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戦争と芸術の「境界」で語りをひらく 有田・大村・朝鮮と脱植民地化 | 山口祐香(著), チョン・ユギョン/Jong YuGyong(著)
¥2,200
木立の文庫 2025年 ソフトカバー 192ページ 四六変形判 縦168mm 横123mm 厚さ13mm - 内容紹介 - 陶製手榴弾を模した架空の焼き物「大村焼」が刻む歴史と表現――。 若手研究者と現代美術作家による対話、論考、エッセイ、そして抵抗のアート。自由を奪われた人々について言葉を交わし、社会とつながり、考え続けるためのたしかな試み。 有田焼がうまれた400年前から現在まで繰り返された戦争と移動、排外主義を考えるために、さまざまな歴史課題を問い直しながら、差別と忘却に抗う言葉を記録する。 - 目次 - [まえがき]「場違い」な私たち――朝鮮と日本をめぐる境界の歴史 チョン・ユギョン 第1章 「大村収容所」から「大村焼」まで 山口祐香 第2章 〈大村焼〉シリーズ/ドットシリーズ/KKWANG!シリーズ 作品解説 チョン・ユギョン 第3章 [対談]ローカルからとらえなおす「戦争と芸術」 第4章 B面の日韓越境史 山口祐香 第5章 [対談]「境界線」でぶつかる音を表現し、語る 第6章 牛歩と遊歩──制度のはざまを歩く チョン・ユギョン 第7章 「故郷」をつくる――有田・人とうつわの400年史 山口祐香 本書のテーマをもっと考えるためのBOOK GUIDE 主要参考文献 初出一覧 - 版元から一言 - この国が引き起こした植民地支配や戦争と地続きの排外主義や差別をそれぞれが語り、怒りを共有し、あきらめないためにぜひ読んでいただきたい1冊です。 - 著者プロフィール - 山口祐香 (ヤマグチ ユカ) (著) 1993年佐賀県生まれ。九州大学韓国研究センター助教。2021年九州大学大学院地球社会統合科学府博士課程修了、博士(学術)。日本学術振興会特別研究員、ソウル大学日本研究所客員研究員、神戸大学国際協力研究科特命助教などを経て、現職。 専門は、戦後日韓関係史、在日コリアン史、市民運動史。最近は現代日韓におけるアートと多文化共生にも関心を広げている。主著として、『「発見」された朝鮮通信使―在日朝鮮人歴史家・辛基秀の歴史実践と戦後日本』(単著、法律文化社、2024年)など。 チョン・ユギョン/Jong YuGyong (チョン ユギョン) (著) 1991年兵庫県生まれ、福岡県在住。2014年に朝鮮大学校美術科を卒業。 2017年からソウルを拠点に作家活動を続けていたが、韓国の兵役法の改正により徴兵対象となったため、2020年末に日本へ帰国。作品では、朝鮮人の「移動」の歴史を検証し、恣意的に引かれる「境界線」や、戦争と文化との関係に問いを投げかけており、近年は有田焼や大村収容所の歴史を調査しながら作品を発表している。 公式WEBサイト:jongyugyong.com
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変わり者たちの秘密基地 国立民族学博物館 | 樫永真佐夫(監修), ミンパクチャン(著)
¥2,200
CEメディアハウス 2025年 ソフトカバー352ページ 四六変型判 縦187mm 横132mm 厚さ23mm - 内容紹介 - 圧倒的ブツ量(34万7000点)! 果てしなく続く本館展示(全長5キロ)! 各界の著名人たちを惹きつけ、 広報誌には秋篠宮殿下が寄稿!? 太陽の塔の背後にあるモダン建築 それが民族学と文化人類学の聖地 国立民族学博物館(通称「民博」だ!) ーー展示の舞台裏と クセ強な研究者たちの日常に迫る 世界最大級のコレクション数をほこる民族学と文化人類学の聖地は、大阪吹田市の万博記念公園にある。黒川紀章による初期の代表建築。特撮ものの悪の秘密組織としてロケ地に使いたいというオファーもあったとか。 民博には、自分の目で確かめないと実感できないカオスが広がっている。 おびただしい数の仮面、民族衣装、儀礼のための怪しげな道具、世界のパンから、墓標まで……「なぜこれを持ってきた?」と言いたくなる不思議な資料の数々を、剥き出しで展示している。 民博は世界を見つめる異世界だ。 にもかかわらず、民博には学芸員がいない。なぜ? 展示の背景には人がいる。 世界中から膨大な資料を集めてきたのは いったい何者なのか? 民博は普通の博物館ではない。博物館という名の研究所で大学院機能も併せ持つ。だから勤務するのは学芸員ではなく研究者ということになる。 物ではなく、人。 民博の人たちにフォーカスする。 国立民族学博物館教授で広報誌『月刊みんぱく』の編集長を務める樫永真佐夫教授をガイド役に、民博の舞台裏に迫る。ありそうでなかったノンフィクション。 【登場人物】 ◎樫永真佐夫教授:本書の案内人。ベトナムの黒タイ族 ◎島村一平教授:モンゴルのシャーマン、ヒップホップ ◎広瀬浩二郎教授:触文化、日本の琵琶法師や瞽女 ◎河西瑛里子助教:イギリスのペイガニズム、魔女 ◎山中由里子教授:比較文学比較文化、驚異と怪異 ◎川瀬慈教授:エチオピアの吟遊詩人 ◎鈴木英明准教授:インド洋の奴隷や物の交易 ◎末森薫准教授:保存科学、敦煌莫高窟 【目次】 第1章 YOUはどうして研究を? 第2章 そんなこんなで秘密基地 第3章 博士たちの異常な愛情 第4章 歩行距離5キロの本館展示 第5章 33万点超のブツを守り抜く砦、収蔵庫 第6章 マニアックな企画展と特別展 第7章 民博と研究者が伝えていくこと 監修者解説 バラバラの目標、たまたまの出会い - 著者プロフィール - 樫永真佐夫 (カシナガマサオ) (監修) 国立民族学博物館教授/文化人類学者 1971年兵庫県生まれ。2001年東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。博士(学術)。2010年、第6回日本学術振興会賞受賞。著書に『道を歩けば、神話 ベトナム・ラオス つながりの民族誌』『殴り合いの文化史』(左右社)他多数。2023年より『月刊みんぱく』編集長。ボクシング、釣り、イラスト、料理など、いろいろする変人二十面相。 ミンパクチャン (ミンパクチャン) (著) ルポライター 市井の国立民族学博物館ファン。
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南方熊楠の神社合祀反対運動 自然をいかに捉えたか|橋爪 博幸
¥4,400
