-
【バーゲンブック】旅する舌ごころ—白洲次郎・正子、小林秀雄の思い出とともに巡る美食紀行 | 白洲 信哉
¥1,000
誠文堂新光社 2018年 ソフトカバー 159ページ A5判 バーゲンブック: 定価よりも値引して販売することのできる新品の本です。新品とはいえ、経年による劣化などが見られる場合もございますので、ご理解の上ご購入くださいませ。 - 商品紹介 - 京都、鎌倉、北陸、ヨーロッパ——白洲家ゆかりの地を巡る食紀行。祖父母の白洲次郎・正子、小林秀雄とのエピソードも数多く登場。2018年は、白洲正子没後20年。本書は、白洲正子の孫である文筆家・白洲信哉氏による、旅と食のエッセイ集です。京都、鎌倉、北陸、英国、ヨーロッパなど、旅の地で出会った食の恵みを旅の思い出とともに紹介。
-
見ることの塩 上 イスラエル パレスチナ紀行 + 見ることの塩 下 セルビア コソヴォ紀行 | 四方田 犬彦
¥2,640
河出書房新社 2024年 ソフトカバー 320ページ / 328ページ 文庫判 - 内容紹介 - (上巻)テルアヴィヴから、「壁」を越えパレスチナへ――街を歩き、対話を重ね、土地の日常から現代のアポリアに対峙する珠玉の紀行文学。 (下巻)ただ見ることを課された旅は、紛争終結から数年後の旧ユーゴ諸国へ。宗教や民族の虚構性を看過し、世界の矛盾を凝視する紀行文学。 - 著者プロフィール - 四方田 犬彦 (ヨモタ イヌヒコ) (著/文) 1953年生まれ。あらゆるジャンルを横断する批評家。著書『映画史への招待』、『モロッコ流謫』、『日本のマラーノ文学』、『ルイス・ブニュエル』、『詩の約束』、『さらば、ベイルート』など。
-
エピタフ 幻の島、ユルリの光跡 | 岡田 敦
¥2,970
インプレス 2023年 ソフトカバー 240ページ 四六判 - 内容紹介 - 北海道の東端、根室半島の沖合に佇むユルリ島。かつては昆布を採集する漁師の住居や番屋が建っていたが、家畜の馬を残して最後の島民がユルリを離れたのが半世紀前。最盛期には30 頭もの馬が暮らしていたが、その数は減り続け、今では数頭が暮らすだけになっている。上陸が厳しく制限されたこの島の情景は小説『ロスト・ワールド』の世界を彷彿させるようでもある。その島を2011 年から撮り続けているのが写真家・岡田敦。消えてゆくものたちを見つめ、後世に何を伝えてゆくのか。写真と文章で現代のロスト・ワールドを紹介していく。
-
ひとりみんぱく | 松岡 宏大
¥3,520
国書刊行会 2024年 ハードカバー 256ページ 四六変型判 - 内容紹介 - もしかしたら「物の本」だと思っている人もいるかもしれないが、これは「旅の本」だ。(「あとがき」より) ◇ 「ひとりみんぱく」とはなにか? 写真家・編集者・ライターとして世界中を旅してきた松岡宏大氏の部屋には、世界各地の文物であふれている。みんぱく=国立民族学博物館。すなわち、わが家の民族学博物館、それが「ひとりみんぱく」だ。1990年代よりバックパッカーとして世界をめぐり、現地で出会った人々や景色、そして蒐集してきた数々の物もの。土器、漆器、仮面、仏像、絨毯……どこか不思議な魅力をもつ工芸、民藝の数々。インドで、チベットで、ミャンマーで、リビアで、サハラ砂漠で、文物からは旅の記憶があふれだし、含蓄? 蘊蓄? 軽快なるエッセイを挟みつつおくる本書は、物の本か? 旅の本か? 地球をまるごと感じる、The Museum of Ethnology in My Hands! 松岡氏は、『地球の歩き方 インド』をまとめ、美しき絵本『夜の木』で知られるタラブックスの本を上梓するなど、とりわけインドに造詣が深い。私家版『ひとりみんぱく123』『ひとりみんぱく45』が好評、美しい本づくりで定評のサイトヲヒデユキ氏のブックデザインを得て、満を持して世の中におくりだす! 収録物品120点超に、美しい旅の写真。美麗クロス装。 ◇ 「みんぱく」とは大阪の万博記念公園内、太陽の塔のとなりに建つ「国立民族学博物館」の愛称である。本書の『ひとりみんぱく』というタイトルであるが、これは初めて僕が「みんぱく」を訪れた際、「うちにもあるな……」という感想を抱いたことに由来する。 仕事柄、世界中を旅しながら暮らしてきたが、行く先々でその土地の文物を蒐集してしまうところがある。その文物は、世間的な価値とはまったく無縁だが、自分の好奇心の方向性から、その国の文化・歴史・神話を内包しているものを好む傾向にある。そして、日本に帰ったあと、部屋で一緒に旅の思い出を語り合える話し相手のようなものであることが重要だと考えている。もちろん日本で手に入れたものや、人からいただいたものも含まれている。しかし、自分の旅してきた道筋から外れないよう心がけている。