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旅の記憶 おいしいもの、美しいもの、大切なものに出会いに | 有元 葉子
¥1,980
講談社 2025年 ソフトカバー 200ページ A5判 - 内容紹介 - 「違う生き方もあるかもしれない。そんな気持ちにさせてくれる旅が好きです」 ・秋のパリ、初めてのひとり旅 ・「世界一おいしい!」ケイパーの島へ ・バインセオの皮の秘密と唐辛子塩で食べるパパイヤ ・タイルとコルクと哀愁の街、リスボン ・オリーブの木材を求めて、ひとりカラブリアへ ・イギリスで知った本物のパンの香り ほか ベトナムにイタリアに、有元葉子さんが語る”おいしい話”に触発されて旅に出たという人は数多くいるのではないでしょうか。実は「私の仕事人生、旅人生がスタートしたのは50代からでした」と有元さん自身は語ります。 子育てが落ち着いてきて、旅に出るのは今だと出かけた秋のパリ。家を持つまでにいたったイタリアで一枚ずつ集めてきたヴィンテージのリネン。本当にいいものづくりとは何かを問いかけてくるブルネロクチネリのブラウス。ロンドン郊外で出会った、挽きたての小麦粉で作られたパンの香り。じゃがいもとケールで作るポルトガル名物のスープ「カルト・ヴェルデ」は日本でも…… 世界中を巡った旅の記憶からは、「どうしたら自分を使い切れるかをいつも考えている」と語る有元葉子さんの人生観が垣間見えます。これから先、何を大切にして、何を楽しみとして生きていくか。ヒントに溢れたエールのような1冊になりました。 - 著者プロフィール - 有元 葉子 (アリモト ヨウコ) (著) 編集者、専業主婦を経て、料理家に。料理教室やワークショップ等を提案する「A&CO」の主宰ほか、キッチンウエア「la base(ラ バーゼ)」シリーズのディレクター、イタリア産オリーブオイル「MARFUGA(マルフーガ)」の日本代理店主宰を務めるなど活躍は多岐にわたる。レシピ本をはじめ、食を通して暮らしや生き方を語ったエッセイなど著者は100冊以上に及ぶ。近年のベストセラーは『レシピを見ないで作れるようになりましょう。』(SBクリエイティブ)、『生活すること、生きること』(大和書房)ほか。
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ロッコク・キッチン | 川内 有緒
¥2,090
SOLD OUT
講談社 2025年 ソフトカバー 304ページ 四六判 - 内容紹介 - 2025年度(第35回) Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作 みんな、なに食べて、どう生きてるんだろ? 福島第一原発事故から14年、国道六号線(ロッコク)を旅して綴った 温かくておいしい記憶 再生と希望に出会うノンフィクションエッセイ 「福島第一原発事故後を描くのにこんな方法があるのかと驚き、 最後まで見届けなければと思った。(中略) 川内さんが聞き取った孤独な語りも、積み重ねてみれば深い場所でみんな手を繋いでいる。 孤独だけど、孤立してはいない。 川内版の新しい「ロッコク地図」を頼りに、私も旅に出てみたい」 選評より ……最相葉月(ノンフィクションライター/選考委員) ・目次 はじまりのナポリタン 1 いのはなご飯てなんだ 2 チャイと愛、繰り返される夜明け 3 カツサンドと見上げた空 4 「3.11」という日常と非日常 5 小さなおうち、具だくさんのお味噌汁 6 鶏ガララーメンと月面探査機 7 もやい直す人々の餃子 8 風が吹いたその後で 9 嵐のむこうのビスク鍋 10 愛と涙と勇気の中華丼 11 それぞれのカントリー・ロード 12 赤い月という名のじゃがいも 13 自分だけの地図 14 大熊町のカクテルで酔っ払う 15 ざくぎり野菜で作る男のズボラ料理 16 その柿を食べるのか 17 星空のクラムチャウダー 18 うまれたての「あったかキッチン」 19 台所から見える世界 終 ここにいられて嬉しい - 著者プロフィール - 川内 有緒 (カワウチ アリオ) (著) ノンフィクション作家。1972年東京都生まれ。アメリカ、南米、フランス、日本を転々としながら12年間国際協力分野で働いた後に、フリーランスの物書きに。東京を拠点に評伝、旅行記、エッセイなどを執筆。『バウルを探して 地球の片隅に伝わる秘密の歌』で新田次郎文学賞、『空をゆく巨人』で開高健ノンフィクション賞、『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』でYahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞を受賞。ドキュメンタリー映画『目の見えない白鳥さん、アートを見にいく』『ロッコク・キッチン』共同監督。
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三重の本
¥1,280
