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女の子が死にたくなる前に見ておくべきサバイバルのためのガールズ洋画100選 | 北村 紗衣
¥1,980
書肆侃侃房 2025年 ソフトカバー 224ぺージ 四六判 - 内容紹介 - 「もうダメかも……」を「楽しく生きよう!」に変える、映画の力でサバイブするための100選 あのヒロインみたいになれたらいいな、私と同じだな、私とは違うけどステキだな……。 映画を見ることで、女性であること、少数派であること、自分自身でいることの楽しさに気づける。 もっと楽しく生きる準備をするために、あなたを待っている映画がきっとある。 クラシックな名作から近年の話題作まで、労働問題、恋愛とセックス、フェミニズム、クィア、人種、民族など、多様な視点から厳選した100本の映画ガイド 【もくじ】 プロローグ クラシック 『女だけの都』 女性が政治をすると 『情熱の航路』 いわゆる「毒母」に抗って大人になるヒロイン 『紳士は金髪がお好き』 玉の輿を狙う美女たちのお気楽コメディと思いきや 『デスク・セット』 司書の本気 『幸福~しあわせ~』 どんなホラー映画よりも怖い映画 『教授と美女』 真面目博士とバーレスクの女王のでこぼこ白雪姫物語 『キャット・ピープルの呪い』 心温まるファンタジーホラー おとぎ話 『エバー・アフター』 シンデレラにひとひねり、ふたひねり 『クジラの島の少女』 マオリの伝統を受け継ぐ少女 『魔法にかけられて』 ディズニープリンセスと現実 労働問題 『ノーマ・レイ』 どんどん企業に文句を言おう 『9時から5時まで』 職場の性差別に女性社員の連帯で対抗! 『アフガン零年』 タリバンの抑圧のもとで必死に生きる少女 『ファクトリー・ウーマン』 日常の些細な気づきと努力とちょっとしたオシャレ 『サポート・ザ・ガールズ』 とあるスポーツバーマネージャーのサイテーな1日 ギークガール 『ザ・インターネット』 インターネットが女性の武器になる 『ドリーム』 宇宙を志した黒人女性パイオニアたちを描く 『search /#サーチ2』 インターネットを駆使して母を探す娘の冒険 スポーツ 『プリティ・リーグ』 爽やかな女子野球の世界 『オフサイド・ガールズ』 どうしてもサッカーが見たい! 『少女は自転車にのって』 走るときは、ひとり 『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』 連帯する女性たちと中年男性の危機 芸術 『エンジェル・アット・マイ・テーブル』 メンタルヘルスの問題を抱えた女性の自伝 『バンディッツ』 刑務所の女囚たちがバンドを結成 『フリーダ』 実在の画家フリーダ・カーロのドラマティックな人生を描く 『めぐりあう時間たち』 時代を越えて女性たちを結びつける文学 『これが私の人生設計』 建築界の性差別を諷刺する痛快コメディ ファッション 『パーティーガール』 パーティーガールが司書を目指す! 『キューティ・ブロンド』 ダサピンクを脱する映画の、ダサピンクになってしまった日本語タイトル 『マルタのやさしい刺繍』 やさしい刺繍は革新的な刺繍⁉ 『パピチャ 未来へのランウェイ』 ファッションを通して社会の不公正と戦う 『ミセス・ハリス、パリへ行く』 自分のためにオシャレすること 恋愛とセックス 『アントニア』 おおらかさと戦い 『藍色夏恋』 台湾を舞台に少年少女の恋を描くクィアな青春映画 『ホリデイ』 男女関係に関するヒントを含んだロマンティック・コメディ 『キャロル』 男性に忖度しない女性同士のロマンス映画 『ラフィキ:ふたりの夢』 ナイロビのジュリエットとジュリエット 告発と戦い 『黙秘』 秘密が作る女同士の絆 『ボルベール〈帰郷〉』 大変な目にあっても明るく生きる女性たち 『ハンナ・アーレント』 女性いじめを乗りこえて フェミニズム 『母たちの村』 「伝統」と戦う 『未来を花束にして』 未来とか花束とか、そんなレベルじゃない 『グロリアス 世界を動かした女たち』 フェミニズム運動の連帯をひねったスタイルで描く 『バービー』 人生の意味を探して シスターフッド 『タイムズ・スクエア』 階級の違うふたりの少女の大冒険 『マドンナのスーザンを探して』 「平凡な主婦」と不良娘の出会い 『テルマ&ルイーズ』 