻は現代アラブ文学・第三世界フェミニズム思想。
-
パレスチナを知るための60章 | 臼杵 陽, 鈴木 啓之
¥2,200
明石書店 2016年 ソフトカバー 412ページ 四六判 - 内容紹介 - 1948年のイスラエル建国以降、中東の火種となってきたパレスチナ。70年近くに及ぶ難民キャンプの暮らし、あるいは「分離壁」に代表されるイスラエルの抑圧的な政策の下にあって、なおアイデンティティを求め続けるパレスチナの人々を描く。 目次 はじめに Ⅰ パレスチナ イメージと実像 第1章 パレスチナとはどこか――アイデンティティの拠り所を考える 第2章 世界に離散するパレスチナ人――繰り返される移動 第3章 パレスチナ人はどんなところに住んでいるのか――難民キャンプから「持ち家」へ 第4章 パレスチナ人は何を食べているのか――オスマン時代から続く伝統的食文化 【コラム1】パレスチナの家庭料理――ひと手間が引き出すおいしさと家庭の誇り 第5章 パレスチナのイエと社会――パレスチナ人のアイデンティティ/39 【コラム2】結婚式 第6章 キリスト教徒として生きる人々――多様な宗教文化 第7章 ドゥルーズ派の人々――イスラエルとアラブのはざまで 【コラム3】「3652年間この地に生きる」サマリア人 第8章 失われた多様性――つくられた「マイノリティ問題」 第9章 ハリウッド映画のパレスチナ人像――捏造される「悪いアラブ」 【コラム4】映画『ミュンヘン』――9・11後のアメリカ社会とパレスチナ問題 第10章 日本人キリスト教徒のパレスチナ・イメージ――パレスチナへの無関心は何によるのか 第11章 『オリエンタリズム』の衝撃――日本でのエドワード・サイード受容 Ⅱ 歴史 第12章 オスマン帝国時代のパレスチナ――蒔かれた紛争の種 第13章 イギリスによる支配――パレスチナ委任統治期 【コラム5】ド・ブンセン委員会――イギリス中東分割政策の青写真 第14章 パレスチナ難民はなぜ生まれたか――忘却されるナクバ 第15章 イスラエルに残ったパレスチナ人――差別・分断と新たな機運 第16章 アラブ・ナショナリズムとパレスチナ・ナショナリズム――シュカイリー初代PLO議長 第17章 パレスチナ解放運動の昂揚――ヤーセル・アラファートとパレスチナ解放機構(PLO) 第18章 アラブ諸国との軋轢――黒い9月とレバノン内戦 第19章 石の蜂起――幻の独立宣言から孤立へ 【コラム6】アメリカン・コロニーの変遷 第20章 オスロ和平プロセス――誕生・展開・挫折 第21章 なぜパレスチナ人はハマースを支持するのか――暫定自治政府の限界 【コラム7】アフマド・ヤースィーン――創設者が描いたハマースの原点と広がり Ⅲ 生活と文化 第22章 ヘブロンの都市生活――イスラーム的伝統の復興 第23章 オリーブと生きる――土地とのつながり、人々の暮らしの象徴 【コラム8】パレスチナのビール・ワイン 第24章 パレスチナの刺繍――モチーフが映し出すパレスチナ 【コラム9】パレスチナの衣装 第25章 難民女性ガーダ――占領と強権の圧力に抗する 第26章 「同胞の“痛み”を我が“痛み”として生きる」――人権活動家ラジ・スラーニとその活動 第27章 タブーに挑む――パレスチナ人ジャーナリストの挑戦 【コラム10】パレスチナ映画――パレスチナ人の実存の視覚的オルタナティブ 第28章 パレスチナ演劇――「失われた」言葉を取り戻す 【コラム11】パレスチナの踊り「ダブケ」 第29章 パレスチナ文学――ナクバから生まれた言葉の力 【コラム12】言葉の「ナクバ」――ヘブライ語で書くパレスチナ人作家 第30章 ウード弾きたちの挑戦――伝統音楽から新しい地平へ 第31章 ポピュラー音楽――革命歌からラップまで 【コラム13】パレスチナ系アメリカ人のコメディアン Ⅳ 世界の中のパレスチナ 第32章 国連の難民救済事業――UNRWAの活動 【コラム14】第一次中東戦争に参加した北アフリカ義勇兵 第33章 アメリカのパレスチナ関与――歴代大統領はパレスチナをどう見てきたか 第34章 ソ連・ロシアの対パレスチナ政策――放置されるロシアの飛び地 第35章 パレスチナ国家の承認――紛争解決の模索 第36章 大国エジプトの変節――宗教、帝国主義、民族主義、そして新しい時代へ 【コラム15】ガザ難民――二人の女子学生と出会って 第37章 隣国ヨルダンの歩み――紛争の展開と国家像の模索 第38章 シリア・レバノンのパレスチナ人――安全と未来を求めて 【コラム16】「イスラーム国」とパレスチナ 第39章 大義を掲げる湾岸諸国――アラブの同胞か、他人事か 第40章 聖都エルサレム――占領下の生活空間 第41章 イスラエルとパレスチナの非対称性――国家主体と非国家主体 【コラム17】パレスチナを旅行する Ⅴ 経済と社会 第42章 パトロン・クライアント関係――近代パレスチナ社会の支配層 第43章 水と土地――権利あるいは空間をめぐる問題 第44章 ヨルダン川西岸の産業――実地調査から見える現状と課題 【コラム18】パレスチナの伝統工芸品 第45章 パレスチナの農業――資源と市場への限られたアクセス 第46章 農村の生活――パレスチナの文化を育む農村の暮らし 第47章 通貨と金融――オスロ合意は何をもたらしたか 第48章 公共部門と公共サービス――あまりに不安定な現実 【コラム19】アンマーンの交通事情と難民 第49章 ワクフ――翻弄されたイスラーム的信託制度 第50章 難民の初等・中等教育――UNRWAの教育と育つ人材 第51章 占領下で学ぶ――大学設立にかけた願いと挑戦 【コラム20】記録し、発信する――パレスチナ研究機構の挑戦 第52章 変遷する障害者福祉――誰も置き去りにしない社会に向けて 【コラム21】分離壁 Ⅵ パレスチナと日本 第53章 対パレスチナ外交――人的交流から資金援助まで 【コラム22】アラファートの日本訪問とIPTIL 第54章 日本に来たパレスチナ人――パレスチナ駐日代表アブドゥルハミードと日本 【コラム23】PLO東京事務所と日本 【コラム24】李香蘭とパレスチナ 【コラム25】「天よ、我に仕事を与えよ」――自己否定と弱者の政治=軍事再考 第55章 日本の経済支援――国際協調と地域安定への試み 第56章 日本の医療支援――パレスチナに根づいた支援 第57章 市民社会による支援――1万キロを越えての連帯とその課題 第58章 イスラエル・ボイコット運動――パレスチナにおける「アパルトヘイト」廃絶への挑戦 第59章 フェアトレード――生活の糧としての伝統工芸 第60章 日本のジャーナリズムとパレスチナ――エルサレム特派員が見たオスロ合意 【コラム26】戦前・戦中の日本とパレスチナ パレスチナを知るための文献・情報ガイド 前書きなど はじめに 私たちパレスチナ人は、どこにいようと、われらがパレスチナにいるわけではない。パレスチナは、もはや存在しないからだ。(エドワード・W・サイード『パレスチナとは何か』島弘之訳、岩波現代文庫、2005年、21頁) パレスチナという名の国家は、まだ存在していない。2015年末時点では136カ国がパレスチナを国家として承認している。国連加盟国の約70%である。21世紀に入ってパレスチナを国家として承認する国は少しずつ増えている。だが、アメリカ、イギリス、フランスといった国連常任理事国を構成する主要欧米諸国はいまだにそれを認めていない。もちろん、西欧でも一部の国の議会は当該政府がパレスチナを国家として承認するよう決議しているものの、まだまだ時間がかかりそうである。 1948年5月、パレスチナという地名は地図上から消えた。パレスチナ人たちは祖国喪失の体験を「ナクバ」と呼ぶ。カタストロフィ、大災難、大厄災など、さまざまな訳語が当てられる。