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みんなが手話で話した島 | ノーラ・エレン・グロース, 佐野 正信(翻訳)
¥1,188
早川書房 2022年 ハヤカワ文庫NF ソフトカバー 304ページ 文庫判 縦157mm 横106mm 厚さ11mm - 内容紹介 - 聴覚障害のある人が多く暮らし、聞こえる聞こえないにかかわらず手話を使って話していたマーサズ・ヴィンヤード島の驚きの実話。
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マル農のひと|金井 真紀, 道法正徳(監修)
¥1,870
左右社 2020年 ソフトカバー 248ページ 四六判 - 内容紹介 - 爆笑必至。パワーワード満載で描く、超パンクな「農のひとびと」ノンフィクション!! 瀬戶内海に浮かぶ島の農協で仕事をしながら道法正徳さんがたどり着いた魔法のような農法ができるまで。ギュッと縛って砂利を撒く驚きの農法はどうやって確立されたのか。 2部では農法実践者のはなしを聞く。隠れキリシタン、水俣、原発…変なおっちゃんに連なるやっぱり変な農のひとたちのはなしから、色とりどりの人生が見えてくる。 目次 はじめに 登場人物 第1部 農の伝道師、道法正徳さんのはなし シンプルでまったく新しい農法ができるまで 農法を伝えるために、東へ西へ え? 縛るだけでいいの? チャラ男、技術指導員になる すべては、ひとつの疑問から始まった ひとを見ないで、ミカンを見る 大切なのは石ころじゃった ちょっといっぷく1 改めてミカンについて考える かっこいい先輩、現る 禁断の縛り」との出会い その栽培方法はデマですよ あっと驚く植物ホルモン! いままでのせん定はまちがっていました ガリレオになった日 そしてついに、本格的な左遷…… 手抜きして、いいミカンをつくる くだものも野菜も仕組みは同じ 道法スタイルの伝道師となる 第2部 それぞれの農の挑戦 道法スタイルの実践者たち ゲルに住み、リンゴを育てる 林貴士さん 父親に隠れて道法スタイルを実践する ヘイさん ちょっといっぷく2 肥料はいいやつか、悪いやつか 自然栽培を研究する科学者 矢野美紀さん 酪農から転身し、無肥料リンゴを模索する 松村暁生さん 震災後の福島で、電力およびワインをつくる 山田純さん ちょっといっぷく3 自然農法とか有機農業とか 兵庫・丹波に住まう農の達人 橋本慎司さん 走り続ける公務員と水俣病のはなし 福田大作さん おわりに DOHO STYLE 応援隊 - 著者プロフィール - 金井 真紀 (カナイ マキ) (著/文) 1974年生まれ。テレビ番組の構成作家、酒場のママ見習いなどを経て、2015年より文筆家、イラストレーター。著書に『世界はフムフムで満ちている』『酒場學校の日々』(いずれも皓星社)、『はたらく動物と』(ころから)、『パリのすてきなおじさん』(柏書房)、『サッカーことばランド』(ころから)、『虫ぎらいはなおるかな? 』(理論社)など。農業経験は、田植えの手伝いをわずかに5回ほど。 道法正徳 (ドウホウ マサノリ) (監修) 1953年広島県呉市豊浜町豊島生まれ。肥料・農薬を施さない安全でおいしい果樹・野菜づくりの提案、地球環境に重要な地下水を守る農業技術の普及に努めている。国内外で指導、講演を行う。株式会社グリーングラス代表。著書に川田健次名義で『高糖度連産のミカンづくり』(農山漁村文化協会)、監修した本に『道法スタイル 野菜の垂直仕立て栽培』(学研プラス)など。
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人類学者K ロスト・イン・ザ・フォレス|奥野 克巳
¥1,870
