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コンバヒーリバー・コレクティヴ宣言|キアンガ=ヤマッタ・テイラー(編), Political Feelings Collective(訳)
¥3,520
花伝社 2025年 ソフトカバー 376ページ 四六判 - 内容紹介 - 「黒人女性が自由であるならば、他のすべての人が自由であることを意味する。なぜなら、私たちが自由であるためには、すべての抑圧システムの破壊が必要だからだ――」 60~70年代の革命的ブラックフェミニスト集団「コンバヒーリバー・コレクティヴ」。「インターセクショナリティ」という言葉が生まれるはるか前に、性や人種の連動(インターロッキング)する抑圧を捉えようとした彼女たちの記念碑的ステートメント全文が、ついに本邦初邦訳! - 著者プロフィール - キアンガ=ヤマッタ・テイラー (キアンガヤマッタテイラー) (編) ノースウェスタン大学でアフリカ系アメリカ人研究の博士号を取得し、プリンストン大学助教授を歴任。著書に『#BlackLivesMatterから黒人解放へ』など。『ソウルズ――黒人の政治、文化、社会についての批評誌』、『ガーディアン』、『ロサンゼルス・タイムズ』、『ボストン・レビュー』、『ニュー・リパブリック』、『アルジャジーラ・アメリカ』、『ジャコビン』、『イン・ディーズ・タイムズ』、『ニュー・ポリティクス』、『国際社会主義レビュー』などへ寄稿。2016年にはラナン財団から「文化的自由・特に注目すべき書籍」賞を受賞。 Political Feelings Collective (ポリティカルフィーリングスコレクティヴ) (訳) 関東圏を中心に活動する翻訳出版集団。2020年、上映団体ノーマルスクリーンによる映画『タンズ アンタイド』の上映の際、字幕翻訳に関わったメンバーが、この映画の中で引用されている詩人、オードリ・ロードの読書会を開催。コロナ禍においてオンラインで1年以上にわたって続けられたこの読書会は、ブラックフェミニズム関連の翻訳や研究を行う翻訳出版集団へと展開する。2021年にはオードリ・ロード著作集と本書『コンバヒーリバー・コレクティヴ宣言』の2冊の刊行を目指しクラウドファンディングを実施。「政治的感情」を探究するという理念のもと、翻訳とあわせZINEなどの制作を通じて、執筆活動も行う。
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猫にご用心 知られざる猫文学の世界|大久保ゆう(編・訳), ウィリアム・ボールドウィン, ウィリアム・クーム, ジョン・ダンロップ, マリオン・フローレンス・ランシング, アビー・モートン・ディアズ, モード・D・ハヴィランド
¥2,420
日本印刷(株)出版・メディア事業部 2025年 soyogo books ハードカバー 232ページ 四六判 縦195mm 横135mm 厚さ24mm - 内容紹介 - 世界で初めて英語で書かれた小説といわれる、 16世紀イギリスの怪奇譚「猫にご用心」。 「猫には九つの命がある」という伝承の出典ともされている知る人ぞ知る物語が、 翻訳家・大久保ゆうさんによる完訳版としてよみがえりました。 歴史に埋もれた怪奇小説が、本邦初の書籍化です! 猫たちの会話を理解しようと、 主人公・ストリーマ氏は動物の言葉が分かるようになる秘薬を作り出すのですが……。 現実と噂話が錯綜しながら、魔術や宗教の話題が入り乱れ、 人間たちの滑稽な姿が猫の目を通して描かれる世にも不思議な怪奇小説「猫にご用心」。さらに、そこから派生した知られざる猫文学も同時収録。 すべての作品に共通するのは、グリマルキンという猫のキャラクターです。 シェイクスピアからゲゲゲの鬼太郎やファイナルファンタジーまで、 時代と場所を超えてさまざまな作品に登場する「猫の王様・グリマルキン」とは? 「猫にご用心」で初登場したといわれるグリマルキンは、なぜ現代にも生き続けるのか? 奇書と伝承の謎を追う大久保さんのスリリングな解説も巻末に収録しています。 読んでまさに愉快痛快な“猫文学”アンソロジー、ここに誕生!! - 目次 - まえがき 猫にご用心(1553年) ウィリアム・ボールドウィン <猫の王様 伝承編> 「猫の王様」の噂を伝える偽作書簡の抜粋(1780年頃) ウィリアム・クーム 詩篇 猫の王(1800年前後) ジョン・ダンロップ 猫の王様(1908年) マリオン・フローレンス・ランシング編 <猫の王様 物語篇> 猫のアラビア夜話 ― グリマルカン王(抄・1881年) アビー・モートン・ディアズ 猫王グリマルキン伝より ― 『もふもふ民の伝記集』収録(1910年) モード・D・ハヴィランド 解説 訳者あとがき 前書きなど 〈小説〉という文芸形式の源流をたずねる試みが続けられるなか、さまざまな候補が現れましたが、本書ではその説のひとつとして、かつては稀覯書として知る人ぞ知るものであった物語をご紹介いたします。 その作品こそ ― 魔女迫害が高まる前の1553年に書かれ、そのあと〈血まみれメアリ〉の治世を手稿回覧などされながら生き延びて、エリザベス朝の1570年に死後刊行された ― ウィリアム・ボールドウィン『猫にご用心』です。日本だと戦国時代にあたる時期に書かれた一種の幻想怪奇小説で、出版時のタイトルは『「猫にご用心」と題する驚異の物語 ― 様々なる驚くべき信じがたい事柄をも含む ― 読んでまさに愉快痛快』というものでした。 しかしこの『猫にご用心』、薄手のいわゆる英文学史では、まずもって触れられることのない作品です (まえがきより抜粋) - 版元から一言 - 印刷会社が立ち上げた出版レーベル「soyogo books」の第1弾単行本です。 「仕事・学問・研究をたのしむ」をコンセプトに掲げたウェブサイト「soyogo」。このサイトの連載作品を紙の書籍にする出版レーベル「soyogo books」が、最初に選んだテーマは「翻訳」です。 翻訳研究家・大久保ゆうさんにご協力いただき、「英語で書かれた初めての小説」といわれる16世紀の怪奇小説「猫にご用心」全訳が完成しました。 この「猫にご用心」をはじめとして、大久保さんセレクトによる知られざる猫文学作品を併録。全作品に共通するのは、「グリマルキン」という猫のキャラクターです。シェイクスピアからゲゲゲの鬼太郎、ファイナルファンタジーまで、現代のカルチャーにも登場する「グリマルキン」の謎を解き明かす内容にもなっています。 歴史に埋もれた世にも珍しい猫文学の世界を、ぜひお楽しみください。 - 著者プロフィール - 大久保ゆう (オオクボユウ) (編・訳) 1982年生まれ。翻訳家。研究者〈大久保友博〉としての専攻は翻訳論・翻訳文化史、現在は一橋大学言語社会研究科講師、博士(人間・環境学)。16歳から青空文庫に翻訳作品を発表、大学院在学中からフリーランス翻訳家としても活躍。文芸・大衆文化・美術関連の翻訳や著作権についての批評も手がける。訳書に、スコット・L・モンゴメリ『翻訳のダイナミズム│時代と文化を貫く知の運動』、アーシュラ・K・ル=グウィン『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』等多数。 ウィリアム・ボールドウィン (ウィリアム・ボールドウィン) (著) (1526頃~1563) 作家・編集者・説教者。若いころはロンドンで印刷工をつとめながら、出版用の原稿も執筆し、翻訳も行った。英文学史上では、シェイクスピアの種本にもなった『為政者の鑑』(一五五九)の編著者として知られ、今作『猫にご用心』にも登場するフェラーズ氏と共同でその本の編集作業を行っている。エリザベス女王の戴冠後は出版の仕事をやめ、聖職者となって説教活動に励んだという。一五六三年のペスト大流行に際して死没。 ウィリアム・クーム (ウィリアム・クーム) (著) (1742~1823) 諷刺作家・編集者。イギリス一八世紀に大勢いたいわゆる三文文士のひとりで、偽作執筆や筆禍も多く、幾度となく獄中生活を送っている(そのあいだ債務者監獄から許可が出た日に『タイムズ』へ出社して記事を書いたりもしていた)。一連の諷刺画に寄せた詩にちなんで〈シンタックス博士〉とも呼ばれる。 ジョン・ダンロップ (ジョン・ダンロップ) (著) (1755~1820) スコットランドの名士。商人から身を立てて、のち徴税官や行政長官を歴任し、最終的には大都市グラスゴーの市長となった。唱歌を得意とし、自身でも詩や歌を作る陽気な人物であったという。その歌「ゆく年へ乾杯」は年末年始のスコットランド唱歌として今も愛好されている。 マリオン・フローレンス・ランシング (マリオン・フローレンス・ランシング) (著) (1883~1966) 作家・歴史家。ハーバード大学の別館となる女子大学として創設された名門ラドクリフ・カレッジの出身で、修士号を得たのち、長年にわたってケンブリッジ歴史協会の一員として欧米の尚古を探求した。 アビー・モートン・ディアズ (アビー・モートン・ディアズ) (著) (1821~1904) 作家・教師。シングルマザーとして教師業のかたわら家政婦や女工としても働くうち、女性権利運動の必要性を感じて、ボストンで女性教育と女性労働者のためのユニオンを創設している。作家業でも健筆をふるい、児童文学や家庭生活・信仰生活などについての著作がある。 モード・D・ハヴィランド (モード・ディー・ハヴィランド) (著) (1889~1941) 作家・博物学者・探検家。幼いころから野鳥や野生動物・昆虫を愛好する人物で、若くして人類学者の探検旅行に同行したのち、博物学的な随筆や小説で人気を博した。のちケンブリッジ大学であらためて動物学を学び、昆虫と鳥類の専門家となって諸国をめぐった。
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金子文子 反逆の思想 「人間の絶対平等」を求めて|安元 隆子
¥2,750
