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SLOW WAVES issue04
¥1,000
なみうちぎわパブリッシング 2025年 ソフトカバー 152ページ 新書判 ※トンガ坂文庫店主 本沢も日記を寄稿いたしました。 海の文芸誌「SLOW WAVES」第4号。 特集は「日記の中の海」。 リオ、済州、岐阜、鎌倉、尾鷲、島根…東西の海辺、記憶の海辺で語られる、日常のすがた。日々のそばにある海のうつくしさをお届けします。 責任編集・今枝と、ひびうたバックハウス村田奈穂による往復書簡を同時収録。 (版元紹介文より)
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詩探しの旅 | 四元 康祐
¥2,420
日経BP 日本経済新聞出版 2024年 ソフトカバー 280ページ 四六判 - 内容紹介 - 旧ユーゴ、北欧、南欧、中東、南米、香港……この20年、世界各地の詩祭を渡り歩いてきた。詩を書くのではなく、詩を生きることを僕は学んだ。 ――それでは宴へと参りましょう! 「四元さん、僕の代わりにマケドニアに行ってみない?」そう言ったのは、詩人の谷川俊太郎だった。古都ストゥルガで開かれる国際詩祭に招待されているのだが、都合がつかないのだという。(中略)当時の僕は四十代半ばで、ミュンヘン在住。駐在員として二十年以上勤めた日本の製薬会社を辞めると決めた直後だった。詩人としての活動と二股をかけるのが、時間的にも精神的にもきつくなってきて、しばらく詩の方に専念してみようと思ったのだ。詩祭への出席は、その出発に向けての、谷川さんからのはなむけだった。(本文より) - 目次 - 谷川俊太郎さんの名代/仏教・エコロジー・蕪村/言葉と現実の緊張関係/文字通りの母語/停電の町で/二日酔いの雅な調べ/深い眠りのうちに/定住者の支配/炎にくべる魂/ヒップでクールな骨/生と死の二律背反/知性と情熱が声になる/狙撃兵と頭上の鳥/荒野のオリーブ/アラブの少女、ラップの熱唱/谷川俊太郎の「き」/現在に直結する「戦時下」/悲しいと苦しいは違うんだ/香港と自由/傷ついた街を書く/去る者と「留まるコツ」/孤独をのぞく目/政治の街、個人の痛み/ゆがんだ想像力/連詩は川の流れのように/野蛮な世界の桃源郷/「私はいなかった」けれど/地中の「ユダヤの民の歌」/タニロクのブンコウ/日中韓の歌の宴/征服者の言葉で/精神的なワクチン/スーツケースの移動図書館/いや、AIで書けるよ/憎悪を裏返す/酷似した中ロの事情/不利な道を選ぶ者/脱出不可能の無人島/スペインの俳句/肉声、そして土の匂い/ノーベル賞詩人の昼食/ブロンテ姉妹の物語/旅するビスケット缶/佐渡とウェールズ/インカレポエトリの風/地球という一座……など103篇 - 著者プロフィール - 四元康祐 (ヨツモト ヤスヒロ) (著/文) 1959年大阪生まれ。82年上智大学文学部英文学科卒業。86年製薬会社の駐在員としてアメリカに移住。90年ペンシルベニア大学経営学修士号取得。94年ドイツに移住。2020年、34年ぶりに生活の拠点を日本に移す。『世界中年会議』で山本健吉賞と駿河梅花文学賞、『噤みの午後』で萩原朔太郎賞、『日本語の虜囚』で鮎川信夫賞を受賞。ほかの詩集に『ゴールデンアワー』『小説』『シ小説・?膠』『ソングレイン』など。『フリーソロ日録』『龍に呑まれる、龍を呑む――詩人のヨーロッパ体験』などの詩文集、『偽詩人の世にも奇妙な栄光』『前立腺歌日記』などの小説、『谷川俊太郎学 言葉VS沈黙』『ホモサピエンス詩集――四元康祐翻訳集現代詩篇』『ダンテ、李白に会う 四元康祐翻訳集古典詩篇』『ミャンマー証言詩集1988―2021 いくら新芽を摘んでも春は止まらない』などの詩論、翻訳まで著作は多数。
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とても小さな理解のための | 向坂 くじら
¥2,200
百万円書房 2024年 仮フランス装 232ページ 四六変形判 縦130mm 横160mm 厚さ18mm - 内容紹介 - 日々の息苦しさからの解放。 ここに綴られた詩は、あらゆる事象の境界を 溶かし、生まれたての眼で世界を見せてくれる。 又吉直樹(お笑い芸人) 幼さを内包しながら、少女は溶ける。 羽化した大人の身体。虫の眼で見つめる世界。 日常の美しさと痛みを描き出す、透明な言葉たち。 今日マチ子(漫画家) 「幸福な人間に詩は書けない」とある詩人は言ったが、わたしはそれを信じない。くじらさんは手を伸ばす。いま匂いや重みをもつきみ、おまえ、あなたへと。あなたの向こうの窓やその先へと。その道すがら、出会う誰かと互いに呼吸を渡し合って、生きて詩を書きつづける彼女のことを、わたしは誰よりも信じている。 堀静香(歌人、エッセイスト) 名著、復活。 向坂くじらデビュー詩集、増補・新装版。 目次 星座 ●キッチン 二十七歳 迷子 四月の昼 月子、ハズゴーン 満潮 サービス 怒りだ 誤認 潮鳴り トマトポークカレー(もっとも個人的な) ●玄関口 牛乳を一杯わけてください ほしがる 棲みうつる日 ちいさな群れ 城塞 変態 ●子どもたち 区別 線とハサミ クライスト 踊り 月が欠ける 性的な誘い 目撃 提案 あったかくして ●波のうつ部屋 君の帰りを待ちながら書いた詩 食いちがう 波のうつ部屋 カウント 水べ ディナーテーブル 許しが訪れるのを待って 航路 死ぬ前の話 ●窓 ショウ ベッドタウン・パレード 見せてあげる ぶん 同い年 肉眼 豊穣 えり子を知りませんか 新しい足 ねえ、おかあさん ●とても小さな理解のための おとなりは ねずみを殺す いてもいても メッセージ・イン・ア・ボトル 詩がどこにもいなかった日 ディスカウント 理解へ(家庭的な解釈) アンダスタン 青いしっぽ 冬に光る 週末 前書きなど 合わさることを知らないひとつの声に - 著者プロフィール - 向坂 くじら (サキサカ クジラ) (著) 詩人。1994年名古屋生まれ。「国語教室ことぱ舎」(埼玉県桶川市)代表。Gt.クマガイユウヤとのユニット「Anti-Trench」朗読担当。著書にエッセイ集『夫婦間における愛の適温』『犬ではないと言われた犬』(百万年書房)、小説『いなくなくならなくならないで』(河出書房新社)ほか共著など。慶應義塾大学文学部卒。
