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【バーゲンブック】ペイント | イ・ヒヨン, 小山内園子(訳)
¥900
イースト・プレス 2021年 ソフトカバー 224ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ16mm 定価:1650円 バーゲンブック: 定価よりも値引して販売することのできる新古本です。 (定価のおよそ50%〜70%ほどの価格で販売しています) 新品とはいえ、経年による劣化などが見られる場合もございますので、ご理解の上ご購入くださいませ。 - 内容紹介 - 「君たちは、親を選べる子どもなんだよ」 「アーモンド」に続く「チャンビ青少年文学賞」受賞作。 韓国で25万部。ブレイディみかこ氏推薦。 「子どもに親を選ぶことができたら。人類の究極の「IF」に挑んだティーン小説。 大人こそ読んでこころの準備をしておいたほうがいい」 事情により子どもを育てられなくなった親が、子どもを預ける「NCセンター」が設立された近未来。そこでは子どもが親を選ぶ面接「ペイント(ペアレントインタビュー)」が行われている。そんなNCセンターに在籍する17歳の少年ジェヌが、この物語の主人公。 20歳のセンター退所期限までに親をみつけなれば、センター出身という経歴がIDカードに刻まれる。過去にNCセンター出身者による犯罪が行われたことで、社会にはNCセンター出身者への偏見が存在し、その経歴が刻まれないよう、子どもたちは必死にペイントを続けている。 しかし、ペイントにやってくる親候補の多くは、養子縁組することで受け取れる福利厚生が目的。親候補たちのとりつくろった笑顔と、透けて見える本音を、ジェヌは瞬時に見抜いてしまう。 NCセンターの退所期限を3年後に控えたジェヌは、ペイントをしながら、親や家族という存在について思索し、自分の進む道をつかもうとする。 <目次> ジェヌ、301です 父母面接を始めます いったいどんなヤツ紹介されたんだよ? IDカードの番号 大人だからって、みんなが大人っぽい必要ありますか お前は、自分の思い通りに生きると思ってんだろうな 自分のためだ、自分のため あの噂、聞いた? 待ってるからね、友達 Parents' Children 最後に聞いてもいいですか? 日本の読者のみなさんへ 訳者あとがき - 著者プロフィール - イ・ヒヨン (イヒヨン) (著) 短編小説「人が暮らしています(사람이 살고 있습니다)」で2013年に第1回キム・スンオク文学賞新人賞大賞を受賞してデビュー。 2018年『ペイント』で第12回チャンビ青少年文学賞を受賞。25万部を越える大ベストセラーとなる。さらに同年『きみは誰だ(너는 누구니)』で第1回ブリットGロマンススリラー公募展大賞も受賞した。他に長編小説『普通のノウル(보통의 노을)』、『サマーサマーバケーション(썸머썸머 베케이션)』などがある。 小山内園子(おさない・そのこ) 東北大学教育学部卒業。社会福祉士。 訳書に、ク・ビョンモ『四隣人の食卓』(書肆侃侃房)、キム・ホンビ『女の答えはピッチにある』(白水社)、カン・ファギル『別の人』、共訳書に、イ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ』、『失われた賃金を求めて』(タバブックス)、チョ・ナムジュ『彼女の名前は』(筑摩書房)など。
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【バーゲンブック】シンデレラとガラスの天井 フェミニズムの童話集 | ローラ・レーン, エレン・ホーン
¥1,100
太田出版 2021年 ソフトカバー 176ページ 18.8 x 12.8 x 2.5 cm 定価:1980円 バーゲンブック: 定価よりも値引して販売することのできる新古本です。 (定価のおよそ50%〜70%ほどの価格で販売しています) 新品とはいえ、経年による劣化などが見られる場合もございますので、ご理解の上ご購入くださいませ。 - 内容紹介 - 意識を失ってる女性にキスするなんて、ぞっとする。 お金持ちになる方法は、王子との結婚だけじゃない。 米国女性コメディ作家が語り直した、陽気で爽やかな現代のおとぎ話。 【本書で再話される物語】 人魚姫/眠り姫/白雪姫/シンデレラ/赤ずきん/ラプンツェル/ピーターパン /美女と野獣/親指姫ほか 「なぜ長い間、男たちに女性の物語を書かせてきたのか? 彼らは私たちを塔に閉じ込めたり、家を掃除させたり、とても眠くさせたりしたのです。この本は遂にそれを正した! 」 ――ローレン・アダムス(女優) 「ウィットに富んだ、今求められているおとぎ話のリブートだ。私たちがこれまで子供たちに何を教えてきたのか、考えさせられる」 ――ジョー・ファイアストン(コメディアン) 「グリム兄弟もローラ・レーンとエレン・ホーンにはかなわない」 ――ジェニファー・ライト(作家) 「時代は変わりました。物語も変わるべきでしょう」 ――著者まえがきより 【目次】 第1話 膣をもらった人魚姫 第2話 眠り姫の本当の目覚め 第3話 白雪姫と7つの無自覚な差別 第4話 シンデレラとガラスの天井 第5話 小さな赤ずきんと大きくて悪いオオカミ 第6話 ラプンツェルのわきの下 第7話 ムーランの給料 第8話 ピーターパンの嘘 第9話 美女と野獣と語られなかった誘拐被害者 第10話 王女はレズビアン 第11話 親指姫の自立
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【バーゲンブック】作家と楽しむ古典 好色一代男 曾根崎心中 菅原伝授手習鑑 仮名手本忠臣蔵 春色梅児誉美 | 島田 雅彦, いとう せいこう, 三浦 しをん, 松井 今朝子, 島本 理生
¥900
河出書房新社 2018年 ソフトカバー 192ページ 四六変型判 縦189mm 横134mm 厚さ18mm 定価:1540円 バーゲンブック: 定価よりも値引して販売することのできる新古本です。 (定価のおよそ50%〜70%ほどの価格で販売しています) 新品とはいえ、経年による劣化などが見られる場合もございますので、ご理解の上ご購入くださいませ。 - 内容紹介 - 古典を平易にわかりやすく。「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」の古典新訳で活躍した作家たちによる古典講義。人気の第三弾!