亜紀書房 2022年 ソフトカバー 208ページ 四六判 - 内容紹介- 《話題の人類学者による初のノンフィクション!》 ──まるで小説のようなフィールド体験記 ---------------------- 日本を飛び出し、ボルネオ島の熱帯雨林に生きる狩猟民「プナン」のもとで調査を始める「K」。 彼らは、未来や過去の観念を持たず、死者のあらゆる痕跡を消し去り、反省や謝罪をせず、欲を捨て、現在だけに生きている。 Kは、自分とまるで異なる価値観と生き方に圧倒されながらも、少しずつその世界に入り込んでいく……。 目次 ■プロローグ……森を撃つ ■多自然 ▶︎インタールード──ジャカルタのモエ・エ・シャンドン ■時間性 ▶︎インタールード──見失い ■無所有 ▶︎インタールード──明石先生のこと ■人類学 ■エピローグ……ロスト・イン・ザ・フォレスト - 著者プロフィール - 奥野 克巳 (オクノ カツミ) (著/文) 立教大学異文化コミュニケーション学部教授。1962年生まれ。20歳でメキシコ・シエラマドレ山脈先住民テペワノの村に滞在し、バングラデシュで上座部仏教の僧となり、トルコのクルディスタンを旅し、インドネシアを一年間経巡った後に人類学を専攻。1994~95年に東南アジア・ボルネオ島焼畑民カリスのシャーマニズムと呪術の調査研究、2006年以降、同島の狩猟民プナンのフィールドワーク。 著作に、『これからの時代を生き抜くための文化人類学入門』『絡まり合う生命』『マンガ人類学講義』『モノも石も死者も生きている世界の民から人類学者が教わったこと』『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』など。共訳書に、エドゥアルド・コーン著『森は考える』ティム・インゴルド著『人類学とは何か』など。
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世界最悪の旅|アプスレイ・チェリー=ガラード, 加納 一郎(翻訳)
¥2,178
河出書房新社 2022年 世界探検全集 ソフトカバー 296ページ 四六変型判 縦191mm 横133mm 厚さ23mm - 内容紹介 - 20世紀初頭、マイナス60度を越す極寒の地で繰り広げられた南極点到達競争。夢破れ、ほぼ全員が死亡した悲劇のスコット隊の、数少ない生存隊員が綴った凄絶・迫真のノンフィクション! - 著者プロフィール - アプスレイ・チェリー= ガラード (ガラード,アプスレイチェリー) (著/文) 24歳で、スコットを隊長とするイギリスの南極探検隊に参加。動物学者ウィルソンの助手をしてペンギンの発生学研究等に従事、冬の行進で“世界最悪の旅”を体験。南極行進にあたっては第一帰還隊に編入され生還。 加納 一郎 (カノウ イチロウ) (翻訳) 北海道大学農学部卒。日本のスキー登山の草分け。朝日新聞社、農林省林業試験所などに勤務のかたわら極地探検を研究。著書に『氷と雪』『極地を探る人々』など多数。日本の第一線探検家に与えた影響は大きい。
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石器時代への旅|ハインリヒ・ハラー, 植田 重雄(翻訳), 近藤 等(翻訳)
¥2,530
河出書房新社 2022年 世界探検全集 ソフトカバー 320ページ 四六変型判 縦191mm 横133mm 厚さ23mm - 内容紹介 - ニューギニアの奥地で、今なお石器時代に生きる人々と接触することに成功、石斧製作の秘密をつぶさに観察して人類学上に貴重な貢献をした探検の記録。 - 著者プロフィール - ハインリヒ・ハラー (ハラー,ハインリヒ) (著/文) 1912年オーストリア生まれ。登山家、探検家。1938年に登攀が絶望視されていたアイガー北壁の初登攀に成功し、アルプス登山史上に不朽の名を刻むなど、世界各地の秘境探検の基礎を築いた。 植田 重雄 (ウエダ シゲオ) (翻訳) 1922年生まれ。早稲田大学文学部哲学科を卒業。早稲田大学商学部教授。専攻は比較宗教哲学。主な著書に『会津八一とその芸術』『旧約の宗教精神』『宗教者のことば』などがある。2015年没。 近藤 等 (コンドウ ヒトシ) (翻訳) 1922年生まれ。早稲田大学文学部仏文科を卒業。早稲田大学商学部教授。フランス紀行文学の研究家として活躍する一方、登山家としても著名で、山岳・紀行文学を中心に著訳書、山岳写真集など多数。2006年没。
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アマゾン探検記 |ウィリアム・ルイス・ハーンドン, 泉 靖一(翻訳), 関野 吉晴(解説)