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あかるい花束 | 岡本 真帆
¥1,870
ナナロク社 2024年 ハードカバー 176ページ B6変形判 縦164mm 横110mm 厚さ14mm - 内容紹介 - 8刷累計2万部を突破した『水上バス浅草行き』から2年、 待望の第2歌集を刊行いたします。 2拠点生活の中で詠まれた歌266首と、 装丁の鈴木千佳子さんによる花の絵を束ねました。 - 前書きなど - ▼著者より▼ ----------------------- 歌集を出したあと、私は東京と高知での生活をはじめた。 二つの場所を行き来する中で、考えたことや思い出したことが、短歌になりました。 岡本真帆 ----------------------- ▼収録歌より7首▼ わたしもう、夏の合図を待っている 冬至の長い夜からずっと ただしくよりたのしく歩く 光ってる水が見たくて すこし小走り 本当に正しかったかわからない決断たちよ おいで、雪解け 乱丁のある文庫本抱きしめる 愛すよたったひとつの傷を あなたと過ごした日々は小さな旅だった 空っぽの花器の美しいこと スパイスは火花に似てるわたしからわたしへ送る強い喝采 しゅくふくとはじける泡が光ってる 祝福 きみにはじめましてを - 著者プロフィール - 岡本 真帆 (オカモト マホ) (著/文) 1989年生まれ。高知県、四万十川のほとりで育つ。未来短歌会「陸から海へ」出身。 2022年に第一歌集『水上バス浅草行き』(ナナロク社)を刊行。
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月のうた | 左右社編集部(編)
¥2,200
左右社 2024年 ハードカバー 136ページ B6変形判 縦169mm 横119mm 厚さ16mm - 内容紹介 - 月を見つけて月いいよねと君が言う ぼくはこっちだからじゃあまたね――永井祐 どこから開いても〈月〉がみつかる、はじめて短歌に触れるひとにむけた、とっておきの100首を集めました。 夜をみあげれば、ほそい月、まるい月、あかるい月、みえない月、おおきな月、とおい月、つめたい月、もえる月……うつろう月のもとに100人の歌人がうたった、わたしだけの月のうた。 巻末には、収録歌の著者紹介と出典リストを収録。 この一冊から、お気に入りの歌人を見つけてみてください。 目次 【収録歌人一覧】 相川弘道/相田奈緒/我妻俊樹/左沢森/阿波野巧也/石井僚一/石川美南/伊藤紺/井上法子/今橋愛/魚村晋太郎/内山晶太/宇都宮敦/上澄眠/逢坂みずき/大滝和子/大森静佳/岡野大嗣/岡本真帆/荻原裕幸/椛沢知世/川島結佳子/川野芽生/川村有史/北山あさひ/絹川柊佳/木下龍也/鯨井可菜子/くどうれいん/黒瀬珂瀾/郡司和斗/小島なお/小島ゆかり/斉藤斎藤/佐クマサトシ/笹井宏之/佐佐木定綱/笹公人/佐藤弓生/柴田瞳/嶋稟太郎/鈴木加成太/鈴木晴香/鈴木美紀子/瀬口真司/平英之/竹中優子/谷川由里子/田村穂隆/俵万智/千種創一/寺井奈緒美/堂園昌彦/toron*/永井祐/中澤系/永田和宏/仲田有里/中村森/錦見映理子/野村日魚子/橋爪志保/長谷川麟/初谷むい/服部真里子/花山周子/濱松哲朗/早坂類/東直子/兵庫ユカ/平出奔/平岡直子/廣野翔一/藤本玲未/フラワーしげる/穂村弘/堀静香/本多真弓/前田康子/枡野浩一/松野志保/松村正直/丸山るい/水原紫苑/三田三郎/光森裕樹/虫武一俊/睦月都/村上きわみ/盛田志保子/安田茜/藪内亮輔/山川藍/山木礼子/山崎聡子/山階基/山田航/雪舟えま/吉岡太朗/脇川飛鳥 (あいうえお順・敬称略、全100名)
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海のうた | 左右社編集部(編)
¥2,200
SOLD OUT
左右社 2024年 ハードカバー 136ページ B6変形判 縦166mm 横120mm 厚さ17mm - 内容紹介 - 同時代の歌人100人がうたった 100首の〈海〉の短歌アンソロジー 海に来れば海の向こうに恋人がいるようにみな海をみている――五島諭 どこから開いても〈海〉がひろがる、はじめて短歌に触れるひとにむけた、とっておきの100首を集めました。 あかるい海、くらい海、まぶしい海、やさしい海、こわい海、はげしい海、さみしい海……100人の歌人がうたった、わたしだけの海のうた。 巻末には、収録歌の著者紹介と出典リストを収録。 この一冊から、お気に入りの歌人を見つけてみてください。 【収録歌人一覧】 青松輝/我妻俊樹/阿波野巧也/井口可奈/石川美南/石畑由紀子/伊舎堂仁/伊藤紺/伊波真人/井上法子/上坂あゆ美/牛隆佑/内山晶太/宇都宮敦/上澄眠/江戸雪/大前粟生/近江瞬/大森静佳/岡崎裕美子/岡野大嗣/岡本真帆/奥村晃作/笠木拓/加藤千恵/門脇篤史/川野芽生/川村有史/北山あさひ/絹川柊佳/木下龍也/工藤吉生/くどうれいん/郡司和斗/小島なお/五島諭/紺屋小町/榊原紘/佐クマサトシ/笹井宏之/笹川諒/佐々木朔/佐藤弓生/柴田葵/鈴木ジェロニモ/鈴木ちはね/鈴木晴香/染野太朗/多賀盛剛/高柳蕗子/立花開/田中有芽子/田中槐/谷川電話/谷川由里子/谷じゃこ/俵万智/千種創一/辻聡之/手塚美楽/堂園昌彦/土岐友浩/戸田響子/鳥さんの瞼/toron*/永井亘/仲西森奈/中村森/中山俊一/錦見映理子/野口あや子/長谷川麟/はだし/初谷むい/服部真里子/早坂類/東直子/平岡直子/pha/藤本玲未/フラワーしげる/穂村弘/本多真弓/正岡豊/枡野浩一/丸山るい/三上春海/光森裕樹/望月裕二郎/盛田志保子/柳原恵津子/山崎聡子/山下翔/山階基/山田航/山中千瀬/雪舟えま/吉岡太朗/吉川宏志/吉田恭大 (あいうえお順・敬称略、全100名) 目次 海のうた 著者紹介・出典
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また猫と 猫の挽歌集 | 仁尾 智
¥1,980