慶應義塾大学出版会 2025年 ハードカバー 368ページ 四六判 縦194mm 横135mm 厚さ27mm - 内容紹介 - 森羅万象すなわち曼陀羅 熊楠はなぜ、神社合祀に抗ったのか――。 粘菌の採集から、大日如来が関係する宇宙まで、 熊楠の知と信が融合する、壮大な思想的軌跡。 明治後期、国家神道を基盤に進められた神社合祀政策。 その時、熊楠はなぜ社叢と祭祀の喪失に激しく抗したのか――。 熊楠の神社合祀反対運動は、たんなる自然保護活動ではなかった。 その抵抗の背後にあったのは、森羅万象を曼陀羅と捉える熊楠独自の世界観だった。 神社合祀反対運動の全容をあきらかにし、 西洋科学と真言密教、神智学を融合させた熊楠の思想の核心に迫る。 - 目次 - はじめに 序 章 南方熊楠の生涯――神社合祀反対運動とは何だったのか 第1章 明治後期の神社政策――なぜ神社合祀が推進されたのか 第2章 糸田の猿神社とり潰し事件――反対運動の動機は何だったのか 第3章 磯間の猿神社と神楽神社の合祀計画――いまだ見ぬ埋蔵品、古代人の証し 第4章 西ノ谷村における神社合祀への抗議――神社のある風景、神社からの眺望 第5章 神島の保護運動――「自然保護園」としての神島 第6章 寺田寅彦と南方熊楠――科学と神秘思想 第7章 ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキーと南方熊楠の宇宙図 第8章 クモの巣をヒントに描かれた条理図 第9章 森林生態系の保全を訴える熊楠の思想 結 論 熊楠は自然をいかに捉えたか――「一者」から「分節」された世界 註 あとがき 初出一覧 索 引 - 著者プロフィール - 橋爪博幸 (ハシヅメヒロユキ) (著) 1970年、群馬県生まれ。桐生大学短期大学部アート・デザイン学科教授。 人間・環境学博士(京都大学)。南方熊楠研究会の機関誌『熊楠研究』編集委員。 著書に『南方熊楠と「事の学」』(鳥影社、2005年)、論文に「大正時代における『耳塚』論争――南方熊楠、柳田國男、寺石正路、三者のやりとりを中心に」(The Journal for the Study of Humans and Cultures、No.16、韓国・東義大学校、2010年)、「『一者なる者』との邂逅――マイスター・エックハルトの説教と南方熊楠の土宜法龍宛て書簡にみられる類似事項に関する考察」(『熊楠研究』第17号、南方熊楠研究会編、2023年)などがある。
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渦巻の芸術人類学 死と再生のスパイラル ケルト・縄文から現代アニメまで|鶴岡 真弓
¥4,840
青土社 2025年 ハードカバー 464ページ 四六判 - 内容紹介 - ケルトの生命循環と人類の祈り 受難を乗り越え、光となって、強靭に旋回する渦巻――。私たち人類は「死からの再生」と吉祥を願い、渦巻文様を土偶・金工・聖書写本・建築・アニメまでに刻み続けてきた。「生命循環」の象徴としての「スパイラル」に秘められた祈りと創造力。その根源を探求する画期的考察。図版多数。 いにしえの人々も、現代人も変わらない宿命がある。 私たちは人類史の大河をゆく「生身(なまみ)」の一滴であるということだ。 異質な文化文明や存在同士の交流からこそ新たな生命力が渦巻く。 (本書 あとがきに代えて より) - 著者プロフィール - 鶴岡真弓 (ツルオカマユミ) (著) 多摩美術大学名誉教授・芸術人類学者。専門はケルト文化、ユーロ=アジア文明交流史。早稲田大学大学院修了後、アイルランド・ダブリン大学留学。処女作『ケルト/装飾的思考』(筑摩書房)でわが国に於けるケルト文化文明研究の先駆となる。主著に『装飾する魂』『ケルトの魂』(平凡社)、『ケルトの歴史』(共著・河出書房新社)、『阿修羅のジュエリー』(イースト・プレス)、『すぐわかるヨーロッパの装飾文様』(東京美術)、『芸術人類学講義』(編著・ちくま新書)、『ケルトの想像力』(青土社)、『ケルト 再生の思想』(ちくま新書・河合隼雄学芸賞)ほか多数。
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男性のいない美術史 女性芸術家たちが描くもうひとつの物語|ケイティ・ヘッセル(著), 鮫島圭代(訳)
¥7,480
パイ インターナショナル 2025年 ハードカバー 512ページ B5変型判 縦240mm 横161mm - 内容紹介 - あなたは女性芸術家を何人知っていますか? これまで「男性中心」だった美術史の影に隠され、評価されてこなかった女性芸術家たちに焦点を当て、ルネサンスから現代まで、300点を超えるカラー作品とともに、語られることのなかった芸術の物語を紐解いていきます。ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー。ウォーターストーンズ・ブック・オブ・ザ・イヤー2022受賞。 ※本書のタイトルは、男性の芸術家中心で構成される従来の美術史書で欠けていた部分を補完したいという原作者の意図を尊重し、原題「THE STORY OF ART WITHOUT MEN」を直訳表記しています。 【掲載アーティスト例(順不同)】 葛飾応為 / ルース・アサワ / 田中敦子 / 石内都 / 草間彌生 / オノ・ヨーコ / ヒルマ・アフ・クリント / ベルト・モリゾ / メアリー・カサット / マリー・ローランサン / タマラ・ド・レンピッカ / リー・ミラー / フリーダ・カーロ / ジョージア・オキーフ / ジョアン・ミッチェル / ポーリン・ボティ / フェイス・リンゴールド / ニキ・ド・サンファル / ルイーズ・ブルジョワ / ジュディ・シカゴ / ゲリラ・ガールズ / バーバラ・クルーガー / シンディ・シャーマン / ナン・ゴールディン / ピピロッティ・リスト / ソニア・ドローネー / アニ・アルバース / メレット・オッペンハイム / エヴァ・ヘス / マリーナ・アブラモヴィッチ / エミリー・カーマ・イングワリィ / シリン・ネシャット / マルレーネ・デュマス / トレイシー・エミン / カラ・ウォーカー 全250人以上掲載 - 著者プロフィール - ケイティ・ヘッセル (ケイティヘッセル) (著) イギリスの美術史家、配信者、キュレーター。女性アーティストたちの活躍を賞賛するインスタグラム@thegreatwomenartistsや同名のポッドキャストを運営。2021年にはフォーブス誌にて「30歳未満の30人」に選出。
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日本万博全史 | 夫馬 信一
¥3,850
左右社 2025年 ソフトカバー 350ページ A5判 - 内容紹介 - 人は〈万博〉に、どんな夢を見るか 「ビッグイベント=発展の原動力」というモデルが、いかにしてレガシーを築き、そして時代が変わった令和においても信奉されるに至ったのか── 開催目前で挫折した1940年万博計画から、令和の大阪関西万博まで。 日本人と〈万博〉のカオスな100年史。 ▼TOPICS ◉誰よりも早く万博を夢見た、佐賀藩の佐野常民 ◉「後藤新平」が奔走した、知られざる「神奈川万博」 ◉日中戦争目前に挫折した、1940年の「幻の万博」 ◉1970年ガスパビリオン「クレージーキャッツ映画」の全貌 ◉大阪万博「カンボジア館」と本国が辿った数奇な運命 ◉バブル期到来。再開発と連動した地方博覧会ブーム ◉東京~大阪関西をまたいだ「空とぶクルマ」計画 大量の発掘資料と貴重な画像約300点で蘇る、 追憶と興奮のメモワール。
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「九月」を生きた人びと 朝鮮人虐殺の「百年」 | 加藤 直樹
¥1,980