皓星社 202 6年 256ページ 四六判 - 内容紹介 - 金子文子没後100年。新たな文子像がたちあがる。 ⾦⼦⽂⼦(1903- 1926)の思想を、著書『何が私をこうさせたか』をはじめとする記録からたどる、画期的な論考です。⽂⼦は、裁判の中で次のように語っています。 「総ての⼈間は完全に平等であり、従つて総ての⼈間は⼈間であると云ふ、只⼀つの資格に依つて⼈間としての⽣活の権利を完全に且つ平等に享受すべき筈のものであると信じております。 」 (『朴烈、⾦⼦⽂⼦裁判記録』より) 人間はみな平等、というのは今では当たり前の考え方かもしれませんが、⽂⼦がこのような主張をしたのは⼤正時代、天皇制国家の時代でした。天皇もまた「総ての人間」であり「完全に平等」という、当時の日本国家を否定するような文子の思想は、⽂⼦の中にどのように芽⽣え、醸成されていったのでしょうか。 具体的には、第1部では⽂学研究的なアプローチで⾦⼦⽂⼦の表現を読み解くという今までにない試みから、第2部は⽂⼦が受容したマックス・シュティルナーや⽯川啄⽊などの思想から、⽂⼦が⾃死を選ぶまでの末期の思想に至るまでを検証します。「⼈間の絶対平等」を掲げてひたすらに⽣き、闘い抜いた⼈間・⾦⼦⽂⼦の新たな姿を、描き出します。 - 目次 - はじめに 1 「人間の絶対平等」を掲げた金子文子 2 獄中手記『何が私をこうさせたか』 3 本著の構成 序章 1 検閲と編集者の関与 2 文学として読む『何が私をこうさせたか』 3 「私」の探求 Ⅰ 『何が私をこうさせたか』を読む 第一章 父と母 1 迷信家・運命論者の父 2 依頼心が強く性に引きずられる母 第二章 山村の生活 1 極貧の山村での生活 2 貧しさの根源にある物々交換 3 近代文学が描いた都会と田舎 4 経済的視点の醸成 5 教育現場の物々交換 6 山村の自然の新しい価値の発見 第三章 朝鮮での日々 1 京釜線の町・芙江 2 岩下家──高利貸しと阿片── 3 笞刑 4 金銭と裏表の論理、そして、盗みの告白 5 子供の尊重と学校教育批判 6 朝鮮の人々と自然 7 無籍者 8 書かなかった/抹消された三・一運動 第四章 上京まで 1 わけのわからぬ力 2 語られなかった男 3 上京──運命からの脱却と虚栄心の行方── 第五章 東京生活 1 苦学生 2 キリスト教への接近と幻滅 3 「虚栄心」の時代 Ⅱ 『何が私をこうさせたか』その後 第六章 『獄窓に想ふ』と『啄木選集』 1『獄窓に想ふ』と『啄木選集』 2 金子文子の石川啄木受容 3『獄窓に想ふ』「自序」五首 4 反強権の思想 5 三行書き 6「我を愛する歌」と「己を嘲るの歌」、そして意識の運動性 7 歌語と発想の類似 8 生活のリアリズムと刹那の感情 第七章 マックス・シュティルナーの「唯一者」の思想 1 シュティルナー『唯一者とその所有』と日本の翻訳状況 2 金子文子の「自己」の発見 3 一九二五年一一月の公判準備調書と提出書面 4 政治運動から哲学運動へ 5 自己犠牲 第八章 アルツィバーシェフ「復讐」の思想 1 日本におけるアルツィバーシェフ受容 2 『労働者 セヰリオフ』 3 宮島資夫とアルツィバーシェフ 4 金子文子の「復讐」 5 アルツィバーシェフの『作者の感想』 第九章 末期の思想 1 爆弾入手計画 2 文子の証言の背後にあるもの 3 獄中の虚栄心とその脱却 4 末期の思想──死刑宣告まで── 5 末期の思想──獄中死まで── 第十章 人間の絶対平等とジェンダーフリー 1 人間の絶対平等を求めて 2 ジェンダーフリーを求めて 初出一覧 金子文子年譜 文献・参考文献 あとがき
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文学散歩の研究|岡野 裕行
¥2,640
文学通信 2026年 ソフトカバー 342ページ 四六判 - 内容紹介 - 文学を主題としてまちをめぐり歩く、文学散歩。 私たちは文学散歩で何を見に行くのだろう。 文学散歩は現在、各地域の文学愛好団体や郷土史研究会などが市民向けイベントとして開催したり、各自治体の公共図書館が文学を主題としてまちをめぐり歩くワークショップとして企画したり、あるいは小中高等学校の国語科の授業や学校図書館や、大学教育の一環としても行われている。 これらはどう生まれ、どう変貌してきたのか。 また、これからどうなっていくのか。 それらを考えることは、私たちが文学散歩というフィルターを通して、それぞれの地域社会をどのように見てきたのかという視線を明らかにすることにもつながっていく。 「文学散歩」は「歩く」だけではなく、実は「語る」力も生み出す。 これからの地域社会をどう考え、世界をどう言葉で表現していくのか。 私たちは文学散歩という活動を通して、過去から託されてきた「言葉」をどう受け取り、未来につなぐのか。 これから「文学散歩」を企画するすべての人、必読! 自治体、公共図書館、中高図書館、大学文学部必携書です。 【私たちには自分の暮らすまちについて語る言葉を紡ぎだす力がある。それは言葉というもの、文学というものが私たちに与えてくれる力の一つである。言葉はまちのなかに自分の痕跡を残す力である。言い換えればそれは「詩」を書く行為と呼ぶにふさわしいものである。あるいは「詩」という表現形式には特にこだわらずに、自分自身のまちでの暮らし思いを綴った散文形式の文章もそれに含まれるだろう。まちの言葉はみんなの言葉である。まちに暮らす私たちは、誰もが各々の生きている時代における詩人の一人である。】…第6章「言葉を残す「文学散歩」」より - 目次 - 凡例 序章 1 文学的な痕跡とは何か 作家の暮らしの痕跡 まちのなかの文学 文学的な痕跡をたどる活動 変化していくイメージ 2 「文学散歩」を再定義する より広く捉えるために 六つの種類 3 本書の構成 第1章 日本における「文学散歩」の発達史 1 実践し始める野田宇太郎 2 「文学散歩」の誕生とその評価 どのように生まれたか 文学的な痕跡のアーカイブ 古典とは背に廻った未来である 模倣され上書きされる 3 紀行文学として書き記した野田 4 「私」が除かれる案内記 観光を目的とした形態へ 無味乾燥な案内記 公共財化する「文学散歩」 5 市民に開かれた百科事典の編集 観光と図書館、そしてウィキペディア 「文学情報」をウィキペディアに 6 歩く、書く、語る 書くための「文学散歩」 語るための「文学散歩」 7 「私」の出来事を「私たち」の物語へ 第2章 図書館サービスとしての「文学散歩」 1 実施主体としての図書館 2 図書館の集会活動「読書会」「研究会」 3 「文学散歩本」の出版史 考案以前の一九四〇年代後半 草創期の一九五〇年代 展開期の一九六〇年代 安定期の一九七〇年代 転換期の一九八〇年代 情報共有と開催支援をする一九九〇年代 地域資料を活用する二〇〇〇年代 ウェブ時代の二〇一〇年代 4 時代ごとの特徴と出版傾向 第3章 「文学散歩」を拡張する人々 1 普通名詞になる「文学散歩」 野田の手を離れていく それでもイメージは確立していく 賛同者たちの活動 2 野田宇太郎の理念を継承する「文学散歩友の会」 模倣による洗練化 図書館サービスとの結びつき 文学碑の意味を問う 対象領域の拡張 3 学校教育のなかの「文学散歩」 都道府県レベルの国語教育研究会の取り組み 仙台市教育委員会による手引き 4 文化事業としての「文学散歩」 改訂される『上毛文学散歩』 何度も刊行される『軽井沢文学散歩』 自治体でシリーズをつくる 5 観光協会による「文学散歩本」 6 連載記事としての「文学散歩」 朝日新聞社と木原直彦の『北海道文学散歩』 7 「文学選集」への転用 比喩的な表現として名づけられる 「文学散歩」から「文学館」へ 第4章 日本郷土文藝叢書刊行会と復刻本出版の試み 1 地域限定の復刻本の出版と図書館の資料収集 2 野田宇太郎が展開する出版事業 日本郷土文藝叢書刊行会による復刻本 延長線上の復刻本 3 日本における復刻本と復刻雑誌の出版 日本近代文学館による復刻本の出版 日本近代文学研究所と日本近代文学館による復刻雑誌出版 日本近代文学館と野田の活動 4 各図書館における復刻本の所蔵状況 復刻本の作品別所蔵図書館 復刻本の図書館別所蔵作品数 復刻本の都道府県別所蔵図書館数 国立国会図書館における復刻本の所蔵状況 5 文学的な痕跡の可視化 6 もう一つの復刻活動「芽起庵」 第5章 「文学散歩」という着想 1 「文学散歩」を始める 2 思想の背景にいる鷗外・杢太郎・荷風 「文学散歩」で何を見るのか 「文学散歩」は何のために行うのか 「文学散歩」をどのように行うか 3 史上初の「文学散歩」の領域 『新東京文学散歩』収録の索引の検討 4 日が落ちるまで 5 点と点がつながる/線と線が混じりあう 第6章 言葉を残す「文学散歩」 1 まちの言葉はみんなの言葉 2 私の言葉を残す公共財としての日記 3 世界を言葉におきかえる あとがき 巻末図表 野田宇太郎と図書館および文学館による「文学散歩本」の出版史と文学散歩関連の出来事(第2章【図3】) 野田宇太郎の取り組みと日本近代文学館による復刻本の出版事業との比較(第4章【図2】) - 著者プロフィール - 岡野 裕行 (オカノ ヒロユキ) (著) 1977年、茨城県生まれ。図書館情報大学、同大学大学院博士前期課程を経て、2006年に筑波大学大学院図書館情報メディア研究科図書館情報メディア専攻博士後期課程修了。博士(学術)。現在、皇學館大学文学部国文学科准教授(図書館司書課程担当)。専門分野は図書館情報学と日本近現代文学。主な研究テーマは文学館、文学散歩、文学アーカイブ、ウィキペディアタウン、学生協働、読書文化、ビブリオバトルなど。 ビブリオバトル普及委員会代表理事(2015~2021年)、一般社団法人ビブリオバトル協会副代表理事(2016~2024年)、伊勢河崎一箱古本市実行委員会(2015年~現在)、NPO法人知的資源イニシアティブ理事(2019年~現在)などを務める。 主要著作──『三浦綾子書誌』(勉誠出版、2003年)、『三浦綾子 人と文学』(勉誠出版、2005年)、『文学館出版物内容総覧 ─図録・目録・紀要・復刻・館報─』(日外アソシエーツ、2013年)、『ライブラリー・オブ・ザ・イヤー選考委員長の日記 二〇二二年』(散策舎、2024年)など。
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暮らしの中の小さな革命|eri
¥2,475
光文社 2026年 ソフトカバー 192ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ13mm - 内容紹介 - ファッションディレクターとして、そしてアクティビストとして、様々な分野で活躍するeriが、自分の物選びの基準、エシカルとものづくりの関係など、多くの葛藤を経て今考えていることを綴ったフォトエッセイ。ファッションアイテムからインテリア、雑貨、思い出の品まで、eriの愛するものを一堂に並べて紹介することで、「もの選び」の哲学が見えてくる。この社会がより良い場所になるための選択、ヒントが満載。
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熊 人類との「共存」の歴史[新版]|べアント・ブルンナー(著), 伊達 淳(訳)
¥2,750