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【バーゲンブック】作家と楽しむ古典 平家物語 能・狂言 説経節 義経千本桜 | 古川 日出男, 岡田 利規, 伊藤 比呂美, いしい しんじ
¥900
河出書房新社 2018年 ソフトカバー 208ページ 四六変型判 縦189mm 横134mm 厚さ19mm 定価:1650円 バーゲンブック: 定価よりも値引して販売することのできる新古本です。 (定価のおよそ50%〜70%ほどの価格で販売しています) 新品とはいえ、経年による劣化などが見られる場合もございますので、ご理解の上ご購入くださいませ。 - 内容紹介 - 政変、災害、戦争、盛者必衰――人間の荒々しさ、滑稽さ、生きる無常さを説いた中世の古典作品を、作家たちはどう読み訳したか?
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砂の境界 | ギーターンジャリ・シュリー, 藤井 美佳(訳)
¥2,860
エトセトラブックス 2025年 ソフトカバー 420ページ 四六変形判 縦191mm 横131mm 厚さ21mm - 内容紹介 - 国際ブッカー賞受賞! 80歳の母が、家を出た。 行き先は、越えられるはずもない 国境の向こう側。 夫を亡くし沈んでいたはずの母が、ある日突然起き上がる。ヒジュラーの友と時を過ごし、娘と旅する先はインド・パキスタンの国境線。カラスは喋り、路は目撃し、神話や哲学も語り出す。あらゆる境界を越え母は進むーー 不可視化された女性の無限を描く、インド作家初邦訳。 「母が踏み出す旅は、何百万人もの人々が歩んだことのある旅だ」――ガーディアン - 目次 - 第一章 背中 第二章 陽光 第三章 国境の向こう 訳者あとがき - 著者プロフィール - ギーターンジャリ・シュリー (ギーターンジャリ シュリー) (著) インドのウッタル・プラデーシュ州生まれ。ヒンディー語作家。大学院在学中に短編小説を発表、卒業後は母語であるヒンディー語を主軸とし、創作活動を続ける。2022年、長編第5作目となる「Ret Samadhi」(原題:砂の三昧)の英語翻訳版「Tomb of Sand」(砂の墓)が、ヒンディー語圏の作家として初めてブッカー国際賞を受賞。女性の不可視性が、人間・動物・植物・自然を超越した普遍的な形で描かれていると評された。他長編に、小さな町の家庭を描写した『母』(1993)、モスク破壊をめぐる激動の一年の都市部の生活を女性が語る『私たちの町、その年』(1998)、女性の愛と、階級やジェンダーなど、抑圧から自由への逃避の物語『隠された場所』(2001)、普通の生活が突然奪われるさまを描いた『空白』(2006)があり、複雑なインドの家父長制社会を生きる普通の人々の心の移ろいを親密な視点で物語にしている。演劇集団「不協和音(ヴィヴァーディ)」の創立メンバーとしても活動し、女性と女児に対する性加害と暴力を描く「排水溝の少女」などを執筆。現在、デリー在住。 藤井 美佳 (フジイ ミカ) (訳) 東京生まれ。東京外国語大学外国語学部南・西アジア課程ヒンディー語専攻卒。英語とヒンディー語を中心に映画やドラマの字幕翻訳を手がける。近年の主な字幕翻訳作品に『ガンジスに還る』『バーフバリ』『RRR』『何も知らない夜』『JAWAN/ジャワーン』『ジョイランド わたしの願い』『コール・ミー・ダンサー』など。2015年より上映会を企画し、東京外国語大学TUFS Cinemaで南アジア映画の紹介を続けている。
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族長の秋 | ガブリエル・ガルシア=マルケス, 鼓 直(翻訳)
¥1,100
新潮社 2025年 ソフトカバー 432ページ 文庫判 縦151mm 横106mm 厚さ15mm - 内容紹介 - 無人の聖域に土足で踏みこんだわれわれの目に映ったのは、ハゲタカに喰い荒らされた大統領の死体だった。国に何百年も君臨したが、誰も彼の顔すら見たことがなかった。生娘のようになめらかな手とヘルニアの巨大な睾丸を持ち、腹心の将軍を野菜詰めにしてオーブンで焼き、二千人の子供を船に載せてダイナマイトで爆殺したという独裁者――。権力の実相をグロテスクなまでに描いた異形の怪作。
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文体練習 | レーモン・クノー , 朝比奈弘治(訳)
¥3,738
朝日出版社 1996年 ハードカバー 195ぺージ 縦22mm - 内容紹介 - 前人未到のことば遊び。他愛もないひとつの出来事が、99通りもの変奏によって変幻自在に書き分けられてゆく。『地下鉄のザジ』の作者にして20世紀フランス文学の急進的な革命を率いたレーモン・クノーによる究極の言語遊戯がついに完全翻訳。 目次 メモ 複式記述 控え目に 隠喩を用いて 遡行 びっくり 夢 予言 語順改変 虹の七色 以下の単語を順に用いて文章を作れ ためらい 厳密に 主観的な立場から〔ほか〕
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戌井昭人 芥川賞落選小説集 | 戌井 昭人
¥1,320