¥2,530
河出書房新社 2022年 世界探検全集 ソフトカバー 242ページ 四六変型判 縦191mm 横135mm 厚さ22mm - 内容紹介 - 密林を分け奔流と闘い6200キロに及ぶ大アマゾンの流域をくまなく踏査。現地の風俗や習慣、各地の産物や交易品の数々を紹介した臨場感溢れる探検記の名著。ナビゲーション:関野吉晴。 - 著者紹介 - ウィリアム・ルイス・ハーンドン (ハーンドン,ウィリアム,ルイス) アメリカ合衆国の軍人。1851年、合衆国海軍大臣の命に従い、アマゾン河流域の情報収集のため、ペルーよりアマゾン河口までを探検。各地の産業発達の状態、風俗・人口・産物・交易品・気候・地下資源などを調査。 泉 靖一 (イズミ セイイチ) 京城大学教官としてニューギニア、オロチョン族、蒙古族の調査に専念。東京大学助教授となってからは、文化人類学部門の創設・充実に尽力。「東京大学アンデス学術調査団」を組織し、古代アンデス文明の解明に貢献。 関野 吉晴 (セキノ ヨシハル) 1949年東京生まれ。探検家、医師。アマゾン全域踏査隊長としてアマゾン川全流を下る。93年よりグレートジャーニーに挑み、02年2月10日、タンザニア・ラエトリに到着。99年、植村直己冒険賞を受賞。
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あなたのルーツを教えて下さい|安田 菜津紀
¥1,980
左右社 2022年 ソフトカバー 320ページ 四六判 - 内容紹介 - ルーツを隠さなければならない社会は、決して「豊か」とは言えない──── 朝日新聞社の言論サイト「論座」にて連載中のエピソードから書籍化。今もなお取材を続ける中で、今回、あらたに書き下ろしを2本収録。2021年3月、名古屋入管内で亡くなったスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん。なぜ彼女は命を奪われなければならなかったのか。彼女が生きてきた証をたどるために故郷スリランカでの取材を敢行。さらに、ヘイトに抗い、「ともに」を掲げ続けてきた川崎・桜本にある「ふれあい館」の取材から、差別について問う。 目次 なぜ、父は自身の「ルーツ」を隠してきたのか? ベトナムから一人、木造船で海へ/南雅和 ロヒンギャとしてのルーツを隠し生きた日々の先に/カディザ・ベゴム 日本でもドイツでも、自分の存在は「他者」だった /牧野アンドレ 「なんでガイジンが」と言われても続けた寿司修業/マウン・ラ・シュイ 「自分は何人か」から始まった、朝鮮半島ルーツの人々を訪ねる旅/ちゃんへん. 自ら選んだ「名乗り」、「違い」という宝/中村一成 なぜ、「ともに」を目指し続けるのか? 川崎、桜本を歩く ラップという、暴力ではない表現を得て/ジュニオール・ヘスス カメルーンから日本へ、絵を通して人とつながった原点/星野ルネ 堂々と私でいられる場所をニホン語の中につくる/温又柔 8歳まで「無国籍」、伝えたかった「ママの人生は間違ってなかった」/三木幸美 二つの国の「ジャーナリズム」に触れて/房満満 いつの日かジャスミンの香る故郷シリアへ/ガムラ・リファイ なぜ、その命は奪われたのか? ウィシュマさんの生きた軌跡をたどって おわりに 取材を振り返って 主要参考文献 前書きなど 異なる「ルーツ」を持つ人たちが、どう同じ場を分かち合っていくのか。その模索のはじまりは、人との手触りのある対話です。コロナ禍で、人が集ったり、たわいもない会話を楽しんだりするひと時はぐっと減ってはいるものの、それに近い感覚を、どうメディアを通して築いていくことができるのか、ずっと考え、一冊の本を編むことを思い立ちました。(「なぜ、父は自身の「ルーツ」を隠してきたのか?」より) - 著者プロフィール - 安田菜津紀 (ヤスダ ナツキ) (著/文) 1987年、神奈川県生まれ。Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)所属フォトジャーナリスト。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『それでも、海へ 陸前高田に生きる』(ポプラ社)、『写真で伝える仕事 ―世界の子どもたちと向き合って―』(日本写真企画)他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。