ホロコーストに比べ、日本では辞書に載るほど一般的ではないが、英語圏の大辞典ではal-Nakbaとして掲載されており、OED(オックスフォード英語辞典)では「新イスラエル国家の誕生によって多くのパレスチナ人が故郷を追われた1948年の出来事をさすパレスチナ人の用語」と定義されている。 かつてパレスチナの地に住んでいたアラブ人は48年に離散して難民となって以来「パレスチナ」の名前を継承することになった。新たな「パレスチナ人」の誕生である。もちろん、イスラエル国の領域となった土地にもパレスチナ人がイスラエル市民として暮らしている。だとしても、そのようなパレスチナ人は、もう存在しないパレスチナに「居住している不在者(present absentee)」なのである。冒頭で引用したサイードは「パレスチナは、もはや存在しない」と明言した。1994年にガザとヨルダン川西岸地区の一部に「パレスチナ自治区」が成立したので、パレスチナはもはや地図上に存在しない〈場〉ではない。しかし、いまもって国家ではない「パレスチナ」というタイトルを冠した本を「エリア・スタディーズ」の一冊として出版するということは実に画期的なことである。 (…後略…) - 著者プロフィール - 臼杵 陽 (ウスキ アキラ) (編著) 日本女子大学文学部史学科教授。パレスチナ人との最初の出会いは1980年8月のレバノンのアイン・アル・ヘルワ難民キャンプ訪問時。以来、アンマーン2年半、エルサレム2年、そしてベイルート半年と長期滞在の機会を得た。パレスチナ/イスラエルに関する見方は『イスラエル』(岩波新書)、『世界史の中のパレスチナ問題』(講談社現代新書)を参照されたい。専門は中東現代史・中東地域研究。日本・イスラーム・ユダヤ関係史にも関心を持っている。 鈴木 啓之 (スズキ ヒロユキ) (編著) 日本学術振興会・特別研究員PD(日本女子大学)。中東地域研究、パレスチナ人の政治活動を専門とする。パレスチナとの最初の出会いはテレビで見たE・サイードとガザの人権弁護士ラジ・スラーニの討論。イラク戦争、第二次インティファーダを見ながら「敵と味方」の論理の不毛を知った。主な著作に「パレスチナ被占領地における政治活動の発展――キャンプ・デーヴィッド合意(1978年)と揺れ動く地域情勢」(『中東学会年報』30(1)、2014年)。 追記 【執筆者一覧】 板垣雄三(いたがき ゆうぞう) 1931年、東京生まれ。東京大学・東京経済大学各名誉教授。日本学術会議会員、アジア中東学会連合会長、日本イスラム協会理事長、など歴任。ユダヤ人問題とパレスチナ問題の連関、植民地主義の所産=イスラエル国家、など論及。『アラブの解放』(平凡社、1974年)、『石の叫びに耳を澄ます』(平凡社、1992年)、『復刻版〈パレスチナ問題を考える〉シンポジウムの記録』(第三書館、2012年)、など。 今井宏平(いまい こうへい) 日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員。現代トルコの外交を国際関係論の視点から考察している。とりわけ、トルコにおいて2002年から第一党の座を維持している公正発展党が進める西洋と中東を軸に展開する外交政策とその行動原理の解明に取り組んでいる。主な著作として、『中東秩序をめぐる現代トルコ外交』(ミネルヴァ書房、2015年)がある。 今井静(いまい しづか) 日本学術振興会特別研究員(PD)。中東地域研究、国際関係論、ヨルダン政治経済。主な著作に「ヨルダンの対イラク貿易と経済社会構造の変容――1970年代から80年代を中心に」(『日本中東学会年報』28(1)、2012年)、「ヨルダンにおけるシリア難民受入の展開――外交戦略としての国際レジームへの接近をめぐって」(『国際政治』178、2014年)。 今野泰三(いまの たいぞう) 日本国際ボランティアセンターパレスチナ事業現地代表、大阪市立大学院都市文化研究センター研究員。パレスチナ/イスラエル地域研究、中東政治学、政治地理学。主な著作に「ユダヤ人入植者のアイデンティティと死/死者の表象――ナラティブと墓石・記念碑の分析」(『日本中東学会年報』26(2)、2011年)、「宗教シオニズムの越境――ヨルダン川西岸地区の『混住入植地』を事例として」(『境界研究』5、2015年)、「政治・外交的視点からの脱却――実践主義的側面から見るオスロ和平プロセス」(今野泰三・鶴見太郎・武田祥英編『オスロ合意から20年――パレスチナ/イスラエルの変容と課題』NIHUイスラーム地域研究・東京大学拠点、2015年)。 岩浅紀久(いわあさ としひさ) 日本IBMおよびPhiips Co.勤務の後、ITエンジニアリング研究所を設立。JICAのパレスチナ中小企業支援プロジェクトの専門員として現地調査を実施。ジェリコに企業団地建設を提案し、建設途上にある。東京大学東洋文化研究所パレスチナ研究会メンバー。 臼杵陽(うすき あきら)※編著者プロフィールを参照。 臼杵悠(うすき はるか) 一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程在籍中。専門はヨルダンを中心とした中東社会経済研究。学部生のころ、日本国際ボランティアセンター(JVC)パレスチナ事業でのボランティア活動をきっかけに本格的にパレスチナに興味をもつ。現在、松下幸之助記念財団の留学助成によりパレスチナ系住民の多いヨルダンにて、統計局に所属しマイグレーションと経済の関係をテーマに2年の長期滞在中。 鵜戸 聡(うど さとし) 鹿児島大学法文学部准教授。アルジェリアやレバノンなどフランス語圏を中心に中東・北アフリカの文学を研究。日本の演劇祭でアラブ演劇の翻訳・解説などにも従事し、そのラディカルさにいつも圧倒されている。共著に『シリア・レバノンを知るための64章』(黒木英充編、明石書店、2013年)など。 宇野昌樹(うの まさき) 広島市立大学国際学部教授。文化人類学、中東地域研究。主な著作に「アラブの春とイスラエルの核」(高橋伸夫編『アジアの「核」と私たち――フクシマを見つめながら』東アジア研究所講座、慶應義塾大学東アジア研究所、2014年)、「あるレバノン家族から垣間見えるアラブの女性像」(福原裕二・吉村慎太郎編『現代アジアの女性たち――グローバル社会を生きる』新水社、2014年)、「世界に散らばるレバノン系・シリア系移民――グローバル化と移民、出稼ぎ労働者、難民のはざまで」(堀内正樹・西尾哲夫編『〈断〉と〈続〉の中東――非境界的世界を游ぐ』悠書館、2015年)。 江﨑智絵(えざき ちえ) 防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授。中東の国際関係・安全保障論、パレスチナ問題。主な著作に『イスラエル・パレスチナ和平交渉の政治過程分析――オスロ・プロセスの展開と挫折』(ミネルヴァ書房、2013年)、「紛争と危機管理政策――国際交渉学の観点から」(伊東孝之監修、広瀬佳一・湯浅剛編『平和構築のアプローチ――ユーラシア紛争研究の最前線』吉田書店、2013年)、「アラブ諸国の政治変動における軍と武装非国家主体の台頭」(『国際安全保障』43(3)、2015年)。 大伴史緒(おおとも しお) 筑波大学大学院人文社会科学研究科・博士課程。パレスチナ・イスラエルの経済。 大澤小枝(おおさわ さえ) UNICEFスーダン教育担当官(2016年3月現在)。ロンドン大学にて「中東の歴史・外交」と「教育計画」の分野で修士を取得。UNRWAやUNESCO、NGOでヨルダン、レバノン、ガザのパレスチナ難民の教育に10年以上関わる。将来的には再びパレスチナの子どもたちの教育に貢献したいと思っている。 