やっと訪れた女性のためのロードムービー 『プッシーキャッツ』 ポップでオシャレな見た目に隠れた諷刺 『花咲くころ』 踊る以外は許されないとしても 『裸足の季節』 抑圧をはねのける生き生きした少女たち アクションと冒険 『キャット・バルー』 復讐のためお嬢様がアウトローになる西部劇 『チャーリーズ・エンジェル』 女性のためのお笑いアクション 『奇跡の2000マイル』 砂漠の冒険 『キャプテン・マーベル』 私たちは皆自由に生まれるのに、それを忘れる 『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』 私はバカじゃない ホラー、ファンタジー、SF 『エイリアン』 SFホラーの記念碑的ヒロイン 『コピーキャット』 プロフェッショナル女性ふたりが殺人犯と戦うスリラー 『タンク・ガール』 戦車を乗り回す女性のハチャメチャな活躍を描くSFコメディ 『パンズ・ラビリンス』 プリンセスになるとはどういうことか クィア 『オルランド』 男性から女性になるオルランドの数奇な生涯 『恋のミニスカウエポン』 ハチャメチャなアクションロマンスコメディ映画 『イーダ』 ホロコーストの傷跡とアセクシュアル女性の生き方 『ナチュラルウーマン』 サンティアゴのトランスジェンダー女性の愛と暮らし 『サタデーナイト・チャーチ――夢を歌う場所』 クィアな若者たちを支援するために 『ガール・ピクチャー』 ちょっとしたことで大きく動く人生の可能性 人種・民族 『ウォーターメロン・ウーマン』 自分の先祖を作り出す 『ベッカムに恋して』 サッカーを志すインド系移民の少女 『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』 田舎に住む中国系少女の恋 階級 『エリン・ブロコビッチ』 公害と闘うシングルマザー 『女はみんな生きている』 主婦と移民女性がふとしたことから出会って冒険に 『サンドラの週末』 日の光のほうへ歩き、公正のために戦う 『ハスラーズ』 いけすかない犯罪者たちにどうしても同情してしまう 『燃ゆる女の肖像』 見る主体としての女性たち からだ 『4ヶ月、3週と2日』 中絶が違法だった時代のルーマニアの女性たちの苦労 『モロッコ、彼女たちの朝』 女性同士の細やかな連帯、そして美味しそうなパン 『オマージュ』 芸術家としてのご先祖をたずねて 『コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー』 いのちを軽視する社会 障害と病気 『ボーイズ・オン・ザ・サイド』 トラブルを抱えた3人の女性のロードムービー 『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』 女性芸術家のふしぎな人生 『500ページの夢の束』 若き戦士の大旅行 『トゥルー・スピリット』 海の真ん中でピンク 家族 『グロリア』 子連れ狼ジャンルの金字塔 『母の眠り』 闘病で変わる母娘の関係 『マダム・イン・ニューヨーク』 ことばは道具か、生き甲斐か 『娘よ』 強制結婚から逃げる母娘を乗せたデコトラがパキスタンを疾走 不機嫌なヒロインたち 『冬の旅』 ものすごく感じの悪いヒロインが体現する自由 『ほえる犬は噛まない』 家族愛と風変わりなヒロイン 『ゴーストワールド』 死ぬわけなんかない 『女神の見えざる手』 感じ悪いヒロインのフェミニズム 『女王陛下のお気に入り』 「女は怖い」にならない、女性同士の争い チャレンジ(アート映画) 『ひなぎく』 若い女性ふたりの傍若無人なイタズラ三昧 『男女残酷物語/サソリ決戦』 しょうもないエロティックスリラーかと思いきや驚愕の展開が 『ジャンヌ・ディールマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』 とにかくスローな映画 中学校を卒業してから見よう! 『コフィー』 ふだんは看護師、フリーの時間は犯罪と戦う暗殺者 『バウンド』 レズビアンロマンスが入ったネオノワール 『スタンドアップ』 セクシュアルハラスメントと戦う 『わたしに会うまでの1600キロ』 ひたすら歩き続けるヒロイン 『エクス・マキナ』 青ひげの創造主と自由意志 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 いろいろな要素を含んだ女性アクション映画 『お嬢さん』 帝国とシスターフッド エピローグ 初出一覧と参考文献 索引 - 著者プロフィール - 北村 紗衣 (キタムラ サエ) (著) 武蔵大学人文学部英語英米文化学科教授。