白水社 2026年 262ページ 四六判 - 内容紹介 - 駆除でもなく、保護でもない。 慈愛と畏敬を持って接すべき大切な隣人でありながら、人の生命を脅かす害獣としても扱われる。 二分法では永遠に解くことのできない熊と人間との深い関係性を、豊富な知見から徹底的に引き出した名著。 いま読まれるべき本だと、ぼくは思う。 石川直樹 有史以来、人間は熊と他の動物とは異なる特別な関係を結んできた。原初の人類にとって、熊は「狩る/狩られる」の関係にあり、自然崇拝の象徴でもあった。ところが、時代が下るにつれて家畜を襲う害獣として疎まれるようになっていく。ヨーロッパやアフリカのように絶滅に追いやられた地域もある。 他方、『三びきのくま』、『くまのプーさん』、『ジャングル・ブック』のように、熊ほど人間に愛され、その想像力に訴えかけてきた動物もいない。狩猟家として名を馳せたアメリカ大統領セオドア・ルーズヴェルトの愛称を冠した可愛らしいテディベアに象徴されるように、熊はなぜ人間にとってこれほど矛盾に満ちた存在なのだろうか。 本書では、熊と人が辿ってきた長い歴史を読み解きながら、熊という存在について16の切り口から考察する。幅広い文献を渉猟し、熊にまつわる伝説や言い伝え、さまざまな時代の証言や観察記録、(ときに奇抜な)学説が紹介され、時代ごとに人が熊をどのように見てきたかを概観することができる。 文化史と自然史の交わるところに焦点を当て、今後われわれは熊といかに関係を築いていくべきかを本書は問いかける。 - 目次 - 序文 第1章 熊の辿ってきた道 第2章 変異 第3章 ドウクツグマの謎 第4章 誤解 第5章 異国での発見 第6章 熊の個性 第7章 音、感覚、合図 第8章 ペットとしての熊 第9章 東シベリアでの観察者 第10章 対峙する 第11章 狩る者と狩られる者 第12章 イヌイットとホッキョクグマ 第13章 もっと、もっと近くに 第14章 熊のショー 第15章 熊の代役 第16章 熊恐怖症 エピローグ 謝辞/参考文献に関して 訳者あとがき 図版クレジット/参考文献/索引 - 著者プロフィール - べアント・ブルンナー (ベアント ブルンナー) (著) 1964年生まれ。ベルリン自由大学、ベルリン経済大学を卒業。フリーランスの文筆家、ノンフィション作品の編集者。歴史、文化、科学を横断するさまざまなテーマの著作多数。邦訳に『水族館の歴史』『月』(以上、白水社)がある。最新作はUnterwegs ins Morgenland. Was Pilger, Reisende und Abenteurer erwarteten, und was sie fanden(2024)。 伊達 淳 (ダテ ジュン) (訳) 1971年生まれ。和歌山県那智勝浦町出身。関西学院大学商学部、東京外国語大学欧米第一課程卒業。訳書に、B・オキャロル『マミー』、D・モリス『フクロウ その歴史・文化・生態』『サル その歴史・文化・生態』、T・エンジェル『フクロウの家』、A・エンライト『グリーン・ロード』(以上、白水社)、B・オキャロル『チズラーズ』『グラニー』(以上、恵光社)、B・クラウス『野生のオーケストラが聴こえる サウンドスケープ生態学と音楽の起源』(みすず書房)、D・モリス『アートにみる身ぶりとしぐさの文化史』(三省堂)がある。
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わかりやすさの罪|武田 砂鉄
¥946
朝日新聞出版 2024年 朝日文庫 ソフトカバー 344ページ 文庫判 - 内容紹介 - “わかりやすさ"の妄信、あるいは猛進が、私たちの社会にどのような影響を及ぼしているのだろうか。「すぐにわかる! 」に頼り続けるメディア、ノウハウを一瞬で伝えたがるビジネス書、「4回泣ける映画」で4回泣く人たち……。「どっち」?との問いに「どっちでもねーよ! 」と答えたくなる機会があまりにも多い日々。私たちはいつだって、どっちでもないはず。納得と共感に溺れる社会で、与えられた選択肢を疑うための一冊。 - 目次 - はじめに1 「どっちですか」?の危うさ2 「言葉にできない」3 要約という行為4 「2+3=○」「○+○=5」5 勝手に理解しないで6 理解が混雑する7 「一気にわかる! 」必要性8 人心を1分で話すな9 なぜそこで笑ったのか10 なぜ笑うのか、なぜ笑えないのか11 全てを人に届ける12 説明不足13 「コード」にすがる14 ノイズを増やす15 4回泣けます16 コーヒーを吹くかもしれない17 深いって何だろう18 見せかけの優位19 偶然は自分のもの20 わざと雑にする21 そんなこと言ってないのに22 自分に迷わない人たち23 みんなで考えすぎ24 人はいつもぐちゃぐちゃ
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地域が主役の自治体災害対策 参加・協働・連携の減災マネジメント|阪本 真由美
¥2,750
学芸出版社 2026年 ソフトカバー 244ページ 四六判 縦188mm 横127mm 厚さ20mm - 内容紹介 - 想定外の災害を地域主体のボトムアップ型で乗り越えるには「連携」と「協働」、組織をつなぐ「コミュニケーション」が不可欠だ。自治体の業務マネジメント、応急対策、避難所運営を、阪神・淡路、熊本、能登半島の地震、西日本豪雨の経験から語る。今後、起こりうる南海トラフ地震を乗り越えるために求められることは何か。 - 目次 - はじめに 第1章 市町村の災害対策を機能させる 1. 日本の災害対策システムの特徴と課題 2. 災害対策システムができるまでの動き 3. 災害が起きた時の対応体制 4. 確立されていない災害対策本部の設置基準 5. 災害対策本部の設置から運営まで 6. 想定外の災害に備えるための組織マネジメント 7. 災害マネジメント人材を育成する 第2章 被災市町村の災害時業務マネジメント 1. 熊本地震(2016年)にみる益城町の対応 2. 住民の目線で考える業務継続計画 3. 阪神・淡路大震災(1995年)で被災した芦屋市の窓口業務再開 4. 東日本大震災(2011年)で被災した釜石市の窓口業務再開 5. 窓口業務再開の手順と工夫 6. ワンストップ窓口の設置と被災者支援の質の向上 7. 災害時の行政サービスの継続 第3章 大規模広域災害を乗り切る自治体間連携―2011年東日本大震災 1. 重要な役割を担う自治体間の応援協力 2. 宮城県にみる県域の受援情報把握の課題 3. 自治体の自主的な連携による支援 4. 被災地支援のためのロジスティクス 5. 大規模広域災害時の受援体制構築に向けて 第4章 避難所運営―災害関連死を防ぐ 1. 災害時の避難所運営をめぐる課題 2. 避難者数と避難理由を把握する 3. 避難所生活における災害関連死 4. 「動かない」と「動けない」 5. 避難所の衛生環境をめぐる課題 6. 優先されるべきなのは「公平性」よりも「必要性」 7. 多様な人との協働による避難所運営 第5章 避難情報と住民の避難行動 1. 市町村が発令する避難情報 2. どのタイミングでどの避難情報を出すのか 3. 西日本豪雨(2018年)における住民の避難行動 4. 避難スイッチをオンにするための取り組み 5. 避難情報を住民の身近な情報とするために 第6章 地域住民と自治体によるコミュニケーション型防災 1. 誰が主役となり防災を進めるのか 2. 災害時の地域コミュニティの役割 3. 地区防災計画により地域コミュニティを活性化する 4. 住民参加型の防災と市町村の役割 5. 共助により地域の災害対応力を高める おわりに - 著者プロフィール - 阪本 真由美 (サカモト マユミ) (著) 兵庫県立大学減災復興政策研究科教授。専門は、減災コミュニケーション、防災教育、地域防災。災害による被害を軽減するとともに、地区防災計画・個別避難計画等を通した災害に強い地域づくりに取り組んでいる。国際協力機構(JICA)で開発途上国への国際協力に携わった後に、京都大学大学院情報学研究科博士後期課程修了。博士(情報学)。人と防災未来センター、名古屋大学減災連携研究センターを経て現職。国土強靭化推進会議委員、兵庫県防災会議委員、内閣府個別避難計画作成モデル事業アドバイザリーボード委員など。令和6年防災功労者防災担当大臣表彰受賞。
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だめ連の働かないでレボリューション!|神長 恒一,ペペ 長谷川
¥990
筑摩書房 2026年 ちくま文庫 ソフトカバー 336ページ 文庫判 - 内容紹介 - 30年間、あまり働かずあまり消費しない生き方をしてきた「だめ連」の、仕事(しのぎ)と、遊びと、諸活動の実践法。福祉系や学童保育の仕事。驚きのしのぎ方や、衣食住。自然遊びや人との交流、路上アクション、DIYフェス等。労働問題の闘い方も。楽しく生きるための必読書!『だめ連の「働かないで生きるには?!」』を元に再編集。 解説 雨宮処凛、高祖岩三郎 帯推薦文 栗原康 カバーデザイン 岩瀬聡 【だめ連(だめれん)】 1992年、会社を10カ月で辞め無職だった神長恒一(1967~)と、大学に留年中だったペペ長谷川(1966~2023)が結成。労働と消費中心でない自由な生を実践。著書に、『だめ!』(だめ連編、河出書房新社、1999年)、『だめ連宣言!』(だめ連編、作品社、1999年)、『だめ連の「働かないで生きるには?!」』(神長恒一、ペペ長谷川、筑摩書房、2000年)、『だめ連の資本主義よりたのしく生きる』(現代書館、2024年)など。 - 目次 - 文庫版まえがき 第1章 しのぎ方、あれこれ! 第2章 住むとこ、どうする? さまざまな住み方! 第3章 カネがなくても楽しめる! 衣食、遊び 第4章 だめ連とは何か? 第5章 平日昼間無職者の悩み 第6章 自己実現よりアクティビズム! 第7章 閉じた家族よりも交流オルタナライフ~! 第8章 職場やバイト先で、どう闘う!? 第9章 だめ連の、ここが問題だっ 第10章 アナーキーに熱くレボリューション! ニヒっていてもつまらない 【諸活動コラム】 [しのぎ方あれこれ]はるちゃん、[畑]根岸恵子、[テント暮らし]さっちゃん、[キャンプ]山ん猫又、[DIY DJパーティー]Makossa、[祭り]くまたろう、[気候変動]究極Q太郎、[交流]マリオ、[歌]森人、[イベント]イカ、[オルタナスペース]藤原はづき、[路上アクション]浅羽道介、[ミニコミ]鶴峰まや子、[オルタライフ]太田やくーと、[DIY]池田喬 【座談会】経済中心とは違う人生の面白さ イカ、加納穂子、加納土、究極Q太郎、神長恒一 【インタビュー】バイト労働者のあしたはどっちだ?! 連帯労組・相蘇道彦、石橋新一 だめ連かんたん活動紹介 単行本あとがき 神長恒一 ペペ長谷川 文庫版あとがき 神長恒一 解説 高祖岩三郎、雨宮処凛 帯推薦文 栗原康 - 著者プロフィール - 神長 恒一 (カミナガ コウイチ) (著) :1967年東京生まれ。無職、フリーター生活30年。だめ連。そのほかいろいろ活動。あんまり働かず、寝るのと遊ぶのが好き。週末は、オルタナティブなイベントに行って交流しがち。 ペペ 長谷川 (ペペ ハセガワ) (著) 1966年埼玉生まれ。バイト暮らし30年。だめ連。バンド「ロバートDEピーコ」ボーカルなどいろいろ。オルタナティブ・スペース「あかね」「なんとかBAR」の 日替わりスタッフを長年続けた。 交流しまくりの人生。2023年2月、死去。
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亀たちの時間|フランチェスカ・スコッティ(著), 北代美和子(訳)
¥2,200