筑摩書房 2025年 ちくま文庫 ソフトカバー 464ページ 文庫判 - 内容紹介 - 5回の芥川賞落選を経験し、もっとも賞に近かった(?)作家による芥川賞落選作5作品をまとめたオリジナル小説集(注:川端康成文学賞受賞作1作を含む!!!)。気が小さいのにテキトー、だけどなぜか惹かれてしまう人物たち、モラルも常識もあんまり通用しない脱力しまくりの独特の世界観が炸裂する──ある意味、画期的で文学的コスパ最強の作品集。 解説 町田康 カバーデザイン 宇都宮三鈴 カバー装画 宮田翔 - 目次 - まずいスープ ぴんぞろ ひっ すっぽん心中 どろにやいと 落選ばかりしてみたけれど(あとがき) 解説 町田康 - 著者プロフィール - 戌井 昭人(いぬい・あきと):1971年、東京都生まれ。ヘンテコなパフォーマンス集団「鉄割アルバトロスケット」を旗揚げして、脚本を担当、自身も出演する。なんだかんだと、いろいろあって、小説を書きはじめ、2009年「まずいスープ」で芥川賞候補になる。その後、「ぴんぞろ」「ひっ」「すっぽん心中」「どろにやいと」と、4回、芥川賞の候補になるがすべて落選。一方で、2014年「すっぽん心中」で川端康成文学賞、16年『のろい男 俳優・亀岡拓次』で野間文芸新人賞。現在も、作家として活動中です。
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誰でもない | ファン・ジョンウン, 斎藤 真理子(翻訳)
¥1,298
河出書房新社 2025年 河出文庫 ソフトカバー 256ページ 文庫判 縦149mm 横105mm 厚さ11mm - 内容紹介 - 恋人をなくした老婦人、閉ざされた未来を前に生き延びようとする若者……。ハン・ガン以後最も注目される韓国作家が描き出す、現代を生きる私たちの日常という祈り。 - 著者プロフィール - ファン・ジョンウン (ファン,ジョンウン) (著/文) 1976年生まれ。邦訳著書に『百の影』、『続けてみます』(以上、オ・ヨンア訳)『野蛮なアリスさん』『誰でもない』『ディディの傘』『年年歳歳』(以上、斎藤真理子訳)がある。 斎藤 真理子 (サイトウ マリコ) (翻訳) 韓国語翻訳者。著書に『韓国文学の中心にあるもの』『隣の国の人々と出会う』等。訳書にパク・ミンギュ『カステラ』、チョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』、ハン・ガン『別れを告げない』等。
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わたしの「みえ昭和文学誌」 | 藤田 明
¥2,640
人間社 2024年 ハードカバー 428ページ 四六判 - 内容紹介 - とまれ! 卆寿 深淵なるや 走馬灯の如し 文学研究に 生きたる証を ここに収録── 近現代にあって、三重県出身の文学者は多彩をきわめる。斎藤緑雨・佐佐木信綱をはじめとして、芥川賞を受賞した笙野頼子・伊藤たかみに至るまで列挙すればきりがない。 横光利一・丹羽文雄・田村泰次郎といった中央文壇で活躍した人たちもさりながら、別の方面に光を当てることも必要ではないか。 昭和戦時の、竹内浩三らによる同人誌「伊勢文学」、森敦が東紀州に挑んで挫折した未完の「尾鷲にて」や、伊勢湾、伊賀盆地をめぐる作品の数々にも触れていきたい。 半世紀年以上にわたり〈三重と文学〉について考えてきたことの一端を、体系的、かつ随想風につづった文学エッセイの集大成。 - 目次 - 第一章 戦争と文学──詩歌編 長谷川素逝、錦米次郎、伊良子清白、佐佐木信綱、高橋沐石、中野嘉一、山口誓子、岡野弘彦、嶋田青峰、野呂六三子、北園克衛、中井正義、黛 元男、杉野 茂、松島 博、清水太郎、岩本修蔵、山中智恵子、伊藤桂一、川口常孝、小出幸三 第二章 小説をめぐって──出身の作家・滞在の作家 梶井基次郎、横光利一、丹羽文雄、中谷孝雄、田村泰次郎、駒田信二、中山義秀、梅川文男、岸宏子、森敦、清水信 第三章 竹内浩三と「伊勢文学」──戦中の同人誌活動 竹内浩三、中井利亮、松島こう、中井のぶ子、ほか同人たち 第四章 回想いくつか 「伊賀百筆」の歩み、中井正義 vs 山中智恵子、清水信、めぐる走馬灯 回想・文学九十年──自伝的交友録 - 著者プロフィール - 藤田 明 (フジタ アキラ) (著/文) 1933年、東京生まれ。戦争末期に三重へ疎開し、以降は主に津市在住。県内各地の高校で国語を担当した後、高田短期大学教授。三重大、愛知教育大、松阪女子短大の非常勤講師をつとめた。全国小津安二郎ネットワーク会長を経て現在は顧問。三重文学協会会長。新聞・雑誌に映画・文学関係のエッセイを多数寄稿。著書『三重・文学を歩く』(三重県良書出版会)『平野の思想・小津安二郎私論』(ワイズ出版)、編著『ふるさと文学館28・三重』『同36・和歌山』(ぎょうせい)。
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傷ついた世界の歩き方 イラン縦断記 | フランソワ=アンリ・デゼラブル, 森 晶羽(翻訳)
¥2,970
白水社 2024年 エクス・リブリス ハードカバー 216ページ 四六判 - 内容紹介 - 「女性、命、自由!」デモの叫びが響くテヘランで、ニコラ・ブーヴィエの名著をたどり直す冒険が始まる──。 『世界の使い方』は〈僕〉にとって聖典のような存在だ。彼が旅した景色を自分で確かめるのが長年の夢だった。パリからテヘランに向かう飛行機では、一睡もできなかった。携帯電話にフランス外務省からの着信があり、イランで監禁される危険性を告げられていたからだ。 22歳のクルド人女性が、「不適切な服装」を理由に道徳警察に逮捕され殺害された……マフサ・アミニ事件をきっかけに、イラン全土で抗議運動が起きていた。そのデモ活動に参加した、同じくZ世代で16歳のニカ・シャカラミも被害に遭う。女性たちが髪を風になびかせながら抑圧に立ち向かう姿を目撃し、〈僕〉は、イランの過酷な現実を突きつけられる。砂漠が広がる大地の上、「死者の背後では千の心臓が鼓動する」。 テヘランからエスファハーン、ペルセポリスを経てザーヘダーン、サッゲズに至る縦断記は、傷ついた世界を生きる者のため「世界の傷口」に命がけでペンを差し入れる新しい紀行文学。アカデミー・フランセーズ賞受賞の作家の日本デビュー作。 - 目次 - パリ-テヘラン テヘランの安宿 テヘランの街角 ゴム カーシャーン エスファハーンへの道 エスファハーン シーラーズ ヤズドへの道 ヤズド ケルマーン バムへの道 ルート砂漠 ケシート バム ザーヘダーン ザーヘダーンからテヘランへ テヘランの安宿に戻る タブリーズ サッゲズ 訳者あとがき - 著者プロフィール - フランソワ=アンリ・デゼラブル (フランソワ アンリ デゼラブル) (著/文) François-Henri Désérable 1987年生まれ。アイスホッケーのプロ選手という異色のキャリアをもつ、フランスの作家。人間の内面を鋭く描写し、社会的・哲学的テーマを探求することで高く評価される。代表作に、天才数学者エヴァリスト・ガロアを描いた伝記小説『エヴァリスト』(2015)、ロマン・ガリーの自伝小説に登場する架空の人物を題材にした『ピエキエルニー氏というひと』(2017)。ポール・ヴェルレーヌの詩句をもとにした恋愛小説『僕の支配者で僕の征服者』(2021)でアカデミー・フランセーズ小説大賞を受賞。本書『傷ついた世界の歩き方──イラン縦断記』(2023)は、フランスで刊行されるやいなやベストセラーとなり、ニコラ・ブーヴィエ賞およびロマン・ニュース賞を受賞。各国語に翻訳され、世界的な話題となる。
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palmstories あなた | 津村記久子 (著), 岡田利規 (著), 町田康 (著), 又吉直樹 (著), 大崎清夏 (著)
¥1,980
palmbooks 2023年 ハードカバー 152ページ 11 x 2 x 13.7 cm - 内容紹介 - 「あなた」と「きみ」をめぐる、5つの“てのひら”の小説たち(パームストーリーズ) ちいさなハードカバーの単行本でお届けする掌篇アンソロジー あなたが私に寄越してくれたさまざまな物が、もしその時に手に入らなかったとしたらと考えると、ちょっと恐ろしいなという気がしてくる。 --津村記久子「六階を見習って」 なんであれば出来事とも呼べないかもしれないくらいのもの、きわめてうっすらとした出来事のようなものからでさえ、忘れがたい印象をふいに得る、ということはきみにももちろん時々起こる。 --岡田利規「一月、生暖かい月曜日の午後のこと」 此の度は機会を与えてくれてありがとう。本当に感謝している。(…)そんな僕がつい、本当に、と書いてしまったのはマジで貴殿に感謝しているからだ。 --町田康「言ひ譯」 あなたは引っ越してきたばかりの街を一人で歩いている。真っ直ぐな道の果てに寺院と思しき白い塀が見える。 --又吉直樹「行列」 茂呂来さん、茂呂来さん、聞こえますか。(…)きっとそちらはいま、おくつろぎタイムですよね。 --大崎清夏「眼鏡のバレリーナのために」
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野良猫姫 | ファン・インスク(黄仁淑), 生田 美保(訳)
¥2,750
クオン 2014年 新しい韓国の文学シリーズ ソフトカバー 384ページ 四六判 - 内容紹介 - ソウルのさびれた町で一人暮らしをする20歳のファヨルは、コンビニでバイトをしながら、野良猫と、猫を通して知り合った人たちに支えられて生きている。父は彼女が五歳の時に失踪、数年後には母も単身、渡米してしまった。寄る辺ない身となったファヨルを気遣い、世話する親戚もいるけれど、ファヨルは過去から離れられない。高校を中退したファヨルには、大学へ行くよりも、やりたいことがあった……。 - 版元から一言 - 韓国詩壇で異彩をはなってきた詩人ファン・インスクによる、初めての小説『野良猫姫』です。インターネットで連載された後に出版され、韓国では多くの読者を獲得しました。かろやかで平易な文章で描かれる、さまざまな年代の人たちの暮らしには、人生の喜怒哀楽が詰まっています。主人公のファヨルをはじめ、登場する人たちは自分らしく生きたいという渇望をエネルギーとして、互いを思いやりながら道を拓いていきます。 また、クラウドファンディングで多くの読者からの支援を受けて、発売前より話題になった 翻訳化された本です。 - 著者プロフィール - ファン・インスク(黄仁淑) (ファン インスク) (著) 1958年、ソウル生まれ。ソウル芸術大学文芸創作科卒。 1984年京郷新聞新春文芸に詩「私は猫に生まれたい」が当選し、詩壇デビュー。詩集に『鳥は空を自由に放ちて』(1988)、『悲しみが私を目覚めさせる』(1990)、『私の沈鬱な、大切な人よ』(1998)、『自明の散策』(2003)、『リスボン行き夜行列車』(2007)など、散文集に『私は孤独』(1997)、『声の模様』(2006)などがある。1999年に東西文学賞、2004年に金洙暎文学賞を受賞。抑圧されることのない自由な魂や、現実との不和からくる幻滅を猫というモチーフを通して描いた作品が多く、猫詩人として知られる。実体験をもとにした『野良猫姫』は初の小説。
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哀れなるものたち | アラスター・グレイ, 高橋 和久(翻訳)
¥1,650
早川書房 2023年 ハヤカワepi文庫 ソフトカバー 560ページ 文庫判 - 内容紹介 - 19世紀後半、天才医師と、奇怪な手術で蘇生された女がいた。そう記された古書に魅せられた作家はある行動に出る。映画化原作
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カフカふかふか:とっておきの名場面集 | 下薗 りさ (編集), 木田 綾子 (編集)
¥1,980