専門はシェイクスピア、舞台芸術史、フェミニスト批評。 著書に『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち』(白水社、2018)、『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』(書肆侃侃房、2019)、『批評の教室――チョウのように読み、ハチのように書く』(ちくま新書、2021)、『お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード』(文藝春秋、2022)など。
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あなたがいるから 【第3版】 | 相田 冬二
¥3,960
Bleu et Rose 2024年 ハードカバー 368ぺージ B6変形 - 内容紹介 - 2024年11月30日、相田冬二(Bleu et Rose)は書籍『あなたがいるから』を発刊いたしました。 これは、1999年から2024年までに相田が劇場用パンフレットに寄稿した作品評101篇を収録したものです。全4章構成で、368頁。映画と歩んできた四半世紀をこの一冊に託します。 劇場用パンフレットは、相田が最も大切にしている媒体です。基本的に、映画をご覧になった方しか入手できず、また公開が終わるとほぼ入手できなくなる公式の冊子。映画館で販売され、映画のスーべニール(お土産)と呼んでいいこの存在に、こどもの頃から憧れてきました。パンフにレビウを執筆できることは、相田の誇りであり、毎回、その時点で持てる力をすべて投入してきたつもりです。 いま読むと至らない文章もありますが、それらを排除することはせず、ただ公開順に並べました。筆致には、変わった点と変わらない点いずれもがあります。そこも愉しんでいただければ幸いです。 永くお世話になっており心から信頼する編集者、森田真規さんに編集をお願いしました。この本は森田さんのプロデュース作品と言ってもよいと思います。また、森田さんと一緒に『なnD』というジンを10年以上にわたって作っておられるデザイナーの戸塚泰雄さんにデザインを手がけていただきました。さらに戸塚さんを通して、イラストレーターの箕輪麻紀子さんに表紙のイラストレーションを描いていただくことができました。一流のプロフェッショナル3人がコラボレートしたこの本は、わたしが個人的に「欲しいもの」として出来上がりました。本としての新しさ、みずみずしさ、豊潤さ、すべてがあるとおもいます。 ぜひ、あなたの許に置いてほしい。 (版元紹介文より) - 構成と収録作品 - まえがき *1 黄泉がえり アナーキー・イン・じゃぱんすけ ほとけ トーキョー×エロティカ 黄泉がえり 着信アリ 犬と歩けば チロリとタムラ たまもの カナリア イン・ザ・プール 好きだ、 ストロベリーショートケイクス 魂萌え! キサラギ アヒルと鴨のコインロッカー 転校生〜さよなら あなた 天然コケッコー ジャーマン+雨 全然大丈夫 マイ・ブルーベリー・ナイツ ジャージの二人 トウキョウソナタ レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン わたし出すわ スノープリンス 禁じられた恋のメロディ 半分の月がのぼる空 ブロンド少女は過激に美しく *2 生きてるものはいないのか ゴモラ 孤独な惑星 生きてるものはいないのか さめざめ ル・アーヴルの靴みがき それでも、愛してる ぼっちゃん だいじょうぶ3組 箱入り息子の恋 HOMESICK 潔く柔く きよくやわく ジ、エクストリーム、スキヤキ 神様のカルテ2 友だちと歩こう 東京戯曲 こっぱみじん 神さまの言うとおり 人の望みの喜びよ 極道大戦争 レヴェナント:蘇えりし者 ヒメアノ~ル マネーモンスター ふきげんな過去 ひと夏のファンタジア 白い帽子の女 何者 いたくても いたくても イノセント15 ハクソー・リッジ いつまた、君と ~何日君再来~ 祈りの幕が下りる時 欲望の翼 *3 バーニング 羊の木 去年の冬、きみと別れ ニワトリ★スター 名前 きみの鳥はうたえる 愛しのアイリーン 教誨師 台北暮色 バーニング 劇場版 慶州 ヒョンとユニ 泣くな赤鬼 劇場版ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん 蜜蜂と遠雷 あなたを、想う。 