京阪神エルマガジン社 2025年 エルマガMOOK ソフトカバー 104ページ 25.7 x 21 x 0.5 cm 九鬼町の特集ページがあるほか、スズキナオさんが尾鷲でハシゴ酒をするなど、東紀州地域が大きく取り上げられています。トンガ坂文庫も登場します! 表紙はtupera tupera! - 内容紹介 - 関西からはアクセス至便な“お隣さん”三重県。海も山も豊かで、北勢・中勢・伊勢志摩・伊賀・東紀州とタテに長い三重県だからこそ、それぞれで独自のカルチャーが生まれ、エリアをまたげばここは異国? な特別体験が待っている。 2025年からはじまる神宮の式年遷宮や125社参りをはじめ、注目の街や店、人を掘り下げて紹介。慌ただしく巡ったらもったいない! “のんびり”が心地良い、三重の魅力に気付いて欲しい。 【伊勢志摩】 式年遷宮はじまる。 ゆっくりはじめる、神宮125社参り。 伊勢うどん再考。 心地のいい伊勢の名酒場案内。 神島 Kamishima graphy 菓子に囲まれた街に生まれて。 【東紀州】 尾鷲・九鬼で過ごす休日。 幻の“美熊野牛”を知っているか? 海も山も絶景の宝庫(勝手に)熊野八景。 雨のち晴れ尾鷲ハシゴ酒日和。 【北勢】 スローな時間が流れる、関・亀山。 扉開けば別天地、平田町たよしのこと。 動く! いなべの2人の生産者。 茶畑の風景LOVE!女性が元気なお茶畑。 【伊賀】 名張で醸す、ワインの未来予想図。 米がいい、水がいい、伊賀・名張の酒。 建築を歩く伊賀上野城下町。 【中勢】 津の味、はじめて物語。 実はスゴイぞ!三重のミュージアム。 肉好きの楽園!? 松阪の偏愛肉事情。 祝・国宝!船形埴輪に古代ロマンをのせて。 県南部のローカルスーパーがおもしろい。 伊勢志摩、東紀州、北勢、伊賀、中勢、ランチ手帳。
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私たちの暮らしに生かせる 南極レシピ | 渡貫 淳子
¥1,760
家の光協会 2025年 ソフトカバー 112ぺージ A5判 - 内容紹介 - 食料価格の高騰が続くこの時代に、救世主のようなレシピ本! ごみに溢れる日本で、1人1人ができることはたくさんあります。 南極という極限の地で1年間、調理隊員として30人分の料理を作り続けた渡貫淳子さん。食材の追加調達はなし、ごみは一切捨てられない環境で、どのように食事を作っていたのでしょうか。その工夫やアイディアは、日本に暮らす私たちにも役立つことばかりです。 お金をかけずに上手に食材を使いきる方法、無駄なくごみを出さないリメイク料理、買い物に行かなくてもすむ食材の繰りまわし方、特別な材料は使わず、忙しい人でも簡単に作れるシンプルな家庭料理の数々。残りものをおいしく食べきれると心もスッキリ、気持ちよさにもつながります。 目次 第一章:毎日のごはん作りに役立つ南極レシピ 残りものカレー/煮ものの残りでちらしずし/炊き込みチャーハン/おさかなコロッケ/なんでも野菜のチヂミ/お総菜ケークサレ ほか 第二章:本当においしい冷凍野菜のレシピ 冷凍アボカド/冷凍揚げなす/冷凍枝豆/冷凍じゃがいも/冷凍かぼちゃ/冷凍とろろを使ったメニュー 第三章:缶詰と乾物のアイディアレシピ ツナ缶/さばの水煮缶/コーン缶/麩/ひじき/切り干し大根を使ったメニュー 第四章:捨てられがちな食材の活用レシピ 大根の皮、ブロッコリーの芯や葉/かぶの葉、大根の葉/長ねぎの青い部分/フルーツの皮や芯/かたくなったパン/しけったのり/天かすを使ったメニュー - 著者プロフィール - 渡貫 淳子 (ワタヌキ ジュンコ) (著) 第57次南極地域観測隊の調理隊員。30代後半に南極地域観測隊の調理隊員への夢を抱き、3度目のチャレンジで合格。昭和基地史上2人目の女性調理隊員(民間人では初)。南極でよく作っていた「悪魔のおにぎり」をモデルに、某コンビニチェーンが商品化したことでも注目される。
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雪豹の大地 スピティ、冬に生きる | 山本 高樹
¥2,420
雷鳥社 2025年 ソフトカバー 256ページ A5変形判 縦188mm 横148mm 厚さ17mm - 内容紹介 - 巡り巡る命を、見つめ続けた日々。 ヒマラヤの山奥深くに棲まう幻の獣、雪豹。全世界での推定生息数は8000頭に満たず、険しい高山地帯に生息しているため、野生下では目撃することすら困難とされている動物だ。そんな雪豹たちのあるがままの姿を見届けるため、写真家はインド北部のチベット文化圏、スピティに旅立った。 標高4200メートルの極寒の高地。狩る者と狩られる者の命のやりとり。自然の摂理の中で儚い生を生きる、雪豹、狼、狐、アイベックスなどの動物たち。その傍で、大いなる存在への畏れと祈りとともに暮らす人々。ひと冬の間、彼らとともに過ごした日々の中で、写真家が巡り会ったのは……。 『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』で第6回「斎藤茂太賞」を受賞した気鋭の著者による、待望の書き下ろし長編紀行。雪豹や野生動物たちの躍動感のある姿、スピティの祭礼や高地の村の様子など、貴重な写真の数々も収録。 - 目次 - 夏の終わり 雪のない冬 母と子 村での日々 双子の兄妹 雪の到来 狩る者、狩られる者 矢と酒の祭 巡り巡る命 彼らの歌 - 版元から一言 - 雪豹の姿を捉える。その難しさは、様々な書籍や映画などで語られている通り。本書は、『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』で第6回「斎藤茂太賞」を受賞した山本高樹さんが、雪豹に会いに行った旅を記した全編書き下ろしの長編紀行です。 しかし、雪豹を撮影した、という一過性の話にとどまらず、雪豹と他の野生動物や現地に住む人々との関係を深く掘り下げた物語こそが、本書の魅力であり、真価だと思います。臨場感溢れる旅の記録を、ぜひお読みいただけると嬉しいです。 - 著者プロフィール - 山本高樹 (ヤマモトタカキ) (文・写真) 著述家・編集者・写真家。2007年から約1年半の間、インド北部のラダックを中心としたチベット文化圏に長期滞在して取材を敢行。以来、この地域での取材をライフワークとしながら、世界各地を飛び回る日々を送っている。本書のほか、主な著書に『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』『ラダック旅遊大全』(雷鳥社)、『インドの奥のヒマラヤへ ラダックを旅した十年間』『旅は旨くて、時々苦い』(産業編集センター)など。『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』(雷鳥社)で第6回「斎藤茂太賞」を受賞。