現代書館 2025年 ハードカバー 160ページ 四六判 - 内容紹介 - イタリアの新星 フランチェスカ・スコッティ、初の邦訳 舞台はイタリアと日本。 ずっと終わらないことなんて、ない 夫婦、恋人、親友、家族……、 ふとした出来事をきっかけに かけがえのない関係が崩れ、終わっていくシーンを 静かに描きだす15篇のショートストーリーズ。 ウエイトレスがやってくる。コーヒーと温めたタルトの香りがする。一匹の犬が吠える。ウエイトレスは飛びあがり、わたしも飛びあがる。わたしは粉々になったカップを見る。太陽に焼かれた板のあいだを黒い液体が流れていく。わたしがあなたのほうを向き、あなたを呼ぼうと腕をのばしたとき、あなたはもうそこにはいない。空になったあなたの椅子がわたしを怯えさせる。わたしは立ちあがり、あたりを見まわす。あなたはいない。(「ルナ」より) - 目次 - [収録作品] ルナ 次の駅 亀たちの時間 喉が渇いていて、いま水を飲もうとしている者の平安 びっくりパーティ ナカノさん 鯨のひげ 朝ごはんで 貝殻の島 誕生日 《ピッコラ・ジェラテリーア》 パンダ動物園 面接 ショーの終わり 月の暦 - 著者プロフィール - フランチェスカ・スコッティ (フランチェスカ スコッティ) (著) 1981年、ミラノ生まれ。ミラノ音楽院卒業。法学で学士号を取得。2011年、短編集Qualcosa di simile(『なにか似たようなこと』)でRenato Fucini賞を受賞、作家デビューを果たす。2011年から24年まで日本とイタリアで生活する。小説にL’origine della distanza(『隔たりの生まれるところ』)、Il cuore inesperto(『未熟な心』)、Nessuno conosce Sayuki(『だれもサユキを知らない』)など。映画の脚本、ポッドキャストのホスト、音楽プロジェクトのインタヴュアーなど、領域横断的な活動を展開している。 北代美和子 (キタダイミワコ) (訳) 1953年、東京生まれ。翻訳家。上智大学大学院外国語学研究科言語学専攻修士課程修了。日本通訳翻訳学会元会長。訳書にエルサ・モランテ『アンダルシアの肩かけ』『嘘と魔法』ジャン・ルオー『名誉の戦場』(以上、河出書房新社)、クレスマン・テイラー『届かなかった手紙』(文藝春秋)、ビル・ビュフォード『フーリガン戦記』、ティム・パークス『狂熱のシーズン』(以上、白水社)、イサム・ノグチ『エッセイ』(みすず書房)ほか多数。
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江藤淳と加藤典洋 戦後史を歩きなおす|與那覇 潤
¥2,090
文藝春秋 2025年 ソフトカバー 320ページ 四六判 - 内容紹介 - 戦後80年間の日本人の魂の遍歴を、江藤淳・加藤典洋とともにたどる試み。小林秀雄賞の歴史家が放つ、初めての「文芸批評」。 *上野千鶴子さん推薦 「戦後批評の正嫡を嗣ぐ者が登場した。文藝評論が政治思想になる日本の最良の伝統が引き継がれた思いである。」 *東畑開人さん評(読売新聞2025年6月22日付) 「戦後史についての本であるけれども、それ以上の本だ」「文学とは時代の苦悩を物語る営みに他ならない。そこに時代を生きた心が浮かび上がる」 国破れて小説あり ――敗けてから80年、 再生する日本が「青春期」に悶えた記憶を 老いたいま、どう受けとるのか。 文芸評論の巨人ふたりに倣いつつ 太宰治から村上龍、春樹まで、 戦後文学の最も高い尾根から見晴らす 私たちの ”魂” の現代史。 目次 ベース・キャンプにて 歴史が消えてからのまえがき 戦後史の峰に登る 人間宣言――太宰治『斜陽』 社会党政権――椎名麟三『永遠なる序章』 六全協――柴田翔『されど われらが日々――』 ふたつの安保――庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』 沖縄返還――村上龍『限りなく透明に近いブルー』 ヒュッテでの一夜 「満洲国」のあとで 大佛次郎から村上春樹へ 現在への坂を下る 江藤淳小伝 轟轟たる雷鳴に死す 「喪の作業」が消えた平成 書評 平山周吉『江藤淳は甦える』 「歴史」の秩序が終ったとき 三島事件後の歴史家たち 書評 風元正『江藤淳はいかに「戦後」と闘ったのか』 瓦礫の掃き寄せ WGIP史観のあとさき 書評 赤坂真理『箱の中の天皇』 批評家の最後の闘争 ふたたびの『妻と私』 ねじれとの和解の先へ 『敗戦後論』後の加藤典洋 歴史がこれ以上続くのではないとしたら 加藤典洋の「震災後論」 最後の文芸評論家 加藤典洋さんを悼む 帰りの汽車のなかで 終わらない対話のあとがき
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書店員の怒りと悲しみと少しの愛|大塚真祐子/水越麻由子/篠田宏昭/前田隆紀/笈入建志/モーグ女史/小国貴司/嶋田詔太(著)
¥2,090
knott books 2026年 ソフトカバー 256ページ 四六変型判 縦178mm 横128mm 厚さ20mm - 内容紹介 - 〈出版不況といわれて久しく、売り上げがピークの半分になってもいまだ改善する兆しは見えない。 その状況はとくに紙の書籍の市場で顕著であり、人件費や賃料、光熱費の高騰もあって、新刊書店の商売はすでに成り立たなくなりつつある。現場で働く書店員は、少ない人手で、毎日大量に入荷してくる新刊をさばき、レジをまわすだけで手いっぱいで、売りたい本のための販促にまわす余力もなく、疲弊している場合も多い。 そんな状況に加えて、本屋なのに入荷数が分からないから新刊の予約が受けられない、注文していない本が勝手に入荷する、人手が足りないのに雑誌に付録までつけなければならない、出版社の帯にコメントが採用されたのに報酬がない、などなど、書店員のやる気を削ぐような無駄や理不尽がまかり通っているのもまた書店の現場である。 だが、書店員自身が、その不満や怒りを吐露する場は多くはなく、大っぴらにするのが憚られる雰囲気があるのもまた事実である。いまどれほど書店の現場が疲弊していて、書店員が何を考えて仕事をしているのか、何に怒っていて、何に不満があるのか、それはほとんど知られないままである。 この本は、さまざまな立場の書店員による、書店の苦境や書店員であることへの思い、出版業界の不満や出版社への不信感、本や読者への思いを一人称で綴った怒りと悲しみと愛の記録である。 【本文より】 書店って川の流れで言ったら一番下流なんだなあと思う/書店員の働きをナメてませんか?/「本が好き」という気持ちに対価を要求するのは、下品なことだろうか/勤務時間内に売りたい新刊のゲラを読むような余裕がほしい/粗雑な本と刊行点数の多さは、版元の事情によるものでしかない/新刊の箱を開けていると、最近は流れ作業の最後の仕事をやっているという気持ちになる/大量の本が目の前を目まぐるしく通過していく/下流域にいる書店にとって新刊配本はブラックボックス/他の業種の人から見たら驚かれるほど低い利益率なんだなあ/そもそも、賃金が低いため、買いたくとも本が買えない/まあしかし、とりあえず、定年まで働けるんだろうか/出版社と書店で「効率的に売るため」の情報共有がなぜできないのだろう/書店で働く人たちのことを出版業界はどう思っているのだろう/私たちはしょせん捨て駒であり、代わりなんていくらでもいる - 目次 - 序章 書店員の仕事はシット・ジョブなのか? 大塚真祐子 第1章 下流で考える 水越麻由子 第2章 だから、若い人たちが、彼らと同時代のものを読み、全人生を通じて彼らの友であり続けるはずの本を手に入れる必要があるのだ。そのためには、 篠田宏昭 第3章 本屋で働いている 前田隆紀 インタビュー 町の書店のいまとこれから――往来堂書店・笈入建志氏 第4章 今夜のカレーと、明日の書店 モーグ女史 第5章 出版をめぐる生態系(へのグチと希望) 小国貴司 第6章 たぶん、そうじゃない本屋の話 嶋田詔太 第7章 本当の本屋の話をしよう 大塚真祐子 あとがき
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野山花花図譜|梨木 香歩, 波多野 光(絵)
¥2,860
淡交社 2026年 ハードカバー 168ページ A5判 - 内容紹介 - 〈「春は来る、必ず」――どんな世界でも、どんな環境でも、生を全うする野花たち。〉 〈可憐なようでいて、気高く、そして逞しく。四季折々、日本の野山に現れる36の花々を綴るエッセイ集。〉 日本の野山に咲く花々について綴る文章に、花の個性をあらわにするような美しい絵を添えたエッセイ集。植物に造詣の深い著者が、四季折々に現れる野花の生態を紹介。どんな状況にあっても逞しく根を張る植物たちは、「生きる場所を自ら決める」ことの尊さを、人間である私達にも訴えかけます。「ともすれば大人は、子どもにヒマワリのように生きることを目指してもらいたがる。そのほうが仲間も多いし世界はそういう人に有利にできているし、生きていくに選択肢も広がるからだ。別に画一的な世の中をよしとしているわけではなくとも、親心で少しでも楽なほうをと先導してしまう。そういう自分に葛藤を抱くときは、渓流の奥へ足を運び、そこで満足げに咲いているイワタバコを見るのがいいと思う。イワタバコはほんとうの幸せとは何かを教えてくれる。」(本文より)
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Foodscape フードスケープ 図解 食がつくる建築と風景|正田 智樹
¥3,300
学芸出版社 2023年 ソフトカバー 224ページ A5判 縦148mm 横210mm 厚さ20mm - 内容紹介 - 地形と気候に応じた食がつくる建築と風景の図解集。カレマ村のワイン、アマルフィのレモン、小豆島の醤油、多気町の日本酒等、日本とイタリア16の食の生産現場を読み解く。蓄熱する石積みの段々畑、風を呼込む櫓、光や湿気を採り入れる窓等、自然のリズムとともにある食生産と人の暮らしを取り戻す為の建築の問いと手がかり - 目次 - プロローグ 1 食の生産とフードスケープ 1-1 イタリアの食文化に学ぶ -スローフードの発祥 1-2 エコロジカルな転回 チェントロ・ストリコからテリトーリオへ 1-3 エコロジカルな治具とスローフード・アーキテクチャー 1-4 調査方法とドローイング 2 イタリアのフードスケープ 2-1 カレマ村のワイン 2-2 ボルミダ渓谷のワイン 2-3 トレントの貴腐ワイン 2-4 ムリアルド村のにんにく 2-5 ジベッロ村のクラテッロ 【生ハムコラム】パルマの生ハム・コロンナータ村のラード 2-6 モデナのバルサミコ酢 2-7 ヴェスヴィオ山のトマト 2-8 アマルフィのレモン 2-9 トラパニの塩 【チーズコラム】 【対談】藤原辰史 3 日本のフードスケープ 3-1 四郷の串柿 【干し柿コラム】宇治田原の柿、畑地区柿小屋 3-2 醤の郷 【醤油コラム】埼玉の弓削多醤油 【味噌コラム】石井味噌 3-3 てしま天日塩ファーム 【塩コラム】珠洲の塩 【塩コラム】赤穂の塩 3-4 多気町の日本酒 【日本酒コラム】灘五郷、知多半島酒造 3-5 八女茶 3-6 田野町の大根櫓 【大根コラム】大根コラム:山之村の寒干し大根 3-7 橘本のみかん 【対談】塚本由晴 エピローグ フードスケープの維持・更新 - 著者プロフィール - 正田 智樹 (ショウダ トモキ) (著) 1990年千葉県生まれ。東京工業大学大学院建築学専攻修了。2016-17年イタリアミラノ工科大学留学。現地ではSlow Foodに登録されるイタリアの伝統的な食品を建築の視点から調査。2018年-現在 大手設計事務所在籍。