川上泰徳(かわかみ やすのり) 中東ジャーナリスト。元朝日新聞中東特派員。1994年、カイロ特派員となり、パレスチナ自治の始まりを取材。2001~02年はエルサレム特派員として第2次インティファーダとイスラエル軍のヨルダン川大侵攻を取材。2015年、フリーランスになり、パレスチナ問題は主要テーマの一つ。主な著作に『中東の現場を歩く――激動20年の取材のディテール』(合同出版、2015年)、『イスラムを生きる人びと――伝統と「革命」のあいだで』(岩波書店、2012年)。 神﨑雄二(かんざき ゆうじ) 日本聖公会東京教区司祭。1974年にテルゼロールでの発掘に参加した。しかしユダヤ人農業学校に滞在していたのでパレスチナ側の視点をまるで欠き、何も現実が見えなかった。2002年に2か月間中東聖公会エルサレム教区の聖職・信徒に伴われ、パレスチナ・イスラエル各地の教会・施設を巡り、パレスチナ人の苦難を目の当たりにした。以来両教区間の相互訪問を繰り返している。 金城美幸(きんじょう みゆき) 日本学術振興会特別研究員RPD。パレスチナ/イスラエル史学。主な著書に「破壊されたパレスチナ人村落史の構築――対抗言説としてのオーラルヒストリー」(『日本中東学会年報』30(1)、2014年)。日本国籍をもつがそのルーツは東アジア全域に及ぶ。(父方祖父は日帝統治時代の朝鮮から、祖母は済州島4・3事件を逃れて渡来。日本軍医だった母方祖父は中国大陸で国民党幹部の捕虜となり、その娘だった祖母と結婚し、第二次国共内戦後の台湾脱出を経て渡来。)帝国主義・植民地主義、その後の境界画定による人々の追い立ての経験に強い関心がある。二児の母。 小池絢子(こいけ あやこ) 特定非営利活動法人WE21ジャパン民際協力室。フィリピンにおけるコミュニティ開発、ネットワークを通じた市民活動、アジア太平洋地域における国際関係。 小阪裕城(こさか ゆうき) 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程。長野県短期大学多文化コミュニケーション学科国際地域文化専攻助教。歴史学(国際史/20世紀アメリカ史)。主な著作に「アメリカ・ユダヤ人委員会とイスラエル――建国の余波のトランスナショナル・ヒストリー」(『歴史評論』792,2016年)、「黒人運動の『外交』――全米黒人向上協会(NAACP)、国際連合と冷戦」(足羽與志子・中野聡・吉田裕編『平和と和解――思想・経験・方法』旬報社、2015年)、「『ユダヤ人問題』の解を求めて――アメリカ・ユダヤ人委員会,国際人権とイスラエルの建国 1942~1948年」,(『国際政治』176、2014年)。 児玉恵美(こだま えみ) 日本女子大学文学研究科史学専攻博士課程前期。中東現代史、研究テーマは、レバノンの離散パレスチナ人による祖国解放運動(1969~1982年)において、難民キャンプの離散パレスチナ人が祖国帰還を願って、武装闘争に身を投じたプロセス。 小林和香子(こばやし わかこ) 日本国際ボランティアセンターエルサレム事務所、国連開発計画エルサレム事務所、国際協力機構パレスチナ事務所、外務省国際協力局などに勤務。中東和平、平和構築、国際協力。主な著作に,『ガザの八百屋は今日もからっぽ――封鎖と戦火の日々』(めこん、2009年)、「パレスチナ難民問題と解決の可能性の模索」(『現代の中東』48、2010年)、“International Court of Justice Advisory Opinion on the Wall and Its Influence on the Israel-Palestine Peace Process,”Journal of the Graduate School of Asia-Pacific Studies, No. 13 (2007.6) pp.219-240. 是恒香琳(これつね かりん) 日本女子大学文学研究科史学専攻博士課程前期。著書に『日本女子大学生の世の中ウォッチ』(パド・ウィメンズ・オフィス、2014年)。切り抜き情報誌『女性情報』(パド・ウィメンズ・オフィス)に連載中。元イスラエル兵士らにインタビューしたドキュメンタリー映画『沈黙を破る』(土井敏邦監督、2009年)をきっかけに、パレスチナ問題に関心を持っている。 近藤重人(こんどう しげと) 日本エネルギー経済研究所中東研究センター研究員。サウジアラビア、クウェートの政治・外交、中東現代史。主な著作に「サウディアラビアのパレスチナ政策とアメリカ――1945――1948年」(『法学政治学論究』101、2014年)。アラブ和平イニシアティブというサウジアラビアが力を入れている中東和平提案に関心がある。 澤口右樹(さわぐち ゆうき) 東京大学大学院総合文化研究科修士課程。イスラエル政治を読み解くことで、イスラエルがパレスチナなどの周辺国との間に抱える暴力の原因を明らかにすることが主な関心。とりわけ、イスラエル外交を研究対象としている。現在は、なぜイスラエル国内の紛争の犠牲者がより「他者」への態度、働きかけ、支持政策が強硬なものを好むのかをテーマとして研究中。 塩塚祐太(しおつか ゆうた) 対パレスチナ自治政府日本政府代表事務所(在ラーマッラー)元草の根人間の安全保障無償資金協力調整員(2012~2015年)。学生時に国際NGO日本国際ボランティアセンターでのインターンを通してパレスチナ支援に関わり、パレスチナ自治区ビールゼイト大学に8カ月間留学(2011年)。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。現地の人びとの視点から、パレスチナ/イスラエル問題における国際援助の構造や影響力について学ぶ。 清水雅子(しみず まさこ) 上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科特別研究員(PD)。中東現代政治。主な著作に「『変革と改革』としてのハマース――パレスチナにおける武装抵抗運動の選挙参加」(『日本中東学会年報』27(2)、2012年)、「パレスチナの政治変動は執政制度の役割にいかに影響したか――ハマース政権樹立から自治政府の分裂に至る政治過程(2006――2007年)を事例に」(『Aglos: Journal of Area-Based Global Studies』3、2012年)、「制度の意図せざる結果としてのハマース与党化」(今野泰三・武田祥英・鶴見太郎編『オスロ合意から20年――パレスチナ/イスラエルの変容と課題』人間文化研究機構「イスラーム地域研究」東京大学拠点パレスチナ班、2015年)。 菅瀬晶子(すがせ あきこ) 国立民族学博物館准教授。ガリラヤ地方やベツレヘム周辺のアラブ人キリスト教徒コミュニティや、アル・ハディルと呼ばれる聖者への崇敬について調査し続けている。修道院の料理人だった友人から学んだアラブ料理の腕と知識は、現地の人々にも負けないと自負。最近は20世紀前半、パレスチナ初の新聞『カルメル』の主筆として活躍したナジーブ・ナッサールに注目している。主な著作に『イスラームを知る6 新月の夜も十字架は輝く――中東のキリスト教徒』(山川出版社、2010年)、“The beginnings of a new coexistence: a case study of the veneration of the Prophet Elijah (Mar Ilyas) among Christians, Muslims and Jews in Haifa after 1948’in Rowe, Dyck and Zimmermann (eds.), Christians and the Middle East Conflict, pp.84-98. London and New York: Routledge.2014などがある 鈴木隆洋(すずき たかひろ) 何も時計台に翻る「竹本処分粉砕」の六文字に憧れて入学したわけではないが、気がつけば私は「咲いた咲いた赤白黄色どのヘルメット見てもキレイだな」という大学にいた。