ころから 2025年 ソフトカバー 202ページ A5変形 - 内容紹介 - 関東大震災時の朝鮮人虐殺の関連書『九月、東京の路上で』『TRICK 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』(ともに、ころから)で知られる、加藤直樹さんの新著。 1923年の大震災発生前の東アジア状況から虐殺事件50周年に建立された追悼碑のいきさつ、そしてヘイトデモの勃興と抵抗まで、広い意味での「九月」を生きる人びとを点描する一冊。 - 目次 - はじめに 過ぎ去らない「百年」 セクション1 朝鮮人虐殺の「百年」 朝鮮人虐殺と「杉並」の百年 追悼するということ セクション2 「九月」を生きた人びと パルチザンの幻影 "JAPANESE ONLY"と姜大興さんの墓 義烈団・金祉燮が差し出した手 映画『金子文子と朴烈』が描く虚実の妙 「自由な街」で育って― 私の大久保 大久保― レイシスト集団を包囲する人々 中国人虐殺を生き延びた青年 セクション3 「嫌韓」と虐殺否定論に抗して 「嫌韓」の歴史的起源を探る ラムザイヤー教授の「朝鮮人虐殺」論文を読む おわりに 「私たち」の百年を記憶する - 前書きなど - 当時の東京には、デパートや映画館があった。 すし詰めの路面電車に揺られて通勤するサラリーマンたちもいた。 彼らは「週刊朝日」「サンデー毎日」などの週刊誌や新聞を読んでいた。夕方に家路につけば、家々には電気の明かりがともっていたーー 朝鮮人虐殺は、そんな私たちとさして違わない暮らしのなかで行われた。 そして、そのトラウマを生きた人びとの記憶が消え去るには、百年は短すぎる。(本書「はじめに」より) - 著者プロフィール - 加藤 直樹 (カトウ ナオキ) (著) 1967年東京都生まれ。フリーランスのライター、エディター。著書に『九月、東京の路上で 1923関東大震災ジェノサイドの残響』(ころから)、『TRICK 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』(ころから)、『謀叛の児 宮崎滔天の「世界革命」』(河出書房新社)、『ウクライナ侵略を考える』(あけび書房)など。訳書に『沸点 ソウル・オン・ザ・ストリート』(チェ・ギュソク作、ころから)がある。
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「ナガサキ」を生きる 原爆と向き合う人生 | 高瀬 毅
¥2,200
亜紀書房 2025年 ソフトカバー 276ページ 四六判 縦188mm 横130mm 厚さ20mm - 内容紹介 - 《歴史》になったナガサキを《記憶》に引き戻すこと。 それは《新しい戦前》の時代に求められる倫理だ。 ──白井聡(政治学者) ********** 1945年8月9日、6日の広島に続き長崎に原子爆弾が投下された。 その影響は計り知れなく、80年経った今もなお苦しむ人たちがいる。 長崎出身の被爆二世である著者は、1000人以上の被爆者の声を記録したジャーナリスト伊藤明彦の仕事に導かれながら、自らも原爆の取材に邁進してきた。 ──なぜ、神の聖地「ナガサキ」に原爆は落とされたのか? 被爆者や関係者への取材、日米の膨大な資料をとおして〝人類史上最大の悲劇〟の核心に迫っていく。 ********** ●なぜ、投下目標地が小倉から長崎に変更されたのか? ●なぜ、短期間に2発もの原爆が投下されたのか? ●米国はどのような計画で原爆を落としたのか? 【原爆投下のプロセスの解明に挑む本格ノンフィクション】 - 目次 - 第1章 原爆の記録に人生を賭ける 第2章 「長崎小空襲」の謎 第3章 「小倉原爆」 第4章 小倉上空の謎 第5章 長崎上空の謎 第6章 「被爆太郎」の造形とこれから 第7章 原爆正当化論と次の「核使用」 終章 あとがきにかえて - 著者プロフィール - 高瀬 毅 (タカセ ツヨシ) (著) 1955年長崎市生まれ。ノンフィクション作家。戦争、原爆、人物や都市論を主なテーマとする。1978年、明治大学政治経済学部卒業後ニッポン放送入社。報道記者、ディレクターとして活躍。ラジオドキュメンタリー「通り魔の恐怖」で日本民間放送連盟賞最優秀賞。1989年からフリー。テレビ、ラジオでコメンテーター、キャスターなどを務め、雑誌「AERA」では人物ドキュメンタリーを30年近く担当。40人の著名人を描いてきた。2009年、『ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」』で平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞。現在、YouTubeニュース解説チャンネル「デモクラシータイムス」でキャスター。同チャンネルで政治学者白井聡氏と対論する「ニッポンの正体」を書籍化した『ニッポンの正体』(河出書房新社)のシリーズ第3弾が25年2月に刊行された。同5月には『今里廣記』(長崎文献社)も刊行された。その他著書多数。
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南京事件 新版 | 笠原 十九司
¥1,232
岩波書店 2025年 岩波新書 ソフトカバー 300ページ 新書判 縦173mm 横107mm 厚さ12mm - 内容紹介 - 1937年、日本軍は中国での戦線を拡大し、戦争の泥沼に突き進んだ。その一大汚点としての南京事件。殺戮・略奪・強姦の蛮行はいかなるプロセスで生じ、推移し、どんな結果を招いたのか。日中全面戦争にいたる過程、虐殺の被害の実相、推定死者数等を旧版より精緻に明らかにし、事件の全貌を多角的に浮かび上がらせる増補決定版。 - 目次 - 新版に寄せて 序 二つの裁判で裁かれた南京事件 Ⅰ 日中全面戦争へ Ⅱ 海軍航空隊の戦略爆撃 Ⅲ 中支那方面軍、独断専行で南京へ Ⅳ 近郊農村から始まった虐殺 Ⅴ 南京占領――徹底した包囲殲滅戦 Ⅵ 陸海両軍による「残敵掃蕩」 Ⅶ 入城式のための大殺戮 Ⅷ 陸の孤島での犯罪と抵抗 Ⅸ 南京事件の全体像――犠牲者総数を推定する 結びにかえて――いま問われているのは何か 主な参考・引用文献 - 著者プロフィール - 笠原 十九司 (カサハラ トクシ) (著) 1944年群馬県に生まれる 東京教育大学大学院修士課程文学研究科中退。 学術博士(東京大学) 専攻―中国近現代史 現在―都留文科大学名誉教授 著書―『アジアの中の日本軍』(大月書店) 『南京難民区の百日』(岩波現代文庫) 『日中全面戦争と海軍』(青木書店) 『南京事件と三光作戦』(大月書店) 『増補 南京事件論争史』(平凡社ライブラリー) 『日本軍の治安戦』(岩波現代文庫) 『海軍の日中戦争』(平凡社) 『日中戦争全史』上・下(高文研)ほか
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「あの戦争」は何だったのか | 辻田 真佐憲
¥1,155
SOLD OUT
講談社 2025年 講談社新書 ソフトカバー 288ページ 新書判 - 内容紹介 - 日本はどこで間違えたのか? 掲げた理想はすべて誤りだったのか? 「大東亜」は日本をどう見ていたか? 戦後80年、今こそ問い直す「私たちにとっての戦争」とは。 『「戦前」の正体』の著者が、右でも左でもない「われわれの物語」を編みなおす 現代人のための新・日本近現代史! 「日本の過ちばかりを糾弾することでも、日本の過去を無条件に称賛することでもない。過ちを素直に認めながら、そこに潜んでいた“正しさの可能性”を掘り起こす、言い換えれば「小さく否定し、大きく肯定する」語りを試みることである。それこそが、われわれの未来につながる歴史叙述ではないだろうか。 本書は、そのようにしてあの戦争を現在につながる大きな流れへと接続し、「われわれ」の物語を創出するための試みである。」 ――「はじめに」より 【本書の構成】 はじめに 第一章 あの戦争はいつはじまったのか――幕末までさかのぼるべき? 