雷鳥社 2024年 ソフトカバー 160ページ 四六変形判 縦190mm 横116mm - 内容紹介 - 多くの猫を愛し見送ってきた猫歌人・仁尾智と、 多くの“猫飼い”の声を聴いてきた 猫本専門店オーナー・キャッツミャウブックス店主安村正也が贈る 猫の挽歌集 わかるなよ あなたにわかるかなしみはあなたのものでぼくのではない 誕生日すらわからない猫なので命日くらい見届けるのだ のんびりとした猫だった 最期だけそんなに急いでどこへ行くのか できることあるうちはいい 口元に猫の好物を持っていく指 生前の猫の写真を眺めてる サイダーをまたサイダーで割る また猫と そう思えたらまた猫と暮らす未来のはじめの一歩 ・・・・など全115首 - 前書きなど - 著者・編者 あとがき全文 【著者あとがき 仁尾智】 生きていくことの傍ら、猫を保護したり、保護した猫の里親さんを探したり、とき には子猫の一時預かりのボランティアをしたり、という活動をほそぼそとやってきた。 もう四半世紀近くそんなことをしているので、その間、たくさんの猫を看取ってきて しまった。 猫を看取るときには、たくさん短歌がうまれる。気持ちが、これ以上になく動くか らだと思う。そして、「短歌にする」という行為には、効能があると思っている。 大好きな猫が日に日に衰えていくときや、いなくなってしまったときの吐くような 悲しみは、そのたびに短歌にしてきた。「短歌にしてきた」と書くと自発的行為のよ うだけれど、実際には、悲しみから身を守るように「短歌ができてしまう」というほ うが正しい。 悲しみが短歌の形になると、少しだけ自分の中から外に出せたような気持ちになる。 逃れがたい渦の中から、一瞬頭を上げて息つぎができる。短歌にする過程やできあが った短歌を目にすることで、自分に起こっている事態を客観視できるのだと思う。つ まり、この本に収録されている短歌は「自分が楽になるために書いた短歌」なのだ。 たくさんの猫を看取って、そのような短歌が歌集になるくらいたまってしまった。全 部僕が僕のために書いた短歌なので、嘘のない歌集にはなっていると思う。 ……が、その反面、歌集としてまとめるに当たっては、大いに迷った。「そんな自 分が救われるための作品で歌集を?」というわずかながらにあった歌人としての矜持 とのせめぎあい。「猫を、しかも猫の『死』を利用していることにならないか」とい う罪悪感。「猫の挽歌集は、誰かの役に立つかも知れない」という気持ちと「役に立 つってなに? 短歌はそんなものじゃないのでは?」という気持ち。また「我が家の ように何匹もの猫を看取る悲しみと、例えば幼少期から二十年間一緒にいた一匹の猫 を看取る悲しみが同じであるわけがない。悲しみなど共有できないのだから、何かを わかったような顔で本なんて出すべきではないのでは?」という葛藤。 そう、悲しみは共有できないのだ。それぞれが、まったく別の悲しみを抱いている。 ただ、「命」を前にしたときの右往左往や詮無い気持ちはみんな同じなのだ、とも 思う。「もっと早く気づいてあげられていれば」とか「最後の瞬間に一緒にいてあげ られなかった」とか、そうした自責の念や後悔も、多かれ少なかれみんなが抱いてい る。そして、そういう「同じ気持ち」のほうを共有できる機会は、意外と少ない。も しかして、余白の多い「短歌」という形であれば、その機会になり得るのではないか。 最終的には「誰かの役に立つ、というより、回り回って猫のためになるのでは?」 という考えに至って、踏ん切りがついた。 この本を読んだ誰かが、少し前を向けて、また猫と暮らし始めてくれたりしたら、 この本を作った甲斐どころか、僕が存在した甲斐があったとまで思える。 最後に。 僕の迷いをまるごと引き受けてこの本を世に出してくれたキャッツミャウブックス さんと雷鳥社さん、装丁を引き受けてくれた仁木順平さんには感謝しかない。本当に ありがとうございました。 【編者あとがき キャッツミャウブックス店主・安村正也】 「うちから何か本を出しませんか?」 たぶん世界初の猫歌人を名乗る仁尾智さんに、どこかに必ず猫が出てくる本だけを 置いている猫本専門店オーナーの私が持ちかけたのは二〇二二年の暮れのこと。 「猫の挽歌集を出したいんですよね」 彼が即答した挽歌集とは、つまり猫の死を悼む短歌だけを集めた歌集ということだ。 あまりポピュラーなテーマではないので、猫本専門店から発信すれば、読んでほしい 層に届きやすいのではないかということらしい。 猫を飼う人はますます増えているが、通常は猫の寿命の方が短く、飼い主は愛猫に 先立たれることになる。一方で、猫の長寿化に伴い、死別に関する猫本のテーマも、 かつて主流だった【ペットロス】から、近年では【終活】【介護】【看取り】などに特 化・分化してきている。とは言え、それらの書籍からは猫の一生における個々の場面 でやるべきことや心構えは学べるものの、亡くした後の「誰にも言えないし、言いた くない、でも誰かに分かってほしい」という複雑な心情を代弁してくれる本はなかな か見つからない。そんな声を当店に来られるお客様からも耳にしていた。 猫と暮らしている方であれば、愛猫の闘病中はもちろん、元気な時でさえ、猫の看 取り話を聞いたり読んだりするのは辛いはずだ。その反面、看取りの前後でそうした 話に触れると、「みんな同じなんだな」と少しだけ気持ちが楽になることもある。 かくいう私も、二〇二三年の春に二名の店員猫を相次いで亡くしたのだが、その直 後から、ずっと読めなかった猫の終活や看取りのエピソードを号泣しながら読み始め た。そのなかで特に、この歌集にも収められている一首に救われ、結果的に、里親と して新たに二名の保護猫を迎え入れることになった。 「挽歌集、ぜひ出しましょう!」 猫歌人の構想に私も即答した。看取りの状況もその前後に抱く感情も人それぞれな ので、他者が分かったような振りをすることはおこがましいと感じている。逆を言え ば、他者から分かったように振舞われたくないとも思っている。二〇一七年に猫本専 門店をオープンして以来のつきあいである彼も、同じ感性を持っていると信じていた ので、迷うことは何もなかったのである。 これをあとがきに書く私もどうかと思うが、この猫の挽歌集は、今すぐには読めな くても、読めると思えるまで、常備薬のように本棚に並べておいていただくだけで構 わないような気がしている。