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しゃべるヒト|菊澤 律子, 吉岡 乾
¥3,278
文理閣 2023年 ハードカバー 326ページ A5判 - 内容紹介 - ことばの世界へようこそ! 世界に約7000あるといわれる言語――その言語を理解することは他者理解につながるとの思いから、音声言語・手話言語を含めた「ことば」について、さまざまな科学の成果を新しい視点で紹介します。 目次 はじめに~ことばの世界へようこそ!~(菊澤律子) 第一部 Language ことばとは何か(吉岡 乾) コラム ことばと文字(八杉佳穂) ヒトの言語と動物のコミュニケーションの違い(藤田耕司) 言語シグナルの分析〈言語の二重分節と音声学・音韻論〉(青井隼人・ロバート ジョンソン・菊澤律子) コラム チンパンジーのコミュニケーション(林 美里) コード化・恣意性・文法(桐生和幸) 語用論(高嶋由布子) コラム 人工言語(千田俊太郎) 会話の連鎖組織(坊農真弓) ことばの身体的産出(平山 亮) コラム 人類の進化と言語(野嶋洋子) ことばの脳内処理(井原 綾・藤巻則夫・尾島司郎) 言語習得(巽 智子) コラム MRI画像と言葉の分析(藤本一郎) ことばが使えない時〈言語障害と失語症〉(原 惠子・竹本直也) ことばの機械認識(野原幹司・田中信和・杉山千尋・吉永 司・高島遼一・滝口哲也・野崎一徳) コラム 視覚言語と聴覚言語の習得(佐々木倫子) ことばと機械翻訳(須藤克仁) 第二部 Languages 世界のことば(吉岡 乾) コラム 宮窪手話のタイムライン(矢野羽衣子) 色々に数えることば[音声言語](風間伸次郎) 色々に数えることば[手話言語](相良啓子) コラム ヒトはどうやって言葉を習得するのか(広瀬友紀) 色々な構造のことば[音声言語](吉岡 乾) 色々な構造のことば[手話言語](今里典子) コラム 人生を通して、常に言語を学習する(フランクリン チャン・津村早紀) 色々の名称とことば[日本語](木部暢子) 色々の名称とことば[日本手話言語](大杉 豊・坊農真弓) コラム 手話通訳(養成)に関するアレコレ(木村晴美) 適応することば(中山俊秀) 適応することば[手話言語](相良啓子) コラム コーダの原風景に刻まれることば(中津真美) 影響することば[音声言語](蝦名大助) 影響することば[手話言語と中間手話](原 大介) コラム ヒトと機械の言語理解(佐野睦夫) 出現することば[音声言語](仲尾周一郎) 出現することば[手話言語](ジュディ ケグル) コラム 言語認識装置の進化(酒向慎司) 消滅することば[音声言語](木本幸憲) 消滅することば[手話言語](矢野羽衣子・菊澤律子) コラム 言語景観(庄司博史) 未来へのことば~結びにかえて~(菊澤律子) - 著者プロフィール - 菊澤律子 (キクサワリツコ) (著/文 | 編集) 立民族学博物館 教授/総合研究大学院大学 教授。専門は手話言語と音声言語の比較対照研究、オーストロネシア語族の諸言語、比較統語論。主要編著書に『声の言葉と手の言葉─手話からみた言語学』(ミネルヴァ書房、2023)、『手話が「発音」できなくなる時─言語機能障害からみる話者と社会』(石原和と共編、ひつじ書房、2022)、Proto Central Pacific Ergativity: Its Reconstruction and Development in the Fijian, Rotuman and Polynesian Languages(Pacific Linguistics, 2002)がある。 吉岡乾 (ヨシオカノボル) (著/文 | 編集) 国立民族学博物館 准教授/総合研究大学院大学 准教授。専門は記述言語学、ブルシャスキー語、地域言語研究。主要著書・論文に『フィールド言語学者、巣ごもる。』(創元社、2021)、Eat a spoonful, speak a night tale: a Ḍomaaki (hi) story telling(Bulletin of the National Museum of Ethnology, 46 (4), 2022)、「ブルシャスキー語の名詞修飾表現」(プラシャント・パルデシ、堀江薫編『日本語と世界の言語の名詞修飾表現』、ひつじ書房、2020)がある。
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言語はこうして生まれる 「即興する脳」とジェスチャーゲーム|モーテン・H・クリスチャンセン, ニック・チェイター, 塩原 通緒(翻訳)
¥2,970