白水社 2024年 ソフトカバー 186ページ 18.8 x 13 x 1.5 cm - 内容紹介 - わからない魅力に引き込まれる 今年はドイツ語作家フランツ・カフカ100年にあたります。生前はほとんど知られていない作家ですが、一世紀後の現在では著名な小説家のひとりとして、その作品は多くの言語に翻訳され、読まれています。 そんなカフカ作品に魅了された著者たちが、その面白さを本書で縦横無尽に語りかけます。 朝目覚めると虫に変わっていた主人公は有名ですが、糸巻状の「何か」という不思議な存在が出てきたり、そうかと思えばまったく姿を現さなかったり、よくわからない登場人物たちにわたしたちは翻弄されます。 繰り返される断食のシーンからはヴェジタリアンで風変わりな健康体操を人に勧める作家の別の素顔が垣間見られます。 そのほか、出だしや結びの一文に驚愕したり、絶句したりすることしきり。カフカの作品はうかうかできません。いつまで経っても辿り着かないぐるぐるまわる物語にめまいすら覚えます。 カフカフカフカ この終わりのない魅力をあれでもか、これでもか、この一冊に収めました。全54の選りすぐりの場面を通して、カフカの世界を全身で体感できます。巻末には40年間の作家の年譜と、読書案内を完備。 [目次] はじめに i こんなはじまり、あんなはじまり 冒頭の一文に引き込まれる ii こんなキャラ、あんなキャラ 作品の登場人物たちに翻弄される iii こんな世界、あんな世界 物語の設定に目がまわる iv こんなカフカ、あんなカフカ 作家の素顔に驚愕する v こんな終わり、あんな終わり 結びの一文に絶句する 年譜/読書案内/あとがき
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土民生活流動体書簡集(一) バックレ可(笑) | よしのももこ編
¥1,600
虹霓社 2023年 ソフトカバー 180ページ B6判 - 内容紹介 - 虹霓社の新レーベル「NIJI BOOKS」より『土民生活流動体書簡集(一) バックレ可(笑)』(土民生活流動体著/よしのももこ編)を刊行します。全3巻予定。この作品は、2023年1月に自主制作でリリースした小説『ジドウケシゴム』()が作家・山下澄人さんによるすごい紹介文のあと押しも受け、半年足らずで初版第1刷完売となったよしのももこさんの第2作。執筆開始から3年、待望の新作は書簡体小説か、はたまた島暮らしを綴ったノンフィクションか。独特なワードが舞う「よしのももこ的世界」をぜひ漂ってほしいです。 * * * ぐるぐる迷走していた首都での暮らしから〝バックレ〟て、家族とともに離れ小島へ流れ着いた「わたし」は、トットちゃんのトモエ学園、ルイス・ミショーのナショナル・メモリアル・アフリカン・ブックストア、大杉栄の「鎖工場」、中島正の自給農業、石川三四郎の土民生活などを日々の生活に織り込み、都会では起こりようもない出来事に振り回されながら、徐々に〝生きている〟を取り戻していく。 「積極的にバックレたい。できてるフリをするよりできなさを体感したい。できないならできない者としての生活をガチでやりたい。都会がダメで田舎がすばらしいとかじゃない。自給自足がどうのこうのとかでもない。ただ、毎日の生活に読めなさを取り戻して、《生きている》のままならなさに日々驚いていたい!」(本文より) 目次や本文のチラ読みもできるので、リンク先の詳細をどうぞご覧ください。 https://note.com/kougeisha/n/n9a849a160a3f (版元紹介文より)
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【バーゲンブック】二十世紀鉄仮面 | 小栗 虫太郎
¥500
河出書房新社 2017年 ソフトカバー 292ページ 文庫判 ※定価 880円 バーゲンブック: 定価よりも値引して販売することのできる新品の本です。 (およそ定価の50%〜70%ほどの価格です) 新品とはいえ、経年による劣化などが見られる場合もございますので、ご理解の上ご購入くださいませ。 - 商品紹介 - 九州某所に幽閉された「鉄仮面」とは何者か、私立探偵法水麟太郎は、死の商人・瀬高十八郎から、彼を救い出せるのか。帝都に大流行したペストの陰の大陰謀が絡む、ペダンチック冒険ミステリ。
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女の子たち風船爆弾をつくる | 小林 エリカ
¥2,750
文藝春秋 2024年 ソフトカバー 400ページ 四六判 - 内容紹介 - 第78回毎日出版文化賞(文学・芸術部門)受賞作。 日露戦争30周年に日本が沸いた春、その女の子たちは小学校に上がった。できたばかりの東京宝塚劇場の、華やかな少女歌劇団の公演に、彼女たちは夢中になった。彼女たちはウールのフリル付きの大きすぎるワンピースを着る、市電の走る大通りをスキップでわたる、家族でクリスマスのお祝いをする。しかし、少しずつ、でも確実に聞こえ始めたのは戦争の足音。冬のある日、軍服に軍刀と銃を持った兵隊が学校にやってきて、反乱軍が街を占拠したことを告げる。やがて、戦争が始まり、彼女たちの生活は少しずつ変わっていく。来るはずのオリンピックは来ず、憧れていた制服は国民服に取ってかわられ、夏休みには勤労奉仕をすることになった。それでも毎年、春は来て、彼女たちはひとつ大人になる。 ある時、彼女たちは東京宝塚劇場に集められる。いや、ここはもはや劇場ではない、中外火工品株式会社日比谷第一工場だ。彼女たちは今日からここで、「ふ号兵器」、すなわち風船爆弾の製造に従事する……。 膨大な記録や取材から掬い上げた無数の「彼女たちの声」を、ポエティックな長篇に織り上げた意欲作。
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ほんとうのカフカ | 明星 聖子