結局活動することも逮捕されることもなく学究の道へ入ってしまったわけだが、「倫理主義でも単なる知識の蓄積でもない研究」を志した理由はイラク戦争当時に覚えた葛藤にあるのだろう。主な翻訳にマンデラ『自由への容易な道はない』(峯陽一監訳、青土社)。龍谷大学短期大学部非常勤講師。 鈴木啓之(すずき ひろゆき)※編著者プロフィールを参照。 清田明宏(せいた あきひろ) 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)保健局長、世界保健機関特別代表(対UNRWA)。国際保健、公衆衛生、医療システム管理、結核対策。主な著作に『ガザ――戦争しか知らないこどもたち』(ポプラ社、2015年)、パレスチナ難民のいのちと健康:国連パレスチナ難民救済事業機関の地域ケア(保健福祉学)、“Governing the reform of the United Nations health systems for Palestine Refugees: Moving mountains,”Governing Health Systems For Nations and Communities Around The World. Edited by Michael Reich, Keizo Takemi. Harvard School of Public Health. Lamrey & Lee. 2015. 高岩伸任(たかいわ のぶただ) 一橋大学非常勤講師。中東社会経済史。 武田祥英(たけだ よしひで) 千葉大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程。委任統治終了までのイギリス政府の対中東政策と、イギリスにおけるユダヤ教徒の政府との関係が専門。ド・ブンセン委員会報告書(CAB27/1)が第一次世界大戦期の中東分割政策に与えた影響と報告書の歴史的再評価、および当時イギリスで主流派だった反シオニストのユダヤ教徒の外交活動について研究。 田浪亜央江(たなみ あおえ) 成蹊大学アジア太平洋研究センター主任研究員。中東地域研究、パレスチナ文化研究。主な著作に『対テロ戦争と現代世界』(共著、御茶の水書房、2006年)、『〈不在者〉たちのイスラエル――占領文化とパレスチナ』(インパクト出版会、2008年著)、『変わるイスラーム社会』(共著、明石書店、2016年)。 田村幸恵(たむら ゆきえ) 津田塾大学国際関係研究所研究員。歴史的な事象として名望家を中心とした青年団体およびイスラーム組織による経済・政治的な活動を含めた社会維持機能に関心を寄せ、遡ってオスマン帝国末期のパレスチナ研究の必要性を痛感。上記団体の貧困緩和に果たす役割があるのではと思案する。「ムスリム青年協会パレスチナ支部による労働組合の組織――1920年代後半からアラブ労働者統一会議まで」(『イスラーム世界』68、2007年)、「インタビュー調査から見るパレスチナのNGO――PNGOによる草の根団体活用と地方における活動」(『津田塾大学国際関係学科ワーキングペーパーシリーズ』6、2007年)、 「二つの帝国の間で――パレスチナにおける大戦の経験と支配の貫徹(仮)」(永原陽子編『植民地世界から見た第一次世界大戦』ミネルヴァ書房、2016年刊行予定)。 鶴見太郎(つるみ たろう) 東京大学大学院総合文化研究科准教授。社会学、ロシア・ユダヤ史・シオニズム史。主な著作に『ロシア・シオニズムの想像力――ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、「旧ソ連系移民とオスロ体制――イスラエルの変容か、強化か」今野泰三・鶴見太郎・武田祥英編『オスロ合意か20年――パレスチナ/イスラエルの変容と課題』NIHUイスラーム地域研究、2015年、“Jewish Liberal, Russian Conservative: Daniel Pasmanik between Zionism and the Anti-Bolshevik White Movement,”Jewish Social Studies 21(1), 2015. 土井敏邦(どい としくに) 1953年佐賀県生まれ。ジャーナリスト。1985年以降、パレスチナ・イスラエルを取材。主な著作に『占領と民衆――パレスチナ』(晩聲社、1988年)、『アメリカのユダヤ人』(岩波書店、1991年)、『アメリカのパレスチナ人』(すずさわ書店、1991年)、『「和平合意」とパレスチナ――イスラエルとの共存は可能か』(朝日新聞社、1995年)、『パレスチナの声、イスラエルの声――憎しみの“壁”は崩せるのか 現地ルポ』(岩波書店、2004年)、『沈黙を破る――元イスラエル軍将兵が語る“占領”』(岩波書店、2008年)、『ガザの悲劇は終わっていない――パレスチナ・イスラエル社会に残した傷痕』(岩波ブックレット、2009年)など。ドキュメンタリー映画『届かぬ声――パレスチナ・占領と生きる人びと』(全4部作、す4作が『沈黙を破る』2010年)、『ガザ攻撃 2014年夏』(2014年)、『ガザに生きる』(全5部作、2015年)など。 飛奈裕美(とびなひろみ) 京都大学学際融合教育研究推進センター・特定講師。パレスチナ・イスラエル地域研究。 長沢栄治(ながさわ えいじ) 東京大学東洋文化研究所教授、パレスチナ学生基金(ヨルダンの「ガザ難民」大学生に学費を支援)理事長。中東地域研究、近代エジプト社会経済史。主な著書に、『アラブ革命の遺産 エジプトのユダヤ系マルクス主義者とシオニズム』(平凡社、2012年)、『エジプト革命 アラブ世界変動の行方』(平凡社新書、2012年)、『エジプトの自画像 ナイルの思想と地域研究』(平凡社、2013年)。 長沢美沙子(ながさわ みさこ) 翻訳家。パレスチナ問題研究家。中東・パレスチナを中心とした情報誌の編集を経て、パレスチナ人の人権回復と共存と平和を求めるユダヤ人の発行する情報誌(I&P誌)等の日本の窓口として「I&Pフレンズ」代表などを務めた。音楽・美術を通じた中東世界と日本の文化交流の企画、中東・パレスチナ問題に係るシンポジウムや講演会等の企画やコーディネートを多数手がけるとともに、BDS運動にも関心を寄せている。 並木麻衣(なみき まい) 東京外国語大学外国語学部アラビア語専攻在学中の2006~2007年、ヨルダン川西岸地区ビールゼイト大学およびエルサレムのヘブライ大学に留学。アラビア語パレスチナ方言、ヘブライ語に加え、二つの視点からパレスチナ問題を学びながら、草の根の人々の切実な思いに触れる。2013年より、日本国際ボランティアセンターにてパレスチナ事業担当に就任。現地の人々の等身大と体温を日本に伝えたいと願いながら、双方の心が繋がる事業を目指して日々奮闘中。 南部真喜子(なんぶ まきこ) 東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程在籍中。近現代パレスチナ・イスラエル地域研究。イスラエルの占領に対する抵抗のなかで逮捕投獄されているパレスチナ政治囚人の問題について研究を進めている。現在はエルサレムに現地調査のため留学中。グラフィティやポスターなど日常の生活空間に民意や記憶、アイデンティティがいかに表出されているかにも関心を持ちながら過ごしている。 