文学が裁く戦争 東京裁判から現代へ | 金 ヨンロン
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岩波書店 2023年
ソフトカバー 246ページ
新書判 縦173mm 横107mm 厚さ11mm
- 内容紹介 -
文学は戦争を抑止するために何ができるのか。連合国による戦争裁判が終結した後も、日本文学は、法が裁けなかった罪を問い直し、戦争の暴力に向き合い続けてきた。一九四〇年代後半から現在まで、時代の要請のもとに生み出されてきた、戦争裁判をテーマとした主要な作品と作家を取り上げて、新たな文学史を描く。
- 目次 -
はじめに
第一章 東京裁判と同時代作家たち
1 傍聴人としての作家たち――川端康成、大佛次郎
2 裁判が残すもの――中山義秀、中野重治、宮本百合子
3 文学の前景としての戦争裁判――梅崎春生、久生十蘭、林芙美子
第二章 BC級裁判が突きつけたもの(一九五〇年代)
1 スガモプリズンの群像――火野葦平『戦争犯罪人』と安部公房「壁あつき部屋」
2 BC級裁判と女性たち――大原富枝「巣鴨の恋人」と樋口茂子『非情の庭』
3 捕虜問題とレイシズム――遠藤周作『海と毒薬』と大江健三郎「飼育」
第三章 裁かれなかった残虐行為(一九六〇年代)
1 アメリカの残虐行為を問う――堀田善衞『審判』
2 植民地支配責任を問う――小田実「折れた剣」
第四章 ベトナム戦争とよみがえる東京裁判(一九七〇年代)
1 舞台で再演される東京裁判――木下順二『神と人とのあいだ』
2 推理小説が再召喚する戦犯――松本清張「砂の審廷」
3 伝記小説が再召喚する戦犯――城山三郎『落日燃ゆ』
第五章 経済大国と混迷する戦争裁判観(一九八〇年代)
1 ノンフィクションの時代と戦争裁判観の更新――大岡昇平『ながい旅』
2 「勝者の裁き」論から「東京裁判史観」へ――江藤淳『閉された言語空間』
3 ポスト戦後文学――村上春樹「羊をめぐる冒険」
第六章 記憶をめぐる法廷(一九九〇年代から二〇〇〇年代)
1 戦時性暴力の証言と文学――川田文子の聞き書き
2 普通の人々を巻き込む再審――井上ひさしの東京裁判三部作
第七章 戦争裁判と文学の今と未来(二〇一〇年代以降)
1 戦争裁判を描いた日本文学の現在
2 再審としての読み――世界文学へ
おわりに
主要参考文献
図版出典一覧
あとがき
略年表
- 著者プロフィール -
金 ヨンロン (キム ヨンロン) (著/文)
1984年韓国ソウル生まれ.東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了.博士(学術).日本近現代文学専攻.
現在―大妻女子大学文学部専任講師.
著書―『小説と〈歴史的時間〉―井伏鱒二・中野重治・小林多喜二・太宰治』(世織書房,2018年)
『「言論統制」の近代を問いなおす―検閲が文学と出版にもたらしたもの』(共編著,花鳥社,2019年)ほか
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