第二章 日本はどこで間違ったのか――原因は「米英」か「護憲」か 第三章 日本に正義はなかったのか――八紘一宇を読み替える 第四章 現在の「大東亜」は日本をどう見るのか――忘れられた「東条外交」をたどる 第五章 あの戦争はいつ「終わる」のか――小さく否定し大きく肯定する おわりに 【本書の内容】 ●日中戦争を「支那事変」と呼んだ背景 ●「ペリーこそ戦犯」と主張した石原莞爾 ●「アジア・太平洋戦争」か、それとも「大東亜戦争」か ●米英との「協調外交」は可能だったのか ●南部仏印進駐という「大失敗」 ●近衛文麿の「知られざる慧眼」 ●東条英機による「史上初のアジア外遊」 ●「油田地帯」パレンバンの現状 ●ジオラマ化された「日本の強制労働」 ●南京大虐殺記念館の「意外な実態」 ●「大東亜共栄圏はプロパガンダ」か ……ほか - 目次 - はじめに 第一章 あの戦争はいつはじまったのか――幕末までさかのぼるべき? 第二章 日本はどこで間違ったのか――原因は「米英」か「護憲」か 第三章 日本に正義はなかったのか――八紘一宇を読み替える 第四章 現在の「大東亜」は日本をどう見るのか――忘れられた「東条外交」をたどる 第五章 あの戦争はいつ「終わる」のか――小さく否定し大きく肯定する おわりに - 著者プロフィール - 辻田 真佐憲 (ツジタ マサノリ) (著) 一九八四年、大阪府生まれ。評論家・近現代史研究者。慶應義塾大学文学部卒業。政治と文化芸術の関係を主なテーマに、著述、調査、評論、レビュー、インタビューなどを幅広く手がけている。単著に、『「戦前」の正体』(講談社現代新書)、『ルポ国威発揚』(中央公論新社)、『防衛省の研究』(朝日新書)、『超空気支配社会』(文春新書)、『大本営発表』(幻冬舎新書)、共著に『教養としての歴史問題』(東洋経済新報社)、監修書に『満洲帝国ビジュアル大全』(洋泉社)、共編書に『文藝春秋が見た戦争と日本人』(文藝春秋)などがある。
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イスラエルについて知っておきたい30のこと | 早尾 貴紀
¥2,090
平凡社 2025年 ソフトカバー 256ページ 四六判 - 内容紹介 - 2023年10月7日に起きたハマースの蜂起から約15カ月半後の2025年1月19日、イスラエルとハマースの間で6週間の「停戦」合意がなされた。 イスラエルの一方的な爆撃によりガザ地区の公共施設や主要インフラは壊滅的な状況に陥り4万人超が死亡、その大半は子どもや女性だったとされる。 だが、イスラエルによる暴力はいまに始まったことではない。 1948年のイスラエル建国前からシオニストたちはパレスチナの地の略奪を目標に、欧米や周辺諸国を巻き込み、暴力を繰り返してきた。 キリスト教福音派のシオニズムへの接近、ホロコーストの政治利用、ユダヤ教とシオニズムの対立、PLOの挫折、オスロ合意の欺瞞、〈10・7〉蜂起、そしてイスラエルが描く「ガザ2035」の未来図とは? いま私たちがパレスチナ問題を考えるための基本書。 「停戦」は、一般的な国家戦争の停戦とは全く異なり、イスラエルによる一方的なガザ地区でのジェノサイドの「一時停止」にすぎません。 ガザ地区の占領も封鎖も変わらず、またやはり占領下のヨルダン川西岸地区で続いているイスラエル軍の侵攻と入植者による襲撃・収奪も止まることがないのです。――「あとがき」より 【目次】 前史 ユダヤ人はなぜ差別されてきたのか 第1部 19世紀~1948年 イスラエルはどのようにしてつくられたのか 1.シオニズムはどのように誕生したのか/2.植民地主義とシオニズムの関係とは/3.シオニズムの物語とは/4.イスラエルはどのように建国されたのか(1)/5.イスラエルはどのように建国されたのか(2)/6.イスラエルはどのように建国されたのか(3)/7.国際社会の責任とは/8.イスラエル建国に対する世界の思想は 第2部 1948年~90年代 イスラエルはどんな国か――占領政策、オスロ合意まで 1.建国されたイスラエルはどんなところか/2.イスラエルの産業とは/3.イスラエルには誰が住んでいるのか/4.イスラエルはどのように国民統合を図ったのか/5.ホロコーストと宗教の利用/6.1967年以降の占領政策とは/7.パレスチナの抵抗運動とは/8.オスロ合意とはなにか(1)/9.オスロ合意とはなにか(2)/10.オスロ合意に対する世界の思想は 第3部 2000年代~ オスロ合意後のイスラエルはどうなっているか 1.第2次インティファーダ後の一方的政策とは/2.イスラエルはなぜハマースを敵視するのか/3.パレスチナの民意へのイスラエルの反応は/4.〈10・7〉蜂起とは/5.〈10・7〉とは何だったのか/6.ガザ侵攻でなにか起きているのか/7.ガザ侵攻でイスラエルが得る利益とは/8.イスラエル国内でのガザ侵攻の受けとめ方は/9.イスラエルはガザ侵攻後をどのように考えているのか/10.世界の反応は/11.ガザ侵攻に対する世界の思想は/12.私たちになにができるのか - 著者プロフィール - 早尾 貴紀 (ハヤオ タカノリ) (著) 1973年生まれ。東京経済大学教員。専門は社会思想史。2002~04年、ヘブライ大学客員研究員として東エルサレムに在住し、西岸地区、ガザ地区、イスラエル国内でフィールドワークを行う。著書に『国ってなんだろう?』『パレスチナ/イスラエル論』『ユダヤとイスラエルのあいだ』、訳書にイラン・パぺ『パレスチナの民族浄化』(田浪亜央江との共訳)、サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ』(岡真理、小田切拓との共編訳)、ジョー・サッコ『ガザ 欄外の声を求めて』などがある。
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戦争と漫画 銃後の物語 | 山田 英生
¥1,056
筑摩書房 2025年 ちくま文庫 ソフトカバー 400ページ 文庫判 - 内容紹介 - 出征、疎開、空襲……戦地とは異なる戦いがここにもあった。漫画家がつまびらかにする、蝕まれていく日常の平穏。戦後80周年の精選アンソロジー。 【収録作家】こうの史代/伊藤重夫/大島弓子/滝沢聖峰/古谷三敏/石坂啓/水木しげる/おざわゆき/巴里夫/近藤ようこ(原作:坂口安吾)/伊藤潤二/滝田ゆう 巻末エッセイ 中島京子 カバーイラスト 近藤ようこ「戦争と一人の女」より/カバーデザイン 重実生哉 - 目次 - Ⅰ こうの史代『この世界の片隅に』(第6回、第7回、第9回) 伊藤重夫『ゆきものがたり』 大島弓子『七月七日に』 滝沢聖峰『東京物語』(第14話 「靴音」) Ⅱ 古谷三敏『寄席芸人伝』(「棒手振り志ん弥」) 石坂啓『八月の友人』 水木しげる『村の朝鮮人』 おざわゆき『あとかたの街』(第18話「消せない灯り」) Ⅲ 巴里夫『疎開っ子数え唄』 坂口安吾・原作 近藤ようこ・画『戦争と一人の女』(抄) 伊藤潤二『脱走兵のいる家』 滝田ゆう『寺島町奇譚』(「蛍の光」) 編者解題 山田英生 巻末エッセイ 「銃後」を想像する、よすがに 中島京子 - 著者プロフィール - 山田 英生 (ヤマダ ヒデオ) (編) 1968年生まれ。「内外タイムス」「アサヒ芸能」記者などを経て、書籍・コミックの企画編集、雑誌記事の取材執筆に携わる。編書に『原水爆漫画コレクション』全4巻、『ビブリオ漫画文庫』『貧乏まんが』『老境まんが』『温泉まんが』『書痴まんが』『孤独まんが』『余生まんが』『現代マンガ選集 悪の愉しみ』『つげ義春賛江』などがある。また、共著書に『「暴力団壊滅」論』(「やくざコミック規制」などを分担執筆)がある。
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戦争と漫画 戦地の物語 | 山田 英生
