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実験の民主主義 トクヴィルの思想からデジタル、ファンダムへ | 宇野重規, 若林恵(著/文)
¥1,100
中央公論新社 2024年 中公新書 ソフトカバー 320ページ 新書判 - 内容紹介 - デジタルが社会を変える時代。だが技術の進展は分断を生み、民主主義の後退と政治の機能不全は深刻だ。なぜ私たちは民主主義を実感できないのか? 本書では、大転換期を生きたトクヴィルの思索と行動を手がかりに、選挙ではなく行政府に、政党ではなく結社(ファンダム)に注目。分断を乗り超える、「実験」の民主主義像を提示する。民主主義論の大家が名編集者と力を合わせ、社会課題を探り出し、新しい政治構想を描く。 - 著者プロフィール - 宇野重規 (ウノシゲキ) (著/文) 1967年東京都生まれ。東京大学法学部卒業。同大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。専門は、政治思想史、政治哲学。千葉大工法経学部助教授などを経て、東京大学社会科学研究所教授。著書『政治哲学へ』(東京大学出版会、渋沢・クローデル賞特別賞)、『トクヴィル――平等と不平等の理論家』(講談社学術文庫、サントリー学芸賞)、『〈私〉時代のデモクラシー』(岩波新書)、『民主主義のつくり方』(筑摩選書)、『保守主義とは何か』(中公新書)、『民主主義とは何か』(講談社現代新書、石橋湛山賞)、『日本の保守とリベラル』(中公選書)など。 若林恵 (ワカバヤシケイ) (著/文) 1971年生まれ。平凡社『月刊太陽』編集部、『WIRED』日本版編集長を経て、2000 年にフリー編集者として独立。雑誌、書籍、展覧会の図録などを多数手がける。音楽ジャーナリストとしても活動。2018年、黒鳥社設立。著書に、『さよなら未来』(岩波書店)、『次世代ガバメント』(日本経済新聞社)、『NEXT GENERATION BANK』(日本経済新聞社)、『GDX 行政府における理念と実践』(黒鳥社)。
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なぜ男女の賃金に格差があるのか 女性の生き方の経済学 | クラウディア・ゴールディン, 鹿田昌美(翻訳)
¥3,740
慶應義塾大学出版会 2023年 ソフトカバー 400ページ 四六判 - 内容紹介 - 女性たちはどのように「家族」と「仕事」を選択してきたのか。 ウーマンリブ、「静かな革命」、リリー・レッドベター公平賃金法など、20世紀以降を振り返りながら、各職業のデータを経済分析し、女性の賃金の上昇を阻む原因を抉り出す。 アメリカのみならず世界の先進国の男女の「働き方」を見直すきっかけとなる一冊。 - 目次 - 第1章 キャリアと家庭の両立はなぜ難しいか─新しい「名前のない問題」 第2章 世代を越えてつなぐ「バトン」―─100年を5つに分ける 第3章 分岐点に立つ─―第1グループ 第4章 キャリアと家庭に橋をかける―─第2グループ 第5章 「新しい女性の時代」の予感─―第3グループ 第6章 静かな革命―─第4グループ 第7章 キャリアと家庭を両立させる―─第5グループ 第8章 それでも格差はなくならない―─出産による「ペナルティ」 第9章 職業別の格差の原因―─弁護士と薬剤師 第10章 仕事の時間と家族の時間 エピローグ 旅の終わり―─そしてこれから - 著者プロフィール - クラウディア・ゴールディン (クラウディア・ゴールディン) (著/文) ハーバード大学ヘンリー・リー経済学教授。経済史家であり労働経済学者。研究テーマは、女性の労働力、所得における男女格差、所得不平等、技術革新、教育、移民など多岐にわたる。2013 年にアメリカ経済学会会長、2000 年に経済史学会会長を務める。米国科学アカデミー会員。著書The Race between Education and Technology(L・カッツとの共著)で、2008 年R.R. ホーキンス賞を受賞。マサチューセッツ州ケンブリッジ在住。 鹿田昌美 (シカタマサミ) (翻訳) 国際基督教大学卒。翻訳書に、ドゥプケ&ジリボッティ『子育ての経済学─愛情・お金・育児スタイル』(慶應義塾大学出版会)、ドラッカーマン『フランスの子どもは夜泣きをしない』、アレキサンダー&サンダール『デンマークの親は子どもを褒めない』(集英社)、ドーナト『母親になって後悔してる』(新潮社)、など多数。翻訳経験と子育ての経験を生かした著書に『「自宅だけ」でここまでできる! 子ども英語超自習法』(飛鳥新社)がある。