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パキスタンの山旅を愉しむ フンザ&ナンガパルバット&カラコルムハイウェイ | 柳谷 杞一郎
¥1,760
雷鳥社 2024年 ソフトカバー 256ページ 四六変形判 - 内容紹介 - 海外の山登りを楽しみたい方へ パキスタンのガイド付き旅日記 パキスタン山岳部は、山の愛好家にとってもっともポテンシャルの高い目的地。 - 目次 - 第一部 パキスタンの基礎知識 魅力的で危険な山々/公用語、ウルドゥー語について/パキスタンでなにを食べるか/氷河について考える/テロ、危険回避のための注意事項など) 第二部 フンザ&ナンガパルバット周遊トレッキング(全18泊19日の旅日記) - 著者プロフィール - 柳谷杞一郎 (ヤナギタニキイチロウ) (著) 編集者・写真家。1957年広島生まれ。修道学園中・高等部、慶応義塾大学卒業。写真集に「RAPA NUIイースター島、モアイの祈り」(エスクァイア・マガジン・ジャパン)「X」(ぶんか社)。著書に「写真でわかる謎への旅・イースター島」、「写真でわかる謎への旅・マチュピチュ」、「星の辞典」、「進化するモチベーション戦略」、「65歳からのエベレスト街道トレッキング」(雷鳥社)、「大事なことはみんなリクルートから教わった」(ソフトバンク文庫)
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インドの台所 | 小林 真樹
¥2,970
作品社 2024年 ソフトカバー 304ページ 四六判 - 内容紹介 - 食卓上に置かれた食器、その奥が気になる。 ディープなインド台所紀行! 南アジア各地の食器・調理器具の輸入販売者にして日本屈指のインド料理マニアのアジアハンターが、インドの端から端まで、さまざまな台所をめぐる――。 料理のみならず、食器や調理器具、調理工程に着目し、歴史や文化、社会問題などにも触れながら、これまであまり取り上げられてこなかった「食」の内側を覗き、さらにディープな食世界へと誘う、インド台所紀行! 本書で紹介するのは、北は夏でも朝晩寒いカシミールから、南は呼吸するだけで汗の出るタミルの最南部まで、巨大な冷蔵庫を6台も抱える大富豪から、わずかな身の回り品しか持っていない路上生活者までの、さまざまな調理現場である。(…)一戸一戸の立場や地位、地域は異にしながらも、全体として共通するインド像が浮かび上がってきた」 ――「はじめに」より ◎カラー写真多数 - 目次 - はじめに 北インド カシミールの宴席料理ワーズワーンの世界 シュリーナガル 1 旧市街の奥の堅牢な館 シュリーナガル 2 カシミールの農村探訪 バドガム 秋のパンジャーブの農家メシ アムリトサル 隠されたキッチン オールド・マナーリー ニハーリー屋とナーン屋 オールドデリー 1 インドの中のチベット系住民宅 オールドデリー 2 インド産ファストフードの現在・過去・未来 ニューデリー 1 孔雀が舞いおりる大豪邸 ニューデリー 2 ムグライー料理人たちの連鎖 ルドーリー コラム ムスリム職人の作るヒンドゥー神具 ムラーダーバード 南インド 白米と雑穀のはざまで チェンナイ 1 異国で食べる昭和レトロメシ チェンナイ 2 南インドの働き手問題 チェンナイ 3 並存する二つの台所 ディンディッカル 密林の中の小さな家 プンニャル マーピラのにぎやかな食卓 チャベスリー 沁みる酒、沁みる話 カキナダ1 アーンドラ人の葉皿イメージ カキナダ 2 IT系料理男子のキッチン ベンガルール 1 豊穣なるファイブスター・ホテル ベンガルール 2 コラム インダス文明からの伝統を受け継ぐ人たち マンナル 東インド 「正しい」台所とは何か コルカタ 1 ビハーリー・マン・イン・コルカタ コルカタ 2 路上生活者のキッチン コルカタ 3 コルカタの中華系の台所 コルカタ 4 アッサムの青銅食器 サルテバリ 先住民族たちのハレとケ バスタル ディアスポラ的ネパール料理 カリンポン ネワール族の家事労働 カトマンズ コラム 大地の味のチャーエ コルカタ 西インド 世界最大のスラム街 ムンバイ 1 憧憬と追憶のボンベイ ムンバイ 2 伝統と最新鋭 アーメダーバード 不意打ちの味をもとめて ビーカーネル カッチャーとパッカー サワーイー・マードプル インド屋台のイメージ インドール インド式パン文化の根源 パナジ 1 ゴア・フェニーで白昼夢を パナジ 2 コラム 新しくて古い工場 ムンバイ おわりに - 著者プロフィール - 小林 真樹 (コバヤシ マサキ) (著/文) 東京都出身。インド・ネパールの食器、調理器具を輸入販売している有限会社アジアハンター代表。著書に『日本の中のインド亜大陸食紀行』『日本のインド・ネパール料理店』『食べ歩くインド 増補改訂版』(以上、阿佐ヶ谷書院)がある。
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おいしいもんには理由がある | 土井 善晴
¥1,650