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風土建築をつくる旅 自然・人・技術をめぐるフィールドワークと実践|小林 広英
¥3,300
学芸出版社 2026年 ソフトカバー 192ページ A5判 - 内容紹介 - 日本、アジア、南太平洋、アフリカにおける調査・再建・新作15プロジェクトのドキュメント。「地元の技術・材料・住民」という3つの地域資源にこだわる地域固有の建築は、無事に建ち上がり、使われ続けるか?近代化と伝統の間で揺れる集落の人々の姿は、グローバル化とローカリティの間で葛藤する都市住民にも示唆をくれる - 目次 - 事例を読み込むためのキーワード はじめに 1章 風土建築を伝統構法で再建する 1 30数年ぶりに建ち上がった伝統集会施設の行末 ベトナム・ホンハ社 カトゥ族の伝統集会施設グゥール 長老ナムさんの“拒否反応”から始まったグゥール再建 異なる民族が共存するホンハ社ならではの形態を探る 素材を森林から調達し、適材適所に使い分ける 長老から若者へと伝承される、経験がものを言う建設技術 設計図は長老衆の体に記憶されていた 伝統と現代との間で揺れ動く集落住民 2 伝統住居はサイクロン災害を乗り切れるか フィジー・CATD フィジーの伝統住居ブレ ボラさんの熱意が扉を開いた再建プロジェクト この村では漁師が伝統建築をつくる 海と山で使い分ける材料、変わる形 ユニークな装飾、バランバランとマキタ ザウタタ村にもあった身体尺 サイクロン災害に伝統技術で立ち向かう挑戦は続く 3 高床住居を再建し、観光振興を目論む人々 タイ・タップラー村 モクレン族の伝統住居オーマック インド洋津波災害で変わった、海洋少数民族の暮らし 集落長老サさんと伝統住居の模型を組み立てる 真夜中に始まる儀式、魔法のような加工技術 やはりタップラー村にもあった身体尺 観光振興に伝統住居を利用する住民とその顛末 4 伝統集会施設 vs 擬似伝統集会施設 ベトナム・アカ集落 カトゥ族の伝統集会施設グゥール 増えていくコンクリート製の集会施設 調査で訪れるたびに朽ちていく伝統集会施設 5年がかりで困難を乗り越え、住民全員で再建に取り組む 多彩な身体尺の設計技法を披露する長老の息子 伝統集会施設の継承にベトナムの大学と行政が取り組む 論考1 風土建築を成立させる3つの地域資源 2章 風土建築をフィールドワークする 5 半乾燥地域に受け継がれてきた泥の建築文化とその変容 ブルキナファソ・ラングェロ集落 農耕民カッセーナの伝統住居 カッセーナの集落での盛大な歓迎式? 50年で進んだ伝統的な集落構成の変容と崩壊 社会適応で増えるトタン建築、環境適応できるのは泥建築 泥建築に見る身体尺の適用法 現代の生活と乖離した伝統住居のあり方 6 100棟を超える伝統住居が徐々に失われていく集落 フィジー・ナバラ村 フィジーの伝統住居ブレ 集落が幸せになるためのチーフの教え ブレに暮らし、生きた伝統を守り継ぐナバラ村の人々 伝統住居ブレをめぐる、若者たちの葛藤 サイクロン災害を契機とする、伝統住居の減少と集落の未来 7 築100年の茅葺き民家が模索する新たな関係人口の形 福井県大飯郡おおい町名田庄 名田庄の茅葺き民家 無住集落で茅葺き民家を再生した移住者との出会い 集楽庵の建築的特徴を調査する 郷土史家に聞いた、“てんごり”による共同作業の詳細 茅葺き民家を“第二のふるさと”として継承する 8 古文書からわかった集落住民による共同建設の全容 富山県砺波市五郎丸地区 砺波散村の伝統住居アズマダチ 建設プロセスを建設当時の普請帳から読み解く 建設の手伝いに従事する多数の集落住民 イエの共同性から地域の景観を考える 論考2 風土建築の設計方法 ─知的資源としての身体尺 3章 新風土建築を試行する 9 セルフビルドの竹構造農業用ハウス 日本各地 バンブーグリーンハウス 10 里山と連環する建築プロジェクト 滋賀県近江八幡市 キャンディーファーム/たねや農藝 11 地域活動拠点を形成する空き家改修プロジェクト 和歌山県串本町古座 サテライト古座 12 足場用単管と竹材を利用した農舎づくり 滋賀県近江八幡市 百菜劇場農舎 13 古民家を“営み”としてつなぐ宿 新潟県妙高市西野谷 MAHORA西野谷 14 里山資源を活用した防災ベンチ 兵庫県南あわじ市 南あわじ防災ベンチ 15 在地資材でつくる持続可能な衛生環境 マラウイ・ムジンバ県 マラウイし尿分離型共同トイレ おわりに ─風土建築をめぐる活動の萌芽とこれから プロジェクトの枠組み/関連論文・記事等 著者の現場訪問日程と同行メンバー - 著者プロフィール - 小林 広英 (コバヤシ ヒロヒデ) (著) 1966年生まれ。大阪市出身。1990年京都大学工学部建築学科卒業。1992年京都大学大学院工学研究科建築学専攻修了。1992年マンチェスター大学奨学生。1993~2001年昭和設計勤務。2002~2009年京都大学大学院地球環境学堂(人間環境設計論分野)助手(2007年4月より助教)、2009~2018年同大学院准教授を経て、2018年より同大学院教授。博士(地球環境学)。2019年ベトナム・フエ大学名誉教授。地域に根ざす設計技術・地域に根ざす人間居住をテーマに研究・実践に取り組む。
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旅をする木|星野 道夫
¥704
文藝春秋 1999年 文春文庫 ソフトカバー 256ページ 文庫判 - 内容紹介 - 広大な大地と海に囲まれ、正確に季節がめぐるアラスカで暮すエスキモーや白人たちの生活を独特の味わい深い文章で描くエッセイ集
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みどりいせき|大田 ステファニー 歓人
¥704
集英社 2026年 集英社文庫 ソフトカバー 232ページ 文庫判 縦152mm 横105mm 厚さ11mm - 内容紹介 - 【第37回三島由紀夫賞受賞作】 【第47回すばる文学賞受賞作】 【選考委員激賞!】 私の中にある「小説」のイメージや定義を覆してくれた――金原ひとみさん この青春小説の主役は、語り手でも登場人物でもなく生成されるバイブスそのもの――川上未映子さん (選評より) このままじゃ不登校んなるなぁと思いながら、僕は小学生の時にバッテリーを組んでた一個下の春と再会した。 そしたら一瞬にして、僕は怪しい闇バイトに巻き込まれ始めた……。 でも、見たり聞いたりした世界が全てじゃなくって、その裏には、というか普通の人が合わせるピントの外側にはまったく知らない世界がぼやけて広がってた――。 圧倒的中毒性! 超ド級のデビュー作! ティーンたちの連帯と、不条理な世の中への抵抗を描く。 【著者略歴】 大田ステファニー歓人 (おおた・すてふぁにー・かんと) 1995年東京都生まれ。2023年、『みどりいせき』で第47回すばる文学賞を受賞してデビュー。24年、同作で第37回三島由紀夫賞受賞。
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センス・オブ・ワンダー|レイチェル・カーソン, 上遠 恵子(訳)
¥737
新潮社 2021年 新潮文庫 ソフトカバー 144ページ 文庫判 - 内容紹介 - 雨のそぼ降る森、嵐の去ったあとの海辺、晴れた夜の岬。そこは鳥や虫や植物が歓喜の声をあげ、生命なきものさえ生を祝福し、子どもたちへの大切な贈り物を用意して待っている場所……。未知なる神秘に目をみはる感性を取り戻し、発見の喜びに浸ろう。環境保護に先鞭をつけた女性生物学者が遺した世界的ベストセラー。川内倫子の美しい写真と新たに寄稿された豪華な解説エッセイとともに贈る。
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みんなの社会的処方 人のつながりで元気になれる地域をつくる|西 智弘, 岩瀬 翔, 西上 ありさ, 守本 陽一, 稲庭 彩和子, 石井 麗子, 藤岡 聡子, 福島 沙紀
¥2,200
学芸出版社 2026年 ソフトカバー 256ページ 四六判 - 内容紹介 - 孤立という病に対し薬ではなく地域の人のつながりを処方する「社会的処方」。日本での実践はまだ始まったばかりだ。いま孤立しているかどうかや、病気や障がいの有無、年齢に関わらず、「誰もが暮らしているだけで自分の生き方を実現できるまち」をどうつくるか。世界と日本の取り組みに学び、これからのビジョンを示す一冊。 - 目次 - はじめに 社会的処方はもっと自由でいい ■Chapter1 社会的処方の「3つの理念」 人間中心性 エンパワメント 共創 「支援する」とはどういうことか 社会的処方の「型」 社会的格差と、広がる自己責任論 ■Chapter2 孤独・孤立の現状 若者を含めた「居場所」はどのように作れるのか REPORT│小杉湯│西 智弘 90年間建ち続けてきた「場」としての力 社会に必要な、インフラとしての銭湯 「開くのではなく、閉じない」からの相補う関係性 小杉湯「的な場」が持つ、社会的処方としての意義:社会的行方不明者をつくらない 社会的処方の進化 Green/Blue Social Prescribing REPORT│Nami-nications│西智弘 サーフィンを通じてつながる Nami-nications アダプティブ・サーフィンが変えていくもの Green/Blue Social Prescribingの広がり 働かざるもの食うべからず「ではない」 ■Chapter3 社会的処方と世界・日本の動き REPORT│イギリス・フルーム│岩瀬翔 イギリス・フルーム 誰もがリンクワーカーになれる町 MakeaSpark まずは何か動き出そう 「人間の道しるべ」作戦 おせっかい住民をエンパワメントする コロナ禍を経て本質を掴んだ市民リンクワーカー達 ヘリテージコネクター/グリーンコミュニティコネクター 世界の社会的処方の現在地 言葉が全てではない 日本における「モデル事業」 名張と養父 REPORT│名張市│西上ありさ 厚労省モデル事業:名張市/ステイホームダイアリーと社会的処方の展開 REPORT│養父市│守本陽一 厚労省モデル事業:養父市 様々なセクターがまずつながる 医療を起点とした社会的処方の実践 養父市におけるリンクワーカー養成講座 小規模多機能な公共空間「だいかい文庫」 「孤独・孤立対策推進法」とその意義 ■Chapter4 社会のなかで生きることが元気につながる EPISODE│オバケのタムタム&studio FLAT│西智弘 バリアを超えて才能を届ける StudioFLATの取り組み 障がいのある無しに関わらず、良いものは良い アートと障がいと社会的処方的な意義 アートを通じて、人と社会がつながっていく REPORT│アートと社会的処方│稲庭彩和子 アートはずっと存在している。