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東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート|青山真也
¥1,650
左右社 2021年 ソフトカバー 157ページ 10.5 x 1 x 14.8 cm - 内容紹介 - 《映画公式冊子》東京五輪を理由に終の住処を失った住人たちの記録 稲葉剛、ヴィヴィアン佐藤、ジェーン・スー、七尾旅人 推薦 武田砂鉄による書き下ろしエッセイを加えた完全保存版 1964年の東京オリンピックに伴う開発により、国立競技場近くに建設された「都営霞ヶ丘アパート」。 住民には高齢者が多く、このアパートを終の住処として生活を営んでいた。 しかし「東京オリンピック2020」を理由にアパートの取り壊しが決定。2012年7月、住民に「移転のお願い」が届く── 華やかなオリンピックの影で奪われた、ひとりひとりの生活。 詳細な資料とともに記録する、個々人の小さな歴史。
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辺境の国アメリカを旅する 絶望と希望の大地へ | 鈴木 晶子
¥1,980
明石書店 2022年 ソフトカバー 240ページ 四六判 - 内容紹介 - 日本で貧困問題に長年取り組んできた著者がアメリカ全土48州を巡った旅の記録。人種差別、貧困、銃問題といった近年の社会情勢や歴史・文化にも言及しながら、トランプ政権下で対立と分断に揺れるアメリカの等身大の姿を描き出す。 目次 序章 美しきアメリカのカントリーサイド・ケンタッキーへ――もう一つのアメリカへようこそ 憂うつな旧炭鉱町の朝 緑萌える美しきカントリーサイド 活気ある街と郷土料理 バーボントレイルの完成度 旅には良い街、けれど 第1部 いくつかのアメリカを巡って 第1章 暮らすように旅する(1)――マンハッタンでルームシェア型民泊 ルームシェアでマンハッタンのアパート生活を体験 アメリカのオモテ玄関ニューヨーク ニューヨークのもう一つの顔 マンハッタンの週末 小さな暮らしの場を後にして アップデート 空っぽのマンハッタン コラム① ようこそアメリカ!エリス島に降り立つ 第2章 暮らすように旅する(2)――ノースカロライナのファームステイ 何もないから体験型、ファームステイを初体験 地元食材で楽しむ夕食 手作りの暮らしを知って 暮らしの違いに思いを馳せて アップデート ツリーハウスへの再訪 第3章 Make America Great Again?――錆びついたロックンロールの街クリーブランドの今を訪ねて ラストベルトへの旅がトレンド トリエンナーレのオープニングイベントへ 美しきアーケードの空虚 ロックンロールの殿堂を訪ねて アフターアワーズ コラム② 全米一寂れた街の傑作子ども博物館 第4章 アメリカ版町おこし!――グラウンドホッグデーにパンクサタウニーに行ってきた アメリカの町おこし 早朝の大混雑 “No shadow!” パンクサタウニーの町観光 That's Groundhog Day! 第5章 みたび民泊――シアトルでキャンピングカーに泊まる 注目エリアのおしゃれキャンピングカー リベラルな住宅街でホームレスのおっちゃんに出会う ハンドドリップコーヒーで始まるシアトルの1日 一つの街と道の越えがたき壁 アップデート コロナ禍のアメリカ、見えない犠牲者 第6章 欲望と絶望と――既視感と哀しみのラスベガス カジノの街ラスベガス 全てがフェイクとデジャブ 哀しみのラスベガス コラム③ 銃を持つ自由の国アメリカ 第7章 砂漠地帯と消えた町バグダッド――カリフォルニアのもう一つの顔 カリフォルニアの多様な景色 隠れた見所ゴーストタウン 消えた町バグダッド 大都市と郊外と 第8章 