蒐集の基準軸は、常に「個人的な旅の記憶」と「人とつながり」に置いている。 今回、本書を著すにあたり自らの蒐集した品々をあらためて見返してみたが、本当に役に立たないものばかりだ。残念だ。同時に、僕にとってはかけがえのないものばかりだ。 これらの文物を手のひらにのせ愛でてみる。重みや質感、細工、その歪みや温みを確かめる。太陽の光の下で陰が際立つものもあれば、暗闇の中でこそ光り輝くものもある。それは自分の手で触れてこそわかることで、自分の足で旅をしてこそ出会える風景と一緒だ。 僕はこれらを手に入れたときに出会った人たちの顔や祈りの景色を思い出すだろう。そこで吹いていた風や夜空を満たす星のことを思い出すだろう。 旅の記憶こそ僕にとっていちばんの財産なのだから。 (「まえがき」より) - 著者プロフィール - 松岡宏大 (マツオカコウダイ) (著/文 | 写真) 写真家・編集者など。『地球の歩き方 インド』など、インドやアフリカを中心に辺境エリアのガイドブックの取材・編集に携わる。共著に『持ち帰りたいインド』(誠文堂新光社)、『タラブックス――インドのちいさな出版社、まっすぐに本をつくる』(玄光社)などがある。またインドのTara Booksよりバッジュ・シャームとの共著『Origins of Art: The Gond Village of Pathangarh』を上梓。写真展として『アディワシ――大地と生きる人々』(bonon kyoto、KYOTO GRAPHIE KG +)、『TRIBES in BASTAR』(Rungta)を開催。KAILAS名義で著作やイベントもおこなう。
-
冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ | 山本 高樹
¥1,980
雷鳥社 2020年 ソフトカバー 288ページ A5横判 縦188mm 横148mm 厚さ16mm - 内容紹介 - 第6回「斎藤茂太賞」受賞。一般社団法人日本旅行作家協会(会長/下重暁子、会員数180人)が主催する「斎藤茂太賞」の選考会が2021年7月8日(木)に行われ、第6回受賞作に山本高樹『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』が選ばれました。 インド北部、ヒマラヤの西外れの高地、ザンスカール。冬になると他の都市をつなぐすべての道が雪と氷に閉ざされるが、厳寒期の1、2月になると、凍結したザンスカール川を歩いて行き来できる幻の道が現れる。この「チャダル」と呼ばれる道を辿る旅は、遠い昔からザンスカールの人々によって受け継がれてきた稀有な伝統であり、世界中のトレッカーにとって憧れの旅路でもある。 しかし、冬のザンスカールの真の姿を見届けるには、チャダルを歩いて辿り着ける場所からさらに奥へと踏み込んでいかなければならないことは、あまり知られていない。 ザンスカールの最深部の山中にある僧院では、「プクタル・グストル」という祭礼が行われると伝えられている。真冬のこの祭りを見届けるため、マイナス20℃にもなる極寒の世界の中、著者が約4週間かけて歩きぬいた苛烈な旅を、詳細に記した紀行文。 ふんだんに掲載された真冬の街、人々、生活を捉えた写真は、資料としても価値のある一冊。 - 目次- 第一章 ザオ・ニンパ 第二章 チャダル 第三章 ルンナク 第四章 プクタル 第五章 ミツェ - 著者プロフィール - 山本高樹 (ヤマモトタカキ) (著/文 | 写真) 著述家・編集者・写真家。1969年岡山県生まれ。出版社での勤務を経て、フリーランスに転身。2007年から約1年半の間、インド北部の山岳地帯、ラダック地方に長期滞在して取材を敢行。以来、ラダックでの取材をライフワークとしながら、『地球の歩き方インド』『地球の歩き方タイ』をはじめとする取材・撮影・執筆などで、世界各地を巡る日々を送っている。2015年からはラダックを中心とした地域で現地発着ツアーのガイドも務めている。主な著書に『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(雷鳥社)、『ラダック ザンスカール スピティ 北インドのリトル・チベット[増補改訂版]』(ダイヤモンド社)など。
-
ラダック旅遊大全 | 山本 高樹
¥2,200