ウェッジ 2023年 ソフトカバー 216ページ 四六判 縦188mm 横127mm - 内容紹介 - 料理研究家・土井善晴さん、キッチンを飛び出して全国の食文化を旅する! その感動と思索、日本の食の底力についてまとめた、著者初の紀行書。 本書は料理研究家・土井善晴さんがキッチンを飛び出して、全国の食文化を訪ね歩いた記録です。 たとえば一子相伝の江戸佃煮を伝える職人や、濃厚な食味の牡蠣を育てる瀬戸内の漁業者、華やかな加賀料理の伝統を守る料亭の主人らに会い、 出羽三山ではもぎ立ての山菜を山小屋の主人と味わう。 風土が生んだ食材と食文化を体感することで紡がれた土井さんの文章は、時に文化論的思索にもおよびます。 著者初の紀行書である本書は、「一汁一菜」とはまた違う視点から日本の食文化を見つめなおす書であり、 土井さんが旅する様子を活写したカラー写真も豊富で、格好の食ガイドも兼ねています。 <本書の目次> ・まえがき ・北海道・東北 日高昆布は万能昆布 (北海道幌えりも町) 出羽、芽吹きの山菜(山形県西川町・鶴岡市) ・関東・中部 一子相伝、江戸の佃煮(東京都台東区) コク豊かな、国産落花生(千葉県八街市) 天下人を育んだ味噌(愛知県岡崎市) 百万石の加賀料理(石川県金沢市) ぴり辛きわ立つ、奥飛騨山椒(岐阜県高山市) ・中国・四国 高知の田舎寿司(高知県高知市) 瀬戸内 国産レモンの島(広島県尾道市) 日生湾のふっくら冬牡蠣 (岡山県備前市・和気町) 古式作りの讃岐和三盆(香川県東かがわ市・高松市) ・近畿 赤福餅と伊勢参り(三重県伊勢市) 豊饒の美味、琵琶湖(滋賀県大津市・近江八幡市) 吉兆と湯木貞一の美学(大阪府大阪市) 「発酵」が作る味(和歌山御坊市・紀の川市・和歌山市) 大阪寿司の世界(大阪府大阪市) 吉野晒しの本葛(奈良県宇陀市) ・九州 香気とうま味の奥八女茶(福岡県八女市) 職人一家の鰹節(鹿児島県枕崎市) 南蛮渡来の甘いもの(長崎県長崎市・平戸市) ・本書に登場する主な取材先 - 著者プロフィール - 土井善晴 (ドイヨシハル) (著/文) 料理研究家。1957年、大阪府生まれ。十文字学園女子大学 特別招聘教授、甲子園大学客員教授、東京大学先端科学研究センター客員研究員。NHK「きょうの料理」など、多数の料理番組に出演。著書に『一汁一菜でよいという提案』(新潮社)など。
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詩探しの旅 | 四元 康祐
¥2,420
日経BP 日本経済新聞出版 2024年 ソフトカバー 280ページ 四六判 - 内容紹介 - 旧ユーゴ、北欧、南欧、中東、南米、香港……この20年、世界各地の詩祭を渡り歩いてきた。詩を書くのではなく、詩を生きることを僕は学んだ。 ――それでは宴へと参りましょう! 「四元さん、僕の代わりにマケドニアに行ってみない?」そう言ったのは、詩人の谷川俊太郎だった。古都ストゥルガで開かれる国際詩祭に招待されているのだが、都合がつかないのだという。(中略)当時の僕は四十代半ばで、ミュンヘン在住。駐在員として二十年以上勤めた日本の製薬会社を辞めると決めた直後だった。詩人としての活動と二股をかけるのが、時間的にも精神的にもきつくなってきて、しばらく詩の方に専念してみようと思ったのだ。詩祭への出席は、その出発に向けての、谷川さんからのはなむけだった。(本文より) - 目次 - 谷川俊太郎さんの名代/仏教・エコロジー・蕪村/言葉と現実の緊張関係/文字通りの母語/停電の町で/二日酔いの雅な調べ/深い眠りのうちに/定住者の支配/炎にくべる魂/ヒップでクールな骨/生と死の二律背反/知性と情熱が声になる/狙撃兵と頭上の鳥/荒野のオリーブ/アラブの少女、ラップの熱唱/谷川俊太郎の「き」/現在に直結する「戦時下」/悲しいと苦しいは違うんだ/香港と自由/傷ついた街を書く/去る者と「留まるコツ」/孤独をのぞく目/政治の街、個人の痛み/ゆがんだ想像力/連詩は川の流れのように/野蛮な世界の桃源郷/「私はいなかった」けれど/地中の「ユダヤの民の歌」/タニロクのブンコウ/日中韓の歌の宴/征服者の言葉で/精神的なワクチン/スーツケースの移動図書館/いや、AIで書けるよ/憎悪を裏返す/酷似した中ロの事情/不利な道を選ぶ者/脱出不可能の無人島/スペインの俳句/肉声、そして土の匂い/ノーベル賞詩人の昼食/ブロンテ姉妹の物語/旅するビスケット缶/佐渡とウェールズ/インカレポエトリの風/地球という一座……など103篇 - 著者プロフィール - 四元康祐 (ヨツモト ヤスヒロ) (著/文) 1959年大阪生まれ。82年上智大学文学部英文学科卒業。86年製薬会社の駐在員としてアメリカに移住。90年ペンシルベニア大学経営学修士号取得。94年ドイツに移住。2020年、34年ぶりに生活の拠点を日本に移す。『世界中年会議』で山本健吉賞と駿河梅花文学賞、『噤みの午後』で萩原朔太郎賞、『日本語の虜囚』で鮎川信夫賞を受賞。ほかの詩集に『ゴールデンアワー』『小説』『シ小説・?膠』『ソングレイン』など。『フリーソロ日録』『龍に呑まれる、龍を呑む――詩人のヨーロッパ体験』などの詩文集、『偽詩人の世にも奇妙な栄光』『前立腺歌日記』などの小説、『谷川俊太郎学 言葉VS沈黙』『ホモサピエンス詩集――四元康祐翻訳集現代詩篇』『ダンテ、李白に会う 四元康祐翻訳集古典詩篇』『ミャンマー証言詩集1988―2021 いくら新芽を摘んでも春は止まらない』などの詩論、翻訳まで著作は多数。
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中国手仕事紀行 増補版 | 奥村 忍, 在本 彌生(写真)
¥2,970