¥1,034
筑摩書房 2025年 ちくま文庫 ソフトカバー 384ページ 文庫判 - 内容紹介 - 激戦地での死の行軍、軍隊の暴力や不条理、戦地の女性たちの苦難、ラーゲリの日々……巨匠から新進気鋭の作家まで、漫画家はどのように戦争を描いたのか? 戦地の兵士や女性、子どもたちの物語を収録した精選アンソロジー。【収録作家】武田一義/滝田ゆう(原作:野間宏)/水木しげる/わちさんぺい/山田参助/楳図かずお/石坂啓/今日マチ子/比嘉慂/村上もとか/河井克夫(原作:辺見じゅん)/ちばてつや 巻末エッセイ 吉田裕 カバーイラスト 比嘉慂「砂の落日」より/カバーデザイン 重実生哉 - 目次 - Ⅰ 武田一義『ペリリュー―楽園のゲルニカ―』(抄) 野間宏・原作 滝田ゆう・画「真空地帯」 水木しげる『カランコロン漂泊記』より「人間玉」「従軍慰安婦」 わちさんぺい「荒鷲ゴンちゃん」 Ⅱ 山田参助『あれよ星屑』(抄) 楳図かずお「死者の行進」 石坂啓「突撃一番」 今日マチ子『cocoon』(抄) 比嘉慂「砂の落日」 Ⅲ 村上もとか『フイチン再見!』(抄) 辺見じゅん・原作 河井克夫・画『ラーゲリ〈収容所から来た遺書〉』(抄) ちばてつや 「屋根うらの絵本かき」 編者解題 巻末エッセイ こんな戦争漫画を読んでいた――私の少年時代 吉田裕 - 著者プロフィール - 山田 英生 (ヤマダ ヒデオ) (編) 1968年生まれ。「内外タイムス」「アサヒ芸能」記者などを経て、書籍・コミックの企画編集、雑誌記事の取材執筆に携わる。編書に『原水爆漫画コレクション』全4巻、『ビブリオ漫画文庫』『貧乏まんが』『老境まんが』『温泉まんが』『書痴まんが』『孤独まんが』『余生まんが』『現代マンガ選集 悪の愉しみ』『つげ義春賛江』などがある。また、共著書に『「暴力団壊滅」論』(「やくざコミック規制」などを分担執筆)がある。
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検証 ナチスは「良いこと」もしたのか? | 小野寺 拓也, 田野 大輔
¥902
岩波書店 2023年 岩波ブックレット ソフトカバー 120ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ8mm - 内容紹介 - 「ナチスは良いこともした」という言説は、国内外で定期的に議論の的になり続けている。アウトバーンを建設した、失業率を低下させた、福祉政策を行った――功績とされがちな事象をとりあげ、ナチズム研究の蓄積をもとに事実性や文脈を検証。歴史修正主義が影響力を持つなか、多角的な視点で歴史を考察することの大切さを訴える。 目次 はじめに 第一章 ナチズムとは? 第二章 ヒトラーはいかにして権力を握ったのか? 第三章 ドイツ人は熱狂的にナチ体制を支持していたのか? 第四章 経済回復はナチスのおかげ? 第五章 ナチスは労働者の味方だったのか? 第六章 手厚い家族支援? 第七章 先進的な環境保護政策? 第八章 健康帝国ナチス? おわりに ブックガイド - 著者プロフィール - 小野寺 拓也 (オノデラ タクヤ) (著/文) 小野寺拓也(オノデラ タクヤ) 1975年生まれ.東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了. 博士(文学).昭和女子大学人間文化学部専任講師を経て,現在,東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授.専門はドイツ現代史. 著書に『野戦郵便から読み解く「ふつうのドイツ兵」――第二次世界大戦末期におけるイデオロギーと「主体性」』(山川出版社),訳書にウルリヒ・ヘルベルト『第三帝国――ある独裁の歴史』(KADOKAWA)などがある. 田野 大輔 (タノ ダイスケ) (著/文) 田野大輔(タノ ダイスケ) 1970年生まれ.京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学.博士(文学).大阪経済大学人間科学部准教授等を経て,現在,甲南大学文学部教授.専門は歴史社会学,ドイツ現代史. 著書に『ファシズムの教室――なぜ集団は暴走するのか』(大月書店),『愛と欲望のナチズム』(講談社),『魅惑する帝国――政治の美学化とナチズム』(名古屋大学出版会)などがある.
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【サイン本】縄文 革命とナショナリズム | 中島 岳志
¥3,080
太田出版 2025年 ソフトカバー 432ぺージ 四六変型判 - 内容紹介 - 戦後日本は何につまずき、いかなる願望を「縄文」に投影したのか。 岡本太郎が縄文を発見し、思想家、芸術家たちのなかで縄文への関心が高まった。柳宗悦ら民芸運動の巨匠たちが縄文に本当の美を見いだし、島尾敏雄が天皇以前の原日本人の姿を託し、吉本隆明を南島論へと向かわせた。縄文は日本赤軍のイデオロギーにも取り込まれ、オカルトを経由しニューエイジ、スピリチュアリズムに至る。梅原猛が霊的世界を称揚する縄文論を展開し、「縄文ナショナリズム」を生み出すことになった。それは、一九九〇年代の右傾化現象のなかでさらに裾野を広げている。 戦後日本人の新たな精神史。 あらゆる「日本」が投影される縄文の現代史を網羅し、 その思想の体系を詳述した重要な一冊。 ――いとうせいこう アナーキストも保守思想家も、縄文には夢をたくしてきた。 その系譜を細大もらさずおいかける、超古代幻想の現代史。 ――井上章一 - 目次 - 序章 戦後日本が「縄文」に見ようとしたもの 火起こし器に魅了される/線刻壁画と死者の世界/プリミティブへの憧憬――ルソーにおける「透明」と「障害」/縄文をめぐる戦後精神史へ 第一章 岡本太郎と「日本の伝統」 縄文発見 日本とは何か/国立博物館「日本古代文化展」/一九五一年十一月七日/日本の伝統とは何か/縄文vs弥生/縄文土器――「アシンメトリーと不調和のバランス」/「四次元的性格」/掲載された写真 対極主義と「日本の伝統」 闘いとしての芸術/人類博物館とマルセル・モース/バタイユとコジェーヴ/日本の「伝統」への失望と「対極主義」/縄文土器に見出したもの/縄文土器論の加筆/秋田の「なまはげ」――原始宗教の現われ/花巻の鹿踊り/民芸運動への懐疑 第二章 民芸運動とイノセント・ワールド 民芸運動と「原始工芸」 東京高等工業学校窯業科/図案家・杉山寿栄男と「原始文様」/芹沢銈介と芹沢長介/日本民藝館での「アイヌ民芸品大展観」 濱田庄司の縄文土器づくり 藤森栄一と白崎俊次/濱田庄司への依頼/縄文人は「日本の民芸の先祖」/古代土器複 製標本がもたらしたもの 最後の柳宗悦 イノセント・ワールド/古丹波の「灰被」/岩偶/「美の浄土」としての縄文 第三章 南島とヤポネシア 島尾敏雄の「ヤポネシア」論 南島論の興隆/大東亜戦争と南島経験/「治癒」と「救魂」/「ヤポネシア」論/古代 の生活が息づく南島 吉本隆明『共同幻想論』と「異族の論理」 吉本隆明『共同幻想論』/島尾敏雄×吉本隆明/「異族の論理」 ヤポネシアと縄文 谷川健一「<ヤポネシア>とは何か」/島尾敏雄の苦悩/縄文へ/縄文という「反体制的異端のバイタリティー」/「未来の縄文」 第四章 オカルトとヒッピー 空飛ぶ円盤と地球の危機 カウンターカルチャー/宇宙人との会見/超古代史へ/日本空飛ぶ円盤研究会と三島由紀夫/CBA(宇宙友好協会)と地球の危機/「古代宇宙人来訪説」と「宇宙考古学」/古代に現れた「太陽円盤」/古代太陽王国vs天皇/遮光器土偶は宇宙服を着ている/手塚治虫『勇者ダン』と「宇宙考古学」/北海道でのピラミッド建設 原始に帰れ!