雷鳥社 2023年 ソフトカバー 224ページ B6変判 縦182mm 横129mm 厚さ16mm - 内容紹介 - ようこそ、空と山々が出会う地へ。 インド北部、ヒマラヤの西外れに位置する山岳地帯、ラダック、ザンスカール、スピティ。平均標高が3500メートルにも達する苛烈な環境にあるこれらの土地では、古くからチベット仏教を信仰する人々が、祖先から受け継いできた素朴な伝統文化と生活様式を守りながら暮らしています。 足かけ十数年にわたってこの地での取材をライフワークとしてきた著者が、その過程で蓄積した膨大な情報を整理してまとめたのが本書となります。各地の街や村、僧院などの詳細な解説をはじめ、2019年に外国人の入域が許可されたばかりの地域の情報や、各地で延伸が続けられる道路の最新状況なども網羅。ラダックを旅するためのガイドブックとして決定版と呼べる内容であるだけでなく、綿密な現地取材に基づいた地域研究書としても価値のある一冊です。 前書きなど 広大なインドの大地、その北の端に、平均標高が3500メートルに達する山岳地帯がある。ラダック、ザンスカール、スピティ。チベット仏教を信仰し、古くからの伝統文化を守り続ける人々が数多く暮らすこの土地に、僕は魅了され、長い間、足繁く通い続けてきた。 かつては知る人ぞ知る場所であったこれらの土地に対する認知度は、最近、格段に高まりつつある。インド国内だけでなく、日本を含めた世界各国においても。数多くのインド映画のロケ地に選ばれた影響や、旅行者がWebでシェアする写真や情報の拡散によるところも大きいのかもしれない。その現象は同時に、表面的なイメージや不確かな情報の氾濫によって、これらの土地が観光資源として無闇に消費され、現地の人々の暮らしや自然環境が消耗し、変質してしまう可能性を生じさせている。 この本で僕は、ラダック、ザンスカール、スピティについて、できるだけありのままの姿を正確に記し、紹介したいと考えた。正確な情報こそが、これらの土地の本来の姿を理解するためにもっとも必要なものだと思うからだ。 この本が、かの地を実際に旅する人の手助けになればうれしいし、いろいろな都合でなかなか訪れることができない人にも、いつかその日が来ることを想像しながら読んでもらえるとうれしい。そして、かの地が直面しているさまざまな課題についても、少し考えてみてほしい。そんな思いを込めながら、僕はこの本を書いている。 ようこそ、空と山々が出会う地へ。 - 著者プロフィール - 山本高樹 (ヤマモトタカキ) (著/文 | 写真) 著述家・編集者・写真家。2007年から約1年半の間、インド北部の山岳地帯、ラダックとザンスカールに長期滞在して取材を敢行。以来、この地域での取材をライフワークとしながら、世界各地を飛び回る日々を送っている。本書のほか、主な著書に『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(雷鳥社)、『インドの奥のヒマラヤへ ラダックを旅した十年間』『旅は旨くて、時々苦い』(産業編集センター)など。『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』(雷鳥社)で第6回「斎藤茂太賞」を受賞。
-
未完の巡礼 ―冒険者たちへのオマージュ|神長 幹雄
¥1,210
山と渓谷社 2023年 ヤマケイ文庫 ソフトカバー 384ページ 文庫判 縦148mm 横105mm 厚さ18mm - 内容紹介 - 植村直己、長谷川恒男、星野道夫、山田昇、河野兵市、小西政継。 世界的に知られた6人の日本人登山家、冒険者たちの事績を、『山と溪谷』編集長が現地を訪ねて綴った交流の記録。 本書は、直接面識のある著名な登山家、冒険家や写真家の6人、植村直己、長谷川恒男、星野道夫、山田昇、河野兵市、小西政継らの業績を顕彰した人物ノンフィクション。 すでに揺るぎない実績をもち、多くの著書をもつ彼らであるが、実際にその足跡をたどる旅をからめることで、亡くなった当時と現在とのつながり、継続性に重点をおいた。 世界的な極地冒険家・植村直己は、グリーンランド・シオラパルクへの旅を、アルプスとヒマラヤに数々の記録を残した登山家。 長谷川恒男は、カラコルム・フンザへの旅を。 動物写真家・星野道夫は、アラスカ・シシュマレフへの旅を。 世界最強と言われた登山家・山田昇は、アラスカ・マッキンりーへの旅を。 北極点に単独徒歩到達した冒険家・河野兵市は、愛媛県・瀬戸町への旅を。 そして登山を世界レベルに押し上げた登山家・小西政継は、ネパール・マナスルBCへの旅をトレースする。 彼らのすべてが、1970年代後半から90年代にかけて活躍した業績を残し、現地を訪ねて綴られた彼らとの交流の記録である。 6人中4人が43歳で亡くなっている点もあながち偶然だとは言えなくもない。 全員が志半ばでの遭難であり、残された遺族たちの想いも含めて、彼らの登山や冒険が、われわれにその時代、その行為とはなんであったのか問いかけてくる。 - 目次 - ■内容 はじめに 植村直己 時代を超えた冒険家 長谷川恒男 見果てぬ夢 星野道夫 生命へのまなざし 山田 昇 十四座の壁 河野兵市 リーチングホーム 小西政継 優しさの代償 あとがき 解説 時代と人間への挽歌 角幡唯介 - 著者プロフィール - 神長 幹雄 (カミナガ ミキオ) (著/文) 1950年、東京生まれ。 