青幻舎 2024年 ソフトカバー 328ページ 四六変型判 - 内容紹介 - 少数民族たちの“生きた”民具を求めて、中国の奥地を彷徨い歩いた10年間の記録。 新型コロナパンデミック後の雲南・貴州の旅を新たな章として加筆した増補版。 民藝とは民衆的工芸の意味で、1920年代半ばに柳宗悦が生み出した言葉ですが、無名の職人が作った実用的な工芸品に、美術品に負けないほどの美しさがある、と柳は主張しました。 日本や世界の各地から集めた手しごとを中心とした生活雑貨のお店「みんげい おくむら」は、店主の奥村忍が柳をはじめ、民藝の先達たちの思いを受け継ぎつつ提案する、今の時代、今の生活に合った「みんげい」の品々が人気のウェブショップです。 その奥村が魅せられ、2019年までほぼ毎年旅をしていたのが中国です。その中でも、本書で取り上げる雲南省と貴州省には、もっとも多く足を運んでいます。秘境、絶景と呼ばれるような場所が、そこかしこにある雲南省。かたや最貧の省と呼ばれながらも、独自の文化を今なお残す貴州省。このエリアに惹かれたきっかけは、一枚の布だったといい、「こんなものが作られている場所を訪ねてみたい」という気持ちで飛び込んでみたといいます。 奥村にとって手仕事とは、単に陶芸や織物、編組品のようなものだけではなく、たとえば、棚田も、中国茶も、あるいは郷土料理、建築、そういった文化、暮らしのこと、すべてを含んでいるといい、本書でも雲南・貴州の手工芸品を紹介しつつ、少数民族の暮らしぶりや土地々々の風俗に触れています。 奥村は食通としても知られていますが、中国の田舎の旅では食が何よりの楽しみといい、次から次へと登場する日本では見ることのできない料理の数々も本書の魅力のひとつといえるでしょう。 日本で雲南・貴州両省について調べようとしても情報は限られています。本書は奥村が現地で出合った手仕事の紹介のみならず、旅のルポにもなっており、基本的な英語すらほぼ通じない、グーグルも使えない土地でどう行動すべきか、ガイドブック以上に心強いアドバイスとなるはずです。 また、本書の写真は、世界各国を旅して作品を撮り続けている在本彌生が奥村に同行して撮影したものです。在本の感性によって現地の色彩が鮮やかに切り取られています。 本書の初版が発売されたのは2020年1月末、まさに「謎の疫病」の発生源は中国であるらしいとニュースで流れ始めた時のこと。疫病は瞬く間に国境を越え、世界は閉ざされ、奥村も中国への買い付けに行けなくなってしまいました。 本書は2024年になりようやく本格的に中国買い付けを再開して、4年数ヶ月ぶりに訪れた雲南・貴州の旅の記録を新たな章として加筆した増補版です。新型コロナ以前の中国の様子を伝える資料としても、新型コロナ以後に起こった大きな変化を知ることができる意味でも、貴重な内容になっています。 - 著者プロフィール - 奥村 忍 (オクムラシノブ) (著/文) 1980年千葉県生まれ。慶應義塾大学卒業後、各国を放浪。のち商社、メーカー勤務を経て国内外の手仕事の生活道具を扱うWEBショップ『みんげい おくむら』を2010年にオープン。月の2/3は産地を巡る旅をしながら、手仕事・旅・食に関する執筆も手がける。 在本 彌生 (アリモトヤヨイ) (写真) 東京生まれ。大学卒業後外資系航空会社で乗務員として勤務、乗客の勧めで写真を撮り始める。2003年に初個展「綯い交ぜ」開催、2006年よりフリーランスフォトグラファーとして本格的に活動を開始、雑誌、書籍、展覧会で作品を発表。 衣食住にまつわる文化背景の中にある美を写真に収めるべく世界を奔走して いる。著書に、写真集『MAGICAL TRANSIT DAYS』(アートビートパブリッシャーズ刊)、『わたしの獣たち』(青幻舎刊)、『熊を彫る人』(小学館刊)など。
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欧米の隅々 市河晴子紀行文集 | 市河 晴子, 高遠弘美(編)
¥2,420
素粒社 2022年 ソフトカバー 400ページ B6判 縦186mm 横132mm 厚さ23mm - 内容紹介 - 渋沢栄一の孫にして、稀代の文章家であった市河晴子――その代表的著作である『欧米の隅々』(1933)『米国の旅・日本の旅』(1940)から一部を精選。注・解説・年譜・著作目録等を付す。 編者は、フランス文学者でプルースト『失われた時を求めて』個人全訳刊行中の高遠弘美。 没後およそ80年を経てよみがえる、激動の世界を巡ったひとりの女性の、弾むようないきいきとした旅の記録。 【推薦文】 常識を鵜呑みにしない精神の柔軟さと驚くべき観察眼。 対象の弱みを鋭く突いてなお嫌味にならない毒のあるユーモア。 緩急自在の文体で描かれる、潑溂とした知的な道中のなかで、 いま、「隅々」という新しい言葉の地誌が生まれる。 ――堀江敏幸 いや凄いね、これほどの才能が昭和初期の日本に出現していたとは! ――鹿島茂(毎日新聞) 46歳で逝ったのが惜しいにもほどがある。もっと生きて戦後の日本と世界を見て書いてほしかった。渋沢栄一の孫娘だけれど、そんなのどうでもいい。晴子は晴子として十二分に素晴らしい。 ――豊﨑由美(共同通信配信) 今回の出版に繫がるまでのエピソードがまたすごいので、ぜひ「はじめに」と「解説」も読んでいただきたい。奇跡の一冊といっていいでしょう。 ――サンキュータツオ(婦人公論) 読みはじめて2行めで、門司港で積荷をする起重機の様子が「ジラフが大きな稲荷寿司を啣え込むよう」と描写されていて、いきなり痺れる。8か月にもわたる長旅の、まだ、たった2行めでしかないのに。 ――斎藤真理子(素粒社note) - 目次 - はじめに 高遠弘美 欧米の隅々 初春の支那 黄海にて 哈達門の朝市 排日瞥見 食べ物 万里の長城 ロシヤを横切る シベリヤの入口 淡雪のモスクバ 憂さ晴らしして 花の都パリ パリの第一印象 芝居とレビュー セーヌの川舟 ベルギーとオランダ イギリスとアイルランド ドーヴァー海峡を渡って ウェールズ アイルランドの南と北 湖水地方 英国の春の行事 ロンドンの日記から(抄) 近郊めぐり(抄) スペインとポルトガル スペインに入る マドリッドにて 闘牛を見る セビリヤ風景 アルハンブラを見に 北欧めぐり デンマークの三日 スカンジナビヤを横切る 東プロシヤからポーランドまで 二度目のベルリン 中欧諸国とイタリー ユングフラウを見に 聖き山々(抄) 永遠の都ローマ(抄) ナポリからベニスまで(抄) ウィーンとプラハ バルカン半島の初秋 ブルガリヤ スタンブール(抄) ギリシャ懐古 エジプトの驚異 ピラミッドに登る 帰国 乗船まで デッキチェヤにて 印度洋の焦燥 その後 米国の旅・日本の旅 米国の旅 第一印象 グランド・キャニオン ボールダー・ダム 日本の旅 緑の旅 湯のある旅 南の湯 北の湯 スキーのあけくれ 解説 高遠弘美 市河晴子年譜 市河晴子著作目録 編者補記 原本目次 - はじめに - 高遠弘美 最初に私が市河晴子の名前を知ったのはまったくの偶然でした。 二〇〇六年六月のこと。当時、明治大学に勤めていた私は偶々入った神保町の古本屋の棚に『欧米の隅々』なる本を見つけ、何気なく手に取って適当にページを開きました。それから会計をするまで三分も経っていなかったような気がします。浜の真砂に手を差し入れたら思いがけず貴重な宝を探し当てたような感じでした。 著者として背表紙に書かれていたのは、市河三喜と晴子でした(以下、基本的に敬称を省きます)。フランス文学を専攻したので畑は違いますが、著名な英語学者・言語学者として斯界に名を馳せた市河三喜の名前はもちろん知っていました。エッセイもいくつか読んでいたと思います。一九九〇年から十年間在籍した山梨県立女子短期大学で同僚だった市河三次教授が、江戸時代の儒学者市河寛齋の曽孫、書家市河米庵の孫である市河三喜の縁戚であることは聞いていましたから、三喜の名に惹かれて手に取ったのかもしれません。そのときはまだ晴子が私にとってこれほど(たとえば、明治大学の最終講義で晴子の文章の魅力を説くまでに)大切な文学者になるなど予想もしていませんでした。 その日、帰宅してからじっくり『欧米の隅々』(一九三三年)を読み始め、最初の「はしがき」と「旅程と感想」、最後の「ドイツよりアメリカへ」が夫の市河三喜(一八八六-一九七〇)の筆になる以外、つまり中心をなす六百ページ余りは妻の晴子(一八九六-一九四三)が書いた旅行記だということがわかりました。 と言っても、晴子が夭逝した長男三栄の後を追うかのごとく世を去ったのちに作られた二人の追悼文集『手向の花束』(私家版、一九四五年)を入手して読んだとき、晴子に関する三喜の以下の言葉に腰を抜かすほど驚いたのですけれど。 漢文調の文章(「欧米の隅々」の巻頭に載せた「旅程と感想」の如き)も書けば或は時々私の代筆をする時は打つて変つた文体を使ふこともある。〔略〕武藤長蔵君の還暦記念論文集〔正しくは「武藤教授在職三十年記念論文集」〕に「長崎と米庵及び寛齋」の一文を寄せたが実はあれは晴子の文章で〔略〕紀行・随筆・スケッチ以外にかういふ歴史物を書く筆も持つてゐた。 「昭和六年三月二十日、妻同伴にて東京を発し神戸より乗船、中華民国天津に向ふ」 こんな調子で書かれた「旅程と感想」だけでなく、市河三喜名義で書かれたいかにもそれらしい論文のうちにもじつは「妻」の晴子が書いた文章が混じっていたとはさすがに気がつきませんでしたが、本書ではそれは収録していません。夫の代筆をする晴子の才筆を感じて頂くよりは、ひとつでも多く、晴子自身の躍動感ある言葉に接して頂きたいと考えたからです。 市河晴子の文章に魅了された私は、単行本未収録作品も含めて可能な限り集めるとともに、晴子そのひとについて調べてゆきました。 その結果、晴子が渋沢栄一の孫娘であること、法学者穂積陳重と栄一の長女歌子の三女であること、何冊も傑作と評すべき本を書いていること、『渋沢栄一伝記資料』に収められた興味深い二十余りの文章も晴子によることなどがわかりました。 晴子については巻末の解説でさらに詳しく書きましたので、ここでは本書の内容について簡単に説明をしておこうと思います。 一九三一年三月、日本人初の東京帝国大学英文科教授として活躍していた市河三喜はカーン海外旅行財団から選ばれて欧米諸国の実情視察の旅に出ます。妻の晴子も同道します。次男の三愛を一九二六年に亡くしていた夫妻でしたが、長男の三栄(一九一七年生まれ)、長女の三枝子(一九二二年生まれ)を、十年親しく面倒を見てくれていた「女中」に託した上での出発でした。晴子はこう書いています。仮名遣いと漢字を現代風に改めて引きます。 私は三喜さんに「いっしょに行こうよ」と云われた時、「子供には相談してから定めるわ」と子供たちの室に行った。何だかくどくどと話して「父さんは一年間行く、母さんは冬までに帰ろう。八ヶ月の留守をしてくれるか」と尋ねた。「行くがいいやね」と同音に云って、三栄は「や、もう英語講座だぞ」と二階へ上って行った。突然の話にまぎれて、時間を忘れたりせぬ平静な調子が、いつもの栄ちゃんらしい。三枝子の方も「私もお勉強だ」と隣室へ行ったが、まだ十歳だし鋭敏な子だから、独りになってから悲しくでもなりはせぬかと思った途端に、唐紙をガラリと開けて、「ねえ。母様が洋行するのが世の中のためになるなら、一年行って来たらどう? 三枝子だって母様が偉くなるほど都合がいいんだから。八ヶ月よか一年行きゃあ、それだけぶんたくさん偉くなるでしょ」と云った。けなげなことをと思うべきなのに、その前に私は「オヤ私は今、世の中のためになんてそんな途方もない大風呂敷を拡げたかしら」と驚き、何と云ったかが思い出せぬので「ははあ、私も上っているわい」と顔を赤らめたのだった。 如何でしょう。この伸びやかさが晴子の本領の一つなのですが、十歳年上の夫のことを「三喜さん」と名前で書く晴子の自由闊達で率直な言葉遣いは、平等でしかも互いへの敬愛に満ちた気持ちのよい夫婦のありようを示しているのではないでしょうか。博大な教養に支えられた喚起力あふれる文体は言わずもがな、男女平等を地でゆくこうした晴子の言葉じたいがこの旅行記の風通しをひときわよいものにしているというのが最初に私が感じた印象でした。 