見果てぬキューバ――ラティーノのアメリカを巡る旅 近くて遠い国キューバ リトルハバナの昼下がり クルーズ船の旅 要塞都市サンファン上陸 護られざる城壁の向こう側 サンファンを後にして プエルトリコと沖縄と アップデート キューバにもクルーズにも行けなかった話 コラム④ アメリカのラティーノの多様性 第2部 先住民のアメリカを訪ねて 第9章 さよならコロンブス・デー――バケーションランド・メイン州が向き合う先住民の歴史 「コロンブス・デー」から「先住民の日」へ 全米最初の朝日が昇るバケーションランド 先住民のホームランド 「私たちは今もここにいる」 アップデート 倒されるコロンブス像 コラム⑤ 建国の地を歩く――東海岸三都物語 第10章 ルート66エクスカーション――プエブロ族の遺産を巡る アルバカーキの結婚式 サンタフェからチマヨ教会へ 世界遺産タオス・プエブロと先住民の青いマリア 山間のバス停を数えて 土煙を越えてチャコ・カルチャーへ 危機に瀕するチャコ・キャニオン アップデート 新たなステージへ 第11章 大草原地帯を行く――苦難のきた道をたどり希望を見つけて 大草原に音楽の架ける橋 ウィネバゴ族の涙の旅路 アメリカで一番小さな村を目指して 荒野の西部開拓 「聖地」の招かれざるものたち ウィンド・リバー先住民居留地へ 美しきグランド・ティトン バイソンの消えた丘 都市インディアンから居留地の担い手へ 他国と先住民と共に、国立公園の今 継承される文化と誇り アップデート コロナ禍で牙をむく不平等 第3部 南部を歩く 第12章 南部とはなにか?――世界遺産の街ヴァージニア州シャーロッツビルを訪ねて 初めてのアメリカ・ロード・トリップへ 2人の大統領邸と白人ばかりの田舎町 悲劇の現場シャーロッツビル 南部を巡る旅へ アップデート リー将軍像の撤去された日 コラム⑥ ワシントンD.C.の隠れた見どころ「ブラック・ブロードウェイ」 第13章 綿花畑を抜けてディープサウスへ――アフリカ系アメリカ人の歴史をたどって 美食の街チャールストンの休日 美しい街の暗黒の歴史 サヴァンナの「涙の時間」 南部のゲートウェイ・アトランタへ キング牧師歴史地区 歩き続ける非暴力運動 アップデート アトランタの新たなヒーローたち 第14章 アラバマ・フリーダム・トレイル――We shall overcome 「ボミンガム」へようこそ 迫害と抵抗の足跡 ソウル・フードの名店を訪ねて 賑わう南部料理の人気店へ 「ブラザーフットだよ」 悲劇の現場に響くゴスペル 「血の日曜日」から勝利の行進へ 幾千もの無名の犠牲者を称えて モンゴメリーが生んだ2人のヒーロー キング牧師記念日に再びアトランタ アップデート ジョン・ルイス「最後の渡橋」 コラム⑦ アフリカ系アメリカ人の歴史を知る映画三選 終章 ニューオーリンズの聖者の行進――多様性の向かう先 48州目ミシシッピのブルース街道へ 地元の寄り合い所「ジューク・ジョイント」へ ニューオーリンズの音楽葬 欧州の歴史香るジャズの故郷 多様性のガンボ 町の小さなマルディ・グラ 旅の終わりに あとがき 主要参考文献 前書きなど あとがき (…前略…) 連れ合いからアメリカに駐在となると聞いた時、正直それほど楽しみなものではなかった。「端っこ好き」の私にとっては、アメリカは世界の中心のようであり、王道の行き先だった。一度も旅をしようと考えたことがなかった。 十分な渡航準備期間をもらい移住の支度をしていた頃、アメリカでは大統領選挙が行われ、ドナルド・トランプが当選した。そして、アメリカに無事にたどり着いて程なく、シャーロッツビルであの悲劇が起こった。 この国はどんな国なのだろう? 旅をするうちに、アメリカという国そのものが、居場所を失った人々が自由を求めて世界中からやってくる、世界の辺境のように思えてきた。あまりに多様な人々が生きるこの巨大な辺境は、人の営みのあらゆるものが世界中から持ち込まれ、それゆえに必然的に生まれる人々の対立と克服は、まるで世界の縮図のようであり、壮大な社会実験のようですらある。 いかに人は共に生きることができるのか? 気づけばアメリカ中を旅していた。辺境の中のさらに辺境へ。この国の多彩な風景と、そこにある人々の暮らし、歩んできた道のりを追って走ってきた。 