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政治と政治学のあいだ 政治学者、衆議院選挙をかく闘えり | 大井 赤亥
¥2,420
青土社 2023年 240ページ 四六判 - 内容紹介 - 政治に知性を、政治学に実践知を! 学問としての政治学と、現実の選挙活動との乖離、そして接続――。「保守・旧革新・改革」の三極構造に迫り、衆議院選挙を捨て身で闘った政治学者だけに見えた「政治家だけが知りえること」とは。
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世界に学ぶミニ・パブリックス くじ引きと熟議による民主主義のつくりかた|OECD(経済協力開発機構), 日本ミニ・パブリックス研究フォーラム(翻訳)
¥2,970
学芸出版社 2023年 ソフトカバー 240ページ A5判 - 内容紹介 - 代議制民主主義の限界が露呈するなか、無作為抽出による少人数グループが十分な専門的情報を得て熟議を行い、提言を策定して公共政策の検討過程へ反映させるミニ・パブリックスと呼ばれる取組みが拡大している。世界289事例の分析をふまえ、成功のための原則、既存の制度に熟議を埋め込む方法をまとめた初の活用ガイドライン。 - 目次 - はじめに 謝辞 読者への手引き 本書の概要 ■Chapter 1 熟議とガバナンスの新しい形 1.1 なぜ現代の民主主義は危機にあるのか 1.2 本書が熟議とガバナンスの新たな形態を取り上げる理由 1.3 なぜ代表性と熟議なのか 1.4 抽選代表による熟議プロセスをいつ用いるべきか、用いるべきではないのか ■Chapter 2 熟議プロセスの様々なモデル 2.1 本章の対象 2.2 12のモデルの概要 2.3 政策課題に対する十分な情報に基づく市民提言 ・市民議会(Citizens’ Assembly) ・市民陪審/パネル(Citizens’ Jury/Panel) ・コンセンサス会議(Consensus Conference) ・計画細胞(Planning Cell) 2.4 政策課題に関する市民の意見を把握するためのモデル ・G1000 ・市民カウンシル(Citizens’ Council) ・市民ダイアローグ(Citizens’ Dialogues) ・討論型世論調査(Deliberative Poll/Survey) ・世界市民会議(World Wide Views) 2.5 住民投票にかけられる法案の評価モデル ・市民イニシアティブ・レビュー(Citizens’ Initiative Review) 2.6 常設型の抽選代表による熟議機関モデル ・東ベルギーモデル(Ostbelgien Model) ・市民監視委員会(City Observatory) 2.7 抽選代表による熟議のモデルをどう選択するか 2.8異なるモデルの機能を組み合わせる ■Chapter 3 熟議プロセスをめぐる世界のトレンド 3.1 世界のトレンドを概観するための7つの視点 3.2 調査結果の概要 3.3 OECD加盟国における熟議プロセスの導入状況 3.4 熟議プロセスの利用に対して繰り返し高まる関心の波を時系列で見る 3.5 政府・自治体のレベルごとに見た熟議プロセスの導入状況 3.6 多様な熟議モデルとその普及状況 3.7 熟議プロセスが導入された政策課題のタイプ 3.8 抽選代表による熟議プロセスの平均的なコスト 3.9 熟議プロセスの実施を委託された組織の種類 ■Chapter 4 成功する熟議プロセスとは?