ひとよ ラストレター 影裏 水曜日が消えた あなたの顔 ステップ チィファの手紙 窮鼠はチーズの夢を見る モルエラニの霧の中 *4 四月になれば彼女は 海辺の金魚 サマーフィルムにのって 彼女はひとり 麻希のいる世界 イントロダクション 青春の殺人者 女神の継承 百花 夜を越える旅 あなたの微笑み チーム・ジンバブエのソムリエたち 日の丸〜寺山修司40年目の挑発〜 ひとりぼっちじゃない リボルバー・リリー 台風クラブ まなみ100% めためた すべて、至るところにある 四月になれば彼女は あとがき 全368頁
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[増補]お砂糖とスパイスと爆発的な何か 不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門 | 北村 紗衣
¥990
筑摩書房 2025年 ちくま文庫 ソフトカバー 268ページ 文庫判 - 内容紹介 - ミス・マープルの本当のすごさや、文学史に輝く “キモくて金のないおっさん”を描いた名作、そして新時代のディズニーアニメの悪戦苦闘。あの名作が100倍面白くなり、見たい映画とドラマと本と舞台がどんどん増える、フェミニスト批評集がついに文庫化! 書き下ろし「どうもありがとう、パメラ・アンダーソン」を含む、型にはめない、はまらないものの見方を教えてくれる批評6本を増補してお届けします。 装画 小林紗織 カバーデザイン 名久井直子 - 目次 - まえがき 不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門 1 自分の欲望を知ろう さよなら、マギー ――内なるマーガレット・サッチャーと戦うために バーレスクってなんだろう? BL視点で読む『嵐が丘』 ――関係性のセクシーさを求めて 檻に入っているのは、犬じゃなくて私 ――ヴァージニア・ウルフ『フラッシュ』 女はなぜ悪い男にばかり引っかかるのか? ――『西の国のプレイボーイ』に見る良い男、悪い男 〈コラム〉初任給とヴァージニア・ウルフ 2 男らしさについて考えてみよう キモくて金のないおっさんの文学論 ――『二十日鼠と人間』と『ワーニャ伯父さん』 アメ車、男たちの絆、この惑星最後の美しき自由な魂 ――『バニシング・ポイント』 対等な女を怖がる男たち ――男の幻想に逆襲する喜劇『負けるが勝ち』 プリンセスは男のロマン! ――映画に出てくるお姫様と男たち ロマンティックな映画としての『ファイト・クラブ』 〈コラム〉発展を続けるバーレスク 3 ヒロインたちと出会おう シェイクスピア劇の魅惑のヒロイン、無限に変化する女王クレオパトラ 世紀末の悪女? 自己実現のため戦うヒロイン? ゲイのアイコン? ――オスカー・ワイルドの『サロメ』 べ、別にあんたのためにツンデレを分析してるわけじゃないんだからね! ――シェイクスピア『十二夜』を考える ディズニーに乗っ取られたシンデレラ ――民話の変貌をたどる 理想宮か、公共彫刻か? ――『アナと雪の女王』 〈コラム〉北米のシェイクスピア祭 4 わたしたちの歴史を知ろう 女の子がムラムラしてはいけないの? イギリス文学における女と性欲 「#女性映画が日本に来るとこうなる」の「女性映画」ってなに? ――変わりゆく女たちの映画 女性映画としてのトランスジェンダー女子映画 ――『タンジェリン』と『ナチュラルウーマン』 読書会に理屈っぽい男は邪魔? 