ただ、「本当はまた猫を飼いたいのに、しんどいのでも う飼えない」という思い込みをお持ちだったら、お読みになった後にそれを拭い去っ て、里親を待っている保護猫に手を差し伸べるきっかけにしていただけると嬉しい。 本書は、当初キャッツミャウブックスの刊行物として出すつもりだったが、猫歌人 と猫本専門店の想いに共感してくださった雷鳥社さんから出版されることになった。 それによって、より広く、より多くの方々のお手元に届くことを強く願う。そして、 みなさんが心に同じことばを思い浮かべることを。 「また猫と」 版元から一言 著者は、日本初の猫歌人・仁尾智。 編者は、猫専門書店キャッツミャウブックス店主安村正也。 両者とも多くの保護猫と暮らし看取り、そして同じように猫を愛する人々の喜びの声・苦悩や悲しみの声を長年聴いてきた。 この二人の手による本書は最強の猫フレンズのための本と言える。 - 著者プロフィール - 仁尾 智 (ニオ サトル) (著/文) 1968 年生まれ。猫歌人。1999 年に五行歌を作り始める。2004年「枡野浩一のかんたん短歌blog」と出会い、短歌を作り始める。短歌代表作に『ドラえもん短歌』(小学館文庫 枡野浩一編)収録の《自転車で君を家まで送ってた どこでもドアがなくてよかった》などがある。著書に五行歌集『ストライプ』(市井社 共著)、『猫のいる家に帰りたい』、『これから猫を飼う人に伝えたい11 のこと』(ともに辰巳出版 絵/小泉さよ)、『いまから猫のはなしをします』(エムディエヌコーポレーション)。
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地上で起きた出来事はぜんぶここからみている | 河野 聡子
¥2,200
いぬのせなか座 2024年 いぬのせなか座叢書 ソフトカバー 106ページ B5変形判 縦182mm 横182mm 厚さ10mm - 内容紹介 - [いぬのせなか座叢書第2弾] 詩を中心に、パフォーマンスやインスタレーションの制作、雑誌・アンソロジーの編集・発行など、多彩な活動を展開しているヴァーバル・アート・ユニット「TOLTA」。その代表である河野聡子による詩=テキストを、山本浩貴+h(いぬのせなか座)が編集・デザインした、大胆かつ軽やかな詩集。 挟み込み小冊子として、いぬのせなか座メンバーによる本詩集をめぐる座談会が付属。 作品の細密分析を中心に、時に編集・デザインの制作意図の開陳とその有効性の検証もはさみつつ、約40日、4万字に及ぶ議論が展開される。 刊行時、Webにて、町屋良平や郡司ペギオ幸夫、大岩雄典など様々なジャンルの作り手・書き手による、本詩集を発端としたテキスト・作品が掲載されたことでも話題をよんだ。 言語表現を中心に共同制作や複数ジャンルの越境を模索する制作集団・出版版元「いぬのせなか座」の活動の、核となる部分を凝縮した詩集。待望の復刊。 [栞=小冊子] いぬのせなか座 座談会5 2017/05/21→2017/07/02 『地上で起きた出来事はぜんぶここからみている』をめぐって 判型:175mm✕155mm 28ページ(40000字) - 目次 - 生物 紙飛行機 家 歩く人 クマの森 専用 一八〇秒 アレンジメント/シンポジウム 生物 代替エネルギー推進デモ マンダリン・コスモロジー ハロー ブルーブック Cītlallohtihca(星々のあいだに立つ) 星ぼしのあいだに立つ ハンド 地上 アンダーグラウンド・テレビジョン とおくから星がふる - 著者プロフィール - 河野聡子 (コウノサトコ) (著) 1972年福岡県北九州市生まれ。詩人、書評家。ヴァーバル・アート・ユニットTOLTA代表。刊行詩集に『時計一族』(思潮社)『Japan Quake Map―Sapporoによるヴァリエーション』『WWW/パンダ・チャント』(私家版) 『やねとふね』(マイナビ出版)『地上で起きた出来事はぜんぶここからみている』(いぬのせなか座)。書評や論考、エッセイを文芸誌、新聞等に寄稿。実験音楽のユニット「実験音楽とシアターのためのアンサンブル」でも活動している。
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二弐に2 (にににに)|らくだ舎出帆室
¥4,290
らくだ舎出帆室 2023年 ハードカバー 312ページ - 内容紹介 - 200年、をテーマに、詩、短歌、写真、エッセイ、小説など、多様な表現物を集めたらくだ舎出帆室のアンソロジー。 こわれたとけい/すいげん/未来 石原弦 ひなたぼっこ 大西文香 二〇〇年の射程を捉える 千葉貴子 いま、ここ、にいる責任ーー抱樸をたずねて 千葉智史 イマジンを聴きながら モリテツヤ 「これからの私たちの本」をつくる 髙松夕佳 「生きること」を問い直す三冊 青木真兵 夜を渡っていくために 柞刈湯葉 物語の重なり しいねはるか 辺境から考える「脱成長」 トンガ坂文庫/Youth Library えんがわ/らくだ舎 家庭内運動からSakumagというコレクティブへ 佐久間裕美子 西木根 石原弦 集う、信じる、生活を共有するーーゴーバルで見つけたこと 千葉智史 コミュニティと継承と 柳楽光隆 私の今日/わたしの今日 柴田葵 簡素と永遠 高村友也 山里思考 千葉智史 のんびり魂 畠中悠子 おわりに らくだ舎出帆室
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葛原妙子歌集|川野里子(編集), 葛原妙子(著/文)
¥2,200