1975年、信州大学人文学部卒業。在学中休学して、2年弱、アメリカに滞在。 山と溪谷社入社後は『山と溪谷』編集長、出版部長などを歴任し、山岳雑誌、山岳書を編集するかたわら、多くの登山家たちと親交を結ぶ。 海外取材の経験も豊富で、個人的にも60カ国以上を旅する。 主な著書に『豊饒のとき』(1990年、私家版)『運命の雪稜』(2000年、山と溪谷社)『未完の巡礼』(2018年、山と溪谷社)など。共著に『日本人とエベレスト』(2022年、山と溪谷社)があり、第12回「梅棹忠夫・山と探検文学賞」を受賞。 近著に編著『山は輝いていた ―登る表現者たち13人の断章』(2023年、新潮文庫)がある。 日本山岳会会員。
-
PYRAMIDEN | 佐藤健寿
¥2,970
朝日新聞出版 2017年 ソフトカバー 104ページ AB判 - 内容紹介 - 北極圏にあるゴーストタウン・ピラミデン。1998年以降無人になったこの町は廃墟化し、ソ連時代の貴重な景観が保存されている。テレビ番組『クレイジージャーニー』でも話題になった、世界最北廃墟をとらえた美しき写真集。
-
ニッポン周遊記 町の見つけ方・歩き方・つくり方 | 池内紀
¥2,640
青土社 2014年 ハードカバー 325ページ 四六判 - 内容紹介 - 旅の達人、池内紀による全国の町村探訪記 町を選ぶ基準は、 1.経済的に自立していること 2.歴史など由緒があること 3.個性がありそうなこと とはいえ、行ってみるまで現実は分からない。 自立どころか米軍のお膝元だったり、思わぬ温泉の発見に想像外の部分を気に入ってしまったり…。 池内流の旅の極意の見本帳であると同時に、名観察・名解説によって、日本文化の重層性を再確認する旅へと誘う紀行エッセイ。 登場する市町村(目次順) 北海道森町 青森県黒石市 長野県大町市 岐阜県東白川村 愛媛県久万高原町 大分県日田市 千葉県銚子市 長野県須坂市 和歌山県田辺市 広島県尾道市因島土生町 山口県周防大島町 新潟県村上市 福島県棚倉町 三重県津市一身田寺内町 和歌山県高野町 香川県三豊市仁尾 熊本県八代市日奈久 沖縄県金武町 福島県桑折町 福島県檜枝岐村 愛知県蟹江町 三重県尾鷲市九鬼町 島根県安来市広瀬町 佐賀県有田町 埼玉県深谷市 新潟県糸魚川市 静岡県掛川市 岐阜県恵那市明智町 鳥取県智頭町 長崎県佐世保市
-
砂漠の教室 イスラエル通信|藤本 和子
¥968
河出書房新社 2023年 河出文庫 ソフトカバー 256ページ 文庫判 - 内容紹介 - 名翻訳家の原点となる、幻のエッセイがついに復刊! リチャード・ブローティガン、トニ・モリスンなどアメリカ文学のすぐれた翻訳家であり、聞き書きの手法を生かしたエッセイの書き手としても知られる藤本和子。 70年代に刊行された、初エッセイを復刊&文庫化。 1976年、著者はヘブライ語を学ぶため、ユダヤ人の夫と共にイスラエルの語学学校へ。同級生は各国から集まった8歳~70歳の生徒たち。未知の風土、生活、食べ物、そして歴史に向き合い、「他者を語る」ことに挑んだ、限りなく真摯な旅の記録。(解説=平松洋子) “気概と覚悟が、鋼のように貫かれている。 それでいて、思考も身体も外に開かれている。 まさに藤本和子そのひとを体現する原石のような一冊だ。“ ――平松洋子氏
-
ヨーゼフ・ロート ウクライナ・ロシア紀行 | ヨーゼフ・ロート, ヤン・ビュルガー(編・解説), 長谷川圭(訳)
¥1,760
日曜社 2021年 ソフトカバー 126ページ 四六判 縦185mm 横128mm - 内容紹介 - 戦間期の1920年代。オーストリアの文豪・ヨーゼフ・ロートが旅した、言語・文化・宗教のモザイクのような世界、ウクライナ・ロシアの諸都市の人々の暮らしと現実の記録。 キエフ、モスクワ、そしてオデッサへ、さらにレンベルク、バクーあるいはアストラハンへの取材旅行の途上、作家でありジャーナリストでもあるヨーゼフ・ロートは、変幻きわまりない東欧の宇宙空間に潜り込む。1920年代に書かれた彼のルポルタージュは、この時代、この世界で目撃した現実を生き生きと伝える感動的な証言集だ。 ロートの注意深い眼差しは、異なった言語や文化や宗教が隣り合わせにひしめき合うソヴィエト連邦の人々と、彼らの暮らしの現実の姿へ向けられる。この眼差しこそは、レニングラードの路上で繰り広げられるせわしない日常生活でも、ネゴレロイエの国境検問所でも、あるいはヴォルガ川を航行する蒸気船の上でも、どこであれ、ロートが事実を探究し、その独自な文体によって描き出した世界を貫くものだ。