晴子の書いた旅行記は、Japanese Lady in Europe というタイトルでロンドンやニューヨークの書肆から刊行もされ版を重ねてたいへんな反響を呼びます。 さらに、一九三七年に勃発した日中戦争に際し、いわば日米親善の民間外交を託されて単身渡米したときの経験をもとに綴られた旅行記に日本国内の紀行文を合わせて刊行された傑作『米国の旅・日本の旅』(一九四〇年、四四四ページ)も同様に、英訳されて出版されました。 本書は紙数の関係上『欧米の隅々』と『米国の旅・日本の旅』からあえて選んで一本に纏めたものです。いずれも甲乙つけがたい章から選ぶのは至難の業でした。ただ稀代の文章家だった市河晴子が綴ったみごとな紀行文のおおよそはわかるのではないかと思います。そこには女性の正当な権利を主張する熱き言葉も鏤められ、性を異にする私自身も叱咤激励される思いを何度も味わいました。現代にあって、もっとも必要とされる言葉はたとえば市河晴子から発せられていたのではないか。そんな気がしてならないのです。晴子の言葉はそれほど近くにあって二十一世紀を生きる私たちを慰藉すると同時に鼓舞し続けています。耳を傾けるのは今からでも遅くありません。 - 版元から一言 - 素粒社noteにて「【書評シリーズ】『欧米の隅々 市河晴子紀行文集』を旅する」公開中! 「理知と無心」小津夜景[評] 「絢爛たる細部、あるいはチョコチップクッキー」斎藤真理子[評] - 著者プロフィール - 市河 晴子 (イチカワ ハルコ) (著) 1896年12月21日東京生まれ。法学博士穂積陳重と歌子の三女。歌子は渋沢栄一の長女で歌人。 19歳で英語学者市河三喜と結婚。二男一女をもうけるが、1926年には次男三愛を、1943年には長男三栄を喪い、悲しみのあまり病臥ふた月。同年12月5日、他界した。享年46。 幼少より才覚を謳われ、快活で正義感が強く人々から慕われた。名文家としても知られ、三喜に同行した欧米視察の旅からは『欧米の隅々』(1933)が、1937年、日中戦争勃発後、民間外交を託され単身米国に渡った経験からは『米国の旅・日本の旅』(1940)が生まれた。英訳もされた上記二冊の他に『愛ちやん』(1927)。単行本未収録作品も多い。 高遠弘美 (タカトオ ヒロミ) (編) 1952年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。フランス文学者。明治大学名誉教授。著書に『プルースト研究』『乳いろの花の庭から』『物語パリの歴史』『七世竹本住大夫 限りなき藝の道』。訳書にプルースト『消え去ったアルベルチーヌ』『失われた時を求めて』、ロミ『完全版 突飛なるものの歴史』『悪食大全』『乳房の神話学』など多数。編著に『矢野峰人選集』『七世竹本住大夫 私が歩んだ90年』。共著多数。
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エピタフ 幻の島、ユルリの光跡 | 岡田 敦
¥2,970
インプレス 2023年 ソフトカバー 240ページ 四六判 - 内容紹介 - 北海道の東端、根室半島の沖合に佇むユルリ島。かつては昆布を採集する漁師の住居や番屋が建っていたが、家畜の馬を残して最後の島民がユルリを離れたのが半世紀前。最盛期には30 頭もの馬が暮らしていたが、その数は減り続け、今では数頭が暮らすだけになっている。上陸が厳しく制限されたこの島の情景は小説『ロスト・ワールド』の世界を彷彿させるようでもある。その島を2011 年から撮り続けているのが写真家・岡田敦。消えてゆくものたちを見つめ、後世に何を伝えてゆくのか。写真と文章で現代のロスト・ワールドを紹介していく。
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ひとりみんぱく | 松岡 宏大
¥3,520
国書刊行会 2024年 ハードカバー 256ページ 四六変型判 - 内容紹介 - もしかしたら「物の本」だと思っている人もいるかもしれないが、これは「旅の本」だ。(「あとがき」より) ◇ 「ひとりみんぱく」とはなにか? 写真家・編集者・ライターとして世界中を旅してきた松岡宏大氏の部屋には、世界各地の文物であふれている。みんぱく=国立民族学博物館。すなわち、わが家の民族学博物館、それが「ひとりみんぱく」だ。1990年代よりバックパッカーとして世界をめぐり、現地で出会った人々や景色、そして蒐集してきた数々の物もの。土器、漆器、仮面、仏像、絨毯……どこか不思議な魅力をもつ工芸、民藝の数々。インドで、チベットで、ミャンマーで、リビアで、サハラ砂漠で、文物からは旅の記憶があふれだし、含蓄? 蘊蓄? 軽快なるエッセイを挟みつつおくる本書は、物の本か? 旅の本か? 地球をまるごと感じる、The Museum of Ethnology in My Hands! 松岡氏は、『地球の歩き方 インド』をまとめ、美しき絵本『夜の木』で知られるタラブックスの本を上梓するなど、とりわけインドに造詣が深い。私家版『ひとりみんぱく123』『ひとりみんぱく45』が好評、美しい本づくりで定評のサイトヲヒデユキ氏のブックデザインを得て、満を持して世の中におくりだす! 収録物品120点超に、美しい旅の写真。美麗クロス装。 ◇ 「みんぱく」とは大阪の万博記念公園内、太陽の塔のとなりに建つ「国立民族学博物館」の愛称である。本書の『ひとりみんぱく』というタイトルであるが、これは初めて僕が「みんぱく」を訪れた際、「うちにもあるな……」という感想を抱いたことに由来する。 仕事柄、世界中を旅しながら暮らしてきたが、行く先々でその土地の文物を蒐集してしまうところがある。