読者に憐れみを ヴォネガットが教える「書くことについて」 | カート・ヴォネガット, スザンヌ・マッコーネル, 金原瑞人 (翻訳), 石田文子 (翻訳) | 尾鷲市九鬼町 漁村の本屋 トンガ坂文庫

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読者に憐れみを ヴォネガットが教える「書くことについて」 | カート・ヴォネガット, スザンヌ・マッコーネル, 金原瑞人 (翻訳), 石田文子 (翻訳)

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フィルムアート社 2022年
ハードカバー 616ページ
14.3 x 4.4 x 19.5 cm


- 内容紹介 -
『スローターハウス5』『タイタンの妖女』などで知られる戦後アメリカを代表する作家、
カート・ヴォネガットの「書くこと」と「人生について」。

辛辣で、機知に富み、心優しきニヒリスト、ヒューマニストで、教師としては熱血漢。
「書くことは魂を育むこと」を生涯の信条としたヴォネガットの教えを、彼自身の言葉と小説の引用、そして周囲の人々の談話からまとめた、「ヴォネガット流・創作指南+回顧録的文章読本」。

生誕100年を記念し、待望の邦訳!

「本書の各所に引用されるヴォネガットの助言を読むうちに、自分にも小説が書けるという気持ちになってくる。それはとても苦しいものであることをヴォネガットが強調してもだ。何度も書き直し、声に出して読み、読者の負担を最低限にするべきことを繰り返し言う。でもしかし、その人にしか語りえないことというものがあるのだ。」
――円城塔(作家)

カート・ヴォネガットは、口癖のようによくこう言っていた。
「芸術活動にたずさわることは、魂を育む方法のひとつだ」。
そう言ったあと、ヴォネガットは顔をしわくちゃにして唇をぎゅっと引き結んでいた。
それは彼がこの考えをひじょうに重要だと信じていたからだ。
『読者に憐れみを』はヴォネガットのそんな考えを具体的に表し、
書くことと人生について、そしてそのふたつがなぜつながっているのかを明らかにした、
何かを書こうとしているすべての人への珠玉のアドバイスである。

本書では、ヴォネガットがどのようにして作家になったのか、
なぜ作家になることが彼にとって重要だったのか、
そしてそれがなぜ本書の読者にとっても重要なのかが、
ヴォネガット自身の言葉と実際の作品の引用から、
彼の教え子であったマッコーネルによって丁寧に分析され、
余すところなく説明される。
作家としての苦闘や、戦争体験や母親の死など、彼の人生に生涯つきまとった「影」についても言及しながら、
戦後の時代精神を体現するベストセラー作家となった成功の秘訣のほか、
「つねに学び、それをつねに教えていた」という教師としての素顔も明らかにされていく。

さらに、文章を書いたり物語を書く際に必要な、原動力、才能、想像力の飛躍、勤勉さ、反省、ブラックジョークについて、生計を立てること、心身のケア、はたまたコミュニティの重要さにいたるまで、さまざまな角度からユーモアを交えながら真摯に語られる。
加えて、物語はどこから生まれるのか、冒頭部の書き方、プロット、登場人物の書き方、耳で聞く文章と目で見る文章の違い、見直しと校閲などのコツとテクニックについても惜しげもなく披露される。
その驚くほど実践的なアドバイスは、作家志望者のみならず、文章を書く時に悩んだことのある人、何かの課題と格闘して自分は無能だと感じているすべての人の心に突き刺さるだろう。
ヴォネガットの手稿や実際の原稿、メモ書きや、出版社からの手紙なども多数収録した、ヴォネガットファン必見の一冊となっている。

ちょっと風変わりで、だけど読むと書き続ける勇気が湧いてくる、
カート・ヴォネガットの教えを一冊にまとめた、創作指南+回顧録の決定版。


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[……]猫背のカート・ヴォネガットは、居心地の悪い薄暗い教室で、我々十二人の学生に対して、魅力的なかすれた声で、開口一番にこういった。「長編小説は死んだ。いまどき小説など誰も読まない。アメリカはみずからの想像力を失った。もう終わりだ」
私の記憶では、ヴォネガットはそういったあと、ひっきりなしにタバコを吸いながら、さらにだらだらと話し続けた。もしかしたらタバコを吸っていたというのは私の記憶違いかもしれないが、彼のいったことは正確に覚えている。ヴォネガットの長口舌が終わったあと、学生のひとりが蚊の鳴くような声でおずおずとこう質問した。
「ということは、先生は、そのぉ、僕たちは小説を書くとか、そういうことはよしたほうがいいとおっしゃってるんですか?」
これに対して、ヴォネガット先生は(もちろん、タバコの火をもみ消しながら)、椅子の上で心持ち背筋を伸ばし、心持ち目に輝きを取り戻して、こういった。
「いやいや、違う。誤解してもらっちゃ困る。きみたちは小説家として生計を立てることはないだろう。いくらがんばっても無理だ。しかし、だからといって、書いてはいけないということではない。きみたちはダンスのレッスンを受けるのと同じ理由で小説を書かかねばならない。高級レストランでのフォークの使い方を学ぶのと同じ理由で書かねばならない。世界を見る必要があるのと同じ理由で書かねばならない。それはたしなみだ」
――本文「第9章 魂の成長」より


「ヴォネガットの講座での課題をいま振り返ってみると、文章を書く技術より、もっと大事なことを教えるためのものだったとわかる。それは私たち学生に、自分で考えさせたり、自分はどんな人間かを理解させたりするものだった。自分は何が好きで、何が嫌いで、どんなことで感情が爆発するのか、どんなことでときめくのかを自覚させるためのものだった。
私はこの本に収めたヴォネガットの言葉によって、読者にも同じようなことを理解してもらいたいと願っている」
――マッコーネルによる「はじめに」より

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【目次】(仮) はじめに
第1章 何かを書こうとしているすべての人へのアドバイス
第2章 小説を書くことについて
第3章 原動力
第4章 回り道をしながら前進
第5章 まっしぐらに前進
第6章 突破
第7章 価値あるテーマを見つけることへの不安、死の欠乏
第8章 原動力の切り札、すなわち恐れないこと
第9章 魂の成長
第10章 避難所
第11章 偉大な芸術をつくるもの、すなわち芸術と魂
第12章 変化の触媒
第13章 教師、すなわちもっとも気高い職業としての作家
第14章 教室のヴォネガット
第15章 重みと感触
第16章 才能
第17章 勤勉さ
第18章 落とし穴
第19章 方法論主義
第20章 実体化
第21章 増殖
第22章 再生
第23章 真珠の中の真珠
第24章 冒頭部
第25章 プロット
第26章 登場人物
第27章 耳で聞く散文
第28章 目で見る散文
第29章 ジョーク好き
第30章 ブラックユーモア
第31章 もっといい話になるように──見直しと校閲
第32章 どれにしようかな、すなわち選択
第33章 生計を立てること
第34章 心身のケアをすること
第35章 人生と芸術で遊びほうけること
第36章 愛、結婚、そしてベビーカー
第37章 いっしょのほうがいい、すなわちコミュニティ

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