ひきこもりの若者と共に過ごすフリースペースから、困難を抱える子どもたちの多く通う高校内の居場所カフェから、困窮者支援の相談室から、あるいは出張相談に訪れた風俗店の待機部屋から……。私は日本で周縁から社会を見てきた。アメリカの辺境性は、私が見てきたそんな日本の風景とどこか地続きのようだった。 この本を通じて描いてきた人々やアメリカの直面している状況は、全く同じではないけれど、日本のどこにでも潜んでいる。多くの人が気にも留めずに通り過ぎていく街中のホームレスの人たち、食べるものにも困る子どもたちの貧困、衰退する地方の経済、トランプ政権顔負けの残酷な入国管理、増え続ける移民たちが抱える暮らしの苦難、外国人や先住民への差別など、日本の抱える課題の多くが、本書で出てくるアメリカの風景と重なるのではないだろうか。その規模や表出の鮮明さ、態様に違いはあれど、読者の皆さんが、苦悩するアメリカの人たちだけではなく、ここ日本で周縁に追いやられている人たちにも、本書を通じて想いを馳せていただけることを願っている。 私たちは、幸運にも2020年2月末に、最後のミシシッピ州に到達し、アメリカ本土48州の旅を終えることができた。その後、周知の通りアメリカは新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウン、ブラック・ライブズ・マター運動、歴史に残る大統領選挙と年明けの国会議事堂侵入事件と、息つく暇もない激動であった。今もワクチン接種などをめぐる分断と再度の感染拡大を繰り返しながら国は揺れて続けている。それでも、きっとこれまで同様、アメリカは一歩ずつ、この苦難を乗り越えながら、一つの国として歩んでいくのだと信じている。 (…後略…) - 著者プロフィール - 鈴木 晶子 (スズキ アキコ) (著) NPO法人パノラマ理事、認定NPO法人フリースペースたまりば事務局次長・理事、一般社団法人生活困窮者自立支援全国ネットワーク研修委員。臨床心理士。 1977年神奈川県に生まれ、幼少期を伊豆七島神津島で過ごす。大学院在学中の2002年よりひきこもりの若者の訪問、居場所活動に関わり、若者就労支援機関の施設長などを経て2011年一般社団法人インクルージョンネットかながわの設立に参画、代表理事も務めた。その傍らNPO法人パノラマ、一社)生活困窮者自立支援全国ネットワークの設立に参画。専門職として、スクールソーシャルワーカーや、風俗店で働く女性の相談支援「風テラス」相談員なども経験。内閣府「パーソナル・サポート・サービス検討委員会」構成員、厚生労働省「新たな自殺総合対策大綱の在り方に関する検討会」構成員等を歴任。2017年に渡米。現地の日系人支援団体にて食料支援のプログラムディレクター、理事を務めた。2020年帰国。現職。著書に『シングル女性の貧困――非正規職女性の仕事・暮らしと社会的支援』(共編著、明石書店、2017年)、『子どもの貧困と地域の連携・協働――〈学校とのつながり〉から考える支援』(共編著、明石書店、2019年)他。
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海をあげる|上間 陽子
¥1,760
筑摩書房 2020年 ソフトカバー 256ページ 四六判 - 内容紹介- Yahoo!ニュース|本屋大賞2021 ノンフィクション本大賞受賞! 第7回沖縄書店大賞 沖縄部門大賞受賞! 第14回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞受賞! 「海が赤くにごった日から、私は言葉を失った」 おびやかされる、沖縄での美しく優しい生活。 幼い娘のかたわらで、自らの声を聞き取るようにその日々を、強く、静かに描いた衝撃作。 ――― ねえ、風花。海のなかの王妃や姫君が、あの海にいる魚やカメを、どこか遠くに連れ出してくれたらいいのにね。赤くにごったあの海を、もう一度青の王国にしてくれたらいいのにね。 でもね、風花。大人たちはみんな知っている。護岸に囲まれたあの海で、魚やサンゴはゆっくり死に絶えていくしかないことを。