――ヒッピーとコミューン ヒッピーの誕生/新宿・風月堂/「われわれはいまだ知られざる文明の原始人である」 /部族と原始コミューン/「原始に帰れ」/コミューンの行き詰まり/列島改造論と南島/奄美大島の無我利道場/「原子化」から「原始化」へ 第五章 偽史のポリティクス――太田竜の軌跡 偽史と革命 華青闘告発/八切止夫の原住民史観/『日本原住民史』の出版/梅内恒夫「共産主義者 同盟赤軍派より日帝打倒を志すすべての人々へ」/八切史観からの影響とズレ/三人の世界革命浪人(ゲバリスタ)へ 「辺境」への退却 スターリンへの懐疑とトロツキーへの共感/辺境の最深部へ/そして、原始へ/日本帝 国主義の打倒/世界革命浪人(ゲバリスタ)と「反日本」/アイヌへの接近/「アイヌ革命論」と八切史観/梅内論文への応答/第二十六回日本人類学・民族学連合大会への乱入/シャクシャイン像台座削り取り事件から北海道連続テロ事件へ スピリチュアリティ・陰謀論・ナショナリズム 体調不良と「自然観の革命」/自然食=マクロビオティックへの傾倒/「原始の食」を取り戻す/桜沢如一の皇国主義をどう超えるか/再び日本原住民論へ/権藤成卿の社稷/UFO製作と一神教批判/日本人の使命と宇宙計画/家畜全廃論とエコロジー運動/ユダヤ陰謀論・縄文回帰・国粋主義/「縄文スメラミコト皇統」/縄文日本文明が世界を救済する 第六章 新京都学派の深層文化論――上山春平と梅原猛 上山春平の照葉樹林文化論 今西錦司の共同研究グループ/中尾佐助「照葉樹林文化論」の誕生/発想の元となった マナスル登山隊偵察隊/上山春平が探究した「日本文化の深層」/「山岳的」で「山棲み的」な日本文化/柳田國男と江上波夫への批判/盟友・梅原猛との対話 梅原猛――縄文とアイヌ 梅原日本学/「民族の基本的精神」/北海道へ/藤村久孝との出会い/金田一京助とい う壁/大野晋との対決――古代日本とアイヌ語/埴原和郎との出会い/東北への旅/呪術と精霊/「縄魂弥才」の日本/中曽根康弘首相との蜜月/「蘇る縄文」――狩猟採集文化の先進性/日本の精神が新しい世界の原理となる/国際日本文化研究センターへの批判/梅原日本学は国粋主義か/「森の思想」とエコロジー 終章 縄文スピリチュアルと右派ナショナリズム 「縄文」vs「弥生」/縄文左派――<天皇の超克>と<魂の救済>/一九八〇年代――精神世界とナショナリズム/西尾幹二『国民の歴史』と新しい歴史教科書をつくる会/スピリチュアルなナショナリズム あとがき 参考文献 - 著者プロフィール - 中島 岳志 (ナカジマ タケシ) (著) 1975年大阪府生まれ。東京科学大学リベラルアーツ研究教育院教授。大阪外国語大学外国語学部地域文化学科ヒンディー語専攻卒業。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了、博士(地域研究)。北海道大学大学院法学研究科准教授を経て、現職。専門は南アジア地域研究、日本思想史、政治学、歴史学。2005年、『中村屋のボース インド独立運動と近代日本のアジア主義』(白水社)で大佛次郎論壇賞、アジア・太平洋賞大賞受賞。同年、『ナショナリズムと宗教 現代インドのヒンドゥー・ナショナリズム運動』(春風社)日本南アジア学会賞受賞。主な著書に『秋葉原事件 加藤智大の軌跡』(朝日新聞出版)、『「リベラル保守」宣言』(新潮社)、『血盟団事件』(文藝春秋)、『アジア主義 その先の近代へ』(潮出版社)、『親鸞と日本主義』(新潮選書)、『保守と大東亜戦争』(集英社新書)、『保守と立憲 世界によって私が変えられないために』(スタンド・ブックス)、『自民党 価値とリスクのマトリクス』(スタンド・ブックス)『思いがけず利他』(ミシマ社)など多数。
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沖縄戦記 鉄の暴風 | 沖縄タイムス社
¥1,760
筑摩書房 2024年 ちくま学芸文庫 ソフトカバー 528ページ 文庫判 - 内容紹介 - 第二次大戦末期二〇万人もの命が奪われた沖縄戦。本書はその惨状を従軍記者が克明に綴った記録だ。現代史第一級の史料を初文庫化。解説 石原昌家 === 第二次世界大戦における最激戦地の一つ沖縄。軍民合わせ20万人もの尊い命が犠牲となった。本書のタイトルの「鉄の暴風」とは、1945年3月26日から3カ月間にわたり途絶えることなく続いた艦砲射撃や空爆のすさまじさを表現した言葉だ。1950年の初版刊行以降、沖縄戦を象徴する言葉として定着した。地形が変わるまで打ち込まれた砲爆弾、壕に逃げ込んだ住民を炙り出す執拗な火炎放射、そして民間人にまで及んだ自死の強制。本書は行動を軍とともにした記者たちが自らも体験したその壮絶な戦場の実態を、生存者をたずね克明に記録したもの。現代史第一級の史料を初文庫化。 === 二度と戦争をしない・させないために生存者たちが語った真実を記録する 日本人必読の書 - 目次 - ちくま学芸文庫版『鉄の暴風』まえがき 重版に際して まえがき ひめゆり塔の歌 第一章 嵐の前夜 一、揺らぐ常夏の島 二、十・十空襲 三、死の道連れ 四、逃避者 第二章 悲劇の離島 一、集団自決 二、運命の刳舟 第三章 中・南部戦線 一、米軍上陸 二、北・中飛行場の潰滅 三、神山島斬込み 四、軍司令部の壕 五、南へ南へ 六、鉄火地獄 七、伊敷・轟の壕 八、月下の投降 九、防召兵の話 十、牛島・長の最期 十一、出て来い 第四章 姫百合之塔 一、女学生従軍 二、南風原陸軍病院 三、泥濘の道 第五章 死の彷徨 一、第三外科の最期 二、運命甘受 三、女学生の手記 四、草生す屍 五、壕の精 六、平和への希求(姫百合之塔由来記) 第六章 北山の悲風 一、北へ北へ 二、山岳戦 三、真部・八重潰ゆ 四、国頭分院の最期 五、さ迷う兵隊 六、護郷隊 七、敗残 八、武士道よさらば 第七章 住民の手記――板良敷朝基記 一、山 二、飢餓 附録 戦闘経過概要 沖縄戦日誌 日米損害比較 沖縄戦線要図 第1図 沖縄全島図 第2図 南部戦線(慶良間列島を含む) 第3図 中部戦線 第4図 北部戦線 あとがき 二十年後のあとがき 三十年後のあとがき 五十年後のあとがき 解説 新聞人が遺した警鐘を、いま再び打ち鳴らす――戦後八〇年を目前に(石原昌家) - 著者プロフィール - 沖縄タイムス社 (オキナワタイムスシャ) (編著) :沖縄本島で地上戦開始後も首里城地下の壕で発行を続けていた「沖縄新報」元社員らが立ち上げた新聞社。創刊は1948年7月1日。米軍政下で抑圧された日々から日本復帰を経て今日に至るまで、沖縄に軸足を置いた報道・論説、文化の継承・創造活動を続けている。
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生き延びるための女性史 遊廓に響く〈声〉をたどって | 山家 悠平
¥2,640
青土社 2023年 ソフトカバー 256ぺージ 四六判 - 内容紹介 - 無数の〈声〉を聞き取り、書き残す、女性史がひらくフェミニズムのかたち かつて遊廓を生きた女性たちが書いた日記や小説は、時の隔たりをこえて、ふたたび現在に響き始める――。悲しみ、怒り、苦しむ人びとを、たったひとりにさせないために、人びとの歴史の〈声〉を記憶し、描き出す。歴史家であり小説家である著者が描き出す、フェミニズムの思想と実践。