書肆侃侃房 2021年 ハードカバー 296ページ 四六判 - 内容紹介 - 装幀:六月 栞:大森静佳、川野芽生、平岡直子 葛原妙子の全ての歌集から1500首を厳選。 葛原の壮大な短歌世界が見渡せる一冊。 【目次】 『橙黃』/『繩文』/『飛行』/『薔薇窓』/『原牛』/『葡萄木立』/『朱霊』(完本)/『鷹の井戶』/『をがたま』/『をがたま』補遺/異本『橙黃』/解説(川野里子)/葛原妙子年譜 【栞】 大森静佳「えぐる、えぐられる」 川野芽生「幻視者の瞼」 平岡直子「この世界で、電気仕掛けの身体で」 【収録歌より】 早春のレモンに深くナイフ立つるをとめよ素睛らしき人生を得よ(『橙黃』) わがうたにわれの紋章のいまだあらずたそがれのごとくかなしみきたる(『橙黃』) 黑峠とふ峠ありにし あるひは日本の地圖にはあらぬ(『原牛』) 他界より眺めてあらばしづかなる的となるべきゆふぐれの水(『朱靈』) 疾風はうたごゑを攫ふきれぎれに さんた、ま、りぁ、りぁ、りぁ(『朱靈』) - 著者プロフィール - 川野里子 (カワノサトコ) (編集) 1959年生まれ。千葉大学大学院修士課程修了。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。評論に『幻想の重量──葛原妙子の戦後短歌』『七十年の孤独──戦後短歌からの問い』(書肆侃侃房)、『コレクション日本歌人選 葛原妙子』(笠間書院)など。歌集に『太陽の壺』(第13回河野愛子賞)『王者の道』(第15回若山牧水賞)『硝子の島』(第10回小野市詩歌文学賞)『歓待』(第71回読売文学賞)など。
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左川ちか全集 | 左川ちか, 島田龍(編集)
¥3,080
書肆侃侃房 2022年 ハードカバー 416ページ 四六判 - 内容紹介 - 詩の極北に屹立する詩人・左川ちかの全貌がついに明らかになる──。 萩原朔太郎や西脇順三郎らに激賞された現代詩の先駆者、初の全集。 すべての詩・散文・書簡、翻訳を収録。編者による充実の年譜・解題・解説を付す。 装幀:名久井直子 - 著者プロフィール - 左川ちか (サガワチカ) (著/文) 詩人・翻訳家。本名川崎愛。1911年生まれ。北海道余市町出身、十勝地方の本別町で幼少期を過ごす。庁立小樽高等女学校卒業後に上京。10代で翻訳家としてデビュー。J・ジョイス、V・ウルフ、ミナ・ロイなど、詩・小説・評論の翻訳を残す。1930年に筆名を「左川ちか」と改め詩壇に登場する。同郷の伊藤整を始め、北園克衛・春山行夫・西脇順三郎・萩原朔太郎らに高く評価、詩誌『詩と詩論』『椎の木』『マダム・ブランシュ』などで活躍した。将来を嘱望されたが1936年に死去。享年24。J・ジョイス著/左川ちか訳『室楽』(椎の木社、1932年)、遺稿詩集『左川ちか詩集』(伊藤整編・昭森社、1936年)。本書は初の全集となる。 島田龍 (シマダリュウ) (編集) 東京都中野区出身。立命館大学文学研究科日本史専修博士後期課程単位取得退学。現・立命館大学人文科学研究所研究員。専門は中世~近現代における日本文化史・文学史。関連論考に「左川ちか研究史論―附左川ちか関連文献目録増補版」(『立命館大学人文科学研究所紀要』115号)、「左川ちか翻訳考:1930年代における詩人の翻訳と創作のあいだ―伊藤整、H・クロスビー、J・ジョイス、V・ウルフ、H・リード、ミナ・ロイを中心に」(『立命館文学』677号)など。
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現代短歌パスポート1 シュガーしらしら号 | 榊原紘, 伊藤紺, 千種創一, 柴田葵 ほか
¥1,100
書肆侃侃房 2023年 ソフトカバー 112ページ 四六変型判 - 内容紹介 - 新シリーズ創刊! 最注目の歌人10名による書き下ろしの新作短歌アンソロジー歌集。 榊原紘 伊藤紺 千種創一 柴田葵 堂園昌彦 谷川電話 吉田恭大 菊竹胡乃美 宇都宮敦 初谷むい 【収録作品】 榊原紘「Classic」 伊藤紺「雪の匂い」 千種創一「White Train」 柴田葵「おさしみ」 堂園昌彦「春は水さえとろけさせる」 谷川電話「夢を縫う、たき火を保つ」 吉田恭大「フェイルセーフ」 菊竹胡乃美「火のぬいぐるみ」 宇都宮敦「羊毛期の到来(ウール、ウール、ウール)」 初谷むい「天国紀行」 - 著者プロフィール - 榊原紘 (サカキバラヒロ) (著/文) 1992年愛知県生まれ。奈良県在住。第2回笹井宏之賞大賞受賞。2020年、第一歌集『悪友』刊行。ゆにここオンラインカルチャースクールで「推しと短歌」の講師を務める。短詩集団「砕氷船」の一員。 伊藤紺 (イトウコン) (著/文) 歌人。1993年生まれ。横浜在住。著書に歌集『肌に流れる透明な気持ち』『満ちる腕』(いずれも短歌研究社)、ミニ歌集『hologram』(CPcenter)。 千種創一 (チグサソウイチ) (著/文) 1988年名古屋生まれ。2015年、『砂丘律』。2016年、日本歌人クラブ新人賞、日本一行詩大賞新人賞。2020年、『千夜曳獏』。2021年、現代詩「ユリイカの新人」に選出。2022年、『イギ』、ちくま文庫版『砂丘律』。 柴田葵 (シバタアオイ) (著/文) 歌人、ライター。第2回石井僚一短歌賞次席。第1回笹井宏之賞大賞受賞により、第一歌集『母の愛、僕のラブ』(書肆侃侃房)を出版。東京都在住。身長164センチ。 堂園昌彦 (ドウゾノマサヒコ) (著/文) 1983年東京都生まれ。早稲田短歌会を経て、現在、短歌同人誌「pool」所属。2013年、第一歌集『やがて秋茄子へと到る』(港の人)刊行。ブログに歌書紹介サイト「短歌のピーナツ」。 谷川電話 (タニカワデンワ) (著/文) 1986年愛知県生まれ。2014年、角川短歌賞を受賞。歌集に『恋人不死身説』(2017年、書肆侃侃房)、『深呼吸広場』(2022年、書肆侃侃房)。 吉田恭大 (ヨシダヤスヒロ) (著/文) 1989年鳥取県生まれ。「塔短歌会」「早稲田短歌会」で短歌を学ぶ。2019年第一歌集『光と私語』(いぬのせなか座)を刊行。同年より詩歌の一箱書店「うたとポルスカ」を運営。 菊竹胡乃美 (キクタケコノミ) (著/文) 1995年福岡県生まれ。2015年から短歌を始める。第一歌集『心は胸のふくらみの中』(書肆侃侃房、2023年)。 宇都宮敦 (ウツノミヤアツシ) (著/文) 1974年千葉県生まれ。歌集『ピクニック』(2018年、現代短歌社)。ブログ「Waiting for Tuesday」(https://blog.goo.ne.jp/utsuno)。 初谷むい (ハツタニムイ) (著/文) 1996年生まれ、札幌市在住。第一歌集『花は泡、そこにいたって会いたいよ』(書肆侃侃房、2018年)、第二歌集『わたしの嫌いな桃源郷』(書肆侃侃房、2022年)。