その際彼は、国家と教会、独裁政治と言論・表現の自由、貧富の格差など、この社会に存在する抜き差しならない対立関係を描き出す。それと同時に、故郷を失った彼のような者が、旅に身を任せ、ペンを走らせながら、批判的に物事を理解することを通じて、自分自身の故郷を少しずつ回復していく様子が描かれる。それは、彼自身の言葉という故郷だった。 カフカと同じ時代を生きたオーストリアの文豪ヨーゼフ・ロートが、作家・記者の目で観た東欧諸都市の景観と人々の暮らしを独特のスタイルで書き綴った魅力あふれる紀行文で、未発表のまま残されていたウクライナとロシアの旅の報告から、珠玉の17篇を収録。ロートファンならずとも、今、世界史の大転換の一つの中心であるウクライナ・ロシア。戦間期の諸都市の姿がロートの精緻な観察と精妙な筆致によって読者の脳裏に蘇る。読む喜びが帰ってくる寄稿文の楽しさを味わってください。 - 目次 - 一 東からの便り ウクライナブーム ベルリンの最新流行 ウクライナ少数民族 リヴィウ 障害者の葬列 二 ロシアの風景 トコジラミと過ごした夜 レニングラード 三 ソビエトの現実 国境のネゴレロイエ モスクワの亡霊 ヴォルガ川をアストラハンまで アストラハンの不思議 カフカスの民族模様 ロシアの大通り アメリカを目指すロシア 女性と新しい性道徳と売春 教会、無神論、宗教政治 村に広がる町 世論と新聞と検閲 ロシアの神 あとがき 編集者あとがき 謝辞 - 前書きなど - 一 東からの便り ウクライナブーム ベルリンの最新流行 ベルリン、一二月一三日 ときどき、ある民族がブームになることがある。以前は、ギリシャ人、ポーランド人、ロシア人が 人気だったが、今はウクライナ人だ。 私たち西の人間はウクライナ人についてあまり多くを知らない。知っていることといえば、彼らが カフカス山脈とカルパティア山脈に挟まれた草原と湿地の国で生きているということ、ウクライナ台 地は標高が高くて比較的住みやすい土地であったことぐらいだろう。それ以外では、オーストリア人 の戦争外交官が素人仕事から結んだブレスト=リトフスク条約、通称「パンの平和」がウクライナ人 と関係していることをなんとなく知っているだけだ。要するに、私たちは「ウクライナ人」という民 族についてほとんど何も知らないのである。彼らは人食い人種かもしれない。読み書きができないの かもしれない。人種的には「ロシア人の一種」で間違いなく、宗教的には顎髭を生やした司祭が、金 やミルラや香煙を使って儀式を行う原カトリック的な異教を信じている。 このように私たちはウクライナという土地と人についてわずかなイメージしかもっていない。だか ら惹かれるのである。ポーランド人はもう十分すぎるほど西欧化されている。ギリシャ人についても、 映画女優と同じようにギリシャの王も猿に噛まれることがあるという事実を中央ヨーロッパが知って 以来、知らないことは何もない。ロシアは数多くのドイツ人が移住したり戦争で捕虜になったりした ので、もはや外国とは思えないため、寄席や喜歌劇の題材にはなりえない。残るは「ウクライナ」だ けだ。 (かつてのポーランド立憲王国の)ルブリンから移住してきた貧しいユダヤ人がベルリンの東部でた ばこ屋を始めたのだが、店の看板にキリル文字で「ウクライナ・オリジナル」と謳っている。さまざ まなコーヒー・ショップでは若い女性が最新のアメリカン・ジャズに合わせて踊るのが流っているが その踊りは「ウクライナ民族舞踏」と呼ばれている。しかし最新の流行は、何といっても〝ウクライ ナ風〞パントマイムとバレエだろう。 ベルリンは奇妙なほどウクライナ風オペレッタに夢中になっていて、少しでもスラブっぽく聞こえ る旋律はすべて「ウクライナ風」と形容される。この流行に火をつけたのはもちろん本物のウクライ ナ人、正確にはウクライナ合唱団だ。合唱団はベルリンをはじめヨーロッパの各都市で公演を行い、 大成功を収めたのだが、それがきっかけで、国家あるいは政治体制などといったものを利用して金儲 けができることに人々が気づいたのである。しかもこの流行がある現象を引き起こしている。ロシア、 ウクライナ、ポーランドなどの東欧諸国から西欧に移住してきた人々が、ウクライナブームに便乗し て自分たちを古い「ウクライナ人」と呼ぶようになったのだ。 したがって、いわゆる〝ウクライナ〞バレエは、タタールとロシアとコサックの要素が少しずつ入 り交じったごちゃ混ぜ状態になっている。娯楽産業の目的は民族文化を学術的に研究することではな く、人々を楽しませることにあるので、これを問題視する必要はないのかもしれない。だが、ある民 族の芸術を元がわからなくなるほど歪めるのはよくない。それがボリシェヴィキとポーランド人に故 郷を奪われた哀れな民族の芸術ならなおさらだ。 