¥2,255
講談社 2024年 講談社選書メチエ ソフトカバー 288ページ 四六判 - 内容紹介 - ザムザが「変身」したのは「虫」なのか? 『城』の冒頭でKが到着したのは「村」なのか? 『審判』という表題は『訴訟』とすべきか? カフカの作品にはいくつもの日本語訳が存在し、多くの人に親しまれてきた。だが、「虫」と訳されてきた『変身』を見ても、「虫けら」と訳したもの、原語のまま「ウンゲツィーファー」と表記しているものが登場するなど、一筋縄ではいかない。しかも、1915年に発表された『変身』は作家が生前に公表した数少ない作品の一つで、むしろ例外に該当する。代表作とされる『城』や『審判』は死後出版されたものだが、作家は確定稿を残さなかったため、ほんとうの構成も、ほんとうの順序も、ほんとうの結末も推測するしかないのが実態である。 没後100年を迎えた作家をめぐるドイツ語原文の編集事情を紹介しつつ、カフカのテクストに含まれる錯綜した問題を分かりやすく伝え、日本語訳の問題を検証する。あなたは、まだ「ほんとうのカフカ」を知らない! [本書の内容] 序 章 ほんとうの変身 「虫」ではなく「ウンゲツィーファー」?/「ウンゲツィーファー」ではなく「虫けら」?/『田舎の婚礼準備』と『変身』/“insect” ではなく “vermin”?/『メタモルフォーシス』ではなく『トランスフォーメーション』? 第一章 ほんとうの到着 「K」は村に着いたのか/書いたままのテクスト?/等価ではない翻訳/誤訳だけではない問題/手稿をめぐる誤情報/「私」の到着/うさんくさい男たち/「私」は測量技師なのか/不審な「私」/もうひとつの到着/少年か、青年か/悪魔のような息子/愛のしるし/仕掛けられた罠/ほんとうの到着 第二章 ほんとうの編集 「私」はいつ「K」になったか/電話はどこにかけたのか/出まかせの肩書き/アイデンティティの正体/「章」とは何か/矛盾する編集方針/定められた〈冒頭〉/新しい「始まり」と「終わり」/〈本〉ではなく〈函〉/批判版vs.写真版/完結した章と未完結の章/ひとつの〈いま〉と複数の〈いま〉/〈正しさ〉をめぐるジレンマ/「夢」は含まれるか 第三章 ほんとうの夢 「史的批判版」という名の写真版/編集の問題と翻訳の問題/ほんとうの「史的批判版」/編集文献学の必要性/ほんとうの底本/「オリジナル」概念の難しさ/もっとも新しい復刻本?/アカデミーへ「提出する」?/ほんとうの外見/書いたものを観察する/『審判』か『訴訟』か/ヴァリアントの提示/「幹」はあるのか?/「私」が現れて消えるとき/ほんとうの結末/白水社版の意義/丘の上の小さな家/ほんとうの夢 第四章 ほんとうの手紙 タイプライターで書かれた手紙/批判版での手紙の並び/ブロート版では読めない手紙/妹の結婚/ほんとうの手紙/フェリスか、フェリーツェか - 著者プロフィール - 明星 聖子 (ミョウジョウ キヨコ) (著/文) 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。埼玉大学教授を経て、現在、成城大学文芸学部教授。オックスフォード大学ジーザスカレッジ客員シニアリサーチフェロー(2024-25年)。専門は、近現代ドイツ文学。 主な著書に、『新しいカフカ』(慶應義塾大学出版会、2002年。日本独文学会賞)、『カフカらしくないカフカ』(慶應義塾大学出版会、2014年)ほか。 主な編著に、『テクストとは何か』(共編、慶應義塾大学出版会、2015年)、『フェイク・スペクトラム』(共編、勉誠出版、2022年)ほか。 主な訳書に、リッチー・ロバートソン『カフカ』(岩波書店、2008年)、ピーター・シリングスバーク『グーテンベルクからグーグルへ』(共訳、慶應義塾大学出版会、2009年)、ルー・バーナード+キャサリン・オブライエン・オキーフ+ジョン・アンスワース編『人文学と電子編集』(共訳、慶應義塾大学出版会、2011年)ほか。
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ムントゥリャサ通りで〈改装版〉 | M.エリアーデ(著), 直野 敦(訳)
¥2,750
法政大学出版局 2021年 ハードカバー 176ページ 四六判 - 内容紹介 - 第二次世界大戦後のルーマニアの政情を背景に,現実世界と神話的世界の交錯のうちにカフカ的状況がかもし出される。宗教学者・文学者エリアーデの代表的幻想小説。 - 著者プロフィール - M.エリアーデ (エリアーデ ミルチャ) (著) (Mircea Eliade) ルーマニアの世界的な宗教学・宗教史学者。1907年首都ブクレシュティ(ブカレスト)に陸軍将校を父として生まれる。ブクレシュティ大学でナエ・ヨネスクを師に哲学を学ぶ。1927、28年イタリアに留学。また29-31年インドに留学しこの研究生活を通じて宗教学・宗教史学者としての彼の方向が決定づけられる。帰国後33年から母校で哲学を講義、38-42年パリで宗教学研究誌『ザルモクシス』を刊行。40年ロンドンのルーマニア文化アタッシェに任命される。それ以後エリアーデは国外を活動の場として、46年ソルボンヌ大学宗教学講師、57年からはシカゴ大学神学部宗教史学科主任教授をつとめた。1986年死去。主な著書の『聖と俗』、『永遠回帰の神話』、『シャーマニズム』などが翻訳されている。 直野 敦 (ナオノ アツシ) (訳) 1929年生まれる。一橋大学社会学部修士課程修了。東京大学名誉教授。文化女子大学教授。訳書:M.エリアーデ『セランポーレの夜』ほか多数。
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香具師の旅 | 田中 小実昌
¥715