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ハダカだから|谷川 俊太郎, 下田昌克(イラスト)
¥2,420
スイッチ・パブリッシング 2023年 ハードカバー 80ページ 1 x 13.5 x 19.4 cm - 内容紹介 - 詩人・谷川俊太郎と画家・下田昌克によるジャムセッション。雑誌「Coyoye」の巻末連載が一冊に。2人の出会いは2009年の「Coyote」のアラスカ特集でのこと。その後、絵本や、下田の代名詞とも言えるキャンバス生地で作られた恐竜作品に、谷川が詩で応えた作品集『恐竜がいた』など、幾度もコラボレーション作品を生み出し続けた。その年来の知友である2人が、本作では「ハダカ」をテーマに生きることを時に熱く生々しく、時に静謐に表現する。連載時の作品に、書き下ろしを加えた20篇の詩を収録。谷川が紡いだ「性」と「詩」。下田が描いた「生」と「死」。ただ、ありのままのいのちのかたちをここに。 - 著者プロフィール - 谷川俊太郎 (タニカワシュンタロウ) (著/文) 詩人。1931 年東京生まれ。1952 年第一詩集『二十億光年の孤独』を刊行。詩作のほ か、絵本、エッセイ、翻訳、脚本、作詞など幅広く作品を発表。近著に『ベージュ』、『どこからか言葉が』、『虚空へ』、絵本『ぼく』 (絵・合田里美)などがある。 下田昌克 (シモダマサカツ) (イラスト) 画家。1967年兵庫県生まれ。著書に画文集『PRIVATE WORLD』(山と渓谷社)、絵本『死んだかいぞく』(ポプラ社)など。谷川俊太郎との共作として、ボブ・サム著『かぜがおうちをみつけるまで』『恐竜がいた』(スイッチ・パブリッシング刊)がある。
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無垢の歌|ウィリアム ・ブレイク, 池澤夏樹(翻訳), 池澤春菜(翻訳)
¥1,760
毎日新聞出版社 2021年 ハードカバー 112ページ 四六変型判 - 内容紹介 - 最強の本読み父娘がおくる〈ことばの薬〉。初邦訳から90年、名著が新たな輝きとともによみがえる! こころを癒やす愛の詩集。解説・池澤夏樹。
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百年後 嵐のように恋がしたいとあなたは言い 実際嵐になった すべてがこわれわたしたちはそれを見た|野村日魚子
¥1,870
ナナロク社 2022年 ハードカバー 160ページ B6判 - 内容紹介 - 57577の短歌の形式を「音数」で大きくはみ出す作品群が、 短歌のリズムをたしかに奏でてつくられる、物語世界。 野村日魚子の第一歌集 ●収録歌より8首 犬よ いくつもある墓碑に書かれている文字のどれ一つとして読めず震えている夜 遠くの人に届くのが手紙 つまりこれがそうなのとてもうれしいでしょう それはとても寂しいことだという あなたを知る天使はみな表面積の少なく 記憶の中の人間が好きだ 記憶の中の人間はわたしにさわれない ゆるさない絶対にゆるさないぞとびしょ濡れの犬が言いやわらかい布で拭いてやる 幽霊が出てくる映画 主人公は幽霊で 家族も友人もみな幽霊だった おれは席を立ち映画館を出た 愛はとても速く誰も見たことがないというそれをいまからあなたに見せる やわらかいものを食べようそのあとに寝ようねいくつもはない夜たち
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歌集副読本『老人ホームで死ぬほどモテたい』と『水上バス浅草行き』を読む|上坂 あゆ美, 岡本 真帆
¥1,320
ナナロク社 2023年 ソフトカバー 160ページ B6変型判 - 内容紹介 - 2つの出版社(ナナロク社と書肆侃侃房)の2022年の話題の歌集2冊の著者が、 互いの本を語りぬいた一冊。 両方読んだ方、片方だけの方、まだ読んでいない方にも、 歌集を読む楽しさが愛情たっぷり伝わる「副読本」です! ▼構成▼ ・『老人ホームで死ぬほどモテたい』の上坂あゆ美が語る『水上バス浅草行き』評 ・『水上バス浅草行き』の岡本真帆が語る『老人ホームで死ぬほどモテたい』評 ・新作短歌と書き下ろしエッセイ 収録
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毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである 枡野浩一全短歌集 | 枡野 浩一
¥2,530
左右社 2022年 ソフトカバー 384ページ 四六変型判 - 内容紹介 - 短歌ブームは、ここからはじまった――。歌人・枡野浩一、デビュー25周年にして、待望の全短歌集刊行! 世の常として、他人に言えない孤独を歌にすると、他人に言えない孤独を抱えた、多くの人たちに愛される、のです。 そして、そのことは一切、誰の孤独も軽くはしないのです。 でも、歌は。 あぁ、歌は。 枡野さんのこの御本、とてもうれしい ――小沢健二 簡単な現代語だけでつくられているのに、読むと思わず感嘆してしまう「かんたん短歌」で若い世代の短歌ブームを牽引した歌人・枡野浩一。 デビュー25周年を記念して、入手困難になっていた短歌集『てのりくじら』『ドレミふぁんくしょんドロップ』『ますの。』『歌』全収録作に、『結婚失格』など、その他の著作からの拾遺、未収録作を加えた決定版! 特別栞として、俵万智と枡野浩一の往復書簡も収録。 【目次】 てのりくじら 1997 ドレミふぁんくしょんドロップ 1997 ますの。 