女性の連帯を強める読書会の歴史を探る ミス・マープルは何でも知っている ――変わりゆくアガサ・クリスティの世界 〈コラム〉フェミニストの洋服えらび 5 ユートピアとディストピアについて考えよう 愛の理想世界における、ブス ――夢見るためのバズ・ラーマン論 隠れたるレズビアンと生殖 ――『わたしを離さないで』 父の世界からの解放 ――「フェミニスト的ユートピア」を描いた『バベットの晩餐会』 「女だけの街」を考える 女は自由な社会の邪魔者なの? ――ディストピアSFの性差別 〈コラム〉『ダウントン・アビー』と女性参政権運動 6 型にはめない、はまらない 『人魚姫』は何の話なのか? ――『リトル・マーメイド』の原作に戻る ビ ートルズが歌う「ボーイズ」はなぜ面白いか ――歌手のジェンダーと歌詞のジェンダーステレオタイプ ハリー・ポッターとイギリス文学における同性愛 ――『ハリー・ポッターと死の秘宝』精読 レズビアン死亡症候群、サイコレズビアン ――ステレオタイプなマイノリティ描写はなぜ問題? 発達障害と診断された私 ――ASDとADHDだとわかるまでに出会った本や映画について どうもありがとう、パメラ・アンダーソン 単行本版あとがき 批評家は探偵 文庫版あとがき お砂糖とスパイスの賞味期限 - 著者プロフィール - 北村 紗衣 (キタムラ サエ) (本文) 1983年生まれ。武蔵大学人文学部英語英米文化学科教授。専門はシェイクスピア、舞台芸術史、フェミニスト批評。ウィキペディアンとしても活動する。著書に『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち』(白水社)、『批評の教室』(ちくま新書)、『お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード』(文藝春秋)、『女の子が死にたくなる前に見ておくべきサバイバルのためのガールズ洋画100選』(書肆侃侃房)がある。
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不完全な社会をめぐる映画対話 映画について語り始めるために | 河野 真太郎, 西口 想
¥2,640
堀之内出版 2024年 ソフトカバー 368ページ 四六判 - 内容紹介 - こんな映画本を待っていた! 「陰謀論」、「ハラスメント」、「ケア」、「ミソジニー」、「障害」etc...テーマに沿って、現代映画を社会的な視点で語るスリリングな対談。 「好きだった監督がハラスメントで告発されたとき、作品にどう向き合えばよいのか?」「一昔前の作品を見るとジェンダー観に違和感を覚えて楽しめない」等、近年多くの人が直面した問題に寄り添いながら、映画と社会の関係を深く見通す。誰もが感想をSNSで発信し、映画を見ることがコミュニケーションに組み込まれつつある現代で、映画と社会はどのような関係にあるのだろうか?映画を「観る」だけでなく、「語る」ことの比重が増す社会における、新たな地平を描く。 RHYMESTER 宇多丸さん推薦! 「社会が変わり、映画も変わった……映画の見方は、変わったか。 我々自身を問い直す、鋭くも愉快な対話集。シリーズ化希望!」 ●取り上げる作品 『君たちはどう生きるか』『セッション』『天気の子』『ジョーカー』『パラサイト』『ドライブ・マイ・カー』『プラダを着た悪魔』『万引き家族』『マリッジ・ストーリー』『ドント・ルック・アップ』『バーニング』『カモン カモン』『エイブのキッチンストーリー』『ファントム・スレッド』『アイ・アム・サム』『クレイマー、クレイマー』『シェフ』『SWEET SIXTEEN』『ノマドランド』『コーダ あいのうた』『ケイコ 目を澄ませて』『クルエラ』『メイド・イン・バングラデシュ』『オートクチュール』『ミセス・ハリス、パリへ行く』『幸せのレシピ』『二ツ星の料理人』『ミッドナイトスワン』『スキャンダル』『スタンドアップ』『サンドラの小さな家』 etc... ●取り上げるキーワード ハラスメント、陰謀論、ケア、男性性、ミソジニー、ネオリベ、#MeToo、トランスジェンダー、マルチバース、障害 etc... 目次 まえがき──映画と社会についての短い個人史 西口想 【対話1】ハラスメントがある世界で、いかに作品と向き合うか もはやハラスメントの教科書?──『セッション』 「ハラスメントを気にしていたらいい作品は生まれない」というメッセージ いま見ると気になる描写も多いフェミニズム映画──二〇〇〇年代の代表作『スタンドアップ』 社会進出は進んだけれど……──女性たちのリアル 監督のハラスメントをどう考えるか? 