訓練が厳しく、本当にすばらしい舞踏芸術を見せることで知られるアイスパラストでは、現在バレ エ劇の『赤い靴』が披露されている。この作品はウクライナの伝説にもとづいているとされているの だが、舞台背景に描かれた教会はウクライナ(つまりギリシャ・ カトリック教会)のものではなくロシア正教会のものだ。 作品のヒロインはロシア風の髪飾りを頭に付けている│ウクライナの女性が髪飾りにするのは花だ けで、袖と裾に青と赤の飾りがついた白いブラウスを着る。金刺繍の入ったシルクの上着を身につけ ることはない。チェルケス人が生活していたのはウクライナではなくカフカス地方。ウクライナの農 婦が履くのは短いブーツであり、白いバレエ靴ではない。一部の「ホパック」と「コロメイカ (ウクライ ナ舞曲)」を除いて、舞台上では基本的にロシア舞踊が用いられている。 ザラザーニ・サーカスでは、ポーランド王の命により裸で馬の背にくくりつけられ、数日間ウクラ イナの草原を引きずり回されたウクライナ人コサックの英雄にして指導者の〝マゼッパ〞の物語が披 露されているのだが、ここでもまたウクライナの歴史がロシア風にアレンジされている。ウクライナ の聖職者はギリシャ・カトリック教会に仕え、ロシア正教の司祭のような髭は蓄えない。 ウクライナ舞踏団のグラーゼロフは本当にウクライナ人で構成されているのだが、ウクライナ風を 強めるためにあえてナイフを使った踊りを採り入れている│まるでアメリカ先住民だ。彼らはキエ フで有名な踊り手なのだが、高い料金を支払った西欧人にはコロメイカは退屈だろうと考え、わざわ ざ「荒々しい踊り」を見せるのである。実際には、ウクライナ人がナイフを口にくわえて踊ったりす ることは決してない。 本物のウクライナの民族芸術はとても特徴的で、ロシア人やポーランド人あるいはタタール民族の それとはまったく違うものだ。しかしここで興味深いのは、ある国家は国家としての独立を失ったと たんに、喜劇や歌劇あるいは寄席で注目されるようになるという現象のほうである。 西欧諸国における舞台の流行のバロメーターともいえるベルリンは、最近ずっと「ウクライナ的な もの」を上演しつづけている。 ロート 『ノイエ・ベルリーナー・ツァイトゥング』一二時版、一九二〇年一二月一三日 - 版元から一言 - カフカと同じ時代を生きたオーストリアの文豪ヨーゼフ・ロートが、作家・記者の目で観た東欧諸都市の景観と人々の暮らしを独特のスタイルで書き綴った魅力あふれる紀行文で、未発表のまま残されていたウクライナとロシアの旅の報告から、珠玉の17篇を収録。ロートファンならずとも、今、世界史の大転換の一つの中心であるウクライナ・ロシア。戦間期の諸都市の姿がロートの精緻な観察と精妙な筆致によって読者の脳裏に蘇る。読む喜びが帰ってくる寄稿文の楽しさを味わってください。 -著者プロフィール - ヨーゼフ・ロート (ヨーゼフロート) (原著者) 1894年、東ガリシアのブロディに生まれる。1939年、亡命先のパリで死亡。1923年からドイツの代表紙「フランクフルト新聞」の特派員となり、ヨーロッパ各地を巡ってユニークな紀行文を書き送り、売れっ子ジャーナリストとなった。その傍ら創作にも手を染め、1930年の長編小説『ヨブ─ある平凡な男のロマン』は現代のヨブ記と称された。1932年にはかつての祖国ハプスブルク帝国の没落を哀惜の念を込めて描いた『ラデツキー行進曲』を発表し、小説家ロートの名をも不動のものにした。 ヤン・ビュルガー (ヤンビュルガー) (編・解説) 1968年生まれ。文学研究科、小説家。文芸雑誌『リテラトゥーレン』編集者。2002年からは、マールバッハ所在のドイツ文学アーカイブにて従事。ハンス・へニー・ヤン、マックス・フリッシュおよびゴットフリート・ベンに関する著書の他に、『ネッカー川、ある文学旅行』がある。 長谷川圭 (ハセガワケイ) (訳) 高知大学卒業後、ドイツのイエナ大学でドイツ語と英語の文法理論を専攻し、1999年に修士号取得。同大学での講師職を経たあと、翻訳家および日本語教師として独立。訳書に『樹木たちの知られざる生活』(早川書房)、『カテゴリーキング Airbnb、Google、Uberはなぜ世界のトップに立てたのか』(集英社)、『「おいしさ」の錯覚 最新科学でわかった、美味の真実』(角川書店)、『ポール・ゲティの大富豪になる方法』(パンローリング)、『メイク・ザット・チェンジ』(日曜社、共訳)などがある。
-
船旅の文化誌|富田 昭次
¥2,200