小学館 2024年 P+D BOOKS ソフトカバー 232ページ B6判 - 内容紹介 - 直木賞受賞作「ミミのこと」を含む名短篇集 病気や飢餓をともに乗り越えた戦友・朝日丸と〈ぼく〉。戦後、朝日丸は浪曲師として有名になり、11人の原爆孤児たちを引き取って新聞にも載るが――。 「浪曲師朝日丸の話」と、耳が不自由で売春を生業としていたミミとの切ない純愛を描いた「ミミのこと」という第81回直木賞受賞作を中心に、夜の生活を拒否し、周囲にまったく気を使わない悪妻に嫌気がさして、かいがいしく世話を焼いてくれる女性との再婚を決意するが、その彼女が作った味噌汁の味に失望する「味噌汁に砂糖」、私小説的要素が強い表題作「香具師の旅」など、軽妙なタッチのなかにノスタルジーと深みを詰め込んだ珠玉の短編集。
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光のそこで白くねむる | 待川 匙
¥1,650
河出書房新社 2024年 ソフトカバー 112ページ 四六判 縦195mm 横136mm 厚さ12mm - 内容紹介 - 【第61回文藝賞受賞作】 パラノイアックな人物の視点を描ききる勇気と高度な文章技術。新人離れした作品である。 ――小川哲 誰が存在したかも、語り手の性別すらも明示されないあいまいさ。たしかなことが何ひとつないからこそ、この小説は強いのだ。――角田光代 尋常の景色、おそらくは平穏で退屈な田舎の景色をそのまま描いて異常の景色となす不思議の筆力。美事だった。――町田康 特別な文体と出会う喜びを覚え、言葉自体に強烈に惹きつけられた。この作品が宿しているものの大きさに、ただただ圧倒された。――村田沙耶香 十年ぶりに、坂と崖に囲まれた故郷の田舎町をおとずれた「わたし」。 墓地へと続く道を進むと、死んだはずの幼馴染「キイちゃん」の声が語りかけてくる。 行方不明の母、蒙昧な神のごとき父、汚言機械と化した祖母…… 不確かな記憶が流れ込み、平凡な田舎に呪われた異界が立ち上がる。 圧倒的異才が放つ、衝撃のデビュー作! - 著者プロフィール - 待川 匙 (マチカワ サジ) (著/文) 1993年生まれ。徳島県生まれ、滋賀育ち。会社員。2024年、「光のそこで白くねむる」で第61回文藝賞を受賞。
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バリ山行 | 松永K三蔵
¥1,760
講談社 2024年 ハードカバー 168ページ 四六判 - 内容紹介 - 第171回芥川賞受賞作。古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に、内装リフォーム会社から転職して2年。会社の付き合いを極力避けてきた波多は同僚に誘われるまま六甲山登山に参加する。その後、社内登山グループは正式な登山部となり、波多も親睦を図る目的の気楽な活動をするようになっていたが、職人気質で職場で変人扱いされ孤立しているベテラン社員妻鹿があえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をしていることを知ると……。 「山は遊びですよ。遊びで死んだら意味ないじゃないですか! 本物の危機は山じゃないですよ。街ですよ! 生活ですよ。妻鹿さんはそれから逃げてるだけじゃないですか!」(本文より抜粋) 会社も人生も山あり谷あり、バリの達人と危険な道行き。圧倒的生の実感を求め、山と人生を重ねて瞑走する純文山岳小説。 - 著者プロフィール - 松永K三蔵 (マツナガケーサンゾウ) (著/文) 1980年茨城県生まれ。兵庫県西宮市在住。関西学院大学文学部卒。2021年「カメオ」が群像新人文学賞優秀作となる。
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教養としての芥川賞 | 重里 徹也, 助川 幸逸郎(著)
¥2,200
青弓社 2021年 ソフトカバー 356ページ 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ24mm - 内容紹介 - 第1回受賞作の石川達三『蒼氓』から大江健三郎『飼育』、多和田葉子『犬婿入り』、宇佐見りん『推し、燃ゆ』まで、23作品を厳選。あらすじと作品の背景を概説したうえで、作品や作家の内面・奥行きを文芸評論家と文学研究者が縦横に語り合うブックガイド。 - 目次 - はじめに 重里徹也 1 石川達三『蒼氓』第一回、一九三五年・上半期 移民する農民たちを描く/倫理も思想も問わない社会派/群像を見る視点はどこにあるか/太宰治と芥川賞/『道化の華』なら受賞したか 2 石原慎太郎『太陽の季節』第三十四回、一九五五年・下半期 動物の生態を描いた小説/求めるのは「許容する母性」/もってまわった疑問文/排除される崇高なもの/司馬遼太郎という対極 3 遠藤周作『白い人』第三十三回、一九五五年・上半期 評論家の類型的な物語/遠藤周作と小川国夫/高度経済成長期の日本人/遠藤周作と「柄谷行人的なもの」 4 多和田葉子『犬婿入り』第百八回、一九九二年・下半期 根拠にしない「郊外」/絶えず移動を続ける文学/ドイツとロシアを往復/「偶然」と「移動」/なぜ、郊外を描いて成功したのか 5 森敦『月山』第七十回、一九七三年・下半期 脱臼される異郷訪問譚/一九七〇年代における土俗の意味/中上健次のいら立ち/成長しない主人公/じっくり煮込んだ大根のような文章/日本近代における養蚕 6 又吉直樹『火花』第百五十三回、二〇一五年・上半期 柄のいい小説家/「神様」という言葉をめぐって/異様な個性よりも洗練の時代/吉祥寺という街 [コラム]芥川賞と三島賞、野間文芸新人賞 助川幸逸郎 7 吉行淳之介『驟雨』第三十一回、一九五四年・上半期 性愛で自由を問う/刻印された戦争体験/迷い戸惑う「永沢さん」/吉行淳之介とPC 8 小川洋子『妊娠カレンダー』第百四回、一九九〇年・下半期 芥川賞は世俗や悪意が好き?