被害者と加害者の訴えは「五分五分」ではない 批判がないと、作品が死ぬ──過去の作品をどう評価するか? トランスジェンダー表象の変遷と発展──『トランスジェンダーとハリウッド』 かつて批判されたパターンを踏襲する日本のトランス表象──『ミッドナイトスワン』 「クリーン」な現場で生まれる作品はつまらない? コラム ミーガン・トゥーイーの悪夢 西口想 【対話2】「シャカイ」を描くセカイ系──新海誠作品を読み解く 新海作品で描かれる感性的なもの キャラクターの背景を描かない 「大丈夫」というメッセージの変質 バニラトラックを描くことが、社会を描くことなのか 村上春樹の男性性と帆高 ミソジニーを脱却できない「男の成長物語」 コラム セカイとシャカイのあいだで──新海誠と宮﨑駿 河野真太郎 【対話3】社会を描くとはどういうことか──ケン・ローチ作品 希望のないラストの衝撃 ラストに至るまでの「希望」 家族しかいないことの絶望 ケン・ローチが描いてきた家族 時事性に回収されない、ケン・ローチの作家性 個人の成功をあえて描かない 「ケアラーなのに悪態をついてごめんなさい」 ケン・ローチが描く女性と男性 ケン・ローチと是枝裕和──作品の違い、社会の違い 映画が社会的であるということはどういうことか 個人を描くことから始める 【対話4】陰謀論は、お好きですか? 『ドント・ルック・アップ』と陰謀論 陰謀論はどう変化してきたか? 陰謀論とキリスト教の切っても切れない関係 ネオリベラリズムと大富豪──ハデンとイッシャーウェル ヒロイン像の変化──ミソジニー描写を通じて 一九九〇年代を代表する陰謀論映画──『ファイト・クラブ』『マトリックス』『アメリカン・サイコ』 マルチバースと陰謀論──『マトリックス』とマーベル作品 陰謀論にどう立ち向かうか──『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』 家族主義的な「愛」に対する違和感 さまざまな映画オマージュが持つ意味 ありえた可能性のなかで最低の人生 映画は常に陰謀論と隣り合う 【対話5】それは誰のための映画か──障害と物語 障害を扱った感動作──『コーダ あいのうた』 感動のために障害者を搾取していないかを考える 『コーダ』は誰のための映画か? 健常者向け/障害者向けという線引きの先に コミュニティからの離脱をどう描くか──『リトル・ダンサー』と『コーダ』 新自由主義下の障害者政策 社会がつくりだす障害 一般化できない経験にどう向き合うか 「私の物語は私のもので、コーダにしかわからない」 「ろう者として生まれたかった」は何を意味するのか ケアラーをケアするのは誰か コラム 『ケイコ 目を澄ませて』と障害者のワークフェア 河野真太郎 【対話6】「当事者」が演じることについて──移民・難民と映画 日本で生活する移民たち──『マイスモールランド』 世代間トラウマを乗り越える──『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』再び 繰り返し主題になってきた世代間トラウマ 当事者性と創作の関係 悪意なき差別を丁寧に描く 「見えていない」が、確かに存在する移民社会 社会派映画はなぜ失敗するのか──手法の難しさ 当事者が表に立つ重要性と危険性 「当事者」とは誰なのか 鍵となる概念──インターセクショナリティ コラム 現在地としての『ファミリア』 西口想 【対話7】ケアと男性性──苦悩する男たち ケアと男性性──『ドライブ・マイ・カー』 人間の多重性・矛盾を受け入れること ホモソーシャリティを切り崩す多声性 暴力性が外部化された人物造形 イクメンになる男、最初からイクメンの男──『クレイマー、クレイマー』『マリッジ・ストーリー』 障害と男性性──『アイ・アム・サム』の障害表象 養育権をめぐる法廷闘争──『マリッジ・ストーリー』 解決されない暴力性 コラム 『カモン カモン』とイクメン物語のゆくえ 河野真太郎 【対話8】映画のなかのミソジニー──能力と傷をめぐって ポピュラー・フェミニズムとポピュラー・ミソジニー──#MeToo以降のヒット作を読み解くキーワード 失われた地位を「取り戻す」物語 『ジョーカー』のポピュリズムをどう捉えるか? 