青弓社 2022年 ハードカバー 240ページ A5判 縦210mm 横148mm 厚さ18mm - 内容紹介 - 夢と期待を乗せた客船が行き交った洋行の時代を小説やエッセー、絵はがきや旅行パンフレットほかの史料から紹介して、異国文化への憧憬と交流、華やかな出港とその後の苦難の道中、長期間の船上生活を再現する。発掘した140点の図版が旅情をかき立てる。 目次 はじめに 「洋行」という言葉が生きていた時代/福沢諭吉が書いた「船中の模様」/華やかな出港のなかの孤独と別離/にぎやかな出港を演出したお別れのテープ/大揺れの船で発見した耐震壁理論/人生の幕開けを飾ってくれた船旅/外国人との交流で気づかされたこと/近代文学に新しい流れをつくった日本郵船型/階級社会の縮図をみて決意する/片道の航海で終わる人々 序 タイタニック号、いまだ色褪せず 忘れられない悲劇/深海探査装置から送られてきた衝撃映像/海底に散乱するタイタニック号のはらわた/超大型客船で他社を圧倒するWSL/紳士的な振る舞いを見せた大富豪/実は安全性を最も重視した船だった?/ただ一人の日本人乗客が残した手記/石炭庫の火災という「新たな真実」/沈没を早めた?隔壁の歪み/氷山よりも燃料不足の立ち往生を恐れた? 第1話 船の旅、苦しみから楽しみへ 船酔いに苦しんだ歴史上の知名士/船に弱い者同士、同病相憐れむ/船に強い人を見て腹を立てた昆虫学者/酔い止めの薬で救われた野上弥生子/船上の食事に閉口した幕末の留学生/口に合わない食べ物でも威厳を崩さず/無聊に苦しめられた永井荷風/船旅をすると寿命が延びるという人も/船上から見える家々の小さな明かり/船旅の魅力が詰まった瀬戸内海航路/「人は船の旅のたのしさを忘れてゐる。」/船で日本を離れる者の感傷「さらば祖国よ」 第2話 礼儀作法と社交の振る舞い 乗船時の注意あれこれ/多額のチップを手渡してしまう日本人/見栄っ張りの人が周囲に迷惑をかける/チップを先に渡す人、ごまかす人/日本船なのに、なぜ西洋の風習に倣うのか/服装を整えるのは自尊心のため/欧米人の振る舞いに感心した日本人/人生を方向づけてくれた言葉を得て/チャプリンとコクトーの出会い/句会を開いたり、議論を戦わせたり/競売で寄付金を集める慈善活動も/船の上も「旅は道づれ、世は情け」 第3話 「風俗画報」の日本郵船特集号を読む 汽船からの眺めは絵画のようだ/パリの花を詠み、ロンドンの月に嘯く/今日の旅客船は海に浮かぶ一大旅館/当時は外国人船長も少なくなかった/無事到着できれば、一等も三等も同じ/家族や知人に「一片の雁信」を書き送るべし/一等食堂は華麗なる人々の祭典/豚の点眼に、タンサンとシガレット競走/舟遊の快や、実に甲板運動場裡にあり 第4話 豪華客船の第一号、天洋丸出航 歓声に沸き立つ横浜港/客船史を飾る出来事が相次ぐ明治末期/内航は過去のもの、舞台は海外だ/巨船の注文にたじろいだ造船所/欧米の水準に最も近づいた客船/一等船客の外国人を自邸に招いて茶会を開く/「豪華の夢破れて 海の女王空し」/船旅は軽やかなジャズのリズムとともに/豪華客船は音楽も最先端を走っていた 第5話 「優秀客船」とは何か 科学と文化と芸術の結晶/全長が東京駅に匹敵したマジェスティック号/一等大食堂の天井高は九メートル超/ブルーリボンの獲得競争/世界を圧倒するドイツの最優秀船/ドイツ船を手放しで褒める日本人/法学者・高柳賢三のブレーメン号印象記/乗船して感じた階級社会と重大事件/日本でも相次いで優秀客船を建造/客船の規模は市場の規模に比例 第6話 覇を競う二人の女王の物語――ノルマンディ号とクィーン・メリー号 海に浮かぶ美術館の誕生/高度な贅と美が結合した装飾/二等船客として乗り込んだ正宗白鳥/浮気心を起こさせないおもてなし/スピードで対決する二人の女王/巨船の外見・中身をイラスト解説/運命の波に翻弄される二人の女王/幽霊保険に加入したクィーン・メリー号 第7話 乗客の最大の楽しみは食事だった 生演奏の音楽が雰囲気を優雅に演出/ホテル王リッツの名声が客船にも及ぶ/鏡のような海で最後の晩餐/瀬戸内海航路でもお目当てはご馳走/一航海で同じメニューは厳禁/いちばん頭を痛めたのは食事時の席次/浅草海苔を勧められたアメリカ人/ホテルの料理人が客船で修業/乗客には懇切丁寧な配慮が/『給仕の執務心得』、その中身とは/喜劇王チャプリンを獲得した秘策/食通の外国人にも愛された「スキヤキ・パーティ」/メニューのデザインも楽しみの一つ/調理師学校の校長を感動させた料理長 第8話 客船だからこそのおもてなし 太平洋横断百三十二回の事務長、大いに語る/乗客を片時も飽きさせないために/余興の域を超越した船員たちの隠し芸/船好きだった大谷光瑞の愉快な逸話/新しい設備導入もサービスの一つ/「世界的創造」の冷房装置/タウトが感銘を受けた花毛布/サービスに対するチップ、その裏事情/日本人が船内装飾を手がける時代に/客船設計者・和辻春樹のサービス論/船客自身が配慮する「他人へのサービス」 第9話 ゲーテも夢想した二大運河を通航 