錦田愛子(にしきだ あいこ) 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授。主な著作に『ディアスポラのパレスチナ人――「故郷(ワタン)」とナショナル・アイデンティティ』(有信堂高文社、2010年)、『移民/難民のシティズンシップ』(編著、有信堂高文社、2016年)など。パレスチナ/イスラエル紛争の和平と難民問題への関心に始まり、ヨーロッパのアラブ系移民/難民についても共同研究を進めている。 服部修(はっとり おさむ) 2016年3月現在、エルサレム在住。パレスチナ難民を支援する国連機関に勤務し、日本・アジア諸国との渉外を担当。仕事や日常生活を通じ、ヨルダン川西岸地区やガザ地区を訪問。パレスチナの実生活を肌で感じ、難民キャンプではパレスチナ難民が直面する苦悩に胸が痛む。経験を通じて感じるパレスチナ問題の深さを如何にして多くの日本やアジアの方々に伝えられるか反芻している。 藤屋リカ(ふじや りか) 慶應義塾大学看護医療学部専任講師。NGO駐在員としてパレスチナ母子保健プロジェクトに7年間携わり、2002年に日本国際ボランティアセンター(JVC)パレスチナ緊急医療支援に参加。04年からJVCパレスチナ事業による子どもの栄養改善、保健、収入創出等を担当した。11年より現職。主な著作に「パレスチナ、誇りと希望を胸に」(JVC著『NGOの選択――グローバリゼーションと対テロ戦争の時代に』めこん、2005年)、“The influence of economic factors on the location of birth among Palestinian women in Bethlehem during the second Palestinian uprising,”Tropical Doctor 2007. 37 (1) 13-8. 古居みずえ(ふるい みずえ) アジアプレス・インターナショナル所属。JVJA会員。1988年よりイスラエル占領地を訪れ、パレスチナ人による抵抗運動・インティファーダを取材。パレスチナの人々、特に女性や子どもたちに焦点をあて、取材活動を続けている。映画『ガーダ パレスチナの詩』(2007年)、『ぼくたちは見た ガザ・サムニ家の子どもたち』(2011年)、『飯舘村の母ちゃんたち 土とともに』(2016年)を制作。主な著作に『インティファーダの女たち――パレスチナ被占領地を行く《増補版》』(彩流社)、『ガーダ 女たちのパレスチナ』(岩波書店)、『ぼくたちは見た――ガザ・サムニ家の子どもたち』(彩流社)、『パレスチナ――戦火の中の子どもたち』(岩波書店)、写真集『瓦礫の中の女たち』(岩波書店)。 細田和江(ほそだ かずえ) 中央大学政策文化総合研究所準研究員。イスラエル・パレスチナ文化。主な著作に,「犠牲と贖罪の芸術」(エルメス財団『シガリット・ランダウ展カタログ』2013年)、「イスラエルにおける少数派の文学言語――アラブ人作家アントン・シャンマースとサイイド・カシューアのヘブライ語選択」(『中央大学政策文化研究所年報』17、2014年)。 皆川万葉(みながわ まよ)[23] フェアトレード団体「パレスチナ・オリーブ」代表。1998年よりガリラヤ地方のオリーブオイル、ナーブルスのオリーブ石鹸、イドナ村女性組合の刺繍製品などを輸入、全国に販売。パレスチナのいいモノと一緒に人々の暮らしを伝えたい、という思いから通信『ぜいとぅーん』を発行。パレスチナの生産者団体や日本で購入している人々と一緒にオルタナティヴな経済・社会を作り、現状を変えていきたいと活動している。http://www.paleoli.org 村上大介(むらかみ だいすけ) 産経新聞論説副委員長。読売新聞記者として1990~91年の湾岸危機・戦争を取材。91~95年、初代エルサレム特派員として和平プロセスを取材。拓殖大学海外事情研究所客員研究員を経て97年9月、産経新聞社入社。99~2004年、06~10年、中東支局長(カイロ)。外信部長などを経て、現職。 役重善洋(やくしげ よしひろ) 大学非常勤講師。NGO「パレスチナの平和を考える会」事務局長。主な著作に『脱「国際協力」――開発と平和構築を超えて』(共著、新評論、2011年)、『終わりなき戦争に抗う――中東・イスラーム世界の平和を考える10章』(共著、新評論、2014年)、「内村鑑三の再臨運動におけるシオニズム論と植民地主義」(『人間・環境学』21、2012年)。 山縣良子(やまがた よしこ) 東京外国語大学卒業後、1984年~1987年ヨルダンに滞在する機会を得て、ヨルダン大学でアラビア語を学ぶ。滞在期間中SAMEDで働くライラ・ハーリディーさんに出会い、民族衣装に施されたパレスチナ刺繍を学ぶ。その後自らもモチーフを刺繍してパレスチナ刺繍の復元に努め、約200近くのモチーフをCD-ROM化している。現在は地域の独自性が生まれた社会的経済的要因や伝承などに関心を持つ。 山田しらべ(やまだ しらべ) パレスチナのフェアトレードNGO、Sunbula事務局長。97年よりカリフォルニア州のNGO団体Global Exchangeのスタディーツアーのコーディネーターとして定期的にパレスチナを訪れ始める。その後現地に移り住み、Alternative Information Centerなどの団体勤務を経て2005年より現職。ベツレヘムの難民女性によるオリーブ石鹸製造販売プロジェクト、アシーラ女性組合の設立メンバーでもある。コロンビア大学院国際関係学修士号取得。 山本薫(やまもと かおる) 東京外国語大学ほか非常勤講師。アラブ文学。主な著作に『現代パレスチナ文化の動態研究――生成と継承の現場から』(共著、科研費成果報告書、2015年)、“Writing the Civil War: Lebanese Writers' Perspectives on a Precarious Coexistence,” Human Mobility and Multiethnic Coexistence in Middle Eastern Urban Societies 1: Tehran, Aleppo, Istanbul, and Beirut, ed. by Hidemitsu Kuroki, ILCAA, 2015、エミール・ハビービー『悲楽観屋サイードの失踪にまつわる奇妙な出来事』(翻訳、作品社、2006年)。 山本健介(やまもと けんすけ) 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(五年一貫博士課程)。中東地域研究を専門とし、なかでもパレスチナ問題における宗教的要素に関心を持っている。現在は、エルサレムやヘブロンなど、複数の宗教的伝統が重複する聖地をめぐる競合に注目し、見逃されがちなパレスチナ人の抵抗に焦点を当て、聖地の問題に固有な要素の解明を試みている。 屋山久美子(ややま くみこ) ヘブライ大学人文学部博士課程(民族音楽学音楽専攻)修了。在学中よりパレスチナ人ウード奏者ハビーブ・ハンナ、ニザール・ロハナに師事。2004年エルサレムのシリア・アレッポ系ユダヤ人の宗教音楽に関する論文でPhD取得。ヘブライ大学アジア学科非常勤講師を務め、翻訳や通訳などに従事。20年来エルサレムを拠点に現在進行形のパレスチナ人たちの音楽文化を追い、北アフリカから中央アジア地域まで広がる「マカーム」による音楽を探求する。 吉年誠(よしとし まこと) 一橋大学社会学研究科助手。パレスチナ地域研究、国際社会学。 渡邊祥子(わたなべ しょうこ) 日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員。博士(学術)。アルジェリア、チュニジア、モロッコを中心とするマグリブ(西アラブ)地域の近現代史を研究。エジプト以東のマシュリク(東アラブ)地域とマグリブ地域の交流史、特に、パレスチナ問題に関するマグリブのイスラーム知識人やナショナリストの言説と活動に関心がある。 渡辺真帆(わたなべ まほ) 東京外国語大学外国語学部アラビア語専攻卒業(2016年3月)。在学中、ヨルダン川西岸地区ビールゼイト大学に1年間留学。ナーブルスとホロンで調査を行い、1948年以降のパレスチナ/イスラエル地域におけるサマリア人共同体の持続要因を研究した。パレスチナと日本の演劇人による共同創作やアラブ人アーティストの来日公演等で通訳・翻訳・字幕スタッフを務める。