/「阿美寮」で暮らす小川的世界/生きながら死んでいる/村上と小川が示す平成という時代 9 中上健次『岬』第七十四回、一九七五年・下半期 知的に制御された作品/自由意思と宿命/吉行淳之介と安岡章太郎/鮮やかで魅力的な女性像 [コラム]『1973年のピンボール』をもう一度、読んでみた 重里徹也 10 大庭みな子『三匹の蟹』第五十九回、一九六八年・上半期 映し出される女性の立ち位置/吹きだまりの人間模様/根なし草たちの特性/社会の闇は境界に表れる/二十ドル、ベトナム戦争、原爆 11 大江健三郎『飼育』第三十九回、一九五八年・上半期 イメージを喚起する叙情的な文体/母親と方言を排除した作品世界/街から差別される共同体/土着性とおフランス/戦後日本人と重なる被害者意識/読んでも元気が出ない小説 12 井上靖『闘牛』第二十二回、一九四九年・下半期 虚無感を物語で楽しむ/井上靖が大人な三つの理由/変わらない日本人/西域、歴史、美、大自然への亡命/芥川賞作品の二つのタイプ 13 開高健『裸の王様』第三十八回、一九五七年・下半期 身体でつかんだ認識/成熟した大人の小説/コピーライターの先駆け/物語は始まらない 14 三浦哲郎『忍ぶ川』第四十四回、一九六〇年・下半期 ある種のメルヘン/志乃はなぜ、「私」を好きになったのか/なぜ、志乃の思いを描けなかったのか/背景にある階級の問題/井伏鱒二に引かれた作家たち 15 大城立裕『カクテル・パーティー』第五十七回、一九六七年・上半期 沖縄問題入門のガイドブック/気になるレイプの描き方/魅力的な中国人の登場人物/図式を超えるものがあるのか/背後にある大城のニヒリズム 16 古山高麗雄『プレオー8の夜明け』第六十三回、一九七〇年・上半期 無能な中央政治と優秀な現場/繰り返されるインパール作戦/システムが壊れた後で/徹底した自己相対化/声高に「正しさ」を主張しない/しなやかで温かい文体 17 古井由吉『杳子』第六十四回、一九七〇年・下半期 固有名を喪失する病気/「彼」はなぜ、外を向かないのか/集合的無意識でつながりたい/ツッコミだけでボケがない小説/古井由吉の代表作は 18 李恢成『砧をうつ女』第六十六回、一九七一年・下半期 在日コリアンと日本語/一つひとつ確かめながら書かれた言葉/母親を描く意味/人間を描くということ/なぜ、父ではないのか/小説は腹で読め 19 村上龍『限りなく透明に近いブルー』第七十五回、一九七六年・上半期 ヒシヒシと感じる鮮やかな才能/敗戦後三十年の日本の貧しさ/対照的な静と動/「行動」ではなく「観察」の作家/文学界の清原和博 20 宮本輝『螢川』第七十八回、一九七七年・下半期 『流転の海』の作家/あまりにも生々しい蛍/井上靖、叙情を食い破るリアル/蛍を描いた二人の作家/物語の鉱脈に到達する速度 [コラム]一九八〇年代の文学状況と芥川賞 助川幸逸郎 21 絲山秋子『沖で待つ』第百三十四回、二〇〇五年・下半期 平成期を代表する受賞作/昼間に出る幽霊/効率優先と女と男/大平か福田かという分かれ目/働く人のメンタリティー 22 綿矢りさ『蹴りたい背中』第百三十回、二〇〇三年・下半期 入れ替わる男女/収集する男の子/いつまで「子ども」を描くのか/絹代が体現するもの/大人(加害者)を描くのでなければ 23 宇佐見りん『推し、燃ゆ』第百六十四回、二〇二〇年・下半期 追い込まれている主人公/スマホのなかと保健室/ものが見えているクレバーな作家/血縁への異様な執着/綿矢はなぜ、西鶴から学ばないのか [コラム]卓抜な新人認知システム 重里徹也 あとがき 助川幸逸郎 - 版元から一言 - 1935年に創設されて以来、数々の文学シーンを演出してきた文学賞である芥川賞。あまたある受賞作のなかで、いまあらためて読まれるべき作品、小説の魅力や可能性を教えてくれる作品とは何か。 第1回受賞作の石川達三『蒼氓』から大江健三郎『飼育』、宮本輝『螢川』、多和田葉子『犬婿入り』、綿矢りさ『蹴りたい背中』、宇佐見りん『推し、燃ゆ』まで、23作品を厳選。あらすじと作品の背景を概説したうえで、社会状況も踏まえながら、作品や作家の内面・奥行きを文芸評論家と文学研究者が縦横に語り合う。 「芥川賞と三島賞、野間文芸新人賞」「卓抜な新人認知システム」などのコラムで芥川賞の意義も解説。芥川賞受賞作をめぐる対話を通して教養を深めるためのブックガイド。最良の「文学の航海図」を手にすることで、小説の多面的な読み方も身につく一冊。 - 著者プロフィール - 重里 徹也 (シゲサト テツヤ) (著) 1957年、大阪市生まれ。聖徳大学教授、文芸評論家。大阪外国語大学(現・大阪大学)ロシア語学科卒。毎日新聞社で東京本社学芸部長、論説委員などを務めたのち、2015年から現職。著書に『文学館への旅』(毎日新聞社)、共著に『平成の文学とはなんだったのか』(はるかぜ書房)、『つたえるエッセイ』(新泉社)、『村上春樹で世界を読む』(祥伝社)、『司馬遼太郎を歩く』全3巻(毎日新聞社)など。聞き書きに吉本隆明『日本近代文学の名作』『詩の力』(ともに新潮社)。「東京新聞」「産経新聞」、「毎日新聞」のサイト「経済プレミア」で書評を執筆中。 助川 幸逸郎 (スケガワ コウイチロウ) (著) 1967年、東京都生まれ。岐阜女子大学教授、日本文学研究者。早稲田大学教育学部国語国文学科卒。同大学院文学研究科博士課程修了。著書に『文学理論の冒険』(東海大学出版会)、『光源氏になってはいけない』『謎の村上春樹』(ともにプレジデント社)、『小泉今日子はなぜいつも旬なのか』(朝日新聞出版)、共編著に『〈国語教育〉とテクスト論』(ひつじ書房)、共著に『平成の文学とはなんだったのか』(はるかぜ書房)、『つたえるエッセイ』(新泉社)など。「現代ビジネス」「週刊現代」「産経新聞」などにも寄稿している。