原作にはなかった階級性、地域性を織り込む映画たち 「格差」に比べて、あまり意識されない「階級」 弱者男性にとっての父親──『ジョーカー』『バーニング』 いまさら父を越えている場合じゃない──『パラサイト』の親子関係 メリトクラシー社会が崩壊した先の女性たち 【対話9】ファッションを通じて何を描く? 映画に衣装は欠かせない 「お針子」映画とブランド創業者の映画 ポストフェミニズム映画の重要作品──『プラダを着た悪魔』 『プラダを着た悪魔』を上書きする『クルエラ』 女性ヴィランの暴力をどう描くか? 仲良く過ごすために毒を盛る?──『ファントム・スレッド』 ファスト・ファッションの時代に映画は何を描くか? コラム 「透明人間」の夢 西口想 【対話10】おいしい映画──ジェンダー・料理・労働 さまざまな文脈が託される「料理」のシーン 2つの類型──「シェフ」の物語と「料理研究家」の物語 料理の過程を見せる作品/出来上がった皿を見せる作品 料理の描写と性描写の重なり 料理とジェンダー──求められる男性像の変化 不完全な人間でよい、という提案 主婦とバリキャリ女性の対比 半径五メートルの世界を快適に整える現代性 レシピを介して、目の前にいない誰かとつながってゆく レシピと「コモン・カルチャー」 【対話11】 住むこと、住まいを失うこと ケン・ローチのエッセンスを継ぐ作品──『サンドラの小さな家』 生活の基盤としての「家」を問う 偶然でしかつながれない?──階級コミュニティなき時代のコミュニティ ケン・ローチが描く「家」の意味──『SWEETSIXTEEN』 金融危機で消失した家とコミュニティ──『ノマドランド』 公共・福祉の稀薄さから見えるアメリカ社会 家の獲得に紐づいた男性像と、女性のセキュリティ 人間にとって「家」とは何か、「老い」とは何か──『ミナリ』『ファーザー』 「働き続ける主体」という幻想 コミュニケーションとしての映画──あとがきにかえて 河野真太郎 前書きなど 私たちの対話は断続的に四年以上続いた。その過程で得たのは、思いのほかシンプルな楽しさだった。観た映画の面白さやつまらなさを何とかして言語化して、信頼する相手に伝え、私の感想とは違う反応が返ってくること。一つの作品から受け取ったさまざまな側面について、表面的な筋書きを超えて話し合い、対話するなかでもう一度作品の形をなぞって作り直していくこと。 対話を通じて、話すテーマだけでなく、話すこと自体が共同体や社会的なものと触れる行為であるように感じた。本書を手にとってくれたあなたがこの対話から面白さやつまらなさを感じ、語られている内容とは別のことを考えて言葉を見つけ、信頼する誰かに伝えてくれたらとても嬉しい。その繰り返しによって映画と社会はつながりを取り戻し、豊かになっていくのではないか。 ──西口想「まえがき」より 版元から一言 装丁・本文デザイン:森敬太(合同会社 飛ぶ教室) 印刷:創栄図書印刷株式会社 イラスト:馬 小萌 (Toi) Instragram: fancy_toi 本書は、雑誌『POSSE』の43号(2019年11月)から52号(2022年12月)までに連載した「対談型映画批評 映画のなかに社会を読み解く」を再編集し、追加の対談とコラムを加筆したものである。 - 著者プロフィール - 河野 真太郎 (著/文) 1974年山口県生まれ。専門は英文学、イギリスの文化と社会。専修大学国際コミュニケーション学部教授。東京大学大学院人文社会系研究科欧米系文化研究専攻博士課程単位取得満期退学。一橋大学准教授などを経て現職。著書に、『戦う姫、働く少女』(堀之内出版、現在ちくま文庫化)、『新しい声を聞くぼくたち』(講談社)等多数。 西口 想 (著/文) 1984年東京都生まれ。文筆家、労働団体職員。大学卒業後、テレビ番組制作会社勤務を経て現職。著書に『なぜオフィスでラブなのか』(堀之内出版)がある。
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映画のまなざし転移 | 斎藤 環
¥3,080
SOLD OUT
青土社 2023年 456ページ 四六判 - 内容紹介 - 精神分析と映画は、なぜこんなにも相性が良いのか 人物、セリフ、構造……作品のとらえ方のヒントは、精神分析に溢れている。現代の映画シーンにおける記念碑的な作品群を、ときにやわらかい言葉で、ときに精神分析の言葉で論じた、著者渾身の映画批評の集大成。映画への欲求を喚起せずにはおかない130章!