新潮社 2022年 ハードカバー 384ページ 四六変型判 縦197mm 横140mm 厚さ25mm - 内容紹介 - 言葉は、今ここで発明されている。認知科学が明かす、まったく新しい言語の姿。相手に何かを伝えるため、人間は即興で言葉を生みだす。それは互いにヒントを与えあうジェスチャーゲーム(言葉当て遊び)のようなものだ。ゲームが繰り返されるたびに、言葉は単純化され、様式化され、やがて言語の体系が生まれる。神経科学や認知心理学などの知見と30年におよぶ共同研究から導きだされた最新の言語論。
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校閲至極 | 毎日新聞校閲センター
¥1,760
毎日新聞出版社 2023年 ソフトカバー 256ページ 四六判 - 内容紹介 - 誰にでも読みやすく正確に伝わることを目指す「新聞の日本語」や、校閲の技術、文字や言葉の話題を発信している校閲記者たちの傑作コラム74編。 誤字や不適切表記と格闘する日々の中、「校閲」の視点でさまざまな題材を面白く、あるいは深く鋭く解く。 作家・逢坂剛氏 絶賛! 校閲こそは、文筆家の生命線である。 校閲を軽んじれば、そのつけは確実に回ってくる。 校閲を知れば、文筆の怖さが分かる。 【本書の主な内容】 「校閲ガール」河野悦子よ、なぜスルー 閲の字は一つ一つ調べること 馬琴の「校閲」誤脱多かりし 「~をはじめ」は始? 初? 仮名? 「般若心教」は教義にあらず 高校野球の記事、三つの「アウト」 『晩春』原節子の「おじさま」とは 新選組と新撰組 どちらを選ぶ? ゲージとケージ カタカナの混濁 チータ、チーター 小さくない違い ハロウィーンかハロウィンか 広辞苑に載った「エロい」に興奮 「コンビ二」に立ち止まれ 日本人も「来日」する 思い込みで「津田沼市」 品川駅は品川区にない……なぜ? 逢坂剛さんの言葉への姿勢に圧倒される 「花向け」の言葉 新年度は不適切 来れる、生きれる 「ら抜き」直す? 「敷居が高い」 本来の意味は ろくろを「ひく」 挿絵を見て納得 岩波国語辞典にみる「雨模様」の模様 辞書に謎の言葉「十七載」とは 折口、柳田……清音の地域性 そうだったのか 福神漬けの読み 三笘選手の笘 苫とどう違う 1カ所「壇ふみ」 誤植はつらいよ ちょう? まち? 「町」の間違い 数え年で7年? 善光寺の不思議 「6月31日」などありえないのに ほか 【目次】 第1章 校閲って何? 第2章 同音の語があふれている 第3章 カタカナ語の落とし穴 第4章 「いかにもありそう」が命取り 第5章 問題は言い回しにあり!? 第6章 辞書の中の奥深い世界 第7章 ところ変われば…… 第8章 名前は唯一無二のもの 第9章 確認は文字だけ? いえ無限です
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フィールド言語学者、巣ごもる。 | 吉岡 乾
¥1,980
創元社 2021年 ソフトカバー 288ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ20mm - 内容紹介 - 話題書『現地嫌いなフィールド言語学者、かく語りき。』 著者による、待望の新刊! フィールドへ出られなくなったフィールド言語学者が語る、 最高におもしろい言語学のはなし。 * 著者は、大阪の国立民族学博物館に勤務するフィールド言語学者。パキスタンとインドの山奥で話者人口の少ない言語を調査しているが、2020年は世界規模の新型コロナウイルス感染症蔓延でフィールドへ出られなくなり、長らく「巣ごもり」をすることとなった。本書は、著者がそのような生活の中で、日常に溢れる様々な現象を言語学者目線で眺めて考えたことを綴った言語学エッセイ。世界の多種多様な言語の例を用いながら、言語学の諸分野の知識が親切かつユーモアたっぷりに語られる、最高の知的エンターテイメント。イラスト:朝野ペコ * ●「はじめに」より一部抄録 日常には言語が溢れている。言語が溢れていないところは、人間の居ないところだけだ。 言語学者は言語を食い物にしている。言葉を選ばなければ。だが、その事実を改めて大っぴらにしてしまうと、「危機言語が消滅したら、言語多様性が失われたら、マズいよね!」などと言語学者が幾ら声高に、意識高そうに訴えたところで、「我々の餌がなくなりそうだから、皆も気を付けて!」に聞こえてしまって白々しく響きそうだから、言葉遣いには気を配らなければならない。開けっ広げにそんな言いかたをするのは止そう。ちなみにここでの「我々」は聞き手(あなた)を包括していない。聞き手(あなた)を除外した集合である。 