それはなぜなのか? アートと文化でウェルビーイングを増進 「とびらプロジェクト」と社会的処方の共通項 私たちの目指すこと アートコミュニケータとソーシャルな鑑賞法 「きく力・みる力」がケアする力になる REPORT│Dance Well│西智弘 Happy! Dance Well 美術館の内外、そしてアート作品を利用して自らを表現する 身体表現を使って、他人と会話する ダンスレッスンではないのに、結果的にダンスになっている アートがもつ力で変わっていったAさん アートが持つ「ケアの力」 無意識の差別をこえていく REPORT│高齢者福祉施設 西院│西智弘 「要介護」? 関係なく夢は叶えられる 「はたらく」こと=生きるをつくること 「参加」からはじめる 就労とお金の問題 ■Chapter5 暮らしているだけで元気になれるまちをつくる おせっかいのエンパワメントは意外と効く REPORT│おせっかい会議│石井麗子 地域おせっかい会議の風景 コミュニティナースと健康おせっかい まちの身近な存在、郵便局がおせっかいのハブになる 「共感・挑戦・ネットワーク」の実践支援プロセス まちへ飛び出し声を拾い続ける事務局 社会的処方の視点からみた地域おせっかい会議 やればやるほど楽しいことが大きくなる おせっかいが育む優しい目 REPORT│ほっちのロッヂ│藤岡聡子 診療所とまちの居場所が複合された「ほっちのロッヂ」 発地(ほっち)にある森小屋を起点に 私たちは人の何を捉えているのか 自分の関心のあることに掛け合わせていく ケアする・される関係性の逆転は台所から 大切な人を亡くした人が、「あのね…」と話せる部屋があるといい─福島沙紀 おわりに この本で伝えたかったつのこと 暮らしの保健室・川崎/社会的処方研究所はどうなっているか/社会的処方の未来 - 著者プロフィール - 西 智弘 (ニシ トモヒロ) (著) 川崎市立井田病院医師/一般社団法人プラスケア代表理事 2005年北海道大学卒。室蘭日鋼記念病院で家庭医療を中心に初期研修後、川崎市立井田病院で総合内科/緩和ケアを研修。その後2009年から栃木県立がんセンターにて腫瘍内科を研修。2012年から現職。現在は抗がん剤治療を中心に、緩和ケアチームや在宅診療にも関わる。一方で、一般社団法人プラスケアを2017年に立ち上げ代表理事に就任。「暮らしの保健室」や「社会的処方研究所」の運営を中心に、「病気になっても安心して暮らせるまち」をつくるために活動。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医。著書に『社会的処方 孤立という病を地域のつながりで治す方法』(学芸出版社)、『緩和ケアの壁にぶつかったら読む本』(中外医学社)、『がんになった人のそばで、わたしたちにできること』(中央法規出版)他多数。 岩瀬 翔 (イワセ カケル) (著) 式根島診療所所長 西上 ありさ (ニシガミ アリサ) (著) studio-L 守本 陽一 (モリモト ヨウイチ) (著) 一般社団法人ケアと暮らしの編集社代表理事/兵庫県豊岡保健所 稲庭 彩和子 (イナニワ サワコ) (著) 独立行政法人国立美術館国立アートリサーチセンター 石井 麗子 (イシイ レイコ) (著) 一般社団法人プラスケア 藤岡 聡子 (フジオカ サトコ) (著) 軽井沢町・大きな台所と診療所があるところ ほっちのロッヂ共同代表 福島 沙紀 (フクシマ サキ) (著) 一般社団法人プラスケア
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かいてまなべる冒険ガイド やま!|ピョートル・カルスキ(著), 渋谷友香(訳)
¥3,685
文響社 2026年 ソフトカバー 216ページ A4変型判 縦288mm 横205mm 厚さ19mm - 内容紹介 - おえかき・工作・ゲーム・実験で 知的好奇心がぐんぐん育つ! きみだけの山でずーーーーっと遊べる、 新感覚・知育アクティビティ絵本★ この本は、きみを冒険家にする1冊だ。 登山、山のくらし、いきものたちの知識がたっぷりつまってる。 さあ、ページをめくってきみだけの山をのぼろう。 おえかき・工作・実験ができる105個のワークと 家族や友達と遊べる7つのゲームに挑戦して、 世界にただひとつの「冒険の書」を完成させよう。 - 著者プロフィール - ピョートル・カルスキ (ピョートル カルスキ) (著) ポーランド・ワルシャワ在住の絵本作家、イラストレーター、デザイナー。自由時間はいつもバックパックを背負い、自然のなかですごす。代表作『W MORZE!』は7か国で翻訳され、2017年にポーランド書籍出版協会児童・青少年文学部門「最も美しい本」、2020年には児童青少年文学協会絵本部門でドイツ文学賞2020にノミネートされた。 渋谷友香 (シブヤトモカ) (訳) 東京外国語大学ロシア・東欧課程でポーランド語を専攻。ポーランドのクラクフに1年間留学。卒業後、自動車部品メーカーや輸入商社の勤務、6年間のドイツ在住を経て2020年から翻訳者として映画やドラマ、ドキュメンタリーの字幕・吹替え翻訳を手がける。
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かいてまなべる冒険ガイド うみ!|ピョートル・カルスキ(作・絵), 渋谷友香(訳)
¥3,685
文響社 2024年 ソフトカバー 218ページ A4変型判 縦205mm 横290mm 厚さ19mm - 内容紹介 - おえかき・工作・ゲーム・実験で 知的好奇心がぐんぐん育つ! きみだけの海でずーーーーっと遊べる、 新感覚・知育アクティビティ絵本★ この本は、きみを冒険家にする1冊だ。 船や海、生き物たちの知識がたっぷりつまってる。 さあ、ページをめくって大海原にとびこもう。 おえかき・工作・実験ができる106のワークと 家族や友達と遊べる13のゲームに挑戦して、 世界にただひとつの「冒険の書」を完成させよう。 なぜ海は青いの? 雲には名前があるの? サメの歯は何本? クジラは死ぬとどうなるの? 海の生き物たちのひみつ、船と船乗りにまつわる歴史、世界の海の地理、水圧や浮力、塩水と真水の違い……。 海上の空、雲、風、砂浜から海底1万メートルの深海まで、幅広く学べるアクティビティが盛りだくさん! いかだ作り、⽔陸両⽤⾞の設計、ちんぼつ船を探検、海賊の宝さがしなど、ワクワクする冒険も叶います。 遠出することなく、日焼けすることもなく、本の中で海水浴が、ネイチャー体験ができちゃう参加型絵本! 海・探検・冒険が大好きなお子様、自然を愛する大人の方へのプレゼントブックにも最適です。 - 著者プロフィール - ピョートル・カルスキ (ピョートル カルスキ) (作・絵) ポーランド・ワルシャワ在住の絵本作家、イラストレーター、デザイナー。自由時間はいつもバックパックを背負い、自然のなかですごす。本書"W MORZE!"は7か国で翻訳され、2017年にポーランド書籍出版協会児童・青少年文学部門「最も美しい本」、2020年には児童青少年文学協会絵本部門でドイツ文学賞2020にノミネートされた。 渋谷友香 (シブヤトモカ) (訳) 東京外国語大学ロシア・東欧課程でポーランド語を専攻。ポーランドのクラクフに1年間留学。卒業後、自動車部品メーカーや輸入商社の勤務、6年間のドイツ在住を経て2020年から翻訳者として映画やドラマ、ドキュメンタリーの字幕・吹替え翻訳を手がける。書籍の翻訳は本書がデビュー作となる。
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二重に差別される女たち ないことにされているブラック・ウーマンのフェミニズム|ミッキ・ケンドール(著), 川村まゆみ(訳), 治部れんげ(解説)
¥3,080
DU BOOKS 2026年 ソフトカバー 336ページ 四六判 - 内容紹介 - あなたの「フェミニズム」は大丈夫? 主流の白人フェミニストが提唱する「シスターフッド」に対して、 BLMの時代、「ブラック・フェミニズム」からの切なる訴えとは━━? 白人女性=自分に置き換えると見えてくる、シスターフッドのあるべき姿―― ●米「タイム」誌 2020年読むべき本100に選出 ●ワシントンポスト 2020年注目すべきノンフィクションブックに選出 ●英BBC 2020年ベスト・ブック100に選出 ●NYタイムズ ベストセラーリスト10週間ランクイン 「教育を受け、安定した職業に就く日本のフェミニストが本書を手に取って読むと居心地の悪さを感じる記述が少なくないだろう。ただし、目を逸らさずに『白人女性』 『主流派のフェミニスト』への批判を自分に置き換えながら読み進めてほしい。」 ━━治部れんげ(東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授) 主な内容 ・連帯はいまだに白人女性のためのもの ホワイト・フェミニズムの罪――中・上流階級の白人 女性以外を排除するフェミニズムとは ・銃による暴力 セイ・ハー・ネーム――銃に命を奪われた黒人女性たちにも名前はあった ・#FASTTAILEDGIRLSと自由 レイプ・カルチャーへの抵抗――被害者非難より加害者にならない教育を ・降り注ぐ家父長制 コミュニティーに内在する家父長制の害――白人カルチャーを模倣した根深い性差別 との闘い ・〇〇にしては、かわいい コミュニティーの内外に存在するカラリズムとテクスチュアリズム―― 白人至上主義の美学 ・恐怖とフェミニズム ホワイト・フェミニズムよ、白人至上主義の家父長制から抜け出し、異人種への恐怖を 手放して、全女性のために立ち上がれ ・人種と貧困と政治 投票権は民主主義の柱である 万人のために確約せよ ・教育 教師によるいじめ、学校から刑務所へのパイプライン、常駐警官への依存を断ち切る ・アライ、怒り、共犯者 ホワイト・フェミニズムはプラットフォームと人的・物的資源を差し出して、真の支援を 「ミッキ・ケンダルはフェミニストたち――特に白人フェミニスト――に書状を突きつけた。ムーブメントの担い手である我々が記憶にとどめるべき人種差別の歴史と、インターセクショナルな視点及び人種差別反対主義に焦点を当て、前進する必要性を訴えている ――ダイアナ・アンダーソン、『Problematic』著者 「『フッド・フェミニズム』〔原題〕はフェミニスト必読の1冊だ。メインストリームのフェミニスト・ムーブメントの欠陥を問いただし、黒人女性たちについて知るべき知識を提供している。ケンダルはアイデンティティーの多くの交差点に巧みにスポットライトを当て、怒りの美しさとパワーを示している」 ――エリカ・L・サンチェス、『I Am Not Your Perfect Mexican Daughter』著者 「ミッキ・ケンダルの本は、こんにちのフェミニストたちにアクションを起こせと呼び掛けている。わたしは本書で動かしがたい事実と説得力に富む議論を学び、極めて重要な闘いに挑む準備ができた。『フッド・フェミニズム』〔原題〕は万人が読むべき1冊だ」 ――ガブリエル・ユニオン、『We’re Going to Need More Wine』著者 「経済について語る前に、誰もが1年間サービス産業に従事すべきだ。それと同じく、白人のレディは、フェミニズムを語る前に全員この本を読むべきだ。本書に書かれた言葉は真実である」 ――リンダ・ティラド、『Hand to Mouth』著者 - 著者プロフィール - ミッキ・ケンドール (ミッキケンドール) (著) ライター、講演家、ブロガー。彼女の論説は米「『ワシントン・ポスト』」「『ボストン・グローブ』」や英「『ガーディアン』」各紙、米「『タイム』」「『Salon』」「『Ebony』」「『Essence』」各誌をはじめ、さまざまなメディアに掲載されている。米NPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)の「『Tell Me More』」、衛星テレビ局アルジャジーラの「『The Listening Post』」、英BBCの「『Woman’s Hour』」にも出演し、人種、フェミニズム、シカゴで発生する暴力、科学技術、ポップ・カルチャー、ソーシャル・メディアについて自論を展開。全米各地の大学でも講演を行なっている。SF・ファンタジー作品が対象のローカス賞候補となったアンソロジー『Hidden Youth(隠された青春)』を共同編集。ヒューゴー賞編集者部門候補の「『Fireside Magazine』」の一員でもある。軍を退役したあと、家族とともにシカゴ在住。