その文物は、世間的な価値とはまったく無縁だが、自分の好奇心の方向性から、その国の文化・歴史・神話を内包しているものを好む傾向にある。そして、日本に帰ったあと、部屋で一緒に旅の思い出を語り合える話し相手のようなものであることが重要だと考えている。もちろん日本で手に入れたものや、人からいただいたものも含まれている。しかし、自分の旅してきた道筋から外れないよう心がけている。蒐集の基準軸は、常に「個人的な旅の記憶」と「人とつながり」に置いている。 今回、本書を著すにあたり自らの蒐集した品々をあらためて見返してみたが、本当に役に立たないものばかりだ。残念だ。同時に、僕にとってはかけがえのないものばかりだ。 これらの文物を手のひらにのせ愛でてみる。重みや質感、細工、その歪みや温みを確かめる。太陽の光の下で陰が際立つものもあれば、暗闇の中でこそ光り輝くものもある。それは自分の手で触れてこそわかることで、自分の足で旅をしてこそ出会える風景と一緒だ。 僕はこれらを手に入れたときに出会った人たちの顔や祈りの景色を思い出すだろう。そこで吹いていた風や夜空を満たす星のことを思い出すだろう。 旅の記憶こそ僕にとっていちばんの財産なのだから。 (「まえがき」より) - 著者プロフィール - 松岡宏大 (マツオカコウダイ) (著/文 | 写真) 写真家・編集者など。『地球の歩き方 インド』など、インドやアフリカを中心に辺境エリアのガイドブックの取材・編集に携わる。共著に『持ち帰りたいインド』(誠文堂新光社)、『タラブックス――インドのちいさな出版社、まっすぐに本をつくる』(玄光社)などがある。またインドのTara Booksよりバッジュ・シャームとの共著『Origins of Art: The Gond Village of Pathangarh』を上梓。写真展として『アディワシ――大地と生きる人々』(bonon kyoto、KYOTO GRAPHIE KG +)、『TRIBES in BASTAR』(Rungta)を開催。KAILAS名義で著作やイベントもおこなう。
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冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ | 山本 高樹
¥1,980
雷鳥社 2020年 ソフトカバー 288ページ A5横判 縦188mm 横148mm 厚さ16mm - 内容紹介 - 第6回「斎藤茂太賞」受賞。一般社団法人日本旅行作家協会(会長/下重暁子、会員数180人)が主催する「斎藤茂太賞」の選考会が2021年7月8日(木)に行われ、第6回受賞作に山本高樹『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』が選ばれました。 インド北部、ヒマラヤの西外れの高地、ザンスカール。冬になると他の都市をつなぐすべての道が雪と氷に閉ざされるが、厳寒期の1、2月になると、凍結したザンスカール川を歩いて行き来できる幻の道が現れる。この「チャダル」と呼ばれる道を辿る旅は、遠い昔からザンスカールの人々によって受け継がれてきた稀有な伝統であり、世界中のトレッカーにとって憧れの旅路でもある。 しかし、冬のザンスカールの真の姿を見届けるには、チャダルを歩いて辿り着ける場所からさらに奥へと踏み込んでいかなければならないことは、あまり知られていない。 ザンスカールの最深部の山中にある僧院では、「プクタル・グストル」という祭礼が行われると伝えられている。真冬のこの祭りを見届けるため、マイナス20℃にもなる極寒の世界の中、著者が約4週間かけて歩きぬいた苛烈な旅を、詳細に記した紀行文。 ふんだんに掲載された真冬の街、人々、生活を捉えた写真は、資料としても価値のある一冊。 - 目次- 第一章 ザオ・ニンパ 第二章 チャダル 第三章 ルンナク 第四章 プクタル 第五章 ミツェ - 著者プロフィール - 山本高樹 (ヤマモトタカキ) (著/文 | 写真) 著述家・編集者・写真家。1969年岡山県生まれ。出版社での勤務を経て、フリーランスに転身。2007年から約1年半の間、インド北部の山岳地帯、ラダック地方に長期滞在して取材を敢行。以来、ラダックでの取材をライフワークとしながら、『地球の歩き方インド』『地球の歩き方タイ』をはじめとする取材・撮影・執筆などで、世界各地を巡る日々を送っている。2015年からはラダックを中心とした地域で現地発着ツアーのガイドも務めている。主な著書に『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(雷鳥社)、『ラダック ザンスカール スピティ 北インドのリトル・チベット[増補改訂版]』(ダイヤモンド社)など。
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砂漠の教室 イスラエル通信|藤本 和子
¥968
河出書房新社 2023年 河出文庫 ソフトカバー 256ページ 文庫判 - 内容紹介 - 名翻訳家の原点となる、幻のエッセイがついに復刊! リチャード・ブローティガン、トニ・モリスンなどアメリカ文学のすぐれた翻訳家であり、聞き書きの手法を生かしたエッセイの書き手としても知られる藤本和子。 70年代に刊行された、初エッセイを復刊&文庫化。 1976年、著者はヘブライ語を学ぶため、ユダヤ人の夫と共にイスラエルの語学学校へ。同級生は各国から集まった8歳~70歳の生徒たち。未知の風土、生活、食べ物、そして歴史に向き合い、「他者を語る」ことに挑んだ、限りなく真摯な旅の記録。(解説=平松洋子) “気概と覚悟が、鋼のように貫かれている。 それでいて、思考も身体も外に開かれている。 まさに藤本和子そのひとを体現する原石のような一冊だ。“ ――平松洋子氏