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残されたものたちの戦後日本表現史 | 山本 昭宏
¥2,420
青土社 2023年 ソフトカバー 288ぺージ 四六判 - 内容紹介 - 水木しげる、中沢啓治、高畑勲から、こうの史代まで。 戦地から引き揚げたもの、空襲を生きのびたもの、被爆者として生きるもの……。戦争で生き残った表現者たちは個別の方法でそれぞれの経験の物語を作り上げてきた。かれらが描いた戦争・戦後とはいかなるものか。そして、これからの世代はどのように語り残していくべきか。これから先もずっと読まれ、観られ続けるべき作家、作品たちを精緻に読み解く。
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考古学の大発見をめぐる八つの冒険 | マイケル・スコット, 府川由美恵(訳)
¥3,520
青土社 2025年 ソフトカバー 320ぺージ 四六判 - 内容紹介 - 地図にない道を行け! 雲間に浮かぶ古代都市、世界最古の沈没船、砂漠のなかの巨大石窟、氷にとざされた王女のミイラ――その遺物は、いかにして現代に姿を現し、「大発見」として認められるようになったのか? 政治的な思惑に翻弄され、技術的な限界に直面しつつも、あくなき探究心で時代を切り拓いてきた考古学者たちの知られざる物語。
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学びのきほん フェミニズムがひらいた道 | 上野 千鶴子
¥737
NHK出版 2022年 ソフトカバー 124ぺージ A5判 - 内容紹介 - その歴史と意義が2時間でわかる、著者初の総合的な入門書。 学校で習った「男女雇用機会均等法」や「男女共同参画社会基本法」。これらは、真の男女平等を実現するものではなかった? フェミニズムはなぜ生まれ、何を変え、何を変えられなかったのか。その流れを「四つの波」に分けてコンパクトに解説する。女性参政権、性別役割の解放、#MeToo……。過去を知り、自分の経験を再定義する言葉を手に入れるために。日本におけるフェミニズムを切り開き続けてきた第一人者が、多くの経験知とともにフェミニズムがたどった道のりを語る。 - 著者プロフィール - 上野 千鶴子 (ウエノ チヅコ) (著/文) 1948年、富山県生まれ。社会学者、東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。専門学校、短大、大学、大学院、社会人教育などの高等教育機関で、40年間教育と研究に従事。主な著書に『近代家族の成立と終焉』『家父長制と資本主義』(岩波現代文庫)、『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『ひとりの午後に』(NHK出版/文春文庫)、『在宅ひとり死のススメ』(文春新書)、『おひとりさまの最期』『女ぎらい』(朝日文庫)、『ケアの社会学』(太田出版)など多数。
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未来学 人類三千年の〈夢〉の歴史 | ジェニファー・M・ギドリー, 南 龍太(翻訳)
¥2,640
白水社 2025年 ソフトカバー 210ぺージ 白水社 - 内容紹介 - SFからテクノトピアまで 未来論が流行している。背景には、危機と不確実性がある。一九七〇年代に流行した折には、資源危機と南北対立を受けていた。本書は、著者が二十五年にわたって「未来学」で発見した、さまざまな側面に光を当てる。 とりわけ、科学的な予測と根拠のない憶測の間に横たわる、未来をめぐって生じる葛藤に、フランクフルト学派の批判理論の観点から光を当てる。 未来は時間なのか場所なのか、あるいは、時間は円環なのか直線なのか。未来について人々が思考をめぐらせてきた三千年にわたる歴史は近代以降、マルサス的な終末論とテクノオプティミズムの両極端で宙ずりになっている。 こうした未来論の整理は、未来を論じる学問的素地がほとんどない日本ではより重要である。一九七〇年前後、小松左京、梅棹忠夫らが未来学の創設を目指し、機運が高まった時期もあったが、その後日の目を見ず、現在に至っている。 預言者からSFまで、ルネサンス・啓蒙思想からテクノトピアまで、人類が夢見た未来を概観するはじめての入門書。オックスフォード大学出版局の入門シリーズ(VSI)の待望の翻訳。 - 著者プロフィール - ジェニファー・M・ギドリー (ジェニファー エム ギドリー) (著/文) 未来学、心理学の未来、ポストフォーマル教育の分野で40年以上にわたり研究に従事。欧米やアジア、北米、中東の国々で未来志向のプロジェクトの実施に積極的に取り組んできた。不確実性とテクノロジーへの関心が高まる現代において、学術的、組織的な仕事を通じて人間中心の未来の確立を目指している。2009~2017年、世界未来学連盟(WFSF)会長を務める。現在シドニー工科大学非常勤教授(the Institute for Sustainable Futures at the University of Technology)。地球規模の未来の課題と解決策に関するエグゼクティブや専門家向けオンライン教育サービスのGlobal Futures Education創設者。 南 龍太 (ミナミ リュウタ) (翻訳) 世界未来学連盟(WFSF)アソシエイト・日本支部代表、日本未来学会理事。大手情報通信シンクタンクの主任研究員として勤める傍ら、人工知能(AI)や宇宙、脳科学、外国人の多文化共生に関する記事や書籍を執筆。元共同通信社記者。東京外国語大学ペルシア語学科卒。新潟県出身。著書に『生成AIの常識』(ソシム)、『電子部品業界大研究』、『AI・5G・IC業界大研究』(ともに産学社)、翻訳書に『Futures Thinking Playbook』など。
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民具のミカタ博覧会 見つけて、みつめて、知恵の素 デザインから読み解く、日本と世界のくらしの造形 | 日髙 真吾(編集), 加藤 幸治(編集), 国立民族学博物館(監修), 武蔵野美術大学美術館・図書館(監修)
¥2,750
誠文堂新光社 2025年 ソフトカバー 224ぺージ A5判 - 内容紹介 - 民具は、日常生活で必要なものとしてつくられ、使われてきた暮らしの造形であり、身近な素材を活かす知識や技、人びとが育んできた自然観や世界観にふれることができます。また、民具は、研究者が旅をし、さまざまな地域の生活文化と出会いながら収集され、博物館のコレクションへと発展します。 本書では、1970年大阪万国博覧会(Expo' 70)のために世界各国で収集された世界の民具と、その同時代に日本文化の多様性に目を向けて、全国規模で収集された武蔵野美術大学所蔵の日本の民具から、選りすぐりの民具を紹介します。 数多くの切り口から、世界と日本の民具の魅力を「見つけて」、ひとつひとつ「みつめて」、そこに「知恵の素」を探っていただきます。 ■目次 はじめに 序論 第1章 かたちと身体性 雪の歩きかた/液体を運ぶ/シェアして育む絆/鉢のシンプルさ… column EEMとEXPO ’70、そして国立民族学博物館 第2章 ユーモアと図案 怖くない獅子/ツノの表情/掲げて威勢を誇る/蛇行や渦巻きの模様… column 生活文化研究会と日本観光文化研究所 第3章 見立てと表象 夢に見た風景/小さいことは良いことだ/球体を彩る造形/のっぺらぼう… column 民具コレクションの活用 column コレクションのデジタル化と発信 おわりに 掲載資料一覧 ******************** - 著者プロフィール - 日髙 真吾 (ヒダカ シンゴ) (編集) 国立民族学博物館 学術資源研究開発センター長・教授。