卵を孕んだウミガメが、擁壁に阻まれて砂浜にたどりつけずに海のなかを漂うようになることを。私たちがなんど祈っても、どこからも王妃や姫君が現れてくれなかったことを。だから私たちはひととおり泣いたら、手にしているものはほんのわずかだと思い知らされるあの海に、何度もひとりで立たなくてはならないことを。そこには同じような思いのひとが今日もいて、もしかしたらそれはやっぱり、地上の王国であるのかもしれないことを。 だから、風花。風花もいつか、王国を探して遠くに行くよ。海の向こう、空の彼方、風花の王国がどこかにあるよ。光る海から来た輝くあなた、どこかでだれかが王妃の到着を待っているよ。(「アリエルの王国」より) ――― 最後に知るタイトルの意味―― その時、あなたは何を想うか。 ブックデザイン=鈴木成一デザイン室 装画・挿画=椎木彩子 【目次】 美味しいごはん ふたりの花泥棒 きれいな水 ひとりで生きる 波の音やら海の音 優しいひと 三月の子ども 私の花 何も響かない 空を駆ける アリエルの王国 海をあげる 調査記録 あとがき 目次 【目次】 美味しいごはん ふたりの花泥棒 きれいな水 ひとりで生きる 波の音やら海の音 優しいひと 三月の子ども 私の花 何も響かない 空を駆ける アリエルの王国 海をあげる 調査記録 あとがき - 著者プロフィール - 上間 陽子 (ウエマ ヨウコ) (本文) 1972年、沖縄県生まれ。琉球大学教育学研究科教授。普天間基地の近くに住む。 1990年代から2014年にかけて東京で、以降は沖縄で未成年の少女たちの支援・調査に携わる。2016年夏、うるま市の元海兵隊員・軍属による殺人事件をきっかけに沖縄の性暴力について書くことを決め、翌年『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』(太田出版、2017)を刊行。ほかに「若者たちの離家と家族形成」『危機のなかの若者たち 教育とキャリアに関する5年間の追跡調査』(乾彰夫・本田由紀・中村高 康編、東京大学出版会、2017)、「貧困問題と女性」『女性の生きづらさ その痛みを語る』(信田さよ子編、日本評論社、2020)、「排除Ⅱ――ひとりで生きる」『地元を生きる 沖縄的共同性の社会学』(岸政彦、打越正行、上原健太郎、上間陽子、ナカニシヤ出版、 2020)など。現在は沖縄で、若年出産をした女性の調査を続けている。
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未踏の時代|黒川 創, 藤森 照信, 坂倉 竹之助, 大竹 誠, 田中 修司
¥792
早川書房 2009年 ソフトカバー 320ページ 文庫判 - 内容紹介- 1959年12月、〈S‐Fマガジン〉が創刊された。初代編集長は福島正実。それまで商業的に成功したことのなかったSFを日本に根づかせるため、彼の八面六臂の活躍がはじまる。アシモフ、クラーク、ハインラインに代表される海外のSF作家を紹介するとともに、小松左京、筒井康隆、光瀬龍などの“新人作家”を世に出し、SFのおもしろさ、その可能性を広く紹介してゆく……SF黎明期における激闘の日々を綴る感動の回想録。
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武蔵野発 川っぷち生きもの観察記 |若林 輝
¥1,100
山と渓谷社 2021年 ソフトカバー 288ページ 新書判 - 内容紹介- まちなかの川で楽しむ、驚きの自然発見! 散歩がてらに楽しめる非日常のワイルドライフ! 生きものの関係をたどっていけば、身近な川がワンダーランドに! ■内容 第1章川っぷち観察の入口 オオタカがコサギを蹴とばした! /川辺に咲く白い花/ガサガサの達人と待ち伏せの達人 ホシゴイを追ってトンネルの中へ/カモの個性を考える/ほか。 第2章 水辺・水中への視点 春の訪れは海からの魚とともに/いつまでも見ていられるニゴイ野産卵行動 川沿いの木が教えてくれること/川っぷちオーケストラ鑑賞/スイカのようなガメラに遭遇! ? オオバンはクセが強い! /野良グッピーと野良キンギョ/オイカワの産卵場に固執したアオサギ 死んでいたウナギを食べてみた/ほか。 