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部落フェミニズム|熊本理抄(編著), 藤岡美恵子, 宮前千雅子, 福岡ともみ, 石地かおる, のぴこ, 瀬戸徐映里奈, 坂東希, 川﨑那恵
¥2,640
エトセトラブックス 2026年 ソフトカバー 288ページ 四六変形判 縦188mm 横131mm 厚さ17mm - 内容紹介 - ないものとされてきた存在を可視化する、 部落女性9人による実践と思想。 婦人水平社100年の姉妹たちの歴史、レイシズムとしての部落差別、識字文集、聞き取り、自立生活運動、フェミニスト・カウンセリング、部落解放運動、在日朝鮮人運動、障害者運動、反差別運動、むらの「食」の記憶、地域・コミュニティ…… 被差別部落をルーツに持つ女性たちが、それぞれの研究や活動現場から「部落」を語り直す、これまでになかったフェミニズムの書。 - 目次 - 編者まえがき 第1章 部落女性の「不可視化」とフェミニズム──レイシズムとしての無関心 /藤岡美恵子 第2章 祖母、母、わたしと婦人水平社の姉妹たち/宮前千雅子 第3章 私から、われわれ、そして私へとつながる物語/福岡ともみ 第4章 私が生きのびるための思想・生活・運動/石地かおる(聞き手:のぴこ+川﨑那恵) 第5章 私たちはここにいる/のぴこ 第6章 「食」の記憶に浮かびあがる部落女性たち──ある皮なめしのムラの聞き取りから/瀬戸徐映里奈 第7章 地域・コミュニティにとって「当事者」とは誰か?/坂東希 第8章 私たちが部落を語るために──部落に生きる者たちの系譜/川﨑那恵 第9章 不可視化への歴史的抵抗、主体と権利の奪還/熊本理抄 あとがきにかえた謝辞 - 前書きなど - 編者まえがき 熊本理抄 全国水平社創立から100年となる2022年、部落問題としては異例なほどの賑わいがメディアで見られた。翌年の2023年、波が引いたように静まりかえる。部落にルーツがあることを大切にしながらそれぞれの自己表現で生きる人びと、部落差別を不安に思いながら息をひそめて生きる人びとが、身近に、あるいは現実社会に、いないものにされる日常に戻った。地域レベルでは、婦人水平社100年に関連する取り組みが部落女性の主催で開かれはしている。しかしながら、研究や運動が不在としてきた部落女性を、さらになきものにしようとする100年後の現実世界を生きる目撃者になってしまった。 おりしも「インターセクショナリティ」が人口に膾炙(かいしゃ)していたときである。100年前から部落女性たちが訴えてきた「二重、三重の差別と圧迫」を閑却(かんきゃく)する社会的処遇がいっそう際立ち、ぞっとした。部落解放運動からの歴史抹消と、フェミニズムからの歴史抹消が交差する瞬間に立ち会うことになる。概念としての「インターセクショナリティ」には関心をもつ。しかし、「二重、三重の差別と圧迫」なる表現でみずからの位置と経験を打ち出す部落女性のユニークな視点と実践が、社会をどのように捉え、実際に変えてきたのか、その歴史と思想への関心は示されない。このままではいけない。1920年代に、社会からいないものにされていた部落女性の存在を、一世紀後に生きる私までもが不可視化すれば、二重三重の不可視化に加担することになる。 歴史をさらに繰り返さないため、2023年の夏、エトセトラブックスの松尾亜紀子さんに連絡した。部落女性のフェミニズム思想をテーマに本を出したい。「フェミニズムの本を届ける出版社」であるエトセトラブックスから出したい。フェミニストに届けたい。それが本書の始まりとなる。 エトセトラブックスのホームページには次のように記されている。 まだ伝えられていない女性の声、フェミニストの声を届ける出版社です。 これまでエトセトラ(その他)とされてきた女性の声は無限にあり、フェミニズムの形も個人の数だけ無限にあります。 そんな〈エトセトラ〉を届けるフェミニストプレスです。 伝えても届けても聞かれない声、聞こうともされない声、フェミニズムとは見なされない声、声を聞く機会がもっと開かれているはずの後人から等閑(とうかん)に付される声、女性解放運動のなかで「その他」とされる声、部落解放運動のなかで「その他」とされる声、歴史の「その他」としてさえ記録されない声、無限にありつつも、中心と「その他」の関係は揺るがないと見なされる声。 部落女性の被る抑圧、かれらが担ってきた生活と運動、それらから生まれる思想を本にしたい。書き手自身も部落女性で、自身の経験を絡めながら書く本をつくりたい。そんな私の声を拾った松尾さんからの返事は早かった。「ぜひ刊行したい」。 秋になって松尾さんとの打ち合わせを数回重ねながら、執筆依頼を始めた。部落への帰属意識の程度、部落コミュニティや部落解放運動とのつながりの形態は多様であるが、「部落女性」との自己認識をもっていることを執筆者の共通点とした。本書が呼び水となり、二作目、三作目が出てくれば、この自己認識も問われるだろう。100年後を生きる部落女性たちから批判される本であってほしい。 本書タイトルである「部落フェミニズム」の名付けをめぐり、執筆者から懸念と躊躇が出される。部落に対するヘイトと女性に対するミソジニーが吹き荒れるなか、実名で書くものがもたらす波及効果を想像できないこと、自身の立ち位置をフェミニストとして、その思想をフェミニズムとして定義するのはためらいがあること。明確な答えのないまま、これら疑念と問いを反芻しつつ、発刊に向けて動き出す。全国水平社創立記念日の3月3日、国際女性デーの3月8日、国際人種差別撤廃デーの3月21日、これら歴史的起点を踏まえて、出版目標を2025年3月に設定した。 2023年12月、執筆者がはじめて顔合わせをした。「自己」がいかに多様な属性で成立しているか。歴史と社会構造に「自己」がいかなる影響を受けながら存在しているか。さまざまな社 会課題と社会運動に接点をつくる「自己」はどのような影響を社会構造に与えつつ生きているか。 濃密な自己紹介からすでに本書は始まっていた。 2024年2月、各執筆者の原稿構想をもとに2日間の話し合いをもった。次回には原稿草案をもち寄っての合宿をしたいと提案したときだった。健常者のなかに障害者が一人という構図が常態化しているやりきれなさを、石地かおるさんが言葉にした。健常者を前提とする食事や休憩の時間規範では参加が阻まれること。全身性の障害がある石地さんの身体が見えないまま、石地さんが介助者をどう動かしているかが見えないまま、オンラインで石地さんという人間について述べていくのは限界があること。何か月も前から介助者を手配しなければいけないこと。合宿に到達するまでにいろいろな用意が必要なこと。不可視化されてきた存在を可視化しようとする場が、不可視化を生む。2024年7月の原稿草案読み合わせは、石地さんが活動する自立生活センターリングリングの体験室を借りて、2日間を共に過ごし行なった。 同時代、次代を生きる部落女性に向けて発信したい。発刊までの過程を重視し、執筆者が共同でつくりあげていくものにしたい。部落女性の思想と実践に、執筆者各人の思考と経験を交差させながら、今私たちが考える部落フェミニズムを浮き彫りにしたい。そこで生まれる矛盾と葛藤もそのまま言語化したい。執筆依頼の際にそう伝えた。概念を用いずに、インターセクショナリティを実証することも重視した。書き手の存在、経験、思想がインターセクショナルでないはずがない。インターセクショナルでないフェミニズムもない。 1999年、反差別国際運動(IMADR)が、「マイノリティ女性に対する複合差別研究会」を立ち上げる。「単数の差別などあるのか」「単一要素に還元できる差別があるのか」と核心を突くような質問を幾度か受けた。差別は単独の形態で成立しないこと、一人の人間に一つの形態の差別が影響を与えるなどないことを了解した質問だった。差別を受ける者は感覚的に知っている。 部落だけで生きている人はいない。女性だけで生きている人はいない。自分の立ち位置や困難を、一つの差別で説明するなどできはしない。女性差別、部落差別といった具合に、差別を切り離せると思っている人たちに、女性差別、部落差別と言えば、自分の経験を説明するに事足りると思っている人たちに、女性差別撤廃、部落差別撤廃を訴えれば、自由への道を切り拓けると思っている人たちに、「あなたの言う女性差別は私の体験を言いあらわせない」「あなたの言う部落差別に私の体験は含まれていない」と異議申し立てをする必要があった。 自分たちの立ち位置と困難を切り分けることなく、またそれらを説明する言葉がないときに、部落女性のつかんだものが「複合差別」だった。複合的な抑圧を生み出すマジョリティ社会を照らす抵抗概念だった。しかしいつのまにか、マイノリティ内部の問題、マイノリティ相互の問題を「発見」したかのように記述し、その「問題」を名付ける言葉へと簒奪(さんだつ)されていった。マジョリティ社会がマイノリティ女性の立ち位置と困難を切り分けてまなざし、説明するための概念、分析する手法になってしまった。複合的な抑圧を被る者が、複合的な圧力を加える側を照射するために磨いてきたのが「複合差別」だったのに。 部落フェミニズムを名乗ることによって、無冠のフェミニズムに付録をつくろうとしているのではない。部落フェミニズムは、本書執筆者たちの創造物でも独占物でもない。部落女性が生きたすべての時代に、差別と抑圧のなかを生きたすべての部落女性が、部落フェミニズムを生きてきた。圧倒的な不可視化と沈黙の強制が働き、私たちがその思想を生き、その思想に生かされることを奪おうとしている。 本書は、今を生きる部落女性が、部落フェミニズムを掘り起こし、書き手の身体を通過させた言葉をもって、未来を生きる者たちに、その思想を手渡す営みである。