元興寺文化財研究所研究員を経て、2002年より現職。博士(文学)。民俗文化財の保存修復方法や博物館における資料保存に関する研究をおこなう。主な著書、編著書に、『女乗物―その発生経緯と装飾性』(東海大学出版会、2008年)、『博物館への挑戦―何がどこまでできたのか』(三次企画、2008年、園田直子と共編)、『記憶をつなぐ―津波災害と文化遺産』(千里文化財団、2012年)、『災害と文化財―ある文化財科学者の視点から』(千里文化財団、2015年)、『継承される地域文化-災害復興から社会創発へ』(臨川書店、2021年)など。 加藤 幸治 (カトウ コウジ) (編集) 加藤 幸治:武蔵野美術大学教養文化・学芸員課程教授、同美術館・図書館副館長。専門は民俗学(民具研究)、博物館学。博士(文学)。和歌山県立紀伊風土記の丘学芸員(民俗担当)、東北学院大学文学部歴史学科教授(同大学博物館学芸員兼任)を経て、2019年から現職。主な著書、監修書に民俗学 フォークロア編 過去と向き合い、表現する』(武蔵野美術大学出版局、2022年)、『民俗学 ヴァナキュラー編 ―人と出会い、問いを立てる』(武蔵野美術大学出版局、2021年)、『民具のデザイン図鑑』(誠文堂新光社、2022年)など多数。
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古本屋の誕生 東京古書店史 | 鹿島 茂
¥2,420
草思社 2025年 ハードカバー 288ページ 四六判 - 内容紹介 - 「知と文化の集積地」はいかにして作られてきたか? 江戸時代の「書店」の誕生から、明治以降の東京古書界の変遷まで、 本の街の歴史を詳細にたどる。 <内容より> ●本のセドリの誕生と江戸時代の「本屋仲間」 ●古書の価値創造の先駆者、江戸末期の達摩屋五一(だるまやごいち) ●幕府崩壊で大口顧客を失った東京古書界が生き残れた理由 ●明治前半まで芝神明町・日蔭町が東京随一の古書街だった背景 ●有斐閣、三省堂、冨山房…大古書街・神田神保町を生んだ第一波 ●大正・昭和期の代表的古書店・一誠堂の「店員教育」 ●戦後の古書界の復興と業界の未来 - 目次 - 序章 本屋はなぜ新刊本屋と古本屋に分かれたのか 第一章 セドリと古本屋の誕生 江戸時代までの書店ビジネス 第二章 大デフレと本屋仲間の解体 明治ゼロ年代 第三章 一大古書街・芝神明と漢籍ブーム 明治十年代〔一〕 第四章 東京大学誕生と神保町の台頭 明治十年代〔二〕 第五章 東海道線全通と神保町第二の波 明治二十年代 第六章 靖国通り開通と神保町第三の波 明治三十年頃から大正二年の大火まで 第七章 古書組合の誕生と関東大震災 明治末から大正末まで 第八章 古本屋の学校・一誠堂の躍動 昭和ゼロ年代 第九章 戦争をくぐり抜けて 昭和十年代 第十章 戦後の復興と発展 昭和二十年から昭和後期まで 終章 古本屋の現在と未来 あとがき - 著者プロフィール - 鹿島 茂 (カシマ シゲル) (著/文) 1949年、神奈川県横浜市生まれ。フランス文学者、評論家、作家。東京大学文学部仏文学科卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。明治大学名誉教授。当初はフランス文学の研究翻訳を行っていたが、1990年代に入り活発な執筆活動を開始。1991年に『馬車が買いたい!』(白水社)でサントリー学芸賞、1996年『子供より古書が大事と思いたい』で講談社エッセイ賞、2000年『職業別パリ風俗』(白水社)で読売文学賞を受賞。膨大な古書コレクションを有し、東京都港区に書斎スタジオ「NOEMA images STUDIO」を開設。2017年、書評アーカイブサイトALL REVIEWSを開始。2000年からは神田神保町に共同PASSAGEを近刊に『書評家人生』(青土社)、『パリの本屋さん』(中央公論新社)など。
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ヒロシマ〈新装版〉 | J.ハーシー(著), 石川 欣一(訳), 谷本 清(訳), 明田川 融(訳)
¥1,650
法政大学出版局 2014年 ハードカバー 252ページ 四六判 - 内容紹介 - 「20世紀アメリカ・ジャーナリズムの業績トップ100」の第1位に選ばれた、ピューリッツァ賞作家ハーシーによる史上初の原爆被害記録。1946年の取材による1~4章は、6人の被爆者の体験と見聞をリアルに描いて世界に原爆の惨禍を知らしめ、原水爆禁止・核廃絶の運動に影響を及ぼした。85年の再訪で成った5章「ヒロシマ その後」では、原爆症との闘い、市民としての生活・仕事・活動など、稀有な体験者たちの戦後史をヒューマンな筆致で跡づける。 目次 1 音なき閃光(せんこう) 2 火災 3 詳細は目下調査中 4 黍(きび)と夏白菊 5 ヒロシマ その後 1 中村初代 2 佐々木輝文博士 3 ウィルヘルム・クラインゾルゲ神父 4 佐々木とし子 5 藤井正和博士 6 谷本 清 初版 訳者あとがき(谷本 清) 増補版 訳者あとがき(明田川 融) 増補版刊行にあたって/謝辞(法政大学出版局) - 著者プロフィール - J.ハーシー (ハーシー ジョン) (著) (John Hersey) 1914年、中国天津に生まれ、家族がアメリカへ帰る1925年まで同地に暮らす。イェール大学ならびにケンブリッジ大学に学び、一時、シンクレア・ルイス(1885-1951、米国の小説家で、1930年に米国人で初めてノーベル文学賞を受賞)の秘書を務め、その後数年間、ジャーナリストとして活動。1947年以降、おもにフィクションの執筆に打ち込む。ピュリッツァ賞受賞。イェール大学で20年間教鞭をとり、その後、アメリカ著作家連盟会長、アメリカ芸術文学学校校長を歴任。1994年9月、谷本清平和賞受賞。1993年死去。 石川 欣一 (イシカワ キンイチ) (訳) 1895年、東京に生まれる。東京大学英文科を中退して渡米し、1919年、プリンストン大学卒業。大阪毎日新聞社学芸部員、東京日日新聞社学芸部員・ロンドン特派員、大阪毎日新聞社文化部長・東京本社出版局長等を歴任。訳書に、グルー『滞日十年』、チャーチル『第二次大戦回顧録』、モース『日本その日その日』等がある。1959年死去。 谷本 清 (タニモト キヨシ) (訳) 1909年、香川県に生まれる。関西学院神学部を卒業後、渡米して1940年、エモリー大学大学院修了。1943年、広島流川教会牧師に就任し、1945年、爆心から3kmの知人宅で被爆するが奇跡的に助かる。1950年、ヒロシマ・ピース・センターを設立し、原爆で傷ついた少女たちや孤児の救済に取り組む。広島平和文化センター理事長等を歴任。1986年死去。 明田川 融 (アケタガワ トオル) (訳) 1963年,新潟県に生まれる。97年に法政大学大学院政治学専攻博士課程修了。専攻は日本政治史。現在,法政大学法学部教授。著訳書に『日米行政協定の政治史』(法政大学出版局),『沖縄基地問題の歴史』,『日米地位協定』,ジョン・ダワー『昭和』(監訳,以上みすず書房),ジョン・ダワー/ガバン・マコーマック『転換期の日本へ』(共訳,NHK出版)などがある。
