サーシャ、ウクライナの話を聞かせて | オレクサンドラ・スクヴォルツォヴァ, 西田 孝広(著/文 | イラスト)
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雷鳥社 2023年
ハードカバー 128ページ
A5変判 縦192mm 横148mm 厚さ14mm
- 内容紹介 -
戦火のウクライナから逃れ、国外への避難を余儀なくされたサーシャ。
祖国を愛する彼女が案内する、「知られざる国」のビジュアルブック
著者のサーシャは、軍事や歴史の専門家でも著名人でもありません。ウクライナの工業都市ドニプロで日常を送っていた建築を学ぶ学生でした。しかし、2022年2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻の当日、彼女は否応なく故郷を追われました。
祖国ウクライナを愛する彼女が、魅力あふれるウクライナのあれこれを紹介。一人の「普通のウクライナ人」の目を通して綴られる本書を読めば、ウクライナという国、そして、ウクライナの人々により共感を持っていただけるはずです。
サーシャの友人であり、共著者であり、通訳・美術家としても活躍する西田孝広氏の挿絵は、ウクライナの人物、風景、そして、戦争の影をも繊細に表現し、本書全編を美しく彩ります。
祖国を憂うサーシャの魂が宿る、ウクライナへの愛で満ちた一冊です。
- 目次 -
1 ウクライナといえば
国旗/ロシアによるウクライナ侵攻/ゼレンスキー大統領
キーウ/チェルノブイリ原発事故/ボルシチ
現代の食生活/ピーサンキ/民族衣装/女性と美意識
花/愛のトンネル
2 ウクライナを巡る
東部と西部/リヴィウ/オデーサ/クリミア
ドニプロ/ハルキウ/ドンバス/人気の観光地
世界遺産/ホールツィツァ島
3 ウクライナを知る
国民性/家族/ペット/理想の男性像/言語/教育/祝日
政治/宗教/医療/経済/科学/欧州の穀倉地帯
4 ウクライナを楽しむ
レーシャ・ウクライーンカ/タラス・シェフチェンコ
ウクライナ出身の有名人/伝統工芸/美術/音楽
映画/建築/スポーツ/バレエとオペラ
5 ウクライナの歩み
スキタイ/キーウ・ルーシ/コサック/ソビエト連邦時代
ホロドモール/オレンジ革命/ユーロマイダン革命/クリミア併合
ロシアと欧米のはざまで/EUにおけるウクライナ支援
/日本におけるウクライナ支援
体験記① ウクライナからの脱出
体験記② 戦場となった祖国への帰郷
前書きなど
はじめに(一部抜粋)
私の本名は、オレクサンドラといいます。「サーシャ」は、ウクライナにおける女性名オレクサンドラや男性名オレクサンドルの愛称です。私の家族や友人はみな私のことを「サーシャ」と呼びます。
現在私たちが経験していることは、ウクライナ人にとって決して初めてのことではありません。自由のための戦い、死、虐殺、よりよい未来への希望と砕かれた夢。ウクライナの地ではこの世の始まり以来、幾度となく繰り返されてきました。もう二度と起こらないと考えるのは、ナイーブに過ぎます。だから、14歳の頃の私は、「もう数十年私の身近に戦争は起きてないけれど、戦争のない世紀などなかった。それは一体いつやって来るのだろう? 神様、もしそうなっても生き残ることができますように!」などと考えていました。でも、そんなことは何の役にも立ちませんでした。心構えなどできないのです。いつ戻ることができるかもわからぬまま、愛する人を残して、家を後にする時には。ロシア軍による侵攻が始まり、今も父の残る故郷ドニプロの街を出た時、私はもう帰ることはできないかもしれないと覚悟しました。「私はホームレスになった。新天地で生きるしかない。もう私に帰る家はない」。
現在、世界中のあらゆるメディアがウクライナを注視していますが、ロシアによる侵攻前は、ウクライナの話など聞いたこともない人がほとんどでした。祖国を去った私には、そんな「知られざる国」の物語、人生や夢、私たちが何を食べているのか、そのすべてを伝えることが自分の義務のように感じられ筆を執りました。ここに書かれていることは、1998年にウクライナ東部で生を受けた私の限られた人生経験と世界観に基づいています。欧州内はあちこち回りましたし、メキシコやセイシェルなどにも旅したことがありますが、人生のほとんどをウクライナで人口第4位の工業都市ドニプロで過ごしました。どちらかといえば、懐疑主義者で悲観論者かもしれませんが、ウソはついていないつもりです。
本書を通じて日本のみなさんと、私の人生、そして、魂の一部を分かちあえることを誇りに思います。もちろん、この小さな本の限られたページの中で一国のすべてを語ることなど不可能です。でも、本書がきっかけとなって、私の国に興味や共感を持ってくれる人が一人でも増えたなら、私たちの試みは無駄ではなかったと思うのです。
オレクサンドラ “サーシャ” スヴォルツォヴァ
版元から一言
ウクライナという国は、複雑な歴史を持っています。現在のロシアによる侵攻、隣国の脅威に晒され続けた過去、独立を求めた革命……あらゆる事柄が絡み合い、知れば知るほど一言では到底説明できません。強く「自由」を求めるウクライナの人々は、現在も続く戦争で激しい攻防を繰り広げています。2023年2月24日ではや1年が経過しました。
ウクライナは、日本、そして日本人にとってただ遠い国なのでしょうか?そんな「知られざる国」を、一人の「普通のウクライナ人」の目を通して、あらゆることを紹介する本を作る機会を得ました。軍事や歴史の専門家でもないサーシャの主観的で独特な視点は、面白くも分かりやすく、いつの間にかウクライナという国を、ウクライナの人々を身近に感じていただけるはずです。そして、改めてウクライナに興味・関心を持ってもらうことが、本書の目的でもあります。
サーシャの友人で共著者の西田氏の挿絵が全編に入り、ページをめくるだけでも楽しめるビジュアルブックです。
- 著者プロフィール -
オレクサンドラ・スクヴォルツォヴァ (オレクサンドラスクヴォルツォヴァ) (著/文)
愛称は、「サーシャ」。ウクライナのドニプロ出身。1998年、ソビエト連邦時代のウクライナ出身の、ロシア系の父とユダヤ系の母の間に生まれる。2021年ドニプロ土木工学・建築アカデミー卒業。建築事務所での仕事やモデル業を経験。
ロシアによる侵攻を受け、ドイツのミュンヘンに避難。現在は、避難民として米国テキサス州在住。ウクライナ語、ロシア語、英語、ドイツ語を話す。 欧州各国、メキシコ、セイシェルなどに滞在経験があり、趣味は、旅行の他、乗馬、歌唱、ヨガ。2022 年夏よりヴィーガン。幼少時から日本文化に興味を持ち、アニメや村上春樹のファンで、来日を夢見ている。
西田 孝広 (ニシダタカヒロ) (著/文 | イラスト)
1965年、福岡県北九州市生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業後、ニューヨーク市立大学ブルックリン校で美術、スタンフォード大学で東アジア研究の修士号を取得。2007年オレンジ革命後のキーウ、オデーサを訪問。『世界遺産の都へ「ラトビア」の魅力100』の監修、コラム執筆を担当した後、『北欧の小さな大国「スウェーデン」の魅力150』(ともに雷鳥社)を執筆するなど、東欧・北欧にも造詣が深い。創造的翻訳を探究するサイトTRANSCREATION®Lab.にコラム連載中。美術家としての活動のかたわら、国際プロジェクト・ファシリテーター、通訳者としても国際的に活躍。本書では、表紙画、挿絵も担当した。
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