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近代美学入門 | 井奥 陽子

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筑摩書房 2023年 ちくま新書
ソフトカバー 320ページ
新書判


- 内容紹介 -
「美は、美しいものにあるのか、感じるひとの心にあるのか」現代における美や芸術の”常識”は歴史的にどう成立したのか、平易な言葉で解説する。読書案内付き。

「美しい」とはなにか?
豊富な図版と話し言葉で、初学者にもわかりやすく解説。むずかしいと思っていた美学が、よくわかる!
勉強に役立つ読書案内付き。


- 目次 -
はじめに 
第1章 芸術――技術から芸術へ
1 「建築は芸術か」 
2 本章のポイント 
3 アート=技術(古代?中世)  
3-1 アートは技術(学芸)の意味だった
テクネーとアルス/アルス・ロンガ、ウィータ・ブレウィス/発展――模倣の技術
3-2 文芸・音楽と絵画・彫刻・建築は別グループだった
自由学芸/機械的技術/絵画・彫刻・建築の位置づけ/アーティストとは誰か
3-3 美=芸術ではなかった
4 アート=芸術(近代以降)  
4-1 「芸術」概念成立の土壌
新旧論争/詩画比較論/美術アカデミーの創設/文芸・音楽と絵画・彫刻・建築の共通点
4-2 新グループ「美しい諸技術」、そして「アート」へ
新しいグループ名の探求/ペローとバトゥー/発展 ―   美しい自然の模倣/形容詞と複数形が抜けた「アート」/補足――日本語の「芸術」と「美術」
5 何が芸術で、何が芸術でないのか?
美しい諸技術には何が含められたか/芸術の条件――「?は芸術か」という問いをほどく/近代の「芸術」概念を相対化する

第2章 芸術家――職人から独創的な天才へ 
1 「独創的な芸術家は世界を創造する」
2 本章のポイント 
3 芸術家をとりまく環境と作者の地位の変遷 
3-1 注文に従って制作する職人(古代?初期近代)
パトロネージによる制作/「作者」概念の不在/画家のサインから見る意識変化
3-2 独創的な作品を創造する天才(18世紀以降)
ギルドやパトロネージからの独立と芸術の公共化/模倣から表現へ(ロマン主義の芸術)/天才としての芸術家像/神格化された芸術家
4 芸術家にまつわる概念の変遷 
4-1 ジーニアスの人間化
ゲニウス(守護霊、守護天使)/インゲニウム(生得的な素質・能力)/ゲニウスとインゲニウムの混同
4-2 クリエイションとオリジナリティの人間化
神のクリエイション/芸術家のクリエイション/オリジナルとオリジナリティ
5 作者と作品の関係をどう捉えるか?
ケルン大聖堂にて/作者と独創性の偏重/近代的「作者」の乗り越え/「作者の死」のその先に

第3章 美――均整のとれたものから各人が感じるものへ 
1 「美は感じる人のなかにある」 
2 本章のポイント 
3 美の客観主義(古代?初期近代)  
3-1 美は幾何学の原理に従っていると考えられた
古代ギリシャ語の「美」/宇宙と美の原理としての数(ピュタゴラス)/幾何学者としての神(プラトン)/プロポーション理論/補足――複雑なものと単純なもの(多様の統一、光の美学)
3-2 人体のプロポーションを求めて
美しい身体の追求/古代ギリシャ・ローマの人体比例論/ルネサンスの人体比例論/補足――黄金比
4 美の主観主義(18世紀以降)  
4-1 伝統からの離反
古典理論への疑義/プロポーション理論の否定(バーク)/主観主義と客観主義の狭間で(ヒューム)
4-2 客観主義との調停
道徳や味覚との類似(道徳感覚学派)/美の主観性と普遍性(カント)
5 美の概念とどのように付き合うのがよいか? 
美の自律性と唯美主義/芸術の自律性と「芸術のための芸術」/美は絶対的で自律的な価値か

第4章 崇高――恐ろしい大自然から心を高揚させる大自然へ 
1 「崇高なものが登山の本質だ」
2 本章のポイント 
3 山に対する美意識の転換 
3-1 山は恐ろしく醜い場所だった(古代?初期近代)
危険で近づきがたい存在/崇拝と忌避の対象/神の罰としての醜悪な山(山岳論争)
3-2 登山による印象の変化(17世紀以降)
ペトラルカの登山/グランド・ツアー/理論と経験の衝突(バーネット)/歓喜に満ちた戦慄(デニス)/崇高概念との交叉
4 「崇高」概念の転換
4-1 言葉の崇高(古代?17世紀)
文体としての崇高/ロンギノスの『崇高について』/ロンギノスの再発見と再解釈(ボワロー)
4-2 自然の崇高(18世紀以降)
自然体験とロンギノス『崇高について』のリンク/自然の崇高の確立(バーク)/人間理性の崇高さ(カント)/芸術に描かれた崇高な山
5 芸術は圧倒的なものとどのように関わることができるか?
崇高概念の復興と変容/現代アートと崇高(抽象表現主義)/描くことができないものに向き合う

第5章 ピクチャレスク――荒れ果てた自然から絵になる風景へ
1 「絵になる景色を探す旅」
2 本章のポイント 
3 風景画とピクチャレスクの誕生 
3-1 風景画と「風景」概念
風景画の不在と登場/「風景」の誕生/クロードとローザの描く風景
3-2 ピクチャレスクの成立
ピクチャレスクの定義/不規則さによる多様性/構図による統一性/1の答え合わせ
4 ピクチャレスクの広がり(観光と庭園)  
4-1 ピクチャレスク・ツアー
国内旅行の流行と観光産業の成立/風景のスケッチ/クロード・グラス/ピクチャレスクな人
4-2 風景式庭園への適用
庭園革命/風景式庭園とピクチャレスク
5 美や芸術は自然とどのように関わることができるか? 
風景の形式化と理想化/自然鑑賞の普及/自然を美しいものとして眺めること/芸術をとおして自然と向き合う

おわりに 
あとがき 
読書案内 
索引 


- 著者プロフィール -
井奥 陽子 (イオク ヨウコ) (本文)
日本学術振興会特別研究員。東京藝術大学美術研究科博士後期課程修了。博士(美術)。二松學舍大学、実践女子大学、大阪大学などの非常勤講師、東京藝術大学教育研究助手を経て現職。専門は美学・思想史、とくにドイツ啓蒙主義美学。著書に『バウムガルテンの美学――図像と認識の修辞学』(慶應義塾大学出版会、2020年)、共著に樋笠勝士編『フィクションの哲学――詩学的虚構論と複数世界論のキアスム』(月曜社、2022年)がある。

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