1999 愛について 2006 夢について 2010 歌 2012 虹 2022 いつか 1989-2022 全著作一覧 特別栞:枡野浩一と俵万智の往復書簡 〈収録歌より〉 こんなにもふざけたきょうがある以上どんなあすでもありうるだろう 真夜中の電話に出ると「もうぼくをさがさないで」とウォーリーの声 殺したいやつがいるのでしばらくは目標のある人生である 神様はいると思うよ 冗談が好きなモテないやつだろうけど 好きだった雨、雨だったあのころの日々、あのころの日々だった君 わけもなく家出したくてたまらない 一人暮らしの部屋にいるのに 消しゴムでこすったせいで真っ黒になってしまったようなサヨナラ 君はそのとても苦しい言いわけで自分自身をだませるのかい? ツイッター「フォローさせる」は選べない 愛を強要できないなんて 終わったとみんな言うけどおしまいがあるってことは素敵なことだ 私には才能がある気がします それは勇気のようなものです さようなら さようなら また会いましょう また別れたら また会いましょう ニュースにはならない日にも虹は出て消えて私がおぼえています 目次 【目次】 てのりくじら 1997 ドレミふぁんくしょんドロップ 1997 ますの。 1999 愛について 2006 夢について 2010 歌 2012 虹 2022 いつか 1989-2022 全著作一覧 特別栞:枡野浩一と俵万智の往復書簡 - 著者プロフィール - 枡野 浩一 (マスノ コウイチ) (著/文) 1968年9月23日、東京うまれ。歌人。大学中退後、広告会社のコピーライター、フリーの雑誌ライター等を経て1997年9月23日、短歌絵本『てのりくじら』『ドレミふぁんくしょんドロップ』を2冊同時発売してデビュー。簡単な現代語だけで読者が感嘆してしまうような表現をめざす「かんたん短歌」を提唱。入門書『かんたん短歌の作り方』からは加藤千恵、佐藤真由美、天野慶らがデビューした。笹井宏之、宇都宮敦、仁尾智らの短歌をちりばめた小説『ショートソング』(佐々木あらら企画執筆協力)は約10万部のヒットとなり、若い世代の短歌ブームを牽引。高校国語教科書に《毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである》他掲載。受賞歴は2011年11月22日、明石家さんまが選ぶ「踊る!ヒット賞!!」および2022年3月19日、小沢健二とスチャダラパーが選ぶ「今夜も短歌で賞」。
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もう一人の吾行くごとし秋の風 村次郎 選詩集|管 啓次郎(編)
¥1,980
田畑書店 2022年 ポケットスタンダード ハードカバー 248ページ 文庫判 縦156mm 横113mm - 内容紹介 - 八戸・鮫に生まれた詩人・村次郎。伊東静雄、中村真一郎、芥川比呂志、白井浩司らと交遊し、堀田善衛の小説にも登場している。彼の『全詩集』から詩人・管啓次郎が心打たれた70篇をセレクション。 「彼の前にはいつも彼自身が歩いているようだった。彼が残した言葉が、今帰ってきた。」 - 著者紹介 - 村次郎(むら・じろう) 1916−1997年。本名・石田實。慶応義塾大学フランス文学科卒業。 生前刊行された詩集は『忘魚の歌』(1947年)『風の歌』(1948年)の二冊のみ。 1952年以後、家業である旅館石田家(八戸市鮫)の経営に専念するため発表を断ったが、 その後も未刊詩集のための創作を続けていた。 没後、「村 次郎の会」により『全詩集』が刊行された(2011年)。 管啓次郎(すが・けいじろう) 1958年生まれ。詩人、明治大学理工学研究科総合芸術系教授。 デビュー作『コロンブスの犬』(弘文堂、後に河出文庫)以来、旅と文学をめぐるエッセーを多数発表。 『斜線の旅』(インスクリプト)により読売文学賞受賞(2011年)。 『Agend'Ars』四部作および『数と夕方』などの詩集を発表(いずれも左右社)。 最新作は英語詩集 Transit Blues(キャンベラ大学)。
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鬼は逃げる | ウチダ ゴウ
¥2,420
三輪舎 2020年 ハードカバー 176ページ B6変型判 縦170mm 横125mm 厚さ17mm - 内容紹介 - 「鬼は逃げる 意味と想像の 追っ手から 愛と悲しみに 満ちながら ただ 生きようとして 町から町へ 駆け抜ける」(表題作「鬼は逃げる」より)。言葉を生業にしながらも、意味や想像、夢や希望によって拘束されまいと、町から町へと逃げていくおのれを鬼に喩える表題作「鬼は逃げる」。東京から松本、安曇野へと居を移し、またスコットランド・エディンバラでの定期的な詩作を経て、積み重ねてきた10年のしごとを〈朗読会〉として振り返る、ウチダゴウ自選詩集。 〈梨木香歩さん推薦〉 人生のいっとき 詩人になることはたやすい そういう人を何人も見てきた 心の叫びを 哀歓を 詩にしてきた若者たちが 就職し 家庭を持ち 生活のなかでいつしか 詩とは無縁の日々を送っている 詩人で在り続けることは かくも難しい 十年前 東京から松本へ移ったウチダさんに 詩人であることをやめないでください と私は 無責任にも いった たとえこの先 詩と無縁の生活を送ることになっても 詩人で在り続けることはできる そういう証が 欲しかったのだと思う ウチダさんは 生活も 仕事も 詩から遠ざけなかった 風から与えられ 自力でつかみとり 見い出したいくつものツールで 言葉の源流へと遡行する 長い長い 旅のために そういう詩人になった 目次 発表会 森の熊 雪男 きょうりゅう そのへん るすばん 孤独の一生 ひつよう ・ くじら ねつ 蜜壺の潜水士 いえ 七階の少女 しょうじきもの ・ うそ しょうねん いっそ ししゅんき 気分屋 夜話 ・ 公園のカフェ せみ 崖で こすもす 悲しむソルフェージュ やどのまど 野辺に死ぬ ・ ごご あきたつ ねっこ てがみ ・ かぞく ひかり イヌより はる ・ 空き地の総理 だれか 愛 天体少年 分かつ森 私の庭 ・ 道具屋の途方 栞日 しずくはつたう とこしえ monologue ・ 落葉 渡り ・ 告白 鬼は逃げる あとがき - 著者プロフィール - ウチダ ゴウ (ウチダ ゴウ) (著) 1983年生まれ。立教大学法学部卒。2010年、詩とデザインのアトリエ「してきなしごと」を開業。詩人としての活動と並行して、グラフィックデザイン、コピーライティング、ギャラリーの企画運営を行う。全国各地で、個展・朗読会を開催。近年では、英国・スコットランドを度々訪ね、現地での執筆・朗読・個展活動を行っている。詩集に『空き地の勝手』(してきなしごと)『、原野の返事』(同)ほか。shitekinashigoto.com