もとい、言語学者は言葉に意識を向けがちである。憖(なまじ)っか言語について考える思考基盤の知識を身に纏ってしまっているため、意図的にその意欲を封じ込めない限り、不図した瞬間、耳目に触れた言葉を、言語学的に矯(た)めつ眇(すが)めつ愛で始めてしまったりするのが、言語学者の多数派である。僕はそう信じている。怠惰な生活態度に定評のありそうな僕ですらそうなんだもの、他の研究者たちはもっと熱心に物思いに耽っているに違いあるまい。 言語学メガネを着用すると、日常の暮らしの中に、隠された一面が伏流のように存在しているのが、さもAR(拡張現実)かの如くに見えてくるのだ。 本書は、フィールド言語学者である僕が、高尚さのかけらもなしに、そんなふうに言語学目線で漫ろに思った日々のアレコレを詰め込んだ一冊となっている。フィールド研究者を謳っていながら、世界規模の新型コロナウイルス感染症蔓延でフィールドに出られなくなり、テレワークも推奨されて、二〇二〇年の春以降は長らく「巣ごもり」をすることとなった。そしてそんな妙な事態になったものだから、時間の余裕ができるかもなどと勘違いして、筆のまにまに書き出したのである。……(以下略) 目次 ※制作中のため、変更が生じる可能性があります。 はじめに 言語学概念図 Ⅰ. ▼言語学が何をして何をしないか 言語学がすること/言語学がしないこと/言語学で夢を見られるか ▼文法のない野蛮な言語を求めて ブルシャスキー語と出合った/そして「文法のない言語」に出合った ▼語学挫折法 ちゃんとした発音を身に付ける/毎日欠かさず続ける/本気になれる動機を作る/語学継続法 ▼喋る猫のファンタジー 猫の言語の研究の古今東西/人語を話す猫を科学する ▼差別用語と言葉狩り 言語表現の曖昧さ/協調性と文脈による支えが理解を絞り込む/「差別用語」という幻想 ▼僕は言葉 私の僕と俺/言葉とキャラ/敬語と距離感/言葉とアイデンティティ/言葉は映りの悪い鏡 Ⅱ ▼日常をフィールド言語学する しがない関西弁のメモ書き/動画配信サイトをフィールドワークする/漫画をフィールドワークする/生の言葉を相手取ってこそ ▼【緊急】リモート調査チャレンジ 「 」研究者/リモート調査の試み ▼翻訳できないことば 翻訳と意味/語彙は構造をなしている/言葉による概念の切り分け/言葉にへばり付いたイメージ/各人の頭の中の百科全書 ▼言語が単一起源ではない理由 生物の樹形図と言語/生命体の化石、言語の化石 ▼淘汰されたプロの喩え話 様々な言い換え表現/見立て・擬え/歴々のミームたち ▼無文字言語の表記法を編み出すには 文字のメリットと、個別に書かれ始める無文字言語/文字化することの難しさ/社会的問題と綴り字の癖と/骨折り損は避けたいので ▼例のあのお方 ハリー・ポッターと例のあのお方/区別する音の違いと借用語への姿勢/ハリー・ポッターと個々のキャラ名/外来語に開拓される発音の幅 Ⅲ ▼どうして文法を嫌うのか ルールは類推を可能にし、表現力を爆増させる/新表現を書き散らかす/深掘りで文法は面白くなりだす ▼軽率に主語を言えとか言う人へ 主語とは何か/助詞の「が」が付いたものは?/主語でも主格でもない、主題 ▼意味と空気 意味とは何かを考える/意味以外の意味 ▼語とは何か 通言語的な「語」の定義/「猫が鳴く」の語数は?/音韻的な側面から/分離のし易さ・し難さを考慮する/結局、「語」とは何か ▼ことばの考古学 どうやって言語を手掛かりとするか(一)/どうやって言語の手掛かりを発掘するか/どうやって言語を手掛かりとするか(二) ▼日本語はこんなにも特殊だった 日本語は平凡である/日本語は平凡とも稀有とも言い難い/日本語は稀有である ▼なくなりそうな日本のことば 琉球諸語は日本語とは別の言語なのか/話題に上がることの少ないもう一つの言語/日本の大きい言語から小さい言語まで/冒頭から僕は「日本で話されている言葉」と言っていた おわりに 言語解説 参考文献 - 著者プロフィール - 吉岡 乾 (ヨシオカ ノボル) (著/文) 国立民族学博物館准教授。専門は記述言語学。博士(学術)。1979年12月、千葉県船橋市生まれ。2012年5月、東京外国語大学大学院博士課程単位取得退学。同9月に博士号取得。博士論文の題は「A Reference Grammar of Eastern Burushaski」。2014年より、現職。 大学院へ進学した2003年よりブルシャスキー語の研究を開始し、その後、パキスタン北西部からインド北西部に亙る地域で、合わせて7つほどの言語を、記述的に調査・研究している。著書に『なくなりそうな世界のことば』『現地嫌いなフィールド言語学者、かく語りき。』(ともに創元社)。