第3章 三面護岸河川「ガタ」 小さなドブ川に希望を見た/旅鳥、タシギと出会う/コイ五百匹! ? 脅威のガタ開き! 足跡から夜の世界を想う/鳥たちのゲ○を調べる/ほか。 第4章 動物たちの回廊としての川 イノシシの足跡をたどる/イバラドームとは? /ケモノたちにとっての回廊/鶏小屋が襲われた! キツネを追って太古の海の岬に立つ/ほか。 第5章 川ミミズとの出会い 川底から虹色に輝くミミズが現われた/砂金のように輝くグリーンダイアモンド/川を泳ぎ、壁を上ってコケを食む/ほか。 最終章 武蔵野の川っぷちで考えた 関係をたどる楽しみ/ほか。 ■著者について 若林 輝(わかばやし・てる) 1972年、東京都生まれ。埼玉県在住。 父に連れられ多摩川・是政橋周辺でクチボソとダボハゼ釣りをしたことが水辺好きの始まり。 以来、武蔵野台地の空き地や水辺が遊び場に。東京水産大学(現海洋大学)で 修士課程まで「サケ科魚類の産卵行動および仔稚魚時の種間干渉」を学ぶ。 一番の趣味はサケ・マスの産卵行動観察。 釣りなどの自然活動をテーマに雑誌や書籍の企画・編集・執筆・出版を行う 編集プロダクション兼出版社「RIVER-WALK(リバーウォーク) 」代表。 社名を冠した川歩きと渓流釣りの雑誌『RIVER-WALK』を発行。
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二重のまち/交代地のうた | 瀬尾夏美
¥1,430
書肆侃侃房 2021年 ソフトカバー 240ページ 四六判 - 内容紹介 - 岩手県陸前高田市で、震災のあとさきやその後の10年間で移り変わっていくまちの姿、まちから失われていくものを記していこうとするアーティストたちの困難な試みの記録。 「交代地」という聞き慣れない言葉の響きが気になる一冊です。
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ブードゥーラウンジ | 鹿子 裕文
¥1,980
ナナロク社 2020年 ソフトカバー 447ページ 19 x 11.9 x 2.8 cm - 帯より - 舞台はライブハウス「ブードゥーラウンジ」。“はみだし者”たちが、好きなことを続けるために、自分の居場所をつくるために、日夜繰り広げる大騒動はやがて物語的結末を迎える―。血湧き肉躍る、ノンフィクション・エンターテインメント! 電波の届かぬところで革命の音が鳴っている 「この冬の時代を、めげんで、あきらめんで、やめずにやり続けた人間ん伊波、かならず、かならず、いい時代がめぐってくる!だからみんなあきらめんなっっ!」
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詩人になりたいわたしX | エリザベス・アセヴェド, 田中 亜希子(翻訳)
¥1,760
小学館 2021年 ソフトカバー 424ページ B6判 - 内容紹介 - 詩で描く家族と恋と友情の心揺さぶる物語 主人公のシオマラは、神さまのことなんか、ぜんぜん信じてない。 「女の子は、いけません。いけません。いけません」 信仰心厚い母親に、こう言われるたびに、 「自分はなんてちっぽけなんだろう」って感じるんだ。 ハーレムに暮らす少女シオマラは、厳格な母親に猛反発しながらも、「言葉」の持つ世界に惹かれていく。 高校のポエトリースラム部で詩のパフォーマンスというものを知り、自己表現の世界にどんどんのめり込んでいく。 「言葉は、ありのままの自分を解き放つ手段」、そのことに気がついたシオマラは、いろいろなことから自由になれた。 【編集担当からのおすすめ情報】 本書は、作者にとっての2作品目となります。 全米図書賞、ボストングローブ・ホーンブック賞、マイケル・L・プリンツ賞、カーネギー賞と、大きな児童書の賞を総なめにした話題作品です。 読者が選ぶ賞も数々受賞していることからも、いかに読者から支持されているかがわかります。 全編、詩で描かれているために、心に直接響くのかもしれません。YA世代から、大人まで、勇気づけられる物語です。 目次 詩人になりたいわたしX 目次 第一部 はじめに言葉があった 第二部 そして言葉は肉体になった 第三部 荒野で叫ぶ者の声