
群れから逸れて生きるための自学自習法 | 向坂 くじら, 柳原 浩紀
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明石書店 2025年
ソフトカバー 192ページ
四六変形判
- 内容紹介 -
注目の詩人と教育者による、アウトサイダーのための勉強論
「勉強するのに仲間はいらない。むしろ、ひとりでいるために勉強が必要なのだ」。群れず、つるまず、あなた自身でいるための学び方とは。その試みは、他者を理解し、世界をゆがみなく捉える第一歩となる。一斉授業に困難を抱える中高生から、学び直しを求める大人まで。
- 目次 -
はじめに なぜ勉強の方法を知る必要があるのか?
【理論編】
01 学ぶとは何か?──目的と手段、そして対話
02 読む──すべての勉強はここからはじまる
03 理解する──少しはみ出すくらいがいい
04 覚える──ぶらぶら散歩するのがいい
05 言語化する──つまり、軽々と間違えること
06 考える──制約と跳躍
【実践編】
07 英語
◇コラム 勉強する理由は「楽しいから」か?
08 数学
◇コラム テストとは何か? なぜ試験勉強は勉強ではないのか?
09 国語
◇コラム 勉強仲間は必要か?
10 社会
◇コラム くじけるとは何か? 正しいくじけ方について
11 理科
◇コラム なぜ学習法が大切なのか? 努力に逃げないことを頑張る
おわりに
参考文献/教材リスト
- 前書きなど -
はじめに――なぜ勉強の方法を知る必要があるのか?[向坂くじら]
勉強をしなさい。
と言われたら、どんなふうに思うだろうか。わたしならまず、死ね、と思うだろう。
耳ざわりのいいことさえ言っていればこちらの行動をコントロールできると思うなよ、死ね。だいたい、先生の作ったテストでいい点を取るためだけに、先生に言われるまま勉強するなんてばかばかしい。言うことをすなおに聞く者ほど評価される仕組みがあらかじめ作られているわけで、それはつまり、こちらの将来のことなんか考えているフリをして、なにも考えずにえらいやつに従う人間を作りたいだけじゃないか。
いや、そもそも、「勉強をしなさい」なんて言ってくるほうこそ、なんで勉強をしないといけないかわかっているんだろうか。自分だって、自分よりえらいやつに聞きかじったことを、そのまま真似しているだけなんじゃないか。
それに、勉強のできるできないや、学歴のあるなしで人間の価値が決まるもんか。教科の勉強なんかより知るべきことは、世の中にたくさんあるはずだ。それならいっそそんなことにとらわれず、自分の頭で考えたい。そうだ、それこそが本当の知性というものなんじゃないか。
……わたしより賢明なあなたは、そこまでは思っていないかもしれない。誰かに命令されるのが嫌いなあまり、つい熱くなってしまった。
けれどもそんなわたしが、あなたに、勉強をしてほしいと思っている。そしてそれが、どうすればあなたに伝わるだろうかと思っている。
あなた。賢明で、簡単に人の言うことを聞かなくて、それでいてときに(わたしもまたそうであるように)どうしようもなく不まじめで、自分自身のままならなさに、自分でも手をやいているあなた。あなたに、なんと呼びかければいいだろうか。「学生」でも「勉強をしたい人」でも「人生に悩んでいる人」でも、その全部でも、それが総称である時点で、あなたはわたしの呼びかけを器用にすり抜けるだろう。あなた。安いごまかしはするどく見抜いてしまう、厳しくて勇敢なあなたにこそ、わたしは勉強をしてほしいのだ。
(…中略…)
くりかえし言おう。あなたは誰の言うことも聞かないまま、たったひとりで勉強を始めることができる。もっと言えば、勉強をしようとするのなら、あなたはどこかでたったひとりにならざるをえない。もし教えてくれる誰かがいたとしても、結局学ばないといけない主体はその誰かではなく、あなた自身だからだ。
さあ、勉強を始めよう。教わることに依存させられ、学ぶことを奪われないために。えらそうにあなたに命令する者に舌を出してやるために、都合のいい誘導にごまかされないために、不平等を打開するために。押しつけられたにすぎない群れからはるばると逸れて、あなたがあなたとして生きつづけるために。
- 版元から一言 -
朱喜哲(哲学者)推薦!
勉強は、あなたの孤独を守り、
そして自由にする。
学校が苦手で、それでも大学で
哲学をやると信じていた
14歳のわたしと、いま14歳のあなたに、
本書が届きますように。
- 著者プロフィール -
向坂 くじら (サキサカ クジラ) (著)
詩人。1994年、愛知県名古屋市生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。2016年、Gtクマガイユウヤとのポエトリーリーディング×エレキギターユニツト「Anti-Trench」を結成、ライブを中心に活動をおこなう。主な著書に詩集『とても小さな理解のための』、エッセイ『夫婦間における愛の適温』『犬ではないと言われた犬』(百万年書房)、『ことぱの観察』(NHK出版)など。2024年、初小説『いなくなくならなくならないで』が第171回芥川龍之介賞候補となる。執筆活動に加え、小学生から高校生までを対象とした私塾「国語教室ことぱ舎」の運営をおこなう。
柳原 浩紀 (ヤナギハラ ヒロキ) (著)
1976年東京生まれ。東京大学法学部第3類卒業。「一人ひとりの力を伸ばすためには、自学自習スタイルの洗練こそが最善の方法」と確信し、一人ひとりにカリキュラムを組んで自学自習する「反転授業」形式の嚮心塾(きょうしんじゅく)を2005年に東京・西荻窪に開く。勉強の内容だけでなく、子どもたち自身がその方法論をも考える力を鍛えることを目指して、小中高生を指導する。
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