歴史資料、聞き書き、識字文集、インタビュー、自立生活運動、フェミニスト・カウンセリング、ピア・カウンセリング、部落解放運動、在日朝鮮人運動、障害者運動、フェミニズム、反差別運動、食生活と産業、まちづくり運動をつうじて、私たちが先人に出会ってきたように、本書をつうじて、同時代、そして未来を生きる人たちに出会うことを願いながら。 - 著者プロフィール - 熊本理抄 (クマモト リサ) (編著) 近畿大学人権問題研究所教員。人種、階級、ジェンダー、セクシュアリティが絡み合ってもたらす抑圧、その抑圧からの自由と解放を求める社会運動に関心がある。研究と運動の主たる現場は、日本、インド、米国、国連。主著に『被差別部落女性の主体性形成に関する研究』(2020年、解放出版社)がある。現在取り組んでいる活動と研究はもりだくさんで、隣保館を中心に行なわれる相談支援、学校における人権教育とジェンダー教育、主体性と関連するマイノリティ女性の学習と労働、同和対策事業等マイノリティを対象とした社会政策など。なかでもとくに聞き取りが大好き。生きてきた軌跡から社会構造に向き合いつづけたい。そしてものづくりが大好き。つぎの人生では職人になりたい。 藤岡美恵子 (フジオカ ミエコ) (著) 法政大学大学院非常勤講師(「国際人権論」を担当)。1980年代末から2000年代半ばまで国際人権NGO反差別国際運動(IMADR)で専従職員やプロジェクトコーディネーター。その後特定の団体には所属せずNGOと政府の関係、レイシズム、植民地主義の問題にとりくむ。主な論文に「Condemning J. Mark Ramseyer’s Paper “On the Invention of Identity Politics: The Buraku Outcastes in Japan”」(共著、The Asia-Pacific Journal Japan Focus, Volume 19, Issue 9, Number 8, 2021)。共著書に『終わりなき戦争に抗う』(新評論)など。植民地主義にもレイシズムにも正面から向き合って来なかった日本社会で〈反‐反差別〉が勢いを増す中、日本のレイシズムを解明する作業に微力ながら加わりたいと考えている。織物、刺繡が大好きな「布フェチ」。 宮前千雅子 (ミヤマエ チカコ) (著) 大学の非正規研究員と非常勤講師をしています。被差別部落に暮らしたことのない部落出身者。部落の外に、部落問題を含めた人権課題を語りあえるネットワークづくりをしたいと思い、活動してきました。ハンセン病問題やジェンダーの課題、性被害をなくすことにもかかわっています。興味があるのは、マイノリティの近代史。これまで歴史のなかに埋もれ、注目されてこなかったものをあきらかにしたい、そして差別を生み出し再生産する社会のしくみをあぶり出したいと思います。とりわけ最近は、部落女性の歴史をまとめるため奮闘中。100年前の女性たちと対話する日々です。中学生のときから阪神タイガースの大ファン。 福岡ともみ (フクオカ トモミ) (著) 1956年生まれ。人は人をなぜ差別するのだろうかという疑問を持ち生きてきた。1995年、沖縄少女レイプ事件に衝撃をうけ、親友と性暴力被害者やDV被害者のサポートを始める。1999年、DV被害者が加害者となった裁判に関わり、支援とは何かを考える原点となる。2013年、性暴力被害者支援センター・神戸の設立に参画。現NPO法人性暴力被害者支援センター・ひょうご理事、ウィメンズカウンセリング京都スタッフ/認定フェミニストカウンセリング・アドヴォケイター。共著『笑顔を取り戻した女たち マイノリティー女性たちのDV被害――在日外国人・部落・障害』(パド・ウィメンズ・オフィス、2007年)、『フェミニストカウンセリングの実践』(世界思想社、2010年)など。趣味は、いつのまにかインドア派。自他ともに認めるテレビっ子。 石地かおる (イシジ カオル) (著) 自立生活センターリングリング障害者スタッフ。24時間介助で地域での自立生活を実践中(私の介助者になりませんか?)。全国自立生活センター協議会ピア・カウンセリング委員会副委員長時代に全国の障害者にエンパワメントを伝える。40代半ばで女性であること、被差別部落にルーツがあることを自覚し、さらなるエンパワメントにチャレンジしている。 【大事に思っていること】優生思想撤廃、人権、差別をなくす取り組み、人とのつながり。 【好きなこと】食べること、料理、スーパー巡り、音楽、推し活、旅、パズルゲーム。 のぴこ (ノピコ) (著) 1983年生まれ。会社員、非婚出産、フェミ登山部。大阪市内の部落で、同和保育、解放子ども会に通い、小学生までを過ごす。制度から周縁化されたこと(すなわち“一般並み”から外れたこと)へ関心を向けてきた最近は、ジェントリフィケーションが進む釜ヶ崎の近くで小さなコミュニティスペースを友人たちと運営している。いつも心に反戦・反天皇制・反家父長制。自律・相互扶助・フェアネスが可能なあり方を模索中。 【好きな場所】本屋、飛行機、クロスバイク、おいしいコーヒーがあるところ、日常の営みが綴られたインターネット、フェミニストと登る山、Three chords and the truthを聞くことが出来るライブ。 瀬戸徐映里奈 (セト ソ エリナ) (著) 1986年関西生まれ。近畿大学人権問題研究所教員。父母の姓を並べて、名乗り始めて16年。名前は、朝鮮読みして「よんりな」と呼ばれることも。研究テーマは、いきものがたべものになり、胃袋に入るまでに生まれる様々な関係をマイノリティの食卓から考えること。特に在日ベトナム人にとっての食と農に注目し、そこから浮かぶ葛藤やつながりの創出、立場による権利の差を考察してきました。自分も耕す土を確保し、種を蒔き、食材を育てたい!と思い、近所によい耕作地を探し中(といいながら、数年経過)。移民・難民問題、在日朝鮮人運動と部落解放運動に関わりつつ、試行錯誤の毎日。 坂東希 (バンドウ ノゾミ) (著) 大阪公立大学教員。関心は、非行・犯罪臨床、トラウマからの回復、修復的司法、コミュニティづくりなど。非行や犯罪行動を有する少年・成人を対象とした教育プログラムの実践と研究に携わる。共著に『アディクションと加害者臨床』、『治療共同体実践ガイド』(いずれも金剛出版)など。和歌山市内の部落に生まれ、高校卒業までを過ごす。反差別国際運動(IMADR)で勤務した後、大阪大学大学院で非行・犯罪領域の心理臨床を学ぶ。同時期に出会った大阪府箕面市の北芝(本文参照)で胃袋をつかまれ、2011年からNPO法人暮らしづくりネットワーク北芝で6年ほど働く。瓶ビール、錆びた鉄、古い木箱、破れやほつれ、穴の空いた布に引き寄せられます。 川﨑那恵 (カワサキ トモエ) (著) 1983年大阪生まれ、京都で娘と2人暮らし。大学の事務職員。シェアキッチン&スペース「スウィングキッチンYour」運営メンバー。部落出身の両親のもとに生まれ、幼い頃父の故郷の部落で暮らす。大阪市立大学入学後、部落問題を学び始める。各地の部落やその他の社会問題(新潟水俣病など)の現場を訪問し、人と出会い腹を割って語り合う飲み会を重ね、標語「寝た子を起こして、仲良くごはん」を思いつく。2024年、同標語を題名にしたエッセイの連載を雑誌『エトセトラ』で開始。これから探究したいテーマは近代日本における部落差別と優生思想、家父長制イデオロギーの形成過程と関連性。暇を見つけては映画館での映画鑑賞・好きなミュージシャンのライブ鑑賞・友人たちとごはん会。
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コクトーの食卓|レーモン・オリヴェ(著)ジャン・コクトー(画、イラスト)辻 邦生(翻訳)
¥1,100
筑摩書房 2026年 ちくま文庫 ソフトカバー 272ページ 文庫判 - 内容紹介 - パリ最古級にして最高峰のレストラン、ル・グラン・ヴェフールを率いた名シェフの著者が、"天才のひらめき"で通じ合った友人ジャン・コクトーのために作った料理のレシピ集。スープから前菜、メイン、野菜料理、デザート、カクテルまで、選りすぐりの一皿について、大らかかつ潤いに富んだ説き方で〈おいしさ〉を作る調理法の詳細を記述する。 解説:稲田俊輔 カバーデザイン 水戸部功 - 目次 - ある不遇な芸術の舞台裏 ジャン・コクトー 食卓のコクトー エマニュエル・ベルル 【スープ】 コンソメ/つばめの巣/ヴィシソワーズ/ゲノレ/牡蠣のスープ 【前菜】 牡蠣のカクテル/生野菜のサラダ/アボカド/タコス/アボカドのサラダ詰め 【卵料理】 目玉焼き/ 卵のゼリー寄せ 【魚貝料理】 オマールの網焼き オルフェ風/舌びらめの冷製/舌びらめのフライ ブール・ドゥ・ノワゼット添え/テュルボのスフレ 包み焼き/モナコのピエール大公風ひめじ/魚のパテ ちどりの卵入り/コレット風クリビアック/帆立貝 【肉料理】 ピカタのパプリカ風味/鴨の冷製 双頭の鷲風/ハムのスフレ ポトマック風/ベアティーユの串焼き/ほろほろ鳥の雛 ジャン・コクトー風/山しぎのマスプローネ風/山しぎのロースト テレーズ叔母風/ジャン・コクトー風ガランティーヌ/じゅずかけ鳩のフランベ/ひなしゃこのはしばみ風味/新鮮なフォア・グラの葡萄風味/牝鹿のトゥルヌド 栗のピュレ添え/フィレ肉の網焼き サント・ソスピール風/若鶏のソテー ヴィルフランシュの教会風/仔羊の背肉 パレ─ロワイヤルの即興劇風/仔牛のフィレ肉 フェルナン・ポワン風/仔羊のチョップ ミリ─ラ─フォレ風 【野菜料理】 セープのレモンかけ/アーティチョークのモンタンシエ風/じゃがいものマドレーヌ風 四季のサラダ/葉レタスのウルトビーズ風/酢/四盗賊の酢/薔薇酢/花あれこれ 【デザート】 アイスクリームの菫添え/椰子の実 異郷の花添え/苺のジャン・コクトー風/葡萄園の桃 赤ワイン漬け/木苺のコロール/円卓のスフレ/くるみのフォンダン/アル・ブラウンの勝利者杯/マカロンのダルジュロ風 カクテル 日々の味 料理の味―あとがきにかえて― 辻邦生 邦訳『コクトーの食卓』に寄せて 井上究一郎 文庫版解説 稲田俊輔 - 著者プロフィール - レーモン・オリヴェ (オリヴェ レーモン) (著) 1909-90 フランス料理界を代表する名シェフ。パリの老舗レストラン、ル・グラン・ヴェフールを率い、素材の持ち味を生かす料理で評価され、著名な政財界の重鎮や、知識人、芸術家が顧客として名を連ねた。また家庭料理の普及にも大きく貢献した。 ジャン・コクトー (コクトー ジャン) (画、イラスト) 1889-1963 フランスの詩人・小説家・劇作家・映画監督。前衛芸術の中心人物として活躍し、『恐るべき子供たち』『美女と野獣』など多彩な作品を残した。絵画や批評にも才能を示し、シュルレアリスムとも交流しながら独自の幻想世界を築いた。 辻 邦生 (ツジ クニオ) (翻訳) 1925-99 小説家・フランス文学者。西洋美術や古典文化に深く通じ、『背教者ユリアヌス』『安土往還記』など歴史と思想を融合した文学世界を確立した。明晰な文体と精神性の高い評論でも知られる。