―エビデンスから考える 4.1 熟議の評価原則 4.2 主な調査結果の概要 4.3 公正な手続きと認められるための条件 101 ・検討課題の範囲 ・無作為選出の方法 ・さまざまな無作為選出の方法 ・参加への障壁を克服する ・熟議プロセスの重要性、参加者に求められるコミットメント、および期待される結果についての明確なコミュニケーション ・実施期間 ・意思決定者のコミットメント 4.4 適切な熟議と判断を可能にする要素 ・情報提供と学習 ・専門家とステークホルダーの選択 ・ファシリテーション ・熟議プロセスの中での意思決定 4.5 影響力のある提言とアクション ・抽選代表による熟議プロセスのアウトプット ・市民の提言への応答 ・市民提言に基いた政策の実行過程 ・モニタリングと評価 4.6 広く社会に影響を与える方法 ・公衆の学習ツールとしてのパブリックコミュニケーション ・参加型手法と抽選代表による熟議プロセスの組み合わせ ■Chapter 5 公共的意思決定のための熟議プロセス成功の原則 5.1 成功原則をまとめるにあたって 5.2 調査方法 5.3 公共的意思決定のための熟議プロセス成功の原則 ■Chapter 6 民主主義を再構築する―なぜ、どのように熟議を埋め込むか 6.1 熟議プロセスの制度化 6.2 制度化の定義 6.3 主な調査結果の概要 6.4 なぜ制度化するのか? 6.5 制度化に向けたさまざまなアプローチ ・常設または継続的な組織の創設 ・熟議プロセスを組織するための要件 ・市民が抽選代表による熟議プロセスを要求することを認める規則の制定 6.6 一時的な取り組みから制度化された実践への移行―その要件、障害、戦略 ・適切な制度設計 ・政治家による支援 ・行政職員による支援 ・一般市民やメディアからの支持 ・法的整備による支援 ・政府内外の十分なキャパシティ ・十分な資金 6.7 制度化の限界 ■Chapter7 その他の注目すべき熟議の実践 7.1 本章の対象 7.2 世界における熟議の動向 ・アフリカにおける討論型世論調査 ・中南米における熟議のさまざまな実践 ・インドの村落における民主主義 ・国際的・多国間熟議のプロセス 7.3 その他の創造的な熟議プロセスの活用例 ・社会運動への応答としての熟議 ・新たな民主主義の姿をデザインするための熟議 ・憲法起草プロセスにおける熟議と共創.アイスランドとチリ ・デモクラシーフェスティバル ・21世紀タウンミーティング ■Chapter 8 結論 8.1 本書の目的と得られた主な知見 8.2 データの限界 8.3 行動に向けた提案 8.4 今後の検討課題 付属資料A 熟議モデルの諸原則 付属資料B 調査方法 付属資料C 熟議プロセスに関する参考資料 - 著者プロフィール - OECD(経済協力開発機構) (ケイザイキョウリョクカイハツキコウ) (著/文) OECDパブリックガバナンス局にてパブリックセクターの透明性・アカウンタビリティ向上や市民参加などを所管する。本書に続き、政府・自治体の意思決定における熟議プロセスの実施、評価、そして制度化の各ガイドラインを発刊している。(https://www.oecd.org/governance/innovative-citizen-participation/) 日本ミニ・パブリックス研究フォーラム (ニホンミニパブリックスケンキュウフォーラム) (翻訳) [代表運営委員:坂野達郎(東京工業大学名誉教授)、篠藤明徳(別府大学名誉教授)、田村哲樹(名古屋大学大学院法学研究科教授)] ■翻訳ワーキンググループ(※は担当部分) 長野基(東京都立大学都市環境学部都市政策科学科准教授)*ワーキンググループ代表 ※本書の概要、Chapter1 三上直之(北海道大学高等教育推進機構高等教育研究部准教授) ※はじめに、謝辞、読者への手引き、Chapter7 前田洋枝(南山大学総合政策学部総合政策学科教授) ※Chapter3、5、付属資料A 坂井亮太(中央学院大学法学部法学科准教授) ※Chapter4、6、付属資料C 竹内彩乃(東邦大学理学部生命圏環境科学科准教授) ※Chapter2、8、付属資料B
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地域主権という希望 欧州から杉並へ、恐れぬ自治体の挑戦 | 岸本 聡子
¥1,760