-
悪魔のいる漫画史 | 後藤 護
¥2,750
blueprint 2023年 ソフトカバー 320ページ 四六判 縦188mm 横127mm 厚さ26mm - 内容紹介 - 『ゴシック・カルチャー入門』『黒人音楽史 奇想の宇宙』で注目を集めた気鋭の暗黒批評家・後藤護による三冊目の単著は、ゴシック、マニエリスム、悪魔をテーマに古今の漫画を縦横自在に読み解く漫画評論集。表紙には丸尾末広の描き下ろしイラストを掲載。 楳図かずお『神の左手悪魔の右手』、萩尾望都『ポーの一族』、山岸凉子『アラベスク』、古賀新一『エコエコアザラク』、日野日出志『蔵六の奇病』、丸尾末広『パノラマ島綺譚』、楠本まき『KISSxxxx』、アラン・ムーア『フロム・ヘル』、チャールズ・バーンズ『ブラック・ホール』、水木しげる『日本妖怪大全』、諸星大二郎『壺中天』、高橋葉介『夢幻紳士』、諫山創『進撃の巨人』、三浦建太郎『ベルセルク』、藤本タツキ『チェンソーマン』……著者が敬愛する澁澤龍彥の美学を通して、悪魔的漫画の系譜を紡ぎ出す。 目次 第1章 楳図かずおのゴシック・マンガ ーー「赤んぼう少女」から「まことちゃんハウス」まで 第2章 楳図かずおと恐怖のトートロジー ーー『神の左手悪魔の右手』における鏡・分身・反復 第3章 『ポーの一族』と「ロマンティックな天気」 ーー 疾風怒濤からロココ的蛇状曲線へ 第4章 『アラベスク』に秘められたグロテスクなデーモン ーー山岸凉子のバレエ・ゴシック【前篇】 第5章 乙女と奈落~『舞姫 テレプシコーラ』で『ヴィリ』を読む 山岸凉子のバレエ・ゴシック【後篇】 第6章 怪奇マンガの帝王、古賀新一の魅力再考 ーー澁澤龍彥が『エコエコアザラク』に与えた影響 第7章 日野日出志「蔵六の奇病」と虹色のデカダンス ーーユイスマンス『腐爛の華』から考える「腐れの美学」 第8章 丸尾末広と「独身者機械」 ーー初期エログロナンセンス作品から最高傑作『パノラマ島綺譚』まで 第9章 楠本まき『KISSxxxx』論 前篇 ーーキュアーで踊る、ハッピーゴスの誕生 第10章 楠本まき『KISSxxxx』論 後篇 ーー日常という名の「不思議の輪」 第11章 百科全書派ゴシックとしての『フロム・ヘル』 ーーパノラマ的視点の問題を突く 第12章 チャールズ・バーンズ『ブラック・ホール』とタラッサ的退行 ーーシアトル、グランジとの同時代的共振 第13章 「河童の斬られた片腕」の謎 ーー水木しげる『決定版 日本妖怪大全』 第14章 諸星大二郎の『壺中天』 ーー風格主義的漫画(ManneristicComics)試論 第15章 夢幻のカリガリスムとダンディズム ーー高橋葉介『夢幻紳士』を読む 第16章 水晶の官能、貝殻の記憶 ーー『進撃の巨人』における「小さな」もの 第17章 黒い脳髄、仮面のエロス、手の魔法 ーー三浦建太郎『ベルセルク』を読む 第18章 スプラッター資本主義と糞のカーニヴァル ーー『チェンソーマン』のダークエコロジカルな倫理 - 著者プロフィール - 後藤護 (ゴトウマモル) (著/文) 暗黒批評。『黒人音楽史 奇想の宇宙』(中央公論新社、2022年)で第1回音楽本大賞「個人賞」を受賞(渡邊未帆選)。その他の著書に『ゴシック・カルチャー入門』(Pヴァイン、2019年)。現在、ポリマス(博識)をテーマとする『博覧狂記の怪物誌』(晶文社、2024年刊行予定)、ダグラス・マッカーサーのサングラスの衝撃に始まる『戦後日本黒眼鏡サブカルチャー史』(版元、刊行年未定)の2冊を鋭意準備中。
-
風船ことはじめ | 松尾 龍之介
¥2,420
弦書房 2023年 ソフトカバー 320ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ18mm - 内容紹介 - 秋田県仙北市西木町上桧木内(かみひのきない)という内陸の地方に、「紙風船上げ」という幻想的な伝統行事が今も続いています。2月10日の雪深い日に行われますが、それぞれの紙風船は、大きさが縦10mを超えるものもある巨大なもので、なぜこの地にこのような奇祭が伝えられているのかを、文献と史実をもとに歴史を解き明かしたのが本書です。1783年、フランスで世界初の熱気球飛揚。1804年、長崎で日本初の熱気球飛揚をへて、1837年、オランダ通詞によって秋田へその知識と技術が伝えられるまでを描いた壮大な物語‼ 目次 Ⅰ 最初の気球飛揚 江戸の蘭学者・大槻玄沢 Ⅱ 「リュクトシキップ」 桂川家の人々 Ⅲ キリシタン国から来た漂着民 Ⅳ 和紙でつくられた熱気球 Ⅴ 紅毛読書達人・馬場佐十郎 Ⅵ 蝦夷のロシア人捕囚たち シャーロット号の再来 Ⅶ ヅーフ・ハルマ Ⅷ 国禁を破った葛飾北斎 Ⅸ シーボルト台風 流刑人・馬場為八郎 みちのくの熱気球 【付記】「風船上げ」と 「オランダばた」 ほか - 著者プロフィール - 松尾龍之介 (マツオ リュウノスケ) (著/文) 昭和21年、長崎市生まれ。昭和44年、北九州市立大学外国語学部卒。昭和46年上京。漫画家・杉浦幸雄に認められる。主に「漫画社」を中心に仕事をする。洋学史研究会会員。[主な著書]『漫画俳句入門』(池田書店)『江戸の世界聞見録』(蝸牛社)『なぜなぜ身近な自然の不思議』(河出書房新社 )『マンガNHKためしてガッテン―わが家の常識・非常識』(青春出版社)『マンガ版ママの小児科入門』(法研)『長崎蘭学の巨人 志筑忠雄とその時代』(弦書房)『長崎を識らずして江戸を語るなかれ』(平凡社)『江戸の〈長崎〉ものしり帖』『小笠原諸島をめぐる世界史』『幕末の奇跡―〈黒船〉を造ったサムライたち』『鎖国の地球儀―江戸の〈世界〉ものしり帖』『踏み絵とガリバー《鎖国日本をめぐるオランダとイギリス》』『絹と十字架《長崎開港から鎖国まで》 (以上、弦書房)
-
食卓の世界史|遠藤 雅司(音食紀行)
¥1,012
筑摩書房 2023年 ちくまプリマー新書 ソフトカバー 272ページ 新書判 - 内容紹介 - 地理的条件、調理技術、伝統、交易の盛衰、権力の在り方――。「料理」を通してみると、歴史はますます鮮やかに。興味深いエピソードと当時のレシピで案内する。 この一皿から歴史が見える! ◆古代メソポタミア野菜の使い方 ◆イタリアに麺をもたらしたのはマルコ・ポーロではない ◆アメリカで七面鳥が「特別な料理」になった理由 ◆フリードリヒ二世の「マスタード入りコーヒー」 ◆ハンバーガーの付け合わせはなぜフライドポテト? 地理的条件、調理技術、伝統、交易の盛衰―― 「料理」を通してみると、歴史はますます鮮やかになる。 古今東西の英雄から、時には庶民の食卓まで、 興味深いエピソードと歴史的なレシピで案内する。 === - 目次 - 1 ハンムラビ 古代メソポタミア野菜の「三本柱」 2 アレクサンドロス三世 食事は質素で大酒飲み 3 ネロ 絶滅危惧種最後の一本 4 楊貴妃 茘枝は幼少期の味 5 ハールーン・アッ=ラシード 食は市場にあり 6 バシレイオス一世 古代から中世へ 7 チンギス・ハン 「赤い食べ物」「白い食べ物」 8 マルコ・ポーロ 大旅行家が観察した食事情 9 コロンブス 近世の食卓へ 10 エルナン・コルテス 「コロンブス交換」の時代 11スレイマン一世 多様な遺産を継承するオスマン帝国 12カトリーヌ・ド・メディシス 「伝承」の真実 13ルイ一四世 洗練されたサーヴィスの確立 14フリードリヒ二世 コーヒーではなくビールを飲め! 15リンカーン 感謝祭とクレオール料理 16 コナン・ドイル 大英帝国のカレー 17 夏目漱石 一生にして三食を経る 18 マクドナルド兄弟 ファストフードの誕生 - 著者プロフィール - 遠藤 雅司(音食紀行) (エンドウ マサシ オンショクキコウ) (本文) 歴史料理研究家。2013年から世界各国の歴史上の料理と音楽を再現するプロジェクト「音食紀行」をスタートさせ、実食イベントやレストランとのコラボレーション、テレビ番組への料理提供などを行う。著書に『歴メシ! 』(柏書房)、『英雄たちの食卓』(宝島社)、『宮廷楽長サリエーリのお菓子な食卓』(春秋社)、『古代メソポタミア飯』(大和書房)、『食で読むヨーロッパ史2500年』(山川出版社)、『歴メシ! 決定版』(晶文社)がある。また、BS松竹東急(BS260ch)放送のドラマ『A Table!?歴史のレシピを作ってたべる?』(『歴メシ! 決定版』のドラマ化)の料理を監修。その他、漫画『Fate/Grand Order 英霊食聞録』(KADOKAWA)で食文化と料理を監修。明治の食育サイト「偉人の好物」にて監修を担当。
-
ガザに地下鉄が走る日|岡 真理
¥3,520
SOLD OUT
みすず書房 2018年 ハードカバー 312ページ 四六判 - 内容紹介 - イスラエル建国とパレスチナ人の難民化から70年。高い分離壁に囲まれたパレスチナ・ガザ地区は「現代の強制収容所」と言われる。そこで生きるとは、いかなることだろうか。 ガザが完全封鎖されてから10年以上が経つ。移動の自由はなく、物資は制限され、ミサイルが日常的に撃ち込まれ、数年おきに大規模な破壊と集団殺戮が繰り返される。そこで行なわれていることは、難民から、人間性をも剥奪しようとする暴力だ。 占領と戦うとは、この人間性の破壊、生きながらの死と戦うことだ。人間らしく生きる可能性をことごとく圧殺する暴力のなかで人間らしく生きること、それがパレスチナ人の根源的な抵抗となる。 それを教えてくれたのが、パレスチナの人びとだった。著者がパレスチナと関わりつづけて40年、絶望的な状況でなお人間的に生きる人びととの出会いを伝える。ガザに地下鉄が走る日まで、その日が少しでも早く訪れるように、私たちがすることは何だろうかと。 - 目次 - 第1章 砂漠の辺獄 第2章 太陽の男たち 第3章 ノーマンの骨 第4章 存在の耐えられない軽さ 第5章 ゲルニカ 第6章 蠅の日の記憶 第7章 闇の奥 第8章 パレスチナ人であるということ 第9章 ヘルウ・フィラスティーン? 第10章 パレスチナ人を生きる 第11章 魂の破壊に抗して 第12章 人間性の臨界 第13章 悲しい苺の実る土地 第14章 ガザに地下鉄が走る日 あとがき - 著者プロフィール - 岡真理 (オカマリ) (著/文) 1960年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門は現代アラブ文学、パレスチナ問題、第三世界フェミニズム思想。著書に『記憶/物語』(岩波書店)、『彼女の「正しい」名前とは何か』、『棗椰子の木陰で』(以上、青土社)、『アラブ、祈りとしての文学』、『ガザに地下鉄が走る日』(以上みすず書房)ほか。訳書にエドワード・サイード『イスラム報道 増補版』(共訳、みすず書房)、サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ』(共訳、青土社)、ターハル・ベン=ジェルーン『火によって』(以文社)、アーディラ・ライディ『シャヒード、100の命』(インパクト出版会)、サイード・アブデルワーヒド『ガザ通信』(青土社)ほか。2009年から平和を目指す朗読集団「国境なき朗読者たち」を主宰し、ガザをテーマとする朗読劇の上演活動を続ける。
-
ぼくの村は壁で囲まれた パレスチナに生きる子どもたち|高橋 真樹
¥1,650
現代書簡 2017年 ソフトカバー 200ページ 四六判 - 内容紹介 - 子どもたちの視点から伝える、パレスチナ問題の新しい入門書! 高橋和夫氏(国際政治学者)推薦! 「文章の中にパレスチナ人の声が響いている。記述からパレスチナの臭気が立ち上って来る。丁寧に取材し、脚で書いたような本である。入門書だが内容には妥協がない。しかも、わかりやすい。やっと本物の入門書が出た。」(高橋氏) 何世代にもわたり、故郷に帰れないパレスチナ難民。700キロにも及ぶ巨大な壁に囲まれ、軍隊に脅されて暮らす子どもたち……。パレスチナの子どもをめぐる状況は、日増しに悪化している。そんな中、新たに誕生した米国のトランプ政権は中東をさらに混迷させるのか? 占領とは何か?エルサレム問題とは?パレスチナで誕生した新しい非暴力ムーブメントとは? イスラエルによる占領が始まって50年、難民が発生して70年を迎える今こそ目を向けたい、中東はもちろん、世界情勢を知るための必読書!
-
クジラのまち 太地を語る 移民、ゴンドウ、南氷洋 | 赤嶺 淳
¥2,200
英明企画編集 2023年 ソフトカバー 352ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ19mm - 内容紹介 - 捕鯨問題はすでに「捕る/捕らない」、「食べる/食べない」という単純な二項対立を超えて、科学や政治、倫理など、多様な問題が複雑に絡まりあった“捕鯨問題群”を形成するに至っている。 本書では、漁師、ペンション経営者、海産物販売業者など、「クジラのまち・太地」を愛し、誇りとする8名の生活史の「聞き書き」を軸に、従来は語られてこなかった太地の姿を提示。 鯨食・捕鯨をめぐってすれ違うまなざしの交差点を探り、複数の視点で“捕鯨問題群”に向きあい、広くオープンに語りあう環境の構築をめざす一冊。 ◆目次 ●太地をひらく………赤嶺 淳 ■第Ⅰ部 太地を生きる ●1 南氷洋をおもう ①南氷洋、二五回出漁してるんですよ……網野俊哉さん ②大変な仕事やでぇ……濱田明也さん ③もう海しか知らないもん………小貝佳弘さん ●2 マッコウにあずかる ①足元は油まみれ……山下憲一さん ②あ~、腹ラーセンや……世古忠子さん ●3 太地をつなぐ ①舌は覚えているからね……久世滋子さん ②慣れ、慣れ、慣れ。……小畑美由紀さん ③なんでゴンドウしかいわんのか……由谷恭兵さん ■第Ⅱ部 太地を解く ●すれちがうまなざし──個人史とグローバルヒストリーの交差点で……赤嶺 淳 ●かくれた主役──ゴンドウと歩む太地の捕鯨文化……ジェイ・アラバスター ■第Ⅲ部 太地を訊く ●幾重もの共同と協働──太地町プロジェクトをふりかえって……辛 承理 ●太地にかかわる──あとがきにかえて………赤嶺 淳 - 版元から一言 - 『クジラのまち 太地を語る──移民、ゴンドウ、南氷洋』は、南氷洋での捕鯨の日々に思いをはせ、マッコウクジラが暮らしにもたらした恵みに感謝し、太地に誇りをもって、その歴史をつないで生きる8名の人びとの生活史を中心に、「クジラのまち・太地」についての語りと論考によって、捕鯨問題を解き・ひらく一冊です。 - 著者プロフィール - 赤嶺 淳 (アカミネ ジュン) (著/文 | 編集) 1967年大分県うまれ。一橋大学大学院社会学研究科教授。専門は食生活誌学、食生活史研究。人間による環境利用の歴史をあきらかにするため、水産物の生産から加工、消費までのサプライチェーンの発展過程に着目し、「食からみた社会」、「社会のなかの食」の変容過程をあとづけてきた。目下の関心は、マーガリンの主原料として20世紀初頭に創発した鯨油や大豆油、パーム油などの「油脂間競争」120年の絡まりあいの解明。おもな著作に『ナマコを歩く』(新泉社、2010年)、『鯨を生きる』(吉川弘文館、2017年)、「ノルウェーにおける沿岸小型捕鯨の歴史と変容」(『北海道立北方民族博物館紀要』29号、2020年)、「日本近代捕鯨史・序説」(『国立民族学博物館研究報告』47巻3号、2023年)など。