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メロドラマの想像力 | 河野 真理江
¥2,860
青土社 2023年 ハードカバー 352ページ 四六判 - 内容紹介 - 「泣ける映画」はどこから来て、どこへ行くのか メロドラマの想像力は過ぎ去った流行ではなく、現在の表象のなかにも確実に息づいている。その射程はどこまで届くのか。稀代の書き手が遺した、可能性に満ちあふれたテクストたち。解説・木下千花
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日常と不在を見つめて ドキュメンタリー映画作家 佐藤真の哲学|佐藤真
¥3,850
里山社 2016年 ソフトカバー 368ページ 四六判 - 内容紹介 - 00年代、震災前。〔見えない世界〕を映そうとした映画作家の格闘の記録。 「その闇は、どこか遠くではなく、私の・この・日常の・ただ中に あることだけは、たしかなことである」 ー佐藤真(本書より) 『阿賀に生きる』『まひるのほし』『SELF AND OHTHERS』『花子』『エドワード・サイード OUT OF PLACE』などの映画作品や著作の多くで、《日常》と《不在》 にこだわり、90~00年代に潜む闇をじっくりとあぶり出したドキュメンタリー映像作家、佐藤真。公害問題と日常、障害とは、アートとは何か、グローバリゼーションに抗うこと、そして映像のもつ根源的な力とはー。不穏な時代のうねりを前に、佐藤は「世の中を批判的に見る目を持て」と映像と文章で私たちの眠った感覚を刺激しました。佐藤が世を去って9年。映像作家であり、90年代後半の類稀な思想家とも言うべきその哲学を掘り下げ、今を「批判的に」見つめ、未来への足場を探ります。 【寄稿・インタビュー】(50音順) 赤坂憲雄、阿部マーク・ノーネス、飯沢耕太郎、石田優子、大倉宏、奥谷洋一郎、香取直孝、小林三四郎、小林茂、笹岡啓子、 佐藤丹路、佐藤澪、佐藤萌、椹木野衣、諏訪敦彦、想田和弘、 萩野亮、秦岳志、旗野秀人、林海象、原一男、平田オリザ、松江哲明、 港千尋、村川拓也、森達也、森まゆみ、八角聡仁、山上徹二郎、 山本草介、ジャン・ユンカーマン、四方田犬彦 【目次】 第1章 阿賀と日常 第2章 生活を撮る 第3章 芸術 第4章 写真と東京 第5章 不在とサイード 第6章 ドキュメンタリー考 第7章 佐藤真の不在 ⚫︎グラビア 佐藤真1990’sトウキョウ・スケッチ ※佐藤真の東京スナップがミニ写真集として蘇る! 構成・解説:飯沢耕太郎 ⚫︎佐藤真と盟友・小林茂の往復書簡 ※佐藤真の手紙を初収録 ⚫︎ドキュメンタリーをめぐる思考を制作の流れに沿ってまとめた手書きの映画美学校授業配布プリント(カバーに使用) 他 - 著者プロフィール - 佐藤 真 (サトウ マコト) (著/文) 1957年青森県生まれ。東京大学文学部哲学科卒業。大学在学中より水俣病被害者の支援活動に関わる。1981年『無辜なる海』(香取直孝監督)に助監督として参加。1989年から新潟県阿賀野川流域の民家に住みこみながら撮影を始め、1992年『阿賀に生きる』を完成。ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭銀賞など、国内外で高い評価を受ける。以降『まひるのほし』(98)『SELF AND OTHERS』(01)『花子』(01)『エドワード・サイード OUT OF PLACE』(05)など映画監督として数々の作品を発表。他に映画やテレビ作品の編集・構成の他、映画論の執筆など多方面に活躍。著書に『日常という名の鏡ードキュメンタリー映画の界隈』『ドキュメンタリー映画の地平ー世界を批判的に受けとめるために』『映画のはじまるところ』『まどろみのロンドンー映画作家の妄想スケッチ』(以上凱風社)『ドキュメンタリーの修辞学』(みすず書房)。京都造形芸術大学教授、映画美学校主任講師として後進の指導にも尽力。2007年9月4日逝去。享年49。
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定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー | フランソワ トリュフォー, アルフレッド ヒッチコック, 山田 宏一 (翻訳), 蓮實 重彦 (翻訳)
¥4,400
晶文社 1990年 ハードカバー 384ページ B5判 - 内容紹介 - これが映画だ! 映画の巨匠が華麗なテクニックを大公開。サイレント時代の処女作から最後の作品まで、520枚の写真を駆使して語りつくす。「まず読み物として興味津々」「技術面だけにとどまらず、技術と主題、形式と内容とが不可分のものであることを、じつに説明的に語っているところに本書の真の価値がある。」(朝日新聞評)。 『荒木飛呂彦の漫画術』(集英社新書)内で、「必携の一冊」として紹介。