大月書店 2023年 ソフトカバー 240ページ 四六判 - 内容紹介 - 推薦] 岡野八代さん(同志社大学教授、『フェミニズムの政治学』著者) 和田靜香さん(ライター、『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』著者) 政治経験ゼロから杉並区長となった著者が、世界各地で起きている自治体からの変革=ミュニシパリズムの実例を紹介。新自由主義による地域経済と政治の劣化に歯止めをかけ、足元から公共と民主主義を再生する希望の指針を描く。 [目次] 序章 杉並区は「恐れぬ自治体」をめざす 第1章 ミュニシパリズムとは何か 第2章 新型コロナパンデミックと「公共」の役割 第3章 気候危機に自治体として立ち向かう 第4章 「もうひとつの世界」はもう始まっている おわりに - 著者プロフィール - 岸本 聡子 (キシモト サトコ) (著/文) 現杉並区長、公共政策研究者。1974年東京生まれ。20代で渡欧しアムステルダムを本拠地とする政策シンクタンク「トランスナショナル研究所(TNI)」に所属。新自由主義や市場原理主義に対抗する公共政策、水道政策のリサーチおよび世界の市民運動と自治体をつなぐコーディネイトに従事。著書に『水道、再び公営化!』(集英社新書)『私がつかんだコモンと民主主義』(晶文社)。2022年6月、杉並区長選挙に立候補し187票差で現職に勝利、初の女性区長となる。
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民主主義とは何か|宇野 重規
¥1,034
講談社 2020年 講談社現代新書 ソフトカバー 280ページ 新書判 - 内容紹介 - トランプ大統領をはじめとする「ポピュリスト」の跋扈、旧社会主義諸国および中国など権威主義国家の台頭など、近年の世界の政治状況は、民主主義という制度の根幹を揺るがすかのような観を呈しています。日本の状況を見てみても、現行の政権が「民意」の正確な反映、すなわち「民主主義的な」政権だといわれると、頸をかしげる人も少なくないのではないでしょうか。はたして民主主義はもう時代遅れなのか? それとも、まだ活路はあるのか? それを議論するためには、まず何よりも、民主主義とは、そもそもどのような制度なのかを「正しく」知らなければならないでしょう。今では自明視されている「民主主義」という制度ですが、人が創ったものである限りそれもまた歴史的な制度として、さまざまな紆余曲折を経て現在のようなものになったのであって、決して「自然」にこのようなになったわけでではないのです。 そこで本書では、ギリシア・アテナイにおける民主主義思想の「誕生」から、現代まで、民主主義という制度・思想の誕生以来、起こった様々な矛盾、それを巡って交わされた様々な思想家達の議論の跡をたどってゆきます。その中で、民主主義という「制度」の利点と弱点が人々にどのように認識され、またどのようにその問題点を「改良」しようとしたのか、あるいはその「改革」はなぜ失敗してしまったのかを辿ることにより、民主主義の「本質」とは何なのか、そしてその未来への可能性を考えてゆきます。 またあわせて、日本の民主主義の特質、その問題点についても分析してゆきます。 民主主義という思想・制度を知るための、平易な政治思想史の教科書としても最適です。 目次 序 民主主義の危機 第1章 民主主義の「誕生」 第2章 ヨーロッパへの「継承」 第3章 自由主義との「結合」 第4章 民主主義の「実現」 終章 日本の民主主義 結び 民主主義の未来 あとがき - 著者プロフィール - 宇野 重規 (ウノ シゲキ) (著/文) 一九六七年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業。同大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。現在、東京大学社会科学研究所教授。専攻は政治思想史、政治哲学。主な著書に『政治哲学へ 現代フランスとの対話』(二〇〇四年渋沢・クローデル賞LVJ特別賞受賞)、『未来をはじめる 「人と一緒にいること」の政治学』(以上、東京大学出版会)、『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社学術文庫、二〇〇七年サントリー学芸賞受賞)、『保守主義とは何か 反フランス革命から現代日本まで』(中公新書)などがある。