-
暗い時代の人々|森まゆみ
¥990
朝日新聞出版 2023年 朝日文庫 ソフトカバー 352ページ 文庫判 - 内容紹介 - 大正デモクラシーの終焉から戦争終結まで最も抑圧された暗い時代に「精神の自由」を掲げ、各々のやり方で、ぶれることなく毅然と生き抜いた人々──斎藤隆夫、山川菊栄、山本宣治ら、今こそ心に留めておきたい彼らの生き方に迫る。文庫解説は加藤陽子氏。
-
世界を変えた100の化石 新装版|ポール・D・テイラー, アーロン・オデア, 真鍋 真(監修), 的場 知之(翻訳)
¥1,980
エクスナレッジ 2022年 ソフトカバー 352ページ 四六変型判 縦180mm 横128mm 厚さ23mm - 内容紹介 - イギリス・大英自然史博物館で大人気を博した展覧会が 書籍になって日本上陸! 新たな情報と化石の和名表記を加た <よりわかりやすい新装版> 始祖鳥やティラノサウルスなど誰もが知る生物の化石だけでなく 光合成の痕跡、恐竜の卵、サメの糞、火山灰に埋もれた足跡など当時の状況を語る化石も網羅。 まだ知らなかった化石に出会える、至極の一冊。 地質年表、一部復元図付き。 目次 【掲載化石一例】 第1章:先カンブリア時代 [エイペックス・チャート] 最古の化石は生物か? [ストロマトライト] 大酸化事変が生んだ生命体 [中国・陡山沱の化石] 謎に満ちた胚etc. 第2章:古生代 [アノマロカリス] カンブリア爆発で生まれた「奇妙なエビ」 [ハルキゲニア] 陸に上がり、生き延びたムシ [キンクタン] 初期の棘皮動物 [オルソケラス] オルドビス紀の捕食者の王 [ウミユリとプラティセラス類] 2億年続いた共生関係 [プテリゴトゥス] 巨大かつ獰猛な古代サソリ [クックソニア] 地上を征服した植物 [ケファラスピス] あごのない魚 [コムラ] 天敵を避ける棘とげだらけの三葉虫 [レピドデンドロン] 森が生んだ燃料 [ヘリコプリオン] 渦を巻く歯は、進化も奇抜? [ディメトロドン] セックスアピールか、ソーラーパネルか? [ウミツボミ] 史上最大の大量絶滅 etc. 第3章:中生代 [三畳紀の微小巻貝] 小さいことはいいこと? [キノドン類] 爬虫類から哺乳類へ [メガゾストロドン] 大物のデビューは前途多難 [ムカシトカゲ] 安住の地で今も生息 [グリファエア] 泥に埋まって生きた「悪魔の足の爪」 [プロミクロケラス] 大量死したアンモナイト [首長竜] ネッシーは実在したか? [ネオソレノポラ] 色を残した藻類 [始祖鳥] 鳥類の誕生 [トンボ] 巨大化した昆虫たち [ランフォリンクス] 最初の空飛ぶ脊椎動物、翼竜 [イグアノドン] 「恐竜」と名付けられた生物の歯 [クモ] 琥珀の中のクモと糸と獲物 [アラウカリア] 進化の天才? モンキーパズルの大木 [孔子鳥] 性選択で美しく進化した鳥 [白亜層のカイメン] 微粒子を濾し取る海底ポンプ [ティロキダリス] 軍拡競争の歩みが見えるウニの棘 [トロオドンの巣] 高度な子育ての痕跡 [エドモントサウルス] 極地の冬も生き延びた恐竜 [初期のプラントオパール] 恐竜が食したイネ科植物 [ティラノサウルス・レックス] 伝説の王 [ベレムナイト] K/Pg境界の大量絶滅 [有孔虫] 小さく単純なサバイバー etc. 第4章:新生代 [サメの歯] 化石の由来を示す「癒しの石」 [オニコニクテリス] 空に進出した哺乳類 [オフィオコルディケプス] ゾンビと化したアリの咬み跡 [貨幣石] ピラミッドに残る単細胞生物 [トロフォン] ダーウィンの巻貝 [バシロサウルス] 「トカゲの王」はクジラだった [ゴキブリ] 琥珀の中の止まった時間 [エジプトピテクス] 霊長類の起源 [チャネヤ] 花を咲かせる植物の誕生 [メトララブドトス] 断続平衡論を支持する外肛動物 [プロコンスル] 類人猿に近いか、ヒトに近いか [ディスコグロッスス] 独特の姿に進化したカエル [サメのコプロライト] 螺旋型の糞の化石 [サカマキエゾボラ] 圧倒的に少ない左巻きの貝 [巨大ウォンバット] アボリジニに伝わる怪物_バニップ [グリプトドン] アメリカ大陸間大交差も生き延びた哺乳類 [ラエトリの足跡] 350万年前の灰のなかの3人 [メノルカの小型ヤギ] 島嶼矮小化で生き延びた動物 [ステップマンモス] ヒトと共存したマンモス [ジャイアントモア] 植物に生きた証を遺した鳥 [アクロポラ・ケルヴィコルニス] 絶滅寸前のシカツノサンゴ [ステラーカイギュウ] 虐殺された海の巨獣 [ホモ・ハイデルベルゲンシス] 私たちにいちばん近い祖先? etc.
-
測る世界史 「世界の基準」となった7つの単位の物語 | ピエロ・マルティン, 川島 蓮(翻訳)
¥2,420
朝日新聞出版 2023年 ソフトカバー 288ページ 四六判 - 内容紹介 - 世界史は、測ることから始まった──人類の6000年にわたる試行錯誤、天才科学者たちによる世紀の大発見を、物理学の世界的権威が余すところなく解説。メートルやキログラムなど、文明の繁栄を支える「7つの単位」の秘密に迫る。
-
火の賜物 【新装版】 ヒトは料理で進化した | リチャード・ランガム, 依田卓巳(翻訳)
¥3,080
NTT出版 2023年 ハードカバー 272ページ 四六判 - 内容紹介 - 生命の長い歴史のなかで、われわれは、いかにして人間となったのか? 「火」と「料理」こそがヒトの脳を大きくさせ、ホモ・サピエンスの出現をうながした! 料理という日常の営為と人類の起源と進化を鮮やかに結びつけた文明史の傑作。われわれは料理をするときに、もはや人類の祖先に思いを馳せずにはいられない。 - 目次 - はじめに 料理の仮説 第1章 生食主義者の研究 第2章 料理と体 第3章 料理のエネルギー理論 第4章 料理の始まり 第5章 脳によい食物 第6章 料理はいかに人を解放するか 第7章 料理と結婚 第8章 料理と旅 おわりに 料理と知識 - 著者プロフィール - リチャード・ランガム (リチャードランガム) (著/文) 1948 年生まれ。ハーバード大学生物人類学教授。専門は霊長類の行動生態学。国際霊長類学会名誉会長。ピーボディ博物館霊長類行動生物学主幹、ウガンダのキバレ・チンパンジー・プロジェクト理事をつとめるほか、アメリカ芸術科学アカデミーおよび英国学士院(British Academy)フェローでもある。その功績を称えて、英国王立人類学協会からリバーズ記念賞を贈られた。著書に『善と悪のパラドックス』(NTT出版)、『男の凶暴性はどこからきたか』(デイル・ピーターソンとの共著、三田出版会)など。 依田卓巳 (ヨダタクミ) (翻訳) 翻訳家。訳書にランガム『火の賜物』『善と悪のパラドックス』をはじめ、ウェイド『宗教を生みだす本能』、ブラウン他『使える脳の鍛え方』、スティクスラッド他『セルフドリブン・チャイルド』(以上、NTT 出版)、ジョーンズ『チャヴ』『エスタブリッシュメント』(以上、海と月社)、ケープルズ『ザ・コピーライティング』(ダイヤモンド社)、ボーゲルスタイン『アップルvs. グーグル』(新潮社)など多数。