岩倉使節団も通航したスエズ運河/スエズ運河で命拾いした本多静六/フランスへ引き返したかった天皇の料理番/スエズ運河通航中にカイロ観光/パナマ運河の工事に携わった日本人/生まれて初めて見る光景に騒然 第10話 旅情の波間を進む連絡船 稚泊連絡船は霧のなか、汽笛を鳴らして/国鉄連絡船の時代/デッキで食べた讃岐うどん/連絡船から海底鉄道へ/日本と韓国の歴史を運んだ連絡船/中国とつながっていた門司/上海へは下駄を履いて 第11話 世界一周という壮大な旅のなかで 世界初の世界一周クルーズ船が日本に寄港/一種の流行になる世界一周クルーズ/百歳の乗客が気炎を吐いて話題を提供/国際親善に役立った小学校訪問/日本最初の団体世界一周、その様子は/三日間にわたって大運動会を開催/巨船を見て西洋への興味が勃然と湧く岡本一平/最も苦心したのはあるぜんちな丸/美しい流線型で好かれた客船/「外国の人はどんなに驚くだろうと、僕は愉快に思います」/世界一周の航程は八十九日間 第12話 悲喜こもごもの移民船 自由の女神像を見て歓声を上げた人々/三等船客であっても、心は錦/移民には無意味な船中生活/活躍する移民船の山城丸/笠戸丸の数奇な生涯/移民たちの負担を減らした政府援助/移民を輩出したその裏事情とは/移民たちに欠かせなかった移民宿/終生忘れられない仮装大会 第13話 「南洋の島々」という新しい世界へ ペリー提督が訪れた無人島/歴史の海に漂う小笠原諸島/小笠原旅行に勝るものなし/東京・芝浦から四日目に父島へ/著名士が関心を寄せた南洋群島/日本の統治下に入って移住者も急増/石川達三は未知の土地への好奇心を抱いて/南洋で見た美しさと哀しみ 第14話 活字が伝える船旅の魅力――新しい書物と怪事件と白昼夢 海に出て新しい書物を開こう/巨大な密室で起きる事件の数々/豪華カジノ船という新しい試みのなかで/現実と虚構が錯綜する奇妙な出来事/日本文学者は海に無関心だという意外な批判/旅行雑誌として充実していた英文PR誌/船旅の時代を象徴する言葉の数々 おわりに 建造中の火災事故、そして新型コロナウイルスの感染/新技術を導入した最先端のクルーズ船/徹底的に追求された食品衛生の安全性/常連客の賢い“航海術” 版元から一言 江戸末期に洋行した福沢諭吉、ニューヨークからナポリに向かった有島武郎、ハイカラなフランスをめざして「船旅文学」を打ち立てた島崎藤村。大使館に赴任する家族に同行した女性、新天地に将来をかけた移民たち、あるいは船旅で寿命が延びる感覚を受けたという鶴見和子と俊輔の父・祐輔、船中を和服で通した新宿中村屋の創業者・相馬愛蔵……。 夢と期待を乗せた客船が洋上を駆け巡った洋行の時代、「海の外に出る」ことは生きることそのものだった。暮らしが船旅と結び付いていた時代の営みを、小説やエッセー、絵はがきや旅行パンフレットほかの史料を示しながら、さらには造船現場や客船を運航した人たちの視点も交えて、いまや笑い話のような逸話、想像を超える苦難の道中の数々を紹介する。 決死の覚悟で乗船した時代から150年後の現在、客船は最新テクノロジーで操舵され、長い日数を退屈させないイベントも用意されていて、まるで高級ホテルで移動するようだ。 著者が長年をかけて収集した珍しい図版140点が、まだ見ぬ海外への往時の旅情をかき立てる。 - 著者プロフィール - 富田 昭次 (トミタ ショウジ) (著) 1954年、東京都生まれ。ホテル・旅行・歴史作家。著書に『「おもてなし」の日本文化誌――ホテル・旅館の歴史に学ぶ』『絵はがきで楽しむ歴史散歩――日本の100年をたどる』『ホテル百物語』『ホテル博物誌』『旅の風俗史』『ホテルの社会史』『絵はがきで見る日本近代』『ホテルと日本近代』(いずれも青弓社)、『サービスはホテルに学べ』『おひとりホテルの愉しみ』『東京のホテル』(いずれも光文社)、『ノスタルジック・ホテル物語――明治・大正・昭和』(平凡社)など。
-
【古本】The Sea Journal: Seafarers' Sketchbooks | Huw Lewis-Jones, Don Walsh
¥3,800
Chronicle Books 2020年 ハードカバー 320ページ 20.57 x 3.56 x 27.94 cm 英語 - 内容紹介 - 個人的に残された日記や記録、本、手紙などを集めた勇敢な船旅の記録。 本書には、マゼランと旅をしたイタリアの航海士であるアントニオ・ピガフェッタやキャプテン・クックの最初の航海に同行したタヒチ人のトゥピア、女性で初めて地球一周の航海に成功したジャンヌ・バレなどの歴史的な人物たちの記録も含まれています。 ・60を超える人物の肖像やカラフルなスケッチ、地図などを収録。 ・極寒の北極から南国のパラダイスまでの様々な冒険。 ・様々な時代の貴重な資料を収録。 状態:非常に良い ほぼ新品の状態です。