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【サイン本】空き地の勝手|ウチダゴウ
¥1,650
してきなしごと 2020年 ソフトカバー 52ページ 210mm x 135mm - 内容紹介 - 2012年にしてきなしごとから発行されたリトルプレス第1弾の詩集で、詩人・ウチダゴウの代表作。寓意性が高く、スリリングなユーモアで溢れた、独創的なショートストーリーのような詩16編を綴じた本作は、次第に好評を博し、ついに完売・絶版となった。長い沈黙ののち、続編となる詩集『原野の返事』の出版と同時に、再版を望む声に応え、用紙や印刷手法の変更や細かなデザイン改変を加えて、2020年、『空き地の勝手』第2版を発行する。 Message: 「再版は、ありません」ずっとずっと、そう言い続けてきた、詩集『空き地の勝手』。それでも途絶えることのない再版の要望や、ふたたび、そして改めてあの詩集を読みたいような時代の転換期の訪れを、続編『原野の返事』の出版にあたって、再考し、細かなデザインを修正・加工した上で、第2版として出版することにいたしました。夜な夜なラジオに悩みを投稿する鳩。別れを告げるヒーローたちの後ろ姿。今も夜空に瞬いているだろう星たち。あなたの街のどこかで、変わらずに、窓を拭くヨーホー。もう一度、彼らに、会うことができます。続編『原野の返事』には、この『空き地の勝手』収録詩の続編となる詩も多数あるので、合わせてお読みいただけたら、よりお楽しみいただけると思います。 Poems: 神様の旅 / 登山家と炭坑夫 / 窓ふきの海 / 痴呆老人の幸い / ウェイターの仕事 / うそ / 期待の新星 / スキーヤーはくだる / 空き地の総理 / 真魚板の上の鯉 / 孤独の一生 / 多様な鳩 / 気分屋 / ミスター・サカモト / さよならヒーロー / だれか(全16編) (版元紹介文より)
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ユー・メイド・ミー・ア・ポエット、ガール | エリザベト怜美 (詩・訳), モノ・ホーミー (絵)
¥1,650
ソフトカバー 30ページ 90mm×143mm 英日対訳仕様 - 内容紹介 - 書記 エリザベト怜美と図案家 モノ・ホーミーの探索ユニット"海の襟袖"の第一作。2022年3月26日から4月19日までに制作された詩(エリザベト怜美)と、図案・イラスト(モノ・ホーミー)を収録した詩画集です。
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歌仙 一滴の宇宙 | 岡野弘彦, 三浦雅士, 長谷川櫂
¥2,200
思潮社 2015年 ハードカバー 115ページ A5判 - 内容紹介 - 当代随一の歌人・俳人・評論家が、詩としての歌仙再生に挑む! 目次 春の雪 花筏 夏の彼方 台風 伊豆の冬 桜 楼蘭 - 著者プロフィール - 岡野弘彦 (オカノヒロヒコ) (著/文) 1924年、三重県生まれ。歌人。主な歌集に『冬の家族』『滄浪歌』『海のまほろば』『天の鶴群』『バクダッド燃ゆ』『美しく愛しき日本』など、評論集に『折口信夫の晩年』『折口信夫伝』など。 三浦雅士 (ミウラマサシ) (著/文) 1946年、青森県生まれ。文芸評論家。主な著書に、『私という現象』 『主体の変容』『メランコリーの水脈』『小説という植民地』『身体の零度』『青春の終焉』『出生の秘密』『孤独の発明』など。 長谷川櫂 (カセガワカイ) (著/文) 1954年、熊本県生まれ。俳人。主な句集に『古志』『蓬萊』『虚空』『初雁』『吉野』『沖縄』『九月』など、評論集に『俳句の宇宙』『古池に蛙は跳びこんだか』『俳句の誕生』など。
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歌仙 永遠の一瞬 | 岡野弘彦, 三浦雅士, 長谷川櫂
¥2,420
思潮社 2019年 ハードカバー 133ページ A5判 - 内容紹介 - 花見船 空に浮べん吉野かな 春の底なる われぞ さびしき かぎろひに 憂ひの瞳 けぶらせて 鬼の詞(ことば)のひらく 深淵 大岡信を送る 「この集には七つの歌仙が収められているが、(…)結果的に、大岡信を送るという主題が底流することになった」(跋・三浦雅士)。 当代随一の歌人・俳人・評論家が、詩としての歌仙再生に挑む、その第2集。客人に谷川俊太郎、三角みづ紀、蜂飼耳、小島ゆかりを迎え、大岡信の死と前後して進められた、7つの歌仙。 - 著者プロフィール - 岡野弘彦 (オカノヒロヒコ) (著/文) 1924年、三重県生まれ。歌人。主な歌集に『冬の家族』『滄浪歌』『海のまほろば』『天の鶴群』『バクダッド燃ゆ』『美しく愛しき日本』など、評論集に『折口信夫の晩年』『折口信夫伝』など。 三浦雅士 (ミウラマサシ) (著/文) 1946年、青森県生まれ。文芸評論家。主な著書に、『私という現象』 『主体の変容』『メランコリーの水脈』『小説という植民地』『身体の零度』『青春の終焉』『出生の秘密』『孤独の発明』など。 長谷川櫂 (カセガワカイ) (著/文) 1954年、熊本県生まれ。俳人。主な句集に『古志』『蓬萊』『虚空』『初雁』『吉野』『沖縄』『九月』など、評論集に『俳句の宇宙』『古池に蛙は跳びこんだか』『俳句の誕生』など。
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サークル・ゲーム | マーガレット・アトウッド / 出口 菜摘訳
¥2,420
彩流社 2020年 ハードカバー 182ページ 縦195mm 横135mm 厚さ18mm - 内容紹介 - 現代カナダ文学を代表する作家、 マーガレット・アトウッドの知られざるデビュー作、本邦初訳。 不穏な空気に包まれた28篇の詩集。 フェミニズム、環境問題等、アトウッドの全作品に共通するテーマがすでに現われている、注目作。 この恍惚とした回転が喜びだと 誤解していたのかもしれない でも、そこになんの喜びもない──(表題作「サークル・ゲーム」より)